JP2003532623A - 抗脈管形成性アンジオテンシン−7およびそれをコードするポリヌクレオチドを使用することによる脈管形成の調節方法 - Google Patents

抗脈管形成性アンジオテンシン−7およびそれをコードするポリヌクレオチドを使用することによる脈管形成の調節方法

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JP2003532623A JP2001508221A JP2001508221A JP2003532623A JP 2003532623 A JP2003532623 A JP 2003532623A JP 2001508221 A JP2001508221 A JP 2001508221A JP 2001508221 A JP2001508221 A JP 2001508221A JP 2003532623 A JP2003532623 A JP 2003532623A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、被験体に抗脈管形成性のAng−7ポリペプチドを投与することによる脈管形成の調節方法を提供する。抗脈管形成性のANG−7核酸を投与することによる脈管形成の調節方法もまた提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 分化された細胞および組織の発生、維持および修復の原因である細胞の挙動は
、大部分が、増殖因子および他のリガンドならびにそれらの受容体を介して運搬
される細胞内シグナルにより調節される。これらの細胞内シグナル伝達分子の受
容体は、応答する細胞の細胞表面上に配置される。増殖因子および他のリガンド
は受容体に結合し、それにより細胞膜を横断するシグナルの伝達を引き起こす。
こうしたシグナル伝達は、孔形成およびリン酸化を包含する多くの様式により起
こることができる。チロシンキナーゼによるタンパク質上のチロシンのリン酸化
は、それによりシグナルが細胞膜を横断して伝達される重要な様式の1つである
。事実、数種の現在既知のタンパク質チロシンキナーゼ遺伝子は、ポリペプチド
の増殖因子およびホルモンの膜貫通受容体をコードする。
【0002】 脈管形成は、一般に、成長因子および他のリガンドにより大いに調節されると
考えられている。脈管形成、ならびに同時発生の組織の発生および再生は、内皮
細胞の増殖、移動、分化および生存のしっかりと制御される過程に依存する。刺
激物質および阻害物質双方のリガンドが、これらの過程の間に細胞の受容体と直
接もしくは間接的に相互作用するようである。脈管形成は、内皮細胞および白血
球により放出される酵素による基底膜の糜爛で開始する。その後、血管の内腔の
内側を覆う内皮細胞が基底膜を通って突出する。脈管形成刺激物質は、内皮細胞
が糜爛された基底膜を通って移動することを誘導する。移動する細胞がその後、
親血管から「新芽」を形成し、ここで内皮細胞は有糸分裂を受けかつ増殖する。
内皮の新芽は相互と合流して毛細管ループを形成し、新たな血管を創製する。
【0003】 内皮細胞の調節に関与するリガンドおよび受容体は解明されることを開始して
いる。とりわけ、内皮増殖因子の受容体およびそれらのキナーゼが発見されてい
る。例えば、内皮細胞の膜貫通チロシンキナーゼをコードする遺伝子がPart
anenら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8913
−17(1990))により記述された。この遺伝子およびそのコードされるタ
ンパク質は「TIE」と呼ばれ、これは、「IgおよびEGF相同性ドメインを
もつチロシンキナーゼ(tyrosine kinase with Ig a
nd EGF homology domains)」の略語である。(Par
tanenら、Mol.Cell.Biol.12:1698−1707(19
92);国際特許公開第WO 99/15653号明細書を参照されたい。)高
められたTIE発現は、新生血管形成の間に、発生する卵胞および皮膚創傷中の
顆粒組織に関連することが示された。(Korhonenら、Blood 80
:2548−2555(1992)を参照されたい。)従って、TIEタンパク
質は脈管形成である役割を担うことがありそうである。
【0004】 2種の構造的に関係したラットTIE受容体様チロシンキナーゼ、TIE−1
およびTIE−2が報告され;これらの受容体は別個の遺伝子によりコードされ
る。(Maisonpierreら、Oncogene 8:1631−7(1
993)を参照されたい。)双方の遺伝子は、胚および生後組織の内皮細胞中で
広範に発現されることが見出された。かなりのレベルのTIE−2転写物が、水
晶体上皮、心外膜および間葉の領域を包含する他の胚細胞集団中にもまた存在し
た。(Maisonpierreら、上記を参照されたい。)血管内皮における
TIE受容体の優勢な発現は、TIEが血管系の発生および維持、ならびにとり
わけ脈管形成である役割を担っていることを示唆する。
【0005】 TIE受容体のリガンドもまた特徴づけられている。2種のTIE−2結合リ
ガンド、アンジオポエチン(angiopoietin)−1(Ang−1)お
よびアンジオポエチン−2(Ang−2)が同定されている。Ang−1ポリペ
プチドはTIE−2受容体チロシンキナーゼと相互作用する。(Maisonp
ierreら、Science 277:55−60(1997)を参照された
い。)Ang−2ポリペプチドはAng−1ポリペプチドに拮抗的であり、活性
化するリガンドの結合を予防しかつTIE−2キナーゼ活性および自己リン酸化
を刺激するその能力を封鎖する。しかしながらAng−1およびAng−2はT
IE−1を結合しない。Ang−1およびAng−2は約60%同一であり;こ
れらのポリペプチドのアミノ酸配列は、N末端のコイルドコイル領域およびC末
端のフィブリノーゲン様ドメインと類似のドメイン構造を共有する。ノーザン(
RNA)分析は、ANG−1 RNAが極めて広範に発現されること、しかしA
NG−2 RNAの発現が非常に制限されることを示す。ANG−2 RNAは
、血管のリモデリングを受ける卵巣、子宮および胎盤のような組織中にのみ存在
する。Ang−1はヒトTIE受容体リガンド「htie−2」もしくは「hT
L−1」と同一であると考えられている。(国際特許公開第WO 99/156
53号明細書を参照されたい。) 最近、TIE−2受容体の他のリガンドが同定された。(Valenzuel
aら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:1904−09
(1999)を参照されたい。)これらのリガンドはTIEリガンド−3(もし
くはアンジオポエチン−3(Ang−3))およびTIEリガンド−4(もしく
はアンジオポエチン−4(Ang−4))と呼ばれる。Ang−3(マウスポリ
ペプチド)はTie2受容体に拮抗的であるようである一方、Ang−4(ヒト
ポリペプチド)はアゴニストであるようである。Ang−3およびAng−4ポ
リペプチドの正確な生理学的役割は解明されるべきままである。
【0006】 ヒトからの他のTIEリガンド相同物、NL1ないしNL6およびNL8もま
た同定されている。(国際特許公開第WO 99/15653号および同第WO
99/15654号明細書を参照されたい。)これらの相同物の1つ、すなわ
ちNL6は、分泌シグナルをコードする配列についてcDNAライブラリーをス
クリーニングすることにより同定された。完全長のNL6 cDNAのその後の
分析は、TIEリガンド受容体に対する相同性を示した。他の相同物、NL1−
5およびNL8は、NL6に対する類似性を示す配列についてESTデータベー
スをスクリーニングすることにより同定された。NL6に対するそれらの類似性
に基づき、NL1−5およびNL8は脈管形成に関与することもまた提案された
。NL1およびNL8は細胞を腫瘍形成性にすることが可能であることが見出さ
れた。(国際特許公開第WO 99/15653号明細書を参照されたい。) Ang−1ないしAng−4およびNLファミリーを包含するTIEリガンド
相同物の数は、これらのリガンドが脈管形成で種々の役割を担っていることを示
唆する。従って、これらのリガンドのさらなる特徴づけは、脈管形成におけるそ
れらの役割の理解における1つの重要な段階である。とりわけ、持続性の調節さ
れない脈管形成が、腫瘍転移および内皮細胞による異常な成長を包含する非常に
多数の疾患状態で発生し、そして、これらの病状でみられる病理学的損傷を支持
する。従って、脈管形成因子の特徴づけは、脈管形成に関係する(および関係し
ていると仮定される)疾患の治療法の開発もまた助長することができる。例えば
、腫瘍形成は脈管形成に依存することが提案されている。従って、脈管形成を阻
害するTIEリガンドの相同物は、こうした腫瘍に治療的治療を提供することが
できる。
【0007】 (発明の要約) 本発明は、抗脈管形成性Ang−7ポリペプチドを使用する脈管形成の調節方
法を提供する。本発明は、疾患もしくは臨床状態の原因もしくは治療に脈管形成
が関連性のある疾患もしくは臨床状態の治療のためのAng−7ポリペプチドの
使用をさらに包含する。一態様において、こうした疾患もしくは病状は、限定さ
れるものでないが癌、創傷治癒、腫瘍形成、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管
系疾患などを挙げることができる。Ang−7ポリペプチドのさらなる用途は、
胎盤の血管新生の調節を包含する生殖器系における脈管形成を伴う臨床状態の治
療、もしくは人工妊娠中絶薬としての使用を包含する。本発明は、Ang−7ポ
リペプチドを含有する製薬学的組成物、および前述の疾患もしくは臨床状態の治
療のためのこうした製薬学的組成物の使用もまた包含する。
【0008】 本発明の一局面は、配列番号2のアミノ酸配列を有するAng−7ポリペプチ
ド、ならびにそれらの生物学的に活性のまたは診断上もしくは治療上有用なフラ
グメント、変異体、誘導体および類似物の使用に関する。付加的な一局面は、本
発明のAng−7ポリペプチドに対する抗体、とりわけ配列番号2に記述される
配列、または最低20、好ましくは最低30、より好ましくは最低40、なおよ
り好ましくは最低50、もしくは最も好ましくは最低100残基にわたって、配
列番号2に対する最低60%、好ましくは最低70%、より好ましくは最低80
%、なおより好ましくは最低90%、もしくは最も好ましくは最低95%の配列
の同一性を共有する配列のエピトープに特異的に結合する抗体の使用に関する。
【0009】 本発明の別の局面は、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNAならびにA
NG−7アンチセンス核酸を包含する、本発明のAng−7ポリペプチドをコー
ドする単離されたANG−7核酸の使用に関する。こうした核酸は、配列番号1
のヌクレオチド配列を有するANG−7 cDNA配列を包含する。別の局面は
、生物学的に活性のまたは診断上もしくは治療上有用なポリペプチドをコードす
るANG−7配列のフラグメントもしくは変異体に関する。こうしたフラグメン
トもしくは変異体は、国際特許公開第WO 99/15653号明細書(その開
示はそっくりそのまま引用により本明細書に組み込まれる)中にNL1として同
定されるヌクレオチド配列(配列番号1)のような、同一のアミノ酸の全部の可
能なコドンの選択もしくはそれらの保存的ミノ酸置換を有する配列を包含する。
他の変異体は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でヒトANG
−7 cDNA(例えば配列番号1)に選択的にハイブリダイズすることが可能
である核酸を包含する。本発明の別の局面は、本発明のAng−7ポリペプチド
をコードするポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするのに十分な長さの
ポリヌクレオチドを含んで成る核酸プローブに関する。
【0010】 本発明のなお別の局面は、組換えベクターの使用による組換え技術による、A
ng−7ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療
上有用なフラグメントもしくは変異体の製造方法に関する。本発明のさらなる一
局面は、Ang−7ポリペプチド、あるいはその生物学的に活性のまたは診断上
もしくは治療上有用なフラグメントもしくは変異体をコードするANG−7核酸
配列を含んで成る組換えの原核生物および/もしくは真核生物の宿主細胞に関す
る。関係する一局面において、ANG−7核酸および/またはAng−7ポリペ
プチド、フラグメントもしくは変異体を発現する核酸構築物が提供される。こう
した構築物は、典型的に、それぞれがANG−7核酸もしくはそのフラグメント
の発現のため操作可能に連結される転写プロモーターおよび転写ターミネーター
を包含する。
【0011】 本発明の別の局面は、遺伝子治療の目的上、本発明のポリペプチド、もしくは
該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を伴う方法に関する。本明
細書で使用されるところの遺伝子治療は、ある個体内の疾患状態の治療のための
その個体における外因性起源の核酸配列の発現の提供方法と定義する。
【0012】 本発明のさらなる一局面は、治療の目的上、脈管形成の調節、または疾患もし
くは病状に脈管形成が関連性のある疾患もしくは病状の調節を必要とする、An
g−7ポリペプチド、それらのフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物、
あるいはANG−7ポリヌクレオチド、またはそれらのフラグメント、変異体も
しくは誘導体の利用方法に関する。こうした疾患もしくは病状は、例えば、癌、
創傷治癒、糖尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、および胎盤の血管新生の
調節を包含する生殖器系の脈管形成を伴う臨床状態の治療、もしくは人工妊娠中
絶薬としての使用を包含する。こうした治療は、タンパク質置換療法およびタン
パク質模倣物におけるAng−7ポリペプチドの使用をさらに包含する。
【0013】 本発明の別の局面は、本発明のANG−7核酸配列中の突然変異に関係した疾
患もしくは臨床状態、または疾患もしくは臨床状態に対する感受性を検出するた
めの、および、こうした配列によりコードされるAng−7ポリペプチドの過剰
発現もしくは過小発現を検出するための診断アッセイに関する。
【0014】 本発明のこれらおよび他の局面は、以下の記述および図面の参照に際して明ら
かになるであろう。
【0015】 (詳細な記述) 本発明をより詳細に示す前に、下で使用されるところのある種の用語の定義を
示すことが、そのさらなる理解に役立つことができる。 定義: 別の方法で定義されない限り、本明細書で使用される全部の技術的および科学
的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により普遍的に理解されると同一の
意味を有する。本明細書に記述されるものに類似の他の方法および材料を本発明
の実務もしくは試験で使用することができ;従って、例示的方法および材料のみ
を記述する。本発明の目的上、以下の用語を下に定義する。
【0016】 「脈管形成」という用語は、組織もしくは器官における新たな血管の生成を意
味する。脈管形成は新生血管形成および側副枝血管新生を包含する。「正常な脈
管形成」は、正常な生理学的条件下で、創傷治癒、胎児および胚の発生、ならび
に黄体、子宮内膜および胎盤の形成に関連する新たな血管形成を包含する。「好
ましくない脈管形成」は、制御されない脈管形成に関係した病理学的損傷を伴う
疾患もしくは臨床状態におけるような、異常な生理学的条件下で起こる脈管形成
を指す。例えば、好ましくない脈管形成は腫瘍形成の間に起こる可能性があり、
ここでは新生血管形成が腫瘍内に存在する。
【0017】 「ANG−7核酸」(すなわち全部大文字かつ斜体にされた)という用語は、
mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびにアンチセンス核酸を包含
するAng−7ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにそれらの
生物学的に活性のまたは診断上もしくは治療上有用なフラグメント、変異体およ
び誘導体をコードするポリヌクレオチドを指す。有用なフラグメントおよび変異
体は、同一のアミノ酸の全部の可能なコドンの選択および保存的アミノ酸置換に
基づくコドンの選択に基づくもの、ならびにそれらの生物学的に活性のまたは診
断上もしくは治療上有用なフラグメントもしくは誘導体を包含する。有用な変異
体は、配列番号1のポリヌクレオチドに対し最低70%のポリヌクレオチド配列
の同一性、より好ましくは80%、なお好ましくは90%を有するもの、および
それらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用なフラグメントもしくは
誘導体をさらに包含する。
【0018】 「ANG−7遺伝子」(すなわち全部大文字かつ斜体にされた)という用語は
、コーディング配列、介在配列ならびに転写および/もしくは翻訳を制御する調
節要素を指す。
【0019】 「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、典型的にホスホジエステ
ル結合を介して連結される、非常に多数のヌクレオチド単位(リボヌクレオチド
もしくはデオキシリボヌクレオチド、または関係した構造変異体)より構成され
るポリマーを指す。ポリヌクレオチドもしくは核酸は、実質的にいかなる長さ、
典型的には約6ヌクレオチドから約109ヌクレオチドもしくはより大きいまで
のものであることができる。ポリヌクレオチドもしくは核酸は、RNA、cDN
A、ゲノムDNA、合成の形態、ならびにセンスおよびアンチセンス双方の鎖の
混成のポリマーを包含し、そしてまた、当業者により容易に認識されであろうと
おり、化学的もしくは生物学的に改変することもできるか、または非天然のもし
くは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含有することもできる。こうした改変は
、例えば、標識、メチル化、類似物での天然に存在するヌクレオチドの1個もし
くはそれ以上の置換、荷電しない結合(例えばメチルホスホネート、ホスホトリ
エステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)、荷電した結合(例えばホス
ホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、ペンダント部分(例えばポリペ
プチド)、挿入剤(例えばアクリジン、プソラレンなど)、キレート剤、アルキ
ル化剤および改変された連結(例えばαアノマー核酸など)のようなヌクレオチ
ド間の改変を包含する。指定されたヌクレオチド配列に水素結合形成および他の
化学的相互作用を介して結合するそれらの能力においてポリヌクレオチドを模倣
する合成分子もまた包含する。こうした分子は当該技術分野で既知であり、そし
て、例えば、ペプチド結合が該分子のバックボーン中のリン酸結合と交替するも
のを包含する。
【0020】 「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さが約6から約100ヌクレオチド
もしくはより以上までのポリヌクレオチドを指す。従って、オリゴヌクレオチド
はポリヌクレオチドのサブセットである。オリゴヌクレオチドは、製造元により
提供される仕様書に従って、自動化オリゴヌクレオチド合成機(例えばアプライ
ド バイオシステムズ(Applied BioSystems)(カリフォル
ニア州フォスターシティ)により製造されるもの)で合成することができる。
【0021】 「プライマー」という用語は、プライマー伸長産物が合成される条件下で使用
される場合にポリヌクレオチド合成の開始点として作用するポリヌクレオチド、
典型的にはオリゴヌクレオチド(酵素消化物中でのように天然に存在しようとイ
ンビトロで合成的に製造されようと)を指す。
【0022】 「Ang−7ポリペプチド」という用語は、配列番号2のアミノ酸配列を有す
るポリペプチド、ならびにそれらの生物学的に活性のまたは診断上もしくは治療
上有用なフラグメント、変異体および誘導体を指す。「フラグメント」は、An
g−7ポリペプチドの典型的には最低10の連続するアミノ酸、より典型的には
最低20、なおより典型的には最低50の連続するアミノ酸を有するAng−7
ポリペプチドの一部分を指す。有用な変異体は、典型的には、保存的アミノ酸置
換を有するもの、およびそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは治療上有用
なフラグメントを包含する。有用な変異体は、本来のAng−7アミノ酸配列(
配列番号2)に典型的には最低約50%類似、より典型的には約90%より多い
、そしてなおより典型的には最低約95%類似、および、それらの生物学的に活
性のまたは診断上もしくは治療上有用なフラグメントもしくは誘導体である。A
ng−7ポリペプチドは、抗Ang−7ポリペプチドと免疫学的に相互反応性で
あるものをさらに包含する。
【0023】 「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマーおよびその同等物を指し
、そして生成物の特定の長さを指さず;従って、ペプチドおよびオリゴペプチド
(すなわちフラグメント)ならびにタンパク質がポリペプチドの定義内に包含さ
れる。本用語はAng−7ポリペプチドの誘導体(例えばグリコシル化、アセチ
ル化、リン酸化など)もまた包含する。例えば、アミノ酸の1種もしくはそれ以
上の類似物(例えば非天然のアミノ酸など)を含有するポリペプチド、置換され
た結合ならびに天然に存在するおよび天然に存在しないの双方の当該技術分野で
既知の他の改変をもつポリペプチドが、該定義内に包含される。
【0024】 「生物学的に活性の」という用語は、内皮管形成に影響を及ぼすことによる(
例えば実施例9(下)のHUVECアッセイを使用して)、または腫瘍細胞の成
長もしくは増殖に影響を及ぼす(例えば実施例10(下)の腫瘍細胞成長阻害ア
ッセイを使用して)ような、脈管形成を調節するある分子の能力を指す。生物学
的に活性の分子は、Ang−7ポリペプチド、それらのフラグメント、変異体、
誘導体および類似物;Ang−7ポリペプチド、それらのフラグメント、変異体
および誘導体をコードする核酸;ならびに脈管形成を調節する(例えば、内皮管
形成を阻害もしくは刺激する)、または腫瘍細胞の成長もしくは増殖を調節する
(例えば腫瘍細胞の成長を阻害もしくは刺激する)ことによる抗Ang−7抗体
であることができる。
【0025】 「治療上有用な」もしくは「治療上有効な」という用語は、患者もしくは哺乳
動物のような被験体において脈管形成を調節する(例えば内皮管形成を阻害もし
くは刺激する)、または腫瘍細胞の成長もしくは増殖を調節する(例えば腫瘍細
胞の成長を阻害もしくは刺激する)のに十分である分子(例えばAng−7ポリ
ペプチド、抗Ang−7抗体、もしくはANG−7核酸)の量を指す。
【0026】 「診断上有用な」もしくは「診断上有効な」という用語は、被験体における脈
管形成もしくは脈管形成の阻害を検出するための分子(例えばAng−7ポリペ
プチド、抗Ang−7抗体もしくはANG−7核酸)を指す。これらの用語は、
本発明のANG−7核酸配列中の突然変異に関係した疾患もしくは臨床状態、ま
たは疾患もしくは臨床状態に対する感受性を検出する、およびこうした配列によ
りコードされるAng−7ポリペプチドの過剰発現もしくは過小発現を検出する
のに有用な分子をさらに包含する。
【0027】 「Ang−7化合物」もしくは「Ang−7抗脈管形成性化合物」という用語
は、生物学的に活性のAng−7ポリペプチド、そのフラグメント、変異体、誘
導体もしくは類似物、抗Ang−7抗体、生物学的に活性のANG−7核酸、フ
ラグメントもしくは誘導体、およびANG−7アンチセンス核酸を指す。
【0028】 「アミノ酸」、「アミノ酸残基」もしくは「残基」という用語は、さらに後述
されるとおり天然に存在するLアミノ酸もしくはDアミノ酸を指す。アミノ酸は
、本明細書で、それらの公知の三文字記号もしくはIUPAC−IUB生化学的
命名法委員会により推奨される一文字記号のいずれかにより称される。同様に、
ヌクレオチドはそれらの普遍的に一般に容認される一文字コードにより称するこ
とができる。(例えば、Bruce Albertsら、Molecular Biology of the Cell 、ガーランド パブリッシング イン
ク(Garland Publishing,Inc.)、ニューヨーク(第3
版、1994)を参照されたい)。
【0029】 2種もしくはそれ以上の核酸もしくはポリペプチド配列に関連して「同一の」
もしくは「同一性のパーセント」という用語は、以下の配列比較アルゴリズムの
1つを使用して、もしくは視覚的検査により測定されるような、比較かつ最大の
対応のために整列される場合に同一であるかまたは同一であるヌクレオチドもし
くはアミノ酸の明記されたパーセンテージを有する、2種もしくはそれ以上の配
列もしくは下位配列(subsequence)を指す。
【0030】 2種の核酸もしくは2種のポリペプチド配列に関連して「実質的に同一の」と
いう用語は、下述される配列比較アルゴリズムの1つを使用して、もしくは視覚
的検査により測定されるような、比較かつ最大の対応のために整列される場合に
最低60%、典型的には80%、最も典型的には90〜95%の同一性を有する
、2種もしくはそれ以上の配列もしくは下位配列を指す。2種のポリペプチド配
列が「実質的に同一」であることの表示は、1種のポリペプチドが第二のポリペ
プチドに対し生じられた抗体と免疫学的に反応性であることである。
【0031】 2種もしくはポリペプチド配列に関連して「類似性」もしくは「類似性のパー
セント」は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、もしくは視覚的検
査により測定されるような、比較かつ最大の対応のために整列される場合に、同
一であるかまたは同一であるアミノ酸残基もしくはそれらの保存的置換の明記さ
れたパーセンテージを有する、2種もしくはそれ以上の配列もしくは下位配列を
指す。例として、第一のタンパク質領域は、第一の領域中に含有される数と等し
い数のアミノ酸のAng−7ポリペプチド中のいずれかの配列に比較される場合
、もしくは上で論考されたような当該技術分野で既知のコンピュータ類似性プロ
グラムにより整列されているAng−7ポリペプチドの整列された配列に比較さ
れる場合、第一の領域のアミノ酸配列がAng−7ポリペプチドのある領域に最
低30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%もしくは
なお95%同一または保存的に置換される場合に、ヒトAng−7ポリペプチド
の一領域に類似とみなすことができる。
【0032】 ポリペプチド配列に関連して「実質的類似性」という用語は、該ポリペプチド
が、約10〜20アミノ酸残基の比較窓にわたって、参照配列に対する最低70
%の配列の同一性、もしくは好ましくは80%、もしくはより好ましくは85%
の参照配列に対する配列の同一性、もしくは最も好ましくは90%の同一性をも
つ配列を含んで成ることを示す。アミノ酸配列に関連して、「実質的類似性」は
アミノ酸の保存的置換をさらに包含する。従って、あるポリペプチドは、例えば
2種のペプチドが1個もしくはそれ以上の保存的置換によってのみ異なる場合に
第二のポリペプチドに実質的に類似である。
【0033】 ポリペプチドを記述する場合の「保存的置換」という用語は、該ポリペプチド
の活性を実質的に変えないポリペプチドのアミノ酸組成の変化を指す。従って、
特定のアミノ酸配列の「保存的置換」は、タンパク質活性に決定的に重要でない
アミノ酸のアミノ酸置換、もしくは決定的に重要なアミノ酸の置換であっても活
性を実質的に変えないような類似の特性(例えば、酸性、塩基性、正もしくは負
に荷電した、極性もしくは非極性、など)を有する他のアミノ酸でのアミノ酸の
置換を指す。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は当該技術分野
で公知である。以下の6群のそれぞれは、相互についての保存的置換であるアミ
ノ酸を含有する: 1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T); 2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E); 3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q); 4)アルギニン(R)、リシン(K); 5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
および 6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。 (Creighton、Proteins、W.H.フリーマン アンド カン
パニー(W.H.Freeman and Company)(1984)もま
た参照されたい。)加えて、コードされる配列中の単一のアミノ酸もしくは小さ
なパーセンテージのアミノ酸を変更、付加もしくは欠失する個々の置換、欠失も
しくは付加もまた「保存的置換」である。
【0034】 配列の比較のためには、典型的には1つの配列が参照配列として作用し、これ
と試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照
配列をコンピュータに入力し、必要な場合は座標を指定し、そして配列アルゴリ
ズムプログラムのパラメータを指定する。そうすると、配列比較アルゴリズムが
、指定されたプログラムパラメータに基づき、参照配列に関する試験配列(1種
もしくは複数)について配列の同一性パーセントを計算する。
【0035】 比較のための配列の至適の整列は、例えば、SmithとWaterman( Adv.Appl.Math. 2:482(1981))の局所相同性アルゴリ
ズム、NeedlemanとWunsch(J.Mol.Biol.48:44
3(1970))の相同性整列アルゴリズム、PearsonとLipman( Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)
)の類似性の検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化されたインプリ
メンテーション(例えば、ウィスコンシン ジェネティックス ソフトウエア
パッケージ(Wisconsin Genetics Software Pa
ckage)、ジェネティックス コンピュータ グループ(Genetics
Computer Group)、575 Science Dr.、Mad
ison、WI中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)
、もしくは視覚的検査により実施することができる。(全般的に、Ausube
lら、Current Protocols in Molecular Bi ology 、ジョン ワイリー アンド サンズ(John Wiley an
d Sons)、ニューヨーク(1996)を参照されたい。) 有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは漸進的な対
にした整列を使用して、関係した配列の一群から複数の配列の整列を創製して、
配列の同一性パーセントを示す。それは、該整列を創製するのに使用されるクラ
スタリングの関係を示す木もしくは樹状図もまたプロットする。PILEUPは
FengとDoolittle(J.Mol.Evol.35:351−360
(1987))の漸進的整列法の単純化を使用する。使用される方法はHigg
insとSharp(CABIOS 5:151−153(1989))により
記述される方法に類似である。該プログラムはそれぞれ5,000ヌクレオチド
もしくはアミノ酸の最大長さの300までの配列を整列することができる。複数
の整列手順は2個の最も類似の配列の対にした整列で開始し、2個の整列された
配列のクラスターを生じさせる。その後、このクラスターを、次の最も関係した
配列もしくは整列された配列のクラスターと整列する。配列の2個のクラスター
は、2個の別個の配列の対にした整列の単純な拡張により整列する。最後の整列
は、一連の漸進的な対にした整列により達成する。配列比較の領域について特定
の配列およびそれらのアミノ酸もしくはヌクレオチド座標を指定すること、なら
びにプログラムのパラメータを指定することにより、該プログラムを実行する。
例えば、以下のパラメータ、すなわちデフォルトのギャップ重み(defaul
t gap weight)(3.00)、デフォルトのギャップ長重み(de
fault gap length weight)(0.10)および加重さ
れたエンドギャップ(weighted end gap)を使用して、参照配
列を他の試験配列と比較して配列の同一性の関係のパーセントを決定することが
できる。配列の複数の整列のための別の有用なプログラムは、MEGALIGN
(商標)エキスパート配列分析ソフトウェア(Expert Sequence
Analysis Software)(DNASTAR、ウィスコンシン州
マディソン)である。
【0036】 配列の同一性および類似性のパーセントを決定するのに適するアルゴリズムの
別の例はBLASTアルゴリズムであり、これは、Altschulら(J.M ol.Biol. 215:403−410(1990))により記述される。(
Zhangら、Nucleic Acid Res.26:3986−90(1
998);Altschulら、Nucleic Acid Res.25:3
389−402(1997)もまた参照されたい。)BLAST分析を実施する
ためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(Nationa
l Center for Biotechnology Informati
on)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公
的に入手可能である。このアルゴリズムは、クエリ配列(データベースの配列中
の同一の長さの語(word)と整列される場合になんらかの正の値の(pos
itive−valued)閾値スコアTと合致するかもしくはこれを満足する
かのいずれかである)中の長さWの短い語を同定することにより、高得点配列対
(high scoring sequence pairs)(HSP)を最
初に同定することを必要とする。Tは隣接語スコア閾値(neighborho
od word score threshold)(Altschulら(1
990)、上記)と称される。これらの初期隣接語ヒットが、それらを含有する
より長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。そ
の後、累積整列スコアを増大させることができる限り遠くへ、各配列に沿って語
ヒットを双方向に伸長させる。各方向での語ヒットの伸長は:累積整列スコアが
その最大の達成された値から量Xだけ低下する;累積スコアが1個もしくはそれ
以上の負の点数をつける残基の整列の蓄積によりゼロもしくはそれより下になる
;またはいずれかの配列の端に到達する場合に停止される。BLASTアルゴリ
ズムのパラメータW、TおよびXが整列の感度および速度を決定する。BLAS
Tプログラムは、11の語長(wordlength)(W)、BLOSUM6
2得点マトリックス(scoring matrix)(HenikoffとH
enikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10
915−9(1992)を参照されたい)、50の整列(B)、10の期待値(
expectation)(E)、M=5、N=−4、および双方の鎖の比較を
、デフォルトとして使用する。
【0037】 配列の同一性パーセントを計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは
、2種の配列の間の類似性の統計学的分析もまた実施する(例えば、Karli
nとAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90
:5873−77(1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによ
り提供される類似性の1つの尺度は、最小総和確率(smallest sum
probability)(P(N))であり、これはそれにより2種のヌク
レオチドもしくはアミノ酸配列の間の合致が偶然発生することができる確率の表
示を提供する。例えば、参照核酸との試験核酸の比較における最小総和確率が約
0.1未満、より典型的には約0.01未満、そして最も典型的には約0.00
1未満である場合に、ある核酸は参照配列に類似とみなされる。
【0038】 2種の核酸配列もしくはポリペプチドが実質的に同一であることのさらなる一
表示は、第一の核酸によりコードされるポリペプチドが、下述されるとおり第二
の核酸によりコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることであ
る。従って、あるポリペプチドは、典型的には、例えば2種のポリペプチドが保
存的置換によってのみ異なる場合に第二のポリペプチドに実質的に同一である。
【0039】 「形質転換」もしくは「トランスフェクション」という用語は、ポリヌクレオ
チドの導入によりレシピエントの細胞もしくは微生物の遺伝子型を安定に変える
方法を意味する。これは、レシピエントの細胞もしくは生物体の表現型の変化に
より典型的に検出される。「形質転換」という用語は、一般に微生物に適用され
る一方、「トランスフェクション」は多細胞生物体由来の細胞におけるこの方法
を記述するのに使用する。
【0040】 ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)の方法論は、一般に、米国特許第4,6
83,202号、同第4,683,195号および同第4,800,159号明
細書に開示される。本明細書で使用される他の命名法、ならびに下述される細胞
培養、分子遺伝学および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションにおける実
験室の手順の多くは公知のものでありかつ当該技術分野で普遍的に使用される。
(一般に、Ausubelら、Current Protocols in M olecular Biology 、ジョン ワイリー アンド サンズ(Jo
hn Wiley and Sons)、ニューヨーク(1996);Samb
rookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 、第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プ
レス(Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss)、ニューヨーク(1989)を参照されたい)。組換え核酸の方法、ポリ
ヌクレオチド合成、生物学的サンプルの調製法、cDNAフラグメントの調製法
、mRNAの単離などに標準的技術を使用する。一般に、酵素反応および精製段
階は製造元の仕様書に従って実施する。
【0041】 本発明は、抗脈管形成性Ang−7ポリペプチドおよびそれらの生物学的に活
性のまたは診断上もしくは治療上有用なフラグメント、変異体、誘導体もしくは
類似物を使用する脈管形成の調節方法を提供する。本発明は、下により完全に記
述されるような、脈管形成を調節するためのANG−7核酸を使用方法をさらに
包含する。本発明は、脈管形成が原因に関連性のある疾患もしくは臨床状態の治
療、または限定されるものでないが癌、創傷治癒、腫瘍形成、糖尿病性網膜症、
黄斑変性、心血管系疾患などを挙げることができる疾患もしくは臨床状態の治療
のためのAng−7ポリペプチドおよび/もしくはANG−7核酸の使用をさら
に包含する。 ANG−7核酸: 本発明の一局面は、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびにア
ンチセンス核酸を包含するAng−7ポリペプチドをコードする単離された核酸
、ならびに脈管形成の調節におけるそれらの使用に関する。ANG−7核酸はA
NG−7 cDNA配列(例えば配列番号1)を包含する。ANG−7核酸は、
同一のアミノ酸の全部の可能なコドンの選択もしくはそれらの保存的アミノ酸置
換をコードするもののような生物学的に活性の配列の変異体をさらに包含し、そ
してまた、それらの診断上もしくは治療上有用なフラグメントも包含する。こう
した変異体はNL1 cDNA配列(国際特許公開第WO 99/15653号
明細書の配列番号1)を包含する。
【0042】 本発明は、Ang−7ポリペプチドのフラグメントをコードする最低6個の連
続するヌクレオチド(例えばハイブリダイズ可能な部分)を含んで成る精製され
たANG−7核酸をさらに提供する。別の態様において、ANG−7核酸は、A
NG−7配列の最低8個の(連続する)ヌクレオチド、25ヌクレオチド、50
ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、200ヌクレオチド
またはなお250ヌクレオチドまでもしくはそれ以上のフラグメントより成る。
別の態様において、核酸は長さが200もしくは250ヌクレオチドより大きい
。核酸は一本鎖もしくは二本鎖であることができる。容易に明らかであるとおり
、本明細書で使用されるところの「Ang−7ポリペプチドのフラグメントをコ
ードする核酸」は、Ang−7ポリペプチドの列挙されるフラグメントもしくは
部分のみをコードする核酸を指しかつ連続配列としてAng−7ポリペプチドの
他の連続する部分を指さないと解釈される。1個もしくはそれ以上のAng−7
ドメインをコードするANG−7核酸のフラグメントが提供される。
【0043】 本発明は、前述の配列にハイブリダイズ可能もしくはそれに相補的な核酸にも
また関する。こうした核酸は、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、な
らびにアンチセンス核酸、ならびにそれらの生物学的に活性かつ診断上もしくは
治療上有用なフラグメントもしくは変異体を包含する。ANG−7遺伝子もしく
はcDNAの最低10、25、50、100、200もしくは250ヌクレオチ
ドまたはそれ以上に相補的な配列を含んで成る核酸もまた提供される。一態様に
おいて、高ストリンジェンシーの条件下でANG−7核酸(例えば配列、配列番
号1を有する)、もしくはANG−7変異体をコードする核酸にハイブリダイズ
しうる核酸が提供される。
【0044】 例として、そして制限でなく、高ストリンジェンシーの条件を使用する手順は
後に続くとおりである。すなわち、DNAを含有するフィルターのプレハイブリ
ダイゼーションを、6×SSC、50mMトリス−HCl(pH7.5)、1m
M EDTA、0.02%PVP、0.02%フィコール(Ficoll)、0
.02%BSAおよび500(μg/ml変性サケ精子DNA)より構成される
緩衝液中、65℃で8時間ないし一夜実施する。100μg/ml変性サケ精子
DNAおよび5〜20×106cpmの32P標識されたプローブを含有するプレ
ハイブリダイゼーション混合物中、65℃で48時間、フィルターをハイブリダ
イズさせる。2×SSC、0.01%PVP、0.01%フィコール(Fico
ll)および0.01%BSAを含有する溶液中、37℃で1時間、フィルター
の洗浄を行う。これに次いで、オートラジオグラフィーの前に0.1×SSC中
50℃で45分間洗浄する。使用することができる高ストリンジェンシーの他の
条件は当該技術分野で公知である。(一般に、Ausubelら、上記を参照さ
れたい)。
【0045】 別の態様において、中程度のストリンジェンシーの条件下でANG−7核酸に
ハイブリダイズ可能である核酸が提供される。例として、そして制限としてでな
く、中程度のストリンジェンシーのこうした条件を使用する手順は後に続くとお
りである。すなわち、DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーショ
ンを、6×SSC、50mMトリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA
、0.02%PVP、0.2%フィコール(Ficoll)、0.02%BSA
および500μg/ml変性サケ精子DNAより構成される緩衝液中、55℃で
8時間ないし一夜実施する。100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5〜2
0×106cpmの32P標識されたプローブを含有するプレハイブリダイゼーシ
ョン混合物中、55℃で24時間、フィルターをハイブリダイズさせる。2×S
SC、0.01%PVP、0.01%フィコール(Ficoll)および0.0
1%BSAを含有する溶液中、37℃で1時間、フィルターの洗浄を行う。
【0046】 別の態様において、低ストリンジェンシーの条件下でANG−7核酸にハイブ
リダイズ可能である核酸が提供される。例として、そして制限としてでなく、低
ストリンジェンシーのこうした条件を使用する手順は後に続くとおりである。す
なわち、DNAを含有するフィルターを、35%ホルムアミド、5×SSC、5
0mMトリス−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%ポリビニル
ピロリドン(PVP)、0.1%フィコール(Ficoll)、1%ウシ血清ア
ルブミン(BSA)および500μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液
中、40℃で6時間前処理する。以下の改変、すなわち0.02%PVP、0.
02%フィコール(Ficoll)、0.2%BSA、100μg/mlサケ精
子DNA、10%(重量/容積)デキストラン硫酸、および5〜20×106
pmの32P標識プローブを伴う同一の溶液中で、ハイブリダイゼーションを実施
する。フィルターを、ハイブリダイゼーション混合物中、40℃で18〜20時
間インキュベートし、そしてその後、2×SSC、25mMトリス−HCl(p
H7.4)、5mM EDTAおよび0.1%SDSを含有する溶液中、55℃
で1.5時間洗浄する。洗浄溶液を新鮮な溶液で置き換え、そして追加の1.5
時間インキュベートする。フィルターを吸い取って乾燥させ、そしてオートラジ
オグラフィーのため露出させる。使用することができる低ストリンジェンシーの
他の条件は当該技術分野で公知である(例えば、交差種(cross−spec
ies)ハイブリダイゼーションに使用されるもの)。(ShiloとWein
berg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6789−
6792(1981)もまた参照されたい)。
【0047】 低、中程度および高ストリンジェンシーの条件は当業者に公知であり、そして
、特定の核酸配列の塩基組成、および該核酸配列が由来する特定の生物体に依存
して予測可能に変動することができる。こうした条件に関する手引きについては
、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A L aboratory Manual (第2版、コールド スプリング ハーバー
プレス(Cold Spring Harbor Press)、NY、pp
.9.47−9.57(1989));およびAusubelら、Curren t Protocols in Molecular Biology (グリー
ン パブリッシング アソシエーツ アンド ワイリー インターサイエンス(
Green Publishing Associates and Wile
y Interscience)、NY(1989))を参照されたい。
【0048】 特定の一例、しかし制限としてでなく提示されるANG−7核酸のクローニン
グの特定の態様は、後に続くとおりである。
【0049】 発現クローニング(当該技術分野で公知の技術)のためには、当該技術分野で
既知の方法により発現ライブラリーを構築する。例えば、mRNA(例えばヒト
)を単離し、cDNAを調製し、そしてその後、それがその後導入される宿主細
胞によりそれが発現されることが可能であるような発現ベクター(例えばバクテ
リオファージ誘導体)に連結する。その後、多様なスクリーニングアッセイを使
用して、発現されたAng−7ポリペプチドについて選択することができる。一
態様において、抗Ang−7特異的抗体を選択に使用することができる。
【0050】 別の態様において、選択の前にゲノムもしくはcDNAライブラリー中の所望
の配列を増幅するのにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する。例えば配列
番号1から選択されるような既知のANG−7配列を表すオリゴヌクレオチドを
PCRにおいてプライマーとして使用することができる。典型的な一態様におい
て、該オリゴヌクレオチドは、異なる種のANG−7の間の配列の同一性のAN
G−7の保存されたセグメントの少なくとも部分を表す。合成オリゴヌクレオチ
ドをプライマーとして利用して、潜在的目的の供給源(RNAもしくはDNA)
、典型的にはcDNAライブラリーからの核酸を使用するPCRにより、ANG
−7遺伝子内の特定の配列を増幅することができる。PCRは、例えば、パーキ
ン−エルマー シータス(Perkin−Elmer Cetus)サーマルサ
イクラーおよびTaqポリメラーゼ(ジーンアンプ(Gene Amp))の使
用により実施することができる。増幅されているDNAは、いずれかの真核生物
種からのmRNAもしくはcDNAもしくはゲノムDNAを包含することができ
る。当業者は、PCR反応での使用のための数種の異なる縮重プライマーを合成
することを選ぶことができる。
【0051】 既知のANG−7配列と単離されている関係した核酸との間のより大きいもし
くはより小さい程度のヌクレオチド配列の類似性を見込むように、PCR反応の
プライミングで使用されるハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを
変動させることもまた可能である。交差種ハイブリダイゼーションのためには、
低ストリンジェンシー条件を典型的に使用する。同一種のハイブリダイゼーショ
ンのためには、中程度にストリンジェントな条件をより典型的に使用する。関係
したANG−7核酸のセグメントの成功裏の増幅の後に、そのセグメントを分子
的にクローン化しかつ配列決定し、そして完全なcDNAもしくはゲノムクロー
ンを単離するためのプローブとして利用することができる。これは、順に、下述
されるとおり、完全なヌクレオチド配列の決定、その発現の分析、および機能分
析のためのそのタンパク質産物の産生を可能にすることができる。この様式で、
Ang−7ポリペプチドをコードする付加的な核酸およびAng−7ポリペプチ
ド変異体を同定することができる。
【0052】 上の方法は、それによりANG−7核酸を得ることができる方法の以下の一般
的記述を制限することを意味していない。いかなる真核生物細胞も、潜在的に、
ANG−7核酸の分子クローニングのための核酸供給源として作用することがで
きる。Ang−7ポリペプチドをコードする核酸は、ブタ、ウシ、ネコ、鳥類、
ウマ、イヌおよびヒトのような哺乳動物の供給源、ならびに付加的な霊長類の供
給源を包含する脊椎動物の供給源から単離することができる。DNAはクローン
化されたDNA(例えばDNA「ライブラリー」)から当該技術分野で既知の標
準的手順により、化学合成により、cDNAクローニングにより、または所望の
細胞から精製されたゲノムDNAもしくはそのフラグメントのクローン化により
得ることができる。(例えば、Sambrookら、Molecular Cl oning,A Laboratory Manual 、第2版、コールド ス
プリング ハーバー ラボラトリー プレス(Cold Spring Har
bor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールドスプリ
ングハーバー(1989);Glover(編)、DNA Cloning:A Practical Approach 、MRL プレス リミテッド(MR
L Press,Ltd.)、英国・オックスフォード 第I、II巻。(19
85)を参照されたい)。ゲノムDNA由来のクローンは、コーディング領域に
加えて調節およびイントロンDNA領域を含有することができ;cDNA由来の
クローンはエキソン配列のみを典型的に含有することができる。供給源が何であ
れ、核酸の伝播のために該核酸を適するベクター中に分子的にクローン化するこ
とができる。
【0053】 ゲノムDNAからのANG−7核酸の分子クローニングにおいて、DNAフラ
グメントが生成され、そのいくつかはANG−7遺伝子をコードすることができ
る。該DNAは多様な制限酵素を使用して特定の部位で切断することができる。
あるいは、DNAを断片化するためにマンガンの存在下でDNアーゼを使用する
ことができるか、もしくは、DNAは例えば超音波処理によるように物理的に剪
断することができる。その後、限定されるものでないがアガロースおよびポリア
クリルアミドゲル電気泳動、ならびにカラムクロマトグラフィーを挙げることが
できる標準的技術により、直鎖状のDNAフラグメントを大きさにより分離する
ことができる。
【0054】 DNAフラグメントが生成されれば、所望の遺伝子を含有する特定のDNAフ
ラグメントの同定を多数の方法で達成することができる。例えば、ANG−7遺
伝子、(いずれかの種の)cDNAもしくはその特異的RNA、またはそれらの
フラグメントの一部分を精製しかつ標識することができ、標識されたプローブへ
の核酸ハイブリダイゼーションにより、生成されたDNAフラグメントをスクリ
ーニングすることができる(例えば、BentonとDavis、Scienc 196:180(1975);GrunsteinとHogness、Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 72:3961(1975)を参
照されたい)。プローブに対する実質的な同一性をもつDNAフラグメントがハ
イブリダイズすることができる。制限酵素消化(1回もしくは複数)、および利
用できる場合は既知の制限地図により期待されるものとのフラグメントの大きさ
の比較により、適切なフラグメントを同定することもまた可能である。遺伝子の
特性に基づき、さらなる選択を実施することができる。
【0055】 あるいは、その発現された産物の物理的、化学的もしくは免疫学的特性に基づ
くアッセイにより、遺伝子の存在を検出することができる。例えば、例えばAn
g−7ポリペプチドについて既知のものと類似のもしくは同一の電気泳動の移動
、等電点電気泳動の挙動、タンパク質分解性消化地図、脈管形成の調節、受容体
結合活性、もしくは抗原性の特性を有するポリペプチドを産生する、cDNAク
ローン、もしくは適正なmRNAをハイブリッド選択する(hybrid−se
lect)DNAクローンを選択することができる。Ang−7ポリペプチドに
特異的に結合する免疫血清もしくは抗体を使用して、ELISA(酵素免疫測定
法)型の手順で結合することによりAng−7ポリペプチドを合成するクローン
を推定的に同定することができる。
【0056】 ANG−7核酸は、核酸ハイブリダイゼーション、次いでインビトロ翻訳によ
るmRNAの選択によってもまた同定することができる。この手順において、ハ
イブリダイゼーションにより相補mRNAを単離するのにフラグメントを使用す
る。こうしたDNAフラグメントは、典型的には、別の種(例えばヒト、マウス
など)の入手可能な精製されたDNAを表す。単離されたmRNAのインビトロ
翻訳産物の免疫沈降分析もしくは機能アッセイ(例えば、脈管形成の阻害、イン
ビトロでの内皮管形成、腫瘍阻害もしくはTIE受容体への結合)が、mRNA
、および従って所望の配列を含有する相補DNAフラグメントを同定する。加え
て、Ang−7ポリペプチドに対し特異的に向けられる固定された抗体への細胞
から単離されたポリソームの吸着により、特異的mRNAを選択することができ
る。(吸着されたポリソームからの)選択されたmRNAを鋳型として使用して
、放射標識されたANG−7 cDNAを合成することができる。その後、放射
標識されたmRNAもしくはcDNAをプローブとして使用して、他のゲノムD
NAフラグメントのなかからANG−7核酸フラグメントを同定することができ
る。
【0057】 ANG−7ゲノムDNAを単離することに対する代替は、限定されるものでな
いが、既知の配列からの遺伝子配列それ自身を化学的に合成すること、もしくは
Ang−7ポリペプチドをコードするmRNAに対するcDNAを作成すること
を挙げることができる。例えば、ANG−7遺伝子のcDNAクローニングのた
めのRNAを、Ang−7ポリペプチドを発現する細胞から単離することができ
る。他の方法が可能である。
【0058】 同定かつ単離されたANG−7核酸を、その後、適切なクローニングベクター
に挿入することができる。当該技術分野で既知の多数のベクター−宿主系を使用
することができる。可能なベクターは、限定されるものでないがプラスミドもし
くは改変されたウイルスを挙げることができる。ベクター系は宿主細胞と適合性
であるように選択する。こうしたベクターは、ほんの少し例を挙げれば、限定さ
れるものでないがλ誘導体のようなバクテリオファージ、酵母の組込みおよびセ
ントロメアベクター、2μプラスミドならびにそれらの誘導体、あるいはpBR
322、pUCもしくはpRSETC(インヴィトロジェン(InVitrog
en)、カリフォルニア州サンディエゴ)プラスミド誘導体またはBluesc
riptベクター(ストラタジーン(Stratagene)、カリフォルニア
州ラホヤ)のようなプラスミドを挙げることができる。クローニングベクター中
へのANG−7核酸の挿入は、例えば相補的付着末端を有するクローニングベク
ターにDNAフラグメントを連結することにより達成することができる。しかし
ながら、DNAを断片化するのに使用された相補的制限部位がクローニングベク
ター中に存在しない場合は、DNA分子の端を酵素的に改変することができる。
あるいは、所望のいかなる部位もDNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を
連結することにより生じさせることができ;これらの連結されたリンカーは制限
エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学的に合成されたオリゴヌク
レオチドを含むことができる。制限部位は、所望の制限部位(1個もしくは複数
)をコードするプライマー(1種もしくは複数)を使用する核酸のPCR増幅に
より核酸に導入することもまたできる。代替の一方法において、切断されたベク
ターおよびANG−7核酸を単独重合的尾付加(homopolymeric
tailing)により改変することができる。組換え分子は、形質転換、トラ
ンスフェクション、感染、電気穿孔法などを介して宿主細胞に導入することがで
き、その結果、該遺伝子配列の多くのコピーが生成される。
【0059】 別の方法においては、ANG−7遺伝子は、「ショットガン」アプローチでの
適するクローニングベクターへの挿入後に同定しかつ単離することができる。例
えば、大きさの分画(size fractionation)によるANG−
7遺伝子についての濃縮をクローニングベクターへの挿入前に行うことができる
。特定の態様において、単離されたANG−7遺伝子、cDNAもしくは合成さ
れたDNA配列を組込む組換えDNA分子での宿主細胞の形質転換は、遺伝子の
複数のコピーの生成を可能にする。従って、形質転換体を成長させること、形質
転換体から組換えDNA分子を単離すること、および必要な場合は単離された組
換えDNAから挿入された遺伝子を回収することにより、該遺伝子を大量で得る
ことができる。
【0060】 本特殊な場合において、ANG−7 cDNAを、別の既知のアンジオポエチ
ンAng−1との相同性により単離した。簡潔には、参照としてAng−1の推
定されるアミノ酸配列を使用する、発現される配列標識(Expressed
Sequence Tag)(「EST」)データベース(国立バイオテクノロ
ジー情報センター(National Center for Biotech
nology Information))に対するBLAST検索(Alts
chulら、Nucleic Acids Res.25:3389−402(
1997))により、ANG−7 cDNAのフラグメントを単離した。重なり
合う配列を伴う2個のESTを単離した。Ang−7ポリペプチドをコードする
完全長のcDNAフラグメントは、放射活性に標識されたESTを使用して完全
長のヒトcDNAライブラリーをスクリーニングすることによりクローン化した
。ヒトANG−7 cDNA(配列番号1)のその後の分析は493アミノ酸の
1個の読取り枠(配列番号2)を同定した。推定されるアミノ酸配列は約57k
Daのポリペプチドをコードする。ANG−7 cDNAのその後の分析は、そ
れがSDS PAGEにより決定されるようなその見かけの分子量の組換え的に
発現されるポリペプチドの合成を指図することを確認する。ヒトAng−7ポリ
ペプチドは、Ang−1および−2ポリペプチドにそれぞれ23.9%および2
3.5%類似である。アミノ酸の保存は2種のタンパク質の長さ全体に分布され
る。Ang−7ポリペプチドの発現の特徴は、該ポリペプチドが心組織、子宮、
乳腺および脳梁を包含する多様な大いに血管化された組織中で発現されることを
示す。
【0061】 ANG−7 cDNAをもつ1個のクローン、ANG−7−cDNA/pGE
Mを、寄託登録第DSM 13562で、2000年6月26日にDSMZドイ
ツ微生物・細胞培養コレクション有限会社(DSMZ−Deutsche Sa
mmlung von Mikroorganismen und Zellk
ulturen GmbH)(Mascheroder Weg 1b、D−3
8124、Braunschweig、独国)に寄託した。この寄託物は、特許
手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(the Buda
pest Treaty on the International Rec
ognition of the Deposit of Microorga
nisms for the Purpose of Patent Proc
edure)およびその下での規制(ブダペスト条約)の規定のもとになされた
。Ang−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体および類似物: 本発明は、Ang−7ポリペプチド、ならびにそれらの生物学的に活性のまた
は診断上もしくは治療上有用なフラグメント、変異体、誘導体および類似物、な
らびに、脈管形成の調節におけるそれらの使用にさらに関する。一態様において
、Ang−7ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を有する。別の態様にお
いて、Ang−7ポリペプチドは、配列番号2のフラグメント、変異体、誘導体
もしくは類似物である。該Ang−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘
導体もしくは類似物は生物学的に活性である。生物学的に活性のAng−7ポリ
ペプチド、フラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物は、例えば、例えば実
施例9(下)のHUVECアッセイに記述されるような内皮管形成に影響を及ぼ
すこと、または腫瘍細胞の成長もしくは増殖に影響を及ぼすこと(例えば実施例
10を参照されたい)によるような、脈管形成を調節する該分子の能力を指す。
あるいは、所望の免疫原性もしくは抗原性を有するこうしたポリペプチド、フラ
グメント、変異体、誘導体もしくは類似物は、イムノアッセイで、免疫感作に、
Ang−7ポリペプチド活性の阻害に、など使用することができる。同様に、目
的の所望のAng−7の特性(例えば、脈管形成の阻害)を保持する、あるいは
欠くもしくは阻害するAng−7のフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似
物は、こうした特性の誘導物質もしくは阻害剤、およびその生理学的相関物とし
て使用することができる。特定の一態様は、脈管形成を阻害するために被験体に
投与することができるAng−7フラグメントに関する。Ang−7のフラグメ
ント、変異体、誘導体もしくは類似物は、限定されるものでないが本明細書に記
述されるアッセイを挙げることができる当該技術分野で既知の手順により、所望
の活性について試験することができる。
【0062】 別の態様において、Ang−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体
もしくは類似物は、最低10の連続するアミノ酸を有する。他の態様において、
Ang−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物は、最
低20もしくは50の連続するアミノ酸より成る。別の態様において、Ang−
7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物は、35、10
0もしくはなお200アミノ酸より大きくない。Ang−7ポリペプチドのフラ
グメント、変異体、誘導体および類似物は、限定されるものでないが、Ang−
7ポリペプチドに実質的に類似である(例えば、多様な態様において、同一の大
きさのアミノ酸配列にわたって最低60%、もしくは70%、もしくは80%、
もしくは90%、もしくは95%まで同一)領域を含んで成る分子を挙げること
ができ、ここでは、整列が当該技術分野で既知のコンピュータ配列比較/整列プ
ログラムによりなされる整列された配列と比較されるか、またはコーディング核
酸がストリンジェント、中程度にストリンジェント、もしくは低ストリンジェン
シーの条件下でANG−7核酸にハイブリダイズすることが可能である。
【0063】 Ang−7ポリペプチドの変異体、誘導体もしくは類似物は、機能的に同等な
分子を提供する置換、付加もしくは欠失によりAng−7配列を変えることによ
り作成することができる。Ang−7ポリペプチドの変異体、誘導体もしくは類
似物としては、限定されるものでないが、その中で機能的に同等なアミノ酸残基
(すなわち保存的置換)がAng−7ポリペプチドのアミノ酸配列内の残基の代
わりに用いられてサイレントな変化をもたらす変えられた配列を包含する、該配
列の全部もしくは一部の一次アミノ酸配列として含有するものを挙げることがで
きる。例えば、該配列内の1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基を、機能的同等
物として作用する類似の極性、疎水性もしくは親水性の別のアミノ酸により置換
してそれによりサイレントな変化をもたらすことができる。該配列内のアミノ酸
の置換は、該アミノ酸が属する分類の他のメンバーから選択することができる。
【0064】 Ang−7ポリペプチドの変異体、フラグメント、誘導体および類似物は当該
技術分野で既知の多様な方法により産生することができる。それらの産生をもた
らす操作は遺伝子もしくはタンパク質レベルで発生することができる。例えば、
クローン化されたANG−7遺伝子もしくはcDNA配列は、当該技術分野で既
知の多数の戦略のいずれかにより改変することができる(例えば、Sambro
okら、Molecular Cloning,A Laboratory M anual 、第2版、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス
(Cold Spring Harbor Laboratory Press
)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)を参照されたい)
。該配列を制限エンドヌクレアーゼ(1種もしくは複数)で適切な部位で切断し
、次いで所望の場合はさらに酵素的に改変し、単離し、そしてインビトロで連結
することができる。Ang−7ポリペプチド、またはそのフラグメント、変異体
、誘導体もしくは類似物をコードする核酸の産生において、改変された核酸は適
正な翻訳の読み枠に留まり、その結果、読み枠は、翻訳終止シグナルもしくは合
成を妨害する他のシグナルにより中断されない。ANG−7核酸は、翻訳、開始
および/もしくは終止配列を創製および/もしくは破壊するようにインビトロも
しくはインビボで突然変異することもまたできる。Ang−7ポリペプチドをコ
ードする核酸配列は、コーディング領域中に変異を創製しそして/または新たな
制限エンドヌクレアーゼ部位を形成もしくは現存するものを破壊しかつさらなる
インビトロ改変を助長するように突然変異させることもまたできる。限定される
ものでないが化学的突然変異誘発、インビトロ部位特異的突然変異誘発(Hut
chinsonら、J.Biol.Chem.253:6551(1978))
、TAB(商標)リンカー(ファルマシア(Pharmacia))の使用、な
どを挙げることができる当該技術分野で既知のいずれかの突然変異誘発技術を使
用することができる。
【0065】 Ang−7ポリペプチド配列の操作はタンパク質レベルでもまた行うことがで
きる。(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護
基/封鎖基による誘導体化、タンパク質分解性の切断、抗体分子もしくは他の細
胞リガンドへの連結などにより)翻訳の間もしくは後に化学的に改変されるAn
g−7ポリペプチドの変異体、誘導体もしくは類似物が本発明の範囲内に包含さ
れる。限定されるものでないが特異的化学的切断(例えば臭化シアンによる);
酵素的切断(例えば、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアー
ゼなどによる);例えばNaBH4による改変、アセチル化、ホルミル化、酸化
および還元、もしくはツニカマイシンの存在下での代謝的合成などを挙げること
ができる既知の技術により、多数の化学的改変のいずれかを実施することができ
る。
【0066】 加えて、Ang−7ポリペプチド、もしくはそれらのフラグメント、変異体、
誘導体および類似物を化学的に合成することができる。例えば、所望のドメイン
を含んで成る、もしくはインビトロで所望の活性を媒介するAng−7ポリペプ
チドの一部分に対応するペプチド、もしくはフラグメントは、例えば自動化ペプ
チド合成機を使用する化学合成法の使用により合成することができる。Ang−
7ポリペプチド類似物は、所望の場合は、Ang−7ポリペプチド配列中に置換
もしくは付加として非古典的アミノ酸もしくは化学物質のアミノ酸類似物を導入
することにより製造することができる。非古典的アミノ酸は、限定されるもので
ないが、普遍的アミノ酸のD異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、2
−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、2−アミ
ノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン
、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグ
リシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β
−アラニン、セレノシステイン、フルオロアミノ酸、β−メチルアミノ酸、Cα
−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸のような特注のアミノ酸、および一般
的なアミノ酸類似物を挙げることができる。さらに、アミノ酸はD(右旋性)も
しくはL(左旋性)であることができる。
【0067】 一態様において、Ang−7ポリペプチド、またはそのフラグメント、誘導体
もしくは類似物は、異なるタンパク質のアミノ酸配列にペプチド結合を介してそ
のアミノもしくはカルボキシ末端で結合された、Ang−7ポリペプチドまたは
その変異体、フラグメント、誘導体もしくは類似物(典型的には、Ang−7ポ
リペプチドの最低1個のドメインもしくはモチーフ、またはAng−7ポリペプ
チドの最低10の連続するアミノ酸より成る)を含んで成るキメラもしくは融合
タンパク質である。一態様において、こうしたキメラタンパク質は、該タンパク
質をコードする核酸の組換え発現により産生させることができる。キメラ産物は
、所望のアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を適正な読み枠で当該技術分
野で既知の方法により相互に連結すること、および当該技術分野で公知の方法に
よりキメラ産物を発現することにより作成することができる。あるいは、キメラ
産物はタンパク質合成技術により(例えば、自動化ペプチド合成機の使用により
)作成することができる。 ANG−7核酸もしくはAng−7ポリペプチドの発現 さらなる一態様において、宿主細胞はANG−7核酸を発現する構築物を含ん
で成る。こうした宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核生物細胞、酵母細
胞のような低級真核生物細胞、もしくは細菌細胞のような原核生物細胞であるこ
とができる。宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクシ
ョン、DEAE−デキストランに媒介されるトランスフェクション、もしくは電
気穿孔法(Davisら、Basic Methods in Molecul ar Biology 、第2版、AppletonとLang、パラマウント
パブリッシング(Paramount Publishing)、コネチカット
州イーストノーウォーク(1994))、塩化カルシウムに媒介される形質転換
、酢酸リチウムに媒介される形質転換などにより達成することができる。
【0068】 宿主細胞中の構築物は、Ang−7ポリペプチド、またはそのフラグメント、
変異体、誘導体もしくは類似物を産生するのに慣習的な様式で使用することがで
きる。ANG−7核酸由来のRNAを使用してこうしたポリペプチドを産生させ
るのに、細胞を含まない翻訳系もまた使用することができる。あるいは、Ang
−7ポリペプチド、そのフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物は、慣習
的なペプチド合成機により合成的に製造することができる。
【0069】 ANG−7核酸は、適切なプロモーターの制御下で哺乳動物細胞、酵母、細菌
、昆虫もしくは他の細胞中で発現させることができる。代表的発現ベクターは、
Sambrookら、Molecular Cloning:A Labora tory Manual (第2版、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー
、(1989))により記述されるもののような、プラスミド、ファージおよび
/もしくはウイルスベクター配列を包含する。例えば、適するベクターは、アデ
ノウイルスベクター、レンチウイルスベクターを包含するレトロウイルスベクタ
ー、ワクシニアウイルスベクター、サイトメガロウイルスのウイルスベクターお
よびバキュロウイルスベクター(例えば、Knopsら、J.Biol.Che m. 266:7285(1991)を参照されたい)などを包含する。SV40
ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えば、SV40開始点(origin)、
初期プロモーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル酸化部位を、
必要とされる転写されない遺伝子要素を提供するのに使用することができる。代
表的な有用なベクターはpRc/CMVおよびpcDNA3ベクター(インヴィ
トロジェン(Invitrogen)、カリフォルニア州サンディエゴ)を包含
する。
【0070】 核酸の転写を指図することが可能なプロモーターは、誘導可能もしくは構成的
プロモーターであることができ、また、ウイルスおよび細胞のプロモーターを包
含する。哺乳動物宿主細胞における発現に適するウイルスプロモーターは、前初
期サイトメガロウイルスプロモーター(Boshartら、Cell 41:5
21−30(1985))およびSV40プロモーター(Subramaniら
Mol.Cell.Biol.1:854−64(1981))を包含する。
哺乳動物宿主細胞中での核酸の発現に適する細胞のプロモーターは、限定される
ものでないがマウスメタロチオネイン−1プロモーター(Palmiterら、
米国特許第4,579,821号明細書)およびテトラサイクリン応答性のプロ
モーター(GossenとBujard、Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 89:5547−51(1992);Pesciniら、Bioc hem.Biophys.Res.Comm. 202:1664−67(199
4))を挙げることができる。転写終止シグナルもまた、典型的には目的のコー
ディング配列の下流に配置される。適する転写終止シグナルは、SV40からの
初期もしくは後期ポリアデニル酸化シグナル(KaufmanとSharp、 ol.Cell.Biol. 2:1304−19(1982))、アデノウイル
ス5 e1B領域からのポリアデニル酸化シグナル、およびヒト成長ホルモン遺
伝子ターミネーター(DeNotoら、Nucleic Acid.Res.
:3719−30(1981))を包含する。
【0071】 哺乳動物細胞におけるANG−7核酸の転写は、ベクター中にエンハンサー配
列を挿入することにより増大される。エンハンサーは、プロモーターに作用して
その転写を増大させる、通常は約10から300bpまでの、DNAのcisに
作用する要素である。例は、複製起点の後ろ側(late side)のSV4
0エンハンサー(bp 100ないし270)、サイトメガロウイルス初期プロ
モーターエンハンサー、複製起点の後ろ側のポリオーマエンハンサー、およびア
デノウイルスエンハンサーを包含する。
【0072】 哺乳動物細胞は、リン酸カルシウム沈殿法(例えば、Wiglerら、Cel 14:725(1978);CorsanoとPearson、Somat ic Cell Genetics 7:603(1981);Grahamと
Van der Eb、Virology 52:456(1973)を参照さ
れたい);リポフェクション(例えばFelgnerら、Proc.Natl. Acad.Sci.USA 84:7413−17(1987)を参照されたい
)、ならびに微小注入法および電気穿孔法(例えば、Neumannら、EMB O J. 1:841−45(1982)を参照されたい)を包含する多数の方法
によりトランスフェクションすることができる。哺乳動物細胞は、SV40、C
MVなどのようなウイルスで形質導入することができる。ウイルスベクターの場
合、クローン化されたDNA分子は、ウイルス粒子での感受性の細胞の感染によ
り導入することができる。レンチウイルスを包含するレトロウイルスおよびアデ
ノウイルスベクターは、とりわけ遺伝子治療の方法においてANG−7核酸また
はそれらのフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物を使用する場合に、哺
乳動物細胞中でのANG−7核酸の発現での使用に好ましい。
【0073】 ANG−7核酸を含有する細胞を同定するのに、選択可能なマーカーを典型的
に使用する。選択可能なマーカーは、一般に、クローン化されたDNA分子と一
緒に細胞中に導入され、そしてネオマイシン、ハイグロマイシンおよびメトトレ
キセートのような薬物に対する耐性を賦与する遺伝子を包含する。選択可能なマ
ーカーは宿主細胞における栄養要求性を補完することもまたできる。なお他の選
択可能なマーカーは、ANG−7核酸を含有する細胞を同定するためのβ−ガラ
クトシダーゼもしくは緑色蛍光タンパク質のような検出可能なシグナルを提供す
る。選択可能なマーカーは増幅可能であることができる。こうした増幅可能な選
択可能なマーカーは、宿主ゲノム中に組込まれた配列の数を増幅するのに使用す
ることができる。
【0074】 ANG−7核酸を発現するのに多様な哺乳動物細胞培養系を使用することがで
きる。哺乳動物発現系の例は、サル腎線維芽細胞のCOS−7系統(例えば、G
luzman、Cell 23:175(1981)を参照されたい)、および
、C127、3T3、CHO、HeLa、BHK、VERO、HeLa、MDC
K、293、WI38、HEK、HUVEC細胞系のような適合性ベクターを発
現することが可能な他の細胞系を包含する。インビトロでのヒト細胞の培養およ
び細胞の不死化の方法は当業者に既知である。
【0075】 組換えポリペプチドの長期間の高収量産生のためには安定な発現が好ましい。
例えば、ANG−7核酸を含有する構築物を安定に発現する細胞系を工作するこ
とができる。ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用することより
もむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーターおよびエン
ハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル酸化部位、など)および選択
可能なマーカーにより、ANG−7核酸で形質転換することができる。哺乳動物
細胞へのこうした発現ベクターの導入後に、工作された細胞を集積培地(enr
iched media)中で1〜2日間成長させ、そしてその後選択培地に切
り替えることができる。発現ベクター中の選択可能なマーカーは選択に対する抵
抗性を賦与し、そして、細胞がベクターを染色体中に安定に組込みかつフォーカ
スを形成するよう成長することを可能にし、このフォーカスを順にクローン化し
かつ細胞系に拡張することができる。
【0076】 限定されるものでないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(「tk」
)(例えば、Wiglerら、Cell 11:223(1977)を参照され
たい)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(「hp
rt」(例えば、Szybalskiら、Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 48:2026(1962)を参照されたい)およびアデニンホス
ホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(「aprt」)(例えば、Lowyら、 Cell 22:817(1980)を参照されたい)を挙げることができる多
数の選択系を使用することができ、そして、それぞれtk-、hgprt-もしく
はaprt-細胞中で使用することができる。代謝拮抗物質耐性もまた、ジヒド
ロ葉酸レダクターゼ(「dhfr」)(メトトレキセートに対する耐性を賦与す
る)(Wiglerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77
:3567(1980);O’Hareら、FEBS Lett.210:73
1(1981));gpt(ミコフェノール酸に対する耐性を賦与する)(Mu
lliganら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:20
72。(1981));ネオマイシン(アミノグリコシドG−418に対する耐
性を賦与する)(Colberre−Garapinら、J.Mol.Biol 150:1(1981));およびハイグロマイシン(ハイグロマイシンに対
する抵抗性を賦与する)(Santerreら、Gene 30:147(19
84))についての選択の基礎として使用することができる。
【0077】 ANG−7核酸は、ビール酵母菌(Saccharomyces cerev isiae )、シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharom yces pombe)、糸状菌、ならびに、形質転換および/もしくはトラン
スフェクションに敏感に反応する他の単および多細胞生物体中でもまた発現させ
ることができる。ビール酵母菌(Saccharomyces cerevis iae )中でのクローン化された遺伝子の発現方法は当該技術分野で公知である
。(例えば、Methods in Enzymology、第185巻、Go
eddel(編)、アカデミック プレス(Academic Press)、
カリフォルニア州サンディエゴ(1990)中、“Gene Expressi
on Technology”;Methods in Enzymology 、GuthrieとFink(編)、アカデミック プレス(Academic
Press)、カリフォルニア州サンディエゴ(1991)中、“Guide
to Yeast Genetics and Molecular Bio
logy”を参照されたい)。糸状菌(例えばアスペルギルス属(Asperg
illus)の株)もまたANG−7核酸を発現するのに使用することができる
。培養された哺乳動物細胞および大腸菌(coli)中での異種遺伝子およ
びcDNAの発現方法は、Sambrookら(Molecular Clon ing:A Laboratory Manual 、第2版、ニューヨーク州コ
ールドスプリングハーバー(1989))に詳細に論考される。当業者に明らか
であるとみられるとおり、文献中で十分に確立された調節配列、ベクターおよび
方法を使用して、鳥類、昆虫および植物細胞のような他の宿主細胞中でANG−
7核酸を発現することができる。
【0078】 細菌中での発現に有用な組換え発現ベクターは、典型的には、宿主細胞の形質
転換を可能にする複製開始点および選択可能なマーカー(例えば、大腸菌( coli )のアンピシリンもしくはテトラサイクリン耐性遺伝子、またはビール
酵母菌(cerevisiae)のTRP1もしくはURA3遺伝子)、な
らびに下流の構造配列の転写を指図する高度に発現される遺伝子由来のプロモー
ターを包含する。こうしたプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(
PGK)のような解糖酵素、α因子、酸ホスファターゼ、熱ショックタンパク質
、翻訳伸長因子などをコードするオペロン由来であることができる。異種ANG
−7核酸は、適切な相で、翻訳開始および終止配列、ならびに好ましくは翻訳さ
れたタンパク質の細胞周辺腔もしくは細胞外媒体中への分泌を指図することが可
能なリーダー配列と集成する。場合によっては、異種配列は、所望の特徴(例え
ば、発現された組換え産物の安定化もしくは単純化された精製)を分け与えるN
末端同定ペプチドを包含する融合タンパク質をコードすることができる。形質転
換のための適する原核生物宿主は、大腸菌(Escherichia coli )、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Sal monella typhimurium)、ならびにシュードモナス属(Ps eudomonas )、ストレプトミセス属(Streptomyces)およ
びブドウ球菌属(Staphylococcus)内の多様な種を包含するが、
とは言え他者もまた慣例の選択の問題として使用することができる。
【0079】 細菌の使用に有用な発現ベクターは、公知のクローニングベクターpBR32
2(ATCC 37017)の遺伝子要素を含んで成るプラスミド由来の選択可
能なマーカーおよび細菌の複製開始点を含んで成る。他のベクターは、限定され
るものでないがpBLUESCRIPTベクター(ストラタジーン(Stara
tagene))、PKK223−3(ファルマシア ファイン ケミカルズ(
Pharmacia Fine Chemicals)、スウェーデン・ウプサ
ラ)およびGEM1(プロメガ バイオテック(Promega Biotec
)、ウィスコンシン州マディソン)を挙げることができる。これらのpBR32
2の「バックボーン」区分を、適切なプロモーターおよび発現されるべき構造配
列と組み合わせる。
【0080】 有用な発現ベクターは、所望のポリペプチドの精製での容易さのため、もしく
は可溶性のポリペプチドを産生するための融合パートナーをさらに含んで成る。
商業的融合ベクターの例は、限定されるものでないが、pET32a(ノヴァジ
ェン(Novagen)、ウィスコンシン州マディソン)、pGEX−4T−2
(ファルマシア(Pharmacia))およびpCYB3(ニュー イングラ
ンド バイオラブス(New England Biolabs)、マサチュー
セッツ州ビバリー)を挙げることができる。とりわけ細菌細胞中でのAng−7
ポリペプチド、またはそれらのフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物の
高レベル発現のため、融合パートナーの使用を回避する発現ベクターもまた構築
することができる。例えば、Pilot−Matiasら(Gene 128:
219−225(1993))により記述されるような翻訳カップリング(tr
anslational coupling)を至適化するためのベクターを作
成することができる。あるいは、ANG−7核酸は、それ自身が目的のAng−
7ポリペプチドの可溶化で補助するタンパク質もしくはペプチドをコードする別
個の付属プラスミドとともに共発現することができる。(例えば、Makrid
es、Microbiological Reviews 60:512(19
96)を参照されたい)。
【0081】 適する宿主株の形質転換、および適切な細胞密度までの宿主株の成長の後に、
選択されたプロモーターを適切な手段(例えば温度の移動もしくは化学的誘導)
により抑制解除し、そして細胞を付加的期間の間培養する。細胞は、典型的には
、遠心分離により収穫し、物理的もしくは化学的手段により崩壊させ、そして生
じる粗抽出物をさらなる精製のため保持する。タンパク質の発現で使用される微
生物細胞は、凍結−融解の循環、超音波処理、機械的崩壊、もしくは細胞溶解剤
の使用を包含するいずれかの便宜的方法により崩壊させることができ;こうした
方法は当業者に公知である。
【0082】 Ang−7ポリペプチドは、固体支持体に結合された抗Ang−7抗体を使用
するアフィニティークロマトグラフィー、およびLobanenkovら(On cogene 5:1743−53(1990))により記述されたような配列
特異的クロマトグラフィーのような多数の確立された方法を使用して、ならびに
エピトープ標識されたAng−7ポリペプチドに対する抗体(例えば抗HIS4
、myc、FLAGなど)を使用して単離することができる。付加的な単離方法
は、とりわけ、液体クロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、FPL
C、勾配遠心分離およびゲル電気泳動のような精製手段を包含する。タンパク質
精製の方法は当該技術分野で既知であり、そして本明細書に記述される組換えポ
リペプチドの精製に適用することができる。(全般的に、Scopes、Pro tein Purification 、シュプリンガー−フェアラーク(Spr
inger−Verlag)、ニューヨーク(1982)を参照されたい)。 抗Ang−7抗体 別の態様において、本発明は、脈管形成の調節での使用のための抗Ang−7
抗体を提供する。こうした抗体は、Ang−7ポリペプチドまたはそれらのフラ
グメント、変異体、誘導体もしくは類似物に結合することができる。Ang−7
ポリペプチドは、抗血清、もしくは例えばKohlerとMilstein( ature 256:495(1975))の方法に従ってモノクローナル抗体
を生じさせるのに使用することができる。こうしたモノクローナル抗体は、その
後、治療、治療的使用、もしくは診断試験の基礎を形成することができる。
【0083】 非ヒト抗血清またはモノクローナル抗体(例えばマウス、ウサギ目、ブタもし
くはウマ)の産生は、例えば、動物をアジュバントとともにもしくは伴わずにA
ng−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物で免疫化
することにより達成することができる。モノクローナル抗体の産生のためには、
抗体産生細胞を免疫化された動物から得、不死化しかつスクリーニングするか、
もしくは抗原に結合する抗体の産生について最初にスクリーニングし、そしてそ
の後不死化する。非ヒト抗体の抗原結合領域(例えば、F(ab’)、F(ab
’)2、Fvもしくは超可変領域)を、組換えDNA技術によりヒト抗体の枠組
み中に移して実質的にヒトの分子を産生させることが望ましいことができる。こ
うした「人化」分子の製造方法は一般に公知であり、そして、例えば、米国特許
第4,816,567号;同第4,816,397号;同第5,693,762
号;および同第5,712,120号明細書;国際特許公開第WO 87/02
671号および同第WO 90/00616号明細書;ならびに欧州特許公開第
0,239,400号明細書(それらの開示は引用により本明細書に組み込まれ
る)に記述される。あるいは、ヒトモノクローナル抗体もしくはその部分は、H
useら(Science 246:1275−81(1989))により一般
に示される方法に従って、Ang−7ポリペプチドに特異的に結合する抗体をコ
ードするDNA分子についてヒトB細胞cDNAライブラリーを最初にスクリー
ニングすることにより同定することができる。その後、DNA分子をクローン化
しかつ増幅して、所望の特異性の抗体(もしくは結合ドメイン)をコードする配
列を得ることができる。ファージディスプレイ技術は、Ang−7ポリペプチド
に結合する抗体を選択するための別の技術を提供する。(例えば、国際特許公開
第WO 91/17271号および同第WO 92/01047号明細書、なら
びにHuseら、上記を参照されたい)。
【0084】 抗体は、Ang−7ポリペプチドの発現を指図する発現ベクターを使用する遺
伝子免疫感作によってもまた産生させることができる。移入された遺伝子により
コードされるタンパク質に対する特異的抗体応答を生じさせるのに、粒子砲撃に
媒介される遺伝子移入(Tangら、Nature 356:152−54(1
992);Eisenbaumら、DNA & Cell Biol.12:7
91−97(1993);JohnstonとTang、Meth.Cell Biol. 43 Pt.A:353−65(1994);Vahlsingら、 J.Immun.Meth. 175:11−22(1994))、およびレトロ
ウイルス遺伝子移入(Wangら、DNA & Cell Biol.12:7
99−805(1993);Stover、Curr.Opin.Immuno l. 6:568−71(1994);Laubeら、Human Gene T her. 5:853−62(1994))が使用されている。これらの方法は、
タンパク質精製を必要とすることなしに抗体の産生を可能にする。こうした方法
は、Ang−7ポリペプチドに特異的な抗体の一団を産生させるのに使用するこ
とができる。モノクローナル抗体もまたこれらの方法を使用して生成させること
ができる。
【0085】 Ang−7ポリペプチドに対する抗体は、腫瘍生検サンプル、組織および器官
の切片、末梢血液細胞などのような生物学的サンプル中のAng−7ポリペプチ
ドを検出するための試薬として使用することができる。こうした抗体は、Ang
−7ポリペプチドのレベルを検出および/もしくは定量するためのイムノアッセ
イで使用することもまたできる。本発明での使用に適するイムノアッセイは、限
定されるものでないが、酵素免疫測定法、イムノブロット、阻害もしくは競争反
応、サンドイッチアッセイ、放射免疫沈降法などを挙げることができる。(例え
ば、米国特許第4,642,285号;同第4,376,110号;同第4,0
16,043号;同第3,879,262号;同第3,852,157号;同第
3,850,752号;同第3,839,153号;同第3,791,932号
明細書;およびHarlowとLane、Antibodies,A Labo ratory Manual 、コールド スプリング ハーバー パブリケーシ
ョンズ(Cold Spring Harbor Publications)
、ニューヨーク(1988)を参照されたい)。
【0086】 一アッセイにおいて、Ang−7ポリペプチドは、標識された抗体、好ましく
は標識されたモノクローナル抗体を使用して同定および/もしくは定量する。抗
体を組織もしくは細胞と反応させ、そしてその後組織もしくは細胞を検査して、
該抗体が標的のAng−7ポリペプチドに特異的に結合したかどうかを決定する
。こうしたアッセイは、典型的に、免疫複合体形成に伝導性の条件下で実施する
。標識されない一次抗体を、一次抗体と反応性である標識とともに、Ang−7
ポリペプチドを検出するのに使用することができる。例えば、一次抗体は、一次
抗体を特異的に検出するよう作成された標識された二次抗体により間接的に検出
することができる。あるいは、抗Ang−7抗体を直接標識することができる。
放射性核種、粒子(例えば、金、フェリチン、磁性粒子および赤血球)、蛍光団
(fluorophore)、化学発光剤(chemiluminescer)
、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤、リガンド(とりわけハプテン)
などのような、広範な標識を使用することができる。
【0087】 抗Ang−7ポリペプチドは、例えば多様な組織中で本発明のポリペプチドの
レベルを検出するための診断アッセイで使用することができる。なぜなら、正常
の対照組織サンプルに比較した該タンパク質の過小発現は、異常な脈管形成、例
えば腫瘍の存在を検出することができるからである。宿主由来のサンプル中のタ
ンパク質のレベルを検出するのに使用されるアッセイは当業者に公知であり、そ
してラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、EL
ISAアッセイおよび「サンドイッチ」型アッセイを包含する。診断アッセイは
、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの検出もまた包含する。
ANG−7核酸および/もしくはAng−7ポリペプチドの使用方法: 別の態様において、脈管形成を調節するためのAng−7化合物の投与のため
の方法および組成物が提供される。Ang−7化合物は、限定されるものでない
が、本明細書に記述されるところのAng−7ポリペプチド、それらのフラグメ
ント、変異体、誘導体および類似物を挙げることができる。こうしたAng−7
化合物は、本明細書に記述されるところのAng−7ポリペプチド、フラグメン
トもしくは変異体をコードするANG−7核酸、ならびに下により完全に記述さ
れるようなANG−7アンチセンス核酸をさらに包含することができる。好まし
くない脈管形成のような、脈管形成を伴う障害は、Ang−7ポリペプチド、そ
れらのフラグメント、変異体、誘導体および/もしくは類似物、ならびに/また
はANG−7核酸の投与のような脈管形成を阻害するAng−7化合物を使用す
る。同様に、脈管形成が不完全であるもしくは所望される障害は、ANG−7ア
ンチセンス核酸、またはAng−7の機能を阻害するAng−7ポリペプチド、
そのフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物投与により治療することがで
きる。別の態様において、Ang−7化合物はポリクローナル、モノクローナル
および人化抗体のような抗体を包含する。
【0088】 該化合物は治療的もしくは予防的に投与することができる。それらは以下の実
施例により立証されるとおり、有効量でインビボ、エクスビボもしくはインビト
ロで宿主細胞と接触させることができる。 遺伝子治療 本発明のAng−7ポリペプチドをコードするANG−7核酸は遺伝子治療の
方法で使用することができる。遺伝子治療は、被験体内の疾患もしくは臨床状態
の治療のために、その被験体における外因性起源の核酸配列の発現を提供する方
法を指す。こうした遺伝子治療は、限定されるものでないが、癌、創傷治癒、糖
尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患、および胎盤の血管新生の調節を包含す
る生殖器系の脈管形成を伴う臨床状態を挙げることができる疾患もしくは臨床状
態の治療、または人工妊娠中絶薬としての使用に関与することができる。被験体
への核酸の送達は、直接(この場合に患者は核酸もしくは核酸を運搬するベクタ
ーに直接曝露される)または間接的(この場合には細胞を最初にインビトロで該
核酸で形質転換し、その患者に移植する)のいずれかであることができる。これ
らの2種のアプローチは、それぞれ、インビボもしくはエクスビボ遺伝子治療と
して知られる。例えば、Ang−7ポリペプチド、またはそのフラグメントもし
くは変異体を、エクスビボで、該ポリペプチド、フラグメントもしくは変異体を
コードするポリヌクレオチド(DNAもしくはRNA)で細胞を工作することに
より、組換え的に発現させることができ、その後、工作された細胞を、該ポリペ
プチドで治療されるべき患者に提供する。細胞は、Ang−7ポリペプチド、フ
ラグメントもしくは変異体をコードするRNAを含有するレトロウイルス/レン
チウイルス粒子の使用により、当該技術分野で既知の手順によってもまた工作す
ることができる。例示的方法を後述する。
【0089】 遺伝子治療の方法の全般的総説については、Goldspielら(Clin ical Pharmacy 12:488−505(1993));WuとW
u(Biotherapy 3:87−95(1991));Tolstosh
ev(Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573−
596(1993))、Mulligan(Science 260:926−
932(1993));MorganとAnderson(Ann.Rev.B iochem. 62:191−217(1993));およびMay(TIBT ECH 11:155−215(1993))を参照されたい。使用することが
できる組換えDNA技術の当該技術分野で公知の方法は、Ausubelら( urrent Protocols in Molecular Biolog 、ジョン ワイリー アンド サンズ(John Wiley & Sons
)、ニューヨーク(1993));Kriegler(Gene Transf er and Expression,A Laboratory Manua 、ストックトン プレス(Stockton Press)、ニューヨーク(
1990));ならびに米国特許第6,077,663号;同第6,077,8
35号;同第6077,705号;および同第6,075,012号明細書に記
述されるものを包含する。遺伝子治療に他の外因性配列を使用する方法は、AN
G−7核酸を使用する遺伝子治療にもまた応用可能である。(例えば、米国特許
第6,066,624号明細書を参照されたい)。
【0090】 定義された細胞集団に、潜在的に治療的な遺伝子を移入するためのいくつかの
方法が既知である。(例えばMulligan、Science 260:92
6−31((1993)を参照されたい。)これらの方法は: 1)直接遺伝子移入。(例えばWolffら、Science 247:146
5−68(1990)を参照されたい)。 2)リポソームに媒介されるDNA移入。(例えば、Caplanら、Natu re Med. 3:39−46(1995);Crystal、Nature Med. 1:15−17(1995);GaoとHuang、Biochem. Biophys.Res.Comm. 179:280−85(1991)を参照
されたい)。 3)レトロウイルスに媒介されるDNA移入。(例えば、Kayら、Scien ce 、262:117−19(1993);Anderson、Science 256:808−13(1992)を参照されたい)。上で挙げられたレトロ
ウイルスプラスミドベクターが由来することができるレトロウイルスはレンチウ
イルスを包含する。それらは、限定されるものでないが、モロニーマウス白血病
ウイルス、脾壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、鳥類
の白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増
殖性肉腫ウイルスおよび乳房腫瘍ウイルスのようなレトロウイルスをさらに挙げ
ることができる。 一態様において、レトロウイルスプラスミドベクターはモロニーマウス白血病ウ
イルス由来である。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を具体的
に説明する例は、以下、すなわちClowesら(J.Clin.Invest 93:644−651(1994));Kiemら(Blood 83:14
67−1473(1994));SalmonsとGunzberg(Huma n Gene Therapy 4:129−141(1993));およびG
rossmanとWilson(Curr.Opin.in Genetics and Devel. 3:110−114(1993))をさらに包含する。 4)DNAウイルスに媒介されるDNA移入。こうしたDNAウイルスは、アデ
ノウイルス(好ましくはAd−2もしくはAd−5に基づくベクター)、ヘルペ
スウイルス(好ましくは単純ヘルペスウイルスに基づくベクター)、およびパル
ボウイルス(好ましくは「欠損」もしくは非自律性パルボウイルスに基づくベク
ター、より好ましくはアデノ随伴ウイルスに基づくベクター、最も好ましくはA
AV−2に基づくベクター)を包含する。(例えば、Aliら、Gene Th erapy 1:367−84(1994);米国特許第4,797,368号
および同第5,139,941号明細書(それらの開示は引用により本明細書に
組み込まれる)を参照されたい。)アデノウイルスは、それらが広範な宿主範囲
を有し、休止期のまたはニューロンもしくは肝細胞のような末期的に分化した細
胞を感染させることができ、そして本質的に非腫瘍形成性のようであるという利
点を有する。アデノウイルスは、宿主ゲノム中に組込むようでない。それらは染
色体外に存在するため、挿入的突然変異誘発の危険は大きく低下される。アデノ
随伴ウイルスはアデノウイルスに基づくベクターと類似の利点を表す。しかしな
がら、AAVはヒト第19染色体上に部位特異的組込みを表す。 を包含する。
【0091】 KozarskyとWilson(Current Opinion in Genetics and Development 3:499−503(1
993))はアデノウイルスに基づく遺伝子治療の総説を提示する。Boutら
Human Gene Therapy 5:3−10(1994))はアカ
ゲザルの呼吸器上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用を
立証した。Hermanら(Human Gene Therapy 10:1
239−1249(1999))は、フェーズI臨床試験における、ヒト前立腺
への単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子を含有する複製欠損アデノウイルスの
前立腺内注入、その後プロドラッグ、ガンシクロビルの静脈内投与を記述する。
遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら( Science 252:431−434(1991));Rosenfeld
ら(Cell 68:143−155(1992));Mastrangeli
ら(J.Clin.Invest.91:225−234(1993));およ
びThompson(Oncol.Res.11:1−8(1999))に見出
すことができる。
【0092】 目的の遺伝子を移入するための特定のベクター系の選択は多様な因子に依存す
ることができる。1つの重要な因子は標的細胞集団の性質である。レトロウイル
スベクターは広く研究されておりかつ多数の遺伝子治療の応用で使用されている
が、これらのベクターは一般に非分裂細胞を感染させるのに適しない。加えて、
レトロウイルスは腫瘍形成性に対する潜在能力を有する。しかしながら、レンチ
ウイルスベクターの分野での最近の発展は、これらの制限のいくつかを回避する
ことができる。(Naldiniら、Science 272:263−7(1
996)を参照されたい。) 本発明のポリペプチドをコードするDNAを用いる遺伝子治療は、その必要な
被験体(例えば患者もしくは哺乳動物)に、診断と同時にもしくはその直後に提
供される。当業者は、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有するいず
れかの適する遺伝子治療ベクターを本発明に従って使用することができることを
認識するであろう。こうしたベクターを構築するための技術は既知である。(例
えば、Anderson、Nature 392 25−30(1998);V
erma、Nature 389 239−42(1998)を参照されたい)
。標的部位へのベクターの導入は既知技術を使用して達成することができる。
【0093】 一態様において、ANG−7核酸を発現ベクターに挿入する。ANG−7核酸
は、Ang−7ポリペプチド、フラグメント、変異体、誘導体もしくはキメラタ
ンパク質をコードする。とりわけ、こうした発現ベクター構築物は、ANG−7
核酸(例えばcDNAもしくはコーディング領域の一部分)に操作可能に連結さ
れたプロモーターを典型的に含んで成り、該プロモーターは誘導可能もしくは構
成的、そして場合によっては組織特異的である。
【0094】 別の態様において、内在性のANG−7核酸が不完全である場合、該不完全な
配列は、外因性のANG−7をコードする配列、およびゲノム中の所望の部位で
相同的組換えを促進する領域により隣接されるいずれかの他の所望の配列により
置き換えることができ、従って外因性のANG−7核酸の染色体内発現を提供す
る。(例えば、KollerとSmithies、Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 86:8932−8935(1989);Zijlstr
aら、Nature 342:435−438(1989));米国特許第5,
631,153号;同第5,627,059号;同第5,487,992号;お
よび同第5,464,764号明細書を参照されたい。)。
【0095】 核酸は、受容体を特異的に発現する細胞型に標的を定めるのに使用することが
できる、受容体に媒介されるエンドサイトーシス(例えば、WuとWu、J.B iol.Chem. 262:4429−4432(1987)を参照されたい)
などにかけられるリガンドに連結して核酸を投与することにより、核に進入する
ことが既知であるペプチドに連結してもまた投与することができる。別の態様に
おいて、核酸−リガンド複合体を形成することができ、ここで、リガンドは、エ
ンドソームを崩壊させる融合原性(fusogenic)のウイルスペプチドを
含んで成り、核酸がリソゾーム分解を回避することを可能にする。
【0096】 なお別の態様において、核酸は、特定の受容体に標的を定めることにより、細
胞の特異的取込みおよび発現にインビボで標的を定めることができる(例えば、
国際特許公開第WO 92/06180号;同第WO 92/22635号;同
第WO 92/20316号;同第WO 93/14188号、および同第WO
93/20221号明細書を参照されたい)。あるいは、核酸を細胞内に導入
しそして相同的組換えにより発現のため宿主細胞DNA内に組込むことができる
。(例えば、KollerとSmithies、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 86:8932−8935(1998);Zijlstra
ら、Nature 342:435−438(1989);米国特許第5,63
1,153号;同第5,627,059号;同第5,487,992号;および
同第5,464764号明細書を参照されたい)。) 特定の一態様において、ANG−7核酸を含有するウイルスベクターを使用す
る。例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる(Millerら
Meth.Enzymol.17:581−599(1993)を参照された
い)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージングお
よび宿主細胞DNA中への組込みに必要でないレトロウイルス配列を欠失するよ
う改変されている。遺伝子治療で使用されるべきANG−7核酸を、患者への該
遺伝子の送達を助長するベクター中にクローン化する。レトロウイルスベクター
についてのより多くの詳細は、Boesenら(Biotherapy 6:2
91−302(1994))に見出すことができ、これは、造血幹細胞を化学療
法に対しより抵抗性にするために、該幹細胞にmdrl遺伝子を送達させるため
のレトロウイルスベクターの使用を記述する。
【0097】 遺伝子治療への他のアプローチは、電気穿孔法、リポフェクション、リン酸カ
ルシウムに媒介されるトランスフェクションもしくはウイルス感染のような方法
により組織培養物中の細胞に遺伝子を移入することを必要とする。典型的には、
該方法は細胞への選択可能なマーカーの移入を包含する。その後、細胞を、移入
された遺伝子を取込みかつ発現している細胞を単離するための選択下におく。選
択された細胞をその後、患者に送達させる。
【0098】 外来遺伝子の細胞中への導入のための多数の技術が当該技術分野で既知であり
(例えば、LoefflerとBehr、Meth.Enzymol.217:
599−618(1993);Cohenら、Meth.Enzymol.21
7:618−644(1993);Cline、Pharmac.Ther.
9:69−92(1985)を参照されたい)、そして本発明により使用するこ
とができる。該技術は、典型的に、細胞への核酸の安定な移入を提供し、その結
果該核酸は該細胞により発現可能であり、また、その細胞の子孫により遺伝可能
かつ発現可能である。
【0099】 生じる組換え細胞は、当該技術分野で既知の多様な方法により患者に送達する
ことができる。典型的には、細胞を皮下に注入する。あるいは、組換え皮膚細胞
を皮膚移植片として患者に適用することができる。組換え血液細胞(例えば、造
血幹細胞もしくは先祖細胞)は典型的に静脈内に投与する。使用に構想される細
胞の量は、所望の効果、患者の病状などに依存し、そして当業者により決定する
ことができる。
【0100】 遺伝子治療の目的上核酸を導入することができる細胞は、いずれかの所望の利
用可能な細胞型を包含し、そして、限定されるものでないが、内皮細胞、前立腺
細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞、血液細胞(T
リンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球および
顆粒球のような)、多様な幹細胞もしくは先祖細胞(とりわけ、骨髄、臍帯血、
末梢血、胎児肝などから得られるもののような造血幹細胞もしくは先祖細胞)を
挙げることができる。遺伝子治療に使用される細胞は、一般に患者に対し自己で
あるが、しかし、患者との適合性について型分類することができる異種細胞を使
用することができる。
【0101】 Ang−7ポリペプチド、またはそれらのフラグメント、変異体、誘導体もし
くは類似物の投与: 本発明は、有効量のAng−7化合物の被験体への投与方法を提供する。例え
ば、好ましくない脈管形成は、有効量のAng−7ポリペプチド、そのフラグメ
ント、変異体、誘導体もしくは類似物の投与により治療もしくは予防することが
できる。一態様において、こうしたポリペプチドは、増大された(正常もしくは
所望のに関して)脈管形成を伴う疾患もしくは臨床状態において治療的に(予防
的にを包含する)投与し、それにより脈管形成を阻害する。別の態様において、
こうしたポリペプチドは、脈管形成が疾患もしくは臨床状態の原因もしくは治療
に関連性のあることができる疾患もしくは臨床状態において、該疾患もしくは臨
床状態を阻害するために治療的に(予防的にを包含する)投与する。本発明の疾
患もしくは臨床状態は、限定されるものでないが、癌、創傷治癒、腫瘍形成、糖
尿病性網膜症、黄斑変性、心血管系疾患などを挙げることができる。
【0102】 典型的には、Ang−7化合物は処方に先立ち実質的に精製する。被験体は、
限定されるものでないが、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどを挙げ
ることができる動物であることができ、そして典型的には哺乳動物、そして特定
の一態様においてはヒトである。別の特定の態様においては、非ヒト哺乳動物が
被験体である。Ang−7化合物が核酸を含んで成る場合に使用することができ
る製剤および投与方法は上述され;付加的な適切な製剤および投与経路は下述さ
れるもののなかから選択することができる。
【0103】 例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセル中の被包化、該化合物を発
現することが可能な組換え細胞、受容体に媒介されるエンドサイトーシス(例え
ば、WuとWu、J.Biol.Chem.262:4429−4432(19
87)を参照されたい)、レトロウイルスもしくは他のベクターの一部としてA
NG−7核酸を含んで成る発現ベクターの構築などのような多様な送達系が既知
であり、かつ、Ang−7化合物を投与するのに使用することができる。導入方
法は、限定されるものでないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、
硬膜外および経口の経路を挙げることができる。該化合物はいずれかの便宜的な
経路、例えば注入もしくはボーラス注入、上皮もしくは粘膜皮膚の内側を通る吸
収(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜)などにより投与することができ、ま
た、他の生物学的に活性の作用物質と一緒に投与することができる。投与は全身
性もしくは局所であることができる。
【0104】 特定の一態様において、Ang−7化合物を治療の必要な領域に局所に投与す
ることが望ましいことができ;この投与は、例えば、そして制限としてでなく、
外科手術の間の局所注入、局所適用(例えば外科手術の後の創傷包帯とともに)
、注入により、カテーテルによって、坐剤によって、もしくは埋植物によって(
該埋植物は、多孔性、非多孔性、もしくはsialastic膜のような膜を包
含するゼラチン性素材のものである)、または繊維により達成することができる
。一態様において、投与は、悪性腫瘍または腫瘍性もしくは前腫瘍性(pre−
neoplastic)組織の部位(もしくは前の部位(former sit
e))での直接注入によることができる。
【0105】 別の態様において、Ang−7化合物は小胞、とりわけリポソーム中で送達さ
せることができる(Langer、Science 249:1527−153
3(1990);Treatら、Liposomes in the Ther apy of Infectious Disease and Cancer 、Lopez−BeresteinとFidler(編)、リス(Liss)、
ニューヨーク中、pp.353−365(1989);Lopez−Beres
tein、上記、pp.317−327);米国特許第6,077,663号お
よび同第6,071,533号明細書を参照されたい)。
【0106】 なお別の態様において、Ang−7化合物は制御放出系中で送達させることが
できる。一態様においてはポンプを使用することができる(Langer、上記
;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:2
01(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(19
80);Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(198
9)を参照されたい)。別の態様においてはポリマー性素材を使用することがで
きる(例えば、Medical Applications of Contr olled Release 、LangerとWise(編)、CRC プレス
(CRC Press)、フロリダ州ボカラトン(1974);Control led Drug Bioavailability,Drug Produc t Design and Performance 、SmolenとBall
(編)、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク(1984);Rangerと
Peppas、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.C hem. 23:61(1983);Levyら、Science 228:19
0(1985);Duringら、Ann.Neurol.23:351(19
89);Howardら、J.Neurosurg.71:105(1989)
を参照されたい)。なお別の態様において、制御放出系は治療標的の近傍に置く
ことができ、従ってほんの少量の全身用量のみを必要とする(例えば、Good
son、Medical Application of Controlle d Release 、上記、第2巻中、pp.115−138(1984)を参
照されたい)。他の制御放出系は、例えばLanger(Science 24
9:1527−1533(1990))による総説で論考される。
【0107】 本発明は、Ang−7化合物を投与するための製薬学的組成物もまた提供する
。こうした組成物は、治療上有効な量のAng−7化合物および製薬学的に許容
できる担体を含んで成る。「製薬学的に許容できる」という用語は、動物、およ
びより典型的にはヒトでの使用について連邦もしくは州政府の規制当局により承
認された、または米国薬局方もしくは他の一般に認識される薬局方に列挙された
を意味する。「担体」という用語は、それとともにAng−7化合物が投与のた
め処方される希釈剤、補助物質、賦形剤、安定剤もしくはベヒクルを指す。
【0108】 製薬学的に許容できる担体は、例えば組成物を安定化する、または作用物質の
吸収を増大もしくは減少させるように作用する生理学的に許容できる化合物を含
有することができる。生理学的に許容できる化合物は、例えば、ブドウ糖、ショ
糖もしくはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸もしくはグルタチオ
ンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤もしく
は賦形剤を包含することができる。他の生理学的に許容できる化合物は、湿潤剤
、乳化剤、分散助剤もしくは保存剤(微生物の成長もしくは作用を予防するのに
とりわけ有用である)を包含する。担体は、水、およびラッカセイ油、ダイズ油
、鉱物油、ゴマ油のような石油、動物、植物もしくは合成起源のものを包含する
油などのような滅菌の液体をさらに包含する。水は、製薬学的組成物を静脈内に
投与する場合に典型的な担体である。生理的食塩水溶液ならびに水性ブドウ糖お
よびグリセロール溶液もまた、とりわけ注入可能な溶液の液体担体として使用す
ることができる。多様な保存剤が公知であり、かつ、例えばフェノールおよびア
スコルビン酸を包含する。適する製薬学的賦形剤は、デンプン、ブドウ糖、乳糖
、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナ
トリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂
乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを包含する。当
業者は、生理学的に許容できる化合物を包含する製薬学的に許容できる担体の選
択は例えば該ポリペプチドの投与経路および特定のポリペプチドの特定の物理化
学的特徴に依存することを知っているであろう。例えば、アルミニウムモノステ
アレートもしくはゼラチンのような生理学的に許容できる担体は、被験体に投与
された製薬学的組成物の吸収の速度を遅延させる遅延剤としてとりわけ有用であ
る。担体、安定剤もしくは補助物質のさらなる例は、Martin、Remin gton’s Pharm.Sci. 、第15版(マック パブリッシング カ
ンパニー(Mack Publ. Co.)、イーストン、1975)(引用に
より本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。製薬学的組成物は、所望
の場合は、リポソーム、微小球体もしくは他のポリマーマトリックス中に組込む
こともまたできる(Gregoriadis、Liposome Techno logy 、第1巻(CRC プレス(CRC Press)、フロリダ州ボカラ
トン、1984)(引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。例
えばリン脂質もしくは他の脂質より成るリポソームは、非毒性であり、生理学的
に許容でき、かつ、作成および投与することが比較的単純である代謝可能な担体
である。
【0109】 インビボで実施される場合に、本発明のベクターを含有する製薬学的組成物の
投与方法は、当該技術分野で公知であり、かつ、限定されるものでないが経口で
、腫瘍内に、静脈内に、筋肉内にもしくは腹腔内投与を挙げることができる。投
与は連続的にもしくは間歇的に達成することができ、そして例えば他の治療組成
物を用いる場合でそうであるように、治療されるべき被験体および病状とともに
変動することができる(Landmannら、J.Interferon Re s. 12:103−111(1992);Aulitzkyら、Eur.J.C ancer 27:462−67(1991);Lantzら、Cytokin 2:402−06(1990);Supersaxoら、Pharm.Re s. 5:472−76(1988);Demetriら、J.Clin.Onc ol. 7:1545−53(1989);およびLeMaistreら、Lan cet 337:1124−25(1991)を参照されたい)。
【0110】 製薬学的組成物は、溶液、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持
続放出製剤などの形態をとることができる。組成物は、トリグリセリドのような
伝統的な結合剤および担体を含む坐剤として処方することができる。経口製剤は
、製薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、
サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準的担体
を包含することができる。
【0111】 製薬学的組成物は、患者への投与に適正な製剤を提供するように、適する量の
担体と一緒に、典型的には精製された形態の治療上有効な量のAng−7化合物
を含有することができる。製剤は投与様式に適するべきである。
【0112】 一態様において、組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合された製薬学的組成物
として、慣例の手順に従って処方する。典型的には、静脈内投与のための組成物
は滅菌の等張の水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、組成物は、可溶化剤、
および注入の部位の疼痛を和らげるための局所麻酔薬もまた包含することができ
る。一般に、成分は別個に、もしくは単位投与剤形中に一緒に混合されてのいず
れかで供給する。(例えば、Ang−7化合物の量を示すアンプルもしくはサシ
ェ(sachette)のような密封して封止された容器中の水分を含まない凍
結乾燥された粉末もしくは水を含まない濃縮物として。)組成物を注入(inf
usion)により投与するべきである場合、それは滅菌の製薬学的等級の水も
しくは生理的食塩水を含有する注入瓶を用いて分注することができる。組成物を
注入(injection)により投与する場合は、成分を投与前に混合するこ
とができるように、滅菌の注射用蒸留水もしくは生理的食塩水のアンプルを提供
することができる。
【0113】 Ang−7化合物は中性もしくは塩の形態として処方することができる。製薬
学的に許容できる塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸など由来のもの
のような遊離アミノ基で形成されるもの、および水酸化ナトリウム、カリウム、
アンモニウム、カルシウム、鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−
エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど由来のもののような遊離
カルボキシル基で形成されるものを包含する。
【0114】 脈管形成の調節により示されるような特定の障害もしくは病状の治療で有効で
あることができるAng−7化合物の量は、該障害もしくは病状の性質に依存す
ることができ、そして標準的臨床技術により決定することができる。加えて、至
適の投薬量範囲を同定するのを助けるのに、インビトロアッセイを場合によって
は使用することができる。製剤中で使用されるべきAng−7化合物の正確な用
量は、投与経路および疾患もしくは障害の重症度にもまた依存することができ、
そして実務医の判断および各患者の情況に従って決定すべきである。静脈内投与
に適する投薬量範囲は、一般に体重1キログラムあたり約20〜500マイクロ
グラムの活性のAng−7化合物である。鼻内投与に適する投薬量範囲は、一般
に約0.01pg/kg体重ないし1mg/kg体重である。有効用量は、イン
ビトロもしくは動物モデル試験系から生じられる用量応答曲線から外挿すること
ができる。坐剤は、一般に0.5%ないし10重量%の範囲の有効成分を含有し
;経口製剤は典型的に10%ないし95%の有効成分を含有する。
【0115】 本発明は、本発明の製薬学的組成物の成分の1種もしくはそれ以上で充填され
た1個もしくはそれ以上の容器を含んで成る製薬学的パックもしくはキットもま
た提供する。場合によっては、製薬学的もしくは生物学的製品の製造、使用もし
くは販売を規制する政府機関により規定された形態の通知が、こうした容器(1
個もしくは複数)に伴うことができ、この通知はヒト投与のための製造、使用も
しくは販売の当局による承認を反映する。 脈管形成に関係した疾患の治療 別の態様において、Ang−7ポリペプチド、またはそれらのフラグメント、
変異体、誘導体もしくは類似物、あるいはこうしたポリペプチドをコードするA
NG−7核酸のようなAng−7化合物は、脈管形成に関係することができる疾
患もしくは臨床状態を治療するのに使用することができる。いずれかの特定の理
論により拘束されることを意図しないが、多くの疾患の開始および/もしくは進
行は脈管形成に依存すると考えられている。例えば、腫瘍形成は脈管形成に緊密
に関連する。こうした腫瘍は、横紋筋肉腫、網膜芽腫、ユーイング肉腫、神経芽
腫および骨肉腫のような充実性腫瘍、ならびに聴神経腫、神経線維腫、トラコー
マおよび化膿性肉芽腫のような良性腫瘍を包含する。従って、腫瘍の形成もしく
は進行は、脈管形成を阻害することにより治療することができ;Ang−7ポリ
ペプチド、フラグメント、変異体、誘導体および類似物、もしくはANG−7核
酸を腫瘍に投与することは、さらなる腫瘍の成長および/もしくは進行を阻害す
ることができる。同様に、組換えAng−7ポリペプチド、フラグメントもしく
は変異体を発現する細胞を使用することができる。あるいは、減少された脈管形
成は心血管系疾患に関連する。従って、脈管形成を増大させるAng−7化合物
を使用して脈管形成を治療することができる。上述された方法論のいずれかを、
こうした脈管形成に関係した疾患の治療に適用することができる。
【0116】 好ましくない脈管形成を伴う他の疾患もしくは臨床状態もまた類似の様式で治
療することができる。こうした他の疾患もしくは病状は、限定されるものでない
が、眼の新生血管疾患、老人性黄斑変性、糖尿病性網膜症、角膜移植片拒絶、血
管新生性の緑内障および水晶体後線維増殖、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症
、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上縁結膜炎、翼状片、乾性角
結膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性ざ瘡、phylectenulosis、
梅毒、ミコバクテリア(Mycobacteria)感染症、脂質変性、化学物
質火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス(Herpes simple )感染症、帯状疱疹ウイルス(Herpes zoster)感染症、原生動
物感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、慢性
関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性関節炎、ヴェーゲナーサルコイドーシス、強
膜炎、スティーヴェンズ−ジョンソン病、periphigoid放射状角膜切
開、角膜graph拒絶、鎌状赤血球貧血、サルコイドーシス、梅毒、弾力線維
性偽黄色腫、ページェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブ
ドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟性網膜症、イー
ルズ病、ベーチェット病、網膜炎もしくは脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定眼
ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、眼の痘痕(pit)、シュタルガルト病、
扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、外傷ならびにレ
ーザー後合併症を挙げることができる。他の疾患は、皮膚潮紅、線維血管もしく
は線維組織の異常増殖、慢性関節リウマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クロ
ーン病、バルトネラ症、アテローム硬化症、血管腫、オースラー−ウェーバー−
ランデュ病、遺伝性出血性毛細管拡張症および白血病に関連するものを包含する
。 ANG−7発現のアンチセンス調節: 特定の一態様において、Ang−7の機能はANG−7アンチセンス核酸の使
用により阻害される。本発明は、Ang−7ポリペプチドの機能を阻害するため
の、Ang−7ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは変異体をコードす
る遺伝子もしくはcDNAにアンチセンスである最低6ヌクレオチドの核酸の投
与を提供する。本明細書で使用されるところのANG−7「アンチセンス」核酸
は、なんらかの配列の相補性のゆえにANG−7 RNA(典型的にはmRNA
)の一部分にハイブリダイズする核酸を指す。アンチセンス核酸は、ANG−7
mRNAのコーディングおよび/もしくは非コーディング領域に相補的である
ことができる。しかしながら、絶対的な相補性(典型的だが)は必要とされない
。本明細書で言及されるところの「RNAの最低一部分に相補的な」配列は、R
NAとハイブリダイズして安定な二重鎖を形成することが可能であるのに十分な
相補性を有する配列を意味する。二本鎖ANG−7アンチセンス核酸の場合には
、二重鎖DNAの一本鎖を試験することができるか、もしくは三重鎖形成をアッ
セイすることができる。ハイブリダイズする能力は相補性の程度およびアンチセ
ンス核酸の長さの双方に依存することができる。一般に、ハイブリダイズする核
酸が長くなるほど、それが含有しかつ安定な二重鎖(もしくは場合により三重鎖
)をなお形成することができる塩基の不適正が多くなる。当業者は、ハイブリダ
イズされた複合体の融点を決定する標準的手順の使用により不適正の耐えられる
程度を確かめることができる。
【0117】 こうしたアンチセンス核酸は、Ang−7の機能を阻害する作用物質としての
有用性を有し、また、上述されたとおり、疾患もしくは臨床状態の治療もしくは
予防で使用することができる。本発明のアンチセンス核酸は、二本鎖もしくは一
本鎖のRNAもしくはDNAであるオリゴヌクレオチドまたはそれらの誘導体で
あることができ、これらは細胞に直接投与することができるか、もしくは外因性
の導入された核酸配列の転写により細胞内で産生させることができる。
【0118】 特定の一態様において、本発明により提供されるANG−7アンチセンス核酸
は脈管形成を予防するのに使用することができる。本発明は、上述されたような
製薬学的に許容できる担体中に有効量の本発明のANG−7アンチセンス核酸を
含んで成る製薬学的組成物をさらに提供する。別の態様において、本発明は、本
発明のANG−7アンチセンス核酸を含んで成る有効量の組成物を細胞に提供す
ることを含んで成る真核生物細胞中でのANG−7核酸配列の発現の阻害方法に
向けられる。ANG−7アンチセンス核酸およびそれらの用途を詳細に下述する
【0119】 ANG−7アンチセンス核酸は最低6ヌクレオチドのものであり、そして典型
的にはオリゴヌクレオチド(6から約50ヌクレオチドもしくはそれ以上までの
範囲にわたる)である。特定の局面において、該オリゴヌクレオチドは最低10
ヌクレオチド、最低15ヌクレオチド、最低100ヌクレオチドであるか、もし
くは最低200ヌクレオチドであることができる。オリゴヌクレオチドはDNA
もしくはRNAまたはキメラ混合物、あるいはそれらの誘導体であることができ
、かつ、一本鎖もしくは二本鎖であることができる。誘導体は、下述されるとお
り、塩基部分、糖部分もしくはリン酸バックボーンで改変することができる。誘
導体は、ペプチドのような他の付属基、または、細胞膜(例えばLetsing
erら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−5
6(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 84:648−52(1987);国際特許公開第WO 88/09
810号明細書を参照されたい)もしくは血液脳関門(例えば、国際特許公開第
WO 89/10134号明細書を参照されたい)を横切る輸送を助長する作用
物質、ハイブリダイゼーションに誘発される切断剤(例えばKrolら、Bio Techniques 6:958−76(1988)を参照されたい)、また
は挿入剤(例えばZonら、Pharm.Res.5:539−49(1988
)を参照されたい)を包含することができる。
【0120】 本発明の一態様において、ANG−7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、典
型的には一本鎖DNAとして提供される。該オリゴヌクレオチドは、当該技術分
野で公知の置換基を用いて、その構造のいずれの位置でも改変することができる
。ANG−7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば5−フルオロウラシル
、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサン
チン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル
)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カル
ボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシル
ケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1
−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチ
ルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−
メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル
−2−チオウラシル、β−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシ
メチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N−6−イソペンテ
ニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、プソイドウラシル、ケオシン
、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−
チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル
、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3
−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、2,6−ジアミノプリ
ンなどのような最低1個の改変された塩基部分を含むことができる。別の態様に
おいて、オリゴヌクレオチドは、例えばアラビノース、2−フルオロアラビノー
ス、キシルロースおよびヘキソースのような最低1個の改変された糖部分を含ん
で成る。
【0121】 なお別の態様において、該オリゴヌクレオチドは、例えばホスホロチオエート
、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホ
スホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステルおよび
ホルムアセタールもしくはそれらの類似物のような最低1個の改変されたリン酸
バックボーンを含んで成る。
【0122】 なお別の態様において、該オリゴヌクレオチドはα−アノマーオリゴヌクレオ
チドである。α−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的RNAと特異的な二本
鎖ハイブリッドを形成し、ここでは、通常のβ−単位に反して、鎖が相互に平行
に走る(Gautierら、Nucl.Acids Res.15:6625−
41(1987)を参照されたい)。オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば
、ペプチド、ハイブリダイゼーションに誘発される架橋剤、輸送剤、ハイブリダ
イゼーションに誘発される切断剤など)に結合することができる。
【0123】 本発明のオリゴヌクレオチドは当該技術分野で既知の標準的方法により(例え
ば、商業的に入手可能な自動化DNA合成機の使用により)合成することができ
る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら(Nu cl.Acids Res. 16:3209(1988)を参照されたい)の方
法により合成することができ、また、メチホスホネートオリゴヌクレオチドは、
制御された細孔のガラスポリマー支持体の使用により製造することができる(S
arinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:7448
−51(1988)を参照されたい)などである。
【0124】 特定の一態様において、ANG−7アンチセンスオリゴヌクレオチドは、触媒
的RNAもしくはリボザイムを含んで成る(例えば、国際特許公開第WO 90
/11364号明細書;Sarverら、Science 247:1222−
25(1990)を参照されたい)。別の態様において、オリゴヌクレオチドは
、2’−O−メチルリボヌクレオチド(例えば、Inoueら、Nucl.Ac ids Res. 15:6131−48(1987)を参照されたい)、もしく
はキメラのRNA−DNA類似物(例えば、Inoueら、FEBS Lett 215:327−30(1987)を参照されたい)である。
【0125】 代替の一態様において、本発明のANG−7アンチセンス核酸は、外因性の配
列からの転写により細胞内で産生される。例えば、それが細胞により取り込まれ
るようなベクターをインビボで導入することができ、その細胞内でベクターもし
くはその一部分が転写されて本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生する。
該ベクターはANG−7アンチセンス核酸もしくはその一部分をコードする配列
を含有することができる。細胞の内側にあれば、それが転写されて所望のアンチ
センスRNAを産生することができる限り、ベクターはエピソームに留まること
ができるか、もしくは染色体に組込まれたようになることができる。こうしたベ
クターは、当該技術分野で標準的な組換えDNA技術の方法により構築すること
ができる。ベクターは、プラスミド、ウイルス、もしくは当該技術分野で既知の
他者であることができ、かつ、哺乳動物細胞中での複製および発現に使用するこ
とができる。ANG−7アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動
物、典型的にはヒトの細胞中で作用するように、当該技術分野で既知のいずれか
のプロモーターにより制御することができる。該プロモーターは誘導可能もしく
は構成的であることができる。誘導可能なプロモーターは、限定されるものでな
いがSV40初期プロモーター領域(BernoistとChambon、Na ture 290:304−10(1981)を参照されたい)、ラウス肉腫ウ
イルスの3’LTR中に含有されるプロモーター(Yamamotoら、Cel 22:787−97(1980)を参照されたい)、ヘルペスチミジンキナ
ーゼプロモーター(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 78:1441−45(1981)を参照されたい)、メタロチオネイ
ン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature 296:39−42
(1982)を参照されたい)などを挙げることができる。 動物モデル: 本発明は動物モデルもまた提供する。一態様において、脈管形成を伴う疾患お
よび障害の動物モデルが提供される。こうした動物は、その染色体中のANG−
7遺伝子と(典型的には、抗生物質耐性遺伝子のような異種配列の挿入により)
生物学的に不活性にされている外因性のANG−7遺伝子との間の相同的組換え
を促進することにより、まず、生じさせることができる。例えば、相同的組換え
は、胚由来幹(ES)細胞を、相同的組換えが起こるような挿入で不活性にされ
たANG−7遺伝子を含有するベクターで形質転換すること、次いでES細胞を
胚盤胞に注入すること、および里親の母親に胚盤胞を埋植すること、次いでAN
G−7遺伝子が不活性化されているキメラ動物(「ノックアウト動物」)の誕生
により実施する(例えば、Capecchi、Science 244:128
8−1292(1989);米国特許第5,631,153号;同第5,627
,059号;同第5,487,992号;および同第5,464764号明細書
を参照されたい)。キメラ動物を繁殖させて付加的ノックアウト動物を生じさせ
ることができる。こうした動物はマウス、ハムスター、ヒツジ、ブタ、畜牛など
であることができ、そして典型的には非ヒト哺乳動物である。特定の一態様にお
いてはノックアウトマウスが生じられる。ノックアウト動物は、脈管形成亢進状
態に関連する疾患もしくは障害を発症するもしくはそれらを発症する素因を作ら
れていることが期待され、そして、脈管形成を減少させかつ従ってこうした疾患
および障害を治療もしくは予防する能力について分子をスクリーニングもしくは
試験するのに有用であることができる。
【0126】 別の態様において、ANG−7遺伝子を組込んでおりかつ過剰発現するトラン
スジェニック動物は、脈管形成低下を伴う疾患および障害の動物モデルとしての
使用を有する。トランスジェニック動物は、脈管形成低下状態を発症するもしく
はそれに対する素因を作られていることが期待されるか、または腫瘍形成のよう
な脈管形成を必要とする疾患に対する増大された抵抗性を表す。従って、これら
の動物はこうした疾患および障害、またはこうした疾患および障害に対する抵抗
性の動物モデルとしての使用を有することができる。 実施例 以下の実施例は具体的に説明するために(しかし特許請求される発明を制限す
るためでなく)提供される。
【0127】 実施例1: アンジオポエチンリガンドファミリーのメンバーを同定するために、国立バイ
オテクノロジー情報センター(National Center for Bi
otechnology Information)(NCBI)からの発現さ
れる配列標識(Expressed Sequence Tag)(EST)デ
ータベースを使用して、BLAST検索(Altschulら、Nucleic Acids Res. 25:3389−402(1997))を実施した。A
ng−1のアミノ酸配列をプローブとして使用した。この検索はヒトEST(受
託番号AA773234)を同定した。このESTの対応するアミノ酸配列は、
Ang−1に対し、+2の読み枠中で有意の配列の同一性を示した。確率(P)
値は4.4×10-28であり、これは同定されたESTがアンジオポエチンのフ
ァミリーに属するタンパク質のフラグメントをコードすることを強く示す。該E
STがアンジオポエチンタンパク質(「Ang−7」と呼称された)のフラグメ
ントをコードするというさらなる証拠が、EST(AA773234)の推定さ
れるアミノ酸配列を使用してスイスプロット(Swissprot)データベー
スのBLAST検索を実施した場合に得られた。Ang−7の部分的アミノ酸配
列とのAng−1およびAng−2の整列について得られたP値はそれぞれ3.
2×10-32および2.6×10-34であった。
【0128】 ESTデータベースのさらなる検索は別のEST(受託番号AA255590
)を同定し、これもまたANG−7 cDNAの一部分をコードした。DNA配
列分析は、EST AA255590のヌクレオチド配列がEST AA773
234の配列の一部分に重なり合うことを示した。EST AA773234は
容易に入手可能でなかったため、EST AA255590核酸をその後の実験
でプローブとして使用した。
【0129】 実施例2: Ang−7をコードする完全長のcDNAクローンを得るために、EST A
A255590を使用してヒトcDNAライブラリーをプロービングした。簡潔
には、EST AA255590は、ベクターpT7T3D−Pac(ファルマ
シア(Pharmacia)、ニュージャージー州ピーパック)中、Not I
とEco RI制限エンドヌクレアーゼ部位の間に配置される。該プラスミドを
制限エンドヌクレアーゼEco RIで直鎖状にした。製造元の説明書に従い、
ストリップ(Strip)−EZ T3キット(アンビオン(Ambion)、
テキサス州オースティン)を使用して、アンチセンスの[32P]で放射活性に標
識されたRNAプローブを生成させた。ヒト普遍的cDNAライブラリー(Hu
man Universal cDNA Library)(HUCL)一次膜
(primary membrane)(ストラタジーン(Stratagen
e)、米国カリフォルニア州ラホヤ)を放射活性に標識されたRNAプローブと
ハイブリダイズさせることにより、HUCLをスクリーニングした。ハイブリダ
イゼーションおよび洗浄は製造元により推奨されるとおり実施した。(ストリッ
プ(Strip)−EZキット手引書を参照されたい)。洗浄後、膜をリン画像
形成装置(phosphorimager)スクリーンに曝露し、フジ(Fuj
i)Bas−1500スキャナーで走査し、そして放射活性シグナルの強度をT
INA 2.0ソフトウェア(レイテスト(Raytest)、独国・シュトラ
ウベンハルト)を用いて評価した。ハイブリダイゼーションの特徴の分析は位置
L04に1個のシグナルを示した。対応する二次アレイ膜を同一条件下でハイブ
リダイズさせた。1個のハイブリダイゼーションシグナルが二次アレイ膜状の位
置G19に検出された。独特のクローンL04G19を供給元から得た。L04
G19クローンの分析は、それが約2.2キロ塩基(「kb」)の1個の挿入物
を含有したことを示した。DNA配列分析は、このcDNAクローンがANG−
7 cDNAの完全長のコーディング配列を含有したことを確認した。
【0130】 実施例3: L04G19 cDNAのDNA配列分析は、該cDNAが2,173塩基対
(「bp」)長(短いポリA尾を包含する)であることを示した。ANG−7
cDNA配列を図1(配列番号1)に示す。該cDNAは1,432bpの1個
の読取り枠を有する。該読取り枠は493アミノ酸残基の1個のポリペプチドを
コードする(配列番号2;図2)。ヒトアンジオポエチン−1(配列番号3)、
ヒトアンジオポエチン−2(配列番号4)、ヒトアンジオポエチン−3(配列番
号5)およびヒトアンジオポエチン−4(配列番号6)の配列とのAng−7の
アミノ酸配列の類似性の整列を、LASERGENE(商標)ソフトウェアパッ
ケージ(DNASTAR、ウィスコンシン州マディソン)中のMEGALIGN
(商標)エキスパート配列分析ソフトウェアを使用して実施した。図3を参照す
れば、Ang−7ポリペプチドのN末端およびC末端部分は、他のアンジオポエ
チン中でもまた見出される特徴的なコイルドコイルおよびフィブリノーゲン様ド
メインを含有する。Ang−7ポリペプチドとAng−1および−2ポリペプチ
ドとの間の全体的類似性指標は、それぞれ23.9%および23.5%である。
重要なことには、既知のアンジオポエチンの間で保存されているアミノ酸残基の
大部分がAng−7中にもまた存在する(図3を参照されたい)。このアミノ酸
配列の保存は、L04G19 cDNAクローンがアンジオポエチンファミリー
の1メンバーをコードすることを確認する。
【0131】 実施例4: ANG−7遺伝子の組織発現の特徴を検査した。簡潔には、EST AA25
5590をコードするプラスミドを制限エンドヌクレアーゼEcoRIで直鎖状
にした。製造元の説明書に従い、ストリップ(Strip)−EZ T3キット
(アンビオン(Ambion)、米国テキサス州オースティン)を使用して、ア
ンチセンスの[32P]で放射活性に標識されたRNAプローブを生成させた。ヒ
ト多組織発現アレイ(クロンテック ラボラトリーズ インク(Clontec
h Laboratories,Inc.)、米国カリフォルニア州パロアルト
)を、放射活性に標識されたRNAプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリ
ダイゼーションおよび洗浄はストリップ(Strip)−EZキット手引書で推
奨されるとおり実施した。洗浄後、膜をリン画像形成装置スクリーンに曝露し、
フジ(Fuji)Bas−1500スキャナーで走査し、そして放射活性シグナ
ルの強度をTINA 2.0ソフトウェア(レイテスト(Raytest)、独
国・シュトラウベンハルト)を用いて評価した。生じるヒストグラムを図4に提
示し、そして、ANG−7 RNAが心組織(左および右心房、左および右心室
)、子宮、乳腺および脳梁組織中で強く発現されることを立証する。大いに血管
化されるこれらの組織中でのANG−7 RNAの発現は、Ang−7ポリペプ
チドがAng−1および−2ポリペプチドと同様に脈管形成である役割を担って
いる可能性があることを示す。
【0132】 実施例5: ANG−7 cDNAがAng−7ポリペプチドに翻訳されるかどうかを試験
するため、および、Ang−7ポリペプチドの分子量を決定するため、ANG−
7 cDNAをポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)により増幅した。PCR増
幅のためには、ANG−7 cDNAの5‘端に相補的である5’プライマー(
5’GCGAATTCACCATGAGGCCACTGTGCGT3’(配列番
号7))を、ANG−7 cDNAの3‘端に相補的である3’プライマー(5
’GGAAGCTTATGGAAGGTGTTGGGGTTCGG3’(配列番
号8))とともに使用した。翻訳の効率を増大させるために、コザック翻訳開始
コンセンサス配列もまた5’プライマー中に包含した。PCRフラグメントのそ
の後のクローニングを助長するために、制限酵素Eco RIおよびHind
IIIの制限認識配列をそれぞれ5’および3’プライマーに導入した。増幅さ
れたcDNAを、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(−
)(インヴィトロジェン(Invitrogen)、オランダ・グロニンゲン)
のEco RIおよびHind III制限部位にクローン化して、pcDNA
3.1/ang7/mychisを創製した。
【0133】 ANG−7 RNA転写物を、製造元の説明書に従って、pcDNA3.1/
ang7/mychisのT7プロモーターから合成した。インビトロ翻訳は、
製造元の説明書(プロメガ(Promega)、米国ウィスコンシン州マディソ
ン)に従ってウサギ網状赤血球ライセートを使用して実施した。インビトロ翻訳
により産生された生じるタンパク質を、[35S]メチオニンを使用して標識した
。標識されたタンパク質は、ドデシル硫酸ナトリウム−12%ポリアクリルアミ
ドゲルでの電気泳動により分離し、そしてオートラジオグラフィーにより可視化
した。図5はこの実験の結果を描く。とりわけ、レーン1:以下のタンパク質、
すなわち卵アルブミン(46kDa)、カルボニックアンヒドラーゼ(30kD
a)、トリプシンインヒビター(21.5kDa)、リゾチーム(14.3kD
a)、およびアプロチニン(6.5kDa)を包含するレインボウ(Rainb
ow)[14C]メチル化タンパク質分子量マーカー(アマーシャム(Amers
ham)、英国バッキンガム州リトルシャルフォント)。レーン2は、哺乳動物
発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(−)(インヴィトロジェン(
Invitrogen)、オランダ・グロニンゲン)のT7プロモーターを使用
するANG−7 RNAのインビトロ翻訳産物を含有した。レーン3は、哺乳動
物発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(−)のSP6プロモーター
を使用するインビトロ翻訳産物(陰性対照)を含有した。レーン4は、インビト
ロ翻訳系(プロメガ(Promega)、米国・マディソン)からの陽性対照を
含有した。
【0134】 約60キロダルトンの1個の主バンドが検出された。該主バンドの観察された
分子量は、組換えAng−7ポリペプチドの計算された分子量(約57.1kD
a)よりわずかにより大きかった。この差異は、Ang−7ポリペプチド中のい
くつかの潜在的グリコシル化部位のグリコシル化により説明することができる。
【0135】 実施例6: ANG−7 cDNAを真核生物細胞中でインビボで組換え的に発現させるこ
とができるかどうかを決定するために、ANG−7 cDNAを3種の真核生物
発現ベクター中にクローン化し、そしてその後組織培養細胞にトランスフェクシ
ョンした。
【0136】 ANG−7 cDNAは、上述されたような発現ベクター、pcDNA3.1
/Myc−His(−)(インヴィトロジェン(Invitrogen)、カタ
ログ番号V85520)にクローン化した。ANG−7 cDNAはpIRES
(クロンテック(Clontech)、カタログ番号6060−1)およびpZ
eo(インヴィトロジェン(Invitrogen)、カタログ番号V850−
01))にもまたクローン化した。検出および精製を助長するために、ポリヒス
チジン標識(tag)を各発現ユニットのC末端コーディング領域中に包含した
【0137】 発現構築物を、DOSPERリポソームトランスフェクション試薬(ベーリン
ガー マンハイム(Boehringer Mannheim)、カタログ番号
1781995)を使用してチャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞に
トランスフェクションした。簡潔には、0.5×106個のCHO細胞を基礎培
地(DMEM、ギブコ(Gibco)/BRL、カタログ番号41965−03
9);2mM L−グルタミン(ギブコ(Gibco)/BRL、カタログ番号
25030−024)、ペニシリン/ストレプトマイシン(1500IU/ml
)(ギブコ(Gibco)/BRL、カタログ番号15140−114)、およ
び10%ウシ胎児血清(FBS、シグマ(Sigma)、カタログ番号F244
2))中で6穴プレートの各ウェルに植え付けた。37℃で一夜インキュベーシ
ョンの後に培地を廃棄し、そして500μlの基礎培地(FBSを含まない)を
5μgのDNAと混合し、かつ、25μlのDOSPERを各ウェルに添加した
。プレートを室温で15分インキュベートし、そしてその後追加の520μl/
ウェルの基礎培地(FBSを含まない)を添加した。細胞を37℃で追加の3時
間インキュベートした。インキュベーション後に追加の3ml/ウェルの基礎培
地を添加した。翌日、培地を廃棄し、そして3ml/ウェルの新鮮基礎培地を添
加した。細胞を追加の2日間インキュベートし、収穫し、そしてその後、テトラ
(Tetra)−His抗体(キアゲン(Qiagen)、カタログ番号346
70)を使用するウェスタンブロットで、Ang−7ポリペプチドの細胞質発現
を分析した。ウェスタンブロットは製造元の説明書に従って実施し、そして3レ
ーンを含有した。レーン1はタンパク質分子量マーカーを含有し;レーン2はC
HO細胞からの培地(陰性対照)を含有し;そして、レーン3はAng−7ポリ
ペプチドを発現する一過性にトランスフェクションされたCHO細胞を含有した
。ウェスタンブロット分析を図6に示し、ここでAng−7ポリペプチドのバン
ドを矢印により印を付ける。約57kDaの1個のバンドがANG−7 cDN
AでトランスフェクションされたCHO細胞中で観察されたが、しかしベクター
単独でトランスフェクションされた細胞中でされなかった。(レーン2および3
を比較されたい。)従って、ANG−7 cDNAは哺乳動物細胞中で一過性に
発現され、そして期待された分子量のポリペプチドを産生した。
【0138】 実施例7: 組換えAng−7ポリペプチドを安定に発現する細胞クローンを生成させるた
めに、ANG−7 cDNAクローンをヒト系統にトランスフェクションし、そ
してその後安定なトランスフェクション体を選択した。簡潔には、ヒト胚腎細胞
系HEK293を、サイトメガロウイルスプロモーターの制御下で、ANG−7
cDNAを含有する発現ベクターpcDNA3.1/ang7/mychis
もしくはpIRESでトランスフェクションした。トランスフェクションは実施
例6に上述されたとおり実施した。トランスフェクション後に、細胞を96穴プ
レートに植え付け、そして選択培地(0.75mg/mlジェネチシン(ギブコ
(Gibco)/BRL、カタログ番号10131−027)を含む基礎培地)
中で培養した。
【0139】 Ang−7の組換え発現は、テトラ(Tetra)−His抗体(キアゲン(
Qiagen)、カタログ番号34670)およびFITC標識二次抗体(ヤギ
抗マウスIgG−FITC複合物(ディアノヴァ(Dianova)、カタログ
番号115−095−062))を使用するラブ−テック(Lab−Tek)チ
ャンバースライド(ナルゲン ヌンク(Nalgene Nunc)、カタログ
番号154534)上での免疫蛍光染色により検出した。ラブ−テック(Lab
−Tek)スライドのウェルあたり約4×104個の細胞を植え付け、そしてC
2インキュベーター中で一夜インキュベートした。培地を廃棄し、そして細胞
をPBS(カルシウム/マグネシウム/重炭酸ナトリウムを含まないPBS ダ
ルベッコ(ギブコ(Gibco)/BRL、カタログ番号14190−094)
)で一度洗浄した。その後、200μl/ウェルの氷冷メタノールの添加および
−20℃で10分間のインキュベーションにより、細胞を固定した。固定の後、
3%BSAを含有するPBS(PBS−BSA)で細胞を2回洗浄し、そしてそ
の後PBS−BSAにより37℃で30分間ブロッキングした。ブロッキング後
に、PBS−BSA中テトラ(Tetra)−His抗体の50倍希釈物100
μ/ウェルを添加した。スライドを37℃で2時間インキュベートした。一次抗
体とのインキュベーション後に、細胞をPBSで10回洗浄し、そしてその後、
二次抗体(ヤギ抗マウスIgG−FITC複合物)の100倍希釈物100μl
/ウェルを添加した。スライドを37℃で1時間インキュベートした。スライド
をPBSで10回洗浄し、ウェルの分離グリッドを除去し、そしてその後スライ
ドを抗退色固定媒体ROTI(商標)ヒストキット(Histokit)(カー
ル ロス(Carl Roth)、カタログ番号6638.1)およびカバーガ
ラスで覆った。固定媒体の硬化(通常一夜)の後、スライドを蛍光顕微鏡で観察
した。陽性クローンを24穴プレートに拡張し、そして、実施例6で上述された
ようなウェスタンブロット上で細胞ライセートを分析することにより、組換えタ
ンパク質の発現レベルを比較した。ウェスタンブロット分析を図7に描く。ウェ
スタンブロットのレーン1はタンパク質分子量マーカーを含有し;レーン2はH
EK293細胞からの培地(陰性対照)を含有し;およびレーン3はAng−7
ポリペプチドを発現する安定にトランスフェクションされたHEK293細胞を
含有した。陽性クローンを、下述されるようなさらなる分析に選択した。
【0140】 Ang−7ポリペプチドはそのN末端に分泌シグナルを有し、これはそれが分
泌性タンパク質であることを示唆する。組換え的に発現されるAng−7ポリペ
プチドが細胞により分泌されるかどうかを決定するため、安定にトランスフェク
ションされたHEK293細胞クローン、番号62からの馴化培地を、Ang−
7ポリペプチドの存在について分析した。簡潔には、実施例8により完全に記述
されるとおりNi−NTAアガロース樹脂(キアゲン(Qiagen)、#30
4050)を使用して、タンパク質を馴化培地から部分的に精製した。溶出され
たカラム画分を、上述されたとおりウェスタンブロット上で分析した。ウェスタ
ンブロット分析を図8に描く。ウェスタンブロットのレーン1はHEK293細
胞からの馴化培地(陰性対照)を含有し;およびレーン2はAng−7ポリペプ
チドを発現する安定にトランスフェクションされたHEK293細胞クローンか
らの馴化培地を含有した。
【0141】 図8を参照すれば、安定にトランスフェクションされたHEK293細胞系か
らの馴化培地は、テトラ(Tetra)−His抗体と反応したポリペプチドを
含有した一方、トランスフェクションされないHEK293細胞からの馴化培地
は、こうした交差反応するポリペプチドを欠いた。この実験は、Ang−7ポリ
ペプチドが培地中に分泌されることを確認する。
【0142】 実施例8: Ang−7ポリペプチドをさらに特徴づけるため、Ni−NTA樹脂(キアゲ
ン(Qiagen)、#304050)を使用してそれを馴化培地から精製した
。簡潔には、クローン62からの馴化培地を3日後に収集した。1錠の「完全」
プロテイナーゼ阻害剤(「完全」プロテイナーゼ阻害剤カクテル錠;ベーリンガ
ー マンハイム(Boehringer Mannheim)(ロシュ ディア
グノスティックス(Roche Diagnostics))カタログ番号16
97498)を、収集された培地の各50mlに添加した。その後、イミダゾー
ル(シグマ(Sigma);カタログ番号I−2399)を8mMの最終濃度ま
で添加した。培地を1600×gで10分間遠心分離した。上清を新たなチュー
ブに移し、そして500μlのNi−NTAアガロースの50%スラリーを培地
の各50mlに添加した。チューブを4℃で60分間穏やかに揺すった。Ni−
NTA樹脂を1600×gで10分間の遠心分離により収集し、そして上清を廃
棄した。樹脂を洗浄緩衝液中に懸濁すること、次いで同一条件下での遠心分離に
より、樹脂を洗浄緩衝液(50mM NaH2PO4、pH8.0;300mM
NaCl;10mMイミダゾール)で2回洗浄した。洗浄した後、樹脂を再度洗
浄緩衝液に再懸濁し、そして1mlカラムに移した(カラムあたり0.5〜1m
lの樹脂床)。結合されたAng−7ポリペプチドを、溶出緩衝液(50mM
NaH2PO4、pH8.0;300mM NaCl;250mMイミダゾール)
を使用して4個の500μl部分に溶出した。画分は、上述されたようなテトラ
(Tetra)−His抗体を使用するウェスタンブロットにより分析した。ウ
ェスタンブロットを図9Aに描く。単離されたタンパク質の純度をクマシー染色
されたSDSゲル上で分析し、そしてこの分析を図9Bに描く。
【0143】 図9Aを参照すれば、ウェスタンブロッティングは、約62〜64kDaに1
個の二重線のバンドを示した。クマシー染色されたSDSゲルとのウェスタンブ
ロット分析の比較は、同一の分子量の対応する二重線を示した。(図9Aおよび
9Bを比較されたい)。Ang−7ポリペプチドの二重線の存在は、異なるグリ
コシル化された形態のAng−7が安定にトランスフェクションされた細胞によ
り分泌されることを示唆する。
【0144】 実施例9: 内皮管形成に対するANG−7遺伝子発現の影響を、マトリゲル(Matri
gel)中のHUVEC毛細管様機構を検査することにより決定した。Eco
RVおよびPme1での消化によりpcDNA3.1/ang7/mychis
からANG−7 cDNAを切り出すことにより、ANG−7 cDNAを含有
するアデノウイルス発現ベクターを構築した。生じるフラグメントを、pShu
ttle−CMV(Heら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
95:2509−14(1998))の対応する部位にクローン化した。pSh
uttle−CMVは、トランスジーン(transgene)(すなわちAN
G−7 cDNA)がサイトメガロウイルス(「CMV」)プロモーターの制御
下にある、アデノウイルスシャトルベクターである。この構築物を、プラスミド
pAdEasy(「AdEZ」)(Heら、上記)でとの大腸菌(coli )中での組換えにより、アデノウイルスバックボーンに移入した。生じる組換え
体を制限エンドヌクレアーゼPac1で直鎖状にし、そしてその後、標準的方法
によりHEK293細胞(マイクロビックス インク(Microbix In
c)、カナダ・オンタリオ)にトランスフェクションした。トランスフェクショ
ン10日後(ウイルスプラークの出現後)に、複数回の凍結−融解によりベクタ
ー粒子を細胞から収穫した。その後、粒子を使用して、911上皮細胞(イント
ロジーン(Introgene)、オランダ・ライデン)を感染させた。複数の
実験に十分なベクターを得るために、911細胞の連続的により大きい培養物へ
のウイルス粒子の3回の継代を実施した。このウイルスストックを「Ad−An
g7」と命名した。この粗ストックを以下の実験で使用した。
【0145】 HUVECを、第0日に24穴プレート中でウェルあたり細胞1.25×104 個でプレート培養した。細胞をAd−Ang7ストック、対照ベクターAd−
Ez、もしくはAd−VEGFストック(血管内皮増殖因子)に感染させた。2
00μlの各ウイルスストックを第0日にウェルに添加した。プレートを5%C
2中、37℃で5日間インキュベートした。第6日に、細胞を、細胞3×104 個/ウェルの密度で、マトリゲル(Matrigel)で被覆された24ウェル
プレートに広めた。マトリゲル(Matrigel)で被覆されたプレートは以
下のとおりに調製した。すなわち、マトリゲル(Matrigel)基底膜マト
リックス(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson))
を氷上4℃で一夜融解した。予め冷却されたピペット、ピペットチップ、プレー
トおよびチューブを使用した。24ウェルプレートのウェルを被覆するのに0.
3μl/ウェルのマトリゲル(Matrigel)(4℃で)を使用した。マト
リゲル(Matrigel)は37℃で2時間重合させた。マトリゲル(Mat
rigel)で被覆されたウェルへのHUVECの添加後に、プレートを5%
CO2かつ37℃で24時間インキュベートした。全部の試験は三重のウェルで
実施した。各ウェル中の最終容積は1mlである。
【0146】 24時間の37℃、5% CO2でのインキュベーション後に、各ウェルを低
倍率の顕微鏡下でチェックした(10倍の倍率の反転顕微鏡)。その後、プレー
トをジフ−クイック(Diff−Quick)で染色し、そして対照を多様な濃
度と比較するために写真を撮影した。
【0147】 以下の表はプロトコルを要約する。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】 結果は以下のとおりであり、ここで、管形成の長さはセンチメートルで示す。
(SEMは平均の標準誤差を示す。)
【0151】
【表3】
【0152】 本実施例からみることができるとおり、対照細胞、およびベクター単独(Ad
−EZ)に感染した細胞は、類似の量の管形成を示した。VEGFの発現もまた
、類似のレベルの管形成を生じさせた。対照的に、Ang−7ポリペプチドの発
現は管形成を顕著に阻害した。従って、本実験は、Ang−7ポリペプチドが脈
管形成を阻害することを立証する。
【0153】 実施例10: B16マウス黒色腫の転移におけるANG−7 のインビボ発現の効果を検査
した。簡潔には、アデノウイルスベクター(Ad−Ang−7)を用いてANG
−7 cDNAをエクスビボで送達させ、次いで、トランスフェクションされた
細胞をマウスに導入した。74匹の雌性C 57 Bl/6(6〜8週齢)を使
用した。エクスビボ投与のためには、粗ライセート(実施例9で上述されたとお
り調製された)もしくは精製されたベクターのいずれかを使用した。アデノウイ
ルスベクターは以下のとおり精製した。すなわち、プロトコルはFalluxら
Human Gene Therapy 7:215−22(1996))の
変法である。大スケール精製のためには、911細胞をマルチトレイ細胞ファク
トリー(Multi−tray Cell Factory)(ヌクロン(Nu
clon)、デンマーク)中でプレート培養した。細胞が85%コンフルエンス
に到達した場合に、それらを組換えアデノウイルスに感染させた。感染後(感染
後約48〜72時間)、細胞が細胞変性効果を示した場合に、細胞を収穫しそし
て遠心分離した。細胞ペレットを少容量の培地に再懸濁し、3周期の凍結および
融解を実施し、そして崩壊された細胞をペレットにして細胞破片を除去した。ウ
イルス粒子を含有する上清を、3mlのd=1.25g/mlで上置きされたd
=1.4g/mlの1mlより構成される不連続塩化セシウム(CsCl)勾配
上に層状に積み重ねた。勾配を151,000×gで2時間遠心分離した。1.
25/1.4の密度の境界のウイルス粒子の不透明なバンドを収集し、そしてd
=1.3g/mlの均一なCsCl溶液上に負荷した。この第二の勾配を151
,000×gで18時間回転させた。ウイルス粒子の単一のバンドを収集し、そ
して0.135M NaCl、1mM MgCl2、10mMトリス pH7.
5に対し1時間2回透析した。第二のかつ最後の透析は、10%グリセロールの
添加を伴う同一の緩衝液に対して実施した。ストックの力価を、293もしくは
911細胞を使用するプラークアッセイにより測定した。
【0154】 マウス黒色腫の転移からのB16.F10細胞を、以下のアデノウイルス発現
ベクター、すなわちAd−E1(対照)、Ad−Ang7もしくはAd−VEG
Fの1種に24時間感染させた。感染した細胞を、24のインキュベーション期
間の終了時にマウスの側方尾静脈中に静脈内に注入した。各注入の細胞濃度は、
0.2mlのPBS中細胞2×105個であった。第0日はマウスへの注入の日
付であった。
【0155】 動物を週2回体重測定した。群1(対照)からの2匹の動物を第14日に殺し
、肺を収集しそして転移の数を決定した。転移の計数後、動物の残余(各群で1
0匹)を第14日に殺した。その時点で、肺を収集し、秤量し、そして転移の数
を計数した。
【0156】 以下の表は実験プロトコルを要約する。
【0157】
【表4】
【0158】 以下の表5は各群からの肺重量を要約する。SEMは「平均の標準誤差」であ
る。
【0159】
【表5】
【0160】 以下の表6は各群からの肺転移の数を要約する。SEMは「平均の標準誤差」
である。
【0161】
【表6】
【0162】 本データからみることができるとおり、ANG−7 cDNAを過剰発現する
腫瘍細胞を受領するマウスにおける平均肺重量は、対照動物におけるよりも顕著
により低かった。AD−VEGFおよびAd−Ang7処理された動物における
平均肺重量は同様であった。より重要なことに、また、表6を参照すれば、肺転
移の平均数は、対照およびVEGF処理された動物と比較して、Ang−7ポリ
ペプチドを過剰発現する腫瘍細胞において10倍以上より少なかった。従って、
本データは、ANG−7 cDNAの過剰発現が腫瘍細胞の成長を阻害すること
を示す。
【0163】 本明細書に記述される実施例および態様は具体的説明の目的上のみであること
、ならびに、それに照らして、多様な改変もしくは変更が、当業者に示唆される
ことができかつ本出願の技術思想および範囲、ならびに付属として付けられる請
求の範囲の範囲内に包含されるべきであることが、理解される。本明細書で引用
される全部の刊行物、特許および特許出願は、これにより、全部の目的上そっく
りそのまま引用により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明にかかる、ANG−7 cDNAのヌクレオチド配列を描く。
【図2】 発明にかかる、ヒトAng−7ポリペプチドのアミノ酸配列を描く。該配列は
アミノ酸の1文字記号で示す。
【図3】 発明にかかる、Ang−1(配列番号3)、Ang−2(配列番号4)、An
g−3(配列番号5)およびAng−4(配列番号6)のものとのAng−7(
配列番号2)のアミノ酸配列の整列を描く。同一のアミノ酸を箱により示す。
【図4】 発明にかかる、ヒト組織中のANG−7 RNAの発現の特徴を描く。多様な
組織中でのANG−7 RNAの発現レベルを示す。水平軸に沿って、参照数字
が以下の組織を同定する:
【表7】
【図5】 発明にかかる、Ang−7 RNAのインビトロ翻訳の結果を描く。レーン1
:以下のタンパク質、すなわち卵アルブミン(46kDa)、カルボニックアン
ヒドラーゼ(30kDa)、トリプシンインヒビター(21.5kDa)、リゾ
チーム(14.3kDa)、およびアプロチニン(6.5kDa)を含有するレ
インボウ(Rainbow)[14C]メチル化タンパク質分子量マーカー(アマ
ーシャム(Amersham)、英国バッキンガム州リトルシャルフォント)。
レーン2:哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(−)(イ
ンヴィトロジェン(Invitrogen)、オランダ・グロニンゲン)のT7
プロモーターを使用するANG−7 RNAのインビトロ翻訳産物。レーン3:
哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1/Myc−His(−)のSP6プロモ
ーターを使用するRNAのインビトロ翻訳産物(陰性対照)。レーン4:インビ
トロ翻訳系(プロメガ(Promega)、米国・マディソン)からの陽性対照
【図6】 発明にかかる、ANG−7発現構築物で一過性にトランスフェクションされた
CHO細胞の細胞抽出物のウェスタンブロット分析を描く。レーン1:タンパク
質分子量マーカー。レーン2:CHO細胞(陰性対照)。レーン3:Ang−7
ポリペプチドを発現する一過性にトランスフェクションされたCHO細胞。An
g−7ポリペプチドのバンドは矢印により印を付ける。
【図7】 発明にかかる、安定にトランスフェクションされたHEK293細胞クローン
の細胞ライセート中のAng−7ポリペプチドのウェスタンブロット分析を描く
。レーン1:タンパク質分子量マーカー。レーン2:HEK293細胞からの細
胞ライセート(陰性対照)。レーン3:Ang−7ポリペプチドを発現する安定
にトランスフェクションされたHEK293細胞からの細胞ライセート。
【図8】 発明にかかる、Ang−7ポリペプチドを発現する安定にトランスフェクショ
ンされたHEK293細胞クローンからの馴化培地のウェスタンブロット分析を
描く。レーン1:HEK293細胞からの馴化培地(陰性対照)。レーン2:A
ng−7ポリペプチドを発現する安定にトランスフェクションされたHEK29
3細胞クローンからの馴化培地。
【図9Aおよび9B】 発明にかかる、馴化培地からのAng−7ポリペプチドの精製の結果を描く。
図9A:ウェスタンブロット分析;図9B:精製されたAng−7ポリペプチド
のクマシー染色されたSDSゲル。図9B中の矢印は組換えAng−7ポリペプ
チドの位置を示す。各図について、レーン1〜5はNi−NTAアガロースカラ
ムから溶出された画分1〜5である。レーン「neg.C」は陰性対照(HEK
293細胞からの馴化培地)を示す。図9Bにおいて、二重のバンドはおそらく
Ang−7ポリペプチドの異なるグリコシル化の形態を表す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61K 37/24 // C12N 15/02 ZNA C12N 15/00 ZNAD (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 ビク,マレサ ドイツ・デー−51065ケルン・アンドレア ス−グリフイウス−シユトラーセ26 (72)発明者 ツボフ,ドミトリ ドイツ・デー−51061ケルン・ロゲンドル フシユトラーセ59 (72)発明者 ドウボワ−ストリングフエロー,ナタリー アメリカ合衆国カリフオルニア州94707バ ークリー・ジアラムデア1008 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 CA04 DA02 DA06 DA11 DA12 EA02 EA04 GA11 HA17 4C084 AA02 BA01 BA08 BA22 BA23 CA53 DB01 MA66 ZA361 ZA362 ZB211 ZB212 ZB261 ZB262 ZC611 ZC612 4C087 AA02 BB65 BC83 MA66 ZA36 ZB21 ZB26 ZC61

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 治療上有効な用量の単離されたAng−7ポリペプチド、そ
    のフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物を哺乳動物に投与することを含
    んで成る、脈管形成の阻害方法。
  2. 【請求項2】 Ang−7ポリペプチドがヒトAng−7(配列番号2)で
    ある、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 投与がインビボで実施される、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 製薬学的担体を投与することをさらに含んで成る、請求項1
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 投与がエクスビボである、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 ANG−7核酸でトランスフェクションされた組換え細胞を
    調製すること、および該細胞を哺乳動物に投与することをさらに含んで成る、請
    求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 Ang−7ポリペプチドが組換え的に発現される、請求項1
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 Ang−7ポリペプチドが、ポリペプチドの発現をもたらす
    条件下でANG−7核酸を含有する細胞を培養すること、および細胞培養物から
    Ang−7ポリペプチドを回収することにより組換え的に発現される、請求項8
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 Ang−7ポリペプチドが大腸菌(coli)中で発
    現される、請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】 Ang−7ポリペプチドが発現された哺乳動物細胞である
    、請求項8記載の方法。
  12. 【請求項12】 ANG−7核酸が発現ベクター中でプロモーターに操作可
    能に連結される、請求項9記載の方法。
  13. 【請求項13】 ANG−7核酸がヒトANG−7の配列(配列番号1)を
    有する、請求項9記載の方法。
  14. 【請求項14】 治療上有効な量の単離されたAng−7ポリペプチド、そ
    のフラグメント、変異体、誘導体もしくは類似物を患者に投与することを含んで
    成る、抗脈管形成療法の必要な患者の治療方法。
  15. 【請求項15】 治療上有効な量のAng−7ポリペプチド、そのフラグメ
    ント、変異体、誘導体もしくは類似物を被験体に投与することを含んで成る、抗
    脈管形成療法の必要な被験体における疾患の治療方法。
  16. 【請求項16】 疾患が腫瘍である、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 Ang−7ポリペプチドがヒトAng−7(配列番号2)
    である、請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 被験体がヒトである、請求項15記載の方法。
  19. 【請求項19】 投与がインビボで実施される、請求項15記載の方法。
  20. 【請求項20】 製薬学的担体を投与することをさらに含んで成る、請求項
    15記載の方法。
  21. 【請求項21】 投与がエクスビボである、請求項15記載の方法。
  22. 【請求項22】 ANG−7核酸でトランスフェクションされた組換え細胞
    を調製すること、および該細胞を被験体に投与することをさらに含んで成る、請
    求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 Ang−7ポリペプチドが組換え的に発現される、請求項
    15記載の方法。
  24. 【請求項24】 Ang−7ポリペプチドが、該ポリペプチドの発現をもた
    らす条件下でANG−7核酸を含有する細胞を培養することにより組換え的に発
    現され、そして細胞培養物からAng−7ポリペプチドが回収される、請求項2
    3記載の方法。
  25. 【請求項25】 Ang−7ポリペプチドが、哺乳動物細胞、酵母細胞、細
    菌細胞もしくは昆虫細胞中で発現される、請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 Ang−7ポリペプチドが哺乳動物細胞で発現される、請
    求項23記載の方法。
  27. 【請求項27】 ANG−7核酸が発現ベクター中でプロモーターに操作可
    能に連結される、請求項24記載の方法。
  28. 【請求項28】 発現ベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイル
    スベクターもしくはレンチウイルスベクターである、請求項24記載の方法。
  29. 【請求項29】 ANG−7核酸がヒトANG−7の配列(配列番号1)を
    有する、請求項24記載の方法。
  30. 【請求項30】 有効量のAng−7ポリペプチドまたはそのフラグメント
    、変異体、誘導体、類似物もしくは製薬学的に許容できる塩を内皮細胞に投与す
    ることを含んで成る、内皮管形成の阻害方法。
  31. 【請求項31】 Ang−7ポリペプチドがヒトAng−7である、請求項
    30記載の方法。
  32. 【請求項32】 有効量のAng−7ポリペプチド、またはそのフラグメン
    ト、変異体、誘導体、類似物もしくは製薬学的に許容できる塩を腫瘍細胞に投与
    することを含んで成る、腫瘍細胞の成長の阻害方法。
  33. 【請求項33】 Ang−7ポリペプチドがヒトAng−7である、請求項
    32記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013075911A (ja) * 2005-06-28 2013-04-25 Univ Federal De Minas Gerais 病気の研究、予防及び治療のためのアポトーシス活性調節剤としての、masg−タンパク質結合受容体アゴニスト及びアンタゴニストの使用

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