JP2003529059A - 質量ラベル - Google Patents

質量ラベル

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    • Y10T436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10T436/13Tracers or tags

Abstract

(57)【要約】 2つ又はそれ以上の質量ラベルのセットであって、セット内の各々のラベルが開裂可能なリンカーを通して質量規格化部分に結合した質量マーカーを含み、質量マーカー部分はフラグメンテーション抵抗性であって、セット内の各ラベルの総質量は同じか又は異なっていてもよく、またセット内の各ラベルの質量マーカー部分は同じか又は異なっていてもよく、そして共通質量の質量マーカー部分を有するセット内のラベル群においては各ラベルはその群の他のすべてのラベルと異なる総質量を備え、共通総質量を有するセット内のラベル群においては各ラベルはその群の他のすべての質量マーカー部分と異なる質量を有する質量マーカー部分を備えるので、セット内の質量ラベルはすべて質量分析によって互いに識別できる、質量ラベルのセットを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
(技術分野) 本発明は、とりわけ核酸及び蛋白質のような生体分子といった分析しようとす
る物(分析物:analyte)を標識するために有用な化合物に関するもので
ある。特に本発明は、特異的質量ラベルを用いた質量分析法による分析の方法に
関する。 (背景技術) 対象分子を標識する様々な方法として、放射性原子、蛍光染料、発光試薬、電
子捕獲試薬及び光吸収染料を用いる方法を含めて、当該技術において知られてい
る。これらの標識系の各々が、特定の適用には適するが他のものには適さなくす
る特徴を備えている。安全性の理由から、非放射性標識系へ関心がもたれ、特に
遺伝子分析用に蛍光標識スキームが広汎に商業的開発されるようになった。蛍光
標識系は比較的少ない数の分子を同時に標識することができ、典型的には4個の
ラベルが同時に使用され、8個までが可能である。しかし、検出装置のコストと
生じたシグナルを分析することの難しさから蛍光検出体系において同時に使用で
きるラベルの数を制限している。
【0001】 最近になって、対象とする会合分子に開裂可能に結合したラベルを検出する方
法として、質量分析の領域が開発されるようになってきた。多くの分子生物学の
適用において、分析の前に対象分子を分離できることが必要である。一般に、液
相分離が実施される。近年、質量分析法により液相分離のためのいくつかのイン
ターフェイスが発達し、それによって質量分析法はこれらの種類の適用のための
検出系として特に有効となっている。最近まで、分析物イオン又はそれらのフラ
グメントイオンを直接検出するために液体クロマトグラフィー質量分析が使用さ
れていた。しかし、核酸分析のような多くの応用に対しては、間接ラベルから分
析物の構造を決定することができる。間接ラベルは、質量分析法の使用に関して
特に有利である。DNAのような複雑な生体分子は複雑な質量スペクトルを有し
、比較的低い感度でしか検出されないからである。間接検出とは、結合させたラ
ベル分子を使用して元の分析物を同定することを意味し、ラベルは感受性の高い
検出用に設計されており、単純な質量スペクトルを有する。単純な質量スペクト
ルは、多くの分析物を同時に分析するために多数のラベルを使用することを可能
にする。
【0002】 PCT/GB98/00127号は、質量分析によって検出できる開裂可能な
ラベルに共有結合した核酸プローブのアレイを記述しており、これは共有結合し
た核酸プローブの配列を同定する。この特許出願のラベルプローブはNu−L−
M構造を有し、Nuは開裂性リンカーたるLに共有結合した核酸であり、Lは質
量ラベルであるMに共有結合している。この特許出願における好ましい開裂性リ
ンカーは、質量分析計のイオン源内で開裂する。好ましい質量ラベルは置換ポリ
アリールエーテルである。この特許出願は、質量分析によって質量ラベルを分析
する特異的方法として、様々なイオン化法、ならびに四極質量分析計、飛行時間
型(TOF)分析計及び磁気セクター装置による分析を開示している。
【0003】 PCT/GB94/01675号は、質量ラベル分子に開裂可能に連結された
リガンド、特に核酸を開示している。好ましい開裂性リンカーは光開裂性である
。この特許出願は、質量分析によって質量ラベルを分析する特異的方法として、
マトリックス援用レーザー脱着イオン化(MALDI)TOF質量分析を開示し
ている。
【0004】 PCT/US97/22639号は、遊離可能な不揮発性質量ラベル分子を開
示している。好ましい実施態様では、これらのラベルは、反応基又はリガンド、
すなわちプローブに開裂可能に結合されたポリマー、典型的にはバイオポリマー
を含む。好ましい開裂性リンカーは、化学的又は酵素的に開裂可能であると思わ
れる。この特許出願は、質量分析によって質量ラベルを分析する特異的方法とし
てMALDI TOF質量分析を開示している。
【0005】 PCT/US97/01070号、PCT/US97/01046号及びPC
T/US97/01304号は、質量ラベル分子に開裂可能に連結されたリガン
ド、特に核酸分子を開示している。好ましい開裂可能リンカーは、化学的又は光
開裂性であると思われる。これらの特許出願は、質量分析によって質量ラベルを
分析する特異的方法として、様々なイオン化法、ならびに四極質量分析計、TO
F分析計及び磁気セクター装置による分析を開示している。
【0006】 分析される物質に関して生じる質量スペクトルは夾雑物に対して非常に敏感で
ある。
【0007】 本質的に、イオン化することができる質量分析計に導入されたいかなる物質も
質量スペクトルに現われる。これは、多くの分析に関して、質量分析計に導入す
る前に分析物を注意深く精製する必要があることを意味する。質量ラベルを通し
ての分析物の間接分析のための高流量系のためには、不必要な試料調製工程を避
けることが望ましいであろう。すなわちバックグラウンドにおいて夾雑物質のラ
ベルを検出することができ、検出されるピークが実際にラベルに対応することが
確実であることが望ましい。先行技術は、質量分析に基づく検出系において達成
し得るシグナル対ノイズ比を改善することができる、又はスペクトルの質量ピー
クが質量ラベルの存在によって生じたということの確証を提供することができる
方法又は組成物を開示していない。
【0008】 液体クロマトグラフィー又は電気泳動分離後の分析物の検出のためには、使用
するラベルが分離工程にできる限り干渉しないことが望ましい。そのようなラベ
ルのアレイを使用する場合には、アレイの各構成要素がその結合している分析物
に及ぼす作用は他のいずれのラベルとも同じであることが望ましい。このことは
、質量に基づいて質量分析計で分離することができるラベルのアレイを作製する
という質量マーキングの目的とはある程度相容れない。質量ラベルは、1つのラ
ベルからの同位体ピークがもう1つ別のラベルの同位体ピークに干渉するのを防
ぐために、好ましくは4ダルトンまで分解されるべきである。正確に4ダルトン
で分離されるラベルの大きなアレイを作製することは容易ではないので、これは
、250個の異なる質量ラベルを作製するためには約1000ダルトン、おそら
くはそれ以上の範囲にわたるラベルを必要とすることを意味する。この質量範囲
は、ほぼ確実に、質量分析による検出に先立つ何らかの分離工程に異なる作用を
及ぼす質量ラベルを生じるであろう。それはまた、質量分析計がイオンを検出す
ることができる質量範囲が上昇すると共に装置のコストも上昇するという意味で
、装置のデザインにも関係する。 (発明の開示) 従って、本発明の目的は、上記の先行技術に関連した問題を解決し、かつ夾雑
物のバックグラウンドの中で検出することができ、そしてその正体が質量ラベル
として確認することができる質量ラベルを提供することである。さらに、本発明
の目的は、ラベルが分離プロセスをそれほど妨害しないように狭い質量範囲で分
けることができ、そして限定された範囲の質量対電荷比でイオンを検出する質量
分析計で容易に検出することができるラベルのアレイを提供することである。
【0009】 また、本発明の目的は、特に遺伝学的分析、より詳細には、タンパク質を分析
するために使用される2次元ゲル電気泳動におけるそのようなアッセイの処理能
、シグナル対ノイズ比および感度を最大限にするために本発明のラベルを利用す
る、生体分子を分析する方法を提供することである。
【0010】 さらに、下記に開示される質量ラベルの設計により、単純化されたタンデム質
量分析計を、質量ラベルを検出するために設計することができる。第1の質量ア
ナライザーは、その質量が比較的低いイオンの限られた数を選択しなければなら
ないだけである。
【0011】 第2の質量アナライザーは、少数のフラグメンテーション生成物を検出しなけ
ればならないだけである。
【0012】 従って、本発明は、開裂可能なリンカーを介して質量規格化部分に結合したフ
ラグメンテーション抵抗性の質量マーカー部分をセット内の各ラベルが含む、2
つ以上の質量ラベルのセットを提供する。この場合、セット内の各ラベルの総質
量が同じまたは異なっていてもよく、かつセット内の各ラベルの質量マーカー部
分の質量が同じまたは異なっていてもよい。そして共通した質量の質量マーカー
部分を有するセット内のラベルの任意の群においては、各ラベルは、その群内の
他のすべてのラベルとは異なる総質量を有し、共通した総質量を有するセット内
のラベルの任意の群において、各ラベルは、その群内のすべての他の質量マーカ
ー部分の質量とは異なる質量を有する質量マーカー部分を有し、その結果、セッ
ト内の質量ラベルのすべてが質量分析法によって互いに識別することができる。
【0013】 本発明に関連して使用される質量マーカー部分の用語は、質量分析法によって
検出され得る部分を示すものである。また本発明に関連して使用される質量規格
化部分の用語は、質量分析法によって必ずしも検出され得ないが、質量ラベルが
所望する総質量を有することを確保するために存在する部分を示すものとする。
セット内のラベルの数は、セットが複数のラベルを含むならば特に限定されない
。しかし、セットが2つ以上、3つ以上、4つ以上または5つ以上のラベルを含
むことは好ましい。
【0014】 本発明はまた、上記に規定されるような質量ラベルの2つ以上のセットを含む
質量ラベルのアレイを提供する。この場合、任意の1つのセットにおける質量ラ
ベルのそれぞれの総質量は、アレイ内のどの他のセットにおける質量ラベルのそ
れぞれの総質量とは異なる。
【0015】 さらに、本発明により、分析物に対して固有の質量ラベルまたは質量ラベルの
組合せを質量分析法によって同定することにより分析物を検出することを含む分
析方法が提供される。この場合、質量ラベルは、上記に規定されるような質量ラ
ベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルである。
【0016】 以下、添付の図面を参照しながら、あくまで例示として本発明をさらに詳細に
説明する。 (実施形態) 1つの好ましい実施様態において本発明は、以上で定義したような、質量ラベ
ルのセットを提供し、そこで、前記セットにおけるそれぞれのラベルは、共通の
質量を有する質量マーカー部分を有し、前記セットにおけるそれぞれのラベルは
、固有の総質量を有する。この第1の型のラベルのセットの例は図4に示されて
いる。
【0017】 他のより好ましい実施様態において、前記セットのそれぞれのラベルは、共通
の総質量を有し、前記セットにおけるそれぞれのラベルは、固有の質量の質量マ
ーカー部分を有する。この第2の型のラベルセットの例は図3に示されている。
【0018】 ラベルのセットは、上述した2つの好ましい実施様態に限定される必要はなく
、すべてのラベルが、以上で概略したように、質量分析法によって識別可能であ
る限り、たとえば両方の型のラベルを含んでよい。
【0019】 第2の型のラベルのセットにおいて、前記セット中のそれぞれの質量マーカー
部分は、共通の基本構造を有し、前記セット中のそれぞれの質量規格化部分は、
共通の基本構造を有し、前記セット中のそれぞれの質量ラベルは、1つ以上の質
量調節部分を含み、前記質量調節部分は、前記質量マーカー部分の基本構造およ
び/または前記質量規格化部分の基本構造に結合するか、あるいは前記質量マー
カー部分の基本構造および/または前記質量規格化部分の基本構造内に位置する
。本実施態様において、前記セット中のすべての質量マーカー部分は、異なる数
の質量調節部分を含み、前記セット中のすべての質量ラベルは同数の質量調節部
分を有する。
【0020】 本明細書を通して、共通基本構造という表記により、2つ以上の部分が、実質
的に同一の構造骨格、基幹、コアを有する構造を共有することを意味する。この
骨格または基幹は、たとえばフェニルエチル部分であってよい。骨格または基幹
は、共通基本構造を変更しない限り、基本構造にぶら下がった置換基を有してい
てもよく、または基本構造内に原子又は同位体の置換が行われていてもよい。
【0021】 典型的には、以上で言及した第2の型の質量ラベルのセットは、以下の式、
【0022】
【化8】
【0023】 を有する質量ラベルを含んでいる。式中、Mは質量規格化部分であり、Xは質量
マーカー部分であり、Aは質量調節部分であり、Lは開裂可能リンカーであり、
yおよびzは0以上の整数であり、y+zは1以上の整数である。好ましくは、
Mはフラグメンテーション抵抗性基であり、Lは他の分子または原子との衝突に
よるフラグメンテーションを受けやすいリンカーであり、Xは好ましくは前もっ
てイオン化されたフラグメンテーション抵抗性基である。MおよびXの質量合計
は、そのセットのすべての構成物に対して同一である。好ましくは、MおよびX
は、同一の基本構造またはコア構造を有し、この構造は、質量調節部分によって
改変される。質量調節部分は、MおよびXの質量の合計が、1つのセットにおけ
るすべての質量ラベルに対して同一であることを保証するが、それぞれのXが異
なる(固有の)質量を有することをも保証する。
【0024】 上記構造を有する質量ラベルの好ましいセットは、セット中でそれぞれのラベ
ルが、以下の構造を有している。
【0025】
【化9】
【0026】 式中Rは水素、または置換若しくは非置換脂肪族、芳香族、環状または複素環で
あり、Lは開裂可能リンカーであり、Aは質量調節部分であり、それぞれのpは
同一であって、0以上の整数であり、それぞれのy'は、同一であっても異なっ
ていてもよく且つ0〜4の整数であって、すべてのy’の合計はyと等しく、そ
れぞれのz’は、同一であるかまたは異なってもよく且つ0〜4の整数であって
、全z’の合計はzと等しい。好ましくは、RはH原子であり、Lはアミド結合
であり、p=0であり、AはF原子である。
【0027】 本明細書において、R基上での置換様式はまったく限定されていない。置換基
または置換基(群)には、任意の有機基および/または、B、Si、N、P、O
またはS原子またはハロゲン原子(たとえばF、Cl、BrまたはI)のような
、周期表のIIIA、IVA、VA、VIAまたはVIIA族からの1つまたは
それ以上の原子を含んでもよい。
【0028】 置換基が有機基を含む場合、前記有機基は、炭化水素基を含んでよい。炭化水
素基は、直鎖、分岐鎖、または環状基を含んでよい。独立して、炭化水素基は、
脂肪族基、または芳香族基を含んでよい。さらに独立して、炭化水素基は、飽和
または不飽和基を含んでもよい。
【0029】 前記炭化水素基が不飽和基を含む場合、1つ以上のアルケン官能基および/ま
たは1つ以上のアルキン官能基を含んでよい。前記炭化水素が直鎖または分岐鎖
基を含む場合、1つ以上の第一級、第二級および/または第四級アルキル基を含
んでよい。前記炭化水素が、環状基を含む場合、芳香族環、脂肪族環、複素環、
および/またはこれらの基の縮合環誘導体を含んでよい。したがって、環状基は
、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、ピリジン、キ
ノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ピロール、イ
ンドール、イミダゾール、チアゾールおよび/またはオキサゾール基、ならびに
上記基の部位異性体を含んでもよい。
【0030】 炭化水素基内の炭素原子の数は、特に限定はされないが、一般的に炭化水素基
は、1〜40個のC原子を含む。したがって、炭化水素基は、低級炭化水素(1
〜6個のC原子)または高級炭化水素(7個のC原子、またはそれ以上、たとえ
ば7〜40個のC原子)であり得る。環状基の環を構成する原子数は特に限定し
ないが、環状基の環は、3、4、5、6または7原子のように3〜10原子を含
んでよい。
【0031】 以上で定義したヘテロ原子を含む基、ならびに以上で定義した基のいずれも、
B、Si、N、P、OまたはS原子またはハロゲン原子(たとえばF、Cl、B
rまたはI)のような、周期表のIIIA、IVA、VA、VIAまたはVII
A族のヘテロ原子を1つ以上含んでよい。したがって、置換基は、ヒドロキシ基
、カルボキシル酸基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、アミ
ン基、アミド基、イミン基、チオール基、チオエーテル基、硫酸基、スルホン酸
基、およびリン酸基等の有機化学における共通の官能基を任意に1つ以上含んで
もよい。置換基はまた、カルボキシル酸無水物、およびカルボキシル酸ハロゲン
化物等の、上記官能基の誘導体を含んでもよい。
【0032】 さらに、任意の置換基が、上記で定義した置換基および/または官能基の2種
以上の組合せを含んでよい。
【0033】 本発明の質量ラベルのアレイは、本発明にしたがった多数の質量ラベルのセッ
トを含む限り、特に限定はされない。アレイが、2つ以上、3つ以上、4つ以上
、または5つ以上の質量ラベルのセットを含むことが望ましい。好ましくは、ア
レイ中の各質量ラベルが、以下の構造のいずれかを有している。
【0034】
【化10】
【0035】 式中、Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マーカ
ー部分であり、Aは質量調節部分であり、Lは開裂可能リンカーであり、xは0
以上の整数であり、yおよびzは0以上の整数であり、y+zは1以上の整数で
ある。
【0036】 上記型の質量ラベルのアレイは、質量ラベルが以下の構造のいずれかを有して
いることが好ましい。
【0037】
【化11】
【0038】 式中Rは水素であるか、または置換または非置換脂肪族、芳香族、環状または複
素環であって、各pは同一で且つ0以上の整数であり、xは0以上の整数であり
、任意の1つのセットに対するそれぞれのxは当該アレイ中のいずれの他のセッ
トのxとも異なり、それぞれのy’は同一であっても異なっていてもよく且つ0
〜4の整数であり、すべてのy’の合計はyに等しく、それぞれのz’は同一で
あっても異なっていてもよく且つ0〜4の整数であり、すべてのz’の合計はz
に等しい。この型のアレイは、図7に示されている。
【0039】 他の好ましい態様では、質量ラベルのアレイは、以下の構造のいずれかを有し
ている。
【0040】
【化12】
【0041】 式中Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マーカー
部分であり、Aは質量マーカー及び質量規格化部分の質量調節部分であり、A*
はAと同一であっても異なっていてもよく、質量系列修飾基の質量調節部分であ
り、Lは開裂可能リンカーであり、rは0以上の整数であって、アレイ中に質量
ラベルのセットを1セット以上含むときには少なくとも1であり、yおよびzは
0以上の整数であり、x+yは1以上の整数である。好ましくは、Mはフラグメ
ンテーション抵抗性基であり、Lは他の分子または原子との衝突によってフラグ
メンテーションを受けやすいリンカーであり、Xは好ましくは予めイオン化され
た、フラグメンテーション抵抗性基である。Sは典型的には、アレイの構成要素
であるラベルセットが、前記アレイの他のすべての構成物要素である、他のすべ
てのSから、好ましくは4ダルトン分だけ分離されるような質量であるSを含む
ような基である。したがって、質量ラベルの異なるセットはそれぞれ異なった(
固有の)質量を持っている。
【0042】 上記後者の型の質量ラベルの好ましいアレイは、そのアレイ中の質量ラベルが
、以下の構造のいずれかを有している。
【0043】
【化13】
【0044】 式中Rは水素であるか、または置換または非置換脂肪族、芳香族、環状または複
素環であって、それぞれのpは同一であって且つ0以上の整数であり、xは0以
上の整数であって且つアレイ中の全ての質量ラベルについて同じであり、それぞ
れのy’は同一であっても異なっていてもよく且つ0〜4の整数であり、すべて
のy’の合計はyに等しく、それぞれのz’は同一または異なっていてもよく且
つ0〜4の整数であり、すべてのz’の合計はzに等しく、それぞれのr’は同
一であっても異なっていてもよく、すべてのr’の合計はrに等しい。この型の
アレイは、図6に示されている。
【0045】 本発明の上記セットおよびアレイにおいて、M、XおよびS基の共通の基本構
造は特に限定しないが、環状および/または非環状基を含んでよい。M、Xおよ
びSの特性は特に限定されてはいない。しかしながら、Mおよび/またはX、お
よび/またはSが、基礎(コア)構造として、アリール、シクロアルキル、または
複素環のような環状基を含むことが好ましい。これらの基は置換されていなくて
もよいが、好ましくは置換されている。M、Xおよび/またはSはそれぞれ、上
記環状モノマーから形成されたオリゴマーまたはポリマーを含み、環状モノマー
は、フラグメンテーション抵抗性の結合または基によって連結されている。
【0046】 フェニルエーテル基並びにそのオリゴマーおよびポリマー等のアリールエーテ
ル、とりわけ置換アリールエーテルが、M、XおよびSに対する好ましい共通の
基本構造である。
【0047】 開裂可能リンカー基Lは特に限定されない。しかしながら、Lが、衝突によっ
て開裂可能であり、および/または質量分析計内で開裂可能である基を含むこと
が好ましい。好ましくは、基Lはアミド結合を含む。
【0048】 さらに好ましい態様では、本発明は、分析される分子と反応可能である質量ラ
ベルのセットおよびアレイを提供し、前記質量ラベルは、以下の形を有している
【0049】
【化14】
【0050】 式中、Reは限定はしないが、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレ
オチド、アミノ酸、ペプチドまたはポリペプチドのような、分析しようとする分
子中の適切な官能基に共有結合的に質量ラベルと反応する反応性官能基または反
応性基であり、L'は開裂可能であっても開裂可能ではなくてもよいリンカーで
あり、本ラベルは、上記任意のセットまたはアレイからの質量ラベルである。S
は上記で定義したものと同義である。
【0051】 L’は所望により、上記で定義した開裂可能リンカーLのような、開裂可能リ
ンカーであってよい。
【0052】 本発明の上記態様のうちの好ましい実施様態において、Lおよび/またはL'
は質量分析計内、好ましくは質量分析計のイオン供給源内で開裂可能である。
【0053】 (リンカー基) 以上および以下の議論において、対象の分子を本発明の質量ラベル化合物に連
結するのに使用し得るリンカー基が作製される。本発明の質量ラベルとこれに共
有結合した分析物との間に導入され得る、さまざまなリンカーが本技術分野で公
知である。これらのリンカーのいくつかは開裂可能であり得る。1992年、M
askos,U. & Southern, E. M. Nucleic A
cids Research 20;1679−1684ページにて開示された
もののような、オリゴ−またはポリエチレングリコールまたはその誘導体をリン
カーとして使用し得る。
【0054】 一般的に塩基変化しやすく、したがって多くのオリゴヌクレオチド合成におい
て使用される塩基が仲介する脱保護工程に不適合であるので、オリゴヌクレオチ
ドの標識に関する適用にはあまり好ましくはないものの、コハク酸を基本とした
リンカーもまた広く使用されている。
【0055】 プロパギル酸アルコールは、オリゴヌクレオチド合成の条件下で安定な連結を
提供する二官能性リンカーであり、オリゴヌクレオチド適用に本発明が関連した
使用に対して好ましいリンカーである。同様に6−アミノヘキサノールは、望ま
しく官能化された分子を連結するのに有用な二官能性試薬であり、また好ましい
リンカーである。
【0056】 光開裂可能リンカーのような、さまざまな公知の開裂可能リンカー基を、本発
明の化合物と一緒に使用してよい。オルト−ニトロベンジル基、とりわけ2−ニ
トロベンジルエステル、および2−ニトロベンジルアミン類は、光開裂可能リン
カーとして知られており、ベンジルアミン結合の部位で開裂する。開裂可能リン
カーの総論に関しては、さまざまな光開裂可能、および化学的に開裂可能なリン
カーを含んでいる、1993年、Lloyd−Williamsら, Tetr
ahedron 49、11065−11133ページを参照のこと。
【0057】 WO00/02895号は、開裂可能リンカーとしてビニルスルフォン化合物
を開示しており、これはまた、本発明での使用、とりわけ、ポリペプチド、ペプ
チドおよびアミノ酸の標識にかかわる適用において利用可能である。本明細書の
内容は参考文献にて組み込まれている。
【0058】 WO00/02895号は、気相での塩基による開裂が可能であるリンカーと
して、シリコン化合物の使用を開示している。これらのリンカーはまた、本発明
での使用、とりわけオリゴヌクレオチドの標識にかかわる適用にて利用可能であ
る。本明細書の内容は、参考文献にて組み込まれている。
【0059】 以下の議論において、本発明の化合物が他の化合物、レポーター基または分析
しようとする物質のいずれかに連結するように、反応性官能基Reが言及される
。さまざまな反応性官能基が本発明の質量ラベル内に導入され得る。
【0060】 表1は、2つの物質間で共有結合的連結を生成するために、生体分子中で見ら
れる求核官能基と反応し得る、いくつかの反応性官能基を列挙している。合成オ
リゴヌクレオチドに関与する適用に対しては、一級アミンまたはチオールが分子
の末端にしばしば導入されて、標識を可能にする。以下に列記された任意の官能
基を、質量マーカーを対象の分子に結合可能にするために、本発明の化合物内に
導入することができた。反応性官能基は、望む場合に、さらなる反応性官能基と
ともにさらなるリンカー基を導入するために使用できる。表1は、網羅的である
つもりはなく、本発明は、列記された官能基のみの使用に限定はされない。
【0061】
【表1】
【0062】 本発明の質量マーカーでのオリゴヌクレオチドの標識にかかわる適用において
、上記反応性官能基又はこれらの結果物である連結基は、オリゴヌクレオチドシ
ンセサイザーに導入する前に、保護されなければならない可能性があることを考
慮すべきである。通常オリゴヌクレオチドシンセサイザー内で安定ではないので
、好ましくは、未保護エステル、チオエーテルおよびチオエステル、アミンおよ
びアミド基は避けるべきである。広く種々の保護基が、望まない副次反応から結
合を保護するのに使用可能であるとして、本技術分野で公知である。
【0063】 以下の議論において、「帯電官能基(charge carrying fu
nctionalities)」および溶解性基が言及される。これらの基は、
イオン化および溶解性を促進するために、本発明の質量マーカー内のような質量
ラベル内への導入可能である。マーカーの選択は、陽イオンまたは陰イオンいず
れかの検出を使用するかどうかに依存する。以下の表2は、陽イオン化または陰
イオン化いずれかを促進するために、質量マーカー内に導入し得るいくつかの官
能基を列記している。本表は、網羅的であるつもりはなく、本発明は、列記され
た官能基のみの使用に限定はされない。
【0064】
【表2】
【0065】 WO 00/02893号は、質量マーカーのイオン化を改善する目的のため
の、クラウンエーテルまたはポルフィリンのような金属イオン結合部分の使用を
開示している。これらの部分も、本発明の質量マーカーとの使用に適用可能であ
る。
【0066】 本発明の質量マーカーの構成成分は、マーカーのフラグメンテーション部位が
、衝突誘導乖離(Collision Induced Dissociati
on)によって簡単に壊れる連結の導入によって制御可能であるように、好まし
くはフラグメンテーション抵抗性である。アリールエーテルが、本発明で使用可
能であるフラグメンテーション抵抗性化合物のある種の例である。これらの化合
物はまた、化学的に不活性であり、温度に安定である。WO第99/32501
号は、より詳細に質量分析法でのポリエーテルの使用を議論しており、本明細書
の内容は、参考文献にて組み込まれている。
【0067】 過去に、アリールエーテルの合成に関する一般的な方法は、約200℃での、
銅粉末の存在下、アリールブロマイドのフェノールとのウルマン(Ullman
n)カップリングに基づいていた(代表的な参考文献:H.Stetter、G
.Duve、Chemische Berichte 87(1954年)16
99ページ)。アリールエーテルの合成に関するミルダー(Milder)法が、
異なる金属触媒を用いて発展したが、反応温度はまだ100から120℃の間で
ある(M.Iyoda、M.Sakaitani、H.Otsuka、M.Od
a、Tetrahedron Letters 26(1985年)477ペー
ジ)。これは、ポリエーテル質量ラベルの生成に対して好ましい工程である。以
下の例で示されたFT77の合成を参照のこと。最近発行された方法によって、
先行する方法よりもより穏やかな条件で実施されるために、ポリエーテル質量ラ
ベルを生成するのにより好ましい経路が提供される(D.E.Evans、J.
L.Katz、T.R.West、Tetrahedron Lett.39(
1998年)2937ページ)。
【0068】 本発明はまた、2つまたはそれ以上のプローブのセットを提供し、前記セット
におけるそれぞれのプローブは、以上で定義したような質量ラベルのセットまた
はアレイと異なっている、固有の質量ラベルまたは質量ラベルの固有の組合せに
結合している。
【0069】 さらに、2つ以上のプローブのセットを含むプローブのアレイが提供され、そ
こで、任意の1つのセット内のそれぞれのプローブは、以上で定義したような質
量ラベルのセットから、固有の質量ラベル、または質量ラベルの固有の組合せに
結合し、任意の1つのセット内のプローブは、同一の質量ラベルセットからの質
量ラベルに結合し、それぞれのプローブのセットは、以上で定義した質量ラベル
のアレイからの質量ラベルの固有のセットからの質量ラベルに結合する。
【0070】 1つの実施様態において、それぞれのプローブは、好ましくは、固有の質量ラ
ベルの組合せに結合し、それぞれの組合せは、質量ラベルのセット内のそれぞれ
の質量ラベルの存在または不在によって、および/またはプローブに結合したそ
れぞれの質量ラベルの量によって見分けられる。このことは、プローブが質量ラ
ベルの混合物に結合可能であることから、本発明の「混合モード(mixing
mode)」と呼ばれる。
【0071】 以上の態様において、プローブの性質は特に限定はされない。しかしながら、
好ましくは、それぞれのプローブは生体分子を含む。任意の生体分子を利用でき
るが、好ましい生体分子はDNA、RNA、オリゴヌクレオチド、核酸塩基、ペ
プチド、ポリペプチド、タンパク質およびアミノ酸より選択される。
【0072】 1つの好ましい実施様態において、本発明は、以下の形態を有するヌクレオチ
ド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドのような、質量ラベルで標識し
た(質量ラベル化:mass labeled)分析物のセットおよびアレイを
提供する。
【0073】
【化15】
【0074】 式中L’およびSは上記で定義された通りであり、ラベルは上記で定義した任意
のセットおよびアレイからの質量ラベルである。
【0075】 以上の態様において、分析物の特性は特に限定されてはいない。しかしながら
、好ましくはそれぞれの分析物は生体分子を含む。任意の生体分子を利用できる
が、生体分子は、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、核酸塩基、ペプチド、
ポリペプチド、タンパク質およびアミノ酸より選択されることが好ましい。
【0076】 1つの実施様態において、それぞれの分析物は、質量ラベルの固有の組合せに
結合し、それぞれの組合せは、質量ラベルのセット内のそれぞれの質量ラベルの
存在または不在によって、および/またはプローブに結合したそれぞれの質量ラ
ベルの量によって識別される。
【0077】 以上で言及したように、このことは、プローブが質量ラベルの混合物に結合可
能であることから、本発明の「混合モード(mixing mode)」と呼ば
れる。
【0078】 以上で言及したように、本発明は解析の方法を提供し、前記方法には、質量分
析計によって質量ラベル、または分析物に固有の質量ラベルの組合せを同定する
ことによって分析物を検出することが含まれ、そこで質量ラベルは、以上で定義
したような質量ラベルのセットまたはアレイからの質量ラベルである。方法が、
分析物を同定するために、本発明の質量ラベルの使用から恩恵を受ける限り、方
法の型はとくに限定されない。本方法は、たとえば核酸を配列決定する方法、ま
たは試料中のタンパク質の量を検出することによって1つまたはそれ以上の遺伝
子の発現をプロファイルする方法であり得る。同時に多量な分析物の簡単な解析
のために使用できることから、本方法はとりわけ利点がある。しかしながら、本
方法はまた、従来のスペクトルよりも明瞭である、本質量ラベル、質量スペクト
ルの使用を提供し、方法が正確に、感受性よくなるために、単一の分析物を個々
に解析することにも利点がある。
【0079】 さらに好ましい実施様態において、本発明は、 (a)1つ以上の分析物を、プローブのセット、またはプローブのアレイと接触
させる工程、ここで、セットまたはアレイ中のそれぞれのプローブは、少なくと
も1つの分析物に特異的であるとともに、プローブは以上で定義したようなもの
である、 (b)分析物に特異的なプローブを検出することによって、分析物を同定する工
程、 を含む方法を提供する。
【0080】 本実施様態において、質量分析による質量ラベルの検出の前に、プローブから
質量ラベルが開裂することが好ましい。
【0081】 本特定実施様態の方法の特徴は、特に限定はされない。
【0082】 しかしながら、本方法が、1つまたはそれ以上の核酸をハイブリッド形成用プ
ローブのセットと接触させる工程を含むことが好ましい。ハイブリッド形成用プ
ローブのセットは、典型的には、256個までの4マー(4mer)のセットを
含み、前記セット中のそれぞれのプローブは、核酸塩基の異なった組合せを有す
る。本方法は、標的核酸の存在を同定するために好適であり得、または1つ以上
の核酸を鋳型として、プライマー伸張配列決定の逐次的方法において使用するこ
とが可能である。
【0083】 本発明の質量ラベルは、主に多数のラベルが同時に識別可能であるために、特
に、2次元解析の方法での使用に好適である。したがって、ラベルは、2次元ゲ
ル電気泳動の方法において、又は2次元質量分析の方法において使用可能である
【0084】 したがって、本発明の1態様によれば、本発明は、2次元質量分析解析の方法
を提供する。この方法は、 (a)各分析物が、当該分析物に固有の質量ラベルまたは質量ラベルの組合せに
よって標識されているような分析物を1つ以上提供する工程、ここで質量ラベル
は、上記で定義したような質量ラベルのセットまたはアレイ由来のものである、
(b)質量ラベルを分析物より開裂する工程、 (c)質量ラベルを検出する工程、 (d)質量マーカー部分を質量規格化部分より放出するために、質量分析計内で
質量ラベルを解離させること、 (e)質量マーカー部分を検出する工程、および (f)第一次元での質量ラベルの質量スペクトル、および第二次元での質量マー
カー部分の質量スペクトルに基づき分析物を同定すること、 を含む。
【0085】 本方法において、好ましくは、工程(c)で、選択した質量または選択した質
量範囲の質量ラベルが検出のために選択される。工程(e)において、特定の質
量または特定の質量範囲を有する質量マーカー部分を検出のために選択すること
もまた好ましい。
【0086】 他の態様において、本発明は、 (a)分析物の第1の特性に基づいて、標識した分析物の混合物を第1の分離処
理にかける工程、 (b)得られた分離分析物を、分析物の第2の特性に基づいて、第2の分離処理
にかける工程、および (c)その標識を検出することによって、前記分析物を検出する工程、 を含む方法であって、分析物が、上記で定義したような質量ラベルのセットまた
はアレイからの質量ラベルを用いて標識される方法を提供する。
【0087】 分析物の特性は特に限定はされない。しかしながら、本実施様態において、工
程(a)および/または工程(b)で、分析物は、好ましくはその長さまたは質
量にしたがって分離される。工程(a)および/または工程(b)において、分
析物は、その等電点にしたがって分離されることがさらに好ましい。典型的に、
分析物は1つ以上のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸または核酸
、またはそれらの断片を含む。ゲル電気泳動を、それぞれの分離工程で利用する
ことがとりわけ好ましい。
【0088】 本実施様態において、本方法は2次元ゲル電気泳動の方法である。
【0089】 さらなる観点において、本発明は、核酸を特性化するための方法を提供する。
その方法は、 (a)核酸断片の集団を提供する工程、ここで、それぞれの断片は、その断片の
特性を同定するために、上記で定義したような質量ラベルのセットまたはアレイ
からの質量ラベルに開裂可能に結合している、 (b)断片の長さに基づいて、前記断片を分離する工程、 (c)前記質量ラベルを放出させるために、それぞれの断片を開裂させる工程、
および、 (d)質量分析計によってそれぞれの質量ラベルを検出して、それぞれの断片の
特性をその断片の長さと関連付ける工程、 を含む。
【0090】 典型的には、本発明のこの態様の方法は、cDNAを特徴づけるために使用さ
れる。
【0091】 好ましくは、本方法は、 (a)末端断片の集団を作製するために、1つまたはそれ以上のcDNAまたは
その断片の集団を含む試料を、所定配列を認識し、それぞれのcDNAまたはそ
の断片の末端に所定配列から既知の距離にある参照部位で切断する切断剤にさら
す工程、 (b)それぞれの参照部位を、切断剤のサンプリングのために、認識部位を含む
アダプターオリゴヌクレオチドと連結する工程、 (c)認識部位に結合して当該認識部位から既知の距離にあるサンプリング部位
にて切断するサンプリング切断剤に、末端断片の集団を曝露して、各末端断片中
に所定の6塩基までの長さを有し且つ配列が未知である粘着末端を作製する工程
、 (d)配列の長さにしたがって、末端断片の集団をサブ集団に分離する工程、 (e)(i)標識したハイブリッド形成用プローブのアレイでプローブ化する工
程、本アレイは、所定長さのあらゆる可能な塩基配列を含んでいる、 (ii)ハイブリッドを形成したそれらのプローブを、粘着末端配列に連結する
工程、 (iii)標識を同定し、好ましくは定量することによって、どのプローブが連
結したかを決定することによってそれぞれの粘着末端配列を決定する工程 を含む方法であって、前記標識は、上記で定義したようなセットまたはアレイ由
来の質量ラベルである。
【0092】 本方法において、末端断片の集団は、好ましくはキャピラリー電気泳動、HP
LCまたはゲル電気泳動によって分離される。
【0093】 本発明のまたさらなる態様において、核酸及び断片の末端塩基を特徴づけるた
めの方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの標識した末端塩基の存在
下で、1つ以上の核酸を鋳型としてサンガー(Sanger)ラダー核酸断片を
作製すること、及び断片の長さを同定する工程を含み、ここで前記ラベルは、末
端塩基に特異的であり、以上で定義したようなセットまたはアレイからの質量ラ
ベルである。
【0094】 本発明のこの態様において、すべての4つの末端塩基が同一の反応領域に存在
することが好ましい。本方法は典型的に、同一の反応領域において存在する多数
の核酸を鋳型としてサンガーラダー核酸断片を作製する工程、並びに生成された
それぞれの核酸断片に関して、断片の長さ、断片が由来する鋳型のアイデンティ
ティおよび断片の末端塩基を同定する工程を含む方法であって、断片を作製する
前に、標識されたプライマーヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドはそれぞれ
の鋳型とハイブリッドを形成し、それぞれのプライマー上のラベルは、プライマ
ーがハイブリッドを形成して鋳型の同定を可能にする鋳型に特異的である。鋳型
を同定する標識のタイプは特に限定はされない。しかしながら、鋳型を同定する
標識は、以上で定義したようなセットまたはアレイからの質量ラベルであること
が好ましい。
【0095】 本発明の方法のさらなる態様は、核酸を配列決定する方法を提供する。この本
方法は、 (a)配列決定すべき1つ以上の一本鎖DNAを含む標的核酸集団を得る工程、
ここで、1本鎖DNAはそれぞれ固有の量で存在し且つプライマーを有していて
、連結のために核酸の二本鎖部分を提供している (b)前記核酸集団を、ハイブリッド形成用プライマーのアレイと接触させる工
程、ここでそれぞれのプライマーは、所定の長さを有する公知の塩基配列に開裂
可能に結合したラベルを含み、アレイは、そのような所定長さのあらゆる可能な
塩基配列を含み、塩基配列は、お互いに連結不可能であり、また、この接触工程
は、リガーゼの存在下で、二本鎖部位に隣接した一本鎖部位に相補的な塩基配列
を有するプローブに、それぞれの核酸の二本鎖部位に連結して、それによって、
更なるプローブへの連結が不可能となる伸張された二本鎖部分を形成する条件下
で、実施される、 (c)連結しなかったすべてのプローブを除去する工程、続いて (d)それぞれのラベルを放出させるために、連結したプローブを開裂させる工
程、 (e)それぞれのラベルの量を記録する工程、および (f)連結を可能にするために、伸張二本鎖部位を活性化する工程、 を含み、 (g)それぞれのラベルを放出した配列を決定することによって、その配列また
は各一本鎖核酸の配列を決定するために十分な回数、工程(b)から(f)を繰
り返す、 ここでハイブリッド形成用プローブは、それぞれ、以上で定義したセットまたは
アレイからのものである。
【0096】 本発明のこの態様では、ハイブリッド形成用プローブは、256個の4マー(
4mer)のセットであることが好ましく、セット内のそれぞれのプローブは異
なる組合せの核酸塩基を持っている。
【0097】 すでに言及したように、本発明の上記態様のすべてにおいて、質量分析法によ
って、質量ラベルまたは質量ラベルの組合せを同時に同定することによって、2
つ以上の分析物が、検出されることが好ましい。
【0098】 本発明の混合モードは、以上の方法すべてに適用し得る。本実施態様において
、それぞれの分析物は、質量ラベルのセットまたはアレイからの質量ラベルの固
有の組合せによって同定され、それぞれの組合せは、前記セットまたはアレイ中
のそれぞれの質量ラベルの存在または不在により、および/またはそれぞれの質
量ラベルの量によって区別される。
【0099】 本方法が同時に2つまたはそれ以上の分析物に適用される場合、いくつかの態
様において、質量解析法によって質量ラベルを検出する前に、分析物の質量によ
って分析物を分離しておくことが好ましい。好ましくは、分離工程は、液体クロ
マトグラフィーまたはゲルクロマトグラフィーのようなクロマトグラフィーを用
いた工程である。本発明の第2の型のラベルは、とりわけこれらの実施様態で有
用である。前記セット内のすべてのラベルの総質量が同一であるから、クロマト
グラフィーによる工程の間、すべての分析物の移動度がラベルによって等しく影
響を受けているからである。
【0100】 典型的に、本方法において、質量ラベルを検出するために使用する質量分析計
は、1つ以上の質量アナライザーを含んでいて、このアナライザーは、特定の質
量または質量範囲のイオンを、検出のために通過させることができる、および/
またはイオンが原因となって解離させることができる。好ましくは、1つ以上の
公知の質量ラベルに特異的な特定の質量または質量範囲のイオンを、質量アナラ
イザーを用いて選択し、前記選択したイオンを解離し、解離生成物を、選択した
質量ラベルを示唆するイオンパターンを同定するために検出する。とりわけ好ま
しい方法において、質量分析計は、3つの四極質量アナライザーを含む。本実施
様態において、一般的に第1の質量アナライザーは、特定の質量または質量範囲
のイオンを選択するために使用し、第2の質量アナライザーは、選択したイオン
を解離させるために使用し、第3の質量アナライザーは、生成されたイオンを検
出するために使用する。
【0101】 上述の方法の好ましい実施様態によって、質量ラベルで標識した分析物分子を
解析する方法が提供される。この方法は下記工程を含む。 1.対象となる関連ある分子から質量ラベルを開裂させる工程、 2.開裂した質量ラベルをイオン化する工程、 3.質量アナライザー内で、公知の質量ラベルの好ましいイオンの質量対電荷比
に相当する、所定の質量対電荷比のイオンを選択する工程、 4.これらの選択したイオンの解離を、衝突によって誘導する工程、 5.衝突生成物を検出して、選択した質量ラベルを示唆する衝突生成物イオンを
同定する工程。
【0102】 その連結した核酸から質量ラベルを開裂する工程を、質量分析計内、好ましく
はイオン供給源内で実施することが好ましい。質量ラベルが先にイオン化されて
いることもまた好ましい。本実施様態において、ラベルは、液相または固相から
気相に移動させることが必要なだけである(質量ラベルが液相または固相にある
場合)。典型的に、質量ラベルのイオン化の工程は、質量分析計のイオン供給源
内の質量ラベルの開裂の結果である。
【0103】 好ましくは、所定の質量対電荷比のイオンを選択する第3の工程が、連結した
機器の第1の質量アナライザー内で実施される。ついで選択されたイオンが、分
離衝突セル内に導かれ、そこで以上の4つの工程にしたがった気体または固体表
面で衝突する。ついで衝突生成物は、さらに連結した機器の質量解析器内に導か
れ、以上の第5の工程にしたがって、衝突生成物を検出する。本発明での使用の
ための典型的な連結した機器には、三重四極子質量アナライザー、タンデムセク
ター器、および四極子飛行時間質量分析計が含まれる。
【0104】 他の好ましい観点において、所定の質量対電荷比のイオンを選択する上記第3
の工程、気体によって選択したイオンを衝突させる第4の工程、および衝突生成
物を検出する第5の工程は、質量分析計の同一のゾーンにて実施される。このこ
とは、たとえば、イオン捕獲質量アナライザーおよびホリアー・トランスフォー
ム・イオン・サイクロトロンレゾナンス(Fourier Transform
Ion Cyclotron Resonance)質量分析計において実施
され得る。
【0105】 さらに好ましい実施様態において、本発明は、質量ラベルで標識した分析物分
子を分析する方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む。 1.関連ある分析分子から、質量ラベルを開裂する工程、 2.開裂した質量ラベルをイオン化する工程、 3.質量アナライザー内で、公知の質量ラベルの好ましいイオンの質量対電荷比
に相当する、所定の質量対電荷比のイオンを選択する工程、 4.これらの選択したイオンの解離を、衝突によって誘導する工程、 5.1つ以上の衝突生成物を検出して、選択した質量ラベルを示唆する、言い換
えれば標識した核酸を示唆するイオンパターンを同定する工程。
【0106】 本発明の本実施様態の好ましい態様において、その連結された核酸からの質量
ラベルを開裂する工程は、質量アナライザー内、好ましくはイオン供給源内で実
施される。
【0107】 本実施様態の特定の好ましい態様において、質量ラベルは、先にイオン化され
ており、単に液相または固相から気相に移す必要があるだけである(質量ラベル
が、液相または固相にある場合)。
【0108】 他の好ましい態様において、質量ラベルのイオン化の工程は、質量分析計のイ
オン供給源内での質量ラベルの開裂の結果として起こる。
【0109】 特定の態様において、所定の質量対電荷比のイオンを選択する第3の工程が、
連続した計器の第1の質量アナライザー内で実施される。ついで選択されたイオ
ンが、分離衝突セル内に導かれ、そこで上記第4の工程にしたがって気体または
固体表面で衝突する。ついで衝突生成物は、連続機器のさらなる質量アナライザ
ー内に導かれ、上記第5の工程にしたがって、衝突生成物を検出する。典型的な
連続機器には、三重四極子質量分析計、タンデムセクター計器、および四極子飛
行時間質量分析計が含まれる。
【0110】 他の好ましい態様では、所定の質量対電荷比のイオンを選択する上記第3の工
程、気体によって選択したイオンを衝突させる第4の工程、および衝突生成物を
検出する第5の工程は、質量分析計の同一のゾーンにて実施される。
【0111】 このことは、たとえば、イオン捕獲質量アナライザーおよびホリアー・トラン
スフォーム・イオン・サイクロトロンレゾナンス(Fourier Trans
form Ion Cyclotron Resonance)質量分析計にお
いて実施され得る。
【0112】 (タンデム質量分析計) 感受性が若干損なわれるという犠牲をはらっても、本発明の質量ラベルを検出
するために、タンデム質量分析計(MS/MS)の使用により、選択性という大
きな見返りを得ることができる。本発明の説明の目的のために、タンデム質量分
析計に関していくつかの議論を、本明細書で提供し、三重四極子質量分析計と比
較して例示する。三重四極子は、MS/MSの原理の簡単な例示を可能にする。
【0113】 四極質量分析計は、本質的に、特定の質量対電荷比のイオンのみを通過させる
ように、任意の時点で設定可能である質量フィルターである。四極子には、チャ
ンネルを形成する4つの平行ロッド成型電極が含まれる。正弦電流周波数電位に
よって重ねられた直流電圧をロッド電極に印加する。平行ロッドによって形成さ
れたチャンネル内へのイオン流入が、複雑な軌道に続き、特定のDC電位および
比周波数電位に対して、所定の質量対電荷比のイオンのみが、それらをチャンネ
ルを通して導く安定軌道を有する可能性がある。印加電圧を変更することによっ
て、四極は、約4000までの電荷比の質量の全範囲を 通してスキャンするこ
とを可能にする。
【0114】 三重四極(Q)レイアウトを図1に示す。3つの分離した四極子質量アナライ
ザーが連続して連結されている。第1の四極子は、以下、Q1と表わし、同様に
第2の四極子をQ2、第3の四極子をQ3と表わす。四極子Q1およびQ3は典
型的にスキャニングモードにて使用する。スキャンの速度は超高速である。ある
いは、Q1またはQ3は、「ゲート(gate)」として使用でき、選択したイ
オンのみを通す。四極子Q2は、非スキャニングモードにて使用し、そこでQ2
はイオンフォーカシング計器として働く。すべてのイオンが、高吸引時に、Q2
を通過する。気体がQ2内に導入された場合に、流入するイオンが気体と衝突し
、イオンの多くが、断片化するために十分なエネルギーを得る。これが「衝突誘
導解離(Collision Induced Dissociation;C
ID)」である。
【0115】 三重四極子のある特定の使用を考える。イオンがイオン供給源(A+、B+、C+ 、D+など)で生成されると仮定する。これらのイオンの多くをQ1を通過させ
、Q2およびQ3がスキャニングモードで働いている場合に、完全な質量スペク
トルが生成される(図11−質量スペクトル1)。質量スペクトル1は、分子イ
オンA+からD+まで、および分類されたフラグメントイオンを含むスペクトル
を示している。
【0116】 ここで、Q1がA+イオンのみを通過させ、Q2が低圧であるように設定する
ことを仮定する。A+イオンはQ2およびQ3を通過し、検出される(図12−
質量スペクトル2)。ここで新規の質量スペクトルでは、Q1によって除去され
た他のイオン(B+、C+など)が「除去される(cleaned)」。対象の分
析物の特定のイオン種に相当する限定された質量系列にわたってスキャンするよ
うにQ1を設定することによって、質量分析計内に導入した同一の試料から、多
重分析物が検出され得る。これは「選択的イオンモニタリング(Selecti
ve Ion Monitaring)」と呼ぶ。
【0117】 三重四極子は、さらなる選択性を得るために使用することができる。A+イオ
ンをいくつかの供給源から得るようにすることが可能である(たとえば、いくつ
ものイオンが、同一の質量対電荷比100を有することができるが、またC71 6 、C612O、C58Oなどのような異なる組成を有することができる)。2つ
のA+イオンの組成(A1 +、A2 +)が存在し、両方とも同一の名目上の質量を有
していると仮定する(図13および14−質量スペクトル3および4)。A+
オンがQ1にて選択され、CIDがQ2で実施される場合、Q3のスキャンによ
り、図15−質量スペクトル5で示されたスペクトルがえられる。これは「混合
(mixed)」スペクトルである。
【0118】 P+、Q+(またはただ単にP+)が、A1 +が存在することを明らかにし得るこ
とが公知であると仮定する。すなわちフラグメンテーション(反応)A1 +→P+
+Q+が起こることが知られているとする。Q3でのすべてのイオンをスキャン
する代わりに、P+イオンのみを検出するように設定する。したがって、イオン
供給源を取り去った後、イオンA++….が、Q2に進入するA+(=A1 +、A2 + )イオンのみに減少する。
【0119】 CIDの後、フラグメントイオンP+のみが選択され、これらはただ単にA1 +
のみの特徴である。
【0120】 このことは高い選択性である、「単一または選択性反応モニタリング(Sin
gle or Selective Reaction Monitoring
)」であるといわれる。より一般的にいうと、Q1進入イオンの全スペクトル(
図11−質量スペクトル1)が、Q3においてP+まで減少し(図16−質量ス
ペクトル6)、これらのイオンはただA1 +に関連することが知られている。
【0121】 いくつかの確認議論において、本例は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチ
ドを同定するための、本発明の質量ラベルの使用を言及している。本発明のラベ
ルは、タンパク質またはペプチドまたは他の分析物と共に使用することができ、
オリゴヌクレオチドは例示の目的にて言及されることが等しく可能である。オリ
ゴヌクレオチドを分析するために、質量ラベルは、開裂可能リンカーを介して、
共有結合的にオリゴヌクレオチドに結合すると推定される。リンカーは、温度開
裂、化学的開裂、コーン電圧開裂または光開裂を含む、種々の機構によって開裂
可能であり得る。質量ラベルの挙動に関する以下の議論において、ラベルがイオ
ン化する間またはイオン化の前に、その連結された核酸より開裂されると仮定す
る。好ましい開裂可能リンカーおよびその使用の方法は英国特許出願第GB 9
815163.2号および第GB 9815164.0にて開示されている。好
ましい開裂工程は、図20に略図的に示されている。
【0122】 本発明の第1の態様にしたがって、選択反応モニタリング(Selected
Reaction Monitoring(SRM))にカップリングした選
択イオンモニタリング(Selected Ion Monitoring(S
IM))の原理を、二次元検出工程を与える質量マーク技術に適用可能である。
1 +が質量ラベルからのイオンであり、したがって、たとえ多くのイオンが、イ
オン化工程で生成されようとも、公知の組成およびフラグメンテーションパター
ンからのイオンである場合、質量ラベルは、三重四極子の第1の四極子において
+イオンにゲートをかけ、A1 +フラグメンテーション産物を検出することによ
って他のイオンからの干渉なしで同定することが可能である。すなわち3つの四
極子のうちの第3の四極子において、P+のみにゲートをかけることによって、
他のイオンの干渉をなくすことができる。どのM/Z範囲を調べたかは問題では
なく、質量スペクトル中の「きれいな(clean)」窓を探す必要はもはやな
い。
【0123】 以上で言及したように、本発明の1つの態様は、式M−L−Xによって略図的
に表わすことが可能な質量ラベルを提供する。例として、A1 +は以下に示すラベ
ルであり得る。
【0124】
【化16】
【0125】 式中、Mはベンジル基、Lはアミド結合、およびXはピリジニル基である。ベン
ジル環をピリジル環に連結しているアミド結合は、とりわけ衝突による開裂を受
けやすい。したがって、衝突に際して、A1 +は以下のフラグメントイオンを生成
し、これはP+を表わす。
【0126】
【化17】
【0127】 したがって、P+の検出は、A1 +が存在し、ラベルの1つが存在することを意味
している。ラベルは、すべての他のイオンから選択的に同定され、このことは、
効果的に「バックグラウンド(background)」汚染を減少させる。こ
のことは、ラベルに関連ある分析物は、完全に精製される必要がなく、ラベルは
開裂し、質量解析器の外側で分析物から分離される必要がないことを意味する。
この原理は、質量ラベルとしての使用のための有用な種類の化合物を提供するた
めに一般化することができ、そのすべては、一般構造式M−L−Xをもち、Mは
、アミド結合のような、きれやすい結合Lを介してXに連結し、XはSRMに
よって検出されるイオンである。したがって、Xは上記で示され、P+として表
される開裂産物と同類である。
【0128】 本発明の1つの態様によれば、以上で例示した質量ラベル構造は、すべてが同
一の質量をもつが、簡単にSRMによって分解される質量ラベルの有用なセット
を提供するために一般化できる。M0、M1….M4およびX0、X1….X4がM−L
−Xの半分の同位体形態であり、式中LはMおよびXに連結しているアミド結合
であるとする。この例は再び使用できる。この構造がフッ素原子で置換される場
合、図2で示した構成物が生成され得る。これらのラベル構成物は、以下のよう
な質量ラベルMX(この時点では開裂可能な結合Lは無視する)を形成するよう
に連結することが可能である。
【0129】
【化18】
【0130】 これらの5つの基質は、実際に同一の質量を有している(図3)。したがって
、もし質量ラベルが三重四極子Q1において選択された場合に、質量=Mmn
m=0〜4、n=4〜0)のイオンのみが選択され得る。Q1はMXイオンのみ
を「探す(Look)」ために設計することができる。CIDがQ2において実
施される場合、Q3を、図21にて示したように、イオンX0、X1、X2、X3
よびX4のみを通過させるように設定できる。
【0131】 したがって、すべて同一の質量において、Q1において選択された5つの質量
ラベルが存在し、以下で示した開裂反応がQ3において同定される。質量139
がQ3で検出された場合、それはM31からのものに違いなく、他も同様である
【0132】
【化19】
【0133】 本方法の選別過程は、図17の質量スペクトル7で示した二次元質量スペクト
ルとして視覚化されることができる。
【0134】 他のアプローチにおいて、異なるセットの質量ラベルが合成可能である。この
モードの解析において、SRMが「選別イオンモニタリング(Selected
Ion Monitoring(SIM))と組み合わされる。解析のSIMモ
ードにおいて、第1の四極(Q1)が選択的に、所定の質量を有するイオンのみ
をゲートを通して、所定の質量をスキャンする。
【0135】 図2および図3からのM0、M1、M2、M3、M4およびX0を再び考えると、こ
れらのラベル構成物は、異なる質量を有する5つのラベル、M00、M10、M20、M30、M40を与えるように連結可能である。ここで、三重四極子のQ
1が、これらの5つの質量を選別するように設定すると仮定すると、Q3が図4
でのように、1つの質量(X0)を検出するようにのみ設定する必要がある。
【0136】 したがって、質量分析計は、1つの固定イオン(X0)のみを同定する。X0
00、M10、M20、M30、M40のみから由来しこれらはQ1で選別さ
れた時に明らかであり、このことは、質量マーキングの他のモードを提供する。
5つの異なる分析物は、ここで、5つの特定の「単一反応(single re
actions)」の1つによって同定可能である。
【0137】
【化20】
【0138】 これにより、図18の質量スペクトル8で示されるような、異なる二次元質量
スペクトルが得られる。
【0139】 以上の2つのアプローチを組み合わせることが可能である。M0、M1、M2
3を、ジヌクレオチドの第1の塩基を表わすように選ぶ。第2の塩基を、X0
1、X2、X3によって特性化し、以下の表3で示したような16の異なる質量
ラベルをえる。
【0140】
【表3】
【0141】 それぞれの質量ラベルは、タンデム計器の第1の質量アナライザー中で選択可
能である7つの異なる質量のうちの1つを有することができる。第2の質量アナ
ライザー内で同定された衝突生成物は、ダイマーを同定する。したがって8つの
質量ラベル構成要素によって、16個の質量ラベルを生成することが可能である
。すべてのこれらのラベルに対する全質量2次元質量スペクトルを、図19の質
量スペクトル9にて示している。同様に、256個の質量ラベルが必要な場合、
2組の16構成物、すなわちM0−M15およびX0−X15が十分なラベルを生成し
、それぞれのラベルは31個の異なった質量のうちの1つを有する。
【0142】 本発明の他の態様によれば、質量系列修飾基を用いて、質量ラベルのセットの
アレイを作製することも可能である。本発明のこの態様によれば、前記セット内
のそれぞれのラベルは同一の質量を有するがSRMによって分解可能であるよう
なラベルのセットは、前記セット内のそれぞれの構成物を、質量系列修飾基に連
結することによって、ラベルの更なるセットにまで広げることができる。ここで
、所定量によって前記セット内のそれぞれの構成要素の質量を移動させ、これに
より、最初のセットとは異なる総質量を有する第2のラベルのセットを作製する
。したがって、質量ラベルのイオンの2つの異なるセットを、質量アナライザー
の第1の四極子中でのSIMによってゲートにかけ、ついで衝突生成物を、ラベ
ルの両方のセットに対して同一のフラグメント種をモニタすることによって、第
3の四極子において解析する。質量分析計内で十分に解析可能であるほどの多く
の異なるセットのラベルは、異なる質量系列修飾基を用いることによって作成す
ることが可能である。
【0143】 質量系列修飾基(S)は、ラベルセットの各構成要素に連結した場合に、それ
ぞれのS基が、そのようなラベルのアレイ中の他のすべてのものから完全に分解
可能である新規のラベルを作り出すように、フラグメンテーション抵抗性基であ
ることが好ましい。本明細書において、分解可能とは、アレイ中のラベルセット
それぞれが、少なくともおよそ4ダルトン分だけ、他のすべてのセットから好ま
しく分離されることを意味する。このことは、質量スペクトルにおいて、1つの
ラベルからの同位体ピークが、他のラベルのピークと重なり合わないことを保証
する。本発明のこの態様の好ましいし実施様態において、S基はアリール基、シ
クロアルキル基および複素環のような飽和または不飽和環状基であり、好ましく
はエーテル結合によって、SRM分解可能な質量マーキング基の構成要素に連結
する。アレイ中のそれぞれのセットは同一のS基を持ってよいが、異なるレベル
の置換であって、それぞれのセットが他のすべてのセットから区別されることを
保証している。そのようなラベルのアレイの例は、図6に示している。このアレ
イにおいて、F原子が置換基(調節部分)として使用されるが、メチル基のよう
な他の置換基も使用できた。そのようなラベルのアレイは、任意の連結されてい
る分析物分子の移動度に対して、まさに類似の効果を有する可能性があることを
明らかにすべきである。
【0144】 ラベルのさらなるセットを、メチル置換フェニル基、およびまたメチルとフル
オロ基の両方によって置換されたフェニル基を用いて、そのようなアレイに加え
ることができる。メチル基の質量は、フルオロ基の質量から、たった4ダルトン
未満異なっているだけであり、そのためラベルの有意義なアレイを、連結した分
析物の移動度における効果が最小であるように生成できる。
【0145】 本発明のこの態様の他の好ましい実施様態において、S基は、アリール基、シ
クロアルキル基および複素環のような環状基のオリゴマーまたはポリマーであり
、また置換されていてよい。とりわけ、好ましいS基はポリアリールエーテルで
ある。そのようなアレイの例は図7に示している。
【0146】 本発明のさらなる態様にしたがって、以上で記述した原理は、さらに、本発明
の質量ラベルの異なる組合せを用いて、分析物を標識することによって、実施可
能である。以上で言及したように、本実施様態は、混合モード標識と呼ばれる。
【0147】 たとえばコンビナトリアル・ケミストリーにおいてのように、大量の独立した
分析物を同定しなければならない場合、ラベルの混合物、たとえばM03、M1
2、M21、M30などが選択される。
【0148】 それぞれのラベルが特定量で存在するように、ラベル混合物が分析物に結合す
る。たとえば、aM03+bM12+cM21+dM30であり、式中a=b=
c=d=1である(図5)。4つの質量ラベルの等しい部分(a=b=c=d=0
.25)が同一の反応中で分析物にカップリングされる場合、化学的連結反応は
これらの間で識別できない。オリゴヌクレオチドが標識されている場合、そのオ
リゴはヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドあたり1つ以上のマスラベルでマ
ークされている。
【0149】 以下表4で示された型の3つの質量ラベルを考慮すること。
【0150】
【表4】
【0151】 式中「*」は、表示した位置において2Hまたは13Cアイソトープを現し得る。異
なる置換基、たとえばフッ素またはメチル基を使用することが可能であることを
明らかにすべきである。
【0152】 1つの混合モードは、図8で示したようなものである。8つの異なるパターン
が、分析物分子にカップリングされたこれから先におこる混合物中での異なるラ
ベルの有無の組合せによって作製され得る。
【0153】 下記表5で示したように、ラベルが分析物にカップリングされたときで、5つ
のラベルそれぞれの比が変化する場合に、異なる種類のパターンが考慮される。
【0154】
【表5】
【0155】 3つの異なる比、すなわち、0、1または2で存在可能であるような、4つの
質量ラベルP、Q、RおよびSを用いると、それぞれのラベルに対して3つの異
なる存在が効果的にあり、このことは、生成される81の異なる質量スペクトル
パターンが可能であることを意味する。また、これらのラベルの1つが、他の構
成物に対するその比が一定(T)のままであるように存在することが好ましく、
質量解析器データシステムが、それに対してP、Q、RおよびSの相対比を比較
できるような内部ラベルとして働くことが好ましい。このことは、5つのラベル
の混合物を用いることで、3マー(3mer)オリゴヌクレオチドにおける天然
のヌクレオチドの全64の組合せを同定することが可能であることを意味する。
【0156】 以上の例において、P、Q、R、SおよびTは、図3で示した型式のラベルで
あり得、したがって5つのラベルは同一の質量を有し、たとえば三重四極子から
なる第1の四極子またはQ−TOF計器におけるバックグラウンド汚染からゲー
トをかけることが可能である。フラグメンテーションパターンが、三重四極子の
第2の四極子中のバス気体との衝突の結果として形成され、第3の四極子での検
出は図9に示されている。
【0157】 本発明の原理が拡張可能であることは明らかである。本発明のいくつかの態様
において、以上の戦略を用いて256個の可能な4マー(4mer)を標識する
ことが望ましい。以上で示した可能な比の組合せすべてで混合可能である7つの
異なるラベルを作製することが必要である。あるいは、ラベルが図6または7で
示した型式のものである場合、以上の例で示した種類の81のコードの4つのセ
ットを、図6で示したような5つのラベルの異なるセットを作製するために、4
つの異なる質量系列修飾基を用いて作成することができる。このことは、可能な
256の4マー(4mer)すべてをコードするのに十分なラベルを生成する。
【0158】 本発明のこの態様の原理は、さらに拡張可能である。天然のヌクレオチドの2
56の可能な組合せすべてを含んでいるDNA4マー(4mer)のライブラリ
ーを考慮する。前記群中のそれぞれの4マー(4mer)は、1〜256の番号
で表記可能である。すなわちAAAAは1であり、AAACは2であり、TTT
Tは256である。
【0159】 番号1〜256は、たとえば数字が、コンピュータのメモリレジスタにおいて
表示可能である方法で、2進法で表すことができる。レジスタにおいて、28
7、26、25、24、23、22、21および20の番号をあらわすスイッチ系列が
存在する。1〜256までの数字の任意のものを表すために、以下の表6で示す
ように、二進法の合計が本来の十進法の数を表すように、スイッチをオンおよび
オフにする。
【0160】
【表6】
【0161】 これらの数字のアナログ表示は、レジスター内のそれぞれのスイッチが、特定
の分子の存在または不在によって表される場合、質量ラベル分子によって成し遂
げられ得る。したがって、4マー(4mer)を同定するために、その4マー(
4mer)を同定する数字をあらわすラベルの混合物によって4マー(4mer
)をラベルできる。たとえば、AACGが数字7で表される場合、22をあらわ
す分子と、21および20をあらわす分子との混合物を用いて4マー(4mer)
を標識することによって、当該4マー(4mer)を同定できる。
【0162】 事実上、これらの分子は、異なる数の特定の置換基またはアイソトープ、たと
えばフッ素原子または異なる重水素アイソトープのような、異なる数の質量調節
部分によって置換されたコア分子に基づく分子のシリーズとしてあらわすことが
できる。したがって、20はフッ素置換のないコア分子をあらわし、21は1つの
フッ素置換基を有するコア分子を表し、同様に28は、8つのフッ素置換基を有
するコア分子をあらわすことができる。これらの分子が質量分析計によって分析
されるとき、これらの分子は、タンデム計器において解析できる9つの等圧タグ
をあたえるように、相補的な成分と組み合わせることが可能である。
【0163】 したがって、4マー(4mer)AACGの場合、このオリゴは、以上で示し
たラベルからのラベル0、1および2を用いて標識することが可能である。明ら
かに、すべての他の可能性のある4マー(4mer)を、この二進法様式にて表
すことができ、図10で示したようにそれらを同定するためにただ8つの基礎ラ
ベルが必要なだけである。
【0164】 (SRMを用いたDNAの配列決定) サンガー配列決定ラダーズ(Sanger Sequencing Ladd
ers)の分析は、以上で議論した型式の質量ラベルを用いて効果的に達成され
得る。サンガー法にしたがった従来のDNA配列決定は、DNAポリメラーゼを
用いて、オリゴヌクレオチドプライマーに多くのジオキシ/デオキシヌクレオチ
ドを添加し、鋳型特異的様式で、一本鎖DNAを鋳型としてアニールする。末端
ヌクレオチド、すなわちジデオキシヌクレオチドが相補的鋳型に組み込まれたと
きに、本工程のランダム末端化が起こる。
【0165】 ランダムに末端化された鎖が変性ポリアクリルアミドゲル上またはキャピラリ
ー内で分離される時に、「DNAラダー(DNA ladder)」が生成され
る。配列情報は、一般的に、長さによって末端化断片を分離するために、ポリア
クリルアミドゲル電気泳動を用い、続いて「DNAラダー」を検出することによ
って集められる。パーキンエルマー(Perkin Elmer)からのABI
377、またはモレキュラー ダイナミクス(Molecular Dinam
ics)からのMegaBACEのような、従来の半自動化および自動化DNA
シークエンサーにおいては、蛍光ラベルF1、F2、F3、F4を使用して、反応系
に用いられる末端化ヌクレオチドまたはプライマーのいずれか一方に、その蛍光
ラベルを組み込むことを介して、4つの末端塩基A、C、G、Tを同定する。つ
いでこのラダーを、ゲルまたはキャピラリーをスキャンする検出器を通過した4
つの色素を検索することによって読みとる。他の蛍光検出形態も可能である。
【0166】 (単一鋳型の配列決定) 質量分析方法では、蛍光ラベルが、質量ラベルに変換される(たとえば、図3
で示したM04、M13、M22、M31、M40)。アデニンに対するジデオ
キシ末端はここでM13によって標識される。同様に、シトシンに対するジデオ
キシ末端はここでM22によって標識され、グアノシンに対する末端はM31
よって標識され、そしてチミジンに対する末端はM40で標識される。キャピラ
リーからバンドが溶出されるときに、これらは、本発明の態様によれば、質量で
マークされた核酸を解析する三重の四極子のような好適なタンデム質量解析器の
イオン供給源に、一列に噴霧される。典型的に、イオン供給源に置いて、ラベル
が、ラダー中のそれぞれの断片の末端塩基より開裂され、第1の質量解析器、三
重四極子のQ1に入る。Q1はMXの分子イオンのみをゲートにかけるように設
定され、一方でQ3はX0−X4のラベルを検出するように設定される。質量の1
つであるX4が、内部標準として使用されるべきであり、つまり常に存在し、X0 、X1、X2およびX3はX4に関して試験されることが望ましい。
【0167】 他のアプローチにおいては、4つの末端ヌクレオチドを、図4で示した4つの
ラベルにて標識することが可能であり、アデニンに対するジオキシ末端はM10 で標識される。同様に、シトシンに対するジオキシ末端はここでM20で標識さ
れ、グアノシンに対する末端はM30で標識され、チミジンに対する末端はM4
0で標識される。ラベルM00は、望むのならば内部標準として使用すること
ができる。この実施様態において、三重四極子のQ1はラベルM40からM00 までの分子イオンをゲートにかけるように設定され、一方でQ3はラベルX0
検索するように設定される。
【0168】 ヌクレオチド末端を標識した配列決定に加えて、プライマーを標識した配列決
定も実施可能である。本発明の質量ラベルを利用可能である、プライマーを標識
した配列決定の詳細は、PCT/GB98/02048号にて提供されている。
【0169】 (質量ラベルを用いた鋳型の多重配列決定) 本発明の質量ラベルは、4つ以上のラベルを展開できるので、1つ以上の鋳型
を同時に解析可能にする。このことは、もともとサンガーによって考案された方
法に基づき、以上で記述した方法論にしたがって、多重鋳型の解析を可能にする
ように、4つのラベルの多重セットを作製できることを意味する。本発明の質量
ラベルを利用することができる核酸を鋳型とする多重化シークエンスに関わる詳
細は、PCT/GB98/02048号で提供されている。
【0170】 図6または図7で示した形態の質量ラベルが、多重DNA配列の解析を多重化
するために使用することができる。質量系列修飾基の区別によって、他のすべて
のセットから質量分析計内で分解可能である、5のラベルのそれぞれのセットを
、もし望むのならば、大きさ/量標準としての使用のために残しておくスペアラ
ベルとともに、単一の鋳型を同定するのに使用できる。しかしながら、4つのラ
ベルのセットが配列決定には十分であり、サイズ標準は必要ない。したがって、
たとえば、5つの鋳型のサンガー反応産物を同時に解析するために、図6で示し
た20のラベルのアレイを使用することが可能である。
【0171】 (遺伝子発現プロフィル分析) ポリアデニル化メッセンジャーRNAから由来した相補的DNAの集団を解析
する種々の方法が発展してきた。これらの多くの方法は、増幅したcDNAライ
ブラリーの電気泳動的分離による、異なる大きさの増幅または制限産物の検出に
基づいている。一般的に、これらの技術は、ポリアデニル化メッセンジャーRN
Aから由来した相補的DNA(cDNA)の構成要素からの固有の制限断片また
は増幅産物を合成することに基づいている。
【0172】 ディファレンシャルディスプレイ(Laing and Pardee,Sc
ience 257、967−971,1992)は、電気泳動を基にした遺伝
子発現プロフィル分析の古典的な方法である。本技術の概念の発展が、結果とし
て、本技術の改良後継法を導いた。Shibson(PCT/GB93/014
5号)またはKato(欧州特許第EP0 735 144 A1号)のような
、IIS型またはIP型制限エンドヌクレアーゼを用いた「分子指標付け(mo
lecular indexing)」に基づいた発現プロフィル分析方法が、
後継の1つの種類の例である。とりわけWO98/48047号は、キャピラリ
ー電気泳動質量分析計(CEMS)に基づいた分子指標付け方法を開示している
【0173】 この方法において、cDNAが、固定された、ビオチン化ポリチミジンプライ
マーを用いて合成され、これはすべてのcDNAが固定長の短いポリAテールで
末端化されることを保証する。「固定されたプライマー(anchored p
rimer)」cDNA分離において、ポリ−Aを有するmRNAが捕獲され、
ポリA区域の末端にてプライマーを固定化するために、3’末端にて3つの残っ
た塩基の1つにて、約18のデオキシチミジン残基のオリゴヌクレオチドを用い
てプライム化する。プライマーのビオチン化によって、cDNAをアビジン化固
相支持体上に固定化できる。これらの捕獲されたcDNAは、通常II型制限エ
ンドヌクレアーゼで切断され得る。これによって、他の断片が洗い流される一方
で、3’末端制限断片が、固相支持体上に残る。アダプターを、得られた公知の
粘着末端に連結する。このアダプターは、IIS型タイプの制限エンドヌクレア
ーゼのための結合部位に、運ばれるようにデザインされている。これらの酵素は
、その標的配列に結合するが、結合部位から離れた定義された数の塩基の場所で
、存在しているDNAを切断する。これらの酵素のうちのあるものは、付着切断
を生成する。たとえば、fok1は、およそ4bpの粘着末端を生成する。cD
NAの集団を、そのような酵素で処理した場合、粘着末端は、その集団中のそれ
ぞれのcDNAのアダプタがつけられた末端部分に曝露される。アダプタ分子の
ファミリーが、そのような4つの曝露された塩基をプローブ化するのに使用され
る。4bpのあいまいな粘着末端を用いると、256個の可能性ある候補が存在
する。プローブを同定するために、開裂可能リンカーを用いて質量ラベルにてタ
グ付けし、固有の質量ラベルが、256個の可能性のある4bpアダプタのそれ
ぞれを同定する。この結果、もともとのII型制限エンドヌクレアーゼが切断し
た場所にしたがった種々の長さを有し、且つcDNAの5’末端での256の可
能な質量ラベルで標識したアダプタの1つを有する断片の集団ができる。
【0174】 ついで質量ラベルで標識した3’制限断片を、キャピラリー電気泳動を用いて
、その長さに基づいて分離し、続いて、cDNA断片の末端に連結した質量ラベ
ルの解析を行う。CEカラムを、電子噴霧質量分析計、または等価の質量分析計
内に直接挿入する。質量分析計内でのイオン化の際に、ラベルが連結された制限
断片より開裂する。キャピラリー電気泳動カラムより溶出される、異なる制限断
片長に相当する、それぞれのバンド内に存在するそれぞれの質量ラベルの量を測
定する。この工程により、データベースを検索するのに使用可能なそれぞれのc
DNAのサインがえられる。
【0175】 本技術は、好ましくは256の質量ラベルを使用する。質量ラベルに対する従
来のアプローチを用いることで、結果として、約4ダルトンで分離され、100
0ダルトン以上の質量範囲に広がる、質量タグのアレイができる。そのようなラ
ベルのアレイは、すべてのタグが、連結されたcDNA制限断片の移動度に対す
る同一の効果を有するところで合成できるという見込みはない。このことは、複
合補正アルゴリズムが、移動度の違いに対して計算をし、断片長の正確な決定を
許容するために使用されなければならないことを意味している。しかしながら、
本発明の質量マーカーおよび連結された質量ラベルは、連結された分析物分子の
移動度に対する効果が同一である質量マーカーのアレイを生成し、高い感受性、
およびノイズ比に対する優れたシグナルを伴って、断片長の直接の決定を可能に
することに関して、上記方法において著しく好適である。
【0176】 電気泳動技術の第2の種類は、通常のII型制限エンドヌクレアーゼに依存し
ており、cDNA制限断片内に、プライマー配列を導入するために使用する。標
識したプライマーを用いてのPCR増幅により、異なった制限断片を生成するこ
とにより、その関連したmRNAを同定するために使用することができる。その
ような方法には、選択的な増幅および3’末端cDNA断片の標識を可能にする
、制限エンドヌクレアーゼで消化させたcDNA断片内へアダプターを導入する
方法を開示している米国特許第5,712,126号で記述されているものが含
まれる。同様に、WO 99/02727号は、固相支持体および公知の制限部
位に隣接する未知の配列をプローブするPCRプライマーを用いた、3’末端制
限断片を増幅する方法を開示している。本技術において、cDNAは、すべての
cDNAが、固定された長さの短いポリ−Aテールで末端化され、固相基質上で
固定化可能であることを保証するビオチン化固定プライマーを用いて調製される
。ポリ−Tプライマーはさらに、その5‘末端にてプライマー配列を付加的に有
することができる。捕獲されたcDNAは、ついで通常のII型制限エンドヌク
レアーゼで切断される。アダプターを得られた公知の粘着末端に連結する。この
アダプターは、プライマー配列を有するようにデザインされている。得られる2
本鎖構成を、次に変性させる。固定化されなかった鎖は、必要であれば、洗い流
すことが可能である。アダプタープライマーに隣接する未知の配列内に4塩基の
重なりを有するアダプタープライマーに相補的なプライマーのファミリーを、変
性した混合物内に加える。4塩基のかさなりによって256個の可能なプライマ
ーが存在する。プローブを同定するために、開裂可能なリンカーを用いて質量ラ
ベルでタグづけし、それぞれの256個の可能な4bpのかさなりは、質量分析
計内で同定可能な固有性を有するラベルによって同定する。この結果、通常のI
I型制限酵素が切断する場所にしたがった種々の長さ、およびcDNAの5’末
端での256の可能な質量ラベルで標識したプライマーのうちの1つをもつ断片
の集団ができる。変性およびプライマー伸長のサイクルは望むだけ多くの回数実
施できる。アダプタープライマー部位のみを使用する場合、直線的増幅が達成さ
れる。このことにより、指数関数的増幅よりも、cDNA定量のゆがみがより小
さくなる。指数関数的増幅が望まれる場合、mRNAを捕獲するために使用する
ポリ−Tオリゴは、同様にプライマー部位を持たなければならない。
【0177】 指数関数的増幅は、cDNA頻度のゆらぎの可能性にもかかわらず、小さな組
織試料を解析しなければならない場合に望まれる可能性がある。
【0178】 ここでまた、質量ラベルで標識した3’制限断片を、キャピラリー電気泳動を
用いて、制限断片の長さに基づいて分離し、続いて、cDNA断片の末端での質
量ラベルを解析する。この技術は、WO98/48047号にて開示されたもの
のように、256の質量ラベルで好ましく実施され、したがって、本発明の質量
ラベルの有益な特徴と同様に、有用であろう。
【0179】 したがって、本発明のさらなる態様では、以下の工程を含む解析の方法が提供
される。 1.異なる長さを有する、質量ラベルで標識されたヌクレオチド断片の集団を提
供する工程、ここで、質量ラベルは標識した核酸の特徴を示す、 2.断片のサイズに基づいて、前記標識した断片を分離する工程、 3.前記標識した断片より質量ラベルを脱着する工程、 4.質量分析計内で前記質量ラベルを検出する工程 本発明のこの態様のある実施様態において、アッセイにより、核酸または核酸
の系列の配列を決定する。サンガーラダーの合成に基づいた配列決定の実施様態
において、質量ラベルは、それぞれの断片の末端ヌクレオチドを同定し、それぞ
れの断片は、4つのラベルのセットによって同定される。サンガーシークエンシ
ング実施様態において、ラベルは、質量ラベルで標識したプライマーまたは標識
した末端ヌクレオチドとして導入される。
【0180】 本発明のこの態様の他の実施様態において、アッセイは、発現したRNA分子
のアイデンティティおよび量を決定するために使用する。好ましい実施様態にお
いて、質量標識核酸は、WO98/48047号または第WO99/02727
号で開示された方法に従って作製する。これらの方法を用いた実施様態において
、それぞれ質量ラベル化アダプターの連結によって、または質量ラベル化プライ
マーの伸長によって、質量ラベルを核酸断片内に導入する。当業者に対して、P
CT/GB93/0145号、欧州特許第EP−A−0 735 144号また
は米国特許第US 5,712,126号で開示されたもののような、核酸断片
の大きさに依存した遺伝子発現プロフィル分析の他の方法が、本発明のラベルと
一緒の使用に適応可能であることが明らかであろう。
【0181】 本発明の好ましい実施様態において、サイズに基づく分析物の分離の工程は、
たとえば、トランスジェノミック社(Transgenomic、San Jo
se、California、USA)によって提供されたようなシステム、お
よび米国特許第5,585,236号、米国特許第5,772,889号および
他の明細書にて開示されたシステムを用いて、キャピラリー電気泳動または高性
能液体クロマトグラフィーを用いて実施される。好ましくは、分離は質量分析計
とオンラインで実施される。
【0182】 好ましい実施様態において、その関連した分析物から、質量ラベルを遊離する
工程は、質量分析計のイオン供給源内で実施される。質量ラベルが、質量分析計
イオン供給源内で、その関連した分析物より簡単に開裂されるようにするリンカ
ーは、PCT/GB98/00127号にて開示されている。質量分析計による
質量ラベルの検出の感度を改善する化合物は、PCT/GB98/00127号
にて開示されている。
【0183】 当業者に対して、たとえば、Nucleic Acids Research
1994年10月25日;22(21):4527−34頁にてGrossm
an P.D.らによって開示された多重化遺伝子型決定アッセイを含む、他の
サイジングアッセイが、本発明の質量ラベルと一緒の使用に適合可能であること
が明らかであろう。本アッセイは、より高いオーダーまで多重化する能力より大
きな利益をえ、簡単に断片の大きさを決定する。
【0184】 (タンパク質発現プロフィル分析および2次元ゲル電気泳動) タンパク質をプロフィル分析するための技術、言い換えれば、組織内に発現し
ているすべてのタンパク質のアイデンティティおよび量の一覧を作製することは
、自動化またはスループットに関して、よく発展してはいない。タンパク質の集
団をプロフィル分析する古典的な方法は、二次元電気泳動によるものである(R
.A.Van Bogelen.,E.R.Olson,「生化学における二次
元タンパク質ゲルの適用(Application of two−dimen
sional protein gel in biotechnology)
」、Biotechnol.Ann.Rev.,1;69−103頁、1995
年)。本方法において、生物学的試料から抽出されたタンパク質試料は、狭いゲ
ルストリップ上で分離される。この第1の分離は、通常その等電点に基づいてタ
ンパク質を分離する。ついで全ゲルストリップを、ポリアクリルアミドゲルのよ
うな、長方形ゲルの一端に対して重ねる。次いでストリップ中の分離されたタン
パク質を、たとえばドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(
SDS PAGE)によって、その大きさに基づいて、第2のゲル内で電気泳動
的に分離する。本方法論は、遅く、自動化することが極めて困難である。そのも
っとも簡単な具体化においてもまた、相対的に意味がない。いったん分離が完了
したならば、タンパク質は視覚化しなければならない。これには、典型的に、視
覚的に、または蛍光によって検出されうる薬剤によるゲルの染色が含まれる。放
射ラベルおよびオートラジオグラフィーもまた、使用される。他の方法において
は、蛍光色素を分離の前に、試料中のタンパク質に共有結合させる。色素の共有
結合による付加は、タンパク質の移動度を変化させるため、しばしば好まれず、
とりわけ二次元ゲルイメージの公的データベースとの間での比較を行う場合に、
好まれない。ゲル中でタンパク質を視覚化すること、通常、ゲル上の特定のスポ
ットにおいてタンパク質を同定することが必要である。このことは、一般的に、
ゲル外にスポットを切り出し、ゲルマトリックスよりタンパク質を抽出すること
によって実施される。ついで抽出したタンパク質は、さまざまな技術によって同
定できる。好ましい技術には、タンパク質の消化、続いてマイクロシークエンシ
ングが含まれる。多くの改善により、2Dゲル電気泳動によるタンパク質の分解
が増加し、本システムの感受性が改善されてきた。2Dゲル電気泳動の感度およ
びその分離を改善するための1つの方法は、質量分析法によってゲル上の特定の
スポットでタンパク質を解析することである(Jungblut P.,Thi
ede B.「MALDI質量分析法による二次元ゲルからのタンパク質の同定
」、Mass Spectrom.Rev.16,145−162頁、1997
年)。1つのそのような方法は、ペプチド質量フィンガープリントを作製するた
めの、ゲル内(in−gel)トリプシン消化と、それに続く、質量分析計によ
るトリプシン断片の解析である。配列情報が必要な場合、タンデム質量分析計解
析を実施できる。
【0185】 現在、2D解析は比較的低速の「バッチ(batch)」工程である。これは
また、あまり再現性があるものではなく、ゲルを解析するためには高価である。
ゲルに基づく解析におけるほとんどのコストが、それぞれのゲルの取り扱いであ
るので、2Dゲル上の多くの試料を同時に多重処理することができることが望ま
しい。異なる、独立して検出可能なタグで異なる試料中のタンパク質を標識する
ことが可能であれば、それぞれの試料中のタンパク質を同一のゲルで同時に解析
することができる。このことは、特定の器官での同一のタンパク質の振る舞いを
、多くの時点で追うことが望ましい研究、たとえば、所定時間経過にわたって、
薬剤に対する細菌の応答をモニタする場合などに特に価値がある。同様に、同一
の疾患の多数の患者からの生検物質を、相当する対照と比較することは、異なる
試料からの同一のタンパク質を、ゲル上で同一スポットとなることを保証するこ
とが望ましい。同一のゲル上ですべてのタンパク質を走らせることによって、異
なった試料を、ゲルの分離の再現性に関して考慮することなしに比較することを
可能にする。このことを達成するために、それぞれの試料中で異なるラベルによ
って標識された特定のタンパク質が、そのラベルに関わり無く、ゲル中で同一の
位置でとまるような、異なる試料中のタンパク質の移動度におけるその効果が同
一であるラベルのセットが必要である。
【0186】 さらに最近、液体クロマトグラフィーまたはキャピラリー電気泳動によって画
分化された全タンパク質を解析するために質量分析法を利用する試みがなされて
きた(Dolink V.「タンパク質のキャピラリーゾーン電気泳動(Cap
illary zone electrophoresis of prote
ins)」、Electrophoresis 18,2353−2361頁、
1997年)。キャピラリー電気泳動質量分析法を利用したインラインシステム
が試されてきた。しかしながら、質量分析法による全タンパク質の解析には、多
くの困難があった。第1の困難は、個々のタンパク質の多重イオン化状態許容性
による複合質量スペクトルの解析である。第2の主な不都合は、質量分析計の質
量分解が、現在、高分子量種に対して、すなわち質量にして約4キロダルトン以
上のイオンに対して、貧弱であり、質量が近いタンパク質を分解することは困難
である。第3の不都合は、全タンパク質のフラグメンテーションパターンがとて
も複雑であり、解析することが困難であることから、タンデム質量分析法での全
タンパク質のさらなる解析が困難であることである。
【0187】 PCT/GB98/00201号およびPCT/GB99/03258号は、
混合物中のタンパク質からC−末端ペプチドを単離すること、および質量分析法
によってそれらを解析することによって、タンパク質の複合混合物を特性化する
方法を記述している。記述された方法は、タンパク質が試料中に存在するか、ま
たは存在しないかを決定するためには使用できるが、試料間の比較データを得る
ことはできない。本方法は、多重試料中のタンパク質発現レベルの定量的比較に
関して必要でありうる、多重の試料の同時の解析に対する技術を記述してはいな
い。
【0188】 欧州特許第EP−A−0 594 164号は、N末端シークエンシング薬剤
を用いたC末端ペプチドの配列決定を可能にする方法における、タンパク質から
のC末端ペプチドを単離する方法を記述している。本方法においては、対象のタ
ンパク質をリシン残基のC末端部位にて切断するエンドペプチダーゼによって消
化する。得られたペプチドを、すべての遊離アミノ基と反応する、DITCポリ
スチレンで処理する。DITCポリスチレンと反応したN末端アミノ基は、トリ
フルオロ酢酸(TFA)を用いて開裂することができ、したがってすべてのペプ
チドのN末端が放出される。しかしながら、リシンのイプシロン−アミノ基は開
裂されず、したがって、すべての末端ではないペプチドは支持体上に残り、C末
端ペプチドのみが放出される。この内容にしたがって、C末端ペプチドをマイク
ロシークエンシングのために回収する。
【0189】 Nature Biotechnology 17:994−999頁(19
99年)は、タンパク質発現解析を可能にするために、タンパク質からのペプチ
ドの捕獲のための、「アイソトープエンコードアフィニティタグ(isotop
e encoded affinity tags)」の使用を開示している。
本記事において、著者は、その中のシステインでペプチドを捕獲するために、チ
オールに対して反応性である、ビオチンリンカーの使用を記述している。1つの
供給源からのタンパク質の試料は、ビオチンリンカーと反応し、エンドペプチダ
ーゼで開裂する。次いでビオチン化されたシステイン含有ペプチドは、続く質量
分析計による解析のために、アビジン化されたビーズ上に単離することができる
。2つの試料を、1つの試料をビオチンリンカーでラベルし、第2の試料をビオ
チンリンカーの重水素化形態で標識することによって定量的に比較することがで
きる。次いで、試料中のそれぞれのペプチドは、相対的ピーク高がその相対的発
現レベルを示唆する、質量スペクトル中のピークの対としてあらわされる。
【0190】 本論文の方法は、多くの制限がある。この「アイソトープコード」方法に対す
る種々の制限のうち、第1のものは、タンパク質内のチオールの存在に依存する
ことであり、他のものがいくつか含んでいる一方で、多くのタンパク質はチオー
ルを持たない。本方法の変法において、リンカーが、アミンのような他の側鎖と
反応するように設計されうるが、しかし多くのタンパク質は1つ以上のリシン残
基をもっており、タンパク質あたり多数のペプチドが本アプローチにて単離され
る。これは、質量分析計による解析に必要な試料の複雑度を減少させないであろ
う。多くの種を含む試料は、複雑さが少ない試料における質量スペクトルで通常
現れる他の種よりも、特定の種が優先的にイオン化されるという「イオン抑制(
ion suppression)」を受ける可能性がある。一般的に、その側
鎖によってタンパク質を捕獲することは、タンパク質あたりとても多くのペプチ
ドかまたは特定のタンパク質をすべて失う可能性がある。
【0191】 本アプローチの第2の制限は、本方法において、異なる試料からのタンパク質
の発現レベルを比較するために使用することである。それぞれの試料を、アフィ
ニティタグの異なるアイソトープ変異体で標識することにより、結果として、そ
れぞれの試料中のそれぞれのペプチドに対する質量スペクトルに追加的なピーク
が現れ、このことは、2つの試料を一緒に解析すると、スペクトル中に2倍のピ
ークが現れることを意味する。同様に、3つの試料を一緒に解析する場合、スペ
クトルは、1つの試料のみのときよりも3倍複雑になる。本アプローチによって
2または3の試料の比較を試みることは、可能ではあるが、ピークの数の増加は
、2つの異なったペプチドが質量スペクトル中で重なったピークを有する見込み
を増加させることになる。
【0192】 上記論文の著者によって報告されたさらなる制限は、タグによって引き起こさ
れる移動度の変化である。著者は、重水素化ビオチンタグで標識されたペプチド
は、重水素化されていないタグによって標識された同一のペプチドよりもわずか
に後に溶出されると報告している。
【0193】 以上の観点から、本発明のさらなる目的は、複合ポリペプチド混合物の多数の
試料中のポリペプチドのアイデンティティおよび相対量を、同時に検出する改善
方法を提供することである。本発明の本観点のさらなる目的は、すべてのタンパ
ク質が解析によって現れることを保証することである。単一試料のみからえられ
るスペクトルと比較するときに、質量スペクトルの複雑さを有意に増加させるこ
となく、多重サンプルを同時に、定量的に解析可能である、質量ラベルおよび技
術を提供することもまた、本発明の本観点の目的である。異なるタグで標識した
同一のペプチドの試料が、クロマトグラフィー分離の後一緒に溶出されるように
、標識したペプチドの移動度において同様に影響を与えるラベルを提供すること
が、本発明の本観点の最終の目的である。
【0194】 したがって、本発明のさらなる好ましい実施様態は、1つ以上のタンパク質を
含むタンパク質試料を解析する方法を提供し、前記方法には、以下の工程を含む
【0195】 1.それぞれのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質が、そのタ
ンパク質に固有のラベルまたはラベルの組合せによって、標識されるように、試
料中のペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を、本発明のセットお
よびアレイからの、少なくとも1つの個々に分離可能である質量ラベルで標識す
る工程、 2.タンパク質に結合したラベルを検出するために、質量分析法によって、好
ましくは本発明の観点にしたがって、たとえばランダム質量分析法によって、標
識されたペプチド、ポリペプチド、および/またはタンパク質を解析する工程。
ついで試料中の標識されたペプチドを同定してもよく、その相対発現レベルを決
定する。
【0196】 多重試料を上記工程に適用することが好ましい。それぞれの多数の試料に対し
て、上記標識工程(1)の前に、切断剤、とりわけ配列特異的切断剤を用いて、
混合物中のポリペプチドより、ペプチドを単離することがさらに好ましい。標識
工程(1)の後、必要であれば、試料をためる。任意に、標識工程(1)および
/または試料の保存の後、試料中、または試料(群)中のペプチド、ポリペプチド
および/またはタンパク質を、ゲル電気泳動、等電点フォーカシング、液体クロ
マトグラフィーまたは他の適切な方法によって分離し、好ましくは個別の画分を
生成してよい。これらの画分は、ゲル上のバンドまたはスポット、またはクロマ
トグラフィー分離からの液体画分でありうる。1つの分離からの画分をさらに第
2の分離技術を用いて分離してよい。同様に、さらなる画分を、タンパク質が続
いて行う解析工程のために十分分離されるまで再び分画してもよい。
【0197】 したがって、本発明の本観点は、以上で記述した本発明のラベルおよび方法の
さらなる適用を提供する。本発明のラベルのセットまたはアレイは、有機体中の
タンパク質の2Dゲル電気泳動解析のスループットを増加させるのに使用するこ
とができる。それぞれの質量ラベルは、同一の方法で連結されたタンパク質の移
動度を変化させるが、独立して検出可能である。ペプチド質量フィンガープリン
ティングのような、2Dゲルからのタンパク質を解析するための質量分析法の公
知の使用においては、SDSのような界面活性剤およびゲルからの他の汚染物質
を除去するために、タンパク質をゲルから抽出し、精製することが要求される。
本発明のラベルは、ゲルからの比較的未精製な抽出物を直接質量分析計に導入す
ることを可能にし、ついで連結したラベルは、物質を汚染しているバックグラウ
ンドにおいて、本発明の方法によって同定することができる。
【0198】 本発明の本観点のとりわけ好ましい実施様態において、多重試料を以下の工程
にかける。
【0199】 1.多くの試料のそれぞれに対して、配列特異的切断剤を用いて、混合物中の
ポリペプチドからペプチドを単離する工程、 2.それぞれの試料が固有のラベルによって同定されるように、本発明のラベ
ルで、それぞれの試料中の単離したペプチドを標識する工程、 3.標識した試料をまとめる工程、 4.まとめた標識したペプチドを、随意にクロマトグラフィーまたは電気泳動
的に分離する工程、 5.これらの標識した試料を、タンデム質量分析法によって解析し、試料中の
標識ペプチドを同定し、その相対的発現レベルを決定する工程。
【0200】 本発明の本観点の他の好ましい実施様態は、各試料に1つ以上のタンパク質が
含まれるタンパク質試料のセットを解析する方法を提供する。この方法は以下の
工程を含む。
【0201】 1.それぞれの試料のタンパク質が、他のすべての試料のタンパク質と反応し
たラベルとは別の、1つまたはそれ以上の質量ラベルで標識されるように、それ
ぞれの試料のタンパク質を、本発明のセットおよびアレイからの、個別に分離可
能な質量ラベルと共有的に反応させる工程、 2.質量ラベルで標識した試料をまとめる工程、 3.個々の画分を生成するために、ゲル電気泳動、等電点フォーカシング、液
体クロマトグラフィーまたは他の適切な方法によって、まとめた試料を分離する
工程。これらの画分は、ゲル上のバンドまたはスポット、またはクロマトグラフ
ィー分離からの液体画分であってよい。1つの分離からの画分を、さらに第2の
分離技術を用いて分離してよい。同様に、さらなる画分を、タンパク質が続く解
析工程のために十分分離されるまで、再び画分化してよい。
【0202】 4.タンパク質に結合したラベルを検出するために、好ましくは本方法の観点
にしたがって、質量分析法により当該画分を解析すること。
【0203】 本発明の本観点のまたさらに好ましい実施様態は、1つ以上のタンパク質を含
む試料中のタンパク質を同定する方法を提供し、本方法は以下の工程を含む。
【0204】 1.試料のタンパク質を、本発明のセットおよびアレイからの、個別に分離可
能な質量ラベルと共有的に反応させること、 2.個々の画分を生成するために、ゲル電気泳動、等電点フォーカシング、液
体クロマトグラフィーまたは他の適切な方法によって、タンパク質を分離するこ
と。これらの画分は、ゲル上のバンドまたはスポット、またはクロマトグラフィ
ー分離からの液体画分であってよい。
【0205】 1つの分離からの画分を、さらに第2の分離技術を用いて分離してよい。
【0206】 同様に、さらなる画分を、タンパク質が続く解析工程のために十分分離される
まで、再び画分化してよい。
【0207】 3.配列特異的切断剤にて、画分中のタンパク質を消化すること、 4.随意に、試料中のタンパク質をさらなる質量ラベルと反応させること、 5.液体クロマトグラフィーカラム工程からの質量ラベルで標識したペプチド
の溶出時間が、ペプチドに結合している質量ラベルを検出することで決定される
、液体クロマトグラフィー質量分析法により、消化した画分を解析すること。タ
ンパク質に結合したラベルを検出するために、質量分析法による解析(質量分析
解析)を、好ましくは本発明の観点にしたがって、実施する。
【0208】 6.工程5の液体クロマトグラフィー質量分析解析からの標識したぺプチドの
溶出プロフィールを、データベースと比較し、当該タンパク質がすでに同定され
ているかどうかを決定する。
【0209】 本発明の本観点のさらにまた好ましい実施様態は、1セットのタンパク質試料
からタンパク質を同定する方法を提供し、前記試料は1つ以上のタンパク質を含
み、本方法は以下の工程を含む。
【0210】 1.それぞれの試料のタンパク質が、他のすべての試料のタンパク質と反応し
たラベルとは別の、1つまたはそれ以上の質量ラベルで標識されるように、それ
ぞれの試料のタンパク質を、本発明のセットおよびアレイからの、個別に分離可
能な質量ラベルと共有的に反応させる工程、 2.質量ラベルで標識した試料をためる工程、 3.個々の画分を生成するために、ゲル電気泳動、等電点フォーカシング、液
体クロマトグラフィーまたは他の適切な方法によって、タンパク質を分離する工
程。これらの画分は、ゲル上のバンドまたはスポット、またはクロマトグラフィ
ー分離からの液体画分であってよい。
【0211】 1つの分離からの画分を、さらに第2の分離技術を用いて分離してよい。同様
に、さらなる画分を、続いて行う解析工程のためにタンパク質が十分分離される
まで、再び画分化してよい。
【0212】 4.配列特異的切断剤を用いて、画分中のタンパク質を消化して、該試料中の
各タンパク質に特徴あるペプチドを生成させる工程、 5.任意に、試料中のタンパク質をさらなる質量ラベルと反応させる工程、 6.液体クロマトグラフィーカラム工程からの質量ラベルで標識したペプチド
の溶出時間が、ペプチドに結合している質量ラベルを検出することで決定される
、液体クロマトグラフィー質量分析法により、消化した画分を解析する工程。タ
ンパク質に結合したラベルを検出するために、質量分析解析を、好ましくは本発
明の観点にしたがって、実施する。
【0213】 7.工程6の液体クロマトグラフィー質量分析解析からの標識したぺプチドの
溶出プロフィールを、データベースと比較し、当該タンパク質がすでに同定され
ているかどうかを決定する。
【0214】 本発明の上記好ましい実施様態の工程1には、本発明の質量ラベルをタンパク
質の集団の反応性側鎖と共有反応させることが含まれる。反応性側鎖官能基は選
択的に反応させることができることが、本技術分野でよく公知である。反応性側
鎖にはリシン、セリン、スレオニン、チロシンおよびシトシンが含まれる。
【0215】 シトシンはしばしば、それ自身架橋し、ジスルフィド架橋を形成する。本発明
の目的のために、これらの架橋が壊れる必要はないが、システイン側鎖は、高い
反応性をもち、種々の薬剤と簡単に反応する。ジスルフィド架橋が存在する場合
、これらは、ジスルフィド架橋をメルカプトエタノールによってチオールの対に
還元することで壊すことができる。チオールは、チオレートイオンの形成を促進
する穏やかな塩基性条件下で、ヨウ化酢酸(アルドリッチ(Aldrich))
によって選択的にキャップされる(Mol.Microbiol.5:2293
頁、1991年)。好ましい穏やかな塩基は炭酸塩である。本発明の目的のため
に、その反応官能基がヨウ化アセチル基である本発明の質量ラベルは、分析物タ
ンパク質のチオールと反応することが可能である。他の実施様態において、タン
パク質の集団は、その反応官能基がイソシアネート基である質量マーカーと反応
しうる。イソシアネートは、穏やかな条件下、すなわち中性溶媒中、室温にて、
タンパク質のN末端のアルファアミノ酸、およびリシンイプシロンアミノ基、す
なわち一級アミンとほとんど独占的に反応し、尿素誘導体を与える。これらの薬
剤はまた、ピリジンまたはジブチルステニルラウリン酸塩のようなスズ化合物な
どの好ましい触媒の存在下、高温にて、セリン、スレオニンおよびチロシン側鎖
のような、任意の水酸基を有する側鎖と反応させるために作製可能であり、ウレ
タン誘導体を与える。他の実施様態において、タンパク質の集団を、その反応性
官能基が、クロロシランのようなシリル基である質量マーカーと処理させること
が可能である。これらの化合物は、ほとんどの反応性官能基と簡単に反応する。
アミン誘導体は、水性条件で安定ではなく、よって、もし望むのならば、遊離ア
ミンに加水分解して戻すことができる。塩化スルホニルもまた、リシンのような
遊離アミンと質量ラベルを選択的に反応させるために、質量ラベル上の反応基と
して使用できる。カルボキシル酸側鎖はまた、通常、それらが反応する事を保証
するために、これらの側鎖を活性化する必要があるけれども、本発明のラベルと
反応させることができる。無水酢酸が通常本目的のために使用される。このこと
により、ついでアミンのような求核官能基と反応可能である、遊離カルボキシル
酸にて混合無水物が形成される。
【0216】 上記の特定の実施様態は、質量ラベルとの側鎖官能基の選択的反応の好ましい
方法を例示するための例としてのみのつもりである。広範囲のさまざまな反応性
基が本技術分野で公知であり、これらの多くが、本発明のこれらの観点の第1の
工程を完了するのに使用することができる。異なった質量ラベルを有する試料中
の1タイプ以上のタンパク質側鎖と反応することも望ましい。多重試料を、同時
に解析しなければならない場合、2つまたはそれ以上のラベルを、それぞれの試
料を標識するために使用することができる。このことにより、より多くの情報が
、その同定の役に立つように、それぞれのタンパク質から導かれる。
【0217】 本発明の本観点の後者2つの実施態様の工程3および工程4において、ついで
C末端修飾タンパク質を、配列特異的切断剤で処理する。
【0218】 いくつかの実施様態において、トリプシン、キモトリプシン、トロンビンのよ
うな配列特異的エンドプロテアーゼまたは他の酵素を使用してよい。あるいは、
開裂剤は有機薬剤であってよい。これらは、未反応薬剤の除去を簡単にするため
に、揮発性であることが好ましい。適切な化学切断薬剤には、メチオニン残基に
て切断する臭化シアン、トリプトファン残基にて切断するBNPS−スカトール
が含まれる(D.L.Crimminsら,Anal.Biochem.187
:27−38頁、1990年)。
【0219】 本発明の本観点の上記好ましい実施様態において、タンパク質の分画工程は、
好ましくは、一次元で等電点フォーカシングを、二次元でSDS PAGEを用
いる、二次元ゲル電気泳動を実施することによって、好ましく実施される。つい
でゲルを、視覚化して、タンパク質がゲル上でどこに移動したかを同定する。つ
いでスポットをゲルより摘出し、ついでタンパク質をその抽出したゲルスポット
より抽出する。ついでこれらの抽出したタンパク質を、電子噴霧質量解析法、ま
たは他の好適なイオン化手順によって直接的に解析してよい。あるいは、さらな
る分画を、HPLC質量分析計のような質量分析計とインラインに実施してよい
【0220】 本発明の本観点の後者2つの好ましい実施様態の工程3および工程4において
、消化したタンパク質を、任意に、本発明のさらなる質量ラベルと反応させる。
このことは、本発明の後者の好ましい実施様態でより重要であり、そこで多重試
料が同時に解析される。ほとんどの酵素消化、およびいくつかの化学的解析法に
より、質量ラベルと反応可能なタンパク質を消化により分画した結果産物である
ペプチド上に遊離アミンが残る。このことは、同一のラベルがすべてのペプチド
上に現れる可能性があり、この解析の感受性を選択的に最大化するために検出で
きる。
【0221】 本発明の本観点の後者2つの好ましい実施様態の工程6および工程7において
、画分化したタンパク質を消化することによって生成されたペプチドの溶出プロ
フィールを、当該タンパク質が、すでに同定されているかどうかを決定するため
に、先に形成されているデータベースを検索するために使用する。液体クロマト
グラフィーカラムから、質量分析計内に溶出したペプチドを、さらに、タンデム
質量分析法によって解析し、タンパク質を同定するために使用することができる
配列情報を決定する。ペプチド配列データは、タンパク質配列データベースを検
索するために使用でき、または核酸配列データベースを検索するために、核酸配
列データに翻訳することができる。
【0222】 (翻訳後修飾ペプチドの単離) 糖鎖がしばしばタンパク質の翻訳後修飾として存在する。これらの糖鎖はしば
しばカルボニル基である。カルボニル基を、そのような修飾を有するタンパク質
を、検出するか、または単離することが可能なように、タグづけできる。ビオシ
チンヒドラジド(ピアス・アンド・ワーナー社(Pierce & Warri
ner Ltd, Chester, 英国)は、多くの糖鎖種内のカルボニル
基と反応する(E.A.Bayerら, Anal. Biophem. 17
0, 271―281頁、「アビジン・ビオチン技術を用いた、複合糖鎖内のビ
オシチンヒドラジド−シアル酸、ガラクトースおよび他の糖に対する選択的ラベ
ル(Biocytin hydrazide − a selective l
abel for sialic acids, galactose, an
d other sugars in glycoconjugates us
ing avidin biotin technology)」、1988年
)。したがって、複合混合物内の糖鎖修飾を有するタンパク質はビオチン化でき
る。ついでタンパク質混合物を、トリプシンのようなエンドプロテアーゼで処理
して、タンパク質からペプチドを生成する。ついで、ビオチン化により糖鎖修飾
ペプチドをアビジン化固体支持体を用いて単離する。試料のセットをこの方法に
て処理してよく、得られたペプチドを、それぞれの試料からのペプチドが、その
試料からのペプチドまたはペプチド類と関連付け可能な質量ラベル、または質量
ラベルの組合せを有するように、本発明の質量ラベルと反応させてよい。ついで
、これらの質量でタグづけした糖鎖含有ペプチドを、液体クロマトグラフィータ
ンデム質量分析法によって解析してよい。
【0223】 多くの調査グループが、広範囲のさまざまなタンパク質中のりん酸チロシン残
基に結合する抗体の生成に関して報告している(たとえばA. R. Frac
keltonら., Methods Enzymol. 201, 79―9
2「りん酸チロシンに対するモノクローナル抗体の生成と、りん酸チロシン含有
タンパク質のアフィニティー精製のためのその使用(Generation o
f monoclonal antibodies against phos
photyrosine and their use for affini
y purification of phosphotyrosine−co
ntaining proteins)」、1991、およびMthods E
nzymol.の本巻の他の記事を参照のこと)。このことは、チロシンりん酸
化によって翻訳後修飾されたタンパク質の重要な部分が、アフィニティカラムリ
ガンドとしてこれらの抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィーによって単
離されうることを意味している。
【0224】 これらのりん酸チロシン結合抗体は、りん酸チロシン残基を含有しているペプ
チドを単離するために、本発明の内容にて使用可能である。したがって、複合混
合物内のタンパク質を、遊離ペプチドを生成するために、配列特異的エンドペプ
チダーゼで処理してよい。ついでこれらを、抗りん酸チロシン抗体カラムを通過
させてよく、りん酸チロシン基を含むペプチドが残る。試料のセットをこの方法
にて処理してよく、得られたペプチドを、それぞれの試料からのペプチドが、そ
の試料からのペプチドまたはペプチド類と関連付け可能な質量ラベルまたは質量
ラベルの組合せを有するように、本発明の質量タグと反応させてよい。各試料か
らのペプチドが異なる質量ラベルを有することが好ましい。ついで、これらの質
量ラベルで標識したリン酸チロシンを有するペプチドを、液体クロマトグラフィ
ータンデム質量分析法によって解析してよい。
【0225】 (タンパク質からの末端ペプチドの単離) 本発明によれば、タンパク質発現プロフィル分析の好ましい方法は、試料中の
それぞれのタンパク質からのただ1つのペプチドを単離することである。単離し
たペプチド断片が十分な長さである限り、断片は、その親タンパク質に特有であ
る。
【0226】 本発明の本観点の第1の工程において、ペプチドを、複合タンパク質混合物の
多数の試料のそれぞれにおけるタンパク質より単離する。本観点のいくつかの実
施例において、末端ペプチドを単離することが好ましい。末端ペプチドの単離に
より、タンパク質あたり少なくとも1つの、そしてただ1つのペプチドが単離す
ることが保証される。
【0227】 ポリペプチドの末端からペプチドを単離するための方法は、PCT/GB98
/00201号およびPCT/GB99/03258号にて議論されている。
【0228】 したがって、本発明の本観点は、タンパク質プロフィル分析の方法を提供し、
本方法は、以下の工程を含む。 (a)多数のポリペプチドの集団を含む試料を、ポリペプチド鎖内で、特定のア
ミノ酸残基または配列を認識し、開裂部位で開裂させることが知られている開裂
剤で処理する工程、それによって前記集団が開裂され、ペプチド断片が生成され
る、 (b)それより断片化されるポリペプチドのN末端またはC末端を、対照末端と
して含有するペプチド断片の集団を単離する工程、ここでそれぞれのペプチド断
片は、他の末端で、対照末端に近接した開裂部位を含有する。 (c)ペプチド断片を単離する前または後に、ポリペプチドのそれぞれの対照末
端を、本発明の質量ラベルのセットまたはアレイからの質量ラベルまたは質量ラ
ベルの組合わせで標識する工程、そこでそれぞれの対照末端は、そのラベルまた
はラベルの組合わせに関連づけることができる、 (d)質量分析法によって、1つまたはそれ以上の単離した断片の特性配列(s
ignature sequence)を決定する工程、ここで前記特性配列は
、切断部位からの所定数のアミノ酸残基の配列であり、形跡配列はそれぞれのポ
リペプチドを特性化する。
【0229】 本発明の本観点によって提供される他の好ましい方法により、さらなる断片を
生成するために第2の開裂剤の使用が考慮され、当該断片はそれ自身同定されて
もよく、その親ポリペプチドまたはタンパク質を特性化するのに使用してよい。
本方法は、以下の工程を含む。 (a)1つまたはそれ以上のポリペプチドを含む試料を、第1の切断剤と接触さ
せ、ポリペプチド断片を合成する工程、 (b)1つまたはそれ以上のポリペプチド断片を単離する工程、それぞれの断片
は、各断片から断片化されるポリペプチドのN末端またはC末端を含む、 (c)ポリペプチド断片を単離する前または後に、ポリペプチドのそれぞれの末
端を、本発明の質量ラベルのセットまたはアレイからの、質量ラベルまたは質量
ラベルの組合せで標識する工程、ここでそれぞれの末端は、そのラベルまたはラ
ベルの組合せに関連づけることができる、 (d)質量分析法によって、単離した断片を同定する工程、 (e)第1の切断剤とは異なる部位で切断する第2の切断剤を用いて、上記試料
について、工程(a)〜(d)を繰り返す工程、 工程(d)および(e)にて同定された断片から、試料中の1つまたはそれ以上
のポリペプチドを特性化する工程、 を含む。
【0230】 以上の両方の方法において、対照末端を標識する工程は、所望ならば、断片を
単離する前または後に実施可能であり、またはそれらの親ポリペプチドまたはタ
ンパク質から断片を切断する前に実施できる。
【0231】 本発明の本観点の好ましい実施様態において、以下の工程を含む方法を用いて
、タンパク質の複合混合物より末端ペプチドを単離する。
【0232】 1.Lys−C特異的開裂酵素、すなわち、その残基のC末端上のリシン残基
に隣接するペプチド結合部位で切断する薬剤で、タンパク質の複合混合物を消化
する工程、 2.得られたペプチドを、遊離アミノ基と反応する活性化固体支持体に接触さ
せる工程、 3.任意に、捕獲されたペプチドを、少なくとも1つのアミノ酸反応官能性を
有する二官能性薬剤と反応させる工程、 4.捕獲したペプチドを、支持体上のそれぞれのペプチドのアルファアミノ酸
基で切断する薬剤に接触させる工程、C末端ではないすべてのぺプチドは、固体
支持体にそのペプチドを共有結合させているリシン残基を有する。したがって、
遊離C末端ペプチドが選択的に放出される。
【0233】 5.任意に、放出したペプチドを、第1の支持体と先に反応しなかった任意の
ペプチドを捕獲するために、工程3で使用した二官能性薬剤の第2の反応性官能
基と反応する、第2の固体支持体と接触させる工程、 6.溶液中に遊離したままであるペプチドを回収する工程。
【0234】 本方法の好ましい実施様態において、複合混合物中のタンパク質を変性させ、
還元し、タンパク質中のチオールをキャップするために薬剤で処理する。典型的
なプロトコールには、還元剤として、過剰のメルカプトエタノールまたはジチオ
スレイトール、そしてビニルピリジンのような過剰のキュッピング剤の存在下、
変性剤として、高濃度の塩化水素グアニジン(6―8M)でpH8.5の緩衝液
中でタンパク質を変性させることが含まれる。
【0235】 本方法の工程1において、タンパク質の複合混合物を、たとえばリソバクター
(Lysobacter)エンザイモジーンからのエンドペプチダーゼLys―
C(ベーリンガー・マンハイム)(Boehringer Mannheim)
)でありうる、Lys−C特異的切断酵素によって完全に消化する。
【0236】 本方法の工程2において、得られたペプチドを、アミンと反応する固体支持体
と接触させる。好ましい実施様態において、固体支持体は、イソチオシアネート
化合物によって誘導化する。1つの実施様態において、ペプチド集団を、塩基の
存在下で、イソチオシアネートガラス(DITCガラス、シグマ−アルドリッチ
社(Sigma−Aldrich Ltd)Dorset, イギリス)と反応
させる。これによって、すべてのペプチドが、任意の遊離アミノ基を介して支持
体に捕獲される。
【0237】 工程3は任意であるが、好ましい。すべての非C末端ペプチドが、リシン側鎖
アミノ基およびN末端アルファアミノ基両方で、第1の固体支持体と完全に反応
することを保証することは難しい可能性がある。リシン側鎖アミノ基を介しての
み反応するペプチドは、続く工程で、支持体に結合したまま残る。
【0238】 そのアルファアミノ基を介してのみ反応するペプチドは、C末端ペプチドにそ
って支持体より開裂する。この工程は、非C末端ペプチドを、C末端ペプチドか
ら区別することを可能にする。本任意の工程において、二官能性薬剤はN−スク
シミジル[4―ビニルスルホニル]ベンゾエート(ピアス・アンド・ウォーリー社
(Pierce & Warriner Ltd.) Chester,英国)
からのSVSB)であってよい。この化合物は、チオール反応性ビニルスルホン
部分に連結したアミン反応性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む。本
化合物は、ビニルスルホンの反応なしに、エステル官能性を介してアミンと非常
に簡単に反応し、より後期のステージにおいて、チオールと別々に反応しうる。
したがって、SVSBは、わずかに塩基性条件下で、支持体上の任意の遊離アミ
ンと反応する。大過剰のSVSB化合物の存在下、支持体上のペプチドを固定化
する場合、SVSBは、さらなる反応のために、ビニルスルホン部分を残した、
スクシンイミド官能基のみを介してペプチドと反応する。他の実施様態において
、任意の未反応アミンが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)ビオチン(
シグマ−アルドリッチ社(Shigma−Aldrich Ltd)、Dors
et、 England)のようなアミン反応性官能基とカップリングするビオ
チンと反応しうる。このことにより、不完全に反応したペプチドを、アフィニテ
ィ捕獲カラム中のアビジン化ビーズ上またはアビジン化樹脂上で後に捕獲するこ
とが可能になる。
【0239】 本方法の工程4において、捕獲したペプチドを、支持体上のそれぞれのペプチ
ドのアルファアミノ基において開裂する薬剤で処理する。DITCガラスを、ア
ミン反応性支持体として使用する実施様態において、ペプチドを、支持体上のそ
れぞれのペプチドからのN末端アミノ酸を開裂する、トリフルオロ酢酸(TFA
)のような適切な揮発性酸で処理する。C末端ではないすべてのペプチドは、固
体支持体にそれ自身を共有結合させるリシン残基を有する。したがって、遊離C
末端ペプチドが選択的に放出される。
【0240】 任意工程5は、任意工程3を実施した場合にとりわけ好ましい。アミノ酸反応
性支持体と完全には反応しない、非C末端ペプチドをこの工程で除去する。SV
SBを、そのアルファアミノ基を介して反応するのみの非C末端ペプチドをタグ
づけするために使用する場合、適切な求核原子、好ましくはチオールにて誘導さ
れる固体支持体と反応させることを可能にする利用可能な反応性官能基を有する
。DITCガラスを工程4で使用する場合、これは好ましいが、ここで、ペプチ
ドは、TFAを用いて支持体から放出されうる。放出されたペプチドを、TFA
を蒸発させることによって、トリフルオロ酢酸塩として回収してよい。ついでペ
プチドを、約7のpHをもつ緩衝液中、またはジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、または水と酢酸の混合物のような、適切な中性溶媒中に再懸濁し
てよい。ついでペプチドをチオール誘導化支持体に添加する。pH7において、
SVSB処理したペプチド上の残っているビニル官能基は、DITCガラス支持
体のペプチドの開裂によって現れた遊離アミンとよりも、チオール支持体とほと
んど独占的に反応すべきである。チオール誘導化テンタジェルズ(Tentag
els)が、ラップ・ポリマーGmbH(Rapp Polymere Gmb
H: Tubingen、ドイツ)から入手可能であり、または、チオール誘導
化支持体が、3―メルカプトプロピルトリメトキシシランとともにシリカゲルの
インキュベーションによって調製できる。
【0241】 本方法の工程6において、放出されたペプチドを回収する。任意工程3および
5を使用した場合、ペプチドは、種々の溶媒または緩衝液中に存在する。これら
は、好ましい実施様態において、揮発性であるように選択する。ペプチドを、好
ましい実施様態においてDITCガラスである、第1の支持体から直接回収する
場合、ペプチドは、揮発性であるTFA中である可能性がある。ペプチドは、好
ましくは、溶媒または緩衝液を蒸発させることによって、これらの揮発性溶媒ま
たは緩衝液から回収する。本方法にて単離したペプチドは、本発明のラベルとの
反応のために利用可能である遊離アルファアミノ基を有する。
【0242】 (単離ペプチドのラベル化) 本発明の任意の質量ラベルは、本発明の本観点で記述したタンパク質発現プロ
フィル分析で使用できる。図22および図23で図示した質量ラベルが、本発明
、とりわけ本発明の本観点での使用にとりわけ好適である。これらの化合物は、
当該化合物を、遊離アミンおよびチオールとの添加反応を受けさせることを可能
にするビニルスルホン反応基を有する。ペプチドあたりただ1つのラベルが望ま
しい場合、複合混合物内のタンパク質は、配列特異的エンドペプチダーゼでの開
裂の前に、キャッピング剤で処理して良い。フェニル、エチルおよびメチルビニ
ルスルホンが、遊離アミンと反応し、チオールがそれらをキャッピングし、一方
でキャッピングされたタンパク質のトリプシンによる開裂を許容する。リシンの
イプシロンアミン残基は、ビニルスルホン部分が隠れていない場合、2つのビニ
ルスルホン部位、とりわけ、エチルおよびメチルビニルスルホンと反応する。
【0243】 マーカーの結合の後、これらの標識されたペプチドは、ラベルの質量によって
移動する質量を有する。ペプチドの質量は、タンパク質供給源を同定するのに十
分でありうる。この場合、ラベルは検出される必要があるのみであり、三重四極
子による選択された反応モニタリングによって実施でき、以下でより詳細に議論
する。
【0244】 簡単に記すと、三重四極子の第1の四極子を、その質量対電荷比が、マーカー
の質量に対して調整した、対象のペプチドのものに相当するイオンを通過させる
ように設定する。選択されたイオンをついで、第2の四極子における、衝突誘導
解離(CID)にかける。ペプチドの解析で使用した条件の分類下、イオンは、
ほとんど、前記分子中のアミド結合部分で断片化する。図22および23でのマ
ーカーはアミド結合を有しており、開裂におけるタグの末端の先にイオン化した
部分を放出する。タグがすべて同一の質量を持っているけれども、いずれかの側
のアミド結合における置換基が異なることから、末端部分は異なる。したがって
、マーカーは、互いに区別することができる。特定の質量のイオンと関連したマ
ーカー断片の存在は、イオンがペプチドであり、異なる試料からのタグの相対ピ
ーク高さが、その試料中のペプチドの相対量に関する情報を与え得ることを支持
する。試料中の多数の末端ペプチドが、同一の末端質量を持っていないか、ペプ
チドが公知でないためにのいずれかによって、質量がペプチドを同定するのに十
分ではない場合、配列情報は、完全なCIDスペクトルの解析によって決定して
よい。図24は、配列H2N−gly−leu−ala−ser−glu−CO
OHを有するペプチドの2つの試料に対する理論的スペクトルを示しており、そ
こでそれぞれの試料は、図23で示した式を有する1つのラベルに結合している
【0245】 スペクトルは、b―シリーズ断片を示しているのみであり、他の断片または任
意のノイズピークは示していないので理想化される。しかしながら、スペクトル
が、ペプチド断片ピークに相当するより高い質量領域と、質量ラベルピークに相
当するより低い質量領域に明らかに分けられることを示している。望むのならば
、ペプチド断片ピークは、質量タグピークがペプチドの相対量に関する情報を与
える一方で、ペプチドを同定するために使用することができる。
【0246】 (クロマトグラフィーまたは電気泳動によるラベル化されたペプチドの分離) 好ましくは、本発明の本観点において、質量分析解析の前の工程で、標識した
末端ペプチドを、質量分析法による解析に先だってクロマトグラフィー分離にか
ける。これは、好ましくは、クロマトグラフィーカラムから溶出するので、ペプ
チドのインライン解析のために質量分析計に直接つなげることができる、高性能
液体クロマトグラフィー(HPLC)である。種々の分離技術がHPLCによっ
て実施され得るが、逆相クロマトグラフィーが、質量分析法の前のペプチドの分
離に関して一般的な方法である。キャピラリーゾーン電気泳動が、試料の溶出の
自動化解析のために、質量分析計に直接連結し得る他の分離方法である。これら
および他の画分化技術を質量分析法による解析の前に、ペプチド混合物の複雑性
を減少させるために適用してよい。
【0247】 (タンデム質量分析法によるタンパク質の定量および同定) 本発明の本観点の方法において、標識した単離ペプチドは、タンデム質量分析
法によって解析される。
【0248】 先に議論したように、タンデム質量分析計は、先に決定した質量対電荷比を有
するイオンを、たとえば衝突誘導分離(CID)によって、選択し、断片化する
ことを可能にする。ついで断片を選択したイオンについての構造情報を提供して
検出できる。ペプチドをタンデム質量分析計内でCIDによって解析する場合、
固有の開裂パターンが観察され、ペプチドの配列を決定可能にする。天然のペプ
チドは典型的に、ペプチドの特徴であるイオンのセットを与えるために、ペプチ
ド骨格のアミド結合にて、ランダムに断片化される。CID断片群は、通常、第
n番目のペプチド結合での開裂に関してan、bn、cnなどと示され、ここでイ
オンの電荷は、イオンのN末端断片上に保持される。同様に、断片群は、xn
n、znなどと表わされ、電荷はイオンのC末端断片上に保持される。この表示
は、以下の概略図1(Scheme1)で描写されている。
【0249】
【化21】
【0250】 分子の両端で塩基性基を有するペプチド、すなわちN末端におけるアルファア
ミノ基及びC末端でのリシンまたはアルギニン側鎖を生成するので、トリプシン
およびトロンビンが、タンデム質量分析法に対する好ましい開裂剤である。この
ことは、分子の反対の末端に電荷中心が存在している、二重帯電イオンの形成を
好む。これらの二重電荷イオンは、CIDの後、C末端およびN末端イオン群の
両方を生成する。このことは、ペプチドの配列を決定することで支持される。一
般的に言及すると、ただ1つまたは2つの可能性あるイオン群が、与えられたペ
プチドのCIDスペクトル中で観察される。低エネルギー衝突において、計器に
基づいた典型的な四極子は、N末端断片のbシリーズまたはC末端断片のyシリ
ーズが有用である。二重帯電イオンを解析する場合、そこで両方のシリーズがし
ばしば検出される。一般的に、yシリーズイオンがbシリーズよりも優れている
【0251】 本発明の方法で使用した単離ペプチドが、以上で議論したようなDITCガラ
スを用いて単離されたC末端ペプチドである場合、前記ペプチドは、本発明のラ
ベルによる標識を促進するそのN末端にて、単離の後に遊離アミンをもつ可能性
がある。以上で言及したように、これらのラベルは、解析するそれぞれの試料中
の等しいペプチドが同一の質量づつで移動するように、すべて同一の質量をもつ
。これらのペプチドのCIDは、ラベルからのフラグメントを生成する。ラベル
フラグメントの強度は、それぞれの試料中の等しいペプチドの相対量を決定する
ことを可能にするであろう。
【0252】 単離したペプチドのN末端へ、本発明の質量ラベルを共有結合させることは、
電荷がラベル上に残っている限り、ラベルの質量まで、フラグメントイオンのb
シリーズの質量を移動させるであろう。解析において、それぞれの試料に関して
使用したラベルの質量が等しいので、標識されたペプチドの衝突誘導分離がペプ
チド骨格内で実施される限り、すべての試料に対して生成された、ただ1つのイ
オンシリーズだけが存在するであろう。このことは、そのフラグメントイオンに
よってラベル化ペプチドを同定することができ、任意の与えられたペプチドに関
して、同時に解析する試料の数に関係なく、そのペプチドに対してただ1つのフ
ラグメントシリーズが存在するであろうことを意味している。
【0253】 ラベルそれ自身内のフラグメンテーションによって、それぞれの試料に固有の
ピークが生成される。これらのピークは、比較的低質量範囲で起こり得る(図2
4を参照のこと)。三重四極子計器によって、これらのピークのもっとも感度の
よい検出を実行するために、選択した反応モニタリングを使用することが好まし
い。
【0254】 これらのピークの相対強度は、もともとの試料に、そのペプチドが由来する供
給源タンパク質の相対量の指標となるであろう。天然のペプチドにおいて、フラ
グメントイオンのbシリーズは、yシリーズよりもより低い強度である傾向にあ
る。たとえば四級アンモニウム中心を含む、適切な基礎質量ラベルまたは「先に
イオン化した」質量ラベルによって、イオンフラグメントのbシリーズの強度が
増強され得る。不運なことに、C末端ペプチドを使用している場合、C末端アミ
ノ酸が塩基性であることは保証されず、よってyシリーズのフラグメントイオン
が弱くなり得る。yシリーズを用いた構造情報の決定は、これらのペプチドのC
末端が、塩基性基か、または「先にイオン化された」基であることを必要とする
【0255】 タンデム質量分析法によるタンパク質の解析、とりわけタンパク質の混合物は
、得られたスペクトルの「ノイズ」によって複雑化する。生物学的試料から単離
したタンパク質は、通常緩衝剤、変性剤、および界面活性剤が混合しており、こ
れらすべてが、質量スペクトル内でピークを引きおこす。結果として、しばしば
、ペプチドのピークよりもより汚染ピークが存在し、ペプチドに相当するピーク
を同定することは、とりわけ単離することが難しいタンパク質の小試料で、主要
な問題である。結果として種々の方法が、詳細なCID解析が実施される前に、
どのピークがペプチドに相当するか決定するために使用される。三重四極子に基
づく計器によって、「前駆体イオンスキャニング(presursor ion
scanning)」が許容される(Wilm M.ら., Anal. C
hem. 68(3) 527―33頁、「分離されていないペプチド混合物の
、親イオンスキャン(Parent ion scans of unsepa
rated peptide mixtures)」、(1996年)を参照の
こと)。三重四極子が「単一反応モニタリング」モードで扱われ、そこで、第1
の四極子は全質量範囲上をスキャンし、それぞれのゲートを通ったイオンは、第
2の四極子内でCIDにかけられる。第3の四極子は、ただ1つのフラグメント
イオンを検出するように設定され、通常アンモニウムイオンのようなペプチドか
らの特徴的なフラグメントイオンである。
【0256】 四極子/飛行時間質量スキャンを用いた他の方法は、CIDにかけたときに、
親イオンよりも高い質量対電荷比を有する娘イオンを生成するイオンを同定する
ことによって、二重帯電イオンに対してスキャンする。二重に帯電しているイオ
ンを同定するさらなる方法は、そのイオンは、分子内で13Cの存在の割合によっ
てのみ異なることを示す、適切な強度比を有するたった0.5ダルトンしか離れ
ていないスペクトルにおけるピークのセットを見つけることである。
【0257】 本発明の質量ラベルでペプチドを標識することによって、前駆体イオンスキャ
ニングの新規形態が、標識したペプチドをCIDにかけた後に、本発明の質量ラ
ベルに相当する断片の存在によって同定されるペプチドピークの中で観察され得
る。とりわけ、本発明の方法によってそれぞれの試料から単離したペプチドは1
つ以上の質量ラベルで標識してよい。すべての試料中で使用されている、「前駆
体イオンスキャニング」ラベルの等モル混合物、および試料特異的ラベルを、そ
れぞれの試料中のペプチドを標識するのに使用してよい。本方法において、異な
る試料中のペプチドのレベルの変化は、前駆体イオンスキャンにおけるペプチド
ピークの同定に逆効果を有することはない。
【0258】 ペプチドイオンを同定し、選択して、好ましくは、CIDに適用する。CID
スペクトルデータはしばしばとても複雑であり、CIDスペクトルにおけるどの
ピークが、意味のあるペプチド断片シリーズに相当するかどうかを決定すること
は、質量分析法によるペプチドの配列を決定することにおいて、さらなる問題で
ある。Shevchenkoら., Rapid Commun. Mass
Spec. 11 1015―1024(1997年)は、解析のために、タン
パク質を16O/18Oが1:1の水中でトリプシンで処理することを含む、さらな
る方法を記述している。加水分解反応は、結果として2つのペプチド集団となり
、第1の末端カルボキシルは16Oを含み、第2の末端カルボキシル基が18Oを含
む。したがって、試料中のそれぞれのペプチドに関して、二重ピークが2ダルト
ン離れている、それぞれのペプチドに対して等しい強度を有する二重ピークであ
るべきである。このことは、固有のペプチド同位体ピークによってわずかに複雑
化されるけれども、二重線(doublet)に対するCIDスペクトルの自動
化スキャニングを許容する。二重線間の質量の差は、異なる2つの断片によって
アミノ酸を同定するために決定することができる。本方法は、N末端ペプチドが
単離された場合に、本発明の方法にて適用可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、三重四極質量分析計の体系的レイアウトを示す。
【図2】 図2は、本発明に従ったラベルのセットを形成するための、5つ
の質量規格化部分(M0−M4)及び5つの質量マーカー部分(X0−X4)を含む
10個のフラグメントを示し、ここではフッ素原子置換基が質量調節部分として
使用されている。
【図3】 図3は、図2の質量規格化部分と質量マーカー部分から形成され
た、本発明に従った5個のラベルのセットを示す。
【図4】 図4は、すべてのラベルが異なる質量を有するが、セットの質量
マーカーはすべて同じ質量を有する、本発明に従った5個の質量ラベルのセット
を示す。
【図5】 図5は、質量ラベルの組合せが分析物を同定する固有の質量スペ
クトルを備えるように、オリゴヌクレオチドのような分析物を質量ラベルの組合
せで標識した例を示す。
【図6】 図6は、質量ラベルセットのアレイを示し、各々のセットは同じ
質量系列修飾基(S)を有し、塩基性フェニル基上のフッ素置換基の数によって
他のすべてのセットと異なる。
【図7】 図7は、質量ラベルセットのアレイを示し、各々のセットは同じ
質量系列修飾基(S)を有し、質量系列修飾基内のフェニルエーテル単位の数に
よって他のすべてのセットと異なる。
【図8】 図8は、本発明の「混合モード」の実施態様であって、3個の質
量ラベルP、Q及びRが、0又は1の相対量で存在するとき、それらのすべての
組合せについて8つのあり得る固有の質量スペクトルのうちの4つを示す。
【図9】 図9は、本発明の「混合モード」の実施態様であって、3個の質
量ラベルP、Q、R、S及びTが、0、1又は2の相対量で存在するとき、それ
らのすべての組合せについて243個のあり得る固有の質量スペクトルのうちの
8つを示す、を例示する(Tが内標準として不変のままである場合には81の可
能なスペクトルが存在する)。
【図10】 図10は、より大きな置換の範囲を可能にするために、質量規
格化部分と質量マーカー部分を拡大することによってどのようにしてより大きな
ラベルのセットを形成できるかを示しており、このラベルのセットは9個の構成
要素を有し、フッ素原子置換基を質量調節部分として使用しているが、このよう
な少なくとも8個の構成要素を有するラベルのセットは、本発明の混合モードを
使用してオリゴヌクレオチドのアレイにおいて256個の四量体すべてを標識す
るために好都合である。
【図11】 図11は、すべてのイオン、A+、B+、C+及びD+からのピー
クを含む完全なスペクトルである、質量スペクトル1を示す。
【図12】 図12は、質量分析計(Q1)の第1の四極においてA+イオ
ンを選択することによって生じる、A+だけのスペクトルである、質量スペクト
ル2を示す。
【図13】 図13は、第1のイオンA1 +(A+と同じ質量/電荷比)なら
びにA1 +、P+及びQ+のフラグメンテーション産物のスペクトルである、質量ス
ペクトル3を示す。
【図14】 図14は、第二イオンA2 +(A+と同じ質量/電荷比)ならび
にA2 +、X+及びY+のフラグメンテーション産物のスペクトルである、質量スペ
クトル4を示す。
【図15】 図15は、2種類のそのようなイオン、A1 +及びA2 +が存在す
るときA+イオンを選択することによって形成されるスペクトルである、質量ス
ペクトル5を示す。
【図16】 図16は、2種類のそのようなイオン(A1 +及びA2 +)が存在
するときQ1でA+イオンを選択し、Q2で衝突によって選択したイオンの解離
を誘導して、Q3ではA1 +(P+)の既知の衝突生成物を選択することにより、
三重四極質量分析計において形成されるスペクトルである、質量スペクトル6を
示す−そのような手順はA1 +及びA2 +の分離を可能にする。
【図17】 図17は、本発明に従った5個の質量ラベルのセットの二次元
スペクトルであり、質量MXがQ1(一次元)で選択され、5つの異なる質量、
0、X1、X2、X3及びX4がQ3(二次元)で選択される、質量スペクトル7
を示す。
【図18】 図18は、本発明に従った4個の質量ラベルのセットの二次元
スペクトルであり、4つの異なる質量、M00、M10、M20及びM30がQ
1(一次元)で選択され、単一質量M0がQ3(二次元)で選択される、質量ス
ペクトル8を示す。
【図19】 図19は、M0−M3とX0−X3のすべての組合せから形成され
るラベルを含む質量ラベルのセットの二次元スペクトルであり、7つの異なる質
量がQ1(一次元)で選択され、4つの異なる質量X0−X3がQ3(二次元)で
選択される、質量スペクトル9を示す。
【図20】 図20は、本発明の質量ラベルを使用して、熱によって又は電
子噴霧イオン化を用いてそれらをそれらの分析物から開裂する、典型的な開裂工
程の概要図を示す。
【図21】 図21は、本発明に従った5個の質量ラベルのセットを使用し
た二次元質量分析における選択手順の概要図を示す。
【図22】 図22は、本発明に従った重水素化された質量ラベルを示す。
【図23】 図23は、本発明に従ったさらなる重水素化質量ラベルを示す
【図24】 図24は、各々の試料が図23に示す式を有するラベルの1つ
に結合されている、配列H2N−gly−leu−ala−ser−glu−C
OOHを有するペプチドの2つの試料についての理論上のスペクトルを示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成14年5月28日(2002.5.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マーカー部分であり、Aは質量調
節部分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、yおよびzは0以上の整数であ
り、y+zは1以上の整数である) を有する、請求項4に記載の質量ラベルのセット。
【化2】 (式中、Rは水素であるか、あるいは置換または非置換の脂肪族基または芳香族
基または環状基または複素環状基である) から選択される基を含む、請求項13に記載の質量ラベルのセット。
【化3】 (式中、Rは水素であるか、或いは置換若しくは非置換の脂肪族基、芳香族基、
環状基または複素環状基であり;Lは開裂可能なリンカーであり;Aは質量調節
部分であり;各pは同じであって、0以上の整数であり;各y’は同じまたは異
なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべての
y’の和はyに等しく;各z’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数
であり、任意の1つのラベルに対するすべてのz’の和はzに等しく;y+zは
1以上の整数である) を有する、請求項5〜14のいずれかに記載の質量ラベルのセット。
【化4】 (式中、Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マー
カー部分であり、Aは質量調節部分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、x
は0以上の整数であり、yおよびzは0以上の整数であり、y+zは1以上の整
数である) を有する、請求項20に記載の質量ラベルのアレイ。
【化5】 (式中、Rは水素であるか、あるいは置換または非置換の脂肪族基または芳香族
基または環状基または複素環状基であり;各pは同じで、0以上の整数であり;
xは0以上の整数であり、そしてxは、アレイ内の任意の1つのセットにおける
各質量ラベルについては同じであり、かつ任意の1つのセットのxは、アレイ内
のどの他のセットのxとは異なり;各y’は同じまたは異なってもよく、かつ0
〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべてのy’の和はyに等しく
;各z’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つの
ラベルに対するすべてのz’の和はzに等しく;y+zは1以上の整数である)
を有する、請求項21または請求項22に記載の質量ラベルのアレイ。
【化6】 (式中、Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マー
カー部分であり、Aは質量マーカー部分および質量規格化部分の質量調節部分で
あり、A*はAと同じまたは異なっていてもよく、質量系列修飾基の質量調節部
分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、rは0以上の整数で、アレイ内の質
量ラベルのセットが1セット以上のときには少なくとも1であり、yおよびzは
0以上の整数であり、y+zは1以上の整数である) を有する質量ラベルを含む、請求項25に記載の質量ラベルのアレイ。
【化7】 (式中、Rは水素であるか、或いは置換若しくは非置換の脂肪族基、芳香族基、
環状基または複素環状基であり;各pは同じで、0以上の整数であり;xは0以
上の整数であり、そしてxは、アレイ内のすべて質量ラベルについては同じであ
り;各y’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つ
のラベルに対するすべてのy’の和はyに等しく;各z’は同じまたは異なって
もよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべてのz’の
和はzに等しく;y+zは1以上の整数であり;各r’は同じまたは異なっても
よく、任意の1つのラベルに対するすべてのr’はrに等しく;rは0以上の整
数で、アレイ内の質量ラベルの1つ以上については少なくとも1である) を有する質量ラベルを含む、請求項26に記載の質量ラベルのアレイ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/68 G01N 33/68 // C07D 213/68 C07D 213/68 213/75 213/75 213/81 213/81 C07M 5:00 C07M 5:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アンドリュー ハギン トンプソン イギリス国 ケイエー7 4アールエイチ エア アロウェイ ノール パーク 25 (72)発明者 ロバート アレクサンダー ウォーカー ジョンストン イギリス国 エル63 9エルディ ベビン トン プールトン ロード 39 Fターム(参考) 2G045 DA12 DA13 DA14 FA34 FB02 FB05 FB06 4B063 QA13 QA18 QQ42 QQ52 QQ79 QQ80 QR55 QR56 QS03 QS16 QS17 QS36 QS39 QX04 4C055 AA04 BA01 BA02 BA03 BA39 CA01 CA02 CA03 CA39 DA34 DA42 DA53 DB04 DB10 DB11 GA01

Claims (80)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つ以上の質量ラベルを含むセットであって、 セット内の各ラベルが、開裂可能なリンカーを介して質量規格化部分に結合し
    たフラグメンテーション抵抗性の質量マーカー部分を含み、 セット内の各ラベルの総質量は同じまたは異なっていてもよく、かつセット内
    の各ラベルの質量マーカー部分の質量が同じまたは異なっていてもよく、 ここで、共通した質量の質量マーカー部分を有するセット内の任意のラベル群
    においては、各ラベルは、その群内の他のすべてのラベルとは異なる総質量を有
    していて、 また共通した総質量を有するセット内の任意のラベル群においては、各ラベル
    は、その群内の他のすべての質量マーカー部分の質量とは異なる質量を有してい
    て、 その結果、セット内の質量ラベルのすべてが質量分析法によって互いに識別す
    ることができる、質量ラベルのセット。
  2. 【請求項2】 前記セット内の各ラベルが、共通した質量を有する質量マー
    カー部分を含み、かつセット内の各ラベルが固有の総質量を有する、請求項1に
    記載の質量ラベルのセット。
  3. 【請求項3】 前記セット内の各ラベルが、固有の質量を有する質量マーカ
    ー部分を含み、かつセット内の各ラベルが共通した総質量を有する、請求項1に
    記載の質量ラベルのセット。
  4. 【請求項4】 前記セット内の各質量マーカー部分が共通した基本構造を有
    し、かつセット内の各質量規格化部分が、質量マーカー部分の共通した基本構造
    と同じまたは異なり得る共通した基本構造を有し、 そしてセット内の各質量ラベルが1つ以上の質量調節部分を含むとともに、セ
    ット内のすべての質量マーカー部分が異なる数の質量調節部分を含んでいて、 且つセット内のすべての質量ラベルが同じ数の質量調節部分を有するように、
    質量調節部分が質量マーカー部分の基本構造および/または質量規格化部分の基
    本構造に結合しているか、あるいは質量マーカー部分の基本構造内および/また
    は質量規格化部分の基本構造内に存在している、請求項3に記載の質量ラベルの
    セット。
  5. 【請求項5】 前記セット内の各質量ラベルが、下記の構造: 【化1】 (式中、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マーカー部分であり、Aは質量調
    節部分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、yおよびzは0以上の整数であ
    り、y+zは1以上の整数である) を有する、請求項4に記載の質量ラベルのセット。
  6. 【請求項6】 質量調節部分が、 (a)質量マーカー部分の基本構造内および/または質量規格化部分の基本構造
    内に存在する同位体置換基、ならびに (b)質量マーカー部分の基本構造に結合し、及び/または質量規格化部分の基
    本構造に結合している置換原子または置換基 から選択される、請求項4または請求項5に記載の質量ラベルのセット。
  7. 【請求項7】 前記質量調節部分が、ハロゲン原子置換基、メチル基、およ
    2Hまたは13Cの同位体置換基から選択される、請求項6に記載の質量ラベル
    のセット。
  8. 【請求項8】 前記質量調節部分がフッ素原子置換基である、請求項7に記
    載の質量ラベルのセット。
  9. 【請求項9】 前記質量マーカー部分を質量規格化部分に結合する開裂可能
    なリンカーが、衝突により開裂可能なリンカーである、前述の請求項のいずれか
    に記載の質量ラベルのセット。
  10. 【請求項10】 前記開裂可能なリンカーがアミド結合を含む、請求項9に
    記載の質量ラベルのセット。
  11. 【請求項11】 前記質量マーカー部分および/または質量規格化部分がフ
    ラグメンテーション抵抗性の基を含む、前述の請求項のいずれかに記載の質量ラ
    ベルのセット。
  12. 【請求項12】 前記質量規格化部分がフェニル基を含む、請求項11に記
    載の質量ラベルのセット。
  13. 【請求項13】 前記質量マーカー部分が、予めイオン化された基を含んで
    いる、前記請求項のいずれかに記載の質量ラベルのセット。
  14. 【請求項14】 前記質量マーカー部分がN−メチルピリジル基を含むか、
    または下記の基: 【化2】 (式中、Rは水素であるか、あるいは置換または非置換の脂肪族基または芳香族
    基または環状基または複素環状基である) から選択される基を含む、請求項13に記載の質量ラベルのセット。
  15. 【請求項15】 前記セット内のラベルのそれぞれが、下記の構造: 【化3】 (式中、Rは水素であるか、或いは置換若しくは非置換の脂肪族基、芳香族基、
    環状基または複素環状基であり;Lは開裂可能なリンカーであり;Aは質量調節
    部分であり;各pは同じであって、0以上の整数であり;各y’は同じまたは異
    なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべての
    y’の和はyに等しく;各z’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数
    であり、任意の1つのラベルに対するすべてのz’の和はzに等しく;y+zは
    1以上の整数である) を有する、請求項5〜14のいずれかに記載の質量ラベルのセット。
  16. 【請求項16】 Rが水素原子であり、Lがアミド結合であり、p=0で、
    Aがフッ素原子である、請求項15に記載の質量ラベルのセット。
  17. 【請求項17】 請求項3〜16のいずれかに記載される質量ラベルのセッ
    トを2セット以上含む質量ラベルのアレイであって、 該アレイ内の任意のセットの質量ラベルのそれぞれの総質量が、アレイ内のど
    の他のセットの質量ラベルのそれぞれの総質量とは異なる、質量ラベルのアレイ
  18. 【請求項18】 少なくとも1つのセットにおける各質量ラベルが、共通し
    た質量の質量系列修飾基を含み、任意の1つのセットの質量ラベルのそれぞれに
    おける質量系列修飾基が、アレイ内のどの他のセットの質量ラベルのそれぞれに
    おける質量系列修飾基とは異なる質量を有する、請求項17に記載の質量ラベル
    のアレイ。
  19. 【請求項19】 質量ラベルの開裂可能なリンカーが切断されたときに、質
    量系列修飾基が質量マーカー部分から脱離するように、質量系列修飾基が質量ラ
    ベルに結合している、請求項18に記載の質量ラベルのアレイ。
  20. 【請求項20】 前記アレイ内の各セットの質量系列修飾基が共通した基本
    構造を有し、前記アレイ内の任意のセットの各質量ラベルが、当該セットのそれ
    以外の質量ラベルと同じ数の質量系列修飾基を有し、かつアレイ内のどの他のセ
    ットの質量ラベルとも異なる数の質量系列修飾基を有する、請求項18または請
    求項19に記載の質量ラベルのアレイ。
  21. 【請求項21】 前記アレイ内の各質量ラベルが、下記の構造のいずれか: 【化4】 (式中、Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マー
    カー部分であり、Aは質量調節部分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、x
    は0以上の整数であり、yおよびzは0以上の整数であり、y+zは1以上の整
    数である) を有する、請求項20に記載の質量ラベルのアレイ。
  22. 【請求項22】 前記質量系列修飾基がアリールエーテル基を含む、請求項
    18〜21のいずれかに記載の質量ラベルのアレイ。
  23. 【請求項23】 前記アレイ内の各質量ラベルが、下記の構造のいずれか: 【化5】 (式中、Rは水素であるか、あるいは置換または非置換の脂肪族基または芳香族
    基または環状基または複素環状基であり;各pは同じで、0以上の整数であり;
    xは0以上の整数であり、そしてxは、アレイ内の任意の1つのセットにおける
    各質量ラベルについては同じであり、かつ任意の1つのセットのxは、アレイ内
    のどの他のセットのxとは異なり;各y’は同じまたは異なってもよく、かつ0
    〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべてのy’の和はyに等しく
    ;各z’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つの
    ラベルに対するすべてのz’の和はzに等しく;y+zは1以上の整数である)
    を有する、請求項21または請求項22に記載の質量ラベルのアレイ。
  24. 【請求項24】 前記アレイ内のすべてのセットの質量系列修飾基が共通し
    た基本構造を有し、そして少なくとも1つのセットの質量ラベルの質量系列修飾
    基が1つ以上の質量調節部分を含み、該質量調節部分が質量系列修飾基の基本構
    造に結合しているか、または質量系列修飾基の基本構造内に存在している、請求
    項18または請求項19に記載の質量ラベルのアレイ。
  25. 【請求項25】 前記アレイ内のすべてのセットのすべての質量ラベルが同
    じ数の質量系列修飾基を有していて、 任意のセットの各質量ラベルにおける質量系列修飾基が、当該セットのどの他
    のラベルにおける質量系列修飾基と同じ数の質量調節部分を有している また任意のセットの質量ラベルにおける質量系列修飾基が、アレイ内のどの他
    のセットのラベルにおける質量系列修飾基とは異なる数の質量調節基を有してい
    る、 請求項24に記載の質量ラベルのアレイ。
  26. 【請求項26】 前記アレイ内のセットのそれぞれが、下記の構造のいずれ
    か: 【化6】 (式中、Sは質量系列修飾基であり、Mは質量規格化部分であり、Xは質量マー
    カー部分であり、Aは質量マーカー部分および質量規格化部分の質量調節部分で
    あり、A*はAと同じまたは異なっていてもよく、質量系列修飾基の質量調節部
    分であり、Lは開裂可能なリンカーであり、rは0以上の整数で、アレイ内の質
    量ラベルのセットが1セット以上のときには少なくとも1であり、yおよびzは
    0以上の整数であり、y+zは1以上の整数である) を有する質量ラベルを含む、請求項25に記載の質量ラベルのアレイ。
  27. 【請求項27】 前記アレイ内のセットのそれぞれが、下記の構造のいずれ
    か: 【化7】 (式中、Rは水素であるか、或いは置換若しくは非置換の脂肪族基、芳香族基、
    環状基または複素環状基であり;各pは同じで、0以上の整数であり;xは0以
    上の整数であり、そしてxは、アレイ内のすべて質量ラベルについては同じであ
    り;各y’は同じまたは異なってもよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つ
    のラベルに対するすべてのy’の和はyに等しく;各z’は同じまたは異なって
    もよく、かつ0〜4の整数であり、任意の1つのラベルに対するすべてのz’の
    和はzに等しく;y+zは1以上の整数であり;各r’は同じまたは異なっても
    よく、任意の1つのラベルに対するすべてのr’はrに等しく;rは0以上の整
    数で、アレイ内の質量ラベルの1つ以上については少なくとも1である) を有する質量ラベルを含む、請求項26に記載の質量ラベルのアレイ。
  28. 【請求項28】 任意の1つのセットの質量ラベルは、4ダルトン以上で、
    アレイ内のどの他のセットの質量ラベルとは質量が異なる、請求項17〜27の
    いずれか記載の質量ラベルのアレイ。
  29. 【請求項29】 2つ以上のプローブを含むセットであって、 該セット内の各プローブが異なり、かつ請求項1〜28のいずれかに記載され
    る質量ラベルのセットまたはアレイに由来する固有の質量ラベルまたは質量ラベ
    ルの固有の組合せに結合している、プローブのセット。
  30. 【請求項30】 2セット以上のプローブを含むプローブのアレイであって
    、 ここで、任意のセットにおける各プローブが、請求項1〜16のいずれかに記
    載される質量ラベルのセットに由来する固有の質量ラベルまたは質量ラベルの固
    有の組合せに結合していて、 また任意のセットにおけるプローブが、質量ラベルが同じであるセットからの
    質量ラベルに結合していて、 かつプローブの各セットが、請求項17〜28のいずれかに記載の質量ラベル
    のアレイに由来する固有の質量ラベルのセットに由来する質量ラベルに結合して
    いる、プローブのアレイ。
  31. 【請求項31】 各プローブが質量ラベルの固有の組合せに結合し、各組合
    せが、質量ラベルのセットにおける各質量ラベルの存在および非存在によって、
    及び/またはプローブに結合した各質量ラベルの量によって識別される、請求項
    29または請求項30に記載のプローブのセットまたはアレイ。
  32. 【請求項32】 各プローブが生体分子を含む、請求項29〜31のいずれ
    かに記載のプローブのセットまたはアレイ。
  33. 【請求項33】 前記生体分子が、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、
    核酸塩基、タンパク質および/またはアミノ酸から選択される、請求項32に記
    載のプローブのセットまたはアレイ。
  34. 【請求項34】 質量分析法によって、分析物に関連し得る質量ラベルまた
    は質量ラベルの組合せを同定することによって分析物を検出することを含む方法
    であって、 前記質量ラベルが、請求項1〜28のいずれかに記載される質量ラベルのセッ
    トまたはアレイに由来する質量ラベルである分析方法。
  35. 【請求項35】 2つ以上の分析物が、質量分析法によってそれらの質量ラ
    ベルまたは質量ラベルの組合せを同時に同定することによって検出される、請求
    項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 各分析物が、質量ラベルのセットまたはアレイに由来する
    質量ラベルの固有の組合せによって同定され、 各組合せが、セットまたはアレイにおける各質量ラベルの存在および非存在に
    よって、及び/又は各質量ラベルの量によって、識別される、 請求項34または請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 分析物がその質量に従って分離され、その後、質量分析法
    によって質量ラベルが検出される、2つ以上の分析物を同定するための請求項3
    4〜36のいずれかに記載の方法。
  38. 【請求項38】 分離がクロマトグラフィー法または電気泳動法によって行
    われる、請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 質量ラベルを検出するために用いられる質量分析計は、1
    つ以上の質量アナライザーを含んでいて、 該質量アナライザーは、特定の質量のイオンまたは特定の質量範囲のイオンを
    、検出のために通過させることができるもの、及び/またはイオンを解離させる
    ことができるものである、請求項34〜38のいずれかに記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記質量アナライザーを使用して、1つ以上の既知の質量
    ラベルに対して特異的な特定の質量または特定の質量範囲のイオンが選択され、 選択されたイオンが解離させられ、 得られた解離生成物を検出して、前記選択された質量ラベルを示すイオンパタ
    ーンが同定される、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 質量分析計が3つの四極質量アナライザーを含む、請求項
    39または請求項40に記載の方法。
  42. 【請求項42】 第1の質量アナライザーが、特定の質量のイオンまたは特
    定の質量範囲のイオンを選択するために使用され、 第2の質量アナライザーが、選択されたイオンを解離させるために使用され、 第3の質量アナライザーが、得られたイオンを検出するために使用される、請
    求項40または請求項41に記載の方法。
  43. 【請求項43】 (a)1つ以上の分析物を、請求項29〜33のいずれか
    に記載されるプローブのセットまたはプローブのアレイと接触させる工程、 (b)該分析物に関連し得るプローブを検出することによって、当該分析物を同
    定する工程 を含む、請求項34〜42のいずれかに記載の方法。
  44. 【請求項44】 質量ラベルがプローブから切断され、その後、質量ラベル
    が質量分析法によって検出される、請求項43に記載の方法。
  45. 【請求項45】 1つ以上の核酸をハイブリッド形成用プローブのセットと
    接触させる工程を含む、請求項43または請求項44に記載の方法。
  46. 【請求項46】 ハイブリッド形成用プローブのセットが、256個までの
    4マー(4mer)のセットを含み、セット内の各プローブが核酸塩基の異なる
    組合せを有する、請求項45に記載の方法。
  47. 【請求項47】 (a)請求項1〜28のいずれかに記載される質量ラベル
    のセットまたはアレイに由来する質量ラベルまたは質量ラベルの組合せを用いて
    各分析物を標識した1つ以上の分析物を提供する工程、 (b)該質量ラベルを当該分析物から切断する工程、 (c)該質量ラベルを検出する工程、 (d)該質量ラベルを質量分析計で解離させて、質量マーカー部分を質量規格化
    部分から遊離させる工程、 (e)該質量マーカー部分を検出する工程、および (f)該質量ラベルの質量スペクトルおよび質量マーカー部分の質量スペクトル
    に基づいて分析物を同定する工程 を含む二次元質量分析による分析法。
  48. 【請求項48】 工程(c)において、選ばれた質量または選ばれた質量範
    囲の質量ラベルが検出のために選択され、及び/または工程(e)において、特
    定の質量または特定範囲の質量を有する質量マーカー部分が検出のために選択さ
    れる、請求項47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 (a)標識された分析物の混合物を、該分析物の第1の性
    質に基づく第1の分離処理に供する工程、 (b)得られた分離分析物を、分析物の第2の性質に基づく第2の分離処理に供
    する工程、および (c)標識を検出することによって、前記分析物を検出する工程 を含む分析方法であって、 前記分析物が、請求項1〜28のいずれかに記載される質量ラベルのセットま
    たはアレイに由来する質量ラベルで標識される、分析方法。
  50. 【請求項50】 工程(a)および/または工程(b)において、分析物が
    その長さまたは質量に従って分離される、請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 工程(a)および/または工程(b)において、分析物が
    その等電点に従って分離される、請求項49または請求項50に記載の方法。
  52. 【請求項52】 分析物が、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ
    酸または核酸あるいはそれらの断片を含む、請求項49〜51のいずれかに記載
    の方法。
  53. 【請求項53】 請求項49〜52のいずれかに従った2次元ゲル電気泳動
    の方法。
  54. 【請求項54】 (a)断片の特徴を同定するために、請求項1〜28のい
    ずれかに記載される質量ラベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルが、
    各断片に、開裂可能に結合している核酸断片の集団を提供する工程、 (b)複数の断片をその長さに基づいて分離する工程、 (c)各断片を切断して、その質量ラベルを遊離させる工程、および (d)質量分析法によって各質量ラベルを測定して、各断片の特徴を当該断片の
    長さに関連させる工程 を含む、核酸を特徴付けるための方法。
  55. 【請求項55】 (a)1つ以上のcDNAまたはその断片の集団を含むサ
    ンプルを、所定の配列を認識して、各cDNAまたはその断片の末端に近い所定
    の配列から既知の距離にある参照部位で切断する切断剤にさらして、末端断片の
    集団を得る工程、 (b)サンプリングした切断剤に対する認識部位を含むアダプターオリゴヌクレ
    オチドを各参照部位に連結する工程、 (c)認識部位に結合して、当該認識部位から既知の距離のサンプリングした部
    位で切断するサンプリングした切断剤に、前記末端断片の集団をさらして、各末
    端断片中に6塩基までの所定長さで配列が未知である付着末端配列を得る工程、
    (d)末端断片の集団を配列の長さに従ってサブ集団に分ける工程、および (e)(i)所定の長さのすべての可能な塩基配列を含有する、標識されたハイ
    ブリッド形成用プローブのアレイでプローブすること、 (ii)前記粘着末端配列を、該粘着末端とハイブリダイゼーションするよう
    なプローブに連結させる工程、および (iii)ラベルの同定、好ましくはラベルの定量によって、どのプローブが
    連結されているかを決定することによって、各付着末端配列を決定する工程 を含む方法であって、 前記ラベルが、請求項1〜28のいずれかに記載されるセットまたはアレイに
    由来する質量ラベルである、cDNAを特徴付けるための請求項54に記載の方
    法。
  56. 【請求項56】 末端断片の集団が、キャピラリー電気泳動、HPLCまた
    はゲル電気泳動によって分けられる、請求項55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 1つ以上の核酸を鋳型としてサンガーラダー核酸断片を、
    少なくとも1つの標識された末端塩基の存在下で生じさせる工程、および 断片の長さ及び断片の末端塩基を同定する工程 を含み、ラベルが末端塩基に関連し得、かつ請求項1〜28のいずれかに記載さ
    れるセットまたはアレイに由来する質量ラベルである、核酸を特徴付けるための
    方法。
  58. 【請求項58】 すべての4つの末端塩基が同じ反応域に存在する、請求項
    57に記載の方法。
  59. 【請求項59】 同じ反応域に存在する複数の核酸を鋳型としてサンガーラ
    ダー核酸断片を生成する工程、及び 生成した各核酸断片について、断片の長さ、断片が生じた鋳型の正体、断片の
    末端塩基を同定する工程を含む方法であって、 前記断片を生成させる前に、標識されたプライマーヌクレオチドまたはオリゴ
    ヌクレオチドが各鋳型とハイブリッドを形成し、各プライマーにおけるラベルが
    、鋳型の同定を可能にするために、そのプライマーがハイブリッドを形成する鋳
    型に対して特異的である、請求項59または請求項60に記載の方法。
  60. 【請求項60】 鋳型を同定するラベルが、請求項1〜28のいずれかに記
    載されるセットまたはアレイに由来する質量ラベルである、請求項59に記載の
    方法。
  61. 【請求項61】 核酸の配列を決定するための方法であって、 (a)それぞれが固有の量で存在し且つそれに連結するための核酸の二本鎖部分
    を提供するプライマーを有する一本鎖DNAを1つ以上含む標的核酸の集団を得
    る工程、 (b)該核酸集団をハイブリッド形成用プローブのアレイと接触させる工程であ
    って、 各プローブが所定の長さの既知の塩基配列に開裂可能に結合したラベルを含み
    、前記アレイがその所定の長さのすべての可能な塩基配列を含有するともに該塩
    基配列は互いに連結することができず、 前記接触が、各核酸の二本鎖部分に連結する条件のもとでリガーゼの存在下で
    行われ、 プローブが、二本鎖部分に隣接する一本鎖核酸に対して相補的な塩基配列を有
    し、それにより、さらなるプローブに対する連結ができない伸長した二本鎖部分
    が形成される工程; (c)連結されていないすべてのプローブを除く工程;その後、 (d)連結されたプローブを切断して、各ラベルを遊離させる工程; (e)各ラベルの量を記録する工程;および (f)伸長した二本鎖部分を活性化して、それに対する連結を可能にする工程;
    そして、 (g)工程(b)〜(f)を、各ラベルの遊離の配列を決定することによって、
    その一本鎖核酸または各一本鎖核酸の配列を決定するために十分な回数のサイク
    ルで繰り返す工程 を含み、ハイブリッド形成用プローブのラベルそれぞれが、請求項1〜28のい
    ずれかに記載されるセットまたはアレイに由来する方法。
  62. 【請求項62】 ハイブリッド形成用プローブが256個の4マー(4me
    r)のセットであり、セット内の各プローブが核酸塩基の異なる組合せを有する
    、請求項61に記載の方法。
  63. 【請求項63】 ペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む
    サンプルを特徴付けるための方法であって、 (a)ペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含むサンプルを提供
    すること、この場合、それぞれのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパ
    ク質は、これらに対して開裂可能に結合した請求項1〜28のいずれかに記載さ
    れる質量ラベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルまたは質量ラベルの
    組合せを有し、それぞれのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質は
    そのラベルまたはラベルの組合せに関連し得る; (b)標識されたペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を分析して
    、ラベルを検出すること を含む方法。
  64. 【請求項64】 サンプルが、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含
    むサンプルに対する切断剤の作用からペプチドを形成させることによって提供さ
    れる、請求項63に記載の方法。
  65. 【請求項65】 標識されたペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパ
    ク質が、分析前にクロマトグラフィー法または電気泳動法によって分離される、
    請求項63または請求項64に記載の方法。
  66. 【請求項66】 複数のサンプルが提供される、請求項63〜65のいずれ
    かの記載の方法。
  67. 【請求項67】 複数のサンプルが分析前にまとめられる、請求項66に記
    載の方法。
  68. 【請求項68】 サンプル中のペプチド、ポリペプチドおよび/またはタン
    パク質の1つ以上が翻訳後修飾されるとともに糖鎖を含んでいて、修飾されたペ
    プチド、ポリペプチドまたはタンパク質を、前記糖鎖のカルボニル基を介してビ
    オチンを結合させることによってビオチン化することを含む、請求項63〜67
    のいずれかの記載の方法。
  69. 【請求項69】 サンプル中のペプチド、ポリペプチドおよび/またはタン
    パク質の1つ以上がチロシンのリン酸化により翻訳後修飾されており、そしてそ
    のような修飾されたペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を、抗ホ
    スホチロシン抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって分離す
    ることを含む、請求項63〜67のいずれかに記載の方法。
  70. 【請求項70】 1つのペプチド断片をそれぞれのペプチド、ポリペプチド
    および/またはタンパク質から単離することを含む、請求項63〜69のいずれ
    かの記載の方法。
  71. 【請求項71】 単離された各断片が末端断片である、請求項70に記載の
    方法。
  72. 【請求項72】 (a)複数のポリペプチドの集団を含むサンプルを、特異
    的なアミノ酸残基またはアミノ酸配列をポリペプチド鎖において認識して、切断
    部位において切断することが知られている切断剤で処理し、それにより集団を切
    断して、ペプチド断片を得る工程; (b)前記断片が断片化されたポリペプチドのN末端またはC末端を参照末端と
    して有するペプチド断片の集団を単離する工程、ここで、各ペプチド断片は参照
    末端に近い切断部位を反対側の末端に有する; (c)ペプチド断片の単離前または単離後に、請求項1〜28のいずれかに記載
    される質量ラベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルまたは質量ラベル
    の組合せでポリペプチドの各参照末端を標識する工程、この場合、各参照末端が
    そのラベルまたはラベルの組合せに関連し得る;および (d)切断部位からの範囲が所定数のアミノ酸残基の配列である、単離された1
    つ以上の断片の特性配列(signature sequence)を質量分析
    法によって測定する工程 を含み、前記特性配列により各ポリペプチドが特徴付けられる、請求項71に記
    載の方法。
  73. 【請求項73】 (a)1つ以上のポリペプチドを含むサンプルを第1の切
    断剤と接触させて、ポリペプチド断片を得る工程; (b)各断片が断片化されたポリペプチドのN末端またはC末端を含むポリペプ
    チド断片を1つ以上、単離する工程; (c)前記ポリペプチド断片の単離前または単離後に、請求項1〜28のいずれ
    かに記載される質量ラベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルまたは質
    量ラベルの組合せでポリペプチドの各末端を標識する工程であって、各末端がそ
    のラベルまたはラベルの組合せに関連し得る工程;および (d)単離された断片を質量分析法によって同定する工程; (e)第1の切断剤とは異なる部位で切断する第2の切断剤を使用してサンプル
    に対して工程(a)〜(d)を繰り返す工程;および (f)工程(d)および工程(e)で同定された断片から、サンプル内の1つ以
    上のポリペプチドを特徴付ける工程 を含む、請求項71に記載の方法。
  74. 【請求項74】 分析方法における、請求項1〜28のいずれかに記載され
    るラベルのセットまたはアレイに由来する質量ラベルの使用。
  75. 【請求項75】 2次元電気泳動分析の方法における、請求項74に記載の
    使用。
  76. 【請求項76】 2次元質量分析による分析の方法における、請求項74に
    記載の使用。
  77. 【請求項77】 1つ以上の核酸を配列決定する方法における、請求項74
    〜76のいずれかに記載の使用。
  78. 【請求項78】 遺伝子発現プロフィル分析の方法における、請求項74〜
    76のいずれかに記載の使用。
  79. 【請求項79】 タンパク質発現プロフィル分析の方法における、請求項7
    4〜76のいずれかに記載の使用。
  80. 【請求項80】 核酸分類分析の方法における、請求項74〜76のいずれ
    かに記載の使用。
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