JP2003525565A - アポリポタンパク質a−1アゴニストを供給するための遺伝子治療法および異常脂肪血障害を治療するためのその使用 - Google Patents

アポリポタンパク質a−1アゴニストを供給するための遺伝子治療法および異常脂肪血障害を治療するためのその使用

Info

Publication number
JP2003525565A
JP2003525565A JP2000513549A JP2000513549A JP2003525565A JP 2003525565 A JP2003525565 A JP 2003525565A JP 2000513549 A JP2000513549 A JP 2000513549A JP 2000513549 A JP2000513549 A JP 2000513549A JP 2003525565 A JP2003525565 A JP 2003525565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
apoa
leu
agonist
residue
peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000513549A
Other languages
English (en)
Inventor
ダシュー,ジーン−ルイス
セクル,リネート
バトナー,クラウス
コルナット,イサベル
メッツ,グンテル
デュホーク,ジーン
Original Assignee
ダシュー、ジーン‐ルイス
セクル,リネート
バトナー,クラウス
コルナット,イサベル
メッツ,グンテル
デュホーク,ジーン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ダシュー、ジーン‐ルイス, セクル,リネート, バトナー,クラウス, コルナット,イサベル, メッツ,グンテル, デュホーク,ジーン filed Critical ダシュー、ジーン‐ルイス
Publication of JP2003525565A publication Critical patent/JP2003525565A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • A61K48/005Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy characterised by an aspect of the 'active' part of the composition delivered, i.e. the nucleic acid delivered
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/08Peptides, e.g. proteins, carriers being peptides, polyamino acids, proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/775Apolipopeptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、天然型のアポリポタンパク質A−1(ApoA−1)、すなわち、成熟ApoA−1、プレプロApoA−1およびプロApoA−1の改変型、例えば、ApoA−1アゴニスト(ApoA−1の活性を模擬するペプチド)を含むように改変された天然ApoA−1、ApoA−1スーパーアゴニスト(天然ApoA−1の活性を上回るペプチド)、および1以上のApoA−1アゴニストのヌクレオチドにより置換された1以上の両親媒性ヘリックスを有する改変された天然ApoA−1、をコードするヌクレオチド配列を、異常リポタンパク質血症と関連した障害、例えば、心血管性の障害、アテローム硬化症、再狭窄、高脂血症、および敗血症性ショックなどの他の障害を治療するために供給するための遺伝子的アプローチに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
1. 本発明は、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高脂血症および敗
血症性ショックなどのその他疾患をはじめとする異リポタンパク血症が関与する
疾患の治療のための、天然型のアポリポタンパク質A−I(ApoA−I)の改
変型、すなわち成熟型ApoA−I;プレプロApoA−IおよびプロApoA
−I;ApoA−Iペプチド;天然型ApoA−Iの活性を模倣するかまたはそ
れを超えるApoA−Iアゴニストおよびスーパーアゴニスト、ペプチド;およ
び天然型ApoA−I遺伝子をコードするヌクレオチド配列を供給する遺伝子治
療のアプローチに関する。 2.発明の背景 循環コレステロールは、、血液中で脂質を輸送する脂質・タンパク質複合組成
物粒子である血漿リポタンパク質によって運ばれる。低密度リポタンパク質(L
DL)および高密度リポタンパク質(HDL)は、主要なコレステロール担体で
ある。LDLは、生体中において肝臓(ここで、コレステロールが食物源から合
成されるかまたは取り出される)から肝外組織へコレステロールを送達する役割
を担っていると考えられる。「逆コレステロール輸送」という用語は、肝外組織
から、コレステロールが異化および除去される肝臓へ、コレステロールを輸送す
ることを意味する。血漿HDL粒子は、組織コレステロールのスカベンジャーと
して作用し、逆輸送過程における主要な役割を果たすと考えられる。 血清コレステロールの増加を冠状動脈性心疾患に関連づける証拠は、決定的な
ものである。例えば、アテローム性動脈硬化症は、動脈壁中へのコレステロール
の蓄積によって特性付けられる進行の遅い疾患である。アテローム性動脈硬化病
巣に沈着する脂質は主として血漿LDLに由来するという考え方を支持する有力
な証拠がある。従って、LDLは「悪玉」コレステロールとして一般に知られる
ようになった。これとは対照的に、HDL血清レベルは、冠状動脈性心疾患と逆
相関関係にある。実際に、HDLの高血清レベルは、ネガティブな(negat
ive)危険因子と見なされる。血漿HDLのレベルが高いと冠状動脈疾患が防
止されるだけでなく、実際にアテローム性動脈硬化斑の退縮を誘発しうるという
仮説が立てられている(例えば、Badimon et al.,1992,C
irculation 86(Suppl.III):86−94を参照された
い)。このため、HDLは、「善玉」コレステロールとして一般に知られている
。 2.1.コレステロール輸送 脂肪輸送系は、2つの経路:すなわち、腸から吸収されるコレステロールおよ
びトリグリセリドのための外因性経路と、肝臓および他の非肝臓組織から血流中
に入るコレステロールおよびトリグリセリドのための内因性経路と、に分割する
ことができる。 外因性経路では、食物脂肪は、キロミクロンと呼ばれるリポタ
ンパク質粒子中にパッケージ化される。このキロミクロンは、血流中に入ってそ
れらのトリグリセリドを脂肪組織(貯蔵するため)および筋肉(酸化させてエネ
ルギーを供給するため)に送達する。キロミクロンの残りの部分(コレステリル
エステルが含まれる)は、肝細胞上にのみ見出される特異的受容体によって循環
系から除去される。次に、このコレステロールは、細胞代謝のためにまたは血漿
リポタンパク質として肝外組織へ再循環させるために再び利用可能となる。 内因性経路では、肝臓は、大きな超低密度リポタンパク質粒子(VLDL)を
血流中に分泌する。VLDLのコアは、ほとんど、肝臓で合成されたトリグリセ
リドから成り、そのほかに、より小量のコレステリルエステル(肝臓で合成され
るかまたはキロミクロンから再循環される)を含む。VLDLの表面上には、2
種の主要タンパク質、すなわち、アポタンパク質B−100およびアポタンパク
質Eがディスプレイされる。VLDLが脂肪組織のまたは筋肉の毛細管に達する
と、そのトリグリセリドが抽出されて、新しい種類の粒子が生成する。この粒子
は、サイズが減少してコレステリルエステルが富化されるが、中間密度リポタン
パク質(IDL)と呼ばれるその2種のアポタンパク質は保持される。 ヒトでは、IDL粒子の約半分は循環系から迅速に除去される(それらが形成
されてから2〜6時間以内)。なぜなら、それらのコレステロールを抽出して新
しいVLDLおよび胆汁酸を形成する肝細胞にIDL粒子が強く結合するからで
ある。肝臓に吸収されないIDL粒子は、循環系中に、より長く残存する。やが
て、アポタンパク質Eは、循環粒子から解離し、その結果、該粒子は、それらの
唯一のタンパク質としてアポタンパク質B−100を有するLDLに変化する。 主として、肝臓は、コレステロールの大部分を吸収して分解し、コレステロー
ル代謝の最終産物である胆汁酸を生成する。コレステロール含有粒子の吸収は、
肝細胞上に高濃度で存在するLDL受容体によって媒介される。LDL受容体は
、アポタンパク質Eとアポタンパク質B−100の両方に結合し、IDLとLD
Lの両方に結合してそれらを循環系から除去する役割を担っている。しかしなが
ら、LDL受容体に対する親和力は、アポタンパク質Eの方がアポタンパク質B
−100よりも大きい。その結果、LDL粒子は、IDL粒子よりもはるかに長
い循環寿命を有する。すなわち、LDL粒子は、平均で2日半にわたり循環した
後、肝臓および他の組織に結合する。LDL(「悪玉」コレステロール)の血清
レベルが高いことは、冠状動脈性心疾患と明確に関連づけられる。例えば、アテ
ローム性動脈硬化症では、循環LDLに由来するコレステロールが動脈の壁に蓄
積することにより、血液の流れを妨害する嵩高いプラークが形成され、結果とし
て、血餅を生じて動脈が遮断され、心臓発作または拍動を引き起こす。 最終的には、LDLから放出される細胞内コレステロールの量によって、細胞
コレステロール代謝が制御される。VLDLおよびLDLに由来する細胞コレス
テロールの蓄積は、3つのプロセスを制御する。第1に、こうした蓄積が起こる
と、コレステロールの生合成経路における中心的な酵素であるHMGCoAレダ
クターゼの合成を停止させることによって、その細胞がもつコレステロール合成
能力が減退させられる。第2に、LDL由来のコレステロールが流入すると、コ
レステロールを貯蔵小滴中に沈着するコレステリルエステルに変換する細胞酵素
であるACATを活性化させることによって、コレステロールの貯蔵が促進され
る。第3に、細胞内にコレステロールが蓄積すると、新しいLDL受容体の細胞
合成を妨害するフィードバック機構が作動する。従って、代謝の要求に合わせて
負荷をかけすぎることなく十分なコレステロールを取り込めるように、細胞はL
DL受容体のそれらの補体を調節する。(レビューに関しては、Brown &
Goldstein,The Pharmacological Basis
Of Therapeutics,8th Ed.,Goodman & G
ilman,Pergamon Press,NY,1990,Ch.36,p
p.874−896を参照されたい)。 2.2.逆コレステロール輸送 要するに、末梢(非肝)細胞は、VLDLおよびLDLに由来するプレフォー
ム型ステロールの局所合成と吸収とを組み合わせて、それらのコレステロールを
獲得する。これとは対照的に、逆コレステロール輸送(RCT)は、肝外組織へ
再循環させるために、あるいは胆汁として腸中に分泌するために、末梢細胞コレ
ステロールを肝臓に戻すことのできる経路である。RCT経路は、ほとんどの肝
外組織からコレステロールを除去する唯一の手段であり、生体中のほとんどの細
胞の構造および機能を維持するうえで極めて重要である。 RCTは、主に3つのステップ:すなわち、末梢細胞の種々のプールからコレ
ステロールを最初に除去するステップであるコレステロール流出ステップと、 (b)レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用
によりコレステロールをエステル化し、流出したコレステロールが再び細胞中に
流入するのを防止するステップと、(c)肝細胞中へのHDLコレステリルエス
テルの吸収/送達を行うステップと、から成る。RCT経路は、HDLによって
媒介される。HDLは、高密度であることによって特性付けられるリポタンパク
質粒子に対する一般的な用語である。HDL複合体の主な脂質成分は、種々のリ
ン脂質、コレステロール(エステル)、およびトリグリセリドである。最も目立
つアポリポタンパク質成分は、HDLの機能特性を決定するA−IおよびA−I
Iである。更に、少量のアポリポタンパク質C−I、C−II、C−III、D
、E、Jなども観測されている。代謝RCTカスケード中のリモデリング状態に
もよるが、HDLは、上記の成分の種々の混合物として多種多様な異なるサイズ
で存在することができる。 RCT経路に関与する中心的な酵素は、LCATである。LCATは、主に肝
臓で産生され、HDL画分と会合して血漿中を循環する。コレステリルエステル
運搬タンパク質(CETP)、別の脂質運搬タンパク質、およびリン脂質運搬タ
ンパク質(PLTP)は、循環HDL集団の更なるリモデリングに寄与する。C
ETPは、LACTによって形成されたコレステリルエステルを、他のリポタン
パク質、特に、ApoB含有リポタンパク質、例えば、VLDLに移動すること
ができる。HDLトリグリセリドは、細胞外肝臓トリグリセリドリパーゼにより
異化可能であり、リポタンパク質コレステロールは、いくつかの機構を介して肝
臓により除去される。 各HDL粒子には、ApoA−Iの少なくとも1つのコピー(通常、2つ〜4
つのコピー)が含まれる。ApoA−Iは、急速に開裂して243個のアミノ酸
残基を有する成熟ポリペプチドを発生させるプロタンパク質として分泌されるプ
レプロアポリポタンパク質として肝臓および小腸により合成される。ApoA−
Iは、主に、プロリンであることの多いリンカー部分で区切られた異なる22ア
ミノ酸リピート6〜8個から成り、いくつかの場合、数個の残基から構成された
ストレッチから成る。ApoA−Iは、脂質との3つのタイプの安定な複合体:
すなわち、プレβ1HDLと呼ばれる、脂質の少ない小さな複合体と、プレβ2
HDLと呼ばれる、極性脂質(リン脂質およびコレステロール)のみを含有する
平たい円盤状粒子と、球状HDLまたは成熟HDL(HDL3およびHDL2)
と呼ばれる、極性および非極性脂質の両方を含有する球状粒子と、を形成する。
循環集団中の大部分のHDLは、ApoA−IとApoA−II(第2の主要な
HDLタンパク質)の両方を含んでおり、本明細書中ではHDLのAI/AII
−HDL画分と記す.しかしながら、ApoA−Iだけを含むHDLの画分(本
明細書中ではAI−HDL画分と記す)は、RCTにより効果的であると思われ
る。AI−HDL画分は抗アテローム性であるという仮説は、特定の疫学的研究
によって支持される。(Parra et al.,1992,Arterio
scler.Thromb.12:701−707;Decossin et
al.,1997,Eur.J.Clin.Invest.27:299−30
7)。 細胞の表面からのコレステロールの運搬に対する機構については分かっていな
いが、脂質の少ない複合体であるプレβ1HDLは、RCTに関与する末梢組織
から運搬されるコレステロールに対する好ましい受容体であると考えられる。細
胞表面からプレ−β−1HDLへ新たに転移されたコレステロールは、迅速に円
盤状プレーβ−2HDLに現れる。PLTPは、プレβ2円盤の形成速度を増大
させる可能性があるが、RCTにおけるPLTPの役割を示唆するデータは不足
している。LCATは優先的に円盤および球形HDLと反応し、レシチンまたは
他のリン脂質の2−アシル基を脂肪アルコール、特にコレステロールの遊離のヒ
ドロキシル残基に転移して、コレステリルエステル(HDL中に保持)およびリ
ソレシチンを生じる。LACT反応には、アクチベーターとしてApoA−Iが
必要である。すなわち、ApoA−Iは、LCATに対する天然の補因子である
。コレステロールを、HDL中に隔離されるそのエステルに変換すると、細胞中
へのコレステロールの再流入が防止され、結果として、コレステリルエステルが
除去されることになる。AI−HDL画分(すなわち、ApoA−Iは含まれる
がApoA−IIは含まれない画分)中の成熟HDL粒子に含まれるコレステリ
ルエステルは、ApoA−IとApoA−IIの両方を含有するHDL(AI/
AII−HDL画分)に由来するコレステリルエステルよりも効果的に、肝臓に
よって除去および処理されて胆汁に変換される。この原因の一部分として、AI
−HDLがより効果的に肝細胞膜に結合することが考えられる。HDL受容体が
存在するという仮説が立てられ、更に、最近、スカベンジャー受容体SR−BI
がHDL受容体として同定された(Acton et al.,1996,Sc
ience 271:518−520)。SR−BIは、ステロイド産生組織(
例えば、副腎)中および肝臓中で最も多く発現される(Landshulz e
t al.,1996,J.Clin.Invest.98:984−995;
Rigotti et al.,1996,J.Biol.Chem.271:
33545−33549)。 CETPは、RCTで主要な役割を果たすとは思われないが、その代わりに、
VLDLおよびLDL由来の脂質の代謝に関与する。しかしながら、CETP活
性の変化またはそのアクセプターであるVLDLおよびLDLは、HDL集団を
「リモデリング」するという役割を果たす。例えば、CETPの不在下において
、HDLは、排除されない増大粒子になる。(RCTおよびHDLに関するレビ
ューについては、Fielding & Fielding,1995,J.L
ipid Res.36:211−228;Barrans et al.,1
996,Biochem.Biophys.Acta.1300:73−85;
Hirano et al.,1997,Arterioscler.Thro
mb.Vasc.Biol.17(6):1053−1059を参照されたい)
。 2.3.血清コレステロールを低下させるための現在の治療 血清コレステロールおよびトリグリセリドを低減させるために、現在、多数の
治療法が利用可能である(例えば、前述のブラウン& Goldsteinの文
献を参照されたい)。しかしながら、いずれの方法にも、効力、副作用、および
患者集団の適性に関して、それぞれに特有な欠点および制限がある。 胆汁酸結合樹脂は、腸から肝臓への胆汁酸のリサイクルを阻害する薬剤のクラ
スであり、具体的には、コレスチラミン(Questran Light(登録
商標)、Bristol−Myers Squibb)および塩酸コレスチポー
ル(Colestid(登録商標)、The Upjohn Company)
が挙げられる。経口投与した場合、これらの正に帯電した樹脂は、腸中において
負に帯電した胆汁酸に結合する。樹脂が腸から吸収されることはありえないので
、樹脂は、胆汁酸を伴って排泄される。しかしながら、このような樹脂を使用し
た場合、せいぜい、血清コレステロールレベルが約20%低下するにすぎず、し
かも、胃腸の副作用、例えば、便秘症および特定のビタミン欠乏症を併発する。
更に、樹脂が他の薬剤に結合するため、樹脂摂取の少なくとも1時間前または4
〜6時間後、他の経口薬を服用しなければならない。従って、心臓病患者の薬剤
療法が複雑になる。 スタチンは、コレステロール減少剤であり、コレステロール生合成経路に関与
する中心的な酵素であるHMGCoAレダクターゼを阻害することによってコレ
ステロール合成をブロックする。スタチン、例えば、ロバスタチン(Mevac
or(登録商標), Merck & Co.,Inc.)およびプラバスタチ
ン(Pravachol(登録商標), Bristol−Myers Squ
ibb Co.)は、胆汁酸結合樹脂と併用される。スタチンは、血清コレステ
ロールレベルおよびLDL血清レベルを著しく減少させ、アテローム性冠状動脈
硬化症の進行を遅らせる。しかしながら、血清HDLコレステロールレベルは、
わずかに増加する。LDL減少作用の機構には、VLDL濃度の低下とLDL受
容体の細胞発現の誘発の両方が関与し、結果として、LDL産生の低下および/
またはLDL異化の増大が起こるものと考えられる。肝臓および腎臓の機能不全
などの副作用は、これらの薬剤の使用と関連づけられる(Physicians
Desk Reference,Medical Economics Co
.,Inc.,Montvale,N.J.,1997)。最近、FDAは、稀
ではあるが急を要する家族性高コレステロール血症患者を治療するために、アト
ルバスタチン(Parke−Davisにより開発されたHMGCoAレダクタ
ーゼ阻害剤)(Warner Lambert)を承認した(1995,Scr
ip 20(19):10)。 ナイアシンすなわちニコチン酸は、栄養補給食品および抗高脂質血症薬として
使用される水溶性ビタミンB複合体である。ナイアシンは、VLDLの産生を減
少させ、かつ効果的にLDLを低減させる。ナイアシンは、胆汁酸結合樹脂と併
用される。ナイアシンは、適切な用量で使用した場合、HDLを増大させること
ができるが、このような高用量で使用した場合、重度の副作用によりその有用性
は制限される。 フィブレートは、高コレステロール血症とも関連づけることのできる種々の形
態の高脂質血症(すなわち、血清トリグリセリドの増大)を治療するために使用
される脂質減少薬剤のクラスである。フィブレートは、VLDL画分を減少させ
、HDLを中程度に増大させると思われるが、これらの薬剤が血清コレステロー
ルに及ぼす作用は様々である。米国において、フィブレートは、抗高脂血症薬と
して使用することが認められているが、高コレステロール血症薬としては認可さ
れていない。例えば、クロフィブレート(Atromid−S(登録商標),
Wyeth−Ayerst Laboratories)は、VLDL画分を減
少させることによって血清トリグリセリドを低減させる働き(その機構は分かっ
ていない)をする抗高脂血症薬である。特定の患者の小集団で血清コレステロー
ルを減少させることは可能であるが、薬剤に対する生化学的反応は様々であり、
必ずしも、好ましい結果がどの患者に現れるかを予測できるわけではない。At
romid−S(登録商標)が冠状動脈性心疾患の予防に有効であることは実証
されていない。化学的および薬理学的関連薬剤であるジェムフィブロジル(Lo
pid(登録商標), Parke−Davis)は、脂質調節薬であり、血清
トリグリセリドおよびVLDLコレステロールを中程度に減少させ、HDLコレ
ステロール、すなわち、HDL2およびHDL3サブ画分ならびにApoA−I
およびA−IIの両方(すなわち、AI/AII−HDL画分)を増大させる。
しかしながら、特に患者集団が異なると、脂質応答は様々に変化する。更に、既
存の冠状動脈性心疾患の病歴または徴候のない40〜55歳の男性患者で冠状動
脈性心疾患の防止が観測されたが、これらの知見がどの程度まで他の患者集団(
例えば、女性、より老年および若年の男性)に適用できるかは明確でない。実際
のところ、冠状動脈性心疾患であることが立証された患者では、効力はまったく
観測されなかった。毒性などの重度の副作用、例えば、悪性疾患、(特に、胃腸
癌)、胆嚢疾患、および冠状動脈以外の原因による死亡率の増加は、フィブレー
トの使用と関連付けられる。これらの薬剤は、高LDLまたは低HDLが唯一の
脂質異常である患者には必要でない(Physician’s Desk Re
ference,1997,Medical Economics Co.,I
nc.Montvale,N.J.)。 閉経後の女性の中程度の高コレステロール血症に対して、経口エストロゲン代
償療法を適用することも考えられる。しかしながら、HDLを増加させるとそれ
に伴ってトリグリセリドも増加する可能性がある。エストロゲン療法は、もちろ
ん、特定の患者集団(閉経後の女性)に限定され、しかも、悪性新生物、胆嚢疾
患、血栓閉塞疾患、肝細胞腺種、高血圧症、ブドウ糖不耐症、および高カルシウ
ム血症の誘発などの重度の副作用を伴う。 従って、血清コレステロールを低減しHDL血清レベルを増加させて、冠状動
脈性心疾患の予防および/または既存の疾患、特にアテローム性動脈硬化症の治
療を行うのに有効であるより安全な薬剤の開発が必要である。 2.4.目標物としてのApoA−I コレステロールを安全に低減させるための現用の薬剤の中には、HDLレベル
を増大させ、RCTを刺激するものはまったくなく、ほとんどは、コレステロー
ル輸送経路に作用して、コレステロールの食物摂取、再循環、および合成、なら
びにVLDL集団を調節するものと考えられる。 コレステロールの流出および除去を刺激する薬剤を探索することが望ましく、
RCTにおいていくつかの有望な目標物、すなわち、LACT、HDL、その種
々の成分(ApoA−I、ApoA−II、およびリン脂質)、PLTP、なら
びにCETPが存在するが、どの目標物が、所望のリポタンパク質プロフィルお
よび予防効果を得るのに最も有効であるかは分かっていない。RCTにおいて、
いずれかの成分1つが変化させると、最終的に、循環リポタンパク質集団の組成
およびRCTの効率が影響を受ける。 in vivoで得られたデータに基づくいくつかの系統の証拠から、HDL
およびその主要タンパク質成分であるApoA−Iが、アテローム性動脈硬化症
を予防し、場合によりプラークを退縮させることが示唆される。従って、これら
の魅力的な目標物は治療に役立てることができると考えられる。第1に、ヒトに
おいて、血清ApoA−I(HDL)濃度とアテローム形成との間には、逆相関
関係がある(Gordon & Rifkind,1989,N.Eng.J.
Med.321:1311−1316;Gordon et al.,1989
,Circulation 79:8−15)。実際に、ヒトにおいて、HDL
の特定の小集団が、アテローム性動脈硬化症の危険率の低減と関連付けられた(
Miller,1987,Amer.Heart 11.3:S89−597;
Cheung et al.,1991,Lipid Res.32:383−
394)。 第2に、動物実験から、ApoA−I(HDL)の予防的役割が支持される。
コレステロールを摂取したウサギをApoA−IまたはHDLで処置したところ
、プラークの発生および進行が軽減した。(Koizumi et al.,1
988,J.Lipid Res.29:1405−1415;Badimon
et al.,1989,Lab.Invest.60:455−461;B
adimon et al.,1990,J.Clin.Invest.85:
1234−1241)。しかしながら、その効力は、HDLの供給源に依存して
変化した(Beitz et al.,1992,Prostaglandin
s,Leukotrienesand Essential Fatty Ac
ids 47:149−152;Mezdour et al.,1995,A
therosclerosis 113:237−246)。 第3に、トランスジェニック動物を関与させた実験から、ApoA−Iの役割
の直接の証拠が得られた。マウスに転移させたApoA−Iのためのヒト遺伝子
の発現は、食事性アテローム動脈硬化症について大動脈の損傷の発症に対して防
御する素因を遺伝的に与えた(Rubinら、1991,Nature 353
:265−267)。このApoA−IトランスジーンはApoE欠失マウスお
よびApo(a)トランスジェニックマウスにおいてアテローム動脈硬化症を抑
制することもまた示された(Pasztyら、1994,J.Clin.Inv
est.94:899−903;Plumpら、1994,Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 91:9607−9611;Liuら、1994
,J.Lipid Res.35:2263−2266)。同様の結果が、ヒト
ApoA−Iを発現するトランスジェニックラビット(Duverger,19
96,Circulation 94:713−717;Duvergerら、
1996,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.1
6:1424−1429; Emmanuelら,1997,Artherio
sclerosis 1035:144)およびアテローム動脈硬化症を防御す
るヒトApoA−Iレベルが上昇し、そしてバルーン血管形成術後の再狭窄が阻
害されたトランスジェニックラット(Burkeyら、1992,Circul
ation,Supplement I,86:I−472,Abstract
No.1876;Burkeyら、1995,J.Lipid Res.36
:1463−1473)において、観察された。 AI−HDLはAI/AII−HDL画分よりもRCTにおいてより効果的で
あるようである。ヒトApoA−IまたはApoA−IおよびApoA−II(
AI/AII)で形質転換したマウスによる研究から、HDLのタンパク質組成
がその役割に顕著に影響する、すなわちAI−HDLの方がAI/AII−HD
Lよりも抗アテローム誘発性であることが示された(Schultzら、199
3,Nature 365:762−764)。ヒトLCAT遺伝子を発現する
トランスジェニックマウスに関連した類似の研究で、LCAT活性の適度の上昇
がリポタンパク質コレステロールレベルを顕著に変化させること、およびLCA
TがApoA−Iを含有するHDLに対して顕著な優先性を有することが証明さ
れている(Franconeら、1995,J.Clinic.Invest.
96:1440−1448;Berardら、1997,Nature Med
icine 3(7):744−749)。これらのデータはLCATの活性化
およびRCTの刺激におけるApoA−Iの顕著な役割を支持するものであるが
、その他の研究からさらに複雑なシナリオが証明されている。すなわち、細胞コ
レステロールの流出をモジュレートするHDLの主要成分はリン脂質である(F
ournierら、1996,J.Lipid Res.37:1704−17
11)。 アテローム動脈硬化症に対する防御におけるHDL、すなわちApoA−Iお
よびこれに結合するリン脂質の両方の潜在的な役割の面から、組み換え産生され
たApoA−Iを利用するヒトの臨床試験がUCB Belgiumによって開
始され、終了され、そして再開された模様であり(Pharmaproject
s,Oct.27,1995;IMS R&D Focus,June 30,
1997;Drug Status Update,1997,Atheros
clerosis 2(6):261−265;Congress,”疾病予防
におけるHDLの役割(The Role of HDL in Diseas
e Prevention)”,Nov.7−9,1996,Fort Wor
thにおけるM.Eriksson;Lacko & Miller,1997
,J.Lip.Res.38:1267−1273;およびWO94/1381
9も参照されたい)、そしてBio−Techによって開始され終了された(P
harmaprojects,April 7,1989)。敗血症性ショック
を治療するために、ApoA−Iを使用する試験も試みられた(Opal,”敗
血症の治療戦略としての再調製HDL(Reconstituted HDL
as a Treatment Strategy for Sepsis),
”IBC’s7th International Conference o
n Sepsis,April 28−30,1997,Washington
,D.C.;Gouniら、1993,J.Lipid Res.94:139
−146;Levine,WO96/04916)。しかし、ApoA−Iの製
造および使用に関しては、薬剤としての理想から遠ざけるような多くの落し穴が
ある。例えば、ApoA−Iは大きなタンパク質であるので製造するのは困難で
費用がかかり、保存中の安定性、活性な製品の送達およびin vivoでの半
減期に関して、多くの製造上および再現性の問題を克服しなければならない。 これらの欠点の見地から、ApoA−Iを模倣するペプチドを調製する試みが
行なわれてきた。ApoA−Iのキィとなる活性はこのタンパク質の独特の二次
構造特性の多数の反復の存在、すなわちクラスAの両親媒性αヘリックスによっ
てもたらされたもの(Segrest,1974,FEBS Lett.38:
247−253)なので、ApoA−Iの活性を模倣するペプチドの設計のため
の大部分の努力はクラスA型の両親媒性αヘリックスを形成するペプチドの設計
に焦点が当てられた。 クラスA型の両親媒性αヘリックスは陽性荷電アミノ酸残基が疎水性−親水性
界面に集まり、そして陰性荷電アミノ酸残基が親水性面の中心に集まっている点
において独特である。さらに、クラスAαヘリックスペプチドは疎水性角が18
0°未満である(Segrestら、1990,PROTEINS:Struc
ture,Function and Genetics 8:103−117
)。ApoA−I模倣体の設計のための初期の新規な戦略は天然に生起するアポ
リポタンパク質の一次構造ではなく、むしろペプチド類似体の配列中にこれらの
独特のクラスAヘリックスの特徴およびApoA−Iドメインのいくつかの特性
を取り込むことに基づいていた(例えば、Davidsonら、1996,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 93:13605−13610;
Rogersら、1997,Biochemistry 36:288−300
;Linsら、1993,Biochim.Biophys.Acta Bio
membranes 1151:137−142;Ji and Jonas,
1995,J.Biol.Chem.270:11290−11297;Col
letら、1997,Journal of Lipid Research,
38:634−644;Sparrow and Gotto,1980,An
n.N.Y.Acad.Sci.348:187−211;Sparrow a
nd Gotto,1982,CRC Crit.Rev.Biochem.1
3:87−107;Sorci−Thomasら、1993,J.Biol.C
hem.268:21403−21409;Wangら、1996,Bioch
im.Biphys.Acta 174−184;Minnichら、1992
,J.Biol.Chem.267:16553−16560;Holvoet
ら、1995,Biochemistry 34:13334−13342;S
orci−Thomasら、1997,J.Biol.Chem.272(11
):7278−7284;およびFrankら、1997,Biochemis
try 36:1798−1806、を参照されたい)。 研究の1つにおいて、Fukushimaらは等しい親水性および疎水性面を
有する両親媒性αヘリックス(「ELKペプチド」)を形成させるために、周期
的に配列され、完全にGlu、LysおよびLeu残基で構成される22残基ペ
プチドを合成した(Fukushimaら、1979,J.Amer.Chem
.Soc.101(13):3703−3704;Fukushimaら、19
80,J.Biol.Chem.255:10651−10657;Fukus
himaら,1979,J.Amer.Chem.Soc.101(13):3
703−3704)。このELKペプチドはApoA−Iの198−219断片
と41%の配列相同性を共有している。定量用限外ろ過、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーおよび円二色性による研究から、このELKペプチドはリン
脂質と効果的に結合してApoA−Iのいくつかの物理的および化学的特性を模
倣することが示された(Kaiserら、1983,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 80:1137−1140;Kaiserら、1984
,Science 223:249−255;Fukushimaら、1980
,上記;Nakagawaら、1985,J.Am.Chem.Soc.107
:7087−7092)。Yokoyamaらはこうした研究から、LCAT活
性化のための決定的な因子は単純に十分大きな両親媒性構造の存在にあると結論
した(Yokoyamaら、1980,J.Biol.Chem.255(15
):7333−7339)。この22残基ペプチドの二量体がモノマーよりも密
接にApoA−Iを模倣することが後にわかった。これらの結果を基礎として、
ヘリックスブレーカー(GlyまたはProのいずれか)で中間で区切られた4
4残基体がApoA−Iの最小の機能性ドメインに相当することが示唆された(
Nakagawaら、1985,上記)。 別の研究には「LAPペプチド」と称されるモデル両親媒性ペプチドが関与し
た(Pownallら、1980,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 77(6):3154−3158;Sparrowら、1981,In:
Peptides:Synthesis−Structure−Functio
n,Roch and Gross,Eds.,Pierce Chem.Co
.,Rockford,IL,253−256)。天然のアポリポタンパク質の
断片との脂質の結合の研究に基づいて、いくつかのLAPペプチドを設計し、L
AP−16、LAP−20およびLAP−24と命名した(それぞれ16、20
および24アミノ酸残基を含有する)。これらのモデル両親媒性ペプチドはアポ
リポタンパク質と配列相同性を共有せず、アポリポタンパク質と結合するクラス
A型両親媒性ヘリックスドメインとは異なる様相で組織された親水性面を有する
ように設計された。これらの研究から、著者らはモデル両親媒性ペプチドに脂質
結合特性を与えるためには最少で20残基の長さが必要であると結論した。 配列中の別の位置にプロリン残基を1つ有するLAP20の変異体の研究で、
脂質の結合とLCAT活性化との間には直接の関係があるが、ペプチドのヘリッ
クス化能力のみではLCAT活性が導かれないことが示された(Ponsinら
、1986,J.Biol.Chem.261(20):9202−9205)
。さらに、このペプチドの中央部に近いヘリックスブレーカー(Pro)の存在
はリン脂質表面との親和性およびLCATを活性化する能力を減退させた。LA
Pペプチドのあるものはリン脂質と結合することが示された(Sparrowら
、上記)が、脂質の存在下でどの程度のLAPペプチドがヘリックス状にあるか
についての論争が存在している(Buchkoら、1996,J.Biol.C
hem.271(6):3039−3045;Zhongら、1994,Pep
tide Research 7(2):99−106)。 SegrestらはApoA−Iのヘリックスと何ら配列相同性を共有しない
18から24アミノ酸残基で構成されるペプチドを合成した(Kannelis
ら、1980,J.Biol.Chem.255(3):11464−1147
2;Segrestら、1983,J.Biol.Chem.258:2290
−2295)。その配列はクラスA交換性アポリポタンパク質の両親媒性ヘリッ
クスドメインに疎水性モーメント(Eisenbergら、1982,Natu
re 299:371−374)および電荷分布(Segrestら、1990
,Proteins 8:103−117;米国特許第4,643,988号)
の点で模倣するように特別に設計された。18残基ペプチドの1つ、「18A」
ペプチドはモデルクラスAαヘリックスとなるように設計された(Segres
tら、1990,上記)。これらのペプチドおよび「18R」ペプチドのような
逆荷電分布を有する別のペプチドによる研究で、活性のために電荷分布が重要で
あることが矛盾なく示された。逆電荷分布を有するペプチドは18AクラスA模
倣体に比較して減少した脂質親和性および脂質の存在下でのより低いヘリックス
含有量を示した(Kannelisら、1980,J.Biol.Chem.2
55:11464−11472;Anantharamaiahら、1985,
J.Biol.Chem.260:10248−10255;Chungら、1
985,J.Biol.Chem.260:10256−10262;Epan
dら、1987,J.Biol.Chem.262:9389−9396;An
antharamaiahら、1991,Adv.Exp.Med.Biol.
285:131−140)。 ある程度成功したものとして提案されたアポリポタンパク質と配列相同性を共
有しないその他の合成ペプチドとして、18Aペプチドの二量体および三量体(
Anantharamaiahら、1986,Proteins of Bio
logical Fluids 34:63−66)、GALAおよびEALA
ペプチド(Subbaraoら、1988,PROTEINS:Structu
re,Function and Genetics 3:187−198)お
よびIDペプチド(Labeurら、1997,Arterioscleros
is,Thrombosis and Vascular Biology 1
7:580−588)、そして18AM4ペプチド(Brasseurら、19
93,Biochim.Biophys.Acta 1170:1−7)が含ま
れる。 ヒトApoA−I配列に基づく22個のアミノ酸残基を含む「コンセンサス」
または「共通」ペプチドもまた設計された(Venkatachalapath
iら,1991,Mol.Conformation and Bio. In
teractions B:585−596)。この配列はApoA−Iヘリッ
クスの各位置で最も優勢な残基を同定して構築された。上記のペプチドのように
、このペプチドによって形成されるヘリックスは親水性−疎水性界面に集まった
陽性荷電アミノ酸、親水性面の中心に集まった陰性荷電アミノ酸を有し、疎水性
角は180°未満である。このペプチドの二量体はLCATを活性化する効果が
いくらかはあるが、モノマーは脂質結合特性が弱い(Venkatachala
pathiら、1991,上記)。 主として上記のペプチドのin vitro研究に基づいて、ApoA−Iの
機能を模倣するペプチドを設計するための一連の「基準」が生まれた。顕著なこ
とは、脂質親和性およびLCAT活性化のためには、親水性−疎水性界面に集ま
った陽性荷電アミノ酸および極性面の中心に集まった陰性荷電アミノ酸を有する
両親媒性αヘリックスが必要なことである(Venkatachalapath
iら、1991,上記)。Anantharamaiahらはαヘリックスの疎
水性面内に位置する共通22残基ペプチドの13番位置の陰性荷電Glu残基が
LCAT活性化に重要な役割を持つことをも示した(Anantharamai
ahら、1991,上記)。さらに、Basseurは最適の脂質−アポリポタ
ンパク質複合体の安定性のためには180°未満の疎水性角(pho角)が必要
であり、そして脂質二重層の端部のまわりにペプチドを有する平円盤状粒子の形
成の説明がつくことを示した(Brasseur,1991,J.Biol.C
hem.66(24):16120−16127)。RosseneuらもLC
ATの活性化のために180°未満の疎水性角が必要であることを主張した(W
O93/25581)。 しかし、今日までのこうした「基準」にもかかわらず、ApoA−Iと同様に
活性なペプチドを設計または製造したものはいない。最良のものでも本明細書に
記載したLCAT活性化アッセイによって測定してApoA−Iの活性の40%
未満である。文献中に記載されたペプチド「模倣体」のいずれも薬剤として有用
であると証明されていない。 前記の観点から、ApoA−Iの活性を模倣し、製造するのが比較的簡単でし
かも安価である、安定なApoA−Iアゴニストの開発の必要がある。しかし、
効果的なApoA−I模倣体を設計するための「基準」は解明されておらず、ま
たApoA−Iの機能を有する有機分子を設計するための原理も未知である。 3.発明の概要 本発明は心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高脂血症、および敗
血症ショックのような他の疾患を含む異常リポタンパク質血症に関連する疾患の
治療に、ApoA−Iの活性を模倣するペプチドであるApoA−Iアゴニスト
を含むよう改変した天然ApoA−I;天然ApoA−Iの活性を超えるペプチ
ドであるApoA−I超アゴニスト;および1以上のApoA−Iアゴニストの
ヌクレオチド配列で置換された1以上の両親媒性ヘリックスを有する改変型天然
ApoA−Iを含む天然型アポリポタンパク質A−I(ApoA−I)の改変型
:成熟ApoA−I、プレプロApoA−IおよびプロApoA−Iをコードす
るヌクレオチド配列を供給する遺伝学的アプローチに関する。 特に、本発明は改変した天然型ApoA−Iタンパク質、および天然ApoA
−Iの活性に近いか、またはそれを超える、例えばプレβ様またはHDL様複合
体を形成させ、コレステロールの流出を促進し、脂質へ結合させ、LCAT活性
を増強、さらにHDLの血清レベルを増加させる両親媒性α−ヘリックスを形成
できるApoA−Iアゴニストとして作用する(脂質の存在下)ペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列を供給する遺伝学的アプローチに関する。 本発明はまた1以上のApoA−Iアゴニストのヌクレオチド配列で置換され
た1以上の両親媒性ヘリックスを有する改変型天然ApoA−Iをコードするヌ
クレオチド配列に関する。 本発明は改変型ApoA−IまたはApoA−Iアゴニストまたはスーパーア
ゴニストとして作用するペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAベ
クターまたはカセットに関する。本発明はさらに天然ApoA−I遺伝子の改変
型をコードするヌクレオチド配列を含むDNAベクターまたはカセットに関する
。DNAベクターまたはカセットは高レベルのApoA−I発現をもたらす強い
調節エレメントの制御下で天然ApoA−Iの改変型またはApoA−Iアゴニ
ストをコードすると考えられる。生産効率を上げるためにDNA発現ベクターま
たはカセットが多くの単位のペプチドをコードするよう設計することができ、例
えばカセットはいくつかのApoA−Iペプチドを縦列にコードするヌクレオチ
ド配列を含んでおり、リボソーム結合部位内で分離されるため、いくつかのペプ
チドが同じカセットによりコードされ得る。ベクターまたはカセットはまたAp
oA−Iペプチドをモノポリマー(反復ペプチド単位)またはヘテロポリマー(
異なるペプチド単位)として発現できる。本発明のペプチドが天然ApoA−I
タンパク質と同様に処理されるように、本発明のカセットはさらにプレプロペプ
チドまたはプロペプチドApoA−I配列をもコードする。 本発明はさらに、改変した天然型ApoA−I;成熟ApoA−I、ApoA
−Iの活性に似たプレプロ型またはプロ型ペプチド、または天然ApoA−I遺
伝子産物を発現する遺伝子操作された宿主細胞に関する。宿主細胞はin vi
troまたはin vivoにおいて遺伝子操作すればよい。本発明はまた本発
明のApoA−Iペプチドを発現するよう操作されたトランスジェニック動物に
関する。 本発明はまた、単量体またはヘテロマー型のApoA−IまたはApoA−I
アゴニストペプチドをコードするDNA配列を含む操作型ウイルスベクターまた
はリポソームを投与することを含む遺伝子治療のためのin vivo送達適用
に関する。本発明は天然ApoA−I遺伝子の改変型、単量体またはヘテロマー
型のApoA−Iアゴニストを発現させるために患者または適合宿主由来の操作
細胞を提供するex vivo遺伝子治療アプローチに関する。ex vivo
遺伝子治療アプローチでは単量体またはヘテロマー型のApoA−Iアゴニスト
およびさらにApoA−I前駆配列を含む本発明のApoA−I遺伝子を発現す
るよう遺伝子操作された「細胞嚢」の送達もまた包含されよう。好ましい実施形
態では、ヒト肝細胞がApoA−Iアゴニストを発現するよう操作され得る。 本発明は一部、らせん構造およびApoA−Iの両親媒性らせん領域の両親媒
性特性を模倣するペプチドについての出願者の構想および発見に基づいている。
驚くべきことに本発明のペプチドはApoA−I活性を有する、すなわちHDL
様複合体を形成させ、コレステロールの流出を促進させる。これらは文献に記載
されたApoA−I誘導ペプチドは前記で詳しく報告されている。実際、本発明
のいくつかの実施形態では、天然ApoA−Iの活性の100%に近く、一方本
明細書に記載のスーパーアゴニストはApoA−Iの特異活性を超えている。 本発明は本発明の核酸によりコードされるApoA−Iペプチドおよびアゴニ
ストのin vitroおよびin vivo活性ならびに効力を記載する実施
例により示される。例示された実施形態の構成および活性に基づき、出願者らは
本発明の範囲内でもある変更または変異形態を設計するのに使用できる一連の「
ルール」を考案した。 本発明は、かかる処方の製造方法および異常リポタンパク質血症に関連する疾
患(例えば心血管疾患、アテローム性動脈硬化症)、再狭窄、高脂血症、高トリ
グリセリド血症および/または内毒素血症(例えば敗血症ショック)を治療する
ために使用し、かつ、有効成分として、天然ApoA−Iの改変型、すなわち成
熟ApoA−I、プレプロ型ApoA−Iまたはプロ型ApoA−I、もしくは
ApoA−Iアゴニスト(ペプチドまたはペプチド−脂質複合体のいずれか)を
コードする細胞系およびベクターを含む医薬製剤に関する。 3.1.略語 本明細書で使用される遺伝学的にコードされたアミノ酸についての略語は次の
通りである: 3.2.定義 本明細書中で用いられる、下記の語句は下記の意味を有する。 「親水性(hydrophophilic)アミノ酸」とは、脂質が存在する
ときに、水相又はリン脂質の極性頭部と結合する傾向のある側鎖を有するアミノ
酸をいう。遺伝学的にコードされた親水性アミノ酸としては、Asp(D)、G
lu(E)、His(H)、Lys(K)、Arg(R)、Asn(N)、Gl
n(Q)、Ser(S)及びThr(T)を含む。 「酸性アミノ酸」とは、側鎖がpK値が7未満であるアミノ酸をいう。酸性ア
ミノ酸は、水素イオンの喪失により生理学的pHでマイナス荷電した側鎖を典型
的に有する。遺伝学的にコードされた酸性アミノ酸としては、Glu(E)及び
Asp(D)を含む。 「塩基性アミノ酸」とは、側鎖がpK値が7を超えるアミノ酸をいう。塩基性
アミノ酸は、ヒドロニウムイオンとの結合のため、生理学的pHで、プラス荷電
した側鎖を典型的に有する。遺伝学的にコードされた塩基性アミノ酸としては、
Arg(R)及びLys(K)を含む。 「極性アミノ酸」とは、生理学的pHで荷電しないが、2つの原子に共通に共
有されている電子対が、そのうちの一方の原子によってより近くに保持されてい
る、少なくとも1つの結合を有する側鎖を有するアミノ酸をいう。遺伝学的にコ
ードされている極性アミノ酸としては、Asn(N)及びGln(Q)を含む。 「疎水性アミノ酸」とは、脂質が存在するときに、リン脂質のアシル鎖と結合
する傾向のある側鎖を有するアミノ酸をいう。遺伝学的にコードされる疎水性ア
ミノ酸としては、Phe(F)、Tyr(Y)、Trp(W)、Leu(L)、
Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)、Ala(A)及び
Pro(P)を含む。 「芳香族アミノ酸」とは、少なくとも1つの芳香環又はヘテロ芳香環を有する
側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。芳香環又はヘテロ芳香環は、1個以上の置
換基を含むことができる。遺伝学的にコードされた芳香族アミノ酸としては、P
he(F)、Tyr(Y)及びTrp(W)を含む。 「非極性アミノ酸」とは、生理学的pHで荷電せず、2つの原子に共通の共有
されている電子対が、一般に2つの原子でそれぞれに同等に保持されている(す
なわち、側鎖が非極性である)側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。 「脂肪族アミノ酸」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう
。遺伝学的にコードされた脂肪族アミノ酸としては、Ala(A)、Val(V
)、Leu(L)及びIle(I)を含む。 5.発明の詳細な説明 本発明は、高コレステロール血症と関連する疾患の治療のための、天然のAp
oA−I遺伝子の改変型をコードするヌクレオチド配列、ApoA−Iの機能及
び活性を模倣するか、又は天然のApoA−Iの機能及び活性を上回るApoA
−Iアゴニストをコードするヌクレオチド配列を提供する遺伝子治療アプローチ
に関する。 本発明のヌクレオチド配列は、(脂質の存在下で)両親媒性ヘリックスを形成
し、脂質と結合し、プレβ様複合体又はHDL様複合体を形成し、LCATを活
性化し、血清HDL濃度を増加させ、コレステロール流出を促進するペプチドを
コードする。 コードされたペプチドの生物学的機能は、それらのヘリックス構造か、又は脂
質の存在下でのヘリックス構造への変換と相互に関連があると思われる。 少なくとも3つのタイプのDNAベクター又はカセットが、本発明に従って設
計、構築でき、天然のヒトApoA−I遺伝子のヌクレオチド配列;ApoA−
Iの天然又はプロフォームの改変型;プレプロフォーム及びプロフォーム中のA
poA−Iアゴニストをコードするヌクレオチド配列;及びApoA−Iアゴニ
スト及びスーパーアゴニストをコードするヌクレオチド配列を含ませることがで
きる。DNAベクター又はカセットはまた、製造効率を高めるため、ホモポリマ
ー(反復ペプチドユニット)又はヘテロポリマー(異なるペプチドユニット)と
してApoA−Iペプチドを発現することもできる。 本発明はさらに、本発明のApoA−Iペプチドアゴニストを発現する遺伝操
作された宿主細胞に関する。宿主細胞は、in vivo又はin vitro
で操作され得る。本発明はさらに、宿主中でApoA−Iペプチドアゴニストを
発現させるin vivo及びin vitro遺伝子治療アプローチに関する
。本発明はまた、天然ApoA−I又はそのプロフォームの改変型及び本発明の
ApoA−Iペプチドアゴニストを発現するように操作されたトランスジェニッ
ク動物に関する。 本発明のApoA−Iアゴニストをコードするヌクレオチド配列は、裸の(n
aked)RNA又はDNA配列として、ウイルスベクターなどのベクター中に
、又はトランスフェクションされた細胞によって提供され得る。本発明は、医薬
製剤及び該製剤の異常リポタンパク質血症(dyslipoproteinem
ia)、高脂血症、高コレステロール血症、冠状動脈性心臓病、アテローム性動
脈硬化症、及び内毒素血症/敗血症性ショックなどの他の症状の治療における使
用を含む。 本発明は、本発明のApoA−Iアゴニストは、血漿のHDL成分と関連して
おり、HDL及びプレβ顆粒(particles)の濃度を増加させることが
できるという本出願人らの知見にある程度基づいている。本発明のApoA−I
アゴニストは、肝外組織からのコレステロール流出を増加させる。アゴニストは
また、LCATを活性化するのに非常に有効であり、そしてこのようにしてRC
Tを促進する。動物モデル中のin vivoでの本発明のApoA−Iアゴニ
ストの使用は、血清HDL濃度の増加をもたらす。 本発明を、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に述べる。サブセクショ
ンでは次のことについて記載する:ApoA−Iの天然型、ApoA−Iのプレ
プリフォーム、天然ApoA−I又はApoA−Iのプロフォームの改変型及び
ApoA−Iペプチドアゴニストをコードするヌクレオチド配列、これらのヌク
レオチド配列を発現するように設計され得るベクター及び細胞系列;これらのヌ
クレオチド配列を提供するin vivo及びex vivoでの遺伝子治療ア
プローチ;並びにバルク及び単回用量製剤の調製方法、及び使用方法。 5.1.ApoA−I及びApoA−Iアゴニストをコードするヌクレオチド配
本発明のヌクレオチド配列は、脂質の存在下で両親媒性α−ヘリックスの領域
を形成でき、かつApoA−I活性を模倣するApoA−Iペプチド又はApo
A−Iアゴニストをコードする。ApoA−Iアゴニスト及びApoA−Iペプ
チドをコードするヌクレオチド配列を、本明細書中に記載する。 本発明はまた、発現された遺伝子産物のApoA−I様活性を増強又は増加さ
せるうに、すなわち(脂質の存在下で)両親媒性ヘリックスを形成し、脂質と結
合し、プレβ様複合体又はHDL様複合体を形成し、LCATを活性化し、血清
HDL濃度を増加させ、コレステロール流出を促進するように改変された、全長
のApoA−I遺伝子をコードするヌクレオチド配列(配列番号_(図1))を
も包含する。本発明はまた、天然ApoA−Iの改変型をコードするヌクレオチ
ド配列、すなわち、少なくとも2個のApoA−Iアゴニストによって置換され
た1又は2以上の両親媒性ヘリックスを有する改変されたApoA−Iをコード
するヌクレオチド配列をも包含する。 本発明はまた、本発明の1又は2以上のApoA−Iアゴニストをコードする
ように改変されているApoA−II、ApoA−III、ApoA−IV、A
poB、ApoC−I、ApoC−II、ApoC−III、ApoD及びAp
oEの改変型をコードするヌクレオチド配列に関する(例えば、参照によってそ
の全体が本明細書中に組み入れられる、Lusis,1988,J of Li
pidRes.29:397−428を参照されたい)。 本発明のヌクレオチド配列はまた、構造Iで示されるコアペプチド(例えば、
配列番号_(図2))、構造IIで示されるコアペプチド(例えば、配列番号_
(図3))又は構造IIIで示されるコアペプチド(例えば、配列番号_(図4
))をコードするヌクレオチド配列をも包含する。 本発明はまた、 (a)任意の前記ApoA−Iコード配列及び/又はそれらの相補体(com
plements)(すなわち、アンチセンス)を含むDNAベクター; (b)コード配列の発現を指令する調節エレメントと作動可能に連結されてい
る任意の前記ApoA−Iコード配列を含むDNA発現ベクター; (c)幾つかの同一コード配列が同一カセットから発現できるか、又は異なる
ApoA−Iアゴニストを発現する幾つかの異なるコード配列が、同一カセット
から発現できるように、内部リボソーム結合部位によって分離された縦に一列に
並んだApoA−IアゴニストをコードするDNA発現ベクター又はカセット; (d)その宿主細胞中でのコード配列の発現を指令する調節エレメントに作動
可能に連結された任意の前記ApoA−Iコード配列を含む遺伝子操作された宿
主細胞をも包含する。 本明細書中で用いられる、調節エレメントは、これらに限定されないが、誘導
性及び非誘導性プロモーター、エンハンサー、オペレーター及び発現を駆動及び
調節する当業者に公知の他のエレメントを含む。そのような調節エレメントは、
これらに限定されないが、サイトメガロウイルスhCMV前初期遺伝子、SV4
0アデノウイルスの初期又は後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系
、TRC系、ファージAの主なオペレーター及びプロモーター領域、fdコート
タンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酸性
ホスファターゼのプロモーター、及び酵母α接合因子のプロモーターを含む。 5.1.1. 天然ApoA−I遺伝子 ApoA−I遺伝子は、HDLの主タンパク質成分をコードし、コレステロー
ル流出及び血清HDL濃度の調節と関連している。本発明のApoA−I遺伝子
をコードする核酸は、本明細書中では、異常脂質血症(dyslipidemi
a)と関連する障害の治療のための遺伝子治療アプローチでの使用に記載されて
いる。本明細書中で用いられる本発明のApoA−I遺伝子は、これらに限定さ
れないが、 (a)ヒトApoA−IをコードするcDNAを含む核酸分子、全長のヒトA
poA−I cDNAは、少なくとも1つの22個のアミノ酸反復をコードする
ヌクレオチド配列が、本発明のApoA−Iアゴニストをコードするヌクレオチ
ド配列によって置換されている、842個のヌクレオチドを含む(配列番号_(
図1))(参照によってその全体が本明細書中に組み入れられる、Should
ersら,1983,Nucleic Acids Research 11:
2827−2837を参照されたい)を含む; (b)185個及び588個のヌクレオチドからなる少なくとも2つのイント
ロンを含むヒトApoA−Iのゲノム配列を含む核酸分子(参照によってその全
体が本明細書中に組み入れられる、Shoulderら,1983,Nucle
ic Acids Research 11:2827−2837を参照された
い); (c)天然ヒトApoA−I中に見られる1〜8個の異なる22個のアミノ酸
反復をコードするDNA配列を含む核酸分子、そしてそれは、1以上の反復の間
で見られるリンカー又はスペーサー部分をコードするDNA配列をさらに含むこ
とができる; (d)少なくとも1つの両親媒性ヘリックスが、少なくとも1つのApoA−
Iアゴニストの配列によって置換されている、改変ApoA−IをコードするD
NA配列を含む核酸分子; (e)(a)、(b)、(c)または(d)の全部又は部分、及び追加的に、
ApoA−Iのアミノ末端の最初の18個のアミノ酸を含むプレプロペプチドセ
グメント又はリーダーペプチドをコードするDNA配列を含む核酸分子。ヒトA
poA−Iのリーダーペプチド、5’MKAAVLTLAVLFLTGSQA3
’(配列番号_)は、宿主細胞からのApoA−I分泌後に開裂される; (f)(a)、(b)、(c)、(d)または(e)の全部又は部分、及び追
加的に、成熟ApoA−Iをもたらす特異的プロテアーゼによって開裂される、
6個のアミノ酸配列、5’RHFWQQ3’、を含むプロペプチドセグメントを
コードするDNA配列を含む核酸分子;及び/又は (g)ApoA−Iペプチドと機能的に等価な遺伝子産物をコードするDNA
配列を含む核酸分子を含む。 本明細書中で用いられる、用語「ApoA−Iペプチドと機能的に等価」とは
、(脂質の存在下での)両親媒性ヘリックスの形成、脂質への結合、プレβ様複
合体又はHDL様複合体の形成、LCATの活性化、血清HDL濃度の増加及び
コレステロール流出の促進を含む、ApoA−Iペプチドの生物学的活性の1つ
を示す遺伝子産物をいう。この態様によれば、本発明はまた、1又は2以上の本
発明のApoA−Iアゴニストをコードするように改質された、ApoA−II
、ApoA−III、ApoA−IV、ApoB、ApoC−I、ApoC−I
I、ApoC−III、ApoD及びApoEの改変型をコードするヌクレオチ
ド配列をも含む。 本発明はまた、上記天然ApoA−IをコードするDNA配列にハイブリダイ
ズし、それ故その相補体である核酸分子、好ましくはDNA分子をも含む。その
ようなハイブリダイゼーション条件は、上記のように、高度にストリンジェント
であってもよいし、又はそれほど高度にストリンジェントでなくてもよい。核酸
分子がデオキシオリゴヌクレオチド(「オリゴ類」)の例では、例えば、6xS
SC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃で(14塩基オリゴの場合)
、48℃で(17塩基オリゴの場合)、55℃で(20塩基オリゴの場合)、及
び60℃で(23塩基オリゴの場合)洗浄する、という高度にストリンジェント
な条件に言及できる。これらの核酸分子は、例えば、ApoA−I遺伝子調節に
おいて、ApoA−I核酸配列の増幅反応のアンチセンスプライマーにとって及
び/又はApoA−I核酸配列の増幅反応のアンチセンスプライマーとして有用
な、ApoA−Iアゴニストアンチセンス分子として作用し得る。ApoA−I
遺伝子調節に関して、そのような技術を使用し、例えば高コレステロール血症疾
患を調節できる。さらに、そのような配列は、リボザイム及び/又は三重らせん
配列の一部として使用でき、ApoA−Iアンタゴニスト特性を示し得るApo
A−Iの突然変異型の遺伝子調節に有用でもある。さらにまた、そのような分子
は、例えば、高コレステロール血症疾患を引き起こす原因である特定の突然変異
ApoA−I対立遺伝子の存在がそれによって検出できる、診断方法の構成成分
として使用できる。 本明細書中に記載されたそれらのヒト配列に加えて、別のApoA−I遺伝子
配列を、過度な実験を行うこと無しに、当業界で周知の分子生物学的技術によっ
て同定でき、容易に単離できる。 5.1.2. ApoA−Iペプチド及びApoA−Iアゴニスト ヌクレオチド配列は、それらの主たる特徴として15〜23個のアミノ酸残基
からなる「コア」ペプチドを有するApoA−Iペプチド又はアゴニストをコー
ドし得る。このコアペプチドのアミノ酸配列は、本出願人らが見出したペプチド
ファミリーが、ApoA−Iの構造及び両親媒性ヘリックス特性を模倣し、そし
て天然ApoA−Iの特異的活性に近づくか、又はある実施態様においては、そ
れを上回りさえする特異的活性を示すペプチドファミリーのアミノ酸配列に基づ
いている。 ApoA−Iペプチド及びアゴニストをコードする本発明のヌクレオチド配列
は、多量体の形態でそれら自身で発現され得るか、又は天然ApoA−I又はA
poA−Iのプロフォームをコードするヌクレオチド配列とのキメラとして発現
され得る。 本発明のApoA−Iアゴニストは、活性にとって重要であると考えられてい
たVenkatachalapathiら(1991,Mol.Conform
ation and Biol.Interactions B:585−59
6)の22−mer共通配列からなる一次配列(PVLDEFREKLNEEL
EALKQKLK;配列番号75;以下「セグレストの(Segrest’s)
共通22−mer」又は「共通22−mer」という)中のあるアミノ酸残基の
改変が、天然ApoA−Iの活性に近づくか、ある実施態様においてはそれを超
えさえする活性を示す合成ペプチドをもたらすという本出願人らの驚くべき知見
にある程度基づいている。特に、本出願人らは、Segrestの共通22−m
erペプチド中の3つの荷電アミノ酸残基(Glu−5、Lys−9及びGlu
−13)を、疎水性ロイシン残基で置換することによって、当業界で前例のない
程度までApoA−Iの構造及び機能特性を模倣したペプチドを提供できること
を見出した。 いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明のApoA−Iア
ゴニストにより形成されるヘリックスは、文献に記載されているApoA−I疑
似ペプチドによって形成されるα−ヘリックスよりも、天然のApoA−Iの両
親媒性ヘリックス領域(これは脂質との結合、コレステロールの流出およびLC
AT活性化を生じるのに重要である)の構造的および機能的特性に近いものであ
り、そのため、これらの他のペプチドよりも有意に高いApoA−I様活性を示
すペプチドを生じると思われる。事実、本発明のApoA−Iアゴニストの多く
はApoA−Iの活性に近く、幾つかの実施形態ではそれを上回っているのに対
して、現在までの文献に記載されている最良のペプチドApoA−I疑似体であ
るペプチド18AM4(EWLEAFYKKVLEKLKELF;配列番号24
6)(Corinjnら,1993,Biochim.Biophys.Act
a 1170:8−16;Labeurら,Oct.1994,Arterio
sclerosis: Abstract No.186および187)およびN−アセチル化C−ア
ミド化ペプチド18AM4(配列番号239)(Brasseur,1993,
Biochim.Biophys.Acta 1170:1−7)は、本明細書
中に記載のLCAT活性化アッセイにより測定した場合に、それぞれApoA−
Iの活性の4%未満および11%未満しか示さない。 本発明の具体的実施態様では、ヌクレオチド配列は、下記構造式を有する本発
明のApoA−Iアゴニストを含むコアペプチド(又はその類似体)をコードす
る: (I)X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X
−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X
−X21−X22 [式中、 Xは、Pro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Gln(Q)、Asp
(D)又はAsn(N)であり; Xは、脂肪族アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、酸性アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、親水性アミノ酸であり; Xは、酸性又は塩基性アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はGly(G)であり; X10は、Leu(L)、Trp(W)又はGly(G)であり; X11は、親水性アミノ酸であり; X12は、親水性アミノ酸であり; X13は、Gly(G)又は脂肪族アミノ酸であり; X14は、Leu(L)、Trp(W)又はGly(G)であり; X15は、疎水性アミノ酸であり; X16は、疎水性アミノ酸であり; X17は、疎水性アミノ酸であり; X18は、塩基性アミノ酸、Gln(Q)又はAsn(N)であり; X19は、塩基性アミノ酸、Gln(Q)又はAsn(N)であり; X20は、塩基性アミノ酸であり; X21は、脂肪族アミノ酸であり;そして X22は、塩基性アミノ酸である。] 構造(I)のコアペプチド中の、アミノ酸残基の間の記号「−」は、一般にバ
ックボーンの構成的連結機能を示す。すなわち、記号「−」は、通常、ペプチド
結合又はアミド結合を示す。 本発明は、構造(I)のペプチドと機能的に等価なペプチドをコードするヌク
レオチド配列を包含する。より詳細な説明としては、参照によってその全体が本
明細書中に組み入れられる、米国特許出願第 号、25頁、6行〜58頁
、21行を参照されたい。 本発明のさらなる具体的実施態様では、ヌクレオチド配列は、下記構造式を有
する本発明のApoA−Iアゴニストを含むコアペプチド(又はその類似体)を
コードする: (II)X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X
11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X
20−X21−X22 [式中、 Xは、Pro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Gln(Q)、Asn
(N)又はAsp(D)であり; Xは、脂肪族アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、Glu(E)であり; Xは、脂肪族アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、Glu(E)又はLeu(L)であり; Xは、Asn(N)又はGln(Q)であり; Xは、Leu(L)であり; X10は、Leu(L)、Trp(W)又はGly(G)であり; X11は、酸性アミノ酸であり; X12は、Arg(R)であり; X13は、Leu(L)又はGly(G)であり; X14は、Leu(L)、Phe(F)又はGly(G)であり; X15は、Asp(D)であり; X16は、Ala(A)であり; X17は、Leu(L)であり; X18は、Asn(N)又はGln(Q)であり; X19は、塩基性アミノ酸であり; X20は、塩基性アミノ酸であり; X21は、Leu(L)であり;そして X22は、塩基性アミノ酸である。] 各「−」は、独立して、ペプチド結合又はアミド結合を示す。 本発明は、構造(II)で示されるペプチドと機能的に等価なペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列を含む。より詳細な説明としては、参照によってその全
体が本明細書中に組み入れられる、米国特許出願第 号、25頁、6行〜
58頁、21行を参照されたい。 本発明のまたさらなる具体的実施態様では、ヌクレオチド配列は、下記構造式
を有する本発明のApoA−Iアゴニストを含むコアペプチド(又はその類似体
)をコードする: (III)X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10
11−X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18 [式中、 Xは、Pro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)又はGl
n(Q)であり; Xは、脂肪族アミノ酸であり; Xは、Leu(L)であり; Xは、酸性アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、Leu(L)又はPhe(F)であり; Xは、塩基性アミノ酸であり; Xは、酸性アミノ酸であり; Xは、Leu(L)又はTrp(W)であり; X10は、Leu(L)又はTrp(W)であり; X11は、酸性アミノ酸又はAsn(N)であり; X12は、酸性アミノ酸であり; X13は、Leu(L)、Trp(W)又はPhe(F)であり; X14は、塩基性アミノ酸又はLeu(L)であり; X15は、Gln(Q)又はAsn(N)であり; X16は、塩基性アミノ酸であり; X17は、Leu(L)であり;そして X18は、塩基性アミノ酸である。 各「−」は、独立してペプチド結合又はアミド結合を示す。 本発明は、構造(III)で示されるペプチドと機能的に等価なペプチドをコ
ードするヌクレオチド配列を包含する。より詳細な説明としては、参照によって
その全体が本明細書中に組み入れられる、米国特許出願第 号、24頁の
31行〜58頁、3行を参照されたい。 構造(I)、(II)及び(III)で示されるコアペプチドは、指定クラス
のアミノ酸に関しては、ある程度規定される。種々の指定クラスの定義は、構造
(I)、(II)及び(III)で示される成熟型又は改変型の実施態様の説明
と関連して、下記に示す。 構造(I)、(II)及び(III)中の他の全ての文字は、前述したように
、当業界で共通に使用されている1文字アミノ酸略号を示す。ペプチドのヌクレ
オチド配列を、下記のように推論することができる: 表I いかなる特定の学説によって縛られることも意図していないが、本発明のヌク
レオチド配列は、文献記載のペプチドによって形成されたα−ヘリックスよりも
、脂質結合、コレステロール流出及びLCAT活性化を行うのに重要な天然Ap
oA−Iのヘリックス領域の構造及び両親媒性特性をよりいっそう模倣する、脂
質の存在下で両親媒性α−ヘリックスを形成するペプチドをコードし、それによ
って、これら他のペプチドよりも有意に高いApoA−I様活性を示すペプチド
をもたらすと考えられる。確かに、構造(I)、(II)及び(III)で示さ
れるコアペプチドの多くは、ApoA−I活性に近づき、そしてある実施態様で
はそれを超えさえもするが、現在までのところ、文献記載の最良のペプチドAp
oA−I疑似体は、下記に記載するLCAT活性化アッセイによる測定で、40
%未満のApoA−I活性しか有しない。 いかなる特定の学説によって縛られることも意図していないが、構造(I)、
(II)及び(III)で示されるコアペプチドによって形成される両親媒性ヘ
リックスのある構造的及び/又は物理的特性が活性にとって重要である。これら
の特性としては、両親媒性の程度、全体としての疎水性度、平均疎水性度、疎水
性及び親水性角、疎水性モーメント、平均疎水性モーメント、正味電荷並びに双
極子モーメントを含む。 構造(I)、(II)及び(III)で示されるコアペプチドの好ましい物理
的及び構造的特性の概要を、下記の表II、III及びIVに示す: 本発明のコアペプチドによって形成される両親媒性のαヘリックスの特性はク
ラスA両親媒性αヘリックス、特にSegrestの18Aおよびコンセンサス
22量体ペプチドのクラスAαヘリックスとは著しく異なる。これらの相異は典
型的なコアペプチド210(配列番号210)とともに示している。 ペプチド210(配列番号210)およびSegrestの18Aペプチド(
配列番号244)およびコンセンサス22量体(配列番号75)の物理的および
構造的特性の比較は下記の表Vに示している: これらの特性の相異によって活性の顕著な相異が生ずる。本明細書に記載のア
ッセイ法で、Segrestの18Aペプチド(配列番号244)およびコンセ
ンサス22量体ペプチド(配列番号75)が天然のApoA−Iの5%および1
0%のLCAT活性化しかそれぞれ示さないのに対し、同じアッセイ法でペプチ
ド210(配列番号210)は天然のApoA−Iの46%の活性化を示した。 構造(I)、(II)および(III)のコアペプチド中の一定のアミノ酸残
基はペプチドの活性を著しく損なうことなく、多くの場合にはむしろ増強するよ
うに他のアミノ酸残基と置換することができる。また、構造(I)、(II)お
よび(III)のコアペプチドを変異させた形のもので、その構造中の少なくと
も1個の定められたアミノ酸残基を別のアミノ酸で置き換えたものも本発明に包
含される。本発明のコアペプチドの活性に影響を及ぼす非常に重要な特徴の1つ
は、脂質の存在下での上述の両親媒性およびその他の特性を示すαヘリックスの
形成能であると考えられ、本発明の好ましい実施形態においては、アミノ酸の置
換は保存的、すなわち置換によって新たに入るアミノ酸残基がもとのアミノ酸残
基と類似の物理的および化学的特性を有するものであることであると考えられる
。 保存的な置換を行うアミノ酸を定めるために、主としてアミノ酸の側鎖の物理
化学的特性によってアミノ酸を2つの主要なカテゴリー、つまり親水性および疎
水性に都合良く分けることができる。これら2つの主要なカテゴリーはさらに、
アミノ酸側鎖の特性をより明確に定義するサブカテゴリーに分類することができ
る。例えば、親水性のアミノ酸のクラスはさらに酸性、塩基性および極性アミノ
酸に分けることができる。疎水性のアミノ酸のクラスはさらに無極性および芳香
族アミノ酸に分けることが出来る。構造(I)、(II)および(III)を定
義するアミノ酸の各カテゴリーの定義は下記のとおりである: 「親水性アミノ酸」とは、Eisenberg(1984,Ann.Rev.
Biochem.53: 595−623)のコンセンサス疎水性スケール(c
onsensus hydrophobicity scale)に従ってゼロ
未満の疎水性を示すアミノ酸をいう。遺伝的にコードされる親水性アミノ酸とし
ては、Pro(P)、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E
)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びArg(R
)が挙げられる。 「酸性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7未満の親水性アミノ酸をいう。酸性ア
ミノ酸は、典型的には、水素イオンの欠失により、生理学的pHにおいて負電荷
をもつ側鎖を有する。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸としては、Glu(E
)及びAsp(D)が挙げられる。 「塩基性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7よりも大きい親水性アミノ酸をいう
。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの結合により、生理学
的pHにおいて正電荷をもつ側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ
酸としては、His(H)、Arg(R)及びLys(K)が挙げられる。 「極性アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて電荷をもたない側鎖を有する親
水性アミノ酸であって、2つの原子が共有する電子対がそのうちの1つにより近
づいている結合を少なくとも1つ有するものをいう。遺伝的にコードされる極性
アミノ酸としては、Cys(C)、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)
及びThr(T)が挙げられる。 「疎水性アミノ酸」とは、Eisenberg(1984,Ann.Rev.
Biochem.53: 595−623)のコンセンサス疎水性スケールに従
ってゼロより大きい疎水性を示すアミノ酸をいう。遺伝的にコードされる疎水性
アミノ酸としては、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)
、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)及びTyr(Y)
が挙げられる。 「芳香族アミノ酸」とは、少なくとも1つの芳香環又はヘテロ芳香環をもつ側
鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。該芳香環又はヘテロ芳香環は、1以上の置換
基を含有していてもよく、このような置換基としては、−OH、−SH、−CN
、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NO、−NH、−NHR、−N
RR、−C(O)R、−C(O)OH、C(O)OR、−C(O)NH、−C
(O)NHR、−C(O)NRR(ここで、各々のRは、独立に、(C−C
)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、置換(
−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、置換(C−C)アル
キニル、(C−C20)アリール、置換(C−C20)アリール、(C
26)アルカリール、置換(C−C26)アルカリール、鎖員数5〜20の
ヘテロアリール、または置換された鎖員数5〜20のヘテロアリールである)な
どが挙げられる。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸としては、Phe(F)
、Tyr(Y)及びTrp(W)が挙げられる。 「非極性(nonpolar)アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて電荷を
もたない側鎖を有する疎水性アミノ酸であって、2つの原子が共有する電子対が
これらの各原子により概して等しく保持される結合を有する(すなわち、側鎖が
極性でない)ものをいう。遺伝的にコードされる非極性(apolar)アミノ
酸としては、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gl
y(G)及びAla(A)が挙げられる。 「脂肪族アミノ酸」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう
。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸としては、Ala(A)、Val(V)
、Leu(L)及びIle(I)が挙げられる。 アミノ酸残基Cys(C)は、他のCys(C)又は他のスルファニル含有ア
ミノ酸とジスルフィド結合を形成する点で、通常のアミノ酸とは異なる。Cys
(C)残基(及び−SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)の、ペプチド中におい
て還元された遊離−SH型又は酸化されたジスルフィド結合型で存在する能力に
よって、Cys(C)がペプチドに全体として親水性を与えるか疎水性を与える
かが決まる。Cys(C)がEisenberg(Eisenberg,198
4、上掲)のコンセンサススケールに従って0.29の疎水性を示す場合には、
本発明の目的に照らし、上記の一般的な分類とは異なって、Cys(C)は極性
親水性アミノ酸とされるものと理解すべきである。 当業者には明らかなように、上述のカテゴリーは相互に排他的なものではない
。従って、2以上の物理・化学的特性を示す側鎖を有するアミノ酸は、複数のカ
テゴリーに含まれる可能性がある。例えば、極性の置換基でさらに置換された芳
香族部分をもつ側鎖を有するアミノ酸、例えばTyr(Y)は、芳香族疎水性の
特性及び極性若しくは親水性の特性の両方を示すことができ、従って、芳香族及
び極性の両方のカテゴリーに含まれ得る。あらゆるアミノ酸の適切な分類は、特
に本明細書の詳細な開示に照らせば、当業者には明らかであろう。 「ヘリックス破壊」アミノ酸と称されるある種のアミノ酸残基は、そのヘリッ
クスの内部に含まれると、α−ヘリックスの構造を破壊する性質を有する。ヘリ
ックス破壊特性を示すアミノ酸残基は当技術分野で周知であり(例えば、Cho
uand Fasman,Ann.Rev.Biochem.47: 251−
276を参照されたい)、Pro(P)、D−Pro(p)およびGly(G)
が挙げられる。これらのアミノ酸は上述のカテゴリーに便宜的に含まれるが、こ
れらの残基(Gly(G)は例外である)は、ヘリックス内部のアミノ酸残基の
置換には用いるべきでなく、ペプチドのN末端及び/又はC末端の1〜3個のア
ミノ酸残基を置換するためだけに用いるべきである。 ApoA−Iの天然の構造には、一斉に脂質に結合するように働くと考えられ
る8個のヘリックス単位が含まれる(Nakagawaら,1985,J.Am
.Chem.Soc.107:7087−7092;Anantharamai
ahら,1985,J.Biol.Chem.260:10248−10262
;Vanlooら,1991,J.Lipid Res.32:1253−12
64;Mendezら,1994,J.Clin.Invest.94:169
8−1705; Palgunariら,1996,Arterioscler
.Thromb.Vasc.Biol.16:328−338; Demoor
ら,1996,Eur.J.Biochem.239:74−84)。従って、
本明細書に記載のコアペプチドの二量体、三量体、四量体およびそれ以上の高次
の重合体(「多量体」)より構成されるApoA−Iアゴニストも本発明に含ま
れる。このような多量体は、縦列反復配列、分枝網状構造体、またはこれらの組
み合わせの形態であってよい。コアペプチドは、互いに直接結合してもよく、1
つ以上のリンカーで隔てられていてもよい。 多量体を含んでなるコアペプチドは、構造(I)、(II)および(III)
のペプチド、構造(I)、(II)および(III)の類似体、構造(I)、(
II)および(III)の突然変異体、構造(I)、(II)および(III)
の末端切断体もしくは内部欠失体、構造(I)、(II)および(III)の伸
長体および/またはこれらの組み合わせであってよい。コアペプチドは、頭−尾
型(即ち、N末端をC末端へ)、頭−頭型(即ち、N末端をN末端へ)、尾−尾
型(即ち、C末端をC末端へ)、またはこれらの組み合わせの型で結合すること
ができる。 本発明の一つの実施形態では、多量体は、2、3、4および約10個までのコ
アペプチドの縦列反復配列である。好ましくは、多量体は、2〜8個のコアペプ
チドの縦列反復配列である。従って、一実施形態では、本発明のApoA−Iア
ゴニストは、以下の構造式: (IV) HH−[−LL−HH−]−LL−HH [式中、 各mは独立に0〜1の整数であり、好ましくは1であり、 nは0〜10の整数であり、好ましくは0〜8であり、 各「HH」は独立に構造(I)のコアペプチドもしくはペプチド類似体、また
は本明細書に記載のこれらの突然変異体、末端切断体、内部欠失体もしくは伸長
体を表し、 各「LL」は独立にリンカー(例えばPro(P)、Gly(G)およびCy
s−Cys)を表す]を有する多量体を含んでなる。 本発明の好適な実施形態では、縦列反復配列は、1個のプロリン残基によって
内部で区切られている。このため、コアペプチドがそのNもしくはC末端にてプ
ロリンで終結している場合(例えば、構造(I)のXがPro(P)の場合)
。コアペプチドがNもしくはC末端プロリンを含まない場合には、LLは好まし
くはPro(P)である。 本発明のある実施形態では、一定の条件下で1個以上のヘリックスセグメント
(HH)を放出し得る開裂可能なリンカーを使用するのが望ましい。適切な開裂
可能なリンカーとしては、プロテアーゼによって認識されるアミノ酸配列を有す
るペプチド、エンドヌクレアーゼによって開裂されるオリゴヌクレオチドが挙げ
られる。好ましくは、開裂条件は、多量体ApoA−Iアゴニストを構成するヘ
リックスセグメントおよび/または非開裂リンカーを変性または分解しないよう
な比較的穏和なものである。 選択的に開裂し得るペプチドリンカーおよびオリゴヌクレオチドリンカー、並
びにリンカーを開裂する手段は周知であり、当業者には直ちに明らかであろう。
好適な実施形態では、使用するリンカーは内在性の循環酵素に対する基質である
ペプチドであり、これにより多量体ApoA−Iアゴニストのin vivoに
おける選択的開裂が可能になる。リンカーの開裂に適した内在性の酵素としては
、例えば、プロアポリポタンパク質A−Iプロペプチダーゼが挙げられる。適切
な酵素、並びにこのような酵素の基質として働くペプチドセグメントは、当該技
術分野で周知である(例えば、Edelsteinら,1983,J.Biol
.Chem.258:11430−11433; Zanis,1983,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2574−2578を参照
)。 上述したように、本発明のコアペプチドの重要な特徴は、逆平行の状態で配置
された場合に分子間水素結合または塩橋を形成する能力である。従って、本発明
の好適な実施形態では、構造(II)のヘリックスセグメント(HH)が逆平行
の状態に並んで、かつ脂質の存在下にて分子間水素結合もしくは塩橋を形成する
よう、十分な長さと柔軟性を有するリンカーを使用する。十分な長さと柔軟性を
有するリンカーとしては、限定するものではないが、Pro(P)、Gly(G
)、Cys−Cysが挙げられる。 あるいは、天然のアポリポタンパク質は、逆平行ヘリックスセグメント間の協
同的結合を許容するため、一次配列において天然のアポリポタンパク質(例えば
、ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoC−I、ApoC−
II、ApoC−III、ApoD、ApoEおよびApoJ)の隣接ヘリック
スを結合するペプチドセグメントに相当するペプチドリンカーは、コアペプチド
を結合するのに簡便に使用することができる。これらの配列は当該技術分野で周
知である(例えば、Rosseneuら,“Analysis of the
Primary and of the Secondary Structu
re of the Apolipoproteins”,Structure
and Function of Lipoproteins,Ch.6,1
59−183,CRC Press,Inc.,1992を参照)。 逆平行ヘリックスセグメントの縦列反復配列間に分子間水素結合または塩橋を
形成し得る他のリンカーとしては、ペプチドの逆ターン(例えば、β−ターンお
よびγ−ターン)が挙げられる。通常、逆ターンは、1本のポリペプチド鎖に逆
平行β−シートまたは逆平行α−ヘリックス構造の領域が含まれるよう、ポリペ
プチド鎖の方向を逆転させるペプチドのセグメントである。β−ターンは通常4
個のアミノ酸残基から構成され、γ−ターンは、通常3個のアミノ酸残基から構
成される。 多くのペプチドのβ−ターンのコンホメーションおよび配列は、当該技術分野
で十分に記載されており、例としては、限定するものではないが、タイプI、タ
イプI’、タイプII、タイプII’、タイプIII、タイプIII’、タイプ
IV、タイプV、タイプV’、タイプVIa、タイプVIb、タイプVIIおよ
びタイプVIIIが挙げられる(Richardson,1981,Adv.P
rotein Chem.34:167−339; Roseら,1985,A
dv.Protein Chem.37:1−109; Wilmotら,19
88,J.Mol.Biol.203:221−232; Sibandaら,
1989,J.Mol.Biol.206:759−777; Tramont
anoら,1989,Proteins: Struct.Funct.Gan
et.6:382−394を参照)。 β−ターン等の短鎖ペプチドターンの特異的なコンホメーションは、主として
、ターン中における一定のアミノ酸残基の位置に依存する(通常は、Gly、A
snまたはPro)。一般に、タイプIのβ−ターンでは、ターンの位置1〜4
はいずれのアミノ酸残基でも可能である(但し、Proが位置3に存在すること
はない)。タイプIおよびタイプIIのターンとも、Glyは位置4を優先的に
占め、Proは位置2を優先的に占める。Asp、Asn、SerおよびCys
残基は位置1に存在することが多く、その側鎖は残基3のNHに水素結合するこ
とが多い。 タイプIIのターンでは、GlyおよびAsnは位置3に存在することが最も
多い。これは、GlyおよびAsnであれば、必要なバックボーンの角度が最も
容易に得られるためである。理想的には、タイプI’のターンはGlyを位置2
および3に有し、タイプII’のターンはGlyを位置2に有する。タイプII
Iのターンは一般にほとんどのアミノ酸残基を有することができるが、タイプI
II’のターンは通常位置2および3にGlyが必要である。タイプVIaおよ
びVIbのターンは、通常cisペプチド結合と内部残基としてのProを有す
る。タンパク質およびペプチド中に含まれるβ−ターンの個々のタイプおよび配
列の概説については、Wilmotら,1988,J.Mol.Biol.20
3:221−232を参照されたい。 多くのペプチドのγ−ターンのコンホメーションおよび配列も、当該技術分野
で十分に記載されている(例えば、Roseら,1985,Adv.Prote
in Chem.37:1−109; Wilmer−Whiteら,1987
,Trends Biochem.Sci.12:189−192; Wilm
otら,1989,J.Mol.Biol.203:221−232; Sib
andaら,1989,J.Mol.Biol.206:759−777; T
ramontanoら,1989,Proteins:Struct.Func
t.Genet.6:382−394を参照)。これら全てのタイプのβ−ター
ンおよびγ−ターン構造並びにその対応配列、並びに後から発見されるペプチド
のβ−ターンおよびγ−ターン構造並びに配列は、特に本発明の範囲内とする。 構造(I)、(II)および(III)は、22の明記したアミノ酸残基位
置を含むが、本発明のコアペプチドは22未満のアミノ酸残基を含むことができ
ると理解する。実際、構造(I)、(II)および(III)のコアペプチドに
より形成された両親媒性ヘリックスの全体的特徴および特性を実質的に保持する
18またはさらには15という少ないアミノ酸残基を含む、構造(I)、(II
)および(III)のトランケートされた形態または内部欠失形態は、本発明の
範囲内であると考える。 構造(I)のペプチドのトランケート形態は、構造(I)、(II)および(
III)のNおよび/またはC末端から1つ以上のアミノ酸を欠失することによ
り得られる。構造(I)、(II)および(III)の内部欠失形態は、構造(
I)、(II)および(III)のペプチド内の内部位置から1つ以上のアミノ
酸を欠失することにより得られる。欠失する内部アミノ酸残基は、連続した残基
であってもそうでなくてもよい。 当業者は、構造(I)、(II)および(III)のコアペプチドからの内部
アミノ酸残基の欠失により、ヘリックスの親水性−疎水性界面の平面が欠失ポイ
ントで100°回転することを認識する。かかる回転は生じたヘリックスの両親
媒性特性を有意に変化し得るので、本発明の好ましい実施形態において、アミノ
酸残基は、親水性−疎水性界面の平面を、ヘリックスの全体の長い軸に沿って揃
えて保持するように欠失する。 これは、便利には、1つの完全なヘリックスターンがなくなるように、十分な
数の連続または非連続アミノ酸残基を欠失することにより達成される。理想的な
α−ヘリックスは、1ターンあたり3.6残基を含む。従って、好ましい実施形
態において、3〜4個の連続または非連続アミノ酸残基の群を欠失する。3アミ
ノ酸または4アミノ酸を欠失するかは、最初に欠失する残基のヘリックス内にお
ける位置に依存する。両親媒性ヘリックス内の任意の特定の出発点から1つの完
全なヘリックスターンを構成する、連続または非連続アミノ酸残基の適当な数の
決定は、当業者の能力範囲内である。 ヘリックスの安定化には構造(I)、(II)および(III)のコアペプチ
ドのC末端における塩基性クラスターが重要であると推測され、脂質結合および
LCAT活性化の奏効には疎水性クラスターが重要であることから、本発明の好
ましい実施形態において、塩基性および疎水性クラスターを含む残基は欠失させ
ない。従って、好ましい実施形態において、残基19、20および22(塩基性
クラスター)および残基3、6、9および10(疎水性クラスター)は欠失させ
ない。 構造(I)、(II)および(III)のコアペプチドはまた、実質的にペプ
チドの構造および/または機能的特性を妨害せずある実施形態においてはむしろ
増強する、追加のアミノ酸残基を用いて、一端または両端あるいは内部において
伸長できる。実際、23、25、26、29またはさらにそれ以上という多くの
アミノ酸残基を含む伸長コアペプチドは、本発明の範囲内であると考える。好ま
しくは、かかる伸長ペプチドは、実質的に実効両親媒性および構造(I)、(I
I)および(III)のペプチドの他の特性を保持する。もちろん、アミノ酸の
内部付加により、内部欠失で上記したのと同じように、疎水性−親水性界面の平
面が挿入点において回転することが認識される。従って、内部欠失と関連して上
記で議論した考察を同様に内部付加にも適用する。 1つの実施形態において、コアペプチドは、少なくとも1つのヘリックスター
ンによりNおよび/またはC末端において伸長される。好ましくは、該伸長によ
り、脂質の存在下でヘリックス二次構造、例えば前記した末端キャップアミノ酸
およびセグメントは安定化する。 特に好ましい実施形態において、構造(I)、(II)および(III)のコ
アペプチドは、単一の塩基性アミノ酸残基、好ましくはLys(K)によりC末
端が伸長する。 5.1.3 好ましい実施形態 本発明のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−Iアゴニストは、さ
らに、好ましい実施形態により定義できる。 1つの好ましい実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、22アミノ
酸残基を含む構造(I)のコアペプチドからなるApoA−Iアゴニストをコー
ドし、ここで: XはPro(P)、Gly(G)またはAla(A)であり; XはVal(V)またはLeu(L)であり; XはLeu(L)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLys(K)またはArg(R)であり; XはGlu(E)であり; XはLeu(L)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11はAsn(N)またはGln(Q)であり; X12はGlu(E)であり; X13はLeu(L)であり; X14はLeu(L)またはTrp(W)であり; X15はGlu(E)であり; X16はAla(A)またはTrp(W)であり; X17はLeu(L)であり; X18またはX19の一方はGln(Q)であり、他方はLys(K)であり;
20はLys(K)であり; X21はLeu(L)であり;および X22はLys(K)である。 さらに別の好ましい実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、22ア
ミノ酸残基を含む構造(I)のコアペプチドからなるApoA−Iアゴニストを
コードし、ここで: XはPro(P)、Gly(G)またはAla(A)であり; XはVal(V)であり; XはLeu(L)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはPhe(F)であり; XはArg(R)であり; XはGlu(E)であり; XはLeu(L)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11はAsn(N)であり; X12はGlu(E)であり; X13はGly(G)であり; X14はLeu(L)であり; X15はGlu(E)であり; X16はAla(A)またはTrp(W)であり; X17はLeu(L)であり; X18はLys(K)であり; X19はGln(Q)であり; X20はLys(K)であり; X21はLeu(L)であり;および X22はLys(K)である。 本発明のこの態様による特に好ましいヌクレオチド配列は: からなる群から選択されたコアペプチドをコードするものである。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、XはGly(G)であり、各X10、X13、X14、X16およびX
17はGly(G)以外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA
−Iアゴニストをコードする。本発明のこの態様による特に好ましいApoA−
Iアゴニス である。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、X10はGly(G)であり、各X、X13、X14、X16およびX
17はGly(G)以外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA
−Iをコードする。本発明のこの態様による特に好ましいApoA−Iアゴニス
トは、ペプ さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、X14はGly(G)であり、各X、X10、X13、X16およびX
17はGly(G)以外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA
−Iアゴニストをコードする。本発明のこの態様による特に好ましいApoA−
Iアゴニス 6)である。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、X16はGly(G)であり、各X、X10、X13、X14およびX
17はGly(G)以外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA
−Iアゴニストである。本発明のこの態様による特に好ましいApoA−Iアゴ
ニストは、 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、X17はGly(G)であり、各X、X10、X13、X14およびX
16はGly(G)以外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA
−Iアゴニストである。本発明のこの態様による特に好ましいApoA−Iアゴ
ニストは、 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)(こ
こで、各X、X10、X13、X14、X16およびX17はGly(G)以
外である)の22−アミノ酸残基ペプチドであるApoA−Iアゴニストである
。 アゴニストは、構造(I)の22−アミノ酸残基ペプチドであり、ここで: XはPro(P)、Gly(G)、Ala(A)であり; XはVal(V)またはLeu(L)であり; XはLeu(L)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはArg(R)またはLys(K)であり; XはGlu(E)であり; XはLeu(L)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11はAsn(N)またはGln(Q)であり; X12はGlu(E)であり; X13はLeu(L)であり; X14はLeu(L)またはTrp(W)であり; X15はGlu(E)であり; X16はAla(A)、Leu(L)またはTrp(W)であり; X17はLeu(L)であり; X18またはX19の一方はGln(Q)であり、他方はLys(K)であり;
20はLys(K)であり; X21はLeu(L)であり;および X22はLys(K)である。 本発明のこの態様による特に好ましい実施形態において、XはVal(V)
であり;XはAsp(D)であり;XはLeu(L)であり;XはPhe
(F)であり;XはArg(R)であり;X10はLeu(L)であり;X
はAsn(N)であり;X13はLeu(L)であり;X14はLeu(L)
であり;X16はAla(A)であり;X17はLeu(L)であり;X18
Lys(K)であり;X19はGln(Q)であり;X20はLys(K)であ
り、および/またはX22はLys(K)である。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(I)のペ
プチドの変化または変異形であるApoA−Iアゴニストをコードし、ここで:
はVal(V)またはLeu(L)以外であり; XはLys(K)、Glu(E)またはTrp(W)以外であり; XはTrp(W)以外であり; XはTrp(W)またはLeu(L)以外であり; XはTrp(W)以外であり; XはLys(K)またはTrp(W)以外であり; X11はTrp(W)以外であり; X12はTrp(W)またはLeu(L)以外であり; X13はGlu(E)またはTrp(W)以外であり; X15はTrp(W)以外であり;および/または X21はLys(K)以外である。 さらに別の好ましい実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、以下に
示されるペプチド群から選択したApoA−Iアゴニストをコードする: 好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(II)の22アミノ
酸残基ペプチドであるApoA−Iアゴニストをコードし、ここで: XはPro(P)、Gly(G)、Ala(A)またはAsn(N)であり;
はAla(A)、Val(V)またはLeu(L)であり; XはLeu(L)であり; XはPhe(F)であり; X11はGlu(E)であり; X19はLys(K)であり; X20はLys(K)であり;および/または X22はLys(K)であり、各X、X、X、X、X、X10、X
、X13、X14、X15、X16、X17、X18およびX21は、構造(
II)で以前に定義した通りである。 本発明のこの態様による特に好ましいApoA−Iアゴニストは、XがVa
l(V)であり;および/またはX18がGln(Q)であるものである。 さらに別の好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(I
I)の22アミノ酸残基ペプチドであり、ここでX10、X13またはX14
うちうの1つはGly(G)であり、X10、X13およびX14のうちのその
他のものはGly(G)以外である。X14がGly(G)である場合、X
好ましくはGlu(E)である。 本発明のこの態様による特に好ましいヌクレオチド配列は、 からなる群から選択したペプチドであるApoA−Iアゴニストをコードする。 さらに別の好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(I
I)の22−アミノ酸残基ペプチドであり、ここで各X10、X13およびX
はGly(G)以外である。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(II)の
ペプチドの変化または変異形であるApoA−Iアゴニストをコードし、ここで
: XはAsp(D)以外であり; XはPhe(F)以外であり; XはTrp(W)以外であり; XはLeu(L)またはAsp(D)以外であり; XはGly(G)またはTrp(W)以外であり; X12はLys(K)以外であり; X13はTrp(W)以外であり; X14はTrp(W)以外であり; X15はGlu(E)以外であり; X16はTrp(W)またはLeu(L)以外であり;および/または X17はTrp(W)以外である。 さらに別の好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(I
I)の22アミノ酸残基ペプチドであり、ここで、XはLeu(L)であり、
10はTrp(W)であり、XはGly(G)以外であり、および/または
14はGly(G)以外である。本発明のこの態様による特に好ましいペプチ
ドは、 る。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、以下に示される
ペプチド群から選択したApoA−Iアゴニストをコードする: 1つの好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(III
)の18アミノ酸残基ペプチドである。 別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、構造(III)の18
アミノ酸残基ペプチドであるApoA−Iアゴニストをコードし、ここで: XはAla(A)、Val(V)またはLeu(L)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; XはArg(R)またはLys(K)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; X11はGlu(E)またはAsn(N)であり; X12はGlu(E)であり; X14はArg(R)、Lys(K)またはLeu(L)であり; X16はArg(R)またはLys(K)であり;および/または X18はArg(R)またはLys(K)であり; X、X、X、X、X、X10、X13、X15およびX17は、構造
(III)で以前に定義した通りである。 別の好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(III)
の18アミノ酸残基ペプチドであり、ここで、X11はAsn(N)であり、X
14はLeu(L)であり、X11がAsn(N)以外である場合、X14はL
eu(L)以外である。本発明のこの態様による例示的な特に好ましい実施形態
は、 さらに別の好ましい実施形態において、ApoA−Iアゴニストは、構造(I
II)のペプチドの変化または変異形であり、ここで、 Xは、Asp(D)以外であり; Xは、Gly(G)以外であり; X10は、Gly(G)以外であり; X12は、Leu(L)以外であり;および X13は、Gly(G)以外である。 さらに別の好ましい実施形態において、ヌクレオチド配列は、以下に示される
ペプチド群から選択したApoA−Iアゴニストをコードする: さらに別の好ましい実施形態において、本発明のヌクレオチド配列は、構造I
Vの多量体形であるApoA−Iアゴニストをコードし、ここで、各HHは、独
立して、構造(I)、(II)または(III)のペプチド、または本明細書に
記載の構造(I)、(II)または(III)の好ましい任意のペプチドである
。 最後の好ましい実施形態 において、ApoA−Iアゴニストは、遺伝子に
コードされていないアミノ酸から構成されるか、または天然のヒトApoA−I
と比較した場合、38%未満のLCAT活性化活性を示す表VIIIに記載され
たペプチドではない。 5.1.4.構造および機能の分析 本発明のコアペプチドまたはペプチド類似体の構造および機能、並びにこのよ
うなコアペプチドから構成されるApoA−Iアゴニスト(上述のような多量体
形態を含む)の構造および機能は、活性なアゴニストまたはApoA−I模倣体
を選別するためにアッセイすることができる。例えば、コアペプチドまたはペプ
チド類似体は、脂質の存在下でα−ヘリックスを形成する能力、脂質に結合する
能力、脂質と複合体を形成する能力、LCATを活性化する能力、コレステロー
ルの流出を促進する能力などについてアッセイすることができる。 ペプチドの構造および/または機能を分析する方法およびアッセイは、当該技
術分野で周知である。好適な方法を後述の実施例に示す。例えば、後述の第7節
に記載する円二色性(CD)アッセイおよび核磁気共鳴(NMR)アッセイを使
用して、ペプチドまたはペプチド類似体の構造(特に、脂質の存在下でのらせん
度)を分析することができる。脂質に結合する能力は、後述の第7節に記載する
蛍光分光法アッセイを使用して判定できる。LCATを活性化するペプチドおよ
び/またはペプチド類似体の能力は、後述の第8節に記載するLCAT活性化を
用いて容易に判定できる。後述の第9、10および11節に記載するin vi
troおよびin vivoアッセイを使用して、半減期、分布、コレステロー
ルの流出およびRCTに対する作用を評価することができる。 通常、下記の表VIに列挙した特性を示す本発明のコアペプチドおよび/また
はペプチド類似体は、活性であるとみなす。 後述の実施例に示すように、高度のLCAT活性化(38%以上)を示すコア
ペプチドは、通常、小型の脂質単層小胞(lipidic small uni
lamellar vesicle;SUV)の存在下では有意なα−ヘリック
ス構造をとり(22個以上のアミノ酸残基を含有する未ブロックのペプチドと1
8個以下のアミノ酸残基を含有するブロックされたペプチドの場合には60%以
上のヘリックス構造であり、18個以下のアミノ酸を含有する未ブロックのペプ
チドの場合には40%以上のヘリックス構造である)、LCAT活性化を殆ど示
さないか、または全く示さないペプチドは、α−ヘリックス構造を殆どとらない
。しかしながら、脂質の存在下で有意なヘリックス構造を示すペプチドであって
も、LCATに有意な影響を与えない場合もある。 同様に、有意なLCAT活性化を示すコアペプチドは典型的には脂質に結合す
るが、脂質結合を示すペプチドであってもLCAT活性化に有意な影響を与えな
い場合もある。 そのため、当業者であれば、脂質の存在下でα−ヘリックスを形成し、脂質に
結合する本明細書に記載のコアペプチドの能力が活性にとって重要である一方、
多くの場合においてこれらの特性で十分とは言えないことも理解できるであろう
。従って、好適な実施形態では、本発明のコアペプチドを一連のスクリーニング
にかけ、有意な薬理活性を示すコアペプチドについて選別を行う。 第一の段階では、後述の第7節に記載するCDアッセイを用いて、脂質の存在
下でα−ヘリックスを形成する能力についてコアペプチドをスクリーニングする
。次いで、脂質の存在下(約5μMの濃度、約30の脂質:ペプチドモル比)で
、少なくとも40%がヘリックスであるペプチドまたは少なくとも60%がヘリ
ックスであるペプチドを、後述の第7節に記載する蛍光アッセイを用いて、脂質
に結合する能力についてスクリーニングする。当然のことながら、蛍光Trp(
W)またはNal残基を含むコアペプチドに限って、蛍光によって脂質結合をス
クリーニングする。しかしながら、蛍光残基を含まないペプチドの場合でも、脂
質の存在下でらせん度が増加すれば脂質へ結合することは明らかである。 次いで、SUVの存在下(0.5〜10μMのペプチド、1〜50の範囲の脂
質:ペプチドモル比)で脂質結合を示すコアペプチドを薬理活性についてスクリ
ーニングする。当然のことながら、スクリーニング対象の薬理活性は、ApoA
−Iアゴニストの所望の用途に依存するものである。好適な実施形態では、本明
細書に記載の方法においてLCATを活性化するペプチドが特に有用であるため
、LCATを活性化する能力についてコアペプチドをスクリーニングする。天然
のヒトApoA−Iと比べて少なくとも約38%のLCAT活性化を示すコアペ
プチド(後述の第8節に記載するLCAT活性化アッセイを用いて判定)が好適
であり、50%、60%、70%、80%または90%以上のLCAT活性化を
示すコアペプチドが特に好適である。 5.2. ApoA−IをコードするDNAベクターおよびDNAカセット 本発明によれば、天然のApoA−I、ApoA−Iの改変型またはApoA
−I活性を有するペプチド(アゴニストと超アゴニストを含む)をコードするヌ
クレオチド配列を、カセットまたは適当な発現ビヒクル、即ち、挿入されたコー
ド配列の転写と翻訳に必要なエレメントを含むベクター、またはRNAウイルス
ベクターの場合には複製と翻訳に必要なエレメントを含むベクター中へ挿入する
。本発明のヌクレオチド配列は、ex vivoとin vivoの両方の遺伝
子治療プロトコルで、「裸の」DNA構築物として投与することができる。Ap
oA−Iペプチドおよびアゴニストをコードする裸DNAプラスミドを被験者に
注射し、細胞にうまく取り込ませてペプチドとして発現させる(Felgner
ら、米国特許第5,580,859号、引用によりその全文を本書に含める)。
「裸の」DNAはまた、非脂質のカチオン重合体との複合体またはリポソームと
の複合体の状態で投与して、細胞の取込みを増強することも可能である。 本発明のもう一つの実施例では、発現ビヒクルを、そのペプチドを発現する適
当な標的細胞中にトランスフェクトする。使用される発現系に応じて、次いで発
現されたペプチドを当該技術分野で周知の手順により分離する。組換えタンパク
質とペプチドを生成する方法は当該技術分野で周知である(例えば、Mania
tisら、1989、Molecular Cloning A Labora
tory Mannual、Cold Spring Harbor Labo
ratory,N.Y.;Ausubelら、1989、Current Pr
otocols in Molecular Biology,Greene
publishing Associates and Wiley Inte
rscience、N.Y.を参照)。 本発明によれば、DNAカセットには、確実にApoA−Iペプチドが正しく
プロセシングされて宿主細胞から分泌されるようにApoA−Iのプレプロ体(
pre−proforme)とプロ体(proform)をコードするヌクレオ
チド配列が含まれる。ApoA−Iのプレプロ体には、宿主細胞からProAp
oA−Iが分泌される際に切断されるアミノ末端に18aaリーダー配列または
シグナル配列が含まれている。ApoA−Iのリーダー配列は標準的な長さと疎
水性を有し(Davisら、1980、Nature 283:433−438
を参照)、例えばアラニンなど小さい側鎖を有するアミノ酸で終結するものであ
る。例としては、限定するものではないが、以下のリーダー配列を本発明のDN
AカセットとDNAベクターに組込むことができる:5’MKAAVLTLAV
LFLTGSQA3’(配列番号: )または5’MKAAVLAVALVFL
TGCQA3’(配列番号: )。宿主細胞からペプチドを分泌させる任意の配
列が本発明に使用できる。 ApoA−I、ProApoA−Iのプロ体は、配列R−H−F−W−Q−Q
(配列番号: )またはX−E−F−X−Q−Q(配列番号: )を有する6ア
ミノ酸アミノ末端伸長を含む。特定のプロテアーゼによってプロセグメントが細
胞外で切断されると、ApoA−Iの血漿形(plasma form)が生成
する。本発明によれば、6アミノ酸伸長をコードする配列は、コードされたAp
oA−Iペプチドが宿主細胞から分泌されたときに、確実に正しくプロセシング
されるよう本発明のDNAカセットおよびDNAベクターに組込むことができる
。 生産効率を増加させるため、酵素切断部位によって分離されたペプチドの多重
単位(multiple unit)をコードするようにポリヌクレオチドを設
計することができる。即ち、ホモポリマー(反復ペプチド単位)またはヘテロポ
リマー(異なるペプチドが一緒に連なったもの)のいずれも、このように遺伝子
工学的に作製することができる。得られるポリペプチドは、ペプチド単位を回収
するために切断することができる(例えば、適当な酵素での処理によって)。こ
れにより単一のプロモーターによって生産されるペプチドの収量を増やすことが
できる。好適な実施形態では、ポリシストロン性ポリヌクレオチドを設計し、多
重ペプチド(即ち、ホモポリマーまたはヘテロポリマー)をコードする単一のm
RNAを転写させることができる(各コード領域は、キャップに依存しない翻訳
制御配列、例えば、Pelletierら、1988、Nature 334:
320−325により記述された配列などの内部リボゾーム侵入部位(IRES
)に機能し得る形で連結させる)。好適な実施形態では、IRESはヒト免疫グ
ロブリンH鎖結合タンパク質(BiP)mRNAの5’非コード領域から誘導さ
れる(Macejakら、1991、Nature 353:90−94)。好
ましくは、IRES領域はピコルナウイルスIRES領域配列から誘導され、I
RES配列はエンテロウイルス、ライノウイルス、カルジオウイルス、およびア
フタウイルスのIRES配列、A型肝炎ウイルスのIRES配列、B型肝炎ウイ
ルス配列およびC型肝炎ウイルスのIRES配列からなる群より選択される。適
切なウイルス発現系に用いる場合には、mRNAによりコードされる各ペプチド
の翻訳は、例えばIRESにより、転写産物の内部で行われるよう指令される。
このように、ポリシストロン性構築物が単一の大型ポリシストロン性mRNAの
転写を指令し、これが今度は複数の個々のペプチドの翻訳を指令する。このアプ
ローチによって、ポリタンパク質の生成と酵素によるプロセシングが不要となり
、また単一のプロモーターによって得られるペプチドの収量が有意に増加し得る
。 様々の宿主発現ベクター系を利用して本明細書に記載のペプチドを発現するこ
とができる。本発明によれば、(1)本発明のApoA−Iペプチドを発現し、
(2)哺乳動物細胞内で機能し得る発現制御エレメント(例えば、プロモーター
とエンハンサー)を利用し、および(3)高コピー数でApoA−Iヌクレオチ
ド配列を発現する任意の宿主発現系を使用することができる。好適な実施形態に
は、ex vivoまたはin vivo遺伝子治療プロトコルを使用して遺伝
子操作される場合に、ヒト細胞内でApoA−Iペプチドおよびアゴニストをコ
ードするヌクレオチド配列のコピー数を増加させる任意の発現系がある。例とし
ては、限定するものではないが、適当なコード配列を含む組換えバクテリオファ
ージDNAおよびプラスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微
生物、適当なコード配列を含む組換え酵母または真菌発現ベクターで形質転換さ
れた酵母または糸状菌、適当なコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(
例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、適当なコード配列を含む組
換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスやタバコモ
ザイクウイルス)に感染している植物細胞系または適当なコード配列を含む組換
えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細
胞系、または動物細胞系が挙げられる。 発現系の発現エレメントは長さと特異性が異なる。使用する宿主/ベクター系
に応じて、哺乳動物(好ましくは、ヒト)宿主細胞系で機能し得る多くの転写お
よび翻訳エレメント(構成性プロモーターおよび誘導性プロモーター等)のうち
の任意のものを発現ベクターで使用することができる。好適な実施形態では、本
発明のベクターおよびカセット中に組込まれる発現エレメントは、天然のApo
A−I遺伝子の発現を調節するシス−およびトランス−調節エレメントである。
特に、転写調節エレメントおよびエンハンサーエレメントは、ApoA−I遺伝
子の上流−222から−110に位置するヌクレオチド配列中に見出される。例
えば、ApoA−I調節タンパク質−1(ARP−1)用の結合部位では、ステ
ロイドホルモン受容体のスーパーファミリーのメンバーが、ApoA−I遺伝子
の上流の−222から−110のDNA領域に位置する肝臓特異的転写エンハン
サー内にある。ARP−1を結合するためのコンセンサス配列は、5’TGAA
CCCTTGACCCCT3’(配列番号: )である(Ladiasら、19
91、Science 251:561−565を参照)。追加のApoA−I
転写調節配列とエンハンサーエレメントは、Sorci−Thomasら、19
91、Journal of Biol.Chem.266:18045−18
050、Daiら、1990、Eur.J.Biochem.190:305−
310、Rottmanら、1991、Molecular and Cell
Biology 11:3814−3820に開示されている。 細菌、植物、昆虫または哺乳動物の細胞系でクローニングを行う場合には、哺
乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモータ
ー)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期
プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用でき;発現産
物の多重コピーを含む細胞系を生成する場合には、SV40、BPVおよびEB
V系ベクターを適当な選択マーカーとともに使用することができる。 哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルス系発現系を使用することができる。ア
デノウイルスを発現ベクターとして使用する場合には、目的のApoA−Iペプ
チドコード配列を、例えば、後期プロモーターと3連(tripartite)
リーダー配列などのアデノウイルス転写/翻訳制御複合体にライゲートすること
ができる。次いでこのキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivo
組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノム
の非必須領域(例えば、E1またはE3領域)へ挿入すれば、生存可能で且つ感
染宿主内でApoA−Iペプチドを発現し得る組換えウイルスが得られる。(例
えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad
.Sci.USA 81、3655−3659を参照)。挿入されたApoA−
Iペプチドコード配列の効率的な転写には、特定の開始シグナルもまた必要であ
る。これらのシグナルにはATG開始コドンと隣接配列が含まれる。それ自身の
開始コドンと隣接配列を含む完全なApoA−Iを適当な発現ベクターに挿入す
る場合は、追加の翻訳調節シグナルは必要ではない。しかしながら、ApoA−
Iペプチドコード配列の一部のみを挿入する場合には、おそらくATG開始コド
ンを含む外来性の翻訳制御シグナルを供給しなければならない。さらに、全イン
サートの翻訳を確保するためには、開始コドンは所望のコード配列のリーディン
グフレームと読取り枠が合っていなければならない。これらの外来性の翻訳制御
シグナルと開始コドンの起源は多岐にわたり、天然および合成のいずれであって
もよい。発現の効率は、適当な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネータ
ーなどを組込むことで強化することができる(Bittnerら、1987、M
ethods in Enzymol.153、516−544を参照)。 本発明のペプチドを生成するための他の発現系は、当業者には明らかであろう
。 5.2.1. ApoA−Iをコードするウイルスベクター 本発明によれば、ApoA−IアゴニストやApoA−I活性を有するペプチ
ドをコードする上述のヌクレオチド配列およびDNAカセットを、適当なウイル
スベクターに遺伝子操作することができる。本明細書で述べるウイルスベクター
は本発明のヌクレオチド配列を供給するためのin vivoにおける遺伝学的
アプローチにとって特に有益である。本発明によれば、天然のApoA−Iを発
現するように遺伝子操作されたウイルスベクターは本発明には含まれない。 本発明の実施については、例えば肝細胞、大腸および小腸の細胞、内皮細胞な
どの疾患標的細胞に対して適切な指向性を示すウイルス、または標的細胞に対し
て適切な指向性を示すように遺伝子操作を行うウイルスを、ApoA−Iアゴニ
ストペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むように遺伝子操作する。本発
明の実施については、肝細胞と大腸および小腸の細胞に対して指向性を示すウイ
ルスが本発明の特に好ましい実施形態である。本発明に従って使用できるウイル
スベクターとしては、限定するものではないが、ヘパドナウイルス、アデノウイ
ルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、パルボウイル
ス、ワクシニアウイルスなどが挙げられる。 一つの具体的な実施形態では、肝細胞に対して本来指向性を有するヘパドナウ
イルスなどの弱毒化ウイルスを、本発明に従って遺伝子治療用に遺伝子操作して
使用することができる。ヘパドナウイルスは、天然のApoA−IおよびApo
A−Iをコードするヌクレオチド配列を、天然のApoA−IおよびApoA−
Iを本来発現する細胞および器官に送達するように遺伝子操作できる。外来DN
A配列を挿入するための領域として作用し得るヘパドナウイルス・ゲノムの領域
が存在する。特に、B型肝炎ウイルス(HBV)の表面抗原タンパク質(pre
−S1およびpre−S2)をコードする配列は、ApoA−Iペプチドおよび
アゴニストをコードするDNA配列の挿入のための標的となり得る。例えば、A
poA−Iペプチドをコードするヌクレオチド配列は、pre−S1 mRNA
のプロモーターであるTATA様配列の下流(位置278)に挿入するか、また
はpre−S2 mRNAのプロモーターであるSV40様プロモーターの下流
(位置3166)に挿入することができる。これらの領域の下流に外来性のコー
ド配列を挿入することで、他の重要なウイルス活性を壊すことなくウイルス遺伝
子発現の調節下にこれらの外来性コード配列が置かれる。 アデノウイルスは、遺伝子治療に使用できる別のウイルスベクターである。ア
デノウイルスは肝臓と呼吸上皮に遺伝子を送達する特に興味深いビヒクルである
。アデノウイルスは本来呼吸上皮に感染し、そこに軽症の疾患を引き起こす。ア
デノウイルス系の送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋
肉である。アデノウイルスは非分裂細胞に感染し得るという利点を有する。Ko
zarskyとWilson、1993、Current Opinion i
n Genetics and Development 3:499−503
には、アデノウイルス系の遺伝子治療が概説されている。この他、Gerard
ら、1996年、Current Opin.in Lipidology 7
:105−111には、ApoA−Iの送達手段としてのアデノウイルス媒介遺
伝子導入が記載されている。Boutら、1994、HumanGene Th
erapy 5:3−10では、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を導入するため
のアデノウイルスの使用が実証されている。遺伝子治療における他のアデノウイ
ルス使用例は、Rosenfeldら、1991、Science 252:4
31−434;Rosenfeldら、1992、Cell 68:143−1
55;およびMastrangeliら、1993年、J.Clin.Inve
st.91:225−234に見られる。アデノ随伴ウイルス(AAV)もまた
、遺伝子治療での使用が提案されている(Walshら、1993、Proc.
Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300)。 例えば、ApoA−I ペプチドのヘテロポリマー(即ち、酵素の切断部位に
よって、またはIRES 配列によって分離されたApoA−Iアゴニストおよ
びスーパーアゴニストを含むヘテロポリマー)をコードするカセットが、遺伝子
操作で都合良くアデノウイルスに入れられる。本発明に従って操作されることが
できるアデノウイルスの遺伝子発現を制御するのに必要な遺伝子配列は、E1領
域、E3領域、または右のITRとE4領域の間である。これらの領域は目的の
TREで置き換えられ、遺伝子組み換えアデノウイルスゲノムのパッケージング
によってウイルス粒子の中に組み入れられる。 遺伝子組み換えウイルスを目的として外来性DNA配列を挿入するために、好
ましい部位として次の3つのアデノウイルスの領域がある。それは、(1)EI
A領域および主要な後期プロモーター(MLP);(2)3つの部分からなるリ
ーダーと一緒になったMLP;(3)E3領域の置き換え、である。E3領域は
組織培養によりウイルスパッケージングのために必須ではないことが示された。
EIAおよびMLP領域に外来性DNA配列を挿入することによって生じるキメ
ラウイルスは293細胞中の成長によってレスキューされるかまたは、失われた
機能をイン−トランスで提供するヘルパーウイルスによって同時形質導入される
。 神経系への自然な走性を示すヘルペスシンプレックスウイルスは、修飾して、
肝細胞または内皮細胞に感染させ、またApoA−Iペプチドをコードする望ま
しいヌクレオチド配列を含ませても良い。例えば、ApoA−Iペプチドのヘテ
ロポリマーをコードするカセットは、ICP4遺伝子配列またはVP16遺伝子
配列のような、HSVの初期プロモーション領域の下流で、これらの配列の発現
を増強するために遺伝子操作される。HSVのいくつかの構造遺伝子は、遺伝子
組み換えウイルスを目的とする外来性DNA配列の挿入のための標的にできる。
例えば、構造的グリコプロテイン、gB、gDおよびgHをコードするヌクレオ
チド配列は、外来性DNA配列を挿入するための領域とすることができる。しか
し、置換され、および/または分裂したこれらの遺伝子産物は、結果として生じ
る遺伝子組み換えウイルス株の作製のために、ベクターによってイン−トランス
で提供され、および/または宿主細胞によって発現される。 ヒトのレトロウイルス、例えばHTLV−1およびHTLV−2、またはヒト
リンパ球への走性を示す動物のレトロウイルス、例えばウシの白血病ウイルス、
モロニーマウス白血病ウイルス、ラウス関連ウイルス、およびネコの白血病ウイ
ルスが、肝細胞を標的にするために使われる。レトロウイルスの複製に必要な配
列はLTRに位置しており、それ故、外来性DNA配列、即ち目的ApoA−I
ペプチドのコードする配列は下流に挿入される。レトロウイルスに感染した細胞
では、ウイルス転写は組み込まれたウイルスDNA、プロウイルスから生じ、そ
れはそれ自身の調節配列を含む転写ユニットを表す。プロウイルスの発現は(1
)プロウイルスが組み込まれた部位;(2)細胞の生理的状況;(3)ウイルス
のLTR に依存する。プロウイルスの発現は殆ど完全に宿主にコードされた酵
素に依存する。 ウイルスのLTRはウイルスRNAの3つの断片、R、U5、およびU3配列
の由来する。Rまたは重複配列は短い断片で初期(30〜60ヌクレオチド)、
ウイルスRNA中、最左端(5’)および右端(3’)に、2倍存在する。U5
配列はウイルスRNAの5’末端に存在する。U3配列はR配列から上流に位置
し、サイズは最も広範囲にわたり(0.2〜1.2kb)、配列相同性である。 発現のウイルス特異的制御は主にRNA合成の増強、促進、開始およびポリア
デニル化のための信号を含む長い末端反復配列(LTR)に依存する。転写は左
側LTRにおけるR配列の左端で開始される。ウイルス転写は細胞のタイプII
RNAポリメラーゼによって触媒され、右のLTRの右側の近くで転写後ポリ
アデニル化される。すべてのLTRのU3領域はCCAATおよびTATAAボ
ックスを持っている。エンハンサー機能はプロモータードメインから上流に、U
3に見いだされる種々の長さ(72〜101ヌクレオチド)の反復配列に局在し
ている。モロニーマウス白血病ウイルス(MMTV)LTRのU3における配列
はMMTV−感染細胞のグルココルチコイド治療に応じて増強される、ウイルス
発現のレベルを決定することも見いだされた。 ヒトT細胞への自然の走性を示すマウスパルボウイルス(MVM)は肝細胞ま
たは腸の内皮細胞に感染させるために修飾してもよい。MVMの場合は、ウイル
スのDNA複製の最初の段階に必要な主要なシス作用因子が上流の“初期”プロ
モーター、P4で見いだされている。(Cotmore et al.,199
2,Virology 190:365−377)初期プロモーターはウイルス
転写のための開始プロモーターで初期、そのTATAAボックスはMVMゲノム
の左端から4マップ単位のところに初期、150番目のヌクレオチドのあたりに
ある。MVM DNA複製の起源として必須のシス作用機能もこの領域に見いだ
されている。この領域の丁度下流にあるApoA−1ペプチドのコード配列のよ
うな外来性DNA配列を挿入することにより、これを、他の必須のウイルス活性
、即ちDNA複製を崩壊させることなく、ウイルス遺伝子発現の制御下に置く。 プロトタイプのラブドウイルスである水疱性口内炎ウイルス(VSV)は哺乳
類の細胞において遺伝子治療で本発明のApoA−1ペプチドを発現するために
用いられることができる。VSVは封入動物ウイルスの中で最も簡単なもので、
非常に高い力価まで成長し、大量に調製することができる。外来性のグリコプロ
テインが、肝細胞あるいは小腸や大腸の細胞をウイルスベクターの標的とするた
めに、VSV Gの封入タンパク質に挿入される。VSV G遺伝子は本発明の
ApoA−Iペプチドをコードするヌクレオチド配列を受け入れるに十分な大き
さがある。(Schnell et al.,1996,Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 93:11359−11365参照) アルファウイルスに基づく発現ベクター、封入プラス鎖RNAウイルスのプロ
トタイプ、はまた本発明のApoA−Iペプチドをコードするヌクレオチドの効
果的な発現を媒介するために遺伝子操作できる。通常は脊椎動物の細胞に対して
細胞致死性であるが、アルファウイルスに適応性変異を施した変異種はアルファ
ウイルスベクターの非細胞変性複製を行う事ができる。ApoA−Iペプチドを
コードしたヌクレオチド配列は複製、ならびにRNAプロモーターが不完全なア
ルファウイルスゲノムの構造遺伝子の中に組み込まれる。シス作用性配列を含む
欠陥のあるヘルパーRNAsは複製が不完全なアルファウイルスベクターをパッ
ケージするために必要である(Frolov et al.,1996,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 93:11371−11377)。
VSVやアルファウイルスに加えて、インフルエンザウイルス、ラバブウイルス
、パラインフルエンザウイルス、ブニャウイルスも同様の技術で、本発明のAp
oA−Iペプチドをコードするヌクレオチド配列の送達と発現のために遺伝子操
作される。 上記のウイルスベクターは例示であり、本発明を限定するものではない。Ap
oA−Iペプチドおよびアゴニストをコードするヌクレオチド配列を、標的細胞
へ安全に送達するために遺伝子操作される任意のウイルスベクターを本発明に従
って使用してもよい。 5.2.2 ApoA−Iを発現する宿主細胞 本発明は動物細胞または細胞系、好ましくはヒトの細胞または細胞系に於いて
上記のようなApoA−IおよびApoA−I活性を表すペプチドの発現を包含
し、これはその後in vivoで投与されうる。ApoA−IおよびApoA
−I活性を表すペプチドを発現するために本発明に従って使用できる宿主細胞は
、繊維芽細胞、Caco−2細胞、上皮細胞、内皮細胞、筋肉細胞、肝細胞、大
腸や小腸から単離される細胞などを含むがこれらに限定されるものではない。本
発明の好ましい実施形態としては、ApoA−IおよびApoA−I活性を表す
ペプチドを発現するために、宿主細胞として肝細胞、および小腸から単離される
細胞が用いられる。 本発明の宿主細胞は、脂質代謝におけるApoA−Iの役割をさらに理解する
ためのモデルシステムとしての有用性も持つ。 本発明の1つの実施形態として、宿主細胞は、形質導入された細胞を受け取る
ことになる個体である受容者(患者)から、あるいは提供者から得られる。本発
明に従って遺伝子組み換えされる細胞の例としては、肝細胞、胆嚢細胞、小腸細
胞、上皮細胞、内皮細胞(小血管、大血管から単離される細胞を含む)が挙げら
れるが、それらに限定されるものではない。単離細胞はトランスフェクトされる
か、または本明細書に記載したDNAとウイルスベクターにより形質導入される
。形質導入された細胞は、次いで受容者にグラフトされるかまたは移植される。 本発明のもう1つの実施形態としては、一時的および永久的な組換え細胞系を
作製し、天然のアポリポタンパク質Aまたは他のアポリポタンパク質のコード配
列が、修飾されたプレプロアポリポタンパク質A−I、修飾プロアポリポタンパ
ク質A−I、または修飾されたApoA−IもしくはApoA−Iアゴニストの
コード配列によって置き換えられる。 挿入配列の発現を調節するか、または遺伝子産物を特定の設計様式に改変およ
びプロセシングするような宿主細胞株を選択してもよい。そのようなタンパク質
生成物の修飾(例えば、グリコシル化)とプロセッシング(例えば、切断)はタ
ンパク質の機能のために重要である。異なる宿主細胞によって、タンパク質およ
び遺伝子産物の翻訳後のプロセッシングや修飾の特徴的かつ特異的なメカニズム
を有している。適した細胞系または宿主系を、発現されるべき外来性蛋白の正し
い修飾を確実にするように選択することができる。この目的のために遺伝子産物
の一次転写、グリコシル化、リン酸化のための細胞組織を有する真核宿主細胞を
用いてもよい。そのような哺乳動物の宿主細胞は、CHO,VERO,HeLa
,COS,MDCK,293,3T3,およびWI38細胞系を含むがこれらに
限定されるものではない。 ApoA−Iアゴニスト活性を持つ天然ApoA−Iまたはペプチドの長期間
の高収率生産のために、安定にこれらのペプチドを発現する哺乳動物の宿主細胞
を作製してもよい。ウイルス性の複製起源を含む発現ベクターを用いるよりもむ
しろ、宿主細胞は、適当な発現制御因子(例えばプロモーター、エンハンサー、
配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによ
って制御されるDNAで形質転換できる。外来性DNAの導入に続いて、遺伝子
操作された細胞を1〜2日間富化栄養培地で成長させ、それから選択した培地に
移動する。組換えプラスミド中の選択可能マーカーのおかげで、選択に対する耐
性を与え、細胞の染色体中にプラスミドを安定に組み込ませ、成長させて核(f
oci)を形成させ、それをまたクローン化して細胞系にまで拡大することがで
きる。この方法は細胞系を製造するのに有利に使用される。この方法はApoA
−IおよびApoA−Iペプチドの遺伝子産物を発現する細胞系を設計するのに
有利に使用される。そのような細胞系はApoA−IやApoA−Iペプチド遺
伝子産物の内因性活性に影響を及ぼす化合物のスクリーニングや評価に特に有用
である。 多くの選択系が用いられる。即ち、ヘルペスシンプレックスウイルスのチミジ
ンキナーゼ(Wigler,et al.,1977,Cell 11:223
)、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szyb
alska & Szybalski,1962,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 48:2026)、およびアデニン−ホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ(Lowy,et al.,1980,Cell 22:817
)遺伝子がそれぞれtk,hgprtまたはaprt細胞中で用いられる
が、これらに限定されるものではない。また抗代謝耐性は、以下の遺伝子につい
て選択する基準として使用できる:dhfrこれはメトレキセートに対する耐性
を与える。(Wigler,et al.,1980,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 77:3567; O’Hare,et al.,1
981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78: 1527)
; gpt これはミコフェノール酸への耐性を与える。(Mulligan
& Berg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 7
8: 2072); neoこれはアミノグリコシドG418への耐性を与える
(Colberre−Garapin,et al.,1981,J.Mol.
Biol.150:1);ならびにhygroこれはハイグロマイシンへの耐性
を与える(Santerre,et al.,1984,Gene 30: 1
47) 例えば、ApoA−Iペプチドのヘテロポリマーをコードするカセットは上に
詳述したように、アデノウイルスの中に有利に設計される。 5.2.3 ApoA−Iを発現するトランスジェニック動物 本発明はまた遺伝子治療のための有用性を持つことに加えて、脂質代謝におけ
るApoA−Iの役割をさらに理解するためのモデル系として、本発明のトラン
スジェニック動物のApoA−Iヌクレオチド配列の発現を包含する。マウス、
ラット、ウサギ、モルモット、ミニブタ、ヤギ、ヒト以外の霊長類(例えばヒヒ
、サル、チンパンジー)などの任意の動物種がApoA−Iトランスジェニック
動物を作るために使われるが、これらに限定されるものではない。 ApoA−I導入遺伝子を動物に導入して、トランスジェニク動物の第一世代
を作るために、当該分野で公知の技術を用いることができる。このような技術に
は、前核微量注入(Hoppe,P.C.and Wagner,T.E.,1
989,U.S.Pat.No.4,873,191); レトロウイルスを媒
介とした細菌ラインへの遺伝子導入(Van der Putter et a
l.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 82:
6148−6152);胚幹細胞における遺伝子標的(Thompson,et
al.,1989,Cell 56:313−321);胚のエレクトロポレ
ーション(Lo,1983,Mol.Cell 3:1803−1814);な
らびに精子を媒介とした遺伝子導入(Lavitrano et al.,19
89,Cell 57:717−723);等が挙げられるが、これらに限定さ
れない。そのような技術の総説としては、参照によりその全体が本明細書に援用
されるGordon,1989,Transgenic Animals,In
tl.Rev.Cytol.115: 171−229を参照のこと。 本発明はいくつかの、しかし全部ではない細胞に導入遺伝子を担持する動物(
すなわちモザイク動物)、ならびに全細胞にApoA−I導入遺伝子を担持する
トランスジェニック動物を提供する。導入遺伝子は単一の導入遺伝子として、ま
たはコンカテマー(例えばヘッド−ヘッド(head−to−head)タンデ
ムまたはヘッド−テイル(head−to−tail)タンデム)で組み込まれ
る。導入遺伝子はまた、Lasco et al.の教示(Lasco,M.e
t al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89
: 6232−6236)に従って、特定の細胞タイプ中に選択的に導入され、
活性化される。そのような細胞型特異的活性化に必要となる調節配列は、本発明
の特定の目的の細胞型に依存し、当業者には明らかであろう。ApoA−I導入
遺伝子が内因性ApoA−I遺伝子の染色体部位に組み込まれることが望まれる
場合、遺伝子標的化が好ましい。簡単に言えば、そのような技術が利用される場
合、内因性ApoA−I遺伝子と相同なヌクレオチド配列をいくつか含むベクタ
ーが、染色体配列との相同的組換えを介して、内因性ApoA−I遺伝子のヌク
レオチド配列の機能を破壊する組込みのために設計される。また、例えばGuら
(Gu et al.,1994,Science 265,103−106)
の教示に従って、導入遺伝子を、特別の細胞型に選択的に導入し、その細胞型の
みにおいて内因性ApoA−Iを不活性化してもよい。そのような細胞型に特異
的な不活性化に要求される調節配列は、本発明の特定の目的の細胞型に依存し、
当業者には明白である。 5.3 ApoA−Iペプチドを送達するための遺伝子治療法 また、本発明に従って天然のApo−IまたはApoA−Iペプチドをコード
するヌクレオチド配列を送達するために、遺伝子治療法を用いることもできる。 本発明の遺伝子治療法は、動物、特にヒトを含む哺乳動物における任意の障害
を治療するのに使用でき、このためには血清HDL濃度の上昇、LCATの活性
化、およびコレステロール流出およびRCTの促進が有用である。このような症
状には、高脂血症、特に高コレステロール血症、およびアテローム硬化症などの
心臓血管疾患(アテローム硬化症の予防および既存の病気の治療を含む);再狭
窄(例えば、バルーン式血管形成などの医療処置の結果発達するアテローム硬化
性プラークの予防または治療);ならびに内毒血症(これはしばしば敗血症性シ
ョックを生じる)(例えばGouni et al.,1993,J.Lipi
d Research 94:139−146; Levine,WO96/0
4914)などのその他の障害、が挙げられるがこれらに限定されない。 上記症状を治療するために、本発明の遺伝子治療法は単独で、または他の薬剤
での治療と組み合わせて使用できる。このような治療には、関与する薬剤の同時
投与または連続投与が含まれるが、これらに限定されない。 5.3.1 遺伝子置換治療 正常なApoA−Iペプチド発現および/またはApoA−Iペプチド産物活
性レベルの増加に関して、上記第5.1節に述べたApoA−Iペプチドヌクレ
オチド配列が、例えば異常脂肪血症または高脂血症の治療に利用される。そのよ
うな治療は例えば、遺伝子置換治療の形で行われる。特に、正常ApoA−Iペ
プチドまたは正常なApoA−Iペプチド機能を示すApoA−Iペプチド産物
の産生を指令するApoA−Iペプチドの部分の1つ以上のコピーがベクターを
用いて患者の適当な細胞に挿入される。ベクターはアデノウイルス、アデノ随伴
ウイルス、およびレトロウイルスベクター、および細胞にDNAを導入する他の
粒子、例えばリポゾームを含むが、これらに限定されるものではない。 ApoA−Iタンパク質は肝臓で発現するので、そのような遺伝子置換治療技
術はApoA−Iペプチド配列を患者の中でこれらの細胞型に送達することがで
きなければならない。 もう1つの具体的な例では、送達のための技術はそのようなApoA−Iペプ
チド配列を、ApoA−Iペプチド配列が発現されるべき細胞の部位に直接投与
することを含む。 ApoA−Iペプチド発現および/またはApoA−Iペプチド産物活性の全
体のレベルを増加させるために利用される他の方法として、適当なApoA−I
発現細胞、好ましくは自己由来の細胞を、高脂血症の症状を治すために十分の量
を患者のしかるべき場所に導入することが含まれる。このような細胞は、組換え
型であってもよいし、非組換え型であってもよい。 患者の中でApoA−Iペプチド発現の全体レベルを増加させるために投与す
ることができる細胞には通常の細胞、好ましくはApoA−Iペプチドを発現す
る肝細胞である。 また、細胞、好ましくは自己由来細胞を、ApoA−Iペプチド配列を発現す
るように設計することができ、これは、異常脂肪血症の症状の回復に適する位置
で、患者に導入される。あるいは、損傷のないApoA−Iペプチドを発現し、
MHC適合の個体から得られる細胞を利用することができ、それには例えば肝細
胞が含まれる。ApoA−Iペプチド配列の発現は必要な細胞型中でこのような
発現ができるように適当な遺伝子制御配列によってコントロールされる。そのよ
うな遺伝子制御配列は当業者にはよく知られている。そのような細胞に基づく遺
伝子治療技術も当業者にはよく知られている。例えば、Anderson,米国
特許第5,399,349号を参照のこと。当該文献は、本明細書中に参考とし
てその全体が組み込まれる。 投与される細胞が非自己由来のものである場合には、それらは導入する細胞に
対する宿主の免疫応答が発生するのを防ぐ、よく知られた技術を用いて投与され
る。例えば、細胞はカプセル化された形態で導入される。これにより、細胞のす
ぐ外側の環境との成分の交換を可能としつつ、導入された細胞が宿主の免疫系に
より(異物として)認識されないようにする。 5.3.2 in vivoにおける核酸の輸送 核酸の患者への輸送には、直接法か間接法かの2方法がある。直接法では、患
者に核酸または核酸担持ベクターを直接曝露し、間接法では、細胞をまずinv
itroで形質転換し、それから細胞置換療法のために患者に移植する。この2
つの手法は、それぞれin vivoまたはex vivo遺伝子療法として知
られている。 一具体的態様では、核酸をin vivoで直接投与し、コード化した産物が
生産されるように発現させる。これは、当分野で公知の多くの手法のいずれでも
行いうる。例えば、適切な核酸発現ベクターの一部として所望の核酸を構築し、
それを細胞内に、例えば、欠陥ないしは弱毒化レトロウィルや他のウィルススベ
クターを用いて感染させることによって投与する方法(アメリカ特許No.4,
980,286参照)、裸のDNAを直接注入する方法、微小粒子の打ち込み(
例えば、デュポンの遺伝子銃Biolistic)を使うか、脂質または細胞表
面受容体または形質導入剤による被覆を使うか、リポソームまたは微小粒子また
は微小カプセル内の包接化を使う方法、細胞ないしは核内に入り込むことが判明
しているペプチドと連結して核酸を投与する方法――例えば核酸を、受容体−介
在細胞貪食作用を受けやすいリガンドに連結して投与する方法(例えば、Wu
and Wu,1987,J.Biol.Chem.262:4429−443
2参照。)(これは、特異的に受容体を発現している細胞型を標的するのに使用
し得る。)などがある。一具体的態様では、特異的受容体を標的することによっ
て、核酸が、in vivoにおいて細胞特異的取り込みや発現に対して標的に
なり得る(例えば、PCT公報1992年4月16日付WO92/06180
(Wuら); 1992年12月23日付WO92/22635(Wilson
ら); 1992年11月26日付WO92/20316(Frindeisら
);1993年7月22日付WO93/14188(Clarkeら);199
3年10月14日付WO93/20221(Young))。別の態様では、リ
ガンドの中にエンドソームを壊す融合誘導ウィルス性ペプチドを含んだ核酸−リ
ガンド複合体が形成される。このことは核酸がリソソームによる分解を受けにく
いようになっていることを意味する。代替として、核酸は、相同的組み換えによ
って、細胞内に導入され、発現用宿主細胞DNA内に取り込まれ得る(Koll
er & Smithies,1989,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA 86:8932−8935;Zijlstra ら、1989,N
ature 342:435−438)。 更に、別の態様では、核酸を、時間制御放出装置を使ってin vivoで投
与し得る。また、本核酸は、in vivoで、本発明のApoA−Iペプチド
及びアゴニストを発現している細胞を含んだ装置を使って投与することもできる
。そうすることによって、核酸の受容者ないしは宿主による拒絶を防ぐことがで
きる。本装置を使用することによって、切断分子量として約3,500〜50,
000ダルトンの蛋白質やペプチドは、透過性膜を通して拡散できる。 肝細胞を標的するDNAないしはウイルスベクターのための一つの戦略は、肝
細胞上にアシアロ糖蛋白(ASPG)受容体が存在することに基づいている。こ
の受容体は、肝細胞表面上に特異的に発現している。アシアログリコペプチド−
蛋白質複合体およびアシアログリコペプチドを被覆した小胞は、種々の生物活性
剤を特異的にin vivoで肝臓に輸送することに使われてきた。Aitie
ら、1980,Poc.Natl,Acad.Sci.27:5923−592
7;Hildenbrandtら、1980,BBA 631:499−502
。 ヌクレオチド配列の肝細胞への標的輸送する他の戦略は、ウイルスベクター、
つまりASPG受容体に対するリガンドを発現しているアデノウィルスやレトロ
ウィルスを遺伝子的に修飾することである。ウィルスの内在化は、ウィルス包膜
の、細胞表面受容体との特異的相互作用、それに引き続くウィルス/受容体複合
体の受容体介在貪食作用との特異的相互作用によって起こる。本発明に関連して
使用されるウィルスベクターについては、既に5.2.2章で議論した。 5.3.3 ex vivoによる核酸の輸送 本発明の細胞置換治療で使用される遺伝子治療の別のアプローチとして、組織
培養内の細胞に遺伝子を輸送する方法がある。その方法には、エレクトロポーレ
ーション法(電気穿孔法)、リポフェクション法、リン酸カルシウム介在トラン
スフェクション法、ウィルス感染法がある。通常の輸送法としては、選択的マー
カーの細胞への輸送がある。細胞は選択にかけられ、輸送された遺伝子を取り込
み、それを発現している細胞が単離される。次いで、この細胞を患者に移送する
。 本態様では、核酸は、in vivo投与の前に細胞内に導入され、組換え細
胞とする。そのような導入は、公知のいかなる法により行われる。その手法は以
下のものを含むがこれに限らない。つまり、トランスフェクション法、エレクト
ロポーレーション法、微量注入法、核酸配列を含むウィルスベクターによる感染
法、細胞融合法、染色体介在遺伝子輸送法、微小細胞介在遺伝子輸送法、スフェ
ロプラスト法などである。外来遺伝子を細胞中に導入する方法として数多くの技
法が知られている(例えば、Loeffler & Behr,1993,Me
th.Enzymol.217:599−618;Cohenら、1993,M
eth.Enzymol,217:618−644;Cline,1985,P
harmac.Ther.29:69−92参照)。これらの方法は、受容者の
細胞の、生育上かつ生理的に必要な機能が阻害されないという前提の下で、本発
明に従って使用し得る。その手法を使えば、核酸が確実に細胞に輸送されるはず
であり、その結果、核酸は細胞内で発現可能となり、細胞の後続子孫に遺伝的に
伝達されかつ細胞内に発現可能となる。 得られた組み換え細胞を、当分野で公知の種々の手法により患者に移送するこ
とができる。好ましい態様では、上皮細胞を、例えば皮下注射することが挙げら
れる。他の態様では、、組み換え皮膚細胞(例えば、角質化細胞)は、患者に皮
膚移植片として適用される。組み換え血液細胞(例えば、造血幹細胞または始原
細胞)は、好ましくは静脈投与される。想定される細胞の使用量は、望まれる効
果、患者の状態などに依存し、この当分野に熟達している人によって決定されう
る。 組み換え細胞が遺伝子治療に用いられる一態様では、遺伝子またはプロモータ
ーサプレッサーをコードしているヌクレオチドを、細胞内ないしは細胞子孫内で
発現し得るように細胞内に導入し、そしてその組み換え細胞をin vivoで
治療効果を狙って投与する。一具体的態様では、幹細胞または始原細胞が使われ
る。単離され、in vitroで維持されうるいずれの幹細胞および/または
始原細胞も、本発明の本態様に従って使用され得る。 ex vivo遺伝子治療アプローチの例として、これらの例に限った訳では
ないが、以下の手順が、本発明のApoA−Iを発現するよう遺伝子的に操作さ
れる肝細胞の単離や、その遺伝子操作された組み換え肝細胞の受容者への移植片
移植または組移植のために利用される。 本態様では、肝臓を供与者や、組換え肝細胞を受けることになっている個人、
つまり受容者から得る。この手順には、肝臓の一部を分離すること、肝臓から肝
細胞をコラーゲナーゼ溶液内での灌注によって分離することが含まれる。肝細胞
が無傷の肝臓から単離される場合には、肝臓から出る、いしは肝臓に入る血管内
にカテーテルを挿入し、カテーテルが挿入された血管を通してコラーゲナーゼ溶
液を灌注し、肝細胞を遊離させる。分離ないしは単離した後、肝細胞はプレート
上に置かれ、形質導入に適切な条件下で保管される。 例えば、高密度のラット肝細胞集団の単離と、この細胞を長期間培養保存する
多数の方法が提示されている。Koch,K.S.and H.L.Leffe
rt,Annals N.Y.Academy of Sciences,34
9:111−127(1980);McGowan,J.A.ら、Journa
l of Cellular Phsiology,108:353−363(
1981);Bissell,D M.and P.S.Guzelian,A
nnal of the New York Academy of Scie
nces,349:85−96(1981);and Enat,R.ら、Pr
oceeding of the National Academy of
Sciences,U.S.A.,81:1411−1415(1984)。こ
ういった方法は、本発明の方法で形質移入された肝細胞の単離と保管に使用でき
る。肝細胞は、下記および実施例1で示したように、BarryおよびFrie
ndによって開発された手順を修飾した方法、およびLaffertにより記載
された灌注混合法を使って調製した。Laffert,H.L.ら、Metho
d in Enzymology,58:536−544(1979)。この教
示は、参考としてここに取り入れた。 肝臓内に取り込まれ、発現している遺伝物質は、選択できるマーカーをコード
している遺伝物質を任意に含めることができる。従って、興味の対象となる遺伝
物質を含有しかつ発現している細胞を同定し、選択することが可能となる。 かくして、本発明の培養肝細胞中に導入されたDNAまたはRNAは、対象と
なる遺伝物質(DNAまたはRNA)や、場合によっては、選択可能なマーカー
をコードした遺伝物質を含有している。そのようなDNAまたはRNAを取り込
み遺伝物質(または取り込みDNA、取り込みRNA)と称する。取り込み遺伝
物質を含む肝細胞は、形質導入肝細胞と称する。この肝細胞は、対象となるDN
AまたはRNAを発現し、コードされた蛋白質ないしはポリペプチドを産生する
。 対象となるポリペプチドまたは蛋白質、場合によっては選択できるマーカー(
例えば、ネオマイシン耐性をコードしているneo)をコードしている外来性D
NAは、in vitroで、下記および実施例I〜IIIに記載されるように
、肝細胞中に取り込まれる。上述したように、単離された肝細胞は、基質マトリ
ックス上にサブコンフルエントな密度で置かれ、Enatらが記載した、ホルモ
ン的に規定された培地中で維持される。Enatの教示は、参考としてここに示
した。Enat,R.ら、Proceeding of the Nation
al Academy of Sciences,USA,81:1411−1
415(1984)。 肝細胞維持の必要程度に応じて培地を変えた。 続いて、細胞を、対象となるDNA(例えば、その発現が肝細胞中で望まれて
いるポリペプチドをコード化しているDNA)を含む両種性レトロウィルスで感
染させ、場合によっては、肝細胞中に取り込まれ得る選択可能なマーカーをコー
ドしているDNAで感染させた。この肝細胞を、組み換えゲノムを持つウィルス
に暴露させることにより、組み換えアデノウィルスまたはレトロウィルスで感染
させた(このため、対象となるDNAは形質導入された)。このことによって、
組み換えレトロウィルスによって細胞が感染される結果となった。高力価両種性
ウィルスを用いることにより、肝細胞感染条件の最適化が可能である。 所望の遺伝物質を肝細胞中に導入するために使用されるウィルスストックは、
上述したように採取され、Polybrene(Aldrich)で補充され、
肝細胞用の培地が加えられる。ウィルスの力価が高い場合には(例えば、約10
cfu/ml)、実質的に全肝細胞が感染を受け、形質導入細胞を選択する必
要性はない。一方、力価が極めて低い場合には、neoまたはhisのような選
択可能なマーカーを持ったレトロウィルスベクターを使用する必要がある。選択
マーカーが使用される際には、ウィルスに暴露後、細胞がコンフルエンスになる
まで培養し、選択培地中に2分する(例えば、選択マーカーがneoであれはG
418を含む培地中で、選択マーカーがhisであればヒスチジノールを含むが
ヒスチジンを含まない培地に入れる)。 取り込んだ遺伝子物質を発現している肝細胞は、組織培養容器中でコンフルエ
ントになるまで増殖され、培養容器から分離され、体内に導入される。これは例
えば手術によって行われる。この場合には、対象となるヌクレオチド配列を発現
できる形質導入肝細胞で構成されている組織を、体内に移植片移植したり移植し
たりする。例えば、この組織は、肝臓に接触している腹腔内に移すこともできる
し、肝臓の上ないしは肝臓の近辺に移植することもできる。別途、形質導入肝細
胞を含む組織は、マイクロキャリアービーズに付着させ、受容者の腹膜腔内に(
例えば注射により)導入することもできる。このアプローチによって、野生型肝
細胞を或る系列のラットに移植する試みが成功裡に終わった。このラットは、N
agase無アルブミン血症ラットで、アルブミン合成能がなく、また移植動物
の血清アルブミン量が中程度レベルでに達していない。遺伝子的に修飾された肝
細胞を肝臓の中に直接注入することも可能である。 形質導入された肝細胞は、一旦個人の体内に導入されると、対象となる遺伝物
質によってコードされたホルモンや酵素や薬剤を継続的に供給し続けるようにな
る。本法によって供給されるホルモンや酵素や薬剤の量は、必要に応じて変更さ
れるか制御することができる(例えば、産生を規制しているかまたは影響を与え
る外部の信号や因子を使ったり、移植片の大きさないしは体内に導入する繊維芽
細胞の量を制御したり、移植片を取り除いたりする)。 5.4 薬物製剤および投与方法 本発明は、in vivoにおける形質転換細胞のための、ApoA−Iまた
はApoA−IペプチドをコードするDNAないしはウィルスベクターの輸送用
薬物製剤、またはin vivoおよびex vivo遺伝子治療アプローチの
ための、DNAないしはウィルスベクターで形質転換された宿主細胞の輸送用薬
物製剤を含んでいる。 本発明のApoA−Iアゴニストは、動物の疾患治療、特にヒトを含む哺乳類
動物の治療に使用できる。この物質は、血清HDL濃度を増加させ、LCATを
活性化し、コレステロール排出とRCTを促進し、有用である。このような症状
には、高脂血症、特に高コレステロール血症、およびアテローム硬化症などの心
臓血管疾患(アテローム硬化症の治療および予防を含む);再狭窄(例えば、バ
ルーン式血管形成などの医療処置の結果発達するアテローム硬化性プラークの予
防または治療);しばしば高トリグリセリド血症に陥るエンドトキシン誘導ショ
ック等、その他の疾患が含まれるが、これらに限らない。(例えば、Gouni
ら、1993,J,Lipid Research 94:139−146;L
evin,WO96/04914参照)。 Apoa−Iアゴニストは、単独ないしは先に述べた疾患の治療に使用される
他の薬剤と併用療法で使われる。その治療は、薬剤の同時投与ないしは連続投与
を含むが、これに限らない。 例えば、高コレステロール血症、アテローム硬化症の治療においては、Apo
A−Iアゴニストを発現している哺乳類宿主細胞を、現在、コレステロール低下
治療剤として用いられている例えば胆汁酸樹脂、ニコチン酸、および/またはス
タチン類のような1薬剤ないしは複数剤と併用して投与できる。そういった併用
処方は、各薬剤が、コレステロール合成および輸送において異なった目標に作用
するため、特に有益な治療有効をもたらす。つまり、胆汁酸樹脂は、コレステロ
ール再循環、カイロミクロン(脂肪小粒子)、LDL集団数に影響を与え、ニコ
チン酸は主としてVLDLおよびLDL数に影響を与え、スタチン類はコレステ
ロール合成を阻害してLDL数を減少させる(多分LDL受容体発現を増加させ
る)。一方、ApoA−Iアゴニストは、RCTに影響を与え、HDLを増加さ
せ、LCAT活性を増加させ、コレステロール流出を促進化する。 他の態様では、ApoA−Iアゴニストを発現している哺乳類宿主細胞は、高
脂血症、高コレステロール血症、アテローム硬化症のような心臓循環系疾患の治
療に、フィブレートと併用で使用し得る。フィブレートが心臓循環系疾患に対し
てその効果が確認されていないため、この処方もまた極めて有用である。 更に別の態様では、本発明のApoA−Iアゴニストは、エンドトキシンで誘
発された敗血症治療に現在使われている抗微生物剤、抗炎症剤と併用することが
できる。 本発明のヌクレオチド配列を発現しているApoA−Iアゴニストは、Apo
A−Iアゴニストを循環系中に輸送すべく、種々の方法で患者に投与できるペプ
チドないしはペプチド−脂質複合体として製剤化され得る。典型的な製剤型およ
び治療レジュメを以下に記す。 本発明のApoA−Iペプチドアゴニストを発現している哺乳類宿主細胞、D
NA−脂質複合体、またはApoA−Iアゴニストをコードしている「裸の」プ
ラスミドDNAは、循環中の生物学的利用性を確実にできる適切ないかなる投与
ルートによっても投与し得る。このことは、静注(IV)、筋注(IM)、皮内
、皮下(SC)、腹腔内(IP)投与を含む非経口投与ルートによって、最も良
く達成することができる。但し、他の投与ルートも使用できる。例えば、経口投
与ルートで胃腸管からの吸収が達成され得る(食物摂取ルート、頬ルート、舌下
ルートを含むがこれに限らない)。但し、その際は、例えば口腔粘膜、胃および
/または小腸内の厳しい環境下にあっても、活性成分の分解を防いだり、分解を
最小限に留めるために、適切な剤型(例えば、腸コーティング剤)が使用される
。さらに、本発明になる物質を標的とする輸送系の中に入れて投与することもで
きる。例えば、肝臓を標的としたリポソーム内に入れて投与する。このリポソー
ムは、選択的に肝臓細胞を標的とする。別途、膣や直腸のような粘膜組織への投
与様式も、胃腸管内での分解を防いだり最小化するのに役立つ。さらに別の選択
肢として、本発明の製剤は、経皮的に(例えば、皮膚経由)または吸入により投
与できる。望ましい投与ルートは、本剤の受容者の状態、年齢、コンプライアン
スによって変わり得ることを理解するべきである。 実際に使用されるApoA−Iアゴニストまたはペプチド−脂肪複合体の投与
量は、投与ルートによって変わるし、本剤の循環血清中の濃度が100mg〜2
g/Lになるように調製されるべきである。ここで述べた動物モデル系で得られ
たデータでは、本発明のApoA−IアゴニストはHLD成分と関連性があり、
ヒトでの予測半減期は約5日間である。具体的には、本ApoA−Iアゴニスト
は、その濃度が0.5〜100mg/kg(IV;IM;SCでの用量)で1週
に1回の割合で静注投与を行う。別の具体例として、連続注入することによって
望ましい血清レベル、約0.5〜100mg/kg/hr、ないしは間歇投与に
よって約0.5〜100mg/kgレベルを維持できる。 種々のApoA−Iアゴニストの毒性や治療効果は、細胞培養や実験動物を使
った標準的な薬学的手法で、LD50(個体集団の50%が死亡にいたる用量)
やED50(個体集団の50%が治療的に有効である用量)を定量した。毒性と
治療効果の間の用量比は、治療係数であり、 LD50/ED50比で表される
。大きな治療係数を示すApoA−Iペプチドアゴニストが望まれる。 5.4.1. 薬物製剤 本発明の薬物製剤は、in vivoで適切に投与ないしは輸送でき、薬学的
に許容される担体中に、活性成分として、ApoA−Iペプチドアゴニストを発
現している哺乳類宿主細胞、裸のApoA−Iペプチドまたは脂質との複合体を
コードしているDNA、リポソーム、非脂質性カチオンポリマーを含んでいる。 静注製剤は、水性または油性賦形剤中に活性成分が入った、無菌けん濁液、溶
液、エマルジョンを含んでいる。組成中には、けん濁化剤、安定化剤、分散剤の
ような製剤化剤を含んでいる。注射用製剤は、単位用量の様式、例えばアンプル
または複数用量容器として表され、また追加の保存剤を含むこともある。 別途、注射製剤は、適当な賦形剤を使って再製剤化できるように、使用前の状
態で、粉末の形で供給されてもよい。この賦形剤は、無菌で細菌発熱性物質を含
まない水、緩衡液、デキストローズ溶液などを含んでいる。粉末化の最終段階で
、ApoA−Iアゴニストペプチドを凍結乾燥するか、または同時に凍結乾燥さ
れたペプチド−脂質複合体を調製する。貯蔵製剤は、単位用量の形で供給され、
in vivoで使用する際に再調製される。 持続した薬剤輸送のために、移植時投与の際に、活性成分は、例えば皮下注射
剤、皮膚下注射剤、筋肉内注射剤のような、貯蔵製剤として製剤化される。例と
して、活性成分は、適切な高分子物質ないしは疎水性物質(例えば、許容できる
油中でのけん濁液として)またはイオン交換樹脂、またはわずかしか溶けない誘
導体、例えばApoA−Iアゴニストのわずかしか溶けない塩の形として製剤化
される。 あるいは、経皮吸収のための活性成分をゆっくり放出する粘着性ディスク若し
くはパッチとして製造された経皮送達システムを使用してもよい。このために、
浸透エンハンサーを用いて、活性成分の経皮浸透を促進することができる。冠動
脈性心臓病および高コレステロール血症の患者に使用するためのニトログリセリ
ンパッチに本発明のApoA−Iアゴニストまたはペプチド−脂質複合体を含ま
せることは特に有益である。 経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、ゲル化前トウモ
ロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、もしくはヒドロキシプロピル・メチル
セルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水
素カルシウム)、界面活性剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、も
しくはシリカ)、崩壊剤(disintegrant)(例えば、ジャガイモデ
ンプンもしくはナトリウムデンプングリコレート)、または湿潤剤(例えば、ラ
ウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤と共に、従来の手段によ
って調製された錠剤またはカプセルの形態にされてもよい。錠剤は、当該分野で
周知の方法によって被覆されてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば
、溶液、シロップまたは懸濁液の形態にされてもよいし、または乾燥製品として
提供されて使用前に水もしくはその他の適切なビヒクルで構築されてもよい。そ
のような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘
導体または水素添加食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、
非水性ビヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコール、もしくは
分留植物油)、および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ
ベンゾエートまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加物と共に従来の手
法によって調製され得る。調製物は、緩衝塩、香味料、着色剤および甘味料を適
量含んでいてもよい。経口投与用の調製物は、活性化合物の制御された放出を得
るように適切に製剤化されることができる。 頬投与のために、組成物は、従来の手法によって製剤化された錠剤またはロゼ
ンジの形態にされうる。直腸および膣の投与経路のために、活性成分は、溶液、
(維持性浣腸のための)坐剤、または軟膏として製剤化されてもよい。 吸入による投与のために、適切な推進薬(例えば、ジクロロジフルオロメタン
、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もし
くはその他の適切なガス)を使用して、圧縮パックまたは噴霧器から供給される
エアロゾールスプレーの形態で活性成分を適宜送達してもよい。圧縮エアロゾー
ルの場合、弁を設けて投与用量単位を決定して、一定量を送達できる。例えば吸
入器または注入器において使用するゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジ
は、化合物および適切な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合
物を含んで製剤化され得る。 組成物は、所望であれば、活性成分を含む単位用量形態を1つ以上含むパック
またはディスペンサー器で供給されてもよい。パックは、例えば、発砲パックな
どの金属またはプラスチック箔からなっていてもよい。パックまたはディスペン
サー器には、投与指示書を付けてもよい。 5.5 その他の用途 本発明のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−Iペプチドとアゴニ
ストは、たとえば診断のために、血清中のHDLを測定するin vitroア
ッセイに使うことができる。ApoA−Iアゴニストは血清中のHDL成分と結
合するので、アゴニストはHDL粒子数の「マーカー」として使うことができる
。さらにアゴニストはRCTで有効なHDLのサブ集団のマーカーとして使うこ
とができる。この目的のために、アゴニストを患者の血清サンプルに添加または
混合し、適当なインキュベーション時間が経過した後に、結合したApoA−I
アゴニストを検出することによりHDL成分をアッセイすることができる。これ
は、標識したアゴニスト(たとえば、放射性標識、蛍光標識、酵素標識、染料な
ど)を使うか、あるいはアゴニストに特異的な抗体(または抗体のフラグメント
)を使った免疫学的測定法により達成される。 あるいは、標識アゴニストをイメージング手法(たとえば、CATスキャン、
MRIスキャン)に使用して、循環系を視覚化するか、あるいはRCTを監視す
るか、あるいは脂肪条痕におけるHDLの蓄積、アステローム性動脈硬化病変な
ど(HDLがコレステロール流出で活性である場合)を視覚化することができる
。 6.実施例:LCAT活性化アッセイ 本発明のヌクレオチドによってコードされるペプチドの例を表VIIIに列挙
する。この表には、同時に化学的に合成したペプチドも示す。遺伝的にコードさ
れたアミノ酸あるいは天然のApoA−Iと比べて38%未満のLCAT活性を
示すアミノ酸から成るペプチドに限り、本発明に含まれるものとする。列挙した
全てのペプチドは、LCATを活性化する能力についてin vitroで分析
した。LCATアッセイでは、卵ホスファチジルコリンまたは1−パルミトイル
−2−オレイル−ホスファチジルコリン(POPC)および放射性標識コレステ
ロールからなる基質小胞(小型の単層小胞または「SUV」)を、当量のペプチ
ドまたはApoA−I(ヒト血漿から分離)と予めインキュベートしておく。反
応はLCAT(ヒト血漿から精製)を添加して開始させる。陽性対照として使用
した天然のApoA−Iは100%の活性化活性を示す。ペプチドの「比活性」
(すなわち、活性単位(LCAT活性化)/単位量)は、最大のLCAT活性化
を達成するペプチドの濃度として算出できる。たとえば、一連の濃度のペプチド
(たとえば、限界希釈)をアッセイして、ペプチドの「比活性」を判定できる。
ここで「比活性」は、アッセイにおける特定の時点(たとえば、1時間)におい
て最大のLCAT活性化(すなわち、コレステロールのコレステロールエステル
への変換率)を達成する濃度である。たとえば反応1時間におけるコレステロー
ルの変換率を、使用したペプチドの濃度に対してプロットすれば、「比活性」は
プロット曲線のプラトーを達成するペプチドの濃度として定義できる。 6.1 基質小胞の調製 LCATアッセイで用いる小胞は卵ホスファチジルコリン(EPC)または1
−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン(POPC)およびコレ
ステロールを20:1のモル比で含むSUVである。40回のアッセイに十分な
小胞ストック溶液を調製するために、7.7mgのEPC(または7.6mgの
POPC;10μmol)、78μg(0.2μmol)の4−14C−コレス
テロール、116μgのコレステロール(0.3μmol)を5mlのキシレン
に溶解し、凍結乾燥する。その後、4mlのアッセイ緩衝液を乾燥粉末に加え、
窒素雰囲気下に4℃で音波処理する。音波処理条件:Branson 250ソ
ニケーター、10mmチップ、6.5分;アッセイ緩衝液:10mM Tris
、0.14M NaCl、1mM EDTA、pH7.4。音波処理した混合物
を14,000rpm(16,000xg)で各回5分ずつ6回遠心分離してチ
タン粒子を分離する。得られる透明な溶液を酵素アッセイに使用する。 6.2 LCATの精製 LCATを精製するために、ヒト血漿のデキストラン硫酸/Mg2+処理を行
ってリポタンパク質欠乏血清(LPDS)を取得し、これを順次フェニルセファ
ロース、アフィゲルブルー(Affigelblue)、コンカナバリンAセフ
ァロースおよび抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィーでクロマトグ
ラフにかけた。代表的な精製を以下の表VIIにまとめて示す。 6.2.1 LPDSの調製 LPDSを調製するために、500mlの血漿を50mlのデキストラン硫酸
(MW=500000)溶液に加える。20分攪拌する。3000rpm(16
,000xg)、4℃で30分遠心分離する。さらなる精製のために上清(LP
DS)を用いる(約500ml)。 6.2.2 フェニルセファロースクロマトグラフィー フェニルセファロースクロマトグラフィーのために次の材料および条件を使用
した。 固相: フェニルセファロース・ファースト・フロー、高置換グレード、 Pharmacia カラム: XK26/40、ゲル床の高さ: 33cm、V=約175ml 流速: 200ml/hr(サンプル) 洗浄: 200ml/hr(緩衝液) 溶出: 80ml/hr (蒸留水) 緩衝液: 10mM Tris、140mM NaCl、1mM EDTA p
H7.4、0.01%アジ化ナトリウム Tris緩衝液でカラムを平衡化し、
500mlのLPDSに29gのNaClを加えてカラムにアプライする。波長
280nmでの吸収がほぼ基底線になるまで数倍容量のTris緩衝液で洗浄す
る。その後蒸留水で溶出する。タンパク質を含む画分をプールし(プールのサイ
ズ:180ml)、アフィゲルブルークロマトグラフィーに使用する。 6.2.3 アフィゲルブルークロマトグラフィー フェニルセファロースからのプールを20mM Tris−HCl,pH7.
4、0.01%アジ化ナトリウムに対して4℃で一夜透析する。プール容量を限
外濾過(Amicon YM30)で50〜60mlにまで減らし、アフィゲル
ブルーカラムにローディングする。 固相: アフィゲルブルー、Biorad、153〜7301カラム、XK
26/20、 ゲル床の高さ: 約13cm;カラム体積: 約70ml 流速: ローディング: 15ml/h 洗浄: 50ml/h Tris緩衝液でカラムを平衡化する。フェニルセファロースからのプールを
カラムにアプライする。同時に画分を集め始める。Tris緩衝液で洗浄する。
プールした画分(170ml)をConAクロマトグラフィーに使用した。 6.2.4 ConAクロマトグラフィー アフィゲルブルーからのプールをAmicon(YM30)で30〜40ml
に減らし、ConA出発緩衝液(1mM Tris−HCl pH7.4、1m
M MgCl、1mM MnCl、1mM CaCl、0.01%アジ化
ナトリウム)に対して4℃で一夜透析した。 固相: ConAセファロース(Pharmacia) カラム: XK26/20、ゲル床の高さ: 14cm(75ml) 流速: ローディング: 40ml/h 洗浄(出発緩衝液による): 90ml/h 溶出: 50ml/h、0.2Mメチル−α−D−マンノシドを 1mM Tris,pH7.4に溶解したもの マンノシド溶出のタンパク質画分を集め(110ml)、限外濾過(YM30
)により容量を44mlにまで減らした。ConAプールを2mlのアリコート
に分割し、−20℃で保存する。 6.2.5 抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィー 抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィーはAffigel−Hz材
料(Biorad)で行ったが、この材料には抗ApoA−1が共有結合されて
いる。 カラム: XK16/20、V=16ml。カラムをPBS pH7.4で平衡
化した。カラムにローディングする前に2mlのConAプールをPBSに対し
て2時間透析した。 流速:ローディング:15ml/h 洗浄(PBS) 40ml/h プールしたタンパク質画分(V=14ml)をLCATアッセイに使用する。 カラムを0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)で再生して、結合されたA−
Iを溶出し(100ml)、この手順の後すぐにPBSで再平衡化する。 6.3 結果 LCAT活性化アッセイの結果を以下の表VIIIに示す。 表Xにおいて、*はN末端アセチル化およびC末端アミド化されているペプチ
ドを示す。+はN末端ダンシル化されているペプチドを示す。spは実験条件下
で溶解性に問題があったペプチドを示す。XはAib、ZはNal、0は0rn
である。He(%)はらせん度のパーセントを示す。micsはミセルを示す。
−は欠失されたアミノ酸を示す。 7.実施例:アポA−Iペプチドの構造および脂質結合分析 上記の第6節に記載したようにして合成した精製ペプチドの構造特性および脂
質結合特性を、円偏光二色性(CD)、蛍光分光法および核磁気共鳴(NMR)
によって測定した。 7.1円偏光二色性 本実施例は、ペプチドの単独および脂質の存在下でのα−ヘリックスの二次構
造の割合(%)を測定するための好ましい方法を記載する。 7.1.1実験方法 遠UV円偏光二色性スペクトルを熱電式セルホルダーおよび試料チェンジャー
を備えたAVIV62DS分光計(AVIV Associates,Lake
wood,NJ,USA)を用いて190〜260nm間(0.5nmまたは0
.2nm刻み)で記録した。装置は(+)−10−ショウノウ酸で較正した。各
試料について、それぞれ10cm、5cm、1cmおよび0.1cmの経路長の
石英Suprasilセルを用いて10−7M〜10−4Mのペプチド濃度に対
して1〜3スキャンを集めた。バンド幅は1.5nmに固定し、スキャンスピー
ドは波長1ステップあたり1sに固定した。報告したデータは少なくとも2個ま
たは3個の別個の測定値の平均である。 バックグラウンドを引き算(substraction)した後、スペクトル
を残基あたりのモル楕円率(molar ellipticity)(θ)(度
cm−2dmol−1)に変換した。ペプチド濃度をアミノ酸分析により測定し
、またペプチドが発色団(トリプトファン、ダンシル、ナフチルアラニン)を含
む場合、Perkin Elmer λ17UV/可視分光光度計による吸収光
度分析によっても測定した。 遊離の非結合ペプチド(5mMのリン酸緩衝液中5μM、pH7.4)、ペプ
チド−SUV複合体(20:1 EPC:Chol.、Ri=30およびRi=
50)、ペプチド−ミセル複合体(1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−sn−
グリセロ−3−ホスファチジルコリン、Ri=100)、ならびに2,2,2−
トリフルオロエタノール(TFE)の存在下での遊離の非結合ペプチド(5μM
のペプチド、90容量%TFE)についてのCDスペクトルを得た。 Nを吹き込みながら脂質をリン酸緩衝液(5mM、pH7.4)に5分間か
けて分散させ、その後、浴超音波処理器で超音波処理する(1.5時間)ことに
よりSUVを得た。調製物の均質性をFPLCでチェックした。 脂質(6mMの1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホ
スファチジルコリン、Avanti Polar Lipids、AL)をリン
酸緩衝液(5mM、pH7.4)にNを吹き込みながら5分間かけて分散させ
、撹拌することによりミセルを得た。 ペプチド−SUV複合体を得るために、SUVをペプチド[5mMリン酸緩衝
液中に5μM、pH7.4]にリン脂質−ペプチドモル比(Ri)100で加え
た。 ペプチド−ミセル複合体を得るために、ミセルをペプチド(5mMのリン酸緩
衝液中5μM、pH7.4)にRi 100で加えた。 スペクトルはすべて37℃で記録した。温度の関数としてのペプチド210(
配列番号210)の安定性(緩衝液中で遊離状態のもの、およびミセル状態のも
の)を一連の異なる温度でスペクトルを記録することにより測定した。 ペプチド210(配列番号210)のらせん度の程度も濃度の関数として測定
した。 7.1.2らせん度測定 種々の条件におけるペプチドのらせん度の程度を、222nmにおける平均残
基楕円率(mean residue ellipticity)(Chenら
,1974,Biochemistry 13:3350−3359)から、あ
るいはデータベース(Provencher & Glockner,1981
,Biochemistry 20:33−37の16ヘリックス参照スペクト
ル;Venyaminovら,1993,Anal.Biochem.214:
17−24の変性タンパク質参照スペクトル)で入手可能な参照スペクトルに対
して得たCDスペクトルをCONTINカーブフィッティング・アルゴリズムバ
ージョン2DP、CD−1パック(1982年8月)(Provencher,
1982,Comput.Phys.Commun.27:213−227,2
29−242)を用いて比較することにより測定した。許容できる適合を、CO
NTINアルゴリズムによって得られた統計学的分析法を用いて決定した。全方
法の誤差は±5%のらせん度であった。 7.1.3結果 遊離の非結合ペプチド(遊離)、ペプチド−SUV複合体(SUV)、ペプチ
ド−ミセル複合体(mics)およびペプチド−TFE溶液(TFE)のらせん
の程度(%)を下記の8.3節の表Xに報告する。 ペプチド210(配列番号210)はミセル中で5μMの濃度で有意なαらせ
ん構造(63%らせん度)を含む。さらに、αヘリックス構造は5〜45°の温
度範囲にわたり完全に安定である(データは示さず)。ペプチド210(配列番
号210)のらせん度はまた、TFEの存在下でも増大する。このTFEは、水
(ε=78.4)の誘電率を有意に低下させる(ε=26.7)ことにより、5
〜90%(v/v)の間の濃度におけるαヘリックスおよびペプチド間の水素結
合を安定化する溶媒である。 下記の表VIIIに関し、高度のLCAT活性化(≧38%)を示すペプチド
は、一般的に脂質の存在下で有意なαヘリックス構造を有するが(22個以上の
アミノ酸を含む非ブロック化ペプチドまたは18個以下のアミノ酸を含むブロッ
ク化ペプチドの場合にはらせん構造60%以上;18個以下のアミノ酸を含む非
ブロック化ペプチドの倍にはらせん構造40%以上)、ほとんどあるいは全くL
CAT活性化を示さないペプチドはほとんどαヘリックス構造を持たない。しか
しながら、いくつかの場合には、脂質の存在下で有意なαヘリックス構造を含む
ペプチドは有意なLCAT活性化を示さない。したがって、本発明のコアペプチ
ドが脂質の存在下でαヘリックス構造を採用する能力は、本発明のコアペプチド
の重要な特徴であると考えられる。というのは、脂質の存在下でαヘリックスを
形成する能力は、LCAT活性化のための必要条件であると考えられるからであ
る。 7.2蛍光分光法 上記の第6節で合成したペプチドの脂質結合特性を、トリプトファン(Trp
またはW)またはナフチルアラニン(Nal)が存在する場合、標識ペプチドに
よる蛍光測定により試験した。蛍光スペクトルは、150Wのキセノンランプ、
2個のモノクロメーター(励起および発光)、最大850nmまでの赤色に検出
感度を有する光電子増倍管R−928、および熱電式磁気撹拌セルホルダーを備
えたSpex(Jobin−Yvon)製のFluoromaxにて記録した。
石英Suprasilキュベットをマイクロモル濃度レンジの測定に用いた。可
変スリット(0.4〜5nm)の装置により、用いたペプチドの濃度にしたがっ
て付帯(incident)および発光強度の調節をすることができる。報告し
た値は一般的に2〜4スペクトルの平均である。ペプチド濃度はTrp(トリス
緩衝液中ε280nm=5,550M−1cm−1)またはNal(メタノール
中ε224nm=92,770M−1cm−1)の吸収バンドを用いてPhil
ips PU 8800での吸収光度分析により決定する。 ペプチドの蛍光スペクトルをトリスHCl緩衝液(20mM、pH=7.5)
中で脂質小胞の存在下および不存在下にて290nm〜450nmで記録した。
凍結乾燥したリン脂質を緩衝液中で再水和し、分散し、N流下でチップ超音波
処理した後、小さい単層小胞が形成された。用いた脂質は卵のPC/Chol.
(20:1)またはPOPC/Chol.(20:1)のいずれかであった。ス
ペクトルを2μMのペプチド濃度、37℃の温度にて記録した。Trpの場合に
は蛍光参照標準はN−アセチルトリプトファニルアミド(NATA)であった。 2μMのペプチド溶液に脂質小胞を徐々に加えることにより脂質結合試験を行
った(スリット:励起では5nm、発光では1.5nm)。蛍光強度測定につい
て希釈効果を考慮に入れた。脂質濃度を10〜600μMで変化させ、脂質とペ
プチドのモル比(Ri)を5〜300で変化させた。励起の波長をTrpとNa
lの両方について280nmにセットした。 7.2.1蛍光スペクトル分析 分光蛍光計に接続したIBM−PCによりSpex製のDM300Fソフトウ
ェアを通してデータを直接記録し、処理した。スペクトルを溶媒寄与を引き算す
ることにより、そして波長に対する光電子増倍管応答の変化量を考慮したコンス
トラクタによって付与された係数の適用により補正した。 ペプチドの蛍光スペクトルを、その蛍光発光の最大値における波長およびトリ
プトファンで標識したペプチドの場合にはNATAと比較したその量子収量によ
り特性付けた。脂質への結合のプロセスを、蛍光発光の最大値(λmax)の波
長のシフト、ならびに脂質濃度に対する発光の相対蛍光強度の変化量を計算する
ことにより分析した。相対蛍光強度を下記の比:(I−I)λmax/Iλ
maxと定義する。IおよびIの両方はペプチドの初期遊離状態、すなわち脂
質を含まない状態に対応する(λmax)で決定される。Iは脂質とペプチドの
規定の比における強度であり、Iは脂質の不存在下で測定した同パラメーター
である。これらのばらつきが無いのは、脂質を有するペプチドの相互作用が無い
ことに関連している。7.2.2. 結果および考察 (位置10にW(trp)残基を含む以外はペプチド210(配列番号210
)に一次配列が似ている)ペプチド199(配列番号199)の脂質結合特性が
、表IXに示されている。 2μmの濃度での緩衝液中のペプチド199(配列番号199)のトリプトフ
ァン蛍光発光(λmax)の最大値は348nmである。これは、NATA(λ
max=350nm)と比較したときに水性環境に比較的暴露されるトリプトフ
ァンに対応する。ペプチド199(配列番号199)は、トリプトファンの埋設
(トリプトファンの最大蛍光発光に対する波長は、348mnから325nmに
シフトする)および高蛍光強度エキサルテーション(表IXを参照のこと)によ
り示されるように、EPC/Chol(20:1)小単層状小胞に、非常に効率
良く結合する。トリプトファン残基の埋設は、約100の脂質対ペプチドのモル
比で最大である。 前掲の第7.1節で記載したように、円偏光二色性により測定した脂質の存在
下における高度ならせん度(helicity)(22アミノ酸以上のブロック
されていないペプチドまたは18アミノ酸以下のブロックされたペプチドで60
%以上;18アミノ酸以下のブロックされていないペプチドで40%以上)を示
した他のペプチドも、良好な脂質結合性を示した。もちろん、円偏光二色性スク
リーニングにより選択された全てのペプチドのなかで、蛍光により追跡すること
ができたもののみについて、その脂質結合性をテストした。7.3. 核磁気共鳴(NMR) この実施例では、本発明のコアペプチドの構造を分析するためのNMR法につ
いて記載する。7.3.1 NMRサンプル調製 ペプチド5mgを、内部化学シフト参照物質として微量の2,2−ジメチル−
2−シラ−5−ペンタンスルホン酸塩(DSS)を含む90%HO/10%D
O中に溶解して、サンプルを調製した。これらのサンプルのうち幾つかは、ト
リフルオロエタノール(TFE)(体積%で示される)を含んでいた。サンプル
の総量は、500μlであり、ペプチドの濃度は約5mMであった。7.3.2 NMR分光法 B−VT2000温度調節ユニットを備えたBruker DRX500スペ
クトロメーターを用いて500MHzでH NMRスペクトルを得た。標準パ
ルス配列を用いて1次元および2次元実験を記録した(Two Dimensi
onal NMR Spectroscopy,Eds.W.R.Croasm
un and RMK Carlson,1994,VCH Publishe
rs,New York,USA)。2秒間の低電力前飽和(low powe
r presaturation)により、水抑制が達成された。2次元実験を
、両次元において、時間比例位相増分(TPPI)および6000Hzのスペク
トル幅にてを用いて位相感受性モードで行った。典型的には、40回のスキャン
を、2048個のデータポイントで400tの増分に対して共に加えた。IN
DIGO2ワークステーション(Silicon Graphics)上でFE
LIX95ソフトウェア(Molecular Simulations)を用
いてデータを処理した。データをゼロ充填して2K×2Kのデータマトリックス
を得て、45°回転した二乗サイン−ベル関数でアポダイズ(apodize)
した。7.3.3 NMRアサインメント 文献(Wuthrich,NMR of Proteins and Nuc
leic Acids,1986,John Wiley & Sons,Ne
w York,USA)に記載されたようなDQFCOSY、TOCSYおよび
NOESYスペクトルを用いた連続的なアサインメント技法を適用して、完全な
プロトン共鳴アサインメントを得た。集めたランダムコイル化学シフト(Wis
hart and Sykes,1994,Method.Enz.239:3
63−392)を対応する実験値から差し引くことにより、二次化学シフトをH
NおよびHαプロトンについて計算した。7.3.4 結果および考察 全体的な考察:両親媒性らせん状ペプチドは、NMRスペクトルに必要な高濃
度の水溶液中において凝集する傾向があり、高解像度スペクトルを得ることが難
しい。TFEは、ペプチドを可溶化すること、さらに、らせん特性を有するペプ
チドのらせん状立体配置を安定化することが知られている。代表的な例としてペ
プチド210(配列番号210)についてのNMRスペクトル分光法による調査
結果が示された。Segrestのコンセンサス22−mer(配列番号75)
を比較研究した。 二次化学シフト。アミノ酸のプロトン化学シフトは、残基のタイプおよびペプ
チドまたはタンパク質の内部の部分的な2次構造に依存する(Szlagyi,
1995,Progress in Nuclear Magnetic Re
sonance Spectroscopy 27:325−443)。従って
、ランダム・コイル立体配置について集めた数値と実験によるシフトを比較する
ことにより、規則的な二次構造の同定が可能である。 α−ヘリックスの形成により、Hα共鳴が高磁場(up−field)(負)
にシフトする。幾つかの残基についての高磁場Hαシフトの観察結果は、らせん
構造の証拠として一般にとらえられる。295Kでの25%TFEにおけるペプ
チド210(配列番号210)についてのHα二次シフトは、残基4〜15では
有意な負のシフトを示し、高いらせん状立体配置を示している。ペプチド210
(配列番号210)に比べてコンセンサス22−mer(配列番号75)のHα
化学シフトにおいて小さな差が観察された。 αヘリックスの領域にあるアミノ酸残基のアミド水素の化学シフトも、ランダ
ムコイルで観察された化学シフトと比べて高磁場にシフトした。さらに、HNシ
フトの周期性が観察でき、これは、らせんの巻きが周期的であることを反映して
いる。配列に沿ったシフトのばらつきの大きさは、らせん状ペプチドの両親媒性
に関係する。疎水性モーメントが高ければ、振幅はより大きくなる(Zhou
et al.,1992,J.Am.Chem.Soc.114:4320−4
326)。295Kでの25%TFEにおけるペプチド210(配列番号210
)のHN二次シフトは、らせんの両親媒性の性質に一致した振幅の挙動を見せる
。 アミノ酸の置換により、配列全体に沿った周期性がより顕著になる。このパタ
ーンは明らかに、ペプチド210(配列番号210)の両親媒性の性質がSgr
estのコンセンサス22−mer(配列番号75)に比べて強力であることを
反映している。4〜5個のらせんの巻きは無視してもよい。 アミドプロトンの二次シフトは、そのらせんから1巻き離れたカルボニル酸素
への水素結合の長さにより影響を受ける。従って、観察された化学シフト値の周
期性は、異なる水素結合の長さを反映する。この差は、らせん骨格のの全体的な
らせんカーブ形状と関係がある。疎水性残基は、凹部側に位置する。ペプチド2
10(配列番号210)の二次シフトは、カーブ状のα−らせん立体配置を示す
8.実施例:ApoA−Iアゴニストの薬物動態学 以下の実験を使用して、ApoA−Iアゴニストが血液循環中において安定で
あり、且つ血漿のHDL成分に関連していることを示すことができる。8.1 放射性標識ペプチドの合成 N末端アミノ酸として14Cで標識したアミノ酸を結合することにより、放射
性標識ペプチドを合成する。この合成は、Lapatsanis,Synthe
sis,1983,671−173に従って行った。簡単にまとめると、非標識
N末端アミノ酸250μMを9%NaCO溶液225μl中に溶解し、9.
25MBq(250μM)14C標識N末端アミノ酸の溶液(9%NaCO
)に加えた。この液体を0℃にまで冷却し、0.75mlのDMF中の600マ
イクロM(202mg)9−フルオレニルメチル−N−スクシンイミジルカーボ
ネート(Fmoc−OSu)と混合し、室温にて4時間振盪した。その後で、該
混合物をジエチルエーテル(2×5ml)およびクロロホルム(1×5ml)で
抽出し、残りの水性相を30%HClで酸性とし、クロロホルム(5×8ml)
で抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、窒素のもとで体積を5m
lに減らした。TLCにより純度を評価する(CHCl:MeOH:Hac,
9:1:0.1v/v/v,固定相RPTLCシリカゲル60、Merck,G
ermany)。8.2 マウスにおける薬物動態学 各実験において、2.5mg/kgの放射標識ペプチドを、通常のマウスの餌
を与えたマウスおよびアテローム発生Thomas−Harcroft改変食餌
を与えたマウスに腹腔内注射した(VLDLおよびIDLコレステロールが非常
に上昇した)。血液サンプルを各時点で採取し、血漿中の放射能を評価する。8.3 ヒト血清中の安定性 ヒト血清中の本発明のApoA−Iアゴニストの安定性を以下のように示す。8.3.1 実験方法 14C標識ペプチド(前掲の第9.1節で記載したように調製)100μgを
、新鮮なヒト血漿2ml(37℃)と混合し、直ちに(対照サンプル)、および
37℃で8日間インキュベートしたあと(テストサンプル)、脱脂化する。脱脂
肪化は、2:1(v/v)クロロホルム:メタノールの当量で脂質を抽出するこ
とにより、行った。 これらのサンプルを逆相Cl8 HPLCカラムに入れ、(0.1%TFAを
含む)アセトニトリルの直線勾配(33分かけて25〜58%)を用いて溶出す
る。吸光度(220nm)および放射能により、溶出プロファイルを追跡する。8.4 プレ−β様粒子の形成 本発明のApoA−Iアゴニストが、プレ−β様粒子を形成する能力を、以下
のように示す。8.4.1 実験方法 ヒトHDLを、密度d=1.21g/mlでのKBr密度勾配超遠心分離によ
り単離して上層画分を得たあと、Superose 6ゲル濾過クロマトグラフ
ィーにより他のリポたんぱく質からHDLを単離する。単離したHDLを、Br
adfordタンパク質アッセイにより測定したタンパク質含量に基づいた生理
食塩水で1.0mg/mlの最終濃度に調整する。300μlのアリコートをこ
の単離したHDL調製物から取り出し、100μlの14C標識ペプチドと共に
37℃にて2時間インキュベートする。100μlの生理食塩水を含有するブラ
ンク1つ、および4つの14C標識ペプチド((i)0.20μg/μlペプチ
ド:HDL、比=1:15;(ii)0.30μg/μlペプチド:HDL、比
=1:10;(iii)0.60μg/μlペプチド:HDL、比=1:5;お
よび(iv)1.00μg/μlペプチド:HDL、比=1:3)の希釈物を含
む、5つの別々のインキュベーションを分析する。2時間インキュベートしたあ
と、サンプルのアリコート200μl(総量=400μl)をSuperose
6ゲル濾過カラムに入れ、リポタンパク質分離および分析を行い、100μlを
用いて該カラムに載せた全放射能を測定する。8.5 ヒトリポタンパク質とApo−A−Iアゴニストの会合 8.5.1 実験方法 本発明のApoA−Iアゴニストの、ヒトリポタンパク質画分と会合する能力
を、各リポタンパク質クラス(HDL、LDLおよびVLDL)および異なるリ
ポタンパク質クラスの混合物と共に14C標識ペプチドをインキュベートするこ
とにより、測定する。 HDL、LDLおよびVLDLを、d=1.21g/mlにてKBr密度勾配
超遠心分離により単離し、Superose6Bカラムサイズ排除カラムにてF
PLCにより精製する(クロマトグラフィーは、流速0.7ml/分、10mM
Tris(pH8)の移動緩衝液、115mM NaCl、2mM EDTA
および0.01%NaNにて実行する)。14C標識ペプチドを、HDL、L
DLおよびVLDL(ペプチド:リン脂質比が1:5(質量比))と共に、37
℃にて2時間インキュベートする。必要量のリポタンパク質(量は、1000μ
gを産生するのに必要な量に基づく)を、0.2mlのペプチドストック溶液(
1mg/ml)と混合し、該溶液を、0.9%NaClを用いて2.2mlとす
る。 37℃にて2時間インキュベートしたあと、アリコート(0.1ml)を除去
して液体シンチレーションカウンターにより総放射能を測定し、残りのインキュ
ベーション混合物の密度をKBrで1.21g/mlに調節し、サンプルを10
0,000rpm(300,000g)で、4℃にて24時間、Beckman
の卓上超遠心分離装置を用いてTLA100.3ローターで遠心分離にかける。
得られた上清を、各サンプルの一番上から0.3mlのアリコートを取り出して
分画し、合計5つの画分を得る。各画分0.05mlを、液体シンチレーション
カウントに用いる。一番上の2つの画分は、浮遊リポたんぱく質を含んでおり、
他の画分(3〜5)は、溶液中のタンパク質/ペプチドに対応する。8.6 本発明のApoA−Iアゴニストはヒト血漿中のHDL脂質に選択的に
結合する 8.6.1 実験方法 本発明のApoA−Iアゴニストがヒト血漿中のHDLタンパク質に選択的に
結合することを示すために、ヒト血漿2mlを14C標識ペプチド20、40、
60、80および100μgと共に37℃にて2時間インキュベートする。該リ
ポタンパク質の密度を1.21g/mlに調節し、TLA100.3ローターで
100,00rpm(300,000g)、4℃にて36時間遠心分離すること
により、分離する。上部900μl(300μlの画分中)を取り出して分析す
る。各300μlの画分から取り出した50μlについて、放射能値をカウント
し、それぞれの画分から200μlをFPLCにより分析する(Superos
e6/Superose12コンビネーションカラム)。9.実施例:ApoA−Iアゴニストはコレステロール流出を促進する 本発明のApoA−Iアゴニストがコレステロール流出を促進することを示す
ために、HepG肝癌細胞を6ウェル培養皿にのせ、コンフルエントになるまで
培養する。Hコレステロールを乾燥し、次にリン酸緩衝食塩水(PBS)中の
1%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えて、該溶液を超音波処理し、この標識
溶液0.2mlおよび成長培地1.8mlを細胞に加えて、細胞を該コレステロ
ールで標識し、各ウェルが放射能の2μCiを含むようにする。細胞を該標識培
地とともに24時間インキュベートする。 ペプチド(またはタンパク質):DMPC複合体を、1:2のペプチド(また
はタンパク質):DMPC比で調製する。該複合体を調製するために、ペプチド
または天然ヒトApoA−Iタンパク質をPBS中のDMPC溶液に加え、室温
にて一晩インキュベートする(一晩かけることにより、溶液は透明になる)。最
終溶液中のペプチドまたはタンパク質濃度は、約1mg/mlである。 標識培地を該細胞から除去し、該細胞をPBSで洗浄してから複合体を添加す
る。成長培地1.6mlを各ウェルに添加し、つぎにペプチド(またはタンパク
質):DMPC複合体、およびウェルあたりの最終体積を2mlするのに十分な
PBSを加える。最終ペプチドまたはApoA−I濃度は、約1、2.5、5、
7.5および25μg/ml培地である。37℃にて24時間のインキュベーシ
ョン後、培地を除去し、細胞を1%BSA/PBS(2ml)で洗浄し、次にP
BS各2mlで2回洗浄する。培地中へのHコレステロールの流出量を、液体
シンチレーションカウントにより測定する。10.実施例:動物モデル系におけるApoA−Iアゴニストの使用 本発明のApoA−Iアゴニストの効率を、ウサギで示した。結果は、Apo
A−Iアゴニストの投与によりHDL様粒子の血清濃度が上昇することを示して
いる。10.1.リン脂質/ペプチド複合体の調製 リン脂質(DPPC)およびペプチド146(配列番号146)からなる小盤
状粒子を、コール酸透析方法に従って調製した。リン脂質をクロロホルムに溶解
し、窒素流下において乾燥した。ペプチドを1〜2mg/mlの濃度で緩衝液(
食塩水)に溶解した。コール酸を含有する緩衝液(43℃)中に脂質膜を再び溶
解し、該ペプチド溶液を3−1のリン脂質/ペプチド比で加えた。この混合物を
43℃にて一晩インキュベートしたあと、43℃(24時間)、室温(24時間
)および4℃(24時間)にて透析し、このとき温度地点において緩衝液(大量
)を3回変えた。該複合体を、注射および保存(4℃)用にフィルター滅菌(0
.22μ)した。10.2 ペプチド/リン脂質粒子の単離および特徴 該粒子を、ゲル濾過カラム(Superose 6HR)上で分離し、該粒子
を含むピーク位置を、各画分中のリン脂質濃度を測定することにより同定した。
流出量より、ストークスの半径を測定することができた。該複合体中のペプチド
濃度を、16時間の酸加水分解の後にフェニルアラニン含量(HPLC)を測定
することにより測定した。10.3 ウサギへの注射 雄のニュージーランド白ウサギ(2.5〜3kg)に、10〜15mlを超え
ない1回のボーラス注射で、リン脂質/ペプチド複合体(8mg/体重kgのペ
プチド146(配列番号146)または10mg/kg体重のApoA−I、ペ
プチドまたはタンパク質含量として表わされる)の用量で、静脈内注射した。扱
う前に、動物をやや鎮静化させた。血液サンプル(EDTAで収集)を、注射の
前、注射の5、15、30、60、240および1440分後に採取した。各サ
ンプルについてヘマトクリット(Hct)を測定した。サンプルを小分けし、分
析する前に−20℃にて保存した。10.4 ウサギ血清の分析 血漿脂質:総血漿コレステロール、血漿トリグリセリドおよび血漿リン脂質を
、市販されているアッセイ(Boehringer Mannheim,Man
nheim,Germany and Biomerieux,69280,M
arcy−l’etoile,France)を用いてその製造業者のプロトコ
ールに従って、酵素的に測定した。 リポタンパク質プロフィール。血漿をそのリポタンパク質画分に分離したあと
に得られた画分の血漿リポタンパク質プロファイルを、スクロース密度勾配にお
いて回転することにより、測定した。この画分を収集し、個々の画分それぞれに
おいて、リン脂質およびコレステロール含量を酵素的に測定した。10.5 結果 時間の関数としての8mg/kgペプチド146(配列番号146)を注射し
たウサギのリポタンパク質プロフィール(ペプチド/DPPC複合体)。HDL
コレステロール画分のコレステロール中の実質的な増加(画分>1.06mg/
ml)は、注射後5分で明白であり、約24時間持続する。 以下に示す表Xに、濃度勾配超遠心により得られた複合HDL画分のコレステ
ロールを示した。投与の240分後に、HDLコレステロールに最大の増加(9
0%)が見られた。投与の24時間後においても、増加は71.2%であった。 これらのデータから、ペプチド146/DPPC複合体(8mg/kg)の投
与により、急速かつ効果的な末梢コレステロールの移動が誘導される事がわかる
実施例11:共凍結乾燥法によるペプチド−脂質複合体の調製 以下のプロトコルを使用してペプチド−脂質複合体を調製した。 1mgのペプチド149(PVLELFENLWERLLDALQKKLK;
配列番号149)ペプチドを、キャップを有する1mlの透明なガラスバイアル
(Waters #WAT0025054)中の250μlのHPLCグレード
のメタノール(Perkin Elmer)に溶解した。室温で10分間、時々
攪拌することによって、ペプチドの溶解を促進させた。この混合液に、3mgの
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC;Avanti Polar
Lipids,99%純度、製品#850355)を含有するアリコートを10
0mg/mlの保存用メタノール溶液から添加した。メタノールの添加によって
混合液の量を400μlとし、室温で更に10分間、混合液を断続的に攪拌した
。このチューブに200μlのキシレン(Sigma−Aldrich 99%
純度、HPLCグレード)を添加し、チューブをそれぞれ10秒間攪拌した。そ
れぞれのチューブの先端に20ゲージの注射針で2個の小さな穴を開け、チュー
ブを液体窒素中でそれぞれ15秒間凍結させ、真空下で一晩凍結乾燥した。この
チューブに200mlの0.9%NaCl溶液を添加した。チューブを20秒間
攪拌した。この時点で、チューブ内の溶液の外観は乳白色であった。次いでチュ
ーブを水浴上で30分間、41℃でインキュベートした。この後、この溶液は透
明になった(すなわち、外観上水と同様になった)。 11.1 Superose6ゲル濾過クロマトグラフィーによる複合体の性
状解析 ペプチド149(配列番号149)を含有するペプチド−リン脂質複合体を、
文献に記載されているような共凍結乾燥によって調製した。調製物は、1mgの
ペプチド及び4mgのDPPCを重量で含有していた。200μlの0.9%N
aCl中で複合体を再構成した後、複合体20μl(100μgのペプチド14
9を含有)を、液体相として0.9%NaClを使用し、流速0.5ml/分で
Pharmacia Superose6カラムにかけた。波長280nmの吸
光度と散乱により、クロマトグラフィーをモニターした。画分1mlを採取した
。20μlの画分を含有するアリコートに対し、製造者により供給される指示に
従ってbioMerieux Phospholipides Enzymat
ique PAP 150 kit(#61491)を使用してリン脂質含量を
アッセイした。リン脂質およびUV吸光度の大部分は、共に数分画中に回収され
た。ピークは、約15.8mlであった。この溶出容積は、ストーク(Stok
es)の直径87オングストロームに相当した。 比較の為に、ペプチド149複合体と同様のカラムを用い同じ条件下で、20
μlのヒトHDLを別のクロマトグラフィーにかけた。HDLを以下のよう
に調製した。300mlの凍結ヒト血漿(Mannheim Blutspen
dzentrale、#1185190)を解凍し、固体臭化カリウムを用い密
度1.25にした。これを、20℃にて、Ti45遠心機(Beckman)を
用い、40,000prmで45時間遠心した。浮遊層を採集し、蒸留水に対し
て透析した。固体臭化カリウムを用い密度1.07に調節し、前述のように70
時間遠心した。下層(試験管底部から1cm上まで)を採集し、アジ化ナトリウ
ムを0.01%となるように加え、クロマトグラフィーにかけるまで、4℃で4
日間保存した。カラム溶出液は、波長254nmの吸光度または散乱によりモニ
ターした。既知の分子量およびStokesの直径を持つ一連のタンパク質を標
準に用い、粒子のStokesの直径を計算するためにカラムの較正を行った(
Pharmacia Gel Filtration Calibration
Kit Instruction Manual、Pharmacia La
boratory Separation、Piscataway、NJ、19
85年4月改訂)。HDLは、保持容積14.8mlと共に溶出され、Sto
kesの直径108nmに相当した。 ここに記載された特別な実施形態は、本発明の範囲を限定するものではない。
実際、ここに記載されている物に加えて、本発明の様々な修正が、前述の記述お
よび付随する図表から、当技術分野の専門家に対し、明らかになるであろう。そ
のような修正は、請求の範囲に当てはまると解釈される。 ここに様々な出版物が引用されているが、これらの開示はそのまま参照として
組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトApoA−Iのヌクレオチド配列(配列番号 )及びアミノ酸
配列(配列番号 )。
【図2】構造Iで示されるコアペプチドをコードするヌクレオチド配列(配
列番号 )。
【図3】構造IIで示されるコアペプチドをコードするヌクレオチド配列(
配列番号 )。
【図4】構造IIIで示されるコアペプチドをコードするヌクレオチド配列
(配列番号 )。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/00 A61P 9/10 101 9/10 31/04 101 43/00 111 31/04 C07K 7/06 43/00 111 7/08 C12N 5/10 14/47 // C07K 7/06 C12N 15/00 ZNAA 7/08 5/00 B 14/47 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (71)出願人 コルナット,イサベル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,メイゼンヴ ェグ 10 (71)出願人 メッツ,グンテル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,レシンクシ ュトラーセ 14 (71)出願人 デュホーク,ジーン フランス国 エフ−33600 ペサック,ル ー ヤクエス プレバート,7 (72)発明者 ダシュー,ジーン−ルイス アメリカ合衆国 47401 インディアナ州, ブルーミントン,シェルウッド ヒルズ ドライブ 777 (72)発明者 セクル,リネート ドイツ連邦共和国 ディー−68526 ラデ ンバーク,ヴィケムシュトラーセ 13 (72)発明者 バトナー,クラウス ドイツ連邦共和国 ディー−74925 エフ ェンバッハ,イーチェンドルフシュトラー セ 6 (72)発明者 コルナット,イサベル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,メイゼンヴ ェグ 10 (72)発明者 メッツ,グンテル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,レシンクシ ュトラーセ 14 (72)発明者 デュホーク,ジーン フランス国 エフ−33600 ペサック,ル ー ヤクエス プレバート,7 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 CA05 CA06 DA02 EA04 GA11 4B065 AA90X AB01 BA02 CA24 CA44 4C084 AA01 AA13 BA01 BA08 DC50 MA17 MA23 MA28 MA31 MA34 MA35 MA37 MA52 MA55 MA56 MA60 MA63 MA66 NA14 ZA362 ZA412 ZB352 ZC212 ZC332 ZC352 ZC422 4H045 AA10 AA30 BA10 BA14 BA16 BA17 CA40 EA23 FA74 【要約の続き】

Claims (68)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列であ
    って、ApoA−1アゴニストが、 (i)脂質の存在下で両親媒性αヘリックスを形成し、次の構造式(I): X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X
    12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X
    21−X22−X23 からなる15〜29残基ペプチドもしくはペプチド類似体、またはその薬学的に
    許容される塩: 上記式中、 XはPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Gln(Q)、Asn(
    N)またはAsp(D)であり; Xは脂肪族残基であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; Xは酸性残基であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; Xは親水性残基であり; Xは酸性または塩基性残基であり; XはLeu(L)またはGly(G)であり; X10はLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X11は親水性残基であり; X12は親水性残基であり; X13はGly(G)または脂肪族残基であり; X14はLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X15は親水性残基であり; X16は疎水性残基であり; X17は疎水性残基であり; X18はGln(Q)、Asn(N)または塩基性残基であり; X19はGln(Q)、Asn(N)または塩基性残基であり; X20は塩基性残基であり; X21は脂肪族残基であり; X22は塩基性残基であり; X23は存在しないか、塩基性残基である;または (ii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X
    、X20、X21およびX22のうち1個以上8個までが欠失されている構造
    式(I)の欠失型;または (iii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X
    19、X20、X21、X22またはX23のうち少なくとも1個が他の残基で
    保存的に置換されている構造式(I)の改変型; からなる、上記ヌクレオチド配列。
  2. 【請求項2】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT活
    性化活性を示す、請求項1記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA
    −1アゴニスト。
  3. 【請求項3】 構造式(I)の改変型である、請求項1記載のヌクレオチド
    配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  4. 【請求項4】 疎水性残基が構造式(I)に従って確定されており、少なく
    とも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項3記載のヌ
    クレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  5. 【請求項5】 XがPro(P)、Gly(G)またはAla(A)であり; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはGly(G)であり; X10がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X13がLeu(L)またはGly(G)であり; X14がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X16がAla(A)、Trp(W)、Gly(G)、Leu(L)またはP
    he(F)であり; X17がLeu(L)またはGly(G)であり; X21がLeu(L)であり;そして X、X、X、X11、X12、X15、X18、X19、X20、X
    およびX23のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請
    求項4記載のApoA−1アゴニスト。
  6. 【請求項6】 親水性残基が構造式(I)に従って確定されており、少なく
    とも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項3記載のA
    poA−1アゴニスト。
  7. 【請求項7】 XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLys(K)またはArg(R)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; X11がAsn(N)またはGln(Q)であり; X12がGlu(E)またはAsp(D)であり; X15がAsp(D)またはGlu(E)であり; X18がGln(Q)、Asn(N)またはLys(K)であり; X19がGln(Q)、Asn(N)またはLys(K)であり; X20がLys(K)であり; X22がLys(K)であり; X23が存在しないか、Lys(K)であり;そして X、X、X、X、X、X、X10、X13、X14、X16、X
    17およびX21のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、
    請求項6記載のApoA−1アゴニスト。
  8. 【請求項8】 XがLeu(L)またはPhe(F)であり、XがPh
    e(F)であり、XがLeu(L)またはGly(G)であり、X10がLe
    u(L)、Trp(W)またはGly(G)であり、そしてX、X、X
    13、X14、X16、X17およびX21のうち少なくとも1個が他の残基
    で保存的に置換されている、請求項7記載のApoA−1アゴニスト。
  9. 【請求項9】 置換する残基が置換される残基と同じサブカテゴリーに分類
    される、請求項5または7記載のApoA−1アゴニスト。
  10. 【請求項10】 構造式(I)の欠失型である、請求項1記載のヌクレオチ
    ド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  11. 【請求項11】 ペプチドまたはペプチド類似体の1つのヘリックスターン
    が欠失される、請求項10記載のApoA−1アゴニスト。
  12. 【請求項12】 構造式(I)の22〜23残基ペプチドまたはペプチド類
    似体である、請求項1記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1
    アゴニスト。
  13. 【請求項13】 XがPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)、Gln(
    Q)またはAsp(D)であり; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLys(K)またはArg(R)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはGly(G)であり; X10がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X11がAsn(N)またはGln(Q)であり; X12がGlu(E)またはAsp(D)であり; X13がLeu(L)またはGly(G)であり; X14がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X15がAsp(D)またはGlu(E)であり; X16がAla(A)、Trp(W)、Leu(L)、Phe(F)またはG
    ly(G)であり; X17がGly(G)またはLeu(L)であり; X18がGln(Q)、Asn(N)またはLys(K)であり; X19がGln(Q)、Asn(N)またはLys(K)であり; X20がLys(K)であり; X21がLeu(L)であり; X22がLys(K)であり;そして X23が存在しないか、Lys(K)である、 請求項1記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  14. 【請求項14】 X23が存在しない、請求項13記載のApoA−1アゴ
    ニスト。
  15. 【請求項15】 X18またはX19の一方がGln(Q)またはAsn(
    N)であり、X18またはX19の他方がLys(K)である、請求項13記載
    のApoA−1アゴニスト。
  16. 【請求項16】 X、X10、X13、X14、X15およびX17のそ
    れぞれがGly(G)以外のものである、請求項13記載のApoA−1アゴニ
    スト。
  17. 【請求項17】 X、X10、X13、X14、X15およびX17の1
    つがGly(G)であり、その他がGly(G)以外のものである、請求項13
    記載のApoA−1アゴニスト。
  18. 【請求項18】 次のペプチド: からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するApoA−1アゴニストをコー
    ドする、請求項1記載のヌクレオチド配列。
  19. 【請求項19】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列で
    あって、ApoA−1アゴニストが、 (i)脂質の存在下で両親媒性αヘリックスを形成し、次の構造式(II):
    −X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X
    12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X
    21−X22−X23からなる15〜29残基ペプチドもしくはペプチド類似体
    、またはその薬学的に許容される塩: 上記式中、 XはPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Gln(Q)、Asn(
    N)またはAsp(D)であり; Xは脂肪族残基Val(V)またはLeu(L)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはGlu(E)であり; Xは脂肪族残基であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはGlu(E)またはLeu(L)であり; XはAsn(N)またはGln(Q)であり; XはLeu(L)であり; X10はLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X11は酸性残基であり; X12はArg(R)であり; X13はLeu(L)またはGly(G)であり; X14はLeu(L)、Phe(F)またはGly(G)であり; X15はAsp(D)であり; X16はAla(A)であり; X17はLeu(L)であり; X18はAsn(N)またはGln(Q)であり; X19は塩基性残基であり; X20は塩基性残基であり; X21はLeu(L)であり; X22は塩基性残基であり; X23は存在しないか、塩基性残基である;または (ii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X
    、X20、X21およびX22のうち1個以上8個までが欠失されている構造
    式(II)の欠失型;または (iii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X
    19、X20、X21、X22またはX23のうち少なくとも1個が他の残基で
    保存的に置換されている構造式(II)の改変型; からなる、上記ヌクレオチド配列。
  20. 【請求項20】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT
    活性化活性を示す、請求項18記載のヌクレオチド配列によりコードされるAp
    oA−1アゴニスト。
  21. 【請求項21】 構造式(II)の改変型である、請求項18記載のヌクレ
    オチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  22. 【請求項22】 疎水性残基が構造式(II)に従って確定されており、少
    なくとも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項20記
    載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  23. 【請求項23】 XがPro(P)、Gly(G)、Asn(N)またはAla(A)であり
    ; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)であり; XがPhe(F)であり; XがLeu(L)であり; X10がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X13がLeu(L)またはGly(G)であり; X14がLeu(L)、Phe(F)またはGly(G)であり; X16がAla(A)であり; X17がLeu(L)であり; X21がLeu(L)であり;そして X、X、X、X11、X12、X15、X18、X19、X20、X
    およびX23のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請
    求項21記載のApoA−1アゴニスト。
  24. 【請求項24】 親水性残基が構造式(II)に従って確定されており、少
    なくとも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項20記
    載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  25. 【請求項25】 XがGlu(E)であり; XがGlu(E)であり; XがAsn(N)またはGln(Q)であり; X11がAsp(D)またはGlu(E)であり; X12がArg(R)であり; X15がAsp(D)であり; X18がAsn(N)またはGln(Q)であり; X19がLys(K)であり; X20がLys(K)であり; X22がLys(K)であり; X23が存在しないか、Lys(K)であり;そして X、X、X、X、X、X、X10、X13、X14、X16、X
    17およびX21のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、
    請求項23記載のApoA−1アゴニスト。
  26. 【請求項26】 XがLeu(L)またはPhe(F)であり、XがP
    he(F)であり、XがLeu(L)であり、X10がLeu(L)、Trp
    (W)またはGly(G)であり、そしてX、X、X、X13、X14
    16、X17およびX21のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換さ
    れている、請求項23記載のApoA−1アゴニスト。
  27. 【請求項27】 置換する残基が置換される残基と同じサブカテゴリーに分
    類される、請求項22または24記載のApoA−1アゴニスト。
  28. 【請求項28】 構造式(II)の欠失型である、請求項18記載のヌクレ
    オチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  29. 【請求項29】 ペプチドまたはペプチド類似体の1個のヘリックスターン
    が欠失される、請求項27記載のApoA−1アゴニスト。
  30. 【請求項30】 構造式(II)の22〜23残基ペプチドまたはペプチド
    類似体である、請求項18記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA
    −1アゴニスト。
  31. 【請求項31】 XがPro(P)、Ala(A)、Gly(G)またはAsn(N)であり
    ; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがGlu(E)であり; XがLeu(L)であり; XがPhe(F)であり; XがLeu(L)またはGlu(E)であり; XがAsn(N)またはGln(Q)であり; XがLeu(L)であり; X10がLeu(L)、Trp(W)またはGly(G)であり; X11がGlu(E)であり; X12がArg(R)であり; X13がLeu(L)またはGly(G)であり; X14がLeu(L)、Phe(F)またはGly(G)であり; X15がAsp(D)であり; X16がAla(A)であり; X17がLeu(L)であり; X18がAsn(N)またはGln(Q)であり; X19がLys(K)であり; X20がLys(K)であり; X21がLeu(L)であり; X22がLys(K)であり;そして X23が存在しないか、Lys(K)である、 請求項18記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト
  32. 【請求項32】 X23が存在しない、請求項30記載のApoA−1アゴ
    ニスト。
  33. 【請求項33】 X10、X13およびX14のそれぞれがGly(G)以
    外のものである、請求項30記載のApoA−1アゴニスト。
  34. 【請求項34】 X10、X13またはX14の1つがGly(G)であり
    、その他がGly(G)以外のものである、請求項31記載のApoA−1アゴ
    ニスト。
  35. 【請求項35】 次のペプチド: からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するApoA−1アゴニストをコー
    ドする、請求項18記載のヌクレオチド配列。
  36. 【請求項36】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列で
    あって、ApoA−1アゴニストが、 (i)脂質の存在下で両親媒性αヘリックスを形成し、次の構造式(III)
    :X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11
    12−X13−X14−X15−X16−X17−X18からなる14〜22
    残基ペプチドもしくはペプチド類似体: 上記式中、 XはPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)またはGl
    n(Q)であり; Xは脂肪族アミノ酸であり; XはLeu(L)であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; Xは塩基性アミノ酸であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはTrp(W)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11は酸性アミノ酸またはAsn(N)であり; X12は酸性アミノ酸であり; X13はLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X14は塩基性アミノ酸またはLeu(L)であり; X15はGln(Q)またはAsn(N)であり; X16は塩基性アミノ酸であり; X17はLeu(L)であり; X18は塩基性アミノ酸である;または (ii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17およびX18
    うち1個以上8個までが欠失されている構造式(III)の欠失型;または (iii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17またはX18
    のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている構造式(III)の
    改変型; からなる、上記ヌクレオチド配列。
  37. 【請求項37】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT
    活性化活性を示す、請求項36記載のヌクレオチド配列によりコードされるAp
    oA−1アゴニスト。
  38. 【請求項38】 構造式(III)の改変型である、請求項36記載のヌク
    レオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  39. 【請求項39】 疎水性残基が構造式(III)に従って確定されており、
    少なくとも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項38
    記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  40. 【請求項40】 XがPro(P)、Gly(G)、Asn(N)またはAla(A)であり
    ; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはTrp(W)であり; X10がLeu(L)またはTrp(W)であり; X13がLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X17がLeu(L)であり;そして X、X、X、X11、X12、X14、X15、X16およびX18
    うち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項39記載のA
    poA−1アゴニスト。
  41. 【請求項41】 親水性残基が構造式(III)に従って確定されており、
    少なくとも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項38
    記載のApoA−1アゴニスト。
  42. 【請求項42】 XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがArg(R)またはLys(K)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; X11がAsn(N)またはGlu(E)であり; X12がGlu(E)であり; X14がLys(K)またはArg(R)であり; X15がGln(Q)またはAsn(N)であり; X16がLys(K)またはArg(R)であり; X18がAsn(N)またはGln(Q)であり;そして X、X、X、X、X、X、X10、X13およびX17のうち少
    なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項41記載のApoA
    −1アゴニスト。
  43. 【請求項43】 XがLeu(L)であり、XがPhe(F)であり、
    がLeu(L)またはTrp(W)であり、X10がLeu(L)またはT
    rp(W)であり、そしてX、X、X、X13およびX17のうち少なく
    とも1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項41記載のApoA−1
    アゴニスト。
  44. 【請求項44】 置換する残基が置換される残基と同じサブカテゴリーに分
    類される、請求項40または42記載のApoA−1アゴニスト。
  45. 【請求項45】 構造式(III)の欠失型である、請求項36記載のヌク
    レオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト。
  46. 【請求項46】 ペプチドまたはペプチド類似体の1個のヘリックスターン
    が欠失される、請求項45記載のApoA−1アゴニスト。
  47. 【請求項47】 構造式(III)の18残基ペプチドまたはペプチド類似
    体である、請求項36記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1
    アゴニスト。
  48. 【請求項48】 XがPro(P)、Ala(A)、Gly(G)またはAsn(N)であり
    ; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがArg(R)またはLys(K)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはTrp(W)であり; X10がLeu(L)またはTrp(W)であり; X11がGlu(E)またはAsn(N)であり; X12がGlu(E)であり; X13がLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X14がArg(R)またはLys(K)であり; X15がGln(Q)またはAsn(N)であり; X16がAlg(R)またはLys(K)であり; X17がLeu(L)であり; X18がAsg(R)またはLys(K)である、 請求項36記載のヌクレオチド配列によりコードされるApoA−1アゴニスト
  49. 【請求項49】 次のペプチド: からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するApoA−1アゴニストをコー
    ドする、請求項36記載のヌクレオチド配列。
  50. 【請求項50】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCA
    T活性化活性を示し、次の構造式(IV): を有する多量体ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列または
    その薬学的に許容される塩: 上記式中、 各mは独立して0〜1の整数であり、 nは0〜10の整数であり、 各HHは独立して請求項1または18または36記載のペプチドまたはペプチ
    ド類似体であり、 各LLは独立して二官能性リンカーである。
  51. 【請求項51】 請求項1、18または36記載のヌクレオチド配列により
    コードされるペプチドを発現する宿主細胞。
  52. 【請求項52】 請求項17、35または49記載のヌクレオチド配列によ
    りコードされるペプチドを発現する宿主細胞。
  53. 【請求項53】 請求項50記載のヌクレオチド配列によりコードされるペ
    プチドを発現する宿主細胞。
  54. 【請求項54】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列お
    よび製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含有する医薬組成物であって
    、 ApoA−1アゴニストが請求項1、18または36記載のヌクレオチド配列に
    よりコードされる、上記医薬組成物。
  55. 【請求項55】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列お
    よび製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含有する医薬組成物であって
    、 ApoA−1アゴニストが請求項17、35または49記載のヌクレオチド配列
    によりコードされる、上記医薬組成物。
  56. 【請求項56】 ApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列お
    よび製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤を含有する医薬組成物であって
    、 ApoA−1アゴニストが請求項50記載のヌクレオチド配列によりコードされ
    る、上記医薬組成物。
  57. 【請求項57】 前記ヌクレオチド配列がヌクレオチド−脂質複合体の形を
    しており、該複合体がApoA−1アゴニストをコードするヌクレオチド配列と
    脂質からなる、請求項54記載の医薬組成物。
  58. 【請求項58】 異常脂肪血と関連した障害をもつ被験体に有効量の請求項
    1、18または36記載のヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列を発現す
    る宿主細胞を投与することを含んでなる、該被験体の治療方法。
  59. 【請求項59】 ApoA−1アゴニストがApoA−1アゴニストと脂質
    からなるApoA−1アゴニスト−脂質複合体の形をしている、請求項58記載
    の方法。
  60. 【請求項60】 ApoA−1アゴニストが医薬組成物の形をしており、該
    組成物がApoA−1アゴニストと製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤
    を含有する、請求項58記載の方法。
  61. 【請求項61】 異常脂肪血と関連した障害が高コレステロール血症である
    、請求項58記載の方法。
  62. 【請求項62】 異常脂肪血と関連した障害が心血管性の疾病である、請求
    項58記載の方法。
  63. 【請求項63】 異常脂肪血と関連した障害がアテローム硬化症である、請
    求項58記載の方法。
  64. 【請求項64】 異常脂肪血と関連した障害が再狭窄である、請求項58記
    載の方法。
  65. 【請求項65】 異常脂肪血と関連した障害がHDLまたはApoA−1不
    全症である、請求項58記載の方法。
  66. 【請求項66】 異常脂肪血と関連した障害が高トリグリセリド血症である
    、請求項58記載の方法。
  67. 【請求項67】 異常脂肪血と関連した障害が代謝症候群である、請求項5
    8記載の方法。
  68. 【請求項68】 内毒素血症と関連した障害である敗血症性ショックの被験
    体に有効量の請求項1、18または36記載のヌクレオチド配列または該ヌクレ
    オチド配列を発現する宿主細胞を投与することを含んでなる、該被験体の治療方
    法。
JP2000513549A 1997-09-29 1998-09-28 アポリポタンパク質a−1アゴニストを供給するための遺伝子治療法および異常脂肪血障害を治療するためのその使用 Withdrawn JP2003525565A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/940,136 1997-09-29
US08/940,136 US6518412B1 (en) 1997-09-29 1997-09-29 Gene therapy approaches to supply apolipoprotein A-I agonists and their use to treat dyslipidemic disorders
PCT/US1998/020329 WO1999016409A2 (en) 1997-09-29 1998-09-28 Gene therapy approaches to supply apolipoprotein a-i agonists and their use to treat dyslipidemic disorders

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003525565A true JP2003525565A (ja) 2003-09-02

Family

ID=25474297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000513549A Withdrawn JP2003525565A (ja) 1997-09-29 1998-09-28 アポリポタンパク質a−1アゴニストを供給するための遺伝子治療法および異常脂肪血障害を治療するためのその使用

Country Status (17)

Country Link
US (4) US6518412B1 (ja)
EP (1) EP1039934B1 (ja)
JP (1) JP2003525565A (ja)
KR (1) KR100650975B1 (ja)
CN (1) CN100345588C (ja)
AT (1) ATE323510T1 (ja)
AU (1) AU758307B2 (ja)
CA (1) CA2304814A1 (ja)
DE (1) DE69834267T2 (ja)
ES (1) ES2263221T3 (ja)
HU (1) HU225821B1 (ja)
IL (1) IL135324A0 (ja)
NO (1) NO20001601L (ja)
NZ (1) NZ503720A (ja)
PL (1) PL193662B1 (ja)
RU (1) RU2222545C2 (ja)
WO (1) WO1999016409A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012518006A (ja) * 2009-02-16 2012-08-09 セレニス セラピューティクス エスエー アポリポタンパクa−i模倣物
JP2013540106A (ja) * 2010-08-30 2013-10-31 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー テトラネクチン−アポリポタンパク質a−i、それを含有する脂質粒子及びその使用

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6004925A (en) * 1997-09-29 1999-12-21 J. L. Dasseux Apolipoprotein A-I agonists and their use to treat dyslipidemic disorders
US6518412B1 (en) * 1997-09-29 2003-02-11 Jean-Louis Dasseux Gene therapy approaches to supply apolipoprotein A-I agonists and their use to treat dyslipidemic disorders
JP4794707B2 (ja) * 1998-11-17 2011-10-19 ソニー株式会社 端末装置、課金システム、データ処理方法
AU2001245622A1 (en) * 2000-03-13 2001-09-24 Amgen Inc. Apo-a-i regulation of t-cell signaling
US6664230B1 (en) * 2000-08-24 2003-12-16 The Regents Of The University Of California Orally administered peptides to ameliorate atherosclerosis
US7166578B2 (en) 2000-08-24 2007-01-23 The Regents Of The University Of California Orally administered peptides synergize statin activity
US7199102B2 (en) * 2000-08-24 2007-04-03 The Regents Of The University Of California Orally administered peptides synergize statin activity
US7148197B2 (en) * 2000-08-24 2006-12-12 The Regents Of The University Of California Orally administered small peptides synergize statin activity
US8568766B2 (en) 2000-08-24 2013-10-29 Gattadahalli M. Anantharamaiah Peptides and peptide mimetics to treat pathologies associated with eye disease
US7144862B2 (en) * 2000-08-24 2006-12-05 The Regents Of The University Of California Orally administered peptides to ameliorate atherosclerosis
US7723303B2 (en) * 2000-08-24 2010-05-25 The Regents Of The University Of California Peptides and peptide mimetics to treat pathologies characterized by an inflammatory response
US7470659B2 (en) * 2001-12-07 2008-12-30 The Regents Of The University Of California Methods to increase reverse cholesterol transport in the retinal pigment epithelium (RPE) and Bruch's membrane (BM)
US6930085B2 (en) 2002-04-05 2005-08-16 The Regents Of The University Of California G-type peptides to ameliorate atherosclerosis
EP1699527A1 (en) 2004-01-02 2006-09-13 Advanced Cardiovascular Systems, Inc. High-density lipoprotein coated medical devices
RU2448977C2 (ru) * 2004-09-16 2012-04-27 Зе Риджентс Оф Зи Юнивесити Оф Кэлифонье Обладающий способностью облегчать по меньшей мере один симптом воспалительного состояния пептид, содержащая его фармацевтическая композиция и способ лечения атеросклероза с их помощью
ATE469174T1 (de) 2004-10-15 2010-06-15 Us Gov Health & Human Serv Amphipathische helixförmige multidomänenpeptide und verfahren zu deren anwendung
AU2005314043A1 (en) 2004-12-06 2006-06-15 The Regents Of The University Of California Methods for improving the structure and function of arterioles
US20080293639A1 (en) * 2005-04-29 2008-11-27 The Regents Of The University Of California Peptides and peptide mimetics to treat pathologies characterized by an inflammatory response
CN101489577B (zh) * 2006-06-01 2013-10-16 蒙特利尔心脏病学研究所 治疗心瓣膜病的方法和化合物
US20080227686A1 (en) * 2006-06-16 2008-09-18 Lipid Sciences, Inc. Novel Peptides that Promote Lipid Efflux
US20080206142A1 (en) * 2006-06-16 2008-08-28 Lipid Sciences, Inc. Novel Peptides That Promote Lipid Efflux
EP2041174A2 (en) * 2006-06-16 2009-04-01 Lipid Sciences, Inc. Novel peptides that promote lipid efflux
AU2007285775B2 (en) * 2006-08-17 2011-03-03 Sanofi Pasteur Ltd. Immunogenic PcpA polypeptides and uses thereof
US20080138284A1 (en) * 2006-09-26 2008-06-12 Lipid Sciences, Inc. Novel Peptides That Promote Lipid Efflux
DK2195331T3 (da) * 2007-08-28 2014-02-03 Uab Research Foundation Syntetiske polypeptider, der efterligner apolipoprotein e, og anvendelsesmetoder
US8557767B2 (en) 2007-08-28 2013-10-15 Uab Research Foundation Synthetic apolipoprotein E mimicking polypeptides and methods of use
US8101565B2 (en) * 2007-09-20 2012-01-24 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Sustained release of Apo A-I mimetic peptides and methods of treatment
US7985727B1 (en) 2007-09-20 2011-07-26 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Apo A-I mimetic peptides and methods of treatment
US8044021B2 (en) * 2007-09-20 2011-10-25 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Sustained release of apo A-I mimetic peptides and methods of treatment
US7985728B1 (en) 2007-09-20 2011-07-26 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Sustained release of Apo A-I mimetic peptides and methods of treatment
US9173890B2 (en) 2007-09-20 2015-11-03 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Sustained release of Apo A-I mimetic peptides and methods of treatment
WO2009129263A1 (en) * 2008-04-15 2009-10-22 The Government Of The Usa As Represented By The Secretary Of The Department Of Health & Human Serv. Peptides promoting lipid efflux via abca1 and activating a lipoprotein lipase
US8176412B2 (en) * 2009-08-25 2012-05-08 International Business Machines Corporation Generating formatted documents
CN103443123B (zh) * 2011-02-07 2020-05-29 塞勒尼斯医疗控股公司 脂蛋白复合物及其制备和用途
WO2012162392A1 (en) 2011-05-23 2012-11-29 Timothy Hla Endothelium protective materials and methods of use
JP6207507B2 (ja) 2011-08-25 2017-10-04 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft 短縮されたテトラネクチン−アポリポプロテインa−i融合タンパク質、それを含む脂質粒子、及びその使用
CN104250288B (zh) * 2013-06-28 2018-02-27 清华大学 两亲性α螺旋自组装肽及其应用
RU2016144908A (ru) 2014-05-02 2018-06-05 Серени Терапеутикс Холдинг Са Маркеры hdl-терапии
EP3189069A4 (en) 2014-07-31 2018-03-07 UAB Research Foundation Apoe mimetic peptides and higher potency to clear plasma cholesterol
US20210106538A1 (en) * 2016-06-20 2021-04-15 The Regents Of The University Of Michigan Compositions and methods for delivery of biomacromolecule agents

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH621479A5 (ja) 1977-08-05 1981-02-13 Battelle Memorial Institute
CA1173360A (en) 1979-06-22 1984-08-28 Jurg Schrank Pharmaceutical preparations
DE3241102A1 (de) 1982-11-06 1984-05-10 A. Nattermann & Cie GmbH, 5000 Köln Imidazolylalkylthienyl-tetrahydropyridazine und verfahren zu ihrer herstellung
US4643988A (en) 1984-05-15 1987-02-17 Research Corporation Amphipathic peptides
US4880635B1 (en) 1984-08-08 1996-07-02 Liposome Company Dehydrated liposomes
US4857319A (en) 1985-01-11 1989-08-15 The Regents Of The University Of California Method for preserving liposomes
US5733879A (en) 1992-06-12 1998-03-31 N.V. Innogenetics, S.A. Peptides and proteins, process for their preparation and their use as cholesterol acceptors
US5674855A (en) 1992-08-12 1997-10-07 The Rogosin Institute Methods and compositions useful in prophylaxis and therapy of endotoxin related conditions
SE9203753D0 (sv) 1992-12-11 1992-12-11 Kabi Pharmacia Ab Expression system for producing apolipoprotein ai-m
US5643757A (en) * 1994-03-21 1997-07-01 American Cyanamid Company High yield production of human apolipoprotein A1 in E. coli.
WO1995027512A2 (en) * 1994-04-11 1995-10-19 Baylor College Of Medicine Compositions and methods for gene therapy to treat disease
FR2734568B1 (fr) 1995-05-22 1997-06-20 Rhone Poulenc Rorer Sa Nouveaux variants de l'apolipoproteine
US6518412B1 (en) * 1997-09-29 2003-02-11 Jean-Louis Dasseux Gene therapy approaches to supply apolipoprotein A-I agonists and their use to treat dyslipidemic disorders

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012518006A (ja) * 2009-02-16 2012-08-09 セレニス セラピューティクス エスエー アポリポタンパクa−i模倣物
JP2015110677A (ja) * 2009-02-16 2015-06-18 セレニス セラピューティクス ホールディング エスアー アポリポタンパクa−i模倣物
JP2013540106A (ja) * 2010-08-30 2013-10-31 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー テトラネクチン−アポリポタンパク質a−i、それを含有する脂質粒子及びその使用

Also Published As

Publication number Publication date
HUP0003924A3 (en) 2005-12-28
KR20010030806A (ko) 2001-04-16
HUP0003924A2 (hu) 2001-01-29
RU2222545C2 (ru) 2004-01-27
CA2304814A1 (en) 1999-04-08
US20030208059A1 (en) 2003-11-06
HU225821B1 (en) 2007-10-29
DE69834267D1 (de) 2006-05-24
EP1039934A1 (en) 2000-10-04
EP1039934A4 (en) 2002-11-27
DE69834267T2 (de) 2007-01-04
IL135324A0 (en) 2001-05-20
US7250407B2 (en) 2007-07-31
US6518412B1 (en) 2003-02-11
NO20001601L (no) 2000-05-26
PL193662B1 (pl) 2007-03-30
KR100650975B1 (ko) 2006-11-29
NZ503720A (en) 2002-10-25
EP1039934B1 (en) 2006-04-19
AU9671498A (en) 1999-04-23
CN100345588C (zh) 2007-10-31
US20050148513A1 (en) 2005-07-07
NO20001601D0 (no) 2000-03-28
AU758307B2 (en) 2003-03-20
ES2263221T3 (es) 2006-12-01
PL358529A1 (en) 2004-08-09
ATE323510T1 (de) 2006-05-15
CN1303298A (zh) 2001-07-11
US6844327B2 (en) 2005-01-18
WO1999016409A2 (en) 1999-04-08
US20080050351A1 (en) 2008-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003525565A (ja) アポリポタンパク質a−1アゴニストを供給するための遺伝子治療法および異常脂肪血障害を治療するためのその使用
CN103182069B (zh) 荷电的脂蛋白络合物及其用途
DE69837855T2 (de) Apolipoprotein-a-i-agonisten und ihre anwendung zum behandeln von dyslipidämischer erkrankung
DE69839014T2 (de) Apolipoprotein a-i agonisten und deren verwendung zur behandlung dyslipidämischer erkrankungen
DE69837809T2 (de) Apolipoprotein a-i agonisten sowie deren verwendung zur behandlung dislipidemischer erkrankungen
US20180203025A1 (en) Hdl therapy markers
MXPA04011312A (es) Metodo para el tratamiento de desordenes dislipidemicos.
US7273849B2 (en) ProapolipoproteinA-I mutant and pharmaceutical composition comprising the same for prevention and treatment of atherosclerosis and hyperlipidemia
WO1995013374A2 (en) Human and mouse very low density lipoprotein receptors and methods for use of such receptors
AU2008266753A1 (en) ApoA-1 peptide mimetics
CN101675072A (zh) 胆固醇流出的有效和选择性的介质
JP2007534612A (ja) 高コレステロール血症の治療のためのコレステロール逆輸送メディエータ
CA2172978A1 (en) Arteriosclerosis remedy
JP3713290B2 (ja) 抗癌剤
JPH04505609A (ja) Hdl―結合タンパク質
MXPA00003049A (en) Apolipoprotein a-i agonists and their use to treat dyslipidemic disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050927

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050927

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060512

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060512

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20071126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080414