JP2003516743A - 複製不能アデノウイルスの製造のための方法および組成物 - Google Patents

複製不能アデノウイルスの製造のための方法および組成物

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ボーグン ビー. ハイメス,
シヤマク ラスティ,
リチャード ダブリュー. ペルーソ,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、複製能力のないウイルスの産生のための細胞株の補足に関わり、この細胞株は、複製能力のあるウイルスを有意に減少させるか、または排除する。細胞株の補足を作製または使用するための方法もまた、核酸分子、ポリヌクレオチド、および細胞株を作製するためのベクターとして提供される。特に、本発明は、複製不能アデノウイルス(Ad)の産生のために細胞株を補足することに関わり、これは複製可能Ad(RCA)の存在を有意に減少または除去し、そして、例えば遺伝子治療のようなヒト患者の処置に使用し得る、感染性複製不能アデノウイルス粒子の大規模な産生のために役立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、複製不能ウイルス生成のための補完細胞株に関する。この細胞株は
、複製可能ウイルスの存在を有意に減少させるかまたは排除する。特に本発明は
、複製不能アデノウイルス(Ad)生成のための補完細胞株に関する。この細胞
株は、複製可能Ad(RCA)の存在を有意に減少させるかまたは排除させ、そ
してヒト患者の処置(例えば、遺伝子治療)に用いられ得る感染性の複製不能ア
デノウイルス粒子のラージスケールでの生成に役立ち得る。本発明は、目的の外
来配列を含む感染性の組換え複製不能ウイルス粒子(特に、複製不能アデノウイ
ルス粒子)のラージスケールでの生成方法に関することに加えて、感染性の複製
不能ウイルス粒子(特に複製不能アデノウイルス粒子)のストック(複製可能ウ
イルス粒子(特にRCA)を含まないストック)に関する。本発明はさらに、核
酸補完エレメント、真核細胞株をトランスフェクトしてRCAの存在を有意に減
少させるためにこのような核酸を含む組換えベクター、およびその方法に関する
。さらに本発明は、感染性の複製不能ウイルス粒子(特に、複製不能アデノウイ
ルス粒子)のストック中の複製可能ウイルス粒子(特にRCA)の存在を検出す
るためのアッセイに関する。このアッセイは、リアルタイムの定量PCRアッセ
イを用い、10個以上の複製不能ウイルス粒子あたり1個の複製可能ウイルス
粒子を検出する感度レベルを有する。本発明はさらに、感染性の複製不能ウイル
ス粒子のストック中の複製可能ウイルス粒子(特にRCA)の存在を検出する方
法に関し、この方法には、このようなアッセイの使用、およびこのアッセイを実
施するために必要な構成要素を供給するキットを含まれる。
【0002】 (関連分野) 種々の疾患状態における治療のストラテジーとして、細胞の機能不全を緩和ま
たは排除させるため、および細胞死を防ぐための非特異的な測定、欠損している
タンパク質または機能障害を有するタンパク質の置換、変異を有する遺伝子を置
換するための機能性核酸(DNA、RNA)の細胞への導入、および細胞機能を
変化させるための新規の遺伝子構築物の導入が挙げられる。組換えDNA技術の
進歩は、これらのそれぞれの治療上の可能性に大きな影響を与えた。そして核酸
の転移は有望なモダリティーであると思われる。
【0003】 ウイルスベクターは、真核細胞での外来遺伝子の発現を可能にし、それによっ
て、動物細胞に特有の翻訳後修飾を必要とし得るタンパク質の産生を可能にする
。ウイルス由来の遺伝子療法用ベクターは、その疾患誘発能を排除させるために
種々の修飾を必要とする。しかし、以下の能力がなお保持される:1)作製時の
ウイルスストックの調製のために制御された条件下で複製する能力;および2)
感染し、そして所望の治療遺伝子を疾患細胞に送達する能力。ウイルスベクター
の疾患誘発能の排除は、通常、ウイルスゲノムから遺伝エレメントのサブセット
を欠損させて、患者内での自立したウイルス複製を防ぐことにより達成される。
これらのベクターを作製するために、これらは通常、ウイルスゲノムから欠損さ
れた遺伝エレメントのサブセットを発現することにより、複製不能ウイルスを補
完するよう設計されたプロデューサー細胞(またはパッケージング細胞)内で増
殖させる。多くの動物ウイルスがウイルスベクターとして用いられ、例としてア
デノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイスル、ヘルペ
スウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、およびピコルナウイルスが
挙げられる。
【0004】 アデノウイルス(Ad)の以下の性質が、アデノウイルスを遺伝子転移または
免疫化のための魅力的なツールにする:(1)アデノウイルスゲノムの構造が、
十分に特徴付けられている;(2)ウイルスDNAの大部分が、外来配列により
置換され得る;(3)組換え改変体が比較的安定である;(4)組換えウイルス
が高力価で増殖し得る;(5)アデノウイルスに関連するヒト悪性腫瘍が知られ
ていない;および(6)ワクチンとしての野生型弱毒アデノウイルスの使用が安
全である。
【0005】 一般的に、このような複製不能なAdベクターは、目的の遺伝子を必須ウイル
ス配列(例えば、E1座で見出されるような配列)と置換して挿入するか、また
はその間に挿入することにより構築される(Berkner、BioTechn
iques 6:616−629(1998);Grahamら、Method
s in Molecular Biology 7:109−128、編集:
Murcy、The Human Press Inc.(1991))。この
必須ウイルス遺伝子の欠損または挿入による不活性化は、Adの複製する能力の
不能(複製不能なAdの用語の由来)を引き起こす。このようなベクターを細胞
培養物中で増殖させるために、欠損されたエレメント(例えば、E1欠損ベクタ
ーの場合はE1タンパク質)を提供されなければならない。
【0006】 多くのAdサブタイプのヌクレオチド配列の解明は、これらのゲノム生物体の
正確な特徴付けを可能にした。5型ヒトアデノウイルス(Ad5)のヌクレオチ
ド配列は、登録番号M73260の下にGenBankから入手可能である。単
純化した用語でいうアデノウイルスゲノムは、以下を含む:(1)それぞれの末
端(5’および3’)のウイルス複製に必須の2つの逆方向の末端反復(ITR
);(2)E1AおよびE1B領域(両方とも複製に不可欠な領域)を含む初期
領域1(E1)、および全長ウイルスDNAのパッケージングに必須であり、そ
してウイルスカプシドの構成要素を形成するポリペプチドIX(pIX);(3
)E2、E3、およびE4領域(E3は複製に不要な領域)(Acsadiら、
J.Mol.Med.73:165−180(1995)に総説される);およ
び主にビリオンタンパク質をコードし、そしてすべて複製に不要である後期領域
L1〜L5(The Adenoviruses、編集:Harold Gin
sberg、1984、Plenum Press、NY)。
【0007】 ヒトAd血清型2および5は、インビトロとインビボの両方で種々の細胞型に
遺伝子を効果的に導入するベクターとして用いられてきた(Trapnellら
、Current Opinion Biotech.5:617−625(1
994);およびAcsadiら、J.Mol.Med.73:165−180
(1995)に総説される)。Ad組換え体の生成時には種々の因子が考慮に取
り入れられる必要があり、例えばいくつかの組換え体での損傷した増殖特性であ
る(Imlerら、Gene Ther.2:263−268(1995);M
assieら、BioTechnol.13:602−608(1995);お
よSchaakら、J.Virol.69:3920−3923(1995))
。これらの特性は、高力価(1011pfu/mlより大きい力価)を有する良
質の組換えウイルスストックのスクリーニング、増殖、および産生を複雑にする
。このような遺伝子治療のためのAdベクターの性質に関連する重要な記載は、
嚢胞性線維症遺伝子治療の臨床試験に関連して総説される(Engelhard
tら、Nature Genetics 4:27−34(1993);Zab
nerら、Cell 75:207−216(1993);Boucherら、
Hum.Gene Ther.5:615−639(1994);Mitter
ederら、Hum.Gene Ther.5:717−729(1994);
およびWilmotら、Human Gene Ther.7:301−318
(1996))。組換えAdベクターにおいて目的の遺伝子の挿入が可能な部位
として、E1領域、E4領域、E1およびE3領域(すなわち、E1/E3欠損
Ad組換え体)、E1およびE4領域、またはE4の末端と3’ITR配列の先
頭との間の領域が挙げられる。
【0008】 上記で暗示されるように、E3欠損組換え体は、複製可能である。しかし、E
1欠損および/またはE4欠損組換え体は、複製することができず、そして欠損
した遺伝子産物は、293(Grahamら、J.Gen.Virol.36:
59−72(1977);Lochmullerら、Hum.Gene The
r.5:1485−1491(1994)または911(Fallauxら、H
um.Gene Ther.7:215−222(1996))のようなE1補
完細胞株、およびW162(Weinberg、D.、およびKetner、G
.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:5383−538
6(1983))のようなE4補完細胞株、もしくはIGRP2(Yeh、P.
ら、J.Virol.70:559−565(1996))のようなE1/E4
補完細胞株によりイントランスで提供される。293細胞は、1970年代に共
通のヒトAd5 DNAを用いた二倍体ヒト胎児腎臓細胞の安定なトランスフェ
クションにより構築された。この細胞株は本来、AdのE1遺伝子の形質転換能
についての研究の過程で構築された。近年、Grahamらは、293細胞の染
色体中での細胞性Ad5 DNAの連結を地図にし、そしてAd5ゲノムの左末
端からヌクレオチド(nt)4137位までの連続するAd5配列の存在を示し
た(Louisら、Virology 233:423−429(1997))
。第2のE1補完細胞株である911は、二倍体ヒト胎児網膜芽(HER)細胞
に由来し、そしてヒトAd5ゲノムのnt80−5788を含む(Fallau
xら、Hum.Gene.Ther.7:215−222(1996);199
7年1月3日に公開されたWO97/00326にも記載される;ECACC
No.95062101)。
【0009】 E1欠損AdベクターのE1領域でのおよそ3.0kbの最大限の欠損は、I
TR配列、アデノウイルスDNAの左末端(nt188−358)のパッケージ
ングシグナル、およびpIXコード領域(nt3511から開始する領域)をイ
ンタクトな状態で残す。非必須E3遺伝子内の1.9kb XlaIフラグメン
ト(79および85mu)の有用な二次的欠損と組み合わせたE1欠損は、この
第1世代の組み換え体でのおよそ7kbの外来DNA配列の挿入を可能にする。
E3領域での欠損の拡大はさらに、挿入能力を8kbまで増大させ、ほとんどの
遺伝子治療に対しての大きさの要求を満たす(Bettら、Proc.Natl
.Acad.Sci.91:8802−8806(1994))。
【0010】 不運にも、「復帰変異」アデノウイルスとも呼ばれる複製可能アデノウイルス
(RCA)が、293または911細胞でのE1−またはE1/E3欠損組換え
体の感染および複製間に自然発生的に現れ得ることが実証された。E1補完細胞
中で、RCAは相同組換えのプロセスにより、その細胞中に含まれるE1領域(
「補完エレメント」)の獲得を通じて生成される。RCAは、非常に低い頻度で
形成されるが、E1ポジティブな復帰変異体は、E1ネガティブな対照物と比較
して増殖に関する利点を有するようである。新たに生成される複製可能なAdは
、ラージスケールの調製物において、最終的に本来の複製欠損Adよりも増殖し
た(Lochmullerら、Hum.Gene Ther.5:1485−1
491(1994))。したがって、特に特定の適用において要求される感染性
ウイルス粒子数を考慮する場合、これらの復帰変異体の存在によりヒト遺伝子治
療試験の安全性が危うくなる。
【0011】 マウス筋肉を用いて行った実験により、2×10個のウイルス粒子を使用し
て80%以上の筋繊維を形質転換し得ることを教えられた。ヒト筋肉は、およそ
2500倍大きいので、同様の形質転換率を達成するために、およそ1012
1013個のウイルス粒子を使用して1つのヒト筋肉に注射する必要があると解
釈される。ストック中にE1復帰変異RCAが1/10程度の少な粒子数で存
在すると仮定すると、1011個の複製可能ウイルス粒子が患者の筋肉組織に注
射される。このような取り組みは、調節作用を満足しないことは明らかである。
【0012】 Adベクターにおける同種ヌクレオチド配列(補完エレメントにおける同一の
配列と重複しているヌクレオチド配列)の存在は、相同組換えおよびその後のR
CA生成に影響を及ぼす。293細胞は、(全てではない場合は)ほとんどの現
在利用可能なE1欠損Adベクターと有意に重複する相同性を有する。したがっ
て、293細胞は、臨床等級の物質のラージスケールでの生成に適切ではないと
みなされてきた。なぜなら、バッチがしばしば、受容不可能な高レベルの複製可
能アデノウイルス(RCA)が組換えを通じて増加することにより汚染されるか
らである(Imlerら、Gene Ther.3:75−84(1994))
。同じ著者が、安定かつ効果的なE1補完細胞株を構築するための多数の試験の
失敗を報告したことが強調されるべきであり、したがってこのような努力は取る
にたらない仕事はないと確認されている。
【0013】 RCA生成の問題を解決するための試みで、Imlerらは、E1a、E1b
およびpIXを含むE1配列を用いて、安定にヒト肺A549細胞を形質転換す
ることにより、E1補完細胞株を生成した(Imlerら、1996、Gene
Ther.3:75−84)。高レベルのE1a RNAおよびタンパク質を
発現するA549E1補完細胞株が獲得された。しかし、注目すべきは、この著
者は、クローン由来の高レベルのE1b RNAの生成に関わらず分析された、
いずれのA549クローンにおいてもE1bタンパク質の発現を検出し得なかっ
た。A549クローン(E1欠損Adベクターを用いた感染に対して陽性と出た
クローン)が形質転換された表現型を示したこと、およびそれに加えて増幅産物
が293細胞で獲得されたものよりも有意に少なかったこともまた、その中で報
告されている。さらに、この研究の中でImlerらにより用いられた構築物は
、E1領域の3’末端で補完エレメントと欠損アデノウイルスベクターとの間に
およそ700bpの有意な重複を含んだ。この重複は、相同組み合えの可能性を
有意に増加させ、したがって、E1+復帰変異RCAの生成の可能性を有意に増
大させることが理解される。宿主細胞または組織における外来ヌクレオチド配列
の発現のための欠損Adベクター、および(同じ株での)E1補完細胞株の構築
のためのベクターの開示もまた、ImlerらのWO94/28152に見出さ
れる。しかし、この書類は、補完細胞株による組換え体生成収率の評価、補完細
胞による異なるアデノウイルスの転写物およびタンパク質の発現の評価、および
非常に重要な、目的の外来配列を有する欠損Adのストックの生成を導く生成プ
ロセス時のRCAの存在または非存在の評価を与え損なっている。WO94/2
8152は、5’ITRを欠損させることによりRCA生成の問題を減少させる
ことを主張している(立証のない発表である)ことに注目すべきである。
【0014】 E1欠損Adベクター生成時にRCA形成の危険を減少させるための代替の系
は、Massie(US5,891,690)に記載される。この特許は、ヒト
βアクチンプロモーターの制御下で安定に組み込まれた、E1a遺伝子およびE
1b遺伝子を含むAd5 E1領域の一部を含むE1補完エレメント、欠損した
5’ITR、パッケージング配列、およびE1aプロモーターを有するE1補完
細胞株を開示する。Massieにより記載され、主張される特定の細胞株(B
MAdE1−220−8(ATCC登録番号第CRL−12407号と命名され
ている株)はAd5のnt532−3525を含み、これはE1a、E1bプロ
モーター、およびE1b遺伝子の一部を含む。しかしこの特許で開示されるE1
欠損Adは、Ad5 nt455−3333の欠損を含み、したがってE1補完
エレメントの3’末端で192bpの配列重複を保存している。さらに、この細
胞株の補完エレメントは、E1b遺伝子の3’末端(E1b 8.3kDaポリ
ペプチドの3’エキソンをコードする)をコードしない。Massieにより記
載されるBMAdE1−220−8細胞および関連する株は、293細胞で得ら
れるものと同等のE1欠損Adの力価を生じる。しかし、主張する細胞株でのR
CA生成の評価がこの特許では開示されておらず、そしてこの特許に記載される
細胞株でのベクターDNAと補完エレメントとの間の3’の重複の存在は、RC
Aの生成がなお可能性を残していることを示す。
【0015】 「PER.C6(ECACC NO.96022940)と呼ばれるE1パッ
ケージング細胞株は、当該分野において記載されている(1997年1月3日に
公開されたWO97/00326;Fallauxら、Hum.Gene Th
er.9:1909−1917(1998))。WO97/00326の公報に
記載されるPER.C6および関連の細胞株は、ヒトホスホグリセレートキナー
ゼプロモーターの制御下で、E1aおよびE1bのコード配列に対応するヒトA
d5のnt459−3510を含むプラスミド構築物を用いて安定にトランスフ
ェクトされた二倍体HER細胞から得られた。この細胞株は、Ad5 E1aお
よび2つの大きなE1bタンパク質を発現するが、このタンパク質をコードする
mRNAの第2のエキソンがAd5のnt3595−3609から転写されるの
で、完全なE1b 8.3kDaタンパク質を発現しない。E1欠損Adベクタ
ーの増殖の間のこの細胞株を用いたRCA形成の防止は、Adヌクレオチド45
9−3510を欠損する対応のE1欠損ベクターの使用を必要とし、そしてこの
ようなベクターは、WO97/00326出願に開示されている。しかし不運に
も、臨床試験を受ける存在するE1欠損Adベクターは、E1欠損に種々の5’
および3’の境界線を含むので、現在規制承認プロセスを進行中である多くの治
療的なアデノウイルスベースの医薬品のそれぞれに対する安全性および有効性の
研究を再設計および再現することは時間の浪費であり高価である。
【0016】 RCA生成の問題を妥協することは、RCAについてのラージスケールのrA
dウイルス調製物のスクリーニングのための信頼できるアッセイを欠くことであ
る。現在のアッセイは、細胞ベースの生物学的アッセイである(Hehir、K
.ら、J.Virol.70:8459−8467(1996))。このアッセ
イは、10rAd pfuあたり1RCAの検出の限度がある。rAdについ
ての臨床用量は1012−1013ベクター粒子の範囲(〜1010−1011 rAd pfu)であり、そしてこのレベルで求められる過剰に多量の細胞を完
成するのに6時間を費し、その時間が原因で現在のアッセイは、慣用的な品質管
理(QC)および製品のリリース試験に役立たない。このアッセイは、ビリオン
粒子に関連する細胞障害性により限定される。非E1補完細胞(例えば、A54
9)により許容される最大MOIは10pfu/細胞であり、したがって、RC
Aの存在についての試験に多量の細胞が求められる。細胞数を増加させて、より
高感度のRCAに対する試験を提供することは理論上可能であるが、このアプロ
ーチは非現実的である。このアプローチを用いて治療生成物の1つの推奨用量(
1013粒子、およそ2×1011pfu)を試験することは、12×1010 細胞(コントロールを含め、およそ1000(175cm)のフラスコに対応
する)を必要とする。
【0017】 E1欠損rAd由来のRCAは、ヘルパー細胞由来のE1遺伝子を獲得する。
したがって、rAdの精製調製物から単離されたウイルスDNAにおけるE1コ
ード配列の存在は、調製物におけるRCAの存在の尺度となり得る。ポリメラー
ゼ連鎖反応は、これらの配列を迅速かつ高感度の再現性で検出する能力を有する
。伝統的なゲルベースのPCR RCAアッセイを開発する試みを記載した少し
の文献が存在する(Zhang、W.ら、Biotechniques 18:
444−447(1995);Dion、Lら、J.Virol.Meth.5
6:99−107(1996))。これらのそれぞれの報告は、PCR分析にお
ける感度の欠乏(E1標的のおよそ5,000と5,000,000コピーの間
の感度の限度)に苦しんでいる。実際、標的の50,000コピーの感度を有す
るプライマー対は、10pfuのE1欠損ウイルス中の1pfuの野生型Ad
ウイルスを検出することが示された(Zhangら、前出)。
【0018】 従って、当該分野において現存のアデノウイルスベクターのラージスケールの
産生への革新的なアプローチに対する必要性、およびベクター自体の再設計に指
向する高価で時間を浪費する努力をすることなく、安全、高品質、高力価のアデ
ノウイルスベクターを効果的に産生し得る代替の補完細胞株の作成に対する必要
性が存在する。同様に、当該分野において、高力価のrAdウイルス調製物中の
RCAを検出するための、迅速で、感度があり、そして再現性のあるアッセイに
対する必要性が存在する。
【0019】 (発明の要旨) 本発明は、アデノウイルス遺伝子産物をコードおよび発現するが、アデノウイ
ルスベクターとの重複する相同性を含まない安定な補完細胞株を提供する点で、
現在利用可能な補完エレメントおよび細胞株に対する改善を提供する。これらの
補完エレメントおよび細胞株は、RCA形成を避けるために適合するベクターの
限定されたサブセットの使用を必要としない点で柔軟性がある。
【0020】 1つの実施形態において、本発明は、天然に存在するアデノウイルスポリペプ
チドの中の少なくとも5つの連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを
含む、単離された核酸分子を提供する。ここで、ポリヌクレオチドの配列は、天
然に存在しないアデノウイルスヌクレオチド配列である。
【0021】 別の実施形態において、本発明は、天然に存在するアデノウイルスポリペプチ
ドの少なくとも5つの連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを含む、
単離された核酸分子を提供する。ここで、このポリヌクレオチド配列は、天然に
存在するアデノウイルスヌクレオチド配列に対して97%未満の同一性であるが
、すくなくとも60%は同一である。
【0022】 さらに別の実施形態において、本発明は、天然に存在するアデノウイルスポリ
ペプチドの少なくとも5つの連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを
含む、単離された核酸分子を提供する。ここで、このポリヌクレオチドは、天然
に存在するアデノウイルスゲノムとハイブリダイズしない。
【0023】 本発明の1つの実施形態は、本発明の核酸分子を含む補完エレメント、本発明
の核酸分子を含むベクター、補完細胞株を生成するため本発明のベクターの使用
、および本発明の核酸分子を用いて安定にトランスフェクトされた補完細胞株を
提供する。
【0024】 なお別の実施形態において、本発明は、以下を包含するアデノウイルスベクタ
ーを生成する系を提供する:(a)本発明の補完細胞;および(b)補完エレメ
ントに対して相同ではないが、特定の実施形態において、遺伝子コードの縮退が
なければ細胞中に含まれる補完エレメントの少なくとも一部と相同であるヌクレ
オチド配列を有するアデノウイルスベクター。
【0025】 本発明の別の目的は、組換えアデノウイルスベクターのRCAフリーのストッ
クを生成する方法を提供することである。
【0026】 本発明のさらに別の目的において、複製不能ウイルス(特に、複製不能アデノ
ウイルス)の産生ストック中の複製可能ウイルス(特に、RCA)の存在を検出
するアッセイが提供される。このアッセイは、以下を含む:(a)産生ストック
のサンプルをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に供し、複製不能ウイルスの
ゲノムから欠損されている複製可能ウイルスのゲノムの領域を増幅する工程(し
たがって、このような複製可能ウイルスが存在する場合、複製可能ウイルス特異
的な二本鎖のアンプリコンを形成する工程);(b)PCR反応サンプルが、複
製可能ウイルス特異的なアンプリコンに対して相補的であるシグナリングハイブ
リダイゼーションプローブとハイブリダイズするのを可能にする工程(したがっ
て、複製可能ウイルス特異的なアンプリコンまたは上記の複製可能ウイルスのゲ
ノムへのシグナリングハイブリダイゼーションプローブのハイブリダイゼーショ
ンについてのみ検出可能であるシグナルを発する工程);および(c)シグナル
の存在または非存在を検出する工程。本アッセイの他の局面は、産生ストック中
に存在する複製可能ウイルスおよび複製不能ウイルスの相対的な量をリアルタイ
ムで決定することを可能にするコントロールPCR反応を包含する。
【0027】 本発明はさらに、複製不能ウイルスの産生ストック中の複製可能ウイルスの存
在を検出する方法に関する。この方法は、上記のアッセイの使用、およびこのア
ッセイを実施するための説明書、PCRプライマーおよびシグナリングプローブ
を提供するキットを包含する。
【0028】 本発明の他の局面および利点は、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らか
にされる。
【0029】 (発明の詳細な説明) 本発明は、複製可能ウイルスのない複製不能ウイルスベクターを産生する方法
およびシステム、ならびに本方法において有用な核酸分子、補完エレメント、ベ
クターおよび補完(complementing)細胞株を提供する。好ましい
実施形態において、本発明は、RCAの非存在において複製不能Adを産生する
方法およびシステム、ならびに本方法において有用な核酸分子、補完エレメント
、ベクターおよび補完細胞株を提供する。さらに、本発明は、複製可能ウイルス
粒子の存在について大規模複製不能ウイルス調製物、好ましくは、rAd調製物
をスクリーニングするための方法を提供する。好ましいAdベクターは、哺乳動
物に遺伝子を送達する際の使用のために特に十分適合される。なぜなら、これら
Adベクター調製物は夾雑するRCAがないからである。さらに、本発明の好ま
しいAd補完細胞株は、接着性培養または懸濁培養における増殖、ならびに当業
者に周知の技術を使用する無血清培地中での増殖に容易に適合されるので、臨床
前の使用および臨床的使用のためのAdの産生のために特に十分適合される。本
明細書中に記載された構築物を保有する補完細胞株に適合された無血清培地は、
本発明によって包含される。
【0030】 本発明は、産生細胞に含まれる補完エレメントとアデノウイルスベクターとの
間の配列相同性についての新規の戦略を通じて、アデノウイルスベクターのRC
Aのないストック、ならびに種々のウイルスベクターの複製可能ウイルスのない
ストックの大規模産生を達成する。この戦略は、新規核酸分子の作製を可能にす
る遺伝コードにおける縮重に有利である。この核酸分子は、野生型核酸配列に対
応する十分な配列相同性をなお欠く野生型ウイルスタンパク質をコードし、複製
可能ウイルス産生を導く相同組換えを可能にする。
【0031】 (定義および一般的技術) 他で規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術および科学用語は
、本発明が属する分野における当業者によって共通に理解されるような意味を有
する。他で示されない限り、本発明の実施は、化学、分子生物学、微生物学、組
換えDNA技術、遺伝学、ウイルス学および免疫学の慣用的技術を使用する。例
えば、Sambrookら、1989、Molecular Cloning:
A Laboratory Manual,J.、Cold Spring H
arbor,NY(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0032】 ポリヌクレオチドを「含む」核酸分子は、その核酸分子がそのポリヌクレオチ
ドだけでなく他のポリヌクレオチドをまた含み得ることを意味する。例えば、イ
ンシュリンをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子は、インシュリンをコ
ードするために必要なさらなるポリヌクレオチド5’、3’またはこれらの間に
わたるポリヌクレオチド(例えば、発現制御領域、非翻訳領域、イントロン、お
よび/または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド)を含み得る。
【0033】 「導入遺伝子」は、哺乳動物細胞に送達または移入されるべき核酸分子である
。導入遺伝子は、マーカー、レポーター、治療的分子として有用な、タンパク質
、ペプチドまたはポリペプチドをコードする。導入遺伝子はまた、タンパク質産
生、診断アッセイ、またはインビトロもしくはインビボでの一過性もしくは安定
な任意の遺伝子移入に有用な、タンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドをコ
ードする。あるいは、導入遺伝子は、タンパク質をコードしないが、センス分子
またはアンチセンス分子、リボザイム、あるいは相補的である核酸分子の複製、
転写もしくは翻訳を調節するか、または縮重のための相補mRNAを標的化する
ために使用される他の調節核酸分子として使用され得る。
【0034】 「発現制御配列」は、目的の遺伝子に作動可能に連結されることによって遺伝
子の発現を調節するポリヌクレオチド領域である。
【0035】 「作動可能に連結された」ポリヌクレオチドは、目的の遺伝子に連続的(すな
わち、cisに作用する)である発現制御配列と、transに作用するかまた
は距離をおいて目的の遺伝子を制御するための発現制御配列との両方を含む。発
現制御配列は、以下の配列を含む:適切な転写開始配列、転写終止配列、プロモ
ーター配列およびエンハンサー配列;スプライシングシグナルおよびポリアデニ
ル化シグナルのような効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを
安定化する配列;タンパク質安定性を増強する配列;ならびに所望の場合、タン
パク質分泌を増強する配列。
【0036】 「導入遺伝子カセット」は、発現制御配列に作動可能に連結された導入遺伝子
を含む核酸分子である。
【0037】 「ウイルスゲノム」は、ウイルス粒子の核酸分子骨格である。ウイルスゲノム
は、ヌクレオチドの点変異、欠損または挿入を含み得る。ウイルスゲノムはさら
に、外因性遺伝子を含み得る。「ネイティブ」または「天然に存在する」ウイル
スゲノムは、天然の動物宿主において増殖する野生型ウイルスより単離されたも
のである。「天然に存在する」ウイルスゲノムは研究室内で保存されかつ繁殖さ
れ得るが、例えば、遺伝子操作、突然変異誘発、複数の組織培養継代、または非
ネイティブ動物宿主または卵における複数の継代によって故意に操作されていな
い。
【0038】 「ウイルス」は、動物細胞に結合し得、そしてこの細胞に(すなわち、ウイル
スに依存して、細胞質または核のいずれかに)ウイルスゲノムを送達し得る、キ
ャプシド化され、そして/またはエンベロープに包まれたウイルスゲノムである
。用語「ウイルス」は、組換えおよび非組換えウイルスの両方を含む。用語「ウ
イルス」はまた、野生型ウイルスおよび変異型ウイルスの両方を含む。好ましい
ウイルスは、本来、哺乳動物細胞に由来するウイルスであり、そしてさらにより
好ましいウイルスは、ヒト起源のウイルスである。
【0039】 「組換えウイルス」は、野生型ウイルスにとって外来である1以上の遺伝子を
含むウイルスである。組換えウイルスとしては、ヒトVEGF遺伝子のような外
来遺伝子を含むウイルス、および他のウイルスゲノムを含むウイルスが挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0040】 「ウイルスベクター」は、1以上の外来遺伝子を含む組換えウイルスである。
ここで、このウイルスベクターは、動物細胞に結合し得、そしてこの外来遺伝子
をこの細胞に送達し得る。
【0041】 「アデノウイルスゲノム」は、アデノウイルス粒子の核酸分子骨格である。ア
デノウイルスゲノムは、ヌクレオチドの点変異、欠損または挿入を含み得る。ア
デノウイルスゲノムは、外来遺伝子をさらに含み得る。「ネイティブの」または
「天然に存在する」アデノウイルスゲノムは、天然の動物宿主において増殖する
野生型アデノウイルスから単離されたアデノウイルスゲノムである。「天然に存
在する」アデノウイルスゲノムは、実験室中で維持され得、かつ増殖され得るが
、例えば、遺伝子操作、変異誘発、複数の組織培養継代、またはネイティブでな
い動物宿主または卵において複数継代することにより意図的に操作されていない
【0042】 「アデノウイルス」は、動物細胞に結合し得、そしてこの細胞の核にアデノウ
イルスゲノムを送達し得る、キャプシド化されたアデノウイルスゲノムである。
用語「アデノウイルス」は、組換えおよび非組換えアデノウイルスの両方を含む
。用語「アデノウイルス」はまた、野生型および変異型アデノウイルスの両方を
含む。好ましいアデノウイルスは、本来哺乳動物細胞に由来するアデノウイルス
であり、そしてさらにより好ましいアデノウイルスは、ヒト起源のアデノウイル
スである。
【0043】 「組換えアデノウイルス」は、野生型アデノウイルスにとって外来である1以
上の遺伝子を含むアデノウイルスである。組換えアデノウイルスとしては、ヒト
VEGF遺伝子のような外来遺伝子を含むアデノウイルス、および他のウイルス
ゲノム(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ゲノムまたえはその一部分)を
含むアデノウイルス、例えば、本明細書中の他の箇所で記載されるハイブリッド
Ad/AAVウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】 「アデノウイルスベクター」は、1以上の外来遺伝子を含む組換えアデノウイ
ルスである。ここで、このアデノウイルスベクターは、動物細胞に結合し得、そ
してこの外来遺伝子をこの細胞の核に送達し得る。
【0045】 「遺伝子座」は、特定の遺伝子が通常存在するウイルスゲノム内の部位である
。例えば、「アデノウイルスE1遺伝子座」は、E1遺伝子がアデノウイルスゲ
ノムに存在する部位である。外来遺伝子または核酸分子が遺伝子座に挿入される
場合、この外来遺伝子または核酸分子は、天然にそこに存在する遺伝子と置き換
わるか、または天然にそこに存在する遺伝子内もしくは隣の部位に挿入され得る
かのいずれかである。
【0046】 「アデノウイルス補完エレメント」は、形質転換またはトランスフェクション
により適切な細胞に導入される(補完細胞を生成する)場合に、別の場合には複
製不能(replication−incompetent)アデノウイルスの
複製を支持し得る核酸分子である。完全タンパク質の補完活性が完全タンパク質
の一部(タンパク質エレメント)により実質的に供給される限り、補完エレメン
トによりコードされるタンパク質がタンパク質フラグメントであり得ることに注
意することは重要である。
【0047】 「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、以下:50% ホル
ムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウ
ム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10
%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNA、を含む溶
液における42℃で16時間のインキュベーション、続いて約65℃、0.1×
SSC中での洗浄が意図される。「低ストリンジェンシーの条件」により、以下
:50% ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエ
ン酸三ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハ
ルト溶液、10%デキストラン硫酸、および20μg/ml変性剪断サケ精子D
NA、を含む溶液における42℃で16時間のインキュベーション、続いて1×
SSC中、好ましくは3×SSC中、なおより好ましくは5×SSC中で、約6
5℃、好ましくは約42℃、なおより好ましくは約37℃での洗浄が意図される
【0048】 参照ポリヌクレオチド(例えば、野生型、ネイティブ、または天然に存在する
アデノウイルスポリヌクレオチド)に対して、例えば、90%「同一」未満のポ
リヌクレオチドにより、このポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の各
100ヌクレオチドあたり平均して10以上の点変異を含まなければならないこ
とを除き、参照配列と同一であることが意図される。実際問題として、任意の特
定の核酸分子が、示された参照ヌクレオチド配列に対して、例えば、95%、9
0%、80%または70%同一未満であるか否かは、デフォルトパラメーターを
用いたBestfitプログラム(Wisconsin Sequence A
nalysis Package,Version 8 for Unix(登
録商標),Getics Computer Group,Universit
y Research Park,575 Science Drive,Ma
dison,Wis.53711)のような公知のコンピュータープログラムを
用いて従来どおり決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWate
rman(Advances in Applies Mathematics
2:482−489,1981)の局所相同性アルゴリズムを使用して、2つ
の配列間の相同性の最良セグメントを見出す。一旦、Bestfitが2つのヌ
クレオチド配列間の最も適切な整列を決定すると、ヌクレオチド配列を参照ヌク
レオチド配列に変換するために必要な塩基変化の数を計数することは単純な決定
である。
【0049】 本発明に従って、「RCAなし」は、rAd調製物の約10、好ましくは、
約1010、1011、1012、または1013pfuにおいて、複製可能な
アデノウイルス「RCA」が約1pfu未満であることを意味する。
【0050】 用語「単数」の(「a」または「an」)実体とは、1以上のその実体をいう
;例えば、「核酸分子(a nucleic acid molecule)」
は、1以上の核酸分子を示すことが理解される。このようにして、用語「a」(
または「an」)、「1以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書中で交換
可能に用いられ得る。
【0051】 (補完細胞株の構築) (標的細胞) 複製不能組み換えアデノウイルス、または他の複製不能ウイルスを複製可能に
するように組み換え操作され得る標的細胞、または宿主細胞は、非限定的に、ヒ
ト二倍体細胞(例えば、MRC−5、WI−38、HER、HEL、HEK、A
549)およびヒト異数体細胞(例えば、HeLa)を含む任意の哺乳動物種か
ら選択され得る。他の哺乳動物種から単離された細胞、例えば、霊長類細胞、げ
っ歯類細胞または生物学的実験において通常用いられる他の細胞がまた有用であ
る。このような霊長類細胞型の中でも二倍体Vero、CV−1およびFRhL
細胞である。細胞およびその正倍数体型を提供する哺乳動物種の選択は、本発明
の限定ではなく;哺乳動物細胞の型(すなわち、線維芽細胞、肝細胞、腫瘍細胞
など)でもない。
【0052】 1つの好ましい実施形態では、WI−38またはMRC−5細胞を標的細胞と
して用いる。これらの株、および詳細にはWI−38は、ワクチン産生において
長年用いられてきた。これらは、長期の安全性の記録を有し、このことは、これ
らの細胞株には有害な偶発的因子は存在しないことを示唆する。従って、WI−
38またはMRC−5細胞は、臨床条件で用いられるべき組み換えアデノウイル
スの産生の好ましい選択である。
【0053】 (アデノウイルス核酸分子および補完エレメント) 適切には、パッケージング細胞が、核酸分子を含む補完エレメントで安定に形
質転換またはトランスフェクトされる。この核酸分子は最低でも、1つ以上の機
能的アデノウイルスタンパク質(存在しないか、または選り抜きの複製欠陥アデ
ノウイルスベクターによって機能的にコードされない)をコードするヌクレオチ
ド配列を保有する。アデノウイルス遺伝子座であるE1、E2aおよびE4OR
F6がウイルス複製に必須であることが当該分野で公知である。従って、この補
完エレメントは、1つ以上のアデノウイルスタンパク質、好ましくは1つ以上の
必須のアデノウイルスタンパク質、なお好ましくはE1遺伝子座によってコード
される1つ以上のタンパク質、そして最も好ましくはAd5 E1遺伝子座によ
ってコードされる全てのタンパク質(Ad5 8.3kDa E1bタンパク質
を含む)をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0054】 組み換えAdベクターとの相同性を回避し、そしてRCA生成をもたらす相同
組み換えの確率を同時に減じる手段として、本発明の補完エレメントは、天然に
存在しないアデノウイルスヌクレオチド配列を含む。
【0055】 従って、1つの実施形態において、本発明は、天然に存在するアデノウイルス
ポリペプチドの少なくとも5連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを
含む単離された核酸分子を提供する。ここで、このポリヌクレオチドの配列は、
天然に存在しないアデノウイルスヌクレオチド配列である。「天然に存在しない
アデノウイルス配列」が意味するのは、ネイティブでないアデノウイルス配列で
あるヌクレオチド配列である。すなわち、これは正確なヌクレオチド配列ではな
く、これは、ネイティブなアデノウイルスゲノムにおける少なくとも5つのアミ
ノ酸をコードするが、遺伝子コードの縮重性によって、同じ5アミノ酸をコード
する。遺伝子コードは、周知であり、天然に存在しないが公知のアデノウイルス
アミノ酸配列をコードする多数のヌクレオチド配列(完全に何千も)を意味する
ことが当業者には慣用的である。このような列挙(リスト)は、コンピューター
で作成されるが、経済的な目的で本明細書には示していない。
【0056】 この実施形態に従って、ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子が提供さ
れ、このポリヌクレオチドは、ヒトアデノウイルス、トリアデノウイルス、ウシ
アデノウイルス、ネコアデノウイルス、イヌアデノウイルス、マウスまたは他の
げっ歯類アデノウイルス、サカナアデノウイルス、ブタアデノウイルス、ヤギア
デノウイルス、ヒツジアデノウイルス、ウマアデノウイルス、またはサルアデノ
ウイルス由来のポリペプチドを含むがこれらに限定されない任意のアデノウイル
ス由来の天然に存在するポリペプチドの少なくとも5つのアミノ酸をコードする
が、ここで、ポリヌクレオチド配列は天然に存在するアデノウイルスヌクレオチ
ド配列ではない。アデノウイルスのこれらのカテゴリーの各々に由来するヌクレ
オチドおよびアミノ酸配列が、GenBankを介して獲得され得る。
【0057】 本発明の好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドを含む単離された核酸
分子が提供され、このポリヌクレオチドは、公知のヒトアデノウイルス1〜46
型のうちの1つに由来する天然に存在するポリペプチドの少なくとも5つのアミ
ノ酸をコードするが、ここで、ポリヌクレオチド配列は、天然に存在するヒトア
デノウイルスヌクレオチド配列ではない。すべてのヒトアデノウイルス1〜46
型は、American Type Culture Collection(
ATCC)、10801 University Boulevard,Man
assass,VA 20110−2209から入手可能であり、そして、ヌク
レオチドおよびアミノ酸配列は、GenBankを介して獲得され得る。
【0058】 本発明のより好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドを含む核酸分子が
提供され、このポリヌクレオチドは、天然に存在するAd5またはヒトアデノウ
イルス2型(Ad2)ポリペプチドの少なくとも5つのアミノ酸をコードするが
、ポリヌクレオチド配列は天然に存在するヒトAd5またはAd2ヌクレオチド
配列ではない。Ad2およびAd5の完全なヌクレオチド配列は、GenBan
kから入手可能である(例えば、ヒトアデノウイルス5型配列についてはGen
Bank登録番号M73260、およびヒトアデノウイルス2型配列については
J01917を参照のこと)。
【0059】 上記参照される天然に存在しないポリヌクレオチド配列は、天然に存在するア
デノウイルスポリペプチドのたった5連続したアミノ酸をコードし得る。天然に
存在しないポリヌクレオチド配列は、好ましくは、天然に存在するアデノウイル
スポリペプチドの少なくとも6つ連続するアミノ酸をコードし、より好ましくは
、天然に存在するアデノウイルスポリペプチドの少なくとも7、8、9、10、
15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、2
00、250、300、400、または500連続するアミノ酸、および、最も
好ましくは、ポリヌクレオチド配列は、全アデノウイルスポリペプチドをコード
する。
【0060】 上記参照される天然に存在するアデノウイルスポリペプチドは、任意のアデノ
ウイルスポリペプチドであり、好ましくは、重要なアデノウイルスポリペプチド
、より好ましくは、E1、E2またはE4ポリペプチドであり、さらにより好ま
しくは、E1ポリペプチドであり、そして最も好ましくは、55kDa E1b
ポリペプチド、21kDa E1bポリペプチド、および8.3kDa E1b
ポリペプチドからなる群から選択されるAd5 E1bポリペプチドである。
【0061】 上記参照される天然に存在しないポリヌクレオチド配列は、各々対応するネイ
ティブなアデノウイルスヌクレオチド配列と比較して、好ましくは、ネイティブ
なヒトアデノウイルス配列と比較して、そしてよりさらに好ましくは、ネイティ
ブなAd5ヌクレオチド配列と比較して、3ほどの少ないヌクレオチド置換を含
み得、好ましくは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、20、25、30、40、50、60、75、100、125
、150、175、200、250、300、またはそれより多くのヌクレオチ
ド置換を含む。
【0062】 別の実施形態において、ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子が提供さ
れ、このポリヌクレオチドは、天然に存在するアデノウイルスポリペプチドの少
なくとも5連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを含むが、このポリ
ヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、天然に存在するアデノウイルス
ゲノムにハイブリダイズしない。好ましくは、このようなポリヌクレオチドは、
ストリンジェントな条件下で、天然に存在するヒトアデノウイルスゲノムにハイ
ブリダイズしない。より好ましくは、このようなポリヌクレオチドは、ストリン
ジェントな条件下で、天然に存在するAd5ゲノムにハイブリダイズしない。好
ましい実施形態は、ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供し、この
ポリヌクレオチドは、天然に存在するアデノウイルスポリペプチドの少なくとも
5連続するアミノ酸をコードするが、このポリヌクレオチドは、低ストリンジェ
ントな条件下で、天然に存在するアデノウイルスゲノムにハイブリダイズしない
。好ましくは、このようなポリヌクレオチドは、低ストリンジェンシーの条件下
で天然に存在するヒトアデノウイルスゲノムにハイブリダイズしない。より好ま
しくは、このようなポリヌクレオチドは、低ストリンジェンシーの条件下で天然
に存在するAd5ゲノムにハイブリダイズしない。
【0063】 2つの一般的なアプローチを使用して、哺乳動物細胞におけるDNA組換えの
ための配列類似性条件を研究する。1つのアプローチは、2つのポリヌクレオチ
ド間で共有される同一のヌクレオチドの長さの関数として組換えの速度を測定す
る方法である。当業者が容易に理解するように、この状況における配列「同一性
」は、二重鎖ポリヌクレオチドをいい、そして、1つ以上の二重鎖ポリヌクレオ
チドの相補的な単鎖成分間の相互作用を意図する。このアプローチを使用して、
完全な配列同一性の長さが295から200bpに減少する場合、哺乳動物細胞
における2つの密接に適合した配列間の染色体内組換えの速度が急に落ちること
が示されている(Liskay,R.ら、Genetics 115:161−
167(1987))。あるいは、組換え速度に対するヌクレオチドミスマッチ
の効果が測定され得る。このストラテジーを使用して、81%同一である2つの
連結した配列間の哺乳動物細胞における染色体内組換えが、完全に近い同一性を
示す配列間の組換えと比較して1000倍以上減少したこと(Waldman,
A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:5340
−5344(1987))および組換えにおける相乗的に大きい減少が、配列同
一性の程度における比較的小さな変化に由来し得ること(Lukacsovic
h,Tら、Genetics,151:1559−1568(1999))が決
定された。哺乳動物細胞における効率的な染色体外組換えは、約200bpの同
一のヌクレオチドの長さを必要とすることが示されている(Rubnitz,J
.ら、Mol.Cell.Biol.4:2253−2258(1984))。
【0064】 理論によって拘束されないが、発明者らによって、コード配列の100ヌクレ
オチドにおいて平等に分散されたたった3塩基対置換が、有意に相同組換えを減
少すると考えられている。従って、本発明の別の局面は、ポリヌクレオチドを含
む単離された核酸分子を提供し、ここで、ポリヌクレオチドの配列は、同じ長さ
の天然に存在するアデノウイルスポリヌクレオチド配列に、少なくとも約60%
同一であるが、約97%未満同一である。好ましくは、このポリヌクレオチド配
列は、同じ長さの天然に存在するアデノウイルスポリヌクレオチド配列、好まし
くは、ヒトアデノウイルス、より好ましくは、Ad5に対して、少なくとも約6
0%同一であるが、約96%、95%、94%、93%、92%、91%、90
%、85%、80%、75%、70%または65%未満同一である。好ましくは
、ポリヌクレオチド配列同一性は、ヌクレオチド配列の翻訳コード能力が変更さ
れないようにコドン内の変性位置のヌクレオチドのサイレント変異の導入を介し
て減少される。より好ましくは、ポリヌクレオチドは、天然に存在するアデノウ
イルスポリペプチドの少なくとも5、好ましくは、少なくとも6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、
30、40、50、60、75、100、125、150、175、200、2
50、または300連続したアミノ酸である。
【0065】 必要に応じて、このようなサイレント変異は、ポリヌクレオチドの全長に渡っ
て平等に分散されている。従って、1つの実施形態において、サイレント変異は
、10連続したコドン毎に少なくとも1つ存在し、好ましくは、少なくとも1つ
のサイレント変異が、9、8、7、6、5、4または3つ連続したコドン毎に存
在する。関連した実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、野生型アデノウ
イルス配列の200未満連続したヌクレオチド、好ましくは、野生型アデノウイ
ルス配列の150、125、100、75、60、50、40、30、25、2
0、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、
7または6連続したヌクレオチドを含む。最も好ましいヌクレオチド配列は、可
能な限り(すなわち、最も完全に変性である)対応する野生型アデノウイルス配
列とほとんど配列同一性を有さないが、野生型アデノウイルスの翻訳コード能力
を保持する。
【0066】 特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、AdE1タンパク質における
RCA欠損を補完し得るポリペプチドをコードすることが好ましい。この実施形
態の好ましい例は、ポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供し、ここ
で、ポリヌクレオチドの配列は、配列番号20のヌクレオチド1〜198、また
は配列番号20のヌクレオチド287〜301を含む天然に存在するAd5ポリ
ヌクレオチドに、少なくとも約60%同一であるが、約97%未満同一である。
好ましくは、ポリヌクレオチド配列は、配列番号20のヌクレオチド1〜198
、または配列番号20のヌクレオチド287〜301を含む天然に存在するAd
5ポリヌクレオチドに、少なくとも約60%同一であるが、約96%、95%、
94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%ま
たは60%未満同一である。好ましくは、ポリヌクレオチド配列同一性は、ヌク
レオチド配列の翻訳コード能力が変更されないようにコドン内の変性位置のヌク
レオチドのサイレント変異の導入を介して減少される。より好ましくは、ポリヌ
クレオチドは、Ad5 E1ポリペプチドの少なくとも5、好ましくは、少なく
とも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18
、19、20、25、30、40、50、60、75、100、125、150
、175、200、250、または300連続したアミノ酸をコードする。
【0067】 必要に応じて、このようなサイレント変異は、ポリヌクレオチドの全長に渡っ
て平等に分散されている。従って、1つの実施形態において、サイレント変異は
、配列番号20のヌクレオチド1〜198を含むポリヌクレオチドの10連続し
たコドン毎に少なくとも1つ存在し、好ましくは、少なくとも1つのサイレント
変異が、配列番号20のヌクレオチド1〜198を含むポリヌクレオチドの9、
8、7、6、5、4または3連続したコドン毎に存在する。別の実施形態におい
て、サイレント変異は、配列番号20のヌクレオチド287〜301を含むポリ
ヌクレオチドの1、2、3、4、または5つ連続したコドン中に少なくとも1つ
存在する。関連した実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、野生型アデノ
ウイルス配列の200未満連続したヌクレオチド、好ましくは、野生型アデノウ
イルス配列の150、125、100、75、60、50、40、30、25、
20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8
、7または6連続したヌクレオチドを含む。最も好ましいヌクレオチド配列は、
可能な限り(すなわち、最も完全に変性である)対応する野生型アデノウイルス
配列とほとんど配列同一性を有さないが、野生型アデノウイルス配列の翻訳コー
ド能力を保持する。
【0068】 別の所望の実施形態において、本発明は、ポリヌクレオチドを含む核酸分子を
提供し、このポリヌクレオチドは、天然に存在するアデノウイルスポリペプチド
の少なくとも5連続するアミノ酸をコードし、ここで、天然に存在するアデノウ
イルスポリペプチドをコードするコドンは、所定の真核生物細胞、好ましくは、
哺乳動物細胞における翻訳について優先的であることが公知であり、より好まし
くは、ヒト細胞における翻訳について優先的であり、そしてなおより好ましくは
、ヒトWI−38またはMRC−5細胞における翻訳について優先的であること
が公知である。
【0069】 所定の種において優先的に翻訳されるコドンを選択するための方法は、当業者
に周知である。例えば、ヒト細胞で優先的に利用されるコドンを選択するために
、配列決定されたヒトDNAについてのコドン使用表が使用される。ヒトコドン
使用のための適切な表を表1として示す。コードされるアミノ酸は、第1の列に
見出され、そして、種における使用の最も高い割合を有するアミノ酸についての
コドンが選択される。例えば、当業者は、ヒトにおけるアミノ酸バリンをコード
するヌクレオチド配列の発現を最適化するために、コドンGTGを利用し、これ
は、ヒト遺伝子における時期の48%で使用される。
【0070】 (表1) (Homo sapiens|gbpri|:17625 CDS(8707
603コドン)
【0071】
【表1】 コーディングGC 52.75%、1文字目GC 56.12%、2文字目GC
42.36%、3文字目GC 59.77% 遺伝コード1:標準。
【0072】 類似の表が他の種から入手可能であり、そして例えば、http://www
.kazusa.or.jp/codon/(2000年4月10日訪問)にて
インターネット上で入手可能である。
【0073】 特に好ましい実施形態において、本発明は、配列番号1のヌクレオチド1〜1
98として示される配列の少なくとも20個連続するヌクレオチドを含む核酸分
子、好ましくは配列番号1のヌクレオチド1〜198として示される配列の少な
くとも30個、40個、50個、もしくは100個連続するヌクレオチドを含む
核酸分子、より好ましくは配列番号1として示される配列全体を含む核酸分子を
包含する。配列番号1は、完全Ad5ゲノムのヌクレオチドおよそ3309から
ヌクレオチドおよそ3614に広がる、Ad5のE1遺伝子座の領域(GenB
ank登録番号M73260、配列番号20として本明細書中に示されるフラグ
メント)に対応し、そしてE1b 55kDタンパク質のC末端および8.3k
D E1bタンパク質の3’エキソンをコードする。補完エレメントの構築が、
実施例1(A)および実施例7に示される。この配列を、図2に示されるように
、コード領域中の可能なすべてのサイレント変異を含むように、改変した。可能
な場合、表1に示されるヒトコドン使用法表中の最も頻繁に使用されるコドンに
対応するように、塩基置換を選択した。
【0074】 別の好ましい実施形態において、本発明は、配列番号18のヌクレオチド1〜
198として示される配列の少なくとも20個連続するヌクレオチドを含む核酸
分子、好ましくは配列番号18のヌクレオチド1〜198として示される配列の
少なくとも30個、40個、50個、もしくは100個連続するヌクレオチドを
含む核酸分子、より好ましくは配列番号18として示される配列全体を含む核酸
分子を包含する。配列番号18もまた、完全Ad5ゲノムのヌクレオチドおよそ
3309からヌクレオチドおよそ3614に広がる、Ad5のE1遺伝子座の領
域(GenBank登録番号M73260、配列番号20として本明細書中に示
されるフラグメント)に対応する。補完エレメントの構築が、実施例1(C)お
よび実施例7に示される。この配列を、図2中の下線ヌクレオチド置換により示
されるように、均等に約15ヌクレオチドの間隔で配置されたサイレント変異を
含むように、改変した。可能な場合、表1に示されるヒトコドン使用法表中の最
も頻繁に使用されるコドンに対応するように、塩基置換を選択した。
【0075】 本発明のなお別の実施形態において、以下からなる群より選択される配列を含
む核酸分子が、提供される:(a)配列番号1のヌクレオチド1〜198;(b
)配列番号1のヌクレオチド298〜312;および配列番号1のヌクレオチド
1〜315。
【0076】 本発明のなお別の実施形態において、以下からなる群より選択される配列を含
む核酸分子が、提供される:(a)配列番号18のヌクレオチド1〜198;(
b)配列番号18のヌクレオチド298〜312;および配列番号18のヌクレ
オチド1〜315。
【0077】 本発明のなお別の実施形態において、以下からなる群より選択される配列を含
む核酸分子が、提供される:以下からなる群より選択される配列を含む核酸分子
が、提供される:(a)配列番号19のヌクレオチド298〜312;および(
b)配列番号19のヌクレオチド1〜315。配列番号19はまた、完全Ad5
ゲノムのヌクレオチドおよそ3309からヌクレオチドおよそ3614に広がる
、Ad5のE1遺伝子座の領域(GenBank登録番号M73260、配列番
号20として本明細書中に示されるフラグメント)に対応する。補完エレメント
の構築が、実施例1(B)および実施例7に示される。この配列は、55kDコ
ード領域中に野生型Ad5配列を有したが、図2中の四角で囲まれたヌクレオチ
ド置換により示されるように、8.3kDコード領域の3’エキソン中に可能な
塩基置換すべてを有する。可能な場合、表1に示されるヒトコドン使用法表中の
最も頻繁に使用されるコドンに対応するように、塩基置換を選択した。
【0078】 別の実施形態において、本発明は、必須アデノウイルスタンパク質をコードす
る補完エレメントを提供し、この補完エレメントは、本明細書中に記載される核
酸分子を含む。好ましくは、この補完エレメントは、Ad E1遺伝子座を含み
、より好ましくはヒトAd E1遺伝子座を含み、なおより好ましくはAd E
1遺伝子座を含む。
【0079】 RCAをもたらす相同組換えを除去または排除するための別の方法は、天然に
存在するアデノウイルスイントロンに代えて1つ以上の異種イントロンで置換す
ることである。このアデノウイルスのゲノム構造(天然に存在するイントロンの
位置を含む)は、周知である(概説について、The Adenoviruse
s、Harold Ginsberg編、1984、Plenum Press
、NYを参照のこと)。本発明のこの実施形態において使用される特定の異種イ
ントロンは、本発明にとって重要であるとはみなされず、従って、限定的ではな
いが、異種イントロンのいくつかの例が、読者の便宜のために下記に提供される
。本発明における使用のためのイントロンとしては、SV40後期領域イントロ
ン、SV40 Tイントロン、ヒトサイトメガロウイルス極初期イントロンA、
免疫グロブリンイントロン、および当業者に周知のその他が挙げられる。さらに
、異種イントロンは、1つ以上の異種イントロンおよび/またはネイティブのア
デノウイルスイントロンのハイブリッドであり得る。例えば、種々の介在配列か
らの、5’スプライス部位および3’スプライス部位、ならびに中央枝(cen
tral branch)部位を含む、ハイブリッドイントロンであるか、ある
いは、コンセンサススプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位である
ように操作された、ハイブリッドイントロンである。このようなコンセンサスス
プライス部位は、PCT公開公報WO 99/29848(本明細書中にその全
体が参考として援用される)に開示される。従って、本発明の核酸分子および本
発明の補完エレメントは、上記の天然に存在しないコード配列を伴ってかもしく
は伴わずに、異種イントロンおよび/またはスプライス部位をさらに含み得る。
【0080】 上記のように、E1タンパク質すべてをコードする補完エレメントが、本発明
の好ましい実施形態である。図1は、実施例1の方法に従って構築された例示的
E1補完エレメントの一部の模式図を示す。好ましくは、本発明に従うE1補完
エレメントは、E1領域のアデノウイルス配列5’を欠き、いくつかの第1世代
アデノウイルスベクターがE1aプロモーターの一部またはすべてを含むので、
好ましくは、ネイティブのE1aプロモーターを除く。本発明のE1補完エレメ
ントは、Ad5ゲノムのヌクレオチドおよそ3,000〜4,300の領域、好
ましくはAd5ゲノムのヌクレオチドおよそ3,300〜3,700の領域、そ
して最も好ましくはヌクレオチドおよそ3,400〜3,500に対応する野生
型Adヌクレオチド配列の、14個より多く連続するヌクレオチドを好ましくは
含まない。
【0081】 当業者に理解されるように、このアデノウイルスベクターはまた、代替的コド
ン使用法および/または野生型イントロンを異種イントロンに代える置換を介し
て、有利に改変され得る。本明細書中の他の場所に述べられるように、ベクター
配列の変化は、生成物質(例えば、パッケージング株)中の配列の変化よりも好
ましくない。なぜなら、このベクター自体が治療薬物の一部を形成し、そしてそ
の薬物自体のどの改変も、安全性および効力についての広範な臨床前試験および
臨床試験を必要とするからである。それにも関わらず、アデノウイルスベクター
の改変は有用であり、例えば、アデノウイルスベクターは、AAVの生成におい
てヘルパーウイルスとして使用され得る。例えば、米国特許第5,871,98
2号(本明細書中にその全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0082】 (調節エレメントおよびベクター) 補完エレメントは、標的細胞への核酸分子の安定な移入およびその標的細胞に
よるコードタンパク質の発現をもたらす、任意の形態であり得る。最も適切には
、この補完エレメントは、ベクター中に保有される。この補完エレメントは、宿
主細胞染色体中に安定に組み込まれてもよいし、またはエピソーム性の染色体外
エレメントとして存在してもよい(例えば、Caravolyriら、J.Vi
rol.69:6627〜6633(1995)を参照のこと)。ベクターとし
ては、遺伝情報を保有および移入し得る任意の構築物が限定せずに挙げられ、例
えば、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、
ビリオン、レプリコン、およびメッセンジャーRNAが挙げられる。好ましいベ
クターとしては、染色体由来ベクター、エピソーム由来ベクターおよびウイルス
由来ベクターが挙げられ、例えば、細菌プラスミド由来ベクター、バクテリオフ
ァージ由来ベクター、酵母エピソーム由来ベクター、および酵母染色体エレメン
ト由来ベクター;昆虫ウイルス由来ベクター(例えば、バキュロウイルス由来ベ
クター、パポバウイルス(例えば、SV40)由来ベクター、ポックスウイルス
(例えば、ワクシニアウイルスおよび鳥類ポックスウイルス)由来ベクター、ア
デノウイルス由来ベクター、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス
、ウシヘルペスウイルスおよび仮性狂犬病ウイルス)由来ベクター、およびレト
ロウイルス由来ベクター;ならびにこれらの組み合わせに由来するベクター(例
えば、プラスミドおよびバクテリオファージの遺伝エレメントに由来するベクタ
ー(例えば、コスミドおよびファージミド))が挙げられる。一般に、ポリヌク
レオチドを宿主中で維持、増殖または発現するために適切な任意のベクター、あ
るいは宿主中でポリペプチドを発現するために適切な任意のベクターが、この点
に関して発現用に使用され得る。1つの特に適切な実施形態において、この補完
エレメントが、プラスミドベクター中に配置される。
【0083】 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子(例えば、天然に存在するアデノ
ウイルスポリペプチドの少なくとも5個連続するアミノ酸をコードするポリヌク
レオチドを含む核酸分子であって、このポリヌクレオチドの配列は天然に存在す
るアデノウイルスヌクレオチド配列ではない)のいずれかを含むベクターに関し
、そしてこのベクターを含む宿主細胞に関する。このようなベクターおよび宿主
細胞は、例えば、補完エレメントの増幅、補完エレメントの構築、補完ポリペプ
チドの発現、および複製欠損ウイルスの増殖に有用である。
【0084】 ベクターは、周知技術(例えば、感染、形質導入、トランスフェクション、ト
ランスベクション(transvetion)、リポフェクション、エレクトロ
ポレーション、マイクロインジェクション、粒子ボンバードメント、および形質
転換)を使用して、宿主細胞中に導入され得る。一般には、プラスミドベクター
は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トラ
ンスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、またはエレクト
ロポレーションによって、細胞中に導入される。このベクターがウイルスである
場合、このベクターは、適切なパッケージング細胞株を使用してインビトロでパ
ッケージングされ得、その後、宿主細胞中に形質導入され得る。このような方法
は、多くの標準的実験室マニュアル(例えば、Davisら、Basic Me
thods in Molecular Biology(1986))に記載
される。
【0085】 本発明の核酸分子は、宿主における増殖のために、選択マーカーを含むベクタ
ーに連結され得る。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養用のジヒド
ロ葉酸還元酵素遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺
伝子、またはネオマイシン耐性遺伝子、そしてE.coliおよび他の細菌にお
ける培養用のテトラサイクリン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子も
しくはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。この点に関して、特定の好ましい
実施形態において、このベクターは、特異的発現を提供し、この発現は、誘導性
であってもよいし、そして/または細胞型特異的であってもよい。示されるよう
に、ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカーを含む。このよう
なベクターの中で特に好ましいのは、操作が容易である環境因子(例えば、温度
および栄養素添加物)により誘導可能であるベクターである。
【0086】 この核酸分子は、以下の適切なプロモーターに作動可能に連結されるべきであ
る:例えば、原核生物プロモーター(例えば、ファージλPLプロモーターおよ
びPRプロモーター、ならびに他のバクテリオファージプロモーター(例えば、
T3プロモーター、T7プロモーター、T7/lacプロモーター、SP6プロ
モーター、SP01プロモーター、E.coli lacIプロモーター、la
cZプロモーター、gptプロモーター、trpプロモーター、trcプロモー
ター、oxy−proプロモーター、omp/lppプロモーター、rrnBプ
ロモーター、およびtacプロモーター)、ならびに真核生物プロモーター(例
えば、メタロチオネイン(例えば、マウスメタロチオネイン−Iプロモーター)
、α接合因子プロモーター、アクチンプロモーター、熱ショックプロモーター、
組織特異的プロモーター(例えば、リンホカイン誘導性プロモーター、Pich
iaアルコールオキダーゼプロモーター、アルファウイルスサブゲノム(sub
genomic)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス極初期プロモーター
(イントロンAを含むかまたは含まない)、HSVチミジンキナーゼプロモータ
ー、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター、ならびにレト
ロウイルスLTR(例えば、ラウス肉腫ウイルス由来)のプロモーター、初期S
V40プロモーターおよび後期SV40プロモーター、レトロウイルスLTRの
プロモーター(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)由来)。他の適切なプロ
モーターが、当業者に公知である。
【0087】 高等真核生物による本発明の核酸分子の転写は、エンハンサー配列をベクター
に挿入することによって増加され得る。エンハンサーは、シス作用性のDNAエ
レメントであり、通常、約10〜300bpであり、これは、所定の宿主細胞型
においてプロモーターの転写活性を増加するために作用する。エンハンサーの例
としては、SV40エンハンサー(これは、複製起点の後ろ側にbp100〜2
70で位置する)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製
起点の後ろ側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが
挙げられる。
【0088】 一般的に、発現構築物は、転写領域中に転写のための開始部位および終了部位
、翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。この構築物によって発現された成熟
転写物のコード部分は、始めに転写開始AUGコドンおよび翻訳されるポリペプ
チドのおおよそ末端に位置する終了コドン(UAA、UGAまたはUAG)を含
む。
【0089】 本発明の核酸分子の増幅に適した宿主の代表的な例としては、細菌細胞(例え
ば、E.coli、Streptomyces細胞およびSalmonella
typhimurium細胞);真菌細胞(例えば、Saccharomyc
es細胞およびPichia細胞);昆虫細胞(例えば、Drosophila
S2細胞およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、C
HO細胞、COS細胞、BHK細胞、およびBowes黒色腫細胞);および植
物細胞が挙げられる。上記宿主細胞に対する適切な培養培地および培養条件が、
当該分野で公知である。
【0090】 細菌における使用に好ましいベクターの間には、pQE70、pQE60およ
びpQE−9(Qiagenから入手可能);pBSベクター、Phagesc
riptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a
、pNHl8A、pNH46A(Stratageneから入手可能);および
ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRI
T5(Pharmaciaから入手可能)を含む。好ましい真核生物ベクターの
間には、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXTlおよびpSG(
Stratageneから入手可能);ならびにpSVK3、pBPV、pMS
GおよびpSVL(Pharmaciaから入手可能)がある。他の適切なベク
ターは、当業者に容易に明らかである。
【0091】 一旦所望の核酸分子(補完エレメント)が操作されると、これは、任意の適切
な方法によって標的宿主細胞に移入され得る。このような方法としては、例えば
、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム送達、膜融合技
術、高速度のDNAコートされたペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト
融合が挙げられる。従って、細胞は、標準的な方法に従って培養され、そして必
要に応じて、耐性遺伝子を発現する細胞を含む細胞を選択するための抗生物質を
含む培地に播種される。選択期間後、耐性コロニーは単離され、拡大され、そし
てコードするアデノウイルスタンパク質の発現に関してスクリーニングされる。
Sambrookら、前出を参照のこと。あるいは、新規に作製された補完細胞
は、レポーター遺伝子(例えば、E.coli β−ガラクロシダーゼ遺伝子)
を保有する組換えE1欠損アデノウイルスで感染され、そして複製不能アデノウ
イルスの複製を補完する能力に基づいて選択される。
【0092】 (RCAを含まないアデノウイルス産生のための系) 本発明は、アデノウイルスベクターと補完プロデューサー細胞株との組合わせ
(集合的に「系」)を提供する。より広範には、本発明は、(a)組換え複製不
能アデノウイルスベクター;および(b)複製不能アデノウイルスベクターによ
って発現されない必須の遺伝子産物をコードするが、複製不能アデノウイルスと
の相同組換えができない、補完細胞を含む、アデノウイルス粒子の産生のための
系を含む。
【0093】 好ましくは、本発明は、プロデューサー補完細胞株を提供し、これは、必須遺
伝子の部分的なフラグメントを含むゲノムを有する複製不能アデノウイルスベク
ターと組み合わされ得るが、これらの遺伝子は発現されない。これらのアデノウ
イルスベクターは、特別な問題を提示する。なぜなら、必要とされる必須の遺伝
子産物を提供するために、標準的な補完細胞株は、ベクターとの有意な重複領域
を必ず含まねばならないからである。従って、本発明の好ましい補完細胞株は、
天然に存在するアデノウイルスポリペプチドの少なくとも5個連続するアミノ酸
をコードする、少なくとも15ヌクレオチド長のポリヌクレオチドを含み、ここ
で、このアミノ酸をコードするコード領域は、複製不能アデノウイルスベクター
上に含まれる。しかし、遺伝暗号の縮重に起因して、補完細胞株中のポリヌクレ
オチドの配列は、アデノウイルスゲノム中に見出される天然に存在するアデノウ
イルスヌクレオチド配列ではない。好ましくは、補完細胞株は、天然に存在する
アデノウイルスポリペプチドの少なくとも6、7、8、9、10、15、20、
25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250
、300、または330アミノ酸をコードする、少なくとも20、25、30、
40、50、60、75、100、150、200、250、500、または1
、000ヌクレオチド長のポリヌクレオチドを含み、ここで、このアミノ酸の1
つ以上をコードするコード領域は、複製不能アデノウイルスベクター上に含まれ
るが、遺伝暗号の縮重に起因して、補完細胞株中のポリヌクレオチドの配列は、
アデノウイルスゲノム中に見出される天然に存在するアデノウイルスヌクレオチ
ド配列ではない。
【0094】 好ましくは、補完細胞株中のポリヌクレオチドの配列および複製不能アデノウ
イルスゲノムの配列(例え少なくとも5個同一な連続アミノ酸をコードするとし
ても)、互いに97%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、6
5%、60%、55%または50%未満同一である。また、好ましくは、少なく
とも5個同一な連続アミノ酸をコードする、補完細胞株中のポリヌクレオチドの
配列および複製不能アデノウイルスゲノムの配列は、ストリンジェントな条件に
おいて互いにハイブリダイズし得ない。より好ましくは、この2つの配列は、低
いストリンジェンシーの条件においてハイブリダイズしない。
【0095】 本発明の系が、野生型アデノウイルスポリペプチド配列をコードする天然に存
在しないヌクレオチド配列を含む、細胞またはウイルスベクターに制限されない
ことにここで注意することが、重要である。異なるアデノウイルス菌株間で有意
なヌクレオチド配列の多様性が存在する。従って、一致した補完エレメントおよ
びベクターは、遺伝暗号を別にすれば同一である天然に存在するアデノウイルス
配列を含み得る。
【0096】 1つの好ましい実施形態において、ベクターは、天然に存在するアデノウイル
ス配列のみを有し、そして補完エレメント/補完細胞株との相同性は、非アデノ
ウイルス核酸配列を有するポリヌクレオチドの補完エレメント/補完細胞株への
導入によって減少される(しかし、これにもかかわらず、天然に存在するアデノ
ウイルスポリペプチドのコード領域を提供する)。
【0097】 別の実施形態において、補完エレメント/補完細胞株は、天然に存在するアデ
ノウイルス配列のみを有し、そして相同性は、非アデノウイルス核酸配列を有す
るポリヌクレオチドのベクターへの導入によって減少される(しかし、これにも
かかわらず、天然に存在するアデノウイルスポリペプチドのコード領域を提供す
る)。あるいは、この実施形態において、非アデノウイルス核酸配列を有するポ
リヌクレオチドは、天然に存在するアデノウイルスポリペプチドが補完細胞株に
よってトランスで提供される場合、このポリペプチドのコード領域を提供する必
要はない。
【0098】 本明細書中の系のベクターまたは細胞株のいずれかに含まれる非アデノウイル
スヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、本明細書中のいずれかに記載
される任意の非アデノウイルス配列であり得る。同様に、この系は、本明細書中
のいずれかに記載される細胞およびベクターの任意の組み合わせを含み得、これ
は:(a)複製不能アデノウイルス粒子を産生するために一緒に使用され得;そ
して(b)遺伝暗号の縮重を別として重複する配列同一性を有する。
【0099】 本明細書中に記載される任意の系において、補完細胞株または複製不能ベクタ
ーはまた、天然に存在するアデノウイルスイントロンの変わりに異種イントロン
を含み得、ここで、この異種イントロンは、異種コンセンサススプライスドナー
領域およびスプライスアクセプター領域をさらに含み得る。
【0100】 好ましい実施形態において、本発明の系は:(a)Ad5の55kDa E1
bタンパク質をコードするポリヌクレオチド(非アデノウイルス配列である少な
くとも50個連続するヌクレオチド)を含む、補完細胞;および(b)ヌクレオ
チド3311とヌクレオチド3614との間の野生型Ad5配列の少なくとも5
0個連続するヌクレオチドを含む、アデノウイルスベクターを含む。
【0101】 (a)配列番号1、配列番号18、または配列番号19の配列を有するポリヌ
クレオチドを含む補完細胞株;および(b)ヌクレオチド3311とヌクレオチ
ド3614との間の野生型Ad5配列の少なくとも50個連続するヌクレオチド
を含む、アデノウイルスベクターを含む系がまた、好ましい。
【0102】 (補完細胞の使用) 本発明の補完細胞は、種々の目的に有用である。最も適切には、この細胞は、
検出可能なRCAの非存在下における、組換え複製不能アデノウイルスベクター
(すなわち、アデノウイルス粒子)の高収量産生に使用される。
【0103】 (複製不能Adベクターの複製およびパッケージング) 好ましい実施形態において、本発明は、導入遺伝子を含むE1、E2、および
/またはE4が欠損したAdベクター(集合的に「複製欠損rAd」または「複
製不能rAd」)の、アデノウイルス粒子(この粒子は、この導入遺伝子の宿主
細胞への送達に有用である)へのパッケージング方法を提供する。好ましい実施
形態において、複製欠損rAdベクターは、補完タンパク質(例えば、本発明の
細胞株によって供給されるようなタンパク質)の存在下で複製される場合に、感
染性アデノウイルス粒子を産生およびパッケージングするのに必要な全てのアデ
ノウイルス遺伝子を含む。本発明のこの局面における使用に好ましいベクターは
:(a)E1a配列およびE1b配列の両方に欠損を含み、そして最も望ましく
は、これらのタンパク質をコードする配列の全てまたはほとんどが欠損されてい
る、第1世代のAdベクター;(b)E1a配列、E1b配列、およびE2a配
列に欠損を含む、第2世代のAdベクター;(c)E1配列およびE4配列に欠
損を含み、そして最も望ましくは、これらのタンパク質をコードする配列の全て
またはほとんどが欠損されている、第3世代のAdベクター;ならびに(d)ウ
イルス遺伝子の全てを完全に欠く、第4世代のAdベクターである。
【0104】 最小限度において、パッケージングされるE1欠損ベクターは、導入遺伝子お
よびpIX遺伝子またはその機能フラグメントを複製およびパッケージングする
のに必要である、アデノウイルス5’シスエレメントおよび3’シスエレメント
を含む。このベクターはさらに、宿主細胞中でのコードされる導入遺伝子産物の
発現を可能にする調節配列を含み、この調節配列は、この導入遺伝子と作動可能
に結合されている。ベクターによって保有される他の遺伝子産物(例えば、pI
X遺伝子)と作動可能に結合された調節配列がまた、ベクター中に含まれる。
【0105】 従って、組換え複製不能アデノウイルス粒子を産生する方法が提供され、この
方法は、以下の工程:(a)本発明の補完細胞株を複製不能アデノウイルスベク
ターで感染またはトランスフェクトする工程;および(b)このアデノウイルス
粒子を精製する工程を包含する。上記方法によって産生された実質的に純粋なア
デノウイルス粒子の調製物を含む組成物がまた、提供される。補完エレメント/
補完細胞株および複製不能アデノウイルスベクターが任意の関連配列を含む必要
は全くないが、本発明の任意の利点は、関連配列を含まない(例えば、E1座位
において)既存のアデノウイルスベクターが、本発明の使用に適切であることで
ある。従って、特定の好ましい実施形態において、複製不能アデノウイルスベク
ターは、少なくとも15個連続するヌクレオチドを含むが、このヌクレオチドは
、遺伝暗号の縮重に関して、補完エレメント/補完細胞株中の少なくとも15個
連続するヌクレオチドに同一である。
【0106】 (アデノウイルスエレメント) パッケージングされる複製不能ベクターは、最小限度として、アデノウイルス
のアデノウイルスシス作用性5’および3’逆方向末端反復(ITR)配列(こ
れは、複製起点として作用する)ならびにネイティブな5’パッケージング/エ
ンハンサードメインを含む。直鎖Adゲノムのパッケージングに必要とされる5
’および3’シスエレメントが存在し、そしてさらに、E1プロモーターに対す
るエンハンサーエレメントを含む。
【0107】 ウイルス粒子にパッケージングされるE1欠損ベクターは、このベクターがp
IX遺伝子産物を発現するようにさらに操作される。より適切には、このpIX
遺伝子は、インタクトであり、ネイティブなプロモーターを含みそして全長タン
パク質をコードする。BabissおよびVales,J.Virol.65:
598−605(1991)に従って、ネイティブなpIXプロモーターは、A
d5 ヌクレオチド3525で始まり、これは、約86ヌクレオチドがE1領域
と重複する(図2を参照のこと)。しかし、所望される場合、ネイティブなpI
Xプロモーターは、別の所望のプロモーターによって置換され得る。あるいは、
pIXの機能フラグメントをコードする配列は、ベクター中での使用のために選
択される。さらに別の代替の実施形態において、pIXをコードするネイティブ
な配列またはその機能フラグメントは、発現を増強するために改変され得る。例
えば、ネイティブな配列は、例えば、部位指向型変異誘発または別の適切な技術
によって改変され得、選択された宿主細胞中での発現を増強するための最適なコ
ドンを挿入し得る。任意の所定の宿主細胞に対して使用するのに適切なコドンは
、細胞株の種に関するコドン使用頻度表(例えば、表1に示されるようなヒトコ
ドン使用頻度表(前出))の使用によって決定され得る。
【0108】 適切な実施形態において、E1欠損ベクター中のアデノウイルス配列は、5’
および3’シスエレメント、機能的E2およびE4領域、中間遺伝子IXおよび
IXa、ならびにlatc遺伝子L1〜L5を含む。しかし、E1欠損ベクター
は、当業者によって容易に操作され得;必要とされる最小配列が考慮され、そし
てこれらの例示的な実施形態に限定されない。
【0109】 ベクターは、導入遺伝子およびpIXをコードする配列が5’ITRの下流か
つ3’ITRの上流に配置されるように構築される。この導入遺伝子は、異種ポ
リヌクレオチドであり、これは、目的のポリペプチド、タンパク質、または他の
産物をコードする。この導入遺伝子は、導入遺伝子の転写を可能にする様式で、
調節成分と作動可能に結合される。
【0110】 (導入遺伝子) 導入遺伝子の組成物は、得られるアデノウイルスベクターの
用途に依存する。例えば、1つの型の導入遺伝子は、レポーター遺伝子であり、
これは、発現に際して検出可能なシグナルを生じる。このようなレポーター遺伝
子としては、以下をコードするポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定
されない:β−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ
、チミジンキナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT)、およびルシフェラーゼ。目的の他の導入
遺伝子としては、膜結合タンパク質(例えば、CD2、CD4、CD8、インフ
ルエンザ赤血球凝集素タンパク質および当該分野で周知の他の膜結合タンパク質
)(これらに対する高い親和性の抗体が、存在するかまたは従来の手段によって
産生され得る)、および抗原タグドメイン(とりわけ、赤血球凝集素またはMy
c由来)に適切に融合された膜結合タンパク質を含む融合タンパク質が挙げられ
る。
【0111】 しかし、望ましくは、導入遺伝子は、生物学および医薬に有用な産物(例えば
、タンパク質、ペプチド、アンチセンス核酸(例えば、RNA)、酵素または触
媒RNA)をコードする非マーカー配列である。この導入遺伝子は、遺伝子欠損
を矯正または回復するために使用され得、これらの遺伝子欠損としては、正常な
遺伝子が正常レベル未満で発現される欠損、または機能的な遺伝子産物が発現さ
れない欠損が挙げられ得る。
【0112】 好ましい型の導入遺伝子配列は、治療タンパク質またはペプチドをコードし、
これは、宿主細胞中で発現される。適切な治療タンパク質またはペプチドとして
は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:顆粒球マクロファージコロニ
ー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロ
ファージコロニー刺激因子(M−CSF),コロニー刺激因子(CSF)、イン
ターロイキン2(IL−2)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイ
キン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン6(
IL−6)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン8(IL−8
)、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン12(IL−12
)、インターロイキン15(IL−15)、インターロイキン18(IL−18
)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、イン
ターフェロンγ(IFNγ)、インターフェロンω(IFNω)、インターフェ
ロンτ(IFNτ)、インターフェロンγ誘導因子I(IGIF)、トランスフ
ォーミング増殖因子β(TGF−β)、RANTES(活性化に際して調節され
、正常T細胞で発現されそしておそらく分泌される)、マクロファージ炎症タン
パク質(例えば、MIP−1αおよびMIP−1β)、Leishmania伸
長開始因子(LEIF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNF増殖因子(
例えば、上皮増殖因子(EGF))、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細
胞増殖因子(FGF)、神経発育因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDN
F)、ニューロトロフィン−2(NT−2)、ニューロトロフィン−3(NT−
3)、ニューロトロフィン−4(NT−4)、ニューロトロフィン−5(NT−
5)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、毛様体神経栄養因子(CN
TF)、エリスロポイエチン(EPO)およびインスリン。
【0113】 本発明はさらに、例えば、タンパク質の組み合わせによってかまたは複数のサ
ブユニットのタンパク質によって引き起こされた遺伝子欠損を矯正または回復す
るために、複数の導入遺伝子の使用を含む。特定の状況下では、異なる導入遺伝
子が、タンパク質の各サブユニットをコードするために、または異なるペプチド
もしくはタンパク質をコードするために、使用され得る。これは、そのタンパク
質サブユニットをコードするDNAのサイズが大きい場合に(例えば、免疫グロ
ブリン、血小板由来増殖因子(PDGF)またはジストロフィンタンパク質につ
いて)望ましい。細胞に複数のサブユニットのタンパク質を産生させるために、
細胞を、これらの異なるサブユニットの各々を含む別々の組換えウイルスで感染
させる。あるいは、タンパク質の異なるサブユニットは、同じ導入遺伝子にコー
ドされ得る。この場合、単一の導入遺伝子は、これらのサブユニットの全てをコ
ードするポリヌクレオチドを含み、各サブユニットのDNAは、内部リボソーム
侵入部位(IRES)によって離される。これは、そのサブユニットの全てをコ
ードするポリヌクレオチドが小さい(例えば、サブユニットの全ておよびIRE
Sをコードするポリヌクレオチドの全長が、約5kb未満である)場合に、望ま
しい。他の有用な遺伝子産物としては、天然に存在しないポリペプチド(例えば
、挿入、欠損またはアミノ酸置換を含む天然に存在しないアミノ酸配列を有する
、キメラポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチド)が挙げられる。例えば
、操作された単鎖免疫グロブリンは、特定の免疫無防備状態の患者に有用であり
得る。他の型の天然に存在しない遺伝子配列としては、アンチセンス分子および
触媒核酸(例えば、リボザイム)が挙げられ、これらは、遺伝子の過剰発現を減
少するために使用され得る。しかし、選択される導入遺伝子は、研究に望ましい
任意の産物をコードし得る。導入遺伝子配列の選択は、本発明を制限しない。
【0114】 (発現制御配列) アデノウイルスベクターについて上記に示した主要なエレ
メント(例えば、アデノウイルス配列および導入遺伝子)に加えて、アデノウイ
ルスベクターまたは、導入遺伝子を含む宿主細胞においてその導入遺伝子の発現
を駆動するために必要とされる、従来の制御エレメントを含む。従って、このベ
クターは、導入遺伝子に連結されそしてそのベクターのウイルス配列間で導入遺
伝子と作動可能に連結して配置される、選択されたプロモーターを含む。適切な
プロモーターは、構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターから容易に選択
され得る。これらおよび他の一般的なベクターエレメントの選択は、慣用的であ
り、そして多くのこのような配列が、利用可能である。例えば、Sambroo
kら、および本明細書中に引用した参考文献を参照のこと;また、上記のベクタ
ーエレメントの一般的記載を参照のこと。
【0115】 構成的プロモーターの例としては、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RS
V)LTRプロモーター(必要に応じて、RSVエンハンサーを含む)、サイト
メガロウイルス(CMV)プロモーター(必要に応じて、CMVエンハンサーを
含む)(例えば、Boshartら、Cell 41:521−530(198
5))、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β−
アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、
およびEF1αプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。誘導性プ
ロモーターは、外因的に供給された化合物によって調節され、これらには、以下
が挙げられる:亜鉛誘導性ヒツジメタロチオネイン(MT)プロモーター、デキ
サメサゾン(Dex)誘導性マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)プロモーター、
T7ポリメラーゼプロモーター系(WO98/10088);エクジソン昆虫プ
ロモーター(Noら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:
3346−3351(1996))、テトラサイクリン抑制性系(Gossen
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5547−555
1(1992))、テトラサイクリン誘導性系(Gossenら、Scienc
e 268:1766−1769(1995);Harveyら、Curr.O
pin.Chem.Biol.2:512−518(1998))、RU48
pQBI−pgK−E1.16誘導性系(Wangら、Nat.Biotech
.15:239−243(1997);Wangら、Gene Ther.4:
432−441(1997))およびラパマイシン誘導性系(Magariら、
J.Clin.Invest.100:2865−2872(1997))。
【0116】 (他のAdベクターエレメント) 導入遺伝子および調節配列(例えば、プロ
モーター、ポリA配列など)に隣接するAd ITRを保持するベクターは、こ
れらの成分を宿主細胞に移入する任意の形態にあり得る。このベクターに必要に
応じて存在する異種発現制御エレメントとしては、RNA転写物の効率的なポリ
アデニル化に必要とされるシグナルを提供する配列、および機能的なスプライス
ドナー部位およびアクセプター部位を有するイントロンが挙げられる。本発明に
有用なベクターに使用される一般的なポリアデニル化(ポリA)配列は、パポバ
ウイルスSV40またはウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子に由来する。このポ
リA配列は、一般に、導入遺伝子配列に対して3’側に挿入されてかつ導入遺伝
子配列と作動可能に連結される。本発明に有用なベクターはまた、イントロン(
望ましくは、プロモーター/エンハンサー配列と導入遺伝子との間に位置する)
を含み、転写後のmRNA安定性を促進し得る。1つの可能なイントロン配列は
また、SV40に由来し、そしてSV40Tイントロン配列と呼ばれる。これら
および他の一般的なベクターエレメントの選択は、慣用的であり、そして多くの
このような配列が、当該分野で利用可能である。例えば、Sambrookら、
および本明細書中(例えば、3頁18行目〜3頁26行目および16頁17行目
〜16頁27行目)に引用される参考文献を参照のこと。
【0117】 (アデノウイルス配列の同時トランスフェクション) 好ましくは、複製欠損
Adベクターは、本発明のその対応する補完細胞株の感染の際のパッケージング
および複製に必要な、全ての機能的なアデノウイルス配列を含む。しかしより好
ましくは、さらに必要とされるアデノウイルス機能を供給する供給するように安
定にトランスフェクトされた本発明の細胞株を使用する。1つの実施形態におい
て、これらの機能は、その必要とされるアデノウイルス機能の発現を指向し得る
1以上の核酸分子での、E1補完細胞株の同時トランスフェクションによって供
給され得る。当業者に明らかなように、同時トランスフェクションを使用する場
合、RCA形成は、Adベクターと同時トランスフェクトプラスミドとの間の重
複する相同性を最小化することによって、減少または排除され得る。これは、コ
ドン使用の改変および/あるいは異種イントロンまたはスプライス部位の使用を
介して、そのAdベクター自体の相補核酸分子(これは、ベクターまたは細胞の
いずれかによって供給されない必須のAd機能を供給する)および/あるいは改
変されたコドン使用または異種イントロンまたはスプライス部位のいずれかにお
いて達成され得る。
【0118】 例えば、E1が欠損されそして欠損性のE2領域を有するベクターは、必要と
されるE2機能(例えば、E2a)を発現する核酸分子(例えば、プラスミド)
で本発明のE1補完細胞株を一過的または安定をトランスフェクトすることによ
って、その細胞において相補され得る。別の例として、E1〜E4機能を欠くベ
クターは、機能的なE2、E3およびE4を発現する核酸分子(例えば、E4O
RF6)で本発明のE1補完細胞株を一過的または安定にトランスフェクトする
ことによって、その細胞において相補され得る。これらの核酸分子の構築、なら
びに安定なトランスフェクタント細胞株の単離は、当業者の範囲内である。
【0119】 適切には、選択された組換えベクター(上記のような)を、従来の技術(例え
ば、当該分野で公知のトランスフェクション技術(例えば、Kozarskyら
、Som.Cell and Molec.Genet.19(5):449−
458(1993)を参照のこと))を使用して、本発明の細胞株由来のE1補
完細胞に導入する。その後、組換えE1欠損アデノウイルスを、トランスフェク
ション後に単離および精製する。精製方法は、当業者に周知であり、そして容易
に選択され得る。例えば、ウイルスをプラーク精製に供し得、そして溶解物を密
度勾配遠心に供して精製されたウイルスを獲得し得る。
【0120】 (組換えアデノウイルスの増幅) 本発明の補完細胞株(またはその誘導体)
を使用して、組換えAdを増幅し得る。適切には、この組換えAdは、この方法
の使用の前に細胞細片および他のウイルス性物質から単離および精製されている
。これは、増幅されるrAdが本発明の方法以外の方法によって生成される場合
に、特に望ましい。適切な精製方法(例えば、プラーク精製)は、当業者に周知
である。
【0121】 本発明の補完細胞株由来の細胞の培養物または好ましくは懸濁物を、従来の方
法を使用して、rAdに感染させる。適切な感染多重度(MOI)は、容易に選
択され得る。しかし、1細胞あたり約0.1〜約100プラーク形成単位(pf
u)、約0.5〜約20pfu/細胞および/または約1〜約5pfu/細胞の
範囲のMOIが、望ましい。次いで、細胞を、本発明の細胞株によって発現され
るAdタンパク質の存在下で細胞増殖およびrAdの複製を可能にする条件下で
、培養する。適切には、ウイルスを、5、10または20継代までの間の連続継
代に供する。しかし、所望の場合、ウイルスを、より少数またはより多数の継代
に供し得る。
【0122】 細胞を2〜3回の凍結融解に供し、得られた溶解物を遠心分離に供し細胞細片
を除去し、そして上清を収集する。従来の精製技術(例えば、密度勾配遠心また
はカラムクロマトグラフィー)を使用して、rAdを濃縮し、そして溶解物中の
細胞タンパク質からrAdを精製する。しかし、有利には、本発明の細胞株の使
用を介する本発明の方法は、従来のプラーク生成技術のRCAを混入する問題を
回避する。RCAの不在の確認は、以下に詳細に記載する方法によって決定され
る。
【0123】 (本発明の方法によって生成された組換えアデノウイルス粒子) 本発明に従って生成された組換えアデノウイルス粒子は、種々の使用に適切で
あり、そしてインビボでの使用に特に適切である。なぜなら、本発明は、無血清
培地中でかつ検出可能なRCAの非存在下で、これらのアデノウイルスが生成さ
れるのを可能にするからである。従って、本発明に従って生成されたアデノウイ
ルスは、RCAの混入を実質的に含まない。
【0124】 1つの実施形態において、E1欠損ウイルスは、一過的な導入遺伝子発現が治
療的である適用(例えば、癌におけるp53遺伝子移入、癌におけるβ−インタ
ーフェロン遺伝子移入、創傷治癒におけるPDGF遺伝子移入、ならびに心臓お
よび肢の血管疾患における血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子移入)に適切で
あると考えられた。しかし、このE1欠損アデノウイルスは、一過的な導入遺伝
子発現が望ましい場合の使用に限定されない。
【0125】 E1欠損アデノウイルスの適切な用量は、脊椎動物またはヒト患者の処置され
る状態、健康、年齢および体重、ならびに他の関連する要因に依存して、当業者
に容易に決定され得る。しかし、一般に、適切な用量は、約80kgの体重の成
体ヒトについて、1用量あたり約10〜約1018個のウイルス粒子、好まし
くは、1用量あたり約1010〜約1017個、約1011〜約1016個、約
1012〜約1015個、約1013〜約1014個のウイルス粒子の範囲にあ
り得る。さらにより好ましい用量としては、約80kgの体重の成体ヒトについ
て、1用量あたり約10個、約1010個、約1011個、約1012個、約
1013個、約1014個、約1015個、約1016個、約1017個、およ
び約1018個のウイルス粒子が挙げられる。この用量は、約0.001mL〜
約100mLの生理学的に適合性のキャリア中に懸濁され得、そして任意の適切
な手段に送達され得る。適切な送達手段としては、筋内、皮下、静脈内のいずれ
かでの注射によってか;例えば、心臓もしくは肺へのカテーテル注入によってか
;または手術中の局所適用による手段が挙げられるが、これらに限定されない。
用量は、必要または所望の場合に、毎日、毎週、毎月、あるいは他の選択した間
隔で繰り返され得る。
【0126】 (増加した感度(10−10未満のRCA/rAd pfu)でRCAを検出
するための迅速で定量的なPCRベースのアッセイ) 本発明はさらに、複製不能ウイルスの産生ストックにおける複製可能ウイルス
を検出するためのアッセイを提供する。詳細には、本発明は、複製インコンピテ
ントなアデノウイルスの産生ストックにおけるRCAを検出するためのアッセイ
を提供する。本発明はさらに、本発明のアッセイを利用して、複製不能ウイルス
(特に、複製インコンピテントなアデノウイルス)の産生ストックにおける、複
製可能ウイルス(特に、RCA)を検出するための方法を提供する。このアッセ
イを行うための必要な指示書および試薬を備えるキットもまた提供する。
【0127】 このアッセイは、E1欠損性の複製インコンピテントのアデノウイルス(例え
ば、本明細書中に記載のような)は、E1遺伝子座のいくつかまたは全てを欠損
するという事実に基づく。E1コード遺伝子産物は、本発明の補完細胞株によっ
て提供される。従って、宿主細胞DNAから十分に精製されたウイルス調製物に
おいて、E1遺伝子座の存在は、RCAを示す。好ましい実施形態において、シ
グナル化プローブを使用するPCRベースのアッセイ(このシグナルは、このP
CRアッセイ中にリアルタイムで検出可能でありかつ定量可能である)を使用し
て、ウイルス調製物中のE1領域の存在を決定する。特定の好ましい実施形態に
おいて、このアッセイは、Molecular Beacon技術(米国特許第
5,925,517号)および/またはTaqManTM技術(米国特許第5,
538,848号)を利用して、PCRベースのアッセイ中に生成されるシグナ
ルを測定する。米国特許第5,538,848号および同第5,925,517
号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0128】 一般に、複製不能ウイルスの大スケールの調製物を、DNAse処理に供して
宿主細胞DNAを排除するかまたは最小化し、それらのウイルス粒子を、標準的
な方法によってさらに精製し、それらのウイルス粒子を溶解し、そしてそれらの
ウイルスゲノムをPCRに供する。DNAウイルスについて、標準的PCRは、
熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、TaqポリメラーゼまたはPfuポリメ
ラーゼ)を利用する。RNAウイルス(例えば、レトロウイルス)について、R
T−PCRを使用する。これは、逆転写酵素での第1の増幅反応、および通常の
PCRでのその後の増幅反応を含む。これらの技術は、当業者に周知であり、そ
して例えば、Sambrookら、前出のような参考文献に見出される。
【0129】 PCR反応は、アンプリコンの増幅のために使用される標準的な順方向プライ
マーおよび逆方向プライマーに加えて、そのアンプリコンを検出するための少な
くとも1つのシグナル化ハイブリダイゼーションプローブもまた含む。アンプリ
コンに対するシグナル化ハイブリダイゼーションプローブのハイブリダイゼーシ
ョンに際して、検出可能なシグナル(好ましくは、蛍光シグナル)が放出され、
これは、このPCR反応の過程中に、リアルタイムでのアンプリコンの量の測定
を可能にする。
【0130】 1つの適切な実施形態は、複製不能ウイルスの産生ストックにおける複製可能
ウイルスの存在を検出するためのアッセイを提供する。これは、このウイルス産
生ストックのサンプルを、その複製可能ウイルスのゲノムの領域を増幅する順方
向プライマーおよび逆方向プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応増幅に供す
る工程であって、このゲノムの領域は、この複製不能ウイルスのゲノムからは欠
損されており、この反応は、この複製可能ウイルスの存在下で、複製可能ウイル
スに特異的な二本鎖アンプリコンを形成するように行い、これは、このサンプル
が、この複製可能ウイルスに特異的なアンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補
的な第1のシグナル化ハイブリダイゼーションプローブとハイブリダイズするの
を可能にし、ここで、第1のシグナル化ハイブリダイゼーションプローブとのハ
イブリダイゼーションは、特定の条件下でかまたは特定の検出温度以下で生じ、
これによって、第1のシグナルを放出し、ここで、第1のシグナルは、複製可能
ウイルスに特異的なアンプリコンまたはこの複製可能ウイルスのゲノムへの、こ
のプローブのハイブリダイゼーションに際してのみ検出可能である、工程;およ
びこの第1のシグナルの存在または非存在を検出する工程を包含する。この第1
のシグナルは、PCR反応の過程中でリアルタイムで検出可能であり、そしてこ
の第1のシグナルの強度は、このPCR反応中に生成された複製可能ウイルスに
特異的なアンプリコンの量と相関する。
【0131】 この実施形態において、複製不能ウイルスの産生ストックは、好ましくは、複
製インコンピテントなアデノウイルスストックであり、そしてこの複製可能ウイ
ルスに特異的なアンプリコンは、好ましくは、複製インコンピテントなアデノウ
イルスから欠損されている遺伝子産物から増幅される。複製可能ウイルスに特異
的なアンプリコンを増幅するための適切な領域としては、E1領域、E2領域ま
たはE4領域(例えば、E4ORF6)が挙げられ、これらは、本明細書中に開
示される。好ましくは、この複製可能ウイルスに特異的なアンプリコンは、E1
領域から増幅される。
【0132】 上記の実施形態から当業者が容易に認識するように、本発明の補完細胞株は、
複製不能ウイルス粒子を産生するために必要な遺伝子産物をコードするポリヌク
レオチドを含み、そして、このポリヌクレオチドは(上記で議論したようにDN
Ase処理によって十分に分解されない場合)、複製可能ウイルスに特異的なア
ンプリコンを生成するために使用される順方向オリゴヌクレオチドプライマーお
よび逆方向オリゴヌクレオチドプライマーで増幅され得る。従って、本発明の好
ましいアッセイはさらに、宿主細胞DNAの存在を測定するためのコントロール
反応を提供し、この反応は、このウイルス産生ストックのサンプルを、宿主細胞
ゲノムの領域を増幅する順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリ
ゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応増幅に供する工程であ
って、この反応は、宿主細胞DNAの存在下で、宿主細胞に特異的な二本鎖アン
プリコンを形成するように行い、これがさらに、このサンプルが、この得られた
宿主細胞特異的二本鎖アンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補的な第2のシグ
ナル化ハイブリダイゼーションプローブとハイブリダイズするのを可能にし、こ
こで、このシグナル化ハイブリダイゼーションプローブとのハイブリダイゼーシ
ョンは、特定の条件下でかまたは特定の検出温度以下で生じ、これによって、上
記の第1のシグナルと区別可能な第2のシグナルを放出し、ここで、第2のシグ
ナルは、宿主細胞特異的アンプリコンまたは宿主細胞DNAへのハイブリダイゼ
ーションに際してのみ検出可能である、工程;および第2のシグナルの存在また
は非存在を検出する工程を包含する。第1のシグナルと同様に、第2のシグナル
は、このPCR反応中にリアルタイムで検出可能であり、そして第2のシグナル
の強度は、このPCR反応中に生成された複製可能ウイルスに特異的なアンプリ
コンの量と相関する。この第2のシグナルの存在は、宿主細胞DNAの存在を示
し、そしてこれによって、この複製可能ウイルスに特異的なアンプリコンが検出
されるこのアッセイを無効にする。
【0133】 細胞特異的アンプリコンは、任意の適切な細胞遺伝子から増幅され得る。適切
な細胞遺伝子は、ウイルスゲノムに見られない遺伝子である。細胞特異的アンプ
リコンを増幅するための好ましい遺伝子は、細胞ゲノム中で複数のコピーで存在
する遺伝子であり、これは、従って、より高い感度を可能にする。細胞特異的ア
ンプリコンを増幅するための好ましい遺伝子としては、β−アクチンおよびGA
PDHが挙げられる。最も好ましいのは、β−アクチン遺伝子から細胞特異的ア
ンプリコンを増幅することである。
【0134】 特に好ましい実施形態において、複製可能ウイルスに特異的なアンプリコンお
よび細胞特異的アンプリコンの増幅は、以下に詳細に議論するような多重化と呼
ばれる技術を使用して、同じ反応チューブ中で同時に行われる。多重化は、同じ
PCR反応中の2より多い標的配列の分析および増幅を可能にし、そしてシグナ
ル化ハイブリダイゼーションプローブの使用を介して達成され、このシグナルは
、この反応をモニターする検出装置によって識別され得る。適切な検出装置は、
ABI Prisum(登録商標)7700 Unit(PE Biosyst
emsから入手可能)である。
【0135】 本発明の好ましいシグナル化ハイブリダイゼーションプローブは、Molec
ular Beacons(米国特許第5,925,517号;およびTyag
i,S.およびKramer,F.、Nature Biotech.14:3
03−308(1996)(これらの開示は、その全体が参考として本明細書中
に援用される)を参照のこと)である。Molecular Beaconsは
、内部で消光される蛍光団を有するヘアピン形状の分子であり、この蛍光は、そ
れらが標的核酸に結合したときに回復されるように設計される。これらは、この
分子のループ部分が、標的核酸分子(例えば、本発明の複製可能ウイルスに特異
的なアンプリコン)に相補的なプローブ配列である。このステムは、このプロー
ブ配列の末端の相補的アーム配列のアニーリングによって形成される。蛍光部分
は、一方のアームの末端に付着し、そして消光部分が、もう一方のアームの末端
に付着される。ステムは、これらの2つの部分を互いに密接に近位して維持し、
これは、この蛍光団の蛍光がエネルギー転移によって消光されるのを生じる。こ
の消光因子部分は、非蛍光発色団であり、そしてこの蛍光団から熱として受ける
エネルギーを放出するので、このプローブは、発光し得ない。このプローブが標
的分子に衝突した時に、このプローブは、ステムよりも長くかつより安定なハイ
ブリッドを形成し、そしてその強度および長さは、このステムハイブリッドの同
時存在を妨げる。従って、Molecular Beaconは、自発的なコン
フォメーションの再編成を受け、これが、ステムを引き離させ、そして蛍光団と
消光因子を互いに離れさせて、これが、蛍光団の回復を導く。この蛍光は、当業
者に公知の標準的な方法によって検出され得る。
【0136】 従って、好ましい実施形態において、本発明の検出アッセイは、以下を利用す
る:第1のシグナル化ハイブリダイゼーションプローブ、および好ましくはさら
に第2のシグナル化ハイブリダイゼーションプローブ(これらは、本明細書中で
第1のMolecular Beaconおよび第2のMolecular B
eaconとも呼ばれる):これらの各々は、5’および3’末端を有する、複
製可能ウイルスに特異的なアンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補的な一本鎖
ポリヌクレオチドを、その相補的ポリヌクレオチドに隣接するオリゴヌクレオチ
ドアームの対を含み、これらは、その5’末端に共有結合した5’アーム配列お
よびその3’末端に共有結合した3’アーム配列を含む。このオリゴヌクレオチ
ドアームの対は、ステム二重鎖を形成し、この二重鎖は、特定のアッセイ条件下
で特定の検出温度よりも高いが、シグナル化ハイブリダイゼーションプローブと
それぞれのアンプリコン(すなわち、複製可能ウイルスに特異的なアンプリコン
または細胞特異的アンプリコン)の相補的領域との間で形成された二重鎖の融解
温度よりも低い、融解温度を有する;および各プローブ上の、相互作用標識対:
これは、5’アーム配列に結合体化された蛍光分子および3’アーム配列に結合
体化された消光分子を含み、これらは、その5’アームと3’アームとの間のス
テム二重鎖の形成の際に、十分に密接して近位して蛍光分子からのシグナルを消
光し、ここで、この検出温度でのアッセイ条件下およびそれぞれのアンプリコン
の存在下で、このアンプリコンに対するプローブ配列のハイブリダイゼーション
は、このステム二重鎖の形成よりも優先的に生じ、これは、十分に、消光分子か
ら蛍光分子を引き離し、これによって、蛍光シグナルが検出されるのを可能にす
る。
【0137】 適切なアッセイ条件および検出温度は、当業者に認識されるように、融解温度
、ヌクレオチド組成、ならびに種々のプライマーおよびプローブの長さに基づい
て決定される。適切な条件のセットの1例を、以下の実施例5に開示する。
【0138】 好ましい実施形態において、第1のシグナル化ハイブリダイゼーションプロー
ブおよび第2のシグナル化ハイブリダイゼーションプローブは、それらの5’末
端に付着した別個の蛍光分子を含み、これは、2つの別個の蛍光シグナルが、そ
のシグナル反応チューブにおいて検出されるのを可能にする。
【0139】 広範に種々の蛍光分子が、本発明の使用に適切である。適切な分子としては、
以下が挙げられるが、これらに限定されない:6−カルボキシフルオレセイン(
6−FAM)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)、2,
7、−ジメトキシ−4,5−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE
)、ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシ
フルオレセイン(5−FAM)、6−カルボキシローダミン(R110)、N,
N’−ジメチル−2’,7’−ジメチル−6−カルボキシローダミン(R6G)
、NED、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6−カルボ
キシローダミン(ROX)、VIC、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−
4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(BODIPY FL)、[5
−[(3,5−ジフェニル−2H−ピロール−2−イリデン−κN)メチル]−
1H−ピロール−2−プロパノアト−κN1]ジフルオロボレート水素(BOD
IPY 530/550)、[N−[1−[4−[[3−[(2,3−ジヒドロ
−2−オキソ−1H−ベンズイミダゾール−4−イル)オキシ]−2−ヒドロキ
シプロピル]アミノ]−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル]−5
−[[5−(4−メトキシフェニル)−2H−ピロール−2−イリデン−κN]
メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパンアミダト−κN1
]ジフルオロボラン(BODIPY TMR)、ジフルオロ[5−5−(2−チ
エニル)−2H−ピロール−2−イリデン−κN]メチル]−1H−ピロール−
2−プロパノアト−κN1]−ホウ酸水素(BODIPY 558/568)、
ジフルオロ[5−[[5−[(1E)−2−フェニルエテニル]−2H−ピロー
ル−2−イリデン−κN]メチル]−1H−ピロール−2−プロパノアト−κN
1]ホウ酸水素(BODIPY 564/570)、ジフルオロ[5−[[5−
(1H−ピロール−2−イル)−2H−ピロール−2−イリデン−κN]メチル
]−1H−ピロール−2−プロパノアト−κN1]ホウ酸水素(BODIPY
576/589)、ジフルオロ[5−[[5−[(1E,3E)−4−フェニル
−1,3−ブタジエニル]−2H−ピロール−2−イリデン−κN]メチル]−
1H−ピロール−2−プロパノアト−κN1]ホウ酸水素(BODIPY 58
1/591)、ジフルオロ[6−[[[4−[2−[2−[[5−(2−チエニ
ル)−1H−ピロール−2−イル−κN]メチレン]−2H−ピロール−5−イ
ル−κN]エテニル]フェノキシ]アセチル]アミノ]ヘキサノアト]ホウ酸水
素(BODIPY 630/650)、1,3,6−ピレントリスルホン酸、8
−[2−[[2−[(クロロアセチル)アミノ]エチル]アミノ]−2−オキソ
エトキシ]−,三ナトリウム塩(Cascade Blue)、N−[4−[[
4−(ジエチルアミノ)フェニル][4−(エチルアミノ)−1−ナフタレニル
]メチレン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−N−エチルエタ
ンアミニウムモリブデンタングステンリン酸(Cascade Blue)、2
−[5−[1−[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6
−オキソヘキシル]−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−5−スルホ−2H
−インドール−2−イリデン]−1,3−ペンタジエニル]−1−エチル−3,
3−ジメチル−5−スルホ−3H−インドリウム内塩(Cy5)、5−[(2−
アミノエチル)アミノ]−1−ナフタレンスルホン酸(Edans)、7−ニト
ロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、2’,7’−ジフルオ
ロフルオレセイン(Oregon Green 488)、およびスルホローダ
ミン101スルホニルクロリド(Texas Red)。好ましい傾向分子とし
ては、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)およびVICが挙げられる
【0140】 同様に、広範な種々の消光分子が、本発明の使用に適している。特定の消光分
子が、種々の異なる蛍光分子を消光し得ることに注意する。従って、単一消光分
子が選択されて、第1および第2のシグナル伝達プローブに組込まれ得る。適切
な消光分子としては、(4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)
スクシンイミジルエステル(DABCYL)、4−(ジメチルアミン)アゾベン
ゼンスルホン酸(DABSYL)、1−ジメトキシトリチルオキシ−3−[O−
(N−4’−スルホニル−4−(ジメチルアミノ)−アゾベンゼン)−3−アミ
ノプロピル]−プロピル−2−O−スクシノイル−長鎖アルキルアミノ−CPG
(DABSYL−CPG)、9−(2−(4−カルボキシピペリジン−1−スル
ホニル)−3,6−ジメチル−3,6−ジフェニル)キサンチリウム(QSY )、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、およびTAMR
A−NHS−エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】 好ましい消光分子としては、DABCYLおよびTAMRAが挙げられる。
【0142】 蛍光分子および消光分子は、当業者に公知の簡単な化学プロトコールによって
既存のプローブへ結合され得る形態で市販され、そしてしばしば、製造者らによ
って供給されている。あるいは、オリゴヌクレオチドプローブ中にその合成の間
に直接取り込まれ得るヌクレオチドに共有結合した特定の分子が、利用可能であ
る。
【0143】 適切な分子標識プローブの構築は、当業者によって十分理解される概念を使用
する。分子標識プローブの領域は、PCRアニーリング温度よりも7〜10℃高
い融解温度を有する15〜33ヌクレオチド長であるべきである。このプローブ
−標的ハイブリッドの融解温度は、GCパーセントの規則を使用して推測され得
、ここで、約50またはより少ない塩基のオリゴヌクレオチドに関して、T
4(G+C)+2(A+T)(ここで、G+Cは、その鎖の中のGおよびCのオ
リゴヌクレオチドの総数であり、そしてA+Tは、その鎖の中のAおよびTのオ
リゴヌクレオチドの総数である)である。この推定は、アーム配列を添加する前
に、プローブ配列単独に対してなされるべきである。プローブ配列を選択した後
、2つの相補アーム配列が、プローブ配列の各側部に対して1つ添加されるべき
である。幹配列は、標的配列に相補的であるべきではない。この分子標識の幹領
域は、GC含量が70〜80%の5〜7bp長であるべきである。この幹の長さ
、配列およびGC含量は、融解温度がPCRプライマーのアニーリング温度より
も7〜10℃高くあるように選択されるべきである。5bpの幹は、55〜60
℃で溶解し、6bpの幹は、60〜65℃で溶解し、そして7bpの幹は、65
〜70℃で溶解する。Gヌクレオチドは、消光因子として作用し得るので、Gを
直接、蛍光色素に隣接させた分子標識の設計を回避することが、最良である(代
表的に、幹配列の5’末端)。
【0144】 分子標識ならびに順方向PCRプライマーおよび逆方向PCRプライマーの配
列は、相補性領域(これは、プライマーに結合する分子標識を引き起こし、そし
てバックグラウンドを上昇し得る)がないように設計されるべきである。分子標
識を、標的の二次構造形成が最小である領域に設計することが重要である。これ
は、鋳型が分子標識に対してよりも速く、それ自身に対して優先的にアニーリン
グすることすることを回避するのを助長する。分子標識がアンプリコン中心にか
またはアンプリコン中心付近に結合するように、この分子標識を設計することが
推奨される。上流プライマーの3’末端と分子標識(幹)の5’末端との間の距
離は、6ヌクレオチドよりも大きくあるべきである。
【0145】 分子標識は、PCR反応に関して、第1のシグナル伝達プローブおよび第2の
シグナル伝達プローブの好ましい選択であると上記されるが、他のシグナル伝達
プローブが使用され得る。例えば、TaqManTMプローブ(以下により詳細
に記載される)は、第1および/または第2のシグナル伝達プローブの好ましい
選択である。他の適切なシグナル伝達プローブとしては、Scorpions プライマー(Whitcombeら、Nature Biotech.17:
804−807(1999))、ならびに、Leeら、Biotechniqu
es 27:342−349(1999);およびBrownieら、Nucl
eic Acids Research 25:3235−3241(1997
)に記載されるプライマーまたはプローブが挙げられる。分子標識プローブは、
TaqManTMプローブよりも好ましい。なぜなら、分子標識プローブは、よ
り大きなアンプリコンの使用、および反応条件に対してより良い順応性を可能に
するからである。TaqManプローブは、単一コピー感度のアンプリコン検出
を可能にするが、これは、約150bp未満のアンプリコンに限定される。分子
標識は、(同じレベルの感度および増幅効率を達成しながら)そのサイズの制限
を被らない。
【0146】 本発明の検出アッセイにおいて、順方向PCRプライマーおよび逆方向PCR
プライマーは、できるだけ大きな複製可能ウイルス特異的アンプリコンを生成す
るために選択される。最初に、より大きなアンプリコンサイズは、宿主細胞DN
AのDNAse処理が複製不能ウイルスの精製群中の夾雑細胞DNAを十分に取
り除く可能性を増加する。なぜなら、細胞DNA(これは複製不能なウイルス粒
子の繁殖に必要とされる相補領域のコピーを含み、ゆえに、十分に除去されない
場合は疑陽性を生じる)は、アンプリコンサイズよりも小さなサイズに分解され
る必要のみがあるからである。第2に、より大きな複製可能ウイルス特異的アン
プリコンは、疑陽性結果を得る機会(これは、複製不能ウイルスベクターDNA
と複製可能ウイルスの生成を導かない補完細胞中の相補領域との間の組換え事象
(例えば、相補領域の主要でない部分のみの組換え)の結果である)を減少する
。組換えが細胞補完DNAの一部のみを含むウイルスを生成し得るが、なおこれ
らのウイルスが複製適格ではないことは、可能であり、そしてありそうなことで
ある。このアッセイにおいて複製可能ウイルス特異的遺伝子の小さな部分のみを
標的化し、そしてこの小さな領域がこの型の組換え複製不能ウイルスに現れる場
合、疑陽性である複製可能ウイルスとしてスコア付けする。
【0147】 一方、分子標識は、その相補標的に結合するためにアンプリコンの反対鎖と競
合しなければならない内部プローブである。従って、より短いアンプリコンを用
いると、分子標識がその標的に対する結合をより効果的に競合することを可能に
し、故に分子標識PCR実験の間の良好な結果を引き起こす。当業者は、最適な
結果を生成するために本発明に従うアッセイにおけるより大きなアンプリコンの
利点と、より小さなアンプリコンの利点との平衡をとることが必要であることを
理解する。最適なアンプリコンサイズの選択は、慣用的な実験のみを必要とし、
そしてこれは、当業者の能力の十分範囲内である。
【0148】 本発明のアッセイに使用されるアンプリコンの適切なサイズは、約50塩基対
長〜約2000塩基対長の範囲である。好ましいアンプリコンは、長さが、約1
00bp、約150bp、約200bp、約300bp、約400bp、約50
0bp、約600bp、約700bp、約800bp、約900bp、約100
0bp、約1250bp、約1500bp、約1750bpまたは約2000b
pである。より好ましいアンプリコンは、長さが約1000bp〜約1500b
pである。
【0149】 従って、一連の分子標識/漸増するサイズのプライマーセットが設計され、受
容可能な感度を保持する最も大きなサイズのアンプリコンを有するセットが、こ
の検出アッセイにおける使用のために選択される。RCAの検出の場合、理想の
第1の分子標識/プライマーセットは、補完細胞株に存在するE1a/E1bコ
ード領域の全体を増幅し、そして感度を維持するセットである。この分子標識/
プライマーの組合わせは、PCRベースのRCAアッセイにおける疑陽性結果の
起こり得る数を最も低くする。
【0150】 特に好ましい実施形態において、RCA特異的アンプリコンは、RCAから増
幅されるか、または順方向オリゴヌクレオチドプライマー:5’−GGTTTC
TATGCCAAACCTTGT−3’(配列番号12)および逆方向オリゴヌ
クレオチドプライマー:5’−AACATCACTGAGGAGCAGTTCT
−3’(配列番号13)を用いて補完宿主細胞DNAから増幅される。最初のシ
グナル伝達ハイブリダイゼーションプローブ/分子標識は、配列:5’−GCA
GCGAAGAAACCCATCTGAGCGGGCTGC−3’(配列番号1
4)を有する。配列番号14の5’末端に共有結合された蛍光分子は、6−カル
ボキシフルオレセイン(6−FAM)であり、配列番号14の3’末端に共有結
合された消光因子は、4−(ジメチルアミン)アゾベンゼンスルホン酸(DAB
SYL)である。好ましい細胞特異的βアクチンアンプリコンは、オリゴヌクレ
オチドプライマーを用いて補完宿主細胞DNAから増幅され、そしてStrat
agene、カタログ番号200570から購入された第2のシグナル伝達ハイ
ブリダイゼーションプローブ/分子標識で検出される。
【0151】 本発明のPCRアッセイの反応条件は、当業者が容易に理解するように、オリ
ゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの任意の特定のセットに対して最適化
されなければならない従来のPCR条件および試薬を含む。適切な試薬は、市販
される。分子標識がその相補性標的に効果的に結合する(存在する場合)アニー
リング温度、および、分子標識が幹ループコンフォメーションを採る(分子標識
が標的に結合しない場合)アニーリング温度が、選択されるべきである。
【0152】 本発明の1つの特に好ましい検出アッセイは、複製不能ウイルス産生ストック
中に存在する、複製可能ウイルス 対 総ウイルスの相対的な定量を提供する。
適切なアッセイは、10個以上の複製不能ウイルス当たり1つの複製可能ウイ
ルスの検出を可能にする。好ましくは、このアッセイは、1010個以上の複製
不能ウイルス当たり1つの複製可能ウイルスを検出する。より好ましくは、この
アッセイは、1011個、1012個またはより多くの複製不能ウイルス当たり
1つの複製可能ウイルスを検出する。最も好ましくは、このアッセイは、10 個以上の複製不能ウイルス当たり1つの複製可能ウイルスを検出する。
【0153】 相対的な定量を与えるために、この特に好ましい検出アッセイは、複製不能ウ
イルスのウイルス産生ストック中に存在する総ウイルス量の測定に対する、この
ウイルス産生ストック中の複製可能ウイルス量の測定を提供する。結果は、ウイ
ルス産生ストック中に存在するウイルス粒子の総数に対する、ウイルス産生スト
ック中に存在する複製可能ウイルス粒子の数としてプロットされる。
【0154】 従って、上記に提供される検出アッセイを組込むこの特に好ましい実施形態は
さらに、ウイルス産生ストックのサンプルを、複製可能ウイルスおよび複製不能
ウイルスの両方に共通したウイルスゲノムの領域を増幅する順方向オリゴヌクレ
オチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラ
ーゼ連鎖反応増幅に供して、その結果、ウイルス特異的二重鎖アンプリコンを形
成すること;このサンプルがウイルス特異的アンプリコンの少なくとも3分の1
に相補的である第3のシグナル伝達ハイブリダイゼーションプローブとハイブリ
ダイズすることを可能にすること(ここで、この第3のシグナル伝達ハイブリダ
イゼーションプローブを用いたハイブリダイゼーションは、特定の検出温度にお
いてかまたは特定の検出温度より下の特定の条件下で生じ、これによって第3の
シグナルを放出し、そしてここで、この第3のシグナルは、ウイルス特異的アン
プリコンまたはウイルスゲノムに対するハイブリダイゼーションの際のみに検出
可能である);および、この第3のシグナルの存在または非存在を検出すること
を提供する。
【0155】 ウイルス産生ストック中のウイルス特異的アンプリコンの相対的な量は複製可
能ウイルス特異的アンプリコンまたは細胞特異的アンプリコンのいずれかの量よ
りも十分に多いので、この第3のPCR反応は、上記のPCR反応とは別々に実
行される。この反応は、上記に詳細に考察される分子標識プローブに類似した分
子標識プローブを用いて実行され得るか、またはTaqManTMプローブを用
いて実行され得る(米国特許第5,538,848に記載される(これは、その
全体が参考として本明細書中に援用される))。PCR反応は、5’から3’の
ヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼを用いて実行され、この第3のシグ
ナル伝達ハイブリダイゼーションプローブは、蛍光分子および直鎖の一本鎖コン
フォメーション中の蛍光分子の蛍光を消光する消光分子を含む。ウイルス特異的
アンプリコンを用いた第3のシグナル伝達ハイブリダイゼーションプローブのハ
イブリダイゼーションの際、核酸ポリメラーゼは、この第3のシグナル伝達ハイ
ブリダイゼーションプローブを消化し、これによって、蛍光分子を消光分子から
分離して、検出を可能にする。
【0156】 本実施形態中に意図されるウイルス特異的アンプリコンは、複製不能ウイルス
および複製可能ウイルスの両方に共通したウイルスゲノムの任意の適切な部分か
ら増幅され得る。E1欠損複製不能アデノウイルスの場合、ウイルス特異的アン
プリコンは、E1以外の任意のアデノウイルスゲノム領域から増幅され得る。適
切な領域としては、E4領域、E2領域、pIX領域、およびL1〜L5領域の
いずれかが挙げられるが、これらに限定されない。E3領域はまた使用され得る
が、これはあまり好ましくない。なぜなら、このE3領域は、多くの複製不能ア
デノウイルスから欠損されているからである。ウイルス特異的アンプリコンを増
幅する好ましい領域は、E4領域である。
【0157】 以下の実施例は、本発明のE1補完細胞株の産生および検出可能なRCAがな
いE1欠損アデノウイルスを産生する際のその使用を例示するために提供される
。これらの実施例は、本発明の範囲を限定しない。特定の試薬および条件が以下
の実施例に概説されるが、本発明の精神および範囲によって含まれるはずである
改変がなされ得ることを、当業者は理解する。
【0158】 (実施例) (実施例1) ((A)E1補完エレメントおよびベクターpQBI−pgk−E1.1の構
築) pQBI−pgk−E1.1は、E1欠損アデノウイルスを補完し得るヌクレ
オチド配列を含むシャトルプラスミドである。pQBI−pgk−E1.1は、
Ad5 E1aおよびE1bタンパク質(8.3kDa E1bタンパク質を含
む)の全体をコードする補完エレメントを含む。この補完エレメントが天然に存
在しないヌクレオチド配列をその最3’末端(ヌクレオチド3309〜3609
の領域)に含むように、この補完エレメント設計する。この領域は、野生型E1
bをコードするが、相同組換えを可能にするAdベクター中の対応する野生型配
列と十分な相同性を含まないように、改変する。この方法において、このような
補完エレメントでトランスフェクトし、そしてE1欠損Adを複製するために使
用される細胞株は、たとえAdベクターがヌクレオチド3309〜3609に広
がる領域に野生型配列を含んでいても、RCAを生成するとは予想されない。E
1配列に対してなされたこの改変を、野生型配列の下にイタリックの塩基として
図2に示し、そしてnt3309〜3614の野生型配列を置換するために使用
されるヌクレオチド配列を、直下に配列番号(SEQ ID NO:)1として
示す。
【0159】
【化1】 配列番号1のヌクレオチド1〜201は、Ad5 E1bの55kDaタンパ
ク質をコードする新規配列の最後の67コドン(終止コドンを含む)である(太
字)。
【0160】 ヌクレオチド202は、Ad5の22S E1b RNAに対するスプライス
ドナーである(下線)。ヌクレオチド1〜201によってコードされるポリペプ
チドを配列番号2と称する。
【0161】 配列番号1のヌクレオチド203〜296は、改変SV40後期領域イントロ
ンである。
【0162】 ヌクレオチド297は、Ad5の22S E1b RNAに対するスプライス
アクセプターである(下線)。
【0163】 配列番号1のヌクレオチド298〜315は、Ad5 E1bの8.3kDa
タンパク質をコードする新規配列の最後の6コドン(終止コドンを含む)である
(太字)。ヌクレオチド298〜315によってコードされるポリペプチドを、
配列番号3と称する。
【0164】 Ad5の全E1座位を含むプラスミドpSL1180−E1は、ペンシルベニ
ア大学のJ.Wilson博士により好意により提供された。図2の3309と
3327との間に示されるサイレントな変異を、最初にポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)の使用を介して変異を含む核酸フラグメントを作製することによってp
SL1180−E1に導入し、2つのオリゴヌクレオチドプライマーセットを、
以下に示す:
【0165】
【化2】
【0166】 約1kbの生じるPCR産物を、BglIIおよびBsrGIを用いて消化し
、そしてpSL1180−E1のBglII−BsrGIの部位に戻してクロー
ン化した。これによって、「pSL1180−E1−BglII」と称するプラ
スミドを得る。6個の別々の合成オリゴヌクレオチド(図2に示されるさらなる
サイレントな変異およびSV40イントロンを含む)を、J.Virol.70
:4646(1996)(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載
される方法によって、アニーリングし、DNAポリメラーゼ IのKlenow
フラグメントを用いて充填し、そして連結した。これらの6つのヌクレオチドは
、以下である:
【0167】
【化3】
【0168】 連結されたオリゴヌクレオチドを、BglIIおよびSalIを用いて消化し
、そしてpSL1180−E1−BglIIのBglIIおよびSalI部位に
連結して、「pSL1180−E1−BglII−SalI」と称されるプラス
ミドを作製した。pSL1180−E1−BglII−SalIを、BstBI
(Klenow充填された)およびSpeIを用いて消化し、配列番号1に示さ
れる改変配列を含む改変E1補完エレメントを単離する。このフラグメントを、
pQBI−pgk−dl(pQBI−pgk、Quantum Biotech
nologies,Inc.由来)のApaI(Klenow充填された)およ
びXbaI部位に連結し、改変E1フラグメントに対してPGKプロモーターを
作動可能に結合するpQBI−pgk−E1.1を作製する。このpQBI−p
gk−E1.1プラスミドを配列決定して、導入された改変の存在を検証する。
【0169】 ((B)E1補完エレメントおよびベクターpQBI−pgk−E1.2の構
築) pQBI−pgk−E1.2は、E1欠損アデノウイルスベクターを補完し得
るヌクレオチド配列を含む別のシャトルプラスミドである。pQBI−pgk−
E1.2はまた、Ad5 E1aおよびE1bタンパク質(8.3kDa E1
bタンパク質を含む)の全体をコードする補完エレメントを含む。この補完エレ
メントが天然に存在しないヌクレオチド配列をその最3’末端(ヌクレオチド3
510〜3609の領域)に含むように、補完エレメントを設計する。この方法
において、このような補完エレメントでトランスフェクトされ、そしてE1欠損
Adを複製するために使用される細胞株は、たとえAdベクターがヌクレオチド
3510〜3609に広がる領域に野生型配列を含んでいても、RCAを生成す
るとは予想されない。pQBI−pgk−E1.2においてE1配列に対してな
されたこの改変を、図2に四角で囲んだヌクレオチド置換として図式で示し、そ
してnt3309〜3614の野生型配列を置換するために使用されるヌクレオ
チド配列を、直下に配列番号19として示す。
【0170】
【化4】 配列番号19のヌクレオチド1〜201は、Ad5 E1bの55kDaタン
パク質をコードする天然に存在する配列の最後の67コドン(終止コドンを含む
)である(二重下線)。配列番号19のヌクレオチド1〜201によってコード
されるポリペプチドを、配列番号2として示す。
【0171】 配列番号19のヌクレオチド202は、Ad5の22S E1b RNAに対
するスプライスドナーである(一重下線)。
【0172】 配列番号19のヌクレオチド203〜296は、改変SV40後期領域イント
ロンである。
【0173】 配列番号19のヌクレオチド297は、Ad5の22S E1b RNAに対
するスプライスアクセプターである(一重下線)。
【0174】 配列番号19のヌクレオチド298〜315は、Ad5 E1bの8.3kD
aタンパク質をコードする新規配列の最後の6コドン(終止コドンを含む)であ
る(太字)。配列番号19のヌクレオチド298〜315によってコードされる
ポリペプチドを、配列番号3と称する。
【0175】 プラスミドpQBI−pgk−E1.2を、(A)に使用した標準技術と類似
した技術を用いて開始プラスミドpSL1180−E1から調製する。このpQ
BI−pgk−E1.2プラスミドを配列決定して、導入された改変の存在を検
証する。
【0176】 ((C)E1補完エレメントおよびベクターpQBI−pgk−E1.3の構
築) pQBI−pgk−E1.3は、E1欠損アデノウイルスベクターを補完し得
るヌクレオチド配列を含むシャトルプラスミドである。pQBI−pgk−E1
.3は、E1aおよびE1bタンパク質(8.3kDa E1bタンパク質を含
む)の全体をコードする補完エレメントを含む。この補完エレメントが天然に存
在しないヌクレオチド配列をその最3’末端(ヌクレオチド3309〜3609
の領域)に含むように、この補完エレメントを設計する。この領域は、この領域
が比較的少ないヌクレオチド置換(図2に下線で示される)(これは、15ヌク
レオチド毎に約1つの置換で間隔が空いている)を含む以外、pQBI−pgk
−E1.1と同様に改変される。pQBI−pgk−E1.3においてE1配列
に対してなされたこの改変を、図2に図式で示し、そしてnt3309〜361
4の野生型配列を置換するために使用されるヌクレオチド配列を、直下に配列番
号18として示す。
【0177】
【化5】 配列番号18のヌクレオチド1〜201は、Ad5 E1bの55kDaタン
パク質をコードする新規配列の最後の67コドン(終止コドンを含む)である(
太字)。配列番号18のヌクレオチド1〜201によってコードされるポリヌク
レオチドを、配列番号2として示す。
【0178】 ヌクレオチド202は、Ad5の22S E1b RNAに対するスプライス
ドナーである(下線)。
【0179】 配列番号1のヌクレオチド203〜296は、改変SV40後期領域イントロ
ンである。
【0180】 ヌクレオチド297は、Ad5の22S E1b RNAに対するスプライス
アクセプターである(下線)。
【0181】 配列番号1のヌクレオチド298〜315は、Ad5 E1bの8.3kDa
タンパク質をコードする新規配列の最後の6コドン(終止コドンを含む)である
(太字)。ヌクレオチド298〜315によってコードされるポリペプチドを、
配列番号3として示す。
【0182】 プラスミドpQBI−pgk−E1.3を、実施例1(A)に使用した標準技
術と類似した技術を用いて開始プラスミドpSL1180−E1から調製する。
このpQBI−pgk−E1.3プラスミドを配列決定して、導入された改変の
存在を検証する。
【0183】 (実施例2) (E1発現のためのpQBI−pgk−E1.1、pQBI−pgk−E1.
2、およびpQBI−pgk−E1.3プラスミドの機能的試験) 実施例7に記載されるように生成された、プラスミドpQBI−pgk−E1
.1、pQBI−pgk−E1.2、およびpQBI−pgk−E1.3が、E
1欠損アデノウイルス複製を補完し得るか否かを決定するために、製造業者の指
示に従って、Lipofectamine(Life Technologie
s,Inc.,Gaithersburg,MDから入手可能)を使用してプラ
スミドDNAを用いて、6ウェルプレート中のHeLa細胞の単層を、一過的に
トランスフェクトした。次いで、そのE1領域に緑色蛍光タンパク質(GFP)
発現カセットを含むE1欠損組換えアデノウイルスを細胞に添加した(0.1p
fu/細胞)。翌日、吸着していないウイルス粒子を除去するために、単層を広
範に洗浄した。トランスフェクション/感染の48時間後に細胞を収集し、抽出
物を作製し、そして、粗製のHeLa細胞抽出物の連続希釈液を用いて、293
細胞(標準的なE1−補完細胞株)感染することによってによって、E1欠損ア
デノウイルスの存在を検出した。感染の24時間後、293細胞をGFPの発現
について調査し、GFPは、一過的にトランスフェクトされたプラスミド構築物
が機能的なE1遺伝子産物を発現する場合に限り、HeLa細胞中で産生された
ウイルスによって合成される。このアッセイにおけるE1欠損Ad複製の程度は
、293細胞を発現するGFPの数に直接的に比例する。これは、補完プラスミ
ドpQBI−pgk−E1.1、pQBI−pgk−E1.2、およびpQBI
−pgk−E1.3、pQBI−pgk−dl(ネガティブコントロール)でト
ランスフェクトされた細胞と、ポジティブコントロールとしてのプラスミド含有
野生型Ad5 E1との間で直接的に比較され得る。
【0184】 pQBI−pgk−E1.1で一過的にトランスフェクトした細胞は、約7×
10の最初に一過的にトランスフェクトしたHeLa細胞から約2×10
形質導入単位を生じた;pQBI−pgk−E1.2で一過的にトランスフェク
トした細胞は、約7×10の最初に一過的にトランスフェクトしたHeLa細
胞から約2×10の形質導入単位を生じた;およびpQBI−pgk−E1.
3で一過的にトランスフェクトした細胞は、約7×10の最初に一過的にトラ
ンスフェクトしたHeLa細胞から約9×10の形質導入単位を生じた。この
結果は、3つのプラスミドの各々が、期待されたようにE1欠損アデノウイルス
を補完することを示す。最も大きい数の沈黙ヌクレオチド置換を有するプラスミ
ド(すなわち、pQBI−pgk−E1.1)は、E1欠損アデノウイルスベク
ターを補完する際に最も効率的であるようである。
【0185】 (実施例3) (安定したE1補完細胞株の生成) 標的細胞株WI−38およびMRC−5をプラスミドpQBI−pgk−E1
.1でトランスフェクトし、以下のように持続性の安定してトランスフェクトさ
れたE1補完細胞株を樹立した。細胞を6cmのシャーレで増殖し、そして標準
的な手順を使用して10μgのpQBI−pQBI−pgk−E1.1および1
μgのpIRES1neoで同時トランスフェクトした(Wangら、1995
)。トランスフェクションの24時間後、トランスフェクトした細胞を新しい培
地中で1:20に分割した。培養プレートへの細胞の付着後、標準的な手順に従
って、WI−38およびMRC−5細胞について以前に試験した最も最適な選択
濃度まで、G418を添加した。かなり大きいコロニーが形成されるまで、G4
18を3〜4日毎に増殖培地中に補充した。十分に形成されたコロニーを選択し
、膨張し、そして特徴付けた。
【0186】 各細胞クローンをウエスタンブロット分析を使用してE1遺伝子産物の発現に
ついて調査した。別々に、各クローンを、上記のようにE1欠損Ad組換え体の
増殖を補助するためのその能力について試験した。この機能的なウイルス補完ア
ッセイを24ウェルプレート中で行ない、それらの有効性についてのすぐ後に細
胞クローンを試験した。最も高い力価のE1欠損アデノウイルスを生成するクロ
ーンをさらに特徴付けた。この特徴付けは、導入遺伝子コーピー数の推定を獲得
するための染色体DNAのサザンブロッティングおよび挿入されたDNAの性質
を特徴付けるための詳細な制限分析(例えば、コンカテマー、多重インサートな
ど)を含む。
【0187】 存在する場合、E1補完細胞株におけるE1欠損Adの継代によって産生され
たRCAのレベルを決定するために、標準的なRCAアッセイを記載されるよう
に行なった(J.Virol.1996,70:8459)。手短に言うと、E
1欠損アデノウイルスの調製物を使用して非補完細胞(A549細胞)を感染し
た。感染した細胞を約14日間培養した。CPEの非存在下で、抽出物を感染し
た細胞から調製し、そして新鮮な細胞に継代した。細胞の培養をさらに14日間
続けた。これらの培養物におけるアデノウイルスの増殖についての証拠は、視覚
的な検査、ウイルスプラークを探すこと、または培養物におけるより一般的なウ
イルス誘導性CPEによって評価される。この型の生物学的増幅アッセイは、E
1欠損Adの約1010pfuにおいて約1〜3pfuのRCAの感受性を有す
る。
【0188】 (実施例4) (複製不能アデノウイルスの産生ストックのDNase処理および精製) 複製不能アデノウイルスの産生ストックを、実施例3において記載されるよう
に、E1補完細胞株において生成した。細胞を標準的なウイルス学的手順を使用
して感染させ、そして、この感染を最大の細胞変性効果まで進めた。次いで、感
染した細胞を2〜3回の凍結解凍に供し、そして、得られた溶解物を遠心分離し
て細胞残渣を除去し、そして、アデノウイルス粒子を含む上清を回収した。ウイ
ルス粒子を標準的な方法(例えば、HPLC、カラムクロマトグラフィーまたは
密度勾配遠心分離)によってさらに精製した。産生ストックの遠心分離を補完細
胞株に対するアッセイに関するプラークアッセイによって推定し、そして、約1
13pfuに等しい産生ストックのサンプルを採取して、複製コンピテントウ
イルスについてアッセイした。産生ストックの残りをさらなる処方のために凍結
する。このサンプルを約2mM Mg++に調整し、そして、約50〜約500
0ユニット/mlのDNAseIを添加して、キャプシドに包まれていない、混
入細胞性DNAを分解する。DNAse消化を、約37℃で約1〜24時間か、
または、以下で議論されるPCR検出アッセイにおいて混入細胞性DNAがもは
や増幅可能でなくなるまでインキュベートした。DNAse消化後、試験される
サンプル中のウイルス粒子を、例えば、温和な界面活性剤を使用して溶解した。
【0189】 (実施例5) (複製不能アデノウイルスの産生ストックにおける複製アデノウイルスを検出
するためのPCRアッセイ) 複製不能アデノウイルスの産生ストックを、実施例4に記載されるように調製
された、ウイルスDNAのサンプル上の3つのパラメーターを測定することによ
って、複製成分の存在についてアッセイした。このサンプルは、1013コピー
を超えるアデノウイルスDNAを含むと推定される。少量のアリコート(約10 コピーのAd DNAを含む)を取り出して、合計のアデノウイルスDNAコ
ピーを正確に測定する。DNAサンプルを、正方向プライマー5’−ATGAC
ACGCATACTCGGAGCT−3’(配列番号15)および逆方向プライ
マー5’−GCCGCCATGCAACAA−3’(配列番号16)を使用して
PCR増幅した。これらのプライマーは、Ad5完全ゲノム(GenBank
登録番号M73260)のヌクレオチド34884からヌクレオチド34995
のAd5 E4領域まで伸長するAd5 E4領域の67bpフラグメントを増
幅するように設計されている。TaqManTMPCR反応をPE/Appli
ed Biosystemsから入手可能なPCR試薬(部品番号402823
)を使用して、そして製造業者のプロトコルに従って行なった。TaqMan プローブをAd5 E4遺伝子について特異的となるように設計し、製造業者
の指示に従って、反応液に添加した。このプローブは、配列5’−TGCTAA
CCAGCGTAGCCCCGATGT−3’(配列番号17)を有し、そして
、5’末端上の蛍光分子VICおよび3’末端上の消光分子6−カルボキシテト
ラメチルホダミン(TAMRA)で標識した。PCR反応が蛍光のリアルタイム
測定を可能にするサーモサイクラー(例えば、PE/Applied Bios
ystemsから入手可能なABI Prism 7700 Sequence
Detection System)中で実行される。この反応は、一定期間
、蛍光強度の増加についてモニターされ、そして、結果は、標準曲線に相関する
。得られた結果を50μl PCRサンプル中に存在するウイルスDNAコピー
の数として表した。
【0190】 残りのウイルスDNAサンプルを1ウェルあたり1マイクログラムで96ウェ
ルプレートのウェル中に分配した。このアッセイの96ウェルプレートフォーマ
ットは、大きいバッチサイズに役立つ。1011コピーのアデノウイルスゲノム
は、約4ミリグラムのDNAであり、これは、96ウェルプレートのたった4ウ
ェルのみを必要とするが、1013コピーは、容易に収容されるのに約4プレー
トを必要とする。E1およびβ−アクチン遺伝子の両方の増幅および検出は、同
時に多数の技術を使用して各ウェル中で行なわれる。各96ウェルプレート上の
3つのさらなるウェルを1〜2コピーのE1含有DNAおよび1〜2コピーのア
クチン含有DNAを用いてスパイクした。これらのコントロールは、標的DNA
が検出可能な低コピー数で試験ウェルのうちの1つに存在するか否かを保証する
【0191】 PCRおよびMolecular Beacon検出を標準的な試薬および方
法を使用して行なった。これらは、例えば、SentinelTM Molec
ular Beacon PCR Core Reagent KitおよびS
entinelTM Molecular Beacon β−アクチン検出キ
ット、共にStratageneから入手可能(それぞれ、カタログ番号600
500、および200570、マニュアルは、オンラインで入手可能(http
://www.stratagene.com/manuals/index.
shtm))(2000年4月7日訪問)を提供する指導マニュアルにおいて見
出され得る。E1補完エレメントについてのPCRプライマーは、正方向オリゴ
ヌクレオチドプライマー5’−GGTTTCTATGCCAAACCTTGT−
3’(配列番号12)および逆方向オリゴヌクレオチドプライマー5’−AAC
ATCACTGAGGAGCAGTTCT−3’(配列番号13)であり、これ
らは、完全なAd5ゲノム(GenBank登録番号M73260)のE1a領
域のおよそヌクレオチド886からSV40由来の異種イントロン内(すなわち
、配列番号1、配列番号18、および配列番号19のおよそヌクレオチド262
からおよそヌクレオチド283)まで伸長するAd5 E1補完エレメントの領
域を増幅する。鋳型として実施例1Aに記載されるように生成された3つの補完
エレメントのいずれかを使用して、これらのプライマーを用いるPCR増幅は、
約2.6kgのアンプリコンを生成する。あるいは、正方向および逆方向プライ
マーの両方は、E1領域のヒトアデノウイルス配列に適切に由来し得る。E1
Molecular Beaconプローブは、配列
【0192】
【化6】 を有する。配列番号12の5’末端に共有結合する蛍光分子はVICであり、そ
して配列番号12の3’末端に共有結合された消光因子は、4−(ジメチルアミ
ン)アゾベンゼンスルホン酸(DABSYL)である。E1b遺伝子に対して相
補的なE1 Molecular Beaconプローブが下線部であり、そし
てこの領域は、完全なAd5ゲノム(GenBank登録番号M73260)の
およそヌクレオチド2026からおよそヌクレオチド2045まで伸長するAd
5遺伝子の領域にハイブリダイズする。相補的な配列の非存在下におけるハーピ
ン由来の5’および3’アームの部分を太字で示す。E1検出のためのMole
cular Beaconは、5’アームに共有結合したVICおよび3’アー
ムに共有結合された消光分子DABCYLを含む。β−アクチンの検出のための
PCRプライマーMolecular BeaconをStratageneよ
り購入し、そして製造業者の指示に従って使用した。β−アクチンプローブは、
5’アームに共有結合した蛍光分子6−カルボキシフルオロセイン(6−FAM
)および3’アームに共有結合した消光分子DABCYLを含む。
【0193】 増幅および検出反応を、いくつかの異なった波長(例えば、ABI PRIS
M 7700ユニット)で蛍光発光の同時検出および測定を可能にするサーモサ
イクラーを使用して、96ウェルプレートフォーマット中で実行した。この反応
は、95℃で2分の変性工程で開始し、約40サイクルの増幅が後に続く。各工
程は、95℃で30秒の変性工程、約50〜60℃で1分間のアニーリング工程
、および72℃で30秒の伸長工程を有する。サーモサイクラーを設定して、各
サイクルのアニーリング/伸長工程間の蛍光を検出および報告する。結果を増幅
プロットとして示し、これは、PCR反応中で完了したサイクル数の関数として
蛍光分子の各々の強度を測定する。
【0194】 E1 DNAについて検出された任意のシグナルが、最終DNA調製物中に存
在し得る非常に少量の細胞性DNAではなく、実際にRCA由来であることを保
証するために、全体のDNAサンプル中のこれらのDNA配列の各々を同時増幅
および測定することが必須である。例えば、50μgのウイルスDNAを96ウ
ェルプレートの50ウェル中で上記のように試験し、そして、E1 DNAにつ
いてのシグナルをウェルの1つで検出した。シグナルが細胞性DNAではなくウ
イルス由来であることを確かめることが不可避である。これは、同じ50μg(
50ウェル)のウイルスDNA中の細胞性遺伝子、この場合はβ−アクチン、を
測定することによって達成される。
【0195】 TaqMan E4 PCR反応およびMolecular Beacon増
幅/検出反応において回収されたデータを組み合わせて、1013複製不能アデ
ノウイルスゲノムあたりに存在する複製コンピテントなアデノウイルスの数を決
定する。このアッセイを使用するRCAの存在についての基準は、βアクチンD
NAについてのシグナル(すべてのキャプシド形成されていないDNAがサンプ
ルから取り出された指標として)および標的化されたE1 DNA配列のいずれ
の検出レベルも欠いている。β−アクチンおよびE1 DNAの両方がアッセイ
で検出される場合、アッセイは有効でなく、そしてこの分析は、複製不能アデノ
ウイルスの産生ストックの新しいサンプルに関して行なわれる必要があり、この
サンプルは、実施例4に記載されるように、さらなるDNAse消化に供される
【0196】 (実施例6) (複製不能アデノウイルスの産生ストックから採取されたサンプル中のウイル
スDNAについて濃縮するためのハイブリッド選択) 細胞性DNAの存在が、アッセイにおける問題を提示する場合、ハイブリッド
選択アプローチを使用して、サンプルのウイルスDNAを濃縮する。RCA由来
のDNAゲノムの存在についてウイルスDNAの調製物を濃縮するために、ゲノ
ムをハイブリッド選択を使用するために選択した(Jagus,R.Meth.
Enzymol.152:567−572(1987))。E1遺伝子およびβ
−アクチン遺伝子を含む細菌プラスミドを膜フィルターに固定した。これらのフ
ィルターを使用して、実施例4に記載されるように調製された最終精製ウイルス
DNAゲノムサンプルをハイブリダイズした。細胞性DNAおよびRCA由来の
DNAは、フィルター上のプラスミド中のE1 DNAにハイブリダイズするが
、ウイルスの大多数由来のDNA(E1欠損rAd)はハイブリダイズせず、ハ
イブリダイゼーション後に洗い落とされる。ハイブリダイズした細胞性DNAお
よびRCA由来のDNAは、加熱によってフィルターから溶離され、溶離したD
NAを回収してエタノール沈殿する。この細胞性遺伝子ハイブリッド−選択は、
偽陽性結果(すなわち、ウイルスDNAではなく細胞性DNAに由来するE1に
ついてのシグナル)を獲得する可能性を減少する。フィルター上に固定された少
量の配列の混入を避けるために、プラスミドにクローン化されたE1 DNAの
フラグメントは、PCRアッセイにおいて使用されるアンプリコンよりも小さい
。従って、それは、PCRプライマーのための結合部位を含まず、それゆえ増幅
されない。
【0197】 (実施例7) (E1補完エレメントおよびベクターpQBI−pgk−E1.1、pQBI
−pgk−E1.2、およびpQBI−pgk−E1.3の構築) 実施例1に記載されるように、シャトルプラスミドpQBI−pgk−E1.
1、pQBI−pgk−E1.2、およびpQBI−pgk−E1.3を以下の
方法によって構築した。
【0198】 ((a)pQBI−pgk−E1.2の生成) 図2に示されるように、SV40イントロンの5’部分(すなわち、配列番号
1、配列番号18、または配列番号19のヌクレオチド202〜243)を以下
のようにプラスミドpSL1180−E1に導入した。E1遺伝子の一部および
SV40イントロンの一部を含む核酸フラグメントをpSL1180−E1を鋳
型として使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を介して生成し、そし
て2つのオリゴヌクレオチドプライマーを以下に開示する:
【0199】
【化7】 BamHIおよびBsrG1をpSL1180−E1のBamHI−BsrG
I部位へクローン化した。得られたプラスミドをpSL1180−E1−Bam
HI(#99)と命名した。次いで、プラスミドpSL1180−E1−Bam
HIをHindIIIを用いて消化し、E1遺伝子の上流部分の約2.3kbを
除いた。E1フラグメントの始めに位置する上流SalI部位を除去するために
、残りのプラスミドを再び連結して、pSL1180−E1−BamHI−dl
(#104)を得た。
【0200】 BamHI部位の下流のSV40イントロンの一部および沈黙突然変異を有す
る8kD E1bタンパク質の最後の6コドン(終止コドンを含む)(すなわち
、配列番号19のヌクレオチド244〜315)を以下のようにpSL1180
−E1−BamHI−dlに導入した。以下の相補的なオリゴヌクレオチドをア
ニールした:
【0201】
【化8】 これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングは、5’末端のBamHI突出末
端および3’末端のSalI突出末端を生じた。pSL1180−E1−Bam
HI−dl(#104)をBamHIおよびSalIによって消化し、そして、
アニールしたオリゴヌクレオチドと連結してpSL1180−E1−BamHI
−dl−SalI(#106)を作製した。配列分析は、配列が正確であったこ
とを示した。
【0202】 次いで、プラスミドpSL1180−E1−BamHI−dl−SalI(#
106)をHindIIIで消化して、そしてpSL1180−E1由来の約2
.3kbのHindIIIフラグメントと連結して、全E1フラグメントを再構
築した。この操作は、pSL1180−E1−BamHI−SalI(#109
)を生じた。
【0203】 プラスミドpQBI−pgk−dlは、pQBI−pgk(Quantum
Biotechnologies,Inc.から入手可能)に由来し、PstI
を用いる消化およびセルフライゲーションによって、Ad TPL、GFP、お
よびNeo遺伝子を取り出し、pQBI−pgk−dl(#107)を得た。
【0204】 プラスミドpQBI−pgk−dl(#107)をBglIIによって消化し
、Klenowを用いる充填反応が続き、次いで、XhoIで消化してpgkプ
ロモーターを含む約570bpのフラグメントを得た。次いで、このフラグメン
トをSpeIで消化したpSL1180−E1−BamHI−SalI(#10
9)に連結し、Klenowで充填し、次いでXhoIで消化し、pQBI−p
gk−E1.2−dlpA(#116)を作製した。
【0205】 次いで、プラスミドpQBI−pgk−E1.2−dlpA(#116)をB
srGIおよびSalIによって消化し、上記のようにPCR増幅されたE1遺
伝子の一部、SV40イントロン、および沈黙突然変異を有する8kDのE1b
タンパク質の最後の6コドン(終止コドンを含む)を含む約1377bpのフラ
グメントを獲得した。pQBI−pgk−E1.2−dlpA(#116)の第
2のサンプルをBstBIで消化し、Klenowを用いる充填反応に供し、次
いで、BsrGIで消化し、約5459bpのプラスミド骨格フラグメントを得
た。プラスミドpQBI−pgk−dl(#107)をXhoIおよびPvuI
Iで消化して、BGHポリアデニル化配列を獲得した。これらの3つのフラグメ
ントを連結して、pQBI−pgk−E1.2(#121)(E1.2の最終構
築物)を作製した。図2に示されるBglII部位の前の約19ヌクレオチドか
ら伸長し、そして図2に示される配列の末端まで伸長するpQBI−pgk−E
1.2の領域を配列番号19として本明細書中に記載する。
【0206】 ((b)pQBI−pgk−1.1の生成) 配列番号1のおよそヌクレオチド20からおよそヌクレオチド243まで伸長
する沈黙突然変異を取り込む核酸分子を3つの重複する組の相補的なヌクレオチ
ドをアニーリングすることによって作製した。オリゴヌクレオチド対は以下のよ
うである:
【0207】
【化9】 アニールした核酸分子を、BglIIおよびBamHIで消化したプラスミド
pQBI−pgk−E1.2(#121)に連結し、pQBI−pgk−E1.
1−オリゴ(#122)を作製した。
【0208】 図2の最初の18ヌクレオチド(すなわち、配列番号1のヌクレオチド1〜1
8)に示される沈黙突然変異を、鋳型としてのpSL1180−E1および以下
に示される2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)の使用を介して突然変異を含む核酸フラグメント生成することによ
って、pQBI−pgk−E1.1−オリゴ(#122)に導入した:
【0209】
【化10】 約1kbの得られたPCR産物をBglIIおよびBsrGIで消化して、そ
してpQBI−pgk−E1.1−オリゴ(#122)のBglIII−Bsr
GI部位にクローン化した。得られたプラスミドをpQBI−pgk−E1.1
(#123)(E1.1の最終構築物)と命名した。図2に示されるBglII
部位の前の約19ヌクレオチドから伸長して、そして図2に示される配列の末端
まで伸張するpQBI−pgk−E1.1の領域を、配列番号1として本明細書
中に記載する。
【0210】 ((c)pQBI−pgk−E1.3の生成) 図2の最初の18ヌクレオチド(すなわち、配列番号18のヌクレオチド1
5)に示される単一の下線部の沈黙突然変異を、鋳型としてのpSL1180−
E1および以下に示される2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリ
メラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を介して突然変異を含む核酸フラグメント生
成することによって、pQBI−pgk−E1.1−オリゴ(#122)に導入
した:
【0211】
【化11】 約1kbの得られたPCR産物をBglIIおよびBsrGIで消化して、そ
してpQBI−pgk−E1.1−オリゴ(#122)のBglIII−Bsr
GI部位にクローン化した。得られたプラスミドをpQBI−pgk−E1.3
(#125)と命名した。
【0212】 配列番号18のおよそヌクレオチド20からおよそヌクレオチド278まで伸
長する沈黙突然変異を取り込む核酸分子を、相補的なヌクレオチドの4つの重複
する組をアニーリングすることによって作製した。 オリゴヌクレオチドプライマー対は以下のようである:
【0213】
【化12】 アニールした核酸分子を、BglIIおよびApaIで消化したpQBI−p
gk−E1.3(#125)に連結し、pQBI−pgk−E1.3(#127
)(E1.3の最終構築物)を作製した。図2に示されるBglIIの前の約1
9ヌクレオチドから伸長し、そして図2に示される配列の末端まで伸長するpQ
BI−pgk−E1.3の領域を配列番号18として本明細書中に記載する。
【0214】 E1構築物の3つ全ての型は、PCR増幅およびオリゴ修飾領域を検証するた
めに配列決定される。
【0215】 この明細書中に引用されるすべての刊行物は、本明細書中に参考として援用さ
れる。本発明は、特定の好ましい実施形態に参照して記載されるが、本発明の精
神から逸脱することなく改変が行なわれ得ることが理解される。このような改変
は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1の方法により作製される、改変されたE1補完エレメントの
概略図である。第1列目(Wt Ad5)は、野生型(wt)の5型アデノウイ
ルス(Ad5)のDNAにおけるE1領域の位置を示す。第2列目(Wt E1
領域)は野生型E1およpIX遺伝子の拡大であり、E1aおよpIXタンパク
質それぞれの翻訳開始および終止に対応するnt数を示す。第3列目は、第2列
目の野生型E1に合わせて並べた、改変されたE1補完エレメントの概略図であ
る。異種構成性プロモーター(例えば、PGK)は「pm」と示され、そしてポ
リアデニル化シグナル(例えば、ウシ成長ホルモンまたはSV40由来のもの)
は「pA」と示される。補完エレメント中のE1bコード配列の3’末端にある
nt3311と3609との間の黒塗りの領域は、ベクターのE1配列と補完細
胞株のE1配列との間の相同組換えを防ぐために設計された静的な変異を表す。
第4列目は、実施例のようなヒトβ−インターフェロンを発現するE1欠損Ad
5ベクターの概略を示す。この概略図から見られ得るように、癌に罹患したヒト
患者における安全性試験が現在行なわれているこのベクターは、E1b遺伝子の
3’部分から長い伸長配列を含む。
【図2】 図2は、実施例1および実施例7に従い構築された補完エレメントのnt33
09−3614由来のヌクレオチド配列を示す。野生型Ad5 DNA配列は三
塩基コドンで示す。アミノ酸の一文字表記は、各野生型コドンの最初のntのす
ぐ上に示される。実施例1(A)および実施例7に基く補完エレメントpQBI
−pgk−E1.1に導入される静的なヌクレオチド置換は、野生型Ad5配列
の置き換えられるヌクレオチドのすぐ下に、イタリック文字で示される(この補
完エレメントは、下線を引いたものおよび文字を囲んだものを含む、野生型配列
の下に示すすべての置換を含む)。実施例1(B)および実施例7に基く補完エ
レメントpQBI−pgk−E1.2に導入される静的なヌクレオチド置換は、
野生型Ad5ヌクレオチドから得た配列において置き換えられるヌクレオチドの
すぐ下に、四角で囲まれたイタリック文字で示される。実施例1(C)および実
施例7に基く補完エレメントpQBI−pgk−E1.3に導入される静的なヌ
クレオチド置換は、野生型Ad5ヌクレオチドから得た配列において置き帰られ
るヌクレオチドのすぐ下に、下線を引いたイタリック文字で示される。野生型E
1bイントロンの境界線は下向きの矢印で示される。SDと印をつけられた矢印
はスプライスドナー部位であり、そしてSAと印をつけられた矢印はスプライス
アクセプター部位である。イントロン内の太文字はpIXプロモーター内のTA
TA boxを表す。実施例1および実施例7に示されるように、イントロンの
下のイタリック文字の配列は、3つの補完エレメントそれぞれにおいて野生型E
1bイントロンを置き換えるために用いられるSV40後期領域イントロンの配
列である。アスタリスクは、55−かまたは8.3kDaのE1bタンパク質の
いずれかの翻訳終止コドンを表す。BglIIは野生型Ad5の制限酵素部位を
表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 G01N 33/566 G01N 33/53 33/569 L 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/569 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ペルーソ, リチャード ダブリュー. アメリカ合衆国 ニュージャージー 08052, メープル シェイド, アダム ス ドライブ 1 ビー Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA32 CA04 CA09 DA02 EA02 EA04 GA11 HA08 HA09 HA11 4B063 QA01 QA08 QA17 QQ10 QQ42 QR08 QR32 QR42 QR50 QR62 QR66 QR79 QS03 QS25 QS36 QX02 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93X AA95X AA95Y AB01 AC20 BA16 BA30 CA44

Claims (74)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然に存在するアデノウイルスポリペプチドの少なくとも5
    つの連続するアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分
    子であって、ここで、該ポリヌクレオチドの配列は、天然に存在するアデノウイ
    ルスヌクレオチド配列ではない、核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記アデノウイルスポリペプチドが、アデノウイルス複製に
    必須である、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドが、E1ポリペプチドの少なくとも5
    つの連続するアミノ酸をコードする、請求項1に記載の核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記ポリヌクレオチドが、約8.3kDaのE1bポリペプ
    チドの少なくとも5つの末端アミノ酸をコードする、請求項3に記載の核酸分子
  5. 【請求項5】 前記ポリヌクレオチドの前記配列が、以下: (a)配列番号1のヌクレオチド1〜198 (b)配列番号1のヌクレオチド298〜312 (c)配列番号1のヌクレオチド1〜315 (d)配列番号18のヌクレオチド1〜198 (e)配列番号18のヌクレオチド298〜312 (f)配列番号18のヌクレオチド1〜315 (g)配列番号19のヌクレオチド298〜312;および (h)配列番号19のヌクレオチド1〜315。 からなる群から選択される、請求項3に記載の核酸分子
  6. 【請求項6】 前記ポリヌクレオチド(a)の配列である、請求項5に記載
    の核酸分子。
  7. 【請求項7】 前記ポリヌクレオチド(b)の配列である、請求項5に記載
    の核酸分子。
  8. 【請求項8】 前記ポリヌクレオチド(c)の配列である、請求項5に記載
    の核酸分子。
  9. 【請求項9】 前記ポリヌクレオチド(d)の配列である、請求項5に記載
    の核酸分子。
  10. 【請求項10】 前記ポリヌクレオチド(e)の配列である、請求項5に記
    載の核酸分子。
  11. 【請求項11】 前記ポリヌクレオチド(f)の配列である、請求項5に記
    載の核酸分子。
  12. 【請求項12】 前記ポリヌクレオチド(g)の配列である、請求項5に記
    載の核酸分子。
  13. 【請求項13】 前記ポリヌクレオチド(h)の配列である、請求項5に記
    載の核酸分子。
  14. 【請求項14】 前記ポリヌクレオチドの配列が、天然に存在するアデノウ
    イルスヌクレオチド配列と97%未満であるが、約60%を超えて同一である、
    請求項1に記載の核酸分子。
  15. 【請求項15】 前記ポリヌクレオチドの配列が、天然に存在するAd5ヌ
    クレオチド配列と90%未満同一である、請求項15に記載の核酸分子。
  16. 【請求項16】 前記ポリヌクレオチドの配列が、配列番号20のヌクレオ
    チド1〜198と97%未満であるが、約60%を越えて同一である、請求項1
    4に記載の核酸分子。
  17. 【請求項17】 前記ポリヌクレオチドの配列が、配列番号20のヌクレオ
    チド287〜301と97%未満であるが、約60%を越えて同一である、請求
    項14に記載の核酸分子。
  18. 【請求項18】 前記ポリヌクレオチドの配列が、配列番号20のヌクレオ
    チド1〜198と90%未満同一である、請求項16に記載の核酸分子。
  19. 【請求項19】 前記ポリヌクレオチドの配列が、配列番号20のヌクレオ
    チド287〜301と90%未満同一である、請求項17に記載の核酸分子。
  20. 【請求項20】 前記ポリヌクレオチドが、ストリンジェントな条件下で天
    然に存在するアデノウイルスポリヌクレオチドとハイブリダイズしない、請求項
    1に記載の核酸分子。
  21. 【請求項21】 前記天然に存在するアデノウイルスポリヌクレオチドが配
    列番号20である、請求項20に記載の核酸分子。
  22. 【請求項22】 請求項1に記載の核酸分子を含む、補完エレメント。
  23. 【請求項23】 プロモーターをさらに含む、請求項22に記載の補完エレ
    メント。
  24. 【請求項24】 前記核酸分子が、アデノウイルスのE1遺伝子座の全ての
    タンパク質コード領域を含む、請求項22に記載の補完エレメント。
  25. 【請求項25】 E1タンパク質、E2タンパク質、およびE4タンパク質
    からなる群から選択される必須アデノウイルスタンパク質をコードする、請求項
    1に記載の核酸分子を含む、補完エレメント。
  26. 【請求項26】 請求項22に記載の補完エレメントを含む、複製不能アデ
    ノウイルスの複製を補完し得る細胞。
  27. 【請求項27】 請求項1に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載のベクターを用いて、細胞を、安定に形
    質転換する工程またはトランスフェクトする工程を包含する、宿主細胞を作製す
    る方法。
  29. 【請求項29】 アデノウイルスベクターを産生する系であり、ここで: 請求項26に記載の細胞;および 複製不能アデノウイルスベクターを含む、系。
  30. 【請求項30】 複製不能ウイルスの産生ストックにおける複製可能ウイル
    スの存在を検出するためのアッセイであって、該アッセイは: (a)該複製不能ウイルスのゲノムから欠損される複製可能ウイルスのゲノム
    の領域を増幅する、順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌ
    クレオチドプライマーを使用して、該産生ストックのサンプルを、ポリメラーゼ
    連鎖反応増幅に供し、その結果、該複製可能ウイルスの存在下で、複製可能なウ
    イルス特異的二本鎖アンプリコンが形成される、工程; (b)前記サンプルを、該複製可能ウイルス特異的アンプリコンの少なくとも
    1つの鎖に相補的な、第1シグナルハイブリダイゼーションプローブとハイブリ
    ダイズさせる工程であって、ここで、該第1シグナルハイブリダイゼーションプ
    ローブとのハイブリダイゼーションは、特定の条件下、特定の検出温度、または
    特定の検出温度以下で生じ、それによって第1シグナルを放出する過程であり、
    ここで、該第1シグナルは、該複製可能ウイルス特異的二重鎖アンプリコンまた
    は該複製可能ウイルスのゲノムに対する該第1シグナルハイブリダイゼーション
    プローブのハイブリダイゼーションの際にのみ検出される、工程;および (c)該第1シグナルの存在または非存在を検出する、工程 を包含する、アッセイ。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載のアッセイであって、前記第1シグナル
    ハイブリダイゼーションプローブが以下: (a)5’末端および3’末端を有する、前記複製可能なウイルス特異的アン
    プリコンの少なくとも1つの鎖に相補的な単鎖ポリヌクレオチド; (b)該相補的なポリヌクレオチドに隣接する、該5’末端に共有結合する5
    ’アーム配列および該3’末端に共有結合する3’アーム配列からなるオリゴヌ
    クレオチドアーム配列対であって、該オリゴヌクレオチドアーム配列対は幹二重
    鎖を形成し、該幹二重鎖は前記アッセイ条件下で前記検出温度より高いが、該第
    1シグナルハイブリダイゼーションプローブと該複製可能ウイルス特異的アンプ
    リコンの相補性領域との間で形成された二重鎖の融解温度よりも低い融解温度を
    有する、オリゴヌクレオチドアーム配列対;ならびに (c)該5’アーム配列に結合する第1蛍光分子および、該5’アーム配列と
    該3’アーム配列の間の幹二重鎖の形成の際に、該第1蛍光分子からシグナルを
    消光するのに十分に近い近位にある該3’アーム配列に結合する、第1消光分子
    を含む第1相互作用標識対であり、ここで、該アッセイ条件下、前記検出温度で
    、および該複製可能なウイルス特異的アンプリコンの存在において、該複製可能
    ウイルス特異的アンプリコンに対する該プローブ配列のハイブリダイゼーション
    は、該幹二重鎖の該形成に優先して、該第1消光分子から該蛍光分子が十分に分
    離し、それにより第1蛍光分子シグナルの検出を可能にする、第1相互作用標識
    対、 を含む、アッセイ。
  32. 【請求項32】 前記第1蛍光分子が、6−カルボキシフルオレセイン(6
    −FAM)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)、2,7
    −ジメトキシ−4,5−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、
    ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフル
    オレセイン(5−FAM)、6−カルボキシローダミン(R110)、N,N’
    −ジエチル−2’,7’−ジメチル−6−カルボキシローダミン(R6G)、N
    ED、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ
    ローダミン(ROX)、およびVICからなる群から選択される、請求項31に
    記載のアッセイ。
  33. 【請求項33】 前記蛍光分子が6−カルボキシフルオレセイン(6−FA
    M)である、請求項32に記載のアッセイ。
  34. 【請求項34】 前記第1消光分子が、(4−(4’−ジメチルアミノフェ
    ニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエステル(DABCYL)、4−(ジメ
    チルアミン)アゾベンゼンスルホン酸(DABSYL)、1−ジメトキシトリチ
    ルオキシ−3−[O−(N−4’−スルホニル−4−(ジメチルアミノ)−アゾ
    ベンゼン)−3−アミノプロピル]−プロピル−2−O−スクシノイル−長鎖ア
    ルキルアミノ−CPG(DABSYL−CPG)、9−(2−(4−カルボキシ
    ピペリジン−1−スルホニル)−3,6−ジメチル−3,6−ジフェニル)キサ
    ンチリウム(QSYTM)、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMR
    A)、およびTAMRA−NHS−エステルからなる群から選択される、請求項
    31に記載のアッセイ。
  35. 【請求項35】 前記第1蛍光分子が、6−カルボキシフルオレセイン(6
    −FAM)であり、そして前記第1消光因子が(4−4’−ジメチルアミノフェ
    ニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエステル(DABCYL)である、請求
    項31に記載のアッセイ。
  36. 【請求項36】 前記複製可能なウイルス特異的アンプリコンが、少なくと
    も150塩基対を含む、請求項30に記載のアッセイ。
  37. 【請求項37】 前記複製可能なウイルス特異的アンプリコンが、少なくと
    も1000塩基対を含む、請求項36に記載のアッセイ。
  38. 【請求項38】 前記複製可能なウイルス特異的アンプリコンが、少なくと
    も1500塩基対を含む、請求項37に記載のアッセイ。
  39. 【請求項39】 複製可能なウイルスを、1×10個の複製不能ウイルス
    粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項30に記載
    のアッセイ。
  40. 【請求項40】 複製可能なウイルスを、1×1011個の複製不能ウイル
    ス粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項39に記
    載のアッセイ。
  41. 【請求項41】 複製可能なウイルスを、1×1013個の複製不能ウイル
    ス粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項40に記
    載のアッセイ。
  42. 【請求項42】 前記複製可能なウイルスが複製可能なアデノウイルスであ
    り、そして前記複製不能ウイルスが複製不能なアデノウイルスである、請求項3
    0に記載のアッセイ。
  43. 【請求項43】 前記複製不能なアデノウイルスがE1領域に欠損を含み、
    そして前記複製可能なウイルス特異的アンプリコンが該複製可能なアデノウイル
    スの該E1領域から増幅される、請求項42に記載のアッセイ。
  44. 【請求項44】 前記複製可能なウイルス特異的アンプリコンがアデノウイ
    ルスE1領域を含む、請求項43に記載のアッセイ。
  45. 【請求項45】 請求項30に記載のアッセイであって、ここで (a)前記産生ストックのサンプルを、宿主細胞ゲノムの領域を増幅する順方
    向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチドプライマーを
    使用するポリメラーゼ連鎖反応増幅に供し、それにより、宿主細胞DNAの存在
    において、宿主細胞特異的二重鎖アンプリコンが形成される、工程; (b)前記サンプルを、少なくとも該宿主細胞特異的二重鎖アンプリコンの一
    方の鎖に相補的な第2シグナルハイブリダイゼーションプローブにハイブリダイ
    ズさせる工程であって、ここで、該シグナルハイブリダイゼーションプローブと
    のハイブリダイゼーションは、特定の条件下、特定の検出温度以下で起こり、そ
    れによって前記第1シグナルから識別可能な第2シグナルを放出し、ここで、該
    第2シグナルは、該宿主細胞特異的アンプリコンに対するハイブリダイゼーショ
    ンの際に、または該宿主細胞DNA上でのみ検出される工程;ならびに (c)該第2シグナルの存在または非存在を検出する工程 をさらに包含する、アッセイ。
  46. 【請求項46】 請求項45に記載のアッセイであり、ここで前記第2シグ
    ナルハイブリダイゼーションプローブは: (a)5’末端および3’末端を有する、前記宿主細胞特異的アンプリコンの
    少なくとも一方の鎖に相補的な単鎖ポリヌクレオチド; (b)該相補的なポリヌクレオチドに隣接し、該5’末端に共有結合する5’
    アーム配列および該3’末端に共有結合する3’アーム配列からなるオリゴヌク
    レオチドアーム配列対であって、該オリゴヌクレオチドアーム配列対は、長さ約
    3〜25ヌクレオチドの幹二重鎖を形成し、該幹二重鎖は、前記アッセイ条件下
    で前記検出温度より高いが、該第2シグナルハイブリダイゼーションプローブと
    該宿主細胞特異的アンプリコンの相補性領域との間で形成された二重鎖の融解温
    度よりも低い融解温度を有する、オリゴヌクレオチドアーム配列対;ならびに (c)該5’アーム配列に結合する第2蛍光分子であって、ここで、該第2蛍
    光分子のシグナルは前記第1蛍光分子のシグナルとは異なる、第2蛍光分子、お
    よび該5’アーム配列と該3’アーム配列との間の幹二重鎖形成の際に、該第2
    蛍光分子からの該シグナルを消光するのに十分に近い近位にある該3’アーム配
    列に結合する、第2消光分子を含む第2相互作用標識対であって、ここで、該ア
    ッセイ条件下、前記検出温度で、および該宿主細胞特異的アンプリコンの存在下
    において、該宿主細胞特異的アンプリコンに対する該プローブ配列のハイブリダ
    イゼーションは、該幹二重鎖の該形成に優先して、該第2消光分子から該蛍光分
    子が十分に分離し、それにより第2蛍光分子シグナルの検出を可能にする、第2
    相互作用標識対、 を含む、アッセイ。
  47. 【請求項47】 前記ポリメラーゼ鎖反応増幅が1回の反応で同時に実行さ
    れる、請求項46に記載のアッセイ。
  48. 【請求項48】 前記第2蛍光分子が、6−カルボキシフルオレセイン(6
    −FAM)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)、2,7
    ,−ジメトキシ−4,5−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)
    、ヘキサクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフ
    ルオレセイン(5−FAM)、6−カルボキシローダミン(R110)、N,N
    ’−ジエチル−2’,7’−ジメチル−6−カルボキシローダミン(R6G)、
    NED、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、6−カルボキ
    シローダミン(ROX)、およびVICからなる群から選択される、請求項46
    に記載のアッセイ。
  49. 【請求項49】 前記第2蛍光分子が、VICである、請求項48に記載の
    アッセイ。
  50. 【請求項50】 前記第2消光因子が、(4−(4’−ジメチルアミノフェ
    ニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエステル(DABCYL)、4−(ジメ
    チルアミン)アゾベンゼンスルホン酸(DABSYL)、1−ジメトキシトリチ
    ルオキシ−3−[O−(N−4’−スルホニル−4−(ジメチルアミノ)−アゾ
    ベンゼン)−3−アミノプロピル]−プロピル−2−O−スクシノイル−長鎖ア
    ルキルアミノ−CPG(DABSYL−CPG)、9−(2−(4−カルボキシ
    ピペリジン−1−スルホニル)−3,6−ジメチル−3,6−ジフェニル)キサ
    ンチリウム(QSYTM)、6−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMR
    A)、およびTAMRA−NHS−エステルからなる群から選択される、請求項
    46に記載のアッセイ。
  51. 【請求項51】 前記第2蛍光分子がVICであり、そして前記第2消光因
    子が(4−4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエ
    ステル(DABCYL)である、請求項50に記載のアッセイ。
  52. 【請求項52】 前記宿主細胞特異的アンプリコンが、少なくとも150塩
    基対を含む、請求項45に記載のアッセイ。
  53. 【請求項53】 前記宿主細胞特異的アンプリコンが、少なくとも1000
    塩基対を含む、請求項52に記載のアッセイ。
  54. 【請求項54】 前記宿主細胞特異的アンプリコンが、少なくとも1500
    塩基対を含む、請求項53に記載のアッセイ。
  55. 【請求項55】 前記宿主細胞特異的アンプリコンが、β−アクチンおよび
    GAPDHからなる群から選択される遺伝子を増幅する、請求項45に記載のア
    ッセイ。
  56. 【請求項56】 前記宿主細胞特異的アンプリコンが、β−アクチン遺伝子
    を増幅する、請求項55に記載のアッセイ。
  57. 【請求項57】 請求項45に記載のアッセイであって: (a)前記産物ストックのサンプルを、複製可能ウイルスと複製不能ウイルス
    の両方に共通の領域を増幅する順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方
    向オリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応増幅に供し、
    それにより、ウイルス特異的二重鎖アンプリコンが形成される、工程; (b)前記サンプルを、該ウイルス特異的アンプリコンの少なくとも一方の鎖
    に相補的な第3シグナルハイブリダイゼーションプローブにハイブリダイズさせ
    る工程であって、ここで、該第3シグナルハイブリダイゼーションプローブとの
    ハイブリダイゼーションは、特定の条件下、特定の検出温度以下で起こり、それ
    によって第3シグナルを放出し、ここで、該第3シグナルは、該ウイルス特異的
    アンプリコンに対するハイブリダイゼーションの際、または該ウイルスゲノム上
    でのみ検出される工程;ならびに (c)該第3シグナルの存在または非存在を検出する工程、 をさらに包含する、アッセイ。
  58. 【請求項58】 前記ポリメラーゼ連鎖反応増幅が5’から3’ヌクレアー
    ゼ活性を有する核酸ポリメラーゼを使用して実行され;ここで前記第3シグナル
    ハイブリダイゼーションプローブは、蛍光分子および、直線状の、単鎖コンフォ
    メーションにおいて該蛍光分子の蛍光を消光する、消光分子を含み;そしてここ
    で、前記ウイルス特異的アンプリコンと該第3シグナルハイブリダイゼーション
    プローブとのハイブリダイゼーションの際、該核酸ポリメラーゼが該第3シグナ
    ルハイブリダイゼーションプローブを消化し、それにより、該蛍光分子が該消光
    分子から分離し、検出可能になる、請求項57に記載のアッセイ。
  59. 【請求項59】 前記ウイルス特異的アンプリコン反応物の増幅が、該複製
    可能ウイルス特異的アンプリコンおよび前記細胞特異的アンプリコンの増幅反応
    とは、別々に実行される、請求項58に記載のアッセイ。
  60. 【請求項60】 前記ウイルス特異的アンプリコンおよび前記複製可能なウ
    イルス特異的アンプリコンの相対レベルの検出が、リアルタイムに、前記アッセ
    イの経過にわたって測定され;それにより、前記産生ウイルスストック中の複製
    可能なウイルスおよび複製不能ウイルスの相対量の測定が可能になる、請求項5
    8に記載のアッセイ。
  61. 【請求項61】 複製可能なウイルスを、1×10個の複製不能ウイルス
    粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項60に記載
    のアッセイ。
  62. 【請求項62】 複製可能なウイルスを、1×1011個の複製不能ウイル
    ス粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項61に記
    載のアッセイ。
  63. 【請求項63】 複製可能なウイルスを、1×1013個の複製不能ウイル
    ス粒子当たり1つの複製可能なウイルス粒子の感度で検出する、請求項62に記
    載のアッセイ。
  64. 【請求項64】 前記第2シグナルの、標準的な条件下での検出が、前記サ
    ンプルの過剰の細胞DNAの存在を示し、それにより前記アッセイを無効にする
    、請求項58に記載のアッセイ。
  65. 【請求項65】 複製不能ウイルスの産生ストック中の複製可能ウイルスの
    存在を検出する方法であって、該方法は、請求項30に記載のアッセイにおいて
    該ウイルス産生ストックの1以上のサンプルを試験する工程を包含する、方法。
  66. 【請求項66】 複製不能ウイルスの産生ストック中の複製可能ウイルスの
    存在を検出する方法であって、該方法は、請求項45に記載のアッセイにおいて
    該ウイルス産生ストックの1以上のサンプルを試験する工程を包含する、方法。
  67. 【請求項67】 複製不能ウイルスの産生ストック中の複製可能ウイルスの
    存在を検出する方法であって、該方法は、請求項57に記載のアッセイにおいて
    該ウイルス産生ストックの1以上のサンプルを試験する工程を包含する、方法。
  68. 【請求項68】 複製不能ウイルスの産生ストック中の複製可能ウイルスの
    存在を試験するための診断キットであって、該診断キットは: (a)請求項30に記載のアッセイをどのように実行するかを指示するマニュ
    アル; (b)前記複製可能ウイルスのゲノムの領域に特異的であり、前記複製不能ウ
    イルスのゲノムから欠損される順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方
    向オリゴヌクレオチドプライマーであって、ここで該オリゴヌクレオチドプライ
    マーは、特定の条件下で、複製可能ウイルス特異的アンプリコンの増幅を促進す
    る順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチドプライ
    マー;ならびに (c)該複製可能ウイルス特異的アンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補的
    な第1シグナルハイブリダイゼーションプローブ、 を含む、診断キット。
  69. 【請求項69】 請求項68に記載のキットであり、該キットは: (a)宿主細胞遺伝子に特異的な順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび
    逆方向オリゴヌクレオチドプライマーであって、ここで該オリゴヌクレオチドプ
    ライマーは、特定の条件下で、宿主細胞特異的アンプリコンの増幅を促進する、
    順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチドプライマ
    ー;ならびに (b)該宿主細胞特異的アンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補的な第2シ
    グナルハイブリダイゼーションプローブであって、ここで該第2シグナルハイブ
    リダイゼーションプローブのシグナルは、前記第1シグナルハイブリダイゼーシ
    ョンプローブから区別可能である、第2シグナルハイブリダイゼーションプロー
    ブ、 をさらに含む、キット。
  70. 【請求項70】 請求項69に記載のキットであり、該キットは: (a)複製可能ウイルスと複製不能ウイルスの両方に共通であるウイルスゲノ
    ム領域を増幅し、そして特定の条件下でウイルス特異的アンプリコンの増幅を促
    進する、順方向オリゴヌクレオチドプライマーおよび逆方向オリゴヌクレオチド
    プライマー;ならびに (b)該ウイルス特異的アンプリコンの少なくとも一方の鎖に相補的な、第3
    シグナルハイブリダイゼーションプローブ、 をさらに含む、キット。
  71. 【請求項71】 前記ポリヌクレオチドが異種イントロンを含む、請求項2
    1に記載の核酸分子。
  72. 【請求項72】 前記異種イントロンがSV40後期領域イントロンである
    、請求項71に記載の核酸分子。
  73. 【請求項73】 前記アデノウイルスE1遺伝子座が、E1b領域中に異種
    イントロンをさらに含む、請求項24に記載の補完エレメント。
  74. 【請求項74】 前記異種イントロンがSV40後期領域イントロンである
    、請求項73に記載の補完エレメント。
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