JP2003532853A - 弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、弁（１０）であって、弁ハウジング（１２）と、少なくとも１つの流入通路（１４）と、少なくとも１つの流出通路（１６）と、可動の往復動ロッド（２８）とが設けられていて、該往復動ロッド（２８）の一方の端部がアクチュエータ（６８）に突入しており、さらに該往復動ロッド（２８）に装着固定された少なくとも１つの弁部材（３０）と、該弁部材（３０）と協働する少なくとも１つの弁座（２０）とが設けられている形式のものに関する。本発明によれば、前記少なくとも１つの弁部材（３０）が、前記少なくとも１つの流出通路（１６）の開放時に当該弁（１０）の弁ハウジング（１２）から進出することが提案される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載の形式の弁から出発する。

【０００２】 このような形式の弁は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７５３
５７５号明細書に基づき公知である。ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７５
３５７５号明細書に記載の弁は、液体制御式の暖房設備もしくは冷房設備に用い
られる磁気的なバイパス弁である。弁の往復動ロッドに固定された２つの弁部材
が、１つの流入通路と２つの流出通路との間の通流を制御する。この場合、両流
出通路のうちの一方の流出通路が、暖房回路もしくは冷房回路におけるバイパス
通路の機能を引き受ける。上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７５３５７
５号明細書に記載の弁の欠点は、当該弁の大きな構成長さであり、このような大
きな構成長さは当該弁のための相応して大きな組込みスペースを必要としてしま
う。

【０００３】 上記ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９７５３５７５号明細書に記載の弁の
別の欠点は、通流を制御する弁部材が、このような形式の弁ではそれ自体、弁内
部の流れを妨害する障害物として作用し、こうして弁座の範囲における流過横断
面に影響を与えてしまうことである。このような問題を解決するために可能とな
る公知の手段は、弁の流出通路の直径を増大させることである。流出通路のこの
ような直径増大は、やはり弁のために必要となる組込み容積の増大を意味する。
さらにこれに加えて、当該弁の流入通路と流出通路とが互いに異なる直径を有す
ることになるという不都合も生じる。これにより、当該弁のために種々異なる接
続ホースが使用されなければならなくなり、このことはシステムを必要以上に複
雑化してしまう。

【０００４】 このような接続直径の問題を取り除こうとする場合、もちろん、弁部材の周囲
に形成される流過横断面を一定に保持するために流出通路の直径をまず増大させ
、そして引き続きこの直径を再び所望のホース直径にまで減径させることも考え
られる。このような極めて面倒な手段が、手間のかかる構造、ひいてはコストの
かかる構造を意味することは別として、このような手段により、再び当該弁の構
成長さが増大されざるを得なくなり、ひいては自明の結果として当該弁の組込み
容積も増大してしまう。

【０００５】 当該弁の流過横断面の上記調整手段は面倒でかつ手間のかかるものであり、ひ
いては大量生産のためには高価になり過ぎる。

【０００６】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載の特徴を有する本発明による弁には、とりわけ次のよ
うな利点がある。すなわち、当該弁の構成長さ、ひいてはこれに関連して当該弁
の組込み容積を減少させることができる。

【０００７】 提案された本発明による弁は、弁円錐体が弁ハウジングから進出するように、
つまり弁ハウジングから突き出るように開く。これによって、第１に弁の構成長
さの減少が得られると同時に、第２に弁円錐体の範囲における流過直径の直径増
大を実現することが可能となる。これまで弁における流過横断面を適合させるた
めに必要とされていた、弁ハウジング内部での手間のかかる横断面調整は不要と
なる。

【０００８】 請求項２以下に記載の手段により、請求項１に記載の弁の有利な改良が可能と
なる。

【０００９】 本発明による弁の弁座は弁ハウジングの一方の端部に設けられていると有利で
ある。これにより、弁部材は弁の開放時に弁ハウジングから進出運動すると同時
に、存在する接続ホース内へ進入運動することができる。

【００１０】 各システムの別のコンポーネントに通じた弁の接続ホースは、本発明による弁
では、弁の開放時に弁部材に所要のスペースを与えるために使用される。すなわ
ち、本発明による弁が開くと、弁部材は弁ハウジングから進出し、そして流出通
路に被せ嵌められた接続ホース内へ進入する。流出通路に装着された接続ホース
は横断面増大部を提供しており、このような横断面増大部は本発明による弁では
、開放された弁部材の範囲に、相応して増大された流れ容積を提供するために使
用される。すなわち、当該弁を通って流れる媒体の流過横断面（Ｓｔｒｏｅｍｕ
ｎｇｓｑｕｅｒｓｃｈｎｉｔｔ）が弁部材の範囲でも、弁部材手前側もしくは弁
部材上流側の流過横断面にほぼ等しく形成されることを達成することができる。
当該弁の、こうしてほぼ一定となる流れ容積は、弁による圧力降下を最小限に抑
える。弁を境にした過度に大きな圧力降下は回避されなければならない。

【００１１】 弁ハウジング自体では流れ容積の適合を行わなくて済むので、弁の構造を比較
的単純に保持することができる。特に、弁部材の範囲における流過横断面を増大
させるために弁の流出通路直径を増大させることを実施しなくて済むようになる
。このことは弁の著しい単純化を意味する。なぜならば、接続横断面を適合させ
るために引き続き新たに必要となる流出通路直径の減径を同じく不要にすること
ができるからである。こうして、本発明による弁は単一直径のホース材料を使用
することを可能にするか、もしくはやはり弁による圧力変化を招く恐れのある、
手間とコストのかかる横断面適合を不要にする。

【００１２】 弁の弁座は弁ハウジングに一体に成形することができる。このことは構造の付
加的な単純化を意味し、ひいては本発明による弁の生産コストの一層の低減をも
意味する。特に弁座は弁ハウジングの端部に配置されていてよい。その場合、弁
部材の構成に応じて、弁部材は弁の開放時に弁ハウジングから多かれ少なかれ進
出するか、または極端な場合には全く進出しなくなる。

【００１３】 したがって、弁円錐体の周囲の媒体流過において必要となる、弁通路直径の増
大を接続ホース内へずらした本発明による弁は、所要の流過横断面を保証すると
同時に、弁構成長さの減少をも保証する。

【００１４】 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１５】 実施例の説明 図１に横断面図で示した本発明による弁１０は、弁ハウジング１２を有してい
る。この弁ハウジング１２内には、流入通路１４と、第１の流出通路１６と、第
２の流出通路１８とが通じている。弁ハウジング１２は図示の実施例では、２つ
の弁座２０，２２を保持している。弁１０の弁座２０もしくは弁座２２は、図示
の実施例では弁ハウジング１２から一体に成形されていて、各１つの弁開口２４
；２６を有している。本発明による弁１０の両弁座２０，２２の間では、流入通
路１４が弁ハウジング１２に開口している。弁開口２４は流入通路１４を第１の
流出通路１６と接続ホース２７とに接続している。この接続ホース２７は弁開口
２４に被せ嵌められていて、弁１０の第１の流出通路１６を延長している。弁開
口２６は流入通路１４を第２の流出通路１８に接続している。

【００１６】 弁ハウジング１２を貫いて、往復動ロッド２８が案内されている。この往復動
ロッド２８は第１の弁部材３０、つまり図１で見て下側の弁部材を備えている。
この第１の弁部材３０は第１の流出通路１６内で、弁座２０の、流入通路１４か
ら離反した側に位置している。第１の弁部材３０は、この第１の弁部材３０の、
流入通路１４から遠い方の側に設けられた下側のシール円錐体３４と、第１の弁
部材３０の、流入通路１４寄りの側に設けられた上側のシール円錐体３８とから
成っている。第１の弁部材３０の両シール円錐体３４，３８の間には、弾性的な
シール部材３６が嵌め込まれている。第１の弁部材３０は弁ハウジング１２に設
けられた弁座２０と協働して、第１の流出通路１６を制御する。すなわち、第１
の流出通路１６は、たとえば、第１の弁部材３０のシール部材３６が弁座２０に
しっかりと載着している場合には、図１に図示したように閉じられている。第１
の弁部材３０は本発明による弁の構成では、位置固定ディスク４６によって往復
動ロッド２８に対して位置固定されている。また、往復動ロッド２８に設けられ
た溝内に下側のシール円錐体３４をかしめるか、または往復動ロッド２８の材料
を第１の弁部材３０に圧着するように押しずらすことによっても、第１の弁部材
３０の固定が可能となる。

【００１７】 往復動ロッド２８は、弁座２２の、流入通路１４から離反した方の側に第２の
弁部材３２を保持している。流入通路１４と第２の流出通路１８との間の接続を
制御する第２の弁部材３２は、同じく流入通路１４寄りの下側のシール円錐体４
０と、第２の流出通路１８寄りの上側のシール円錐体４４とから成っている。第
２の弁部材３２の両シール円錐体４０，４４の間には、弾性的なシール部材４２
が嵌め込まれている。

【００１８】 往復動ロッド２８の、第１の弁部材３０が位置する側とは反対の側の端部、つ
まり図１で見て上側の端部は、往復動ロッド２８に接触したシールカップもしく
はシールスリーブ（Ｄｉｃｈｔｍａｎｓｃｈｅｔｔｅ）４８と、支持壁５０とを
通じて弁ハウジング１２から導出されていて、コイルハウジング５２内に突入し
ている。

【００１９】 コイルハウジング５２内には、コイル枠体５８に巻き付けられた巻線５６を備
えた電磁的なコイル５４と、マグネットコア６０とが設けられている。往復動ロ
ッド２８の、コイルハウジング５２内へ導入された端部は、可動子もしくはアー
マチュア６２を保持している。このアーマチュア６２は往復動ロッド２８に固く
結合されていて、往復動ロッド２８と共に軸方向で、コイル５４の内部に設けら
れたアーマチュアガイド６４内を運動可能である。アーマチュア６２には、支持
ばね６６が取り付けられており、この支持ばね６６はコイル５４のマグネットコ
ア６０に作用している。アーマチュア６２と、このアーマチュア６２内に固定さ
れた往復動ロッド２８とは、コイル５４の巻線５６によって取り囲まれている。
電磁的なコイル５４は、コイル５４の巻線５６を通って流れる電流および往復動
ロッド２８に固定されたアーマチュア６２と相まって、本実施例における弁１０
のアクチュエータ６８を形成している。コイル５４の巻線５６を通って流れる電
流に応じて、アーマチュア６２ひいてはこのアーマチュア６２に固定された往復
動ロッド２８に設けられた両弁部材３０，３２は、弁１０の種々異なる切換位置
をとる。往復動ロッド２８のアーマチュア側の端部と、この端部を取り囲むコイ
ル５４とは、コイルハウジング５２によって外部に対して位置固定されている。
アーマチュアガイド６４とコイル枠体５８とは、Ｏリング７０によってコイルハ
ウジング５２に対してシールされている。コイルハウジング５２は支持壁５０を
介して弁ハウジング１２に固定されている。

【００２０】 図２には、第１の流出通路１６が開かれた状態で本発明による弁１０の横断面
の一部が図示されている。流入通路１４と第１の流出通路１６とが図示されてい
る。また、弁部材３０を備えた往復動ロッド２８の、アクチュエータ６８とは反
対の側の下側の端部も見えている。

【００２１】 弁部材３０のシール部材３６は本発明による弁１０の図示の状態では、アクチ
ュエータ６８の操作によって、弁ハウジング１２の端部に直接に形成されている
弁座２０から引き離されていて、弁開口２４を開放している。往復動ロッド２８
に固定された弁部材３０は第１の流出通路１６から進出し、ひいては全体的に弁
１０の弁ハウジング１２から進出して、接続ホース２７内へ案内され、この場合
、この実施例では第１の流出通路１６に被せ嵌められている接続ホース２７の、
より大きな横断面に基づき、弁部材３０の周囲に、より大きな流過横断面が形成
されることが可能となる。第１の流出通路１６を閉鎖するためには、弁部材３０
が再び接続ホース２７から、弁１０の弁ハウジング１２の内側に形成された弁座
２０にまで引き戻される。

【００２２】 本発明は、２つの弁部材を備えた電磁式の弁につき説明した上記実施例に限定
されるものではない。

【００２３】 本発明は、１つの流出通路しか有しず、ひいては往復動ロッドに１つの弁部材
しか保持していない弁においても、同じく有利に実現され得る。弁ハウジング自
体は別の実施例では、付加的になお特別に加工成形された弁室を有していてもよ
い。また、本発明による弁は電磁式のアクチュエータの使用に束縛されるもので
もない。

【００２４】 本発明による弁は、弁ハウジングに一体に形成された弁座の使用に限定される
ものではない。弁座の形状および材料も、弁部材の形状および材料も、本発明に
よる弁の別の実施例では種々様々に選択することができる。

【００２５】 また、本発明による弁のためには、上記実施例で説明した接続手段とは異なる
接続手段も考えられる。本発明による弁は接続ホースの使用に限定されるもので
はない。すなわち、弁部材は、流出通路にたとえばフランジ締結された取付け部
材に直接に進入することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による弁の横断面図である。

【図２】 図１に示した本発明による弁の一部を、開放された弁位置で示す横断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ 弁、 １２ 弁ハウジング、 １４ 流入通路、 １６ 第１の流出通
路、 １８ 第２の流出通路、 ２０，２２ 弁座、 ２４，２６ 弁開口、
２７ 接続ホース、 ２８ 往復動ロッド、 ３０ 第１の弁部材、 ３２ 第
２の弁部材、 ３４ シール円錐体、 ３６ シール部材、 ３８ シール円錐
体、 ４０ シール円錐体、 ４２ シール部材、 ４４ シール円錐体、 ４
６ 位置固定ディスク、 ４８ シールスリーブ、 ５０ 支持壁、 ５２ コ
イルハウジング、 ５４ コイル、 ５６ 巻線、 ５８ コイル枠体、 ６０
マグネットコア、 ６２ アーマチュア、 ６４ アーマチュアガイド、 ６
６ 支持ばね、 ６８ アクチュエータ、 ７０ Ｏリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ， ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ， ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，Ｓ Ｌ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ Ｆターム(参考） 3H067 AA03 BB02 BB12 CC02 CC11 CC21 CC32 DD05 DD12 DD32 EA32 ED02 FF11 3H106 DA08 DA23 DB02 DB12 DB23 DB32 DC02 DC18 DD04 EE34 EE36 GD03

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁（１０）であって、弁ハウジング（１２）と、少なくとも
   １つの流入通路（１４）と、少なくとも１つの流出通路（１６）と、可動の往復
   動ロッド（２８）とが設けられていて、該往復動ロッド（２８）の一方の端部が
   アクチュエータ（６８）に突入しており、さらに該往復動ロッド（２８）に装着
   固定された少なくとも１つの弁部材（３０）と、該弁部材（３０）と協働する少
   なくとも１つの弁座（２０）とが設けられている形式のものにおいて、前記少な
   くとも１つの弁部材（３０）が、当該弁（１０）の開放時に弁ハウジング（１２
   ）から進出するようになっていることを特徴とする弁。
2. 【請求項２】 前記少なくとも１つの弁部材（３０）が、当該弁（１０）の
   開放時に、当該弁（１０）の、弁ハウジング（１２）に結合された接続管路（２
   ７）内へ進入するようになっている、請求項１記載の弁。
3. 【請求項３】 当該弁（１０）を通って流れる媒体の流過横断面が前記少な
   くとも１つの弁部材（３０）の上流側と下流側とでほぼ等しくなる程度に、前記
   少なくとも１つの弁部材（３０）が当該弁（１０）の開放時に弁ハウジング（１
   ２）から進出しかつ当該弁（１０）の流出通路（１６）に装着された接続管路（
   ２７）内へ進入するようになっている、請求項２記載の弁。
4. 【請求項４】 当該弁（１０）の流入通路（１４）の直径と、流出通路（１
   ６）の直径とが、ほぼ等しい大きさに形成されている、請求項１から３までのい
   ずれか１項記載の弁。
5. 【請求項５】 前記少なくとも１つの弁部材（３０）の弁座（２０）が、弁
   ハウジング（１２）に一体に成形されている、請求項４記載の弁。
6. 【請求項６】 弁ハウジング（１２）が第２の流出通路（１８）を有してお
   り、該第２の流出通路（１８）が、該第２の流出通路（１８）に対応する弁部材
   （３２）と弁座（２２）とを備えている、請求項１から５までのいずれか１項記
   載の弁。
7. 【請求項７】 当該弁（１０）の第２の流出通路（１８）の直径が、当該弁
   （１０）の流入通路（１４）の直径に等しく形成されている、請求項６記載の弁
   。
8. 【請求項８】 当該弁（１０）が、磁気的なアクチュエータ（６８）を有し
   ている、請求項１から７までのいずれか１項記載の弁。
9. 【請求項９】 当該弁（１０）が、暖房設備および／または冷房設備の循環
   路の水側の制御部に所属している、請求項１から８までのいずれか１項記載の弁
   。
10. 【請求項１０】 請求項１の上位概念部に記載の形式の弁において、前記少
    なくとも１つの弁部材（３０）の弁座（２０）が、弁ハウジング（１２）の一端
    に配置されていることを特徴とする、特に請求項１から９までのいずれか１項記
    載の弁。