JP2004001751A - エアバッグ装置及びそのモジュールカバー - Google Patents
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Abstract
【目的】第1のテアラインから進行してきた開裂が、第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部において確実に進行方向を変更して第2のテアラインに受け継がれるようにする。
【構成】モジュールカバー14Aの裏面に取付片34、36が突設されると共に、テアライン28、30、32が設けられている。第1のテアライン28はモジュールカバーの横方向に延在し、第2のテアライン30、32は縦方向に延在している。この第2のテアライン30、32は取付片34、36の付け根部分に直に沿うように設けられている。部分100、200の肉厚が取付片34、36の肉厚よりも小さくなっている。
【効果】第1のテアライン28から始まった開裂が、テアライン継続部30a、32aにおいて確実に進行方向を変更し、第2のテアライン30、32に伝播する。モジュールカバーが正確にテアラインに沿って開裂するようになる。
【選択図】 図1
【構成】モジュールカバー14Aの裏面に取付片34、36が突設されると共に、テアライン28、30、32が設けられている。第1のテアライン28はモジュールカバーの横方向に延在し、第2のテアライン30、32は縦方向に延在している。この第2のテアライン30、32は取付片34、36の付け根部分に直に沿うように設けられている。部分100、200の肉厚が取付片34、36の肉厚よりも小さくなっている。
【効果】第1のテアライン28から始まった開裂が、テアライン継続部30a、32aにおいて確実に進行方向を変更し、第2のテアライン30、32に伝播する。モジュールカバーが正確にテアラインに沿って開裂するようになる。
【選択図】 図1
Description
【特許請求の範囲】
【請求項1】コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
該エアバッグに被さるカバー部と、
該カバー部の裏面から突設されており、
該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片と、
該カバー部の裏面に設けられた、該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインとを備えているモジュールカバーにおいて、
前記取付片の肉厚が前記カバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。
【請求項2】請求項1において、前記テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、
前記取付片の少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインを、この車体前後方向又は上下方向の取付片のモジュールカバー中央側の付け根部分に直に沿わせ、且つ第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部を該付け根部分に直に沿う位置に配置したことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。
【請求項3】請求項1又は2に記載のモジュールカバーを備えたことを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車のステアリングホイールに取り付けられる運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー及び自動車のインストルメントパネル等に取り付けられる助手席用エアバッグ装置や、後席用エアバッグ装置のモジュールカバーに関する。詳しくは、エアバッグ展開時にモジュールカバーが正確にテアラインに沿って開裂するよう改良されたモジュールカバーと、このモジュールカバーを備えたエアバッグ装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の運転席用エアバッグ装置及びそのモジュールカバーについて第3図〜第6図を参照して説明する。
【0003】
第3図に示す如く、自動車のステアリング10の中央部分に運転席用エアバッグ装置12が設置されている。この運転席用エアバッグ装置12は、一般にコンテナと称される取付板にインフレータ及びエアバッグが取り付けられ、これらを被うようにモジュールカバー14が装着されたものである。第4、5図の如く、このモジュールカバー14にはステアリング10のスポーク16に整合しうるように係合部18、20、22、24がモジュールカバー側面部分に形成されている。
【0004】
このモジュールカバー14は合成樹脂製である。なお、メッシュなどの補強材を埋設することもある。このモジュールカバー14には、エアバッグ作動時に予定された線で開裂されるようにテアラインが設けられている。
【0005】
このテアラインは、モジュールカバー14の左右の側端縁に沿って車体前後方向に設けられた第2のテアライン30、32と、モジュールカバー14の中央に車体幅方向に設けられた第1のテアライン28とで構成されている。なお、車体前後方向、幅方向を示す場合、ステアリングは、車両が真直ぐに進行する姿勢にあるものとする。このテアライン30、32は、モジュールカバー14をコンテナ(図示略)に対し固定取り付けするための取付片34、36に沿ってはいるが、取付片34、36からは少し離れている。第2のテアライン30、32の外側部100、200の部分の肉厚は、それよりも内側の部分300、400の肉厚と等しくなっている。また、取付片34、36の肉厚は、これら部分100、200、300、400の肉厚と等しくなっている。
【0006】
このテアラインとしては、第6図の如く開裂予定ラインの部分に溝を連続的に設けたものやミシン目状に形成したもの等がある。なお、溝の深さを間隔をおいて深くすることもある。又、該カバーを硬質層と軟質層との2層積層構造としたものにあっては、開裂予定線に沿って硬質層にスリットを形成したものもある。
【0007】
このエアバッグ装置を搭載した自動車が衝突すると、インフレータ(ガスジェネレータ)が作動し、エアバッグが展開する。そして、モジュールカバー14がまず第1のテアライン28に沿って開裂し、さらに開裂が第2のテアライン30、32に伝播することにより、モジュールカバー14が第3図の2点鎖線の矢印の如く大きく開放し、エアバッグが車両室内に展開する。
【0008】
第7図は従来の助手席用ないし後席用のエアバッグ装置のモジュールカバーの背面からの斜視図、第8図はこのエアバッグ装置の作動状態を示す概略的な断面図である。
【0009】
このモジュールカバー70は、略々長方形状のものであり、板状のカバー部(リッド部)70aの背面には、長手方向に延在する取付片71,72が突設されている。
【0010】
このモジュールカバー70は、第8図の如く、エアバッグ装置のコンテナ73の前面に取り付けられる。インフレータ74が作動してガスが噴出し、エアバッグ90が展開するときには、第1及び第2のテアライン75,76に沿ってモジュールカバー70が開裂し、エアバッグ90が車両室内に大きく広がる。
【0011】
この第1のテアライン75は、車体の幅方向に延在し、第2のテアライン76はこれと交叉方向(車体の前後方向ないし上下方向)に延在している。なお、第9,10図ではテアライン75,76はH字形状に設けられているが、第9図のモジュールカバー70Aのテアライン77,78の如くU字形状となるように設けられることもある。この場合、エアバッグの展開時にモジュールカバー70Aは第10図の如く開裂する。
【0012】
このモジュールカバー70,70Aのカバー部(リッド部)70aの肉厚は全体に均一である。このモジュールカバー70,70Aは合成樹脂製である。なお、メッシュなどの補強材を埋設することもある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来のエアバッグ装置においては、エアバッグの展開時にまず第1のテアラインが開裂し、つづいてこの開裂が第2のテアラインに伝播することによりモジュールカバーが大きく開裂する。
【0014】
この第1のテアラインと第2のテアラインとは、それら同志の継続部においてほぼ直角に交わっている。そのため、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が、そのまま惰性でモジュールカバーの車体側方向に進行してしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、エアバッグ装置のモジュールカバーにおいて、第1のテアラインを進んできた開裂が、第2のテアラインとの継続部において確実に進行方向を変更して第2のテアラインに開裂が急速に受け継がれるようにすることを目的とする。
【0016】
また、本発明は、モジュールカバーのコンテナへの取付強度を高めることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1のエアバッグ装置のモジュールカバーは、コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、該エアバッグに被さるカバー部と、該カバー部の裏面から突設されており、該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片と、該カバー部の裏面に設けられた、該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインとを備えているモジュールカバーにおいて、前記取付片の肉厚が前記カバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2のエアバッグ装置のモジュールカバーは、請求項1において、前記テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、前記取付片の少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインを、この車体前後方向又は上下方向の取付片のモジュールカバー中央側の付け根部分に直に沿わせ、且つ第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部を該付け根部分に直に沿う位置に配置したことを特徴とするものである。
請求項3のエアバッグ装置は、請求項1又は2のモジュールカバーを備えたものである。
【0019】
【作用】
請求項1のエアバッグ装置のモジュールカバーにあっては、取付片の肉厚が大きいので、モジュールカバーのコンテナへの取付強度が高い。また、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が第2のテアラインを突っきってそのまま進行したとしても、この肉厚の大きな取付片に突き当ったところで、該開裂のそれ以上の進行が食い止められる。そして、モジュールカバーを開裂させようとする力(展開しつつあるエアバッグによってモジュールカバーの裏面に加えられる力)は第2のテアラインに集中するようになり、第2のテアラインが急速に開裂する。
【0020】
請求項2のエアバッグ装置のモジュールカバーにあっては、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部に到達すると、それまで進行してきた方向の前方に取付片が大きな壁の如く立ちはだかった状態となる。この取付片は、肉厚が大きなものとなっており、実質的に開裂しない。そのため、開裂がそのままの方向に進行することが該壁の如き取付片によって阻止され、開裂は第2のテアラインにのみ受け継がれることになる。この第2のテアラインは取付片の付け根に直に沿っているため、開裂はこの取付片に案内されるようにして極めて円滑に進行する。
【0021】
【実施例】
以下図面を参照して実施例について説明する。
【0022】
第1図は本発明の実施例に係る運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー14Aを示す背面より見た斜視図である。また、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図である。
【0023】
このモジュールカバー14Aは、合成樹脂の一色射出成形品よりなる。本実施例にあっては、取付片34、36の付け根部分に直に沿うように第2のテアライン30、32が設けられている。取付片34、36の肉厚d4は部分300、400の肉厚d5よりも大きい。その他の構成は前記従来例と同様であり、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
本実施例においても、エアバッグが展開してモジュールカバー14Aを背面から押圧すると、まず第1のテアライン28が開裂を開始し、この開裂が左右方向に伝播する。そして、開裂がテアライン28とテアライン30、32との継続部30a、32aに到達すると、それまで進行してきた方向の前方に取付片34、36が大きな壁の如く立ちはだかる。しかも、この取付片34、36は肉厚が大きく、実質的に開裂しない。従って、開裂は速やかに進行方向を直角に変更し、第2のテアライン30、32を開裂させるようになる。この結果、モジュールカバー14Aは、正確にテアライン28、30、32に沿って開裂するようになる。
【0025】
なお、取付片34、36は、肉厚が大きいから強度及び剛性が高く、従って、モジュールカバー14Aをコンテナ(図示略)に対しきわめてしっかりと固定することができる。
【0026】
なお、種々の実験の結果、第1、2図に示したモジュールカバー14Aにおいては、取付片34、36の肉厚d4を100%とした場合、部分100、200の肉厚d5を40〜99%とりわけ50〜90%程度とすると好適であることが認められた。また、この場合、テアライン28、30、32の最深部分における肉厚は、上記d4を100%とした場合、10〜39%とりわけ20〜30%程度とするのが好ましいことも認められた。
【0027】
なお、モジュールカバー14Aにおいて、コンテナへの引掛部37を有する取付片36a、36bについて、その肉厚を取付片36c、36dよりも5〜20%程度大きくするのが好適であることも認められた。これは、エアバッグが展開するときに、取付片36a、36bに対し取付片36c、36dよりも大きな力が加えられるからである。
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のエアバッグ装置のモジュールカバーによると、エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開する場合、モジュールカバーは正確に第1のテアライン及び第2のテアラインに沿って開裂するようになり、エアバッグが急速にしかも確実に車両室内に大きく展開するようになる。また、モジュールカバーのコンテナへの取付強度もきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る運転席用エアバッグ装置のモジュールカバーの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】従来の運転席用エアバッグ装置を示す斜視図である。
【図4】従来の運転席用エアバッグ装置のモジュールカバーを示す斜視図である。
【図5】従来の運転席用エアバッグ装置の背面から見た斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】従来の助手席用又は後席用のエアバッグ装置のモジュールカバー70を示す斜視図である。
【図8】モジュールカバー70の開裂状態を示す断面図である。
【図9】別の従来例に係るモジュールカバー70Aの斜視図である。
【図10】モジュールカバー70Aの開裂状態を示す断面図である。
【符号の説明】
14,14A 運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー
28 第1のテアライン
30,32 第2のテアライン
34,36 取付片
【請求項1】コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
該エアバッグに被さるカバー部と、
該カバー部の裏面から突設されており、
該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片と、
該カバー部の裏面に設けられた、該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインとを備えているモジュールカバーにおいて、
前記取付片の肉厚が前記カバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。
【請求項2】請求項1において、前記テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、
前記取付片の少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインを、この車体前後方向又は上下方向の取付片のモジュールカバー中央側の付け根部分に直に沿わせ、且つ第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部を該付け根部分に直に沿う位置に配置したことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。
【請求項3】請求項1又は2に記載のモジュールカバーを備えたことを特徴とするエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車のステアリングホイールに取り付けられる運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー及び自動車のインストルメントパネル等に取り付けられる助手席用エアバッグ装置や、後席用エアバッグ装置のモジュールカバーに関する。詳しくは、エアバッグ展開時にモジュールカバーが正確にテアラインに沿って開裂するよう改良されたモジュールカバーと、このモジュールカバーを備えたエアバッグ装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の運転席用エアバッグ装置及びそのモジュールカバーについて第3図〜第6図を参照して説明する。
【0003】
第3図に示す如く、自動車のステアリング10の中央部分に運転席用エアバッグ装置12が設置されている。この運転席用エアバッグ装置12は、一般にコンテナと称される取付板にインフレータ及びエアバッグが取り付けられ、これらを被うようにモジュールカバー14が装着されたものである。第4、5図の如く、このモジュールカバー14にはステアリング10のスポーク16に整合しうるように係合部18、20、22、24がモジュールカバー側面部分に形成されている。
【0004】
このモジュールカバー14は合成樹脂製である。なお、メッシュなどの補強材を埋設することもある。このモジュールカバー14には、エアバッグ作動時に予定された線で開裂されるようにテアラインが設けられている。
【0005】
このテアラインは、モジュールカバー14の左右の側端縁に沿って車体前後方向に設けられた第2のテアライン30、32と、モジュールカバー14の中央に車体幅方向に設けられた第1のテアライン28とで構成されている。なお、車体前後方向、幅方向を示す場合、ステアリングは、車両が真直ぐに進行する姿勢にあるものとする。このテアライン30、32は、モジュールカバー14をコンテナ(図示略)に対し固定取り付けするための取付片34、36に沿ってはいるが、取付片34、36からは少し離れている。第2のテアライン30、32の外側部100、200の部分の肉厚は、それよりも内側の部分300、400の肉厚と等しくなっている。また、取付片34、36の肉厚は、これら部分100、200、300、400の肉厚と等しくなっている。
【0006】
このテアラインとしては、第6図の如く開裂予定ラインの部分に溝を連続的に設けたものやミシン目状に形成したもの等がある。なお、溝の深さを間隔をおいて深くすることもある。又、該カバーを硬質層と軟質層との2層積層構造としたものにあっては、開裂予定線に沿って硬質層にスリットを形成したものもある。
【0007】
このエアバッグ装置を搭載した自動車が衝突すると、インフレータ(ガスジェネレータ)が作動し、エアバッグが展開する。そして、モジュールカバー14がまず第1のテアライン28に沿って開裂し、さらに開裂が第2のテアライン30、32に伝播することにより、モジュールカバー14が第3図の2点鎖線の矢印の如く大きく開放し、エアバッグが車両室内に展開する。
【0008】
第7図は従来の助手席用ないし後席用のエアバッグ装置のモジュールカバーの背面からの斜視図、第8図はこのエアバッグ装置の作動状態を示す概略的な断面図である。
【0009】
このモジュールカバー70は、略々長方形状のものであり、板状のカバー部(リッド部)70aの背面には、長手方向に延在する取付片71,72が突設されている。
【0010】
このモジュールカバー70は、第8図の如く、エアバッグ装置のコンテナ73の前面に取り付けられる。インフレータ74が作動してガスが噴出し、エアバッグ90が展開するときには、第1及び第2のテアライン75,76に沿ってモジュールカバー70が開裂し、エアバッグ90が車両室内に大きく広がる。
【0011】
この第1のテアライン75は、車体の幅方向に延在し、第2のテアライン76はこれと交叉方向(車体の前後方向ないし上下方向)に延在している。なお、第9,10図ではテアライン75,76はH字形状に設けられているが、第9図のモジュールカバー70Aのテアライン77,78の如くU字形状となるように設けられることもある。この場合、エアバッグの展開時にモジュールカバー70Aは第10図の如く開裂する。
【0012】
このモジュールカバー70,70Aのカバー部(リッド部)70aの肉厚は全体に均一である。このモジュールカバー70,70Aは合成樹脂製である。なお、メッシュなどの補強材を埋設することもある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記の通り、従来のエアバッグ装置においては、エアバッグの展開時にまず第1のテアラインが開裂し、つづいてこの開裂が第2のテアラインに伝播することによりモジュールカバーが大きく開裂する。
【0014】
この第1のテアラインと第2のテアラインとは、それら同志の継続部においてほぼ直角に交わっている。そのため、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が、そのまま惰性でモジュールカバーの車体側方向に進行してしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、エアバッグ装置のモジュールカバーにおいて、第1のテアラインを進んできた開裂が、第2のテアラインとの継続部において確実に進行方向を変更して第2のテアラインに開裂が急速に受け継がれるようにすることを目的とする。
【0016】
また、本発明は、モジュールカバーのコンテナへの取付強度を高めることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1のエアバッグ装置のモジュールカバーは、コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、該エアバッグに被さるカバー部と、該カバー部の裏面から突設されており、該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片と、該カバー部の裏面に設けられた、該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインとを備えているモジュールカバーにおいて、前記取付片の肉厚が前記カバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2のエアバッグ装置のモジュールカバーは、請求項1において、前記テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、前記取付片の少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインを、この車体前後方向又は上下方向の取付片のモジュールカバー中央側の付け根部分に直に沿わせ、且つ第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部を該付け根部分に直に沿う位置に配置したことを特徴とするものである。
請求項3のエアバッグ装置は、請求項1又は2のモジュールカバーを備えたものである。
【0019】
【作用】
請求項1のエアバッグ装置のモジュールカバーにあっては、取付片の肉厚が大きいので、モジュールカバーのコンテナへの取付強度が高い。また、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が第2のテアラインを突っきってそのまま進行したとしても、この肉厚の大きな取付片に突き当ったところで、該開裂のそれ以上の進行が食い止められる。そして、モジュールカバーを開裂させようとする力(展開しつつあるエアバッグによってモジュールカバーの裏面に加えられる力)は第2のテアラインに集中するようになり、第2のテアラインが急速に開裂する。
【0020】
請求項2のエアバッグ装置のモジュールカバーにあっては、第1のテアラインに沿って進行してきた開裂が第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部に到達すると、それまで進行してきた方向の前方に取付片が大きな壁の如く立ちはだかった状態となる。この取付片は、肉厚が大きなものとなっており、実質的に開裂しない。そのため、開裂がそのままの方向に進行することが該壁の如き取付片によって阻止され、開裂は第2のテアラインにのみ受け継がれることになる。この第2のテアラインは取付片の付け根に直に沿っているため、開裂はこの取付片に案内されるようにして極めて円滑に進行する。
【0021】
【実施例】
以下図面を参照して実施例について説明する。
【0022】
第1図は本発明の実施例に係る運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー14Aを示す背面より見た斜視図である。また、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図である。
【0023】
このモジュールカバー14Aは、合成樹脂の一色射出成形品よりなる。本実施例にあっては、取付片34、36の付け根部分に直に沿うように第2のテアライン30、32が設けられている。取付片34、36の肉厚d4は部分300、400の肉厚d5よりも大きい。その他の構成は前記従来例と同様であり、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
本実施例においても、エアバッグが展開してモジュールカバー14Aを背面から押圧すると、まず第1のテアライン28が開裂を開始し、この開裂が左右方向に伝播する。そして、開裂がテアライン28とテアライン30、32との継続部30a、32aに到達すると、それまで進行してきた方向の前方に取付片34、36が大きな壁の如く立ちはだかる。しかも、この取付片34、36は肉厚が大きく、実質的に開裂しない。従って、開裂は速やかに進行方向を直角に変更し、第2のテアライン30、32を開裂させるようになる。この結果、モジュールカバー14Aは、正確にテアライン28、30、32に沿って開裂するようになる。
【0025】
なお、取付片34、36は、肉厚が大きいから強度及び剛性が高く、従って、モジュールカバー14Aをコンテナ(図示略)に対しきわめてしっかりと固定することができる。
【0026】
なお、種々の実験の結果、第1、2図に示したモジュールカバー14Aにおいては、取付片34、36の肉厚d4を100%とした場合、部分100、200の肉厚d5を40〜99%とりわけ50〜90%程度とすると好適であることが認められた。また、この場合、テアライン28、30、32の最深部分における肉厚は、上記d4を100%とした場合、10〜39%とりわけ20〜30%程度とするのが好ましいことも認められた。
【0027】
なお、モジュールカバー14Aにおいて、コンテナへの引掛部37を有する取付片36a、36bについて、その肉厚を取付片36c、36dよりも5〜20%程度大きくするのが好適であることも認められた。これは、エアバッグが展開するときに、取付片36a、36bに対し取付片36c、36dよりも大きな力が加えられるからである。
【0028】
【発明の効果】
以上の通り、本発明のエアバッグ装置のモジュールカバーによると、エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開する場合、モジュールカバーは正確に第1のテアライン及び第2のテアラインに沿って開裂するようになり、エアバッグが急速にしかも確実に車両室内に大きく展開するようになる。また、モジュールカバーのコンテナへの取付強度もきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る運転席用エアバッグ装置のモジュールカバーの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】従来の運転席用エアバッグ装置を示す斜視図である。
【図4】従来の運転席用エアバッグ装置のモジュールカバーを示す斜視図である。
【図5】従来の運転席用エアバッグ装置の背面から見た斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】従来の助手席用又は後席用のエアバッグ装置のモジュールカバー70を示す斜視図である。
【図8】モジュールカバー70の開裂状態を示す断面図である。
【図9】別の従来例に係るモジュールカバー70Aの斜視図である。
【図10】モジュールカバー70Aの開裂状態を示す断面図である。
【符号の説明】
14,14A 運転席用エアバッグ装置のモジュールカバー
28 第1のテアライン
30,32 第2のテアライン
34,36 取付片
Claims (5)
- コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
該エアバッグに被さるカバー部と、
該カバー部の裏面から突設されており、
該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片と、
該カバー部の裏面に設けられた、該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインとを備えているモジュールカバーにおいて、
前記取付片の肉厚が前記カバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。 - 請求項1において、前記テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、
前記取付片の少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインを、この車体前後方向又は上下方向の取付片のモジュールカバー中央側の付け根部分に直に沿わせ、且つ第1のテアラインと第2のテアラインとの継続部を該付け根部分に直に沿う位置に配置したことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。 - コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
該コンテナに該モジュールカバーを取り付けるための取付片が背面から突設されており、且つ該エアバッグの展開時に該モジュールカバーを開裂させるためのテアラインが背面に延設されており、
該テアラインは、自動車の車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、該第1のテアラインに継続しており車体の前後方向又は上下方向に延在する第2のテアラインとを備えており、
前記取付片のうち少なくとも一部はモジュールカバーの車体前後方向又は上下方向に延在されており、前記第2のテアラインは、この車体前後方向又は上下方向の取付片から離隔しているモジュールカバーにおいて、
該車体前後方向又は上下方向の取付片と第2のテアラインとの間のカバー部の肉厚が、該第2のテアラインよりもモジュールカバー中央側のカバー部の肉厚よりも大きいことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。 - コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、
該第1のテアラインに継続しており、該モジュールカバーの車体幅方向両端側において該車体幅方向と交叉方向に延在している第2のテアラインと、
を備えているモジュールカバーにおいて、
該第2のテアラインよりも車体幅方向の外側の肉厚を、該第2のテアラインよりも車体幅方向の内側の肉厚よりも大きくしたことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。 - コンテナに固定取り付けされたエアバッグを被装するためのエアバッグ装置のモジュールカバーであって、
車体の幅方向に延在する第1のテアラインと、
該第1のテアラインに継続しており、該モジュールカバーの車体幅方向両端側において該車体幅方向と交叉方向に延在している第2のテアラインと、
を備えているモジュールカバーにおいて、
該第2のテアラインの車体幅方向の外側に沿ってリブを設けたことを特徴とするエアバッグ装置のモジュールカバー。
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-
2003
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