JP2003530408A - 植物および構造物の表面から鳥を防止する方法 - Google Patents

植物および構造物の表面から鳥を防止する方法

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Abstract

(57)【要約】 植物および構造物の表面上において、鳥が、止まること、休むこと、またはぶらつくことを防止する方法であって、それらの表面に、無毒性組成物を施すことによる方法。この無毒性組成物は、視覚的合図および摂取後の反応によって、鳥における生理的嫌悪機構を誘発する組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願への相互参照) 本出願は、同時係属の、1997年3月6日出願の米国特許出願第08/81
2869号と、1996年4月10日出願され現在放棄されている第08/63
3878号および1997年8月28日出願され現在放棄されている第08/9
19294号の一部継続出願であった1997年8月26日出願の第08/91
8800号と、1998年4月15日出願の第09/060442号との一部継
続出願である。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、植物および固体または構造物の表面において、鳥が止まること、休
むこと、またはぶらつくこと、を防止する方法を対象とする。
【0003】 (発明の背景) 人間と野生の鳥とが共存することは、両種にとって、常に重要な関係となって
きている。この関係は、人間にとって、審美的には楽しい関係に、また生態学的
には有用な関係になっている。前者の場合、鳥の眺めおよび声を、全ての年令の
人々が普遍的に楽しんでいる。後者の場合、鳥、腐肉、および他の種に関する生
態学的連鎖において、鳥の役割は不可欠である。もちろん、両方の関係が維持さ
れるべきことが不可欠である。
【0004】 野生の鳥と人間との間の接点における、有益な、かつ楽しみのある態様にもか
かわらず、鳥が、人間の活動に関連した、または人間の活動に手近な固体表面に
降りてきて、それを占有し、かつ損傷させる傾向が、しばしば軋轢の原因になっ
ている。
【0005】 鳥と人間との間の軋轢の原因は、草に覆われた芝生に関連しており、その上ま
たはその周囲に実質的な人間の活動が存在している。例えば、鳥は、ゴルフ場、
共同墓地、および校庭などの歩行者の通る区域に対して、しばしば厄介者となり
、かつ実質的な損害の原因となる可能性がある。実質的に保守を必要とするこれ
らの区域(具体的にはゴルフ場)では、鳥が営巣し、巣の上に群がるために、大
いに悩まされる。例えば、群れが発することができる騒音のために、人々が注意
散漫になる恐れがある。鳥はまた、鳥から出る糞の付着物のために厄介者となる
。糞の付着物は、それらが原因で汚れることにより厄介なものとなるだけでなく
、それらの糞に宿り、糞から蔓延させる寄生虫および/または疾病により、公衆
衛生の関心事でもある。
【0006】 他の主要な関心事となる分野は、商業的および軍用空港の滑走路末端付近に鳥
が止まることである。鳥が止まることによって、多数の鳥が、離陸し、または着
陸している航空機付近で飛び立ち、その結果、鳥が航空機に衝突し、またはその
エンジンに吸い込まれる「鳥の衝突」を引起こす恐れがある。これが、キャノピ
または翼、およびエンジンを損傷させることにより、航空機に損害をもたらす。
いくつかの例では、鳥により、航空機エンジンが完全に破壊され、その飛行機が
墜落して、その結果航空機が完全に損害を受け、いくつかの例では人命の損失を
招いている。米国連邦航空庁は、毎年2,000件という多くの鳥衝突の報告を
受けている。主要航空会社は、毎年1,200万ドルを超える損害を蒙っている
と報告している。止まっている鳥は、滑走路周辺の開放空間を好む。この事実に
より、鳥衝突の損害のおよそ90パーセントが、空港周辺で発生している。統計
により、鳥の衝突の数が、(1)鳥の個体数の増加、(2)都市区域におけるよ
り多い鳥の営巣、(3)自然界の鳥捕食動物がより少なくなっていること、およ
び(4)一般的な鳥を嫌がらせる技術の有効性には限界があること、により、増
加していることが示される。したがって、鳥の衝突は、極めて危険な、かつ費用
の掛かる問題のままである。
【0007】 鳥と人間との間の接点で発生し得る、この問題のさらなる例は、公共の集会区
域における鳥の存在による影響である。
【0008】 例えば、公共の場所において鳥の糞が至る所で存在することは、人々への公衆
衛生の問題を提示する。その上、金属表面における鳥の糞の付着物は、しばしば
、腐食の問題を引き起こす。キツツキなどの鳥もまた、木質および他の非金属表
面を啄ばむことにより、しばしばそれらの損傷をもたらす。鳥はまた、スポーツ
アリーナおよび航空機格納庫などの、構造物の露出した鋼およびコンクリートの
フレーム構造にしばしば生息しており、そこからの鳥の糞は、設備および人々の
両方に問題を提示する。さらに、屋根の損傷は、鳥の糞により雨押さえが腐食し
てくる部分でしばしば発生する。
【0009】 鳥および人工構造物表面に関連した、上述の問題を克服するため、長年の経過
にわたって数多くの手順が示唆され試みられてきている。しかし、これらは大部
分で限定的な成功を収めているに過ぎない。このような装置の一例は、鳥には聴
くことができ、人間が聴くことができない超音波装置である。他の取組みは、問
題の表面を、鳥が不快に思う粘着性の液体またはゼラチンで被覆することである
。もちろん、典型的な鳥を忌避する方法は、かかしまたは他の仕掛けを使用する
ことであり、これらはそれらの外観および動きにより鳥を驚かせるものである。
さらに進んだ技術は、タカ、ワシ、フクロウなどの捕食動物の複製を使用するこ
とである。閃光装置も、この目的で使用されてきている。大砲の音さえも使用さ
れてきている。しかし、これらのいずれに関しても、(1)防止効果が長続きし
ない、(2)実施するのに費用が掛かる、(3)付近の人間に対して迷惑になる
、または(4)あまりにも頻繁に保守が必要となる、ことから十分に有効ではな
い。
【0010】 したがって、環境も、鳥も傷つけないような形で、植物および構造物の表面上
に鳥が降りてきて止まること、占有すること、またそれらの表面を損傷させるこ
とから防止する、信頼でき、かつ経済的な方法への深刻な必要性が存続している
【0011】 (発明の概要) したがって、その主たる態様において、本発明は、植物および固体または構造
物の表面上において、鳥が止まること、ぶらつくこと、かつ休むことを防止する
方法であって、それらの表面に、鳥の生理的嫌悪機構を誘発する無毒性組成物を
施すことを含む方法を対象としている。
【0012】 (発明の詳細な説明) はじめに 多くの種類の野生動物が、人間と同様な形で、環境における食物を識別するの
に視覚的合図(cue)を使用している。大抵の動物種が、長距離の視覚と、近
くの視覚的点検との両方を使用して食物を認めている。しかし、鳥の場合、視覚
的鋭敏さは、人間の視覚的鋭敏さと遥かに異なっている。人間は、400から7
00nmの単一な範囲にある光を感知することができる。しかし、鳥は、2つの
可視スペクトルの光を同時に見ることができる。具体的には、鳥は500〜70
0nm、ならびに300〜400nmの波長範囲にある光を検出することができ
る。したがって、人間には見ることができない、陸地表面における太陽の紫外放
射線の限界値までの紫外範囲にある光を反射する食物について鳥は識別すること
ができる。
【0013】 これらの原理を用いて、出願人は、200〜300nmの範囲内における種々
の波長の光を吸収し、かつ味、または摂取後の反応を有する幅広い種類の多環式
キノンが、種々様々な植物種子および表面上における摂食から、鳥を忌避させる
のに有効であることを確定している。
【0014】 この光吸収材料が、200〜300nmの範囲の全体にわたる光を吸収する必
要はない。この材料が、視覚的に検出可能な、鳥の色彩知覚におけるずれを付与
するのに十分な範囲内にある狭い帯域の光を吸収すれば、十分である。したがっ
て、狭い波長吸収材料を使用したとしても、鳥が視認するとき、コーティングさ
れた表面の色彩における、結果として生じたずれによって、その表面は明確に表
示されている。
【0015】 いくつかの場合、鳥は色彩のずれだけによって防止される。他の場合、鳥は、
上記の材料を試食するように見える。したがって、本発明の組成物の全体的な忌
避効果は、本化合物の試食および視覚的検出の両方に基づくものである。したが
って、その最も広い態様において、本発明は、200〜400nmの範囲内にお
ける光を吸収し、かつ、食された場合、摂取後の刺激または反応をもたらす、無
毒性有機材料の使用を対象とする。
【0016】 (多環式キノン) 組成 本発明では、広く様々な多環式キノンを使用することができる。本明細書にお
いて使用する、用語「多環式キノン」は、二環式、三環式、および四環式縮合環
キノンおよびヒドロキノン、ならびにそれらの前駆体を意味している。全体とし
て、非イオン性多環式キノンおよび多環式ヒドロキノン(本明細書において、P
CQと総称する)は、周囲温度において水に対する極めて低い溶解度を有する。
本発明において使用するためには、このようなPCQは、重量あたり約1,00
0ppm以下の、水に対する溶解度を有することが好ましい。
【0017】 しかし、上記において示したように、本発明において、比較的不溶性のPCQ
と組み合せるか、または単独で、このようなPCQのある種の前駆体を使用する
こともできる。このような前駆体は、アルカリ性の嫌気性条件のもとで水溶性で
あるPCQのアニオン塩である。しかし、これらの材料は安定ではなく、空気に
曝すと、不溶性のキノンの形態に容易に変換される。したがって、アニオン性P
CQを植物に散布し、空気に曝すと、速やかに水に不溶な、より活性なキノンの
形態に変化する。
【0018】 本発明において使用することができる水不溶性のPCQの中には、アントラキ
ノン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキ
ノン、ナフトキノン、アントロン(9,10−ジヒドロ−9−オキソ−アントラ
セン)、10−メチレン−アントロン、フェナントレンキノンおよびこのような
キノンのアルキル、アルコキシ、およびアミノ誘導体、6,11−ジオキソ−1
H−アントラ[1,2−c]ピラゾール、アントラキノン−1,2−ナフタアク
リドン、7,12−ジオキソ−7,12−ジヒドロアントラ[1,2−b]ピラ
ジン、1,2−ベンズアントラキノン、2,7−ジメチルアントラキノン、2−
メチルアントラキノン、3−メチルアントラキノン、1−アミノアントラキノン
、および1−メトキシアントラキノンがある。さらに、2−カルボキシ−1,3
,5,6,8−ペンタヒドロキシ−7−モノサッカリド、およびアントラキノン
またはグルコサミドの他のサッカリド、および2(1,3−ジヒドロ−3−オキ
シ−5−スルホ−2H−インドル−2−イリジン)2,3−ジヒドロ−3−オキ
ソ−1H−インドール−5−スルホン酸、2ナトリウム塩などの、より複雑な多
環式キノン化合物を使用することができる。前述の環式ケトンのうち、アントラ
キノンおよび1,4−ジヒドロキシアントラキノンが、これらがより有効である
と思われるために好ましい。天然産のアントラキノンを、合成アントラキノンと
同様に使用することができる。
【0019】 使用することができる他のPCQには、1,8−ジヒドロキシ−アントラキノ
ン、1−アミノ−アントラキノン、1−クロロ−アントラキノン、2−クロロ−
アントラキノン、2−クロロ−3−カルボキシル−アントラキノン、および1−
ヒドロキシ−アントラキノンなどの不溶性のアントラキノン化合物が含まれる。
アルカリ水溶液における接触還元により、これらの材料の、種々のイオン性誘導
体を調製することができる。
【0020】 さらに、本発明の方法において、広く様々なアントラヒドロキノン化合物を使
用することができる。本明細書において使用する、用語「アントラヒドロキノン
化合物」は、9,10−ジヒドロアントラヒドロキノン、1,4−ジヒドロアン
トラヒドロキノン、および1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラヒドロキ
ノンなどの塩基性三環式構造を含む化合物を示している。アントラヒドロキノン
それ自体は、9,10−ジヒドロキシアントラセンである。
【0021】 より具体的には、水不溶性の形態と水溶性の形態との両方を使用することがで
きる。非イオン性化合物は、主に水系において不溶であるが、ジアルカリ金属塩
などのイオン性誘導体は主として水中において可溶である。水溶性の形態は、高
pH嫌気性流体中においてのみ安定である。低pH流体(pHが約9〜10未満
)では、不溶性の分子状アントラヒドロキノンの生成が得られるであろう。好気
性溶液は、アントラキノンのアントラキノンへの酸化を招くであろう。したがっ
て、アントラヒドロキノンは、噴霧により経験されるような、曝気された環境中
では長時間存在しないであろう。これらの理由のために、アントラヒドロキノン
処理は、通常、アルカリ溶液中で可溶性のイオン性形態で実施される。経済的な
理由のために、水酸化ナトリウム溶液が他のアルカリ金属水酸化物よりも好まし
い。
【0022】 形状 使用するPCQは、鳥の知覚器官に触覚するだけ十分に小さい物理的形態とす
べきである。したがって、PCQが、忌避剤としてより有効であるためには、そ
の存在が知覚され得る十分に小さい粒径であるようにすることが好ましい。した
がって、いかなる用途であっても、より有効な量の忌避剤は、鳥の神経終末に対
してアクセス可能な形態にあるものである。すなわち、忌避剤は、それが経口的
に知覚され得る十分に小さい粒径であるようにすべきである。
【0023】 一般に、これらの判定基準から、約50マイクロメートルを超える粒子は適切
に知覚されることができず、30マイクロメートル以下の粒子が好ましい。同様
に、PCQの平滑な連続的表面は、適切に知覚されることができない。もちろん
、PCQを、鳥に対し非忌避的である何か、または、それに対し鳥が味を感じな
い何かでコーティングする場合、PCQは無効である。厳密に言うと、PCQが
忌避剤として有効であるためには、別々の粒子の形態である必要はないが、しか
し、粒子は十分なサイズのものとし、または味に対してアクセス可能な領域を含
む外形を有する必要がある。この判定基準を、図面に例示する。
【0024】 図1(a)における粒子は、粒子が十分に小さいためにアクセス可能であろう
。図1(b)における粒子は、有効に知覚されるには粒子が大きすぎるので、そ
れほど有効ではない。図1(c)における平滑な連続的コーティングでは、大き
な連続的表面が、鳥の神経終末への適切なアクセスを有さないので、殆ど、また
は全く味の感覚を生じないであろう。これに反して、図1(d)に示す連続的コ
ーティングでは、コーティング上の突出部が、味を感じ取るのに十分なだけ小さ
いために、少なくとも中程度の味の感覚を生じるであろう。この状況では、突出
部におけるPCQは有効であろうが、コーティングの主部におけるPCQはそれ
ほど有効ではなく、有効であったとしても極く僅かである。図1(e)における
ように、粒子が積み上げられたものとして示される場合、上層におけるいくつか
の粒子はアクセス可能であり、そのため有効となるであろう。しかし、下層にお
けるそれらの粒子はそれほどアクセス可能ではないために、それほど有効となら
ないであろうことが理解できるだろう。前述の解析は、明らかに、忌避剤の効力
が、その形状およびアクセス可能性の両方の関数であることを示している。その
結果、これらの変数が、主として施用方法に依存していることが理解できるであ
ろう。
【0025】 PCQを、微粒子の形態で直接散布する場合、粒子の大きさは容易に制御する
ことができる。このような粒子を単一の粒子層として散布する場合、実質的に全
てのPCQが有効となるであろう。しかし、これらの粒子を多重の粒子層として
散布する場合、本質的に最上部層だけが有効となるであろう。この解析における
重要な態様は、PCQを連続的な被覆物として散布することは重要ではないとい
うことである。これに反して、PCQ粒子のコーティングが、少なくとも微小な
規模において、不連続であって、茎葉の気孔を機能的に露出させることができる
のがよりよいことである。したがって、有効としたい粒子を、それらの粒子が、
鳥の味覚神経終末にアクセス可能である領域を含むという意味で、「微粒子化」
しなければならない。
【0026】 発明者の決定は、実施例を考慮して、処理したい表面に、表面に対して、0.
2mg/平方メートルから50mg/平方メートルの範囲にあるレベルで多環式
キノンを散布することが好ましいというものである。多環式キノンを、処理した
い表面に、25mg/平方メートルで散布することがより好ましい。
【0027】 (物理性状−揮発性、水溶解性) PCQは、それがいかなる物理的形態で散布されたとしても、本発明の有効性
に関してはそれが持続性であることが重要である。すなわち、散布された活性材
料が、風および雨、ならびに処理した表面が曝露される他の環境の力による侵食
に抵抗できなければならない。この理由のため、(1)活性な形態のPCQが、
水に対する比較的低い溶解度を有し、そのことにより処理した表面が容易に洗い
落とされないこと、および(2)活性な形態のPCQが、比較的高い融解温度を
有し、それにより、高い周囲温度に曝露されている間、処理した表面が過度の蒸
発または昇華を受けないことが好ましい。これらの理由のために、活性なPCQ
材料が、周囲温度のもとで約1000ppm以下、また好ましくは少なくとも1
0〜200ppmの、水に対する溶解度を有すること、ならびに、活性なPCQ
成分の融解温度が、少なくとも約150C、また好ましくは少なくとも200C
、であることが好ましい。
【0028】 活性なPCQ材料が、上述の好ましい物理性状を有する場合でも、それを散布
した表面に、良好に付着しないために、この材料が持続性に乏しい恐れがある。
持続性の乏しさは、表面およびPCQ材料の異なった性状の関数である。このこ
とが起る場合、配合物が、「固着剤」、すなわち、それ自体が基質への良好な付
着性を有し、活性材料と混合した場合、PCQを基質に、より堅く付着させる材
料を含有することがさらに好ましい。好ましい粘着剤は、水性のポリマー格子で
あり、それから水が蒸発すると、ポリマー塊体を形成し、それは植物表面に高度
に付着性であり、活性材料の粒子を植物または固体表面に堅く保持する。このよ
うな固着剤は典型的には、水相に溶解させた少量の界面活性剤を含有する。
【0029】 しかし、高度に水不溶性のPCQ化合物が好ましいとはいえ、それらを洗い去
るような条件に過度に曝露されない条件のもとでは、それほど不溶性ではない化
合物が、本発明において有用である。さらに、激しい雨の洗浄効果を和らげるた
めに、耐水性の固着剤を使用することができる。
【0030】 本発明に使用するため試験されているPCQ化合物の独特の利点は、それらが
本質的に無害であることである。すなわち、それらのPCQ化合物は、ラットに
おけるLD50が少なくとも2,000mg/kgであり、好ましくは、ラットに
おけるLD50が5,000mg/kg以上である。このPCQの低い毒性のため
に、PCQ化合物は、大抵の昆虫に対し、また鳥、動物、および人間に対して毒
性がない。しかも、毒性レベルが十分に低く、土壌中に浸出されてくる活性材料
は、肥沃土壌層の通常成分に対して有害とはならないであろう。
【0031】 鳥の忌避剤に使用するPCQ源が、低毒性を保証する重要な判定基準のもので
あることに注目するのは重要である。例えば、出願人は、米国環境保護局に、9
,10−アントラキノンとして知られるPCQを、鳥の忌避剤として使用するた
めの、安全で、無毒性のPCQとして登録している(アントラキノンについての
米国環境保護局農薬データ表、1998年12月、を参照されたい)。本発明に
おいて使用するために、アントラキノンの代わりに他の無毒性PCQを置き換え
ることは、当分野において通常の技術の範囲内にあることである。
【0032】 (コアジュバント) 本明細書において、用語「コアジュバント(coadjuvants)」は、
多環式キノンそれら自体と異なる生物活性を有する材料を意味している。このよ
うな材料には、接触忌避剤、殺菌剤、殺虫剤、およびそれらの混合物が含まれる
。塗布方法次第で、液体および固体のコアジュバントをともに、本発明のPCQ
と一緒に使用することができる(下記の考察を参照されたい)。しかし、補助剤
として殺菌剤および殺虫剤を使用することは、このような補助剤の毒性のために
好ましくないであろうことに注目されたい。
【0033】 PCQと組み合せて使用するための、重要な種類のコアジュバントは、三叉神
経性忌避剤、すなわち、鳥がこの材料を味わうと鳥が不快になる忌避剤である。
この目的のためにテルペン系化合物が特に有用であることが見出されている。リ
モネン、ピネン、およびプレゴンが、この目的のために好ましいテルペンである
。しかし、ポリマー状テルペン、特に、性状が固着性である低分子量のポリマー
状テルペンもまたこの目的に有用である。
【0034】 テルペンをコレペラントとしてPCQとともに使用する場合、テルペンは通常
、組成物の主要部分を構成し、PCQは主要でない部分を構成するであろう。例
えば、テルペン中に僅か1重量%のPCQを含有する組成物(ポリマー状テルペ
ンを含む)を有効に使用することができる。さらにより高いPCQ濃度を使用で
きるが、約10重量%を超えて使用する必要はないであろう。これに反して、僅
か10重量%のテルペン化合物を使用できるが、接触忌避性状を高めるには、少
なくとも30%が好ましい。
【0035】 コショウおよび2−ヒドロキシアセトフェノン、ならびにアントラニル酸メチ
ルなどの、他の三叉神経性忌避剤もまた、PCQ、および他の三叉神経性忌避剤
とのPCQの混合物、と混合して使用することができる。
【0036】 (添加剤) 本明細書において、用語「添加剤」は、本発明の組成物の有効性を増大させる
材料であるが、それらだけでは生物活性を持たない材料を意味している。これら
の添加剤には、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、増量剤、固着剤、浸透剤、可塑剤
、活性化剤、展着剤、希釈剤、着臭剤などの材料が含まれる。
【0037】 PCQが粉末の形態である場合、液体媒質、特に水、に分散させ、液体懸濁物
として噴霧する。これに反して、PCQの水溶性前駆体を使用する場合、希釈の
ためこれらを水に溶解し、次いで通常の方法で噴霧により散布することができる
。噴霧中に起る曝気は、可溶性の塩を、より活性な水不溶性の形態に変換するの
に十分である。これらの技術のいずれにも、固体または液体のいずれかのコアジ
ュバントを使用することができる。例えば、PCQおよび/またはPCQ前駆体
とともに、水溶性のコアジュバントを液体媒質に溶解することができ、または水
不溶性のコアジュバント粒子を液体媒質に懸濁させることができる。
【0038】 一般に、PCQを極めて希釈して表面に施すことが、鳥が現れるのを防止する
のに有効である。例えば、重量あたり僅か100ppmのPCQを含有する液体
懸濁物の施用により、有効とすることが可能である。少なくとも1000ppm
が好ましい。しかし、出没する鳥のタイプと活性成分の組成との両方によって、
活性成分の有効な使用量レベルは広く変動することが認められるであろう。幸い
に、環境に対しても、人間に対しても、また、防止しようとする鳥に対しても全
面的な安全性をもって、より高濃度のPCQを許容可能である。
【0039】 前述の考察から、必ずしも全てのPCQコーティングが、適切な形状のもので
はないという恐れがあることが認められるであろう。しかし、コーティングの十
分な破片が鳥の神経終末に到達可能である限り、本組成物は有効に鳥を表面から
防止するであろう。上述のように、鳥の経口感覚器に対するPCQ忌避剤のアク
セスは、処理された表面に接触した結果として忌避剤を含む体の部分を、羽繕い
する間に生じることができる。
【0040】 水以外の、他の分散媒質を使用できることが認められるであろう。例えば、植
物油などの安全な、分解性の油を使用することができる。しかし、安全および環
境衛生の視点から、水を使用するのが遥かに好ましい。
【0041】 (実施例) 下記の実施例において、草に覆われた芝生の区域、および構造物表面上に鳥が
止まり、ぶらつき、および/または休むことから防止する本発明の効力を観察す
るため、3系列の試験を実施した。
【0042】 草のある芝生の区域上でぶらつくこと/止まることの防止 (実施例1) 少量の界面活性剤および増粘剤とともに、水中に分散させた、配合物全体に対
して、50重量%の9,10−アントラキノンを含有する配合物を調製した。そ
して、ガン(geese)が、通常ぶらつき、または止まる区域の未処理の草に
覆われた芝生上に噴霧した。3分の1エーカの芝生を処理したが、この処理した
区域の両側には隣接して未処理の芝生の区域がある。分散させたアントラキノン
粒子を、処理される区域上に1パイント/エーカ(およそ50mg/m2)の割
合で散布した。この試験区域を、およそ4週間にわたり観察して、処理された区
域と未処理の区域における効果を測定した。処理された区域と未処理の区域にお
ける効果の違いは、容易に認められた。未処理の区域においてぶらつき/止まる
ガンは影響を受けず、また、摂食するとき正常な挙動を示し、また、忌避されな
かった。処理された区域に入ったガンは、摂食をはじめたが、直ちに食べること
をやめ、処理された区域から出て、付近の池に入り、自身を洗うか、または濯ぎ
はじめた。このような挙動を示した後、未処理の区域で摂食するどのガンも、処
理された区域に入らなかった。ガンは、芝生を刈り込むまでのおよそ2週間にわ
たって、処理された区域から忌避された。刈込み後、もう1回の処理を施した。
分散させたアントラキノン粒子を、未処理の芝生によって領域が決められた細長
い芝生の1個所に、同一の処理方法で、2分の1パイント/エーカ(およそ25
mg/m2)の割合で散布した。同じ忌避効果が示された。およそ2週間にわた
って試験を継続した。雪のため、試験を終了した。
【0043】 (実施例2) 定住するガンの実質的な一群を擁し、日中は250〜300羽のガンを数え、
また夕方の時間には500羽に増加する、大きな校庭風の研究団地構内に、面積
6.2エーカを有する、草に覆われた試験場所を選択した。毎日の観察をいつ行
うべきかを決定するため、予めこの場所を観察して、その間、最大数のガンが試
験場所に居る時間を測定した。騒がせることなくガンの挙動を観察できるような
方法で、毎日同一時刻に観察を実施した。さらに、この場所の選択した区域内の
糞の数を毎日計数し、記録し、次いで、熊手でかき集めることにより、試験区域
から除去した。
【0044】 未処理の試験場所についての10日にわたる観察に続いて、上述のガン忌避組
成物を、目盛りのある噴霧タンクおよびファン形ヘッド噴霧器を使用して、試験
区域上に噴霧した。液体スプレは、水140ガロンあたり忌避剤1ガロンを含有
し、散布割合は、混合物で、1エーカあたり2.77ポンドのAQであった。雨
が降らないとき、散布した組成物は24時間以内に草の葉片上で完全に乾燥した
【0045】 忌避組成物を散布する前の週間に、午後採取したガンの計数では、約45羽か
ら305羽であり、平均して約150羽であった。鳥忌避組成物の散布に引続き
、次の日、ガンの計数は約110であったが、1日後、ゼロに落ちた。より完全
な試験データを図2に示している。
【0046】 ここで、図2によると、1日目と3日目との間で試験区域内のガンの数が、実
質的に200以上から48に低下した。この数の低下は、試験区域から渡りの群
が出発したことの結果と思われる。しかし、ガンの数は5日目に増加しはじめ、
試験の10日目までに300以上の最大に達した。10日目に計数を行った後、
上述の方法で試験区域をPCQで処理した。
【0047】 11日目までに、ガンの数は109に低下し、12日目にガンの数は、ゼロま
で減少した。12〜23日目の間、時々僅かなガンが観察されるに過ぎなかった
。18日目に、試験区域内にいくつか(18)のガンが観察されたが、極めて少
ない糞の数により示されるように、恐らく渡りである群れが、次の日までに試験
区域から忌避されたことが明らかである。激しい雨に引続き、23日目には、ガ
ンの計数は27に上昇し、糞の数は13に上昇した。このガンの数の小さな増加
は、いくらかの処理材料が草から洗い流された結果と思われる。試験区域を処理
した後、多数の鳥がぐるぐる飛びまわっているのが観察されたが、処理された区
域に入るのは観察されなかった。
【0048】 本実施例において実施した試験が終了して以来、処理に続く3カ月を超える期
間にわたり、処理された区域内のガンの数が、周囲の未処理の区域における数に
比較して、極めて少ないままであることが認められた。この現象は、試験区域に
おける処理材料が大部分、激しい雨により消散されていた事実を見ると、全く予
期されないものであった。このように忌避効果が延長されたのは、最初に多環式
キノン処理材料に曝されたガンが記憶した結果であると考えられる。
【0049】 構造物表面上に止まり/ぶらつき、および占有することからの防止 下記の実施例において、処理材料は、50重量%の9,10−アントラキノン
および少量の界面活性剤を含有する小粒子水性分散物であった。
【0050】 (実施例3) 多数の海カモメ(seagulls)が、Northern Califor
niaの工場建物の平屋根に定期的に止まっていた。その屋根に、上述の組成物
を散布すると、カモメが止まるために、その表面をさらに使用することはなかっ
た。
【0051】 (実施例4) ペンシルバニア州フィラデルフィアにおいて、20万羽以上と概算される、多
数のカラス(crows)が、工場建物の平屋根に定期的に止まっていた。その
屋根の表面に、上述の組成物を噴霧すると、カラスは戻らなかった。
【0052】 (実施例5) デラウェア州Wilmingtonにおける大きな航空機格納庫内の、露出し
た鋼製梁上に、ハト(pigeons)が定期的に止まっていた。露出した鋼製
梁の露出した表面に上述の組成物を噴霧すると、ハトは戻らなかった。
【0053】 (実施例6) アントラキノン50重量%水中分散物の4オンスを、水29ガロンと混合した
。この混合物を、大きなスポーツアリーナの上部構造における金属製梁の20フ
ィート部分に噴霧した。処理された梁部分は、大気中に開放され、ハトの止まり
木になっている。処理の前に、梁の下方の歩道部分では、毎週鳥の糞50〜60
個を清掃していた。上述のアントラキノン希釈分散液による、この梁の処理に続
いて、30日を超えた後、ハトはその止まっていた場所に戻っていない。
【0054】 (実施例7) 鳥が止まることに対する防止物質としてのAQの評価 方法 コンクリート床を有し、屋根のある屋外鳥飼育場内に、木および鳥飼育場ワイ
ヤで組み立てた、2つのペン(囲い)(10×20×6フィート)を建てた。各
ペンの一方の端に、水ボウル、および鳥の維持餌を入れた餌ボウルを用意した。
1日目の朝、それぞれの試験ペンに、保持カゴから試験鳥を移した。それぞれの
ペン内の、中央の位置に止まり木1つをおいた。2日目の朝0800、この止ま
り木を取り外し、試験止まり木2つを、餌および水から離れたペンの端の両側隅
に1つずつ取り付けた。ハゴロモガラス(red−winged blackb
irds)(Agelaius phoeniceus)、およびブラウンヘッ
ドウシドリ(brown−headed cowbirds)(Molothr
us ater)について、止まり木は、長さ1.2m、直径1.0cmの、ア
ルミニウム棒製とした。フィッシュクロウ(fish crow)(Corvu
s ossigragus)について、止まり木は、長さ1.2m、直径2.2
5cmの、中空ステンレス鋼パイプであった。試験止まり木の一方(無作為に決
定した)を、活性成分としてAQ50%を含有する製品(「忌避剤」)でコーテ
ィングし、他方はコーティングしなかった。忌避剤は、試験の24〜48時間前
に、ペンキブラシで止まり木に塗布した。忌避剤は容易に塗布され、幾分希釈し
たペンキのように見えた。忌避剤は金属表面を極めて良好に被覆し、幾分しま模
様があり、試験の開始までに半硬化乾燥した不透明なコーティングを形成した。
各クロウ用止まり木に湿潤重量でおよそ7.5gを、また各ハゴロモガラス/ウ
シドリ用止まり木に湿潤重量でおよそ3.5gを施した。
【0055】 試験止まり木は、3日目の1500までペン内に残し、その時刻に鳥を捕らえ
、バンドを付け、放した。毎日3回30分間:0800〜0830、1100〜
1130、1400〜1430、それぞれのペンで、行動をビデオテープにより
録画した。ビデオテープを再生して、鳥が止まり木を使用するのを測定した。鳥
が、それぞれの試験止まり木の上にくる回数を1分間隔で記録した。止まり木の
上にこない、鳥の行動および位置についても書き留めた。5群のハゴロモガラス
およびウシドリ、ならびに4群のフィッシュクロウを試験した。ハゴロモガラス
およびウシドリについては、各試験群に4羽がいた。フィッシュクロウについて
は、1つのペンあたり2羽を使用した。
【0056】 止まり木処理に対する鳥の反応を解析するため、それぞれ6回の30分観察期
間において、鳥がそれぞれの止まり木の上にくる平均回数を使用した。データを
、羽/分として示した。それぞれの3鳥種について、別々の2通りの繰返し測定
分散分析を実施して、2つの止まり木の間における等分使用の帰無仮説を検定し
た。
【0057】 結果 ハゴロモガラス−未処理の止まり木の使用(x=0.86羽/分、SE=0.
10)は、処理した止まり木の使用(x=0.41羽/分、SE=0.06)の
2倍を超えた(P=0.067、F1.8=4.50)。全体的な止まり木の使用
は、日数間で変動しなかった(P=0.557、F1.48=0.35)。日数と止
まり木との間で強い交互作用があり(P<0.001、F1.48=11.49)、
それは、1日目から2日目への未処理の止まり木の使用増加、および処理した止
まり木の使用減少を反映していた(表1)。
【0058】 ブラウンヘッドウシドリ−未処理の止まり木の使用(x=1.70羽/分、S
E=0.23)は、処理した止まり木の使用(x=0.62羽/分、SE=0.
14)を超えた(P=0.015、F1.8=9.47)。全体的な止まり木の使
用は、1日目(x=1.51羽/分、SE=0.22)から2日目(x=0.8
1羽/分、SE=0.17)へと減少した(P=0.003、F1.48=9.47
)。2日目の鳥によるそれぞれの止まり木の使用が減少したので、日数と止まり
木との間の交互作用はなかった(P=0.222、F1.48=1.53)(表2)
【0059】 フィッシュクロウ−未処理の止まり木の使用(x=1.28羽/分、SE=0
.08)は、処理した止まり木の使用(x=0.64羽/分、SE=0.08)
のおよそ2倍であった(P=0.014、F1.6=11.70)。全体的な止ま
り木の使用は、日数間で変動しなかった(P=0.734、F1.38=0.12)
。日数と止まり木との間の交互作用(P=0.090、F1.38=3.03)は、
1日目から2日目への未処理の止まり木の使用増加、および処理した止まり木の
使用減少を反映していた(表3)。
【0060】 考察 これらの2日間の試行経過にわたって、3つの試験種はそれぞれ、忌避剤でコ
ーティングした止まり木よりも、未処理の止まり木を好むことを示した。これま
で忌避剤は、処理した餌を食べた鳥に、活性成分(9,10−アントラキノン)
が、摂取後の不快感または刺激をもたらす、摂食防止物質とみなされている。し
たがって、鳥も、この忌避剤を塗った止まり木を使うのは魅力がないと思ってい
ることを見出すのは、いささか驚くべきことである。
【0061】 この明白な止まり木忌避の機構は、不明確である。最初、鳥が、処理した止ま
り木を使うのを躊躇することは観察されなかった。したがって処理した止まり木
の外観が不快であったという可能性はない。同様に、鳥が処理した止まり木に止
まるとき、止まり木の感触により鳥の居心地が悪く、または気にする兆候は観察
されなかった。したがって悪い触覚刺激というものは除外することができる。餌
によりアントラキノンに曝露された鳥が、何も刺激された兆候を示していないの
で、接触刺激は期待されないであろう。
【0062】 しかし、脚を通しての皮膚摂取は、可能性のある曝露の径路である。このこと
が起こり得ていた範囲は未知であるが、Flight Controlの皮膚毒
性は低い(ラットの急性皮膚性LD50>5000mg/kg、アントラキノンの
農薬データ表、米国環境保護局、1998年12月)。
【0063】 忌避剤の偶発的な摂取が、それにより鳥を曝露することができた、他の起こり
得る手段である。鳥はしばしば、摂食または水飲みから戻ったとき、止まり木上
でくちばしを拭いた。鳥はまた、脚を使ってくちばしの周りの顔部分をひっかい
た。これらの身繕い行動の間に、鳥が偶発的に忌避剤を摂取した可能性がある。
この形で繰り返し曝露されることを通して、鳥は病気または不調を、処理した止
まり木と関連付け、学習された回避反応を獲得することができたと見られる。ビ
デオテープでは、病気の兆候は何も観察されなかった(例えば、動きが悪くなる
こと、羽根をふくらませること、吐くこと)。
【0064】 ハゴロモガラスが示した止まり木使用の時間経過パターン(表1)、およびフ
ィッシュクロウが示した止まり木使用の時間経過パターン(表3)は、学習され
た回避と首尾一貫している。それぞれの種について、未処理の止まり木を特異的
に使用することが、第1試験日から第2試験日にかけて増加した。逆に、ウシド
リの挙動は、このパターンと首尾一貫しなかった(表2)。ウシドリは、両方の
止まり木の使用を減らす傾向があった。これは、鳥が不快感の出所を識別できな
かったことを示唆している。したがって、鳥はより多くの時間をペンの床上で過
ごした。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】 研究全体にわたり、鳥の挙動について、ペンおよび野外における観察を行った
。観察した鳥に対して悪影響または不快なことが存在する状況にはなかった。コ
メの種子を摂食する際、鳥はもみがらから穀粒をしぼり出し、次いで口からもみ
がらを放出し、内部の穀粒だけを食べた。AQとの接触を最大にする、この摂食
行動の間、処理された種子は鳥の挙動、人に影響を及ぼしたり苦痛を誘発しなか
った。1日あたりの摂食グラムに関して、AQの消費量は、摂食挙動に影響を及
ぼさなかった。
【0069】 全ての研究が完了した所で、試験鳥を、捕獲した原地点付近で放した。AQへ
の曝露により死亡する試験鳥はなかった。別個の研究で、我々は、北部ボブホワ
イトウズラにおける、AQのLD50が2,000mg/体重kgを超えることを
見出した。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 多環式キノンの種々の微粒子の形態を概略的に示す図である。
【図1b】 多環式キノンの種々の微粒子の形態を概略的に示す図である。
【図1c】 多環式キノンの種々の微粒子の形態を概略的に示す図である。
【図1d】 多環式キノンの種々の微粒子の形態を概略的に示す図である。
【図1e】 多環式キノンの種々の微粒子の形態を概略的に示す図である。
【図2】 実施例2において得られたデータをグラフで示す図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】 したがって、環境も、鳥も傷つけないような形で、植物および構造物の表面上
に鳥が降りてきて止まること、占有すること、またそれらの表面を損傷させるこ
とから防止する、信頼でき、かつ経済的な方法への深刻な必要性が存続している
。 本出願に関連する参考文献は以下の通りである。 米国特許第5,885,604号 DE2804563 EP0173410 WO9737540 GB1601226 DE743517 WO0065912 WO0002442 The Pesticide Manual、Entry No.31 「a
nthraquinone」 R WEGLER(Ed):「Chemie der Pflanzensc
hutz−und Schaedlingsbekaempfungsmitt
el」、Vol 1、Pages 587−588 Section 「Vog
elabwehrmittel」 R.A.DOLBEER et al:「Antraquinone for
mulation(Flight Control(登録商標))shows
promise as avian feeding repellent」
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ldl.Manage B.F.BLACKWELL et al:「Plant regulato
r(Stronghold(登録商標))enhances repellen
cy of anthraquinone formulation(Flig
ht Control(登録商標))to Canada geese」,vo
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.Manage 「What is Flight Control(登録商標)? The
UV factor」、1999、Internet document 「Where to use Flight Control(登録商標)?
」、1999、Internet document
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】 より具体的には、水不溶性の形態と水溶性の形態との両方を使用することがで
きる。非イオン性化合物は、主に水系において不溶であるが、ジアルカリ金属塩
などのイオン性誘導体は主として水中において可溶である。水溶性の形態は、高
pH嫌気性流体中においてのみ安定である。低pH流体(pHが約9〜10未満
)では、不溶性の分子状アントラキノンの生成が得られるであろう。好気性溶液
は、アントラヒドロキノンのアントラキノンへの酸化を招くであろう。したがっ
て、アントラヒドロキノンは、噴霧により経験されるような、曝気された環境中
では長時間存在しないであろう。これらの理由のために、アントラヒドロキノン
処理は、通常、アルカリ溶液中で可溶性のイオン性形態で実施される。経済的な
理由のために、水酸化ナトリウム溶液が他のアルカリ金属水酸化物よりも好まし
い。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】 (物理性状−揮発性、水溶解性) PCQは、それがいかなる物理的形態で散布されたとしても、本発明の有効性
に関してはそれが持続性であることが重要である。すなわち、散布された活性材
料が、風および雨、ならびに処理した表面が曝露される他の環境の力による侵食
に抵抗できなければならない。この理由のため、(1)活性な形態のPCQが、
水に対する比較的低い溶解度を有し、そのことにより処理した表面が容易に洗い
落とされないこと、および(2)活性な形態のPCQが、比較的高い融解温度を
有し、それにより、高い周囲温度に曝露されている間、処理した表面が過度の蒸
発または昇華を受けないことが好ましい。これらの理由のために、活性なPCQ
材料が、周囲温度のもとで約1000ppm以下、また好ましくは少なくとも1
0〜200ppmの、水に対する溶解度を有すること、ならびに、活性なPCQ
成分の融解温度が、少なくとも約150℃、また好ましくは少なくとも200℃
、であることが好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 31/16 A01N 31/16 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物または固体の表面において、鳥が、止まること、休むこ
    と、またはぶらつくことを防止するための方法であって、 前記鳥における生理的嫌悪機構を誘発する無毒性組成物を、前記表面に施すこ
    とを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記生理的嫌悪機構が、前記鳥における、視覚的合図と、摂
    取後の反応とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記無毒性組成物が、250nmの範囲にある波長を有する
    光を吸収することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記無毒性組成物が、多環式キノンを含むことを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記多環式キノンが、アントラキノンを含むことを特徴とす
    る請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記多環式キノンが、その最高曝露温度において、重量あた
    り1,000ppm以下の、水に対する溶解度を有することを特徴とする請求項
    4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記多環式キノンが、少なくとも50Cの融点を有すること
    を特徴とする請求項4に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記多環式キノンが、50マイクロメートル未満の平均サイ
    ズを有する、微粉砕された粒子の形態にあることを特徴とする請求項4に記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 前記多環式キノンが、少なくとも2,000mg/kgのL
    50を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記多環式キノンを、処理する表面について、50mg/
    平方メートルから0.2mg/平方メートルの範囲にあるレベルで施すことを特
    徴とする請求項4に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記多環式キノンを、処理する表面について、25mg/
    平方メートルのレベルで施すことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記無毒性組成物が、固着剤、界面活性剤、味覚忌避剤、
    テルペン系化合物からなる群から選択される、少なくとも1つの添加剤を含むこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 水性分散物が、肥料、成長調節剤、殺虫剤、除草剤、およ
    びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのコアジュバント
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記無毒性組成物が、懸濁状態の(1)多環式キノンおよ
    び(2)ヒドロキノンの無毒性微粉砕粒子、ならびに溶液状態のアントラヒドロ
    キノンのアルカリ塩から選択される水性分散物を含むことを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
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