JP2003529725A - 電子機械的なホイールブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 電子機械的なホイールブレーキ装置（１０）は、ブレーキライニング（１２）を近づけ行程時にブレーキディスク（１３）に圧着させ、かつ戻し行程時にブレーキライニングを解離するために電気モータ（１８）の回転運動をブレーキピストン（１５）の並進運動に変換するためのねじ伝動装置（１６）を有している。さらに、許容される戻し行程を上回った際にねじ伝動装置（１６）の１部分（２８）を作用的に電気モータ（１８）から分離する切換クラッチ（３８）が設けられている。このことにより、このようなエラー時にホイールブレーキ装置（１０）の機械的な故障または損傷が阻止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 背景技術 本発明は請求項１の上位概念に記載の電子機械的なホイールブレーキ装置に関
する。

【０００２】 ローラスクリュ伝動装置の、電動的に回転駆動されるナットによって縦方向に
摺動させられるスクリュスピンドルがブレーキライニングをブレーキディスクに
圧着させるのに役立てられたこの種の装置は既に公知である（ドイツ連邦共和国
特許公開第１９７５０２７３号明細書）。スクリュスピンドルは形状結合的に軸
方向で互いに内外に係合した２つの部分から形成されている。このスクリュスピ
ンドルのインナ部分はホイールブレーキ装置の通常運転に電磁的に切換えられる
クラッチによって軸方向で固定的に位置し、かつ回動不能に保持されている。ア
ウタ部分はインナ部分上で縦方向摺動可能に案内されている。スクリュスピンド
ルのアウタ部分の戻し行程中の電気的な駆動モータの誤った継続通電時にホイー
ルブレーキ装置の損傷を回避するために、クラッチが機械的にもスクリュスピン
ドルのこの部分から遮断可能である。スクリュスピンドルはこのことによって自
由に回転可能となり、かつ作用的に電気モータから分離される。

【０００３】 発明の利点 これに対して、請求項１の特徴概念を有する本発明による電子機械的なホイー
ルブレーキ装置が有する１つの利点は、スクリュスピンドルから電気モータを分
離させるための切換クラッチが公知の実施形に比してわずかな構成部分で実現さ
れることにある。このことにより、ホイールブレーキ装置の重量および組込みス
ペースを削減することができる。さらに、構成部分点数の削減によりホイールブ
レーキ装置の機能確実性が改善される。

【０００４】 従属請求項に記載された手段により、請求項１に記載した電子機械的なホイー
ルブレーキ装置の有利な実施形と改善とが得られる。

【０００５】 請求項２に記載された電子機械的なホイールブレーキ装置の構成によれば、電
気モータの回転方向逆転により切換クラッチの閉成が簡単に可能である。

【０００６】 請求項６では切換クラッチの有利な構造形状が与えられている。

【０００７】 実施例の説明 次に、本発明の１実施例を図面に示し、以下の記載で詳細に説明する。

【０００８】 自動車のための図示の電子機械的なブレーキ装置１０はディスクブレーキとし
て形成されている。このディスクブレーキはフローティングキャリパ１１を有し
ており、このフローティングキャリパ内には、回転する摩擦エレメントとして作
用するブレーキディスク１３の両側に１対のブレーキライニング１２が取付けら
れている。ブレーキライニング１２をブレーキディスク１３に圧着させるため、
並びにブレーキライニングをブレーキディスクから解離させるために、フローテ
ィングキャリパ１１と統合されたケーシング１４内に縦方向摺動可能にブレーキ
ピストン１５が配置されている。ケーシング１４内にはさらにブレーキピストン
１５の推動のためのねじ伝動装置１６と、このねじ伝動装置１６に結合された減
速伝動装置１７と、電気モータ１８とが受容されている。

【０００９】 詳細には図示されていない電気モータ１８はロータ２１を有しており、ロータ
２１は遊星歯車として形成された減速伝動装置１７の入力部２２に回動不能に結
合されている。減速伝動装置１７はボールスクリュ伝動装置として形成されたね
じ伝動装置１６のスクリュスピンドル２４とのトルク伝達的な係合のための出力
部２３を有している。

【００１０】 スクリュスピンドル２４は形状結合によって互いに係合する２つの部分２７，
２８から成る。減速伝動装置１７の側に配置されたスクリュスピンドル部分２７
はホイールブレーキ装置１０のケーシング１４内でスラスト軸受２９によって軸
方向摺動不能に、しかし回転可能に支承されている。減速伝動装置１７の出力部
２３に回転不能に結合されたスクリュスピンドル部分２７のスラスト軸受２９と
ケーシング１４との間には、ブレーキライニング１２からブレーキディスク１３
へ作用する制動力を検知するための力センサ３０が配置されている。

【００１１】 スクリュスピンドル部分２７は出力部２３とは逆の側に段付きのジャーナル３
３を備えている。このジャーナル３３には、ブレーキピストン１５の内部に延び
たスクリュスピンドル部分２８が支承されている。スクリュスピンドル部分２８
にはナット３４が対応して配置されており、このナットはブレーキピストン１５
に回動不能かつ軸方向移動不能に統合されている。ブレーキピストン１５には、
ブレーキディスク１３とは逆の側に、ホイールブレーキ装置１０のケーシング１
４に形成されていてブレーキピストン１５の戻し行程を制限するストッパ３５が
対応して配置されている。実際にはブレーキピストン１５は、ブレーキライニン
グ１２並びにブレーキディスク１３の摩耗と、ブレーキライニングとブレーキデ
ィスクとの間の調整された空気隙間とに依存した多かれ少なかれ大きな間隔をお
いてストッパ３５から離れている。

【００１２】 スクリュスピンドル２４の両方の部分２７と２８との間の前述の形状結合はギ
ヤクラッチまたはクロークラッチとして形成されることのできる切換クラッチ３
８によって得られる。この切換クラッチはジャーナル３３の周側およびまたは端
面側でスクリュスピンドル２４の両方の部分２７，２８に形成されている。ジャ
ーナル３３上に案内されたスクリュスピンドル部分２８は、図１に示された位置
では閉成された切換クラッチ３８によってスクリュスピンドル部分２７に回動不
能に結合されている。

【００１３】 両方のスクリュスピンドル部分２７，２８は円柱ねじの形状を有していて減速
伝動装置１７の出力部２３内へねじ込まれた抗張棒４１によって中央で貫通され
ている。軸方向で固定的に位置する抗張棒４１にはそのヘッド側に２つのワッシ
ャ４２が設けられており、これらのワッシャの間にはプレロード下で圧縮ばね４
３が受容されている。圧縮ばね４３はスクリュスピンドル部分２７へ向いたばね
力をスクリュスピンドル部分２８に作用している。このばね力の克服により切換
クラッチ３８が解離される。

【００１４】 電子機械的なホイールブレーキ装置１０は次ぎの作動形式を有する。

【００１５】 ホイールブレーキ装置１０の作動のために電気モータ１８が通電される。ロー
タ２１の回転運動が減速伝動装置１７を介してねじ伝動装置１６のスクリュスピ
ンドル２４へ伝達される。ねじ伝動装置１６がこの回転運動をブレーキピストン
１５の並進運動に変換する。ブレーキピストン１５が公知形式で両方のブレーキ
ライニング１２をブレーキディスク１３へ圧着させる。

【００１６】 ホイールブレーキ装置１０の解除のために電気モータ１８が逆方向に通電され
る。ケーシング１４内へ戻し案内されたブレーキピストン１５がブレーキディス
ク１３からブレーキライニング１２を引き離す。ホイールブレーキ装置１０の運
転の仕方にトラブルがなければ、ブレーキピストン１５はケーシング１４に形成
したストッパ３５に達しない。

【００１７】 しかし、誤って電気モータ１８の通電が存続すると、ブレーキピストン１５は
ストッパ３５に突き当たる。このことの結果、さらに駆動されつづけるスクリュ
スピンドル２８が軸方向で固定的に位置する回動不能なナット３４内にブレーキ
ディスク１３へ向かう方向にねじ込まれる。軸方向で固定的に位置するスクリュ
スピンドル部分２７のジャーナル３３上での、圧縮ばね４３の力に抗して行われ
るスクリュスピンドル部分２８のこの縦方向摺動は、制限された移動距離の後に
切換クラッチ３８の分離を生じる。この状態が図面の図２に示されている。スク
リュスピンドル２４の両方の部分２７，２８の間の形状結合が失われるため、ナ
ット側のスクリュスピンドル部分２８が電動的な駆動装置から分離され、その結
果、ホイールブレーキ装置１０の過負荷および損傷が確実に回避される。

【００１８】 電気的なエラーが排除された後、電気モータ１８はブレーキ作動方向で駆動さ
れ、このことにより、抗張棒４１とスクリュスピンドル部分２８との摩擦係合に
より、当該スピンドル部分の引き戻しと、スクリュスピンドル部分２７との形状
係合の回復とが生じる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 スクリュスピンドル内に切換クラッチを備えた電子機械的なホイールブレーキ
装置の縦断面を示す図である。

【図２】 スクリュスピンドルの切換クラッチの分離状態で図１の部分を拡大尺度で示し
た図である。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車の電子機械的なホイールブレーキ装置（１０）であっ
   て、ホイールブレーキ装置（１０）の作動と解除とのための電気モータ（１８）
   が設けられており、かつ、ブレーキライニング（１２）をブレーキディスク（１
   ３）に圧着しかつ当該ブレーキディスクから引き戻すために、電気モータ（１８
   ）の回転運動を並進運動に変換するためのねじ伝動装置（１６）が設けられてお
   り、その場合、ねじ伝動装置（１６）がナット（３４）と、形状結合によって互
   いに係合する２つの部分（２７，２８）から成るスクリュスピンドル（２４）と
   を有しており、かつ、ブレーキディスク（１３）からのブレーキライニング（１
   ２）の引き戻し時にエラー発生に際して少なくとも間接的に操作される切換クラ
   ッチ（３８）が設けられており、この切換クラッチによって電気モータ（１８）
   が作用的にねじ伝動装置（１６）の一方の部分（２８）から分離可能である形式
   のものにおいて、 − 電気モータ（１８）がスクリュスピンドル（２４）の一方の部分（２７）に
   係合しており、スクリュスピンドル（２４）の他方の部分（２８）がねじ伝動装
   置（１６）のナット（３４）に結合しており、 − ねじ伝動装置（１６）の、スクリュスピンドル（２４）に沿って運動可能な
   ナット（３４）に対応して、少なくとも間接的に戻し行程を制限するストッパ（
   ３５）が配置されており、 − ねじ伝動装置（１６）のナット（３４）が少なくとも間接的にストッパ（３
   ５）に係合した際に、スクリュスピンドル（２４）の両方の部分（２７，２８）
   が切換クラッチ（３８）によって分離可能であることを特徴とする電子機械的な
   ホイールブレーキ装置。
2. 【請求項２】 スクリュスピンドル（２４）の一方の部分（２７）が軸方向
   で固定的に位置するようにホイールブレーキ装置（１０）のケーシング（１４）
   内に支承されており、他面において、スクリュスピンドル（２４）の、ねじ伝動
   装置（１６）のナット（３４）と係合している他方の部分（２８）が、ばね力に
   抗して軸方向に摺動して一方の部分（２７）から作用的に分離可能であることを
   特徴とする電子機械的なホイールブレーキ装置。
3. 【請求項３】 スクリュスピンドル（２４）の一方の部分（２８）の中央を
   、軸方向で固定的に位置していて圧縮ばね（４３）を備えた抗張棒（４１）が貫
   通しており、このばねがスクリュスピンドル（２４）の他方の部分（２７）へ向
   いたばね力によって一方の部分（２８）を負荷していることを特徴とする請求項
   ２記載の電子機械的なホイールブレーキ装置。
4. 【請求項４】 スクリュスピンドル（２４）の一方の部分（２８）が、クラ
   ッチ側でスクリュスピンドル（２４）の他方の部分（２７）のジャーナル（３３
   ）上で縦方向摺動可能に案内されていることを特徴とする請求項１または２記載
   の電子機械的なホイールブレーキ装置。
5. 【請求項５】 切換クラッチ（３８）がジャーナル（３３）の周側およびま
   たは端面側でスクリュスピンドル（２４）の両方の部分（２７，２８）に形成さ
   れていることを特徴とする請求項４記載の電子機械的なホイールブレーキ装置。
6. 【請求項６】 切換クラッチ（３８）がギヤクラッチまたは噛み合いクラッ
   チとして形成されていることを特徴とする請求項１または５記載の電子機械的な
   ホイールブレーキ装置。