JP2003525622A - フィトミクス:薬草組成物へのゲノムをベースとしたアプローチ - Google Patents

フィトミクス:薬草組成物へのゲノムをベースとしたアプローチ

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ユー−ピン シャー,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、薬草組成物の標準化を誘導するために、薬草組成物のどの具体的成分が、任意の特定の生物活性に関与しているかを決定するために、特定の薬草組成物の生物活性を予測するために、および改良された薬草治療薬の開発のために必要な手段および方法論を提供する。本発明は、薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)を創製、維持、改良および利用する手段および方法論を提供し、ここでそのHBRアレイは、特定の薬草組成物に関連したデータセットを構成する。本発明のHBRアレイは、薬草構成成分の植物関連パラメータに関する情報、薬草組成物にバイオシステムを曝露した後に収集されたマーカー情報、および、薬草組成物にバイオシステムを曝露した後に収集された生物学的応答情報を含み得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬草組成物に関する。より具体的には、本発明は、薬草組成物の選
択、試験、品質管理および製造を向上させ、新規薬草組成物の開発の誘導、およ
び既存の薬草組成物の新規な用途の同定を助けるための、手段および方法論を提
供する。
【0002】
【従来の技術】
本明細書中の全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願
を明確におよび個々に参考として取込むと表示されるのと同じ程度に参考として
取込む。
【0003】 生薬は、何世紀もの間、アジアおよびヨーロッパの人々により使用されてきた
。米国では、薬草は、栄養補助食品(健康食品)産業並びに全体論的医学におい
て商業的に価値のあるものとなってきた。米国人口のほぼ3分の1が、少なくと
も1回は代替医療を何らかの形で試みている(Eisenberg等、1993
、N.Eng.J.Med.328:246−252)。
【0004】 薬草(ハーブ)を含む植物性薬品もまた、疾病を処置する新規活性物質の同定
の焦点となってきた。植物の抽出物から得られる活性化合物は、医薬産業におけ
る長年の関心である。例えば、タキソールは、西洋イチイの木の樹皮から得られ
た抗腫瘍薬である。今日、一般的に使用され処方されている数千個の薬物のほぼ
50%が、植物起源に由来するか、または植物化合物の化学的模倣物質を含むと
推定されている(Mindell,E.R.、1992、Earl Minde
ll's Herb Bible、A Fireside Book)。
【0005】 現在、多くの医薬、食物補助食品、栄養補助食品等が、薬草成分または薬草抽
出物を含む。生薬は、非常に長い間、数多くの国で、ヒトおよび動物の様々な疾
病の処置に使用されてきた(例えば、I.A.Ross、1999、世界の薬用
植物、化学物質構成成分、古典的および現代的医薬使用、Human Pres
s;D.Molony、1998、The American Associa
tion of Oriental Medicine's Complete
Guide to Chinese Herbal Medicine、Be
rkely Books;Kessler等、1996、"The Docto
r's Complete Guide to Healing Medici
nes")、Berkley Health/Reference Books
;Mindell、上記参照)。
【0006】 生薬。世界中には、アーユルベーダ、ユナニ、シダ(Sida)および漢方薬
(TCM)などの多くの生薬の派生物がある。現代の西洋医学は、典型的には、
1つの特定の生化学経路を妨害できる単一の化学物質を投与することからなるが
、TCMの各製剤は、典型的には、協調的に生体の複数の標的と相互作用するよ
うに設計された数個の薬草由来の数百の化学物質を含む。経験的慣行が、薬草組
成物およびこれらの古来からの生薬の処方に有意に貢献したが、それらはまた、
1セットの理論(これは全て、解剖学、薬理学、病理学、診断処置等の点で現代
西洋医学とは異なる)によっても、様々な程度で支持されている。様々な生薬分
野の中で、TCMが、数世紀かけて、より完全なセットの理論を展開し、これは
、十分に文書化され、中国並びに韓国および日本を含む東アジアの莫大な人口(
>1.3億人)を看護する地域の医師により実践されてきた。
【0007】 西洋医学は、一般に、ほとんどが単一の生理学的標的に指向する、精製化合物
(天然または合成)を使用する。しかし、TCMに使用される組成物は、通常、
独特かつ全体論的概念に基づき、生体の複数の標的を目的とした、複数の薬草お
よび化合物で構成される。TCMは、主に、加工された粗天然物を、様々な組合
せおよび製剤で使用して、様々な状態を処置し、副作用がより少ない。TCMの
大きな可能性は、世界の大半の人々には依然として実現されていない。
【0008】 典型的なTCM処方中の薬草は、主薬草および二次薬草(補助、アジュバント
、および誘導薬草を含む)としての役割を割当てられる。主薬草は、疾病の原因
または主症状の処置において主要な効果をもたらす。補助薬草は、主薬草の効果
を増強するのを助け、随伴する症状の処置において主要な効果をもたらす。アジ
ュバント薬草には3種類ある。すなわち、1)主薬草および補助薬草の治療効果
を増強または三次症状を処置するもの、2)主薬草および補助薬草の毒性および
他の副作用を減少または消失させるもの、および3)主薬草による特異的な効果
を受けない補完的な標的組織に作用するものである。誘導薬草は、他の薬草の効
果を罹患部位に指向させる、および/または処方または製剤中の他の薬草の効果
を調整および媒介する。単一植物の1つ以上の部分からなる、ほとんどの生薬ま
たは補助物とは対照的に、TCMの目的の効果は、複数の組織に向けられている
【0009】 例えば、喘息の処置に使用される、公知のTCMレシピである「麻黄浸出液」
(Ephedra Decoction)は、麻黄、ケイ皮小枝、苦い杏仁およ
び甘草で構成される。麻黄は、感冒を退散させ、発汗を誘導し、肺の気の流れを
促進し、主症状の喘息を軽減する。補助薬草としてのケイ皮小枝は、麻黄による
発汗誘導を増強し、経路を加温して、陽の気の流れを確実にして、頭痛および全
身痛を減少させる。アジュバント薬草としての苦い杏仁は、肺の気の逆流を促進
し、麻黄による喘息軽減を増強する。誘導薬草としての甘草は、麻黄およびケイ
皮の両方の効果を調節して、活力の気の恒常性を確実にする。各4つの薬草は明
らかにそのそれぞれの活性を示すが、それらは合わせられると互いに補完並びに
捕捉する。実際に、主薬草は、患者の提示する症状に応じて、1つ以上の二次薬
草と共に処方できる(漢方薬の処方、第1章、p.10−16、E.Zhang
編集長、出版所、漢方薬の上海大学、1998)。
【0010】 生薬および他の手段(例えば、鍼治療)を用いて病気の処置を誘導する、TC
Mの主要な理論は、1)陰陽説、2)五行説、3)臓腑説、4)気、血液および
体液の説、および5)経路および側副の説である。
【0011】 TCMでは、適切な診断の実施において第一に重要な態様は、疾病が陰または
陽であるかを確認することである。例えば、発熱を有する、喉が渇く、便秘であ
る、または速い脈拍状態を有する患者は、陽の特徴を有する。寒さを嫌う、喉が
渇いていない、および下痢および遅脈状態の個体は、陰の特徴を有する。薬草の
特性、味および機能も、陰陽説に従って分類できる。例えば、寒および涼の性質
の薬草は陰に属し、温および熱の性質の薬草は陽に属している。酸、苦および塩
辛い味の薬草は陰に属し、辛、甘および淡の味の薬草は陽に属する。収斂および
降下機能をもつ薬草は陰に属し、発散、上昇および浮揚機能をもつ薬草は、陽に
属する。TCMでは、処置の原理は、陰および陽の優性または劣性に基づく。薬
草は、陰陽の不均衡の回復のために、陰および陽のその特性およびその機能に従
って処方される。そのようにして、処置の利点が達成される。
【0012】 五行説によると、物質世界を構成している5つの基本的な物質が存在する(す
なわち、木、火、土、金属および水)。TCMでは、この説が、人体の生理機能
および病理の説明に、および臨床的診断および処置の指導に使用されてきた。漢
方医は、五元素の生成、制限、従属および逆制限の法則を適用して、例えば、土
を強化して金属を生成(脾臓の機能を強化して、肺に利点を与える)、水を補充
して木に栄養を与える(腎臓の本質に栄養を与えて、肝臓に利点を与える)、土
を支持して木を制限する(脾臓の機能を補って、肝臓の機能亢進を処置する)、
および水を強化して火を制御する(腎臓の本質を補充して、心臓の機能亢進を処
置する)などの、多くの効果的および特異的処置方式を実施してきた。具体的に
、いくつかの薬草の特性は、TCMレシピの処方を指導する目的で、各五行に割
当てられる。
【0013】 TCMでは、人体の内部臓器は、3つの群に分類される。すなわち、五臓(心
臓、肝臓、脾臓、肺および腎臓)、六腑(胆嚢、胃、大腸、小腸、膀胱および三
焦(triple warmer))、特別な臓器(脳、髄、骨、血管、胆嚢、および子宮)で
ある。TCMでは、臓または腑は、単に解剖学的単位ではなく、様々な臓器間の
相互作用に関する生理学および病理の概念である。例えば、心臓は、いくつかの
精神機能のことも指し、血液、毛、舌および皮膚の機能に影響を及ぼす。陰陽お
よび五行は、これらの臓、腑、および臓器の間の相互作用に影響を及ぼす。理論
の相互作用の複雑性を使用して、下記に議論したように、薬草を処方する疾病の
病理を説明する。
【0014】 TCMにおける生薬の処方は、診断で始まり、これは4つの主な項目からなる
。すなわち、質問、望診、聴診および嗅覚診、脈取りおよび触診である。質問の
期間中に、主症状の特徴を含む多くの情報が集められる。例えば、主症状が心窩
部の鈍痛(これは加温および加圧により軽減し得る)を特徴とする場合、これに
より、脾臓不全(陽)が示唆される。腰および膝の苦痛および弱さ、冷たい四肢
をもち寒さに不耐性であることは、腎の弱さ(陽)を示す。望診中に、生命力、
皮膚の色、および一般的な外見および舌の状態を観察する。例えば、色白の顔色
は内の肺の衰えに対応し、その気は乾燥している。これは、陽の気が欠失し、気
および血液の循環が損なわれた場合、または経路および側副の寒さがそれらの収
縮を引き起こす場合に起こり得る。
【0015】 TCMでは、気、血液、および体液から、臓腑、経路および側副、組織および
他の臓器がその生理学的機能を実施するに必要なエネルギーが来る、そして気、
血液および体液の形成および代謝がそれに依存する。TCMの処方は、処置にお
いて、気および血液に対する薬草の効果を考慮する。
【0016】 TCMは、経路、側副および副次的部分は、全身に分布していると捉える。そ
れを介して、薬草は、病的標的に影響を及ぼし、病気の改善を達成する。例えば
、麻黄は、肺および膀胱の経路に作用し、汗を誘導し、喘息を軽減し、利尿を促
進する。上記のように、鍼治療の臨床適用も、経路および側副の説により指導さ
れる。
【0017】 要約すると、TCMにおける各薬草の性質または特性は、陰または陽として、
および五行の1つに割当てられ得るが、それらは経路および側副を通じて作用し
、気、血および体液を介して媒介されて、臓腑などの標的に治療効果をもたらす
。病原因子は、経路および側副の正に同じシステムを通じておとりとして偽装し
、臓腑の機能に悪影響を及ぼし、従って病気を引き起こし得る。
【0018】 前記の議論から、TCMの用語は、解剖学的概念というよりも、哲学的概念で
あることは明らかである。例えば、心臓は、TCMに記載した機能に寄与する、
生体の組織、臓器またはシステムのホストを示す。従って、心臓の概念は、TC
Mの各概念を記載するために、複数の次元のデータのセットを必要とする。これ
が一旦達成されると、分子全体論的医学を展開できる。
【0019】 米国の薬事承認プロセス。米国では、栄養補助食品(例えば、植物製品、ビタ
ミンおよびミネラル、アミノ酸および組織抽出物)は、1994年の栄養補助食
品健康教育法令(DSHE法)下で規制されている。この法令は、米連邦食品医
薬品化粧品法下で食品添加物としての栄養補助食品の成分を規制から除外した。
さらに、DSHE法は、食品医薬品局(FDA)が、市販の栄養補助食品が、ラ
ベル上で使用する条件下でまたは一般的に消費する場合に、重度または妥当でな
い危険性を提示する立証責任を有することを要求する。従って、栄養補助食品の
純度、同定、および製造手順についての明確な基準を確立する連邦規制は現在な
い。さらに、薬草品質に関する発表された数少ない論文は、1992年、議会に
より代替医学の部局(The Office of Alternative
Medicine)の設立から得られたものである(Angell等、1998
、N.Engl.J.Med.339:839−841)。
【0020】 現在では、FDAは、薬物組成物または混合物中の化学物質の1つ1つについ
て認可しなければならず、そのため、臨床試験を実施して、薬物の市販のために
、別々のFDA認可を得なければならない。このプロセスは極めて単調でコスト
がかかる。分子全体論的医学は、より難度の低い評価を必要とし得る。なぜなら
、植物性薬物として特定の薬草組成物が以前に使用されていたことから、開始時
に複数の化学物質を用いる臨床試験(すなわち、薬草組成物または薬草組成物の
特定の成分を使用した臨床試験)が可能であるからである。近年、FDAは、い
くつかの生薬を、植物性薬物として臨床試験することを認可した(植物性薬物に
関するFDAの指針、1997年4月)。これらの事象は、一般に保健における
建設的な発展を呈するが、生薬および栄養補助食品(漢方薬を含む)の製剤化、
製造および品質管理に関する重要な問題をも提起する。
【0021】 薬草中の複数の化学物質により誘導される、多くの関連した生物学的応答は、
現在利用できないが、FDAによる販売認可を支持するために次第に重要になる
だろう。
【0022】 薬草をベースとした産業は、その現行の慣行の品質を高めるよう、漸増する圧
力下にある(例えば、Angell等、上記)。生薬および食物補助食品の調製
および投与に科学的試験を適用する必要性が、薬草をベースとした製剤の摂取に
より生じた毒性に関する近年のいくつかの報告によって強調されてきた。例えば
、薬草をベースとした栄養補助食品を服用したある患者は、ジギタリス中毒とな
った(Slifman等、1998、N.Engl.J.Med.339:80
6−811)。後に、補助食品中にオオバコとラベルされた薬草成分には、実際
には、少なくとも60個の強心配糖体を含むことが知られる薬草である、Dig
italis lanataが混入していると決定された。別の場合では、薬草
調製物は、患者において慢性の鉛中毒の原因となっていることが判明した(Be
igel等、1998、N.Engl.J.Med.339:827−830)
。これは、全く予想外の出来事ではない。なぜなら、古典的なアジア薬草療法へ
の鉛および他の重金属の混入は、十分に文書化されているからである(Wool
f等、1994、Ann.Intern.Med.121:729−735)。
【0023】 植物性薬品のキャラクタリゼーション。遺伝的同一性(例えば、属、種、栽培
品種、品種、クローン)、薬草成長年数、収穫時期、使用する具体的な植物部分
、加工法、地理学的起源、土壌型、気候の型、肥料の種類および割合、並びに、
他の成長因子が、任意の特定の領域から「収穫」した、任意の特定の薬草の、特
定の化学組成物に多大な影響を及ぼす。
【0024】 次第に数の増加している様々な種類の試験が、医薬および栄養補助食品として
使用される、薬草の一貫した品質を保証するために設けられており、これは巨視
的および微視的レベルでの検査、並びに、多種多様な化学的解析を含む。近年、
薬草抽出物中のマーカー分子の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)プロフ
ィールが、1つの参照基準になってきた。しかし、このアプローチには問題があ
り、これには、いくつかの生物活性分子は、HPLC検出用のUVまたは可視光
を吸収しないことがある、および、化学物質の量が、その生物学的効力に必ずし
も比例していないことが含まれる。これらの理由から、化学的変動を最小限にす
るために、異なる起源由来の生薬草を混合するという手段を薬草製造業者は使用
している。
【0025】 質量分析(MS)は、高真空下でサンプルから生成した、イオン化分子または
分子断片ビームの成分の相対的な質量および相対的な量を決定するための、分析
法である。MSは、HPLCと違い、吸光度依存性ではない。実際に、それはH
PLCまたはキャピラリー電気泳動(CE)と組合せて使用される。すなわち、
HPLCが化学物質を分離し、次いで、MSを使用して、それらが何であるかを
同定できる。生物学的用途のための、MSおよびHPLCを統合した市販のシス
テムが入手可能である。質量分析は、低圧で気体または揮発性であるか、または
誘導体化によりそのようにできるサンプルに限定される。
【0026】 これらのステップは、もはや適切ではない。近年の刊行物は、特定の業者によ
る薬草の品質に大きなばらつきのあること、および、生物学的に等価な薬草抽出
物の提供の困難さを報告する。さらに、安全性と効力および薬草中の化学物質の
間の相関は、ほとんどの場合、十分に定義されていない。近年、消費者グループ
および規制当局からの苦情に応答して(連邦公報、1997年2月6日、第62
巻、第25号、事件番号96M−0417、栄養補助食品の製造、包装、または
貯蔵におけるcGMP、規制案)、いくつかの薬草製造業者は、全てのレベルで
厳しい管理を必要とする適正製造基準(GMP:医薬品の製造管理及び品質管理
に関する基準)を実行し始めた。
【0027】 化学的および分光学的方法を使用して、生薬および食物補助食品の成分が特徴
付けられてきた。例えば、ヘデラゲニンをベースとしたアセチル化サポニンが、
Gliricidia sepiumの果実から、これらの2つの方法を使用し
て単離された(Kojima等、1998、Phytochemistry 4
8(5):885−888)。多くの市販のサンプル中の漢方薬の植物起源は、
いくつかの特徴的な構成成分(これは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
またはキャピラリー電気泳動(CE)により分析した)の含量の比較により推論
された(Shuenn−Jyi Sheu、1997、Journal of
Food and Drug Analysis 5(4):285−294)
。例えば、エフェドリン/プソイドエフェドリンの比は、Ephedra in
termediaを他の種から区別するためのマーカーとして使用し、全アルカ
ロイド含量は、Phellodendron種間を区別するために使用し、ジン
セノサイドの含量は、Panax種間を区別するために使用された。しかし、こ
れらの方法は、薬草でヒトを処置した後の、様々な薬草の、分子的、生理学的ま
たは形態学的応答に対する効果を直接測定するものではない。
【0028】 ガスクロマトグラフィー質量分析および原子吸光法を使用して、カリフォルニ
ア州の保健科学局、食品医薬品部門は、近年、薬草店から得た漢方薬を混入物に
ついて試験した(R.J.Ko、1998、N.Engl.J.Med.339
:847)。試験した260個の製品の中で、少なくとも83個(32%)が、
申告していない医薬または重金属を含み、23個が、1つ以上の不純物を含んで
いた。高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および質量分析
を使用して、市販で入手可能な8つの薬草の合剤(PC−SPES)が、エスト
ロゲン性有機化合物を含むことが判明した(DiPaola等、1998、N.
Engl.J.Med.339:785−791)。研究者は、PC−SPES
は、強力なエストロゲン性活性を有し、PC−SPESを服用した前立腺癌患者
は、標準的な治療の結果が混乱し、臨床的に重大な副作用を経験し得るという結
論を出した。ガスクロマトグラフィーデータを、漢方薬「サキシマボタンヅル」
の様々なサンプルについて収集し、サンプルの抗炎症活性に相関させた(Wei
等、漢方薬「サキシマボタンヅル」の品質評価に適用された、化学的パターン認
識研究、Yao Hsueh Hsueh Pao 26(10):772−7
72(1991))。この研究は、時間経緯、用量依存的応答、バイオマーカー
の示差的効力を実証するための対照サンプルなどの、関連したHBRアレイデー
タを提供せず、また、薬草組成物の効果を特徴付ける包括的なデータベースを確
立するための、反復型のデータ構築プロセスを利用してもいない。
【0029】 タンパク質レベルの変化も、薬草組成物または薬草の特定の成分の効果を特徴
付けるために使用されてきた。例えば、末梢血単核細胞からの顆粒球コロニー刺
激因子(G−CSF)の産生は、どの具体的な漢方薬を培養液に加えたかに応じ
て変化することが判明した(Yamashiki等、1992、J.Clin.
Lab.Immunol.37(2):83−90)。インターロイキン−1α
受容体の発現は、日本で最も頻繁に使用される生薬である、小柴胡湯で処理した
培養ヒト上皮角化細胞において、顕著にアップレギュレートされた(Matsu
moto等、1997、Jpn.J.Pharmacol.73(4):333
−336)。マクロファージのFcγ11/111受容体および補体受容体3の
発現は、当帰芍薬散(TSS)での処理により増加した(J.C.Cyong、
1997、日本薬理学雑誌110(補刊1):87−92)。天然漢方薬から単
離されたアルカロイドであるテトランドリンは、ラット肺胞マクロファージにお
いて、シグナル誘導NFκB活性化を阻害した(Chen等、1997、Bio
chem.Biophys.Res.Commun.231(1):99−10
2)。薬草の柴陥湯、alismatis rhizoma(日本名「沢瀉」)
およびhoelen(日本名「茯苓」)は、抗腎糸球体基底膜腎炎に罹患したラ
ットにおいて、エンドセリン−1の合成および発現を阻害した(Hattori
等、1997、日本腎臓学会誌 39(2):121−128)。
【0030】 mRNAレベルの増加または減少も、様々な薬草および薬草成分の効果の指標
として使用されてきた。抗癲癇特性を有する伝統的な漢方薬であるQingya
ngshen(QYS)およびジフェニルヒダントインナトリウムの腹腔内注入
により、ラットにおいて、カイニン酸誘導慢性発作中に、αおよびβチューブリ
ンmRNAおよび海馬c−fosmRNA誘導は減少した(Guo等、1993
、J.Tradit.Chin.Med.13(4):281−286;Guo
等、1995、J.Tradit.Chin.Med.15(4):292−2
96;Guo等、1996、J.Tradit.Chin.Med.16(1)
:48−51)。培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、Astragal
us membranaceusから精製した成分であるサポニンアストラガロ
シドIVで処理すると、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤I型(PAI−
I)特異的mRNA発現は減少し、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−
PA)特異的mRNAは増加した(Zhang等、1997、J.Vas.Re
s.34(4):273−280)。朝鮮人参(Panax ginseng)
の根から単離したある成分が、ヒト単球およびヒト単球性細胞系THP−1によ
るインターロイキン−8(IL−8)の強力な誘導物質であることが判明し、こ
の誘導は、増加したIL−8mRNAの発現を伴う(Sonoda等、1998
、Immunopharmacology 38:287−294)。
【0031】 核酸マイクロアレイ技術の近年の進歩により、遺伝子発現に関する情報を、大
量に平行して得ることが可能である。このプロセスは、細胞周期、生化学的経路
、酵母におけるゲノムワイドな発現、細胞増殖、細胞分化、単一の化学化合物に
対する細胞応答、および遺伝病(疾病の開始および進行を含む)の研究に使用さ
れてきた(M.Schena等、1998、TIBTECH 16:301)。
現在までに、全薬草処置および補助食品の分子的効果を試験するために、これら
の新規な技術を適用した研究者はいるとしてもほとんどない。
【0032】 幾人かの研究者が、選択した薬草から単離した、主要な活性構成成分の効果を
特徴付けることを試みた。例えば、HUVECを、Panax notogin
sengから精製したノトギンセノシドR1(NR1)で処理すると、TPA合
成の用量および時間依存性増加が生じた(Zhang等、1994、Arter
iosclerosis and Thrombosis 14(7):104
0−1046)。NR1で処理しても、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチ
ベーターおよびPAI−I抗原合成は変化せず、また、細胞外マトリックスのP
AI−Iの沈着も起こらなかった。TPAmRNAは、HUVECをNR1で処
理すると2倍も増加したが、PAI−I−特異的mRNAの発現は、NR1によ
り有意に影響を受けなかった。P. notoginsengに関するほとんど
の研究は、他の薬草とのその混合物に関するものであるので、研究者は、ヒトに
治療使用する場合に、どのようにその結果がインビボの状況に関連するのかを評
価することは困難であると記した(同上、1045、第2欄、第1節)。さらに
、研究者は薬草の1つの主成分を研究したのみであるので、この研究から、全薬
草の分子的効果または薬草の成分間の相互作用を確認することは不可能である。
【0033】 Dobashi等(1995、Neuroscience Letters
197:235−238)は、ネフローゼ症候群、気管支喘息および慢性関節リ
ウマチの処置に使用する漢方薬である、柴胡剤の2つの主成分の効果を研究した
。SS−dの投与により、血漿中アドレノコルチコトロピン(ACTH)レベル
、下垂体前葉のプロオピオメラノコルチンmRNAレベル、およびラット視床下
部のCRFmRNAレベルは、用量依存的に増加した。これに対し、SS−aに
よる処置では、これらの分子マーカーのレベルは影響を受けなかった。この研究
により、SS−dの投与は、ラット視床下部における、柴胡剤誘導CRF遊離お
よびCRF遺伝子発現において重要な役割を有し得ることが示されるが、全体的
な生薬の分子的効果は示すことができない。
【0034】 Kojima等(1998、Biol.Pharm.Bull.4:426−
428)は、日本で様々な炎症疾患の処置に使用されている生薬である小柴胡湯
により、マウス肝で転写調節されている、遺伝子を単離および同定するための、
mRNAのディファレンシャルディスプレイの利用を記載する。これらの研究者
は、生薬の分子機序の調査において、mRNAディファレンシャルディスプレイ
技法の使用に、研究を限定した。ここでも、処置動物の複数の臓器における効果
を示すことができず、品質管理、新規な用途、および効果の標準化についての指
針は得られなかった。さらに、この研究では、薬草の個々の成分を分析し、個々
の結果を、全薬草混合物を使用して得られた結果と比較することができなかった
【0035】 Ma Ji等(1998、Chinese Medical Journal
111(1):17−23)は、大動静脈ろう孔に引き起こされた実験的心不
全を受けているラットにおける、ナトリウムおよび水保持に対する、薬草Ast
ragali membranaceusの治療効果を調査した。Astrag
aliaによる処置を実施したまたは実施していない慢性心不全ラットを、様々
な形態学的特徴(例えば、体重、血清中ナトリウム濃度);生理学的特徴(例え
ば、平均動脈圧、心拍、ヘマトクリットおよび血漿重量モル浸透圧濃度);mR
NA発現レベル(例えば、視床下部アルギニンバソプレッシン(AVP)、AV
P V1受容体、腎AVP V2受容体、アクアポリン−2(AXP−2))およ
びタンパク質排泄(例えば、血漿心房性一リン酸ペプチド(ANP)および尿サ
イクリックグアニジノ一リン酸(cGMP))の変化について比較した。その研
究者らは、Astragaliaによる処置により、心および腎機能は改善し、
一部、AVPシステムおよびAQP2の異常mRNA発現は修正され、ANPに
対する腎反応は改善することを発見した。この研究は、集めたデータを使用して
、新規製剤の開発を誘導するのに、または製剤中の様々な薬草間の相乗作用また
は他の相互作用を解明するのに、または品質管理のために効果の示差的効力を確
証するのに役立たなかった。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
上記の関連科学文献の論評により示されるように、分子をベースとした技術を
使用して、生薬およびTCMなどの、複数の化学物質で同時に処理または誘発試
験された生物システムにおける、細胞および分子応答を、探究および確認したこ
とはなかった。さらにこれらの近年の進歩は、生薬およびTCMの生物学的効果
について系統的に探索するプロセスをつくるために、他の技術および方法と統合
されたことはなかった。
【0037】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薬草生体応答アレイ(Herbal Bioresponse A
rraysまたはHBRアレイ)を創製、維持、向上、および利用するための手
段および方法論を提供し、ここでHBRアレイは、特定の薬草組成物に関連した
データセットからなる。本発明のHBRアレイは、薬草構成成分の植物関連パラ
メータに関する情報、バイオシステムを薬草組成物に曝露した後に収集したマー
カーの情報、および、バイオシステムを薬草組成物に曝露した後に収集した生物
学的応答の情報を含み得る。
【0038】 本発明は、特定の薬草組成物の標準化HBRアレイを確立するために必要な手
段および方法論を提供し、ここで標準化HBRアレイは、基準として使用し、こ
れにより類似または異なるバッチの薬草組成物を評価する。本発明はさらに、標
準化HBRアレイをアップデートおよび維持するのに必要な手段および方法論を
提供する。本発明の特定の実施の形態は、反復プロセスを含み、ここで、追加の
バッチの薬草組成物のデータ、追加の植物関連データ、追加のマーカー情報、お
よび/または追加の生体応答情報が、標準化HBRアレイに周期的に加えられる
。従って、本発明は、進行基準で、HBRアレイを創製、維持、アップデートお
よび使用する手段および方法論を提供する。
【0039】 本発明は、改良薬草治療薬の開発のために;薬草組成物の調整または修飾のた
めに;所望の生物活性を保持したバッチ薬草組成物中の具体的分子を同定するた
めに;既知の薬草組成物のどの薬草成分を、既知の薬草組成物の所望の生物活性
を維持または向上させつつ、既知の薬草組成物から削除できるかを決定するため
に;バッチ薬草組成物の新規な用途および以前には知られていない生物活性を同
定するために;および、薬草成分および合成化学薬を含む治療薬の設計(コンビ
ナトリアルケミストリーを使用した治療薬の設計を含む)を補助するのに、バッ
チ薬草組成物の予測生物活性を使用するために、薬草組成物の標準化を誘導し、
薬草組成物のどの具体的成分が、特定の生物活性に関与しているかを決定し、薬
草組成物の生物活性を予測するに必要な手段および方法論を提供する。
【0040】 より具体的には、本発明は、薬草組成物の標準化薬草生体応答アレイ(HBR
アレイ)の確立法を提供し、ここでその方法は: a)1つの特徴付けられた薬草組成物を選択し; b)バイオシステムを、1バッチの特徴付けられた薬草組成物に曝露し、2つま
たはそれ以上のマーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核
酸マイクロアレイの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、i)セル
バンキングシステムを製造するステップ、ii)薬草組成物への曝露の前後で、
前記セルバンキングシステムからの細胞の遺伝子発現パターンをプロファイリン
グするステップ、iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化す
るマーカーを選択するステップを含むステップによって得られる); c)ステップb)のマーカーデータを標準化HBRアレイとして保存する、 ことを含む。
【0041】 本発明はさらに、バイオシステムを、1つまたはそれ以上のバッチの薬草組成
物に曝露し、1つまたはそれ以上の生体応答についてデータを収集し、収集した
生体応答データを、その薬草組成物の標準化HBRアレイに加えることをさらに
含む、かかる方法を提供する。
【0042】 本発明は、薬草組成物の評価方法を提供し、ここでその方法は、バイオシステ
ムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上のマーカーに関する
データを収集し;そして、収集したマーカーデータを、バッチの薬草組成物のそ
れと同一または実質的に同一の薬草組成物の標準化HBRアレイと比較すること
を含む。
【0043】 本発明は、 1)1つまたはそれ以上の異なる種類の細胞、組織、臓器またはインビトロア
ッセイを含むバイオシステム; 2)1バッチの薬草組成物; 3)2つまたはそれ以上の分子マーカー; 4)バイオシステムを、バッチ薬草組成物に曝露し、分子マーカーの示差的応
答を測定する手段; 5)バッチ薬草組成物の薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)データセットを
創製するために、分子マーカーの示差的応答測定を解析および保存するための、
記憶装置を含むコンピュータプロセッサ; 6)1つまたはそれ以上の、以前に保存されたHBRアレイを作成するために
使用した薬草組成物の生物活性は既知であるバッチ薬草組成物の生物活性を予測
するために、バッチ薬草組成物のHBRアレイを、1つ以上の、以前に保存され
たHBRアレイと比較するための、記憶装置を含むコンピュータプロセッサ、を
含む、薬草組成物の生物活性を予測するシステムを提供する。
【0044】
【発明の実施の形態】
特記しない限り、本明細書に使用する専門用語および科学用語は、本発明が属
する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細
書に記載したものと類似または等価な任意の方法および材料を、本発明の実践ま
たは試験に使用できるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0045】 (発明の概観) 上記に示したように、本発明は、薬草組成物の生物応答を予測するに有用な手
段および方法に関する。より具体的には、本発明は、薬草生体応答アレイ(HB
Rアレイ)データベースの創製法、並びに、効果的な薬草をベースとした治療薬
の設計を向上させるための、かかるデータベースの使用法を提供する。本発明の
目標は、薬草組成物の調製、試験および投与のための、HBRアレイの全体的な
設計、創製、改良および使用であり、新規薬草組成物の開発および既存の薬草組
成物の新規用途を導く。
【0046】 フィトミクス(Phytomics)。使用される脈絡に応じて、本明細書に
使用する「フィトミクス」とは、薬草組成物の成分の定性的および定量的態様を
示すために、生物情報処理(バイオインホマティクス)および統計学的アプロー
チを使用すること、または、かかる態様を示すために開発された実際のデータベ
ースを意味する。
【0047】 薬草生体応答アレイ。本明細書に使用するHBRアレイは、1つの薬草組成物
に関連した、2つまたはそれ以上の観察または測定したデータセットを構成する
。HBRアレイは、組成物中の植物に関する定性的および定量的データ(植物関
連データ)、バイオシステムを薬草組成物に曝露した後に得られたマーカー情報
(用量依存的試験を含む)、および、バイオシステムを薬草組成物に曝露した後
に得られた生体応答データを含み得る。任意の特定のHBRアレイのデータは、
2または3次元空間で統計学的に分析できる。
【0048】 HBRアレイは、バッチHBRアレイおよび標準化HBRアレイとして設計し
得る。バッチHBRアレイは、特定のバッチの薬草組成物に関連したデータのア
レイである。標準化HBRアレイは、標準化薬草組成物に関連したデータのアレ
イである。
【0049】 主要なデータセット。本明細書に使用する「主要データセット」なる語は、基
線のデータセットとして作用するデータセットを意味し、これにより、様々な他
のデータセットを、同一または異なる薬草組成物について、比較または別様に分
析する。一般に、主要なデータセットは、薬草組成物のいくつかの遺伝子的また
はタンパク質的態様を確認するために、バイオテクノロジー技術を使用して創製
される。従って、主要なデータセットは、常にではないが、通常、ゲノムまたは
タンパク質のデータセットに基づく。例えば、DNAマイクロアレイの結果は、
他の依存的または少数のデータセットと比較するために使用される、主要なデー
タセットであり得る。
【0050】 少数または依存的データセット。本明細書に使用する、「少数データセット」
または「依存的データセット」とは、主要なデータセットと比較するために使用
される、1つまたはそれ以上のデータセットを意味する。常にではないが、一般
に、少数データセットは、より古典的な方法により収集された、薬草組成物に関
する情報からなる。例えば、少数のまたは依存的なデータセットは、より慣用的
な手段により得られた植物関連データの集合から構成され得る。植物関連データ
の例は、薬草組成物中の薬草(群)の属/種、組成物中の薬草(群)の具体的な
植物部分、並びに、薬草(群)が位置する地理学的位置を含むが、これにらに限
定されない。少数データセットの別の例は、1つまたはそれ以上の異なる量の薬
草組成物で処置した後の、細胞、組織、臓器または生物の生物学的応答のセット
からなる。かかる生物学的データまたは全生物の例は、細胞毒性試験、酵素処理
試験、増殖速度、重量増加または減少、運動能力の変化、並びに、精神活動の変
化を含み得るが、これらに限定されない。
【0051】 薬草。専門的に言えば、薬草は、小さく、木ではない(すなわち、新しく芽生
えた)、一年生または多年生の種子を有する植物であり、空気中で成長する全て
の部分が、各成長季節の終わりに枯れる。薬草は、その医薬的、風味的、または
芳香的品質について価値がある。この言葉はより一般的に使用されているように
、およびこの言葉は本明細書に使用されているように、「薬草」とは、食物補助
食品、医薬、薬物、治療または生命増強用途を有する、任意の植物または植物部
分を意味する。従って、本明細書に使用するように、植物学上の薬草の定義に限
定されず、むしろ、かかる目的に使用される任意の植物学的植物または植物部分
(薬草、低木、亜低木、高木を含む植物界の任意の植物種または亜種の任意の植
物または植物部分を含む)に限定される。薬草組成物に使用した植物部分は、種
子、葉、幹、小枝、枝、芽、花、球根、球茎、小塊茎、根茎、走出枝、根、果実
、円椎体、液果、形成層および樹皮を含むが、これらに限定されない。
【0052】 薬草組成物。本明細書に使用する「薬草組成物」とは、薬草、薬草植物または
薬草植物部分を含む任意の組成物を意味する。従って、本明細書に使用するよう
に、薬草組成物は、薬草食物補助食品、生薬、薬草薬物および医用食品を含む、
任意の薬草調製物である。薬草組成物の例は、以下の成分を含むがこれらに限定
されない。すなわち、単一の植物種の全植物または植物部分;複数の植物種の全
植物または植物部分;単一の植物種由来の多成分;複数の植物種由来の多成分;
または、これらの様々な成分の任意の組合せである。様々な薬草組成物の完全な
論評については、例えば、Kee Chang Huang、漢方の薬理学、C
RC出版(1993)(その全体を本明細書に取込む)を参照。様々な薬草組成
物の代表例は、以下の段落に提供する。
【0053】 柳の樹皮を含む薬草組成物が、英国で18世紀中頃以降、発熱の処置に使用さ
れてきた。柳樹皮中の活性成分は、サリシンと呼ばれる苦味配糖体であり、これ
は、加水分解時に、グルコースおよびサリチルアルコールを生じる。アスピリン
(アセチルサリチル酸)およびアスピリン様薬物(例えば、イブプロフェン)(
これらは全て、しばしば、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)と呼ばれる)は
、頻繁に、疼痛、発熱および炎症の処置に使用される。シモツケは、サリチル酸
エステルを含む別の薬草である。関節炎および関節炎様症状を、柳およびシモツ
ケで処置するには、これらの植物から調製した大量のハーブティーの消費が必要
である。全Populus種(すなわち、ポプラの木および低木)もまた、サリ
チル酸エステル前駆体を含み、ポプラの芽は、抗炎症、解熱および鎮痛医薬に使
用されてきた。
【0054】 ヒトおよび動物に罹患する、様々な疾病および他の健康関連問題の処置に使用
する薬草組成物に関する米国特許が付与されてきた。例えば、米国特許第5,4
17,979号は、食欲刺激剤として、および疼痛の処置に使用する、Step
haniaおよびGlycyrrhiza種を含む、薬草の混合物並びにその抽
出物を含む、組成物を開示する。Glycyrrhiza uralensis
を含む薬草組成物は、湿疹、乾癬、掻痒および皮膚の炎症反応の処置に有用であ
ることが分かっている(米国特許第5,466,452号)。米国特許第5,5
95,743号は、炎症および関節リウマチを含む、様々な哺乳動物の疾病の処
置に使用される、甘草抽出物(Glycyrrhiza)およびsiegesb
eckia、sophora、stemonaおよびtetrandra薬草を
含む、様々な薬草組成物を開示する。眼の炎症は、植物アルカロイドであるテト
ランドリンを含む薬学的組成物で処置できる(米国特許第5,627,195号
)。
【0055】 米国特許第5,683,697号は、抗炎症、解熱、去痰、または鎮咳作用を
有する薬学的組成物を開示し、ここでその組成物は、Melia、Angepi
ca、Dendrobium、Impatiens、Citrus、Loran
thus、Celosia、CynanchumおよびGlehnia種由来の
植物部分を含む。Alphinia、Smilax、Tinospora、Tr
ibulus、WithaniaおよびZingiberの根、根茎、および/
または植物全体の抽出物を含む薬草組成物は、関節リウマチ、骨関節炎、反応性
関節炎に関連した症状を減少または軽減し、炎症誘発性サイトカインの産生を減
少させることが判明した(米国特許第5,683,698号)。
【0056】 薬草組成物は、カプセル剤、錠剤またはコーティング錠剤、粒剤、浸剤または
チンキ、散剤、生または乾燥植物または植物部分、調製ティー、ジュース、クリ
ーム剤および軟膏、精油を含む多くの形態で、または、これらの任意の形の組合
せとして利用可能である。生薬は、経口、直腸、非経口、経腸、経皮、静脈内、
栄養管を介して、および局所的を含む、様々な方法のいずれか1つにより投与す
る。
【0057】 本発明により包含される薬草組成物は、非薬草成分も含む薬草組成物を含む。
かかる非薬草成分の例は、全昆虫および昆虫部分、虫、動物または昆虫の糞、天
然油または石油、炭酸アンモニア、酒石塩、リキュール、水、グリセリン、ステ
ロイド、医薬、ビタミン、栄養抽出物、乳漿、塩、およびゼラチンを含むが、こ
れらに限定されない。
【0058】 経口投与用に、開示された薬草組成物は、例えば、結合剤(例えば、予めゼラ
チン化したメイズデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメ
チルセルロース)、増量剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン
酸カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシ
リカ)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯デンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプ
ン)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動促進剤、人工お
よび天然芳香剤および甘味剤、人工または天然着色剤および染料、および可溶化
剤などの一般的に許容されうる添加剤と混合して、慣用的な手段により調製され
た錠剤またはカプセル剤の形態を取り得る。薬草組成物は、当業者に公知であり
、米国特許第4,690,825号および第5,055,300号で解説されて
いるように、活性物質を徐放性様式で放出するようにさらに製剤化され得る。錠
剤は、当業者に公知の方法によりコーティングされ得る。
【0059】 経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、懸濁液、またはスラリ
ーの形態をとっても(例えば、Mulchandani等、1992米国特許第
5,108,767号に記載の液体栄養補助食品)、または、使用前に水または
他の適切なベヒクルで復元する乾燥製品として提示してもよい。葉酸、および他
のビタミンおよびミネラルの液体調製物は、ESRD患者用に特別に設計された
液体栄養補助食品の形態を取り得る。かかる液体調製物は、懸濁化剤(例えば、
ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは硬化食用脂)、乳化剤(例えば
、レシチンまたはアカシア)、非水性ベヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル
またはエチルアルコール)、保存剤(例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロ
キシベンゾエートまたはソルビン酸)、および人工または天然着色剤および/ま
たは甘味剤などの薬学的に許容されうる添加剤を用いて慣用的な手段により調製
され得る。
【0060】 局所投与用に、薬草成分は、局所適用に最も適した、クリーム、ゲル、固体、
ペースト、ロウ膏、粉末、ローション、液体、エアゾルトリートメントまたはそ
の他の組成物を提供するために、許容されうる担体、希釈剤または添加剤からな
る、少なくとも1つの他の成分と混合して配合され得る。滅菌蒸留水のみ、およ
び単純なクリーム、軟膏およびゲル基剤を、薬草成分の担体として使用し得る。
保存剤および緩衝剤も加えてよい。製剤は、局所適用用に、滅菌包帯、生分解可
能で吸収可能なパッチまたは包帯に、または最初は放出が多く遅延放出へと低下
する遅延放出インプラントシステムに適用し得る。
【0061】 薬草をベースとした組成物のより完全な概観および議論については、Earl
Mindell、Earl Mindell's Herb Bible,
Simon & Schuster(1992);Culpeper's Co
mplete Herbal、W.Foulsham & Co.,Ltd(1
600年中頃に初めて発行された);およびRodale's Illustr
ated Encyclopedia of Herbs、Rodale Pr
ess(1987)を参照。
【0062】 標準化薬草組成物。本明細書に使用する「標準化薬草組成物」とは、標準化薬
草組成物の成分と同一、類似、または異なる成分を有する、バッチ薬草組成物を
評価するために、標準化薬草組成物として選択した、特定の薬草組成物を意味す
る。時に、本明細書では、「マスター薬草組成物」とも呼ぶ。標準化薬草組成物
は、一般に、十分に特徴付けられており、特定のバイオシステムで望ましい生物
応答を示す、薬草組成物である。標準化薬草組成物は、通常、当業者に公知の化
学試験により標準化され、長期の使用および参照のために、適切に保存されてい
る。標準化薬草組成物は、植物(すなわち植物関連データ)、マーカーおよび生
体応答についての観察および測定を基にした、標準化HBRアレイを確立し、よ
って薬草組成物を特徴付けるために使用される。
【0063】 バッチ薬草組成物。本明細書に使用する「バッチ薬草組成物」とは、植物およ
びマーカーの観察および測定に基づいた、HBRアレイを確立し、よって薬草組
成物を特徴付けるために使用される、任意の試験薬草組成物を意味する。時に、
本明細書では、「試験」または「バッチ」薬草組成物とも呼ぶ。生体応答の観察
および測定は、含んでも含まれなくてもよい。標準化薬草組成物を確立するため
に使用される薬草組成物は、「標準化薬草組成物」と命名されるまで、「バッチ
薬草組成物」と称してよい。
【0064】 バッチ。本明細書に使用する「バッチ」とは、何らかの特定の属性に関して同
定できる、薬草組成物の特定の量を意味し、よって、その同一の薬草組成物の任
意の他の特定の量からそれを区別できる。例えば、薬草組成物のあるバッチは、
同一の薬草組成物の別のバッチとは、一方のバッチは、他方のバッチとは異なる
時期または異なる地理学的位置で収穫されたという点で、異なり得る。特定のバ
ッチを区別する他の差異は、以下を含むが、これらに限定されない。すなわち、
1)使用する具体的な植物部分(例えば、薬草の根を、一方のバッチでは使用し
、一方、同じ薬草の葉を異なるバッチに使用した);2)個々の薬草または薬草
組成物の収穫後処理(例えば、一方のバッチは、蒸留水で処理し得、一方、別の
バッチは、塩化水素で処理して、ヒトの胃の酸性度を模倣し得る);3)薬草組
成物中の個々の薬草の相対比(例えば、一方のバッチは、3つの異なる薬草を等
しい割合(重量または容量部)で有し得、一方、別のバッチは、1つの薬草を、
他の2つの薬草よりも比率的に多く有し得る)である。
【0065】 バイオシステム。本明細書に使用する「バイオシステム」とは、生物応答を観
察または測定し得る、任意の生物学的実体を意味する。従って、バイオシステム
は、任意の細胞、組織、臓器、全生物またはインビトロアッセイを含むがこれら
に限定されない。
【0066】 生物活性。本明細書に使用する、薬草の「生物活性」とは、特定のバイオシス
テムに対する、薬草組成物に独特な特定の生物効果を意味する。
【0067】 植物関連データ。本明細書に使用する「植物関連データ」とは、植物、その生
育条件および収穫前後の植物の取扱いに関するデータを含むが、これらに限定さ
れない、薬草組成物に関して収集したデータを意味する。植物関連データは、薬
草組成物中の成分の相対比も含み、ここでその成分は、異なる植物部分、異なる
植物種、他の非植物成分(例えば、昆虫部分、化学的薬物)またはこれらの多種
多様な物質の任意の組合せであり得る。
【0068】 薬草組成物について収集し得る植物関連データは、以下を含むがこれらに限定
されない。すなわち、1)組成物中に使用されている、植物種(および、入手可
能であれば、具体的な植物品種、栽培品種、クローン、系等)および具体的な植
物部分;2)経度/緯度および標高を含む、薬草の地理学的起源;3)肥料の種
類および量、降雨および灌漑の量および時期、一日あたりに受ける平均のマイク
ロアインシュタイン数、除草剤、殺虫剤、ダニ殺虫剤および殺菌剤を含む農薬の
使用、および耕作法を含む、薬草の生育条件;4)薬草の年数/成熟度、浸漬時
間、乾燥時間、抽出法および製粉法を含む、薬草の加工に使用する方法および条
件;および5)薬草成分および最終薬草組成物の貯蔵法および条件である。
【0069】 さらに、標準化薬草組成物は、化学的に分析し得る。化学的特徴付けは、当業
者には一般に公知の任意の化学的分析法により達成され得る。適用可能な化学分
析の例は、HPLC、TLC、化学フィンガープリント法、質量分析計による分
析およびガスクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない。
【0070】 セルバンキングシステム。本明細書に使用する「セルバンキングシステム」と
は、細胞のMaster Cell Bank(MCB)、Working C
ell Bank(WCB)を含む。セルバンキングシステムの使用によって、
薬草組成物試験の細胞変動性が最小化され、核酸マイクロアレイ研究において、
すべての細胞タイプに対して、用いられる。
【0071】 生物情報処理。本明細書に使用する「生物情報処理」とは、生物学的に関心の
ある情報の使用および組織化を意味する。生物情報処理は、とりわけ、以下を網
羅する。すなわち、1)データ獲得および分析;2)データベース開発;3)統
合および連関;4)得られたデータベースのさらなる分析である。ほとんど全て
の生物情報処理源が1990年代初期まで公有フリーウェアとして開発され、依
然として多くがインターネット上で、ただで入手できる。いくつかの会社が財産
権データベースまたは分析ソフトウェアを開発した。
【0072】 ゲノミックまたはゲノミクス。本明細書に使用する「ゲノミクス」なる語は、
遺伝子およびその機能の研究を意味する。ゲノミクスは、比較遺伝子マッピング
、分子クローニング、大規模の制限マッピング、およびDNAシークエンシング
およびコンピューター解析における基本および応用研究の統合に重点を置く。遺
伝子情報は、DNAシークエンシング、タンパク質シークエンシングおよびPC
Rなどの基本的な技術を使用して抽出する。
【0073】 遺伝子機能は、(1)遺伝子中のDNAの変異が、細胞、組織、臓器または生
物の正常な発達および健康に及ぼす影響を分析することにより;(2)DNA配
列にコードされた様々なシグナルを分析することにより;および(3)遺伝子ま
たは関連遺伝子のシステムにより産生されるタンパク質を研究することにより決
定される。
【0074】 プロテオミックまたはプロテオミクス。本明細書に使用する「プロテオミクス
」なる語は、「プロテオーム研究」または「フェノム」とも呼ばれるが、これは
、一定の条件下でのゲノムの定量的タンパク質発現パターンを意味する。一般に
使用されるように、プロテオミクスは、タンパク質生化学を使用した、ハイスル
ープット自動化分析法を意味する。
【0075】 ゲノム研究に加えてプロテオーム研究を実施することは、多くの理由から必要
である。第一に、遺伝子発現レベルは、必ずしも、細胞中の活性タンパク質の量
を示すわけではない。また、遺伝子配列は、タンパク質の機能および活性に必須
である翻訳後修飾を説明しない。さらに、ゲノム自体は、タンパク質レベルを上
昇または下降するように変化させる、動的細胞プロセスを説明しない。
【0076】 プロテオームプログラムは、細胞中の全てのタンパク質を特徴付けることを探
究し、単離されたタンパク質のそのアミノ酸配列の少なくとも一部を同定する。
一般に、タンパク質を最初に、2DゲルまたはHPLCを使用して分離し、次い
で、ペプチドまたはタンパク質を、ハイスループット質量分析を使用してシーク
エンスする。コンピューターを使用して、質量分析の結果を分析して、遺伝子お
よびそれがコードする特定のタンパク質を連関できる。この全体的なプロセスは
、時に、「機能的ゲノミクス」と呼ばれる。多くの市販のベンチャー企業が、現
在、プロテオミックサービスを提供している(例えば、Ciphergen B
iosysytem社のPharmaceutical Proteomics
(商標)、The Protein Chip(商標)システム;PerSep
tive Biosystems)。
【0077】 プロテオーム研究に関する一般的な情報については、例えば、J.S.Fru
ton、1999、タンパク質、酵素、遺伝子:化学および生物学の相互作用、
エール大学出版;Wilkins等、1997、プロテオーム研究;機能的ゲノ
ミクスの新規開拓領域(原理および実践)、Springer Verlag;
A.J.Link、1999、2−Dプロテオーム分析プロトコル(分子生物学
の方法、112、Humana出版;Kamp等、1999、プロテオームおよ
びタンパク質分析、Springer Verlagを参照。
【0078】 シグナル伝達。本明細書に使用する「シグナル伝達」とは、細胞シグナル伝達
としても知られるが、これは、細胞が、外部シグナルを受け、それを内部に伝達
、増幅および指示するに介する経路を意味する。シグナル伝達経路は、シグナル
を段階的に伝達するタンパク質の相互伝達鎖を必要とする。プロテインキナーゼ
は、しばしば、この反応カスケードに参与する。なぜなら、多くのシグナル伝達
が、細胞質タンパク質のリン酸化を引き起こし、シグナルを増幅する、細胞外化
学物質シグナルの受容に関与するからである。
【0079】 翻訳後修飾。本明細書に使用する「翻訳後修飾」とは、一次ポリペプチドとし
て合成された後に、タンパク質に生じる、変化を網羅するために使用される包括
的な用語である。かかる翻訳後修飾は、グリコシル化、N末端メチオニン(また
はN−ホルミルメチオニン)の除去、シグナルペプチド除去、アセチル化、ホル
ミル化、アミノ酸修飾、ペプチド鎖の内部切断による、より小さなタンパク質ま
たはペプチドの遊離、リン酸化、およびメチオニンの修飾を含むが、これらに限
定されない。
【0080】 アレイまたはマイクロアレイ。本明細書に使用する「アレイ」または「マイク
ロアレイ」は、一定の核酸断片により占有される、各々の位置またはプローブ・
セルを有する、グリッドシステムを意味する。アレイ自体は、時に、「チップ」
、「バイオチップ」、「DNAチップ」、または「遺伝子チップ」とも呼ばれる
。高密度DNAマイクロアレイは、しばしば、様々なグリッドスタイルの中に数
千のプローブ・セルを有する。
【0081】 一旦アレイが組み立てられると、バッチを加え、何らかの形の化学反応が、バ
ッチとアレイの間に起こり、そのアレイおよびバッチに特有の何らかの認識パタ
ーンが得られる。放射標識したバッチのオートラジオグラフィーは、古典的な検
出戦略であるが、電子シグナル伝達を含む他の選択肢も利用できる。
【0082】 マーカー。本明細書に使用する「マーカー」なる語は、特定のバッチの薬草組
成物に曝露する特定のバイオシステムを特徴とする、特定の薬草組成物について
の生物学的測定または観察を意味する。「マーカー」なる語は、バイオシステム
の定量的および定性的測定および観察の両方を包含する。マーカーデータベース
は、薬草療法に応答した遺伝子発現パターンを特徴付けるデータセットから構成
され、ここでそのパターンは、どの遺伝子が、特定の薬草組成物に応答して、活
動がオン、オフ、上昇または下降するかを示す。従って、「マーカー」は、任意
の生物学的な測定または観察を意味し、バイオシステムにおける発現レベルのア
ップおよびダウンまたは一過性調節、または定性的または定量的変化を使用して
、薬草組成物に対するバイオシステムの示差的生物応答を特徴付ける。
【0083】 バイオシステムを曝露する特定のバッチの薬草組成物は、未知の薬草組成物で
も、既知の薬草組成物でも、または標準化薬草組成物でもよい。本発明の達成に
有用なマーカーの例は、分子マーカー、細胞遺伝学的マーカー、生化学マーカー
または巨大分子マーカーを含むが、これらに限定されない。巨大分子マーカーは
、酵素、ポリペプチド、ペプチド、糖、抗体、DNA、RNA、タンパク質(翻
訳タンパク質および翻訳後タンパク質の両方)、核酸、多糖を含むが、これらに
限定されない。
【0084】 本明細書の「マーカー」の定義を満たす任意のマーカーが、本発明の実施に適
切である。「マーカー」なる語は、関連した別の用語、例えば、「バイオマーカ
ー」または「遺伝マーカー」または「遺伝子マーカー」を含む。HBRアレイの
識別力を増加させる目的を達成するために、1つまたはそれ以上の一次マーカー
が二次マーカーと共に、すなわち階層マーカーが存在し得る。従って、選択した
分子マーカーを、様々な他の分子、細胞遺伝学的、生化学または巨大分子マーカ
ーと組合せて、さらにより正確で伸長されたHBRアレイが可能となり得る。
【0085】 分子マーカーは、DNA、RNA、cDNA、核酸断片、タンパク質、タンパ
ク質断片、脂質、脂肪酸、炭水化物、および糖タンパク質などの、1つまたはそ
れ以上のクラスの分子化合物からの1つ以上の微視的分子を含む。
【0086】 適用可能な分子マーカーの確立、作成および使用は、当業者には公知である。
分子マーカーの特徴付けに特に有用な技術の例は、ディファレンシャルディスプ
レイ、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、発現配列タグ(EST)の大規
模シークエンシング、遺伝子発現の連続的分析(SAGE)、ウェスタンイムノ
ブロットまたはタンパク質の2D、3D研究、およびマイクロアレイ技術を含む
。分子マーカー技術の分野の専門家は、かかる技術の方法および使用を熟知して
いる(例えば、Bernard R. GlickおよびJack J.Pas
ternak、分子生物工学、組換えDNAの原理および応用、第2版、ASM
出版(1998);Mathew R.WalkerおよびRalph Rap
ley、遺伝子工学の経路マップ、Blackwell Science(19
97);Roe等、DNA単離およびシークエンシング、John Wiley
& Sons(1996)James D.Watson等、組換えDNA、
第2版、Scientific American Books(1992)を
参照)。
【0087】 DNA、RNAおよびタンパク質単離およびシークエンス法は、当業者には公
知である。かかる公知の技術の例は、分子クローニング:実験マニュアル第2版
、Sambrook等、コールドスプリングハーバー、N.Y.(1989);
Hanspeter SaluzおよびJ.P.Jost、ゲノムシークエンス
への実験ガイド:天然未クローンDNAの直接的シークエンシング(Biome
thods Vol 1)、Birkhauser(1988);およびB.R
oe等、DNA単離およびシークエンシング、Wiley(1996)に見出し
得る。慣用的な分子生物学技術の例は、インビトロでのライゲーション、制限エ
ンドヌクレアーゼ消化、PCR、細胞形質転換、ハイブリダイゼーション、電気
泳動、DNAシークエンシング、細胞培養等を含むが、これらに限定されない。
本発明で使用するための市販の具体的なキットおよび手段は、RNA単離、PC
RcDNAライブラリー作成、レトロウイルス発現ライブラリー、ベクター、遺
伝子発現分析、タンパク質抗体精製、細胞毒性アッセイ、タンパク質発現および
精製、およびハイスループットプラスミド精製(例えば、CLONTECHni
ques製品カタログ、XIII(3)、1−32(1998)またはwww.
clontech.com;Atlas(商標)cDNA発現アッセイ製品カタ
ログ(1998);Sigma(商標)製品カタログ(1997))を含むが、
これらに限定されない。
【0088】 オリゴヌクレオチドアレイ、マイクロアレイ、DNAチップまたはバイオチッ
プの議論、方法論および適用については、例えば、米国特許第5,445,93
4号、第5,605,662号、第5,631,134号、第5,736,25
7号、第5,741,644号、第5,744,305号、第5,795,71
4号;Schena等、平行ヒトゲノム解析:1000個の遺伝子のマイクロア
レイをベースにした発現モニタリング、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA 93、10614−10619(1996);DeRisi等、ゲノ
ム規模での遺伝子発現の代謝および遺伝子制御の探究、Science 278
、680−686(1997);Wodicka等、サッカロミセス・セレビシ
エのゲノムワイドな発現モニタリング、Nature Biotechnolo
gy 15、1359−1367(1997);Pardee、完全なゲノム発
現モニタリング:ヒト人種、Nature Biotechnology 15
、1343−1344(1997);Schafer等、DNA変異およびヒト
遺伝学の未来、Nature Biotechnology 16、33−39
(1998);DeRisi等、ヒト癌の遺伝子発現パターンを分析するための
、cDNAマイクロアレイの使用、Nature Genetics 14、4
57−460(1996);Heller等、cDNAマイクロアレイを使用し
た炎症疾患関連遺伝子の発見および解析、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 94、2150−2155(1997);Marshall等、D
NAチップ:可能性あるアレイ、Nature Biotechnology
16、27−31(1998);Schena等、マイクロアレイ:機能的ゲノ
ムの生物工学の発見プラットフォーム、Tibtech 16、301−306
(1998);Ramsay、DNAチップ:先端技術、Nature Bio
technology 16、40−44(1998);Chee等、高密度D
NAアレイを用いた遺伝子情報へのアクセス、Science 274、610
−614(1996);およびChen等、比色分析検出を用いたcDNAマイ
クロアレイシステムによる発現パターンのプロファイリングおよび示差的発現遺
伝子の単離、Genomics 50、1−12(1998);P.Andre
w Outinen等、ホモ・ インのストレス誘導効果のキャラクタリゼーシ
ョン、Biochem.J.332、213−221(1998);およびGe
lbert等、Will遺伝学は真に薬物発見プロセスに革命を起こすか、Cu
rr Opin Biotechnol 8(6)、669−674(1997
)を参照。
【0089】 本発明に適用できる他のより具体的な参考文献は、EST(例えば、Mich
ael R.Fannon、正常および疾病状態における遺伝子発現−治療標的
の同定、TIBTECH 14、294−298(1996)を参照)、タンパ
ク質プロフィールの作成(例えば、Robinson等、前立腺癌のチロシンキ
ナーゼプロフィール、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93、
5958−5962(1996))、薬草組成物の成分を同定するための化学的
および分光学的方法(Kojima等、Gliricidia sepium由
来のサポニン、Phytochemistry 48(5)、885−888(
1998))、機能的抗原の決定(例えば、Aris Persidis、機能
的抗原性、Nature Biotechnology 16、305−307
(1998))、HPLC(例えば、Milton T.W.Hearn(編集
)、タンパク質、ペプチドおよびポリヌクレオチドのHPLC:現在の論題およ
び適用(臨床化学における分析技術および実験マニュアル)VCH出版(199
1)を参照)、電気泳動(例えば、Westermeier等、電気泳動の実践
:DNAおよびタンパク質分離の方法および適用へのガイド、John Wil
ey & Sons(1997)を参照)、および交差反応性マーカーアッセイ
(例えば、Irving Millman等、ウッドチャック肝炎ウイルス:実
験的感染および自然発生、Hepatology 4(5):817−823(
1984)を参照)などの、発現技術を記載したものを含むが、こられに限定さ
れない。完全ゲノムにコードされた全てのタンパク質の構造を解明するための構
造ゲノムの使用(ここで、その方法は、ハイスループットな直接的構造決定およ
びコンピューター法を含む)は、Terry Gaasterland、Str
uctural genomics:Bioinformatics in t
he driver's seat、Nature Biotechnolog
y 16、625−627で議論されている。生物情報処理方法論については、
例えば、Andreas Baxevanis(編者)、生物情報処理:遺伝子
およびタンパク質の分析への実践的なガイド、John Wiley & So
ns(1998)およびLuke Alphey、DNAシークエンシング:実
験的な方法から生物情報処理まで(生 シリーズ入門)、Springer V
erlag(1997)を参照。
【0090】 細胞遺伝学的パラメータは、核型分析(例えば、相対的な染色体の長さ、動原
体位置、二次狭窄の有無)、表意文字(すなわち、生物の核型の図式による表示
)、有糸分裂および減数分裂中の染色体の挙動、染色体染色およびバンドパター
ン、DNA−タンパク質相互作用(ヌクレアーゼ保護アッセイとしても知られる
)、中性子散乱研究、ローリングサークル(A.M.Diegelmanおよび
E.T.Kool、Nucleic Acids Res 26(13):32
35−3241(1998);Backert等、Mol.Cell.Biol
.16(11):6285−6294(1996);Skaliter等、J.
Viol.70(2):1132−1136(1996);A.Fireおよび
S.Q.Xu、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92(10)
:4641−4645(1995))、および放射標識リボヌクレオチドと共に
インキュベートした後の全核のオートラジオグラフィーを含むが、これらに限定
されない。
【0091】 生化学パラメータは、シグナル伝達、タンパク質合成および輸送、RNA転写
、コレステロール合成および分解、糖生成および解糖などの、特定の経路分析を
含むが、これらに限定されない。
【0092】 フィンガープリント法。本明細書に使用する「フィンガープリント法」なる語
は、物質、特に薬草の特徴的プロフィールを、それを同定するために、作成する
手段を意味する。本明細書に使用する「フィンガープリント法」なる語は、フィ
ンガープリント法に使用した特定の手段の結果の表示を意味する。
【0093】 様々な種類のフィンガープリント法の例は、DNAフィンガープリント法、タ
ンパク質フィンガープリント法、化学的フィンガープリント法およびフットプリ
ント法を含むが、これらに限定されない。
【0094】 DNAフィンガープリント法、またはプロファイリングは、特定の生物学的起
源のDNAからの独特なパターンを作成する方法を意味する(例えば、特定の植
物、植物種、植物の属、植物部分または植物組織)。DNAフィンガープリント
法、またはプロファイルを使用して、異なる生物学的起源から、その特定の生物
学的起源を区別できる。マイクロアレイ、オリゴヌクレオチドアレイ、DNAチ
ップまたはバイオチップを使用してバッチを分析することにより得られたパター
ンは、「フィンガープリント」とも呼ばれる。
【0095】 タンパク質フィンガープリント法は、細胞、組織、臓器または生物(例えば植
物)における、タンパク質のパターンを作成することを意味し、これは、その時
の、その細胞、組織、臓器または生物の完全で特徴的な「フィンガープリント」
を提供する。
【0096】 化学的フィンガープリント法は、細胞中の低分子量化学物質の分析を意味し、
得られたパターンを使用して、細胞、組織、臓器または生物(例えば植物)を同
定する。分析は、通常、ガスクロマトグラフィー(GC)、HPLCまたは質量
分析を使用して実施される。
【0097】 フットプリント法は、どのように2分子が共に粘着するかを見出す方法を意味
する。DNAの場合、タンパク質を標識DNA片に結合させ、次いで、DNAを
酵素または化学的攻撃により分解する。このプロセスにより、全てのサイズの断
片の「はしご」が生じる。DNAを結合タンパク質により保護すると、分解はよ
り少なくなり、よって「はしご」はよりかすかに見える。フットプリント法は、
遺伝子活性を調節するタンパク質が実際にDNAに結合する場合に的を搾った一
般的な技術である。
【0098】 各種類のフィンガープリント法を達成するために使用した手段または方法は、
本明細書の別の箇所で詳細に説明される。
【0099】 生体応答。本明細書に使用する「生体応答」とは、薬草組成物に曝露した後の
、バイオシステムの生物学的応答のいかなる観察または測定をも意味する。時に
、本明細書では、「生物学的効果」とも呼ぶ。生体応答は、特定の薬草組成物の
生物活性についての、定性的または定量的データ点である。生体応答データは、
用量および時間的情報の両方を含み、かかる情報は、様々な処置に対するバイオ
システムの応答を測定する分野の専門家には公知である。従って、生体応答デー
タは、特定の時間かけて、特定の様式で投与した、特定の用量の薬草組成物に対
する、特定のバイオシステムの特定の生物学的応答に関する情報を含む。
【0100】 生体応答は、生理学的応答、形態学的応答、認識応答、動機応答、自律神経応
答、および翻訳後修飾、例えば、シグナル伝達測定を含むが、これらに限定され
ない。多くの薬草組成物が、1つ以上の生体応答を示す(例えば、Kee Ch
ang Huang、漢方薬の薬理学、CRC出版(1993)参照)。いくつ
かの特定の生体応答は、1つ以上の線引きした群に含まれるか、または1つ以上
の群を包含する応答の態様または要素を有し得る。本発明に適用可能な生体応答
は、当業者には公知である。以下の参考文献は、当分野の技術水準の代表例であ
る:Kee Chang Huang、漢方薬の薬理学、CRC出版(1993
);Earl Mindell、Earl Mindell's Herb B
ible、Simon & Schuster(1992);Goodman
& Gilman's、治療薬の薬理学的基礎、第9版、Joel G.Har
dman等(編)、McGraw Hill、Health Professi
ons Divison(1996);P.J.Bently、薬理学の原理、
薬物作用に関する入門書、ケンブリッジ大学出版(1981);P.T.Mar
shallおよびG.M.Hughes、哺乳動物および他の脊椎動物の生理学
、第2版、ケンブリッジ大学出版(1980);感染症に関する委員会の報告、
米国小児科学会(1991);Knut Schmidt−Nielsen、動
物の生理学:適応および環境、第5版、ケンブリッジ大学出版(1997);E
lain N. Marieb、ヒト解剖学&生理学、Addison−Wes
sley Pub.Co.(1997);William F.Ganong、
医学生理学の論評(第18版)、Appleton & Lange(1997
);Arthur C.GuytonおよびJohn E.Hall、医学生理
学の教科書、W.B.Saunders Co.(1995)。
【0101】 「生理学的応答」とは、バイオシステムの生理学すなわち機能に関連した任意
の特徴を意味する。細胞組織または臓器レベルでの生理学的応答は、温度、血流
速度、脈拍速度、酸素濃度、生体電気性電位、pH値、コレステロールレベル、
感染状態(例えばウイルス、細菌)およびイオンの流れを含むが、これらに限定
されない。全生物を基にした生理学的応答は、胃腸機能(例えば、潰瘍、胃のむ
かつき、消化不良、胸やけ)、生殖管機能(例えば、生理学的インポテンス、子
宮痙攣、生理痛)、排泄機能(例えば、尿管障害、腎臓病、下痢、便秘)、血液
循環(例えば、高血圧、心疾患)、酸素消費、骨格の健康(例えば骨粗鬆症)、
軟骨および結合組織の容態(例えば、関節痛および炎症)、歩行運動、視覚(例
えば近視、失明)、筋緊張(例えば、萎縮症候群、肉離れ)、疼痛の有無、表皮
および真皮の健康(例えば、皮膚過敏、掻痒、皮膚創傷)、内分泌系の機能、心
機能、神経協調、頭部に関連した健康(例えば、頭痛、めまい)、年齢(例えば
、寿命、長寿)および呼吸(うっ血、呼吸器疾患)を含む。
【0102】 「形態学的応答」とは、薬草組成物に曝露した後の、バイオシステムの形態学
、すなわち形および構造に関連した任意の特徴を意味する。形態学的応答は、バ
イオシステムの種類に関係なく、サイズ、重量、高さ、広さ、色、炎症度、一般
的な外見(例えば、不透明度、透明度、蒼白度)、湿潤または乾燥度、癌増殖の
有無、および寄生虫または虫(例えばマウス、シラミ、ノミ)の有無を含むが、
これらには限定されない。全生物を基にした形態学的応答は、毛成長の量および
位置(例えば、多毛、禿頭)、皺の有無、爪および皮膚の成長の種類および程度
、血液凝固度、痛みまたは創傷の有無、および痔の有無を含むが、これらに限定
されない。
【0103】 「認識応答」とは、薬草組成物に曝露した後の、バイオシステムの認識すなわ
ち精神状態に関連した任意の特徴を意味する。認識応答は、知覚、認識、理解、
判断、記憶、推理および想像を含むが、これらに限定されない。
【0104】 「動機応答」とは、薬草組成物に曝露した後の、バイオシステムの動機すなわ
ち活動の誘導に関連した任意の特徴を意味する。動機応答は、感情(例えば快活
さ)、願望、学習意欲、特に生理学的必要性(例えば食欲、性欲)、または活動
の誘因として作用する類似の衝撃(例えばスタミナ、性欲)を含むがこれらに限
定されない。
【0105】 「自律神経応答」とは、薬草組成物に曝露した後の、バイオシステムの自律神
経応答に関連した任意の特徴を意味する。自律神経応答は、バイオシステムの自
律神経系に関連している。自律神経応答の例は、不随意性機能(例えば神経質、
パニック障害)、または生理学的必要性(例えば、呼吸、心リズム、ホルモン放
出、免疫応答、不眠症、睡眠発作)を含むが、これらに限定されない。
【0106】 様々な薬草組成物または薬草成分で処置した、細胞、組織、臓器および全生物
の生体応答は、薬草分野で公知である。例えば、薬草組成物柴陥湯(TJ−11
4)、alismatis rhizoma(日本名「沢瀉」)およびhoel
en(日本名「茯苓」)は、各々、ラットにおいてエンドセリン−1の合成およ
び発現を阻害することが判明した(Hattori等、柴陥湯は、糸球体腎炎に
おいてエンドセリン−1の合成を阻害し得る、日本腎臓学会誌39(2)、12
1−128(1997))。インターロイキン(IL)−1α産生は、培養ヒト
表皮角化細胞を生薬の小柴胡湯で処置することにより有意に促進された(Mat
sumoto等、インターロイキン−1αの増強は、小柴胡湯による培養ヒト角
化細胞の自己分泌増殖を媒介した、Jpn J.Pharmacol 73(4
)、333−336(1997))。健康な志願者から得られた末梢血単核細胞
の培養液に小柴胡湯を添加すると、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)の産
生が用量依存的に増加した(Yamashiki等、生薬「小柴胡湯」は、イン
ビトロで、末梢血単核細胞の顆粒球コロニー刺激因子産生を誘導する、J Cl
in Lab Immunol 37(2)、83−90(1992))。これ
らの研究者は、小柴胡湯の投与は、G−CSFが効果的である、慢性肝疾患、悪
性疾患および急性感染症の処置に有用であり得ると結論した。漢方薬タイツリオ
ウギから精製したサポニンアストラガロシドIV(AS−IV)でヒト臍静脈内
皮細胞(HUVEC)を処置した後に、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤
1型(PAI−1)特異的mRNA発現は減少し、組織プラスミノーゲンアクチ
ベーター(t−PA)特異的mRNAは増加した(Zhang等、培養ヒト臍静
脈内皮細胞の繊維素溶解能の調節:アストラガロシドIVは、プラスミノーゲン
アクチベーター阻害剤−1をダウンレギュレートし、組織プラスミノーゲンアク
チベーター発現をアップレギュレートする、J Vasc Res 34(4)
、273−280(1997))。朝鮮人参の根から単離された4つの成分のう
ち1つの成分が、ヒト単球およびTHP−1細胞によるIL−8産生の強力な誘
導物質であることが判明し、この誘導は、IL−8mRNA発現増加を伴った(
Sonoda等、朝鮮人参の根由来の酸性多糖によるインターロイキン−8産生
の刺激、Immunophamacology 38(3)、287−294(
1998))。フローサイトメトリー解析により、マクロファージ上のFcγ1
1/111受容体および補体受容体3(CR3)の発現は、漢方生薬の当帰芍薬
散(TSS)での処置により増加することが判明した(Cyong、漢方生薬か
らの新規BRM、日本薬理学雑誌110補刊1、87P−92P(1997))
。コンピューターイメージ解析を使用して、Chen等(MRI/lprマウス
における細胞内接着分子−1発現のイメージ解析:漢方薬の効果、Chung
Hua I Hsueh Tsa Chih 75(4)、204−206(1
995))は、細胞内接着分子−1(ICAM−1)、免疫グロブリンおよびC
3の分布強度は、MRL/lprマウスにおいて、漢方薬ストラガリンでの処置
後に、有意に減少することが判明した。ウェスタンブロット解析により、天然漢
方薬から単離されたテトラドリンは、ラット肺胞マクロファージにおいて、シグ
ナル誘導NF−κB活性化を阻害することが示された(Chen等、テトラドリ
ンは、ラット肺胞マクロファージにおいて、シグナル誘導NF−κB活性化を阻
害する、Biochem Biophys Res Commun 23(1)
、99−102(1997))。
【0107】 アルゴリズム。本明細書に使用する「アルゴリズム」とは、段階的な問題解決
手順、特に、有限数の段階を有する、確立された帰納的コンピューター手順を意
味する。植物関連マーカーおよび生体応答データセットの2次元および3次元解
析に適切なアルゴリズムは、コンピューター分野の専門家には公知である。かか
るアルゴリズムは、本発明の薬草生体応答アレイの作成に有用である。アルゴリ
ズムの一般的な情報については、例えば、Jerrod H.Zar、生物統計
学的解析、第2版、Prentice Hall(1984);Robert
A.Schowengerdt、遠隔探知におけるイメージプロセスおよび分類
の技術、Academic Press(1983);Steven Gold
等、2Dおよび3D点マッチングの新規アルゴリズム:形状推定および対応、パ
ターン認識、31(8):1019−1031(1998);Berc Rus
tem、非線形計画および多目的決定のためのアルゴリズム、システムおよび最
適化におけるWiley−Interscienceシリーズ、John Wi
ley & Sons(1998);Jeffrey H.Kingston、
アルゴリズムおよびデータ構造:設計、正確性、分析、国際的なコンピューター
サイエンスシリーズ、Addison−Wesley Pub.Co.(199
7);Steven S.Skiena、アルゴリズム設計マニュアル、Spr
inger Verlag(1997);およびMarcel F.Neuts
、アルゴリズム確率:問題の集合(確率モデル)、Chapman & Hal
l(1995)を参照。遺伝学に基づいたデータへのアルゴリズムの適用により
特定した情報については、例えば、Dan Gusfield、文字列、木、お
よび配列に関するアルゴリズム:コンピューターサイエンスおよびコンピュータ
ー生物学、ケンブリッジ大学出版(1997);Melanie Mitche
ll、遺伝的アルゴリズム入門(複雑適応システム)、MIT出版(1996)
;David E. Goldberg、探索、最適化および機械学習における
遺伝的アルゴリズム、Addison−Wessley Pub.Co.(19
89);Zbigniew Michalewicz、遺伝的アルゴリズム+デ
ータ構造=進化プログラム、Springer Verlag(1996);A
ndre g. Uitte・ ndenおよびJan Vijg、2次元DN
Aタイピング:ゲノム解析への平行的アプローチ、分子生物学のEllis H
orwoodシリーズ、Ellis Horwood Ltd.(1994);
およびPierre BaldiおよびSoren Brunak、生物情報処
理:機械学習アプローチ(適応計算および機械学習)、MIT出版(1998)
参照。
【0108】 コンビナトリアルケミストリー。本明細書に使用する「コンビナトリアルケミ
ストリーとは、数百または数千の化学化合物の創製に使用された数多くの技術を
意味し、ここで各化学的化合物は、その形、荷電、および/または疎水性特徴な
どの、1つまたはそれ以上の特徴が異なる。コンビナトリアルケミストリーは、
化学的に多様な薬草または薬草成分である化合物の作成に使用できる。かかる化
合物は、本発明の方法を使用して評価できる。
【0109】 基本的なコンビナトリアルケミストリーの概念は、化学分野の当業者には公知
であり、これはまた、Nicholas K.Terrett、コンビナトリア
ルケミストリー(Oxford Chemistry Masters)、オッ
クスフォード大学出版(1998);Anthony W. Czarnikお
よびSheila Hobbs Dewitt(編者)、コンビナトリアルケミ
ストリーへの実践的なガイド、Amer.Chemical Society(
1997);Stephen R.Wilson(編者)およびAnthony
W.Czarnik(寄稿者)、コンビナトリアルケミストリー:合成および
応用、John Wiey & Sons(1997);Eric M.Gor
donおよびJames F.Kerwin(編者)、薬物発見におけるコンビ
ナトリアルケミストリーおよび分子的多様性、Wiley−Liss(1998
);Shmuel Cabilly(編者)、コンビナトリアルペプチドライブ
ラリープロトコル(分子生物学の方法)、Human Press(1997)
;John P. Devlin、ハイスループットスクリーニング、Marc
el Dekker(1998);Larry GoldおよびJoseph
Alper、コンビナトリアルケミストリーによりゲノミクスに歩調を合わせる
、Nature Biotechnology 15、297(1997);A
ris Persidis、コンビナトリアルケミストリー、Nature B
iotechnology 16、691−693(1998)にも見出し得る
【0110】
【実施例】
(実施例1) 選択した薬草組成物の標準化HBRアレイを確立 標準化HBRアレイを確立する基本的なスキームを、図1に提供する。図解の
各成分の定義は、上記に提供する。
【0111】 目的の薬草組成物を選択した後、植物関連特徴およびマーカーおよび生体応答
情報を含むがこれらに限定されない、薬草組成物に関連した様々な特性について
データを集める。
【0112】 植物関連データは、植物種、特定の植物部分、薬草組成物中の植物の地理学的
起源、植物の生育条件、薬草成分の調製に使用した加工法、貯蔵法および条件、
並びに、薬草組成物の様々な化学分析を含むが、これらに限定されない。マーカ
ー情報は、バイオシステムを薬草コンポストに曝露した後に集めた、マーカーに
ついての、定性的および定量的データを含む。適用可能なマーカーは、分子マー
カー、細胞遺伝学的マーカー、生化学マーカーおよび巨大分子マーカーを含むが
、これらに限定されない。生体応答情報は、バイオシステムを薬草組成物に曝露
した後に集めた、生物学的応答についての、定性的および定量的データを含む。
【0113】 各種類のデータ(例えば、化学物質、マーカー、生体応答)は、同一、類似、
実質的に類似、または異なるバッチの目的の薬草組成物で、1つまたはそれ以上
のアッセイを使用して得ることができる。このように異なるアッセイは、同時ま
たは異なる時間に実施できる。さらに、データは、同時または異なる時間に、同
一または異なるマーカーについて集めることができる。同様に、生体応答データ
は、同時または異なる時間に、同一または異なる生物学的応答について集めるこ
とができる。従って、HBRアレイに関するデータの収集は、一度に収集するか
、または継続的に収集する。データを収集するために、バイオシステムを薬草組
成物に曝露する場合、情報を、薬草組成物の投与量並びに処置時間に関して記録
する。生体応答データはまた、シグナル伝達の測定などの翻訳後修飾からなり得
る。
【0114】 2種類以上のデータ(例えば2つまたはそれ以上のマーカーおよび生体応答の
データ;植物関連特性のデータ、並びに、生体応答のデータ)を収集した後、デ
ータをアルゴリズムを使用して解析し、2および/または3次元薬草生体応答ア
レイを創製する。
【0115】 様々な統計学的パラメータを、HBRアレイについて計算し得、HBRアレイ
データセットの一部となり得る。これらの統計学的パラメータは、平均、標準誤
差、相関またはマッチ(またはミスマッチ)マトリックス、比、回帰係数、およ
び変換値(例えば、生データの逆正弦%変換)を含むが、これらに限定されない
。従って、HBRアレイは、生データ並びに特定の計算、分布、グラフ表示およ
び生データに関連した他のデータ操作からなり得る。かかる情報の特定の例は、
マーカーデータについての、デジタルイメージ、散布図、クラスター分析および
大規模の遺伝子発現プロフィールを含むがこれに限定されない。
【0116】 全蓄積データおよび得られた分析は、HBRアレイデータセットの確立に使用
した特定の薬草組成物についての標準化HBRアレイを構成する。薬草組成物の
HBRアレイを確立および維持するために使用したプロセスの反復性質により、
かかるアレイは、任意の時間点で静的であるか時間を通じて動的として捉えるこ
とができる。
【0117】 得られた分析は、任意の特定の薬草組成物の1つ以上の特定の生物活性と相関
(正または負に)または関連(すなわち、一般的傾向を示す)した標準化HBR
アレイのサブセットを同定できる。
【0118】 (実施例2) バッチ薬草組成物のバッチHBRアレイの確立 1バッチの薬草組成物のHBRアレイを確立するための基本的なスキームを図
2に提供する。図解の各成分の定義は上記に提供する。かかるアレイの確立手順
は、標準化HBRアレイで直ぐ上に示したのと同じである。
【0119】 一般に、1バッチのHBRアレイ用に収集したデータの量は、標準化HBRア
レイの確立のために収集したものよりも少ない。しかし、1バッチの薬草組成物
用に収集したデータは、確立HBRアレイに加えても、またはそれを使用して新
規な標準化HBRアレイを確立してもよい。
【0120】 一般に、1バッチの薬草組成物用に収集したデータのみが、試験した薬草組成
物の所望の生物活性に高度に相関または関連したことが判明したデータである。
例えば、植物関連およびマーカーデータの特定のサブセットが、特定の薬草組成
物の所望の生物活性に高度に相関していると決定されれば(上記で議論した標準
化HBRアレイデータおよび分析に基づいて)、そのバッチが所望の生物活性を
有するか否かを決定するために、その特性のサブセットについてバッチ薬草組成
物を試験することのみが必要とされる。バッチから得られたその特性のサブセッ
トについて得られたデータ(すなわちバッチHBRアレイ)を、標準化HBRア
レイと、その特定の薬草組成物について比較することにより、当業者は、その特
定のバッチが所望の生物活性を有するか否かを決定できる。
【0121】 (実施例3) 主要データセットの確立および使用 薬草組成物についての主要データセットを確立および使用するための基本的な
スキームを図3に提供する。図解の各成分の定義は、上記に提供する。
【0122】 第一ステップは、選択した薬草組成物またはバッチ薬草組成物についての主要
データセットの確立である。これは、バイオシステムを薬草組成物に曝露し、得
られたマーカー情報(これは主要データセットを構成する)を収集することによ
り達成される。全てではないが、ほとんどの場合、主要データセットは、DNA
バイオチップで得られたアレイといった、アレイの形のゲノミクスおよび/また
はプロテオミクスデータからなる。
【0123】 次に、主要データセットを分析して、示差的発現/結果が、試験した薬草組成
物について得られたかを確認する。示差的発現/結果は、次のステップで意味あ
るアルゴリズムを作成するために必要である。かかる示差的発現/結果の例は、
ある遺伝子が、薬草組成物への曝露に応答してアップまたはダウンレギュレート
されるか、またはあるタンパク質のレベルが、曝露に応答して増加または減少し
たかの徴候を含むが、これらに限定されない。
【0124】 意味あるまたは有用な示差的発現/結果が全く得られない場合、曝露およびマ
ーカー収集ステップを反復する必要がある。実験誤差により適切な結果が最初に
得られないと考えられる場合、曝露/データ収集ステップを、全ての変数を、最
初と同じにして反復できる(例えば、同一のバイオシステム、同一のマーカーセ
ット、同一の実験プロトコル等)。しかし、示差的発現/結果を得るために、バ
イオシステムサンプリング(例えば、使用する細胞の種類、細胞成長段階)を変
化させ、異なるマーカーセットを使用する、および/または実験プロトコルを変
化させることが必要であり得る。
【0125】 (実施例4) HBRアレイ情報の使用 本明細書で議論したHBRアレイ情報は、以下を含むがこれらに限定されない
多くの異なる目的のために使用できる。すなわち、1)薬草組成物の成分の評価
:2)薬草組成物の生体応答の予測;3)どのマーカー情報が、薬草組成物の特
定の生体応答に最も高度に相関しているかを決定する;3)どの情報のデータセ
ット(すなわち、植物関連データ、マーカーデータ、および生体応答データ)が
、薬草コンポストの特定の生体応答に最も相関しているかを決定する;4)どの
種類のバイオシステムが、薬草組成物の生物活性の評価に最善であるかを決定す
る;5)薬草組成物のHBRアレイが、同一または実質的に同じ薬草組成物の標
準化HBRアレイに対応するように、薬草組成物の成分を調整または変化させる
;6)薬草組成物が所望の生物活性を有するように、薬草組成物の成分を調整ま
たは変化させる;7)異なる薬草組成物の関連性を測定する;8)標準化HBR
アレイの創製およびアップデート;9)薬草組成物の所望の生物活性を保持して
いる具体的な成分(例えば植物部分、タンパク質、分子)の同定;10)薬草組
成物の所望の生物活性を維持または向上しつつ、薬草組成物のどの成分を削除で
きるかを決定する;11)薬草組成物における1つまたはそれ以上の以前に未知
の生物活性を同定する;12)薬草および非薬草成分(化学合成薬物または医薬
)を含む、治療薬の設計を補助する、および13)治療薬を設計するコンビナト
リアルケミストリー法を補完するためのHBRアレイ情報の使用することである
。本発明のこれらの各実施の形態は、本明細書に提供される方法および手段を使
用して、適用可能な分野の当業者により達成できる。
【0126】 (実施例5) 品質管理 本発明のHBRアレイ技術は、標準化すなわちマスターの同一または実質的に
類似したバッチの薬草組成物に、実質的に等価な量の特定の薬草組成物(単一の
薬草または複数の薬草の処方)のバッチを相関させるかまたは決定するために使
用される。このプロセスで使用したHBRアレイは、各生物学的効果(すなわち
生体応答)の許容可能な範囲の量的変化、およびおそらく各生物学的効果(これ
はバイオシステムの複数の生化学的経路からのマーカーからなり得る)に割当て
られた加重値からなる全体的スコアを含む。
【0127】 「データ採掘」とは、どのサブセットの生物学的効果が、任意の特定のHBR
アレイに必要とされる、最小数の生物学的効果であるかを決定または選択するた
めに使用するプロセスを意味する。データ採掘の情報は、バイオシステム(例え
ば細胞系)を、用量依存的に、標準化薬草組成物に曝露して、標準化HBRアレ
イを確立することにより得られる。次いで、この標準化HBRアレイを、試験薬
草組成物について確立した様々なHBRアレイと比較できる。これらの試験薬草
組成物は、異なる時期に調製した異なるバッチ;異なる時期に収集された生薬草
から調製した異なるバッチ;および異なる位置で収集された生薬草から調製した
異なるバッチを含むが、これらに限定されない。
【0128】 (実施例6) 薬草組成物の改良または薬草組成物の新規用途の同定 HBRアレイは、バイオシステムを、調合物中の個々の薬草からの抽出物、ま
たは全調合物からの抽出物に曝露し、抽出物の生物学的効果を調べることにより
作成する。観察された生物学的効果は、バイオシステムの複数の生化学経路に由
来、および/または動物の複数の組織に由来し得、ここで、様々なマーカーを、
その対応する定性的および/または定量的変化について評価する。得られたHB
Rアレイは、新規HBRアレイ、或いは、異なる薬草組成物または異なるプロセ
スにより調製された薬草組成物の類似のHBRアレイと、比較できる。この手順
は、あるバッチ薬草組成物が、あるセットの生物学的効果を有することを予測す
るに必要な、一定のセットの生物学的効果および最少数のマーカーの選択に有用
である。
【0129】 HBRアレイを作成するために、当業者は、統計学的分析、人工知能および神
経研究に関するデータベース調査を含むがこれらに限定されない、様々なデータ
採掘手段を利用する。選択した統計学的方法は、基本的な探索データ分析(DE
A)、グラフィックEDA(例えばブッシング)および多変量探索技術(例えば
クラスター分析、識別因子分析、段階的な線形または非線形回帰、分類木)(例
えば、STATISTICA(商標)、StatSoftのソフトウェアパッケ
ージ、Tulsa、OK 74104;Tel:918−749−1119;F
ax:918−749−2217;www.statsoft.com)を含む
が、これらに限定されない。
【0130】 データ採掘手段は、HBRアレイ並びに、様々なHBRアレイ内、またはアレ
イ間の一貫したパターン作成の探究において、大量のHBRアレイを探索するた
めに使用される。手順は、探索、HBRアレイの作成、および検証からなる。こ
の手順は、典型的には、確固たるHBRアレイ、すなわち標準化HBRアレイが
同定されるまで反復する。
【0131】 (実施例7) 朝鮮人参レシピ(処方)の標準化HBRアレイの確立 本実施例のために、標準的な朝鮮人参として、満州または韓国で生育したPa
nax Ginseng C.A.MeyerG115を選択する。生育の気候
は、−10から+10℃であり、年間降雨量は50から100cmである(Hu
ang、漢方薬の薬理学、(1993)p.21−45、CRC出版、ボーカラ
トーン、フロリダ州を参照、参考として全体を取込む)。朝鮮人参バッチは、最
初に、地理学的起源、種、植物部分(例えば、根茎、根、葉表皮、種子、芽およ
び花);生育条件、加工法および加工前後の貯蔵条件により特徴付ける。これら
のバッチの化学物質含量の検証は、親油性構成成分についてのTLC定性分析を
含む、ジンセノサイドサポニン(例えば、Ro、Ra1、Ra2、Rb1、Rb
2、Rb3、Rc、Rg1、Rg2、Rd、Re、Rf、Rh1、Rh2、NG
−R2およびZ−R1)の決定についての定性的HPLC分析により実施する(
Elkin等、Chumg Kuo Yao Li Hsueh Pao(19
93) 14:97−100およびYoshikawa等、薬学雑誌(1993
) 113:460−467を参照)。異なる薬草のサポニン含量は、種に応じ
て、2.1から20.6%(重量)とすべきである(表1参照)。次いで、これ
らのデータは、さらなる操作のために、好ましくはコンピュータプロセッサの記
憶装置に保存する。
【0132】
【表1】
【0133】 標準的な朝鮮人参(すなわちG115)の発現バイオマーカーは、以下を含む
。すなわち、IL−8、IL−2、GM−CSF、NfκB、ICAM−1、イ
ンターフェロンγ、コリンアセチルトランスフェラーゼ、trkA、神経成長因
子(Kim等、Planta Med(1998) 64:110−115;S
onoda等、Immunopharmacology(1998) 38:2
87−294;Baum等、Eur J Appl Physiol(1997
) 76:165−169;Iwangawa等、Free Radic Bi
ol Med(1998) 24:1256−1268;Rhind等、Eur
J Appl Physiol(1996) 74:348−360)。別に
、より広いバッチサイズでは、400,000のオリゴヌクレオチド群/1.6
cm2チップのAffimatrixを使用できる(米国特許第5,556,7
52号)。標準的な朝鮮人参の発現バイオマーカーは、フォトリソグラフィー、
機械的ミクロスポットまたはインクジェット適用を使用して、cDNAのマイク
ロアレイ技術により調製する(Schena等、TIBTECH(1998)
16:301−306を参照)。選択した細胞のセットを、様々な条件下で、様
々な期間、標準的な朝鮮人参と接触させて、複数のマイクロアレイセットを作成
する。次いで、マイクロアレイセットを、マイクロアレイの各位置の蛍光強度か
ら定常状態mRNAレベルを推論して、生化学抽出物のハイブリダイゼーション
をベースにした発現モニタリングにより分析する(Schena等、Scien
ce(1995) 270:467−470;Schena等、Proc Na
tl Acad Sci USA(1996) 93:10614−10619
;Lockhart等、Nat Biotechnol(1996) 14:1
675−1680;DeRisi等、Nat Genet(1996) 14:
457−460;Heller等、Proc Natl Acad Sci U
SA(1997) 94:2150−2155)。次いで、アレイデータセット
を、アルゴリズムに入力して、標準的な朝鮮人参の統計学的発現バイオマーカー
値を作成する。標準的な人参の生化学的バイオマーカーは、タンパク質合成に比
例的なシクロヘキシミド感受性[3H]−ロイシン取込みおよび有糸分裂を反映
する[3H]−チミジン取込みの増加についての定量的分析を含む(Yamam
oto等、Arzneimittelforschung(1997) 27:
1169−1173を参照)。生化学バイオマーカーについて、骨髄細胞を、[ 3 H]−チミジンの存在下(DNA合成のために)またはシクロへキシイミドお
よび[3H]−ロイシン(タンパク質合成のために)の存在下および非存在下で
、様々な条件下で様々な期間、標準的な朝鮮人参と接触させ、生化学バイオマー
カー(すなわちBBMセット)の複数の定量的分析を実施する。次いで、BBM
セットをアルゴリズムに入力し、標準的な朝鮮人参の統計学的な生化学バイオマ
ーカー値を作成する。次いで、統計学的データを、さらなる操作のために、好ま
しくはコンピュータプロセッサの記憶装置に保存する。
【0134】 バイオシステムの生物学的応答(すなわち生体応答)は、細胞および全動物を
使用して決定する。細胞については、朝鮮人参バッチを、繊維芽細胞、マクロフ
ァージ、単球、PMNL、LAK細胞、B16−F10黒色腫細胞、THP−1
細胞および海馬ニューロンを含むがこれらに限定されない、特定の細胞型に、0
.5mg/mlから100mg/mlの濃度で曝露する。動物の処置では、0.
5から100mg/kgの朝鮮人参薬草抽出物を、経口、腹腔内注射または皮下
注射により投与する。
【0135】 標準的朝鮮人参に対するバイオシステムの生物学的応答を決定するために、ヒ
ト卵巣癌細胞を、ヌードマウスに接種し、これにより触診できる腫瘍が形成され
る。腫瘍形成後、マウスを、シス−ジアミンシクロロ白金および標準的な朝鮮人
参の同時投与により処置する。マウスを、腫瘍増殖阻害、生存時間の増加、並び
に、ヘマトクリット値および体重における副作用の減少について調べる(Nak
ata等、Jpn J Cancer Res(1998) 89:733−7
40)。アッセイは、様々な濃度の標準的な朝鮮人参を使用して繰返し、各変数
についての、中心傾向、分散および変動性の尺度を作成する。
【0136】 収集したデータは、次いで、多次元分析にかけて、生物活性と標準的朝鮮人参
の間の基線相関を決定する手段としての、多変量正規分布セットを作成する(Z
ar,J.H.、生物統計学的分析、第2版(1984)、p.328−360
、プレンティスホール、エングルウッドクリフ、ニュージャージー州)。標準的
な朝鮮人参に対するバイオシステムの生物応答の第二の独立的な決定は、運動中
の身体的動作に対する標準的朝鮮人参の効果である。ラットを、4日間、様々な
濃度(0.5から100mg/kg/日)の標準的朝鮮人参で処置し、動物を、
血漿中遊離脂肪酸レベルの増加、並びに、約70%のVO2最大での運動中のグ
ルコースレベルの維持について、試験する(Wang等、Planta Med
(1998) 64130−133参照)。作成したデータを収集し、次いで、
多次元分析にかけて、生物活性と標準的朝鮮人参の間の基線相関を決定する手段
として、多変量正規分布セットを作成する(Zar,J.H.、生物統計学的分
析、第2版(1984)、p.328−360、プレンティスホール、エングル
ウッドクリフ、ニュージャージー州、参考として全体を取込む)。次いで、各生
体応答の分布セットを、アルゴリズムに入力して、標準的朝鮮人参の統計学的値
を作成する。次いで、統計学的データを、さらなる操作のために、好ましくはコ
ンピュータプロセッサの記憶装置に保存する。
【0137】 これらの各ステップ(すなわち、化学分析、バイオマーカー情報の作成および
バイオシステムの応答の決定)を反復して、大量の統計学的値のデータベースを
作成する。これらの値を集計し、アルゴリズムに入力して、2および3次元薬草
応答アレイ(HBRアレイ)を標準的朝鮮人参について作成する。反復を通じて
、得られたアレイ(すなわち標準化アレイ)は、標準的朝鮮人参について、組成
物(生育条件を含む)、バイオマーカー情報および生物学的応答の間の最も高い
相関を示す。組成物についての2つまたはそれ以上の既知の関連した変数および
バイオマーカー情報値を、試験バッチのHBRアレイ上への表示を介して決定す
ることにより、生物学的応答変数値を、標準的朝鮮人参の標準化HBRアレイ値
に対して、試験値を比較することにより、試験バッチについて予測できる。得ら
れた予測を使用して、観察されたバイオシステムの生物学的応答を使用する必要
なく、ある朝鮮人参バッチの品質を評価する(実施例2参照)。
【0138】 (実施例8) 特定の生物学的応答に相関した変数のサブセットを使用した、 選択した朝鮮人参の薬草組成物の評価 試験バッチ薬草組成物の品質を評価するために、選択した薬草組成物中の薬草
についての植物関連パラメータに関するデータを最初に集める(例えば、植物種
、植物部分、地理学的起源、生育条件、加工法、および貯蔵条件)。次いで、選
択した薬草組成物を操作して、薬草の化学物質含量を決定するために化学分析を
実施できるようにする(Elkin等、Chumg Kuo Yao Li H
sueh Pao(1993) 14:97−100およびYoshikawa
等、薬学雑誌(1993) 113:460−467参照)。以前に得られた朝
鮮人参データは、有酸素運動実行中の酸素消費と、サポニン成分、特にRg1お
よびRb1の存在の間に、強力な相関を示した(Wang等、Planta M
ed(1998) 64:130−133)。
【0139】 次いで、試験バッチを、0.5mg/mlから100mg/mlの濃度で、繊
維芽細胞、マクロファージ、単球、PMNL、LAK細胞、B16−F10黒色
腫細胞、THP−1細胞および海馬ニューロンを含むがこれらに限定されない試
験細胞に曝露し、発現バイオマーカー値を決定する。mRNAを曝露細胞から単
離し、次いで、IL−8、IL−2およびインターフェロンγcDNAを含むマ
イクロアレイを使用して、生化学抽出物のハイブリダイゼーションを基にした発
現モニタリングの基質として使用する(Schena等、Science(19
95) 270:467−470;Schena等、Proc Natl Ac
ad Sci USA(1996) 93:10614−10619;Lock
hart等、Nat Biotechnol(1996) 14:1675−1
680;DeRisi等、Nat Genet(1996) 14:457−4
60;Heller等、Proc Natl Acad Sci USA(19
97) 94:2150−2155)。以前に得られた朝鮮人参データは、有酸
素運動実行中の酸素消費と、試験細胞における発現バイオマーカーIL−8、I
L−2およびインターフェロンγの誘導の間に強力な相関を示した(Venka
traman等、Med Sci Sports Exerc(1997) 2
9:333−344およびWang等、Planta Med(1998) 6
4:130−133)。生化学バイオマーカーについて、次いで、ラット骨髄細
胞を、試験バッチに曝露し、有糸分裂を反映する[3H]−チミジン取込みにつ
いてアッセイする。以前に得られた朝鮮人参データは、Rb1およびRg1が、
ラット骨髄細胞において、DNA合成との強力な相関を示すことを実証した(Y
amamoto等、Arzneimittelforschung(1978)
28:2238−2241)。
【0140】 反復分析後、各アッセイからのデータをアルゴリズムに入力して、化学分析を
含む列挙した植物関連データ、およびバイオマーカーのサブセットに関するデー
タに基づいた、選択した薬草組成物についての試験HBRアレイを作成する。試
験バッチの品質は、試験HBRと、上記の観察およびサブセットの分析に指向さ
れた標準朝鮮人参の標準化HBRアレイ変数を比較することにより決定し、IL
−2、IL−8およびINFγmRNAのインビトロでの誘導およびラット骨髄
細胞における[3H]−チミジン取込みの増加の実証(サポニンRg1およびR
b1の生育条件、起源、および検証に関して集めたデータを含む)は、標準朝鮮
人参により示されるものと等価な、酸素消費に対する試験バッチの生体応答効果
を予測する。この手順に基づいて、試験バッチが、ある生物学的応答または目的
の生物学的応答について、標準のものと類似または異なる品質であるか否かを決
定できる。
【0141】 (実施例9) Huang Ling(HL)レシピの標準化HBRアレイの 確立 本実施例の目的のために、標準huang ling(HL)として、南西ア
ジアからのCoptis Chinesisフランスを選択し、ここでその生育
条件は当業者には公知である(Huang、漢方の薬理学、(1993)、p.
69および287−288、CRC出版、ボーカラトーン、フロリダ州)。Co
ptis chinesisフランスの乾燥根茎を、ヒ素、ベルベリン、セルレ
イン酸、コランバミン、コプシン、コプチン、コプチシド−I、コプチシド−I
I、コプチシン、コレキシミン、エピベルベリン、フェルラ酸、グリーンランジ
シン、イソコプチシン、ルミカエルリン酸、マグノフロリン、オキシベルベリン
、タリフェンディン(thalifendine)、ウンベラチン、ウルベニン
、ウォレニン、パルマチン、ジャトロリジンおよびコルバミンの決定のために、
定量的化学分析により、化学物質含量について確認する(また、Zhu M.、
Chung Yao Tung Pao(1984) 9:63−64参照)。
異なる薬草のアルカロイドベルベリン含量は、7から9%(重量)とする。これ
らのデータは、さらなる操作のために、好ましくはコンピュータプロセッサの記
憶装置に保存する。
【0142】 標準HLの発現バイオマーカーは、以下を含む。すなわち、NfκB;bcl
−2類似体、A1;ジンクフィンガータンパク質、A20;IL−2受容体;細
胞周期プローブ;c−Ki−ras2;増殖調節因子プローブおよびグルココル
チコイド受容体依存性アポトーシスプローブ(Chi等、Life Sci(1
994) 54:2099−2107;Yang等、Naunyn Schmi
edebergs Arch Pharmacol(1996) 354:10
2−108;Miura等、Biochem Pharmacol(1997)
53;Chang K.S.、J Formos Med Assoc(19
91) 90:10−14を参照)である。別に、より広いバッチサイズでは、
400,000のオリゴヌクレオチド群/1.6cm2チップのAffimat
rixを使用できる(米国特許第5,556,752号)。標準的HLの発現バ
イオマーカーは、分析および統計学的データ作成を含む、実施例1に記載したマ
イクロアレイ技術により調製する。標準HLの生化学マーカーは、HL曝露He
pG2細胞における、グルココルチコイド受容体増加およびα−胎児タンパク質
分泌阻害を含む(Chi等、Life Sci(1994) 54:2099−
2107参照)。BBMセットは、実施例1に記載のように作成および分析する
。次いで、統計学的データを、さらなる操作のために、好ましくはコンピュータ
プロセッサの記憶装置に保存する。
【0143】 バイオシステムの生物学的応答は、細胞および全動物を使用して決定する。選
択した薬草組成物のバッチは、0.1から100mg/mlの濃度で、ヒトHe
pG2肝腫瘍細胞、ヒト胚性癌腫細胞および胸腺細胞を含むがこれらに限定され
ない特定の細胞型に曝露する。動物の処置では、赤褐色の薬草組成物(すなわち
HL)0.1mgから2g/kgを、経口、腹腔内注射または皮下注射により投
与する。標準HLへのバイオシステムの生物学的応答を決定するために、ヒト胚
性癌腫クローン、NT2/D1を、様々な濃度の標準HLに曝露し、細胞を、ニ
ューロン様細胞形態をもつ細胞への分化について調べる(Chang K.S.
、J Formos Med Assoc(1991) 90:10−14)。
アッセイを繰返して基準を作成し、分析を、実施例1において朝鮮人参について
記載した通りに実施する。標準HLに対するバイオシステムの生物学的応答の第
二の独立的な決定は、腸内毒素性の大腸菌(ETEC)による下痢に対する標準
HLの効果である。ETECによる活発な下痢に罹患した患者を、様々な濃度の
HL(例えば2g/kg)で処置し、便の量を決定する(例えば、Rabban
i G.H.、Dan Med Bull(1996) 43:173−185
を参照)。アッセイを反復して、基準を作成し、分析を、実施例1の朝鮮人参に
ついて記載した通りに実施する。次いで、各生物学的システムの分布セットをア
ルゴリズムに入力し、標準HLの統計学的値を作成する。次いで、統計学的デー
タは、さらなる操作のために、コンピュータプロセッサの記憶装置に保存する。
【0144】 最後に、実施例1のように、ステップを反復して、標準HLのHBRアレイを
作成し、次いで、得られたHBRアレイを使用して、生物活性を予測し、バッチ
品質を評価する。この方法を使用して、標準化HBRアレイを作成し、周期的に
アップデートできる。
【0145】 (実施例10) 特定の生物学的応答に相関した変数のサブセットを使用した 、選択したHuang Lingの薬草組成物の評価 選択したHuang Lingの薬草組成物の試験バッチの品質を評価するた
めに、最初に、植物関連特徴(例えば、植物種、植物部分、地理学的起源、生育
条件、加工法および貯蔵条件)に関するデータを集める。次いで、薬草組成物を
操作して、組成物の化学物質含量を決定するために化学分析を実施できる(また
、Zhu M.、Chung Yao Tung Pao(1984) 9:6
3−64を参照)。
【0146】 以前に得られたHLデータにより、ニューロン様細胞へのヒト胚性癌腫クロー
ンの末端分化は、ベルベリンの存在に強く相関していることが実証された(Ch
ang K.S.、J Formos Med Assoc(1991) 90
:10−14参照)。次いで、試験バッチを、ヒト胚性癌腫クローン、NT2/
D1を含む試験細胞に、濃度は無毒性濃度で開始して曝露する(その決定は当業
者の技術の範囲内である)。mRNAを曝露細胞から単離し、これを次いで、操
作してIL−2受容体およびNfκBを含むマイクロアレイを使用した、生化学
抽出物のハイブリダイゼーションを基にした発現モニタリングについての基質と
して使用し(Chi等、Life Sci(1994) 54:2099−21
07;Yang等、Naunyn Schmiedebergs Arch P
harmacol(1996) 354:102−108;Miura等、Bi
ochem Pharmacol(1997) 53;Chang K.S.、
J Formos Med Assoc(1991) 90:10−14;米国
特許第5,556,752号を参照)、これを使用して、前記細胞におけるc−
Ki−ras2遺伝子発現のダウンレギュレートを決定できる。以前に得られた
HLデータにより、ニューロン様細胞へのヒト胚性癌腫クローンの末端分化は、
有糸分裂プローブの誘導およびc−Ki−ras2遺伝子発現のダウンレギュレ
ートに強く相関していることが実証された(Chang K.S.、J For
mos Med Assoc(1991) 90:10−14を参照)。
【0147】 生化学マーカーについて、HepG2細胞を試験組成物に曝露し、細胞を、グ
ルココルチコイド受容体増加およびα−胎児タンパク質分泌阻害についてアッセ
イする(Chi等、Life Sci(1994) 54:2099−2107
を参照)。以前に得られたHLデータにより、グルココルチコイド誘導アポトー
シスの阻害は、ベルベリン型アルカロイドに強く相関していることが実証された
(Miura等、Biochem Pharmacol(1997) 53:1
315−1322を参照)。反復分析後に、各アッセイのデータをアルゴリズム
に入力し、列挙した観察データ、化学データおよびバイオマーカーのサブセット
に関するデータに基づいた試験HBRアレイを作成する。
【0148】 試験バッチの品質は、試験HBRと、上記の観察およびサブセットの分析に指
向された標準HLの標準化HBRアレイ変数を比較することにより決定し、IL
−2およびNFκBの誘導、c−Ki−ras2遺伝子発現のダウンレギュレー
ション、グルココルチコイド受容体増加およびHep2細胞のα−胎児タンパク
質分泌阻害(ベルベリンアルカロイドの生育条件、起源および検証について集め
たデータを含む)は、ニューロン様細胞へのヒト胚性癌腫クローンの末端分化、
並びに、標準的HLにより示されるようなデキサメタゾン誘導アポトーシス阻害
に対する、試験バッチの等価な生体応答効果を予測する。この手順に基づき、試
験バッチが、標準バッチと類似または異なる品質であるか否かを決定できる。
【0149】 (実施例11) 2つのバイオアッセイを使用した、Xiao Chai H u Tang(小柴胡湯)の評価 3つの起源のXiao Chai Hu Tangの品質を評価するために、
2つのバイオアッセイを使用した。すなわち、1)細胞増殖阻害および2)感染
細胞からのB型肝炎ウイルスの分泌であった。Xiao Chai Hu Ta
ng組成物は、6から7つの薬草植物の混合物から作成する(Radix Bu
peuri、Rhizoma Pinelliae、Rhizoma Zing
iberis、Radix Scutellariae、Fructus Zi
Ziphi、Codonopsis Pilosula、Radix Gins
engおよびRadix Glycyrrhizae、相対量(重量)について
は表2参照)。
【0150】
【表2】
【0151】 3つの「レシピ」は、シンガポール、韓国または台湾を起源とする。バッチを
、毒性について、および、DNA定量またはB型肝炎表面抗原(HbsAg)の
検出により検出して、B型肝炎ウイルス阻害能について評価した(Dong等、
Proc Natl Acad Sci USA(1991) 88:8495
−8499を参照)。
【0152】 簡潔には、1gの調製物を10mlの水と共に加えた。混合物を30分間煮沸
した。上清を遠心分離後に集め、0.22μmのフィルターでろ過した。2つの
細胞型を使用した。すなわち、a)B型肝炎ビリオンを分泌する2.2.15細
胞(G.Ace教授の好意によって提供された。Ace等、Proc Natl
Acad Sci USA(1987) 84:1005−1009を参照)
およびb)HepG2細胞(ATCCカタログ番号HB−8065)。1から5
0個の希釈液を各アッセイに使用した。細胞増殖阻害アッセイを72時間実施し
た。全ての他の手順は、Dong等、Proc Natl Acad Sci
USA(1991) 88:8495−8499に記載の通りに実施した。3つ
のバッチを使用したアッセイの結果は、表3に示す。これらのデータに基づき、
台湾起源を、毒性が低く、同時に、HbsAg分泌(ウイルス遊離に比例する)
を半分以上減少させて効果的であることから、標準的な薬草組成物として選択す
る。
【0153】
【表3】
【0154】 台湾薬草組成物について表2および3に提示したデータは、この薬草組成物の
標準化HBRアレイの初期データを構成する。従って、このデータセットは、最
初に、薬草組成物起源、植物種および各薬草組成物の相対量、および2つの生体
応答(すなわち、細胞増殖阻害および感染細胞からのB型肝炎ウイルス分泌)を
含む。
【0155】 図1の図解並びに実施例1および3に示した手順を使用して、追加のデータを
、標準薬草組成物の、植物関連データ、マーカーおよび生体応答について収集で
きる。この追加のデータを、初期の標準化HBRアレイに加えて、拡張標準化H
BRアレイを作成する。得られたデータベースの適切な分析は、詳細な説明およ
び実施例に示した通りに実施でき、目的の生体応答に最も高度に相関または関連
した変数のサブセットを確認できる。バッチHBRアレイは、図2並びに実施例
2および4の手順に示した方法を使用して決定し得る。
【0156】 得られたバッチHBRアレイは、標準化HBRアレイと比較でき、バッチ薬草
組成物の生体応答を予測できる。
【0157】 (実施例12) 薬草調製物 薬草抽出調製物の標準化プロトコルは以下の通りであった。すなわち、適切な
比率の薬草生原料の成分を、ジャケット付き反応容器に入れ、高い一定温度の水
で混合しながら抽出した。固体を液体から120メッシュのふるいで分離した。
得られたろ液を集め、次いで、減圧下で水を蒸発させることにより濃縮した。濃
縮された液を、高温で噴霧乾燥すると、造粒粉末が得られた。このかさのある物
質を次いで、所望の投与形に製剤化した。
【0158】 (実施例13) Huang Qing Tangの評価 Huang Qing Tang(HQT)は、4つの異なる薬草からなる、
古代中国の植物製剤である。すなわち、Scutellariae(黄ゴン)、
Glycyrrhizae(甘草)、Paeonie lactiflora
pallus(芍薬根)、およびFructus zizipho(ナツメヤシ
)(表4)である。この薬草製剤は、アジアで、紀元300年以来、様々な胃腸
の病気の処置に長く使用されてきた。
【0159】
【表4】
【0160】 (生物学的および酵素的アッセイ)
【0161】
【表5】
【0162】 簡潔には、1gの各バッチのHuang Qing Tang(HQT)を、
10mlの水と共に加えた(1mg/ml)。混合物を表5に概略を示したよう
に処理した。上清を遠心分離後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過し
た。2つの細胞型を使用して、各HQTバッチの生物学的効果について試験した
。すなわち、a)ジャーカットT細胞(ATCCカタログ番号TIB−152)
およびb)HepG2細胞(ATCCカログ番号HB−8065)。1から50
個の希釈液を各アッセイに使用した。凍結細胞(107/ml)を37℃の水浴
中で迅速に解凍した。次いで、細胞を10mlの予め加温した培地中に希釈し(
Life Technologies,Inc、カタログおよび参照ガイド、1
998−1999、細胞培養の章参照)、続いて、1500rpmで5分間遠心
分離した。次いで、上清を廃棄し、細胞を37℃、5%CO2で、100ml培
地中で培養した。2日後、細胞を計数した(約8x105/ml、全100ml
)。
【0163】 バッチはまた、DNA定量により検出して、B型肝炎ウイルス阻害能について
評価した(Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(19
91) 88:8495−8499を参照)。簡潔には、1gの調製物を10m
lの水と共に加えた。混合物を30分間煮沸した。上清を遠心分離後に集め、0
.22μmフィルターを通してろ過した。B型肝炎ビリオンを分泌するHepG
2.2.15細胞(G.Ace教授の好意により提供された。Ace等、Pro
c Natl Acad Sci USA(1987) 84:1005−10
09を参照)をこのアッセイに使用した。1から50個の希釈を各アッセイに使
用した。細胞増殖阻害アッセイを、72時間実施した。全ての他の手順は、Do
ng等、Proc Natl Acad Sci USA(1991) 88:
8495−8499により記載された通りに実施した。
【0164】 HQTはその抗利尿特性について知られているので、β−グルクロニダーゼを
アッセイした。異なるHQT抽出物を、0.1mMフェノールフタレイングルク
ロニデート、70mMトリス−HCl(pH6.8)および0.8ngの透析β
−グルクロニダーゼ(大腸菌由来、Sigma(商標)購入)を含む96ウェル
プレートの三重ウェルに、最終用量80μlとなるまで加えた。2時間37℃で
インキュベートした後、反応液を、0.2Mグリシンおよび0.2M NaCl
(pH10.4)を含む200μlの停止溶液を用いて終結させ、ODを、54
0nmのカイネティックマイクロプレートリーダーを用いてモニタリングした。
【0165】 3つのバッチを使用したアッセイの結果を表6に表示する。これらのデータに
基づき、HQT源AおよびBは、バッチHQT Cと比較して、比較的高い阻害
活性と比較的低い毒性を有する(すなわち、HepG2細胞に対して約5倍高い
毒性、およびHQT AまたはBよりもβ−グルクロニダーゼに対して3.3倍
低い阻害活性、表6参照)。
【0166】
【表6】
【0167】 (タンパク質発現に対するHQT効果の評価) HepG2細胞(1×106)を、薬物添加の24時間前に、25cm2フラ
スコ中の、3.0mlのRPMI−1640培地(Life Technolo
gies,Inc.、カタログおよび参照ガイド、1998−1999、細胞培
養の章参照)中に播いた。細胞を、生薬を用いてまたは用いずに処置し、前者は
、2つの最終濃度それぞれ0.2mg/mlまたは4mg/mlで添加され、3
7℃で24時間インキュベートする。培地を除去し、細胞を冷PBSで2回洗浄
した。細胞を1mlのPBS中に収集し、10,000rpmで2分間遠心分離
し、50mMトリス−Cl(pH7.5)、0.2mM PMSFおよび10%
グリセロールを含む緩衝液を用いて氷上で抽出し、続いて3回の凍結−解凍サイ
クルを実施した。塩化カリウムを、遠心分離前に、細胞溶解液に0.15Mの最
終濃度で細胞溶解液に加えた。タンパク質濃度を決定し、細胞抽出物をLaem
mli(Nature(1970) 227:680−685)の方法に従って
電気泳動にかけた。ウェスタンブロットを、当業者に公知の標準的な技法により
実施し、例えばSambrook等(1989)を参照。使用した抗体は、以下
のタンパク質に指向した。すなわち、TopoI、Stat(20707)、サ
イクリンB1、MAPK(Ab2)およびNm23H1であった。
【0168】 図4は、より高い濃度のHQT AまたはHQT Bが、サイクリンB1ポリ
ペプチドの発現に示差的に影響を及ぼすことを実証する。
【0169】 (HPLC分析) 薬草バッチを、ベックマンODSUltrasphere(商標)カラム(5
μ粒子、4.6mm×25cm)を用いてHPLCにより分析し、UV分光計(
Perkin Elmer)を使用して検出した。UV検出の波長は、280n
mおよび340nmでモニタリングした。移動相は、1ml/分でポンピングし
、以下の勾配を有した。すなわち、溶媒A:H2Oおよび溶媒B:20%MeO
Hから構成された。1)溶媒は、最初の5分間は、100%溶媒Aであった;2
)溶媒組成は、次の10分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた;およ
び3)溶媒は、次の40分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた。これ
に次いで、100%溶媒Aを5分間加えた。HPLCマーカーはバイカリンおよ
びバイカレインである。
【0170】 (質量分析) 薬草抽出物は、PEBiosystemsの、Mariner(商標)ESI
−TOF質量分析計(MS)により分析した。対照トレーシングは、HQT中の
2つの既知の活性成分である、バイカレインおよびバイカリンを使用して作成し
た。
【0171】 水および酸処理バッチのHQTサンプルを、HPLCおよび質量分析により分
析した。水処理HQTバッチAおよびBは、異なるHPLCおよびMSトレーシ
ングを示したが、酸処理バッチはほとんど同一のパターンを与えた(データは示
さず)。
【0172】 (アルゴリズム) データを、多変量正規分布セットを作成するために使用した多次元分析の一部
から、生物活性と標準HQT化学(HPLCおよび質量分析)の間の基線相関、
および起源/成長特徴を決定する手段として集めた。
【0173】 (実施例14) 個々の成分 A.甘草 Glycyrrhizae Radix(甘草)の評価 甘草は、肺を湿潤化し、咳きを減少させるのに有用であり、痙攣および疼痛の
緩和に役立つ。本実施例に使用した甘草バッチの特性は、表7に提示する。
【0174】
【表7】
【0175】 (生物学的および酵素的アッセイ) 薬草起源の品質をアッセイするために、各薬草抽出物上清をアッセイし、分析
を3回反復した。アッセイする1つのサンプルについて、1gの薬草粉末を、ポ
リエチレンチューブ中の、10mlの80℃の脱イオン水(中性pH)に溶かし
た。次いで、チューブを、表7に概略を示したようにインキュベートし、次いで
、遠心分離して上清を得た。甘草のバッチを、HepG2細胞(ATCCカタロ
グ番号HB−8065)またはジャーカットT細胞(ATCCカタログ番号TI
B−152)またはその両方に対して試験した。細胞を上記のように24時間培
養した。
【0176】 バッチはまた、DNA定量により検出して、B型肝炎ウイルスの阻害能につい
て評価した(Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(1
991) 88:8495−8499を参照)。簡潔には、1gの調製物を10
mlの水と共に加えた。混合物を30分間煮沸した。上清を遠心分離後に集め、
0.22μmフィルターを通してろ過した。B型肝炎ビリオンを分泌する2.2
.15細胞(G.Ace教授の好意により提供された。Ace等、Proc N
atl Acad Sci USA(1987) 84:1005−1009を
参照)をこのアッセイに使用した。1から50個の希釈液を、各アッセイに使用
した。細胞増殖阻害アッセイを72時間実施した。全ての他の手順は、Dong
等、Proc Natl Acad Sci USA(1991) 88:84
95−8499に記載の通りに実施した。
【0177】 ここでも、β−グルクロニダーゼをアッセイした。異なる甘草抽出物を、0.
1mMフェノールフタレイングルクロニデート、70mMトリス−HCl(pH
6.8)および0.8ngの透析β−グルクロニダーゼ(大腸菌由来、Sigm
aから購入)を含む96ウェルプレートの3重ウェルに、最終容量80μlとな
るまで加え、上記のようにアッセイした。
【0178】 2つのバッチを使用したアッセイの結果は表8に表示する。これらのデータに
基づき、甘草バッチAは、バッチBよりもジャーカット細胞に対してより毒性が
高く(約9倍)、β−グルクロニダーゼのより効果的な阻害剤であった(表8参
照)。
【0179】
【表8】
【0180】 (発現アッセイ) 遺伝子発現をアッセイするために、ジャーカットT細胞を、以下のように薬草
抽出物で処理した。すなわち、ジャーカット細胞(107/ml)を、37℃の
水浴中で迅速に解凍した。次いで、細胞を10mlの予め加温した培地中に希釈
し(Life Technologies,Inc.、カタログおよび参照ガイ
ド、1998−1999、細胞培養の章参照)、続いて、1500rpmで5分
間遠心分離した。次いで、上清を廃棄し、細胞を37℃、5%CO2の100m
l培地中で培養した。2日後、細胞を計数した(約8x105/ml、全100
ml)。
【0181】 薬草抽出溶液を、上記に概略を示したように調製した(例えば、20mlの無
菌溶液(0.1g/ml)を得るために、2gの薬草粉末)。細胞を、2.5g
x105/mlの密度、100ml/各フラスコで、3つのフラスコに分割した
。アッセイを、対照(抽出物非含有)、および10mg/mlおよび1mg/m
lの10ml抽出物を用いて実施した。ここでも、毒性結果を使用して、任意の
ある抽出物について「高」および「低」濃度を決定した。抽出物添加後、細胞培
養液を、上記に概略を示した条件下で24時間インキュベートした。細胞を計数
し、次いで、50mlの遠心チューブ中に集めた。得られた細胞ペレットをRN
A単離手段で処理して、mRNAを抽出した(例えば、Sambrook等、1
989、p.7.3−7.39参照)。
【0182】 (マイクロアレイ) マイクロアレイプリントは、以下のように実施した。
【0183】 ヒト遺伝子クローンは、IMAGEコンソーシアムライブラリーから得、様々
な組織の遺伝子を含む。ほとんどのクローンが一部シークエンスされ、GenB
ankのdbESTデータベースの発現配列Gタグとして入手可能であった。ク
ローンを、別々に培養し、ナイロン膜上に適用する前に、市販で入手可能なプラ
イマーを使用して増幅した(Chen等、Genomics(1998) 51
:313−324)。約10ngの各増幅標的を、正に荷電したナイロン膜に、
PC(パソコン)制御アレイ化システムを使用して適用した。そのアレイ化シス
テムによれば、24ピンアレイ化手段を使用して、18x27mmと測定される
、ナイロン膜の一片に31,000のスポット配置できる。
【0184】 (cDNAプローブおよび膜ハイブリダイゼーション) 2μgの各mRNAサンプル(mRNAは上記に概略を示したように単離した
)を、ランダムプライム逆転写を使用して、ビオチンおよび/またはジゴキシゲ
ニンで標識した。標識サンプルを、アルカリ処理し、得られた標識核酸を、ハイ
ブリダイゼーションに使用する前に沈降させた。膜ハイブリダイゼーションおよ
び洗浄は、Chen等(1998)に開示された標識プローブを使用して実施し
た。二色モード(すなわち、ビオチンおよびジゴキシゲニンの両方)で膜上のス
ポットを検出するためにβ−ガラクトシダーゼコンジュゲートストレプトアビジ
ン(Strept−Gal)およびアルカリホスファターゼコンジュゲートジゴ
キシゲニン抗体(抗−Dig−AP)を使用した。色展開後、イメージング手段
を使用したイメージデジタル化を採用した(例えば、フラットベッド・スキャナ
またはデジタルカメラ)。定量的測定は、各スポットの最初の色成分の統合密度
を測定し、統合密度データの回帰分析を実施し、異なって発現される遺伝子など
の統計学的アウトライナーを位置付けるプログラムを使用する、コンピューター
分析により決定した。
【0185】 (サンプル1、2および甘草(ST117)についての遺伝子発現データ) Cordyceps sinensis(冬虫夏草)、Poria coco
s(ST027)および甘草の抽出物に対応する、それぞれ抽出物1、2および
6を、以下の方法によりアッセイした。バッチを、ジャーカット細胞を使用して
毒性について評価した。
【0186】 抽出物を実施例6に概略を示したように調製した。細胞を、1mlのジャーカ
ット細胞を、5×105/mlの密度で加えることにより、24ウェル培養プレ
ートに分割した。アッセイは、対照(抽出物非含有)、上記した5つの濃度の抽
出物を用いて実施した(表9参照)。高および低濃度の細胞培養アッセイは、細
胞に対する、抽出物の毒性に応じて、10mg/mlから0.05mg/mlの
間で変化した(すなわち、1mlあたりの薬草抽出物の乾燥重量mg)。あるサ
ンプルでは、10mg/mlでの毒性は、「高」および「低」濃度を下方修正す
る濃度であるが、それにも関わらず、極値間に少なくとも1次数の大きさを維持
した。例えば、甘草(ST117)では、「高」は、0.5mg/mlであり、
「低」は、0.05mg/mlであった(表9参照)。抽出物添加後、細胞培養
液を、24時間、実施例6に概略を示した条件下でインキュベートした。細胞を
計数し、得られたデータを作表して、正確な毒性を示した。得られたデータは、
表9に示す。
【0187】
【表9】
【0188】 各分析で、144×96遺伝子(すなわち13,824遺伝子)を分析し(デ
ータは示さず)、約100個の遺伝子が、対照と比較して有意な差異を示した(
表10)。いくつかの遺伝子がアップレギュレートされ、他はダウンレギュレー
トされた。対照との差異の大きさは、時に、特定の細胞を曝露する薬草組成物の
相対量に応じて変化した。C1(対照処置)およびHまたはL(薬草)下の数は
、バックグラウンドを差し引いた後の発現されたmRNAの強度を示す(表10
)。遺伝子の名称はアレイADにコードされ、これにより特定のGenBank
クローンにたどり着ける。発現レベルは、HまたはLをCで割って決定した。各
薬草で処理したサンプルにおいて13,824遺伝子の1部分のみが、有意な変
化、すなわち、アップ、ダウン或いは未変化を示した(表10参照)。
【0189】
【表10】
【0190】 このように、本発明者らは、特定の遺伝子発現を、細胞の、無、低(L)また
は高(H)量の薬草組成物への曝露に相関づけることができる。このように同定
された多くの遺伝子が、既知の代謝または生化学経路に重要なタンパク質をコー
ドしている。これらのタンパク質の多くが、ある生理学的、形態学的および心理
学的パラメータに対して、直接的および間接的効果を有する。従って、この方法
により、薬草組成物の特定の遺伝学的フィンガープリントを、そのアレイの生物
学的効果に関連づけることが可能となる。かかる関連を使用して、品質管理およ
び品質確証および薬理学的または毒性学的特性の評価のために、薬草組成物をプ
ロファイルまたは特徴付けることができる。薬草製剤中の一次および二次薬草の
役割も、このアプローチにより評価できる。
【0191】 (HPLC分析) 薬草バッチを、ベックマンODSUltrasphere(商標)カラム(5
μ粒子、4.6mm×25cm)を用いてHPLCにより分析し、UV分光計(
パーキンエルマー)を用いて検出した。UV検出波長は、270nmおよび34
0nmでモニタリングした。移動相は、1ml/分でポンピングし、以下の勾配
を有する、溶媒A:H2Oおよび溶媒B:20%MeOHから構成された。1)
溶媒は、最初の5分間は、100%溶媒Aであった、2)溶媒組成は、次の10
分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた、および3)溶媒は、次の40
分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた。これに続いて、100%溶媒
Aを5分間加えた。HPLCマーカーはグリシルリジンであった。
【0192】 (アルゴリズム) データを、多変量正規分布セットを作成するために使用した多次元分析の一部
から、生物活性と標準甘草分子化学(HPLCおよび質量分析)の間の基線相関
、および起源/成長特徴を決定する手段として集めた。
【0193】 B.黄ゴン (Radix Scutellariae(黄ゴン)の評価) 黄ゴンは、毛細血管透過性および炎症の減少に有用であることが分かっている
。それはまた、腸炎および赤痢の処置に、黄疸の処置のために胆汁分泌を増加さ
せるために、筋肉痙攣を軽減するために、咳きを処置し、寄生虫を駆除するため
に使用できる。本実施例に使用した黄ゴンバッチの特性を表11に提示する。
【0194】
【表11】
【0195】 (生物学的および酵素的アッセイ) 簡潔には、1gの各バッチの黄ゴン抽出物を、10mlの水と共に加えた(1
mg/ml)。混合物を表11に概略を示したように処理した。上清を遠心分離
後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過した。黄ゴンバッチを、Hep
G2細胞(ATCCカタログ番号HB−8065)またはジャーカットT細胞(
ATCCカタログ番号TIB−152)または両方に対して試験した。1から5
0個の希釈液を各アッセイに使用した。細胞を、上記のように、24時間培養し
た。
【0196】 バッチはまた、DNA定量により検出して、B型肝炎ウイルス阻害能について
評価した(Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(19
91) 88:8495−8499参照)。簡潔には、1gの調製物を10ml
の水と共に加えた。混合物を表11に概略を示したように処理した。上清を遠心
分離後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過した。B型肝炎ビリオンを
分泌する2.2.15細胞(G.Ace教授の好意により提供された。Ace等
、Proc Natl Acad Sci USA(1987) 84:100
5−1009を参照)をこのアッセイに使用した。1から50個の希釈液を各ア
ッセイに使用した。細胞増殖阻害アッセイを、72時間実施した。全ての他の手
順は、Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(1991
) 88:8495−8499により記載された通りに実施した。
【0197】 β−グルクロニダーゼについて、異なる黄ゴン抽出物を、0.1mMフェノー
ルフタレイングルクロニデート、70mMトリス−HCl(pH6.8)および
0.8ngの透析β−グルクロニダーゼ(大腸菌由来、Sigmaから購入)を
含む96ウェルプレートの三重ウェルに、最終容量80μlとなるまで加えた。
2時間37℃でインキュベートした後、反応液を、0.2Mグリシンおよび0.
2M NaCl(pH10.4)を含む200μlの停止溶液を用いて終結し、
ODを、カイネティックマイクロプレートリーダーを用いて540nmでモニタ
リングした。
【0198】 3つのバッチを使用したアッセイの結果は表12に表示する。
【0199】
【表12】
【0200】 (タンパク質発現に対する黄ゴン効果の評価) HepG2細胞(1×106)を、抽出物添加の24時間前に、25cm2フラ
スコ中の、3.0mlのRPMI−1640培地(Life Technolo
gies,Inc.、カタログおよび参照ガイド、1998−1999、細胞培
養の章参照)中に播いた。細胞を、生薬を用いてまたは用いずに処理し、前者は
、2つの最終濃度それぞれ0.2mg/mlまたは4mg/mlを添加され、3
7℃で24時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を冷PBSで2回洗浄
した。細胞を1mlのPBS中に収集し、10,000rpmで2分間遠心分離
し、50mMトリス−Cl(pH7.5)、0.2mM PMSFおよび10%
グリセロールを含む緩衝液を用いて氷上で抽出し、続いて3回の凍結−解凍サイ
クルを実施した。塩化カリウムを、遠心分離前に、細胞溶解液に0.15Mの最
終濃度で加えた。タンパク質濃度を決定し、細胞抽出物をLaemmli U.
K.(Nature(1970) 227:680−685)の方法に従って電
気泳動にかけた。ウェスタンブロットを、当業者に公知の標準的な技法により実
施し、例えばSambrook等(1989)参照。使用した抗体は、以下のタ
ンパク質に指向した。すなわち、TopoI、Stat(20707)、サイク
リンB1、MAPK(Ab2)およびNm23H1であった。
【0201】 図4は、黄ゴンバッチAおよびBが、ウェスタンブロット上で分解したポリペ
プチドの発現に示差的に影響を及ぼさないことを実証する。
【0202】 (HPLC分析) 薬草バッチを、ベックマンODSUltrasphere(商標)カラム(5
μ粒子、4.6mm×25cm)を用いてHPLCにより分析し、UV分光計(
パーキンエルマー)を使用して検出した。UV検出の波長は、280nmおよび
340nmでモニタリングした。移動相は、1ml/分でポンピングし、以下の
勾配を有する、溶媒A:H2Oおよび溶媒B:20%MeOHから構成された。
1)溶媒は、最初の5分間は、100%溶媒Aであった、2)溶媒組成は、次の
10分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた、および3)溶媒は、次の
40分間、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた。これに続いて、100%
溶媒Aを5分間加えた。HPLCマーカーはバイカリンおよびバイカレインであ
った。
【0203】 水および酸処理サンプル中の黄ゴンバッチを、HPLCにより分析した。水お
よび酸処理バッチは、実質的に識別不可能であった。
【0204】 (アルゴリズム) データを、多変量正規分布セットを作成するために使用した多次元分析の一部
から、生物活性と標準黄ゴン化学(HPLC)の間の基線相関、および起源/成
長特徴を決定する手段として集めた。
【0205】 C.芍薬根 (Paeonie lactiflora pallus radix(芍薬)
の評価) 芍薬は、疼痛の抑制および緩和に使用される。それはまた、靭帯を緩和し、血
液を精製することが知られている。本実施例に使用した芍薬バッチの特性を表1
3に提示する。
【0206】
【表13】
【0207】 (生物学的および酵素的アッセイ) 簡潔には、1gの各黄ゴン抽出物の調製物を、10mlの水と共に加えた(1
mg/ml)。混合物を表13に概略を示したように処理した。上清を遠心分離
後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過した。芍薬バッチを、HepG
2細胞(ATCCカタログ番号HB−8065)またはジャーカットT細胞(A
TCCカタログ番号TIB−152)または両方に対して試験した。1から50
個の希釈液を各アッセイに使用した。細胞を、上記のように、24時間培養した
【0208】 バッチはまた、DNA定量により検出して、B型肝炎ウイルス阻害能について
評価した(Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(19
91) 88:8495−8499参照)。
【0209】 簡潔には、1gの調製物を10mlの水と共に加えた。混合物を表13に概略
を示したように処理した。上清を遠心分離後に集め、0.22μmフィルターを
通してろ過した。B型肝炎ビリオンを分泌する2.2.15細胞(G.Ace教
授の好意により提供された。Ace等、Proc Natl Acad Sci
USA(1987) 84:1005−1009参照)をこのアッセイに使用
した。1から50個の希釈液を各アッセイに使用した。細胞増殖阻害アッセイを
、72時間実施した。全ての他の手順は、Dong等、Proc Natl A
cad Sci USA(1991) 88:8495−8499により記載さ
れた通りに実施した。
【0210】 異なる芍薬抽出物を、0.1mMフェノールフタレイングルクロニデート、7
0mMトリス−HCl(pH6.8)および0.8ngの透析β−グルクロニダ
ーゼ(大腸菌由来、Sigmaから購入)を含む96ウェルプレートの三重ウェ
ルに、最終容量80μlとなるまで加えた。2時間37℃でインキュベートした
後、反応液を、0.2Mグリシンおよび0.2M NaCl(pH10.4)を
含む200μlの停止溶液を用いて終結し、ODを、カイネティックマイクロプ
レートリーダーを用いて540nmでモニタリングした。結果は表14に示す。
【0211】
【表14】
【0212】 (HPLC分析) 薬草バッチを、ベックマンODSUltrasphereカラム(5μ粒子、
4.6mmx25cm)を用いてHPLCにより分析し、UV分光計(パーキン
エルマー)を使用して検出した。UV検出の波長は、280nmおよび340n
mでモニタリングした。移動相は、1ml/分でポンピングし、以下の勾配を有
する、溶媒A:H2Oおよび溶媒B:20%MeOHから構成された。1)溶媒
は、最初の5分間は、100%溶媒Aであった、2)溶媒組成は、次の10分間
、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた、および3)溶媒は、次の40分間
、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた。これに続いて、100%溶媒Aを
5分間加えた。HPLCマーカーはパエオニフロリンであった。
【0213】 芍薬バッチは、図5に示したようにHPLCにより分析した。
【0214】 (アルゴリズム) データを、多変量正規分布セットを作成するために使用した多次元分析の一部
から、生物活性と標準芍薬化学(HPLC)の間の基線相関、および起源/成長
特徴を決定する手段として集めた。
【0215】 D.ナツメヤシ (Ziziphi Fructus(ナツメヤシ)の評価) ナツメヤシは、利尿特性および強化効果のために使用されてきた。本実施例で
使用したナツメヤシバッチの特性を表15に提示する。
【0216】
【表15】
【0217】 (生物学的および酵素的アッセイ) 簡潔には、1gの各バッチの黄ゴン抽出物を、10mlの水と共に加えた(1
mg/ml)。混合物を表15に概略を示したように処理した。上清を遠心分離
後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過した。ナツメヤシのバッチを、
HepG2細胞(ATCCカタログ番号HB−8065)またはジャーカットT
細胞(ATCCカタログ番号TIB−152)または両方に対して試験した。1
から50個の希釈液を各アッセイに使用した。細胞を、上記のように、24時間
培養した。
【0218】 バッチはまた、DNA定量により検出して、B型肝炎ウイルス阻害能について
評価した(Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(19
91) 88:8495−8499参照)。簡潔には、1gの調製物を10ml
の水と共に加えた。混合物を表15に概略を示したように処理した。上清を遠心
分離後に集め、0.22μmフィルターを通してろ過した。B型肝炎ビリオンを
分泌するHepG2.2.15細胞(G.Ace教授の好意により提供された。
Ace等、Proc Natl Acad Sci USA(1987) 84
:1005−1009参照)をこのアッセイに使用した。1から50個の希釈液
を各アッセイに使用した。細胞増殖阻害アッセイを、72時間実施した。全ての
他の手順は、Dong等、Proc Natl Acad Sci USA(1
991) 88:8495−8499により記載された通りに実施した。
【0219】 異なる芍薬抽出物を、0.1mMフェノールフタレイングルクロニデート、7
0mMトリス−HCl(pH6.8)および0.8ngの透析β−グルクロニダ
ーゼ(大腸菌由来、Sigmaから購入)を含む96ウェルプレートの三重ウェ
ルに、最終容量80μlとなるまで加えた。2時間37℃でインキュベートした
後、反応液を、0.2Mグリシンおよび0.2M NaCl(pH10.4)を
含む200μlの停止溶液を用いて終結し、ODを、カイネティックマイクロプ
レートリーダーを用いて540nmでモニタリングした。結果を表16に示す。
【0220】
【表16】
【0221】 (HPLC分析) 薬草バッチを、ベックマンODSUltrashpereカラム(5μ粒子、
4.6mmx25cm)を用いてHPLCにより分析し、UV分光計(パーキン
エルマー)を使用して検出した。UV検出の波長は、280nmおよび340n
mでモニタリングした。移動相は、1ml/分でポンピングし、以下の勾配を有
する、溶媒A:H2Oおよび溶媒B:20%MeOHから構成された。1)溶媒
は、最初の5分間は、100%溶媒Aであった、2)溶媒組成は、次の10分間
、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた、および3)溶媒は、次の40分間
、10%溶媒A/90%溶媒Bに変化させた。これに続いて、100%溶媒Aを
5分間加えた。ナツメヤシのHPLCマーカーはケリドン酸およびcAMPであ
った。
【0222】 ナツメヤシのバッチサンプルは、図6に示したようにHPLCにより分析した
【0223】 (アルゴリズム) データを、多変量正規分布セットを作成するために使用した多次元分析の一部
から、生物活性と標準芍薬化学(HPLC)の間の基線相関、および起源/成長
特徴を決定する手段として集めた。
【0224】 (実施例15) 核酸マイクロアレイ解析による生薬の特徴付け 序論 核酸マイクロアレイ技術の急速な発展により、遺伝子発現データは爆発的に増
加した(Lander、1999、Dugganら、1999)。遺伝子発現の
4つの特徴が、遺伝子発現プロフィールを研究するために、核酸マイクロアレイ
を使用する価値の高さを説明する。(i)核酸マイクロアレイにより、数千個の
遺伝子の転写物を一度に測定することが容易になる。(ii)遺伝子産物の機能
と、その発現パターンの間の密接な関連により、遺伝子機能を予測できるように
なる。(iii)細胞は、特定の遺伝子の発現レベルを変化させることにより、
ミクロな環境の変化に応答する。(iv)細胞で発現される遺伝子セットにより
、細胞の由来、どのような生化学的および調節系が関与しているか等が決定され
る(BrownおよびBostein、1999)。マイクロアレイシステムを
使用することにより、上記の特徴を、集合的に研究できる。
【0225】 任意の所望の数の遺伝子の発現を、核酸マイクロアレイ技術を使用して検出で
きる。例えば、約20,000までの遺伝子を、1つのアレイに配置し得る。本
発明者らは、比色検出システム(マイクロアレイ/CD)をもつ核酸マイクロア
レイを開発した(Chenら、1998)。異なる細胞系の遺伝子発現プロフィ
ールを、約10,000個の区別できるヒト転写物を提示している、約10,0
00個のcDNAをもつ、マイクロアレイフィルターメンブラン(2.7cm×
1.8cm)を使用して研究した。マイクロアレイ/CDシステムの感度および
検出限界を特徴付け、これは放射能検出をもつシステムまたはレーザー励起蛍光
検出をもつシステムと同等である(Bertucciら、1999)。
【0226】 以前に記載のように、細胞遺伝子発現プロフィールは、起源、細胞の現在の分
化、および、外的刺激に対する細胞応答を表現する。すなわち、遺伝子発現プロ
フィールにより、細胞の状態が判明し、マイクロアレイは、目的を実施するのに
完全な手段である。本研究で、本発明者らは、マイクロアレイ/CDシステムを
適用して、外的刺激、この場合、漢方薬に対する細胞応答を特徴付ける。逆に、
本発明者らはまた、刺激遺伝子発現プロフィールに基づいて、異なる生薬を分類
した。
【0227】 図7は、薬草組成物で処理した細胞の発現応答データセットを確立するために
使用し得る、一般的な方法を示したフローチャートである。この方法は以下のス
テップを含む。
【0228】 (a)哺乳動物細胞培養液中での種々の濃度の生薬をインキュベートし、所定
の時間後に50%の生存細胞が残る濃度を同定することにより、薬草組成物のI
50濃度を決定する。 (b)哺乳動物細胞培養液を、種々の割合のIC50濃度の薬草抽出物と共にイ
ンキュベートする。 (c)所定の培養時間後に培養細胞を収集および計数する。
【0229】 (d)インキュベーターから取り出した後に細胞を直ちに溶解し、mRNAを
細胞溶解液から抽出する。 (e)逆転写反応によりmRNAを標識して、mRNAを標識cDNAに戻す
。 (f)標識cDNAを、植物起源の対照cDNAと混合し、哺乳動物遺伝子プ
ローブのマイクロアレイに対してハイブリダイゼーションを実施する。 (g)マイクロアレイハイブリダイゼーション結果のデジタル像を解析するこ
とにより、遺伝子の発現レベルを測定する。 (h)データ前処理を実施して、統計学的解析のためのデータを選択する。 (i)種々の濃度の薬草組成物のマイクロアレイ実験により作成された発現デ
ータを獲得する。 (j)データを前処理して、異なる濃度の生薬で処理した細胞において統計学
的に有意な遺伝子を選択する。 (k)自己組織化マップアルゴリズムなどの統計学的方法により、発現プロフ
ィールをクラスターに類別する。 (l)発現プロフィールクラスターに基づいた生薬の特徴的発現プロフィール
を推論する。
【0230】 図8は、どのように種々の薬草組成物のバッチについての発現データのデータ
セットが統合されて、特定の薬草組成物についての発現プロフィールデータベー
スを作成するかを実証したチャートである。次いで、発現プロフィールデータベ
ースは、HBRアレイの一部となる。
【0231】 発現プロフィールを含むHBRアレイはまた、未知の薬草組成物の同定に使用
し得る。図9は、未知の薬草組成物を同定するための一般的な方法を示したフロ
ーチャートであり、前記方法は以下のステップを含む。
【0232】 (a)前記のステップにより、生薬についての特徴的な発現プロフィールまた
は種々の生薬の発現プロフィールの集合を含むHBRアレイを作成する。 (b)未知の薬草組成物の特徴的な発現プロフィールデータセットを得る。 (c)前記の未知の薬草組成物により誘導される特徴的な発現プロフィールを
含むHBRアレイを、Hamming距離アルゴリズムなどのアルゴリズムによ
る発現データを含む標準的なHBRアレイと比較する。 (d)可能性あるアラインメントをスコアリングし、特徴的な発現プロフィー
ルが前記HBRアレイで保管されている、最も確率の高い薬草組成物を同定する
【0233】 発現プロフィールを含むHBRアレイの可能性あるアラインメントのスコアリ
ングは、Hamming距離マトリックスの階層型クラスター解析を使用して実
施し得る。Hamming距離マトリックスの階層型クラスター解析の使用は当
分野で既知である。
【0234】 遺伝子発現プロフィールも、標準化HBRアレイに取り込み得る。すでに考察
したように、薬草組成物により誘導された、かかる遺伝子発現プロフィールを含
む標準化HBRアレイは、薬草組成物の薬理機序を研究するために、薬草組成物
の新たな応用を見つけるために、そして、複合薬草組成物の最適な製剤の設計の
ために、使用できる。図10のフローチャートから分かるように、前記方法は、
一般に、以下のステップを含むとして概要を説明し得る。
【0235】 (a)薬草組成物の特徴的な遺伝子発現プロフィールを含むデータセットを作
成する。 (b)変動係数などの、既知の統計学的パラメータを使用して、データセット
におけるその発現プロフィールの一貫性により各遺伝子をスコアリングする。 (c)統計学的スコアリングに基づいて、生薬の遺伝子発現プロフィールを選
択して、標準化HBRアレイに取り込む。
【0236】 遺伝子発現プロフィールを含むHBRアレイを使用して、図11のフローチャ
ートに概略を示したように、複合化学的構成成分からなる薬草組成物中の個々の
化学的構成成分により誘導されるシグニチャー(署名)遺伝子発現プロフィール
も同定し得る。前記方法は、以下のステップを含む。
【0237】 (a)前記ステップにより薬草組成物の特徴的な遺伝子発現プロフィールを含
むHBRアレイを作成する。 (b)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または液体クロマトグラフィ
ー質量分析法(LC−MASS)により、生薬中の化学的構成成分の組成を決定
する。 (c)種々の生薬調製物のバッチでステップ(b)を繰返す。 (d)各遺伝子の発現レベルと、薬草調製物中の個々の化学的構成成分の量の
間の相関係数スコアリングする。 (e)0.99を超えるまたは−0.99より小さいピアソン相関係数を有す
る、個々の化学的構成成分のシグニチャー遺伝子発現プロフィールを選択する。
【0238】 次いで、任意の薬草組成物を、核酸マイクロアレイの使用により作成した遺伝
子発現プロフィールの使用により特徴付けることができる。さらに、示差的に発
現されている任意の数の遺伝子を選択し、遺伝子発現プロフィールを示すデータ
セットに含め得る。例えば、約10個の遺伝子、約100個の遺伝子、約500
個の遺伝子、約1000個の遺伝子、約1500個の遺伝子、約2000個の遺
伝子、約2500個の遺伝子またはそれ以上、またはその間の任意の数を選択し
得る。
【0239】 漢方薬の黄岑と甘草の組合せ(Huang Chin Tang)の処方は、
下痢を止め、痙攣を軽減し、発熱を直す。Huang Chin Tangの成
分は、黄岑、芍薬、甘草およびナツメである。このレシピは、1000年以上前
から使用されているが、処方に関する化学的および医用研究は、最近数十年前ま
では実施されていなかった。本研究で、発明者らは、核酸マイクロアレイ技術を
使用して、生薬で処理した細胞の遺伝子発現プロフィールを研究した。本発明者
らの目的は、異なる薬草組成物または異なる調製物の分類のためのマイクロアレ
イ/CDシステムの使用可能性を実証すること、および、Huang Chin
Tang処方の予測遺伝子(マーカー遺伝子)を発見することである。長期的
な目標は、各薬草組成物中の生化学的成分と、種々の処理細胞の遺伝子発現プロ
フィールの相関を発見し、合理的な様式で漢方薬の分子薬理機序を解読すること
である。
【0240】 材料および方法 1.セルバンキングシステムの開発 目的:マイクロアレイシステムは、細胞の遺伝子発現パターンをモニタリング
する感度の高い検出法である。生薬試験用の、細胞のばらつきを最小限にするた
めに、マスターセルバンク(MCB)およびワーキングセルバンク(WCB)を
用いてセルバンキングシステムを構築することが必要である。
【0241】 範囲:細胞バンクシステムは、マイクロアレイ研究において全種類の細胞に使
用する。
【0242】 装置:CO2空気で覆ったインキュベーター(NUAIRE(登録商標)DH
アウトフロー)。
【0243】 遠心分離機(クボタ2100) 凍結バイアル(Corning Costar、製造番号430659) 組織培養フラスコ750ml(ファルコン、製造番号3045) 組織培養皿150×25mm(ファルコン、製造番号3025) 細胞:Alexandra Ho博士からのジャーカットT細胞 試薬:RPMI培地1640(ギブコBRL、製造番号31800−014) ジメチルスルホキシド(DMSO)(シグマ、製造番号D−2650) 胎児ウシ血清(HyClone、製造番号SH30070.03、ロット番号
AGL7258) 2−メルカプトエタノール(ギブコBRL、製造番号21985−023、5
x10-2M) 培地:I.培養培地:90%RPMI+10%胎児ウシ血清+2−メルカプト
エタノール(5x10-5M) II.凍結培地:90%RPMI1640+10%DMSO
【0244】 手順: A.マスターセルバンク 1.標準的な細胞培養液の滅菌手順に従う。 2.5%CO2インキュベーター中の37℃のフラスコ中の培養培地にジャー
カットT細胞を接種する。 3.2日間インキュベートした後、細胞数を計測し、2つのフラスコに細胞を
伝播する。注意。細胞密度は、約5x104〜2x106/mlに維持する。 4.数が2x107に達するまで細胞を培養し細胞数を計測する。 5.50ml遠心チューブに細胞を収集し、1300rpm(300xg)で
5分間遠心する。 6.上清を廃棄し、細胞ペレットを、冷たい凍結培地を用いて再懸濁する。各
バイアル中の細胞数は約1x106/mlである。 7.以下の温度プロフィールにより細胞をゆっくりと凍結する:−20℃で2
時間、−80℃で24時間、次いで、細胞を液体N2保存庫に入れる。計20個
の凍結バイアルをMCBに保存する。
【0245】 B.ワーキングセルバンク 1.1バイアルの細胞を、液体N2タンク中のMCBから取り出し、素早く3
7℃の水浴で解凍する。 2.細胞を、10mlの温培養培地に移す。 3.細胞を1300rpm(300xg)で5分間遠心し沈殿させる。上清を
廃棄する。細胞を、フラスコ中の20mlの培地と共に培養する。 4.細胞を2個のフラスコに継代培養する。 5.5x107個の細胞を、各フラスコ中の500mlの培養培地を用いて、
撹拌しながら、計2個のフラスコについて接種する。細胞を2日間培養する。 6.細胞密度が1x106/mlに、全容量が1Lに達するまで培養する。 7.100mlの胎児ウシ血清および10mlのDMSOを添加することによ
り、凍結培地を調製する。 8.遠心分離し、上清を廃棄し、細胞を110mlの凍結培地に再懸濁する。 9.1mlを、各凍結バイアル(1000万個の細胞/バイアル)に計100
個のバイアルに分配する。上記の温度プロフィールにより細胞をゆっくりと凍結
する。
【0246】 2.細胞培養液中の薬草抽出物の増殖阻止濃度の決定 目的:大半の薬物は細胞に毒性である。この実験は、ジャーカットT細胞にお
ける薬草抽出物の毒性を調べ、細胞の生存を維持する薬草抽出物の増殖阻止濃度
を決定するように設計されている。 範囲:このアッセイは全種類の薬草抽出物に使用して、毒性を調べることがで
きる。 装置:CO2空気で覆ったインキュベーター(NUAIRE(登録商標)DH
アウトフロー)。
【0247】 計測チャンバー(血球計、Reichert、米国) 顕微鏡(Zeiss、Axiovert100) 細胞:ジャーカットT細胞 試薬:RPMI培地1640(ギブコBRL、製造番号31800−014) 胎児ウシ血清(HyClone、製造番号30070.03、ロット番号AG
L7258) 2−メルカプトエタノール(ギブコBRL、製造番号21985−023、5
x10-2M) 培養培地:90%RPMI+10%胎児ウシ血清+2−メルカプトエタノール
(5x10-5M) 使い捨て滅菌シリンジフィルター(0.2m、Corning、製造番号21
052−25)。
【0248】 薬草抽出物: 1.冬中夏草菌糸 2.ST024: 3.ST044: 4.ST051: 5.ST093: 6.ST117: 7.ST123: 8.ST128: 9.ST134: 10.ST237: 11.PHY906−303503:4、6、7、10からなる複合体混液 12.PHY906−284003:4、6、7、10からなる複合体混液
【0249】 手順: A.薬草抽出調製物 1.1gの薬草粉末を、ポリプロピレンチューブ中の10mlの80℃の脱イ
オン水(中性pH)に溶かす。 2.チューブを30分間、穏やかに振盪しながら、80℃の水浴中でインキュ
ベートし、次いで、4000rpm(1500xg)で5分間遠心分離し、上清
を得る。 3.11000rpm(14000xg)で10分間遠心分離し、上清を収集
する。 4.使い捨てシリンジフィルターを使用して、上清をろ過する。
【0250】 B.細胞生存試験 1.上記のようにジャーカットT細胞を培養する。 2.1mlの5x105/ml細胞/ウェルを、24ウェル培養プレートに分
配する。 3.12種類の薬草抽出溶液を調製する。抽出溶液は、新しく調製し、即座に
使用しなければならない。 4.100、50、20、10、5μlの各薬草抽出溶液を、24ウェル培養
プレートに加え、5つの異なる濃度を得る:10、5、2、1、0.5mg/m
l。 5.細胞を、24時間37℃で、5%CO2を充填したインキュベーター中で
培養する。 6.細胞数/ウェルを計測する。10μlの細胞溶液を、10μlのトリパン
ブルーダイと混合し、細胞計測チャンバーに添加する。 7.4つの主な平方面積を計測して、細胞数を計算する。(4つの面積の細胞
数)/4×104x希釈因子=細胞数/ml
【0251】 3.薬草抽出物で処理したジャーカットT細胞の遺伝子発現プロフィールパタ ーンのプロファイリング 目的:薬草抽出物で処理したジャーカットT細胞の遺伝子発現パターンのプロ
ファイリング。比色検出システムをもつ高密度の核酸マイクロアレイを使用する
【0252】 装置:熱ブロック(Boekel、モデル110002) 分光光度計(ベックマン、DV640) 遠心分離機(クボタ1910) 水浴(SLM AMINCO、モデル800) ハイブリダイゼーションインキュベーター(YIH DER OH−800) 熱シーラー(TISH−300、TEW)
【0253】 試薬:RNAzol(商標)B(Tel−Test、製造番号CS104) オリゴテックスmRNAMidiキット(ドイツ、ヒルデン所在キアゲン) ハイブリダイゼーションバッグ(ギブコBRL、製造番号18278−010
) EasiSeal(Hybaid、製造番号HBOSSSEZ1E) ガラススライド(Matsunami、S2214、日本) エアロゾル抵抗性チップ(ARTチップ)(モレキュラーBIOプロダクツ、
製造番号2139) ランダムヘキサマープライマー(ギブコBRL、製造番号48190−011
) 逆転写酵素および5x緩衝液(ギブコBRL、製造番号18064−014) RNアーゼ阻害剤(ギブコBRL、製造番号10777−019) ビオチン−16−dUTP(ベーリンガーマンハイム、製造番号109307
0) Dig−11−dUTP(ベーリンガーマンハイム、製造番号1558706
) ハイブリダイゼーション用のブロッキング粉末(ベーリンガーマンハイム、製
造番号1096176) ウシ血清アルブミン(シグマ、製造番号A2153) 20xSSC(Amresco、製造番号0918S−2−20XPTM5L
) SDS(メルク、製造番号113760) 硫酸デキストラン(シグマ、製造番号D6001) ストレプトアビジン−β−ガラクトシダーゼ(ギブコBRL、製造番号195
36−010) 抗ジゴキシゲニン−APFab断片(ベーリンガーマンハイム、製造番号10
93274) X−gal(ギブコBRL、製造番号15520−018) マレイン酸(シグマ、製造番号1125) N−ラウロイルサルコシン(シグマ、製造番号L5777) Fast red TR/AS−MX基質キット(ピアス、製造番号3403
4) ポリエチレングリコール(シグマ、製造番号P2139)
【0254】 試薬調製: 1xハイブリダイゼーション緩衝液(4xSSC、0.1%N−ラウロイルサ
ルコシン、0.02%SDS、1%BM遮断試薬) 20xSSC 16m 1%N−ラウロイルサルコシン 8ml 10%SDS 160μl BMブロッキング粉末 0.8g H2O 51ml 計80ml 65℃まで加熱して、粉末を溶かし、その後−20℃で保存する。
【0255】 50%PEG−8000(ポリエチレングリコール) PEG−8000 10g H2O 20mlまで 65℃まで加熱して溶かし、その後オートクレーブにかける。分注し、−20
℃で保存する。
【0256】 10xTBS(100mMトリス、1.5M NaCl、pH7.4) トリス塩基 12.1g NaCl 87.6g H2O 1000mlまで 120mM X−gal X−gal 100mg DMF 2ml −20℃で保存する。
【0257】 X−gal基質緩衝液(1xTBS緩衝液中、1mM MgCl2、3mM K3 Fe(CN)6、3mM K4Fe(CN)6) 500ml 10xTBS/pH7.4 50ml フェロシアン化カリウム 633.5mg フェリシアン化カリウム 493.9mg MgCl2 101.6mg ろ過し、−20℃で保存する。
【0258】 BMブロッキング希釈緩衝液/pH7.5(0.1Mマレイン酸、0.15M
NaCl) 1Mマレイン酸 100ml 5M NaCl 30ml 固体NaOH 7.5g H2O 1000mlまで 10%ブロッキング試薬 100ml ブロッキング粉末 10g ブロッキング希釈緩衝液(tween20は含まない) 100ml 70℃まで加熱し、次いでオートクレーブにかける。4℃で保存する。
【0259】 20%硫酸デキストラン 硫酸デキストラン 2g H2O 8mlまで オートクレーブにかけ、次いで−20℃で保存する。
【0260】 DEPC処理水 800ml ジエチルポリカーボネート(4℃で保存) 400μl H2O 800ml 37℃の振盪水浴に4時間入れ、次いで、37℃の温室に一晩入れる。溶液を
45分間または25分間、各2回ずつオートクレーブにかける。
【0261】 手順: A.ジャーカットT細胞の調製 1.1バイアルのジャーカットT細胞を解凍する。10mlの増殖培地に移す
。解凍するバイアルの数は、実施する試験数に依存する。一般に、1バイアルの
細胞が、2回の薬草抽出試験に必要である。 2.細胞を50mlの培養培地に再懸濁する。 3.細胞を1日間インキュベートする。150mlの培養培地を加え、各10
0mlで2つのフラスコに分ける。 4.細胞を3日間培養する。 5.培地を交換し、各100mlの培地で4つのフラスコに分配する。 6.細胞を2日間培養する。 7.細胞数を計測する。細胞を収集し、遠心して沈降させる。細胞ペレットを
、5x105細胞/mlおよび1フラスコあたり100mlとなるまで培養培地
に再懸濁する。 8.細胞を3時間培養し、その後、薬草抽出物を加える。
【0262】 B.薬草抽出物での処理 1.薬草抽出物を調製する(薬草抽出物の調製参照) 2.細胞生存実験により決定した薬草抽出物の増殖阻止濃度により、各薬草抽
出物の50%増殖阻止濃度を計算する。 3.Hとして50%増殖阻止濃度を定める。細胞を、以下の濃度の、薬草抽出
物の連続希釈液で処理する:H、H/2.5、H/5、H/10、H/20。 4.細胞を24時間培養する。 5.細胞を収集し、細胞数を計測する。遠心分離して、細胞ペレットを得る。 6.細胞ペレットを1xPBSで一回、洗浄する。 7.上清を廃棄する。細胞ペレットは、全RNA単離の準備が整っている。
【0263】 C.全RNAの単離 1.107個の細胞あたり、1mlのRNAzol(商標)Bを加える。細胞
ペレットをホモジナイズするが、ボルテックスはかけない。 2.1mlのホモジネートあたり、0.1mlのクロロホルムを加え、サンプ
ルを堅く覆い、激しく1分間(ボルテックスはかけずに)振盪する。氷上に15
分間置く。 3.12000rpm(13500xg)で4℃で15分間遠心分離する。 4.遠心分離後、ホモジネートは2相を生じる:低相のブルーフェノール−ク
ロロホルム相および無色の上相の水相。DNAおよびタンパク質は、相間および
有機相にある。水層を新しいチューブに移し、等量のイソプロパノールを加え、
サンプルを−80℃で保存する。注意。イソプロパノール添加範囲は、水相溶液
の0.7から1容量である。 5.サンプルを−80℃で使用まで維持する。サンプルを、遠心分離する前に
完全に解凍し、2〜3回、チューブを反転することにより混合する。サンプルを
15分間13000rpm(15000xg)で遠心分離する。 6.上清を除去し、RNAペレットを1回、1mlの75%エタノールで洗浄
する。3分間13000rpm(15000xg)で4℃で遠心分離する。 7.上清を廃棄する。ペレットを真空下で1分間乾燥する。注意。RNAペレ
ットを、完全に乾燥しないようにする。乾燥により大きく溶解度は減少するだろ
う。 8.RNAペレットを、50〜100μlのジエチルピロカーボネート(DE
PC)で処理した水にピペッティングにより溶かす。注意。ペレットが溶けにく
い場合は、ペレットを10〜15分間、60℃でインキュベートするとよいだろ
う。 9.分光光度計を用いて260nm(A260)および280nm(A280)の吸
光度を測定する。濃度解析。OD260x40ng/μlx希釈因子=全RNA(
ng/μl)。
【0264】 D.全RNAからのポリ−A+mRNAの単離 1.表17に従って、RNA溶液中に加える、開始RNAの量および適切な量
の緩衝液OBBおよびオリゴテックス懸濁溶液を決定する。
【0265】
【表17】
【0266】 以下の手順は、例として、500μgの全RNAの使用に基づく。 2.500μlの2x結合緩衝液および30μlのオリゴテックス懸濁液を、
全RNAサンプルに加える。内容物を、チューブを反転することにより十分に混
合する。 3.サンプルを10分間70℃でインキュベートする。 4.20分間室温でインキュベートする。 5.2分間最大速度(14000から18000xg)で遠心分離し、上清を
吸引する。 6.ペレットを、400μlの洗浄緩衝液OW2に再懸濁し、スピンカラムに
移し、スピンカラムを1分間遠心分離する。 7.400μlのOW2で洗浄し、上記のように遠心分離する。 8.20μlの予備加熱(70℃)した溶出緩衝液を、カラムに加え、レジン
を再懸濁する。微量遠心チューブを閉じる。 9.スピンカラムに、1.5mlの微量遠心チューブを70℃で3分間で付け
る。 10.カラムを最大速度で2分間室温で遠心分離する。 11.再度溶出する(8から10の段階を繰返して、よい良い収率を得る)
【0267】 E.cDNA標識 1.2μgのmRNA、単色標識の1μlの対照植物mRNA(Hat22:
1x109、Rbcl:5x108、Ga4:1x108、Rca:5x107、A
sa1:1x107、Atps:5x106分子/μl)、6μlの50mMのラ
ンダムヘキサマーおよび28.88μlの最終容量とするDEPC−H2Oを混
合する。二色モードでは、2μgのmRNAを、各ビオチンまたはDig標識お
よび個々の対照植物mRNAの添加に使用する:1.ビオチン標識:Hat22
:1x108、Rbcl:5x107、Ga4:2x107、Rca:1x107
Asa1:1x107、Atps:1x107、Hat4:1x107/μl。2
.Dig標識:Hat22:1x107、Rbcl:1x107、Ga4:1x1
7、Rca:1x107、Asa1:1x108、Atps:5x107、Hat
4:2x107/μl。 2.10分間70℃で変性し、次いで氷中で素早く5分間冷蔵する。 3.10μlの5x第一鎖緩衝液、5μlの0.1M DTT、1μlの25
mM dATP、dCTP、dGTP混合物、1μlの2mM dTTP、2μ
lの1mMビオチン−16−dUTP、またはDig−11−dUTP(1mM
)、0.63μlの40U/μlのRNAsinおよび1.5μlのSuper
scriptII(逆転写酵素、ギブコBRL)(200U/μl)を加える。 4.よく混合し、10分間25℃で、次いで90分間42℃でインキュベート
する。 5.反応を5分間94℃で停止する。 6.5.5μlの3M NaOHを30分間50℃で加える。 7.5.5μlの3M CH3COOHを30分間50℃で加える。 8.標識cDNAを、34μlの水、50μlの7.5M酢酸アンモニア、担
体としての10μgの線形ポリアクリルアミドおよび380μlの無水アルコー
ルを加えることにより沈降する。 9.サンプルを30分間−80℃でインキュベートする。13000rpmで
15分間遠心分離する。 10.ペレットを、1mlの70%エタノールで洗浄し、13000rpmで
5分間遠心分離する。 11.ペレットを、36μlのオートクレーブをかけたH2Oに溶かす。二色
のために、2つの標識cDNAを共に合わせる。
【0268】 F.アレイハイブリダイゼーション 1.9600EST PCR産物を有するフィルターメンブランを、5mlの
1xハイブリダイゼーション緩衝液(4xSSC、0.1%N−ラウロイルサル
コシン、0.02%SDS、1%BMブロッキング試薬(ベーリンガーマンハイ
ム))および50μg/mlのサケ精子DNA(ギブコBRL)中で63℃で1
.5時間プレハイブリダイズする。注意。80mlの1xハイブリダイゼーショ
ン緩衝液を調製し、それを−20℃で保存できる。使用前に緩衝液を60℃で解
凍する。 2.粘着性EasiSeal(登録商標)の一方の側を、清潔なガラススライ
ドに粘着させ、スポットが上面となる平方の中心にプレハイブリダイズしたメン
ブランを置く。 3.プローブを、2μlのポリ−d(A)10(10μg/μl)および2μ
lのヒトCot−1DNA(10μg/ml)(ギブコBRL)および80μl
の最終容量とする40μlの2xハイブリダイゼーション緩衝液と混合する。 4.プローブ混合物を95℃で5分間で変性し、次いで氷上で冷却する。 5.フィルターメンブランを、ハイブリダイゼーションバッグ中のプローブ溶
液で封をする。 6.95℃で5分間インキュベートし、次いで63℃で12〜16時間(一晩
)インキュベートする。 7.フィルターメンブランを、2回、5mlの2xSSC、0.1%SDSで
5分間室温で洗浄する。 8.3回、各15分間、5mlの0.1xSSC、0.1%SDSで63℃で
洗浄する。 9.フィルターメンブランを、2%硫酸デキストランを含む5mlの1%BM
ブロッキング試薬を用いて、室温で1時間ブロックする。 10.1xTBS緩衝液中、700x希釈ストレプトアビジン−β−ガラクト
シダーゼ(1.38U/ml、酵素活性)(ギブコBRL)、10000x希釈
抗ジゴキシゲニン−アルカリホスファターゼ(0.075U/ml、酵素活性)
(ベーリンガーマンハイム)、4%ポリエチレングリコール8000(シグマ)
および0.3%BSAを含む、5ml混合物と共に、室温で2時間インキュベー
トする。注意。この処方は、二色モード用である。単色モードでは、抗Dig−
APは必要ではなく、インキュベート時間は1時間に減少できる。 11.1xTBS緩衝液で、3回、各5分間洗浄する。 12.X−gal基質溶液(1xTBS緩衝液中、1.2mM X−gal、
1mM MgCl2、3mM K3Fe(CN)6、3mM K4Fe(CN)6
を、50μlの120mM X−Galおよび5mlのX−Gal基質緩衝液を
混合することにより新しく調製する。X−gal基質溶液にフィルターメンブラ
ンを45分間37℃で穏やかに振盪しながら浸漬する。 13.1×TBSで洗浄する。 14.二色展開:メンブランを、5mlのFast red TR/ナフトー
ルAS−MX基質(ピアス、ロックフォードII)を用いて、室温で30分間穏
やかに振盪しながら染色する。 15.脱イオン水で洗浄する。20mM EDTAを含む1×PBSを用いて
、20分間で反応を停止する。 16.フィルターメンブランを風乾する。
【0269】 結果 1.細胞培養液中の薬草抽出物の増殖阻止濃度を決定する。 各薬草抽出物は、異なる細胞毒性を有し、従って、細胞を処理する前に、各生
薬の増殖阻止濃度を決定することが必要である。薬草抽出物の5つの連続希釈液
(10、5、2、1、0.5mg/ml)を、5×105/ml培養細胞となる
まで加え、24時間、5%CO2を含む37℃のインキュベーター中でインキュ
ベートした。異なる濃度の薬草抽出物の生存細胞数を表18に示す。
【0270】
【表18】
【0271】 薬草抽出物を添加していない細胞数は、24時間のインキュベート後に倍化し
た。一方、生存細胞数は、異なる生薬による処理で変化する。本発明者らは、高
濃度として50%増殖阻止濃度(IC50)および低濃度としてその10分の1を
選択する。ジャーカットT細胞系の一貫性を維持するために、セルバンキングシ
ステムを確立した。細胞バンクでは、全100バイアルの細胞(1000万個の
細胞/バイアル)を、−150℃の凍結器で凍結した。
【0272】 2.核酸マイクロアレイ解析による生薬の分子分類 3つの単一要素生薬の解析:3つの単一要素の生薬である、冬中夏草菌糸(C
SM)、ST024、およびST117を使用して、方法の章で記載したように
細胞培養液を処理した。遺伝子発現測定は、各々別個のヒト転写物を示す、13
824個のcDNA断片のマイクロアレイを使用することにより実施した。デー
タ解析のために、高品質のデータの遺伝子スポットを選択した。選択は、2.5
より大きい、SN比、および、10%より少ないスポット面積の変動係数(CV
)に基づいた。全てのデータセットは、薬草処理を受けていない、対照細胞を用
いて正規化した。スポット強度は、10未満の強度については10に切り上げた
。選択基準に基づいて、1.5以上の異なる発現比を有する全492個の遺伝子
を、クラスター解析用に選択した。これらのデータプレプロセシング手順は、内
部で開発したプログラム「DataExtract」および「Ratio2」に
より実施した。
【0273】 これらの492個の遺伝子は、平均連鎖法によりクラスター解析した。遺伝子
間の距離は、線形相関係数または類似係数として使用する。クラスター解析プロ
グラムのClusterおよびTree Viewは、階層型クラスター法に基
づき、スタンフォード大学のMichael Eisen博士により書かれた(
Eisen、1999、Eisenら、1998)。結果を図12に示す。図1
2Cから、高および低濃度の3つの異なる生薬が各々共にクラスターを形成して
いることを明確に同定できる。例えば、CMS−Lは、CSM−Hに近く、クラ
スターツリーのST024またはST117にはあまり類似していない。非階層
型方法に基づいた、自己組織化マップアルゴリズムである異なるクラスタリング
アルゴリズムにより同じ結果が得られる(データは示していない)。図12Aお
よび13Aに示したクラスタリング結果から、幾つかの特徴が認められる。(1
)4つの遺伝子が、ST117処理によりアップレギュレートされたが、他の薬
草処理によりダウンレギュレートされた(図12B)。(2)34個の遺伝子が
、CSM処理によりダウンレギュレートされたが、他によりアップレギュレート
された(図13B)。(3)2個の遺伝子が、全3つの薬草の処理によりアップ
レギュレートされ、1つはMalic酵素2であり、他方は、無名の遺伝子であ
る(クローンID:328351)(図13C)。(4)12個の遺伝子が、高
濃度の処理により高度に誘導され、全3つの生薬において低濃度での処理により
より低く誘導された(図13D)。
【0274】 多要素生薬の2つの調製物の解析。各々低および高濃度である、Huang
Chin Tang、PHY906−303503(11番)およびPHY90
6−284003(12番)の2つのバッチを使用して、3つの独立的な実験で
細胞培養液を処理した。遺伝子発現プロフィールは、9600個の非還元性cD
NAエレメントのマイクロアレイを用いて獲得した。上記のようなデータプレプ
ロセシング手順後、約5000個の遺伝子を、その後のデータ解析のために選択
した。各薬草処理は3回繰返した。データ解析のために、本発明者らは、Slo
nimら(Slonim、1999)により報告された方法に基づいた変形法を
使用する。以下のアルゴリズムを設計して、高い示差的発現比を有するが、3つ
の繰返しの中で偏差の少ない、候補マーカー遺伝子を探索する。本発明者らは、
前記の特徴を有する遺伝子iを説明するためにP(i)値を指定する。
【0275】 P(i)=(Σ(μm−μc2)/(sσc+Σσm)の平方根 μ:薬草処理細胞(μm)または非処理対照細胞(μc)の3回の繰返し実験に
おける平均発現レベル σ:薬草処理細胞(σm)または非処理対照細胞(σc)の3回の繰返し実験に
おける発現レベルの標準偏差
【0276】 本発明者らは、各遺伝子のP(i)値を計算し、クラスター解析用の候補遺伝
子として最も高いスコアを有する500個の遺伝子を選択した(図14)。各遺
伝子の数値は、3回の繰返しで平均化した。図14Bに示したように、2つの異
なる濃度の12番を、共にクラスター形成する(12−Hおよび12−L)。よ
り高い濃度の11番の調製物は、より低い濃度の11番調製物よりも、12番調
製物に近い。しかし、全てのこれらのクラスターは、図12に示したツリーと比
べて、類似の類似係数(クラスター間の距離)を有する。これらの結果により、
11番および12番のHuang Chin Tang調製物の遺伝子発現プロ
フィールは、類似していることが示唆される。結果は、これらの2つの調製物が
、同じ生薬混液に基づいている事実に基づいて正しいとする。
【0277】 幾つかの特徴が、図14Aおよび15に示した発現プロフィールに認められる
。平均遺伝子発現レベルを図15Aに示す。ボックス1は、11番−L処理細胞
ではダウンレギュレートされるが、他ではアップレギュレートされる、遺伝子を
囲む。これらの遺伝子は、2つのtRNAシンテターゼ(イソロイシンおよびメ
チオニン)、RNAポリメラーゼIIポリペプチドB(クローンID42020
)、KIAA0212遺伝子(クローンID310497、ATP/GTP結合
部位モチーフAを含む)、およびKIAA0577(クローンID29263、
ATP依存性RNAヘリカーゼ)を含む。6個中3個の遺伝子が、RNA複製に
関与していることを注記することは興味深い。ボックス2は、全ての11番およ
び12番処理によりアップレギュレートされる遺伝子を囲む。ボックス3は、1
1番−L処理による応答は皆無であるが、他によりダウンレギュレートされた遺
伝子を囲む。ボックス4は、低濃度の薬草処理により高度に抑制されるが、高濃
度の薬草処理によりあまり抑制されない、遺伝子を囲む。最後に、ボックス1お
よびボックス3では、11番処理細胞の発現プロフィールは、他の3つの処理に
より作成されたプロフィールとは異なる。この結果は、図14Bに示した知見と
一致する。
【0278】 3つの単一要素および2つの多要素生薬の調製物の遺伝子発現プロフィールの
データセットを合わせて、結合特徴を説明として注記する。KIAA0212遺
伝子(クローンID310497、ATP/GTP結合モチーフAを含む)は、
11番−LおよびCSM処理によりほんの軽度に誘導されることを除いて、全て
の高濃度の薬草処理により高度に誘導された。2つの遺伝子、無名遺伝子(クロ
ーンID510908)およびプロテアソーム鎖7前駆体(クローンID700
88)は、CSM処理によりダウンレギュレートされる以外は、全ての処理で高
度にアップレギュレートされた。
【0279】 次に、本発明者らは、最重要点に働きかけ、5つの異なる種類の生薬処理の遺
伝子発現プロフィールをクラスター解析する。データプレプロセシング手順を前
記のように実施し、500個の遺伝子を、クラスター解析のために選択した。階
層型クラスタリングを、上記のプログラム「クラスター」により実施した。階層
型ツリーを、クラスター間の距離の範囲が最大の位置で切断し(Romesbu
rg、1989)、結果を図16Aに示す。3つの単一要素生薬、CSM、ST
024、およびST117は共にクラスター形成する。2つの異なる多要素生薬
のバッチの中で、12番−H、12番−Lおよび11番Hが共にクラスター形成
し、11番−Lは単独である。結果により、より高い類似性が、CSM、ST0
24およびST117のそれと比較した場合に、11番と12番の間に存在する
ことが示唆される。異なる生薬をより良く分類するために、データ解析アルゴリ
ズムを、全データセットを標準化し、よって、異なるデータセット間の各遺伝子
の発現レベルがゼロ平均および単位分散を有するようにすることにより改良した
(Tavazoieら、1999;Chenら、1999)。これにより、変換
された変数が得られる: χi=(XI−μx)/σx μx:データセットにおける平均発現レベル σx:データセットにおける発現レベルの標準偏差 xi:変換されていない遺伝子発現レベル χi=変換された遺伝子発現レベル
【0280】 データセットを標準化した後、11番および12番は、図16Bに示したよう
に共にクラスター形成する。ST024およびST117は共にクラスター形成
し、CSMは、独立的なクラスターに存在する。さらに、クラスタリングにより
、CSMは、ST024およびST117よりも、11番および12番により類
似していることが示唆される。別のクラスタリングアルゴリズムである自己組織
化マップを、同じ標準化データセットを用いて実施し、階層型クラスタリングと
同じ結果が得られる(図16C)。
【0281】 11番および12番薬草処理発現プロフィールを識別するクラス予測因子。1
1番および12番の上記のクラスター解析により、それらが類似し、さらなる分
類は、最も高いP(i)値の500個の遺伝子を含むデータセットを用いて、階
層型クラスタリングまたは自己組織化マップ法により困難であることが示される
。次いで、本発明者らは、アルゴリズムを変形して、11番および12番薬草処
理細胞間のより大きな発現比差異をもつが、2つの薬草処理細胞における偏差の
より小さい、遺伝子を選択した。T(i)値を定義して、以下のようにこの特徴
をスコアリングする: T(i)=log(μ11)−log(μ12)/(σ11+σ12) μ:11番処理細胞(μ11)または12番処理細胞(μ12)についての3回の
実験における平均発現比 σ:11番処理細胞(σ11)または12番処理細胞(σ12)についての発現比
の標準偏差
【0282】 本発明者らは、各遺伝子のT(i)値を計算し、クラス予測因子として最も高
いスコアをもつ50個の遺伝子を選択した(図17)。18個の遺伝子は、11
番処理によりアップレギュレートされ、12番処理によりダウンレギュレートさ
れた。残りの遺伝子は、12番処理によりアップレギュレートされ、11番処理
によりダウンレギュレートされた。次いで、本発明者らは、これらのクラス予測
因子を使用して、Golubら、1999により記載された変形法に基づいて、
2つの試験薬草調製物を分類した。
【0283】 2つの異なるバッチのHuang Chin Tang調製物、PHY010
401(16番)およびPHY010402(17番)は、参天製薬から得、ク
ラス予測試験に使用した。16番および17番の調製物の遺伝子発現プロフィー
ルを、非処理対照細胞の発現プロフィールを用いて正規化し、クラス予測因子で
正規化した。各予測因子giは、その発現レベルxiが、11番または12番に近
いかどうかに応じて、11番または12番調製物に投票する。各遺伝子について
の投票は、vi=|XI−(μm+μc)/2|により示される。ここでのμは、1
1番(μ11)または12番薬草処理細胞(μ12)についての3回の反復実験にお
ける平均発現比である。
【0284】 V11およびV12の平均投票を、それぞれ11番および12番の予測因子に関連
した予測遺伝子から収集した。予測強度(PS)は、勝利の範囲を反映し、PS
=(V11−V12)/(V11+V12)として定義した。PSが0より大きければ、
薬草調製物は、11番により類似し、12番により類似していないことが示され
た。16番および17番の解析から得られた結果により、16番−Hは、11番
(PS=0.1)に類似し、16番−L、17番−H、および17番−Lは、1
2番(それぞれPS=−0.29、−0.21および−0.2)に類似している
ことが示された。16番および17番調製物の情報に基づいて、この試験は、よ
り11番に類似しているとして、16番−Lを正確に同定できなかった。
【0285】 考察 生薬で処理した細胞の特徴的遺伝子発現プロフィール。予測遺伝子は、2つの
薬草処理細胞における、示差的に発現される遺伝子から選択する。これらの遺伝
子は、生薬処理に対する細胞応答を示す。この研究では、本発明者らは、異なる
薬草処理を通じたその応答に基づいていくつかの興味深い遺伝子を同定した(図
13、15、および17)。これらの遺伝子は、薬草刺激に応答した細胞のシグ
ナル伝達経路の研究に、および、生薬の分子薬理機序の解読に価値あるものであ
る。
【0286】 核酸マイクロアレイ解析による生薬の分類。要約すると、2段階分類手順を提
案する。標準的なデータセットおよびクラスタリングアルゴリズムに基づいた最
初の分類手順を実施し、クラス予測因子を用いた最終分類手順を実施する。全手
順を、コンピュータプログラムに統合できる。これらの予備研究では、全遺伝子
が、分類に同じ寄与を有する。データセットが十分に大きい場合、各遺伝子(ま
たは予測因子)のウェイトは、線形相関係数から獲得できる(Golubら、1
999、Chenら、1999)。
【0287】 11番−Lは、有意な会合により、11番−Hとクラスターを形成できなかっ
た。11番の類似調製物である16番調製物により、同じ結果が得られた。どの
ようなクラスタリングアルゴリズムを適用しても、11番および16番調製物は
、期待される結果を生じないことを発見したことは興味深かった。独立的な実験
を用いてさえ、結果は依然として同じであった。失敗の背後の理由は、11番お
よび16番調製物の詳細な情報を用いて調査されるだろう。
【0288】 マイクロアレイシステムの品質制御および解析。獲得したマイクロアレイデー
タの品質および統計学的解析法の選択は、両方共、意義ある結果を達成するため
の重要な因子である。本発明者らは、アレイ間のばらつきは、遺伝子発現レベル
の測定における誤差に原因があることを認識した。この報告のデータに基づいて
、本発明者らは、各薬草調製物について、高濃度で処理した発現プロフィールは
、常に、その低濃度の対応物とクラスターを形成することを見出し(図16Bお
よび16C)、本発明者らは、ST117、ST024、CSMおよびHuan
g Chin Tangを、2つの異なるクラスタリング法を用いて分類できる
。過去3ヶ月に、アレイ品質は改良され、7%未満のCVを有する。本発明者ら
はまた、研究室に組立てた各アレイのバッチの品質を評価するための標準的な手
順を作成した。マイクロアレイ技術の全てのこれらの実験知見および改良により
、マイクロアレイシステムによる漢方薬の分類および特徴付けが実行可能である
ことが示唆される。
【0289】 実施例15の参考文献 Bertucci−F;Bernard−K;Loriod−B;Chang
−YC;Granjeaud−S;Birnbaum−D;Nguyen−C;
Peck−K;Jordan−BR(1999)DNAアレイをベースとした発
現測定における感度の問題および小サンプル用のナイロンマイクロアレイの性能
、Human Mol.Genetics8(9):1715〜1722。 Bittner−L、Trent−J、Meltzer−P(1999)段階
および矢印のデータ解析および統合、Nature Genet.22、213
〜215。 Brown−PO;Botstein−D(1999)DNAマイクロアレイ
を用いてゲノムの新世界を開拓、Nature genetics21(1)補
刊、33〜37。 Chen−JJ;Wu−R;Yang−PC;Huang−JY;Sher−
YP;Han−MH;Kao−WC;Lee−PJ;Chiu−TF;Chan
g−F;Chu−YW;Wu−CW;Peck−K(1998)発現パターンお
よび比色検出を有するcDNAマイクロアレイシステムによる示差的に発現され
る遺伝子の単離、Genomics.51:313〜24。 Chen−Y、Bittner−M、Dougherty−ER(1999)
マイクロアレイデータ解析および統合に関連した問題、Michael Bit
tner、Jeffrey TrentおよびPaul Meltzerによる
文献を補足する情報(Nature Genet.22、213〜215)。 Duggan−DJ;Bittner−M;Chen−Y;Meltzer−
P Trent−JM(1999)cDNAマイクロアレイを使用した発現プロ
ファイリング、Nature genetics 21(1)補刊、10〜14
。 Eisen−M(1999)クラスターおよびツリービューマニュアル(ra
na.stanford.edu/software) Eisen−M、Spellman−PT、Brown−PO、Botste
in−D(1998)クラスター解析および広域遺伝子発現パターンの提示、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 99:14863〜14868
。 Golub−TR、Slonim−DK、Tamayo−P、Huard−C
、Gaasenbeek−M、Mesirov−JP、Coller−H、Lo
h−ML、Downing−JR、Caligiuri−MA、Bloomfi
eld−CD、およびLander−ES(1999)癌の分子分類:遺伝子発
現モニタリングによるクラス発見およびクラス予測、Science 10月1
5:531〜537。 Lander−ES(1999)希望のアレイ、Nature geneti
cs 21(1)補刊、3〜4。 Romesburg−HC(1989)研究者のためのクラスター解析、第1
6章:どのように分類するか、P203〜216、米国フロリダ州所在、Kri
eger Publishing Co.Malabar。 Slonim−DK、Tamayo−P、Mesirov−JP、Golub
−TR、Lander−ES(1999)遺伝子発現データを使用したクラス予
測および発見(www.genome.wi.mit.edu/MPR) Tavazole−S、Hughes−JD、Campbell−MJ、Ch
o−RJ、Church−GM(1999)遺伝子ネットワーク構築の系統的決
定、Nature genetic 22:281〜285.
【0290】 (実施例16) 生薬により誘導される特徴的な遺伝子発現プロフィールの同 実施例15に示したように、漢方薬の黄岑および甘草の組合せ(Huang
Chin Tang)の処方は、下痢を止め、痙攣を軽減し、発熱を直す。Hu
ang Chin Tangの成分は、黄岑、芍薬、甘草およびナツメである。
この研究では、本発明者らは、核酸マイクロアレイ技術を使用して、哺乳動物細
胞において、生薬で誘導した遺伝子発現プロフィールを研究した。Huang
Chin Tangにより誘導される特徴的な発現プロフィールを調べるために
、ジャーカットT細胞を、5つの濃度(IC50の1/2、1/2.5、1/5、
1/10、および1/20)の5バッチのHuang Chin Tang(参
天製薬から得た、PHY01040;16番、PHY010402;17番、P
HY03061;18番、PHY03062;19番、およびPHY02231
;20番)で処理した。
【0291】 二色検出法を有する核酸マイクロアレイを使用して、発現プロフィールを測定
した。薬草処理細胞から抽出したmRNAを、ジゴキシゲニンで標識し、非処理
細胞から抽出したmRNAを、ビオチンで標識した。9600個の特徴のアレイ
を使用し、Chenらにより記載の手順(Genomics、51、313〜3
24、1998)を実験に採用した。データプレプロセシングのために、高品質
データのアレイスポットのみを選択した。選択は、2.5より高いSN比および
1.5倍の示差的発現比に基づいた。これらの基準により、1081個の遺伝子
を、さらなる統計学的解析のために選択した。マサチューセッツ工科大学で開発
されたジーンクラスタープログラムなどの非階層型クラスター解析プログラム(
Tamayoら、1999)を使用して、発現プロフィールを分類した。ジーン
クラスタープログラムは、自己組織化マップ(SOM)原理に基づく。発現プロ
フィールの6×4のSOMクラスタリングを図18Aに示す。選択したクラスタ
ーに関する遺伝子発現プロフィールの詳細を図18Bに示す。これらのクラスタ
ーでは、クラスター3および20(c3およびc20のラベル)を、遺伝子発現
レベルが、より高い薬草濃度と共に増加するために選択した。同様に、クラスタ
ー5および9を、遺伝子発現レベルが、より高い薬草濃度と共に減少するために
選択した。クラスター23は、非処理細胞のものと比べて、その発現レベルがア
ップレギュレートされた遺伝子を収集し、クラスター0は、ダウンレギュレート
された遺伝子を収集する。これらの発現プロフィールクラスターはさらに、2つ
の主要な群のAおよびBに濃縮する。A群は、薬草処理によりアップレギュレー
トされる遺伝子を収集し、B群は、薬草処理によりダウンレギュレートされる遺
伝子を収集する。AおよびB群の発現プロフィールは、薬草調製物の特徴的な発
現データセットの基礎を形成する。同じ手順を、5つの異なるHuang Ch
in Tangのバッチについて繰返し、952個の遺伝子を選択して、Hua
ng Chin Tangの特徴的な発現プロフィールデータベースを確立した
【0292】 図19に示したように、前記の手順により、遺伝子は、A群、B群またはなし
(非Aおよび非B)として分類でき、その発現プロフィールは、それぞれ1、−
1、および0により示すことができる。バッチ1番とバッチ2番の間の異なる遺
伝子発現プロフィールの数は、A群では3つであり(遺伝子6、7および8)、
B群では2つである(遺伝子15および16)。同じ原理により、バッチ1番と
3番の間の異なる発現プロフィールの数は、AおよびB群で10であり、数は、
2番のバッチと3番のバッチの間で11である。これらの数により、バッチ1番
と2番は、バッチ3番により類似していることが示される。この原理を適用して
、薬草調製物の5つの異なる薬草調製物のバッチを分類した。以下のアルゴリズ
ムを設計して、薬草調製物のバッチの対iおよびjの間の距離を計算する。
【0293】 dij=Σδ(Xi、Xj)(Hamming距離) iバッチの調製物中の遺伝子Xは、A群、B群または「なし」に割当てる。 Xi◇Xjである場合、δ(Xi、Xj)=1 Xi=Xjである場合、δ(Xi、Xj)=0
【0294】 本発明者らは、クラスター解析のために、薬草調製物の対間の全てのdij値を
計算した。解析プログラムであるKitschクラスターは、階層型クラスタリ
ング原理に基づき、ワシントン大学のJoseph Felsenstein博
士により書かれた。(http://evolution.genetics.
washington.edu/phylip.html)。Hamming距
離表から(図20)、最短の距離は、バッチ17番とバッチ18番の間にあり、
バッチ17番は、バッチ18番に類似していることを明確に同定できる。バッチ
16番はまた、バッチ17番およびバッチ18番に類似しているが、バッチ19
番は残りのバッチに類似していない。結果は、下記したようにHPLC解析によ
り確認した。
【0295】 HPLCにより、5バッチの薬草調製物の化学組成を解析した。クロマトグラ
ム中の4つの主なピーク(BG、B、Gly、およびPf)を、統計学的解析の
ために選択した。2つの追加のパラメータであるBG+BおよびBG/Bを、図
21に示したような6座標レーダーグラフにプロットするのに含めた。各座標上
の距離は、クロマトグラム中の特定の化学的構成成分の積分した強度である。一
般に、16番、17番および18番は、その構成成分の含有物(バイカリンおよ
びバイカレイン)が黄岑に類似し、33.55〜36.08内であり;同じ構成
成分の量は、19番および20番でより高い(それぞれ42.49および44.
96)。16番、17番、および18番の類似性は、図21Bの同時のレーダー
プロットから分かる。
【0296】 上記したように確立した特徴的な発現プロフィールデータベースに基づいた未
知の生薬を同定するために、ジャーカットT細胞を、5つの濃度のテスターサン
プル17番で処理し、テスターのための特徴的な発現データセットを作成した。
特徴的な発現データベース中の、テスターと各データセット(16番、17番、
18番、19番および20番)間のHamming距離を計算し、スコアは、1
6番:502、17番:405、18番:402、19番:699、および20
番:531である。これらのデータにより、テスターが、最も低いHammin
g距離スコア405を有する17番に最も類似していることが示される。実施例
により、本発明は、哺乳動物細胞において生薬により誘導される遺伝子発現プロ
フィールに基づいた未知の生薬を同定する方法を教義することが実証される。未
知の生薬の実体は、特徴的な発現プロフィールを、HBRアレイにおける生薬の
特徴的な発現プロフィールの集合と共に整列することにより推論できる。
【0297】 特徴的な発現データベースに基づいて、生薬のマーカー遺伝子およびサイン発
現プロフィールを、その薬理機序の研究のために、および、複合薬草調製物の製
剤を最適化するために推定できる。この例のために、5つの異なるバッチのHu
ang Chin Tang調製物(16番、17番、18番、19番、および
20番)を参天製薬から得、特徴的な発現プロフィールデータベースを、前記の
手順に基づいて作成した。各遺伝子について、データベース中の発現プロフィー
ルの一貫性は、変動係数によりスコアリングした(CV値): CV=σ/(Σμi/n) μi:i番処理細胞についての平均発現比 n:データセットの数、この場合n=5 σ:16番、17番、18番、19番、および20番についての発現比の標準
偏差
【0298】 CVは、データの偏差を反映するので、生薬のマーカー遺伝子は、CVスコア
に基づいて選択した。最小CVスコア内の上位50個の遺伝子を選択した。図2
2は、Huang Chin Tangについて、アップレギュレートされたシ
グニチャープロフィールを有する25個のマーカー遺伝子、および、ダウンレギ
ュレートされたシグニチャープロフィールを有する25個のマーカー遺伝子を示
す。
【0299】 化学構成成分の量が、半定量的に決定できる場合、特徴的な発現プロフィール
データベースを使用して、生薬と同じ位に複雑な、混合物中の個々の化学構成成
分の発現プロフィールを推論できる。この例では、生薬の化学組成を、高速液体
クロマトグラフィーにより決定する。5バッチのHuang Chin Tan
g調製物中の4つの化学構成成分の積分強度を、HPLC解析により定量した。
各バッチの薬草調製物の遺伝子発現比は、5つの濃度の薬草調製物により誘導さ
れた発現比の中央値をとることにより計算した。構成成分と遺伝子発現プロフィ
ールの間の相関は、ピアソン相関係数により定量した。遺伝子xおよび構成成分
yのピアソン相関係数は以下のようである: R=(1/n)Σ(xi−μx)(yi−μy)/σxσy、i=1からn n:薬草調製物の数、この場合n=5 μx:遺伝子xの5つの薬草調製物における平均発現比 μy:構成成分yについての5つの薬草調製物のバッチにおける平均積分強度 xi:遺伝子xのi番の薬草調製物における遺伝子発現比 yi:構成成分yのi番の薬草調製物における積分強度 σ:5つの薬草調製物の発現比(σx)または積分強度(σy)の標準偏差
【0300】 発現レベルが高度に(|R|>0.99)Huang Chin Tang中
の化学構成成分の量と関連している数個の遺伝子を、各構成成分について同定し
た。例えば、遺伝子(クローンID:67185)とグリシルリジンの間のR値
は、0.998であった(図23A)。一方、発現レベルがワゴニン(WG)と
共に増加する遺伝子(クローンID:344720)は、−0.997のR値を
有する(図23B)。上記の2つの例に加えて、191および170個の遺伝子
が、個々の構成成分と高度に関連し、それぞれR値は>0.9およびR値<−0
.9であった。例えば、17および18個の遺伝子が、アルビフロリン(Af)
と正におよび負にそれぞれ相関していた(図24)。この例は、混合物中の個々
の構成成分の遺伝子発現を、それらを単離して、発現解析を構成成分に1つずつ
実施することなくプロファイリングする方法を教示する。
【0301】 実施例16の参考文献 米国特許文献 Stoughton−RolandおよびFriend−SH.米国特許59
65352号:薬物作用の経路を同定する方法。 Brown−POおよびShalon−TD 米国特許5807522号:生
体サンプルのマイクロアレイを組立てる方法。 Lockhart−DJ、Brown−EL、Wong−GG、Chee−M
SおよびGingeras−TR 米国特許6040138号:高密度オリゴヌ
クレオチドアレイへのハイブリダイゼーションによる発現モニタリング。 Ladunga−I 米国特許5987390号:タンパク質クラスの同定の
ための方法およびシステム Mahant−S、Shivaling−S、Vivek−G 米国特許59
51711号:2つのマルチビットデジタル言語間のhamming距離を決定
するための方法および装置 外国特許文献 Brown−POおよびShalon−TD EP特許913485A1号:
生体サンプルのマイクロアレイを組立てるための方法および装置 他の文献 Bertucci−F;Bernard−K;Loriod−B;Chang
−YC;Granjeaud−S;Birnbaum−D;Nguyen−C;
Peck−K;Jordan−BR(1999)DNAアレイをベースとした発
現測定における感度の問題および小サンプル用のナイロンマイクロアレイの性能
Human Mol.Genet.8(9):1715〜1722. Bittner−L、Trent−J、Meltzer−P(1999)段階
および矢印のデータ解析および積分 Nature Genet.22、213
〜215。 Brown−PO;Botstein−D(1999)DNAマイクロアレイ
を用いてゲノムの新世界を開拓、Nature genet 21(1)補刊、
33〜37。 Chen−JJ;Wu−R;Yang−PC;Huang−JY;Sher−
YP;Han−MH;Kao−WC;Lee−PJ;Chiu−TF;Chan
g−F;Chu−YW;Wu−CW;Peck−K(1998)発現パターンお
よび比色検出を有するcDNAマイクロアレイシステムによる示差的に発現され
る遺伝子の単離、Genomics.51:313〜24。 Chen−Y、Bittner−M、Dougherty−ER(1999)
マイクロアレイデータ解析および統合に関連した問題、Michael Bit
tner、Jeffrey TrentおよびPaul Meltzerによる
文献を補足する情報、Nature Genet.22、213〜215。 Duggan−DJ;Bittner−M;Chen−Y;Meltzer−
P Trent−JM(1999)cDNAマイクロアレイを使用した発現プロ
ファイリング、Nature genet 21(1)補刊、10〜14。 Eisen−M(1999)クラスターおよびツリービューマニュアル(ft
p://rana.stanford.edu/software) Eisen−M、Spellman−PT、Brown−PO、Botste
in−D(1998)クラスター解析および広域遺伝子発現パターンの提示、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 99:14863〜14868
。 Golub−TR、Slonim−DK、Tamayo−P、Huard−C
、Gaasenbeek−M、Mesirov−JP、Coller−H、Lo
h−ML、Downing−JR、Calogiuri−MA、Bloomfi
eld−CD、およびLander−ES(1999)癌の分子分類:遺伝子発
現モニタリングによるクラス発見およびクラス予測、Science 10月1
5:531〜537。 Lander−ES(1999)希望のアレイ、Nature genet
21(1)補刊、3〜4。 Tamayo−P、Slonim−D、Merirov−J、Zhu−Q、K
itareewan−S、Dmitrovsky−E、Lander−ES、お
よびGolub−TR(1999)自己組織化マップを用いて遺伝子発現パター
ンを解釈:造血分化の方法および適用、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA.99:2907〜2912。 Romesburg−HC(1989)研究者のためのクラスター解析、第1
6章:どのように分類するか、P203〜216、米国フロリダ州所在、Kri
eger Publishing Co.Malabar。 Scherf−U、Ross−DT、Waltham−M、Smith−LH
、Lee−JK、Tanabe−L、Kohn−KW、Reinhold−WC
、Myers−TG、Andrews−DT、Scudiero−DA、Eis
en−MB、Sausville−EA、Pommier−Y、Botstei
n−D、Brown−PO、Weinstein−JN(2000)癌の分子薬
理学の遺伝子発現データベース、Nature genet.24:236〜4
4。 Slonim−DK、Tamayo−P、Mesirov−JP、Golub
−TR、Lander−ES(1999)遺伝子発現データを使用したクラス予
測および発見(http://www.genome.wi.mit.edu/
MPR)。 Tavazole−S、Hughes−JD、Campbell−MJ、Ch
o−RJ、Church−GM(1999)遺伝子ネットワーク構築の系統的決
定、Nature genet.22:281〜285。
【0302】 (実施例17) 生体応答の同定および薬草組成物のシグニチャー遺伝子 Huang Chin Tangにより誘導される発現プロフィールをさらに
調べるために、ジャーカットT細胞を、5つの濃度(IC50の1/20、1/1
0、1/5、1/2.5、および1)のHuang Chin Tang(参天
製薬から得たPHY906、2番)で処理した。二色検出法を有する核酸マイク
ロアレイを使用して、発現プロフィールを測定した。薬草処理および非処理細胞
から抽出したmRNAを、ビオチン−16−dUTPおよびDig−11−dU
TPでそれぞれ標識した。対照群は、非処理細胞およびビオチンおよびdigで
それぞれ等しい割合で標識したmRNAから抽出した、mRNAを使用すること
により確立した。異なる濃度の薬草処理を有する5つのサンプル群および1つの
対照群を、Chenら(1998)により記載の手順を少し変形した手順により
、研究に使用した。データプレプロセシングのために、高品質のデータのアレイ
スポットのみを選択した。選択基準は、SN比が2.5倍より高く、示差的発現
比が1.5倍より高い、スポットであった。これらの基準により、1044個の
遺伝子を、さらなる統計学的解析のために選択した。対照群の遺伝子発現プロフ
ィールは、2倍の示差的発現範囲を超えて存在する、統計学的アウトライアーと
して列挙した僅か48個の遺伝子と高度に相関した(図25A)。サンプル群で
は、多くの示差的に発現された遺伝子が、図25Bに示したように明白である。
示差的発現比が2倍より高い遺伝子の数は、図25Cに示したような薬草処理の
濃度と共に増加する。これらの結果により、同定された示差的発現遺伝子は、H
uang Chin Tang処理により真に誘導されることが判明する。
【0303】 PHY906(PHY906のシグニチャー遺伝子)により特異的に誘導され
る遺伝子を同定するために、発現プロフィールを、Tamayoら、1999に
より開発された非階層型クラスター解析プログラム「ジーンクラスター」により
クラスター形成した。コンピュータプログラムは、自己組織化マップ(SOM)
原理に基づき、発現プロフィールのクラスターを図26に示す。X軸は、低から
高の薬草の濃度を示し、Y軸は、遺伝子発現比である。シグニチャー遺伝子は、
PHY906 2番に用量応答を示す、発現プロフィールから選択した。誘導お
よび抑制遺伝子は、クラスター3および4並びにクラスター18および19から
それぞれ選択した。PHY906のサイン遺伝子を同定するために、同じ処方お
よび製造プロセスを有する、Huang Chin Tangの別のバッチであ
るPHY906 3番を、PHY906 2番に記載のように実施した。一般に
両方のバッチに見られる誘導および抑制遺伝子を図27に示す。
【0304】 自己組織化マップ(SOM)による生体応答のスコア類似性 類似組成の生薬を区別するために、スコアリング法を開発し、スコアSは、2
つの異なる薬草組成物に対するバイオシステムの生体応答の差異を示す。
【0305】 S=ΣPijij ここでのPijは、クラスターiおよびクラスターjにおいて、薬草調製物Aお
よび薬草調製物Bの両方により誘導される一般的な遺伝子の数である。例えば、
PHY906の両方のバッチの発現プロフィールのSOMクラスタリング結果を
図28Aに示す。クラスターC13およびC14において、17および25個の
遺伝子が、それぞれ両方のPHY906バッチについて同じ発現プロフィールを
共有する。さらに、発現プロフィールがPHY906 2番により誘導される1
0個の遺伝子が、C13にはクラスター形成するが、PHY906 3番ではC
14にクラスター形成する。それ故、P1313=17、P1414=25、およびP13 14 =10。秤量因子Wijは、2つの発現プロフィールクラスターの類似性を示す
ために、クラスターiとjの間の距離を記載する。C13およびC14の場合、
これらの10個の遺伝子は、PHY906 2番およびPHY906 3番に対
して類似の応答を示す(図28B)。秤量因子は以下のように定義する: Wij=1−Eij/Max(Eij)、ここでのEijは、クラスターiとjの間の
Euclidean距離であり、値は、Eij/Max(Eij)により正規化する
。i=jである場合、Wijは1である。数は、クラスターiおよびクラスターj
がより異なってくれば減少する(図28C)。
【0306】 5バッチの生薬の分類 上記の方法が、5バッチの類似の薬草調製物の分類においてどのようにうまく
実施するかを試験するために、ジャーカットT細胞を、5つの濃度(IC50の1
、1/2.5、1/5、1/10、および1/20)の5バッチのHuang
Chin Tang(参天製薬から得た、PHY01040;16番、PHY0
10402;17番、PHY03061;18番、PHY03062;19番お
よびPHY02231;20番)で処理した。Sijスコアを、クラスター分析に
おける薬草調製物の対の間で計算した(図29)。解析プログラムであるKit
schクラスターは、階層型クラスタリング原理に基づき、ワシントン大学のJ
oseph Felsensteinにより書かれた(http://evol
ution.genetics.washington.edu/phylip
.html)。Sスコア(距離)を作表し(図29A)、最短の距離が、バッチ
17番とバッチ18番の間に存在し、バッチ17番は、バッチ18番に類似して
いることを明確に同定できる。バッチ16番はまた、バッチ17番および18番
に類似しているが、バッチ19番は、残りのバッチに類似していない。結果は、
HPLC解析により確認した。
【0307】 発現プロフィールに基づいた未知の生薬の特徴付け 上記したように確立した特徴的な発現プロフィールデータベースに基づいた未
知の生薬を同定するために、ジャーカットT細胞を、テスターの特徴的な発現デ
ータセットを作成するために、5つの濃度のテスターサンプル17番で処理した
。特徴的な発現データベースにおける、テスターと各データセット(16番、1
7番、18番、19番および20番)の間のSスコアを計算し、Sスコアは、1
6番:0.78、17番:0.85、18番:0.84、19番:0.77、お
よび20番:0.79である。これらのデータにより、テスターは、より高いS
スコア0.84を有する17番に最も類似していることが示される。実施例によ
り、哺乳動物細胞において生薬により誘導される遺伝子発現プロフィールに基づ
いて未知の生薬を同定するために方法を適用できることが実証される。未知の生
薬の実体は、特徴的な発現プロフィールを、HBRアレイにおける生薬の特徴的
な発現プロフィールの集合とアラインすることにより推論できる。
【0308】 薬草の特性は、四気および五味により記載できる(漢方薬、Zheng Hu
a Yen編、People’s Health publications、
北京、中国、1997;Shi Zeng LiによるBook of Ben
Cao Gan Mu、Ming Dynasty 、中国)。PHY906
の各4つの薬草は、類似の特性を有する別のセットの薬草に関連し得る(表19
参照)。または類似の特性を有する薬草は、類似の生体応答を示し得る。HBR
アレイを使用して、薬草の特性に関しての関連性を決定または測定し得る。かか
る情報は、新規な薬草製剤の創製に有用であり得る。
【0309】
【表19】
【0310】 特性: 四気−寒、熱、温、冷 五味−辛、苦、甘、酸、鹹
【0311】 (実施例18) HBRアレイによる生薬の評価 実施例16に記載したように、Huang Chin Tangの成分の薬草
は、黄岑、芍薬、甘草、およびナツメである。哺乳動物細胞において5バッチの
HuangChin Tangにより誘導される遺伝子発現プロフィールを特徴
付けた。Huang Chin Tangの標準的な処方を規定し、動物試験ま
たは臨床試験を用いて特徴付けた。例えば、17番を、参天製薬により設定され
た品質制御および他の標準に基づいて、Huang Chin Tangの標準
的な処方として使用した。17番の生体応答を使用して、Huang Chin
TangのHBRアレイを構築した。HBRアレイのマーカー遺伝子を選択し
て、Huang Chin Tangの他の調製物を評価した。テスターのHu
ang Chin Tangは、同じ薬草組成物を含み得るが、成分の薬草は、
種々の環境的特徴下で成長し得る。テスターの生体応答を、標準的なHBRアレ
イのマーカー遺伝子と比較して、テスターの生物活性を評価した。
【0312】 さらに、発現レベルが、Huang Chin Tang(実施例16および
図25に記載)の成分の薬草の用量に高度に関連している(|R|>0.99)
マーカー遺伝子を、評価のために選択する。テスターのHuang Chin
Tangは、選択したマーカー遺伝子のセットの特定の生体応答または発現レベ
ルを、HBRアレイと比較することにより評価できる。選択したマーカー遺伝子
の発現レベルまたは生体応答が、許容可能な変動領域を超えている場合、成分の
薬草の量または特徴を調整または修飾して、許容可能な変動に合致させる。プロ
セスは、改正した薬草組成物により誘導される生体応答が、標準的なHBRアレ
イと比較することにより、許容可能な変動範囲内になるまで繰返す。
【0313】 (実施例19) 薬草組成物の生物活性および治療適用の予測 PHY906の同定マーカー遺伝子により(図27)、これらの遺伝子を使用
して、薬草組成物の生物活性を予測できる。例えば、以下の下線を付したPHY
906のマーカー遺伝子は、以下の生物活性および治療効果に関与していると報
告されている。ALLに対して唯一効果的な薬物は、細胞アポトーシスの増加に
因りアスパラギン酸シンセターゼを阻害する(Nandyら、1998)。長時
間作用する薬物であるソマトスタチン類似体を、その腫瘍増殖阻止効果のために
、神経線維腫の処置に適用する。なぜなら、それらは、G6PD、トランスケト
ラーゼまたは両方の阻害により媒介される抗増殖作用を誘導するからである(B
orosら、1998)。エフリン−A1は、新規メラノーマ増殖因子であり、
メラノーマ増殖中に高度に発現されている(Eastyら、1999)。マイト
ジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーメンバーは、近年、ア
ポトーシスに対して対抗する効果を有することが報告されている(Dabrow
skiら、2000)。アスパラギンシンセターゼ、トランスケトラーゼ、エフ
リン−A1およびMAPKの発現は、高濃度のPHY906処理で抑制される。
これらの遺伝子のダウンレギュレーションは、細胞のアポトーシスに関与してい
る。酵素アルギニノスクシネートシンターゼ、カテプシンGおよびケモカインR
ANTESの発現は、炎症機序で高度に誘導される。PHY906処置により、
炎症に関与する遺伝子は抑制される。これらの文献報告は、薬草組成物の生物活
性または治療効果を予測する基礎を提供する。
【0314】 実施例19の参考文献 Nandy−P;Periclou−AP;Avramis−VI(1998
)ヒト白血球細胞系における、6−メルカポプリンとシトシンアラビノシド、次
いでPEG−アスパラギナーゼによる相乗作用(CCRF/CEM/0およびC
CRF/CEM/ara−C/7A)は、細胞アポトーシスの増加に因る。An
ticancer Research 18:727〜737。 Boros−LG;Brandes−JL;Yusuf−FI;Cascan
te−M;Williams−RD;Schirmer−WJ(1998)。ソ
マトスタチンによる、酸化的および非酸化的ペントースリン酸経路の阻害:抗腫
瘍作用の可能性ある機序、Medical Hypotheses 50:50
1〜506。 Easty−DJ;Hill−SP;Hsu−MY;Fallowfield
−ME;Fleorenes−VA;Herlyn−M;Benett−DC(
1999)メラノーマ増殖中のエフリン−A1のアップレギュレーション、In
t.J.Cancer 84:494〜501。 Dabrowski−A;Tribillo−I;Dabrowska MI
;Wereszczynska−SU;Gabryelewicz−A(200
0)異なる膵腺房細胞傷害モデルにおける、マイトジェン活性化プロテインキナ
ーゼの活性化、Z−Gastroenterol.38:469〜481。
【0315】 以上の詳細な説明は、理解し易くするためだけに提供され、不必要な制限はそ
れから理解されるべきではなく、修正は当業者には自明である。 本発明は、その具体的な実施の形態と関連づけて説明されたが、さらなる修正
が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従って、および、本発明が属
する分野内の既知または慣用的な実施行為に該当し、前記に示したおよび後の添
付の請求の範囲の本質的な特徴に適用し得る、本発明の開示のかかる逸脱を含み
、本発明の任意の変更、使用、または適合を網羅することを意図すると理解され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 任意の選択した薬草組成物についての、標準化薬草生体応答アレイ(HBRア
レイ)を作成するための、基本的な方法ステップの図解を提供する。この図は、
理解し易くするために、その最も基本的な形で示されている。本明細書で議論し
たように、図解の各経路は、繰返し実施できる。さらに、1つのボックスに含ま
れる任意の情報を使用して、任意の他のボックスについての情報の収集に関する
結論を導くことができる。このように、多くのフィードバックループがまた、ス
キーム全体を通じて可能である。
【図2】 任意のバッチの薬草組成物について、薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)を
作成し、このバッチのHBRアレイを、標準化HBRアレイから選択したサブセ
ットの情報と比較するための、基本的な方法ステップの図解を提供する。この図
は、理解し易くするために、その最も基本的な形で示されている。本明細書で議
論したように、図解の各経路は、繰返し実施できる。さらに、1つのボックスに
含まれる任意の情報を使用して、任意の他のボックスについての情報の収集に関
する結論を導くことができる。このように、多くのフィードバックループがまた
、スキーム全体を通じて可能である。
【図3】 主要なデータセットを確立および使用するための、基本的な方法ステップの図
解を提供する。この図は、理解し易くするために、その最も基本的な形で示され
ている。本明細書で議論したように、図解の各経路は、繰返し実施できる。さら
に、1つのボックスに含まれる任意の情報を使用して、任意の他のボックスにつ
いての情報の収集に関する結論を導くことができる。このように、多くのフィー
ドバックループがまた、スキーム全体を通じて可能である。
【図4】 様々な薬草組成物のウェスタンブロットである。 A.薬草組成物なし B.Huang Qing Tang A(HQT A)(0.2mg/ml) C.HQT A(4mg/ml) D.HQT B(0.2mg/ml) E.HQT B(4mg/ml) F.黄ゴン(0.2mg/ml) G.黄ゴン(4mg/ml)
【図5】 Paeonie lactiflora pallusのHPLC図である。
【図6】 Ziziphi fructusのHPLC図である。
【図7】 図7は、薬草組成物の生体応答データセットを確立する図を提供する。データ
セットは、哺乳動物細胞培養液において、3つ以上の異なる濃度の生薬により誘
導された、異なって発現された遺伝子に基づく。
【図8】 図8は、生薬または複合薬草調製物の特徴的な発現プロフィールデータベース
またはHBRアレイを確立する図を提供する。
【図9】 図9は、未知の薬草組成物を同定する図を提供する。未知の生薬により誘導さ
れる発現プロフィールを、発現プロフィールデータベースと共に整列し、統計学
的方法を使用して、データベースに保管された生薬の可能性ある実体をスコアリ
ングする。
【図10】 図10は、薬草組成物または複合薬草調製物のシグニチャー遺伝子を抽出する
図を提供する。
【図11】 図11は、生薬または複合薬草調製物の個々の化学構成成分についてのサイン
遺伝子を抽出する図を提供する。
【図12】 高および低濃度(それぞれHおよびLで示す)の3タイプの一要素薬草抽出物
(Cordyceps Sinensis Mycelium(CSM)ST0
24、ST117)で処理した細胞の、遺伝子発現データのクラスターディスプ
レイである。 (A)クラスター分析を、492個の選択遺伝子を用いて、プログラム「クラ
スター」(Eisenら、1999)により実施した(本文参照)。 (B)ST117処理によりアップレギュレートされているが、他の薬草抽出
物での処理によりダウンレギュレートされる、遺伝子の拡大像である。クローン
IDおよび推定遺伝子名を示す。 (C)クラスターアルゴリズムは、CSM、ST024およびST117を3
つの異なるクラスターに分離した。階層型樹状図により示されるような各クラス
ター間の距離は、3つの薬草抽出物で処理した細胞の発現プロフィール間の差異
として捉えることができる。
【図13】 (A)選択した492個の遺伝子に基づいて計算したクラスター結果の偽色を
コードするディスプレイである。 (B)CSMによりダウンレギュレートされるが、他によりアップレギュレー
トされる、遺伝子の拡大像である。 (C)全ての種類の薬草処理によりアップレギュレートされる遺伝子。 (D)CMSによりダウンレギュレートされるが、他によりアップレギュレー
トされる遺伝子。IMAGEクローンIDおよび推定遺伝子名を示す。
【図14】 高および低濃度(それぞれHおよびLで示す)のHuang Chin Ta
ng(PHY906−303503(11番)およびPHY906−28400
3(12番)処理細胞の2バッチの多要素薬草調製物の、発現データのクラスタ
ーディスプレイである。データは、3つの異なる日付の3つの反復実験に基づい
て平均化した。クラスター分析を、選択した500個の遺伝子に基づいて実施し
た(本文参照)。(B)クラスターアルゴリズムは、11番−L、11番Hおよ
び(12番−Hおよび12番−L)を3つの別個のクラスターに分離した。クラ
スター間の距離または類似係数を、階層型クラスター樹状図により示す。
【図15】 3つの独立的な実験により測定した(A)平均および(B)個々の遺伝子発現
レベルの拡大像である。Box1は、11番−L処理細胞ではダウンレギュレー
トされるが、他ではアップレギュレートされる遺伝子を囲み、Box2は、全て
の薬草処理によりアップレギュレートされる遺伝子を囲む。Box3は、11番
−L処理により全く応答を示さないが、他によりダウンレギュレートされる遺伝
子を囲む。Box4は、低濃度の薬草処理により高度にダウンレギュレートされ
るが、高濃度の薬草処理で軽度の応答を示す遺伝子を囲む。クローンIDおよび
推定遺伝子名は、各遺伝子の側に示す。
【図16】 生薬により処理した細胞の遺伝子発現プロフィールの分類。(A)非処理対照
細胞の発現データで正規化したデータセットおよび(B)ゼロ平均およびユニッ
ト変数を有するように正規化したデータセットの階層型クラスタリング。(C)
自己組織化マップアルゴリズムによる非階層型クラスターの結果。
【図17】 医薬により誘導される遺伝子発現プロフィールに基づいて生薬を分類するため
の候補クラス予測因子。11番および12番の薬草調製物を識別するための、そ
の発現プロフィールをもつ50クラスの予測因子をこの図に示す。IMAGEク
ローンIDおよび推定遺伝子名を、各遺伝子の側に示す。
【図18】 5つの異なる濃度の複合薬草調製物のバッチにより誘導される遺伝子発現プロ
フィール。6×4の発現プロフィールのクラスターを(A)に示し、選択したク
ラスターの遺伝子発現プロフィールの詳細を(B)に示す。
【図19】 図19は、どのように図18の発現プロフィールを、その後のhamming
距離計算のために、3つの異なる群に分類するかを示す。
【図20】 図20は、5つの複合薬草組成物のバッチにより誘導される遺伝子発現プロフ
ィールの分析結果を示す。表の数字は、hamming距離である。距離が短け
れば短い程、発現プロフィールは類似する。
【図21】 (A)に示したのは、5つの複合薬草組成物のバッチの、HPLC分析におけ
る、4つの化学構成成分の積分したピーク強度の表である。2つの追加のパラメ
ータであるBG+BおよびBG/Bを、表に導入し、6つのパラメーターラジア
ルプロットを(B)に示し、1つのバッチが、HPLC分析により、他のバッチ
よりも第二バッチ18番により類似していることを示す。
【図22】 ジャーカットT細胞でHuang Chin Tangの複合薬草調製物によ
り誘導されるサイン遺伝子のディスプレイ。
【図23】 図23は、生薬の混合物中の個々の化学構成成分により誘導されるシグニチャ
ー遺伝子を同定する原理を示す。サイン遺伝子は、発現レベルが生薬中の化学構
成成分の量と関連した遺伝子であり、その関連係数は、0.99より大きいかま
たは−0.99より少ない。(A)は、遺伝子とグリシルリジンの間のR値は0
.998であったことを示し、(B)は、その発現レベルがワゴニンの減少と共
に増加する遺伝子が−0.997のR値を有することを示す。
【図24】 ジャーカットT細胞で複合薬草組成物のHuang Chin Tang中の
化学構成成分アルビフロリンにより誘導されたサイン遺伝子。(A)は、アルビ
フロリンに正に関連した遺伝子を示し、(B)は、アルビフロリンに負に関連し
た遺伝子を示す。
【図25】 対照群に対する遺伝子発現プロフィールの関連。(A)は、対照群の遺伝子発
現プロフィールであり、(B)は、サンプル群の遺伝子発現プロフィールであり
、(C)は、薬草処理で2倍以上の増加を有する、示差的発現比をもつ遺伝子の
数を示す。
【図26】 非階層型分析プログラムによりクラスター化した発現プロフィールのクラスタ
ーであり、ここでのプログラムは、自己組織マップ(SOM)原則に基づく。X
軸は、低から高の薬草濃度を示し、Y軸は、遺伝子発現比である。
【図27】 図27は、2バッチのHaang Chin Tangに一般的に見られる誘
導および抑制遺伝子を示す。
【図28】 2バッチのHuang Chin TangのSOMクラスタリング結果。(
A)は、2バッチのHuang Chin Tangの発現プロフィールのSO
Mクラスタリング結果を示す。(B)は、10個の遺伝子が、2つのバッチに同
じように応答したことを示し、そして(C)は、クラスターIおよびクラスター
jがより困難となると、秤量因子がどのように減少するかを示す。
【図29】 クラスター分析における薬草調製物の対の間のSスコアの計算。(A)は、ス
コアの作表であり、そして(B)は、どのように5バッチの類似薬草調製物が関
連しているかを実証する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/30 170 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 リー, ヤン−シェン 台湾, キールン, ヌワン−ヌワン ス トリート 604 9エフ (72)発明者 シャー, ユー−ピン 台湾, シー ジェン, ガンジヤン ロ ード 114 7エフ (72)発明者 チェン, ヤン−チー アメリカ合衆国, コネチカット州, ウ ッドブリッジ, ボルドウィン ロード 961 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA09 CA12 CA20 HA11 HA12 4B063 QA01 QA05 QQ04 QR08 QR32 QR35 QR40 QR42 QR55 QR62 QR77 QR84 QS16 QS25 QS34 QS36 QS39 QX02 5B075 ND02 NS10 PQ14 UU19

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬草組成物の標準的な薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)
    を確立する方法であって、 d)1つの特徴付けられた薬草組成物を選択する; e)バイオシステムを、1バッチの特徴付けられた薬草組成物に曝露し、2つま
    たはそれ以上のマーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核
    酸マイクロアレイの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 iv)セルバンキングシステムを製造するステップ; v)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の遺
    伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; vi)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択す
    るステップを含むステップによって得られる); f)ステップb)のマーカーデータを標準化HBRアレイとして保存する; ことを含むことを特徴とする前記方法。
  2. 【請求項2】 さらに、 g)1つ以上の追加のバッチの薬草組成物について、ステップb)で使用したも
    のと同一または異なるマーカーを2つ以上使用して、ステップb)およびc)を
    繰り返す; h)ステップc)およびd)で得られたHBRアレイを合わせ;そして i)ステップe)の合わせたHBRアレイを解析して、特徴付けられた薬草組成
    物の標準化HBRアレイを作成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 特徴付けられた薬草組成物が少なくとも1つの既知の生体応
    答を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の特徴付けられた薬草組成物について、以下の事項の1
    つまたはそれ以上が知られている:化学試験、使用した植物部分、該特徴付けら
    れた薬草組成物中、1つまたはそれ以上の個々の薬草の生育条件、該特徴付けら
    れた薬草組成物中、1つまたはそれ以上の個々の薬草の収穫前の取り扱い、該特
    徴付けられた薬草組成物中、1つまたはそれ以上の個々の薬草の収穫後の取り扱
    い、該特徴付けられた薬草組成物の収穫後の取り扱い、および該特徴付けられた
    薬草組成物中、個々の薬草の相対的割合。
  5. 【請求項5】 セルバンキングシステムがマスターセルバンクとワーキング
    セルバンクからなることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ワーキングセルバンクの細胞がマスターセルバンクから得ら
    れることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 薬草組成物への曝露の前後で、セルバンキングシステムから
    の細胞の遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップがワーキングセル
    バンクの細胞を用いて実施されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 遺伝子発現の変化が核酸マイクロアレイを用いて決定される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  9. 【請求項9】 その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化する遺伝
    子が核酸マイクロアレイ中、約2.5倍より大きいSN比をもつこと、および約
    1.5倍より大きい示差的発現比をもつことを基準にして選択することを特徴と
    する請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 その発現レベルが変化する約10個と約20000個の間
    の遺伝子に関するデータをHBRアレイの一部として保存することを特徴とする
    請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】 その発現レベルが変化する約10個と約1500個の間の
    遺伝子に関するデータをHBRアレイの一部として保存することを特徴とする請
    求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 薬草組成物の評価方法であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレ
    イの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択
    するステップによって得られる); b)収集したマーカーデータを、バッチの薬草組成物のそれと同一または実質的
    に同一の薬草組成物の標準化HBRアレイと比較し、ここで該標準化HBRアレ
    イは、マーカーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含む; ことを含むことを特徴とする前記評価方法。
  13. 【請求項13】 薬草組成物が標準的な仕様を満たすかどうか決定する方法
    であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレ
    イの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択
    するステップによって得られる); b)収集したマーカーデータを、前記バッチの薬草組成物のそれと同一または実
    質的に同一の薬草組成物の標準化HBRアレイと比較し、ここで該標準化HBR
    アレイは、マーカーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含む;そして c)どの薬草組成物が、標準化HBRアレイのそれと許容されるレベル内で類似
    するマーカーデータを有するかを決定する; ことを含むことを特徴とする前記決定方法。
  14. 【請求項14】 どの薬草組成物が標準化HBRアレイのそれと、許容され
    るレベル内で類似するマーカーデータを有するかを決定することが定量的に、ま
    たは定性的に決定されることを特徴とする請求項113に記載の方法。
  15. 【請求項15】 標準化HBRアレイが各マーカーについて、変化の許容さ
    れる範囲を有することを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 それと同一または実質的に同一の薬草組成物の標準的な仕
    様を満たすように薬草組成物の成分を調整する方法であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレ
    イの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択
    するステップによって得られる); b)収集したマーカーデータを、前記バッチの薬草組成物のそれと同一または実
    質的に同一の薬草組成物の標準化HBRアレイと比較する、(ここで該標準化H
    BRアレイは、マーカーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含み、さら
    に各マーカーについて、変化の許容される範囲を含む); c)薬草組成物が標準化HBRアレイについての変化の許容されるレベル内にあ
    るマーカーデータを有するかどうか決定する;そして、 d)マーカーデータが標準化HBRアレイについての変化の許容されるレベル内
    になければ、薬草組成物の成分を調整する; ことを含むことを特徴とする前記調整方法。
  17. 【請求項17】 薬草組成物のマーカーデータが標準化HBRアレイについ
    ての変化の許容されるレベル内にあるまで、ステップa)〜d)を繰り返すこと
    特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 別の薬草組成物の標準的な仕様を満たすように薬草組成物
    の成分を変化させる方法であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーに関するデータを収集し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレ
    イの使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択
    するステップによって得られる); b)収集したマーカーデータを、前記バッチの薬草組成物のそれと、他の薬草組
    成物の標準化HBRアレイと比較する、(ここで該標準化HBRアレイは、マー
    カーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含み、さらに各マーカーについ
    て、変化の許容される範囲を含む); c)薬草組成物が標準化HBRアレイについての変化の許容されるレベル内にあ
    るマーカーデータを有するかどうか決定する;そして、 d)マーカーデータが標準化HBRアレイについての変化の許容されるレベル内
    になければ、薬草組成物の成分を変化させる; ことを含むことを特徴とする前記調整方法。
  19. 【請求項19】 薬草組成物のマーカーデータが標準化HBRアレイについ
    ての変化の許容されるレベル内にあるまで、ステップa)〜d)を繰り返すこと
    特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 薬草組成物の生物活性を予測する方法であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーの示差的応答を測定し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレイ
    の使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化するマーカーを選択
    するステップによって得られる)、 (ここで、示差的応答測定のセットが薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)のデ
    ータセットである); b)バッチ薬草組成物のHBRアレイを、特徴付けられた薬草組成物の少なく
    とも1つの既知のHBRアレイと比較する(ここで、該既知のHBRアレイがマ
    ーカーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含む);そして c)ステップb)で行ったHBRアレイ比較に基づいて、バッチ薬草組成物の
    生物活性を予測する; ことを含むことを特徴とする前記予測方法。
  21. 【請求項21】 特徴付けられた薬草組成物への1つの薬草組成物の関連性
    を測定する方法であって、 a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーの示差的応答を測定し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレイ
    の使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化する遺伝子をマーカ
    ーとして選択するステップによって得られる)、 (ここで、示差的応答測定のセットが薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)のデ
    ータセットを構成する); b)バッチ薬草組成物のHBRアレイを、特徴付けられた薬草組成物の少なく
    とも1つの既知のHBRアレイと比較する(ここで、該既知のHBRアレイがマ
    ーカーの1つとして遺伝子発現についてのデータを含む);そして c)ステップb)で行ったHBRアレイ比較に基づいて、薬草組成物の特徴付
    けられた薬草組成物への関連性を決定する; ことを含むことを特徴とする前記測定方法。
  22. 【請求項22】 薬草組成物の新たな治療的応用を予測する方法であって、
    a)バイオシステムを、1バッチの薬草組成物に曝露し、2つまたはそれ以上の
    マーカーの示差的応答を測定し(ここで、マーカーの1つは核酸マイクロアレイ
    の使用によって決定される遺伝子発現の変化であり、 i)セルバンキングシステムを製造するステップ; ii)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の
    遺伝子発現パターンをプロファイリングするステップ; iii)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化する遺伝子をマーカ
    ーとして選択するステップによって得られる)、 (ここで、示差的応答測定のセットが薬草生体応答アレイ(HBRアレイ)のデ
    ータセットを構成する); b)HBRアレイ中の予測した生物活性に基づいて、新たな治療的応用を予測
    する; ことを含むことを特徴とする前記予測方法。
  23. 【請求項23】 薬草組成物中の個々の化学物質によって誘起される遺伝子
    の発現プロフィールを決定する方法であって、 a)セルバンキングシステムを製造する; b)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の遺
    伝子発現パターンをプロファイリングする; c)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化する遺伝子をマーカーと
    して選択し、そしてHBRアレイに配置する; d)ステップ(c)で作成したHBRアレイを、実質的に同一、または修飾した
    薬草組成物の標準化HBRアレイと比較する; e)薬草組成物の個々の化学物質の相対量を決定する;そして f)個々の化学物質の量をステップ(b)の結果と比較して、薬草組成物中の個
    々の化学物質の量が変化するにつれてその発現レベルが変化する遺伝子を同定す
    る; ことを含むことを特徴とする前記決定方法。
  24. 【請求項24】 複雑な混合物中の個々の化学物質によって誘起される遺伝
    子の発現プロフィールを、該複雑な化合物(例えば、薬草組成物)から該化学物
    質を抽出することなく、決定する方法であって、 a)セルバンキングシステムを製造する; b)薬草組成物への曝露の前後で、前記セルバンキングシステムからの細胞の遺
    伝子発現パターンをプロファイリングする; c)その発現レベルが薬草組成物への曝露によって変化する遺伝子をマーカーと
    して選択する; d)収集したマーカーデータを、実質的に同一、または修飾した薬草組成物の標
    準化HBRアレイと比較する; e)薬草組成物の化学成分をキャラクタリゼーションする; f)同定した化学成分を比較して、薬草組成物中の個々の化学成分の示差的レベ
    ルを同定する; g)異なる化学成分量をHBRアレイ中の示差的生体応答と相関させて、各化学
    物質についての特徴的な生体応答を同定する; ことを含むことを特徴とする前記決定方法。
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