JP2003528978A - 圧延された金属ストリップ、特に鋼ストリップの酸洗のための方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 圧延された金属ストリップ、特に鋼ストリップの酸洗のための方法および装置において、金属ストリップ１は、制御された酸洗過程に供給される。酸洗過程を、通例の酸洗パラメータに基づいて実施するのではなくて、むしろ酸洗槽の外側の付加的なパラメータを考慮に入れるために、酸洗過程が、酸洗媒体パラメータに加えて、酸洗部３内への金属ストリップ１の走入前に、コイル２及び／または金属ストリップ１の確認及び／または測定されたパラメータに基づいて制御されることが提案される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、制御された酸洗過程に供給される、金属ストリップ、特に鋼ストリ
ップの酸洗のための方法および装置に関する。

【０００２】 ドイツ連邦共和国特許公開第１９７ ４３ ０２２号明細書から、金属ストリ
ップの酸洗のための方法が公知であり、この方法は、通過方向において酸洗設備
の後方での測定に基づき、且つこの方法の場合、測定機器が検出する、例えば酸
洗液体の温度、金属ストリップの通過速度、酸洗液体内における酸含有量、金属
含有量、特に鉄含有量、例えば材料および幾何学的な寸法のようなストリップパ
ラメータ、のような欠陥カテゴリーにより、酸洗パラメータが調節される。それ
故に、この欠陥は、ただ後において確認できるだけであり、比較的に有利な酸洗
が推論される。従って、制御区間は、ただ酸洗設備自体だけを検出する。

【０００３】 他の公知の方法（ヨーロッパ特許公開第４８２ ７２５号明細書）は、乱流に
よって作動し、この乱流が、酸洗容器内で、ノズルによって形成される。これに
よって、最適な酸洗結果が、酸洗媒体の最低限の消費量において達成されるよう
努力されている。この結果は、この乱流が、酸洗媒体内において、酸洗されるべ
きストリップの通過速度に依存して制御されるように達成されねばならない。更
なる作用は、期待され得ない。

【０００４】 酸洗設備において、圧延ストリップの酸洗のための更なる方法は、ヨーロッパ
特許第６０２ ４３７号明細書から公知である。この方法は、多数の相前後して
接続された酸洗槽の特別な作動方法に基づいている。この酸洗槽内において、少
なくとも横から、ストリップ走行面の上方および下方に、この槽に配設された噴
射ノズルを介して、酸を含有する酸洗媒体が噴射され、その際に、これらノズル
が可変に制御され、且つこの酸洗媒体が、適宜の予備選定可能な量でもって投入
される。その際に、酸濃度、及び／または媒体温度及び／または酸洗媒体のノズ
ル流出速度は予備選定可能である。

【０００５】 従って、本発明の根底をなす課題は、酸洗過程を、通例の酸洗パラメータに基
づいて実施するのではなくて、むしろ酸洗槽の外側の付加的なパラメータを考慮
に入れることである。

【０００６】 この提示された課題は、本発明に従い、酸洗過程が、酸洗媒体パラメータに加
えて、酸洗部内への金属ストリップの走入前に、コイル及び／または金属ストリ
ップの確認及び／または測定されたパラメータに基づいて制御されることによっ
て解決される。不足酸洗または過度酸洗が回避されるように、酸濃度および酸供
給が正確に調節され且つこれによって酸洗媒体が経済的に使用されるように、且
つ正確な温度が前もって他の先行して調節されるべき酸洗パラメータとの協働で
算出されるように、これら酸洗パラメータを、前もって調節することは有利であ
る。その際に、鋳造、熱間成形の後、および焼鈍の後の、予脱スケーリング（Vo
rentzunderung）の際に除去されたスケールおよび他の付着物は、既に考慮に入
れられる。従って、本発明は、同様に、このスケールが（伸張曲げ矯正装置を介
して）事前に砕かれていることも考慮に入れており、その際、亀裂および細孔が
、スケール層内に形成し、これらが酸によって湿潤された表面を増大させる。こ
のスケールが研磨的に、流体力学的に除去される場合に関しては、酸洗プロセス
において分離されるべきスケール量が減少され、従って、予脱スケーリングの様
式に応じて、酸洗時間が減少される。金属ストリップの温度が、酸洗部内への走
入の前で高められる場合、ストリップ表面と酸洗媒体の接触時間は、最適な酸洗
温度において延長する。金属ストリップの加熱区間は短縮され、酸洗時間が減少
する。このスケールが、レーザー光学的に酸洗部内への入口の前で除去され、且
つ解離されるべきスケールの量が減少された場合に、この酸洗時間は、同様に減
少する。

【０００７】 その際に、この方法は、酸洗過程が、形成演算モデル（セットアップ演算モデ
ル）(Aufbau-Rechenmodell)に基づいてコイルの測定値でもって予調節され、且
つ、少なくとも、スケール、ストリップ温度、酸洗媒体温度、及び／または酸濃
度に関する測定値を考慮に入れた、制御演算モデル（Regelungs-Rechenmodell）
に基づいて制御されるという構造およびやり方で使用される。例えば、スケール
量は、このことが従来行われているようには、もはや評価される必要がない。付
加的なスケール算出演算モデルの合体が行われる。このような最適化の目標値は
、最低限のエネルギー使用、比較的に可変のコイル序列（Coilfolgen）、表面汚
染物の種類および量での促進された反応、酸洗媒体消費量および酸洗媒体損失の
最低限化、過度酸洗の最低限化および不足酸洗の最低限化である。制御可能な予
脱スケーリングユニットの場合、スケールを検出するための測定機器を介して、
このスケールの層厚さ、形状、分布および色が測定される。この目的のために、
正確な算出演算モデルが使用される。

【０００８】 本発明の実施形態において、酸洗部の前でスケール堆積物(Zunderauflage)に
関して測定された値に基づいて、酸洗部の調節部材は、調節または再調節される
。このことによって、酸洗時間の制御は、できるだけ僅かな移送時間でもって可
能となる。

【０００９】 有利な方法で、細部においては、付加的に、スケール堆積物または付着物に関
する測定値が、移動方向において酸洗部の前の領域で検出され、且つ、酸洗部の
調節部材の再調節のために、及び／または測定値もしくは演算値の調整部(Abgle
ich)において使用される。

【００１０】 酸洗部の外側での他のパラメータは、コイルのストリップ入口情報、および機
械調節状態に基づいて、酸洗時間が制御されることによって、考慮に入れられて
いる。

【００１１】 他の方法の工程は、付着物またはスケールに関して検出された測定値が、酸洗
部の前方に接続されている前処理ユニットの制御のために使用されるように行わ
れる。このことによって、酸洗媒体は、この前処理ユニットに基づいて、更によ
り精確に、この酸洗媒体のパラメータ内に制御される。

【００１２】 その際に、測定値または演算値による調整部において、前処理ユニットおよび
酸洗部の調節部材が再調節されることは、更に有利である。

【００１３】 圧延された金属ストリップ、特に鋼ストリップの酸洗のための装置であり、こ
の金属ストリップが、処理方向において、コイルから酸洗設備に供給可能であり
、この酸洗設備のために、多数のパラメータによる制御装置が設けられている、
上記装置は、 コイル−測定値記録部、または形成演算モデルに関する情報記録部から、測定値
が、制御演算モデルを経由して、酸洗部の調節ユニットに接続可能であることに
よって、提示された課題を解決する。このことによって、酸洗部は、比較的に経
済的に、且つ比較的に精確に制御されるように駆動され、このことが上記した種
々の利点を誘起する。

【００１４】 本発明の実施形態において、コイル−測定値記録部から、測定値が、制御演算
モデルに入力可能であることが提案されている。形成演算モデルは、ここで、一
般的な入力情報を、金属ストリップのために利用する。このことから、遅鈍およ
び迅速な、酸洗部の調節部材を予調節、または調整部において再調節するために
、スケール堆積物が、諸種の演算方程式を介してモデルに基づいて算出される。

【００１５】 他の使用例のために、付着物またはスケールに関する測定値記録部の測定値が
、酸洗部の調節部材の再調節のために使用可能である。

【００１６】 他の特徴によれば、前処理ユニットが、酸洗部の前方に接続されており、この
前処理ユニットの測定値が、制御演算モデルに入力可能である。コイル情報およ
び瞬間の機械調節状態の、必要性の認識において、および適当な評価によって、
この前処理ユニットは、酸洗時間を調節可能である。この前処理ユニットは、予
熱ユニット、機械的な、研磨的な、流体力学的な、レーザー光学的な、または振
動技術的なスケール除去装置である。

【００１７】 更なる改善は、前処理ユニットと酸洗部との間に、ストリップのための誘導加
熱装置が接続されていることによって与えられる。この金属ストリップの誘導的
な予熱装置は、酸洗部の前で接続されており、且つ、金属ストリップ温度の迅速
な制御、および金属ストリップ酸洗温度の調節に使用される。

【００１８】 本発明の実施例を、図において概略的に図示し、以下で詳細に説明する。

【００１９】 図１による基本の実施形態において、金属ストリップ１は、コイル２から酸洗
部３に走行している。その際に、コイル情報４は、情報記録部４ａおよび情報記
録部４ｂによって、形成演算モデル６及び／または制御演算モデル８に入力され
、且つプログラムに従って処理される。この形成演算モデル６において、他の測
定値７が、考慮に入れられる。これによって、酸洗過程は、酸洗パラメータに加
えて、酸洗部３内への金属ストリップ１の走入前に、調節部材を有する機械装置
５内で、コイル２及び／または金属ストリップ１の確認及び／または測定された
パラメータに基づいて制御される。

【００２０】 図２による第１の変形に基づいて、酸洗パラメータの予調節と同時に、付加的
に、測定値記録部Ｍによって、スケール検出装置１０内における付着物もしくは
スケールに関して検出された測定値が、制御演算モデル８内において処理される
。酸洗過程は、それぞれに（図１から図５まで）、形成演算モデル６に基づいて
コイル２の測定値でもって予調節され、且つ、少なくとも、スケール、浴槽温度
、酸洗媒体温度、及び／または酸濃度に関する測定値を考慮に入れた、制御演算
モデル８に基づいて制御される。酸洗部３の前で、スケール堆積物に関する、付
加的に測定された値は、調節部材の調節または再調節のために、機械装置５内に
おいて使用される。

【００２１】 図３による第２の変形、およびコイル情報４の適当な評価に基づいて、酸洗時
間を調整する前処理ユニットＨの使用が行われる。付加的に、遅鈍および迅速な
、酸洗部３の調節部材は、制御演算モデル８からの測定値もしくは演算値の調整
部において、特に変更された酸洗時間の考慮のもとで、再調節される。

【００２２】 第３の変形の図４により、並列に付加的に、スケール堆積物または付着物のた
めの測定値が、スケール検出装置１０の測定値記録部Ｍによって、移動方向９に
おいて酸洗部３の前で検出され、且つ、酸洗部３の調節部材の再調節のために、
及び／または測定値もしくは演算値の調整部において使用される。更に、コイル
２のストリップ入口情報、および機械調節状態に基づいて、酸洗時間は、制御さ
れる。付着物またはスケールに関して検出された測定値は、酸洗部３の前方に接
続されている前処理ユニットＨの制御のために使用される。その際に、測定値ま
たは演算値による調整部において、前処理ユニットＨおよび酸洗部３の調節部材
は、再調節される。

【００２３】 図５による第４の変形に基づいて、スケール検出装置１０および前処理ユニッ
トＨに加えて、誘導加熱装置Ｗが、酸洗部３と前処理ユニットＨとの間に挿入さ
れている。汚染を金属ストリップ１から確実に除去するために必要である酸洗時
間は、接触時間として、洗浄されるべき表面、および酸洗媒体から定められる。
この前処理ユニットＨは、同様に、誘導加熱装置Ｗの様式において、予熱ユニッ
トも収容可能である。この前処理ユニットＨは、基本的に、機械的に、研磨的に
、流体力学的に、レーザー光学的に、または振動技術的に作用するスケール除去
装置を有している。この誘導加熱装置Ｗによる金属ストリップ１の誘導的な予熱
は、酸洗部３の前で組み込まれ、金属ストリップ温度および酸洗媒体温度の迅速
な制御に使用される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 基本の実施形態における、制御装置を有するコイルおよび酸洗設備のブロック
図である。

【図２】 測定値記録部を有する第１の変形における、同様のブロック図である。

【図３】 前処理ユニットを有する第２の変形における、ブロック図である。

【図４】 測定値記録部および前処理ユニットを有する第３の変形における、ブロック図
である。

【図５】 測定値記録部、前処理ユニット、および誘導加熱装置を有する第４の変形にお
ける、ブロック図である。

【符号の説明】

１ 金属ストリップ ２ コイル ３ 酸洗部 ４ コイル情報 ４ａ 情報記録部 ４ｂ 情報記録部 ５ 調節部材を有する機械装置 ６ 形成演算モデル ７ 測定値 ８ 制御演算モデル ９ 移動方向 １０ スケール検出装置 Ｍ 測定値記録部 Ｈ 前処理ユニット Ｗ 誘導加熱装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＡＵ，Ｂ Ｒ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＺ，ＥＥ，ＩＤ，ＩＮ，ＪＰ，ＫＲ ，ＬＴ，ＬＶ，ＭＸ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＩ， ＳＫ，ＴＲ，ＵＳ，ＺＡ (72)発明者 ブロック・ボード ドイツ連邦共和国、レースラート、バイエ ンブルガー・ストラーセ、38アー (72)発明者 ザイデル・ユルゲン ドイツ連邦共和国、クロイツタール、フォ イアードルンヴェーク、８ Ｆターム(参考） 4K053 PA02 PA12 QA01 RA14 SA06 SA12 TA16 TA24 XA13 XA50 YA02 YA03 YA21

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 制御された酸洗過程に供給される、圧延された金属ストリッ
   プ、特に鋼ストリップの酸洗のための方法において、 酸洗過程が、酸洗媒体パラメータに加えて、酸洗部内への金属ストリップの走入
   前に、コイル及び／または金属ストリップの確認及び／または測定されたパラメ
   ータに基づいて制御されることを特徴とする方法。
2. 【請求項２】 酸洗過程が、形成演算モデルに基づいてコイルの測定値でも
   って予調節され、且つ、少なくとも、スケール、ストリップ温度、酸洗媒体温度
   、及び／または酸濃度に関する測定値を考慮に入れた、制御演算モデルに基づい
   て制御されることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】 酸洗部の前でスケール堆積物に関して測定された値に基づい
   て、酸洗部の調節部材は、調節または再調節されることを特徴とする請求項１ま
   たは２に記載の方法。
4. 【請求項４】 付加的に、スケール堆積物または付着物に関する測定値が、
   移動方向において酸洗部の前の領域で検出され、且つ、酸洗部の調節部材の再調
   節のために、及び／または測定値もしくは演算値の調整部において使用されるこ
   とを特徴とする請求項１から３のいずれか一つに記載の方法。
5. 【請求項５】 酸洗部の外側での他のパラメータは、コイルのストリップ入
   口情報、および機械調節状態に基づいて、酸洗時間が制御されることを特徴とす
   る請求項１から４のいずれか一つに記載の方法。
6. 【請求項６】 付着物またはスケールに関して検出された測定値が、酸洗部
   の前方に接続されている前処理ユニットの制御のために使用されることを特徴と
   する請求項１から５のいずれか一つに記載の方法。
7. 【請求項７】 測定値または演算値による調整部において、前処理ユニット
   および酸洗部の調節部材が再調節されることを特徴とする請求項６に記載の方法
   。
8. 【請求項８】 圧延された金属ストリップ、特に鋼ストリップの酸洗のため
   の装置であり、この金属ストリップが、処理方向において、コイルから酸洗設備
   に供給可能であり、この酸洗設備のために、多数のパラメータによる制御装置が
   設けられている様式の上記装置において、 コイル−測定値記録部、または形成演算モデル（６）に関する情報記録部（４ａ
   ；４ｂ）から、測定値が、制御演算モデル（８）を経由して、酸洗部の調節ユニ
   ットに接続可能であるように構成されていることを特徴とする装置。
9. 【請求項９】 コイル−測定値記録部（４ａ；４ｂ）から、測定値が、制御
   演算モデル（８）に入力可能であるように構成されていることを特徴とする請求
   項８に記載の装置。
10. 【請求項１０】 付着物またはスケールに関する測定値記録部（Ｍ）の測定
    値が、酸洗部（３）の調節部材の再調節のために使用可能であるように構成され
    ていることを特徴とする請求項８または９に記載の装置。
11. 【請求項１１】 前処理ユニット（Ｈ）が、酸洗部（３）の前方に接続され
    ており、この前処理ユニットの測定値が、制御演算モデル（８）に入力可能であ
    るように構成されていることを特徴とする請求項８または９に記載の装置。
12. 【請求項１２】 前処理ユニット（Ｈ）と酸洗部（３）との間に、ストリッ
    プ（１）のための誘導加熱装置（Ｗ）が接続されていることを特徴とする請求項
    ７から１１のいずれか一つに記載の装置。