JP2003517017A - 腫瘍の治療に用いるクモの毒素から得た製薬成分、その製造方法、およびその使用方法 - Google Patents

腫瘍の治療に用いるクモの毒素から得た製薬成分、その製造方法、およびその使用方法

Info

Publication number
JP2003517017A
JP2003517017A JP2001544891A JP2001544891A JP2003517017A JP 2003517017 A JP2003517017 A JP 2003517017A JP 2001544891 A JP2001544891 A JP 2001544891A JP 2001544891 A JP2001544891 A JP 2001544891A JP 2003517017 A JP2003517017 A JP 2003517017A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pharmaceutical ingredient
substance
spider
penetrant
venom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001544891A
Other languages
English (en)
Inventor
ディルク ヴェイクマン
Original Assignee
トキシムド ゲー エム ベー ハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by トキシムド ゲー エム ベー ハー filed Critical トキシムド ゲー エム ベー ハー
Publication of JP2003517017A publication Critical patent/JP2003517017A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/43Enzymes; Proenzymes; Derivatives thereof
    • A61K38/46Hydrolases (3)
    • A61K38/47Hydrolases (3) acting on glycosyl compounds (3.2), e.g. cellulases, lactases
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/1767Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from invertebrates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/43Enzymes; Proenzymes; Derivatives thereof
    • A61K38/46Hydrolases (3)
    • A61K38/465Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1), e.g. lipases, ribonucleases
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/55Protease inhibitors
    • A61K38/556Angiotensin converting enzyme inhibitors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得られた製薬として効果的な物質、その製造方法および薬剤としての使用を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも一つのペプチドトキシンと少なくとも一つの拮抗作用を
持つ物質および/または浸透剤を一つの調合薬の有効量含む製薬成分、その製造
方法(準備方法)、および使用方法に関し、少なくとも一つのペプチドトキシン
、および選択的に、拮抗作用を持つ物質、および/または浸透剤は、ヤリダマグ
モ科(Sicariidae)のクモの毒から得られる。
【0002】
【従来の技術】
近年、部分的に生じた腫瘍の場合、その腫瘍をできるだけ完全に部分的に切除
する方法が最も一般的な療法である。手術に先立ち、映像的手法により腫瘍の位
置を特定し、その後開口することにより手術で部分的に切除する。この間、手術
箇所が空気に接するのを防ぐことはできない。文献 (シュテークナー ハー
エー(Stegner H.−E.)(1986):乳房腫瘍の組織病理学(Histopatholo
gie der Mammatumoren)、エンケ出版(Enke Verlag)、シュトゥットガルト(S
tuttgart); ガルベ ツェー(Garbe C.)、ドゥンマー エル(Dummer R.)
、カウフマン エル(Kaufmann R.)およびティールゲン ヴェー( Tielgen W
.)(1997): デーアマトローギシュ オンコロギー(Dermatologische On
kologie)。シュプリンガー出版(Springer Verlag)、ベルリン(正誤表も参照
のこと))によれば、空気と接することにより、最初の腫瘍は93%の割合で転
移する可能性があるとされる。
【0003】 腫瘍の療法の他の形態としては、化学療法、照射、抗体療法、シトキン療法(
cytokine treatment)、高熱療法(hyperthermic treatment)、または酸素療法
(oxygen therapy)等がある。
【0004】 一般的に、腫瘍の化学療法において、体全体に広がった腫瘍および部分的な腫
瘍を手術で切除した後の残りの腫瘍細胞に適用すべく、細胞毒素が用いられる(
レムプ(Rompp(oはウムラウト))、化学百科事典(Chemielexikon)、第9版
、ボリューム1、1989、680ページ)。化学療法で用いられる物質には、
例えば、アルキル化剤(alkylating substances)、代謝拮抗物質、アルカロイ
ド、抗生物質、およびホルモンである(レムプ百科事典(Rompp Lexikon(oはウ
ムラウト))、生物工学および遺伝子工学(Biotechnologie und Gentechnik)
、第2版、1999、153ページ)。アルキル化剤として知られているのは、
例えば、シスプラチン(cisplatin)、ニトロソ尿素化合物、またはチオテパ(t
hiotepa)である。さらに、例えば、アミノプテリン、フルオロウラシル等のピ
リミジン類似体等の葉酸拮抗薬を用いることができる。DNA依存RNAポリメ
ラーゼへの抑制効果を持つ抗生物質としては、ブレオマイシン(bleomycin)、
アドリアマイシン(doxorubicine)、またはマイトマイシンC(mitomycin C)
を挙げることができる。また、L−アスパラギナーゼ等の酵素を化学療法に用い
ることができる。
【0005】 化学療法の不利な点は、化学療法を部位特異的に用いるのが困難なことであり
、これらの細胞成長抑止剤は非常に猛烈な細胞毒素なので、腫瘍組織に加えて肝
臓や腎臓の細胞を含む健全な組織をもかなりの量損なってしまう。この細胞成長
抑止剤の浸透分配により、脱毛、めまい、吐き気、胃腸の出血、血液循環の乱れ
等の副作用を判断するのが困難になる(ドイツガン研究センター デー カー
エフツェット(Deutsches Krebsforschungszentrum DKFZ) ハイデルベルク(He
idelberg)−フォーカス19/1995)。これらの多数の危険で望ましくない
副作用は、主に、早急な増殖組織の再生成の阻害、および特に、血液生成システ
ム、粘膜(mucosal)および生殖腺(gonadal)の皮膚組織、同様に、皮膚および
皮膚外肢に影響することから説明される。生命を脅かす合併症の中で、その後に
出血が続く感染は最も重要である(プスフィレンベル−クリニック辞書(Pschyr
embel − Klinisches Worterbuch(oはウムラウト))、第256版、1990
、1866ページ)。
【0006】 照射は電離放射線により行われ、一般的に、電子、ガンマ、中性子、X線が用
いられる(ツェットキン/シャールダッハ(Zetkin/Schaldach):薬学事典(L
exikon der Medizin)、第16版、1999、1922/1923ページ、ウル
シュタインメディカル(Ullstein Medical))。化学療法と同様、照射の不利な
点は、空間的な制限を得ることができないということである。照射の強度により
、健全な細胞および特にDNAが猛烈に損傷される。一般的に、癌細胞は正常な
細胞よりも早く分裂するため、典型的な状況下では、癌細胞は照射療法により最
初に破壊される。しかし、照射潰瘍が成長するおそれがある(プスフィレンベル
−クリニック辞書、第256版、1990、1602ページ)。
【0007】 本発明の目的は、腫瘍の療法および/または、上述した従来技術の不利な点を
避けるべく、例えば腫瘍の外科手術療法における付随的な療法に有用な、改良さ
れた手段および方法を提供することにある。
【0008】 本発明によれば、製薬的に効果的な量の製薬成分が、 a)少なくとも一つのペプチドトキシン(peptide toxin)と、 b)拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/または少なくとも一つの浸
透剤と、を含み、 少なくとも前記ペプチドトキシンは、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの
毒から得られ、選択的に、前記拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤はヤリ
ダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得られることを特徴とする製薬成分に
よりこれを得ることができる。
【0009】 さらに、好ましくは、本発明の製薬成分は、ヤリダマグモ科(Sicariidae)の
クモの毒から得られる一つ以上の他の成分をさらに含むことができる。また別の
形態において、好ましくは、毒を含む他の有機体から得られた物質をさらに含む
ことができる。
【0010】 ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモとしては、ヤリダマグモ属(シケイリウ
ス、Sicarius)、イトグモ科(Loxosceles)、ヤマシログモ科(Scytodes)およ
びドライムサ科(Drymusa )が好ましい。
【0011】 ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤が、ヤリダ
マグモ属(シケイリウス、Sicarius)、イトグモ科(Loxosceles)、ヤマシログ
モ科(Scytodes)、およびドライムサ科(Drymusa )の種類のクモの毒から得ら
れた製薬成分が好ましい。
【0012】 さらに好ましくは、製薬成分において、ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持
つ物質および/または浸透剤は、シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)、シ
ケイリウステステイチェス(Sicarius testaceus)、ヒラタヤマシログモ(シケ
イリウスハーニ,Sicarius hahni)、およびシケイリウスアルボスピノサス(Si
carius albospinosus)のヤリダマグモ属(シケイリウス、Sicarius)のクモ種
、ドクイトグモ(Loxosceles rufescens)、ドクイトグモ(Loxosceles reclusa
)、およびオオドクイトグモ(Loxosceles laeta)のイトグモ科(Loxosceles)
のクモ種、および/またはサイトデストラシカ(Scytodes thoracica)、サイト
デスルファ(Scytodes rufa)、およびサイトデスロンギプス(Scytodes longip
es)のヤマシログモ科(Scytodes)のクモ種から得られる。ここでは、一つの有
機体のペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質の自然の相互作用を用いるこ
とができるという利点がある。
【0013】 しかしながら、本発明によれば、拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は
、異なる有機体から得ることもでき、または遺伝子工学により合成により準備す
ることもでき、または他の有機体から得られたペプチドトキシンを付加的に含む
こともできる。例えば、他のペプチドトキシンとしてヘビの毒カプトリルを含む
ことができ、拮抗作用を持つ物質はコブラの毒から得られたヒアルロニダーゼ(
hyaluronidase)とすることもできる。
【0014】 本発明によれば、用いられるペプチドトキシンは、好ましくは細胞破壊作用を
有する。
【0015】 拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、好ましくはホスホリパーゼ(ph
ospholipase)またはヒアルロニダーゼまたはこれらの物質の組み合わせである
。本発明によれば、ペプチドトキシンに対する拮抗作用を有するおよび/または
浸透剤として機能するホスホリパーゼまたはヒアルロニダーゼとは異なる他の物
質を含むことができる。さらに好ましくは、拮抗作用を持つ物質は、本発明で記
述した種類のクモの毒中に存在するホスホリパーゼまたはヒアルロニダーゼの混
合物である。他の形態において、拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、
ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモとは異なる有機体、例えば他の種類のクモ
またはヘビから得られたホスホリパーゼおよび/またはヒアルロニダーゼである
。好ましくは、ヘビの毒、好ましくはコブラの毒から得られたヒアルロニダーゼ
、またはアトラクタスピスビブロニー(Actrataspis bibronii)、バイティスア
リエタンス(Bitis arietans)、またはヴァイペラアスピスジニケリ(Vipera a
spis zinnikeri)から得られたホスホリパーゼを含む。浸透剤は、好ましくはホ
スホリパーゼである。
【0016】 好ましくは、ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透
剤は、フラクション分別法によりクモの毒から得ることができ、さらに好ましく
は、製薬成分は異なるフラクションから得られたペプチドトキシンおよび拮抗作
用を持つ物質および/または浸透剤から得られる。これにより、製薬成分の効力
を治療される腫瘍の種類および/または大きさによって好適に適合させることが
できる。
【0017】 ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、未精製
(raw)のクモの毒混合物(クモの毒カクテル)から、タンパク質の分別法とし
て本質的に既知である方法により得られる。好ましくは、ペプチドトキシンおよ
び拮抗作用を持つ物質をゲルクロマトグラフィ、液体高速クロマトグラフィ(H
PLC)、親和クロマトグラフィ法、および/またはイオン交換クロマトグラフ
ィ法により得ることができる。ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質およ
び/または浸透剤は、同様の方法で他の有機体から得ることもできる。
【0018】 さらに好ましくは、製薬成分には、腫瘍細胞に対して、ペプチドトキシンおよ
び拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤の破壊効果を与えるのに充分な量の
ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤が存在する。
好ましくは、ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質の比率および量は、そ
れぞれ、時間的および/または空間的な分散に関して、適用される組織中で制御
された分散を確保できるように選択される。さらに、この量は、ペプチドトキシ
ンが治療される患者に毒素の副作用をほとんど、または非常に微量のみしか与え
ないように選択される。しかしながら、この量は、治療される腫瘍および患者に
関して適合された量であることが理解される。互いを考慮した個々の物質の適切
な量および特性は、動物実験および/または設定基準に従った人体実験を骨格と
して、熟練工により定められる。好ましくは、浸透剤の量は、浸透剤が主に全て
の悪性細胞を認識し、ペプチドトキシンとの組み合わせで、選択的に腫瘍細胞を
破壊しつつ正常な細胞を広い範囲で影響のない状態に保つよう選択される。
【0019】 さらに好ましくは、製薬成分において、ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持
つ物質および/または浸透剤の量は、空間的および時間的に制御された分散を確
保するように選択される。
【0020】 好ましくは、製薬成分は、治療される腫瘍に基づいて選ばれた量のペプチドト
キシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤を含む。
【0021】 さらに好ましくは、製薬成分は、従来のキャリアおよび賦形剤(補形剤、exci
pients)を含むことができる。好ましくは、製薬成分は、活性物質(antibiotic
s)、抗真菌薬(antimycotics)、抗結核剤(anti−tuberculosis agents)、坑
寄生虫薬(anti−parasite agents)、細胞成長抑止剤(cytostatics)、アミノ
酸、創傷回復促進酵素(enzymes promoting wound−healing)、および/または
有糸分裂阻止剤(mitosis inhibitors)等のさらなる活性成分を含むことができ
る。この観点からは、ペニシリン/ストレプトマイシン、ポリミキシン/ゲンタ
マイシン、グルタミン(5%)、ミトポドサイド(mitopodocide)、ニチニチソ
ウアルカロイド(Vinca rosea alkaloids)、ブロメライナ(bromelaina)、ま
たはブロメラインが好ましい。
【0022】 本発明の製薬製剤に含まれるヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得
たペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、本質的
に既知の単離方法によって得ることができる。これらの好ましい例としては、フ
ラクション分別法がある。この方法で単離され、精製方法によって精製されたか
たちで得られた物質は、薬剤治療に適用される。好ましい方法は以下に詳細に示
す。
【0023】 しかしながら、ペプチドトキシンをヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒
から準備し、および拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤を化学合成または
遺伝子工学の組み替え的方法で準備をすることもできる。化学物質の典型例とし
て、本発明は本発明で提供される物質の誘導体または塩を含むことができる。例
えば、ペプチドトキシンは一つ以上のアミノ酸付加体、置換体、および/または
欠失したものを含むことができるが、本発明における医学的活性は確保されなけ
ればならない。
【0024】 ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤の準備は、
従来の化学的な方法で行うことができる。これらは、主に、フラクション分別方
法を含むが、免疫学的方法等他の方法で全毒混合物から所望の物質を「捕る」こ
とができる。
【0025】 本発明の製薬成分を製造(準備)する好ましい方法は以下のステップを含む。
ここで、製薬成分は、薬剤として効果的な量の少なくとも一つのペプチドトキシ
ンと、少なくとも一つの拮抗作用を持つ物質および/または少なくとも一つの浸
透剤を含み、ペプチドトキシンは、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒か
ら得られ、選択的に、前記拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、ヤリダ
マグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得られる。 −未精製のクモの毒混合物を本質的に既知の手法で準備し、同様に混合物を分
別してペプチドトキシンおよび選択的に拮抗作用を持つ物質および/または浸透
剤、および選択的に他の物質をフラクションとして、可能であれば互いに分離し
て取得し、 −ペプチドトキシンのフラクションを拮抗作用を持つ物質および/または浸透
剤を含む他のフラクション、または他の有機体から得られた拮抗作用を持つ物質
および/または浸透剤とあわせ、製薬的に効果的な成分を得る。
【0026】 クモの毒は種々のペプチドトキシンおよび種々の拮抗作用を持つ物質および/
または浸透剤、および選択的に、医療治療的に関連する他の活性成分を含む。こ
れらの全ての物質は、熟練工により決定された特異的な比率で製薬製剤として治
療に用いることができる。実施例で示した実験は、特にフラクション1〜12に
関するが、特にここで示したフラクション分別の残りのフラクションも治療上有
効な物質を含む。また、フラクション分別方法は、単にペプチドトキシンおよび
拮抗作用を持つ物質を得ることができるということを例示として示したものにす
ぎない。他の実施の形態も可能である。
【0027】 この観点からは、未精製のクモの毒混合物はヤリダマグモ科(Sicariidae)の
メスのクモから準備される。ヤリダマグモ科(Sicariidae)のメスのクモは、オ
スのものよりも高い量の毒を生成するからである。
【0028】 さらに好ましくは、未精製のクモの毒混合物は手で搾り取ることにより得られ
る。未精製のクモの毒素混合物は特に注意深い方法で得られるので、有利である
【0029】 さらに、本発明の方法では、フラクション分別に先立ち、未精製のクモの毒混
合物を均一化し、さらに好ましくは、さらなる処理に先立ち、急速冷凍され、凍
結乾燥される。
【0030】 本発明の製薬成分は、薬剤の中に用いるのに適している。
【0031】 本発明によれば、製薬成分は、好ましくは腫瘍の治療に用いることができ、こ
こで、腫瘍の手術の補助的な治療として用いるのがさらに好ましい。
【0032】 明細書 現在、世界中に約35,000種の真性クモ目が存在する。およそ300種の
例外を除き、これらのすべては獲物を捕るために毒を用いる活性な有毒動物であ
る。クモは口が非常に小さくしか開かないので、体外の獲物を消化するために酵
素と毒を発達させ、液化した食物を吸い込む。彼らの毒のうち、約50種のクモ
の毒は人類にも危険である。それにも関わらず、主にこれらの種類の毒は粗くし
か研究されていないか、または全く研究されていない。クモの毒の主成分は、以
下のものである。
【0033】 − 消化酵素(digestive enzymes) − 生物起源アミン(biogenic amines) − 有機酸(organic acids) − ペプチド(peptides) − ペプチドトキシン(peptide toxins)
【0034】 ペプチドトキシンの中には、以下の毒素グループが含まれる。 − 心臓毒素(heart toxins) − 神経毒素(nerve toxins) − 血液毒素(blood toxins) − 細胞毒素(cell toxins) − 組織破壊毒素(tissue−destructive poisons)
【0035】 まず、すべての活性な有毒動物の全毒混合物は、消化しやすいように調整され
、異なる物質の相互作用により元々の動物細胞が特異的に変質される。
【0036】 本発明の毒混合物で用いられるクモの全種は、細胞毒性(cytotoxic)、壊死
(necrotic)およびアポトーシス(細胞死、apoptotic)の手法(毒の消化活動
)で機能する物質を含む。なお、これらは、細胞を溶解する効果を持つ物質に対
して拮抗する作用を持つ阻止物質、および/または浸透剤をも含む。
【0037】 クモは有用な状態のままの食物(全てのタンパク質構造および無傷のアミノ酸
)を消化しなければならないため、3億5千万年続く彼らの進化の過程で非常に
高い効果的な毒混合物を開発してきた。これらの毒混合物の中で、ペプチドトキ
シンの空間分解能は、ペプチドトキシンと拮抗作用を持つ物質との相互作用によ
り制御された方法で、特異的な活性酵素の時間および濃度のファクタによって制
限される。
【0038】 ここで、驚くべきことに、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモのクモ毒素成
分は腫瘍の治療に用いられることが判明した。
【0039】 混合物中に含まれる種々の物質の相助作用および反対作用により、非常に少量
の投与でも致死効果があるため、毒混合物全体としては製薬の目的では有用では
ない。防御用の毒としてクモから分泌され、かまれた人は以下の兆候が現れる。
【0040】 かまれた人の90%以上がかまれたこと自体気がつかない。約90分後、かま
れた箇所の周りに、皮膚にわたって既に柔らかくなった約3cmの直径の猛烈に
化膿した部分的な壊死が現れる。2時間後、かまれた傷口は部分的に開き、例え
ば血液循環ショックおよび/または心臓の不整脈等の全身への影響が早くも現れ
る。さらに2〜3時間経過後、細胞を溶解する物質が活動を始める。かまれた人
は強い急激な排尿におそわれ、尿は既に出血している。毒は気管を壊死する作用
があるため、痛みは腹部全体に広がる。肝臓はクモにより運ばれた高濃度の毒お
よびそれらの組み合わせを代謝することができない。クモがかんでいる間に大量
の毒を注入した場合、体はその変質を制御することができず、血液への猛毒の結
果、腎臓不全のため患者は死んでしまう。
【0041】 しかし、驚くべきことに、ペプチドトキシンおよび反対の作用の(ペプチドト
キシンへの拮抗作用を持つ)酵素との組み合わせおよび/またはクモの毒に含ま
れる浸透剤、ここで少なくともペプチドトキシン、および選択的に拮抗作用を持
つ物質および/または浸透剤は、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から
得られ、これらは適切な濃度で適切な比率で腫瘍の治療に用いられ、平行して、
または腫瘍の手術に補佐的に用いられると、(残存する)腫瘍の組織を破壊する
ことができる。本発明によれば、例えば、手術の間に切除されなかった腫瘍組織
の破壊と、同様に、気管中での部分的な腫瘍の転移の形成を防ぐことができる。
【0042】 ペプチドトキシンと組み合わせて用いられる物質の作用のモード: 拮抗作用:本発明によれば、インヴィトロで所望の、部分的に限定された領域
で、特に腫瘍となる領域において合併症なしで組織が破壊される。この場合の活
性のメカニズムは、ペプチドトキシンと毒混合物中に存在する拮抗作用を持つ物
質との自然で相互的な相互作用のモードに基づく。本発明によれば、拮抗作用を
持つ物質は、それに結合したペプチドトキシンを消化または分解することのでき
る物質を意味する。ヒトの細胞で行った実験により以下のことが判明した。細胞
破壊作用を持つペプチドトキシンのポーションは、この毒素を消化し、つまり拮
抗作用を持つ酵素よりも速く細胞培養に分配された。これらの発見に基づき、ペ
プチドトキシンと拮抗作用を持つ物質の組み合わせ成分の量は、空間的および位
置的に制御された破壊を行うために、分解されるべき組織領域の性質および量に
応じて定められる。電気泳動による分子量の簡単な決定法を用いて、接触前/接
触後の比較で、溶液に接触させた後、もとのペプチドトキシンは、検出されなか
った(対応するバンドが消えている)。本発明において、拮抗作用を持つ物質は
、例えば、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモから得られたホスホリパーゼお
よびヒアルロニダーゼとすることができ、クモの毒素にはさらに拮抗作用を持つ
物質が存在し、これらもまた本発明に用いられ得ることを妨げるものではない。
【0043】 浸透剤(共同作用): 遺伝子欠陥体細胞または腫瘍細胞の表面のタンパク質の
構造は、それぞれ変質される(ロットシュピッヒ エフ(Lottspeich F.)、ツ
ォーバス ハー(Zorbas H. )(1998): 生物分析論(Bioanalytik)。
スペクトラムアカデミック出版(Spektrum Akademischer Verlag)、ハイデルベ
ルク ベルリン)。本発明で用いられるホスホリパーゼおよび/またはヒアルロ
ニダーゼおよび選択的に加えられる物質は、腫瘍細胞を認識し、選択的に結合し
、これらの腫瘍細胞を溶解してその表面の構造を変質することができる。本発明
によれば、これは特にホスホリパーゼに当てはまる。動物由来のホスホリパーゼ
が単独で用いられた場合、癌患者のヒトのホスホリパーゼのように、免疫状態が
しばしば非常に低いので、本発明の腫瘍の治療のための療法には、例えばクモや
ヘビ等の他の生物を用いることができる。実験により、クモやヘビの毒素から得
られた異物ホスホリパーゼは、それぞれ、遺伝子欠陥ヒト体細胞を認識するだけ
でなく、結合した壊死活性または細胞毒性活性のタンパク質の浸透にも有用であ
ることが示された。ここではヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得ら
れたペプチドトキシンであるこれらのタンパク質は、細胞中に導入されたら、細
胞を破壊する作用を持つ。アポトーシスの重要なマーカー、caspase−3が媒体(
上積supernatant)で測定されたため、この効果はおそらくアポトーシスである
【0044】 本発明によれば、浸透剤は、ペプチドトキシンとの組み合わせで、選択的に腫
瘍細胞を破壊し、正常な細胞を広い範囲で維持する物質とすることができる。そ
のため、本発明によれば、浸透剤もまたホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼおよ
び毒に含まれる他の物質の能力を含み、悪性細胞の表面構造が変質することによ
り悪性細胞を認識し、これらの悪性細胞に合体することにより細胞壁をゆるめ、
例えばそこに結合している活性な浸透物質(好ましくは細胞破壊効果を持つペプ
チドトキシン)を悪性細胞の中に導入する。この観点からは、本発明で用いられ
る浸透剤、特にホスホリパーゼは、メッセンジャーおよび補助剤(共同作用)と
して機能する。それゆえ、本発明によれば、浸透剤は浸透性増長効果には言及さ
れない。浸透性増長効果は、文献では主に組織内での分散を増長させる傾向のも
のを指すからである。
【0045】 分子量が約100kDaのペプチドトキシンは、組織破壊作用を持つ。これら
の高い分子量のため、およびこれらの空間的な構造のため、ピコグラムあたり組
織中の100の細胞層にのみ分散する傾向がある。選択的に、未精製のクモの毒
混合物に含まれる他の物質は、上述した効果に寄与することができる。
【0046】 細胞の好ましくない破壊を避けるべく、治療すべき腫瘍の種類および大きさに
応じたペプチドトキシン/酵素混合物の絶対量および相対量に関する調整は、本
発明によれば、治療すべき組織の種類の生きているヒトの細胞(正常および悪性
)を用いたインヴィトロで決められる。この観点からは、分配傾向を決定するの
が最も重要である。これは、予備的な実験で、腫瘍組織の強さを腫瘍を取り囲ん
でいる組織の強さと比較して決定することができる(実施例2参照)。
【0047】 動物全毒混合物、またはこれらをカラムクロマトグラフィで分離し、分子量か
ら特定した個々の物質の活性のメカニズムは、ヒトの正常細胞および悪性細胞の
適切なラインでテストすることによって評価された。
【0048】 本発明によれば、少なくともペプチドトキシン、および選択的に、拮抗作用を
持つ物質および/または浸透剤は、ヤリダマグモ科(family of Sicariidae)の
クモの毒から得られる。より好ましくは、ヤリダマグモ属(Sicarius)、イトグ
モ科(Loxosceles)、ヤマシログモ科(Scytodes)、および/またはドライムサ
クモ種(Drymusa spider species)の種類である。ヤリダマグモ属(Sicarius g
enus)のクモの中では、シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)、シケイリウ
ステステイチェス(Sicarius testaceus)、ヒラタヤマシログモ(シケイリウス
ハーニ,Sicarius hahni)、およびシケイリウスアルボスピノサス(Sicarius a
lbospinosus)のクモ種が特に好ましく用いられる。イトグモ科(Loxosceles)
のクモの中では、ドクイトグモ(Loxosceles rufescens)、ドクイトグモ(Loxo
sceles reclusa)、およびオオドクイトグモ(Loxosceles laeta)のクモ種が本
発明に用いられ得る。ヤマシログモ科(Scytodes)のクモの中では、サイトデス
トラシカ(Scytodes thoracica)、サイトデスルファ(Scytodes rufa)、およ
びサイトデスロンギプス(Scytodes longipes)のクモ種が本発明に用いられ得
る。
【0049】 本発明によれば、ペプチドトキシンは、好ましくは、拮抗作用を持つ物質およ
び/または浸透剤、および選択的に含まれる他の活性物質と同じ生物体から得ら
れる。この方法によれば、自然界で進化したこれらの物質の相互作用の効果を用
いることができる。
【0050】 また別の好ましい形態において、拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は
、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモとは異なる生物体、例えば他の科のクモ
、ヘビ、サソリなどから得られる。この場合、しばしば、上述した物質をより多
い量得ることができる。このような他の生物体の例としては、コブラ、アトラク
タスピスビブロニー(Actrataspis bibronii)、バイティスアリエタンス(Biti
s arietans)、またはヴァイペラアスピスジニケリ(Vipera aspis zinnikeri)
が挙げられる。
【0051】 本発明の製薬成分は、まず本質的に公知の方法でクモから未精製の毒混合物を
準備し、その未精製のクモの毒混合物をこれもまたタンパク質の分離として本質
的に公知の分離手法を用いて分離し、ペプチドトキシンおよび拮抗作用を持つ物
質、および/または浸透剤を可能な限り互いに分離されたかたち、または分離さ
れたフラクションとしてそれぞれ得る。その後、異なるフラクションのペプチド
トキシンを拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤を含む他のフラクションと
あわせ、または個々のペプチドトキシンのフラクションを異なる生物体から得ら
れた拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤とあわせて製薬成分を準備する。
好ましくは、ハブ(pit viper snake)の毒のカプトリル(captopril)等のヘビ
の毒もまたペプチドトキシンとして含まれる。好ましくは、拮抗作用を持つ物質
としても、例えばコブラの毒等のヘビの毒から得られたヒアルロニダーゼ、およ
び/または浸透剤としてもアトラクタスピスビブロニー(Actrataspis bibronii
)、バイティスアリエタンス(Bitis arietans)、またはヴァイペラアスピスジ
ニケリ(Vipera aspis zinnikeri)から得られたヒアルロニダーゼが、一つ以上
のヤリダマグモ属(Sicarius)のペプチドトキシンのフラクションとの組み合わ
せで用いることができる。
【0052】 製薬成分の準備としては、本発明において、上記のフラクションをさらに有用
な活性試剤および/または従来の製薬的なキャリアおよび賦形剤と組み合わせる
ことができる。
【0053】 本発明の製薬成分の準備としては、上述した種類のクモから手動で搾り取って
得られた毒混合物から、例えばカラムクロマトグラフィ精製法により特異的な毒
成分(壊死活性および細胞毒性活性を持つペプチドトキシン)とともにホスホリ
パーゼおよびヒアルロニダーゼタイプの自然な拮抗作用を持つ物質(抑制物質)
および/または浸透剤を選び出すことができる。
【0054】 フラクション中に含まれる成分を分化するための分析法としては、HPLC−
MS−MS(例えばパーキンエルマー社(Perkin−Elmer company)の装置を用
いる)により行われる。MS−MSにより分析された骨格構造に基づき、高分子
量の物質はホスホリパーゼおよびヒアルロニダーゼタイプの酵素であることがこ
の分析法により照明された。これらの酵素に加えて、MS−MS分析法により明
らかにされたこれらの原点、活性のモード、およびこれらのNX、NHX、NO
X、およびSKタイプの毒素基により、ペプチドトキシンにクラス分けされるポ
リペプチドが見られた。
【0055】 本発明の製薬成分に用いられる物質は、ヤリダマグモ属(Sicarius)のクモ(
Araneae)から自然に生成される毒で、元々動物タンパク質の捕食および消化を
容易にするために発達されたものである。この自然モードの活性は、基本的な毒
物質を機能を維持したまま、注意深く準備する(例えば手で搾り取る)ことによ
り保つことができる。
【0056】 電気的手法を用いた従来の節足動物の搾取方法(ヴィックマン デー(Weickm
ann D. )(1991): ヤリダマグモ科の生態および毒素(Haltung und Gift
igkeit von Sicariidae)。クモ類学指示書(Arachnologischer Anzeiger)16
:12−13; ヴィックマン デー(Weickmann D.)、バーダ エル(Burda R
.)(1994): サソリ毒素の電気泳動(Electrophoresis of scorpion veno
ms)。電気泳動フォーラム1994、アブストラクト、ミュンヘン工学大学(Te
chnische Universitat Munchen)、10月 24−26)、つまり動物の毒腺の
回収を誘発する電気パルスにより動物から毒を除去する電気的手法を用いた従来
の節足動物搾取法(milking methods)とは対照的に(この目的のため、動物は
好ましくは低体温にされる)、本発明による手動での毒混合物において、動物は
刺激されて、自然の防衛行動により彼らの毒を放出する。
【0057】 本発明の実施の形態によれば、クモを手で搾り取る方法が考えられる。これに
より、例えば電気的な搾り取り方法とは対照的に純真で単一な自然な毒を準備で
きる。電気的な搾り取り方法では、電流により、物質および分子がそれぞれ再構
築され、これらは活性が変質され、物質は動物が通常分泌しない毒に含まれるも
のとなる。これらの物質は、必ずしも必要ないが、医療効果を持つ毒混合物に含
まれる化合物の効率にネガティブな効果を及ぼすことができる。標準的な分析お
よび/または未精製の毒混合物のクオリティコントロールは、電気泳動法により
行うことができる。
【0058】 以下に本発明の好ましい形態を示すが、本発明の範囲はこれに限定されるもの
ではない。
【実施例】実施例1:本発明における製薬成分の準備
【0059】 搾り取りの手作業としては、ヤリダマグモ属(Sicarius spider species)の
シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)、シケイリウステステイチェス(Sica
rius testaceus)、ヒラタヤマシログモ(シケイリウスハーニ,Sicarius hahni
)、またはシケイリウスアルボスピノサス(Sicarius albospinosus)のそれぞ
れ亜成体(半成人subadult)および成人のメスの背中を一方の手で固定し、他方
の手で、殺菌したシリンジ(べー ブラウン(B. Braun)社製の2ml ブラウ
ンインジェクト(Brauninject))および改造し殺菌したニードル(ベクトンデ
ィッケンソン社(Becton Dickinson)の20または21)を用いて、室温21℃
から27℃で湿度50から70%の昼間の時間、ニードルの平たい端で鋏角(ch
elicera)を触ることにより刺激して毒を集めた。
【0060】 ここでは、動物が不必要なストレスにさらされてしまうため、刺激する時間は
90秒を越えないことが好ましい。毒のつめ(poison claws)に毒の滴が見られ
たら、ニードルを介してシリンジで吸い取る。各動物ごとに、新しい管(cannul
a)の新しいシリンジを用いた。その後、ニードルを保護ニードルキャップで閉
じた。その後すぐに、閉鎖されたシリンジ中の吸い取られた毒を乾燥器(exsicc
ator)に入れた。この中で少なくとも12時間、少なくともマイナス14℃で急
速冷凍して冷やした。
【0061】 急速冷凍から取り出した後、凍結した毒素全体を含むシリンジから、保護ニー
ドルキャップを取り外した。管をカール ロース ゲーエムべーハー ウント
コー カーゲー(Carl Roth GmbH & Co. KG)製(タンパク質のカラムクロマ
トグラフィ用溶媒:0.25Mトリス/HCl、pH6.5〜7.3、1.92
Mグリシンの蒸留および脱イオン水/変性を防ぐため、バッファ中にはSDSを
用いない)のタンパク質溶媒等の溶媒に浸し、1ml引き上げた。これにより、
溶液中に毒が得られた。その後、ニードルを取り外した。このようにしてシリン
ジ(5)中に準備された個々の毒溶液を室温で殺菌したきれいなテフロン(登録
商標)瓶に噴出(注射)した。密封したテフロン瓶を渦巻ミキサ(vortex mixer
)で30秒間泡が立たないようにして振り動かし、均一な溶液を得た。
【0062】 混合の後、溶液全部を(コンタミネーションを避けるため)パースペックス(
Perspex)の漏斗を介して固定された透明なパースペックスのカラムに入れた。
カラムは、内径が1.5cm、壁の厚さが2mm、高さが50cm、底部がテー
パ状で1.5mmとなり、開放され、20mlのゲル(シグマ/スペルコ社(Si
gma/Supelco company)、AcA34;マトリックス:3%アクリルアミド/4
%アガロース;フラクション範囲(MW):タンパク質:20〜350Da;カ
ットオフリミット:750kDa;ビーズ直径:60〜140μm)で充填した
。このようにして入れられた毒溶液は、ゲルを通過し、ゲル中のバッファと置換
された。
【0063】 毒溶液が完全にゲルに浸った後、さらに165mlの溶媒(0.25Mトリス
/HCl、pH6.5〜7.3、1.92Mグリシン)をカラムの上に乗せた。
ゲルを通過する間、この追加した溶媒はその中に含まれる毒溶液を置換する。カ
ラムの底部から溶出した最初の15mlは、バッファの残りなので、廃棄した。
この15mlの後、それぞれ4mlずつ、40のフラクションを回収した。4m
lのフラクションへの分離は、好ましくはSDS−PAGEである電気泳動によ
り決定された個々のフラクションの物理的および化学的特性によるものである。
ペプチド結合およびタンパク質を保護するために用いたバッファは、ロティロー
ド(Roti Load)1+2(カール ロース ゲーエムべーハー ウント コー
カーゲー(Carl Roth GmbH & Co. KG)製、Karlsruhe;SDS、グリセロール
、ブロモフェノールブルー(bromophenol blue)、リン酸バッファ、メルカプト
エタノール含有のロティロード1、メルカプトエタノールなしのロティロード2
)である。個々のフラクションをスクリューキャップが付いた殺菌したきれいな
5mlのテフロン瓶に別々に回収した。個々のフラクションの質の精度評価は電
気泳動により行われた。
【0064】 本発明の製薬成分としては、フラクション1から12の異なる組み合わせが用
いられた。これらのフラクションは、約75から175kDaの範囲の分子量の
クモの毒タンパク質成分を含んでいた。
【0065】 シケイリウステステイチェス(Sicarius testaceus)の全毒混合物のSDS−
PAGE電気泳動を図1に示す。
【0066】 この物質の構造を明らかにするために、個々のフラクションは、DAD−UV
スペクトロメトリー(それぞれDADまたはDADI: 娘イオンの直接分析(D
irect Analysis of Daughter Ions))と同様にHPLC−MS−MSにより調
べられた。高分子量の範囲(10,000Daより大きい)では、知られた物質
は検出されなかった。しかし、骨格構造の決定により、この物質は毒素成分を持
つポリペプチド(=ポリペプチドトキシン)の種類および一方ホスホリパーゼお
よびヒアルロニダーゼの種類に属することが示された。
【0067】 同様の成分を持つフラクションは一緒に回収することができる。次の処理およ
び保存のため、個々のフラクションは例えば次のパラメータを用いて凍結乾燥さ
れた。
【0068】 凍結乾燥するフラクションを開放されたテフロン瓶に入れ、穴をあけたアルミ
ニウムフォイルで覆い、マイナス22℃に冷却した。サンプルが確実に凍るよう
に、11時間冷却した。それから、0.200ミリバールの真空状態にした。真
空状態になった後、フラクションを4℃に温め、この温度で、真空を保ったまま
、少なくとも24時間放置した。この凍結乾燥処理の後、凍結乾燥したフラクシ
ョンを含むテフロン瓶をスクリューをしめてしっかりと密封した。保存安定性は
、室温で約3ヶ月、7℃では約1年、マイナス14℃では約5年である。
【0069】 フラクションの含有物質、効果、および分子量を以下の表に示す。
【0070】
【表1】
【0071】 この実施例で示した精製パラメータを用いることにより、この溶出プロファイ
ルおよびフラクションの成分をほぼ再現できた。
【0072】 フラクション13〜40は、350kDaまでの分子量であった。これらの毒
成分の分子量が大きくなればなるだけ、さらなる調査のためにこれらを溶解する
のが困難になる。しかし、予備的な実験によれば、残りのフラクション全部(1
3〜40)は、例えばヒトの骨膜(periosteum)細胞を溶解分離できることが示
された。さらに、種々のヒト細胞ラインにおける毒混合物の残りのテストで、コ
ラーゲンの変質が見られた。さらに、これらの効果から、これらは昆虫毒素を含
むことが説明できる。これらのフラクションの溶解可能な部分は、キイロショウ
ジョウバエ属のハエ(drosophila)、チストセラ(schistocera)およびバッタ
(locusta)の細胞ラインを破壊する。これらの予備実験の結果から、フラクシ
ョン13〜40の一つ以上のものは本発明の製薬成分として用いられ得る物質を
含んでいるとは思われないが、本発明から除外するわけではない。
【0073】実施例2:本発明の製薬成分による腫瘍細胞の破壊活性 腫瘍には多様多種の発病があるため、現在、包括的な治療法を提供するのは不
可能である。そのため、部分的な腫瘍だと判断された場合、まず手術による切除
が行われる。この観点における問題は、切除時に、不完全に除去された腫瘍組織
が空気に触れたら転移が起こるということである。この問題は、本発明の製薬成
分を手術による腫瘍の切除中に、切断した表面に適用することにより克服するこ
とができる。
【0074】 以下に示す一連の実験において、以下の腫瘍細胞のラインが用いられた。
【0075】 乳房癌混合細胞培養:この種の細胞は、11人の女性患者から得られた腫瘍細胞
の混合物を培養することから始まり、1989年から長期間の培養および二次培
養が研究された。
【0076】 肺癌: ヴァイセンブルク(Weissenburg)病院の研究室における2つの細胞ライ
ン(一人の男性患者および一人の女性患者)で、1987年から長期間の培養お
よび二次培養が研究された。
【0077】 悪性黒色腫(Malig. Melanoma):配列により、患者から得られた細胞と認識さ
れ、ここでも、1995年から長期間の培養および二次培養が研究された。
【0078】 前立腺腫:3人の患者の細胞培養の混合物、1988年から長期間の培養および
二次培養が研究された。現在まで、インヴィトロで治療上の成功は見られていな
い。
【0079】 子宮癌:2000年8月から培養された5人の患者の細胞培養の混合物
【0080】 卵巣癌:2000年8月から培養された3人の患者の細胞培養の混合物
【0081】 腺癌:2000年8月から培養された3人の患者の細胞培養の混合物
【0082】 肝臓転移:小さい細胞気管支癌腫から始めた2人の患者の細胞培養混合物、20
00年9月から培養
【0083】 肺転移:第一の腫瘍として乳房癌から始めた2人の患者の細胞培養混合物、20
00年8月から培養
【0084】 a)全毒混合物の効果 この実験シリーズの最初に、搾り取られたまま、または溶解された全毒混合物
、およびこれらの濃度に応じた活性を種々の細胞ラインで評価した。これらのテ
ストでは、毒の濃度を高くすると、消滅に必要な時間が減ったが、どのケースに
おいても、毒が全ての細胞培養を消滅させたため、満足な結果は得られなかった
【0085】 ヤリダマグモ属(Sicarius)のクモから得られた全毒混合物を正常な皮膚細胞
と黒色腫細胞とを混合した培養にのせたときの効果を図2に例として示す。培養
媒体としてDMEM/Ham’sF−12を用いた。細胞の残さを示す明るい点
と暗い点が所々に見られるだけである。全毒混合物を注入してから約11時間後
の培養フラスコの底に残ったのはこれらだけである。
【0086】 b)ヤリダマグモ属(Sicarius)のクモの毒混合物の異なる個々のフラクション の効果
【0087】 実験手順: 細胞破壊物質を検出するために、全ての毒物混合物を実施例1で説明したよう
に、カラムクロマトグラフィで分別し、個々の成分の分子量は電気泳動により決
定した。個々のフラクション(平均40)を、関連する細胞培養ライン上で比較
テストした。すなわち、対応する悪性腫瘍細胞との比較として、同じ条件で通常
の細胞ライン上でも行われた。この目的のために、各ケースごとに、腫瘍細胞を
正常な細胞の培養菌の 一定の領域に導入した。その後、等張生理食塩水に溶解
したフラクションを、腫瘍細胞がある領域に適用(注入)し、比較として正常細
胞がある領域にも適用(注入)し、適用された細胞への効果を光学顕微鏡で観察
した。
【0088】 その後、個々のフラクション中の試験された約40%の物質は、組織破壊活性
を持つことが観察された。さらに、これらの物質は腫瘍細胞で覆われた特異的な
領域をインヴィトロで、濃度に依存して溶解することができた。毒が通常の媒体
交換により洗い流された後、これらの領域は再成長した。培養の8分の1(12
.5%)にのみ悪性細胞が見られた。
【0089】 c)ヤリダマグモ属(Sicarius)のクモの毒混合物の異なるフラクションの組み 合わせ効果 上述したように、拮抗作用を持つ物質は、実質的にヒアルロニダーゼおよびホ
スホリパーゼタイプの酵素であることが判明した。
【0090】 これらのタイプの酵素は浸透酵素としても言及されることから、また特に、遺
伝子欠陥細胞に対する免疫補助剤として有機体中にホスホリパーゼが存在するた
め、酵素およびペプチドトキシンの組み合わせ物質をもちいた実験が行われた。
この目的のために、まず取り扱いが容易なフラクション1−12を用いて実験を
行った。実験は、実施例2b)で示したように行ったが、個々のフラクションの
代わりにフラクションの組み合わせを用いた。溶媒はここでも等張生理食塩水を
用いた。
【0091】組み合わせ物質1を含む製薬成分: 組み合わせ物質1は、10重量%のSic.Enz.2と、15重量%のSic.Tox.5
と、75重量%の等張生理食塩水を含む。
【0092】 組み合わせ物質1(表4、実験5参照)の乳房組織細胞とともに培養した乳房
ガン細胞(mamma ca cells)に対する活性は、組み合わせ物質を乳房癌細胞に注
入した後、全ての乳房癌細胞が破壊され、正常な乳房組織細胞には影響を与えな
かった。さらに、組み合わせ物質1により溶解分離された領域は再成長したのが
観察された。
【0093】 組み合わせ物質1の分子構造および物理特性により、癌細胞は酵素に追跡され
、その自然の特性によって認識される。ペプチドトキシンは癌細胞に進入して、
癌細胞の伝染(communication)を破壊する(伝達物質の破壊)。それらの分子
構造により、 ヤリダマグモ属(Sicarius)の毒素(Sicarius toxin)に存在す
るペプチドトキシンのほとんどは、タンパク質およびタンパク質化合物をそれそ
れ攻撃する。癌細胞は体自身のホスト/キャリアの免疫システムに対する興味深
い防衛メカニズムを発展させ、インターフェロン、腫瘍壊死ファクタおよび細胞
分裂等の媒体は必須の役割を果たす。これらの媒体は液体媒体中に存在するので
、溶液媒体中で用いられたペプチドトキシンの攻撃の最適な標的となる。本発明
のペプチドトキシンに激しく冒された癌細胞は増殖能力がなくなり、隣接する細
胞もペプチドトキシンに対する防御メカニズムを発展することができないという
証拠があるため、細胞間の相互的なコミュニケーションが破壊されたと考えるこ
とができる。
【0094】 組み合わせ物質1を含む製薬成分において、全体の組成に比べて酵素の量が大
きく増加した。
【0095】組み合わせ物質2を含む製薬成分: 組み合わせ物質2は、5重量%のSic.Enz.1と、5重量%のSic.Tox.3と、
90重量%の等張NaCl水溶液を含む。
【0096】 組み合わせ物質2を用いることにより、空間的に限定された一般的な細胞の破
壊が最適な方法で行われた。選択されたペプチドトキシンは、適用された組織を
破壊することができた。天然のタンパク質変質酵素の混合物は、ペプチドトキシ
ンの空間的および時間的な細胞破壊活性を制御する。
【0097】 乳房組織細胞培養中の乳房癌細胞における組み合わせ物質2の効果を図3およ
び図4に示す。図3に示す顕微鏡写真は、DMEM/Ham’sF−12培地中
の正常な乳房組織細胞を示す。顕微鏡写真の左の半分は元々、タンパク質/酵素
の組み合わせにより破壊され、第二の培地に変えた後48時間後に浄化された成
長している乳房癌を示す。正常な細胞は冒されず、残りの領域で成長し始める。
図4は、図3と同じ断面図であるが、注入後72時間後のものである。その前は
空だった左側の領域(クロスの隣)に、正常な細胞が再成長し始めている。まず
、細胞の緩やかな集合ができ、その後本当の組織になる。
【0098】 これらの実施例は、除去すべき腫瘍の種類、大きさ、および局在化により組み
合わせ1または組み合わせ2を選択できることを示す。組み合わせ物質1および
2は、腫瘍の切除中に切断面に適用される。隣接する正常組織をできるだけ破壊
したくない手術では、組み合わせ1の利用が好適である。周囲の組織にはそれほ
ど注意しなくてよい場合には、組み合わせ物質2の利用が好適である。
【0099】 物質を混合する外科医は、腫瘍の種類および局在化によって、性質および量に
関して物質の組み合わせ3が加えられた表2および3を参照することができる。
【表2】 S 1 = Sic.Enz.2 + Sic.Tox.5 S 2 = Sic.Enz.1 + Sic.Tox.3 S 3 = Sic.Enz.4 + Sic.Enz.5. + Sic.Tox.6
【0100】 表3:等張生理食塩水中の溶液比(M/V)
【表3】
【0101】他の組み合わせ物質の活性モードを決定するための実験 乳房癌細胞、肺癌細胞、黒色腫細胞、子宮癌細胞、卵巣癌細胞、腺癌細胞、気
管支癌腫の小さい細胞を最初の腫瘍としてこれから由来した肝臓転移、および乳
房癌を最初の腫瘍としてこれから由来した肺転移における他の物質の組み合わせ
の効果は、以下に示す表4から表12に記載されている。実験は、上述したのと
同様に行った。これらの実験に用いられた物質の量は、ペプチドトキシン2mg
と、酵素2mg/0.9%生理食塩水100mlである。
【0102】 図5および図6は、黒色腫細胞に表7に示した組み合わせ物質(Sic.Tox.2
+Sic.Enz.4)を用いた効果を典型的に示す。この顕微鏡写真は、DMEM/
Ham’sF−12中で成長した肌細胞培養菌に、ペプチドトキシン/酵素の組
み合わせを注入してから30分後に同じ個体から得た黒色腫細胞を種々の部位に
注入した領域を示す。顕微鏡写真の中心には、不規則な黒色腫細胞がまだ見られ
るが、これらの全ては毒の注入により溶解分離中である。個々の丸い正常な皮膚
細胞はペプチドトキシン/酵素混合物による攻撃を受けず、そのため、まだ目視
可能である。図6は、図5と同じ位置であるが、注入後3時間たったものである
。全ての腫瘍細胞が溶解分離されたことが明らかである。腫瘍の領域と正常な組
織の境界には、正常な肌細胞のみが見られ、元々腫瘍があった領域には正常な肌
細胞を見ることができる。
【0103】 さらに、長期間の培養(インヴィトロで細胞層がより厚い)でも、酵素を高い
濃度で加えることにより、組織が毒に対して浸透しやすくなり、遺伝子欠陥細胞
を毒の影響を受けやすくでき、下の方の細胞層中の腫瘍組織の破壊が起こること
が判明した。
【0104】 異なる組み合わせ物質を異なる細胞ラインに適用したときの影響の結果を表4
〜7に示す。
【0105】 表4:乳房癌
【表4】
【0106】 表5:乳房癌
【表5】
【0107】 表6:肺癌
【表6】
【0108】 表7:黒色腫細胞
【表7】
【0109】 表8:5人の患者の子宮癌の混合細胞培養
【表8】
【0110】 表9:3人の患者の卵巣癌の混合細胞培養
【表9】
【0111】 表10:3人の患者の腺癌の混合細胞培養
【表10】
【0112】 表11:最初の腫瘍として気管支癌腫の小さい細胞から由来した肝臓転移。2人
の患者の混合細胞培養
【表11】
【0113】 表12:最初の腫瘍として乳房癌腫から由来した肺転移。2人の患者の混合細胞
培養
【表12】
【0114】実施例3 酵素/ペプチドトキシンブロックテスト ペプチドトキシンおよび酵素の濃度を定め、ある酵素のフラクションが特定の
ペプチドトキシンのフラクションの影響を消すかを試すために、さらに実験を行
った。
【0115】 実験手順: 以下の表13および14に示す実験により、種々の皮膚細胞ラインから得られ
たPHA−stimulated細胞培養混合物と同様に、乳房組織細胞、乳房癌細胞、肌細
胞、幹細胞、肝臓細胞、肺細胞、および肺癌細胞を用いた。
【0116】 試験する細胞に、酵素2mg/媒体(DMEM/Ham’sF−12、約1.
2%のグルタミン、2.5%のペニシリン/ストレプトマイシン、および10%
のウシの胎児の血清(fetal calf serum))100mlの溶液3mlを加えた。
12時間後、ペプチドトキシン溶液3ml(ペプチドトキシン2mg/0.9%
整理食塩水100ml)を加えた。細胞培養フラスコ中に含まれる細胞への効果
を光学顕微鏡で観察した。ペプチドトキシンの中和/阻害が起これば、ペプチド
トキシンの効果が酵素によりすぐに消されるので、培養菌中に存在する細胞にお
けるペプチドトキシンの顕著な効果が起こらないことからその事実がわかる。そ
うでない場合は、細胞の破壊/溶解が起こる。
【0117】 以下の表に示された結果からは、選択された濃度で上記で特定された細胞ライ
ンにおいて、特定の酵素はいつも特異的に同じペプチドトキシンを溶解分離する
ことが示される。そのため、これらの濃度の割合で上記の細胞ラインにこれらの
組み合わせを用いることは、ペプチドトキシンの空間的分配の広がりを避けるこ
とができるので有利である。しかしながら、酵素およびペプチドの濃度が変わり
、他の細胞ラインを用いた場合は結果は異なるものになるかもしれない。
【0118】表13および14:酵素/ペプチドトキシンブロックテスト
【表13】
【表14】
【0119】実施例4:ヘビ毒液(snake venom)ホスホリパーゼとの組み合わせ さらなる実験により、個々のヤリダマグモ属(Sicarius)のクモの毒素には、
ヘビの毒混合物から得られた特異的なホスホリパーゼを拮抗剤として用いること
ができることが判明した。
【0120】 ヘビの全毒混合物にもまた、ヒアルロニダーゼおよびホスホリパーゼタイプ(
例えばホスホリパーゼAl、ホスホリパーゼD−B、ホスホリパーゼE)の酵素
が含まれることが知られている(ハンキン エー ハー(Hankin E.H.)(1
899):コブラ毒の血への作用(パスおよびバクテリア)(The action of co
bra poison on the blood(Path & Bact.))。 元々はパスおよびバクテリア
の2中、 1897/ハンキン エー ハー(Hankin E.H.)(1900):ヘ
ビの毒素および毒素p.血清の溶血作用(The haemolytic action of snake tox
ins and toxic p. Sera)、450. 薬学刊行物(Med. Gazette)/デニス
ゲー ヴェー ぺー(Dennys G.W.P.)(1916):ヘビの毒素の実験およ
び重要なノート(Experiments with snake venoms and some important notes)
、薬学刊行物(Med. Gazette)/アルデシーレ カー(Ardeshire K. )(1
918):クサリヘビ(Echis carinata)にかまれた後の回復(Bite from Echi
s carinata−recovery (corr.)、薬学刊行物(Med. Gazette)/ヌーベルク
ローゼンベルク(Neuberg Rosenberg)(1907):脂肪分解、癒着、およ
び溶血(Lipolyse、Agglutinationおよびhaemolysis)、ベー カーエル ヴェ
ー( B. kl. W.)/ラムおよびフンラー(Lamb and Hunler)(1904−1
907):異なる種類の毒蛇の毒素の作用およびその神経システム(Actions of
venoms of different species of poisonous snakes and the nervous system
)、ランセット(Lancet)/リンデマン ヴェー(Lindemann W.)(1898
):マムシの有毒物の分泌の特徴(Uber die Sekretionserscheinungen der Gif
tdruse der Kreuzotter)、アルヒ エフ ミクル アナト(Arch. f. mikr.
Anat.)、および自身の実験( ブルダ エル(Burda R.)、リクター エル
(Richter R.)、シュロッテンロハー エー(Schrottenloher E.)、ヴィッ
クマン デー(Weickmann D.)(2001):単色の写真フィルムを用いた獣
の尾の毒中の酵素を可視で高速に照明する方法(Visueller Schnellnachweis fu
r Enzyme in Schlangengiften unter Zuhilfenahme eines Schwarzweissfilmes
)、印刷中))。
【0121】 ヘビ毒液は大量に準備でき、その中に含まれる酵素の割合が高いため、ヘビ毒
素から得られた個々の酵素フラクションの拮抗作用をヤリダマグモ属(Sicarius
)の毒素で試した。これらの実験において、以下の結果が得られた。
【0122】 表15:酵素/ペプチドトキシンブロックテスト
【表15】
【0123】 「Sic.Tox.」は、それぞれ上記したとおりである。 「AtractaspisEnz.1」は、アトラクタスピスビブロニー(Atractaspis bibro
nii)の毒から得られたAタイプのホスホリパーゼを示す。 「Bit.Phos.A2」は、黒い色の南アフリカ種のバイティスアリエタンス(Bit
is arietans)(可能で有れば異なる種類、前述したようにバイティスレイチェ
ンシス(Bitis lachensis))の毒素から得られたホスホリパーゼA2を意味す
る。 「Bit.Phos.D」は、黒い色の南アフリカ種のバイティスアリエタンス(Biti
s arietans)(可能で有れば異なる種類、前述したようにバイティスレイチェン
シス(Bitis lachensis))の毒素から得られたホスホリパーゼDを示す。 「Vip.asp.Phos.A1」は、ヴァイペラアスピスジニケリ(Vipera aspis zin
nikeri)から得られたホスホリパーゼを意味する。
【0124】実施例5:他のヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモ種から得られたフラクショ ンの実験 シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni) この場合、特に、シケイリウステステイチェス(Sicarius testaceus)の72
kDaのSic.Tox.1および124kDaのSic.Tox.5と同様の乳房癌破壊特性
を持つ69kDaのシケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)の毒素がテストさ
れた。組み合わせのホスホリパーゼとして、21〜24mlの後、カラムから溶
出したシケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)の酵素フラクションが用いられ
得る。これらのフラクションは、シケイリウステステイチェス(Sicarius testa
ceus)としても示される。
【0125】 表16:シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)の毒から得たフラクションを
乳房癌に適用
【表16】
【0126】オオドクイトグモ(Loxosceles laeta) この場合、大規模肺癌細胞として特に、全毒混合物から得られた約95kDa
のペプチドトキシン、およびホスホリパーゼとしては、37〜40mlの後カラ
ムから溶出したオオドクイトグモ(Loxosceles laeta)の酵素フラクションが用
いられた。
【0127】表17:オオドクイトグモ(Loxosceles laeta)の毒から得たフラクションを大 きい肺癌細胞に適用
【表17】
【0128】実施例6:Sic.Enz.2のSic.Tox.5に対する共同および時差的な拮抗作用 上述したように、Sic.Enz.2は乳房癌細胞に選択的である(表4の組み合わ
せ物質1参照)。一方、Sic.Enz.2は、Sic.Tox.5のブロック剤としても示さ
れた(表13参照)。しかし、表4および表13は、2つの全く異なる実験に基
づく。
【0129】 表4は、インヴィトロで腫瘍細胞を選択的に殺すための組み合わせを示す。こ
の場合、Sic.Enz.2は悪性の乳房癌細胞を見つけ、細胞壁をゆるめてペプチド
トキシンが届きやすいようにしてSic.Tox.5が進入して細胞を破壊するように
する。この目的のためには、細胞培養菌に加える直前に、2つの物質を混合する
【0130】 表13は用いられたのと同じ物質の組み合わせを示すが、これらは12時間の
間隔を隔てて混合された(最初にSic.Enz.2、続いてSic.Tox.5)。
【0131】 これらの実験の結果は、矛盾するものではない。実験5の組み合わせでは、表
4は、ここで示した表8の時間差で酵素/ペプチドブロック検査と比較できない
からである。この酵素/ペプチドブロック検査の条件で、Sic.Enz.2はSic.To
x.5に対する拮抗作用を持つことも明らかである。
【0132】実施例7:拮抗作用に関するさらなる実験 一般的に、ヒアルロニダーゼおよびホスホリパーゼは一つの族/科の酵素であ
る(カントーレ ゲー(Cantore G.)、ベッティーニ エス(Bettini S.)(
1958):Contributo allo studio dell’azione farmocologica dell venen
o di L. tredecimguttatus Rossi、気管の筋糸への作用(Il Azione sulla mus
culatura bronchiale.)、リヴ パラシット(Riv. parasit.)、19:29
7)。ここで、個々の構成物は変性させる物質の性質によって異なる活性モード
を持つ。
【0133】 これまでのところ、これらのヒアルロニダーゼおよびホスホリパーゼは、浸透
性の酵素として記載されてきた(ハイツ ヨット(Heitz J.)、ノーメント
ベー(Norment B.)(1974):ブラウンレクルーセ毒素中のアルカリ性の
ホスファターゼの活性特徴(Characteristics of an alkaline phosphatase act
ivity in brown recluse venom)、トキシコン(Toxicon)12:181/Bernh
eimer A.、et al. (1985):隔離されたイトグモ科のクモおよびコリネバク
テリア偽結核の毒物学比較(Comparative toxicology of Loxosceles reclusa a
nd Corynebacterium pseudotuberculosis)、サイエンス228:590−59
1)。
【0134】 本発明の骨格として、ここで用いられたこれらの酵素グループの個々の構成物
は、用いられるペプチドトキシンへの拮抗作用を持ち、そのため、ペプチドトキ
シンの時間的および空間的な分散を抑制する。
【0135】 拮抗作用の証拠は、既に上述したように、電気泳動を用いた前/後比較による
物質の分子量の決定を通じて得られた。拮抗作用の場合、最初に現れていたペプ
チドトキシンのバンドが消滅している。
【0136】 乳房癌および正常な乳房組織細胞の混合細胞培養菌に、マークされた乳房癌細
胞が豊富な領域に細いストリンジで、Sic.Tox.1を狙い加えたものを用いた実
験により、以下のことが判明した。
【0137】 約10時間の間、Sic.Tox.1は、注入した領域から円を描いて比較的均一に
分散した。この分散の間、正常な細胞および腫瘍の細胞の両方とも溶解された。
これらのプロセスは、倒立顕微鏡(inverted microscope)により容易に観察す
ることができる。上記の10時間後、Sic.Tox.1の分散速度は著しく低下した
が、Sic.Tox.1の特異的な細胞への破壊効果は1日、2日、および7日後でも
、細胞破壊の領域が大きくなっていることから、倒立顕微鏡により観察された。
【0138】 すでに表13および14に示すように、Sic.Tox.1は6つの異なるSic.enzy
mesに結合する。Sic.Enz.3を加えることにより、Sic.Tox.1の溶解効果は9
時間後に完全に止まった。媒体および細胞の溶解物の電気泳動からは72kDa
のバンド(Sic.Tox.1の分子量)は見られなかった。
【0139】 変形オクタロニー法(Ouchterlony)テストを用いて、Sic.Tox.1を用いたSi
c.Enz.3の「抗原/抗体効果」、つまりSic.Enz.3のSic.Tox.1への結合を
さらに明らかにした。さらに、Sic.Enz.3によるSic.Tox.1の中和により、溶
解分離された領域が再成長するのが見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、シケイリウステステイチェス(Sicarius testaceus)およびシケイリ
ウスエスピー(Sicarius sp.)アルゼンチンから得られた全毒混合物のSDS
−PAGE電気泳動(5cm集合ゲル、15cm分離ゲル、分子量10〜200
kDa)を示す図である。レーン1〜3は標準分子量、レーン4および5はシケ
イリウステステイチェス(Sicarius testaceus)から得られた全毒混合物、レー
ン6はシケイリウスエスピー(Sicarius sp.)アルゼンチンから得られた全毒
混合物である。
【図2】 図2は、ヤリダマグモ属(シケイリウス、Sicarius)全毒混合物を悪性細胞と
正常皮膚細胞の混合培養土にのせた効果を示す図である。
【図3】 図3は、本発明の成分(Sic.Tox.3+Sic.Enz.1)を乳房組織に存在する乳
房癌細胞にのせて、注入から48時間後の効果を示す光学顕微鏡写真を示す図で
ある。
【図4】 図4は、図3と同じ領域であるが、物質の組み合わせ(Sic.Tox.3+Sic.En
z.1)を注入してから72時間後を示す図である。
【図5】 図5は、本発明の成分(Sic.Tox.2+Sic.Enz.4)の皮膚細胞培養土に存在
する黒色腫細胞上での選択的な活性を示す図である。
【図6】 図6は、図5と同じ領域だが、注入3時間後を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61K 37/48 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 AA19 AA22 DA35 DC22 DC25 MA02 NA14 ZB26 4C087 AA01 AA02 AA04 BB18 BB32 MA02 NA14 ZB26

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腫瘍の治療のための製薬成分であって、製薬的に効果的な量
    の製薬成分が、 a)少なくとも一つのペプチドトキシンと、 b)拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/または少なくとも一つの浸
    透剤と、を含み、 少なくとも前記ペプチドトキシンは、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの
    毒から得られ、選択的に、前記拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤はヤリ
    ダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から得られることを特徴とする製薬成分。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製薬成分であって、ヤリダマグモ科(Sica
    riidae)のクモの毒から得られる一つ以上の他の成分をさらに含むことを特徴と
    する製薬成分。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製薬成分であって、前記ペプチド
    トキシンおよび前記拮抗作用を持つ物質および/または浸透剤は、ヤリダマグモ
    属(Sicarius)、イトグモ科(Loxosceles)、ヤマシログモ科(Scytodes)、お
    よび/またはドライムサクモ種(Drymusa spider species)から得られることを
    特徴とする製薬成分。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3いずれかに記載の製薬成分であって、前記ヤ
    リダマグモ属(Sicarius)のクモ種は、シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni
    )、シケイリウステステイチェス(Sicarius testaceus)、ヒラタヤマシログモ
    (シケイリウスハーニ,Sicarius hahni)、およびシケイリウスアルボスピノサ
    ス(Sicarius albospinosus)であって、前記イトグモ科(Loxosceles)のクモ
    種は、ドクイトグモ(Loxosceles rufescens)、ドクイトグモ(Loxosceles rec
    lusa)、およびオオドクイトグモ(Loxosceles laeta)であって、および/また
    は、ヤマシログモ科(Scytodes)のクモ種は、ユカタヤマシログモ(サイトデス
    トラシカ、Scytodes thoracica)、サイトデスルファ(Scytodes rufa)、およ
    びサイトデスロンギプス(Scytodes longipes)であることを特徴とする製薬成
    分。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれかに記載の製薬成分であって、前記拮
    抗作用を持つ物質および/または前記浸透酵素は、ヤリダマグモ科(Sicariidae
    )のクモとは異なる有機体から得られることを特徴とする製薬成分。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれかに記載の製薬成分であって、前記ペ
    プチドトキシンとして、少なくとも一つのヘビの毒、好ましくはハブ(pit vipe
    r)の毒のカプトプリルを含むことを特徴とする製薬成分。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6いずれかに記載の製薬成分であって、前記拮
    抗作用を持つ物質および/または前記浸透剤は、ヘビの毒、好ましくはコブラの
    毒から得られた少なくとも一つのヒアルロニダーゼ、またはアトラクタスピスビ
    ブロニー(Actrataspis bibronii)、バイティスアリエタンス(Bitis arietans
    )、またはヴァイペラアスピスジニケリ(Vipera aspis zinnikeri)から得られ
    た少なくとも一つのホスホリパーゼを含むことを特徴とする製薬成分。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7いずれかに記載の製薬成分であって、前記拮
    抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/または少なくとも一つの浸透剤は、
    ホスホリパーゼまたはヒアルロニダーゼまたはこれらの組み合わせであることを
    特徴とする製薬成分。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8いずれかに記載の製薬成分であって、前記浸
    透剤は、ホスホリパーゼであることを特徴とする製薬成分。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9いずれかに記載の製薬成分であって、前記
    ペプチドトキシンおよび前記拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/また
    は少なくとも一つの浸透剤は、フラクション分別法により前記クモから得られる
    ことを特徴とする製薬成分。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10いずれかに記載の製薬成分であって、前
    記ペプチドトキシンおよび前記拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/ま
    たは少なくとも一つの浸透剤は、ゲルクロマトグラフィ法、液体高速クロマトグ
    ラフィ(HPLC)、親和クロマトグラフィ法、および/またはイオン交換クロ
    マトグラフィ法により前記クモの毒から得られることを特徴とする製薬成分。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11いずれかに記載の製薬成分であって、前
    記ペプチドトキシンおよび前記拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/ま
    たは少なくとも一つの浸透剤は、 内径1.5cm、高さ50cm、底部がテーパ状で1.5mmのカラムを20
    mlのゲルクロマトグラフィゲルAcA34、マトリックス:3%アクリルアミ
    ド/4%アガロース、フラクション範囲:20〜350Da、カットオフリミッ
    ト:750kDa、ビーズ直径:60〜140μmで充たし、 シケイリウスオウェニ(Sicarius oweni)、シケイリウステステイチェス(Si
    carius testaceus)、ヒラタヤマシログモ(シケイリウスハーニ,Sicarius hah
    ni)、またはシケイリウスアルボスピノサス(Sicarius albospinosus)から得
    たクモの毒を0.25Mトリス/HCl、pH6.5〜7.3、および1.92
    Mグリシンを含む蒸留および脱イオン化した水溶液中で均一な状態でゲルの上に
    置き、 毒の溶液がゲルを通過した後、0.25Mトリス/HCl、pH6.5〜7.
    3、および1.92Mグリシンを含む蒸留および脱イオン化した水165mをカ
    ラム上に乗せ、最初の15mlの溶出液を捨て、フラクションを4mlずつ回収
    し、フラクション1、2、4、7、9、および10でペプチドトキシンを得られ
    、拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/または少なくとも一つの浸透剤
    がフラクション3、5、6、8、11、および12で得られたことを特徴とする
    製薬成分。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12いずれかに記載の製薬成分であって、ク
    モの毒の異なるフラクションから得られた前記ペプチドトキシンおよび前記拮抗
    作用を持つ少なくとも一つの物質および/または少なくとも一つの浸透剤を含む
    ことを特徴とする製薬成分。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13いずれかに記載の製薬成分であって、前
    記ペプチドトキシンおよび前記拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/ま
    たは少なくとも一つの浸透剤は、充分な量存在し、ペプチドトキシンの腫瘍細胞
    および前記拮抗作用を持つ物質および/または前記浸透剤に関する破壊効果が得
    られることを特徴とする製薬成分。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14いずれかに記載の製薬成分であって、 前記量は、組織中での空間的および/または時間的に制御された分散を確保す
    るように選択されたことを特徴とする製薬成分。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至15いずれかに記載の製薬成分であって、前
    記ペプチドトキシンおよび前記拮抗作用を持つ少なくとも一つの物質および/ま
    たは少なくとも一つの浸透剤の量は、治療対象の腫瘍に応じて選択されることを
    特徴とする製薬成分。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16いずれかに記載の製薬成分であって、従
    来のキャリアおよび賦形剤および/またはさらなる活性試剤を含むことを特徴と
    する製薬成分。
  18. 【請求項18】 請求項1乃至17いずれかに記載の製薬成分であって、前
    記従来のキャリアおよび賦形剤として、等張性溶液、プロテイン溶液、アミノ酸
    溶液および/または生命殺傷性の溶液(biocidal solutions)、好ましくはリン
    ガー液、0.9%NaCl溶液、ヒトアルブミン溶液および/またはグルタミン
    溶液を含み、前記さらなる活性試剤として活性物質(antibiotics)、抗真菌薬
    (antimycotics)、抗結核剤(anti−tuberculosis agents)、坑寄生虫薬(ant
    i−parasite agents)、アミノ酸、創傷回復促進酵素(enzymes promoting woun
    d−healing)、有糸分裂(mitosis inhibitors)および/または細胞成長抑止剤
    (cytostatics)を含むことを特徴とする製薬成分。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至18いずれかに記載の製薬成分であって、 前記ペプチドトキシンおよび/または前記拮抗作用を持つ物質および/または
    前記浸透剤の誘導体は、製薬製剤に含まれ、および/または前記ペプチドトキシ
    ンおよび/または前記拮抗作用を持つ物質および/または前記浸透剤は、化学合
    成または生物工学的な組み替え手順により準備され、これらの効果は、ヤリダマ
    グモ科(Sicariidae)のクモの毒に含まれる毒に由来する前記毒、または前記拮
    抗作用を持つ物質および/または前記浸透剤およびこれらの誘導体に対応するこ
    とを特徴とする製薬成分。
  20. 【請求項20】 薬剤として効果的な量の少なくとも一つのペプチドトキシ
    ンと、少なくとも一つの拮抗作用を持つ物質および/または少なくとも一つの浸
    透剤を含む製薬成分を製造する方法であって、 前記ペプチドトキシンは、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモの毒から由来
    し、選択的に、前記拮抗作用を持つ物質および/または前記浸透剤は、ヤリダマ
    グモ科(Sicariidae)のクモの毒から由来し、 未精製のクモの毒混合物を本質的に既知の手法で準備し、同様に前記混合物を
    分別して前記ペプチドトキシンおよび選択的に前記拮抗作用を持つ物質および/
    または前記浸透剤、および選択的に他の物質をフラクションとして、可能であれ
    ば互いに分離して取得し、 前記ペプチドトキシンのフラクションを拮抗作用を持つ物質および/または浸
    透剤を含む他のフラクション、または他の有機体から得られた拮抗作用を持つ物
    質および/または浸透剤とをあわせ、製薬的に効果的な成分を得ることを特徴と
    する製薬成分の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の方法であって、前記未精製のクモの毒
    混合物は、ヤリダマグモ科(Sicariidae)のメスのクモから得られることを特徴
    とする製薬成分の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項20または21に記載の方法であって、前記未精製
    のクモの毒混合物は、手で搾り取ることにより得られることを特徴とする製薬成
    分の製造方法。
  23. 【請求項23】 請求項20乃至22いずれかに記載の方法であって、前記
    未精製のクモの毒混合物は、分別する前に均質化されることを特徴とする製薬成
    分の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項20乃至23いずれかに記載の方法であって、製薬
    成分にする処理の前に、前記フラクションは、急速冷凍され、さらに好ましくは
    凍結乾燥されることを特徴とする製薬成分の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項1乃至19いずれかに記載の製薬成分を薬剤に用い
    ることを特徴とする方法。
  26. 【請求項26】 請求項1乃至19いずれかに記載の製薬成分を腫瘍の病気
    の治療および/または腫瘍の外科手術の間の補助治療として用いることを特徴と
    する方法。
  27. 【請求項27】 拮抗作用を持つ物質とともに用いるペプチドトキシンであ
    って、少なくとも前記ペプチドトキシンはヤリダマグモ科(Sicariidae)のクモ
    毒から得られたことを特徴とするペプチドトキシン。
JP2001544891A 1999-12-17 2000-12-18 腫瘍の治療に用いるクモの毒素から得た製薬成分、その製造方法、およびその使用方法 Pending JP2003517017A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE19961141.6 1999-12-17
DE19961141A DE19961141A1 (de) 1999-12-17 1999-12-17 Pharmazeutische Zusammensetzung aus Spinnengiften sowie deren Herstellung und Verwendung zur Behandlung von Tumorerkrankungen
PCT/EP2000/012902 WO2001043754A2 (de) 1999-12-17 2000-12-18 Pharmazeutische zusammensetzung aus spinnengiften sowie deren herstellung und verwendung zur behandlung von tumorerkrankungen

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003517017A true JP2003517017A (ja) 2003-05-20

Family

ID=7933192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001544891A Pending JP2003517017A (ja) 1999-12-17 2000-12-18 腫瘍の治療に用いるクモの毒素から得た製薬成分、その製造方法、およびその使用方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6998389B2 (ja)
EP (1) EP1244462B1 (ja)
JP (1) JP2003517017A (ja)
AT (1) ATE277625T1 (ja)
AU (1) AU2366501A (ja)
DE (2) DE19961141A1 (ja)
ES (1) ES2230177T3 (ja)
WO (1) WO2001043754A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008509990A (ja) * 2004-08-16 2008-04-03 メディカル リサーチ ファンド アット ザ テル アビブ ソウラスキー メディカル センター 全身性炎症反応症候群(sirs)の調節のための方法及び組成物
KR101165727B1 (ko) 2011-09-29 2012-09-07 김현호 야베스 추출물을 포함하는 면역세포증가 또는 암세포 전이 억제 또는 간염 바이러스 증식 억제용 약학적 조성물

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10328252A1 (de) * 2003-06-24 2005-01-13 Toximed Gmbh Pharmazeutischer Wirkstoff
DE10328251A1 (de) * 2003-06-24 2005-01-13 Toximed Gmbh Pharmazeutischer Wirkstoff
DE10357970A1 (de) * 2003-12-11 2005-07-07 Toximed Gmbh Lösungsmittel für biogene pharmazeutische Wirkstoffe
DE102004019323A1 (de) * 2004-04-21 2005-11-10 Toximed Gmbh Mit toxischen Substanzen beladene dendritische Zellen zur Behandlung von Nierenzellkarzinomen
WO2005120525A1 (de) * 2004-06-09 2005-12-22 Toximed Gmbh Pharmazeutischer wirkstoff aus lycosa tarantula
DE102005033645A1 (de) 2005-07-19 2007-02-01 Toximed Gmbh Pharmazeutischer Wirkstoff-Kombination zur Behandlung von Multipler Sklerose
EP1754486A3 (de) 2005-08-16 2007-10-31 TOXIMED GmbH Pharmazeutischer Wirkstoff zur Behandlung von Hepatitis, Borreliose und Multipler Sklerose
EP3339445B1 (en) * 2006-09-08 2020-07-15 AbbVie Bahamas Ltd. Interleukin -13 binding proteins
DE102006060344A1 (de) * 2006-12-20 2008-06-26 ABiTec-Angewandte Bio-Technologie GbR(vertretungsberichtigter Gesellschafter Dr. habil. Dirk Weickmann, 80339 München) Pharmazeutische Zusammensetzung, Verwendung der pharmazeutischen Zusammensetzung zur Behandlung eines Hirntumors, Herstellungsverfahren derselben sowie ein Kit of parts enthaltend die pharmazeutische Zusammensetzung

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4925664A (en) * 1986-10-20 1990-05-15 University Of Utah Spider toxins and methods for their use as blockers of calcium channels and amino acid receptor function
US4877741A (en) 1988-10-24 1989-10-31 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Air Force Treatment of human plasma with brown recluse spider toxin to emulate a lupus anticoagulant
US5196193A (en) * 1989-10-31 1993-03-23 Ophidian Pharmaceuticals, Inc. Antivenoms and methods for making antivenoms
CA2181592A1 (en) 1994-01-19 1995-07-27 Paul R. Kelbaugh Pore forming peptides from geolycosa riogrande

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008509990A (ja) * 2004-08-16 2008-04-03 メディカル リサーチ ファンド アット ザ テル アビブ ソウラスキー メディカル センター 全身性炎症反応症候群(sirs)の調節のための方法及び組成物
KR101165727B1 (ko) 2011-09-29 2012-09-07 김현호 야베스 추출물을 포함하는 면역세포증가 또는 암세포 전이 억제 또는 간염 바이러스 증식 억제용 약학적 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
US20030175261A1 (en) 2003-09-18
WO2001043754A2 (de) 2001-06-21
AU2366501A (en) 2001-06-25
DE19961141A1 (de) 2001-07-26
DE50008032D1 (de) 2004-11-04
WO2001043754A3 (de) 2001-11-01
ES2230177T3 (es) 2005-05-01
US6998389B2 (en) 2006-02-14
EP1244462A2 (de) 2002-10-02
ATE277625T1 (de) 2004-10-15
EP1244462B1 (de) 2004-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017190336A (ja) 無細胞血液産物をインキュベートすることによって生成される無細胞、生体吸収性の組織再生マトリックス
JP2003517017A (ja) 腫瘍の治療に用いるクモの毒素から得た製薬成分、その製造方法、およびその使用方法
DE10024383B4 (de) Mit toxischen Substanzen beladene dendritische Zellen
DE10328251A1 (de) Pharmazeutischer Wirkstoff
DE102005038768A1 (de) Pharmazeutischer Wirkstoff gegen Borreliose
US5516754A (en) Method for the selective dissolution of cancer cells using a composition derived from the photosynthetic system of plants and mammalian embryonic tissue
CN112294949A (zh) 包含血细胞的半流体的应用、包含该半流体的疫苗和该疫苗的制备方法
Okoro et al. Snake venoms: composition and cancer therapeutic potentials
US10568915B1 (en) Method of preparing a therapeutic composition using a preparation from epidermal gel secretions of catfish
US8367119B2 (en) Pharmaceutical composition, use of the pharmaceutical composition for treating a brain tumor, production process thereof and a kit of parts comprising the pharmaceutical composition
CA2284863C (en) Active substance and composition inhibiting tumorous proliferation in ectoderm derived tissues
WO2001045743A2 (de) Verwendung eines enzyms zur verbesserung der geweberesorption von arzneimitteln
US10004778B1 (en) Method of making an Ajwa date-based treatment for snake envenomation
DE102005011111A1 (de) Pharmazeutischer Wirkstoff zur Beladung dendritischer Zellen und dessen Lösungsmittel
DE102005027665A1 (de) Pharmazeutischer Wirkstoff zur Überwindung der Blut-Hirn-Schranke in Verbindung mit einem aus biogenen Giften gewonnenen Wirkstoff gegen Hirntumore
JP5890364B6 (ja) 無細胞血液産物をインキュベートすることによって生成される無細胞、生体吸収性の組織再生マトリックス
JP5890364B2 (ja) 無細胞血液産物をインキュベートすることによって生成される無細胞、生体吸収性の組織再生マトリックス
Camargo Garbin et al. Evaluation of allogeneic freeze-dried platelet lysate and conditioned serum in joint tissues under inflammatory condition in vitro
DE10328252A1 (de) Pharmazeutischer Wirkstoff
DE102004019323A1 (de) Mit toxischen Substanzen beladene dendritische Zellen zur Behandlung von Nierenzellkarzinomen
US20090220478A1 (en) Pharmaceutical active substance
DE10330712A1 (de) Pharmarzeutischer Wirkstoff gegen Kolonkarzinome und andere Tumorarten
Ayalew et al. Review on Snake Venom, Venom Chemistry, Anti-Venom and Traditional Treatment Treatment
WO2005007177A1 (de) Pharmazeutischer wirkstoff gegen magengeschwüre
WO2005027942A1 (de) Pharmazeutischer wirkstoff aus schlangengift gegen melanome