JP2004001140A - 中空構造体の製造方法、及びmems素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】中空構造体、例えばMEMS素子の製法において、犠牲層の除去に際しての表面張力による変形不良の防止、犠牲層の除去時間の短縮を図る。
【解決手段】基板31上に基板側電極32を形成する工程と、基板側電極32上に絶縁膜33を介してまたは介さないで、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層37〔36、34〕を形成する工程と、犠牲層37上に駆動側電極39を有するビーム40を形成する工程と、ビーム40の実質的な振動部43以外の領域に設けられた開口44を通じて、溶液45を用いて犠牲層37のうちの溶液で除去可能な材料の部分34を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて犠牲層37の残りの気体で除去可能な材料の部分36を除去し中空部48を形成する工程とを有する。
【選択図】 図5
【解決手段】基板31上に基板側電極32を形成する工程と、基板側電極32上に絶縁膜33を介してまたは介さないで、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層37〔36、34〕を形成する工程と、犠牲層37上に駆動側電極39を有するビーム40を形成する工程と、ビーム40の実質的な振動部43以外の領域に設けられた開口44を通じて、溶液45を用いて犠牲層37のうちの溶液で除去可能な材料の部分34を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて犠牲層37の残りの気体で除去可能な材料の部分36を除去し中空部48を形成する工程とを有する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は中空構造体の製造方法に関する。
本発明は、静電駆動型のMEMS素子の製造方法に関する。例えば、微小量の溶液や気体等の駆動、いわゆる微小流体駆動に用いるMEMS素子の製造に適した静電駆動型のMEMS素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細技術の進展に伴い、いわゆるマイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical System、超小型電気的・機械的複合体)素子、及びMEMS素子を組み込んだ小型機器が、注目されている。
MEMS素子は、シリコン基板、ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成され、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更に機械的に結合させた素子である。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間のクーロン引力等を応用して電気的に行われる。
【0003】
図13は、所謂両持ち梁方式の静電駆動型のMEMS素子の概念構成を示す。このMEMS素子1は、基板2と、基板2上に形成した基板側電極3と、基板側電極に対向して平行に配置された駆動側電極4を有するビーム6と、このビーム6の両端を支持する支持部7とを備えて成る。ビーム6と基板側電極3とは、その間の空隙8によって電気的に絶縁されている。
基板2は、例えば、図示するシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの半導体基板9上に絶縁膜10を形成した基板や、ガラス基板のような絶縁性基板などの所要基板が用いられる。基板側電極3は、不純物をドーピングした多結晶シリコン膜、金属膜(例えばタングステン(W)蒸着膜)などで形成される。基板側電極3を含む基板2上に全面に絶縁膜11が形成され、この絶縁膜11に対向してビーム6が配置される。ビーム6は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)等の絶縁膜5と、その上面に形成された膜厚100nm程度の例えばAl膜からなる駆動側電極4とから構成される。
【0004】
このMEMS素子1では、基板側電極3と駆動側電極4に印加する電位に応じて、ビーム6が基板側電極3との間の静電引力又は静電反発により変位し、例えば振動する。
MEMS素子1は、駆動側電極4を光反射膜として表面に光が照射されたとき、ビーム6の駆動位置に応じて、その光の反射方向が異なることを利用し一方向の反射光を検出してスイッチ機能を持たせた、光スイッチとして適用できる。また、MEMS素子1は、光強度を変調させる光変調素子として適用できる。光の反射を利用するときは、ビーム6を振動させて単位時間当たりの一方向の反射量で光強度を変調する。この光変調は、いわゆる時間変調である。光の回折を利用するときは、共通の基板側電極3に対して複数のビームを並列配置して光変調素子を構成し、共通の基板側電極3に対する例えば1つ置きのビームの近接、離間の動作により、光反射膜を兼ねる駆動側電極4の高さを変化させ、光の回折によって駆動側電極4で反射する光の強度を変調する。この光変調素子は、いわゆる空間変調である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、MEMSデバイスにおいて多用される中空構造、即ち基板側電極とビーム間に空隙(いわゆる中空部)が設けられる構造は、基板側電極とビーム間にその後に除去されて空隙となる、いわゆる犠牲層を設け、基板側電極、犠牲層、ビームを積層した後に、犠牲層を選択的に除去するようにして、形成することができる。この犠牲層の除去方法には、犠牲層と反応する薬液を用いる方法と、犠牲層に反応する反応性ガス(エッチングガス)を用いる方法がある。
【0006】
前者は製造コストが安価であるが、中空構造によっては薬液の乾燥時に形成される気液界面による表面張力でビームが変形する等の虞がある。
後者は、表面張力によるビームの変形の問題はないが、気体原料や装置のコスト高を招き、特に長時間の処理にはコスト的な問題が起こり得る。例えば光スイッチや高周波スイッチに適用されるMEMS素子では、犠牲層を除去するために、例えば図11に示すように、駆動側電極を含むビーム14の表面に多数の開口15を設け、特に反応ガス導入の開口面積を増加させて1つの開口15当たりの犠牲層の除去面積(破線図示)16を小さくして処理時間を短縮している。L1は開口15からのエッチング距離を示す。
【0007】
一方、微小量の液体や気体の駆動、いわゆる微小流体駆動を目的としたMEMS素子では、中空部(空隙)を挟んだ2枚の電極、即ち基板側電極と駆動側電極を有するダイアフラム構造の応用が期待される。しかし、ダイアフラム構造では駆動側電極の面積が大きく、且つ液体及び気体の密閉構造が必要なため、前述の図11で示した光スイッチ、高周波スイッチに適用できるMEMS素子のように、ビーム(ダイアフラム)に犠牲層除去のための多数の開口を設けることができない。このため、上記ダイアフラム構造の応用するMEMS素子では、図12に示すように、ダイアフラムとなるビーム17の実質的な駆動部分の一方の外側部に開口18を設け、この開口18を通して犠牲層の除去を行わざるを得ない。この場合、開口18の数が少なく反応ガス導入の開口面積が小さく、且つ長い距離にわたって犠牲層除去を進める必要があるため、1つの開口18当たりの犠牲層の除去面積(破線図示)19が大きく、従って反応性ガスを用いる処理にかかるコストが増大し、処理時間もかかる。L2は開口18からのエッチング距離を示す。
ここで、低コストの薬液を使用した処理を用いるとすると、前述の表面張力による素子変形が起きる。ダイアフラム構造は、多くの場合電極間の間隔が狭く、且つ電極面積が大きいため、表面張力によるダイアフラムとなるビームの変形不良が起きやすいという問題がある。
【0008】
その他の中空構造体の製造においても、微小間隔の中空部を形成するための犠牲層の除去に際して、同じように除去時間がかかり、また変形不良が起きやすい。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、犠牲層の除去に際して表面張力による変形不良を防ぎ、犠牲層の除去時間の短縮を可能にした、中空構造体の製造方法、及びMEMS素子の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る中空構造体の製造方法は、犠牲層として、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成し、犠牲層を囲む上部薄膜層に設けられた開口を通じて、溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて残りの気体で除去可能な材料部分を除去して中空部を形成する。
【0011】
本発明の中空構造体の製造方法においては、溶液で除去可能な材料部分と気体で除去可能な材料部分とからなる犠牲層を形成することにより、先ず溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去したとき、基板と上部薄膜層間に気体で除去可能な材料部分が残存しているため、その後の置換・乾燥時に表面張力による上部薄膜層の変形を防ぐことができる。次に、気体を用いて犠牲層の残りの部分、即ち気体で除去可能な材料部分を除去するので、表面張力が発生せず、上部薄膜層の変形不良は起きない。溶液と気体で選択的に犠牲層の除去を行うので、除去時間の短縮が図れる。
【0012】
本発明に係るMEMS素子の製造方法は、犠牲層として、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成し、ビームの実質的な振動部以外の領域に設けられた開口を通じて、溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて残りの気体で除去可能な材料部分を除去して中空部を形成する。
【0013】
本発明のMEMS素子の製造方法においては、溶液で除去可能な材料部分と気体で除去可能な材料部分とからなる犠牲層を形成することにより、先ず溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去したとき、基板側電極とビーム間に気体で除去可能な材料部分が残存しているため、その後の置換・乾燥時に表面張力によるビームの変形を防ぐことができる。次に、気体を用いて犠牲層の残りの部分、即ち気体で除去可能な材料部分を除去するので、表面張力が発生せず、ビームの変形不良は起きない。溶液と気体で選択的に犠牲層の除去を行うので、除去時間の短縮が図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明の基本となる中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す。
先ず、図1A,Bに示すように、所要の基板21上に犠牲層22を堆積し、この犠牲層22を囲うように上部薄膜層23を堆積する。犠牲層22は、同一層内において形成された、所定の間隔を置いて複数箇所に気体で除去可能な材料による第1材料部分22Aと、この第1材料部分22A以外の領域を埋めるように溶液で除去可能な材料による第2材料部分22Bとから構成される。第1材料部分22Aは、支柱状に形成される。第1材料部分22Aは、後述するように第2材料部分22Bを溶液で除去した後の乾燥時に、上部薄膜層23が基板21側に吸着されないように支えることができる範囲内で、支柱状の横断面積の大きさをできるだけ小さくし、且つ各第1材料部分22A間の間隔をできるだけ広くして形成するを可とする。上部薄膜層23の一方端側には、第2材料部分22Bに対応する位置に開口25を形成する。本例では、開口25が端部に沿って複数設けられる。
【0016】
犠牲層22は、溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料で形成される。例えば、溶液で除去可能な材料と気体で除去可能な材料の2種類の組み合わせ、、あるいは溶液で除去可能な2種類以上の材料と気体で除去可能な材料の組み合わせ、あるいは気体で除去可能な2種類以上の材料と溶液で除去可能な材料の組み合わせ、が可能である。即ち、犠牲層22は、気体で除去可能な第1材料部分22Aと溶液で除去可能な第2材料部分22Bとで構成される。本例では、2種類の材料、例えば多結晶シリコンによる第1材料部分22Aとシリコン酸化膜(SiO2)による第2材料部分22Bで犠牲層22を形成する。
ここで、基板21の表面と上部薄膜層23は、犠牲層22を除去する溶液及び気体ではエッチング除去されない材料で形成れる。
【0017】
次に、図2A,Bに示すように、先に、犠牲層22及び上部薄膜層23が形成された基板21を、シリコン酸化膜のエッチング液である例えばバッファード・フッ酸(BHF)溶液あるいは希フッ酸(DHF)溶液に浸漬し、この溶液28を開口25を通じて導入し、犠牲層22のうち第2材料部分22Bであるシリコン酸化膜を選択的にエッチング除去する。その後、水に置換して洗浄し乾燥する。あるいは水洗浄した後、例えばアルコールに置換し乾燥する。この置換・乾燥時、第1材料部分22Aの多結晶シリコンの支柱が残留しているので、乾燥時に発生する上部薄膜層の変形不良が防止される。また、アルコールに置換して後、乾燥するときは上部薄膜層23の基板側への変形(張りつき)がしにくくなる。上述の溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリアミドなどの有機膜、アルミ合金膜、銅合金、チタン合金、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、等を用いることができる。
【0018】
次いで、図3A,Bに示すように、多結晶シリコンをドライエッチングできる所要の気体、いわゆる反応ガスを用い、本例ではXeF2ガスを用い、このXeF2ガスを29を開口25を通じて導入し、残りの第1材料部分22Aである多結晶シリコンの支柱を選択的に除去する。このときの除去は気相で行われるため、表面張力が発生せず、前述したような溶液除去後の洗浄、乾燥に起因するような変形不良は起こらない。その後、図示せざるも開口25を塞ぐようにしてもよい。このようにして、基板21と上部薄膜層23間に微小間隔の中空部26を有する微細中空構造体27を得る。
【0019】
上述の溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリアミドなどの有機膜、アルミ合金膜、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、等を用いることができる。
【0020】
本実施の形態に係る中空構造体の製造方法によれば、犠牲層22を、支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分22Aとそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分22Bとから形成し、犠牲層22の除去に際しては、先にエッチング液28によりシリコン酸化膜による第2材料部分22Bを選択的に除去することにより、その後の洗浄・乾燥時には残りの支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分22Aが上部薄膜層23を支えているので、表面張力による上部薄膜層23の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層22は、複数の支柱状の第1材料部分22Aであるので、反応性ガスである例えばXeF2ガス29による残りの犠牲層の除去時には、十分な反応性ガス29の流路が確保され、第1材料部分22Aの除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は反応性ガスで行うので、溶液による場合のような表面張力による上部薄膜層23の変形は生じない。第2材料部分22Bが支柱状であるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空部を有する中空構造体を精度良く、且つ容易に製造することができる。
【0021】
図4〜図8は、上述の基本的となる中空構造体の製法をMEMS素子の製造に適用した、MEMS素子の製造方法の実施の形態を示す。本例は、特に微小量の溶液や気体等のいわゆる微小流体の駆動を目的としたMEMS素子の製造に適用した場合である。
なお、図4及び図5は図6AのAーA線上の断面を示し、図8は図7CのBーB断面を示す。
【0022】
先ず、図4Aに示すように、基板31上に基板側電極32を形成し、この基板側電極32上に絶縁膜、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)33を堆積する。基板側電極32上に絶縁膜を形成しない場合もあり得る。基板31は、例えばシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等の半導体基板上に絶縁膜を形成した基板や、ガラス基板のような絶縁性基板等の所要の基板を用いることができる。本例ではシリコン基板30上にシリコン酸化膜等による絶縁膜35を形成して基板31を形成している。基板側電極32は、不純物をドーピングした多結晶シリコン膜、金属膜(例えばタングステン(W)蒸着膜)等で形成され、本例では不純物ドープの多結晶シリコン膜で形成する。
【0023】
次いで、シリコン窒化膜33上に、犠牲層を形成する。犠牲層は、前述と同様に、同一層内に溶液で除去可能な材料部分と気体(即ち反応性ガス)で除去可能な材料部分とから形成する。例えば、溶液で除去可能な材料と気体で除去可能な材料の2種類の組み合わせ、あるいは溶液で除去可能な2種類以上の材料と気体で除去可能な材料の組み合わせ、あるいは気体で除去可能な2種類以上の材料と溶液で除去可能な材料の組み合わせ、が可能である。即ち、犠牲層は、気体で除去可能な第1材料部分と溶液で除去可能な第2材料部分とで構成される。
本例では、2種類の異なる材料、例えば反応性ガスで除去可能な多結晶シリコン膜による第1材料部分と溶液で除去可能なシリコン酸化膜による第2材料部分とにより犠牲層を形成する。
【0024】
即ち、図4Bに示すように、シリコン窒化膜33上に、犠牲層を形成すべき領域に例えばシリコン酸化膜34を形成する。次いで、図4C及び図6A(図4Cの平面図)に示すように、シリコン酸化膜34の複数箇所を、本例では均一に分布されるように等間隔を置いた複数箇所を選択的にエッチング除去して複数の孔部34Aを形成する。孔部34Aは、上述したように大きさを出来るだけ小さく、且つ隣り合う間隔を出来るだけ広く形成するを可とする。
次いで、図4Dに示すように、孔部34Aに埋め込むように例えば低圧CVD法により多結晶シリコン膜36を形成する。次いで、図4E及び図6B(図4Eの平面図)に示すように、エッチバックあるいはCMP(ケミカル・メカニカル・ポリシング)で多結晶シリコン膜36をシリコン酸化膜34と同一面内になるように平坦化する。なお、MEMS素子の構造によっては必ずしも同一の表面高さに加工しなくてもよい。このようにして、同一の犠牲層領域内に支柱状の複数の多結晶シリコン膜による第1材料部分36とそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分34とからなる犠牲層37を形成する。
【0025】
前述と同様に、溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、アルミ合金膜、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストなどの有機膜、等を用いることができる。
【0026】
次に、図5F及び図7C(図5Fの平面図)に示すように、犠牲層37上に絶縁膜、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)38を形成し、このシリコン窒化膜38上に例えばアルミニウム等の金属からなる駆動側電極39を形成し、シリコン窒化膜38と駆動側電極39によりビーム40を形成する。
このビーム40は図8A,Bに示すように、ビーム40を構成するシリコン窒化膜38の形成時に、同時に同じシリコン窒化膜38により両持ち梁方式のビーム40の支持部41が形成される。
【0027】
次に、図5G及び図7D(図5Gの平面図)に示すように、駆動側電極39を有する実質的な振動部43以外の外側領域のシリコン窒化膜38に下地の犠牲層40が臨む開口44を形成する。この開口44は、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術により、溶液で除去されるシリコン酸化膜の第2材料部分34の位置に形成する。
【0028】
次に、図5Hに示すように、先に、この構造体を例えばBHF溶液あるいはDHF溶液等のエッチング液45に浸漬し、開口44からエッチング液45を導入して犠牲層40のうちの第2材料部分であるシリコン酸化膜34を選択的にウェットエッチングして除去する。次いでエッチング除去部を水洗浄し乾燥する。あるいは水洗浄の後にアルコール洗浄し乾燥するようにしても良い。この乾燥時、支柱状の多結晶シリコン膜36が残存してビーム40を支えているので、ビーム40が表面張力で変形するのを防止している。
【0029】
次に、図5Iに示すように、この構造体を、犠牲層40を構成する支柱状の多結晶シリコン膜36を除去するための反応ガス46の雰囲気に入れ、開口44から反応ガスの例えばXeF2ガス46を導入して犠牲層40の残りの第1材料部分、即ち支柱状の多結晶シリコン膜36を選択的にドライエッチングして除去し、基板側電極32の表面を覆う絶縁膜33とビーム40間に間隙、即ち中空部48を形成する。ドライエッチングされる支柱状の多結晶シリコン膜36は、犠牲層を多結晶シリコン膜で形成した場合に比較して堆積が小さいので、XeF2ガスの使用量が少なく、且つ短時間でドライエッチング処理ができる。なお、基板側電極32上の絶縁膜33及びビーム40を構成する絶縁膜38は、エッチング液45及び反応性ガス46によって除去去れない材料で形成することは当然である。これによって、流体駆動用のMEMS素子50を得る。
【0030】
その後、図9に示すように、このMEMS素子50上に、液体や気体が収容され、ノズル52及び供給口53を有したチャンバー51を設け、微小流体駆動装置54を製造する。この微小流体駆動装置54は、MEMS素子50のビームの駆動により、溶液あるいは気体が供給口53よりチャンバー51内に供給され、またノズル52より微小量の液体あるいは気体などの流体が吐出するようになされる。55は、チャンバー51内に収容される流体との反応を防ぐために、駆動側電極39を被覆する絶縁膜を示す。
【0031】
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法によれば、犠牲層37を、複数配列された支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分36とそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分34とから形成し、犠牲層37の除去に際しては、先にエッチング液45によりシリコン酸化膜による第2材料部分34を選択的に除去することにより、その後の洗浄・乾燥時には残りの支柱状の多結晶シリコンのよる第1材料部分36がビーム40を支えているので、表面張力によるビーム40の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層37は、複数の支柱状の第1材料部分36であるので、反応性ガスである例えばXeF2ガス46による残りの犠牲層の除去時には、十分な反応性ガス46の流路が確保され、第1材料部分36の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は反応性ガスで行うので、溶液による場合のような表面張力によるビーム40の変形は生じない。第1材料部分36が支柱状であるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空部(いわゆる間隙)48を有するMEMS素子50を精度良く、且つ容易に製造することができる。例えば、微小量の液体や気体など、いわゆる微小流体の駆動を目的としたMEMS素子の製造に適用して好適ならしめる。
【0032】
図10は、本発明によるMEMS素子の製造方法の他の実施の形態を示す。
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法は、前述の図4Aの工程で基板31上に基板側電極32及び絶縁膜33を形成した後、図10Aに示すように、先に多結晶シリコン膜を形成し、ドライエッチングにより複数の支柱状の多結晶シリコン膜による第2材料部分36を形成する。
【0033】
次に、図10Bに示すように、SOG(スピン・オン・グラス)膜55を塗布する。次いで図10Cに示すように、SOG膜5をエッチバックして第1材料部分36以外の領域にSOG膜による第2材料部分55を形成し、この第1及び第2の材料部分36及び55により犠牲層40を形成する。
これ以降は、前述の図5F〜図5Iの工程と同様であるので、詳細説明を省略する。このようにして、目的の流体駆動用のMEMS素子を得る。
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法においても、前述したと同様の効果を奏する。
【0034】
本発明のMEMS素子の製法は、微小流体駆動用のMEMS素子の製造に限らず、その他の光スイッチ、高周波スイッチ、光変調素子等の光学MEMS素子の製造にも適用できる。
【0035】
高周波スイッチは、ミリ波、マイクロ波の伝送配線スイッチ等に応用される。この高周波スイッチでは、入力部と出力部間にスイッチ板としてのMEMS素子を配置し、このMEMS素子を上下動作させて入力部と出力部に電気的に接触、非接触させて、導通、非導通が得るように構成される。例えば、中央電極を挟んで上面に絶縁膜(誘電体膜)を有する高周波入力側配線と高周波出力側配線が接続され、中央電極の上方に接地されたビームを有するMEMS素子が配置され、静電気により配線の方向へビームが引っ張られるように構成される。ビームが下部の中央電極上の絶縁膜に接すると、信号がビームを通して接地配線に逃げてオフ状態になり、ビームが中空のままだとオン状態になるようにスイッチング動作する。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る中空構造体の製造方法によれば、犠牲層を、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からから形成し、犠牲層の除去に際しては、先に溶液を用いて溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去することにより、その後の置換・乾燥時には残りの材料部分、即ち気体で除去可能な材料の部分が上部薄膜層を支えているので、表面張力による上部薄膜層の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層は、複数箇所に局部的に設けられた気体で除去可能な材料部分であるので、気体による除去時には、十分な気体の流路が確保され、残りの犠牲層の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は気体で行うので、溶液による場合のような表面張力による上部薄膜層の変形は生じない。気体で除去可能な材料の部分は複数箇所に局部的に形成されるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空を有する中空構造体を精度良く、且つ容易に製造することができる。
【0037】
本発明に係るMEMS素子の製造方法によれば、犠牲層を、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からから形成し、犠牲層の除去に際しては、先に溶液を用いて溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去することにより、その後の置換・乾燥時には残りの材料部分、即ち気体で除去可能な材料の部分がビームを支えているので、表面張力によるビームの変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層は、複数箇所に局部的に設けられた気体で除去可能な材料部分であるので、気体による除去時には、十分な気体の流路が確保され、残りの犠牲層の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は気体で行うので、溶液による場合のような表面張力によるビームの変形は生じない。気体で除去可能な材料の部分は複数箇所に局部的に形成されるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の間隙を有するMEMS素子を精度良く、且つ容易に製造することができる。例えば、微小流体の駆動を目的とするMEMS素子の製造に適用して好適ならしめる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その1)。B 図1Aの断面図である。
【図2】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その2)。B 図2Aの断面図である。
【図3】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その3)。B 図3Aの断面図である。
【図4】A〜E 本発明に係るMEMS素子の製造方法の実施の形態を示す工程図(その1)である。
【図5】F〜I 本発明に係るMEMS素子の製造方法の実施の形態を示す工程図(その2)である。
【図6】A 図4Cの平面図である。B 図4Eの平面図である。
【図7】C 図5Fの平面図である。D 図5Gの平面図である。
【図8】A〜B 図7CのBーB線上に相当する断面図である。
【図9】微小流体駆動装置の要部の断面図である。
【図10】A〜C 本発明に係るMEMS素子の製造方法の他の実施の形態を示す工程図である。
【図11】従来の光スイッチや高周波スイッチに適用するMEMS素子のビームの例を示す平面図である。
【図12】従来の微小流体駆動に用いるMEMS素子のビームの例を示す平面図である。
【図13】従来の静電駆動型のMEMS素子の例を示す構成図である。
【符号の説明】
21・・・基板、22・・・犠牲層、22A・・・第1材料部分、22B・・・第2材料部分、23・・・上部薄膜層、25・・・開口、26・・・中空部、27・・・中空構造体、28・・・エッチング液、29・・・反応ガス、31・・・基板、32・・・基板側電極、33・・・絶縁膜、30・・・シリコン基板、35・・・絶縁膜、34・・・シリコン酸化膜(第2材料部分)、34A・・・孔部、36・・・多結晶シリコン(第1材料部分)、37・・・犠牲層、38・・・絶縁膜、39・・・駆動側電極、40・・・ビーム、43・・・振動部、44・・・開口、45・・・エッチング液、46・・・反応ガス、48・・・中空部、50・・・MEMS素子、51・・・チャンバー、52・・・ノズル、53・・・供給口、54・・・微小流体駆動装置
【発明の属する技術分野】
本発明は中空構造体の製造方法に関する。
本発明は、静電駆動型のMEMS素子の製造方法に関する。例えば、微小量の溶液や気体等の駆動、いわゆる微小流体駆動に用いるMEMS素子の製造に適した静電駆動型のMEMS素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細技術の進展に伴い、いわゆるマイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical System、超小型電気的・機械的複合体)素子、及びMEMS素子を組み込んだ小型機器が、注目されている。
MEMS素子は、シリコン基板、ガラス基板等の基板上に微細構造体として形成され、機械的駆動力を出力する駆動体と、駆動体を制御する半導体集積回路等とを電気的に、更に機械的に結合させた素子である。MEMS素子の基本的な特徴は、機械的構造として構成されている駆動体が素子の一部に組み込まれていることであって、駆動体の駆動は、電極間のクーロン引力等を応用して電気的に行われる。
【0003】
図13は、所謂両持ち梁方式の静電駆動型のMEMS素子の概念構成を示す。このMEMS素子1は、基板2と、基板2上に形成した基板側電極3と、基板側電極に対向して平行に配置された駆動側電極4を有するビーム6と、このビーム6の両端を支持する支持部7とを備えて成る。ビーム6と基板側電極3とは、その間の空隙8によって電気的に絶縁されている。
基板2は、例えば、図示するシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などの半導体基板9上に絶縁膜10を形成した基板や、ガラス基板のような絶縁性基板などの所要基板が用いられる。基板側電極3は、不純物をドーピングした多結晶シリコン膜、金属膜(例えばタングステン(W)蒸着膜)などで形成される。基板側電極3を含む基板2上に全面に絶縁膜11が形成され、この絶縁膜11に対向してビーム6が配置される。ビーム6は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)等の絶縁膜5と、その上面に形成された膜厚100nm程度の例えばAl膜からなる駆動側電極4とから構成される。
【0004】
このMEMS素子1では、基板側電極3と駆動側電極4に印加する電位に応じて、ビーム6が基板側電極3との間の静電引力又は静電反発により変位し、例えば振動する。
MEMS素子1は、駆動側電極4を光反射膜として表面に光が照射されたとき、ビーム6の駆動位置に応じて、その光の反射方向が異なることを利用し一方向の反射光を検出してスイッチ機能を持たせた、光スイッチとして適用できる。また、MEMS素子1は、光強度を変調させる光変調素子として適用できる。光の反射を利用するときは、ビーム6を振動させて単位時間当たりの一方向の反射量で光強度を変調する。この光変調は、いわゆる時間変調である。光の回折を利用するときは、共通の基板側電極3に対して複数のビームを並列配置して光変調素子を構成し、共通の基板側電極3に対する例えば1つ置きのビームの近接、離間の動作により、光反射膜を兼ねる駆動側電極4の高さを変化させ、光の回折によって駆動側電極4で反射する光の強度を変調する。この光変調素子は、いわゆる空間変調である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、MEMSデバイスにおいて多用される中空構造、即ち基板側電極とビーム間に空隙(いわゆる中空部)が設けられる構造は、基板側電極とビーム間にその後に除去されて空隙となる、いわゆる犠牲層を設け、基板側電極、犠牲層、ビームを積層した後に、犠牲層を選択的に除去するようにして、形成することができる。この犠牲層の除去方法には、犠牲層と反応する薬液を用いる方法と、犠牲層に反応する反応性ガス(エッチングガス)を用いる方法がある。
【0006】
前者は製造コストが安価であるが、中空構造によっては薬液の乾燥時に形成される気液界面による表面張力でビームが変形する等の虞がある。
後者は、表面張力によるビームの変形の問題はないが、気体原料や装置のコスト高を招き、特に長時間の処理にはコスト的な問題が起こり得る。例えば光スイッチや高周波スイッチに適用されるMEMS素子では、犠牲層を除去するために、例えば図11に示すように、駆動側電極を含むビーム14の表面に多数の開口15を設け、特に反応ガス導入の開口面積を増加させて1つの開口15当たりの犠牲層の除去面積(破線図示)16を小さくして処理時間を短縮している。L1は開口15からのエッチング距離を示す。
【0007】
一方、微小量の液体や気体の駆動、いわゆる微小流体駆動を目的としたMEMS素子では、中空部(空隙)を挟んだ2枚の電極、即ち基板側電極と駆動側電極を有するダイアフラム構造の応用が期待される。しかし、ダイアフラム構造では駆動側電極の面積が大きく、且つ液体及び気体の密閉構造が必要なため、前述の図11で示した光スイッチ、高周波スイッチに適用できるMEMS素子のように、ビーム(ダイアフラム)に犠牲層除去のための多数の開口を設けることができない。このため、上記ダイアフラム構造の応用するMEMS素子では、図12に示すように、ダイアフラムとなるビーム17の実質的な駆動部分の一方の外側部に開口18を設け、この開口18を通して犠牲層の除去を行わざるを得ない。この場合、開口18の数が少なく反応ガス導入の開口面積が小さく、且つ長い距離にわたって犠牲層除去を進める必要があるため、1つの開口18当たりの犠牲層の除去面積(破線図示)19が大きく、従って反応性ガスを用いる処理にかかるコストが増大し、処理時間もかかる。L2は開口18からのエッチング距離を示す。
ここで、低コストの薬液を使用した処理を用いるとすると、前述の表面張力による素子変形が起きる。ダイアフラム構造は、多くの場合電極間の間隔が狭く、且つ電極面積が大きいため、表面張力によるダイアフラムとなるビームの変形不良が起きやすいという問題がある。
【0008】
その他の中空構造体の製造においても、微小間隔の中空部を形成するための犠牲層の除去に際して、同じように除去時間がかかり、また変形不良が起きやすい。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、犠牲層の除去に際して表面張力による変形不良を防ぎ、犠牲層の除去時間の短縮を可能にした、中空構造体の製造方法、及びMEMS素子の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る中空構造体の製造方法は、犠牲層として、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成し、犠牲層を囲む上部薄膜層に設けられた開口を通じて、溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて残りの気体で除去可能な材料部分を除去して中空部を形成する。
【0011】
本発明の中空構造体の製造方法においては、溶液で除去可能な材料部分と気体で除去可能な材料部分とからなる犠牲層を形成することにより、先ず溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去したとき、基板と上部薄膜層間に気体で除去可能な材料部分が残存しているため、その後の置換・乾燥時に表面張力による上部薄膜層の変形を防ぐことができる。次に、気体を用いて犠牲層の残りの部分、即ち気体で除去可能な材料部分を除去するので、表面張力が発生せず、上部薄膜層の変形不良は起きない。溶液と気体で選択的に犠牲層の除去を行うので、除去時間の短縮が図れる。
【0012】
本発明に係るMEMS素子の製造方法は、犠牲層として、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成し、ビームの実質的な振動部以外の領域に設けられた開口を通じて、溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて残りの気体で除去可能な材料部分を除去して中空部を形成する。
【0013】
本発明のMEMS素子の製造方法においては、溶液で除去可能な材料部分と気体で除去可能な材料部分とからなる犠牲層を形成することにより、先ず溶液を用いて犠牲層のうちの溶液で除去可能な材料部分を選択的に除去したとき、基板側電極とビーム間に気体で除去可能な材料部分が残存しているため、その後の置換・乾燥時に表面張力によるビームの変形を防ぐことができる。次に、気体を用いて犠牲層の残りの部分、即ち気体で除去可能な材料部分を除去するので、表面張力が発生せず、ビームの変形不良は起きない。溶液と気体で選択的に犠牲層の除去を行うので、除去時間の短縮が図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明の基本となる中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す。
先ず、図1A,Bに示すように、所要の基板21上に犠牲層22を堆積し、この犠牲層22を囲うように上部薄膜層23を堆積する。犠牲層22は、同一層内において形成された、所定の間隔を置いて複数箇所に気体で除去可能な材料による第1材料部分22Aと、この第1材料部分22A以外の領域を埋めるように溶液で除去可能な材料による第2材料部分22Bとから構成される。第1材料部分22Aは、支柱状に形成される。第1材料部分22Aは、後述するように第2材料部分22Bを溶液で除去した後の乾燥時に、上部薄膜層23が基板21側に吸着されないように支えることができる範囲内で、支柱状の横断面積の大きさをできるだけ小さくし、且つ各第1材料部分22A間の間隔をできるだけ広くして形成するを可とする。上部薄膜層23の一方端側には、第2材料部分22Bに対応する位置に開口25を形成する。本例では、開口25が端部に沿って複数設けられる。
【0016】
犠牲層22は、溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料で形成される。例えば、溶液で除去可能な材料と気体で除去可能な材料の2種類の組み合わせ、、あるいは溶液で除去可能な2種類以上の材料と気体で除去可能な材料の組み合わせ、あるいは気体で除去可能な2種類以上の材料と溶液で除去可能な材料の組み合わせ、が可能である。即ち、犠牲層22は、気体で除去可能な第1材料部分22Aと溶液で除去可能な第2材料部分22Bとで構成される。本例では、2種類の材料、例えば多結晶シリコンによる第1材料部分22Aとシリコン酸化膜(SiO2)による第2材料部分22Bで犠牲層22を形成する。
ここで、基板21の表面と上部薄膜層23は、犠牲層22を除去する溶液及び気体ではエッチング除去されない材料で形成れる。
【0017】
次に、図2A,Bに示すように、先に、犠牲層22及び上部薄膜層23が形成された基板21を、シリコン酸化膜のエッチング液である例えばバッファード・フッ酸(BHF)溶液あるいは希フッ酸(DHF)溶液に浸漬し、この溶液28を開口25を通じて導入し、犠牲層22のうち第2材料部分22Bであるシリコン酸化膜を選択的にエッチング除去する。その後、水に置換して洗浄し乾燥する。あるいは水洗浄した後、例えばアルコールに置換し乾燥する。この置換・乾燥時、第1材料部分22Aの多結晶シリコンの支柱が残留しているので、乾燥時に発生する上部薄膜層の変形不良が防止される。また、アルコールに置換して後、乾燥するときは上部薄膜層23の基板側への変形(張りつき)がしにくくなる。上述の溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリアミドなどの有機膜、アルミ合金膜、銅合金、チタン合金、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、等を用いることができる。
【0018】
次いで、図3A,Bに示すように、多結晶シリコンをドライエッチングできる所要の気体、いわゆる反応ガスを用い、本例ではXeF2ガスを用い、このXeF2ガスを29を開口25を通じて導入し、残りの第1材料部分22Aである多結晶シリコンの支柱を選択的に除去する。このときの除去は気相で行われるため、表面張力が発生せず、前述したような溶液除去後の洗浄、乾燥に起因するような変形不良は起こらない。その後、図示せざるも開口25を塞ぐようにしてもよい。このようにして、基板21と上部薄膜層23間に微小間隔の中空部26を有する微細中空構造体27を得る。
【0019】
上述の溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリアミドなどの有機膜、アルミ合金膜、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、等を用いることができる。
【0020】
本実施の形態に係る中空構造体の製造方法によれば、犠牲層22を、支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分22Aとそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分22Bとから形成し、犠牲層22の除去に際しては、先にエッチング液28によりシリコン酸化膜による第2材料部分22Bを選択的に除去することにより、その後の洗浄・乾燥時には残りの支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分22Aが上部薄膜層23を支えているので、表面張力による上部薄膜層23の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層22は、複数の支柱状の第1材料部分22Aであるので、反応性ガスである例えばXeF2ガス29による残りの犠牲層の除去時には、十分な反応性ガス29の流路が確保され、第1材料部分22Aの除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は反応性ガスで行うので、溶液による場合のような表面張力による上部薄膜層23の変形は生じない。第2材料部分22Bが支柱状であるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空部を有する中空構造体を精度良く、且つ容易に製造することができる。
【0021】
図4〜図8は、上述の基本的となる中空構造体の製法をMEMS素子の製造に適用した、MEMS素子の製造方法の実施の形態を示す。本例は、特に微小量の溶液や気体等のいわゆる微小流体の駆動を目的としたMEMS素子の製造に適用した場合である。
なお、図4及び図5は図6AのAーA線上の断面を示し、図8は図7CのBーB断面を示す。
【0022】
先ず、図4Aに示すように、基板31上に基板側電極32を形成し、この基板側電極32上に絶縁膜、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)33を堆積する。基板側電極32上に絶縁膜を形成しない場合もあり得る。基板31は、例えばシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等の半導体基板上に絶縁膜を形成した基板や、ガラス基板のような絶縁性基板等の所要の基板を用いることができる。本例ではシリコン基板30上にシリコン酸化膜等による絶縁膜35を形成して基板31を形成している。基板側電極32は、不純物をドーピングした多結晶シリコン膜、金属膜(例えばタングステン(W)蒸着膜)等で形成され、本例では不純物ドープの多結晶シリコン膜で形成する。
【0023】
次いで、シリコン窒化膜33上に、犠牲層を形成する。犠牲層は、前述と同様に、同一層内に溶液で除去可能な材料部分と気体(即ち反応性ガス)で除去可能な材料部分とから形成する。例えば、溶液で除去可能な材料と気体で除去可能な材料の2種類の組み合わせ、あるいは溶液で除去可能な2種類以上の材料と気体で除去可能な材料の組み合わせ、あるいは気体で除去可能な2種類以上の材料と溶液で除去可能な材料の組み合わせ、が可能である。即ち、犠牲層は、気体で除去可能な第1材料部分と溶液で除去可能な第2材料部分とで構成される。
本例では、2種類の異なる材料、例えば反応性ガスで除去可能な多結晶シリコン膜による第1材料部分と溶液で除去可能なシリコン酸化膜による第2材料部分とにより犠牲層を形成する。
【0024】
即ち、図4Bに示すように、シリコン窒化膜33上に、犠牲層を形成すべき領域に例えばシリコン酸化膜34を形成する。次いで、図4C及び図6A(図4Cの平面図)に示すように、シリコン酸化膜34の複数箇所を、本例では均一に分布されるように等間隔を置いた複数箇所を選択的にエッチング除去して複数の孔部34Aを形成する。孔部34Aは、上述したように大きさを出来るだけ小さく、且つ隣り合う間隔を出来るだけ広く形成するを可とする。
次いで、図4Dに示すように、孔部34Aに埋め込むように例えば低圧CVD法により多結晶シリコン膜36を形成する。次いで、図4E及び図6B(図4Eの平面図)に示すように、エッチバックあるいはCMP(ケミカル・メカニカル・ポリシング)で多結晶シリコン膜36をシリコン酸化膜34と同一面内になるように平坦化する。なお、MEMS素子の構造によっては必ずしも同一の表面高さに加工しなくてもよい。このようにして、同一の犠牲層領域内に支柱状の複数の多結晶シリコン膜による第1材料部分36とそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分34とからなる犠牲層37を形成する。
【0025】
前述と同様に、溶液で除去可能な材料としては、シリコン酸化膜、フォトレジストやポリイミドなどの有機膜、アルミ合金膜、ニッケル合金膜などの金属膜、等を用いることができる。反応ガスで除去可能な材料としては、シリコン膜、フォトレジストなどの有機膜、等を用いることができる。
【0026】
次に、図5F及び図7C(図5Fの平面図)に示すように、犠牲層37上に絶縁膜、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)38を形成し、このシリコン窒化膜38上に例えばアルミニウム等の金属からなる駆動側電極39を形成し、シリコン窒化膜38と駆動側電極39によりビーム40を形成する。
このビーム40は図8A,Bに示すように、ビーム40を構成するシリコン窒化膜38の形成時に、同時に同じシリコン窒化膜38により両持ち梁方式のビーム40の支持部41が形成される。
【0027】
次に、図5G及び図7D(図5Gの平面図)に示すように、駆動側電極39を有する実質的な振動部43以外の外側領域のシリコン窒化膜38に下地の犠牲層40が臨む開口44を形成する。この開口44は、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術により、溶液で除去されるシリコン酸化膜の第2材料部分34の位置に形成する。
【0028】
次に、図5Hに示すように、先に、この構造体を例えばBHF溶液あるいはDHF溶液等のエッチング液45に浸漬し、開口44からエッチング液45を導入して犠牲層40のうちの第2材料部分であるシリコン酸化膜34を選択的にウェットエッチングして除去する。次いでエッチング除去部を水洗浄し乾燥する。あるいは水洗浄の後にアルコール洗浄し乾燥するようにしても良い。この乾燥時、支柱状の多結晶シリコン膜36が残存してビーム40を支えているので、ビーム40が表面張力で変形するのを防止している。
【0029】
次に、図5Iに示すように、この構造体を、犠牲層40を構成する支柱状の多結晶シリコン膜36を除去するための反応ガス46の雰囲気に入れ、開口44から反応ガスの例えばXeF2ガス46を導入して犠牲層40の残りの第1材料部分、即ち支柱状の多結晶シリコン膜36を選択的にドライエッチングして除去し、基板側電極32の表面を覆う絶縁膜33とビーム40間に間隙、即ち中空部48を形成する。ドライエッチングされる支柱状の多結晶シリコン膜36は、犠牲層を多結晶シリコン膜で形成した場合に比較して堆積が小さいので、XeF2ガスの使用量が少なく、且つ短時間でドライエッチング処理ができる。なお、基板側電極32上の絶縁膜33及びビーム40を構成する絶縁膜38は、エッチング液45及び反応性ガス46によって除去去れない材料で形成することは当然である。これによって、流体駆動用のMEMS素子50を得る。
【0030】
その後、図9に示すように、このMEMS素子50上に、液体や気体が収容され、ノズル52及び供給口53を有したチャンバー51を設け、微小流体駆動装置54を製造する。この微小流体駆動装置54は、MEMS素子50のビームの駆動により、溶液あるいは気体が供給口53よりチャンバー51内に供給され、またノズル52より微小量の液体あるいは気体などの流体が吐出するようになされる。55は、チャンバー51内に収容される流体との反応を防ぐために、駆動側電極39を被覆する絶縁膜を示す。
【0031】
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法によれば、犠牲層37を、複数配列された支柱状の多結晶シリコンによる第1材料部分36とそれ以外の領域のシリコン酸化膜による第2材料部分34とから形成し、犠牲層37の除去に際しては、先にエッチング液45によりシリコン酸化膜による第2材料部分34を選択的に除去することにより、その後の洗浄・乾燥時には残りの支柱状の多結晶シリコンのよる第1材料部分36がビーム40を支えているので、表面張力によるビーム40の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層37は、複数の支柱状の第1材料部分36であるので、反応性ガスである例えばXeF2ガス46による残りの犠牲層の除去時には、十分な反応性ガス46の流路が確保され、第1材料部分36の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は反応性ガスで行うので、溶液による場合のような表面張力によるビーム40の変形は生じない。第1材料部分36が支柱状であるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空部(いわゆる間隙)48を有するMEMS素子50を精度良く、且つ容易に製造することができる。例えば、微小量の液体や気体など、いわゆる微小流体の駆動を目的としたMEMS素子の製造に適用して好適ならしめる。
【0032】
図10は、本発明によるMEMS素子の製造方法の他の実施の形態を示す。
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法は、前述の図4Aの工程で基板31上に基板側電極32及び絶縁膜33を形成した後、図10Aに示すように、先に多結晶シリコン膜を形成し、ドライエッチングにより複数の支柱状の多結晶シリコン膜による第2材料部分36を形成する。
【0033】
次に、図10Bに示すように、SOG(スピン・オン・グラス)膜55を塗布する。次いで図10Cに示すように、SOG膜5をエッチバックして第1材料部分36以外の領域にSOG膜による第2材料部分55を形成し、この第1及び第2の材料部分36及び55により犠牲層40を形成する。
これ以降は、前述の図5F〜図5Iの工程と同様であるので、詳細説明を省略する。このようにして、目的の流体駆動用のMEMS素子を得る。
本実施の形態に係るMEMS素子の製造方法においても、前述したと同様の効果を奏する。
【0034】
本発明のMEMS素子の製法は、微小流体駆動用のMEMS素子の製造に限らず、その他の光スイッチ、高周波スイッチ、光変調素子等の光学MEMS素子の製造にも適用できる。
【0035】
高周波スイッチは、ミリ波、マイクロ波の伝送配線スイッチ等に応用される。この高周波スイッチでは、入力部と出力部間にスイッチ板としてのMEMS素子を配置し、このMEMS素子を上下動作させて入力部と出力部に電気的に接触、非接触させて、導通、非導通が得るように構成される。例えば、中央電極を挟んで上面に絶縁膜(誘電体膜)を有する高周波入力側配線と高周波出力側配線が接続され、中央電極の上方に接地されたビームを有するMEMS素子が配置され、静電気により配線の方向へビームが引っ張られるように構成される。ビームが下部の中央電極上の絶縁膜に接すると、信号がビームを通して接地配線に逃げてオフ状態になり、ビームが中空のままだとオン状態になるようにスイッチング動作する。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る中空構造体の製造方法によれば、犠牲層を、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からから形成し、犠牲層の除去に際しては、先に溶液を用いて溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去することにより、その後の置換・乾燥時には残りの材料部分、即ち気体で除去可能な材料の部分が上部薄膜層を支えているので、表面張力による上部薄膜層の変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層は、複数箇所に局部的に設けられた気体で除去可能な材料部分であるので、気体による除去時には、十分な気体の流路が確保され、残りの犠牲層の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は気体で行うので、溶液による場合のような表面張力による上部薄膜層の変形は生じない。気体で除去可能な材料の部分は複数箇所に局部的に形成されるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の中空を有する中空構造体を精度良く、且つ容易に製造することができる。
【0037】
本発明に係るMEMS素子の製造方法によれば、犠牲層を、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からから形成し、犠牲層の除去に際しては、先に溶液を用いて溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去することにより、その後の置換・乾燥時には残りの材料部分、即ち気体で除去可能な材料の部分がビームを支えているので、表面張力によるビームの変形不良を防ぐことができる。また、残りの犠牲層は、複数箇所に局部的に設けられた気体で除去可能な材料部分であるので、気体による除去時には、十分な気体の流路が確保され、残りの犠牲層の除去を容易にする。この残りの犠牲層の除去は気体で行うので、溶液による場合のような表面張力によるビームの変形は生じない。気体で除去可能な材料の部分は複数箇所に局部的に形成されるので、除去体積が小さく除去の処理時間を短縮することができ、除去の処理コストを低減することができる。
従って、微小間隔の間隙を有するMEMS素子を精度良く、且つ容易に製造することができる。例えば、微小流体の駆動を目的とするMEMS素子の製造に適用して好適ならしめる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その1)。B 図1Aの断面図である。
【図2】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その2)。B 図2Aの断面図である。
【図3】A 本発明に係る中空構造体の製造方法の一実施の形態を示す工程図(平面図)である(その3)。B 図3Aの断面図である。
【図4】A〜E 本発明に係るMEMS素子の製造方法の実施の形態を示す工程図(その1)である。
【図5】F〜I 本発明に係るMEMS素子の製造方法の実施の形態を示す工程図(その2)である。
【図6】A 図4Cの平面図である。B 図4Eの平面図である。
【図7】C 図5Fの平面図である。D 図5Gの平面図である。
【図8】A〜B 図7CのBーB線上に相当する断面図である。
【図9】微小流体駆動装置の要部の断面図である。
【図10】A〜C 本発明に係るMEMS素子の製造方法の他の実施の形態を示す工程図である。
【図11】従来の光スイッチや高周波スイッチに適用するMEMS素子のビームの例を示す平面図である。
【図12】従来の微小流体駆動に用いるMEMS素子のビームの例を示す平面図である。
【図13】従来の静電駆動型のMEMS素子の例を示す構成図である。
【符号の説明】
21・・・基板、22・・・犠牲層、22A・・・第1材料部分、22B・・・第2材料部分、23・・・上部薄膜層、25・・・開口、26・・・中空部、27・・・中空構造体、28・・・エッチング液、29・・・反応ガス、31・・・基板、32・・・基板側電極、33・・・絶縁膜、30・・・シリコン基板、35・・・絶縁膜、34・・・シリコン酸化膜(第2材料部分)、34A・・・孔部、36・・・多結晶シリコン(第1材料部分)、37・・・犠牲層、38・・・絶縁膜、39・・・駆動側電極、40・・・ビーム、43・・・振動部、44・・・開口、45・・・エッチング液、46・・・反応ガス、48・・・中空部、50・・・MEMS素子、51・・・チャンバー、52・・・ノズル、53・・・供給口、54・・・微小流体駆動装置
Claims (10)
- 基板上に、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成し、該犠牲層を囲うように上部薄膜層を形成する工程と、
前記上部薄膜層に設けた開口を通じて、溶液を用いて前記犠牲層のうちの前記溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて前記犠牲層の残りの前記気体で除去可能な材料の部分を除去して中空部を形成する工程とを有する
ことを特徴とする中空構造体の製造方法。 - 前記溶液で除去可能な材料に、シリコン酸化膜、有機膜、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、またはニッケル合金を用いる
ことを特徴とする請求項1記載の中空構造体の製造方法。 - 前記気体で除去可能な材料に、シリコン、有機膜を用いる
ことを特徴とする請求項1記載の中空構造体の製造方法。 - 前記気体で除去可能な材料の部分を複数箇所に選択的に形成し、それ以外の領域を前記溶液で除去可能な材料の部分で形成して前記犠牲層を形成する
ことを特徴とする請求項1記載の中空構造体の製造方法。 - 前記開口を、前記溶液で除去可能な材料の部分に形成する
ことを特徴とする請求項1記載の中空構造体の製造方法。 - 基板上に基板側電極を形成する工程と、
前記基板側電極上に絶縁膜を介してまたは介さないで、同一層内に溶液と気体で夫々選択的に除去可能な2種類以上の材料からなる犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層上に駆動側電極を有するビームを形成する工程と、
前記ビームの実質的な振動部以外の領域に設けられた開口を通じて、溶液を用いて前記犠牲層のうちの前記溶液で除去可能な材料の部分を選択的に除去し、置換・乾燥後に気体を用いて前記犠牲層の残りの前記気体で除去可能な材料の部分を除去し中空部を形成する工程とを有する
ことを特徴とするMEMS素子の製造方法。 - 前記溶液で除去可能な材料に、シリコン酸化膜、有機膜、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、またはニッケル合金を用いる
ことを特徴とする請求項6記載のMEMS素子の製造方法。 - 前記気体で除去可能な材料に、シリコン、有機膜を用いる
ことを特徴とする請求項6記載のMEMS素子の製造方法。 - 前記気体で除去可能な材料の部分を複数箇所に選択的に形成し、それ以外の領域を前記溶液で除去可能な材料の部分で形成して前記犠牲層を形成する
ことを特徴とする請求項6記載のMEMS素子の製造方法。 - 前記開口を、前記溶液で除去可能な材料の部分に形成する
ことを特徴とする請求項6記載のMEMS素子の製造方法。
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002160425A patent/JP2004001140A/ja active Pending
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