JP2003517555A - 氷付着強度を変えるためのシステムおよび方法 - Google Patents

氷付着強度を変えるためのシステムおよび方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、物体に付着した氷の氷付着強度を変えるためのシステムを含む。このシステムは、物体から電気的に絶縁される電極と、物体および電極に結合されるDC源とを含む。このDC源は、氷が回路を完成すると、氷と物体との間の界面にDCバイアスを生成する。物体は導電性であるか、または、半導体としてドープされる。そのため、DCバイアスは、界面のバイアス電圧が実質的にゼロである場合の氷付着強度と比べて、氷付着強度を選択的に変える電圧を、界面に印加する。本発明の1実施形態は、表面に氷を選択的にドープするための多孔質材料を組み込み、そして本発明の別の実施形態は、氷と金属との間の水素結合の強さを減少するために自己組立て単層を組み込む。1実施形態において、本発明は、コーティングが凍結状態において雪を溶かすように、温度とともに性質を変化する送電線コーテングを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、氷と選択された材料との間の氷付着強度を変える方法および装置に
関する。より具体的には、本発明は、氷とそのような材料との間の界面に電気エ
ネルギーを適用し、氷付着強度を増加または減少させ、所望の結果を促進するシ
ステムおよび方法に関する。
【0002】 (発明の背景) ある特定の表面への氷の付着は、多くの問題点を引き起こす。例えば、航空機
の翼上に氷が過剰にたまると、この飛行機およびその乗客が危険にさらされる。
船体上の氷は、航行困難、水および氷を通って航行するための追加電力の消費、
ならびに、ある特定の危険な状態を引き起こす。自動車のフロントガラス上に形
成する氷を擦き取る必要があることを、ほとんどの成年者は、面倒および繰り返
し行う雑用と考え;そしていかなる残余の氷により、ドライバーの視覚および安
全性が危険にさらされる。
【0003】 着氷および氷付着はまた、ヘリコプターの羽根、および公道に関する問題点を
引き起こす。氷雪の除去および制御には、数十億ドルが費やされている。氷はま
た、金属、プラスチック、ガラス、およびセラミックスへ付着し、その他の日々
の困難を引き起している。
【0004】 送電線上の着氷もまた、問題である。着氷は、送電線の重量を増加し、それに
より停電が起こり、直接費および間接費に数十億ドルの費用がかかる。
【0005】 従来技術において、氷付着を対処する方法は様々なものがあるが、ほとんどの
技術は、何らかの形で擦き取るか、溶かすか、または砕くことを伴う。例えば、
航空機産業は、エチルグリコールのような除氷液を用いて、航空機の翼にかけ、
翼上の氷を溶かす。このプロセスは、費用がかかるおよび環境上有害の両方であ
る;しかし、乗客の安全が危険にさらされることを理由に、この除氷液が使用さ
れる。他の航空機は、航空機の翼の前部に沿って整列されたゴム管を使用し、そ
れにより、この管を周期的に膨らまして、その上にあるいかなる氷をも砕く。さ
らに他の航空機は、ジェットエンジンの熱を翼に向け直して、氷を溶かす。
【0006】 これらの従来技術の方法は、制限および難点を有する。第1に、プロペラ推進
式の航空機は、ジェットエンジンを有しない。第2に、航空機の翼の前部のゴム
管は、空気力学的に効果的ではない。第3に、除氷は、一回の適用につき$25
00〜$3500という非常に高い費用がかかり;そしてある航空機によっては
、1日に約10回適用され得る。
【0007】 上記で参照した問題点は概して、表面上に付着しそして形成するような氷の性
質から起こる。しかし、氷はまた、非常に低い摩擦係数を有するという点で、困
難を引き起こす。例えば、毎年、道路上の氷は、多数の自動車事故を引き起こし
、人命を犠牲にすることおよび多くの財物損壊の両方を引き起こしている。自動
車のタイヤがより効果的に氷をとらえれば、おそらく事故はより少なくなるだろ
う。 従って、氷付着強度を有益に変えるシステムおよび方法を提供することが
、本発明の目的である。
【0008】 本発明の別の目的は、航空機の翼、船体、およびフロントガラスのような乗り
物表面上の氷付着を減少して、氷の除去を容易にするシステムを提供することで
ある。
【0009】 本発明のさらに他の目的は、氷で覆われた道路と自動車のタイヤとの間、およ
び氷と靴底およびクロスカントリースキーのようなその他の物体との間の摩擦係
数を増加させるシステムを提供することである。
【0010】 上記のおよびその他の目的は、以下の説明において明らかになる。
【0011】 (発明の要旨) 氷と氷が形成する表面との間の氷付着強度が減少されるならば、上記で参照し
た問題点のうちある特定問題点は、減少される。例えば、氷と航空機の翼との間
の付着強度が十分に減少するならば、風圧、バフェッティング、または手動で行
う軽いブラッシングにより、翼から氷が除去される。同様に、氷と自動車のフロ
ントガラスとの間の氷付着強度が低減されるならば、フロントガラスを擦き取っ
て氷を無くすことがはるかに簡単になる。
【0012】 氷とこの氷に接する表面との間の氷付着強度が増加するなら、上記で参照した
その他の問題点は、軽減される。例えば、自動車のタイヤと凍結道路との間の氷
付着強度が増大すると、スリップが少なくなり、事故が減る。
【0013】 氷は、ある特定の物理特性を有し、その物理特性により、本発明は、導電(お
よび半導電)表面への氷付着を選択的に変えることが可能になる。第1に、氷は
、電荷キャリアが電子ではなく陽子である半導体の小さな分類である、陽子半導
体である。この現象は、氷内の水素結合の結果として起こる。氷中の水分子の水
素原子が、酸素原子とそれらの電子を共有するために、水素結合が起こる。従っ
て、固有に単一の陽子である水分子の核は、隣接する水分子との結合に利用可能
なままである。
【0014】 典型的な電子ベースの半導体と同様に、氷は、電気的に導電性である。この電
気導電性は概して弱いけれども、余分な電荷輸送粒子(すなわち氷の場合におけ
る陽子)を提供または受容する化学試薬の添加により、この導電性を変え得る。
【0015】 氷の別の物理特性は、その蒸発性である。物質の蒸発性は、その物質表面での
蒸気圧の関数である。ほとんどの材料において、蒸気圧は、液体−固体界面で急
速に低下する。しかし、氷中において、液体−固体界面での蒸気圧の変化は実質
的にない。この理由は、氷の表面が液体状の層(「LLL」)で覆われているた
めである。
【0016】 このLLLは重要な物理特性を有する。第1に、このLLLは数ナノメーター
の厚さしかない。第2に、LLLの粘性は、凝固点または凝固点付近の温度での
ほぼ水状態から、それよりも低い温度での非常に粘性の高い状態までの範囲にわ
たる。さらに、このLLLは、−100℃という低い温度で存在し、従って、地
球の周りのほとんどの温度に関して実際に存在する。
【0017】 このLLLはまた、氷付着強度の主要な因子である。例えば、あるLLLが氷
の滑らかな表面を航空機の翼の滑らかな表面に接触させるならば、この2つの表
面間で接する実際の面積は、これら2つの表面間の総界面面積の1000分の1
のオーダーである。LLLは、ほとんどすべての接着剤の背後にある主要物質(
principal)である、表面間の湿潤材料として機能し、そしてこの表面
間の有効接触面積を実質的に増加させる。接触面積の増加が、氷付着に強い影響
を及ぼす。
【0018】 氷の半導体特性およびLLLとの組み合わせにより、氷と他の表面との間の氷
付着強度を選択的に操作することが可能になる。概して、氷片中の水分子はラン
ダムに配向させられる。しかし、表面上で、この分子は、外側または内側のどち
らかに向かって同じ方向に実質的に配向させられる。結果として、分子の陽子、
および従って、正電荷はすべて、外側または内側のいずれかへ向いている。
【0019】 厳密な機構は知られていないが、水分子のランダム性は、LLL内では規則正
しい配向に遷移する可能性がある。しかし、実際には、この配列の結果、表面で
高密度の、正または負のいずれかの電荷が生じる。従って、氷に接触する表面上
で電荷が発生される場合、これら2つの表面間の付着を選択的に変えることが可
能である。同極性の電荷が反発し合い、逆極性が引き合うため、氷と他の表面と
の界面に外部から付与される電気バイアスにより、氷と表面との間の付着が低減
または強化される。
【0020】 1つの局面では、本発明は、氷と氷が形成される表面と間の界面にDC電圧を
印加するように接続される電源を提供する。例示として、導電表面は、航空機の
翼または船体であり得る(あるいは、構造に付与された塗料であり得る)。第1
の電極は表面に接続し;非導電性即ち電気的に絶縁性の材料は、表面の上にグリ
ッドとして付与され;そして第2の電極は、絶縁材料の上に、導電材料、例えば
、導電塗料を、その表面に接触させずに付与することにより形成される。第2の
電極の表面積は、システムにより保護される表面積全体と比べて小さい表面積で
あるべきである。例示として、保護されている表面積(即ち、「無氷(ice−
free)」にしたい面積)は、第2の電極の表面積よりも少なくとも約10倍
大きくあるべきである。
【0021】 1本以上のワイヤが、第2の電極を電源に接続し;その上、1本以上のワイヤ
が、第1の電極を電源に接続する。表面と、導電性の第2のグリッド電極との上
に形成される氷は、回路を完成する。次いで、表面への氷の氷付着強度を制御可
能に変える電圧が、回路に選択的に印加される。
【0022】 電圧調整器サブシステムもまた、好ましくは回路に接続し、界面に印加される
電圧を調節可能に制御し、そして、氷付着強度の制御を達成する。例示として、
異なる濃度のイオンからなる氷は、氷付着強度が最小値である最適な電圧を変え
得;そして、それにより、電圧調整器サブシステムは、最小値を選択的に変える
ことができる機構を提供する。
【0023】 その他のサブシステムは好ましくは回路に接続し、例えば水または氷が回路を
完成するかどうかを検出するなどの、その他の特徴を提供する。1つの局面では
、電源は、回路に電圧を与え且つ除氷電極に接続するDC電源(例えば、バッテ
リ)である。別の局面では、DC電流計が回路に接続し、氷(即ち、表面と、第
2のグリッド電極の任意の部分との上に形成されると、2つの電極を「短絡」す
る半導電層)のDC導電率を測定する。別の局面では、AC電源が回路に接続し
、約10kHzと約100kHzとの間のAC電圧を選択的に生成する。別の局
面によれば、AC電流計もまた回路に接続し、10〜100kHzの範囲内の周
波数で氷のAC導電率を測定する。さらに別の局面では、電流比較器が、AC導
電率とDC導電率とを比較する。
【0024】 従って、上記局面は、例えば、表面の上に形成された半導電層が、危険であり
得る氷であるか、表面水であるかを識別できる回路を提供する。水のAC導電率
(上記範囲内での)と、DC導電率とは、実質的に同じである。しかし、氷に関
しては、AC導電率と、DC導電率とは、2〜3オーダの大きさだけ異なる。こ
の導電率差は、それぞれの電流計により測定され、電流比較器で比較される。導
電率差が所定の設定点よりも大きくなると、電流比較器は、着氷アラームに信号
を送る。例えば、この時点で、電圧調整器サブシステムは、回路に、および従っ
て界面に、氷付着強度を十分に低減する所望の場強度でDCバイアスを付与する
ように動作し得る。本発明の1つの局面によれば、航空機の翼上に氷が検出され
ると、着氷アラームは、(a)氷の導電率を測定し、(b)最小の(または最小
に近い)氷付着状態に達するために適切なバイアス電圧を決定し、そして(c)
氷−翼界面にバイアス電圧を印加して氷の除去を容易にする、システム内のフィ
ードバックループを開始する。
【0025】 当業者は、上記システムが、車のフロントガラス、船体、および送電線などの
、氷付着強度を低減することが望ましい多くの表面に適用され得ることを認識す
るはずである。そのような場合、表面材料が弱い導電性であれば、十分に導電性
になるように表面材料を「ドープ」することが望ましい。ドーピング技術は、当
業者に公知である。例えば、自動車のタイヤには、ゴムを導電性にするために、
ヨウ素がドープされ得る。同様に、自動車のガラスには、フロントガラスを受容
可能な半導体にするために、ITOまたはフッ化物がドープされたSnO2がド
ープされ得る。
【0026】 しかし、別の局面では、上記システムおよび回路はまた、氷付着強度を増加さ
せることが望ましい場所に適用可能である。例えば、この局面では、着氷アラー
ムが氷を検出すると、システムは、フィードバックループを活性化して、界面へ
の印加DC電圧を調整し、氷付着を増大させる。このシステムにより利益を受け
得る場所および表面には、例えば、凍結道路上にある、人の片方の靴(または一
足の靴)の裏側の靴底、および自動車のタイヤ、などがある。
【0027】 さらに他の局面では、本発明は、氷と表面との間の氷付着強度の増加、次いで
減少を選択的に行う可変氷付着/電圧制御サブシステムを含み得る。例示として
、クロスカントリースキー(または、テレマーク用スキー)は、理想的には、斜
面を登るとき(または、ある特定の状況では、斜面を降りるとき)により高い摩
擦を有し、斜面を「スキーで」降りるときにより低い摩擦を有する。本発明の1
つの局面によれば、本明細書において示される氷付着システムおよび回路は、回
路内(in circuit)でスキーに取り付けられるため、操作者は、スキ
ーの摩擦を選択的に調節可能に制御することができる。
【0028】 本発明のその他の有用な背景は、以下の文献を参照して見いだされ得る。本明
細書において、以下の文献の各々を参考として援用する。Petrenko、T
he Effect of Static Fields on Ice Fr
iction、J. Appl. Phys. 76(2)、1216−121
9(1994);Petrenko、Generation of Elect
ric Fields by Ice and Snow Friction、
J. Appl. Phys. 77(9)、4518−4521(1995)
;Khusnatdinovら、Electrical Properties
of the Ice/Solid Interface、J. Phys.
Chem. B、101、6212−6214(1997);Petrenk
o、Study of the Surface of Ice, Ice/S
olid and Ice/Liquid Interfaces with
Scanning Force Microscopy、J. Phys. C
hem. B、101、6276−6281(1997);Petrenkoら
、Surface States of Charge Carriers a
nd Electrical Properties of the Surf
ace Layer of Ice、J. Phys. Chem. B、10
1、6285−6289(1997);およびRyzhkinら、Physic
al Mechanisms Responsible for Ice Ad
hesion、J. Phys. Chem. B、101、6267−627
0(1997)。
【0029】 次に、本発明を、好適な実施形態に関してさらに説明するが、本発明の範囲か
ら逸脱することなく、当業者により様々な追加、除去、および改変がなされ得る
ことが明らかになる。
【0030】 本発明のより完全な理解は、図面を参照することにより得られ得る。
【0031】 (図面の詳細な説明) 本発明は、氷と材料(例えば、金属および半導体)との間の界面へのDCバイ
アスの付与により、これらの材料への氷付着強度を変えるシステムおよび方法を
含む。従って、本発明は、そのような材料への氷の付着を低減し、そして場合に
よっては、無くすために使用され得る。
【0032】 ある特定の実施形態では、本発明は、氷と金属との間の結合を形成する静電相
互作用を変える。これらの相互作用は、氷と金属との間にわずかなDC(直流)
バイアスを付与することにより効果的に変えられる(低減または強化される)。
【0033】 実験および理論計算により、氷表面が10-2C/m2〜3・10-2C/m2の高
密度電荷を有することが分かっている。Petrenkoら、「Generat
ion of Electric Fields in Ice and Sn
ow Friction」、J. Appl. Phys.、77(9):45
18−21(1995);Petrenko、「A Study of the
Surface of Ice,Ice/Solid and Ice/Li
quid Interfaces with Scanning Force
Microscopy」、J.Phys.Chem.B、101、6276(1
997);およびDoschら、Surface Science 366、4
3(1996)を参照されたい。本明細書において、上記文献の各々を参考とし
て援用する。この電荷密度は、氷表面下層の水分子の強い分極から生じる。
【0034】 氷表面電荷と、固体に誘導される電荷との間の相互作用が、氷−固体界面の強
度に影響を及ぼす。概算では、2つの平面電荷(plane surface
charges)の静電引力(負圧Pel)は、以下の式で表される:
【0035】
【数1】 ここで、ε0は、真空の誘電率であり、Eは、電荷間の空間における電場強度で
ある。電荷分布が2つの材料の接触電位Vcを決めるため、Eを、Vc/Lである
と推定することができる。ここで、Lは、氷および固体中にある平面電荷(pl
ane charge)間の距離である。氷−金属界面のVcは、数十分の1ボ
ルトから約1Vまで変動する。Buserら、「Charge Separat
ion by Collision of Ice Particles on
Metals: Electronic Surface States」、
Journal of Glaciology、21(85):547−57(
1987)を参照されたい。本明細書において、上記文献を参考として援用する
【0036】
【数2】 (上記ドープされた氷の例示の主遮蔽長)、ε=3.2(氷の高周波数誘電率)
、およびVc=0.5V(接触電位の典型的な大きさ)であるとすると、式(1
)により、
【0037】
【数3】 が得られる。この値は、1.5Mpaにおける氷のマクロ(macroscop
ic)引っ張り強度に匹敵するがこれを越える大きさである。Schulson
ら、「A Brittle to Ductile Transition i
n Ice Under Tension」、Phil. Mag.、49、3
53−63(1984)を参照されたい。本明細書において、上記文献を参考と
して援用する。
【0038】 実際の空間−電荷分布および電荷緩和計算を用いた、氷表面電荷と金属との間
の静電相互作用エネルギーのより高度な計算が、以下に示される。具体的には、
この相互作用エネルギーが、−10℃で0.01〜0.5J/m2であることが
、以下に示される。下限である0.01J/m2は、純粋な氷に対応し、上限値
である0.5J/m2は、強濃度のドープに対応する。これらの値は、走査力顕
微鏡(scanning force microscopy)(「SFM」)
を使用した、以下に示されるその他の実験結果に匹敵する。SFMの結果により
、静電相互作用エネルギーは0.08±0.012J/m2であると判定された
が、氷/金属付着のその静電部分に関して、氷/水銀界面での実験では、0.1
50+/−0.015J/m2に戻る。
【0039】 静電相互作用が氷付着に寄与するため、氷と導電材料(例えば、金属または半
導体)との間の付着強度は、氷−材料界面に付与される外部DCバイアスにより
変えられる。
【0040】 DCバイアスが氷付着に与える影響を決定するために、界面を、固体−固体界
面ではなく、液体−固体界面としてモデル化した。実際に、付着を決定する界面
エネルギーは、水−金属の場合と同様に、一方の材料が液体で他方が固体である
ときの接触角実験で確実に測定される。従って、金属が液相である場合、氷−金
属界面に、同様の技術が用いられる。例えば、−38.83℃の融点と、低い化
学活性とを有し、かつ、清浄な表面を作りやすい水銀は、このモデルを証明する
のに非常に適している。わずかなDCバイアスが水銀への氷の付着に与える影響
が、図1A〜1Cに例示される。
【0041】 図1Aは、水銀18の氷20への初期付着を示し、付着強度は、Θ0で表され
る。従って、Θ0は、印加電圧がない状態(すなわち、V=0)での付着強度を
表す。一方、図1Bは、DC電圧源22により供給される−1.75Vを印加し
たときに起こる、結果として得られる付着強度Θ1を示す。電圧源22は、例え
ば、バッテリであってもよく、当該分野において公知のその他の電圧源であって
もよい。配線24は、電圧源22を、水銀18および氷20に接続し、回路を完
成する。図1Cは、電圧源22により提供される−5Vの印加電圧の結果として
生じる別の付着強度Θ2を示す。注目すべきは、印加電圧が0V(図1A)から
−1.75V(図1B)に、そして−5V(図1C)に変わるとしても、Θ2
Θ0<Θ1であることであり、小さい範囲の負電圧差による付着強度の大幅な変化
を示す。付着強度Θ1は、Θ2と比べて、または、Θ0と比べても、比較的「弱い
」付着を示す。一方、付着強度Θ2は、Θ1およびΘ0と比べて、比較的「強い」
【0042】 図1の氷−水銀界面16の表面張力を測定するために、氷マノメータ26(図
2に概略的に図示)を用いた。図1の電源22に、DC電源22’を用いた。電
流の流れを測定するために、マノメータ回路26にDC電流計28を配置した。
電源22’は、回路内で、水銀18’と、氷20’に接続された網状電極30と
に接続する。従って、回路26は、水銀18’および氷20’を通る電流の流れ
により完成される。水銀18’は、選択された直径の小型毛管32を通して、氷
20’と流体連通している。DCバイアスが変わると、水銀18’と氷20’と
の間の氷付着が変わり、重力に起因する力により、氷20’内(即ち、氷20’
内に上方向に延びる毛管32内)での水銀18’の高さ「h」が調節される。
【0043】 具体的には、毛管32内での水銀18’の平衡位置hは、以下の通りである:
【0044】
【数4】 ここで、gは重力加速度であり、rは毛管半径であり、ρは水銀の密度であり、
i/aは氷−空気界面の表面エネルギーであり、そしてWi/Hgは氷−Hg界面の
表面エネルギーである。hが測定されると、式(2)を用いてWi/Hgを計算し、
そしてそれにより、液体金属(水銀)への氷の付着強度を計算する。図2では、
毛管の半径rは、試験中、0.25または0.5mmであった。
【0045】 図1および図2の構成内などでの追加実験は、99.9998%の純粋な電子
グレードの水銀および多結晶氷を含む。この多結晶氷は、非常に純粋な脱イオン
水、蒸留水、未処理の水道水、および、低濃度のNaClまたはKOHまたはH
Fがドープされた脱イオン水からできたものである。実験は、−20℃〜−5℃
、±2℃の温度範囲の低温の部屋内で行われた(ほとんどの試験は、−10℃お
よび89〜91%の相対湿度で実施された)。ドープされた氷の場合、DCバイ
アスが氷−水銀界面エネルギーに強い影響を及ぼしたことが分かった。エネルギ
ー変化Δ(Wi/a−Wi/Hg)の大きさおよび符号は、バイアスの極性および大き
さと、ドーパントの種類および濃度とに依存する。例えば、図3は、0.5%の
NaClがドープされた氷について、T=−10℃で測定されたΔ(Wi/a−Wi /Hg )対バイアスVを示す。示されるように、バイアスは、水銀への氷の付着を
低減または強化し得る。約−1.75Vで最小付着強度に達したが、−2Vから
−6Vまで、付着強度は増加した。界面エネルギーの影響は、0.05%よりも
高いNaCl濃度の場合に、より顕著である。
【0046】 より低濃度のNaClの場合、または、水道水からできた氷の場合、低いDC
バイアスを付与したとき、付着強度はほとんど変わらず、再現性は弱かった。一
方、0.5%のNaClがドープされた氷の場合、水銀は、電圧バイアスが付与
されるとすぐに移動し、その影響は、完全に可逆的であった。すなわち、バイア
スを遮断した後、Wi/Hgが回復された。これらの結果は、再現可能であり、容易
に観察される。毛管半径r=0.25mmの場合、hの最大変化は、12mmで
あった。
【0047】 電流−電圧特性の測定はまた、電流ではなく電圧が、上述の付着強度の変化を
引き起こすことを示す。例えば、典型的な実験では、数十μAの電流強度が生成
され、そして推定温度変化速度は、10-6℃/s未満であった。KOHまたはH
Fがドープされた氷では、DCバイアスの付与は、Wi/Hgの近対称の減少を引き
起こした。この減少の大きさは、NaClがドープされた氷で見られた減少に匹
敵するものであった。40Vまでの振幅および10Hz〜10kHzの周波数範
囲のAC電圧の印加では、Wi/Hgにいかなる顕著な変化も起こらなかった。純粋
な脱イオン水または蒸留水の場合も、40VまでのDCバイアスの付与では、W i/Hg に顕著な変化を起こさなかった。従って、非常に純粋な氷の金属への付着を
変化させるためには、1kV〜3kVが必要である。純粋な氷およびドープされ
た氷のDCバイアスに対する異なる反応は、これらの氷の遮蔽長および電気緩和
時間が異なることに起因する。
【0048】 上記実験により、氷−金属界面上の電気二重層が氷付着において果たす重要な
役割が確認される。Wi/Hgの絶対的な大きさは、固体水銀の場合にはわずかに異
なり得るが、静電相互作用は、両方の場合(液体Hgおよび固体Hgについて)
に本質的に同じである。金属への氷付着が、氷と金属との間へのわずかな電位差
の付与により効率的に変えられることも、実験により示された。付着強度の変動
はまた、DCバイアスが、異なる不純物を含む氷に付与される場合、異なる固体
金属に付与される場合、および異なる温度で付与される場合にも起こる。
【0049】 本発明者はまた、氷の表面上の陽子電荷キャリアの表面準位の存在に基づく氷
付着の静電モデルについても研究してきた。1分子間距離よりも大きい距離では
、モデルは、付着エネルギーについて、化学結合エネルギーおよびファンデルワ
ールス力のいずれよりも有意に大きい桁を与える。このモデルはまた、氷の付着
特性と水の付着特性との違い、氷とその他の固体との間の結合の物理的機構、な
らびに、氷と様々な固体との間の分子結合の性質および強度を説明する、時間依
存性および温度依存性の現象の理解を与える。
【0050】 結合機構を、共有結合機構もしくは化学結合機構、電磁相互作用(ファンデル
ワールス力)の分散もしくは変動(fluctuation)、または直接静電
相互作用の、3つのグループの1つに分類することが妥当である。例えば、Is
raelachvili、Intermolecular and Surfa
ce Forces、2nd ed.、Academic Press:Lon
don、Ch.2(1991)を参照されたい。本明細書において、上記文献を
参考として援用する。最初の機構は、化学反応と、界面化合物の形成とに対応す
る。共有結合または化学結合では、付着エネルギーは、相互作用する固体の波動
関数の重なりに起因する、系の量子力学エネルギーの低下の結果として起こる。
そのような相互作用は、0.1〜0.2nmのオーダの距離でのみ不可欠である
。さらに、このタイプの付着は、付着固体の化学的性質に非常に敏感である。完
全な接触では、化学結合機構は、≦0.5J/m2の付着エネルギーを提供し得
る。この値は、化学結合機構の付着エネルギーの最も低い値であると考えられる
【0051】 化学結合とは異なり、ファンデルワールス力は、長距離(long−rang
e)であり、すべての物質間で作用する。これらの力は、固体のマクロ特性(異
なる周波数での誘電関数)によってのみ規定され、この理由のため、これらの力
は、実験条件にかなり鈍感である。例えば、Mahantyら、Dispers
ion Forces、Academic Press、London、Cha
pter 9(1976);Barashら、The Dielectric
Function of Condensed Systems、Keldys
hら編、Elsiever Science、Amsterdam、Chapt
er 9(1989)を参照されたい。本明細書において、上記文献の各々を参
考として援用する。
【0052】 補償されないまたは空間的に分離される電荷を含む2つの固体はまた、化学結
合および分散力に加えて、静電力も発生させる。この静電力の重要性および付着
に対する重要性が、近年、再発見された。Stonehamら、J.Phys.
C:Solid State Physics,18、L543(1985);
およびHays、Fundamentals of Adhesion、Lee
,Lee編、Prenum Press、New York、Chapter
8(1991)を参照されたい。本明細書において、上記文献の各々を参考とし
て援用する。
【0053】 (氷の付着特性のモデル) 次に、氷の表面の電気特性を示すために、モデルを作る。このモデルは、氷付
着と氷のその他の特性との間の関連を明らかにする。このモデルを、ファンデル
ワールス力、化学結合機構、および実験結果と比較する。
【0054】 以下に説明されるモデルの主な結論は、静電相互作用が、氷付着において、主
要な役割ではないにしても重要な役割を果たすということである。モデルにおけ
る1つの重要なパラメータは、氷−固体界面に隣接する水分子の配列のパラメー
タである。即ち、言い換えれば、陽子電荷キャリアの表面準位の出現のパラメー
タである。これにより、問題点は、固体表面での水分子挙動をシミュレートする
ことの1つに減少する。しかし、以下の説明は、陽子点欠陥により占有され得る
表面準位が存在すると仮定する。これらの表面準位の占有は、捕獲された電荷キ
ャリアのクーロンエネルギーと、表面準位のエネルギー深度との間の相互作用に
より規定される。次いで、表面準位の占有係数(非平衡の場合)または表面準位
のエネルギー深度のいずれかが、パラメータとして考慮される。
【0055】 氷は、氷の誘電率とは異なる誘電率を有するいかなる固体基質(substr
ate)とも強く相互作用する極性水分子を含む。さらに、氷における表面電荷
の存在については、理論的および実験的証明がある。この表面電荷もまた、基質
と相互作用し得る。ここで、この表面電荷が、氷表面による陽子電荷キャリアの
捕獲から生じると仮定する。捕獲された欠陥は、おそらく、D欠陥、H3+イオ
ン、または、陽子である。陽イオンのサイズは、陰イオンよりも小さい。なぜな
ら、陽イオンは、より少ない電子を有しているか、または、電子を全く有してお
らず、陽子として存在するからである。従って、短距離については、鏡像電荷理
論を用い得る。ここでは、電荷のポテンシャルエネルギーおよびその鏡像(im
age)は、氷内の電荷エネルギー未満であり得る。より大きいサイズの陰イオ
ンについては、これに達することがより困難である。熱平衡では、表面準位の占
有は、完全ではない。なぜなら、捕獲された電荷キャリアに起因するエネルギー
のゲインが、静電エネルギーの上昇により補償されるからである。しかし、静電
エネルギー自体は、(誘導された電荷による)基質内部の電荷再分布により有意
に低減され得る。これは、表面準位の完全な占有、およびかなり高い付着エネル
ギー(静電エネルギーに近い)とにつながり得る。
【0056】 氷の表面下層における電荷キャリアの空間分布が、以下に説明される。ポアソ
ンの式の第1積分は、以下の形で表すことができる:
【0057】
【数5】 ここで、EおよびVはそれぞれ、電場強度および静電位であり(これらはともに
、空間座標zの関数である);σ0=eB・λ・Nであり;eBは、ビエルム欠陥
の有効電荷であり;Nは、水分子の濃度であり;λは、
【0058】
【数6】 で示される遮蔽長であり;εおよびε0はそれぞれ、氷(約3.2)および真空
の誘電率であり、kおよびTはそれぞれ、ボルツマン定数および温度である。関
数f(V)は、以下の式で定義される;
【0059】
【数7】 ここでは、ビエルム欠陥を、表面準位で捕獲される電荷キャリアとして用いてい
る。式(3)は、氷晶のいずれの点にも当てはまる。この式を氷表面に適用する
と、表面電荷密度σSと、表面電位Vsとの間の関係σS=σ0f(Vs)が得られ
る。
【0060】 ここで、式(3)〜(6)を用いて、氷の付着エネルギーへの静電的寄与を計
算し得る。第一に、氷の遮蔽層の静電エネルギーを、表面電位の関数として計算
する。なぜなら、この静電エネルギーが、付着エネルギーの上限を与えるからで
ある。静電エネルギーの定義と、式(3)とを用いると、以下の式が得られる;
【0061】
【数8】 ここで、氷表面から距離dだけ離れた金属プレートについて考える。氷中の不
均一な電荷分布は、金属上の表面電荷を誘導し、従って、氷と金属プレートとの
間に電場を誘導する。単位面積あたりの系の総静電エネルギーは、以下の形で表
し得る;
【0062】
【数9】 しかし、式(8)のVは、氷の表面電位であり、これは、距離dの各値について
エネルギーの最小化から得なければならない。表面電荷密度は、おそらく間違い
なく表面準位の非平衡占有に対応する定数であると考えることができる。We
d,V)についての最小化手順を実施することにより、単位面積あたりの付着エ
ネルギーがdの関数として得られる;
【0063】
【数10】 平衡条件下では、氷の表面電荷密度は、距離dの減少とともに増加する。これ
は、金属プレート上の誘導された電荷による氷表面電荷の遮蔽のためである。実
際に、この場合、捕獲された電荷キャリアのクーロンエネルギーは減少し、従っ
て、より高い占有が可能になる。この場合を考えるときには、まず、静電エネル
ギーと、表面準位の占有に起因するエネルギーゲインと、表面欠陥のエントロピ
ー寄与とを合計しなければならない;
【0064】
【数11】 ここで、E0は、表面準位のエネルギーであり(E0=−0.5eVと仮定する)
、σm=e/Sであり、Sは、1水分子の表面積である。次いで、自由エネルギ
ーFを、Vおよびσに対して最小化する。この手順ではまた、氷バルク(ice
bulk)の化学ポテンシャルが一定に保たれ、かつ、ゼロに等しいと仮定す
る。dのすべての値についてそのようにすることにより、距離または平衡付着エ
ネルギーの関数としての平衡自由エネルギーが得られる。
【0065】 同様の手順により、表面準位のエネルギーE0または温度の関数としての、氷
の表面準位または表面電位の平衡占有を得ることが可能になる。金属プレートが
氷表面から無限に遠く離れていると仮定する。次いで、式(8)の最初の正の要
素を最小にするために、σ=σ0f(V)であると仮定する。この場合、Fは、
Vまたはσのいずれか1つのパラメータのみの関数になる。Vに対する最終的な
最小化を行う方が幾らか簡単であるが、結果はまた、σの関数としても再計算さ
れ得る。
【0066】 付着エネルギーの典型的な値は、電荷キャリアの種類と、その表面準位のエネ
ルギーとに依存して、1.3J/m2と0.08J/m2との間にある。この大き
さは、−20℃で実験測定された氷−金属界面の付着エネルギーに匹敵するか、
または、それよりも高い。実際には、付着エネルギーは、化学結合機構と同じく
らい高いが、後者の場合とは異なり、静電機構は、より長い距離(約10・rOO 、rOO=0.276nm)まで有意なままである。従って、rOOよりも長い距離
では、静電機構は、化学結合機構よりも極めて重要である。従って、rOOよりも
長い距離では、Hamaker定数が3・10-20Jに等しい場合には、静電エ
ネルギーは、ファンデルワールス力の静電エネルギーを超える。最後の推定は、
氷−氷(または、水−水)界面に関するものであって、氷−金属界面に関するも
のではないことに注目のこと。同様に長距離である、氷と金属との間のファンデ
ルワールス相互作用もまた、考慮され得る。
【0067】 従って、付着エネルギーは、最大表面電荷密度の場合、zが約90・rOOであ
ってさえも0.01J/m2に等しく、長距離特性を示す。非平衡分離実験の場
合の付着エネルギーは、付着実験の場合よりも高い値であるべきである。後者は
、氷と金属とが接触しているときの金属プレートによる静電エネルギーの効率的
な遮蔽により説明できる。従って、平衡実験における、距離による付着エネルギ
ーの挙動は、容易に理解される。短い距離では、金属プレートが静電エネルギー
を遮蔽し、高い付着エネルギーが存在する。なぜなら、表面準位の占有が高いか
らである。しかし、距離が増加すると、静電エネルギーもまた増加し、より低い
占有係数およびより低い表面電荷密度につながる。これらの曲線は、一定の占有
の場合と比べて、自由エネルギーが距離とともにより急速に減衰することに等し
い。
【0068】 表面準位のエネルギーESの関数としての占有係数(D欠陥に関する表面準位
のモデルの場合)の挙動についても考える。占有係数は、ESが約0.1eVで
あるとき、ゼロに近い。電荷キャリアが正エネルギーを有する表面準位に捕獲さ
れる1つの理由は、自由エネルギーのエントロピーゲインに関係がある。同じ理
由で、氷バルクに欠陥が存在する。バルクD欠陥については、「形成エネルギー
(creation energy)」は、欠陥1個あたり0.34eVに等し
く、このエネルギーは、0.1eVよりもかなり大きいことに注目のこと。最終
的に、これは、バルク状態の場合、3・10-7のオーダの「占有係数」につなが
る。
【0069】 時間依存性の現象はまた、氷付着に関連し得、この現象は、上記モデルにおい
て固有のものである。表面準位に入るまたは表面準位から出るためには、欠陥は
、何らかの静電バリアを克服しなければならず、これは、非平衡状態および時間
依存性の現象につながる。
【0070】 このモデルの1つの重要な要素は、氷表面電荷と金属において誘導される表面
電荷との間の静電誘引である。これは、誘導される電荷の大きさが異なることを
除いて、氷−絶縁体界面にも当てはまる機構である。氷表面上の電荷qは、金属
において「鏡像電荷」−qを誘導する;一方、同じ電荷qは、絶縁体では、以下
の関係に従って、より小さい「鏡像」電荷q’を誘導する:
【0071】
【数12】 ここで、εは、絶縁体の誘電率である。ほとんどの固体誘電体では、εは、1よ
りもはるかに大きく、誘導される電荷は、金属において誘導される電荷に匹敵す
る。εがより小さければ、静電に関連する付着は、より小さい。例示として、T
eflonは、誘電率ε=2.04を有しており、氷への付着が低いことが周知
である。
【0072】 氷が水よりも高い付着性を有する理由を考えることが有用である。水の電荷キ
ャリアの濃度がより高いため、水(存在する場合)の表面電荷の遮蔽は、氷より
も有効である(対応する初期静電エネルギーは、氷よりもはるかに小さい)。従
って、基質による電場の遮蔽では、エネルギーを大幅に低下させることができな
い。氷の融点に近い温度では、氷−固体界面に、薄い液体層が現れ得ることに留
意する。Dashら、Rep.Prog.Phys.58、115(1995)
を参照されたい。本明細書において、上記文献を参考として援用する。従って、
モデルは、表面を予め融解させることが氷付着に与える影響を含むように更新さ
れ得る。
【0073】 氷付着の上記静電モデルは、氷の表面の電気特性と、氷付着との間の関係を示
す。このモデルは、付着エネルギーの大きさの正確なオーダを与える。氷と金属
との間の静電相互作用は、分子間距離よりも大きい距離で、化学結合エネルギー
およびファンデルワールス力よりもかなり高いエネルギーを供給する。このモデ
ルはまた、氷および水の付着特性の差を説明する助けとなる時間依存性および温
度依存性の現象を理解する直観的な方法を提供する。
【0074】 図4に示されるように、気泡67は、(氷69と金属71との間の)界面に荷
重が付与されると現れる界面クラックの発生において最大界面強度を低減する役
割を果たす。
【0075】 図5(および断面図6)は、本発明に従って構成されるシステム100を示す
。システム100は、材料104の表面104a上に形成された氷102の付着
を低減するよう動作する。システム100は、材料104と、導電グリッド10
6(グリッド上の例示的な点「A」〜「F」を含む)と、電源109とを備える
回路を形成する。グリッド106は、グリッド106が材料104から絶縁され
たままになるよう、表面104aの上で浮遊される。
【0076】 本発明の好適な実施形態では、表面104aの上でのグリッド106の浮遊は
、グリッド106と表面104aとの間に配置される絶縁グリッド108の使用
により得られる。図6は、グリッド108をより詳細に示す。図6の断面図は、
絶縁グリッド108と導電グリッド106との関係を示すために一定の縮尺で示
されているわけではない。実際には、グリッド106、108の(図6の寸法で
の)厚さは、1インチよりもはるかに小さい値(0.010〜0.020インチ
という小さい値でも)であり得、「コーティング」として考えることができる。
例示として、グリッド108は、絶縁塗料の薄いコーティングからなっていても
よく、グリッド106は、導電塗料の薄いコーティングからなっていてもよい。
グリッド106は、単一の電極として機能するように接続される。従って、材料
104は、システム100の第1の電極になり、グリッド106は、回路の第2
の電極になる。
【0077】 グリッド106、108はまた、柔軟で表面104aの上に形成可能であって
もよい。平坦な表面104aが示されているが、表面104aは、いかなる形状
をも表し得る。例示として、材料104は、航空機の翼、または車のフロントガ
ラスを表してもよく、グリッド106、108は、構成材料104と共形(co
nformal)である。
【0078】 氷102が表面104a上にできると、(上記のように)氷102が半導体と
して動作するため、システム100の回路が完成される。回路が完成されると、
電源109は、氷102と材料104との間の界面にDCバイアスを提供する。
このバイアスは、典型的には数ボルト未満である。従って、バッテリが、電源1
09として機能し得る。
【0079】 バイアスの大きさは、所望の用途に依存する。自動車のフロントガラスまたは
航空機の翼の場合、バイアスは、最小の(または最小に近い)氷付着になるよう
に選択され、それにより、材料104からの氷102の除去を容易にする。
【0080】 電圧調整器サブシステム112はまた、好ましくは、回路内でシステム100
に接続される。以下により詳細に説明されるように、電圧調整器サブシステム1
12は、DCバイアスを最適な態様で減少または増加するように、回路および電
源109とともにフィードバックで動作する。例示として、サブシステムは、回
路からのデータを測定するため、および、氷102の導電率(および/または温
度)を判定するために、回路およびマイクロプロセッサ112aを備え得る。そ
のような測定は次に、サブシステム112により用いられ、回路に付与されるD
Cバイアス量を効果的に変える信号が生成される。具体的には、1つの実施形態
では、電源109は、この信号に応答して、氷−材料界面で適切な電圧を生成す
る。DCバイアスの値は、例えばルックアップテーブルを介して、および、実験
データに基づいて、サブシステム112内のメモリ112bに格納され得る。例
えば、導電率「Y」(所定の用途の場合、システム100が材料104とともに
設置されるため、アプリオリに知られる)の材料104に接する導電率「X」(
サブシステムにより、好ましくはリアルタイムで測定される)の氷は、メモリ1
12b内のルックアップテーブルを介して用いられ、氷−材料界面にどの電圧を
印加すべきであるかが判定される。
【0081】 グリッド電極106は、好ましくは、表面104a上にできる氷102が、グ
リッド106の少なくとも幾らかの部分に接することを(できるだけ)確実にす
るように間隔が開けられる。例えば、図5を参照すると、氷102は、点「C」
〜「E」を含む、グリッド106の幾つかの領域と接触する。従って、システム
100の回路は、氷102がグリッドの少なくとも一部分を材料電極106、1
04にそれぞれ「短絡」する場合に完成される。
【0082】 例えば図5の領域114などの、グリッド106の導電領域間の間隔の実際の
大きさは、特定の用途に合わせた大きさにされるべきである。例示として、表面
104aが航空機の翼の表面であれば、間隔は比較的小さく、低導電性大気氷を
通る十分な電流密度をもたらす。しかし、より大きな導電性の河川氷領域または
海氷領域については、領域114は、望ましい場合には、より大きな領域であり
得る。
【0083】 図7は、本発明に従って構成されるシステム130を示す。サブシステム13
0の1つの電極は、航空機の翼132である。航空機の翼132は、接地134
に電気的に結合される。DC電源136は、DC電流計138に電気的に結合さ
れる。DC電流計138は、誘導子140に電気的に結合される。誘導子140
は、配線141を介して、導電塗料142(または、その他の翼と共形の導電性
等価物)に電気的に結合される。導電塗料142は、航空機の翼132上に固定
された絶縁層144に塗布される。
【0084】 絶縁層144および塗料142は、好ましくは、図5に関して説明されるよう
なグリッドパターンとして構成される。図7の翼132の間に印加された電圧は
、概して、どの程度早く除氷が生じるべきかに依存して、5ボルトと50ボルト
との間に調節され、対応する電流は、グリッド領域の1m2につき1A未満〜1
00Aである。
【0085】 当業者は、市販で入手可能な様々な絶縁ラッカー144’および導電塗料14
2があること、および、着氷シミュレーションの試験後に特定のブランドが選択
されるべきであることを認識するはずである。さらに、グリッド145の最適な
間隔(即ち、図5の領域114のサイズを決定するため)はまた、経験的に、ま
たは、特定の設計についての分析により、決定されるべきである。
【0086】 図7をさらに参照すると、DC電流計138はさらに、フィードバックサブシ
ステム150にさらに結合し得る。次に、フィードバックサブシステム150は
、DC電源136に電気的に結合し、氷の導電率および温度などの特性に依存し
て、翼−氷界面に付与されるDCバイアスを「制御」する。従って、温度センサ
152はまた、好ましくは回路130に接続し、氷154の温度を測定する。
【0087】 システム130のさらなる特徴は、AC電流計158に電気的に結合されるA
C電源156(約10kHzと約100kHzとの間で動作する)を含み得る。
AC電流計158は、導電塗料142に電気的に結合する。電流比較器160は
、AC電流計158およびDC電流計138の両方に電気的に結合される。
【0088】 着氷アラームサブシステム162もまた、システム130に備えられ得る。電
流比較器160は例えば、以下に説明されるようなある特定の事象を開始するよ
うに、着氷アラームサブシステム144およびフィードバックサブシステム15
0に結合し得る。
【0089】 DC電流計は、回路130のDC導電率を測定するために使用され得る。DC
導電率信号測定値は、フィードバックサブシステム150と、電流比較器160
とに提供される。次に、フィードバックサブシステム150は、DC電源136
により供給される電流を調整する。
【0090】 AC電流計は、例えば10〜100kHzの付与周波数範囲内で回路130の
AC導電率を測定するために使用され得る。AC導電率信号測定値は、電流比較
器160に(および、A/Dおよびデータ処理のために、任意にフィードバック
150に)提供される。AC導電率とDC導電率との比較は、システム130に
より、ともに回路を「短絡」して完成させる水と氷とを区別するために用いられ
る。具体的には、AC導電率のDC導電率に対する比は、氷の場合、水と比べて
2〜3オーダの大きさだけ大きいため、水に対して氷を容易に区別する信号測定
値を提供する。
【0091】 従って、翼132上に氷ができると、電流比較器160は、フィードバックサ
ブシステム150に信号を送り、次にフィードバックサブシステム150が、D
C電源136に、氷−翼界面のDCバイアスを増加または減少させるよう命令す
る。DCバイアスは、翼132上での氷154の氷付着強度を最小にするような
大きさ(概して、1ボルトと6ボルトとの間)で選択される。
【0092】 翼132を除氷すると、電流比較器160が受け取った信号差は、プリセット
値よりも小さい値に低下し、電流比較器160は、着氷アラーム162を不活性
化する。それと同時に、電流比較器160は、フィードバックサブシステム15
0に信号を送り、次にフィードバックサブシステム150が、DC電源136に
、バイアスを初期レベルに減少させるよう命令する。
【0093】 つまり、電流計138および158は、グリッド電極142と翼132との間
で短絡する材料の導電率を判定するために用いられる。示されるように、その材
料は氷154である。このように、システム130は、自動的に氷と水とを区別
する。誘導子140は、氷付着強度を変えるために正確に制御されるべきである
回路の「DC」部に、AC電圧が入るのを防ぐ。フィードバックサブシステム1
50は、氷の温度および氷の導電率(および/または氷の純度)などのフィード
バックデータに基づいて最適に近いDCバイアスで電源136を命令および制御
するために、マイクロプロセッサおよびメモリを含んでいてもよく、好ましくは
、これらを含む。フィードバック回路は、好ましくは、サブシステム162から
氷アラーム信号を受け取った後、約0.1mA/cm2の密度(または、氷−翼
界面で約1mA/in2の電流密度)を提供するレベルでDCバイアス電圧を増
加または減少させる。従って、約10A〜約30Aの電流の場合、典型的な大型
飛行機には、約100ワット〜約500ワットの合計エネルギー消費量が必要と
される。
【0094】 従って、図7の回路の「DC」部は主として、氷−翼界面にDCバイアスを提
供するように動作し、第2に(望ましい場合)、氷154のDC導電率を測定す
るように動作する。従って、図7の回路の「AC」部は主として、AC導電率を
測定するように動作する。従って、図7の回路の残りの部分は、(a)DC部と
AC部との間の信号結合を防ぐための誘導子と、(b)(水と比較した)氷の検
出、および/または、氷の温度および導電率などの測定フィードバックパラメー
タに基づいて、付与DCバイアスを制御するためのフィードバックおよび測定お
よび制御回路とを提供する。
【0095】 図8は、送電線700から氷を低減または除去するのに適した、本発明の1つ
の好適な実施形態を示す。図9の挿入図は、本発明に従って構成される送電線7
00の断面図を示す。当該分野において公知であるように、通常の送電線702
は、60Hzの電力を生成するが、10,000ボルト/インチなどの非常に高
い電場を有する。本発明によれば、線702の上には、厚さ「t」のコーティン
グ704が付与される。
【0096】 1つの実施形態では、コーティング704は、当該分野において公知であるよ
うに、強誘電性材料である。強誘電性材料は本質的に、ある特定の条件では非常
に高い誘電率(例えば、10,000)と非常に高い誘電損失(例えば、
【0097】
【数13】 とを示し、その他の条件では比較的低い誘電率(3〜5)と小さい誘電損失とを
示すセラミックである。誘電率を変えることができる1つの条件は、温度である
。好適な局面では、材料は、凝固点よりも高い温度では誘電率が低く、凝固点よ
りも低い温度では誘電率が高くなるように選択される。周囲温度が凝固点よりも
低くなると、高い誘電率および誘電損失のため、コーティングは、AC電場によ
り強く加熱される。
【0098】 当業者は、上記の実施形態が、自己調整により、コーティング温度を融点に近
い(または融点よりわずかに高い)温度に維持するものであってもよいことを認
識するはずである。送電線の電場によりコーティングが過度に加熱されると、コ
ーティングは自動的に、強誘電性から標準状態への相変態を受け、この時点で、
コーティングは、電場エネルギーの吸収を停止する。従って、相転移温度を選択
することにより、コーティング温度を、ユーザの要求ごと、および局所領域の環
境条件ごとに調節できる。
【0099】 コーティング704は、線702により発生されるようなAC電場の存在下で
熱を発生する。具体的には、コーティング704は、ACサイクルにわたって熱
を発生するヒステリシスを示し、従ってコーティングは、線702の振動電場の
ため、熱を発生する。
【0100】 厚さ「t」は、典型的には、1〜10mmのオーダであるが、コーティング材
料と所望の加熱とに依存して、その他の厚さを付与してもよい。例えば、厚さを
変えることにより、表面704aの温度は、1〜10度またはそれ以上増加され
得る。厚さ「t」は、所望の熱量(即ち、線700の表面704a上で氷および
雪を全体的に溶かすのに十分な熱)が発生されるように選択される。
【0101】 コーティングが低い誘電率および誘電損失を示す場合(即ち、コーティングが
「凝固点」またはその他の何らかの所望の温度よりも高い場合)、はるかに少な
い熱がコーティング704により発生され、それにより、はるかに少ないエネル
ギーが線702により費やされる。
【0102】 コーティング704はまた、同じまたは同様の影響を有する強磁性材料により
構成されてもよい。この場合、コーティングは、送電線が発生する磁場のエネル
ギーを吸収する。
【0103】 具体的には、強誘電性材料を振動電場(AC)に置くと、この材料は、誘電損
失のため、電場により加熱される。1立方メートルあたりの加熱電力は、以下の
ように表される。
【0104】
【数14】 ここで、ε’は、比誘電率であり(通常、ε’は、典型的な強誘電体の場合、約
104である)、ε0は、自由空間の誘電率であり(ε0=8.85E−12F/
m)、ωは、AC電場の角周波数である(ω=2πfであり、ここで、fは、送
電線の通常周波数であり、例えば、保存形(conservative)送電線
では60Hzである)、tanδは、誘電損失の正接であり、
【0105】
【数15】 は、電場の二乗の平均である。
【0106】 強誘電体は、いわゆるキュリー温度Tcよりも低い温度ではε’およびtan
δが非常に大きい値であり、Tcよりも高い温度ではε’およびtanδが小さ
いことを特徴とする。従って、誘電損失(または、AC電場の加熱電力)は、T c よりも低くTcに近い温度で非常に高く、その温度よりも高い温度では、大きい
ファクタ(例えば、106)だけ低下する。これにより、融解温度に近いかまた
は融解温度のすぐ上のTcを有する強誘電体は、上記のようなコーティング70
4の最適な選択となる。そのようなコーティングは、外部温度が融点Tmよりも
低くなると電力を吸収し、電場によりTmよりも高い温度に加熱され、そのため
、コーティングは、再び通常の絶縁体に変わる(即ち、有意な量の電場を吸収し
なくなる)。
【0107】 従って、そのようなコーティングをAC電場に置くと、強誘電性材料は、Tc
に近く且つTmのすぐ上の一定温度を維持する。着氷を防止するためのこの自己
調節機構は、非常に経済的である。即ち、コーティング厚を変えることにより、
および/または、コーティングに中性(強誘電性でない)絶縁塗料またはプラス
チックを付加することにより、送電線1メートルあたりの、または、保護される
任意の表面1m2あたりの最大加熱電力を増加または減少させることができる。
本発明による適切な強誘電性材料の例には、以下のものがある。
【0108】
【表1】
【0109】 例示として、Pb3MgNb2gについての加熱電力計算を考える。この例で
は、
【0110】
【数16】 およびワイヤ径1cm=2*半径である中距離(middle range)送
電線を考える。ワイヤ表面上の電場強度は、
【0111】
【数17】 であるか、または、3kV/cmである。ここで、Lは、ワイヤ間の距離(L=
1m)である。上記の通り代入すると、即ち、
【0112】
【数18】 を代入すると、W(1mm、60Hz)=4.5E5ワット/m3となる。従っ
て、例えば、膜厚1mmの膜は、450ワット/m2を生成する。この値は、典
型的な氷融解に十分な値よりも大きい。
【0113】 送電線に適用する場合、コーティング内で放散され得る最大電力は、ワイヤ間
のキャパシタンスC2により制限される。
【0114】
【数19】 太さ2cmのワイヤで、ワイヤ間の距離が1mの場合、
【0115】
【数20】 である。V=350kVの送電線の場合、
【0116】
【数21】 である。この値は、長さ1mのケーブルを無氷状態に維持するのに十分なエネル
ギーである。
【0117】 強誘電体に加えて、ほどんどどの半導体コーティングでも、同様の効果を提供
する。式(24)の最大の成果に達するためには、コーティングの誘電導電率(
dielectric conductivity)σは、以下の条件を満たさ
なければならない。
【0118】
【数22】 ここで、εは、コーティングの誘電率であり、ε0は、自由空間の誘電率である
。60Hzの線で、
【0119】
【数23】 である場合、
【0120】
【数24】 である。そのような導電率は、多くのドープされていない半導体および低品質の
絶縁体に非常に典型的な値である。このように、そのようなコーティングは高価
でない(ある特定の塗料は、これらのコーティングにふさわしい)。さらに、上
記の同じ温度「調整」は、半導体材料の導電率の強い温度依存性(例えば、指数
関数的依存性)のため達成され得る。従って、式(22)による最適な条件は、
コーティングが氷を溶かし、それ以外にはほとんど電力を消費しない狭い温度間
隔、例えば、
【0121】
【数25】 、でのみ満たされる。
【0122】 当業者は、本明細書に示されるようなその他の表面を、これらのコーティング
で処理してもよいことを認識するはずである。例えば、そのようなコーティング
を飛行機の翼に付与する場合、コーティングをACに曝すことにより、特に、そ
のACを上記式(19)のように増加することにより、融解能力が提供される。
例示として、Pb3MgNb2gの場合、100kHzの周波数は、厚さ1mm
のコーティングをW(1mm、100kHz、3E5V/m)=750kワット
/m2まで加熱する。
【0123】 このように、本発明は、以上の説明から明らかである目的のなかで、上記の目
的を達成する。本発明の範囲から逸脱することなく、上記装置および方法に、あ
る特定の変更がなされ得るため、上記説明に含まれるか、または、添付の図面に
示されるすべての事項は例示として解釈され、限定的な意味で解釈されないこと
が意図される。
【0124】 例えば、当業者は、図5に関して説明されたようなグリッド電極を、住宅の屋
根、油送管、私道、および氷がたまりやすいその他の領域、などの表面に適用し
てもよいことを認識するはずである。
【0125】 図10は、多孔質層を利用するための本発明の1つの実施形態の例図を示す。
材料の多孔質層2904は、表面2902に接続される。第1の絶縁層2906
および第2の絶縁層2908は、材料の多孔質層2904に接続される。第1電
極2910は、第1絶縁層2906に接続される。第2電極2912は、第2絶
縁層2908に接続される。氷2914は、材料の多孔質層2904、第1の絶
縁層2906、第2の絶縁層2908、第1の電極2910、および第2の電極
2912を覆う。
【0126】 材料の多孔質層2904は、イオンを氷2914に放出するためにドープし得
る孔を有する任意の材料であり得る。多孔質層2904の材料は、任意の多孔質
のセラミック、金属または合金であり得る。いくつかの実施形態において、多孔
質層2904は、非常に薄い層であり得、これは、水に対してほとんど不溶性で
あり、例えば表面2902を覆うペイントのコーティングである。多孔質層29
04の材料のいくつかの例は、以下である: (1)焼結金属から構成される浸出(percolated)多孔質電極;Vi
larら、Percolated porous electrodes co
mposed of sintered metal−Hydrodynami
cs and mass transfer,Canadian Journa
l Of Chemical Engineering,76:(1):41−
50(1998)を参照のこと、これは、本明細書中において参考として援用さ
れる; (2)充電式バッテリに対する多孔質グラファイト−インターカレーション(i
ntercalation)システム;Barsukov,Porous Gr
aphite−Intercalation System For Rech
argeable Batteries,New Material:Conj
ugated Double Bond Systems,191:265−2
68(1995)を参照のこと;これは、本明細書中において参考として援用さ
れる;そして (3)金属添加物を含む多孔質鉄電極;Jayalakshmiら、Elect
rochemical Characterization Of Porou
s Iron Electrodes,Proceedings Of The
Indian Academy Of Sciences−Chemical
Science,103:(6):753−761(1991)を参照のこと
、これは本明細書中において参考として援用される。
【0127】 材料の多孔質層2904は、電気導電率を高めるドーパントの水溶液で飽和さ
れる。これらのドーパントは、アルカリ、酸または塩であり得る。いくつかの例
は、KOH、HF、NaCl、およびKClの電解質溶液である。材料の多孔質
層2904が氷2914または過冷却水滴と接触する場合、多孔質層2904は
、少量のドーパントを氷2914に放出する。ドーパントは、氷2914をイオ
ンでドープする。そのとき、氷の導電率は、ドーパントの存在のために高められ
る。航空機の走行中のような非常に冷却した、高い高度の条件においては、氷は
、非常に純粋および/または非導電性である。純粋な氷および非常に低温におけ
る氷の電気伝導率を高めるために、多孔質層2904の操作は、ミッシング(m
issing)導電性を提供する。多孔質層2904は、ドーパントの水溶液を
多孔質層2904に再適用することによって、ドーパントで再充填され得る。
【0128】 第1電極2910および第2電極2912は、電流を流すために電圧が印加さ
れる任意の電極であり得る。本発明の1つの実施形態において、第1の電極およ
び第2の電極は、自然においては多孔質であり、多孔質層2904について記載
されるように氷2914にドーパントを放出する。本発明の他の実施形態におい
て、第1の電極2910および第2の電極2912は、格子のような任意の形状
に構成され得る。これらの実施形態は、明瞭にするために図29に示されない。
第1の絶縁層2906および第2の絶縁層は、第1電極2910および第2電極
2912が多孔質層2904と短絡しないようにする任意の材料であり得る。
【0129】 操作において、電圧は、第1電極2910および第2電極2912に印加され
る。第1絶縁層2906および第2絶縁層2908は、第1電極2910および
第2電極2912が多孔質層2904と短絡しないようにする。氷2914は、
多孔質層2904上に形成し始める。多孔質層2904は、ドーパントを氷29
14に放出し、これは、氷2914の導電率を改良する。第1電極2910およ
び第2電極2912から印加される電圧は、氷2914の氷付着を減少し、氷2
914を溶かす。
【0130】 図11は、送電線3000から氷を除去するための本発明の1つの実施形態の
例示を示す。送電線3000は、地面3002の上方につるされる。送電線30
00は、誘電損または磁気的損失の適切な温度依存性を有する強誘電性コーティ
ング、強磁性コーティングまたは半導体コーティングでコーティングされる。温
度がこの活性化温度に達すると、送電線のコーティングは、氷付着を減少するこ
とによって氷を除去する。
【0131】 送電線3000は、電流を通し、これは、電場(E−field)または磁場
を作り出す。送電線3000のコーティングは、温度が送電線3000コーティ
ングの活性化温度に達すると、電場または磁場に作用する。送電線3000のコ
ーティングは、電流由来の電場または磁場(fields)およびコーティング
の性質に基づいて、送電線3000上に形成される任意の氷を除去する。
【0132】 図12は、自己組立て単層上の氷に対する本発明の1つの実施形態を示す。石
英基板3102は、クロム層3104に接続される。クロム層3104は、金層
3106に接続される。金層3106は、自己組立て単層(SAM)3108に
接続される。水または氷の液滴3110は、SAM3108の頂部にある。DC
電源3112は、液滴3110および電位計3114に接続される。電位計31
14は、金層3106に接続される。
【0133】 電位計3114は、DC電源3112のDCバイアスおよびSAM3108の
疎水性の性質が変化する間、電量計モード(coulomb−meter mo
de)における操作によって界面電荷密度を測定する。外部DC電圧が印加され
ない場合、疎水性SAM3108と水の接触角は、98°と104°との間であ
る。親水性SAM3108と水の接触角は、36°と38°との間である。疎水
性の性質および親水性の性質を変える場合、水のSAM3108に対する付着の
仕事(work)は、130mJ/m2〜54mJ/m2である。
【0134】 −4.5Vが印加される場合、疎水性SAM3108と水の接触角は、40°
である。SAM3108に対する水の付着の仕事は、59.5mJ/m2〜12
7mJ/m2である。
【0135】 SAM3108の調製は、金メッキ光学鏡(gold−plated opt
ical mirrors)を使用する。疎水性サンプルについて、試薬の1m
Mストック溶液を、1Lのメタノールまたはエタノールのいずれかの中に138
.8μLのドデカンチオールを溶解させることによって、1−ドデカンチオール
[CH3(CH211SH]から調製される。親水性のサンプルについて、試薬の
1mMストック溶液を、1Lのメタノール中に0.2044μLの11−メルカ
プト−1−ウンデカノールを溶解させることによって、11−メルカプト−1−
ウンデカノール[HO(CH211SH]を調製する。特定の疎水性の性質およ
び親水性の性質を有するSAM3108を調製するために、2つの溶液を、目的
の比で混合する。
【0136】 SAM3108を調製するために、金層3106をエタノールでリンスし、次
いで、窒素のストリームで乾燥する。次いで、金層3106を、特定の疎水性の
性質および親水性の性質について上記された適切な溶液中に12〜36時間浸す
。次いで金層3106を溶液から除き、エタノールで5〜10回リンスする。金
層3106は、窒素のストリーム下で10〜15秒間乾燥される。
【0137】 上記を考慮して、特許請求される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜図1Cは、DCバイアスが、液体金属(水銀)への氷付着に与える影
響を示し、より小さい接触角Θは、より強い付着を示す。
【図2】 図2は、図1A〜1Cに示されるような氷−水銀界面エネルギーの測定に用い
られる氷マノメータを概略的に示す。
【図3】 図3は、0.5%のNaClがドープされた氷でT=−10℃の場合のDCバ
イアス対氷−Hg界面エネルギーの実験結果をグラフで示す。
【図4】 図4は、氷/金属界面でのガス気泡の生成が、どのようにして、界面クラック
として界面強度を低減する機能を果たすかを示す。
【図5】 図5は、一般的な導電性(または半導体)材料への氷付着を変えるための、本
発明に従って構成される1つのシステムを示す。
【図6】 図6は、図5のシステムの断面図(一定の縮尺ではない)を示す。
【図7】 図7は、航空機の翼上に形成される氷の氷付着強度を減少させるための、本発
明の1つのシステムを示す。
【図8】 図8は、送電線へのコーティングの付与により、送電線から氷および雪を除去
するための、本発明の1つのシステムを示す。
【図9】 図9は、非活性表面から氷を除去するための、本発明による、非活性表面への
強誘電性コーティングの付与を示す。
【図10】 図10は、氷接着の低減を容易にするために、イオンを氷に放出する、本発明
に従って構成される多孔質層を示す。
【図11】 図11は、本発明に従って構成される送電線のさらなる詳細を示す。
【図12】 図12は、表面への氷接着の低減を容易にするために、本発明に従って構成さ
れる自己組立て単層を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】 本発明に関する資金は、DOD Award #DAAH04−95−1−0
189およびNSF Award #MSS−9302797を通して、与えら
れた。 政府ライセンス権。米国政府は、本発明において、Army Researc
h Officeにより与えられたGrant#DAAH04−95−1−01
89の条件により与えられるある特定の権利を有する。 (発明の分野) 本発明は、氷と選択された材料との間の氷付着強度を変える方法および装置に
関する。より具体的には、本発明は、氷とそのような材料との間の界面に電気エ
ネルギーを適用し、氷付着強度を増加または減少させ、所望の結果を促進するシ
ステムおよび方法に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
【数7】 ここでは、ビエルム欠陥を、表面準位で捕獲される電荷キャリアとして用いてい
る。式(3)は、氷晶のいずれの点にも当てはまる。この式を氷表面に適用する
と、表面電荷密度σSと、表面電位Vsとの間の関係σS=σ0f(Vs)が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体に付着した氷の氷付着強度を変えるためのシステムであ
    って、該物体から電気的に絶縁される電極と、該物体および該電極に結合され、
    該氷と該物体との間の界面にDCバイアスを生成するDC源と、を含み、該電極
    が氷の導電率を増加させるために該氷をドープするための多孔質材料を有し、該
    DCバイアスは、該界面のバイアス電圧が実質的にゼロである場合の該氷付着強
    度と比べて、該氷付着強度を選択的に変える電圧を有する、システム。
  2. 【請求項2】 前記物体と前記電極との間に配置される電気的に絶縁性の材
    料をさらに含み、該材料は、該電極と実質的に同じ形状を有する、請求項1に記
    載のシステム。
  3. 【請求項3】 前記電極が、前記物体の表面に一致するような形状にされる
    グリッド電極を含み、該グリッド電極の各点が、前記電源と電気的に接触する、
    請求項1に記載のシステム。
  4. 【請求項4】 前記物体と前記グリッド電極との間に配置されるグリッド絶
    縁体をさらに含む、請求項4に記載のシステム。
  5. 【請求項5】 回路内で前記電極および前記電源に接続され、前記氷のDC
    導電率を決定するためのDC電流計をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
  6. 【請求項6】 AC源と、回路内で前記電極および該電源に接続され、前記
    氷のAC導電率を決定するためのAC電流計と、をさらに含む、請求項5に記載
    のシステム。
  7. 【請求項7】 前記AC源が、約10kHz〜100kHzの間の1つ以上
    の周波数を生成する、請求項6に記載のシステム。
  8. 【請求項8】 前記DC電流計および前記AC電流計に結合され、前記DC
    導電率と前記AC導電率との間の比を表す信号を生成するための電流比較器をさ
    らに含む、請求項6に記載のシステム。
  9. 【請求項9】 前記信号を評価するため、および、氷または水が前記電極と
    前記物体との間の回路を短絡するかどうかを決定するためのフィードバックサブ
    システムをさらに含む、請求項8に記載のシステム。
  10. 【請求項10】 氷温度を測定するように構成および配置され、氷温度を表
    す信号を前記フィードバックサブシステムに送るための温度センサをさらに含む
    、請求項9に記載のシステム。
  11. 【請求項11】 AC氷導電率対DC氷導電率のプリセット値に対応する氷
    を検出すると前記システムを活性化する着氷アラームをさらに含む、請求項9に
    記載のシステム。
  12. 【請求項12】 物体に付着した氷の氷付着強度を変えるためのシステムで
    あって、該物体から電気的に絶縁される電極と、該物体および該電極に結合され
    、該氷と該物体との間の界面にDCバイアスを生成するDC源と、氷の導電率を
    増加させるために該物体の少なくとも一部の上に配置される多孔質材料と、を含
    み、該DCバイアスは、該界面のバイアス電圧が実質的にゼロである場合の該氷
    付着強度と比べて、該氷付着強度を選択的に変える電圧を有する、システム。
  13. 【請求項13】 前記物体が自己組立て単層を含み、該単層が、該物体に対
    する氷の付着を変えるために、変化する疎水性の性質および親水性の性質を有す
    る、請求項1または12に記載のシステム。
JP2000578210A 1998-10-27 1999-10-26 氷付着強度を変えるためのシステムおよび方法 Pending JP2003517555A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
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