以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1及び図2を参照して本実施形態に係るパチンコ島台1の概略構成について説明する。図1は、複数のパチンコ島台1の関係を示す斜視図であり、図2は、1つのパチンコ島台1の内部構造を示す縦断面図である。
図2において、パチンコ島台1は、周知のように、直方体状に枠組み構成され、その長手方向側面中央にパチンコ機2を背向並設するようになっている。また、パチンコ島台1には、その中央部の玉揚送装置収納部4の一側にパチンコ機2で獲得したパチンコ玉を返却するための玉返却装置3もパチンコ機2と並列状に設けられるが、この玉返却装置3は、後述する非優先側の貯留タンク12が内蔵されるパチンコ機2の列側に設けられることが望ましい。これは、通常の営業状態でほとんど満杯状態となることのない非優先側の貯留タンク12への玉返却装置3からの賞球の返却を確実に行うことができるからである。なお、玉返却装置3には、返却口が形成され、その返却口から返却されたパチンコ玉(賞球)は、後述する上部樋21上に導かれるようになっている。更に、玉返却装置3の返却口は、図示しないが電気的駆動源(例えば、モータやソレノイド)によって開閉駆動されるようになっている。
また、パチンコ島台1のほぼ中央には、玉揚送装置収納部4が構成され、該玉揚送装置収納部4内に玉揚送装置5が収納設置されている。本実施形態に係る玉揚送装置5は、詳細には図示しないが帯状の搬送ベルトによってパチンコ玉を揚送するものであり、その帯状の搬送ベルトがパチンコ島台1に対して縦方向に設置されてパチンコ玉を上部に揚送するものである。玉揚送装置5の上部には、揚送されたパチンコ玉を一時的に貯留する上部タンク6が設けられている。その上部タンク6からは、左右に図示しない補給樋が傾斜状に設けられており、上部タンク6からパチンコ玉を流下させるようになっている。この補給樋には、各パチンコ機2に対応して分配シュート(図示しない)が設けられ、補給樋を流下するパチンコ玉を取り込むようになっている。分配シュートによって取り込まれたパチンコ玉は、分配シュートの下部に設けられる計数装置(図示しない)によって計数された後、パチンコ機2の背面上部に設けられる賞球タンク(図示しない)に供給され、遊技によって遊技者に払い出される賞球として使用される。なお、図2中には、台間玉貸機を設けないパチンコ島台1を図示しているが、各パチンコ機2に挟まれるようにして台間玉貸機を設けた構成とした場合には、この台間玉貸機にも対応するように分配シュートが設けられるものである。この場合、台間玉貸機に対応して独立した分配シュートを設けても良いが、1つの分配シュートでパチンコ機2と台間玉貸機とに分流する分配シュートであっても良い。
上記した上部タンク6には、図1及び図2に示すように、複数のパチンコ島台1間に差し渡される玉交流装置を構成する交流タンク7が連通するように設けられている。玉交流装置は、この交流タンク7と、交流タンク7から隣接するパチンコ島台1の交流タンク7に向けて緩やかに傾斜接続される交流上部樋70と、隣接するパチンコ島台1の交流タンク7からの交流玉を交流タンク7の下部に受け入れるアーチ状の交流下部アーチ樋71とから構成されている。なお、上記した上部タンク6及び交流タンク7は、カバー体8によって被覆されているが、このカバー体8は、着脱自在に装着されることが望ましい。また、上部タンク6及び交流タンク7を含む玉交流装置については、後に詳述する。
一方、パチンコ島台1の下部であって玉揚送装置5の両サイドには、貯留タンク11,12が設けられている。この貯留タンク11,12には、多量のパチンコ玉を貯留する程大きく形成される。具体的には、貯留タンク11,12の貯留部に貯留されるパチンコ玉数は、当該パチンコ島台1に設置される複数のパチンコ機2の各種の遊技状態に十分対処し得る程度(例えば、各15〜20万個ずつ)の大きさに設計される。
しかして、各パチンコ機2から排出される使用済玉は、計数機能を有するアウト玉箱9の玉排出ノズル(図示しない)から下方に排出される。この玉排出ノズルは、前記貯留タンク11,12に臨む位置のパチンコ機2においては、貯留タンク11,12の中央に下流端部(島台中央側)から上流端部に向かって下り傾斜状に設けられるアウト玉誘導内部樋13に臨んで配され、貯留タンク11,12から外れた位置のパチンコ機2においては、島端から貯留タンク11,12に向かって下り傾斜するアウト玉誘導樋10に臨んで配されるようになっている。そして、アウト玉誘導樋10は、貯留タンク11,12の上流端側壁外側に取り付けられる合流ボックス14に接続され、また、アウト玉誘導内部樋13も合流ボックス14に接続されており、この合流ボックス14が貯留タンク11,12の一側側壁下部に沿って前記玉揚送装置5の導入樋18に向けて傾斜状に配置されるアウト玉誘導合流樋15に接続されている。したがって、各パチンコ機2から排出される使用済玉は、アウト玉誘導内部樋13又はアウト玉誘導樋10、合流ボックス14、及びアウト玉誘導合流樋15を介して玉揚送装置5の入口部分に優先的に導かれる。ただし、左右の貯留タンク11,12は、後述するように玉揚送装置5の配置状態の関係で若干その構造が異なるが、これについては、後に詳述する。
また、上記した貯留タンク11,12には、前記上部タンク6からオーバーフローしたパチンコ玉及び交流タンク7から流入する交流玉を下部に還流するオーバーフローボックス22がそれぞれ接続されている。オーバーフローボックス22は、玉揚送装置5の隣接空間を利用する形で設けられた直方体状のボックスであり、その内部が分岐仕切23によって縦方向に仕切られている。この分岐仕切23は、オーバーフローボックス22の一側に寄せて設けられ、その幅広領域に連通する一側の通路内に複数の流下板を段差状に交互に設けてボックス優先通路22aを構成し、その幅狭領域に連通する他側の通路内にも複数の流下板を段差状に交互に設けてボックス非優先通路22bを構成している。
しかして、上部タンク6からオーバーフローしたパチンコ玉及び交流タンク7から流入する交流玉は、ボックス優先通路22aに優先的に導かれ、そのボックス優先通路22aが満杯となったときにボックス非優先通路22bに溢れ出るようになっている。そして、ボックス優先通路22a及びボックス非優先通路22bは、左側の貯留タンク11(以下、優先貯留タンク11という場合がある)及び右側の貯留タンク12(以下、非優先貯留タンク12という場合がある)に連通するようになっている。このように、本実施形態においては、オーバーフロー機構を従来のフレキシブルパイプに代えてボックス状に構成したので、還流されるパチンコ玉による騒音の発生を極めて小さくすることができると共に、還流機能だけでなく相当量のパチンコ玉(本実施形態においては、約2〜3万個)を貯留する貯留機能もあるので、従来使用されていなかった空間を利用してパチンコ島台1内部における貯留空間として有効に利用し得る。なお、図2においては、オーバーフローボックス22が玉揚送装置5よりも手前側に描かれているが、これは、オーバーフローボックス22の構造を詳細に示すためであって実際にはオーバーフローボックス22は、玉揚送装置5よりも奥側に形成されている。
また、貯留タンク11,12の内側側壁には、それぞれ貯留玉量を検出するための複数の貯留レベル検出センサS1〜S5(図10参照)が設けられている。本出願人らの実験によれば、貯留タンク11,12内のパチンコ玉の貯留変化は、各貯留タンク11,12の上流側から滞留するものであることが分かった。このため、貯留レベル検出センサS1〜S5は、ほぼ水平方向の直線状に配置し、優先貯留タンク11の上流側に配された貯留レベル検出センサS1で貯留量の下限を検出する一方、非優先貯留タンク12の下流側に配された貯留レベル検出センサS5で貯留量の上限を検出する構成としている。そして、これら検出センサS1〜S5の検出信号に基づいて、パチンコ島台1の両端外部に取り付けられた貯留レベル報知器24が貯留タンク11,12内の貯留量を報知するようになっていると共に、玉交流装置のストッパー装置61の開閉制御を行って、複数のパチンコ島台1の玉貯留量の均等化を図るようになっている。
ここで、貯留タンク11,12の詳細な構造を図2に基づいて説明する。なお、優先貯留タンク11と非優先貯留タンク12とは、若干異なる構造となっているが、同一機能を有する構成部材については同一の符号を付している。貯留タンク11,12は、オーバーフローボックス22から受け入れた玉を上部樋21で流下させて玉揚送装置5に向けて傾斜される底面上に上流側から順次貯留し、この貯留した玉を玉揚送装置5の導入樋18に導いている。ただし、玉揚送装置5の導入樋18が非優先貯留タンク12の底面と対向する方向に向けて配置されているので、優先貯留タンク11に貯留された玉は、優先貯留タンク11の底面に連通される下部連絡樋19から小型揚送装置20に導かれ、この小型揚送装置20によって非優先貯留タンク12に供給されるものである。
また、優先貯留タンク11内には、前述したようにそのほぼ中央に並設されたパチンコ機2からの使用済玉を受け入れるアウト玉誘導内部樋13が形成されており、このアウト玉誘導内部樋13及びアウト玉誘導樋10を流下するアウト玉が合流ボックス14及びアウト玉誘導合流樋15を介して連絡樋16に転送され、該連絡樋16から非優先貯留タンク12に送り込まれる。このように、優先貯留タンク11は、受け入れたパチンコ玉を直接的に玉揚送装置5に導出するのではなく、小型揚送装置20又は連絡樋16を介して非優先貯留タンク12に送り込む。即ち、本実施形態のパチンコ島台1では、貯留タンク11,12で受け入れたパチンコ玉を貯留タンク12側から一括して玉揚送装置5に導く構成となっている。これは、玉揚送装置5の導入樋18を一方の貯留タンク12方向だけに向けたのは、玉揚送装置5への玉の流入をスムーズにして玉揚送装置5の揚送能力を十分に発揮させるためであると共に、パチンコ島台1の島幅が狭くなるように形成するためである。
更に、優先貯留タンク11において、非優先貯留タンク12に連絡される連絡樋が上下2つ設けられる理由としては、上部のアウト玉誘導合流樋15に連絡される連絡樋16が使用されて汚れたパチンコ玉を優先貯留タンク11内に貯留することなく優先的に玉揚送装置5に導くために、比較的高い位置、具体的には、非優先貯留タンク12の底面よりも高い位置に設ける必要がある。そうでないと、アウト玉誘導合流樋15を流下するアウト玉を非優先貯留タンク12側まで自然流下させることができない。一方、優先貯留タンク11の底面をアウト玉合流樋15の高さ位置に一致させれば、優先貯留タンク11に貯留されるパチンコ玉も連絡樋16を介して非優先貯留タンク12側に自然流下させることができるが、底面の位置が高くなるので、その分優先貯留タンク11内の貯留量が減少するという欠点がある。このため、優先貯留タンク11の底面の高さ位置を低くして貯留量を増加せしめ、底面に連通する下部連絡樋19を小型揚送装置20に接続し、該小型揚送装置20によって非優先貯留タンク12に送るようになっている。
なお、優先貯留タンク11の底面には、その一側に貯留玉誘導樋17が設けられている。この貯留玉誘導樋17は、優先貯留タンク11に貯留されているパチンコ玉であってその上流部や中流部に貯留されている玉を取り込んで下流側に導くものであり、長期間に亘って1か所にパチンコ玉が滞留されることがないように優先貯留タンク11内に貯留されるパチンコ玉を万遍なく下部連絡樋19に導く機能を発揮させるものである。同様に、非優先貯留タンク12の底面にも、貯留玉誘導樋17が設けられ、非優先貯留タンク12に貯留されているパチンコ玉を万遍なく導入樋18に導くようになっている。ただし、非優先貯留タンク12側に設けられる貯留玉誘導樋17の上部には、アウト玉誘導合流樋15が重複して設けられており、しかも、アウト玉誘導合流樋15の出口の方が貯留玉誘導樋17の出口よりも導入樋18に近いので、アウト玉誘導合流樋15から排出されるアウト玉が貯留玉誘導樋17から流出する玉の上部前方に覆いかぶさって貯留玉誘導樋17の玉を止めるので、アウト玉誘導合流樋15を流下するアウト玉の方が優先して導入樋18に導かれるようになっている。
本実施形態において、導入樋18に導かれるパチンコ玉の優先順位は、以下の通りである。まず、導入樋18に導かれるパチンコ玉の種類は、以下に示す(1)〜(4)の4種類である。
(1)非優先貯留タンク12の底板上に貯留されるパチンコ玉。
(2)非優先貯留タンク12のアウト玉誘導合流樋15を流下するパチンコ玉。
(3)優先貯留タンク11の底面上に貯留されて小型揚送装置20によって非優先貯留タンク12に送られたパチンコ玉。
(4)優先貯留タンク11のアウト玉誘導合流樋15を流下して連絡樋16によって非優先貯留タンク12に送られたパチンコ玉。
このうち、最も優先的に導入樋18に導入されるパチンコ玉は、非優先貯留タンク12内を通って直接的に導入樋18に導かれる(2)のパチンコ玉である。2番目は、優先貯留タンク11内から連絡樋16を通って非優先貯留タンク12内に導かれる(4)のパチンコ玉である。3番目は、優先貯留タンク11内に貯留された後に小型揚送装置20を介して非優先貯留タンク12内に導かれる(3)のパチンコ玉である。4番目は、非優先貯留タンク12内に貯留された(1)のパチンコ玉である。
また、本実施形態における玉揚送装置5は、その揚送能力として15000個/分の能力があり、小型揚送装置20は、10000個/分の揚送能力がある。しかして、このような揚送能力がある前提において、上記した(1)〜(4)の玉がどのように振り分けられるかを考えると、以下のようになる。即ち、平均的なパチンコ島台1に設置されるパチンコ機2の数は、全体で40台前後であるため、(2),(4)の玉が最大4000個/分であり、(3)のパチンコ玉が10000個/分である。このため、(1)のパチンコ玉が1000個/分となる。即ち、本実施形態のパチンコ島台1では、並設した複数のパチンコ機2から1分間に排出される4000個程度の使用済玉((2)及び(4)のパチンコ玉)を最優先で揚送し、次に優先貯留タンク11から非優先貯留タンク12へ1分間に転送される10000個程度の還流玉((3)のパチンコ玉)を揚送して、最後に非優先貯留タンク12内に貯留された還流玉及び返却玉((1)のパチンコ玉)から残りの1000個程度を揚送するものである。
以上、実施形態に係るパチンコ島台1の概略を説明してきたが、前述したように、本実施形態に係るパチンコ島台1は、隣接するパチンコ島台1間に玉交流装置が差し渡されている。そこで、以下、玉交流装置の詳細な構造について図3乃至図9を参照して説明する。図3は、上部タンク6と交流タンク7との関係を示す斜視図であり、図4は、上部タンク6の内部構造を示す斜視図であり、図5は、交流タンク7の内部構造を示す斜視図であり、図6は、上部タンク6及び交流タンク7内の玉の流れを示す斜視図であり、図7は、交流タンク7と交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71との関係を示す側方断面図であり、図8は、交流上部樋70と交流下部アーチ樋71との交差部の断面図であり、図9は、玉交流装置の異なる実施形態を示すパチンコ島台1の斜視図である。
玉交流装置は、前述したように、交流タンク7と、交流タンク7から隣接するパチンコ島台1の交流タンク7に向けて緩やかに傾斜接続される交流上部樋70と、隣接するパチンコ島台1の交流タンク7からの交流玉を交流タンク7の下部に受け入れるアーチ状の交流下部アーチ樋71とから構成されているが、まず、交流タンク7及びこの交流タンク7に密接に関連する上部タンク6について図3乃至図7を参照して説明する。
上部タンク6は、図3、図4、及び図6に示すように、その上部一側に前記玉揚送装置5によって揚送された玉を受け入れる玉入口30が形成されたボックス状に構成され、その内部が分岐垂直板33によって分流空間31とオーバーフロー空間32とに分岐形成されている。分流空間31は、前記玉入口30から流入するパチンコ玉が最初に入る空間であり、その分流空間31に入ったパチンコ玉は、交互に内側に向かって傾斜するように設けられる段差板34〜36によって下方に勢いを弱められながら落下し、分流空間31の底面を構成する階段状底面板37から上部タンク6の一側側壁に開設される補給出口38に導かれる。この補給出口38は、パチンコ島台1の中央より一側(図2の右側)に列設されるパチンコ機2及び台間玉貸機に玉を補給する補給樋(図示しない)が接続されるものである。
また、階段状底面板37の上部に設けられる段差板36の分岐垂直板33側には、上部タンク6の他側側壁に向かって傾斜する下部誘導側板39が設けられ、その下部誘導側板39の先端部に対応する位置に補給連絡口48が開設されている。この補給連絡口48には、交流タンク7との間に差し渡される補給連絡筒41が接続されている。そして、補給連絡筒41の下流端は、交流タンク7の受入口55に接続され、その受入口55と後述する補給出口58とが連通されている。この補給出口58は、パチンコ島台1の中央より他側(図2の左側)に列設されるパチンコ機2及び台間玉貸機に玉を補給する補給樋(図示しない)が接続されるものである。
また、最上部の段差板34の分岐垂直板33側には、上部タンク6の他側側壁に向かって傾斜する上部誘導側板40が設けられ、その上部誘導側板40の先端部に対応する位置に交流連絡口49が開設されている。この交流連絡口49には、交流タンク7との間に差し渡される交流連絡筒42が接続されている。なお、上部誘導側板40の交流連絡口49の直前上部には、ストッパー板40aが固着されているが、これは、玉入口30から流入した玉であって段差板34及び上部誘導側板40を伝った玉が交流連絡口49から流出しないように確実に下方部へ誘導し、上部誘導側板40まで溢れてきた玉だけを交流連絡口49に流出させるためのものである。
一方、上記した上部誘導側板40のやや上方には、分岐垂直板33の上端が位置するが、その分岐垂直板33によって分岐されるオーバーフロー空間32にも交互に内側に向かって傾斜する段差板43〜46が設けられている。この段差板43〜46は、分岐垂直板33の上端からオーバーフローした玉の勢いを弱めながら下方に導くものであり、最下部の段差板46が前方に突出してオーバーフロー誘導樋47の底面を構成している。そして、このオーバーフロー誘導樋47の流下端が前記オーバーフロ−ボックス22のボックス優先通路22aに連通している。なお、オーバーフロー空間32に設けられる段差板43〜45の上面には、落下する玉の衝撃を弱めるための部材(ゴム,合成樹脂等)が貼付されているが、これらの部材を分流空間31に設けられる段差板34〜36や階段状底面板37に貼付しても良い。
上記のように構成される上部タンク6においては、玉揚送装置5によって揚送されたパチンコ玉が玉入口30から分流空間31に導かれ、その後、段差板34〜36及び階段状底面板37から補給出口38に最優先で導かれて一側の補給樋に供給される。その一側の補給樋で使用されるパチンコ玉の個数よりも玉揚送装置5によって揚送される個数の方が断然多いので、分流空間31に流入した玉は、即座に貯留されて溜り、その溜った玉が、まず、中程の段差板36及び下部誘導側板39から補給連絡口48に流出して上述したように補給連絡筒41、及び交流タンク7を介して補給出口58から他側の補給樋に供給される。上記した左右の補給樋で使用されるパチンコ玉の個数よりも揚送される個数の方が断然多いので、分流空間31には、さらにパチンコ玉が溜り、その溜った玉が、上部の段差板34及び上部誘導側板40に導かれ且つストッパー板40aを飛び越えて交流連絡口49に流出して交流タンク7に導かれる。交流タンク7に導かれた玉は、後述するように交流上部樋70を介して隣接するパチンコ島台1に補給されるようになっているが、この補給個数は、本実施形態における玉交流装置にあっては最大6,000個/分(一方の交流上部樋70だけで3000個/分であるが、左右2つあるため)である。しかして、上記した左右の補給樋及び交流タンク7への補給個数の合計よりも揚送される個数の方が多いので、分流空間31には、さらにパチンコ玉が溜り、その溜った玉が、分岐垂直板33の上端を飛び越え、オーバーフロー空間32に流出し、オーバーフロー誘導樋47からオーバーフローボックス22に導かれるようになっている。
つまり、本実施形態においては、玉揚送装置5が正常な揚送能力(15000個/分)で玉を揚送している限り、左右の補給樋及び交流タンク7への補給が最大値に達している状態でも、常時オーバーフロー空間32からオーバーフローボックス22に導かれて玉が循環していることとなる。
一方、上記した上部タンク6に連通される交流タンク7は、図3、図5、図6、図7に示すように、直方体ボックス状のほぼ中央よりやや上部の水平方向に設けられる分岐水平板52によって送給空間50と受給空間51とに分岐され、送給空間50に臨むように受入口53と送給口54とが開設されている。受入口53は、前記交流連絡筒42の下流端が接続されるものであり、送給口54は、受入口53が形成される側壁と隣接する左右の側壁にそれぞれ形成されるものであると共に、後述する交流上部樋70の上流端が接続されるものである。しかして、送給空間50には、受入口53から受け入れたパチンコ玉を送給口54に導くための通路が形成されるが、その通路は、通路構成板50a(図5参照)を立設することにより形成されている。また、送給口54の外側には、前記したように交流上部樋70が接続されるが、その送給口54と交流上部樋70との間には、ストッパー装置61が取り付けられている。このストッパー装置61は、図3に示すように、モータ62と、該モータ62によって昇降動作される昇降板63と、該昇降板63の動作を案内するガイド片64とから構成されている。そして、このストッパー装置61は、自島の貯留タンク11,12に設けられる玉量センサーS1〜S5や、他島の貯留タンク11,12に設けられる玉量センサーS1〜S5からの信号に基づいて開閉駆動制御されるものである。この点については、後に詳述する。
また、上記した受給空間51には、受入口55と補給出口58と受給口59とが臨むようになっている。受入口55は、前記補給連絡筒41の下流端が接続されるものであり、その受入口55と対面する側壁下部に補給出口58が形成されている。そして、受入口55と補給出口58とを連絡するように受給空間51内には、一対の区画板56が立設され、受入口55から受け入れたパチンコ玉を補給出口58へのみ導くようになっている。なお、一対の区画板56によって構成される空間には、その底面に補給出口58に向かって下り傾斜する傾斜底面57が設けられ、また、補給出口58の上部に段差板57aが逆傾斜状に設けられており、受入口55から受け入れたパチンコ玉を一旦段差板57aで受け止めて勢いを弱め、その後、傾斜底面57によって補給出口58から排出するものである。また、一対の区画板56の外側の空間には、前記受給口59が臨んでいる。受給口59の外側には、交流下部アーチ樋71の末端が接続固定されるものであり、交流下部アーチ樋71から受け入れたパチンコ玉を区画板56の外側空間に受け入れ、その後、底面を構成する底板60の中央に形成された落下口60aから交流ボックス7の外側に排出する。落下口60aから放出されたパチンコ玉は、図2に示すように、前記オーバーフローボックス22のボックス優先通路22aに導かれるようになっている。
上部タンク6及び交流タンク7の構成は、概ね上記した構成を有するものであるが、次に交流タンク7に差し渡される交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71について図1,図7,図8を参照して説明する。交流上部樋70は、交流タンク7の前記送給口54にその一端が接続固定されるものであり、その他端が隣接するパチンコ島台1間のほぼ中央に向かって緩傾斜し、先端に下向きの交流下部開口73が形成されている。したがって、交流上部樋70は、隣接するパチンコ島台1の交流タンク7からそれぞれ固定延設されていることとなる。一方、交流下部アーチ樋71は、隣接する交流タンク7の前記受給口59にその両端部が接続固定される円弧状の1個の樋によって構成され、その円弧頂上部分に交流上部開口74が形成されている。そして、この交流上部開口74と前記交流下部開口73とが対面連通して流下するパチンコ玉を交差状に導くようになっている。また、交流上部開口74と交流下部開口73との接続を確実に行うため、2つの交流上部樋70と交流下部アーチ樋71との外周を包み込んで固定する接続器75が固着されている。なお、上記した交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71は、それぞれ上面が開放した断面コ字状の金属製の樋部材の内周に半硬質ウレタン等の素材を貼着したものに、軟質ウレタン材が貼着された蓋カバー板をその上面から被覆することにより、全体として断面長方形状の筒材として構成されて消音効果を発揮するものである。更に、交流下部アーチ樋71の流下端(受給口59の直前)には、センサ72が設けられており、このセンサ72によって交流玉の流下状況やストッパー装置61の故障等を監視している。なお、上記した各ウレタン材の下にゴムや合成樹脂を貼付して吸振性を良くしても良い。
以上、実施形態に係るパチンコ島台1の構成について説明してきたが、上記した実施形態における上部タンク6及び交流タンク7を被覆するカバー体8においては、交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71が貫通されたままのものを示したが、図9に示すように、カバー体の貫通部分に接続ラバー81を設け、玉交流装置の美観及び安定性を向上する実施形態であってもよい。この図示の実施形態においては、上部タンク6及び交流タンク7の形状に沿って被覆するタンクカバー80の交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71が貫通される部分に接続ラバー81を設け、交流上部樋及び交流下部アーチ樋71の基部を被覆するようにしたものである。このように構成することにより、交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71を安定的に支持することができ、また、玉交流装置の美観も向上させることができる。また、交流上部樋70や交流下部アーチ樋71の接続位置を変向するためにそれらをスライド可能な構造とした場合には、接続ラバー81でそのスライド溝を覆い隠すこともできる。
しかして、以上説明した本実施形態における玉交流装置は、隣接する交流タンク7間の上部に中央に向かって緩傾斜状に差し渡された交流上部樋70と、隣接する交流タンク7間の下部に差し渡されると共に交流上部樋70の下部中央でその上部中央が連接し且つ当接するアーチ状に形成された交流下部アーチ樋71と、から構成され、交流上部樋70と交流下部アーチ樋71との中央交差部分で内部を流下するパチンコ玉が交差状に誘導されるようにしたので、直線状に形成された交流上部樋70がアーチ状に形成された交流下部アーチ樋71のアーチ構造により下方から支持されて十分な強度を確保することができ、交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71の中にパチンコ玉が滞留しても、その重みで捩じれたり撓んだりすることがない。したがって、従来のように別に用意した支持部材で交流樋を支持する必要もなく、構造が簡単となり美観上も好ましいものとなる。なお、本実施形態に係る構造においては、交流下部アーチ樋71のいずれかの箇所又はその下流側で玉詰まりが生じて交流下部アーチ樋71を玉が逆流した場合には、玉を送り出した側の交流タンク7に交流下部アーチ樋71を介して逆流するため、交流下部アーチ樋71の全体が玉で満たされることはなく、その分荷重は少なくて済む。また、交流上部樋70及び交流下部アーチ樋71を構成する部材として薄い材質のものを使用しても、アーチ構造のために十分な強度を得ることができ、全体的にコストダウンを図ることができる。
また、交流下部アーチ樋71は、緩傾斜状に設けられる交流上部樋70から交差状に受け入れたパチンコ玉をほぼ水平方向に延びる円弧状部でその速度を弱め徐々に速度を増すように誘導するので、従来のように直線状に誘導する傾斜交流樋に比べて流下するパチンコ玉の流下勢を弱めることができ、受け入れる側の交流タンクを破損させるという事故を抑制することができる。
なお、上記した実施形態における玉交流装置は、上部タンク6と交流タンク7とを別々に設けたものを示したが、これらを1つのタンクで形成して内部を本実施形態の上部タンク6及び交流タンク7と似た構造となるように仕切ることにより、1つとすることもできる。
次に、上記した玉交流装置の作用について図10乃至図18を参照して説明する。図10は、玉交流装置のストッパー装置61及び玉返却装置3を制御するためのセンサS1〜S5の配置位置を示したパチンコ島台1の内部構造を示す側面図であり、図11は、玉交流装置の制御を示すメインフロー図であり、図12は、メインフロー図中の補給装置制御処理サブルーチンを示すフロー図であり、図13は、メインフロー図中の受給装置制御処理サブルーチンを示すフロー図であり、図14は、メインフロー図中の付加処理サブルーチンを示すフロー図であり、図15乃至図17は、各フロー図に対応する状態を説明するための説明図であり、図18は、玉返却装置3の動作を示すフロー図である。
図10において、本実施形態においては、優先貯留タンク11に4つのセンサが設けられ、その最も上流側のセンサS1が下限センサS1を構成しており、そのセンサS1の下流側のセンサS2が下限解除センサS2を構成しており、他の2つのセンサは、単に玉量を検知するためのセンサに過ぎない。一方、非優先貯留タンク12にも4つのセンサが設けられ、その最も下流側のセンサS5が上限センサS5を構成しており、そのセンサS5の下流側のセンサS4が上限解除センサS4を構成しており、更に1つのセンサを置いて最も上流側のセンサS3が中間センサS3を構成している。上記した各センサS1〜S5のうち、下限センサS1と上限センサS5は、玉返却装置3の開閉動作制御に使用されるものであり、下限解除センサS2と上限解除センサS4とが玉交流装置の制御に使用されるものであり、中間センサS3は、本実施形態においては、使用されず、符号を付さないセンサと同様に単に貯留タンク11,12内の玉の貯留量を検知するためのセンサに過ぎないものである。
しかして、上記したセンサS1〜S5によって制御される動作のうち、玉交流装置制御は、図11において、ステップ10で自島の上限解除センサS4がONしているか否か、即ち、貯留量が非優先貯留タンク12に設けられる上限解除センサS4以上に貯留されているか否かが判別され、ONしていると判別されたときには、ステップ11で補給フラグをONする。その後、ステップ12で補給装置制御処理サブルーチンが実行される。
この補給装置制御処理は、図12に示すように、隣接する左右のパチンコ島台が上限(上限解除センサS4位置)に達しているか否かを判断しながら行うものである。即ち、ステップ40で両隣島の補給フラグがONしているか否か(両隣島も上限に達しているか否か)が判別され、両隣島も上限に達している場合には、補給をする必要がないので、ステップ41で自島の補給フラグがOFFとされて後述するステップ19に進んで自島の両シャッターを閉じる。一方、ステップ40で両隣島の補給フラグがONしていないと判別されたときには、ステップ42で左島において補給フラグがONしているか否かが判別され、ONしていれば左島も上限に達しているということであるので、ステップ43で左島へ玉を補給するストッパー装置61(シャッターと表示;以下、同じ)を閉じ、左島の補給フラグがONしていなければステップ44で左島へ玉を補給するシャッターを開く。同様に、ステップ45で右島において補給フラグがONしているか否かが判別され、ONしていれば右島も上限に達しているということであるので、ステップ46で右島へ玉を補給するシャッターを閉じ、右島の補給フラグがONしていなければステップ47で右島へ玉を補給するシャッターを開く。
しかして、ステップ12での補給装置制御処理が実行されつつステップ13で上限解除センサS4がOFFとなったか否かが判別され、OFFとなっていない場合には、前記ステップ11に戻ってステップ11〜13を繰り返し、上限解除センサS4がOFFになったと判別されたときには、ステップ14でタイマーがリセットされた後、ステップ15で一定時間(本実施形態では、3分)のタイマーがセットされ、そのタイマーによってセットされた時間(3分)が経過するまでステップ16でステップ12と同じ補給装置制御処理が実行され、ステップ17で3分が経過したと判別された後に、ステップ18で補給フラグがOFFにされ、ステップ19で自島内の両シャッターを閉じて貯留量が上限に達したときの処理を終了する。
上記したステップ10〜19の処理によって実現される動作により、上限解除センサS4からの検出出力が導出されなくなったときから予め定めた一定時間が経過するまでの間、シャッターが開放駆動されるので、シャッターの開放動作終了時の貯留量を確実に上限解除センサS4よりも上流側(少ない貯留量側)に位置させることができるので、再度の上限解除センサS4の作動までに多少の時間的な余裕を持つことができるため、例えば、玉返却装置3の返却阻止時間を極力少なくすることができ、遊技客による景品玉の返却をスムーズに行うことができてサービスの向上を図ることができる。また、一定時間を計時するタイマーの設定時間を変更調節することができるようにしておけば、上限解除センサS4から上流側の残留貯留量を要望する貯留量にすることもできる。
上記した補給装置制御処理について実際の複数のパチンコ島台1(A〜Eの5列とした場合)の貯留量を図解した図15を参照して説明すると、図15(A)に示すように、営業当初は、パチンコ島台A〜Eの貯留量は、ほぼ均等でセンサS4より僅かに少ない量が初期値としてそれぞれのパチンコ島台A〜Eに貯留されている。しかして、営業を続けるうちに、図15(B)に示すように、貯留量にバラツキが生じ、例えば、中央のパチンコ島台Cの貯留量がS4を超えた場合には、パチンコ島台Cのシャッターが開放して両サイドのパチンコ島台B,Dに玉を補給し、最終的に図15(C)に示すように、パチンコ島台Cの貯留量をセンサS4より僅かに少ない量(前述したタイマーによる減少分)となるように左右のパチンコ島台B,Dに補給する。また、図15(D)に示すように、パチンコ島台B,Cで貯留量がS4を超えた場合には、パチンコ島台B,C間での玉の交流は、行われないが、パチンコ島台Bからパチンコ島台Aへの玉の移動、及びパチンコ島台Cからパチンコ島台Dへの玉の移動が行われる。なお、上記したような玉の貯留量が上限(センサS4の位置を超える)に達するような現象は、遊技客が保持する玉数が多いので、稀にしか発生しないが、万一、貯留量が多くなった場合を考慮して上記した補給装置制御処理を行うものである。
一方、優先貯留タンク11内の貯留量が下限に達したときの処理、即ち、前記ステップ10で上限解除センサS4がONしていないと判別され且つステップ20で下限解除センサS2がOFFしていると判別されたときの処理は、まず、ステップ21で受給フラグをONせしめ、その後、ステップ22で受給装置制御処理サブルーチンが実行され、ステップ23で付加処理サブルーチンが実行される。
このうち、ステップ22の受給装置制御処理は、図13に示すように、隣接する左右のパチンコ島台が下限(下限解除センサS2位置)に達しているか否かを判断しながら行うものである。即ち、ステップ50で両隣島の受給フラグがONしているか否か(両隣島も下限に達しているか否か)が判別され、両隣島も下限に達している場合には、受給されるわけにはいかないので、ステップ51で自島の受給フラグがOFFとされて後述するステップ31に進んで自島に対面する両隣の交流タンク7の両シャッターを閉じる。一方、ステップ50で両隣島の受給フラグがONしていないと判別されたときには、ステップ52で左島において受給フラグがONしているか否かが判別され、ONしていれば左島も下限に達しているということであるので、ステップ53で自島に対面する左島のシャッター(シャッターと表示;以下、同じ)を閉じて玉の受給を止め、左島の受給フラグがONしていなければステップ54で自島に対面する左島のシャッターを開いて玉の受給を受ける。同様に、ステップ55で右島において受給フラグがONしているか否かが判別され、ONしていれば右島も下限に達しているということであるので、ステップ56で自島に対面する右島のシャッターを閉じて玉の受給を止め、右島の受給フラグがONしていなければステップ57で自島に対面する右島のシャッターを開いて玉の受給を受けてサブルーチンを終了する。
また、ステップ23の付加処理は、図14に示すように、ステップ60で受給フラグを発した島の両隣の更に隣の島を特定し、ステップ61で特定した島の受給フラグがOFF(下限に達していない)であるか否かが判別され、特定した島が下限に達していないと判別されたときには、ステップ62で受給フラグを発した島側の特定した島のシャッターを開き、特定した島が下限に達していると判別されたときには、ステップ63で特定した島のシャッターを閉じてサブルーチンを終了する。
しかして、ステップ22,23での補給装置制御処理及び付加処理が実行されつつステップ24で下限解除センサS2がONとなったか否かが判別され、ONとなっていない場合には、前記ステップ21に戻ってステップ21〜23を繰り返し、下限解除センサS2がONになったと判別されたときには、ステップ25で付加処理で特定した島のシャッターを閉じた後、ステップ26でタイマーがリセットされた後、ステップ27で一定時間(本実施形態では、3分)のタイマーがセットされ、そのタイマーによってセットされた時間(3分)が経過するまでステップ28でステップ22と同じ受給装置制御処理が実行され、ステップ29で3分が経過したと判別された後に、ステップ30で受給フラグがOFFにされ、ステップ31で自島に対面する両隣の交流タンク7の両シャッターを閉じて貯留量が下限に達したときの処理を終了する。
上記したステップ20〜31の処理によって実現される動作により、下限解除センサS2からの検出出力が導出されなくなったときから予め定めた一定時間が経過するまでの間、受給装置制御処理において両隣のパチンコ島台1のシャッターが開放駆動されてシャッターの開放動作終了時の貯留量を確実に下限解除センサS2よりも下流側(貯留量の多い側)に位置させることができるので、再度の下限解除センサS2の作動までに多少の時間的な余裕を持つことができるため、例えば、両隣のパチンコ島台1の玉返却装置3の返却阻止時間を極力少なくすることができ、遊技客による景品玉の返却をスムーズに行うことができてサービスの向上を図ることができる。また、一定時間を計時するタイマーの設定時間を変更調節することができるようにしておけば、下限解除センサS2から下流側の残留貯留量を要望する貯留量にすることもできる。
更に、付加処理において、更にその隣接するパチンコ島台にもその外側のパチンコ島台から玉交流装置を介して玉の補給を受けるように構成されているので、各パチンコ島台の玉貯留量の増減幅を少なくして均等な貯留量とすることができ、貯留量の減少・増加に迅速に対応することができ、結果として全体の玉返却装置3への返却を禁止する時間を短くすることができる。
上記した受給装置制御処理及び付加処理について実際の複数のパチンコ島台1(A〜Eの5列とした場合)の貯留量を図解した図16,図17を参照して説明する。まず、受給装置制御処理において、図16(A)に示すように、営業を続けるうちに、多くの場合、複数のパチンコ島台A〜Eの貯留量は、初期値に比べて減少し且つバラツキが生じるものであり、そのうち、例えば、中央のパチンコ島台Cの貯留量がS2以下となった場合には、隣接するパチンコ島台B,Dのシャッターが開放して当該パチンコ島台Cに玉が補給され、最終的に図16(B)に示すように、パチンコ島台Cの貯留量がセンサS2より僅かに多い量(前述したタイマーによる増加分)となるように左右のパチンコ島台B,Dから補給される。また、図16(C)に示すように、パチンコ島台C,Dで貯留量がS2以下となった場合には、パチンコ島台C,D間での玉の交流は、行われないが、パチンコ島台Cにパチンコ島台Bから玉が補給され、パチンコ島台Dにパチンコ島台Eから玉が補給され、最終的に図16(D)に示すように、パチンコ島台C,Dの貯留量がセンサS2より僅かに多い量となるように左右のパチンコ島台B,Eから補給される。更に、図16(E)に示すように、すべてのパチンコ島台A〜Eにおいて、玉貯留量がS2以下となった場合には、パチンコ島台相互の玉交流は、行われない。
また、上記した受給装置制御処理は、隣接するパチンコ島台間だけの玉の交流であるが、本実施形態においては、センサS2がOFFしたときには、隣接したパチンコ島台だけでなく、更に外側のパチンコ島台と隣接するパチンコ島台との玉交流も実行される付加処理が行われる。この付加処理は、図17(A)に示すように、例えば、中央のパチンコ島台Cの貯留量がS2以下となった場合には、隣接するパチンコ島台B,Dのシャッターが開放して当該パチンコ島台Cに玉が補給されると同時に、その外側のパチンコ島台A,Eのシャッターも開放してパチンコ島台A,Eからパチンコ島台B,Dに玉が補給されるので、隣接するパチンコ島台B,Dの貯留量が少ない場合であっても、パチンコ島台B,Dからパチンコ島台Cに補給した玉数とほぼ同じ玉数がパチンコ島台A,Eからパチンコ島台B,Dに補給され、そのため、最終的に図17(B)に示すように、最も外側にあるパチンコ島台A,Eの玉が中央のパチンコ島台Cに補給されたと同じとなって、各パチンコ島台A〜Eの玉貯留量の増減幅を少なくして均等な貯留量とすることができ、貯留量の減少・増加に迅速に対応することができる。
なお、上記した玉の貯留量が下限(センサS2以下)となるような現象は、遊技客が保持する玉数が多くなると、頻繁に発生するので、上記した受給装置制御処理及び付加処理は、玉交流装置における重要な制御となるものである。
ところで、上記の補給装置制御処理、受給装置制御処理、及び付加処理を行うことによって、多くの場合には、すべてのパチンコ島台の玉返却装置3への返却動作が禁止されることはないと考えられるが、万が一、上限以上又は下限以下となった場合には、自島又は他島の玉返却装置3の返却動作を許容したり禁止したりする制御を行わなければならないが、このような制御は、図18に示すフロー図によって行われる。そこで、図18の計数器(玉返却装置3)制御について説明すると、まず、ステップ70で上限センサS5がONしたか否か(上限に達したか否か)が判別され、上限に達したと判別されたときには、ステップ71で自島の計数器を閉じた後、ステップ72でタイマーをリセットし、その後、ステップ73でタイマーをスタートし、ステップ74でそのタイマーによる所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判別し、所定時間が経過したときにステップ75で計数器を開ける。一方、ステップ70で上限センサS5がONしていないと判別されたときには、今度は、ステップ76で下限センサS1がOFFになったか否か(下限に達したか否か)が判別され、下限に達したと判別されたときには、ステップ77で対面する島の計数器を閉じた後、ステップ78でタイマーをリセットし、その後、ステップ79でタイマーをスタートし、ステップ80でそのタイマーによる所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判別し、所定時間が経過したときにステップ81で対面する島の計数器を開ける。なお、ステップ70及びステップ76でいずれも「NO」と判別されたときには、計数器制御は、行われない。
以上、説明した制御(第1実施形態に係る制御)は、上限に達したときには、隣接するパチンコ島台に玉を移動せしめ、下限になったときには、隣接するパチンコ島台からの玉の受給を受けると共に更にその外側のパチンコ島台の玉交流装置を駆動せしめる制御について示したが、もっと広範囲に複数のパチンコ島台の玉貯留量を監視しながら行う制御を行うこともできる。このような制御(第2実施形態に係る制御)について図19乃至図35を参照して説明する。図19は、本実施形態に係る制御に使用されるパチンコ島台1の内部構造を示す側面図であり、図20は、玉交流装置の制御を示すメインフロー図であり、図21は、メインフロー図中の上限優先制御処理サブルーチンを示すフロー図であり、図22は、上限優先制御処理サブルーチンのフロー図中の上限優先処理サブルーチンを示すフロー図であり、図23は、図21中の処理ステップで使用する客付きフラグの状態を示す表図であり、図24は、図21及び図22中の置換した処理ステップで使用する客付きと開放時間との対応関係を示す一覧表図であり、図25は、上限優先制御処理に対応する状態を説明するための説明図であり、図26は、メインフロー図中の通常上限処理サブルーチンを示すフロー図であり、図27は、メインフロー図中の下限優先制御処理サブルーチンを示すフロー図であり、図28は、下限優先制御処理サブルーチンのフロー図中の下限優先処理サブルーチンを示すフロー図であり、図29は、下限優先処理サブルーチンのフロー図中の送りデータ演算処理サブルーチンを示すフロー図であり、図30は、下限優先制御処理に対応する状態を説明するための説明図であり、図31及び図32は、メインフロー図中の玉戻し処理サブルーチンを示すフロー図であり、図33は、玉戻し処理に対応する状態を説明するための説明図であり、図34は、メインフロー図中の通常下限処理サブルーチンを示すフロー図であり、図35は、玉返却装置3の動作を示すフロー図である。
第2実施形態に係る制御におけるパチンコ島台1においては、第1実施形態に係る制御におけるパチンコ島台1(図10)と比べて、図19に示すように、上限センサS5のさらに上限側にセンサS6を設け(したがって、センサS5が上限解除センサS5に相当する)、このセンサS6で自島の玉返却装置3の開閉動作を制御し、センサS1〜S5で自島及び他島の玉交流装置のストッパー装置61を制御し、下限センサS1で他島の玉返却装置3の開閉動作を制御するものである。なお、第2実施形態に係るパチンコ島台1においても、営業開始時の基準玉貯留量は、センサS4よりやや下流側の位置に設定されている。
しかして、上記したセンサS1〜S6によって制御される動作のうち、玉交流装置制御は、図20において、ステップ90で上限解除センサS5がONした島があるか否かが判別され、ONした島があると判別されたときには、ステップ91で上限優先制御処理サブルーチンが実行される。この上限優先制御処理サブルーチンは、図21に示すものである。
図21において、前記ステップ90でセンサS5がONしたと判別された島がステップ110で、例えば、B島からの信号であると確認され、その後、ステップ111で全島の玉量データをセンサS1〜S6の検出の有無によって抽出し、その抽出したデータからステップ112で最も少ない島を検索して1つの島を選択する。その後、ステップ113で最も少ない島として選択した島を、例えば、E島と確認し、その確認したE島の客付きフラグがONしているか否かをステップ114で判別する。客付きフラグは、図23に示すように、E島で遊技しているお客の数の割合でONしているかOFFしているかが予め定められており、図示の場合には、客付き率が10%以下の場合には、ONし、それより大きい場合には、OFFとなるように設定されている。なお、客付き率の算出は、当該パチンコ島台に設置されるパチンコ機2の全台数を分母とする一方、実際に遊技が行われているパチンコ機(操作ハンドルのON信号で検出可能)の数を分子とすることにより演算される。しかして、ステップ114でE島の客付きフラグがONしていない(即ち、E島での客付きが10%を超えている)場合には、以下のステップ115,116の処理を実行することなく上限優先制御処理サブルーチンを終了する。一方、ステップ114で客付きフラグがONしている(即ち、E島で客付きが10%以下)であると判別されたときには、ステップ115でセンサS5からON信号を発したB島から最も玉貯留量が少ない島として特定されたE島以外の島の制御は、メインルーチンのステップ92〜ステップ100と同等の処理を実行するサブルーチンによって制御され、B島〜E島は、ステップ116の上限優先処理が実行される。なお、客付きが高い場合に上限優先処理を実行しないとした理由は、客付きが高いとその後返却される玉量が多くなることが予想されるので、上限に達したパチンコ島台Bからの玉移動を行わないようにして、無駄な玉の交流を防止するためである。
ステップ116の上限優先処理は、図22に示すように、まず、ステップ120でB島からE島までの各島の両シャッターを閉じた後、ステップ121でB島からE島の各島のE島側のシャッターだけを開放する。これによって、B島の玉がC島に移動され、C島の玉がD島に移動され、D島の玉がE島に移動されるが、それぞれの単位時間当りの移動玉数がほぼ同じである(3,000個/分)ため、結局、B島からE島に玉が移動していると同じである。そして、上記したシャッターの開放は、ステップ122でB島のセンサS4がOFFとなるか、又はE島のセンサS4がONになったと判別されるまで継続され、そのような判別がなされたときには、ステップ123でB島からE島までの各島の両シャッターを閉じて上限優先処理及び上限優先制御処理を終了する。
上記した上限優先制御処理について実際の複数のパチンコ島台1(A〜Eの5列とした場合)の貯留量を図解した図25を参照して説明すると、図25(A)に示すように、センサS5がONして上限に達したと判断されたB島から最も貯留量が少ないと判別されたE島までのE島側のシャッターが開放されて矢印で示すように、B島の玉がC島に移動され、C島の玉がD島に移動され、D島の玉がE島に移動される。そして、B島のセンサS4がOFFになると開放していたシャッターが閉じて玉の移動を停止するが、その時のB島からE島までの各島の玉の貯留量は、図25(B)に示すように、B島が減ってE島が増加しているのは当然であるが、中間のC島,D島の貯留量に変化はない。つまり、B島からE島に玉が移動したこととなるものである。このように、上限優先制御処理は、玉貯留量が上限に達したパチンコ島台1(B)から最も玉量の少ないパチンコ島台1(E)に移動せしめることができるので、貯留量の減少・増加に迅速に対応することができ、結果として全体の玉返却装置3への返却を禁止する時間を短くすることができる。
なお、上記した制御では、ステップ116の上限優先処理を実行するための条件として客付きフラグのON・OFFで決定していたが、送られる側の島(E)の客付き率に対応して予め定められた時間だけ上限優先処理を実行するようにしても良い。具体的には、図24に示すように、最大3万個供給すると仮定して、客付き率が10%以下の場合には、最大個数(3万個)を送り、客付き率がそれ以上49%以下の場合には、最大個数の60%を送り、客付き率が50%以上79%以下の場合には、最大個数の30%を送り、客付き率が80%以上の場合には、全く送らないように設定する。上記のような玉送り量の場合には、1つのストッパー装置61(シャッター)の開放により送られる玉数が3000個/分であるため、それぞれの客付き率に応じた開放時間は、10分,6分,3分,0分となる。
しかして、図21のステップ113でE島と確認したときには、ステップ114に代えてステップ117で図24の表図に基づくシャッターの開放時間を算出した後、ステップ115及びステップ116を実行する。そして、上限優先処理では、ステップ122に代えてステップ124のB島の開放時間が経過するかE島のセンサS4がONしたか否かという判別処理に置換することにより、上限優先処理を実行するものである。このように、上限に達したパチンコ島台Bから最も玉量が少ないとして特定したパチンコ島台Eへの玉の移動量を、特定したパチンコ島台Eへの客付きに応じた時間で制御することにより、特定したパチンコ島台Eへの返却玉の予測値に応じてきめ細かく制御でき、無駄な玉の交流を防止することができる。
図20に戻って、ステップ90でセンサS5がONした島がないと判別されたときには、ステップ92でセンサS4がONした島(基準貯留量よりも多い貯留量)があるか否かが判別され、センサS4がONした島があれば、ステップ93の通常上限処理が実行される。この通常上限処理は、図26に示されている。即ち、ステップ130でセンサS4がONした島の補給フラグをONし、その後、ステップ131で補給装置制御処理サブルーチンが実行される。この補給装置制御処理は、前述した図12に示す処理手順と全く同じであるので、ここでは、その説明を省略する。しかして、ステップ131での補給装置制御処理が実行されつつステップ132でセンサS4がOFFとなったか否かが判別され、OFFとなっていない場合には、前記ステップ130に戻ってステップ130〜132を繰り返し、センサS4がOFFになったと判別されたときには、ステップ133でタイマーがリセットされた後、ステップ134で一定時間(本実施形態では、3分)のタイマーがセットされ、そのタイマーによってセットされた時間(3分)が経過するまでステップ135でステップ131と同じ補給装置制御処理が実行され、ステップ136で3分が経過したと判別された後に、ステップ137で補給フラグがOFFにされ、ステップ138で自島内の両シャッターを閉じて貯留量が上限に達したときの処理を終了する。
上記したステップ130〜138の処理によって実現される動作により、センサS4からの検出出力が導出されなくなったときから予め定めた一定時間が経過するまでの間、シャッターが開放駆動されるので、シャッターの開放動作終了時の貯留量を確実にセンサS4よりも上流側(少ない貯留量側)に位置させることができ、再度のセンサS4の作動までに多少の時間的な余裕を持つことができるため、例えば、玉返却装置3の返却阻止時間を極力少なくすることができ、遊技客による景品玉の返却をスムーズに行うことができてサービスの向上を図ることができる。
図20に戻って、ステップ92でセンサS4がONした島がないと判別されたときには、ステップ94でセンサS3がONした島が有るか否かが判別される。センサS3は、パチンコ島台1の貯留玉量のほぼ中央値よりやや大きい量を検出するものであるため、通常の営業を継続するに際し問題がないので、センサS3がONした島があると判別されたときには、ステップ95でその島に送りデータが格納されているか否かが判別され、送りデータが格納されているときには、ステップ96で玉戻し処理が実行される。この玉戻し処理及び送りデータについては、後に詳述するが、センサS3のONした島が過去に下限優先制御処理によって玉を受けている場合に、その受けた玉と同じ玉量を返却する処理である。したがって、この玉戻し処理については、下限優先制御処理を説明した後に詳述する。
図20に戻って、ステップ94でセンサS3がONした島がないと判別されたときには、ステップ97でセンサS1(下限センサ)がOFFした島(下限値を下回った島)があるか否かが判別され、センサS1がOFFした島があると判別されたときには、ステップ98の下限優先制御処理が実行される。この下限優先制御処理サブルーチンは、図27に示すものである。
図27において、前記ステップ97でセンサS1がOFFしたと判別された島がステップ140で、例えば、A島からの信号であると確認され、その後、ステップ141で全島の玉量データをセンサS1〜S6の検出の有無によって抽出し、その抽出したデータからA島以外の島でセンサS2がONしている島があるか否かをステップ142で判別し、センサS2がONしている島がないと判別されたとき(他の島の玉貯留量も少ない)には、以下の処理を実行することなく下限優先制御処理サブルーチンを終了する。一方、センサS2がONした島があると判別されたときには、ステップ143でセンサS2がONした島は、1つだけであるか否かを判別し、1つだけでない場合には、ステップ144でA島に最も近い1つの島を選択し、ステップ145でその1つを確認する。例えば、C島であると確認されると、ステップ146でセンサS1からOFF信号を発したA島からセンサS2以上の貯留量があって最も近い島として特定されたC島以外の島の制御は、メインルーチンのステップ92〜ステップ100と同等の処理を実行するサブルーチンによって制御され、A島〜C島は、ステップ147の下限優先処理が実行される。
ステップ147の下限優先処理は、図28に示すように、まず、ステップ150で計時のためのタイマーをリセットした後、ステップ151で計時を開始し、その後、ステップ152でA島からC島までの各島の両シャッターを閉じた後、ステップ153でA島からC島の各島のA島側のシャッターだけを開放する。これによって、C島の玉がB島に移動され、B島の玉がA島に移動されるが、それぞれの単位時間当りの移動玉数がほぼ同じである(3,000個/分)ため、結局、C島からA島に玉が移動していると同じである。そして、上記したシャッターの開放は、ステップ154でA島のセンサS2がONとなるか、又はC島のセンサS2がOFFになったと判別されるまで継続され、そのような判別がなされたときには、ステップ155でA島からC島までの各島の両シャッターを閉じ、その後、ステップ156で計時を終了すると共にステップ157で送りデータ演算処理サブルーチンを実行して下限優先処理及び下限優先制御処理を終了する。
上記したステップ157の送りデータ演算処理は、図29に示すように、ステップ160でステップ151〜ステップ156の処理によって計測された時間Tを記憶し、ステップ161で全島のデータを抽出した後、ステップ162でC島からA島への下限優先処理が初めてであるか否かを判別し、初めてであれば、ステップ163でカウンタnに「1」を設定し、初めてでなければ、ステップ164でカウンタnに「n+1」の値を設定し、その後、ステップ165でTCA(n)の時間データとしてステップ60で記憶した時間を設定し、ステップ166でA島の時間データとしてTCA(n)を格納し、ステップ167でその格納したTCA(n)の合計値W(CA)を算出する。その後、ステップ168で逆にA島からC島に下限優先処理があったか否かを判別し、あれば、ステップ169でW(CA)とW(AC)の大きさを比較してステップ170,172で大きい値から小さい値を減算し、正の値となる数値を送りデータ合計W(CA)又はW(AC)にステップ171,173で格納する。このように演算された送りデータは、後に詳述する玉戻し処理(前記ステップ96)において使用されるものである。
上記した下限優先制御処理について実際の複数のパチンコ島台1(A〜Eの5列とした場合)の貯留量を図解した図30を参照して説明すると、図30(A)に示すように、センサS1がOFFして下限に達したと判断されたA島からセンサS2以上の貯留量があると判別されたC島までのA島側のシャッターが開放されて矢印で示すように、C島の玉がB島に移動され、B島の玉がA島に移動される。そして、C島のセンサS2がOFFになると開放していたシャッターが閉じて玉の移動を停止するが、その時のA島からC島までの各島の玉の貯留量は、図30(B)に示すように、C島が減ってA島が増加しているのは当然であるが、中間のB島の貯留量に変化はない。つまり、C島からA島に玉が移動したこととなるものである。このように、下限優先制御処理は、所定量以上の貯留量を有するパチンコ島台1(C)から玉貯留量が下限に達したパチンコ島台1(A)へ玉を移動せしめることができるので、貯留量の減少・増加に迅速に対応することができ、結果として全体の玉返却装置3への返却を禁止する時間を短くすることができる。
ここで、ステップ96の前記玉戻し処理について図31乃至図33を参照して説明すると、図31のステップ180でセンサS3がONした島の送りデータを抽出し、その抽出したデータのうち最も時刻の古いデータを検索(例えば、A島を中心にして見た場合でも、C島への送りデータ、D島への送りデータ等複数ある)し、その検索結果によってステップ182で受け側の島と送り側の島を送りデータより確認し、ステップ183で受け側をC島と確定し、ステップ184で送り側をA島と確定する。その後、図32に示すステップ185でC島からA島までの各島の両シャッターを閉じた後、ステップ186でC島からA島までの各島のA島側のシャッターを開き、その開放動作を送りデータ時間であるW(CA)が経過したとステップ187で判別されるまで継続される。しかして、送りデータ時間が経過したと判別されたときには、ステップ188でC島からA島までの両シャッターをすべて閉じた後、ステップ189でデータW(CA)及び全てのTCAを消去して玉戻し処理サブルーチンを終了する。
上記した玉戻し処理について実際の複数のパチンコ島台1(A〜Eの5列とした場合)の貯留量を図解した図33を参照して説明すると、図33(A)に示すように、センサS3がONして送り側と判断されたA島から受け側と判別されたC島までのA島側のシャッターが開放されて矢印で示すように、A島の玉がB島に移動され、B島の玉がC島に移動される。そして、送りデータ時間が経過すると開放していたシャッターが閉じて玉の移動を停止するが、その時のA島からC島までの各島の玉の貯留量は、図33(B)に示すように、A島が減ってC島が増加しているのは当然であるが、中間のB島の貯留量に変化はない。つまり、A島からC島に玉が移動したこととなるものである。このように、玉戻し処理は、最初下限に達したパチンコ島台Aは、自己の貯留玉だけでは足りなくて移動された交流玉によってその玉貯留量が回復するが、お客による返却玉によって最終的に初期の玉貯留量以上貯留する可能性があり、貯留量が予め定めた値に復帰したときに、営業中に補給された玉数を補給したパチンコ島台Cに返すことによって、すべてのパチンコ島台の貯留量を早く初期値で均等化させることができる。
図20に戻って、ステップ97でS1がOFFした島がないと判別されたときには、ステップ99でS2がOFFした島があるか否か(下限に近づいた島があるか否か)が判別される。センサS2がOFFした島があれば、ステップ100の通常下限処理が実行される。この通常下限処理は、図34に示されている。即ち、ステップ190でセンサS2がOFFした島の受給フラグをONし、その後、ステップ191で受給装置制御処理サブルーチンが実行される。この受給装置制御処理は、前述した図13に示す処理手順と全く同じであるので、ここでは、その説明を省略する。しかして、ステップ191での受給装置制御処理が実行されつつステップ192でセンサS2がONとなったか否かが判別され、ONとなっていない場合には、前記ステップ190に戻ってステップ190〜192を繰り返し、センサS2がONになったと判別されたときには、ステップ193でタイマーがリセットされた後、ステップ194で一定時間(本実施形態では、3分)のタイマーがセットされ、そのタイマーによってセットされた時間(3分)が経過するまでステップ195でステップ191と同じ受給装置制御処理が実行され、ステップ196で3分が経過したと判別された後に、ステップ197で受給フラグがOFFにされ、ステップ198で自島に対面する両隣島のシャッター(ストッパー装置61)を閉じて貯留量が下限に近づいたときの処理を終了する。
上記したステップ190〜198の処理によって実現される動作により、センサS2からの検出出力が導出されなくなったときから予め定めた一定時間が経過するまでの間、シャッターが開放駆動されるので、シャッターの開放動作終了時の貯留量を確実にセンサS2よりも下流側(多い貯留量側)に位置させることができ、再度のセンサS2の作動までに多少の時間的な余裕を持つことができるため、例えば、対面する玉返却装置3の返却阻止時間を極力少なくすることができ、遊技客による景品玉の返却をスムーズに行うことができてサービスの向上を図ることができる。
上記した上限優先制御処理、通常上限処理、玉戻し処理、下限優先制御処理、及び通常下限処理を行うことによって、多くの場合には、すべてのパチンコ島台の玉返却装置3への返却動作が禁止されることはないと考えられるが、万が一、上限以上又は下限以下となった場合には、自島又は他島の玉返却装置3の返却動作を許容したり禁止したりする制御を行わなければならないが、このような制御は、図35に示すフロー図によって行われる。そこで、図35の計数器(玉返却装置3)制御について説明すると、まず、ステップ200で上限センサS6がONしたか否か(上限に達したか否か)が判別され、上限に達したと判別されたときには、ステップ201で自島の計数器を閉じた後、ステップ202でタイマーをリセットし、その後、ステップ203でタイマーをスタートし、ステップ204でそのタイマーによる所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判別し、所定時間が経過したときにステップ205で計数器を開ける。一方、ステップ200で上限センサS6がONしていないと判別されたときには、今度は、ステップ206で下限センサS1がOFFになったか否か(下限に達したか否か)が判別され、下限に達したと判別されたときには、ステップ207で対面する島の計数器を閉じた後、ステップ208でタイマーをリセットし、その後、ステップ209でタイマーをスタートし、ステップ210でそのタイマーによる所定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判別し、所定時間が経過したときにステップ211で対面する島の計数器を開ける。なお、ステップ200及びステップ206でいずれも「NO」と判別されたときには、計数器制御は、行われない。
以上、パチンコ島台1間に差し渡される玉交流装置の制御について、2つの制御方法について説明してきたが、上記制御においては、A〜Eのパチンコ島台を例示して示したが、多くの遊技場においては、上記した以上の数のパチンコ島台を有することが通常であり、このような場合に、すべてのパチンコ島台を交流関係があるように構成して上記した制御を行っても良いが、複数のブロックに分割して交流関係を構成し、ブロック毎に上記した制御を行っても良い。