JP2003517227A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 マルチメディアメッセージ通信サービス
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信網を介して端末とサーバとの間でマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるための方法であって、前記端末は無線路経由で前記通信網と通信するように構成されており、
端末にアドレス指定された、少なくとも1つのメッセージコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージをサーバで受取ること、
サーバからの通知メッセージを無線路経由で通信網を介して端末に伝送すること、
を包含する方法であって、
通知メッセージが、前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含すること、および、
この方法がさらに、
前記通知メッセージを端末で受取ること、
端末において、該端末に転送すべきメッセージコンポーネントを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択すること、
端末において、選択されたメッセージコンポーネントのためのベアラを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択すること、および、
選択されたメッセージコンポーネントを無線路経由で転送するために、端末によって選択されたベアラを使って該メッセージコンポーネントをサーバから端末に転送すること、
を包含することを特徴とする方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントのプロパティが前記メッセージコンポーネントのタイプに関する情報を包含し、該情報が前記ベアラの選択において使用されることを特徴とする方法。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法であって、前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントのプロパティが前記メッセージコンポーネントのサイズに関する情報を包含し、該情報が前記ベアラの選択において使用されることを特徴とする方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法であって、前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントのプロパティが前記メッセージコンポーネントの重要度に関する情報を包含し、該情報が前記ベアラの選択において使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法であって、方法がさらに、
端末に少なくとも1つのユーザが設定し得るルールであって該端末に所定の処理を実行させるユーザ構成可能ルールを定めること、および
前記少なくとも1つのユーザ構成可能ルールを前記ベアラの選択において使用すること、
を包含することを特徴とする方法。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法であって、前記マルチメディアメッセージは2つ以上のメッセージコンポーネントを包含し、および端末に転送する2つ以上のメッセージコンポーネントを端末が選択することを包含し、そこでは、端末が2つ以上の選択されたメッセージコンポーネントの各々を無線路経由で転送するためのベアラを選択し、各々の選択されたベアラは端末がサポートするベアラセットの中から選択される、ことを特徴とする方法。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法であって、2つ以上のメッセージコンポーネントタイプが存在すること、およびデフォルトベアラが前記2つ以上のメッセージコンポーネントタイプの各々に対して定められることを包含し、そこでは、所定のメッセージコンポーネントタイプのメッセージコンポーネントに対し、端末が、無線路経由で該メッセージコンポーネントを転送するために、メッセージコンポーネントのメッセージコンポーネントタイプに対して定められるデフォルトベアラを選択すること、を特徴とする方法。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法であって、2つ以上のメッセージコンポーネントタイプが存在すること、および2つ以上のデフォルトベアラが前記2つ以上のメッセージコンポーネントタイプの各々に対して定められることを包含し、そこでは、所定のメッセージコンポーネントタイプのメッセージコンポーネントに対し、端末が無線路経由で該メッセージコンポーネントを転送するためのベアラを、該メッセージコンポーネントのメッセージコンポーネントタイプに対して定められる2つ以上のデフォルトベアラの中から選択することを特徴とする方法。
【請求項9】 請求項8に記載の方法であって、端末が無線路経由でメッセージコンポーネントを転送するためのベアラを、メッセージコンポーネントのメッセージコンポーネントタイプに対して定められる前記2つ以上のデフォルトベアラの中から選択することは、デフォルトベアラのデータ伝送速度;デフォルトベアラのデータ伝送コスト;メッセージコンポーネントのサイズの各基準の一つに基づいて行なうこと、を特徴とする方法。
【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法であって、前記通知メッセージを端末で受取った後、該端末は、メッセージコンポーネントの取り出しについて決定を下すことを特徴とする方法。
【請求項11】 請求項10に記載の方法であって、前記端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定が、通知メッセージで運ばれた情報に基づいて成されるものであることを特徴とする方法。
【請求項12】 請求項10又は11に記載の方法であって、前記端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定が、該端末のプロパティの少なくとも一部に基づいてなされるものであることを特徴とする方法。
【請求項13】 請求項12に記載の方法であって、前記端末のプロパティが、該端末の使用可能メモリ、該端末の特定のメッセージコンポーネントタイプを処理する能力、のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】 請求項10〜13のいずれか一つに記載の方法であって、前記通知メッセージがさらに、前記マルチメディアメッセージの送信者に関する情報を包含し、そこでは、前記端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定が、該マルチメディアメッセージの送信者に関する情報の少なくとも一部に基づいてなされるものであることを特徴とする方法。
【請求項15】 請求項10〜14のいずれか一つに記載の方法であって、方法がさらに、
端末において、少なくとも1つのユーザが設定し得るルールであって該端末に所定の処理を実行させるユーザ構成可能ルールを定めることを包含し、そこでは、前記端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定が、前記少なくとも一つのユーザ構成可能ルールの少なくとも一部を用いてなされるものであることを特徴とする方法。
【請求項16】 請求項10〜15のいずれか一つに記載の方法であって、前記端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定と関連して、該メッセージコンポーネントが端末のメモリに収納できないか、または端末が該メッセージコンポーネントを処理し得ないと判断する場合は、該端末のユーザに通知されることを特徴とする方法。
【請求項17】 請求項16に記載の方法であって、前記ユーザへの通知において、ユーザに特定の処置を講じるよう要求することを特徴とする方法。
【請求項18】 請求項17に記載の方法であって、前記特定の処置が、端末へのコンピュータ取付け、端末への補助メモリデバイスへの取付けのうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項19】 請求項1〜18のいずれか一つ1に記載の方法であって、前記サーバはメッセージ蓄積転送方式を用いてメッセージを転送することを特徴とする方法。
【請求項20】 請求項1〜19のいずれか一つに記載の方法であって、サーバと端末の間のトラフィックがWAPゲートウェイ(Wireless Application Protocol=ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)を通して実現させられること、および、少なくとも該端末がWAPプロトコルを通信に使用するように適合されていることを特徴とする方法。
【請求項21】 無線路経由で通信網(12、18)と通信すべく配置された端末(MS)で、無線路経由で通信網(12、18)と通信中のサーバ(MMSC)から伝送された通知メッセージ(30)を受取るための手段(MPU、RF、AER)を包含し、ここで、通知メッセージ(30)は、端末(MS)にアドレス指定されたマルチメディアメッセージ及び少なくとも一つのメッセージコンポーネントを包含するものが前記サーバ(MMSC)に到達したことを通知し、該通知メッセージ(30)が前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含しており、
該端末(MS)は、前記通知メッセージ(30)を受取るための手段(MPU、RF、AER)、および端末(MS)に転送すべきメッセージコンポーネントを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択するための手段(MPU)、を包含し、
該端末(MS)はさらに、
選択されたメッセージコンポーネントを前記サーバ(MMSC)から前記無線路経由で端末(MS)に転送する目的で、選択されたメッセージコンポーネントのためのベアラを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択するための手段(MPU)を包含することを特徴とする端末。
【請求項22】 請求項21に記載の端末であって、どのベアラが選択されるかに基づくプロパティ情報は、前記メッセージコンポーネントのタイプに関する情報を包含することを特徴とする端末。
【請求項23】 請求項21又は22に記載の端末であって、どのベアラが選択されるかに基づくプロパティ情報は、前記メッセージコンポーネントのサイズに関する情報を包含することを特徴とする端末。
【請求項24】 請求項21〜23のいずれか一つに記載の端末であって、どのベアラが選択されるかに基づくプロパティ情報は、前記メッセージコンポーネントの重要度に関する情報を包含することを特徴とする端末。
【請求項25】 請求項21〜24のいずれか一つに記載の端末であって、端末(MS)はさらに、
端末において、少なくとも一つのユーザが設定し得るルールであって該端末に所定の処理を実行させるユーザ構成可能ルールを定める手段(MEM)、
前記ベアラの選択において、前記少なくとも一つのユーザ構成可能ルールを使用する手段(MPU)、
を包含することを特徴とする端末。
【請求項26】 請求項21〜25のいずれか一つに記載の端末であって、2つ以上のメッセージコンポーネントタイプが存在し、および端末(MS)はさらに、
前記2つ以上のメッセージコンポーネントタイプの各々のデフォルトベアラを定める手段(MEM)を包含し、そこでは、所定のメッセージコンポーネントタイプに対して、端末(MS)が無線路経由でメッセージコンポーネントを転送する目的でメッセージコンポーネントのメッセージコンポーネントタイプに対して定められるデフォルトベアラを選択するように構成されていることを特徴とする端末。
【請求項27】 請求項21〜26のいずれか一つに記載の端末であって、該端末へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定が端末のプロパティの少なくとも一部に基づいてなされるように構成されていることを特徴とする端末。
【請求項28】 請求項27に記載の端末であって、端末(MS)のプロパティが、該端末の使用可能メモリ、該端末の特定のメッセージコンポーネントタイプを処理する能力、のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする端末。
【請求項29】 請求項21〜28のいずれか一つに記載の端末であって、端末(MS)は、
該端末(MS)へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定と関連して、メッセージコンポーネントが端末のメモリに収容できるか否かを判断する手段(MPU)、および
その判断結果が否定的であることをユーザに通知する手段(UI)、
を包含することを特徴とする端末。
【請求項30】 請求項21〜28のいずれか一つに記載の端末であって、端末(MS)は、
該端末(MS)へのメッセージコンポーネントの取り出しに関する決定と関連して、端末がメッセージコンポーネントを処理できるか否かを判断する手段(MPU)、および
その判断結果が否定的であることをユーザに通知する手段(UI)、
を包含することを特徴とする端末。
【請求項31】 請求項29又は30に記載の端末であって、端末(MS)は該否定的な判断結果が生じたときに、ユーザに対して特別のステップをとることを要求する手段(MPU、UI)を包含することを特徴とする端末。
【請求項32】 請求項31に記載の端末であって、該特別のステップは、コンピュータを端末に取り付けること、または補助メモリ装置を端末に取り付けること、のうちの一つからなることを特徴とする端末。
【請求項33】 請求項21〜32のいずれか一つに記載の端末であって、端末(MS)は、通信網(12、18)に端末(MS)が選択したベアラを通知する手段(MPU、RF、AER)を包含することを特徴とする端末。
【請求項34】 請求項21〜33のいずれか一つに記載の端末(MS)であって、端末(MS)が前記メッセージコンポーネントの転送を開始するための手段(MPU、RF、AER)を包含することを特徴とする端末。
【請求項35】 請求項21〜34のいずれか一つに記載の端末(MS)であって、端末(MS)がセルラー通信網の移動局、コンピュータ端末、無線カードのうちの1つであることを特徴とする端末。
【請求項36】 端末(MS)、通信網(12、18)およびサーバ(MMSC)を包含するシステムで、無線路経由で通信網(12、18)と通信する端末(MS)とサーバ(MMSC)の間でマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるためにサーバ(MMSC)が通信網(12、18)と結合し、該サーバ(MMSC)が、
端末(MS)にアドレス指定された、少なくとも1つのメッセージコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージを受取るための手段(51〜55)、
該マルチメディアメッセージがサーバ(MMSC)に到達したことを通知する通知メッセージ(30)を端末(MS)に伝送するための手段(51、55)を包含するものであって、前記通知メッセージ(30)が前記少なくとも1つのメッセージコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含し、および、端末(MS)が、
前記通知メッセージ(30)を受取るための手段(MPU、RF、AER)、および端末(MS)に転送すべきメッセージコンポーネントを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択するための手段(MPU)を包含し、該端末(MS)がさらに、
選択されたメッセージコンポーネントを前記サーバ(MMSC)から前記無線路経由で端末(MS)に転送する目的で、選択されたメッセージコンポーネントのためのベアラを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて選択するための手段(MPU)を包含し、およびシステムがさらに、
前記選択されたベアラを使って、該選択されたメッセージコンポーネントを無線路経由で端末(MS)に伝送するための手段(15、51、54、55)
を包含することを特徴とするシステム。
【請求項37】 請求項36に記載のシステムであって、端末(MS)はさらに通信網(12、18)に対して該端末(MS)が選択したベアラを通知する手段(MPU、RF、AER)を包含することを特徴とするシステム。
【請求項38】 端末(MS)が、無線路経由で通信網(12、18)と通信し、この通信網(12、18)と結合するサーバ(MMSC)から前記無線路経由で該端末に伝送された通知メッセージ(30)を受取り、該通知メッセージ(30)は、端末(MS)にアドレス指定されたマルチメディアメッセージ及び少なくとも一つのメッセージコンポーネントを包含するものが前記サーバ(MMSC)に到達したことを通知し、前記通知メッセージ(30)が少なくとも1つのメッセージコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含する、ように構成されたマルチメディアメッセージ通信サービスを提供するネットワークにおいて
該端末(MS)における前記マルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるためのコンピュータプログラムは
端末(MS)に転送すべきメッセージコンポーネントを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて該端末(MS)に選択させるためのコンピュータ実行可能なコードを包含し、
さらに、選択されたメッセージコンポーネントを前記サーバ(MMSC)から前記無線路経由で端末(MS)に転送する目的で、選択されたメッセージコンポーネントのためのベアラを前記通知メッセージ(30)によって運ばれたプロパティ情報に基づいて該端末に選択させるためのコンピュータ実行可能なコードを包含することを特徴とするコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、メッセージ通信サービスに関するものである。特に、本発明は、WAPシステム(Wireless Application Protocol=ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル)等の無線通信システムにおけるマルチメディアメッセージ通信サービスに関するものである。
【0002】
無線通信網やインターネット網は急速に広がりつつあり、そのユーザの数は増え続けている。先端のインターネットサービスを、いわゆるメディア電話のような無線通信網のディジタル移動局に導入することは、例えばWAP技術を使って可能である。WAPは、GSM(Global System for Mobile Communication=汎欧州ディジタル自動車電話方式)、GPRS(General Packet Radio Service=総合パケット無線サービス)、PDC(Personal Digital Cellular=ディジタル自動車電話方式)、CDMA IS−95(Code Division Multiple Access=符号分割多重アクセス)、TDMA IS−136(Time Division Multiple Access=時分割多重アクセス)のようなディジタル無線通信網や、WCDMA(Wideband CDMA=広帯域CDMA)、CDMA−2000のような第三世代ネットワークの大多数を全域的にサポートすべく設計されたオープン標準である。WAPシステムは最近開発されたばかりである上、WAPシステム仕様は実現形態の異なるフレームワークしか定めないケースがあるので、WAPシステムの何らかの機能を実現させる上で既知の解決策というものは存在しない。
【0003】
WAPシステム(図1)では、外部通信にWAPプロトコルを使用する無線端末または移動局MS――ここではいわゆるWAP端末――がインターネット網のサーバ20と通信できる。WAP端末とインターネット網の間の接続はWAPゲートウェイ15によって実現させられ、これが、WAP端末MSとインターネット網18の間のメッセージ伝送エレメントとして働く。WAPゲートウェイ15は、WAP端末によってインターネット網18に向かわされたメッセージを必要に応じてTCP/IPプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol=伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル)のような何らかのインターネットプロトコルに準じるメッセージに変換する。これに対応して、インターネット網18から無線通信網12のWAP端末MSにアドレス指定されたメッセージが、必要に応じてWAPゲートウェイ15でWAPプロトコル(例えばWSP(Wireless Session Protocol=ワイヤレス・セッション・プロトコル))に準じるメッセージに変換される。WAP端末MSは、外部通信にWAPプロトコルを使用するどんなデバイスでもよく、例えばセルラー通信網の移動局や、例えばセルラー通信網の移動局を経由して無線通信網12と通信するコンピュータ端末等であってよい。
【0004】
無線路経由の情報転送を目指したWAPによってサポートされた通信モードのことをベアラと呼ぶ。WAPをサポートする各種ネットワークにおいては、なかんずく、SMSメッセージ(Short Message Service=ショートメッセージサービス)、データコール(CSD(Circuit switched Data=回線交換データ))およびパケット無線サービス、すなわちGPRSサービス、USSDサービス(Unstructured Supplementary Service Data=未組織化サプリメンタリサービスデータ)がベアラであり、また、WAP仕様において定められた他のベアラもある。
【0005】
そのプロトコルに関する限り、WAPシステムは階層システムの1つである。WAP端末とWAPゲートウェイは両方とも、特定のWAPプロトコル層からなるソフトウェアとして実現させられたWAPプロトコルスタックを包含する。WAPプロトコル層は、なかんずく、WSP層(Wireless Session Protocol=ワイヤレス・セッション・プロトコル))、WTP層(Wireless Transaction Protocol=ワイヤレス・トランザクション・プロトコル)およびWDP層(Wireless Datagram Protocol=ワイヤレス・データグラム・プロトコル))である。対応するWAP端末とWAPゲートウェイのプロトコル層は、WAP端末とWAPゲートウェイの間の信頼できるデータ転送を実現させるべく特定のベアラを経由して相互通信する。
【0006】
長い間、インターネット網に接続されたコンピュータ端末のユーザは、電子フォーマットの画像、テキスト、短いビデオクリップやオーディオクリップ等、マルチメディアコンポーネントをインターネット網のあるサーバから自分のコンピュータ端末に取り出す機会があった。データ転送速度が上がり、移動局のプロパティが良くなるにつれて、無線通信網のためのマルチメディアメッセージ通信サービスに対する関心も高まった。しかしながら、例えばWAPシステムとの関連においては、そのようなマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるための解決策がこれまで提示されなかった。
【0007】
国際特許出願WO98/19438は、電気通信網におけるマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるための解決策を提示している。文書WO98/19438において提示されたマルチメディアメッセージ通信システムは、特定のユーザにアドレス指定されたマルチメディアメッセージを保存するマルチメディアメッセージメモリを包含する。ユーザは、自分の端末機器のマルチメディアプレゼンテーションプロパティをマルチメディアメッセージ通信システムに伝える機会を与えられて、マルチメディアメッセージ通信システムの方は、ユーザの端末のマルチメディアプレゼンテーションプロパティを考慮した上で前記マルチメディアメッセージを一部か全部かどちらか翻訳する。この後、マルチメディアメッセージ通信システムは、マルチメディアメッセージをユーザの端末に送る。文書WO98/19438により提示されたマルチメディアメッセージ通信サービスでは、マルチメディアメッセージ通信システムはほとんど、マルチメディアメッセージ供給の制御に集中しており、文書はほぼ全面的にマルチメディアメッセージの翻訳に焦点を合わせている。
【0008】
マルチメディアメッセージ通信サービスを無線通信システムとの関連において実現させるとき、通信に使用される無線路と無線端末の容量に限界があるために新たな問題が発生する。
【0009】
これまでに、WCDMAのような第三世代の移動体通信網のためのマルチメディアメッセージ通信サービスが提案されたが、これは、ショートメッセージサービスと同様の仕方で、すなわち、無線端末にアドレス指定され、特定のメッセージ通信センタに保存されたメッセージを、無線端末がコンタクトできるとなった途端にその無線端末に向けてプッシュすることによって実現させられるものであった。しかしながら、マルチメディアメッセージを無線端末に向けてプッシュすることが問題を発生させるのである。セルラー通信網の移動局のような無線端末の記憶容量には限界があるので、マルチメディアメッセージが必ずしも端末の使用可能なメモリにフィットするとは限らない。また、無線端末に向けてプッシュされたマルチメディアメッセージが無線端末で処理できないエレメントを包含するかもしれず、その場合、該エレメントは不必要に無線端末に送られ、無線資源を浪費することになる。
【0010】
そして今、マルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるために新たな解決策が発明された。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、ここで見込んでいるのは、無線路経由で通信網と通信する端末とサーバの間でマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるための方法で、
無線端末にアドレス指定された、少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージをサーバで受取り、保存するステップ、
サーバからの通知メッセージを無線路経由で無線端末に伝送するステップ
を包含する方法である。
この方法は、
通知メッセージが、前記少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含すること、および、
この方法がさらに、
前記通知メッセージを端末で受取るステップ、
端末において、該端末に転送すべきマルチメディアコンポーネントを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するステップ、
端末において、選択された各マルチメディアコンポーネントのためのベアラを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するステップ、および、
選択されたマルチメディアコンポーネントを、端末によって選択されたベアラを使ってサーバから端末に無線路経由で転送するステップ
を包含することを特徴とする。
【0012】
前記プロパティは、例えばマルチメディアコンポーネントのタイプ、サイズまたはプライオリティ(優先順位値)であってよい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、ここで見込んでいるのは、無線路経由で通信網と通信すべく配置された端末で、この端末は、無線路経由で通信網と通信中のサーバから伝送された通知メッセージを受取るための手段を包含し、ここで、通知メッセージは、前記端末にアドレス指定されたマルチメディアメッセージが前記サーバに到達し、そこに保存されたことを通知するもので、マルチメディアメッセージは少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含する。この端末は、前記通知メッセージが少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含すること、および、端末自体が、
前記通知メッセージを端末で受取るための手段、
端末に転送すべきマルチメディアコンポーネントを前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するための手段、
選択された各マルチメディアコンポーネントを前記サーバから無線路経由で端末に転送する目的で、選択された各マルチメディアコンポーネントのためのベアラを前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するための手段、および
端末によって選択されたベアラのことを通信網に通知するための手段
を包含することを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、ここで見込んでいるのは、端末、通信網および該通信網と通信するサーバを包含し、無線路経由で通信網と通信する端末とサーバの間でマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるためのシステムで、サーバは、
端末にアドレス指定された、少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージを受取るための手段と、該マルチメディアメッセージをサーバに保存するための手段、
該マルチメディアメッセージがサーバで使用可能であることを指示する通知メッセージを端末に伝送するための手段
を包含する。このシステムは、前記通知メッセージが少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含すること、および、端末が、
前記通知メッセージを受取るための手段、
端末に転送すべきマルチメディアコンポーネントを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するための手段、
選択された各マルチメディアコンポーネントを前記サーバから無線路経由で端末に転送する目的で、選択された各マルチメディアコンポーネントのためのベアラを、前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて選択するための手段、
選択されたベアラのことを通信網に通知するための手段
を包含すること、および、システムがさらに、
前記選択されたマルチメディアコンポーネントを、前記選択されたベアラを使って通信網経由で伝送するための手段
を包含することを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、ここで見込んでいるのは、端末においてマルチメディアメッセージ通信サービスを実現させるためのコンピュータプログラムで、前記端末が、無線路経由で通信網と通信し、この通信網と通信中のサーバから前記無線路経由で端末に伝送された通知メッセージを受取るべく配置されており、ここで、通知メッセージは、前記端末にアドレス指定されたマルチメディアメッセージが前記サーバに到達し、そこに保存されたことを通知するもので、マルチメディアメッセージは少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含する。このコンピュータプログラムは、前記通知メッセージが少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含すること、および、コンピュータプログラム自体が、
端末に転送すべきマルチメディアコンポーネントを前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて該端末に選択させるための手段、
選択された各マルチメディアコンポーネントを前記サーバから無線路経由で端末に転送する目的で、選択された各マルチメディアコンポーネントのためのベアラを前記通知メッセージによって運ばれたプロパティデータに基づいて該端末に選択させるための手段、および
端末によって選択されたベアラのことを通信網に該端末から通知させるための手段
を包含することを特徴とする。
【0016】
本説明において、端末は、セルラー通信網の移動局等のどんな端末であっても、無線インタフェースを介して通信網(例えばセルラー通信網)と通信するコンピュータ端末であってもよい。本発明の一実施例では、端末はセルラー通信網の移動局で、外部通信にWAPプロトコルを使用するWAP端末である。端末がコンピュータ端末である本発明の実施例では、無線インタフェースがいわゆる無線カードの形を取ることができる。このようなカードは、セルラー通信網との通信を可能にする電子装置を包含し、例えばPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association=パーソナルコンピュータメモリカード国際協会)標準品と互換性のあるインタフェースを介してコンピュータ端末に着脱式に取付けることができる。このような無線カードの既存の例の1つがノキアテレホンカードである。
【0017】
本発明の優先実施例では、前記サーバは、通信網との通信の中で、通信網内に置かれたWAPゲートウェイを通してマルチメディアメッセージを端末へ運ぶマルチメディアメッセージ通信サービスセンタ(MMSC)である。マルチメディアメッセージは、1つ以上のコンポーネント、例えばテキスト、音声、画像またはビデオ映像等であってよい。
【0018】
端末のアドレス指定されたマルチメディアメッセージがサーバによって受取られたことを指示するものとして、サーバは、該マルチメディアメッセージの少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含する通知メッセージを端末に伝送する。ここで、マルチメディアメッセージをサーバに保存することが暗黙の動作である点に注目されたい。換言すれば、ある一定の端末にアドレス指定されたマルチメディアメッセージがサーバによって受取られると、そのメッセージは該サーバのメモリの中に存在することになる。そのメモリは、例えば該サーバのランダムアクセスメモリ(RAM)であっても、他の何らかの物理記憶装置、例えばハードディスクドライブ等であってもよい。本説明の中で後に述べる通り、サーバには、例えば、アドレス指定された端末がコンタクトできるようになるまで、ある一定の時間、マルチメディアメッセージを保存することが必要であるかもしれない。しかしながら、メッセージがアドレス指定された先の端末がほぼ同時にコンタクトできる状況の中でも、サーバでのマルチメディアメッセージの一時保存がなお行われるとみなしてよい。サーバがマルチメディアメッセージをより長い時間保存しなければならない場合は、メッセージを保存できる最長時間に何らかの限界を設けてよい。これは、例えば、アドレス指定された端末の加入オプションによって特定することができる。状況によっては、例えばサーバの記憶容量の不足のゆえに、サーバに保存されたマルチメディアメッセージを削除または上書きすることも必要であるかもしれない。
【0019】
通知メッセージにおいてサーバから伝送された前記プロパティデータに基づいて、端末は、前記マルチメディアコンポーネントの転送のために適当なベアラを選択する。こうして、マルチメディアメッセージのマルチメディアコンポーネントごとに別々にベアラを選択することができ、その上で、相異なるマルチメディアコンポーネントを同じベアラを経由して伝送するか、異なるベアラを経由して伝送するか、どちらかを選択することができる。所与のコンポーネントのためのベアラは、端末によってサポートされたベアラの中から選択される。本発明の優先実施例では、ベアラはWAPで定められたものである。前記マルチメディアコンポーネントは、端末によって選択されたベアラを使ってMMSCから端末に転送される。
【0020】
例えばWAPシステムでは、データ転送に使用されるベアラが違うと、消費される無線資源の量が違ってくるので、各マルチメディアコンポーネントをマルチメディアメッセージ通信システムからWAP端末に伝送するのに最小限の無線資源を使用するベアラを選択するのが有利である。本発明はこれを可能にする。例えば、本発明によれば、短いテキストメッセージを伝送するのにデータコール接続を確立する必要はなく、メッセージはSMSメッセージとして無線路経由で伝送できるのである。
【0021】
以下、本発明を添付図面に則して詳細に説明する。
【0022】
図1については、先行技術との関連において上で述べた。本発明の一優先実施例(図2)では、通信にWAPプロトコルを使用する無線端末MS(またはその所有者)がマルチメディアメッセージ通信サービスセンタMMSCからのマルチメディアメッセージ通信サービスに加入した状況においてマルチメディアメッセージ通信サービスが検査される。MMSCは、例えばセルラー通信網内またはインターネット内に設置することのできるネットワークエレメント、すなわちサーバである。マルチメディアメッセージ通信サービスにおいて、MMSCは、マルチメディアメッセージがアドレス指定された先の無線端末MSがコンタクトできない場合、そのマルチメディアメッセージを問題の無線端末MSのメモリに保存するエレメントとして働く。MMSCはさらに、無線端末MSに再び到達できるとき、マルチメディアメッセージをその無線端末MSに送る。あるいはその代わりとして、メッセージがアドレス指定された先の移動端末が直接コンタクトできる場合、マルチメディアメッセージはほぼ同時に送られる。このメッセージ通信メカニズムは、メッセージ蓄積転送方式として知られている。対応する装置は、GSMネットワークのSMSメッセージとの関連において知られており、そこで、ネットワーク内のショートメッセージサービスセンタ(SMSC)がSMSメッセージのメッセージ蓄積転送方式を実行する。
【0023】
MMSCは、WAPゲートウェイ15を通して無線端末MSと通信する。物理的に、MMSCは、望ましくは、インターネット網のWAPゲートウェイ15と同じ部分に位置する。代表的に、MMSCとWAPゲートウェイ15の間の通信はインターネット網のプロトコル(IPプロトコル)に従って遂行される。それは、例えばTCP/IPやHTTP1.1のことである。
【0024】
MMSCからのマルチメディアメッセージ通信サービスに加入した無線端末MSにアドレス指定されたマルチメディアメッセージ――電子フォーマットのテキスト、画像、写真、オーディオクリップまたはビデオクリップ等、1つ以上のマルチメディアコンポーネントを含んでいてよい――がMMSCに到達すると、MMSCはこれを自らのメモリの保存し、該メッセージがMMSCに到達したことを知らせる通知メッセージ30に送る。
【0025】
本発明の一実施例では、通知メッセージ30は、新しいWAPコンテンツタイプ――ここではマルチメディアメッセージインディケーション(MMI)――を使って実現させられる。MMIは、テキストフォーマットとバイナリフォーマットの両方のデータを同じタイプのコンテンツで伝送するように定義されたコンテンツタイプである。インターネット互換性のあるXML(eXtensible Markup Language=拡張可能マークアップ言語)によるテキストフォーマットとWAPバイナリコード化に準じるバイナリフォーマットの両方が、MMIコンテンツタイプに対して定義されている。図6は、MMIタイプの通知メッセージ30の1つの可能な基本構造を示し、この場合は、一般的部分“一般情報”36、ならびに、マルチメディアメッセージを構成するマルチメディアコンポーネントのプロパティを表現するためのフィールド37(うち、2つが図6に示されている)を包含する。“一般情報”部分36は、MMSCに保存されたマルチメディアメッセージに関する一般情報を表現するフィールドを包含する。それは、例えばマルチメディアメッセージの送信者のアドレスとその需要度に関する情報であってよい。フィールド37によって表現されたマルチメディアコンポーネントのプロパティは、例えば、各マルチメディアコンポーネントのタイプおよびサイズである。MMSCに保存されたマルチメディアメッセージが、330バイトのサイズを持つテキストフォーマットのコンポーネントと164キロバイトのJPGフォーマット画像を包含する場合、テキストフォーマットMMIタイプの通知メッセージ30において37に対応するエントリは、例えば下記の通り現れることになる。
【0026】

Message-Component-Type1:text/plain
Message-Component-Size1:330
Message-Component-Type2:image/jpg
Message-Component-Size2:164000

【0027】
新しいコンテンツタイプをWAPに追加し、それによって要求されたソフトウェア変更をシステム内で行うことは、WAPに精通した当業者にはよく知られている。あるいはその代わりとして、通知メッセージ30は、SMSメッセージのように、無線通信網から一般に周知の何らかの仕方で無線端末MSに供給することができる。
【0028】
すべてのデータがバイナリフォーマットで無線路経由で伝送されるけれども、テキストフォーマットのデータとバイナリフォーマットのデータとの違いは、データのグループ化において明らかである。テキストフォーマットのデータは、各キャラクタまたは各文字が伝送される1つの特定のコードワードによって表現されるようにグループ化される。前記コードワードは、例えば8ビットの長さであってよい。バイナリフォーマットのデータの場合は、個々のビットが伝送されるだけであり、従って、データ伝送容量が節約される。例えばWAPシステムでは、XML言語の所与のワードに対して1つの所与の値が定められる。例えば、WAPコード化においてXML言語のワード“ENTITY”に値“2”を割当ててよく、そうすれば、前記ワードを伝送するとき、6キャラクタの代わりにバイナリフォーマットの1キャラクタを伝送するだけでよいので、データ伝送容量が節約されることになる。
【0029】
本発明の一実施例では、MMIタイプの通知メッセージ30が使用され、伝送すべきデータがバイナリフォーマットのデータである。通知メッセージ30は、例えばXMLフォーマットでHTTP1.1(Hyper Text Transfer Protocol=ハイパーテキスト転送プロトコル)において定義されたPOSTコマンドを使って、IPプロトコルに準じるメッセージとしてMMSCからWAPゲートウェイに転送してよい。通知メッセージ30がテキストフォーマットの部分を包含する場合、WAPゲートウェイは、その部分をWAPプロトコルに従ってバイナリフォーマットに変換し、特定のベアラを使って通知メッセージ30を無線路経由で無線端末に向かわせる。この場合の変換は、すでにMMSCで行うこともできる。通知メッセージ30の転送に使用されるベアラは、例えばGSMネットワークのショートメッセージサービス(SMS)またはUSSDサービスであってよく、両方とも、いわゆるコネクションレス型サービスである。
【0030】
ここで、コネクションオリエンテッド型サービスとコネクションレス型サービスとの違いを考慮されたい。コネクションオリエンテッド型サービスでは、実際のデータ伝送が遂行できるようになる前に先ず、特定の(専用の)通信リンクが通信当事者間で確立される。コネクションオリエンテッド型サービスの1つの例が、セルラー通信網におけるデータコールである。コネクションレス型サービスでは、専用の通信リンクが確立されなくてよい。GSM SMSサービスはコネクションレス型サービスの1つの例で、SMSメッセージの伝送が、信号伝送目的のために通常使用される通信チャネルで行われる。その上、インターネットにおけるUDP(User Datagram Protocol=ユーザデータグラムプロトコル)のような、一種のパケットベース型のコネクションレス型データ伝送では、データの転送に使用すべきルートが前もって特定されず、異なるデータパケットに対してルートも異なってよい。
【0031】
MMSCによって無線端末MSに伝送された通知メッセージ30は、マルチメディアメッセージの取り出しに関連して無線端末MSで下される意思決定に必要なマルチメディアメッセージのプロパティに関する特定データを包含する。望ましくは、前記通知メッセージ30は、MMSCに保存されたマルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントのサイズおよびタイプに関する情報を包含する。通知メッセージ30において、前記タイプ情報は、WAPで指定されたテキストフォーマットのMIMEタイプ(例えばimage/jpg、text/plain、audio/mpeg、sound/wav)か、対応するバイナリフォーマットの等価タイプか、どちらかによって提供される。本発明の一優先実施例では、バイナリ等価タイプが使用される。その上、通知メッセージ30は、マルチメディアメッセージの重要度に関する情報、すなわち、いわゆる優先順位値を包含することができる。代表的に、通知メッセージ30は、マルチメディアメッセージの送信者に関する情報、ならびに、マルチメディアメッセージのURL(Uniform Resource Locator=ユニフォームリソースロケータ)またはURI(Uniform Resource Identifier=ユニフォームリソース識別子)またはマルチメディアメッセージを識別する他の何らかの識別子も包含する。マルチメディアメッセージが2つ以上のマルチメディアコンポーネントを包含する場合、通知メッセージ30は、該マルチメディアメッセージのコンポーネントごとに別個の識別子を包含してもよい。
【0032】
前記通知メッセージ30を受取ると、無線端末MSは、MMSCからのマルチメディアメッセージの取り出しに関して決定を下し、該マルチメディアメッセージの無線路経由での転送に使用すべきベアラを選択する。これに対応して、マルチメディアメッセージが複数のマルチメディアコンポーネントを包含する場合、無線端末MSは、MMSCから自ら取り出したい、または取り出し得るマルチメディアメッセージを構成するマルチメディアコンポーネントを選択し、選択された各マルチメディアコンポーネントの無線路経由での転送に使用すべきベアラを選択する。無線資源の使用を最適化するため、無線端末MSは、相異なるマルチメディアコンポーネントの各々の転送に最も適したベアラを選択することができる。
【0033】
無線端末MSは、マルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントの取り出しに関して決定を下し、通知メッセージ30で運ばれた特定データを使って適当なベアラを選択する。代表的に、このデータは、マルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントのサイズおよびタイプに関する情報を含む。本発明によれば、ベアラの選択は、マルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントの1つのプロパティだけに基づいて実行してよい。このプロパティは、例えば、マルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントのタイプ、サイズまたは優先順位値(重要度)であってよい。従って、本発明によるベアラの選択は、例えば、単にマルチメディアメッセージのマルチメディアコンポーネントのサイズだけに基づいてマルチメディアコンポーネントごとに行うことができる。その上、ユーザが構成し得るある一定のルール、マルチメディアメッセージの優先順位値、および無線端末MSのある一定のプロパティ、例えば使用可能なメモリスペース、相異なるタイプのマルチメディアコンポーネントを処理し、自らのディスプレイに表示する端末能力等を意思決定プロセスにおいて考慮することができる。
【0034】
以下、本発明による無線端末MSで実行される意思決定プロセスを例に則して多少詳細に説明する。ここで、無線端末MSにアドレス指定された、少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージがMMSCに到達すると仮定する。マルチメディアメッセージまたはマルチメディアコンポーネントの少なくとも1つのプロパティに関する情報を包含する通知メッセージ30が、MMSCから無線端末MSに伝送させる。代表的に、通知メッセージ30は、少なくともマルチメディアメッセージまたはこれを構成するマルチメディアコンポーネントのサイズおよびタイプに関する情報を包含する。無線端末は、使用可能なメモリスペース、自ら処理し得る(かつ、例えば自らのディスプレイに表示し得るマルチメディアコンポーネントのタイプ、ならびに、自らサポートするWAPシステムのベアラを知っている。
【0035】
通知メッセージ30を受取った後、無線端末MSは、前記マルチメディアコンポーネントを受取って処理できるかどうか決定する。この目的のため、無線端末に供給された通知メッセージ30の中のマルチメディアコンポーネントのサイズに関する情報をMMSCに保存されたサイズ情報と比較し、メッセージの中にあるマルチメディアコンポーネントのタイプに関する情報を、無線端末MSが処理し得るタイプと比較する。無線端末MSは、十分なメモリスペースが存在し、問題のマルチメディアコンポーネントのタイプが自ら処理し得るタイプであると確認した場合、前記マルチメディアコンポーネントをMMSCから取り出す決定を下す。
【0036】
しかしながら、本発明によれば、ユーザは、無線端末MSによって実行された意思決定プロセスに、いわゆるユーザ構成可能ルールを通して関与するための手段を備えていてよい。望ましくは、このユーザ構成可能ルールは、無線端末の出荷前にインストールされたソフトウェアにおいて特定のデータベースに含まれ、無線端末MSのアプリケーションソフトウェアに使用できる。無線端末MSのユーザは、ルールを適用してもしなくてもよく、また、例えば無線端末のユーザインタフェースの特定メニューを使ってルールを変更してもよい。マルチメディアコンポーネントの取り出しに関する決定を下すとき、無線端末MSは、ユーザ構成可能ルールを前記データベースから読取り、決定を下す中でそれを考慮する。ユーザは、例えば、無線端末MSが所与のアドレスから送られてきたマルチメディアメッセージをMMSCから取り出すのを防ぐルールを確立してよい。もちろん、これは、マルチメディアメッセージの送信者を識別する情報が通知メッセージ30において伝送されることを必要とする。ユーザはまた、例えば、特殊タイプのマルチメディアメッセージまたはマルチメディアコンポーネントの取り出しにとって障害となるものが他に存在しなくても、そのマルチメディアメッセージまたはマルチメディアコンポーネントの取り出しを防いでよい。ユーザはまた、ベアラを選択するときにデータ伝送のコストを考慮する上で基準となるルールを定めてよい。このルールがアクティブのとき、無線端末MSは常に、特殊タイプのコンポーネントの転送に適したベアラのうち可能な限り安価な(または最も安価に使える)ベアラを選択する。ユーザはまた、ベアラを選択するときにデータ転送速度を考慮する上で基準となるルールを定めてよく、そうすれば、無線端末MSは常に、特殊タイプのコンポーネントの転送に適したベアラのうち最も高速のベアラを選択することができる。上に述べた例では、無線端末MSは、必ずしも常に、無線資源の消費量が最も少ないベアラを最終的に選択するとは限らない。
【0037】
マルチメディアメッセージの取り出しについて決定を下すとき、無線端末MSは、マルチメディアコンポーネントの中に、無線端末MSのメモリに収納するには大きすぎるサイズのマルチメディアコンポーネント、または無線端末MSが処理し得ないようなタイプのマルチメディアコンポーネントがあることに気付いた場合、該マルチメディアコンポーネントを取り出さない決定を下してよい。あるいはその代わりとして、無線端末MSは、取り出しを特定の期間延期し、無線端末MS内部に十分なメモリスペースの空きができてから初めてマルチメディアメッセージを取り出してもよい。
【0038】
あるいはその代わりとして、無線端末MSは、マルチメディアコンポーネントの中に、無線端末MSのメモリに収納するには大きすぎるサイズのマルチメディアコンポーネント、または無線端末MSが処理し得ないようなタイプのマルチメディアコンポーネントがあることに気付いた場合、これをユーザに、例えば自らのディスプレイ上で通知することができる。無線端末MSはまた、ユーザが問題解決のために講じることのできる処置のリストを自らのディスプレイ上に提示してもよい。代表的に、こうした状況のとき、無線端末MSは、ユーザが講じようとする処置に関して入力がなされるのを待つ。ユーザは、無線端末への入力を、例えばキーボードを使って、または他の何らかの周知の仕方で提供してよい。無線端末MSによって提案された処置リストは、例えば下記のうちのどれかを包含してよい。a)ラップトップコンピュータ等を無線端末MSに取付け、前記マルチメディアコンポーネントを処理できるようにする。この場合、無線端末MSは、マルチメディアコンポーネントをMMSCから取り出すことになるが、それを処理の目的でラップトップコンピュータに転送することになる。b)別個のマルチメディアメモリカード(MMMC)を無線端末MSに取付け、その使用可能なメモリスペースを拡張する。
【0039】
マルチメディアメッセージを構成する1つ以上のマルチメディアコンポーネントをMMSCから取り出す決定を下した後、無線端末MSは、該マルチメディアコンポーネントの転送に使用すべきベアラを、通知メッセージ30において供給された各マルチメディアコンポーネントのタイプに関する情報に基づいて選択する。あるいはその代わりとして、ベアラの選択は、マルチメディアコンポーネントのサイズに基づいて行っても、マルチメディアコンポーネントの優先順位値に基づいて行なってもよい。本発明の有利な一実施例によれば、かかる選択を実行するために、無線端末MSを制御するソフトウェアは、いわゆるマッピングテーブルを包含するデータベースを包含する。
【0040】
望ましくは、マッピングテーブルは、マルチメディアコンポーネントのタイプごとに1つのデフォルトベアラを指示し、これが、当該タイプのマルチメディアコンポーネントを無線路経由でWAPゲートウェイから無線端末MSに転送するのに使用される。これに対応して、ベアラの選択が単にマルチメディアコンポーネントのサイズまたは優先順位値だけに基づいて行われる場合は、マッピングテーブルにおいてマルチメディアメッセージのサイズカテゴリごと、または優先順位値ごとに特定のデフォルトベアラを定めることが可能である。例えば、GSMネットワークのSMSベアラをMIMEタイプtext/plainのメッセージ/コンポーネントのためのデフォルトベアラと定めてよい。この場合、マルチメディアコンポーネントのMIMEタイプがtext/plainであれば、移動局は、GSM SMSベアラを前記マルチメディアコンポーネントの転送に使用すべきベアラとして選択することになる。
【0041】
ベアラの選択においては(および、これに関連するマッピングテーブルの実現においては)、マルチメディアメッセージの2つ以上のプロパティを考慮に入れることも可能である。この場合は、例えば、通知メッセージ30において供給されたマルチメディアコンポーネントのサイズに関する情報を考慮に入れることも可能であり、従って、GSM SMSサービスを使用する転送に向けて短いテキストデータを選択することができ、他方、比較的長いテキストデータであれば、GSMデータコール、HSCSD(High Speed Circuit Switched Data=高速回線交換データ)またはGSM GPRSデータ接続を介して転送することができる。この場合は、より多くの代替ベアラをマッピングテーブルにおいて、ある特定のタイプのマルチメディアコンポーネントのためのデフォルトベアラと定めてよい。例えばMIMEタイプがtext/plainであるとすれば、 “text/plain - short”をGSM SMS代替ベアラと定めてよく、“text/plain - long”をGSM−HSCSD代替ベアラと定めてよい。これに対応して、ある特定のタイプのマルチメディアコンポーネントについては、メッセージ/マルチメディアコンポーネントのタイプに関するデータに加えて、データ伝送(ベアラ)のコストまたは速度を、無線端末のベアラ選択プロセスにおける決定要因として使用するときに“more expensive”および“less expensive”を、また、“slower”および“faster”を代替ベアラと定めてよい。
【0042】
マルチメディアメッセージが2つ以上のマルチメディアコンポーネントを包含する場合、異なるタイプのマルチメディアコンポーネントの転送のために選択されるベアラは、マッピングテーブルにおいてその特定のタイプに割当てられたベアラであるのが望ましい。従って、例えば、マルチメディアメッセージがテキストコンポーネントとビデオクリップの両方を包含する場合は、テキストコンポーネントをSMSで転送し、ビデオクリップを、例えば回線交換データ接続またはパケット交換データ接続を介して転送すると決定することができる。あるいはその代わりとして、本発明によれば、コンポーネントのタイプに関係なく全部のマルチメディアコンポーネントを同じベアラを使って転送する方法を選択することも可能である。
【0043】
本発明の一実施例では、MMSCから無線端末MSに伝送された上述の通知メッセージ30においてマルチメディアメッセージの優先順位値が供給されていた場合、ベアラを選択するときに該優先順位値を考慮に入れることができる。これが当てはまる場合は、高い優先順位値を有するマルチメディアメッセージに対して最も高速のベアラを選択することができる。ここで、最も高速のベアラとは、一般に、システムにおいて最大の転送容量が使用できるベアラのことである。
【0044】
マッピングテーブルは、望ましくは、無線端末MSの出荷前にインストールされたソフトウェアに含まれており、新しいベアラ(すなわち、新しい無線通信モード)がシステムに追加される場合、または、既存のベアラがシステムから除去される場合に更新することができる。この更新は、例えば、ユーザ構成可能ルールの定義と共に提示されたのと同様の仕方で行うことができる。
【0045】
マルチメディアメッセージまたは所望のマルチメディアコンポーネントを取り出すにあたって、MMSCへの接続が未だ存在しない場合、無線端末MSはこの接続を開く。本発明の一優先実施例では、無線端末MSは、WAPから知られている仕方でWAPゲートウェイ15とのWSPセッションを開くような手順で前記接続を確立し、WAPゲートウェイ15はさらに、例えばMMSCとのIP接続を確立する。無線端末MSによって選択されたベアラに関する情報、従ってまた、開かれるWSPセッションにおいて使用されるベアラに関する情報は、WSP HEADERにおいてベアラ指示値として、無線端末MSからWAPゲートウェイ15に周知の仕方で伝送される。前記情報の伝送は、WSPセッションを開くことについての無線端末MSとWAPゲートウェイ15の間のネゴシエーションの最中に行われる。
【0046】
WSPセッションが確立されたならば、無線端末MSは、例えばWAPで定められたGET法を使って、MMSCから所望のマルチメディアメッセージまたはマルチメディアコンポーネントを取り出すことができる。GET法では、無線端末MSは先ず、WAPゲートウェイ15に、MMSCから特定のマルチメディアメッセージまたはマルチメディアコンポーネントを取り出すようGETリクエスト31を送る。WAPゲートウェイ15は、GETリクエスト31をインターネットプロトコルに準じるGETリクエスト、例えばHTTP GETリクエスト32に変換し、これをMMSCに送る。
【0047】
GETリクエストに応答して、MMSCは、リクエストされたマルチメディアメッセージまたはリクエストされたマルチメディアコンポーネントをIP接続経由でWAPゲートウェイ15に伝送し33、WAPゲートウェイ15は、該メッセージまたはコンポーネントを、問題のWSPセッションに対して無線端末MSによって選択されたベアラをコネクションオリエンテッド型サービスかコネクションレス型サービスかどちらかとして使って、無線端末MSへ運ぶ34。代表的に、所与のマルチメディアコンポーネントが、無線端末MSのメモリに完全に転送された後に初めて、ユーザに向けて表示される。特殊なケース、例えば、マルチメディアコンポーネントがビデオ映像を包含する場合は、いわゆる“ストリーミング”も代用できる。この場合は、ビデオクリップを無線端末MSに完全に転送し終わる前にすでに該ビデオクリップの初めのバッファ処理された部分を再現し始めることが可能である。
【0048】
転送すべきマルチメディアメッセージが2つ以上のタイプのマルチメディアコンポーネントを包含するならば、無線端末MSは、代表的に、上に述べた仕方で異なるタイプのマルチメディアコンポーネントの転送のために異なるベアラを選択したことになる。この場合は、WSPセッションにおいて現にアクティブであるベアラを使って転送すべく移動局が選択したマルチメディアコンポーネントが最初に伝送される。但し、ここでは、適当なベアラがまさしくアクティブであることが前提となる。ベアラの変更は、Sサスペンド・プリミティブを使ってWSPセッションをサスペンド状態に置き、また、Sレジューム・プリミティブを使ってそれを再スタートさせることによって実現させることができる。
【0049】
本発明の一実施例では、マルチメディアメッセージ通信サービスに加入した無線端末へMMSCによって運ばれるマルチメディアメッセージは、多くの異なるソースから出てきてよい。それは、ある無線端末から別の無線端末に電子フォーマットで伝送される写真、ホームビデオクリップまたは音声メッセージであり得る。また、例えばTCP/IPネットワークからMMSCに伝送され、無線端末へ運ばれるマルチメディアコンポーネントを包含する電子メールメッセージも、マルチメディアコンポーネントを包含する他の何らかのメッセージもあり得る。
【0050】
本発明はまた、WAP技術なしでも実現させることができ、その場合、実現の仕方は問題のネットワークによって異なる。例えば、IPプロトコルを使ってパケット交換モードの無線端末とMMSCの機能性を提供するインターネットサーバの間で通信することが可能である。また、例えばIPプロトコルを使って無線路経由でGSMネットワークのGPRSサービスに乗って通信することが可能である。この場合は、WAPゲートウェイの代わりに、GPRSネットワークのゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)が、無線通信網とインターネット網を接続するエレメントとして働く。この場合、本発明によるベアラの選択は、GPRSによってサポートされたベアラ、例えばGPRS−SMSベアラ、GPRSデータコールおよびGPRSで定められた他のベアラを使って実現させることができる。対応する解決策も、第三世代ネットワークにおいて可能である。
【0051】
本発明は、無線端末およびMMSCにおいてプログラムコードに必要な変更を加えることによってソフトウェアで実現させることができる。問題のコンピュータプログラムは、データ媒体、例えばメモリに保存することができ、転送することができ、例えばコンピュータまたは無線端末のマイクロプロセッサで実行することができる。MMSCでは、MMIコンテンツタイプの採用に関して要求されたソフトウェア変更が、MMSCのWAPゲートウェイインタフェースでなされる。MMSCの機能ブロックは、後に説明の中で図5との関連において提示する。
【0052】
図3は、本発明による方法を実現させる無線端末の動作に関連する基本部分を示す。無線端末MSは、プロセッサMPUおよび該プロセッサに機能的に接続された部分、すなわちメモリMEM、ユーザインタフェースUI、および無線部分RFを包含する。プロセッサMPUは、望ましくは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはディジタル信号プロセッサ(DSP)である。メモリMEMは、望ましくは、不揮発性リードオンリーメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を包含する。無線部分RFは、WAPプロトコルに準じるメッセージ等の無線周波数信号を伝送し、マルチメディアメッセージ等の無線周波数信号を自らのアンテナAERで受取る。ユーザインタフェースUIは、望ましくは、ユーザに無線端末MSの動作に必要なキーボードおよびディスプレイを提供する。
【0053】
無線端末MSのソフトウェア、ならびにマルチメディアメッセージ通信サービスの実現に関連したソフトウェアは、代表的に不揮発性メモリに保存される。このソフトウェアをベースにして、プロセッサMPUは、無線部分RFの使用、ユーザインタフェースUIによるメッセージの提供、ユーザインタフェースUIから受取った入力の読取り等、無線端末MSの動作を制御する。多くの異なる方法で実現させることのできるソフトウェアは、望ましくは、異なるプロシージャの実現に対応するプログラムブロックを包含する。この場合のプロシージャとは、例えば、ユーザへのマルチメディアメッセージに含まれたマルチメディアコンポーネントの表示に関連するプロシージャ、ならびに、メッセージの送受に関連するプロシージャのことである。無線端末において、マルチメディアメッセージ通信サービスは、無線端末のメモリMEMおよびソフトウェアと共にプロセッサMPUによって実現させられる。プロセッサMPUは、ランダムアクセスメモリをデータ処理時の一時バッファメモリとして使用する。
【0054】
図4のフローチャートは、本発明の一優先実施例に照らして本発明による意思決定プロセスを示す。第1段階において、無線端末にアドレス指定された少なくとも1つのマルチメディアコンポーネントを包含するマルチメディアメッセージが、MMSC(ブロック41)に到達し、ここに保存され、その後、前記マルチメディアメッセージのプロパティに関するデータを包含する通知メッセージが、無線端末(ブロック42)に伝送される。通知メッセージに含まれたデータをベースにして、無線端末は、取り出すべき1つ以上のマルチメディアコンポーネント、ならびに、マルチメディアコンポーネントをMMSCから無線端末(ブロック43)に転送するのに使用される1つ以上のベアラを選択する。この後、無線端末は、MMSCへの接続を開き、先に選択されたベアラを使って所望のマルチメディアコンポーネントを取り出す(ブロック44)。無線端末は、前記通知メッセージに含まれたデータと無線端末の状態をベースにして、マルチメディアメッセージの特定のコンポーネントを処理する能力を持っていない、または現時点では処理できないと自ら判断した場合、任意に、これをデバイスのユーザに通知し、ユーザにある一定の処置を講じるよう要求する。例えば、無線端末がセルラー通信網の移動局である場合は、ユーザに、ラップトップコンピュータを無線端末に取付け、それで、前記マルチメディアコンポーネントの処理を可能にするよう命令してよい(ブロック43b)。そうでないと、MMSCと無線端末の間の通信がユーザに筒抜けの形で行われる。図4には、任意ブロック43aが破線で表されている。
【0055】
図5は、本発明の実現に関連するMMSCの機能ブロックを示すブロック図である。MMSCはWAPゲートウェイインタフェース51を包含し、これを通してMMSCはWAPゲートウェイ15と通信する。WAPシステム外部の他のネットワークとの通信は外部インタフェース52を通して管理され、他のマルチメディアメッセージ通信サービスセンタとの通信はMMSCインタフェース53を介して扱われる。データメモリ54がデータベースであり、ここにマルチメディアメッセージが記録され、保存される。制御装置55がMMSCの動作を制御する。代表的に、MMSCは、MMSCのオーセンティケーションとメンテナンスに関連する何らかのブロックも包含するが、これらは図に示されていない。
【0056】
本発明によれば、無線端末MSにアドレス指定されたマルチメディアメッセージは、インタフェース(51〜53)の1つを通ってMMSCに到達し、データメモリ54に保存される。無線端末MSに伝送された通知メッセージ30は、望ましくは、WAPゲートウェイインタフェース51において制御装置55のコマンドに従って作成される。通知メッセージ30の伝送は、WAPゲートウェイインタフェース51を経由して行われる。その先、マルチメディアメッセージ、または無線端末MSがMMSCから取り出すと決定したマルチメディアコンポーネントは、然るべき経路でWAPゲートウェイインタフェースを通して無線端末MSに伝送される33。
【0057】
本発明によれば、ネットワーク無線資源は、無線路経由でのマルチメディアコンポーネントの転送に最も適したベアラを選択することによって節約することができる。本発明による方法は、無線端末がどのマルチメディアコンポーネントをマルチメディアメッセージ通信サービスセンタから取り出したいかを自ら決定できるいわゆるプル方式によって実現させられる。本発明がサポートするのは無線端末起動接続であり、従って、望ましくは、セキュリティの視点から危険性のあるネットワーク起動接続を本発明はサポートしない。
【0058】
以上、本発明の実施態様を例に則して説明した。本発明が上に提示された実施態様の細部だけに限局されないこと、そして、本発明の特徴から逸脱することなく、他の形でも本発明を実現させ得ることは、当業者であれば容易に理解されよう。上に提示された実施態様は、限局的でなく、例示的とみなされたい。つまり、本発明を実現させ、使用する可能性は、範囲の限定された請求項によってしか限局されない。従って、請求項によって特定された通りの本発明を実現させる様々なオプションも、その等価の実現形態を含めて、本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、先行技術から知られているWAPシステムの一モデルを示す。
【図2】
図2は、WAPシステムにおいて本発明による方法を実現させる一例を示す。
【図3】
図3は、本発明による方法を実現させる移動局の基本部分を示す。
【図4】
図4は、本発明による意思決定プロセスを示すフローチャートである。
【図5】
図5は、MMSCの機能ブロックを示すブロック図である。
【図6】
図6は、本発明による通知メッセージの基本構造を示す。
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