JP2003518712A - 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム - Google Patents

直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム

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JP2003518712A JP2001547685A JP2001547685A JP2003518712A JP 2003518712 A JP2003518712 A JP 2003518712A JP 2001547685 A JP2001547685 A JP 2001547685A JP 2001547685 A JP2001547685 A JP 2001547685A JP 2003518712 A JP2003518712 A JP 2003518712A
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ディー. ブロウルト,リチャード
エイ. コンディット,デイヴィッド
ディン,レズリー エル. ヴァン
エム. ステインバグラー,マーガレット
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ユーティーシー フューエル セルズ,エルエルシー
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Abstract

(57)【要約】 還元性流体およびプロセス酸化剤流体の反応ガス流から電気エネルギーを発生するための直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム(10)が開示される。システム(10)は還元性流体および酸化剤流体のガス流から電気エネルギーを発生するための少なくとも一つの燃料電池(12)と、燃料電池(12)のカソード電極触媒(66)と隣接してこれと流体連通関係にある多孔質の水輸送プレート(36)を含む、冷却流体を流してプラント(10)内の温度を制御するための熱管理システム(54)と、水輸送プレート(36)を通過する直接不凍液溶液と、熱管理システム(54)と流体連通関係に取り付けられて炭化水素燃料を還元性流体に転化し、かつ直接不凍液溶液中の直接不凍液の濃度を制御するための燃料処理構成要素と、を含む。好ましい直接不凍液溶液はグリセロール、ブタントリオール、およびペンタントリオールからなる群から選ばれるアルカントリオールである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、輸送用車両、可搬式動力プラント、または定置式動力プラントに用
いられるのに適した燃料電池動力プラントを形成するように組み込まれた燃料電
池に関し、また本発明は、特にプラントを貫流して熱を除去する直接不凍液溶液
を用いる、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムに関する。
【0002】
【背景技術】
燃料電池動力プラントはよく知られており、宇宙船搭載機器のような電力機器
に電力を供給するように、還元性および酸化性の流体から電気エネルギーを生産
するために、一般に用いられている。このような動力プラントにおいては通常、
平板状の燃料電池が重ねて配置されており、これを電気絶縁性のフレーム構造が
取り囲んでおり、該フレーム構造が還元性、酸化性、冷却用および生成した流体
の流れを導くマニホールドを画定している。それぞれの個別の電池は一般に電解
質で隔てられたアノード電極とカソード電極とを有する。水素などの還元性流体
がアノード電極に供給され、酸素や空気などの酸化剤がカソード電極に供給され
る。電解質としてプロトン交換膜(「PEM」)を用いる電池においては、水素
はアノード電極の表面で電気化学的に反応して水素イオンと電子を発生する。電
子は外部の負荷回路へ導通された後にカソード電極へもどされる。一方、水素イ
オンは電解質中をカソード電極へ移動し、ここで酸化剤および電子と反応して水
を発生し、熱エネルギーを放出する。
【0003】 このような燃料電池のアノード電極とカソード電極とは、運転上の要求および
燃料電池の作動環境からの制限に依存して、色々な種類の電解質で隔てられてい
る。このような電解質の一例は当業界周知の固体高分子からなるプロトン交換膜
(「PEM」)電解質である。燃料電池に用いられるその他の一般的な電解質と
しては、アノード電極とカソード電極の間の多孔質かつ非電導性のマトリックス
に保持されたリン酸または水酸化カリウムがある。PEM電池は液状の酸性また
はアルカリ性の電解質に対して、特定の運転パラメータを満足する上で、実質的
な利点を有することが知られている。なぜならばPEM膜は、多孔質マトリック
ス中に毛細管力で保持された液状電解質に比較して、還元性流体と酸化剤との間
に差圧に対してより抵抗性のある障壁を提供するからである。加えて、PEM電
解質は固定されていて電池から浸出することがなく、また膜は比較的安定な保水
能を有する。
【0004】 PEMを用いる燃料電池の製造は、白金合金などの適当な第一の触媒層を、P
EMの第一の表面と、第一の、すなわちアノード電極の多孔質基体層との間に固
定して、PEMの第一の表面に隣接するアノード電極を形成することと、第二の
触媒層を、 PEMの第一の表面とは反対側の第二の表面と、第二の、すなわち
カソード電極の多孔質基体層との間に固定して、PEMの反対側の第二の表面に
カソード電極を形成することと、を含む。このようにして取り付けられたアノー
ド電極触媒、PEM、およびカソード電極触媒はしばしば「膜電極アッセンブリ
」あるいは「M.E.A.」と呼ばれているので、ここでは膜電極アッセンブリ
と呼ぶこととする。PEM燃料電池の運転においては膜は水で飽和されており、
膜に隣接するアノード電極は濡れた状態になくてはならない。アノード電極で生
成した水素イオンが電解質を通って移動するとき、水素イオンはヒドロニウムイ
オンの形の水分子を同伴し、これをアノード電極からカソード電極すなわち触媒
へと牽引する。水はまた浸透によってカソード電極からアノード電極へ還流移動
して戻る。カソード電極で形成された生成水は、プロセス酸化剤または還元性流
体のどちらかのガス流中への蒸発または飛沫同伴によって、電池から除去される
。多孔質の反応剤流れ領域を有する燃料電池においては、すなわち本発明の全て
の権利の譲受人が所有する米国特許第4,769,297号に記載されるような
燃料電池においては、別法として水の一部は多孔質の反応剤流れ領域を通って循
環冷却流体中に入り、液体として除去されてもよい。
【0005】 PEMは重要な利点を有する一方で、無視できない限界を有することも知られ
ている。この限界は、特にPEMを通る、およびPEMから出て行く液状水の移
動に関し、またPEMの両表面に隣接する電極から、および電極への、還元性流
体およびプロセス酸化剤流体の同時的な移動に関するものである。先行技術はこ
のような限界の効果を最小化するための多くの努力が含まれている。このような
燃料電池を付属構成要素とともによく知られる燃料電池スタックの形に組み立て
、輸送用車両に動力を供給する燃料電池動力プラントを形成することは、水管理
に関するさらなる問題を生じさせる。すなわち、例えば燃料電池動力の自動車が
氷点下の条件で運用されるときでも、生成水の凍結を防いだり、始動時に凍結し
た水を急速に溶かしたりしなければならない。公知の燃料電池動力プラントは、
冷却流体を燃料電池および他の構成要素を通して流し、電池を最適温度範囲に保
つとともに熱を効率的に分布させるような、冷媒管理または熱管理システムを用
いている。冷却流体が水を含む溶液である場合はこれもまた凍結から保護されな
ければならない。このような冷媒系統において、エチレングリコールと水または
プロピレングリコールと水などの不凍液溶液を冷却流体として利用することが知
られている。
【0006】 しかしながら、このような不凍液溶液は電極を形成する触媒に吸収されて、触
媒毒を及ぼすことが知られている。さらに、これらの不凍液溶液は表面張力が低
く、その結果として触媒に隣接するどのような撥水制支持層でも濡らしてしまい
、それによって反応流体の触媒への拡散を妨げ、かくして電極の性能をさらに低
下させる。また、これらの不凍液の蒸気圧は高すぎるので、燃料電池排気流を通
して、または燃料電池動力プラントの燃料処理部門のボイラーで発生する蒸気を
通して、過大な損失が生じる。したがって不凍液溶液を用いる燃料電池の冷媒系
統を密封し、溶液を電極触媒と直接の流体連通関係に置かないようにすることが
知られている。
【0007】 冷媒系統を密閉して、電池と、したがってカソード電極で生成する水と、直接
の流体連通関係に置かないことによって、生成水除去の効率が下がり、結果とし
て電池の性能が低下する。密封された冷却プレートを用いる燃料電池動力プラン
トは通常、生成水を同伴飛沫として除去している。これは蛇行状の流れ通路を必
要とするので、圧力降下が大きくなる。このような電池の例は米国特許5,77
3,160に示されている。この形式の電池は、多くの燃料電池システムにおい
て好ましい運転圧力とされる、大気圧に近い反応剤圧力で運転するのに適してい
ない。密閉式の冷却プレートを用いて電池の性能が低下することによって、設計
上の電力要求を満たすために、追加の電池を用いることが必要になる。追加の電
池は、重い密閉式冷却器と相まって燃料電池動力プラントの重量増および容積増
をもたらす。これは自動車用の動力としては望ましくないことである。
【0008】 これに加えて、燃料電池が自動車の動力を供給している場合は、プロセス酸化
剤ガス流として用いられてカソード電極と接触する環境空気は、その湿度が著し
く変動する。そこで、PEM電解質からの水損失を最小にするために、プロセス
酸化剤および還元性流体の反応ガス流を加湿するために多くの努力を傾けること
が知られている。知られている試みとしては、電池からの生成水の一部を還流す
ること、および/または冷却系統の冷却流体の一部を蒸気として、燃料電池に入
るプロセス酸化剤および/または還元性流体のガス流中に入れること、が挙げら
れる。しかしながら知られている燃料電池においては、加湿用流体は不凍液が触
媒毒を及ぼさないように、完全に不凍液溶液を除外しなければならない。したが
って公知の燃料電池は、加湿系統とは切り離された密閉式の冷却系統を用いてい
る。例えば、ある公知の燃料電池加湿系統は非触媒PEMセルからなる複雑で重
くて大きな膜障壁を、触媒セルの上流に用いて、冷却流体中の、あるいは冷却流
体と混じった生成水中の不凍液溶液が電極触媒と接触しないように、完全に分離
している。このような不凍液溶液分離のための努力は燃料電池のコスト、重量お
よび容積をさらに上積みする。
【0009】 燃料電池が乗用車、トラック、バスなどの輸送車両の動力として開発された動
力プラントに組み込まれるにつれて、動力プラント中の水バランスを保つことが
、各種の要因の故に大きな課題となってきた。例えば定置式燃料電池動力プラン
トにおいては、プラントから失われた水をプラント外の供給源から供給される水
で補給することもできる。しかしながら輸送車両においては、燃料電池動力プラ
ントの所要重量および所要スペースを低減するために、水について自己充足性で
なければプラントが生き残ることはできない。水に関する自己充足性とは、プラ
ントを流過する反応流体のガス流からの水損失を打ち消すのに十分な水が、プラ
ント中に保持されなければならない、ということを意味する。例えば、ガス状酸
化剤のカソード電極排気ガス流を通して、あるいはガス状還元性流体のアノード
電極排気ガス流を通してプラントを出ていく水は、カソード電極で電気化学的に
生成してプラント中に保持される水によって、バランスされなければならない。
【0010】 燃料電池動力プラントにおいて水の自己充足性を保持することに対するもう一
つの困難性は、メタン、天然ガス、ガソリン、ディーゼル燃料等の炭化水素燃料
を処理して、アノード電極に水素に富む流体を供給する適当な還元性流体に転化
するための構成要素に関連している。このような燃料電池動力プラントの燃料処
理構成要素は通常、水蒸気を発生するボイラーと、炭化水素燃料がその中へ噴射
される水蒸気ダクトと、自熱式改質器を包含する。この改質器は水蒸気と燃料の
混合物と、これに加えて少量の、空気などのプロセス酸化剤を受け入れ、この混
合物を燃料電池のアノード電極に供給するのに適した、水素に富む還元性流体に
転化するものである。燃料処理構成要素もまたシステム用の水および動力を要求
するが、これらは燃料電池動力プラントの総括的な水バランスおよび所要動力の
一部である。ボイラーで水蒸気となる水は、例えばカソード電極排気ガス流に入
れられた凝縮用熱交換器および関連する配管によってプラントから回収される水
で、補給されなければならない。
【0011】 燃料電池動力プラントを輸送車両に用いることに関連する他の問題は、このよ
うな車両が暖機運転に長い時間をかけることなく、直ちに運転開始できなければ
ならない、ということから生じる。しかしながら燃料処理システムに蒸気発生用
のボイラーを用いることは、暖機運転のための時間か、急速に沸騰開始させるた
めの軽視できないエネルギー原価か、燃料処理構成要素が適当な燃料を発生でき
るまで電池に他の燃料源を、あるいはプラントに他の動力源を用いるか、のいず
れかを必要とする。
【0012】 冷却流体を電池構成要素と接触させて燃料電池を冷却することに伴うもう一つ
の困難性は、導電性の冷却流体が電池構成要素間に導通路を与えることによって
起こる分路電流腐食を防止するために、冷却流体の導電性を制限することである
。冷却流体が水または類似の溶媒を含む場合は、冷却流体を例えば脱塩装置を通
すことによって、溶解した金属およびイオンを除去しなければならない。脱塩装
置は例えばグラッソ(Grasso)に与えられた米国特許4,344,850
号に示されている。該特許は本発明のすべての権利の譲受人が所有するものであ
り、参考文献としてここに組み込まれている。しかしながらこのような脱塩装置
または類似の水処理システムを自動車用の燃料電池動力プラントに用いる場合は
、水処理システム構成要素内部の冷却流体もまた、凍結から保護されなければな
らない。もし冷却流体が凍るようなことがあると、それは脱塩装置などの水処理
システムに機械的損傷を与える可能性があり、始動手順のなかで解凍を必要とし
、さらに脱塩装置がイオン交換樹脂ビーズを含む場合は、冷却流体の凍結と解凍
がビーズの崩壊を起こさせ、結果として脱塩装置の圧力降下が大きくなり、流れ
が詰まる恐れがある。したがって、冷却流体を処理する水処理システムは燃料電
池動力プラントに重大な重量およびコストを付加することなく、凍結から保護さ
れなければならない。
【0013】 したがって、氷点下の条件でも運転可能であり、密閉された冷却系統中のカソ
ード電極およびアノード電極から不凍冷却流体を分離する必要がなく、燃料電池
が運転停止して氷点下の温度に曝されたときに凍結する恐れのある、システム中
の純水を最小化し、運転中に水の自己充足性を保持し、先ず大量の凍結した純水
を溶かす必要がなく急速に動力を発生することができ、燃料電池動力プラントの
重量、容積、コストに重大な増加を必要としないような、燃料処理構成要素を有
する燃料電池動力プラントが要求されている。
【0014】
【発明の開示】
電気エネルギーを発生するための、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシス
テムが開示される。このシステムは、還元性流体とプロセス酸化剤反応ガス流と
から電気エネルギーを発生するための少なくとも一つの燃料電池と、燃料電池の
カソード電極触媒に隣接し、かつこれと流体連通関係にある多孔質の水輸送プレ
ートを含む、冷却流体を流してプラント内の温度を制御するための熱管理システ
ムと、水輸送プレートを通って循環する直接不凍液溶液と、熱管理システムと流
体連通関係に取り付けられた、炭化水素燃料を処理して還元性流体に変換し、か
つ直接不凍液溶液中の不凍液の濃度を制御するための燃料処理構成要素と、を包
含する。燃料処理構成要素は熱を発生するバーナーと、バーナーと熱伝達関係に
あり、ボイラー供給配管を通して熱管理システムから直接不凍液溶液を受け入れ
て直接不凍液溶液を沸騰させるボイラーと、ボイラーから蒸気と液状の直接不凍
液溶液を受け入れて蒸気を液体から分離する蒸気分離器と、蒸気分離器からの蒸
気供給配管中の分離された蒸気を受け入れて炭化水素燃料を還元性流体に改質す
る改質器と、分離された液状の不凍液溶液を熱管理システムに戻すための液戻り
配管と、を含んでもよい。他の実施態様においては、システムは蒸気の一部を酸
化剤入口および還元性流体入口に送って、酸化剤および還元性流体の反応ガス流
を加湿するための蒸気噴射配管を含んでもよい。
【0015】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの他の実施態様においては、ア
ノード電極排気通路が含まれてもよく、該通路は燃料電池から出るアノード電極
排気ガス流を受け入れ、アノード電極排気ガス流をバーナーに送り、次いでバー
ナーからの燃焼済みバーナー排気ガス流をプラント排気通路に送って、燃料電池
から出るプロセス酸化剤ガス流の排気部分と混ぜ、プラント排気ガス流とする。
付加的な別法の実施態様においては、システムは直接物質および熱移動装置を含
んでもよく、該装置はプロセス酸化剤ガス流を燃料電池に送る酸化剤入口、およ
びプラント排気通路の両方と流体連通関係にあり、物質移動媒体を通して物質と
熱を直接移動させる、例えばプラント排気通路を通ってプラントを出るプラント
排気ガス流中の水などの物質および熱をプロセス酸化剤ガス流中に移動させてプ
ラントに戻す。物質移動媒体は熱管理システムから送られて直接物質および熱移
動装置を通過する直接不凍液溶液からなる冷却流体であってもよい。
【0016】 さらに他の別法の実施態様においては、システムは燃料処理構成要素からの熱
を除去するための燃料処理用熱交換ループを含んでもよく、該ループもまた熱管
理システムと流体連通関係に取り付けられてもよい。付加的な別法の実施例にお
いては、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムは水処理システムを含み
、該システムは冷却流体と流体連通関係にある脱塩装置と、これも冷却流体と流
体連通関係にある脱気装置を有し、冷却流体をプロセス酸化剤ガス流と物質移動
関係のもとに流して、冷却流体に溶解したガスを冷却流体からプロセス酸化剤ガ
ス流に物質移動させる。
【0017】 このシステムの他の実施態様においては、水輸送プレートを通って循環する直
接不凍液溶液は、水輸送プレートに隣接して流れるプロセス反応ガス流の圧力よ
りも低い圧力で流される。好ましくは燃料電池は大気圧に近い圧力で運転され、
プロセス酸化剤ガス流および還元性流体ガス流は大気圧より70ないし140グ
ラム毎平方センチメートル(1ないし2ポンド毎平方インチゲージ、以下「PS
IG」)高い圧力に加圧される一方、直接不凍液溶液は大気圧より70ないし1
40グラム毎平方センチメートル(1ないし2PSIG)低い圧力で流される。
プロセス酸化剤ガス流と水輸送プレート中の不凍液溶液との間にこのような正の
差圧があることによって、燃料電池のカソード電極触媒で形成された生成水が水
輸送プレートに入り込む動きがさらに助長される。正の差圧はまた、水輸送プレ
ート中を流れる液状の不凍液溶液が水輸送プレートから流出して、水輸送プレー
トに隣接して画定され、および/または水輸送プレートと流体連通関係にある反
応剤流れ領域を流れる、より高圧のプロセス反応剤ガス流中に入るのを制限する
【0018】 本発明の直接不凍液溶液は電池の運転温度で非蒸発性であり、「テフロン(T
EFLON)(登録商標)」のような疎水性物質を濡らさない任意の有機不凍液
溶液であってよい。ここでの目的からは、「非蒸発性」とは燃料電池の運転温度
において、不凍液溶液は、燃料電池動力プラントの運転時間500時間あたりの
不凍液の損失が10%未満であることを意味する、と定義される。あるいは、第
一の好ましい直接不凍液溶液は以下の特性を有する特定の直接不凍液溶液であっ
てもよい:1.凝固点が少なくとも摂氏−300度(華氏−20度)、2.表面
張力が電池の運転温度約650℃(150°F)において60ダイン毎センチメ
ートル(以下「ダイン/cm」)より大、3.溶液上の不凍液の分圧が約650
℃(150°F)において0.005mm水銀柱(以下「mmHg」)以下、4
.燃料電池の電圧において燃料電池の触媒で酸化されることが可能。第二の好ま
しい不凍液溶液はアルカントリオール直接不凍液溶液であってもよく、アルカン
トリオールは特にグリセロール、ブタントリオール、およびペンタントリオール
からなる群から選ばれる。直接かつ特定のアルカントリオール直接不凍液溶液は
、水輸送プレートから蒸気として出て来てカソード電極またはアノード電極の触
媒と接触するような不凍液の移動を最小にし、また動力プラントの熱管理システ
ム、燃料処理構成要素、直接物質および熱移動システム、および水処理システム
、および例えば電池を出て行くプラント排気ガス流などの、他の任意の燃料電池
構成要素からの直接不凍液溶液の損失を最小にする。
【0019】 したがって本発明の一般的な目的は、先行技術の欠点を克服する直接不凍液冷
却燃料電池動力プラントシステムを提供することである。
【0020】 より具体的な目的は、氷点下条件での運転において分離密封式の熱管理システ
ムを必要としない、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムを提供するこ
とである。
【0021】 他の目的は、最小量の液状水で水素に富む還元性流体を処理する、直接不凍液
冷却燃料電池動力プラントシステムを提供することである。
【0022】 さらに他の目的は、不凍液冷却流体と燃料電池の間で非触媒型の膜障壁構成要
素の必要性を除外する、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムを提供す
ることである。
【0023】 他の目的は、燃料電池が運転停止して氷点下の環境に曝されるときに凍結する
恐れのある液状水を最小にする、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム
を提供することである。
【0024】 さらに他の目的は、動力プラントを出て行く物質および熱を、熱管理システム
から供給される液状の物質移動媒体を通して直接移動させてプラントへ戻す、直
接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムを提供することである。
【0025】 本発明の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの上記の、および他の
目的および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の説明を読むことによってより
容易に明らかとなるであろう。
【0026】
【発明を実施するための最良の形態】
図面を詳細に参照すれば、本発明の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシス
テムの第一の実施例が図1に示されており、全体的に参照符号10で示されてい
る。システム10は燃料電池12のような、還元性流体およびプロセス酸化剤の
反応ガス流から電気エネルギーを発生するための、少なくとも一つの燃料電池手
段を含んでいる。燃料電池12はアノード電極流れ領域14を含み、該流れ領域
は燃料供給構成要素16から燃料供給配管18を通って送られた還元性流体を受
け入れ、アノード電極流れ領域14を貫流させてアノード電極排気通路20を通
して電池12から送り出す。電池はまたカソード電極流れ領域22を含み、該流
れ領域は酸化剤供給構成要素24から酸化剤入口26を通り、これと流体連通関
係にある第一の酸化剤入口延長部28、および第二の酸化剤入口延長部30を経
て送られたプロセス酸化剤ガス流を受け入れ、アノード電極流れ領域22中に導
入する。プロセス酸化剤ガス流はカソード電極流れ領域22および燃料電池12
を出て、カソード電極排気通路32を流れる。
【0027】 酸化剤ガス流を燃料電池12に可変的に送るために、酸化剤ブロワー34が酸
化剤入口26に、例えば酸化剤入口26の第一と第二の延長部28、30の間に
置かれてもよい。しかしながら好ましくはこのようなブロワー34は、プロセス
酸化剤ガス流の運転圧力を大気圧から、大気圧より約70ないし140グラム毎
平方センチメートル(1.0〜2.0ポンド毎平方インチ)高い圧力までの範囲
、すなわち約グラム毎平方センチメートル大気(約14.7ないし16.7毎平
方インチ大気)の範囲に増加するのみであることが強調されるべきである。直接
不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10は好ましくはほぼ大気圧で運転さ
れるが、システム10は数気圧の圧力においても効率的に運転され得ることが予
想される。
【0028】 多孔質の水輸送プレート36がカソード電極流れ領域22に隣接して固定され
ており、これは直接不凍液溶液などの冷却流体を冷媒供給配管38を通して受け
入れ、溶液をプレート36から冷媒排出配管40を通して送り出す。水輸送プレ
ート36は燃料電池手段12を冷却するように働き、ときとして「冷却器プレー
ト」と呼ばれる。冷媒供給配管38および冷媒排出配管40は、冷媒ポンプ42
および、冷媒ファン46を有する冷媒熱交換器44と流体連通関係にあり、かく
して冷媒ポンプ42は冷却流体を冷媒供給配管の第一の延長部48を通して、次
いで冷媒熱交換器44、冷媒供給配管の第二の延長部50および第三の延長部5
2、冷媒供給配管38、水輸送プレート36、および冷媒排出配管40を通して
再び冷媒ポンプ42へと、ポンプ送りする。冷媒ポンプ42、熱交換器44と冷
媒供給配管38、48、50、52、水輸送プレート36、および冷媒排出配管
40は、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10内部の温度を制御す
るための熱管理システム手段54の一部をなしている。熱管理システム手段54
は直接不凍液溶液の冷却流体を水輸送プレート36を通して循環させることが示
されているが、別法として、熱管理システム手段54は冷却流体を水輸送プレー
ト36に通すが、全ての冷却流体を冷媒供給配管38、48、50、52、冷媒
熱交換器44、および水輸送プレート36を通して繰り返し循環しなくともよい
。熱管理システム手段54のこのような実施態様においては、冷却流体はより手
の込んだシステムの一部であってもよく、これについては後に別法の実施例とし
て説明する。
【0029】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10はまた、アノード電極およ
びカソード電極の流れ領域14、22を通って流れる反応剤ガス流と、水輸送プ
レート36を通って流れる冷却流体との間に、正の差圧を保つために、圧力制御
手段を含んでもよい。圧力制御手段は冷媒ポンプ42およびこれと協同する圧力
調節バルブ手段を含んでもよく、圧力調節バルブ手段は冷媒供給配管のバルブ手
段より下流の第三の延長部52、水輸送プレート36、および冷媒排出配管40
内の冷却流体を特定の圧力に保つ。一例として冷媒ポンプ42と水輸送プレート
36との間で、例えば冷媒供給配管38に取り付けられた圧力調節バルブ56が
示されている。よく知られるように、圧力調節バルブ56は、カソード電極流れ
領域22中のプロセス酸化剤ガス流の参照圧力に基づいて手動的にまたは自動的
に設定され、あるいは例えば電気機械的に調節されてもよく、かくして冷媒供給
配管38、水輸送プレート36、冷媒排出配管40、および冷媒熱交換器44か
ら冷媒ポンプ42に吸い込まれる冷却流体の流れの圧力が、カソード電極流れ領
域22内のプロセス酸化剤ガス流の圧力より低くなるように、バルブ56を通る
流れが絞られる。ここに述べる目的のためのその他の圧力調節手段は、液流の圧
力をガス流の参照圧力より低く減圧できる任意の周知の機構を含んでよく、一例
として本発明の譲受人に譲受された、1997年12月23日付けでライザー(
Reiser)に付与された米国特許第5,700,595号に開示されたもの
が挙げられる。熱管理システム54を構成する材料は当業界周知の標準的な材料
、例えば自動車業界で一般に用いられる熱交換器、および化学工業界に周知の配
管およびバルブを用いて製造されてよい。
【0030】 燃料電池手段12はまた膜電極アッセンブリ58(以下において便宜上ときと
して「M.E.A.」と呼ぶ)を含み、これはアノード電極流れ領域14とカソ
ード電極流れ領域22の間に取り付けられて、還元性流体および酸化剤ガス流が
関与する電気化学的な反応を促進して電気エネルギーを発生し、このエネルギー
は標準的な回路(図示せず)を通してエネルギー消費負荷、例えば電動機(図示
せず)に導通されて、例えば輸送車両(図示せず)に動力を供給する。燃料電池
12を複数の同様な燃料電池(図示せず)に隣接して取り付けて、枠構造に閉じ
込められた電池スタックアッセンブリを形成することもよく知られている。前記
枠構造は還元性流体、プロセス酸化剤、および冷却流体の流れを当業界周知の方
法で燃料電池12に出入させるマニホールドを画定する。
【0031】 一例としてのM.E.A.60が図2にやや詳しく示されているが、ここでの
目的に対しては、プロトン交換膜(「PEM」)などの電解質62と、アノード
電極触媒64、および電解質62の反対側に取り付けられたカソード電極触媒6
6を含むように形成される。燃料電池12はまた、アノード電極水輸送プレート
68とアノード電極触媒64との間に、アノード電極触媒64と直接の流体連通
関係に取り付けられて、アノード電極触媒64に隣接して還元性流体のガス流を
流すためのアノード電極支持手段を含んでもよい。アノード電極支持手段はまた
多孔質アノード電極基体70、多孔質アノード電極拡散層72、または多孔質ア
ノード電極基体70と多孔質アノード電極拡散層72の両方などの、一つまたは
二つ以上の多孔質層を含んでもよく、これらは互いに隣接してアノード電極水輸
送プレート68とアノード電極触媒64の間に(図2に図示するように)取り付
けられる。多孔質層70、72の片方または両方は、電池12の性能要求に依存
して、撥水性とされてもよい。好ましい実施例においては、アノード電極支持手
段の多孔質層70、72のうち少なくとも一つが、細孔を疎水性とするために撥
水性にされる。
【0032】 燃料電池12はまた、カソード電極水輸送プレート74とカソード電極触媒6
6との間に、カソード電極触媒66と直接の流体連通関係に取り付けられて、カ
ソード電極触媒66に隣接してプロセス酸化剤ガス流を流すためのカソード電極
支持手段を含んでもよい。カソード電極支持手段はまた多孔質カソード電極基体
76、多孔質カソード電極拡散層78、または多孔質カソード電極基体76と多
孔質カソード電極拡散層78の両方などの、一つまたは二つ以上の多孔質層を含
んでもよく、これらは互いに隣接してカソード電極水輸送プレート74とカソー
ド電極触媒66の間に取り付けられる。カソード電極支持手段の多孔質層76、
78の片方または両方は、電池12の性能要求に依存して、撥水性とされてもよ
い。好ましい実施例においては、カソード電極支持手段の多孔質層76、78の
うち少なくとも一つが、細孔を疎水性とするために撥水性にされる。
【0033】 多孔質カソード電極基体76および多孔質アノード電極基体70は、約65%
ないし約75%の有孔度を有する多孔質のカーボン−カーボン繊維質複合体であ
ってもよく、「テフロン(Teflon)(登録商標)」などの疎水性物質を約
0.18グラム毎立方センチメートルの濃度に用いて撥水性にされてもよい。多
孔質カソード電極ガス拡散層78および多孔質アノード電極拡散層72はカーボ
ン材料約50%、テフロン(Teflon)(登録商標)などの疎水性材料約5
0%からなってもよい。多孔質カソード電極水輸送プレート74は多孔質カソー
ド電極基体76、多孔質カソード電極拡散層78、およびカソード電極触媒66
と直接の流体連通関係にある。同様に、多孔質アノード電極水輸送プレート68
は多孔質アノード電極基体70、多孔質アノード電極拡散層72、およびアノー
ド電極触媒64と直接の流体連通関係にある。
【0034】 アノード電極流れ領域(図1の実施例では参照符号14で概略的に図示)は、
図2の概略図において、アノード電極水輸送プレート68内に画定された燃料入
口80、および複数の還元性流体すなわち燃料の流れチャンネル82からなって
もよいことが指摘される。同様に、カソード電極流れ領域はカソード電極水輸送
プレート74内に画定された酸化剤入口84、および複数の酸化剤流れチャンネ
ル86からなってもよい。アノード電極流れ領域14とカソード電極流れ領域2
2にはまた当業界周知の空洞部および様々なチャンネルまたは溝が燃料電池構成
要素に画定されており、かつ燃料出口と酸化剤出口が備わっており、これらによ
って燃料およびプロセス酸化剤がアノード電極およびカソード電極触媒64、6
6に接触しつつ電池12に導入され、これを通過し、これから排出される。図2
に示されるように、多孔質のアノード電極およびカソード電極水輸送プレート6
8、74は隣接する水輸送プレート(図示せず)と協同で冷媒チャンネルを形成
するように構成されてもよい。すなわち、アノード電極水輸送プレート68に画
定されたアノード電極側冷媒チャンネル88A,88B,88C,およびカソー
ド電極水輸送プレート74に画定されたカソード電極側冷媒チャンネル90A,
90B,90Cは、電池スタックアッセンブリの隣接する燃料電池(図示せず)
の隣接する水輸送プレートの冷媒チャンネルと鏡像関係に協同して、冷却流体の
流れを水輸送プレート68、74に送るための冷媒チャンネルのネットワークを
形成してもよい。
【0035】 燃料電池手段12の運転時には、アノード電極側冷媒チャンネル88A,88
B,88C,およびカソード電極側冷媒チャンネル90A,90B,90Cは、
冷媒供給配管38および冷媒排出配管40と流体連通関係にあるので、冷媒供給
配管38からの冷却流体の流れはカソード電極およびアノード電極冷媒チャンネ
ルを通過し、アノード電極およびカソード電極水輸送プレート68、74に入り
込んで、水輸送プレートの細孔容積を充満する。次いで冷却流体の流れは冷媒排
出配管40に流出する。直接不凍液溶液がアノード電極およびカソード電極水輸
送プレート68、74の開口した細孔を満たすことによって、還元性流体チャン
ネル82中のガス状還元性流体に対するガス障壁またはシールが形成され、還元
性流体が隣接する電池の酸化剤チャンネルに流入するのが防止される。必要に応
じて多孔質アノード電極基体70および/または多孔質アノード電極拡散層72
を撥水性にすることによって、アノード電極水輸送プレート68から出てアノー
ド電極基体層およびアノード電極拡散層70、72を通過し、アノード電極触媒
64と接触する液状の不凍液溶液の動きが、さらに制限される。
【0036】 同様に、必要に応じてまた好ましくは、多孔質カソード電極基体76および/
またはカソード電極拡散層78を撥水性にすることによって、カソード電極水輸
送プレート74から出てカソード電極基体76およびカソード電極拡散層78を
通過し、カソード電極触媒66と接触する液状の直接不凍液溶液の動きが、さら
に制限される。これに加えて、燃料電池12の運転時においては、カソード電極
触媒66で生じた生成水は、水蒸気としてカソード電極流れ領域またはカソード
電極水輸送プレート74に画定された酸化剤チャンネル86を流れるプロセス酸
化剤ガス流に入り、または液としてカソード電極水輸送プレート74に入って、
除去される。したがって、特に圧力調節バルブ手段56が、アノード電極および
カソード電極流れ領域14、22または還元性流体チャンネル82または酸化剤
チャンネル86を流れる還元性流体およびプロセス酸化剤のガス流と、燃料およ
び酸化剤の流れチャンネル82、86に隣接するカソード電極水輸送プレート7
4内の不凍液冷媒流との間に、正の差圧を生じさせている場合は、大部分の生成
水はカソード電極流れ領域86を出て、多孔質のカソード電極水輸送プレート7
4中を流れる直接不凍液溶液の冷媒流中に移動する。
【0037】 本発明の直接不凍液溶液は撥水処理されたカソード電極基体を濡らさず、電池
の運転温度で非蒸発性である任意の有機不凍液溶液であってよい。ここでの目的
からは、「非蒸発性」とは燃料電池の運転温度において、不凍液溶液は、燃料電
池の運転時間500時間あたりの不凍液の損失が10%未満であることを意味す
る、と定義される。あるいは、第一の好ましい直接不凍液溶液は以下の特性を有
する特定の直接不凍液溶液であってもよい:1.凝固点が少なくとも−30℃(
−20°F)、2.表面張力が約65℃(150°F)において60ダイン毎セ
ンチメートル(以下「ダイン/cm」)より大、3.溶液上の不凍液の分圧が約
65℃(150°F)において0.005mm水銀柱(以下「mmHg」)以下
、4.燃料電池の電圧において燃料電池の触媒で酸化されることが可能。第二の
好ましい不凍液溶液はアルカントリオール直接不凍液溶液であってもよく、アル
カントリオールは特にグリセロール、ブタントリオール、およびペンタントリオ
ールからなる群から選ばれる。アルカントリオール直接不凍液は任意のアルカン
トリオールを含む不凍液溶液であってよい。
【0038】 図1に示されるように、直接不凍液冷却燃料電池動力プラント10の第一の実
施例は、還元性流体およびプロセス酸化剤を加湿する働きを向上させるいくつか
の個別の構成要素を含んでいる。これらはプラント10の水自己充足性を助長す
るとともに、PEM電解質62に適当な水分を維持する。水に関する自己充足性
とは、プラントを効率的に運転するには、プラント排気ガス流からの水損失を打
ち消すのに十分な水が、プラント内に保持されなければならないことを意味する
。例えば、ガス状酸化剤のカソード電極排気ガス流および/またはガス状還元性
流体のアノード電極排気ガス流からなるプラント排気ガス流を通してプラントを
出て行く水は、カソード電極触媒20で電気化学的に生成する水によってバラン
スされなければならない。PEM電解質62を適当に加湿するこのような構成要
素の一つは、アノード電極排気還流配管手段92である。これはアノード電極排
気通路20からアノード電極流れ領域14を出て行くアノード電極排気ガス流の
一部を、選択的に燃料入口通路18に還流する。この構成要素にはアノード電極
還流配管92および必要に応じて配管92に取り付けられるアノード電極還流バ
ルブおよびブロワー手段(図示せず)が含まれる。これらはアノード電極排気通
路20からのアノード電極排気ガス流の一部を選択的に燃料入口通路18に送る
。例えば図1に示される例ではアノード電極流れ領域14に隣接する還元性流体
入口136に送る。類似の付加的な構成要素はカソード電極還流配管手段94で
ある。これはカソード電極排気通路32からカソード電極流れ領域22を出て行
くカソード電極排気ガス流の一部を、選択的に酸化剤入口26に還流する。例え
ば図1に示される例では酸化剤入口26の第二の延長部30に還流する。この構
成要素にはカソード電極還流配管94と、必要に応じてカソード電極還流バルブ
およびブロワー手段(図示せず)が含まれる。これらはカソード電極排気通路3
2からのカソード電極排気ガス流の一部を選択的に、酸化剤入口26の第二の延
長部30において、入口26に還流する。
【0039】 システム10の水自己充足性を保つのに用いられるさらに他の構成要素は、装
置を通過する第一の流体流れから装置を通過する第二の流体流れへと直接に物質
を移動させる、直接物質および熱移動装置である。例えば直接物質および熱移動
装置96は、酸化剤入口26および、排気通路32から燃料電池12を出て行く
カソード電極排気ガス流を受け入れるプラント排気通路98の、両方と流体連通
関係に取り付けられている。プラント排気通路98はプラント排気ガス流を物質
および熱移動装置96に送り、プラント排気ベント100は装置96から、すな
わち直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10から出て行くプラント排
気ガス流を送り出す。酸化剤入口26は酸化剤供給源24からのプロセス酸化剤
ガス流を物質および熱移動装置96へ送り、酸化剤入口26の第一および第二の
延長部28、30は直接物質および熱移動装置96からのプロセス酸化剤ガス流
を燃料電池12に送る。
【0040】 物質および熱移動装置96は、セパレータハウジングまたは構造102を含み
、これはプロセス酸化剤ガス流が流れる酸化剤チャンバー104と、排気ガス流
が流れる排気チャンバー106を画定している。構造102にはまた、プラント
排気ガス流中の極性分子からなる流体物質を吸着し、極性分子からなる流体物質
をプロセス酸化剤ガス流中に脱着するための、物質移動媒体手段が取り付けられ
ている。構造102は、物質移動媒体手段をプラント排気ガス流とプロセス酸化
剤ガス流の両方と物質移動関係に支持し、かくして両ガス流を物質移動媒体手段
の反対側にそれぞれ接触させ、かつプラント排気ガス流とプロセス酸化剤ガス流
の一斉混合を防ぐ、セパレータハウジング手段であってもよい。例示的な物質お
よび熱移動媒体手段は微細孔を有するエンタルピー交換障壁108である。これ
は酸化剤および排気チャンバー104、106の間に物質移動関係に取り付けら
れ、かくして酸化剤チャンバー104中のプロセス酸化剤ガス流は障壁の入口側
表面110に隣接して流れ、排気チャンバー106中のプラント排気ガス流は排
気側表面112に隣接して流れ、構造102は細孔を有するエンタルピー交換障
壁108を酸化剤および排気ガス流の間の障壁(図1に概略的に図示)として保
持し、両ガス流の一斉混合を防ぐ。
【0041】 物質および熱移動装置手段はまた液状移動媒体を微細孔エンタルピー交換障壁
108に供給するための液状移動媒体供給手段を含んでもよい。例えば直接不凍
液溶液の一部を微細孔エンタルピー交換障壁108に供給する移動媒体循環ルー
プ114である。移動媒体循環ループ114は、交換障壁108と冷媒供給配管
38の間に取り付けられた液状移動媒体供給配管116を含んでもよい。第一の
冷媒バルブ手段118が液状移動媒体供給配管116上に、冷媒供給配管38の
第一の延長部48と流体連通関係に取り付けられており(図1に図示するように
)、直接不凍液溶液の一部を選択的に微細孔エンタルピー交換障壁108に供給
する。移動媒体ループはまた、交換障壁108と冷媒供給配管の第一の延長部4
8との間に取り付けられた液状移動媒体戻り配管120を含み、これによって直
接不凍液溶液を、移動媒体手段交換障壁108を通して入れ替えおよび処理のた
めに循環することができるが、これについては後に詳述する。
【0042】 好ましい微細孔エンタルピー交換障壁108は、細孔径が0.1〜100ミク
ロンの範囲にある親水性の細孔を画定する支持マトリックス手段を含む。これに
よって障壁は、親水性の細孔が直接不凍液溶液などの液状の移動媒体で濡れたと
きに14グラム毎平方センチメートル(0.2PSI)より高い気泡圧力を有す
ることになり、また液状移動媒体の存在下に化学的に安定である。支持マトリッ
クスの気泡圧力の要求は、燃料電池動力プラント10および物質および熱移動装
置96の特定の設計によって決められるが、これは排気通路106内のプラント
排気ガス流と、酸化剤入口配管26内のプロセス酸化剤ガス流との間の最大差圧
を規定するものである。直接物質および熱移動装置96の運転においては、プラ
ント排気ガス流が排気チャンバー106を流れると、燃料電池12からの水蒸気
が微細孔エンタルピー交換障壁108内の液状移動媒体である直接不凍液溶液に
吸着され、液状移動媒体から酸化剤チャンバー104内のプロセス酸化剤ガス流
中に脱着され、この際プロセス酸化剤ガス流を、それがカソード電極流れ領域2
2に入る前に、加熱加湿する。
【0043】 直接不凍液冷却燃料電池手段10はまた燃料処理構成要素手段を含み、これは
炭化水素燃料を処理して燃料電池12のアノード電極に燃料供給するのに適した
還元性流体にするとともに、直接不凍液溶液中の直接不凍液の濃度を制御する。
このような燃料電池12に動力供給する炭化水素燃料の例としては、ガソリン、
ディーゼル燃料、ブタン、プロパン、天然ガス、メタノール、エタノール等が挙
げられる。燃料処理構成要素手段は次のものを含んでもよい:バーナー122は
従来式の、または好ましくは触媒式のバーナー(図1および図3中で便宜上「バ
ーナー」と表示される)であり、アノード電極流れ領域14を通過した後、アノ
ード電極排気通路20を通してアノード電極排気ガス流としてバーナー122に
供給された、水素などの剰余の還元性流体を酸化する;ボイラー124はバーナ
ー122と熱交換関係に取り付けられており、ボイラ−124と熱管理システム
54との間で流体連通関係に、例えば冷媒供給配管38の第一の延長部48に、
取り付けられたボイラー供給配管126を通して直接不凍液溶液の一部を受け入
れる;蒸気分離器128はボイラー124から、分離器供給配管127を通して
蒸気および液状の直接不凍液溶液を受け入れ、液状の直接不凍液溶液から蒸気を
分離する;改質器130は自熱式改質器、または他の周知の改質器手段であって
よく(図1および図3中で「改質器」と表示される)、これは蒸気分離器128
から蒸気供給配管132を通して、分離された蒸気を受け入れ、燃料供給配管1
8から炭化水素燃料を受け入れて(燃料を先ず蒸気供給配管132に入れてもよ
い(図1に図示するように))、炭化水素燃料を還元性流体に改質する;改質済
み燃料排出配管134は改質器130と還元性流体入口136の間に流体連通関
係に取り付けられる;液戻り配管138は蒸気分離器128と熱管理システム5
4の間に流体連通関係に、例えば冷媒バルブ手段118に取り付けられて(図1
に図示するように)、分離された液状の直接不凍液溶液を蒸気分離器128から
熱管理システム54に戻す。
【0044】 直接不凍液溶液を燃料処理構成要素手段にポンプ送りするために、ボイラー供
給ポンプ140が、冷媒分岐配管142とボイラー供給配管126の間に取り付
けられてもよい。これに加えて直接不凍液溶液をボイラーに入る前に予熱するた
めに、ボイラー前熱交換器144が、ボイラー124に直接不凍液溶液を供給す
るボイラー供給配管126と、ボイラー124で加熱された液を熱管理システム
54に戻す液戻り配管138の両方にまたがって取り付けられてもよい。システ
ム10から余剰の蒸気を選択的に排出するために、蒸気ベント146が、蒸気排
出バルブ148を含む蒸気供給配管132に取り付けられてもよい。蒸気分離器
128は重力式分離器などの任意の公知の蒸気分離器であってもよい。改質器に
空気を供給するために、酸化剤入口28の改質器延長部150が、酸化剤入口の
第二の延長部30と改質器130の間に取り付けられてもよい。酸化剤をバーナ
ーに供給するために酸化剤入口28のバーナー延長部152が酸化剤延長配管1
50とバーナー122の間に取り付けられてもよく、かくしてアノード電極排気
通路を通してバーナー122に供給されたアノード電極排気ガス流の燃焼が維持
され、アノード電極排気ガス流中の未使用の還元性流体がバーナー122で燃や
され、アノード電極排気ガス流が非燃焼性になる。燃焼済みのアノード電極排気
ガス流は次いでバーナー122からバーナー排気配管154を通してプラント排
気通路98に送られ、ここで燃焼済みのアノード電極排気ガス流と、カソード電
極排気通路32からのカソード電極排気ガス流が混合されてプラント排気ガス流
となる。
【0045】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の上述の実施例に含まれる
燃料処理構成要素手段は、燃料を水素に富む還元性流体に改質するための例示的
な改質器手段として、自熱式改質器を用いている。しかしながら燃料処理手段の
別法の実施例は種々の改質器を含んでよく、例えば蒸気改質器および/または部
分酸化式改質器、またはその組み合わせであってもよく、この場合は上記に説明
され、図1に図示される流れ系統は若干の変更を受ける。蒸気改質器における反
応剤は炭化水素燃料と水蒸気である。周知の制御装置を用いて、酸化剤入口26
の改質器延長部150を通って改質器手段130に流れる酸化剤ガス流を締め切
り、または除外することによって、蒸気改質器を用いて効果的に燃料処理構成要
素手段を運転することができる。部分酸化式改質器の反応剤は炭化水素燃料と、
例えば環境空気から取り入れられた酸素である。周知の制御装置を用いて、蒸気
供給配管132を通って改質器手段130に供給される蒸気を締め切り、または
除外することによって、部分酸化式改質器を用いて効果的に燃料処理構成要素手
段を運転することができる。別法の実施例においては、システム10は周知の流
量制御装置手段を用いて、燃料処理構成要素手段が当初は部分酸化式改質器とし
て働き、種々の運転条件が整ったときに自熱式改質器として働くようにしてもよ
い。
【0046】 液戻り配管138と循環ループ96の液状移動供給配管116の間に取り付け
られた冷媒バルブ手段118は、燃料処理構成要素手段の蒸気分離器128から
熱管理システム54に戻る直接不凍液溶液の戻り流量を調節し、これによって熱
管理システム54内の直接不凍液溶液の濃度を調節するように選択されてもよい
。また冷媒バルブ118は、微細孔エンタルピー交換障壁108などの移動媒体
手段への直接不凍液溶液の供給流量を制御してもよい。ボイラー124および蒸
気分離器128によって蒸気が発生および分離されるにつれて、蒸気分離器内の
液中の直接不凍液溶液中の直接不凍液の濃度は増加する。少量の直接不凍液溶液
が、例えばエンタルピー交換障壁からプラント排気ガス流中への、起こり得る損
失によってシステム10から失われたり、あるいはM.E.A.58からの生成
水が熱管理システム54に流入して熱管理システム54内の直接不凍液溶液を希
釈したりしたときは、冷媒バルブ118は蒸気分離器128からの液状の直接不
凍液溶液の戻り流量を増加して、熱管理システム54内の直接不凍液の濃度を増
加するように調節されてもよい。冷媒バルブ手段118はこのような熱管理シス
テム54に戻る分離液の流量を調節するために、当業界周知の粘度センサーなど
のセンサーを含んでもよい。
【0047】 燃料処理構成要素手段は種々の炭化水素燃料を処理するための従来の蒸気改質
法、自熱式改質法、および部分酸化式改質法において知られる構成要素を含んで
よい。燃料処理構成要素は、普通の炭化水素源から水素に富む流体を発生する必
要があるときの化学処理工程においてよく知られる、比較的に在来型の設計であ
る。例えば、このような処理工程における自熱式改質器は通常、受け入れた燃料
の一部を燃やして約926℃(1,700°F)の温度に到達する。付加的な燃
料処理構成要素手段としては、燃料供給配管18に取り付けられて炭化水素燃料
から硫黄分を除去する脱硫器156、水シフト反応器158および選択的酸化装
置160が含まれてもよい。後の二つは改質済み燃料排出配管134の延長部1
62上に直列にかつ流体連通関係に取り付けられて、改質済み燃料を還元性流体
入口136に送り、アノード電極流れ領域22に入る還元性流体ガス流の一酸化
炭素レベルを最小限度にするものであって、当業界周知である。燃料処理構成要
素手段はまた燃料貯蔵構成要素16からの燃料を選択的に燃料処理構成要素手段
を通して送るための燃料ポンプ164を含んでもよい。酸化剤熱交換器165が
酸化剤入口26の改質器延長部150とバーナー排気配管154の間に熱交換関
係に取り付けられてもよく、これによってバーナー排気ガス流からの熱が、酸化
剤入口26の改質器延長部150を通って燃料処理構成要素手段に入る酸化剤ガ
ス流に移動される。
【0048】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムはまた、蒸気分離器128から
の蒸気を燃料電池12に入る反応ガス流に送って、燃料電池12に入る還元性流
体ガス流およびプロセス酸化剤ガス流の湿度を増加させるための、蒸気噴射手段
を含んでもよい。蒸気噴射手段は、蒸気供給配管132と還元性流体入口136
の間に流体連通関係に取り付けられた還元性流体蒸気噴射配管166、および/
または蒸気供給配管132と酸化剤入口26との間に流体連通関係に、例えば図
1に図示されるように酸化剤入口26の第二の延長部30に取り付けられた、酸
化剤蒸気噴射配管168を含んでもよい。蒸気噴射手段はまた、還元性流体蒸気
噴射配管166に取り付けられて、還元性流体入口136に噴射される蒸気の流
量を制御するための第一の蒸気噴射バルブ170と、酸化剤蒸気噴射配管168
に取り付けられて、酸化剤入口26に噴射される蒸気の流量を制御するための第
二の蒸気噴射バルブ172を含んでもよい。図1は還元剤および酸化剤蒸気噴射
配管166、168がそれぞれ別に蒸気供給配管132に取り付けられることを
示しているが、効率化の上からは還元性流体蒸気噴射配管または酸化剤蒸気噴射
配管166、168が蒸気供給配管132からの共通の配管から互いに分岐して
もよく、蒸気供給配管132からの2本の別々の配管を持つ必要はない。別法と
して、蒸気噴射手段は1本だけの蒸気噴射配管を含み、還元性流体166または
酸化剤168蒸気噴射配管が、蒸気供給配管132からの蒸気を還元性流体入口
136か酸化剤入口26のどちらかに送ってもよい。
【0049】 燃料処理構成要素手段はまた第三の熱交換器176を有する燃料処理熱交換ル
ープ手段174を含んでもよい。この熱交換器は選択的酸化装置160を通る改
質済み燃料と熱交換関係に取り付けられる(図1および図3に示されるように)
か、または還元性流体入口136上で選択的酸化装置160と燃料電池12の間
に取り付けられて、改質済み燃料を第三の熱交換器176を通る第二の冷却流体
と熱交換関係に通し、選択的酸化装置160内の反応の結果として改質済み燃料
が受け取った熱を燃料から除去する。燃料処理熱交換ループ174はまた次のも
のを含んでもよい、すなわち第二の冷却流体を第三の熱交換器176に送る第二
の冷媒供給配管178、第三の熱交換器176から第二の冷却流体を抜き取る第
二の冷媒戻り配管180、第二の冷媒供給配管178に(図1および図3に示さ
れるように)、または第二の冷媒戻り配管180に取り付けられて第二の冷却流
体をポンプ送りする第二の冷媒ポンプ182、第二の冷媒戻り配管180と第二
の冷媒供給配管178の間に取り付けられて第二の冷却流体から熱を除去する第
二の冷媒熱交換器184、および、第二の冷媒熱交換器184に空気を通して第
二の冷媒熱交換器184内の第二の冷却流体から熱を除去する第二の冷媒ファン
186。第二の冷却流体は従来の不凍液であってもよく、また上述の直接不凍液
溶液、特殊な直接不凍液溶液、またはアルカントリオール直接不凍液溶液のうち
の一つであってもよい。
【0050】 選択的酸化装置160内の基本的な反応は一酸化炭素の二酸化炭素への酸化で
あることはよく知られている。この反応は発熱反応であって、反応熱は通常、第
三の熱交換器176のような熱交換器で除去される。この熱交換器は選択的酸化
装置に組み込まれてもよい(図1に示すように)し、または別法として選択的酸
化装置の下流に取り付けられて、改質済み燃料が燃料電池12に入る前にこれを
冷却してもよい。このような選択的酸化装置は通常、一酸化炭素含量を選択的酸
化装置入口での約10,000ppmから、選択的酸化装置出口での約10pp
mに低下させる。選択的酸化装置の運転温度は通常、90℃〜150℃(200
°F〜300°F)の範囲である。本発明のすべての権利の譲受人が所有する米
国特許第5,330,727号は、燃料ガス流から一酸化炭素を除去する代表的
な選択的酸化装置を記載している。
【0051】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10はまた、燃料電池12のア
ノード電極およびカソード電極流れ領域14、22に入る還元性流体およびプロ
セス酸化剤の反応ガス流を加湿する役目をする付加的な構成要素を含んでいる。
このような構成要素の一つは冷媒供給配管38の第三の延長部52、および還元
性流体入口136にわたって取り付けられた燃料飽和器188である。同様な構
成要素は冷媒供給配管38の第三の延長部52、および酸化剤入口26の第二の
延長部30にわたって取り付けられた酸化剤飽和器190である。燃料および酸
化剤飽和器188、190は任意の燃料および酸化剤飽和器手段であってよく、
例えば液流とガス流の間で物質移動を起こさせるための、よく知られた充填層、
湿潤フィルム、スプレー塔などの周知の物質移動装置がある。充填層などにおい
て直接不凍液溶液の冷却流体中の液状水が蒸発して、ガス状の還元性流体やプロ
セスガス流に移行して、還元性流体およびプロセス酸化剤の反応ガス流の湿度を
増加させることはよく知られている。
【0052】 図1および図3に示されるように、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシス
テム10はまた、直接不凍液溶液を処理するための構成要素を含む。この構成要
素は脱塩装置200を含み、該装置は脱塩装置200に取り付けられた脱塩装置
供給配管202、および冷媒ポンプ42と冷媒熱交換機44の下流の冷媒供給配
管50の第二の延長部を通して、熱管理システム54と流体連通関係に取り付け
られている。脱塩装置200は冷却流体に溶解したイオンを吸着するイオン交換
樹脂を含む標準的な脱塩装置である。脱塩装置200はこれによって冷媒の伝導
度を低く維持し、かくして燃料電池12内の分路電流腐食を最小にする。脱塩装
置戻り配管204は、冷媒供給配管の第二の延長部50から分かれて脱塩装置2
00を通る冷却流体の一部を熱管理システム54へ、例えば冷媒排出配管40へ
送り返す。第二の冷媒調整バルブ手段206が、脱塩装置200から熱管理シス
テム54へ、そして再び脱塩装置200へという図1に示される冷却流体の循環
の流量を制御するために、脱塩装置供給配管202に取り付けられてもよい。脱
塩装置200は冷却流体溶液中に溶解した金属を除去するための任意の公知の脱
塩装置でよく、例えば本発明の全ての権利の譲受人が所有するグラッソ(Gra
sso)への成就した米国特許第4,344,850号に記載されている脱塩装
置でもよい。
【0053】 直接不凍液溶液の冷却流体を処理するための付加的な構成要素は脱気装置20
8である。脱気装置は二酸化炭素などの溶解したガスを冷却流体から除去する。
二酸化炭素は加水分解して炭酸になるから、脱気によって脱塩装置200の負荷
が軽減される。脱気装置208は冷媒供給配管38の第三の延長部52に、燃料
電池12の上流で取り付けられるとともに、酸化剤入口26の第二の延長部30
に、これも燃料電池12の上流で取り付けられる。燃料飽和器188および酸化
剤飽和器190と同様に、脱気装置208は直接不凍液溶液に溶解した溶存CO 2 、NH3などの汚染物質を除去するための、脱気装置手段であってよい。冷媒供
給配管の第三の延長部52、および酸化剤入口26の第二の延長部30を表す線
は、図1において脱気装置208を概略的に表すボックスを通過しているが、こ
れは脱気装置208手段が溶解した汚染物質を、液状の冷却流体である直接不凍
液溶液流から、気体状のプロセス酸化剤ガス流へ物質移動させることを表してい
る。したがって脱気装置208は液流とガス流の間で物質移動を起こさせること
ができる任意の公知の物質移動装置でよく、よく知られた充填層、湿潤フィルム
、スプレー塔などが含まれる。脱塩装置200、脱気装置208、および直接不
凍液溶液および酸化剤ガス流を送って冷却流体を処理させる、前述の冷媒供給配
管および酸化剤入口26の第二の延長部30は、水処理システム210を形成し
ている。
【0054】 前述のように、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10において冷
却流体として用いられる、直接、特殊直接、およびアルカントリオール直接不凍
液溶液の蒸発性その他の特性は低いので、冷却流体が脱気装置208(または燃
料および酸化剤飽和器188、190においても同じ理由で)から許容できない
速度で蒸発し去ることはない。その替わりに冷却流体は脱塩装置200および脱
気装置208で効果的に処理されて汚染物質を除去される。この汚染物質は冷却
流体の伝導度を増加することにおいて冷却流体を劣化させ、これが冷媒チャンネ
ル82、86、あるいは電池12のマニホールドの分路電流腐食につながって、
システム10の性能低下をもたらす。
【0055】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの第二の実施例212が図3に
概略的に示されており、図1に図示し、上記において説明した構成要素と実質的
に同じ構成要素を多数含んでいる。図3中の実質的に同じ構成要素は、効率化の
ために図3およびこの説明においては、図1で同一または類似の構成要素に用い
られた参照符号にプライム記号をつけて示すことにする。例えば、図1ではアノ
ード電極流れ領域は参照符号14で示されるが、図3ではシステムの第二の実施
例212のアノード電極流れ領域は参照符号14′で示される。
【0056】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの第二の実施例212は、第二
の冷媒供給配管178′が冷媒−冷媒熱交換器214を通ることにおいて、図1
の実施例と異なる。この熱交換器はまた冷媒供給配管38′にも、例えば冷媒ポ
ンプ42′の下流の供給配管38′の第一の延長部48′にも取り付けられてい
る。第二の冷媒供給配管延長部216が冷媒−冷媒熱交換器214と第三の熱交
換器176′の間に取り付けられており、これによって第二の冷却流体は熱管理
システム54′内の直接不凍液溶液の冷却流体から熱を除去し、この熱を第二の
冷媒熱交換器184′に移動させて、システム212から除去させる役目をする
【0057】 図3に示されるように、冷媒−冷媒熱交換器214を上述のように第二の冷媒
熱交換器184′と協力させて用いることによって、冷媒ファン46が省略され
る。これに加えて、システムの第二の実施例212においては、第二の冷却流体
は従来の不凍液であってもよく、この場合はシステムの第二の実施例212の、
環境空気の流れに曝される(第二の冷却ファン186′によって、またはシステ
ム186で動力供給される自動車(図示せず)が環境空気中を移動することによ
って、あるいはその両方によって)唯一の熱交換器中を、従来の不凍液溶液のみ
が通過することになる。したがって、熱管理システム54′中を流れる特殊直接
不凍液溶液は、例えば環境空気中の異物が第二の冷媒熱交換器184′に接触し
てこれを損傷することによる、システム212からの不凍液損失に対してさらに
保護される。直接不凍液冷却燃料電池を用いるシステムの第二の実施例212を
、輸送車両への動力供給に応用する際、第二の冷媒熱交換器184′を従来の自
動車ラジエーターとほぼ同様に構成して、環境空気流を利用することができる。
したがってそれは異物からの、および通常の磨耗や外力からの損傷を受け易いで
あろう。冷媒−冷媒熱交換器214を用いることによって、より高価な直接不凍
液溶液は、このようなラジエーター損傷に起因するいかなる損失からも保護され
る。二種類の不凍液溶液を用いることの付加的な利点は、直接不凍液冷却燃料電
池動力プラントシステム212のなかで、不凍液への表面張力および蒸気圧の要
求が厳しい部分において、直接不凍液溶液を用いることができることである。こ
のような部分とは、燃料電池12′、反応ガス流飽和器188′、190′、脱
気装置208′、および直接物質および熱移動手段96′などである。従来の不
凍液はシステム212のなかで要求が厳しくない部分に用いることができる。こ
のような部分とは、第二の冷媒熱交換器184′またはシステム全体212を冷
却するためのラジエーター、および選択的酸化装置160′を冷却するための第
三の熱交換器、などである。燃料処理構成要素手段の熱交換ループ174′に用
いられる従来の不凍液は、従来の冷却システムにおいて材質の腐食を防ぐために
用いられる、周知の防せい剤を含んでもよく、これによってより安価な材質を用
いることができる。
【0058】 直接不凍液溶液を上述の熱管理システム54、水処理システム210、および
直接物質および熱移動装置96に組み込むことによって、直接不凍液冷却燃料電
池動力プラントシステム10は、システム10が氷点下の環境条件で運転され、
あるいは運転間に停止されたときに凍結に対して敏感な、動力プラント内の自由
水の量を最小にすることができる。一方で、このようなシステム10を製造する
ための重量、コスト、および所要容積を、氷点下の条件で自動車を運用可能の公
知の燃料電池動力プラント作動システムに比較して、低減することができる。
【0059】 PEM電解質、撥水処理されたアノード電極およびカソード電極基体70、7
6、およびアノード電極およびカソード電極拡散層72、78を含む例示的な燃
料電池が効率的な試験性能を示し、グリセロール−水の直接不凍液溶液がアノー
ド電極およびカソード電極触媒64、66に、許容限度以上に吸収されることは
なかった。例示的な燃料電池は膜電極アッセンブリ内に、メリーランド州エルク
トン(Elkton)のダブリュー.エル.ゴアアンドアソシエーツ、インク(
W.L.Gore And Associates,Inc.)から製品識別番
号「PRIMEA−5560」として購入されたPEM電解質を含んでいた。
【0060】 多孔質のアノード電極およびカソード電極基体層はカーボン−カーボン繊維質
複合体であり、ニューヨーク州ニューヨークのトーレカンパニー(Toray
Company)からグレードTGP−H−60として購入された。アノード電
極およびカソード電極基体層は好ましい実施例として、当業界周知の撥水処理法
によって、デラウェア州ウィルミントンのイー.アイ.デュポンカンパニー(E
.I. DuPont Company)が販売したグレード「FEP−121
」のテフロン(Teflon)(登録商標)で均一に撥水処理された。
【0061】 多孔質のアノード電極およびカソード電極ガス拡散層は、米国特許第4,23
3,181号記載の、当業界周知の方法によって、アノード電極基体とカソード
電極基体の両方に付けられた。前記特許は本発明の全ての権利の譲受人が所有す
るものである。アノード電極およびカソード電極拡散層は、マサチューセッツ州
ビレリカ(Billerica)のキャボットコーポレイション(Cabot
Corporation)から入手したVulcanXC−52が約50%、前
述のイー.アイ.デュポンカンパニー(E.I. DuPont Compan
y)から入手したグレード「TFE−30」テフロン(Teflon)(登録商
標)が約50%からなっていた。
【0062】 電池のアノード電極およびカソード電極流れ領域は多孔質であって、アノード
電極およびカソード電極水輸送プレート内に画定された。水輸送プレートは多孔
質の黒鉛であって、約2〜3ミクロンの平均細孔径を有した。プレートは、本発
明の全ての権利の譲受人が所有する米国特許第5,840,414号記載の方法
で酸化スズ処理されることによって親水性とされた。
【0063】 電池を通過する、1回通過酸化剤流れパターンとして形成されるプロセス酸化
剤ガス流は、電池を通過する還元性流体および不凍液溶液冷媒流の流れパターン
と比較する目的で、ここでは便宜上、酸化剤入口と酸化剤出口の間の酸化剤流れ
軸として特徴づけられる。還元性流体は酸化剤流れ軸に対して実質的に直角に流
れる2回通過還元性流体パターンを形成した。すなわち一般的に酸化剤入口から
酸化剤出口に向かう方向に流れながら、酸化剤流れ軸を2回横切った。不凍液溶
液冷媒流は酸化剤流れ軸に対して実質的に直角な3回通過流れパターンを形成し
た。すなわち一般的に酸化剤出口から酸化剤入口に向かう方向に流れながら、酸
化剤流れ軸を約3回横切った。便宜上、前述の還元性流体の流れパターンを酸化
剤流れ軸に対して横断順流と呼び、前述の不凍液溶液冷媒流の流れパターンを酸
化剤流れ軸に対して横断逆流と呼ぶこととする。この試験は不凍液溶液冷媒流の
流れパターンを酸化剤流れ軸に対して横断逆流として行われたが、好ましい形態
は横断順流である。なぜならばこの形は酸化剤入口の電池温度を最低にし、局所
的な相対湿度を最高にし、したがって加湿要求を最小にし、かつ電解質の乾燥を
最小にするからである。
【0064】 電池は公称温度65℃で運転され、プラスマイナス5℃の範囲でほぼ等温であ
った。実験電池の試験運転に用いられた燃料は水素であった。燃料は65℃にお
いて100パーセント相対湿度に加湿された。燃料流量は水素利用率を80パー
セント(「%」)に保つように、電池の電流密度に比例して変化された。燃料圧
力は約1030グラム毎平方センチメートル(14.7PSIA)であった。試
験に用いられた酸化剤は空気であった。酸化剤はプロセス酸化剤ガス流を標準的
な飽和器に通すことによって、65℃において約0〜100%相対湿度の範囲に
わたって加湿された。酸化剤流量は酸素利用率を30パーセントに保つように、
電池の電流密度に比例して変化された。酸化剤圧力は約1030グラム毎平方セ
ンチメートル(14.7PSIA)であった。
【0065】 試験に用いられた冷媒流は純水から、65%グリセロールおよび35%水まで
の範囲にわたった。用いられたグリセロールは認定されたACS等級99.9%
のグリセロールであった。ここで用いられる、不凍液溶液冷却流体の一形態とし
ての「グリセロール」という言葉は、「グリセリン」を含むつもりであることが
指摘される。「グリセリン」はここでは、また一般的な認識においても、グリセ
ロールと水の溶液または混合物を含むものと了解されている。不凍液溶液(グリ
セロールと水、すなわち「グリセリン」)中のグリセロールの濃度は、20℃に
おけるグリセロール水溶液の比重を測定することによって計測された。不凍液溶
液冷媒流は、アノード電極およびカソード電極流れ領域チャンネルを画定するア
ノード電極およびカソード電極水輸送プレートの、両方の冷媒流れチャンネルに
循環された。燃料電池に流入し流出する冷媒流の入口および出口温度は、65℃
プラスマイナス5℃であった。
【0066】 電池は先ず最初に純水を冷却流体として試験された。電流密度は250アンペ
ア毎平方フィート(以下「AFS」)に設定され、電池電圧が約4時間にわたっ
て監視された。燃料と酸化剤はいずれも65℃において相対湿度約100%に飽
和された。次いで冷媒組成が約15、30、50、および65%グリセロールに
変更された。グリセロール濃度を変更する度に、その後4時間にわたって性能が
監視された。結果は表1にまとめられている。
【0067】
【表1】
【0068】 表1の結果を与えた試験は5日間にわたって行われた。この試験および結果を
ここでは便宜上、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の「第一の
試験」と呼ぶ。冷媒流の速度は全試験時間にわたって65℃プラスマイナス5℃
に保たれた。表1の結果は、水を65%までのグリセロールを含む不凍液溶液で
置き換えても性能に対する不利な影響はないことを示している。
【0069】 第二のシリーズの試験において、グリセロール濃度は約60%に一定とされ、
プロセス酸化剤ガス流の相対湿度が燃料電池の酸化剤入口において0%から10
0%まで変化された。第一の試験のすべての試験パラメータは第二の試験に関し
て上述した通りであった。プロセス酸化剤ガス流の相対湿度は約100%から5
7%、31%、16%、0%と変更された。酸化剤の相対湿度を変更する度に、
その後4時間にわたって電池の性能が監視された。第二の試験の結果は表2にま
とめられている。
【0070】
【表2】
【0071】 表2の第二の試験のデータは、燃料電池の酸化剤入口において約30%より低
い相対湿度においてはプロセス酸化剤の相対湿度の低下が、燃料電池性能に不利
な影響を及ぼすことを示している。カソード電極流れ領域内でプロセス酸化剤の
相対湿度が30%より低くなると、不凍液溶液はプロセス酸化剤ガス流からカソ
ード電極水輸送プレートへ、水分を引き寄せる。したがって水分がプロトン交換
膜(PEM)からプロセス酸化剤ガス流へ、PEMを効果的に脱水するような速
度で移動し、電池性能の低下をもたらす。
【0072】 もう一つの、すなわち第三の試験において、前述のダブリュー.エル.ゴアア
ソシエーツカンパニー(W.L.Gore Associates Compa
ny)から入手した型式番号「PRIMEA−5510」なる膜電極アッセンブ
リを有する5cm×5cm(2インチ×2インチ)のPEM電池が試験された。
電池の形態はアノード電極触媒が0.4ミリグラム毎平方センチメートルの白金
であり、冷媒がないことを除いては、前述の試験と同じであった。
【0073】 電池は1030グラム毎平方センチメートル(14.7PSIA)、65℃で
、水素と空気を用いて運転された。水素と空気は相対湿度約100%に飽和され
、利用率は500アンペア毎平方フィート(「ASF」)においてそれぞれ80
%および30%であった。乾燥した酸化剤の一部は電池に導入する前にグリセロ
ールで満たされた飽和器を通され、次いで加湿空気と混合された。酸化剤入口7
4における蒸気中のグリセロール濃度は、65℃における55重量%のグリセロ
ール溶液上のグリセロールの平衡濃度である約4ppmに設定された。目的は、
グリセロールがどのくらい早く、電池に触媒毒を及ぼすかを評価することであっ
た。試験は16時間にわたって行われた。この時間内に、電池電圧は初期値の0
.683ボルトから最終値の0.638ボルトに低下した。両電極の電位は空気
開回路電位に上昇された。この処理の後、電池が0.681ボルトに回復すると
いう電池性能が得られた。
【0074】 別の、すなわち第4の試験において、この電池のサイクリックボルタンメトリ
ーの結果は、グリセロールが確かにアノード電極触媒上に徐々に吸着されるが、
水素基準電極に対して約0.5ボルトの電位においてきれいに酸化されることを
示した。
【0075】 これらの試験は、グリセロールが、通常のPEM電池の電位範囲においてPE
M電池内で酸化されることを示している。自動車用途に用いられる燃料電池の始
動時および停止時における電極の通常の電位超過は、アノード電極および/また
はカソード電極触媒と接触する可能性のある痕跡量の不凍液溶液を酸化するのに
十分であると思われる。
【0076】 第一と第二の試験からさらに、直接不凍液冷却燃料電池12が効率的な性能レ
ベルを維持可能であること、また直接不凍液溶液がカソード電極触媒と直接の流
体連通関係にあることが、カソード電極触媒による不凍液溶液の吸着とそれによ
る電池への触媒毒作用の結果として、電池性能を著しく劣化させることはないこ
とが確認された。これらの試験に用いられた電池は、65℃における約500時
間の作動時間と、125時間の負荷時間にわたってグリセロール−水溶液に曝さ
れたが、なんらの不利な性能低下を示さなかった。
【0077】 さらに、第一および第二の試験の結果は、好ましい実施例においては、必要に
応じて撥水性または疎水性とされるカソード電極およびアノード電極基体層、お
よび必要に応じて撥水性または疎水性とされるカソード電極およびアノード電極
ガス拡散層が、実質的な量の不凍液溶液が水輸送プレートから膜電極アッセンブ
リに移動するのを効果的に制限し、不凍液溶液によって電池内で起こり得る触媒
毒を防止することを示している。また、電池内の水管理の力学によって、反応流
体と水輸送プレートとの界面で、水に富んだ不凍液溶液が生成する。これがこの
界面における不凍液の濃度を効果的に低下させ、さらにまた拡散によって膜電極
アッセンブリに移動するのに利用可能な不凍液の量を減少させる。アノード電極
触媒においては飽和した還元性流体ガス流から水が凝縮し、かくして水に富んだ
反応流体−水輸送プレート界面を作り出す。カソード電極触媒においては、水が
生成し、引き続いてカソード電極触媒からカソード電極水輸送プレートへ、液体
として流れ、または蒸気として拡散するので、やはり水に富む反応流体−水輸送
プレート界面が形成される結果になる。
【0078】 図4はほぼ大気圧で運転される直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム
10において、水バランスを保つために燃料電池12に許容される空気または酸
化剤の利用率を、ガソリンを燃料とする燃料電池12のカソード電極排気ガス流
温度の関数としてプロットしたグラフである。直接不凍液溶液はプロセス酸化剤
ガス流の相対湿度が変化するとともに濃度を変えて使用されている。図4のグラ
フにおいて左から右へ見ていくと、第一の曲線218はカソード電極水輸送プレ
ート74を通過する冷却流体がグリセロール0%、凝固点0℃(32°F)であ
り、酸化剤の相対湿度が100%のときの、水バランスが保たれているシステム
の空気利用率および排気ガス温度を示している。第二の曲線2204は、直接不
凍液溶液がグリセロール33%、凝固点−11℃(12°F)、かつ酸化剤の相
対湿度90%に対するものである。第三の曲線222は、直接不凍液溶液がグリ
セロール52%、凝固点−25℃(−13°F)、かつプロセス酸化剤ガス流の
相対湿度80%に対するものである。第四の曲線224は、直接不凍液溶液がグ
リセロール65%、凝固点−45℃(−49°F)、かつプロセス酸化剤ガス流
の相対湿度70%に対するものである。
【0079】 図から分かるように、直接不凍液溶液を用いると、所与の空気利用率に対して
システム排気ガス温度を上げることができる、あるいは逆に所与の排気ガス温度
に対して空気利用率を増加することができる。空気利用率を増加すると、環境空
気を酸化剤ブロワー34でポンプ送りするのに要する寄生的な動力が減少する。
一方、許容されるシステム排気温度が上昇すると、高温の環境条件下で水バラン
スを達成するのが容易になり、これによって直接不凍液冷却燃料電池動力プラン
トシステム10のさらなる利益が証明される。
【0080】 強調すれば、ここに用いられる、「と流体連通関係にある」の「直接の流体連
通関係にある」という句は、両構成要素間に物理的な障壁がない、という意味で
ある。例えば、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の燃料電池1
2において、多孔質のカソード電極基体76はカソード電極触媒66と直接の流
体連通関係に取り付けられており、カソード電極水輸送プレート74は多孔質の
カソード電極基体76と直接の流体連通関係に取り付けられている。したがって
、カソード電極水輸送プレート74とカソード電極触媒66の間にはガス状の、
および/または液状の流れに対して中実の障壁はない。例えば、ガス状の反応ガ
ス流などを加湿する目的で、膜の両側の構成要素の間のガス状の流れを制限する
が、液体の流通は選択的に許すような半透膜を用いることが知られている。本発
明の直接不凍液冷却燃料電池12においては、カソード電極水輸送プレート74
とカソード電極触媒66の間にこのような物理的障壁は置かれないし、アノード
電極水輸送プレート68とアノード電極触媒64の間にこのような物理的障壁は
置かれない。
【0081】 直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10においては、燃料電池12
の構成要素、熱管理システム54、燃料処理構成要素手段、水処理システム18
4、あるいは直接物質および熱移動手段96のいずれにおいても、ほとんど全て
の液状水は直接不凍液溶液に曝されており、したがって水は電池12の運転中に
、また電池が氷点下の条件で停止しているときに、凍結することはない。PEM
電解質内の水は直接不凍液溶液に曝されていない。しかしながら電池12の運転
中に、周知の電気化学反応によって熱が発生するので、電解質内の水の凍結の問
題は防止される。直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の停止中に
、電解質内の比較的少量の水の一部は蒸発し、蒸気となって隣接する多孔質のア
ノード電極およびカソード電極拡散層および基体層を通過して、カソード電極お
よびアノード電極水輸送プレート74、68に入る。同時に若干の不凍液溶液が
蒸発して電解質中に移動し、電解質内に残っている溶液の凝固点を下げ、かくし
てまた凍結および、その後の電池12始動時の融解に関する要求を最小限度にす
る。始動すると、電池のアノード電極およびカソード電極触媒64、66に脱着
された、または電解質62に含まれた微量の不凍液溶液は、始動手順時の電池電
圧によってアノード電極およびカソード電極触媒上で酸化される。
【0082】 したがって、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の独特の物理
的および化学的特性が協同して、次のような意外な結果を生み出していることが
分かる、すなわち、直接不凍液溶液を冷却流体として、電池のアノード電極およ
びカソード電極触媒64、66との直接の流体連通関係のもとに用いることは重
大な性能低下をもたらさず、また、直接不凍液溶液を熱管理システム54、燃料
処理構成要素手段、水処理システム210、および直接物質および熱移動手段9
6に組み込むことによって、これらのシステムの構成要素が、プラントを氷点下
温度の条件で運転することに関連する問題から保護される。さらに、燃料処理構
成要素手段のボイラー124に直接不凍液溶液を供給することによって、ボイラ
ー124および蒸気分離器128もまた凍結から保護される。直接物質および熱
移動装置96が、システム10からの水損失を制限し、かつ電池12から出て行
く水を酸化剤入口26を通してシステム10の構成要素に戻すように働くことに
よって、さらにシステム10を支援する。
【0083】 本発明を直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム10の特定の構成に基
づいて説明および図示したが、このシステムは説明および図示された実施例に限
定されないことは理解されるべきである。例えば上述の例示的な燃料電池の試験
結果は、PEM電解質を用いる電池に関するものであるが、燃料電池12は別の
当業界公知の電解質を用いてもよい。また、図2において、例示的な燃料電池の
図示された実施例は、アノード電極基体70とアノード電極触媒64の間のアノ
ード電極拡散層72、およびカソード電極基体76とカソード電極触媒66の間
のカソード電極拡散層78を図示しているが、燃料電池12の別法の実施例にお
いては拡散層72、78が省略され、カソード電極基体76およびアノード電極
基体70がそれぞれ、カソード電極触媒66およびアノード電極触媒64を支持
しつつ、これらに隣接して取り付けられてもよいことは理解されるであろう。ま
た、カソード電極拡散層78またはカソード電極基体76は、上述の性能結果を
与えるのに使用された試験燃料電池と異なって撥水化処理されなくともよい。さ
らに、直接不凍液溶液に対する要求性能を約65℃(150°F)で運転される
燃料電池に関連して説明したが、要求性能は燃料電池12の運転温度に無関係で
あることは理解されるであろう。さらに他の例として、上記の説明は大気圧より
わずかに高い圧力で運転される燃料電池に関するものであるが、本発明の範囲は
より高圧に加圧された燃料電池への応用も包含する。したがって本発明の範囲を
決めるには、前述の説明よりも特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明によって構成された直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステ
ムの第一の実施例の概略図である。
【図2】 図2は本発明の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの燃料電池の構
成要素の概略的な部分断面図である。
【図3】 図3は本発明によって構成された直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステ
ムの第二の実施例の概略図である。
【図4】 図4は本発明の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムの酸素利用度に
対してプロットした排気ガス流温度を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/10 H01M 8/10 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ヴァン ディン,レズリー エル. アメリカ合衆国,コネチカット,マンチェ スター,プリマウス レーン 117 (72)発明者 ステインバグラー,マーガレット エム. アメリカ合衆国,コネチカット,イースト ウィンザー,グリーンウッド レーン 141 Fターム(参考) 5H026 AA06 CC03 5H027 AA06 BA06 CC06 KK11 KK31

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性流体とプロセス酸化剤反応ガス流とから電気エネルギー
    を発生する直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステムであって、該システム
    は: a. アノード電極触媒とカソード電極触媒の間に取り付けられた電解質を含
    む、還元性流体とプロセス酸化剤ガス流とから電気エネルギーを発生するための
    少なくとも一つの燃料電池手段と、 b. カソード電極触媒と直接の流体連通関係に取り付けられた多孔質の水輸
    送プレートを含む、動力プラント内の温度を制御するための温度管理システム手
    段と、 c. 燃料電池手段を冷却するために熱管理システムに流される直接不凍液溶
    液であり、該溶液はカソード電極触媒を濡らさない有機不凍液溶液であり、かつ
    電池の運転温度で非蒸発性である、直接不凍液溶液と、 d. 熱を発生するためのバーナーおよび、炭化水素燃料を受け入れて該燃料
    を還元性流体に改質するための改質器を含む、炭化水素燃料を処理して還元性流
    体に転化するための燃料処理構成要素手段と、 を有する、直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  2. 【請求項2】 直接不凍液溶液は、アルカントリオール直接不凍液溶液である
    、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  3. 【請求項3】 直接不凍液溶液は、グリセロール、ブタントリオール、および
    ペンタントリオールからなる群から選ばれるアルカントリオール直接不凍液溶液
    である、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  4. 【請求項4】 直接不凍液溶液は特殊直接不凍液溶液であり、該溶液は、 a. 少なくとも−20°Fの凝固点と、 b. 燃料電池の運転温度において60ダイン/cmより大きな表面張力と、 c. 電池の運転温度の溶液上で0.005mmHgより小さな不凍液分圧と
    、 d. 燃料電池の電圧においてアノード電極およびカソード電極触媒によって
    酸化される能力と、 を有する、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  5. 【請求項5】 燃料処理構成要素手段は蒸気噴射手段を含み、該蒸気噴射手段
    が蒸気分離器からの蒸気を燃料電池手段に入る反応ガス流に送って、燃料電池に
    入る反応ガス流の湿度を増加する、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力
    プラントシステム。
  6. 【請求項6】 システムは圧力制御手段を含み、該圧力制御手段が燃料電池手
    段を通過する反応ガス流と多孔質の水輸送プレートを通過する直接不凍液溶液と
    の間に正の差圧を維持し、かくして燃料電池内の反応ガス流が水輸送プレート内
    の直接不凍液溶液より高い圧力にある、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池
    動力プラントシステム。
  7. 【請求項7】 圧力制御手段が、燃料電池手段を通過する反応ガス流の圧力を
    、大気圧と、大気圧より約1.0ないし2.0ポンド毎平方インチ高い圧力との
    間に維持し、水輸送プレート内の直接不凍液溶液の圧力を大気圧より低く維持す
    る、請求項6記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  8. 【請求項8】 システムはアノード電極排気通路を含み、該アノード電極排気
    通路は燃料電池手段のアノード電極流れ領域を出るアノード電極排気ガス流をバ
    ーナーへ送り、かくしてバーナーがアノード電極排気ガス流中の未使用の還元性
    流体を燃焼する、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム
  9. 【請求項9】 システムは直接不凍液溶液を処理するための水処理システム手
    段を含み、該水処理システム手段は脱塩装置を含み、該脱塩装置は、熱管理シス
    テムに取り付けられて直接不凍液溶液を脱塩装置に通す脱塩装置供給配管および
    戻り配管を通じて、熱管理システムと流体連通関係に取り付けられており、前記
    水処理システム手段はさらに直接不凍液溶液中の溶存汚染物質を除去するための
    脱気装置手段を含み、該脱気装置手段が熱管理システムと、プロセス酸化剤を燃
    料電池に導入する酸化剤入口との間に物質移動関係に取り付けられている、請求
    項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  10. 【請求項10】 燃料処理構成要素手段は、バーナーと熱移動関係に取り付け
    られたボイラーを含み、該ボイラーは、ボイラーと熱管理システムとの間に流体
    連通関係に取り付けられたボイラー供給配管を通じて直接不凍液溶液の一部を受
    け入れ、燃料処理構成要素手段はさらに、ボイラーから蒸気と液状の直接不凍液
    溶液を受け入れて蒸気を液状の直接不凍液溶液から分離する蒸気分離器を含み、
    改質器手段は、分離された蒸気を蒸気分離器から受け入れ、かつ炭化水素燃料を
    受け入れて燃料を還元性流体に改質する蒸気改質器からなる、請求項1記載の直
    接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  11. 【請求項11】 燃料処理構成要素手段は、バーナーと熱移動関係に取り付け
    られたボイラーを含み、該ボイラーは、ボイラーと熱管理システムとの間に流体
    連通関係に取り付けられたボイラー供給配管を通じて直接不凍液溶液の一部を受
    け入れ、燃料処理構成要素手段はさらに、ボイラーから蒸気と液状の直接不凍液
    溶液を受け入れて蒸気を液状の直接不凍液溶液から分離する蒸気分離器を含み、
    改質器手段は、分離された蒸気を蒸気分離器から受け入れ、酸化剤ガス流を酸化
    剤ブロワーから受け入れ、かつ炭化水素燃料を受け入れて燃料を還元性流体に改
    質する自熱式改質器からなる、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラ
    ントシステム。
  12. 【請求項12】 改質器手段は、酸化剤ガス流を酸化剤ブロワーから受け入れ
    、かつ炭化水素燃料を受け入れて燃料を還元性流体に改質する部分酸化式改質器
    からなる、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  13. 【請求項13】 燃料処理構成要素手段は、バーナーと熱移動関係に取り付け
    られたボイラーを含み、該ボイラーは、ボイラーと熱管理システムとの間に流体
    連通関係に取り付けられたボイラー供給配管を通じて直接不凍液溶液の一部を受
    け入れ、燃料処理構成要素手段はさらに、ボイラーから蒸気と液状の直接不凍液
    溶液を受け入れて蒸気を液状の直接不凍液溶液から分離する蒸気分離器と、液戻
    り配管とを含み、該液戻り配管は、蒸気分離器と熱管理システムとの間に流体連
    通関係に取り付けられて、分離された液状の直接不凍液を熱管理システムに送り
    、かくして直接不凍液溶液中の直接不凍液の濃度を制御する、請求項1記載の直
    接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  14. 【請求項14】 システムはさらに熱交換器を含む燃料処理熱交換ループ手段
    を含み、前記熱交換器は、燃料処理構成要素手段の選択的酸化器で加熱された改
    質済み燃料と熱交換関係に取り付けられており、かくして第二の冷却流体を熱交
    換器に通して改質済み燃料から熱を除去する、請求項1記載の直接不凍液冷却燃
    料電池動力プラントシステム。
  15. 【請求項15】 燃料処理熱交換ループ手段はさらに熱管理システム手段と熱
    交換関係に取り付けられた冷媒−冷媒熱交換器を含み、該熱交換器は第二の冷却
    流体を直接不凍液溶液冷却流体との熱交換関係のもとに流す、請求項14記載の
    直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  16. 【請求項16】 システムはさらに直接物質および熱移動装置手段を含み、該
    直接物質および熱移動装置手段は、プロセス酸化剤ガス流を燃料電池手段に導入
    する酸化剤入口と、プラント排気ガス流を燃料電池手段から導出するプラント排
    気通路の双方と流体連通関係に取り付けられて、プラント排気ガス流中にあって
    プラントを出る物質および熱を、直接にプロセス酸化剤ガス流に移動させてプラ
    ントに戻し、直接物質および熱移動装置手段は物質移動媒体手段を含み、該物質
    移動媒体手段はプラント排気ガス流中の極性分子からなる極性流体物質を吸着し
    、該極性物質をプロセス酸化剤ガス流中に脱着し、前記物質移動媒体手段はセパ
    レータハウジングによって酸化剤ガス流と排気ガス流との間に物質移動関係に支
    持される、請求項1記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
  17. 【請求項17】 物質移動媒体手段は、液状移動媒体として熱管理システム手
    段から液状移動媒体供給配管を通して供給される直接不凍液溶液を含む、請求項
    16記載の直接不凍液冷却燃料電池動力プラントシステム。
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