JP2004000210A - ゴマ青麦顆粒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】麦類緑葉とゴマとを組み合わせた、風味、保存安定性、美肌効果に優れた食品素材を提供すること。
【解決手段】麦類緑葉乾燥粉末とゴマと食物繊維とを適切な量で混合したゴマ青麦配合物を製造し、これを顆粒状に成形する。該混合工程において、麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの重量比が5:1〜1:2の割合で、かつゴマがゴマ青麦顆粒中で30重量%以下となるように混合される方法。さらに賦形剤を混合する工程を含む上記方法。又、前記麦類緑葉が大麦若葉である上記方法。
【選択図】 なし
【解決手段】麦類緑葉乾燥粉末とゴマと食物繊維とを適切な量で混合したゴマ青麦配合物を製造し、これを顆粒状に成形する。該混合工程において、麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの重量比が5:1〜1:2の割合で、かつゴマがゴマ青麦顆粒中で30重量%以下となるように混合される方法。さらに賦形剤を混合する工程を含む上記方法。又、前記麦類緑葉が大麦若葉である上記方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麦類およびゴマを含む顆粒の製造方法に関する。より詳細には、ゴマと麦類緑葉乾燥粉末とを配合した顆粒形態の処方物をはじめて提供するとともに、天然に含有する色彩および有効成分が失われずに保持され、そして保存安定性および嗜好性に優れた麦類と、脂質およびミネラルの豊富なゴマとを含む、食品用処方物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、野菜に含まれる食物繊維には、整腸作用などの効果が認められている。麦若葉末などの麦類緑葉の乾燥粉末は、食物繊維に富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼの活性化などの効果を有するとして、健康食品の素材として注目を浴びている。
【0003】
一方、ゴマは、昔から健康食品として知られている。その成分は、約50%は脂質であるが、タンパク質も約20%含み、また、鉄、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンEなどが豊富である。ゴマ独特の成分として、セサミノールがあり、その作用には、(1)過酸化脂質の生成を抑制し、老化およびガンを防ぐこと、(2)悪玉コレステロールの生成を防ぐこと、(3)アセトアルデヒドの分解を早め、肝臓の負担を軽減することなどが知られている。また、豊富に含まれる不飽和脂肪酸のリノール酸およびオレイン酸は、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防改善する。これらは、同時に含まれるビタミンEおよびセサミノールの働きで酸化されることなく摂取される。
【0004】
このような優れた食品素材は、これまでそれぞれ単独で用いられていた。しかし、単に、麦類緑葉とゴマとを混ぜ合わせるのみではなく、食品として利用しやすいような形態(例えば、顆粒)で組み合わせた食品素材は、これまでには存在しなかった。
【0005】
また、γ−アミノ酪酸(以下、GABAという)は、血圧降下作用を有することから、高血圧症患者のために、GABAを多く含有する食品の開発が検討されている。例えば、従来から、お茶の製造過程で、摘採した生葉を嫌気条件におき、茶葉中にGABAを多量に蓄積させた、いわゆるギャバロン茶が知られている。特開平8−173111号公報には、コーヒー生葉を無酸素状態で処理後、110℃以上の高温で熱処理、乾燥処理をする方法で、GABA濃度の高いコーヒー葉茶を得たことが記載されている。さらに、特開平9−205989号公報には、生葉に赤外線を照射してGABAの含量を向上させることが記載されている。
【0006】
そこで、食物繊維を多く含有する麦類緑葉、およびさらにミネラルおよびビタミンを多く含有するゴマの両方を兼ね備えた、栄養価の高い食品素材が提供されることが望ましい。また、これに、GABAのような薬効を有する成分が富化されている食品素材があれば、さらに望ましい。
【0007】
しかしながら、ゴマは他の食品素材と組合わせることが検討されているものの、ゴマは油分を多く含んでいるため、配合および造粒がうまくいかず、また、配合がうまくいっても配合比率に問題が生じて、所望の効果を発揮することができない場合が多い。また、食品としてそのまま補給する場合、飲みやすさという点で顆粒状のほうが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ゴマと食品素材がうまく配合され、かつ所望の効果またはそれ以上の効果を発揮する顆粒状の処方物が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、食品素材として開発された麦類緑葉乾燥粉末とゴマ粉末またはペースト状のゴマとの配合方法を種々検討した結果、顆粒状に処方できる方法を見出し、美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒が得られることを見出し、本発明を完成した。本発明のゴマと麦若葉末との顆粒状処方物は、それぞれを単独で摂取した場合と比較すると、相乗的に美肌効果を発揮するという、新たな効果を発揮する。
【0010】
本発明は、麦類緑葉乾燥粉末とゴマと食物繊維とを混合する工程および該混合物を造粒する工程を含む、風味、保存安定性、および美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒の製造方法であって、該混合工程において、麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの重量比が5:1〜1:2の割合で、かつゴマがゴマ青麦顆粒中に30重量%以下となるように混合される方法に関する。
【0011】
好ましい実施態様においては、前記ゴマが顆粒中に30重量%以下の量で含まれる。
【0012】
より好ましい実施態様においては、さらに食物繊維を混合する工程を含む。
【0013】
さらに好ましい実施態様においては、さらに賦形剤を混合する工程を含む。
【0014】
より好ましい実施態様においては、前記麦類緑葉が大麦若葉である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「麦類」とは、植物分類法においてイネ科植物として分類される植物のうち、麦に属する植物をいう。例えば、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
麦類緑葉を用いる場合、通常、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などの若葉が、緑葉として用いられるが、これらに限定されない。麦類緑葉は、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂開始前期(背丈が20〜40cm程度)に収穫されることが好ましい。これらの麦類緑葉の中でも、大麦若葉が、より好ましく用いられる。
【0017】
また、本明細書において、「麦類緑葉」という場合、麦類の葉のみならず、茎をも包含する。
【0018】
麦類緑葉(以下、単に、「緑葉」ということがある)は、収穫後直ちに処理することが好ましい。緑葉の処理までに時間を要する場合、緑葉の変質を防ぐために、低温貯蔵などの、当業者に公知の貯蔵手段により貯蔵され得る。
【0019】
上記緑葉を、必要に応じて、水(好ましくは25℃以下の冷水)で洗浄し、泥などを洗い落とし、水気を切った後、さらに必要に応じて、適当な長さ(例えば、約10cm)に切断する。
【0020】
次に、緑葉のブランチング処理を行う。ブランチング処理は、熱水で行い、熱水は、0.001〜1重量%の炭酸カルシウムを含んでいてもよい。炭酸カルシウムとしては、市販の炭酸カルシウム粉末が用いられるが、卵殻カルシウム、ホタテ殻カルシウム、サンゴカルシウム(ドロマイト)も用いられ得る。
【0021】
ブランチング処理の温度は、80〜110℃が好ましく、90〜105℃がより好ましい。
【0022】
ブランチング処理の時間(浸漬時間)は、30秒〜10分が好ましく、1〜5分がより好ましい。
【0023】
このブランチング処理により、緑葉を乾燥粉末にしたときに、褪色の原因となる酵素は完全に失活するので、乾燥粉末が鮮やかな緑色を保持する。また、嗜好性も保持される。
【0024】
続いて、上記ブランチング処理された緑葉は、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥される。この乾燥工程は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの、当業者が通常用いる任意の方法により行われ得る。乾燥は、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは70〜80℃で、緑葉が変色しない時間、行われる。
【0025】
得られた麦類緑葉乾燥粉末は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの、当業者に公知の任意の機械または道具により粉砕され、緑葉粉末が得られる。得られた緑葉粉末は、このままでも食品および医薬品の原料となり得るが、特定の粒子範囲を有する粉末であることが好ましい。例えば、好ましい緑葉粉末は、30メッシュ通過〜250メッシュ残留粉末である。緑葉粉末の粒径が250メッシュを通過する程度に小さい場合、食品素材、医薬品原料として加工する際、扱いにくくなるおそれがあり、他方、粒径が30メッシュに残留する程度に大きい場合、緑葉粉末と他の食品素材との均一な混合が妨げられるおそれがある。
【0026】
このようにして得られた、麦類緑葉乾燥粉末は、必要に応じて、例えば、気流殺菌、高圧殺菌、加熱処理などの、当業者が通常用いる任意の技術によって殺菌され得る。
【0027】
ブランチング処理に先立ち、麦類緑葉のγ−アミノ酪酸(以下、GABAという)の含量を高める処理(以下、GABA富化処理という)を行ってもよい。GABAは血圧降下作用を有するので、麦類緑葉の乾燥緑葉粉末に付加価値を与える。
【0028】
GABA富化処理にはいくつかの方法があるが、例えば、麦類緑葉を赤外線処理する、嫌気処理する、一定温度で保存する(保温処理)、グルタミン酸またはその塩あるいはこれらを含む食物(以下、「グルタミン酸など」という)と接触させる(以下、グルタミン酸処理という)などの方法が挙げられる。
【0029】
赤外線処理は、例えば、400W程度の赤外線照射装置を用いて、麦類緑葉の水分が蒸発しない様に密閉し、20〜50℃、好ましくは30〜45℃で、10分〜24時間、好ましくは1時間〜6時間保持することにより行われる。
【0030】
保温処理の方法は問わない。温水処理、温風処理、インキュベーター処理等が挙げられる。
【0031】
嫌気処理とは、ほとんど酸素を含まないか無酸素の気体で処理することを意味する。真空状態も含む。気体としては、窒素ガス、二酸化炭素が好ましく用いられる。保温処理および嫌気処理の時間は、10分〜24時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。保温処理および嫌気処理の温度は、約20〜50℃が好ましく、約30〜45℃がより好ましい。
【0032】
グルタミン酸処理もGABA含量を増加させる。グルタミン酸処理には、緑色植物をグルタミン酸などを含む溶液に浸漬する方法がある。グルタミン酸などは、好ましくは麦類緑葉に対して0.01〜40重量%、より好ましくは0.02〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%添加される。グルタミン酸塩としては、例えば、グルタミン酸ナトリウムなどの、当業者に公知のグルタミン酸塩が挙げられる。
【0033】
グルタミン酸処理は、通常約20〜50℃、好ましくは25〜45℃にて行われる。pHは通常3.5〜9.0、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは4.5〜7.0、最も好ましくは5.0〜6.0である。GABA富化処理の時間は、10分〜24時間行うのがよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0034】
さらに、必要に応じて、反応溶液にピリドキサールリン酸、食塩などの無機塩化物などを添加することにより、または、有機酸もしくはATPなどの阻害剤が反応系から取り除かれ、それによってGABA富化効率を高めることができる。
【0035】
無機塩化物としては、例えば、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの当業者が通常用いる無機塩化物が挙げられる。にがり、粗塩などを用いても良い。これらは、任意の濃度で添加され得るが、通常、終濃度が0.05〜20%、好ましくは0.1〜10%となるように添加される。例えば、100g(湿重量)の大麦の若葉を3%のグルタミン酸ナトリウム溶液(pH6.0)に30℃にて5時間浸漬した場合、塩化ナトリウムを終濃度で1重量%となるように添加すれば、添加しない場合と比較してGABAは3割程度増加される。
【0036】
熱水によるブランチング処理の代わりに、マイクロウェーブ照射処理を行ってもよい。マイクロウェーブ照射処理によって、GABA含有量、ビタミン類(特に水溶性ビタミン)、ミネラル類、葉緑素などの有効成分の経時的な減少が抑制され、しかも緑葉の鮮やかな緑色が褪色することおよび風味が変化することが抑制される。
【0037】
マイクロウェーブ照射処理は、褪色に関与する酵素を失活させて緑色を保持し得、そして過剰の照射による有効成分の消失が生じない範囲に留めることが望ましい。マイクロウェーブ照射処理は、照射装置の出力、マイクロウェーブの波長、照射時間、緑葉の種類および量によって、適宜調節すればよい。例えば、大麦若葉100g(湿重量)あたり、2450MHz、500Wのマイクロウェーブをあてる場合は、0.5〜10分、好ましくは0.5〜5分、より好ましくは0.5〜1分処理する。0.5分に満たない場合、酵素の失活が不十分で、褪色しやすくなる。また、10分以上処理すると有効成分が減少するおそれがある。しかし、減少したとしても、熱水によるブランチング処理よりもはるかにGABA含量は高い。
【0038】
麦若葉末に含まれるGABAの量は、その調製方法によって異なり、従来法(特許第2544302号)により調製された麦若葉末に含まれるGABAの量は、多くとも約10mg/100gである。これに対して、本発明におけるGABA富化処理を施した麦若葉末は、少なくとも20mg/100g以上のGABAを含み、通常50mg/100g以上、好ましくは200mg/100g以上、より好ましくは500mg/100g以上、さらには、1000mg/100g以上のGABAを含む。このようなGABAを多く含む麦若葉末を用いると血圧降下作用が期待される。
【0039】
本明細書において、「ゴマ」とは、植物分類法においてゴマ科に分類される植物の種子をいう。ゴマは、色によって、白ゴマ、黒ゴマ、茶ゴマなどがあるが、いずれを用いてもよい。白ゴマは油の含有量が多く、黒ゴマは風味が強いという特徴があり、用途に合わせて使用するゴマを決定すればよい。
【0040】
ゴマには、便秘を改善し、血行をよくし、顔色、肌のつやを良くするなどの効果を有しているうえ、鉄、カルシウムなどのミネラルも多く、ビタミンB1とEが豊富に含まれている。さらに、ゴマにはセサミノール、セサミン、セサモリンなどのリグナン類が多量に含まれている。これらの作用により、過酸化脂質の生成を抑え、老化やガンを防ぐ、悪玉コレステロールの生成を防ぐ、アセトアルデヒドの分解を早め、二日酔いを防止するとともに肝臓の負担を軽減するなどの効果が期待される。
【0041】
また、ゴマに含まれる不飽和脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸は、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防、改善する効果が期待される。
【0042】
ゴマは、殻を除去した生のゴマ種子を煎ったものまたは市販の煎りゴマを、粉砕したものまたはすりつぶしてペースト状にしたものか、あるいはペースト状の市販の練りゴマを用いてもよい。
【0043】
上記ゴマ青麦顆粒は、食物繊維をさらに含んでいてもよい。食物繊維を含有することにより、整腸作用が期待され、美肌効果がさらに向上するとともに、コレステロール低下作用も発揮される。
【0044】
本発明に用いられる食物繊維には特に制限はないが、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、サイリウム種皮、低分子アルギン酸ナトリウム、セルロース、グルコマンナン、ペクチン、グアーガム分解物、キトサン、コーンファイバー、アップルファイバー、パインファイバー、ビートファイバー、小麦フスマなどが挙げられる。
【0045】
麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの配合割合は、一般に重量比で10:1〜1:2が好ましい。この範囲を外れると、上記相乗効果が得られにくい。5:1〜1:2がより好ましく、3:1〜3:2がさらに好ましい。ゴマの配合割合が高くてもよいが、どちらかといえば、麦類緑葉乾燥粉末の配合割合が高いことが好ましい。
【0046】
食物繊維を配合する場合、ゴマに含有される油脂が食物繊維に吸収される場合があるので、食物繊維は、賦形剤として作用する場合もある。食物繊維は、ゴマと青麦の合計量100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは50〜200重量部配合される。
【0047】
一般に、ゴマは油脂の含量が高いので、単に麦類緑葉粉末と混合しただけでは成形しにくい。そのため、必要に応じて、賦形剤を添加することが好ましい。賦形剤としては、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、還元麦芽糖、乳糖などが挙げられるがこれらに限定されない。賦形剤としては、還元麦芽糖、または乳糖を用いることが好ましい。
【0048】
賦形剤は、ゴマと青麦の合計100重量部に対して、50〜300重量部、好ましくは100〜300重量部、より好ましくは150〜250重量部配合される。
【0049】
上記麦類緑葉粉末と、ゴマと、必要に応じて食物繊維と賦形剤とを、前記の割合となるように混合し、造粒することにより、ゴマ青麦顆粒が得られる。
【0050】
ゴマ青麦顆粒の製造においては、まず、配合すべき原料を配合してペースト状の配合物を得、これを造粒する工程が採用される。例えば、予め、麦類緑葉粉末と食物繊維と賦形剤とを混合しておいて、粉末状またはペースト状のゴマを徐々に添加しながら混合し、均一に分散させる。ゴマを最後に添加することにより、均一に分散しやすくなる。適当な時期に、例えば、配合の最後の段階で、水分を添加し、粘度を調整してもよい。混合は、例えば、混合機を用いて行われる。
【0051】
混合に際して、粉末状のゴマは配合物の全量に対して、30重量%以下になるように添加することが好ましい。30重量%を超えると、成形性、賦形性に劣り、油の分離などの問題が生じる。
【0052】
ペースト状のゴマは、配合物の全量に対して、10重量%以下になるように添加することが好ましい。10重量%を超えると、成形性、賦形性に劣り、油の分離などの問題が生じる。
【0053】
ゴマ青麦配合物の顆粒化は、例えば、麦類緑葉粉末、ペースト状の練りゴマまたは粉末状のゴマと、賦形剤として、乳糖および還元麦芽糖を加え、水を加えてよく混合する。これを、造粒機に充填して押し出す。押し出されたときに自然に切れたものまたは押し出された後に切断したものを整粒機にかけ、乾燥させて顆粒にする。
【0054】
乾燥は当業者が通常用いる乾燥方法が採用され、例えば、棚式乾燥、温風乾燥、熱風乾燥などが挙げられる。中でも、熱風乾燥が特に好ましい。乾燥は水分濃度が10%重量以下、好ましくは5重量%以下となるように行われる。乾燥温度は、90〜100℃が望ましい。乾燥後、冷却処理することが好ましい。冷却処理は除湿のため、急速冷却であることが好ましい。
【0055】
乾燥、冷却後、得られた顆粒状のゴマ青麦処方物を篩にかけ、例えば、6メッシュを通過するが42メッシュを通過しないものを選択し、食品素材としての製品とする。
【0056】
顆粒の粒径は、0.2〜2.5mm、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mmである。
【0057】
得られた顆粒状の処方物はそのまま食してもよく、水などに溶解してゴマ入り青汁として飲料としてもよい。
【0058】
【実施例】
以下の実施例は、例示を目的としたものであり、本発明の限定を意図しない。
(製造例1:麦若葉末の調製)
麦類緑葉として、背丈が約30cmで刈り取った二条大麦の若葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去した。この麦若葉を、約10cm程度に切断し、その100gを水1リットルに投入、浸漬し、90〜100℃にて3分間加熱(ブランチング処理)した。
【0059】
ブランチング処理した麦若葉を、直ちに4℃の冷水にて1分間浸漬し、冷却した。続いて、冷却した麦若葉を30秒間遠心分離して脱水した。脱水した麦若葉を、水分量が5%以下となるように乾燥機中、60℃にて10時間温風乾燥した後、粉砕機によって、200メッシュを90%が通過する程度に粉砕し、ブランチング処理した麦若葉末(麦若葉末A)を得た。
【0060】
(製造例2:GABA富化麦若葉末の調製)
製造例1と同様に切り揃えた大麦若葉(100g)を、ビニール袋に入れ、空気を抜いた後に窒素を充填した。これをインキュべーター内で40℃にて6時間静置して嫌気処理(GABA富化処理)した。次いで、GABA富化処理した麦若葉を電子レンジ(シャープ製 RE−121)を用いて1分間マイクロウェーブ処理した。これを水分含量が5%以下となるように、乾燥機で60℃にて10時間乾燥し、さらに石臼で200メッシュを90%が通過する程度に粉砕して大麦若葉末を得た。
【0061】
GABA富化処理を行わなかった大麦若葉についても同様に処理し、大麦若葉末を得た。GABA富化処理した麦若葉末(麦若葉末B)のGABA含量は約1350mg/100g、GABA富化処理を行わなかった麦若葉末(麦若葉末C)のGABA含量は約250mg/100gであった。
【0062】
実施例1〜5、比較例1〜2
上記製造例1および2で得られた麦若葉末を用いて、顆粒状のゴマ青麦処方物を調製した。すなわち、麦若葉末に市販のゴマ、食物繊維であるセルロースまたはパインファイバー、賦形剤として乳糖をミキサーに投入し、混合した。配合割合を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
まず、表1のゴマ以外の成分を、混合機に投入し、最後にゴマを添加して均一に混合し、適当量の水を加えた後、40秒から1分攪拌してペースト状にした。得られたペースト状の配合物を造粒機(バスケット型湿式造粒機RG−C300:(株)菊水製作所)に充填し、押し出し、整粒機にかけることによって、粒径約1.5mm程度の顆粒を得た。乾燥機中で、95℃にて15分間熱風乾燥した後、40℃の冷風で10分間冷却した。ついで、篩にかけて、6メッシュを通過するが42メッシュを通過しないものを選択し、金属探知機を用いて金属性の物質を検出し、磁気性の不純物をマグネットに吸着させて除き、ゴマ青麦顆粒を得た。
【0065】
得られた顆粒の造粒性を表2に示す。造粒性は、ゴマを含まない比較例1を基準として±で表し、目視により、造粒のしやすさの評価を行った。+が多いほど造粒しやすいことを示す。
【0066】
得られた顆粒状のゴマ青麦処方物をアルミパックに密封した。40℃、湿度70〜75%のインキュベーター中で1ヶ月静置したゴマ青麦処方物および冷暗所(10℃)に1ヶ月保存したゴマ青麦処方物を開封し、風味と緑色の変化について視覚的に色調を比較した。
【0067】
結果を表2に示す。表2において、aは冷暗所(10℃)に1ヶ月保存したゴマ青麦処方物を、bは40℃、湿度70〜75%のインキュベーター中で1ヶ月静置したゴマ青麦処方物をそれぞれ示す。それぞれの評価は、ゴマを含まない麦若葉末を基準(±)とし、+が多いほど、良好であることを示す。風味は、官能検査で測定した。
【0068】
【表2】
【0069】
表2の結果、比較例2は、ゴマをゴマ青麦顆粒30重量%を超えて(50重量%)添加したため、造粒性が悪かった。
【0070】
さらに、表2に示すように、実施例1〜5のゴマ青麦処方物は、GABAの含有量が異なる麦若葉末に係わらず、造粒性がよく、また、過酷な条件下で保存した場合でも油の浸出もなく、色も鮮やかな緑色を保持し、風味も変らなかった。これにより、本発明の製造方法が有用であることがわかる。
【0071】
つぎに、実施例1〜5、および比較例1〜2で得られたそれぞれのゴマ青麦処方物を、20〜60才の女性20人に、1回3g、1日2回(合計6g)、1ヶ月間試食してもらった。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
表3の結果は、大半の人が化粧ののりが良くなり、小じわが減少し、しみが薄くなる、肌のきめが細かくなるという美肌効果が得られたことを示している。このことは、ゴマと麦若葉末をそれぞれ単独で用いた場合に比較して、相乗的な効果が得られたことを示している。また、GABA含量を高めた処方物では、血圧降下作用も高められることが期待される。
【0074】
【発明の効果】
麦類緑葉とゴマとを、適切な割合で混合することにより、造粒性と保存安定性に優れ、美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒の製造方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、麦類およびゴマを含む顆粒の製造方法に関する。より詳細には、ゴマと麦類緑葉乾燥粉末とを配合した顆粒形態の処方物をはじめて提供するとともに、天然に含有する色彩および有効成分が失われずに保持され、そして保存安定性および嗜好性に優れた麦類と、脂質およびミネラルの豊富なゴマとを含む、食品用処方物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、野菜に含まれる食物繊維には、整腸作用などの効果が認められている。麦若葉末などの麦類緑葉の乾燥粉末は、食物繊維に富み、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキシドディスムターゼの活性化などの効果を有するとして、健康食品の素材として注目を浴びている。
【0003】
一方、ゴマは、昔から健康食品として知られている。その成分は、約50%は脂質であるが、タンパク質も約20%含み、また、鉄、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンEなどが豊富である。ゴマ独特の成分として、セサミノールがあり、その作用には、(1)過酸化脂質の生成を抑制し、老化およびガンを防ぐこと、(2)悪玉コレステロールの生成を防ぐこと、(3)アセトアルデヒドの分解を早め、肝臓の負担を軽減することなどが知られている。また、豊富に含まれる不飽和脂肪酸のリノール酸およびオレイン酸は、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防改善する。これらは、同時に含まれるビタミンEおよびセサミノールの働きで酸化されることなく摂取される。
【0004】
このような優れた食品素材は、これまでそれぞれ単独で用いられていた。しかし、単に、麦類緑葉とゴマとを混ぜ合わせるのみではなく、食品として利用しやすいような形態(例えば、顆粒)で組み合わせた食品素材は、これまでには存在しなかった。
【0005】
また、γ−アミノ酪酸(以下、GABAという)は、血圧降下作用を有することから、高血圧症患者のために、GABAを多く含有する食品の開発が検討されている。例えば、従来から、お茶の製造過程で、摘採した生葉を嫌気条件におき、茶葉中にGABAを多量に蓄積させた、いわゆるギャバロン茶が知られている。特開平8−173111号公報には、コーヒー生葉を無酸素状態で処理後、110℃以上の高温で熱処理、乾燥処理をする方法で、GABA濃度の高いコーヒー葉茶を得たことが記載されている。さらに、特開平9−205989号公報には、生葉に赤外線を照射してGABAの含量を向上させることが記載されている。
【0006】
そこで、食物繊維を多く含有する麦類緑葉、およびさらにミネラルおよびビタミンを多く含有するゴマの両方を兼ね備えた、栄養価の高い食品素材が提供されることが望ましい。また、これに、GABAのような薬効を有する成分が富化されている食品素材があれば、さらに望ましい。
【0007】
しかしながら、ゴマは他の食品素材と組合わせることが検討されているものの、ゴマは油分を多く含んでいるため、配合および造粒がうまくいかず、また、配合がうまくいっても配合比率に問題が生じて、所望の効果を発揮することができない場合が多い。また、食品としてそのまま補給する場合、飲みやすさという点で顆粒状のほうが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、ゴマと食品素材がうまく配合され、かつ所望の効果またはそれ以上の効果を発揮する顆粒状の処方物が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、食品素材として開発された麦類緑葉乾燥粉末とゴマ粉末またはペースト状のゴマとの配合方法を種々検討した結果、顆粒状に処方できる方法を見出し、美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒が得られることを見出し、本発明を完成した。本発明のゴマと麦若葉末との顆粒状処方物は、それぞれを単独で摂取した場合と比較すると、相乗的に美肌効果を発揮するという、新たな効果を発揮する。
【0010】
本発明は、麦類緑葉乾燥粉末とゴマと食物繊維とを混合する工程および該混合物を造粒する工程を含む、風味、保存安定性、および美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒の製造方法であって、該混合工程において、麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの重量比が5:1〜1:2の割合で、かつゴマがゴマ青麦顆粒中に30重量%以下となるように混合される方法に関する。
【0011】
好ましい実施態様においては、前記ゴマが顆粒中に30重量%以下の量で含まれる。
【0012】
より好ましい実施態様においては、さらに食物繊維を混合する工程を含む。
【0013】
さらに好ましい実施態様においては、さらに賦形剤を混合する工程を含む。
【0014】
より好ましい実施態様においては、前記麦類緑葉が大麦若葉である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「麦類」とは、植物分類法においてイネ科植物として分類される植物のうち、麦に属する植物をいう。例えば、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
麦類緑葉を用いる場合、通常、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などの若葉が、緑葉として用いられるが、これらに限定されない。麦類緑葉は、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂開始前期(背丈が20〜40cm程度)に収穫されることが好ましい。これらの麦類緑葉の中でも、大麦若葉が、より好ましく用いられる。
【0017】
また、本明細書において、「麦類緑葉」という場合、麦類の葉のみならず、茎をも包含する。
【0018】
麦類緑葉(以下、単に、「緑葉」ということがある)は、収穫後直ちに処理することが好ましい。緑葉の処理までに時間を要する場合、緑葉の変質を防ぐために、低温貯蔵などの、当業者に公知の貯蔵手段により貯蔵され得る。
【0019】
上記緑葉を、必要に応じて、水(好ましくは25℃以下の冷水)で洗浄し、泥などを洗い落とし、水気を切った後、さらに必要に応じて、適当な長さ(例えば、約10cm)に切断する。
【0020】
次に、緑葉のブランチング処理を行う。ブランチング処理は、熱水で行い、熱水は、0.001〜1重量%の炭酸カルシウムを含んでいてもよい。炭酸カルシウムとしては、市販の炭酸カルシウム粉末が用いられるが、卵殻カルシウム、ホタテ殻カルシウム、サンゴカルシウム(ドロマイト)も用いられ得る。
【0021】
ブランチング処理の温度は、80〜110℃が好ましく、90〜105℃がより好ましい。
【0022】
ブランチング処理の時間(浸漬時間)は、30秒〜10分が好ましく、1〜5分がより好ましい。
【0023】
このブランチング処理により、緑葉を乾燥粉末にしたときに、褪色の原因となる酵素は完全に失活するので、乾燥粉末が鮮やかな緑色を保持する。また、嗜好性も保持される。
【0024】
続いて、上記ブランチング処理された緑葉は、水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥される。この乾燥工程は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの、当業者が通常用いる任意の方法により行われ得る。乾燥は、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは70〜80℃で、緑葉が変色しない時間、行われる。
【0025】
得られた麦類緑葉乾燥粉末は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの、当業者に公知の任意の機械または道具により粉砕され、緑葉粉末が得られる。得られた緑葉粉末は、このままでも食品および医薬品の原料となり得るが、特定の粒子範囲を有する粉末であることが好ましい。例えば、好ましい緑葉粉末は、30メッシュ通過〜250メッシュ残留粉末である。緑葉粉末の粒径が250メッシュを通過する程度に小さい場合、食品素材、医薬品原料として加工する際、扱いにくくなるおそれがあり、他方、粒径が30メッシュに残留する程度に大きい場合、緑葉粉末と他の食品素材との均一な混合が妨げられるおそれがある。
【0026】
このようにして得られた、麦類緑葉乾燥粉末は、必要に応じて、例えば、気流殺菌、高圧殺菌、加熱処理などの、当業者が通常用いる任意の技術によって殺菌され得る。
【0027】
ブランチング処理に先立ち、麦類緑葉のγ−アミノ酪酸(以下、GABAという)の含量を高める処理(以下、GABA富化処理という)を行ってもよい。GABAは血圧降下作用を有するので、麦類緑葉の乾燥緑葉粉末に付加価値を与える。
【0028】
GABA富化処理にはいくつかの方法があるが、例えば、麦類緑葉を赤外線処理する、嫌気処理する、一定温度で保存する(保温処理)、グルタミン酸またはその塩あるいはこれらを含む食物(以下、「グルタミン酸など」という)と接触させる(以下、グルタミン酸処理という)などの方法が挙げられる。
【0029】
赤外線処理は、例えば、400W程度の赤外線照射装置を用いて、麦類緑葉の水分が蒸発しない様に密閉し、20〜50℃、好ましくは30〜45℃で、10分〜24時間、好ましくは1時間〜6時間保持することにより行われる。
【0030】
保温処理の方法は問わない。温水処理、温風処理、インキュベーター処理等が挙げられる。
【0031】
嫌気処理とは、ほとんど酸素を含まないか無酸素の気体で処理することを意味する。真空状態も含む。気体としては、窒素ガス、二酸化炭素が好ましく用いられる。保温処理および嫌気処理の時間は、10分〜24時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。保温処理および嫌気処理の温度は、約20〜50℃が好ましく、約30〜45℃がより好ましい。
【0032】
グルタミン酸処理もGABA含量を増加させる。グルタミン酸処理には、緑色植物をグルタミン酸などを含む溶液に浸漬する方法がある。グルタミン酸などは、好ましくは麦類緑葉に対して0.01〜40重量%、より好ましくは0.02〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%添加される。グルタミン酸塩としては、例えば、グルタミン酸ナトリウムなどの、当業者に公知のグルタミン酸塩が挙げられる。
【0033】
グルタミン酸処理は、通常約20〜50℃、好ましくは25〜45℃にて行われる。pHは通常3.5〜9.0、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは4.5〜7.0、最も好ましくは5.0〜6.0である。GABA富化処理の時間は、10分〜24時間行うのがよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0034】
さらに、必要に応じて、反応溶液にピリドキサールリン酸、食塩などの無機塩化物などを添加することにより、または、有機酸もしくはATPなどの阻害剤が反応系から取り除かれ、それによってGABA富化効率を高めることができる。
【0035】
無機塩化物としては、例えば、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの当業者が通常用いる無機塩化物が挙げられる。にがり、粗塩などを用いても良い。これらは、任意の濃度で添加され得るが、通常、終濃度が0.05〜20%、好ましくは0.1〜10%となるように添加される。例えば、100g(湿重量)の大麦の若葉を3%のグルタミン酸ナトリウム溶液(pH6.0)に30℃にて5時間浸漬した場合、塩化ナトリウムを終濃度で1重量%となるように添加すれば、添加しない場合と比較してGABAは3割程度増加される。
【0036】
熱水によるブランチング処理の代わりに、マイクロウェーブ照射処理を行ってもよい。マイクロウェーブ照射処理によって、GABA含有量、ビタミン類(特に水溶性ビタミン)、ミネラル類、葉緑素などの有効成分の経時的な減少が抑制され、しかも緑葉の鮮やかな緑色が褪色することおよび風味が変化することが抑制される。
【0037】
マイクロウェーブ照射処理は、褪色に関与する酵素を失活させて緑色を保持し得、そして過剰の照射による有効成分の消失が生じない範囲に留めることが望ましい。マイクロウェーブ照射処理は、照射装置の出力、マイクロウェーブの波長、照射時間、緑葉の種類および量によって、適宜調節すればよい。例えば、大麦若葉100g(湿重量)あたり、2450MHz、500Wのマイクロウェーブをあてる場合は、0.5〜10分、好ましくは0.5〜5分、より好ましくは0.5〜1分処理する。0.5分に満たない場合、酵素の失活が不十分で、褪色しやすくなる。また、10分以上処理すると有効成分が減少するおそれがある。しかし、減少したとしても、熱水によるブランチング処理よりもはるかにGABA含量は高い。
【0038】
麦若葉末に含まれるGABAの量は、その調製方法によって異なり、従来法(特許第2544302号)により調製された麦若葉末に含まれるGABAの量は、多くとも約10mg/100gである。これに対して、本発明におけるGABA富化処理を施した麦若葉末は、少なくとも20mg/100g以上のGABAを含み、通常50mg/100g以上、好ましくは200mg/100g以上、より好ましくは500mg/100g以上、さらには、1000mg/100g以上のGABAを含む。このようなGABAを多く含む麦若葉末を用いると血圧降下作用が期待される。
【0039】
本明細書において、「ゴマ」とは、植物分類法においてゴマ科に分類される植物の種子をいう。ゴマは、色によって、白ゴマ、黒ゴマ、茶ゴマなどがあるが、いずれを用いてもよい。白ゴマは油の含有量が多く、黒ゴマは風味が強いという特徴があり、用途に合わせて使用するゴマを決定すればよい。
【0040】
ゴマには、便秘を改善し、血行をよくし、顔色、肌のつやを良くするなどの効果を有しているうえ、鉄、カルシウムなどのミネラルも多く、ビタミンB1とEが豊富に含まれている。さらに、ゴマにはセサミノール、セサミン、セサモリンなどのリグナン類が多量に含まれている。これらの作用により、過酸化脂質の生成を抑え、老化やガンを防ぐ、悪玉コレステロールの生成を防ぐ、アセトアルデヒドの分解を早め、二日酔いを防止するとともに肝臓の負担を軽減するなどの効果が期待される。
【0041】
また、ゴマに含まれる不飽和脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸は、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防、改善する効果が期待される。
【0042】
ゴマは、殻を除去した生のゴマ種子を煎ったものまたは市販の煎りゴマを、粉砕したものまたはすりつぶしてペースト状にしたものか、あるいはペースト状の市販の練りゴマを用いてもよい。
【0043】
上記ゴマ青麦顆粒は、食物繊維をさらに含んでいてもよい。食物繊維を含有することにより、整腸作用が期待され、美肌効果がさらに向上するとともに、コレステロール低下作用も発揮される。
【0044】
本発明に用いられる食物繊維には特に制限はないが、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、サイリウム種皮、低分子アルギン酸ナトリウム、セルロース、グルコマンナン、ペクチン、グアーガム分解物、キトサン、コーンファイバー、アップルファイバー、パインファイバー、ビートファイバー、小麦フスマなどが挙げられる。
【0045】
麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの配合割合は、一般に重量比で10:1〜1:2が好ましい。この範囲を外れると、上記相乗効果が得られにくい。5:1〜1:2がより好ましく、3:1〜3:2がさらに好ましい。ゴマの配合割合が高くてもよいが、どちらかといえば、麦類緑葉乾燥粉末の配合割合が高いことが好ましい。
【0046】
食物繊維を配合する場合、ゴマに含有される油脂が食物繊維に吸収される場合があるので、食物繊維は、賦形剤として作用する場合もある。食物繊維は、ゴマと青麦の合計量100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは50〜200重量部配合される。
【0047】
一般に、ゴマは油脂の含量が高いので、単に麦類緑葉粉末と混合しただけでは成形しにくい。そのため、必要に応じて、賦形剤を添加することが好ましい。賦形剤としては、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、還元麦芽糖、乳糖などが挙げられるがこれらに限定されない。賦形剤としては、還元麦芽糖、または乳糖を用いることが好ましい。
【0048】
賦形剤は、ゴマと青麦の合計100重量部に対して、50〜300重量部、好ましくは100〜300重量部、より好ましくは150〜250重量部配合される。
【0049】
上記麦類緑葉粉末と、ゴマと、必要に応じて食物繊維と賦形剤とを、前記の割合となるように混合し、造粒することにより、ゴマ青麦顆粒が得られる。
【0050】
ゴマ青麦顆粒の製造においては、まず、配合すべき原料を配合してペースト状の配合物を得、これを造粒する工程が採用される。例えば、予め、麦類緑葉粉末と食物繊維と賦形剤とを混合しておいて、粉末状またはペースト状のゴマを徐々に添加しながら混合し、均一に分散させる。ゴマを最後に添加することにより、均一に分散しやすくなる。適当な時期に、例えば、配合の最後の段階で、水分を添加し、粘度を調整してもよい。混合は、例えば、混合機を用いて行われる。
【0051】
混合に際して、粉末状のゴマは配合物の全量に対して、30重量%以下になるように添加することが好ましい。30重量%を超えると、成形性、賦形性に劣り、油の分離などの問題が生じる。
【0052】
ペースト状のゴマは、配合物の全量に対して、10重量%以下になるように添加することが好ましい。10重量%を超えると、成形性、賦形性に劣り、油の分離などの問題が生じる。
【0053】
ゴマ青麦配合物の顆粒化は、例えば、麦類緑葉粉末、ペースト状の練りゴマまたは粉末状のゴマと、賦形剤として、乳糖および還元麦芽糖を加え、水を加えてよく混合する。これを、造粒機に充填して押し出す。押し出されたときに自然に切れたものまたは押し出された後に切断したものを整粒機にかけ、乾燥させて顆粒にする。
【0054】
乾燥は当業者が通常用いる乾燥方法が採用され、例えば、棚式乾燥、温風乾燥、熱風乾燥などが挙げられる。中でも、熱風乾燥が特に好ましい。乾燥は水分濃度が10%重量以下、好ましくは5重量%以下となるように行われる。乾燥温度は、90〜100℃が望ましい。乾燥後、冷却処理することが好ましい。冷却処理は除湿のため、急速冷却であることが好ましい。
【0055】
乾燥、冷却後、得られた顆粒状のゴマ青麦処方物を篩にかけ、例えば、6メッシュを通過するが42メッシュを通過しないものを選択し、食品素材としての製品とする。
【0056】
顆粒の粒径は、0.2〜2.5mm、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mmである。
【0057】
得られた顆粒状の処方物はそのまま食してもよく、水などに溶解してゴマ入り青汁として飲料としてもよい。
【0058】
【実施例】
以下の実施例は、例示を目的としたものであり、本発明の限定を意図しない。
(製造例1:麦若葉末の調製)
麦類緑葉として、背丈が約30cmで刈り取った二条大麦の若葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去した。この麦若葉を、約10cm程度に切断し、その100gを水1リットルに投入、浸漬し、90〜100℃にて3分間加熱(ブランチング処理)した。
【0059】
ブランチング処理した麦若葉を、直ちに4℃の冷水にて1分間浸漬し、冷却した。続いて、冷却した麦若葉を30秒間遠心分離して脱水した。脱水した麦若葉を、水分量が5%以下となるように乾燥機中、60℃にて10時間温風乾燥した後、粉砕機によって、200メッシュを90%が通過する程度に粉砕し、ブランチング処理した麦若葉末(麦若葉末A)を得た。
【0060】
(製造例2:GABA富化麦若葉末の調製)
製造例1と同様に切り揃えた大麦若葉(100g)を、ビニール袋に入れ、空気を抜いた後に窒素を充填した。これをインキュべーター内で40℃にて6時間静置して嫌気処理(GABA富化処理)した。次いで、GABA富化処理した麦若葉を電子レンジ(シャープ製 RE−121)を用いて1分間マイクロウェーブ処理した。これを水分含量が5%以下となるように、乾燥機で60℃にて10時間乾燥し、さらに石臼で200メッシュを90%が通過する程度に粉砕して大麦若葉末を得た。
【0061】
GABA富化処理を行わなかった大麦若葉についても同様に処理し、大麦若葉末を得た。GABA富化処理した麦若葉末(麦若葉末B)のGABA含量は約1350mg/100g、GABA富化処理を行わなかった麦若葉末(麦若葉末C)のGABA含量は約250mg/100gであった。
【0062】
実施例1〜5、比較例1〜2
上記製造例1および2で得られた麦若葉末を用いて、顆粒状のゴマ青麦処方物を調製した。すなわち、麦若葉末に市販のゴマ、食物繊維であるセルロースまたはパインファイバー、賦形剤として乳糖をミキサーに投入し、混合した。配合割合を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
まず、表1のゴマ以外の成分を、混合機に投入し、最後にゴマを添加して均一に混合し、適当量の水を加えた後、40秒から1分攪拌してペースト状にした。得られたペースト状の配合物を造粒機(バスケット型湿式造粒機RG−C300:(株)菊水製作所)に充填し、押し出し、整粒機にかけることによって、粒径約1.5mm程度の顆粒を得た。乾燥機中で、95℃にて15分間熱風乾燥した後、40℃の冷風で10分間冷却した。ついで、篩にかけて、6メッシュを通過するが42メッシュを通過しないものを選択し、金属探知機を用いて金属性の物質を検出し、磁気性の不純物をマグネットに吸着させて除き、ゴマ青麦顆粒を得た。
【0065】
得られた顆粒の造粒性を表2に示す。造粒性は、ゴマを含まない比較例1を基準として±で表し、目視により、造粒のしやすさの評価を行った。+が多いほど造粒しやすいことを示す。
【0066】
得られた顆粒状のゴマ青麦処方物をアルミパックに密封した。40℃、湿度70〜75%のインキュベーター中で1ヶ月静置したゴマ青麦処方物および冷暗所(10℃)に1ヶ月保存したゴマ青麦処方物を開封し、風味と緑色の変化について視覚的に色調を比較した。
【0067】
結果を表2に示す。表2において、aは冷暗所(10℃)に1ヶ月保存したゴマ青麦処方物を、bは40℃、湿度70〜75%のインキュベーター中で1ヶ月静置したゴマ青麦処方物をそれぞれ示す。それぞれの評価は、ゴマを含まない麦若葉末を基準(±)とし、+が多いほど、良好であることを示す。風味は、官能検査で測定した。
【0068】
【表2】
【0069】
表2の結果、比較例2は、ゴマをゴマ青麦顆粒30重量%を超えて(50重量%)添加したため、造粒性が悪かった。
【0070】
さらに、表2に示すように、実施例1〜5のゴマ青麦処方物は、GABAの含有量が異なる麦若葉末に係わらず、造粒性がよく、また、過酷な条件下で保存した場合でも油の浸出もなく、色も鮮やかな緑色を保持し、風味も変らなかった。これにより、本発明の製造方法が有用であることがわかる。
【0071】
つぎに、実施例1〜5、および比較例1〜2で得られたそれぞれのゴマ青麦処方物を、20〜60才の女性20人に、1回3g、1日2回(合計6g)、1ヶ月間試食してもらった。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
表3の結果は、大半の人が化粧ののりが良くなり、小じわが減少し、しみが薄くなる、肌のきめが細かくなるという美肌効果が得られたことを示している。このことは、ゴマと麦若葉末をそれぞれ単独で用いた場合に比較して、相乗的な効果が得られたことを示している。また、GABA含量を高めた処方物では、血圧降下作用も高められることが期待される。
【0074】
【発明の効果】
麦類緑葉とゴマとを、適切な割合で混合することにより、造粒性と保存安定性に優れ、美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒の製造方法が提供される。
Claims (3)
- 麦類緑葉乾燥粉末とゴマと食物繊維とを混合する工程および該混合物を造粒する工程を含む、風味、保存安定性、および美肌効果に優れたゴマ青麦顆粒の製造方法であって、該混合工程において、麦類緑葉乾燥粉末とゴマとの重量比が5:1〜1:2の割合で、かつゴマがゴマ青麦顆粒中に30重量%以下となるように混合される、方法。
- さらに賦形剤を混合する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記麦類緑葉が大麦若葉である、請求項1または2に記載の方法。
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Cited By (3)
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JP5118032B2 (ja) * | 2006-06-16 | 2013-01-16 | 日清オイリオグループ株式会社 | γ−アミノ酪酸又はγ−アミノ酪酸含有組成物の製造方法 |
JP2019216748A (ja) * | 2018-05-17 | 2019-12-26 | 大正製薬株式会社 | 固形物 |
JP2020010625A (ja) * | 2018-07-17 | 2020-01-23 | 有限会社粉川 | 吸水・吸油剤及びその製造方法 |
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2003
- 2003-04-24 JP JP2003119222A patent/JP2004000210A/ja active Pending
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