JP2003516727A - 塩類土壌中で生長可能なストレス耐性のある特大のトランスジェニック植物 - Google Patents

塩類土壌中で生長可能なストレス耐性のある特大のトランスジェニック植物

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JP2003516727A JP2001535966A JP2001535966A JP2003516727A JP 2003516727 A JP2003516727 A JP 2003516727A JP 2001535966 A JP2001535966 A JP 2001535966A JP 2001535966 A JP2001535966 A JP 2001535966A JP 2003516727 A JP2003516727 A JP 2003516727A
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ロバート・エイ・ガキシオラ
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University of Connecticut
Whitehead Institute for Biomedical Research
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Abstract

(57)【要約】 液胞型ピロホスファターゼのアップレギュレートされた発現を引き起こすポリヌクレオチド配列を含む、塩類を含む培地中において生長可能なストレス耐性の特大のトランスジェニック植物。さらに、かかるポリヌクレオチド配列を含むかかるトランスジェニック植物によって生産された種子、およびかかる種子から生長した子孫植物が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 関連出願 本出願は、Roberto Graxiolaによって1999年11月10日に出願された米
国仮出願第60/164808号、標題「植物におけるプロトン輸送体および使
用(Proton Transporters and Use in Plant)」、Roberto Graxiolaによって2
000年8月22日に出願された米国出願第09/644039号、標題「植物
におけるプロトン輸送体および使用(Proton Transporters and Use in Plant)
」およびRoberto Graxiolaによって2000年8月18日に出願された米国仮出
願第60/226223号、標題「耐乾性/耐凍性トランスジェニック植物(Dr
ought/Freeze Resistant Transgenic Plants)」を優先権主張し、その全ての全
教示は出典明示により本明細書の一部とされる。
【0002】 政府援助 本明細書に記載の発明は、全体または一部において、国立衛生研究所(Nation
al Institutes of Health)の交付番号GM52414、DK54214、DK
43495、DK51509、DK34854およびGM35010により、お
よび全国科学基金(National Science Foundation)の交付番号MCB9317
175により援助された。
【0003】 (背景技術) 1.発明の分野 本発明は、干ばつおよび/または凍結のような環境ストレスに関して強く、栄
養/生殖構造に関して(その通常の表現型相対物と比べて)特大であり、高塩分
の培地中で生長可能な遺伝子改変された植物に関する。
【0004】 2.関連分野の背景 人類が新しいミレニアムに入るとき、人類に食物を供給する見通しは侮りがた
い。世界人口はことごとく増えているが、作物収量を改善するための農業研究の
主要な目標は取り残されている。また、より丈夫な作物以外の植物、例えば、鑑
賞植物、草、低木、および人に有益であることまたは人を心地よくすることが見
出された他の植物を開発することは、園芸学的研究の主要な目標である。 近年まで、作物および園芸の改善は、望ましい特徴を有する植物の選択的交配
に依存していた。しかしながら、多くの植物はその中に、その親と同一の望まし
い特性を生じない異種遺伝子成分を有するので、かかる選択的交配技術はしばし
ば、好ましいとは言えなかった。
【0005】 分子生物学における進歩は、人類が動物および植物の生殖質を扱うことを可能
にした。植物の遺伝子操作は、遺伝物質(典型的には、DNAまたはRNAの形
態)の単離および操作ならびにその後の遺伝物質の植物中への導入を伴う。かか
る技術は、害虫耐性を増大した植物、医薬および他の化学物質を発現可能な植物
、および有益な特性を発現する植物の開発をもたらした。有利なことに、かかる
植物は目的の遺伝子を含有するのみであり、受精能力は残存している。
【0006】 植物科学における最近の関心のある1の特定の領域は、ストレス耐性を改善し
た植物の開発であった。一般に、植物は、不利な環境条件の間に確実に生き残る
ための適応メカニズムを有し、維持する。植物が一般に遭遇する2つの一般的な
ストレスは、凍結と干ばつであり、そのどちらも細胞脱水に関連している。ある
種の植物は、冷気または長時間の脱水への曝露によって発現される遺伝子を含有
し、その遺伝子は、干ばつおよび/または凍結に対しその相対物の多くより大き
な耐性を提供する直接的または間接的な原因となる生産物をコードする。現在、
熱および水ストレスに応答するいくつかの遺伝子が特徴付けられている(例えば
、米国特許第5837545号、第5071962号、第4707359号を参
照のこと)。これらの遺伝子は、多くによって、植物の生残りを助けると仮定さ
れるある種の蛋白質、例えば、「水ストレス蛋白質」を生産すると考えられる。
例えば、ストレス状態に曝露されたある特定の植物は、アブシジン酸(ABA)
と呼ばれる、植物がストローマを閉じるのを助け、それによりストレスの重篤度
を軽減するホルモンを生産する。不運にも、ABAは新しい葉の形成を阻害し、
花および果実を落とし、収量の減少を引き起こすことが知られている。
【0007】 大抵の熱帯性植物は、長期間の干ばつおよび/または凍結に耐える能力を進化
させてきたとは考えられない。逆に、多くの温帯性植物はかかる状態に耐える少
なくともいくつかの能力を発達させてきたことが知られている。乾燥状態におけ
る、および凍結後における種々の植物の生産性は劇的に異なる。例えば、タバコ
(Nicotiana種)は、干ばつに非常に敏感な新しい葉を生産し、給水量が限られ
、蒸発量が大きい地域において商業的に生産することができない。水ストレスと
は対照的に、凍結耐性に関係する蛋白質および遺伝子についてはほとんど知られ
ていない。しかしながら、耐凍性の主要要素は脱水に対する耐性を含みうると仮
定されている(例えば、Yelenosky, G.C., Guy, L. (1989) Plant Physiol. 89:
444-451参照)。
【0008】 最近の関心のある別の特定領域は、塩類土壌において生長できる改善された能
力を有する植物の開発である。土壌の塩類集積作用は、供給される水が溶存塩を
含有する場合に起こる。かかる供給から水が蒸発すると、塩類が徐々に土壌に蓄
積する。潅漑した土地の塩類集積作用の進行は、我々の惑星の最も生産的な地域
の多くにおいて農業の未来を危険にさらしている(Serrano, R.ら, Crit. Rev.
Plant Sci., 13:121-138 (1994))。例えば、乾燥地域は、大抵の作物の生長に
最適な光周期および温度条件を提供するが、降水量は最適状態に及ばない。かか
る環境において土壌は頻繁かつ迅速に塩類集積されることがわかったので、人工
的な潅漑は、短期間においてのみ該問題を解決したにすぎなかった。塩類集積土
壌環境において生長するために、植物は、土壌中に存在するよりも非常に低比率
のNa/Kを細胞質において維持しなければならず、それにより、食物作物
を包含するいくつかの植物の生長を保護する。
【0009】 生理学的研究は、根における塩の排除および/または葉細胞液胞における塩の
封鎖が耐塩性の重大な決定子であることを示唆する(Kirsch, M.ら, Plant Mol.
Biol., 32:543-547 (1996))。塩化ナトリウム(NaCl)の毒性濃度は、最
初に、NaClが液胞中に区分されている完全に膨張した葉において増加する。
それらの負荷容量の限界を超えた後にだけ、サイトゾルおよびアポプラズムの濃
度が毒性レベルに達し、最後に膨圧の喪失を導き、それゆえ、植物の死をもたら
す。V−ATPアーゼを介する液胞内腔の過酸性化が、サイトゾルの解毒をもた
らすNa/H交換活性に必要な余剰プロトンを提供することが示唆された(
Tsiantis, M.S.ら, Plant J., 9:729-736 (1996))。塩ストレスは、例えば、ヒ
マワリ幼植物根の液胞膜小胞におけるATP−およびピロホスフェート(PPi
)−依存性H輸送の両方を増大することが知られている。塩処理はまた、アミ
ロライド感受性Na/H交換活性を誘導する(Ballesteros, E.ら, Physiol
ogia Plantarum, 99:328-334 (1997))。塩生植物メセンブリアンテマ・クリス
タリナム(Mesembryanthemum crystallinum)において、高NaClは、葉細胞
において液胞型H−ATPアーゼ(V−ATPアーゼ)および液胞型Na
対向輸送体の両方の活性を刺激する。
【0010】 農業目的のさらに別の領域は、作物植物の収量を改善すること、およびある種
の鑑賞植物の美的な質を改善することである。植物作物の収量およびある種の鑑
賞植物の美的価値観は、栄養および/または生殖構造が野生型植物よりも大きい
植物を生長させることによって改善されうる。ある種の生長因子が植物および/
または植物花の大きさを増すために使用されうることが知られている。不運にも
、かかる生長因子の適用は、高価であり、時間がかかる。 したがって、干ばつおよび/または凍結に対する改善されたストレス耐性を有
し、種々の野生型相対物よりも大きな大きさの特性を有し、かつ、それらが生長
する土壌中の塩に対する増大した耐性を有する植物に対する要望が存在する。
【0011】 (発明の開示) 発明の概要 本発明は、液胞型ピロホスファターゼのアップレギュレートされた発現を有す
るトランスジェニック植物を開示する。かかるアップレギュレートされた活性を
示す植物は一般に、野生型相対物よりも大きく、干ばつ/凍結に対する改善され
たストレス耐性を示し、かつ、それらが生長している培地中の塩に対する増大し
た耐性を有することが見出された。
【0012】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変するいずれかの適当な外来性
核酸分子を用いて、本発明にしたがってトランスジェニック植物を形質転換する
ことができる。外来性核酸は、液胞型ピロホスファターゼ蛋白質(外来性液胞型
ピロホスファターゼ)、例えばAVP1、その機能的部分(ペプチド、ポリペプ
チド)、またはその相同物をコードする核酸、および/または外来性核酸が導入
される植物の内在性液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸を含むこと
ができる。「外来性核酸」なる語によって、それが導入される植物細胞、または
トランスジェニック部分が生産された植物もしくは植物部分以外の供給源由来の
核酸が意味される。形質転換に使用される外来性核酸はRNAまたはDNA(例
えば、cDNA、ゲノムDNA)であることができる。さらに、外来性核酸は環
状または直線状、二本鎖または一本鎖分子であることができる。一本鎖核酸はセ
ンス鎖またはアンチセンス鎖であることができる。液胞型ピロホスファターゼ蛋
白質をコードする核酸の「機能的部分」なる語によって、液胞型ピロホスファタ
ーゼ蛋白質の機能的特徴を保持する蛋白質またはポリペプチドをコードする核酸
の一部が意味される。特定の具体例において、核酸はAVP1、その機能的部分
または相同物をコードする。
【0013】 外来性核酸が導入される植物の内在性液胞型ピロホスファターゼの発現を改変
する核酸は、植物において機能する調節配列(例えば、誘導可能、構造配列)お
よびアンチセンス核酸を包含する。調節配列の例は、液胞型ピロホスファターゼ
のプロモーター、エンハンサーおよび/またはサプレッサーを包含する。核酸は
、また、例えば、ポリアデニル化部位、リポーター遺伝子および/またはイント
ロン配列など、その存在が核酸の機能または発現に必要ではないが、例えば、転
写および/または(例えば、mRNAの)安定性に影響を及ぼすことによって核
酸の発現および/または機能を改善することのできる配列を包含することができ
る。かかるエレメントは、核酸の最適な作用を得るために核酸分子中に含まれる
ことができる。
【0014】 本発明において有用な核酸は、既知の方法を用いて種々の供給源から得ること
ができる。例えば、本発明において有用な液胞型ピロホスファターゼ(例えば、
AVP1)をコードしている核酸は、天然供給源、例えば、タバコ、細菌、トマ
トまたはトウモロコシから得ることができる。1の具体例において、該核酸は、
トランスジェニック植物の野生型に対応する液胞型ピロホスファターゼをコード
する。別の具体例において、該核酸は、トランスジェニック植物の野生型に対応
しない液胞型ピロホスファターゼをコードする。外来性核酸が導入される植物の
内在性液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸(例えば、調節配列)は
、また、化学的に合成されることができ、組換え技術によって生産されることが
でき、および/または商業的供給源から得ることができる。
【0015】 本発明の核酸を植物中に導入するための種々の方法は、当業者に知られている
。例えば、アグロバクテリウムによって媒介される植物形質転換、粒子爆撃、微
粒子爆撃(例えば、米国特許第4945050号;米国特許第5100792号
)、プロトプラスト形質転換、花粉中への遺伝子導入、生殖器官中への注入およ
び未成熟胚中への注入を用いることができる。外来性核酸は、植物の根細胞、茎
細胞および/または葉細胞のような植物のいずれかの適当な細胞中に導入するこ
とができる。 いずれかの適当な植物を、本発明のトランスジェニック植物を生産するために
使用することができる。例えば、トマト、トウモロコシ、タバコ、コメ、モロコ
シ属、キュウリ、レタス、芝生、鑑賞植物(例えば、より大きな花、より大きな
葉)およびマメ科植物を本明細書に記載のように形質転換して、本発明のトラン
スジェニック植物を生産することができる。さらに、本発明のトランスジェニッ
ク植物は、土壌または水(水耕法による)のような植物生長を支持するいずれか
の培地において生長させることができる。
【0016】 本発明のトランスジェニック植物は、好ましくは、土壌中の高い塩濃度に耐性
がある。「塩」なる語によって、いずれかの塩類、すなわち、酸の水素が金属ま
たはその等価物に置き換わったときに形成される化合物が意味され、限定するも
のではないが、一価および二価の毒性カチオン、NaCl、KCl、CaCl 、MgCl、CdCl、ZnClおよび硫化物塩を含む塩を包含する。
【0017】 耐塩性は、発現がアップレギュレートされるように植物中の液胞型ピロホスフ
ァターゼの発現を改変する外来性核酸で植物細胞を形質転換することによって、
本発明の植物中に導入されうる。そのいくつかがクローン化されたいずれかの適
当な液胞型ピロホスファターゼを本発明の組成物および方法において用いること
ができる(例えば、Sarasian, Z.ら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89:1775-1
779 (1992); Jenslerchlら, Molec. Biol., 29: 833-840 (1995); Kim, Y.ら, P
lant Physiol., 106:375-382 (1994))。特定の具体例において、本発明は、A
VP1を過剰発現するように設計された外来性核酸構築物を含む、耐塩性のトラ
ンスジェニック植物に関する(Sarasian, Z.ら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA,
89:1775-1779 (1992))。植物細胞の形質転換は、植物全体、種子、葉、根また
はいずれか他の植物部分において行ってもよい。かかるトランスジェニック植物
は、好ましくは、対応する非トランスジェニック植物の生長を阻害する塩濃度中
で生長するように改変される。本発明の目的でもある、トランスジェニック植物
のトランスジェニック子孫、トランスジェニック植物によって生産された種子お
よびトランスジェニック種子から生長した子孫トランスジェニック植物は、有利
なことに、かかる耐塩性特性を有する。植物を形質転換細胞から再生してトラン
スジェニック植物を得てもよく、それをあるレベルの耐塩性についてスクリーン
してもよい。好ましい具体例において、外来性核酸はAVP1またはその相同物
をコードする。好ましくは、植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現は、塩化
ナトリウム(NaCl)濃度が約0.2M〜約0.3Mであるときに、トランス
ジェニック植物がNaClに耐性のある程度まで強化される。また、塩水中で生
長可能なトランスジェニック植物は、1以上の植物細胞中に植物中の液胞型ピロ
ホスファターゼの発現をアップレギュレートする核酸を導入して形質転換細胞を
得ることによって生産されうる。本明細書で使用される場合、「塩水」なる語は
、好ましくは、水中の塩濃度が約0.2M〜約.04Mである塩の存在を特徴と
する水を包含する。1の具体例において、塩水は海水を示す。
【0018】 本発明のトランスジェニック植物は、また、塩(約0.2M〜約0.4M塩濃
度)に耐性のある二重トランスジェニック植物を生産するために使用することが
できる。1の具体例において、本発明は、植物中の液胞型ピロホスファターゼの
発現およびNa/H対向輸送体を改変する外来性核酸で形質転換された1以
上の植物細胞を含む耐塩性の二重トランスジェニック植物に関する。有益な構築
物中における液胞型ピロホスファターゼはAVP1、またはその相同物であり、
Na/H対向輸送体はAtNHX1またはその相同物である。本発明は、ま
た、二重トランスジェニック植物のトランスジェニック子孫ならびに該トラスジ
ェニック植物によって生産された種子および該種子から生長した子孫トランスジ
ェニック植物を包含する。
【0019】 耐乾性および/耐凍性はまた、植物細胞を植物中の液胞型ピロホスファターゼ
の発現をかかる発現がアップレギュレートされるように改変する外来性核酸で形
質転換することによって植物中に導入されうる。好ましい具体例において、1以
上の外来的に導入された液胞型H輸送性ポンプ遺伝子を有するゲノムを含む、
実質的に耐乾性および/または耐凍性のあるトランスジェニック植物が提供され
る。耐乾性および/または耐凍性ならびに塩類土壌中での生長能を顕在化してい
る特に好ましい受精能力のあるトランスジェニック植物は、好ましくは作動可能
にプロモーター、例えば、35−Sプロモーターまたは限定するものではないが
、組織特異的プロモーターを包含するいずれか他の強力プロモーターに連結され
た液胞型H−輸送性ポンプをコードしている単離された外来性キメラDNA構
築物を含む。トランスジェニック植物は、作動可能にプロモーターに連結された
外来性液胞膜ピロホスフェートHポンプ遺伝子を含むポリヌクレオチド配列を
含有しうる。まだ別の特に好ましい塩類土壌中での生長能を有する耐乾性および
/または耐凍性トランスジェニック植物において、ポリヌクレオチド配列は、3
5Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーに作動可能に連結された外来性液
胞膜ピロホスフェートHポンプ遺伝子を含む。特に好ましい液胞膜ピロホスフ
ェートHポンプ遺伝子は、AVP1遺伝子である。
【0020】 上記の方法による液胞型ピロホスファターゼの発現のアップレギュレーション
は、また、野生型相対植物より大きな栄養および/または生殖器官を有する植物
を提供するために使用されうる。すなわち、本発明は、植物の1以上の細胞中に
植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸を導入して転換細胞を
得、それにより、植物の収量を増加することを特徴とする、植物の収量を増加す
る方法を提供する。該方法はさらに、形質転換細胞から植物を再生してトランス
ジェニック植物を得、その対応する野生型植物より大きいトランスジェニック植
物を選択し、それにより、その対応する野生型植物より大きいトランスジェニッ
ク植物を生産することを特徴とすることができる。また、その対応する野生型植
物と比べて花の大きさが増したトランスジェニック植物(例えば、鑑賞植物)を
作製する方法であって、植物の1以上の細胞中に植物中の液胞型ピロホスファタ
ーゼの発現を改変する核酸を導入して形質転換細胞を得ることを特徴とする方法
も本発明に包含される。
【0021】 また、キメラプロモーターに作動可能に連結された液胞膜ピロホスフェート駆
動性Hポンプ遺伝子を含むカセット、プロモーターに作動可能に連結された外
来性液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含む新規な遺伝子カセッ
ト、ならびに35Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーに作動可能に連結
された外来性液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含む新規なコー
ディング配列を包含する新規な遺伝子カセットも本発明に開示される。好ましく
は、かかるコーディング配列はAVP1を過剰発現するように設計される。
【0022】 また、本発明において、35Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーに作
動可能に連結され、さらに、マルチプルクローニング部位に作動可能に連結され
た外来性液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むポリヌクレオド
配列を含有する発現ベクター、および35Sプロモーターの二重タンデムエンハ
ンサーに作動可能に連結され、さらに異種コーディング配列に作動可能に連結さ
れた外来性液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むポリヌクレオ
チド配列を含有する発現ベクターを包含する新規な発現ベクターが開示される。 開示された発明は、限定するものではないが、作物植物、鑑賞植物、草、低木
または人に有益であることまたは人を心地よくすることが見出されているいずれ
か他の植物を包含するいずれかの植物に応用しうることが発明者によって認めら
れる。
【0023】 上記の記載ならびに本発明のさらなる目的、特徴および有益性は、付随の図面
と共にしたとき、下記の詳細な記載に関してより十分に理解されよう。
【0024】 発明の詳細な記載 植物液胞は成熟植物細胞の全細胞内容量の40〜99%を構成するので、液胞
の大きさの変化は、細胞の大きさにおける顕著な効果を有する(R. G. Zhen, E.
J. Kim, P. A. Rea, in The Plant Vacuole . (Academic Press Limited, 1997
), vol. 25, pp. 298-337)。液胞の容量は、ポンプおよび輸送体によって媒介
されるイオンおよび水の流動によって調節される。植物において、イオン、溶質
および水の膜の向こう側への移動を引き起こす駆動力はプロトン勾配である。液
胞型Hポンプの活性は、内腔の酸性化および液胞膜を横切るH電気化学ポテ
ンシャル勾配の確立をもたらし、それは、無機イオン、糖類および有機酸の二次
的活性輸送体に動力を供給する。これらの輸送体の活性は細胞pHおよびイオン
ホメオスタシスを調節し、液胞膨張を促進する浸透ポテンシャルを生じるのに必
要な溶質の蓄積を導く(H. Sze, X. Li, M. G. Palmgren, The Plant Cell 11,
677-689 (1999))。
【0025】 プロトン電気化学勾配を生じる3つの別個のポンプがある。細胞からHを押
出す原形質膜に1つ(PM H−ATPアーゼ)およびそれらの内腔を酸性化
する液胞膜または他の内膜コンパートメントに2つある(液胞型H−ATPア
ーゼおよびH−PPアーゼ)(R. A. Leigh, in The Plant Vacuole L. a. Sa
nders, Ed. (Academic Press, San Diego, California, 1997), vol. 25, pp. 1
71-194)。 以前の研究は、アンチセンス構築物を用いて、ニンジンの液胞型H−ATP
アーゼのAサブユニットのレベルにおける減少が細胞膨張を減少し、葉の形態を
改変した植物をもたらすことを示した(J. P. Gogartenら, The Plant Cell 4,
851-864 (1992))。本発明者は、液胞中へのHの供給量の増加が細胞膨張を引
き起こすことができると仮定した。近年、イオン蓄積の液胞機能におけるプロト
ンの利用性として該理論に基づいて、同じ発明者によって、液胞における固体の
蓄積が干ばつに対する保護およびより耐凍性のある植物の生産に有用であるかも
しれないと仮定された。
【0026】 本発明者は、植物がいくつかの液胞型H−輸送性ポンプを有し、その活性を
アップレギュレートすること、その発現を増加すること、その転写および/また
は翻訳をアップレギュレートすること、またはそのコピー数を増加することによ
って、液胞中のプロトンの利用性の増加のために、液胞中の固体の蓄積を増加す
ることができることを認めた。発明者は、液胞型H−輸送性ポンプ、無機ピロ
ホスファターゼまたは単一ポリペプチドよりなるV−PPアーゼのコピー数を増
加することによって該仮説を試験した(R. G. Zhen, E. J. Kim, P. A. Rea, in
The Plant Vacuole . (Academic Press Limited, 1997), vol. 25, pp. 298-33
7)。アラビドプシスにおいて、AVP−1遺伝子によってコードされるV−P
Pアーゼは液胞型H−ATPアーゼの大きさと同様の液胞膜(トノプラスト)
を横切るH勾配を生じることができる(V. Sarafian, Y. Kim, R. J. Poole,
P. A. Rea, Proc. Natl. Acad. Sci. 89, 1775-1779 (1992))。当業者によって
理解されるように、他の植物における同様の遺伝子は同様に機能するであろう。
【0027】 1の具体例において、液胞型ピロホスファターゼを過剰発現するように設計さ
れたプロモーターに作動可能に連結された液胞型ピロホスファターゼ遺伝子を含
む構築物(例えば、発現カセット)を用いて本発明のトランスジェニック植物を
生産する。本明細書で使用される場合、「過剰発現」なる語は、構築物の不在下
で起こるよりも大きな発現/活性をいう。特定の具体例において、AVP1を過
剰発現するように設計されたキメラプロモーターに作動可能に連結されたAVP
1遺伝子を含む構築物を用いて本発明のトランスジェニック植物を生産する。よ
り詳細には、本発明は、AVP1遺伝子が35Sプロモーターの二重タンデムエ
ンハンサーに作動可能に連結された構築物に関する。
【0028】 本発明のトランスジェニック植物は、食物的価値または鑑賞的価値と関連した
もの以外の有用性を見出しうる。例えば、本発明のトランスジェニック植物はそ
れらの野生型相対物とは異なるまたはそれ以上のイオンを取り込むことができる
。下記に論じるように、突然変異体酵母系統(enaI)を用いる研究は、液胞
でのH−輸送性ポンプが高等植物のカチオン解毒において重要な役割を果たす
ことを示す(細胞内カチオン解毒系に関与する植物成分は、発芽酵母サッカロミ
セス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の塩感受性突然変異体を補足す
ることによって同定されている)。かかる研究による植物中の液胞型ピロホスフ
ァターゼの発現を改変する外来性核酸を含むトランスジェニック植物および/ま
たはその子孫を土壌および生長培地のバイオリメディエーションに使用してもよ
い。かかる植物は、植物生長を維持できる培地(例えば、土壌、水)からカチオ
ン(例えば、一価および/または二価のカチオン)を除去するために使用するこ
とができる。例えば、本発明の形質転換植物を使用してナトリウム(Na)、鉛
(Pd)、マンガン(Mn)および/またはカルシウム(Ca)イオンを植物生
長を維持する培地から除去することができる。
【0029】 Hの液胞中への供給の増加が耐乾性および/または耐凍性、および耐塩性生
長、ならびに植物の大きさに及ぼす影響を明らかにするために、本発明者は液胞
型プロトンポンプ、AVP−1の余剰コピーを含有するトランスジェニック植物
を作成した。 アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)植物をAVP−1遺伝子
を含有する構築物で形質転換した。次いで、該遺伝子の余剰コピーを含有するト
ランスジェニック系統を単離した。AVP−1、オープンリーディングフレーム
を修飾したpRT103のXma1部位中にクローン化した(R. Topfer, V. Ma
tzeit, B. Gronenborn, J. SchellおよびH-H. Steinbiss, Nucleic acid Resear
ch 15, 5890 (1987))。該ベクターは35−Sプロモーターのタンデム繰り返し
配列を含有する。35−Sタンデムプロモーター、AVP−1 ORFおよびポ
リアデニル化シグナルを含有するHindIIIフラグメントをpPZP212
ベクターのHindIII部位中にサブクローン化した(P. Hajdukiewicz, Z.
SvabおよびP. Maliga, Plant Molecular Biology 25, 989-994 (1994))。アグ
ロバクテリウムによって媒介される形質転換を開花しているアラビドプシス・タ
リアナ(生態型コロンビア(Columbia))の真空浸透によって行った。トランス
ジェニック植物は、形質転換植物の種子を25mg/リットルのカナマイシンを
補足した植物栄養寒天プレート上に播種することによって選択した。次いで、導
入遺伝子のトランスジェニック植物ホモ接合体を同定するために、植物を2世代
において選択した。
【0030】 図1Aは、7週間、10時間明/暗サイクルで水耕栽培した代表的な(各々、
10個の植物のうち)野生型(WT)および2つの独立したトランスジェニック
系統(1’および2’)の上から見た図である。図1Aにおいてわかるように、
AVP−1蛋白質を最高レベルで発現するトランスジェニック系統2’、トラン
スジェニック系統1’および野生型(WT)の視覚的な比較は、AVP−1の量
が植物の大きさに相関することを示す。トランスジェニック植物の大きさは、野
生型よりも大きいことがわかった。トランスジェニック系統1’および2’につ
いて、75℃で24時間後に測定した(n=4)トランスジェニック植物全体の
乾燥重量は、野生型(WT)の乾燥重量よりも1.5および3倍大きいことがわ
かった。
【0031】 図1B(1)、1B(2)および1B(3)は、垂直植物栄養寒天プレートの
表面に水平に生長した図1Aの代表的なWT、1’および2’から得られた代表
的な5日齢幼植物の根および根毛の顕微鏡写真である(倍率:40倍;写真の棒
の長さ=2mm)。両トランスジェニック系統1’および2’の幼植物は、平均
の長さが野生型(WT)根毛より40および70%長い根毛を示した(図1B)
(根全体の根毛の長さは、各セットの幼植物の5つのメンバーから決定された。
1植物あたり80本の根毛の平均を測定した)。根毛の長さは液胞の大きさと相
関するので、根毛の大きさの増加はおそらく、液胞容量の増加に起因する。これ
を、減少した液胞容量を有し、異常に短い根毛を有する短い植物であることが報
告されているアラビドプシス突然変異体rdh3と比較する(M. E. Galway, J.
W. J. Heckman, J. W. Schiefelbein, Planta 201, 209-218 (1997))。増大し
た根構造が土壌腐食、マメ科植物における窒素固定に対して正の影響を与え、植
物による水の取り込みにおいて助けとなるであろうことが認められる。
【0032】 図1Cは、野生型(WT)およびAVP−1を過剰発現している2つの独立し
たトランスジェニック系統(1’および2’)から単離した膜フラクションのイ
ムノブロットである。全膜フラクションを6週間水耕培地中で生長させた8週齢
野生型(WT)およびAVP−1トランスジェニック植物(1’および2’)の
シュート(Shoot)から単離した。植物のシュートのホモジェネートを15およ
び30分間、各々、8および100kgにて連続的に遠心分離した。100kg
膜ペレットを10mMトリス、pH7.5、150mM NaCl、1mM ED
TA、10%グリセロール中に再懸濁し、1mM PMSF蛋白質(10mg)
を10%SDS−PAGE上で分離し、エレクトロブロットし、AVP−1蛋白
質の推定親水性ループIVに相当するKLH−結合型合成ペプチドに対して生じ
た抗体を用いて免疫染色した(V. Sarafian, Y. Kim, R. J. Poole, P. A. Rea,
Proc. Natl. Acad. Sci. 89, 1775-1779 (1992))。PPアーゼを化学ルミネセ
ンスによって検出した。図1Cは、トランスジェニック系統(1’および2’)
がAVP−1蛋白質を野生型(WT)よりも高いレベルで発現することを示す(
すなわち、WTより1’=15%および2’=50%)。
【0033】 水分を欠乏した小麦は細胞K含量の増加(100mMから300mM)によ
ってより耐乾性にされるので(S. Gupta, G. Berkowitz, P. Pier, Plant Physi
ol 89, 1358-1365 (1989))、AVP−1トランスジェニック植物の増大した耐
乾性は、水分保持容量の増加をもたらすカリウムのより高い液胞濃度の結果であ
ると仮定される(しかしながら、本発明はこれにより、かかる理論に限定されな
い)。研究室試験は明らかにこれを確認する。
【0034】 図2は、水欠損ストレスに7日曝露後の代表的な野生型植物(WT)対AVP
−1を過剰発現している代表的なトランスジェニク植物(1’および2’)の上
から見た図である。野生型およびAVP−1を過剰発現しているトランスジェニ
ック植物(図3A)を耐乾性(24℃)について試験した。水欠損ストレスの7
日後、野生型(WT)植物は枯れたが、両方の35S AVP−1トランスジェ
ニック系統(1’および2’)由来の植物は膨張し、生存していた。さらに、次
いで、干ばつストレス植物に水をかけた場合、トランスジェニック植物は正常な
生長をたどり、薹立ちし、種子をつけたが、野生型植物は枯れた。野生型および
35S AVP−1トランスジェニック植物由来の葉の相対的水分含量を水欠損
ストレスに沿って測定し、それは、WT植物と比べてトランスジェニック系統に
よる水分保持の増加を示した。
【0035】 付随の図面には図示されていないが、同様の結果がいくつかの植物種について
24時間以上の凍結攻撃(<0℃)に関して見ることができる。かかる仮定に限
定されないが、AVP−1を過剰発現しているトランスジェニック植物(1’お
よび2’)は、液胞中のカチオン量がより高いために、野生型(WT)植物と比
べて凍結からの強化された保護を提供すると考えられる。より多量のカチオンは
、より大きい水分保持容量を導くより大きい浸透圧を提供し、それは、植物に低
土壌水分ポテンシャルに耐える能力を与えるだけでなく、植物の有意な乾燥を導
く凍結からのより大きな保護をも提供する。
【0036】 図3は、塩類土壌中で生長させた野生型植物(WT)対AVP−1を過剰発現
している代表的なトランスジェニック植物(1’および2’)の透視図である。
5つの野生型植物(WT)および2つのAVP−1過剰発現トランスジェニック
系統(1’および2’)を10時間明/暗サイクルにおいて土壌で生長させた。
植物を6週間、希釈栄養溶液(1/8MS塩)を用いて給水し、次いで、NaC
lを補足した希釈栄養溶液を用いて給水した。NaClの濃度は100nMで開
始し、4日毎に100mM増加させた。図3の写真は、300mM NaClが
存在する10日目の植物に相当する。図3は、2つのAVP−1植物型(1’お
よび2’)が野生型植物と比べて塩類土壌において有意に耐性があったことを示
す。AVP1(ピロホスフェートによってエネルギーが与えられる液胞膜プロト
ンプンプ、本研究)またはAtNHX1(Na/H対向輸送体、(Apse, M.
,ら, Science, 285:1256-1258 (1999))および本研究)のいずれかを過剰発現す
る遺伝子操作したアラビドプシス・タリアナ植物が高NaCl濃度の存在下で生
長可能であるという事実は、本明細書に記載の方法を強く支持する。二重トラン
スジェニック植物は、さらに強化された耐塩性表現型を示すと予測される。これ
らのアラビドプシス・タリアナ輸送体またはそれらの相対物は、重要な農業作物
において同様の機能を示しうる。35S AVP1アラビドプシストランスジェ
ニック植物の増加した大きさもまた、遺伝子操作した作物における潜在的な収量
増加に寄与する。
【0037】 植物オルガネラにおけるカチオンホメオスタシスの作用モデル 本発明はいずれかの特定の仮説に限定されることはないが、本発明者らは、本
明細書に開示されるトランスジェニック植物に関して見出された予想外の結果を
説明しうる植物オルガネラにおけるカチオンホメオスタシスの作用モデルを開発
した。
【0038】 植物において、輸送過程の多くは、プロトンの一次転流によってエネルギーを
供給される。原形質膜および液胞膜に位置するH輸送性ポンプは、Hをサイ
トゾルから各々、細胞外および液胞コンパートメントへ転流させた(Rea, P.A.
ら, Tonoplast Adenosine Triphosphate and inorganic Pyrophosphatase. In:
Methods Plant Biochem., pp. 385-405, Academic Press Limited, London (199
0))。植物液胞膜は、2つのH輸送性ポンプ;V−ATPアーゼおよび無機ピ
ロホスファターゼまたはV−PPアーゼを含有する。それらの作用は、内腔の酸
性化および液胞膜を横切るH電気化学ポテンシャル勾配の確立をもたらす(Da
vies, J.M.ら, The Bioenergetics of Vacuolar H+ Pumps. Plant Vacuole, pp.
340-363, Leigh, R.A., Sanders, D. (編), Academic Press, San Diego (1997
))。液胞膜は、サイトゾルのpH平衡状態、規則的なCa2+のコンパートメ
ンテーション(compartmentation)、Naのような毒性イオンの封鎖、膨圧調
節ならびに養分貯蔵および回収を包含する生理学的過程の幅広いスペクトルに関
係する。液胞は成熟植物細胞の全細胞内容量の40〜99%を構成する。液胞型
プロトンポンプ輸送ピロホスファターゼは、V−ATPアーゼによって生成され
るものと類似またはそれより大きい定常状態のトランス−液胞膜H電気化学ポ
テンシャルを生じることのできる植物液胞膜の万能かつ豊富な成分である(Rea,
P.A.ら, Tonoplast Adenosine Triphosphate and Inorganic Pyrophosphatase.
Methods Plant Biochem., pp. 385-405, Academic Press Limited, London (19
90))。ピロホスフェート(PPi)は、幅広い範囲の生合成経路の活性化また
は重合化工程における副産物であり、植物において、シュークロースシンテター
ゼによるシュークロース流動化(mobilization)、PPi:フルクトース−6−
ホスフェートホスホトランスフェラーゼによる糖分解、および液胞型プロトンポ
ンプ輸送ピロホスファターゼによる液胞膜エネルギー供給のために、ATPに別
のエネルギードナーとして作用する(Stitt, M., Bot. Acta 111:167-175 (1998
))。
【0039】 クラスリンによって被覆された小胞、エンドソーム、ゴルジ膜および液胞を包
含する細胞内オルガネラの多くは、酸性内部を有する(Xie, X. S.ら, J. Biol.
Chem., 264:18870-18873 (1989))。該酸性化はプロトン輸送性電気発生ATP
アーゼによって媒介され、植物液胞において、また、ピロホスフェート駆動性プ
ロトンポンプV−PPアーゼを介する(Davies, J.M.ら, The Bioenergetics of
Vacuolar H+ Pumps. Leigh R.A., Sanders, D., (編) The Plant Vacuole, pp
. 340-363, Academic Press, San Diego (1997); Zhen, R.G.ら, "The Molecula
r and Biochemical Basis of Pyrophosphate-Energized Proton Translocation
at the Vacuolar Membrane Academic Press Limited (1997))。正味の電気的中
性を維持するためにアニオン輸送の必要性がある(al-Awqati, A., Curr. Opin.
Cell. Biol., 7:504-508 (1995))。
【0040】 図4Aは、酵母プレ液胞コンパートメントにてナトリウム封鎖に関与した輸送
体の作用モデルの図示である;Nhx1(Na/H対向輸送体)、Vmal
(液胞膜H−ATPアーゼ)、Gef1(酵母CLC塩化物チャンネル)、E
na1(原形質膜Na−ATPアーゼ)。CLC電圧ゲート制御された塩化物
チャンネルスーパーファミリーの酵母メンバー、Geflは、後期ゴルジ小胞に
おける銅負荷および酵母におけるプレ−液胞コンパートメントにおけるカチオン
封鎖に必要とされる(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046
-4050 (1998); Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485
(1999); 実施例1)。さらに、gefl突然変異体の欠点をCLCスーパーファ
ミリーの原型メンバー、トルペド・マルモラタ(Torpedo marmorata)CLC−
0の導入によって、またはアラビドブシス・タリアナCLC−cおよびCLC−
d塩化物チャンネル遺伝子の導入によって抑制することができることが示された
(Hechenberger, M.ら, J. Biol. Chem., 271:33632-33638 (1996); Gaxiola, R
.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-4050 (1998))。図4Bは、Av
p1(エー・タリアナ(A. thaliana)液胞型ピロホスフェートによりエネルギ
ーを与えられるプロトンポンプ)も包含する図4Aに示される酵母プレ液胞コン
パートメントにてナトリウム封鎖に関与した輸送体の作用モデルの図示である。
【0041】 理論に拘束されることは望ましくないが、2つの観察が図4Aおよび図4Bに
示される酵母におけるNa封鎖のモデルの提案を導いた。第一に、gelfl
突然変異体は高NaCl濃度に感受性である。第二に、Na/H交換体Nh
xlはプレ−液胞コンパートメントに局在する(Nass, R.ら, J. Biol. Chem.,
273:21054-21060 (1998))。図4Aおよび4Bに提案されるモデルは、Nhxl
によるNa封鎖が液胞型H−ATPアーゼおよびGefl、塩化物チャンネ
ルに依存することを提案する。Geflに媒介されるアニオン流入は、Na
交換を介してNaの上り勾配の蓄積を駆動するのに十分な大きさのプロト
ン勾配の液胞型H−ATPアーゼによる確立を可能にする。
【0042】 かかるモデルに基づいて、仮定のエンドソームコンパートメント中へのプロト
ンの流入を増加させることがNhxl交換体を介するNa封鎖を改善するであ
ろうことが理論付けられた。H利用性を増加するために、液胞型ピロホスフェ
ートによってエネルギーが与えられるプロトンポンプをコードするエー・タチア
ナ機能増大(gain-of-function)突然変異遺伝子AVP1−Dが発現された(図
3B)(Zhen, R.G.ら、J. Biol. Chem., 272:22340-22348 (1997))。酵母中で
発現された該植物ポンプは、試験系統が機能的NHXlおよびGEFl遺伝子を
有した場合にのみ、試験系統のNa耐性を回復した。さらに、共通のオルガネ
ラ、プレ−液胞コンパートメント内にGeflpおよびNhxlが共に局在する
(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485 (1999))。こ
れらの結果は、図4Aおよび4Bにおけるモデルを強く支持し、細胞内ナトリウ
ム解毒に関与するわかりにくい植物輸送体を同定するために酵母プレ−液胞コン
パートメントを使用できることを示す。
【0043】 図4Aおよび4Bに示されるモデルは、高等植物におけるカチオン解毒におけ
る液胞の役割についての生理学的データと完全に一致する。酵母および植物細胞
は、ゴルジ網から液胞への小胞の通行のための経路およびシグナルを共有する(
Neuhaus, J.M.ら, Plant Mol. Biol., 38:127-144 (1998); (Paris, N.ら, Plan
t Physiol., 115:29-39 (1997); Sato, M.H.ら, J. Biol. Chem., 272:24530-24
535 (1997); Vitale, A.V.ら, Trends Plant Sci., 4:148-154 (1999))。した
がって、高等植物におけるカチオン解毒における液胞の役割を同定するために、
酵母における研究を計画した。
【0044】 酵母におけるカチオン封鎖メカニズムの研究 実施例1:酵母系統におけるAtNhx1およびAvp1の機能 図4Aおよび4Bに示される封鎖モデルを研究するために、原形質膜ナトリウ
ム流出ポンプを欠き、したがって、高塩において生長するために内部解毒系に頼
らなければならない突然変異体酵母系統(ena1)を構築した。図4Aおよび
4Bの封鎖モデル(Nass, R.およびRao, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060
(1998)および Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-4050
(1998))は、仮定のエンドソームコンパートメント中のプロトンの利用性を増大
できる場合にena1系統が耐塩性になる、すなわち、プロトンの流入の増加に
より、細胞質NaがNhx1交換体によって封鎖されることを予測する。
【0045】 酵母液胞型ATPアーゼは、マルチサブユニット蛋白質であり、それゆえ、そ
のサブユニットのいずれか一つを過剰発現することによってその活性を増加する
ことは困難である。そのかわり、酵母中でエー・タリアナAVP1遺伝子を発現
することにってプロトンの流入を増加することにより、同じ効果が達成された。
該遺伝子は、酵母中で発現される場合、液胞の内腔中にプロトンをポンプ輸送す
ることができる単一ポリペプチドをコードする(Kim, E.J.ら, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 91:6128-6132 (1994))。該プロトンポンプの最大活性を確実にす
るために、Hポンプ輸送容量を増大させたAVP1遺伝子のE229D機能増
大突然変異体(AVP1−D)を発現させた(Zhen, R.G.ら, J. Biol. Chem.,
272:22340-22348 (1997))。高NaCl含量のSD−ura培地上での培養後に
、細胞内ナトリウムおよびカリウム含量を突然変異体および野生型細胞について
決定した。
【0046】 材料および方法 酵母系統およびプラスミド W303に対して同遺伝子型の系統(ura3-1 can1-100 leu2-3, 112trp1-1 hi
s3-11, (Gaxiola, R.A.ら, EMBO J., 11:3157-3164 (1992))を用いた。プラス
ミドpRG52(・gef1::HIS3) (Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA, 95:4046-4050 (1998))およびpRG197(・nhx1::HIS3)を用いてGE
F1およびNHX1遺伝子の欠失を構築し、各々、RGY85およびRGY29
6系統を得た。enal::HIS3突然変異体はFink Labコレクショ
ン(L5709)から得た。
【0047】 形質転換の方法 酢酸リチウム法を用いることによって、酵母細胞の形質転換を行った(Gietz,
D.ら, Nucleic Acids Res., 20:1425 (1992))。単一突然変異系統を交雑する
ことによって、二重突然変異体RGY324(gef1::HIS3 enal
::HIS3)、RGY326(nhx1::HIS3 enal::HIS3
)およびRGY343(gef1::HIS3 nhx1::HIS3)を得た
。二重突然変異体は、各単一突然変異体に関連する表現型についてスコアをつけ
ることによって減数分裂子孫のなかで同定された。胞子形成、4分子解剖(tetr
ad dissection)および交配型について記載のようにスコアをつけた(Guthrie C
.およびFink, G.R., Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology (Academ
ic, San Diego (1991))。細胞はYPD(1%酵母/2%ペプトン/2%デキス
トロース;Difco)、YPGAL(1%酵母/2%ペプトン・2%ガラクトース
;Difco)、SD(Difco; 2%デキストロースを含有する合成培地)またはAP
G(APGは、10mMアルギニン、8mMリン酸、2%グルコース、2mM
MgSO、1mM KCl、0.2mM CaClおよび微量ミネラルおよび
ビタミンを含有する合成最少培地である)中で培養した(Rodriguez-Navarro, A
. and Ramos, J., J. Bacteriol., 159:940-945 (1984))。MnCl(Sigma
)、塩化テトラメチルアンモニウム(Sigma)、NaCl(Sigma)またはハイブ
ロマイシン−B(Sigma)を示されたとおりに加えた。
【0048】 野生型、L5709(enal::HIS3)、RGY324(gef1::
HIS3 enal::HIS3)およびRGY326(nhx1::HIS3
enal::HIS3)系統をpYES2ベクター(Invitrogen)およびZhen
, R.G.ら, J. Biol. Chem., 272:22340-22348 (1997)に記載のプラスミドpYE
S2−AVP1−E229Dで形質転換した。組織化学分析に使用される系統R
GY343(gef1::HIS3 nhx1::HIS3)をpRG151(
GEF1−GFP)(Gaxiola, R.A.ら Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-
4050 (1998))およびpRIN73[NHX1−(HA)](Nass, R.,および
Rao, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060 (1998))で形質転換した。
【0049】 野生型およびRGY296(nhx1::HIS3)系統をベクターpAD4
(Ballester, R.ら, Cell, 59:681-686 (1989))で形質転換した。RGY296
(nhxl::HIS3)をpRG308(ADH1::AtNHX1)で形質
転換した(AtNHX1のクローニングを参照のこと)。
【0050】 細胞内ナトリウムおよびカリウム含量の決定 細胞は、SD−ura培地(Difco; ウラシルを不含の2%デキストロースを
含有する合成培地)中で一晩培養した。YPGAL(1%酵母抽出物/2%ペプ
トン/2%ガラクトース;Difco)培地に一晩のストックを接種し、A600
0.6になるまで培養した。該ODにて、NaClを0.7Mの最終濃度まで加
えた。細胞を6時間インキュベートし、遠心分離によって収集し、1.1Mソル
ビトールおよび20mM MgClを用いて二回洗浄し、95℃で30分間、
水で抽出した。
【0051】 細胞中のNaおよびKの量をUniversity of Georgia Chemical Analysis
Laboratoryにおいて、誘導結合プラズマMSによって決定した(world wide web
のrserv/uga.edu/rsnew/chemicalanalysis/を参照のこと)。細胞内カチオン濃
度は、1M NaCl中で培養した細胞について算出した細胞内水分値を用いる
ことによって、記載のように評価された(Gaxiola, R.A.ら, EMBO J., 11:3157-
3164 (1992))。
【0052】 免疫蛍光 系統RGY343(gef1::HIS3 nhx1::HIS3)をSD−
ura、−leu培地(Difco; ウラシルおよびロイシンを含有せずに2%デキ
ストロースを含有する合成培地)中で対数期半ばまで培養し、0.1mg/ml
ハイグロマイシンBを加え、培養物を30℃で1時間インキュベートした。細胞
を室温で45分間、攪拌することなく3.7%ホルムアルデヒド(Sigma)で固
定した。スフェロプラスト形成、浸透化、洗浄および抗体インキュベーションを
記載のように行った(Pringle, J.ら, Immunofluorescence Methods for Yeast,
eds. Guthrie, C. And Fink, G.F. (Academic, Sand Diego), Vol. 194 pp.565
-602 (1991))。一次抗体として使用したMAB HA11はBabco(Richmo
nd, CA)から得た。Cy3−結合型ヤギ抗−マウスIgGはJackson I
mmunoresearchから得た。4’,6−ジアミジノ−2−フェニルイ
ンドール(Sigma)をミトコンドリアおよび核DNAを染色するための封入培地
に加えた。
【0053】 亜細胞性分画およびウェスタン分析 系統RGY343(gef1::HIS3 nhx1::HIS3)をAPG
培地(pH7.0)中で培養し、ライゼートを10段階シュークロース密度勾配
において記載(Nass, R.およびRao, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060 (19
98))のように分画した。個々のフラクションのアリコート(100μg)を記
載(Nass, R.および Rao, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060 (1998))のよ
うに、SDS/PAGEに付し、ニトロセルロースに転写した。ウェスタンブロ
ットは、モノクローナル抗−GFP(緑蛍光蛋白質)抗体(1:10000希釈
;CLONTECH)、抗−赤血球凝集素抗体(1:10000希釈;Boehringer Mannh
eim)およびペルオキシダーゼ結合型ヤギ抗−マウス抗体(1:5000)でプ
ローブし、ECL強化化学ルミネセンスシステム(Amersham Pharmacia)を用い
ることによって顕出した。
【0054】 AtNHX1のクローニング AtNHX1をエー・タリアナのファージcDNAライブラリー(Kieber, J.
J.ら, Cell, 72:427-441 (1993))(Arabidopsis Biological Resource Center
から得られた)から、部分的クローンを含有する発現配列タグ(Arabidopsis Bi
ological Resources Center, DNA Stock Center)でプローブすることによって
クローン化した。全長クローン(2.1kb)をベクターpSK2(Stratagene
)のNotI部位にライゲートし、プラスミドpRG293を作成した。鋳型と
してpRG293およびGGCCCGGGATGGATTCTCTAGTGTC GAAACTGCCTTCG (配列番号5)(下線を付した塩基はORFのヌク
レオチド1−30に対応する)およびT7オリゴヌクレオチドを用いることによ
って、AtNHK1 ORFをPCRによって増幅した。次いで、PCR産物を
XbaIおよびSalIで消化し、pAD4ベクター中にライゲートし、プラス
ミドpRG308を作成した。AtNHX1 ORFを配列決定してPCR産物
が正確であることを証明した。全長配列は、アラビドプシス・ゲノム・イニシア
ティブ(The Arabidopsis Genome Initiative) (A TM021B04.4)によって報告さ
れたOPFよりも長く、GenBankに寄託された(受託番号AF10632
4)。
【0055】 AVP1−Dのクローニング ベクターpYES2(Invitrogen)を野生型、ena1、ena1 nhx1
およびena1 gef1突然変異体中に導入した。プラスミドpYes2−A
VP1−D(Zhen, R.G.ら, J. Biol. Chem., 272:22340-22348 (1997))をen
a1、ena1 nhx1およびena1 gef1突然変異体中に導入した。各
系統の5倍連続希釈(10細胞で開始する)を0.5M NaClを含有する
かまたは含有しないYPGAL(1%酵母抽出物/2%ペプトン/2%ガラクト
ース)上に播種し、30℃で2日間インキュベートした。指数的に増殖している
細胞(pYES2ベクターで形質転換した野生型およびena1ならびにpYe
s2−AVP1−Dを有するena1、ena1 nhx1およびena1 ge
f1突然変異体)を0.7M NaClに6時間曝露した。全細胞抽出物を調製
し、NaおよびK濃度を決定した。
【0056】 結果 上記の構築物のena1突然変異体は原形質膜ナトリウム流出ポンプを欠き、
したがって、ナトリウム毒性を克服するために内部解毒系に頼らなければならな
い。ena1系統の増殖は低濃度のナトリウム(200mM)、野生型系統の増
殖を阻害しない濃度に感受性である。AVP1−Dの過剰発現は塩感受性ena
1突然変異体に耐塩性を回復させた。AVP1−Dによるena1系統への耐塩
性の回復は、機能的NHX1およびGEF1遺伝子を必要とし、ena1nhx
1AVP1−Dおよびena1 gef1 AVP1−D系統は塩感受性である。
【0057】 図5Aおよび図5Bは、野生型酵母系統およびナトリウム耐性に影響を及ぼす
種々の突然変異を有する酵母系統の細胞内NaおよびK含量を示す棒グラフ
であり、値は2つの測定値の平均であり、棒は標準偏差を示す。野生型系統およ
び耐性に影響を及ぼす種々の変異を有する系統の細胞内NaおよびK含量は
、0.7M NaClを補足した培地に6時間曝露後に決定された。ena1突
然変異体中の細胞内Na含量は、野生型系統におけるよりも8倍高いことがわ
かった。ena1 AVP−D系統において全細胞Naにおける一定の減少あ
ることがわかった。該減少の理由は知られていない。ena1 AVP−D系統
は、その細胞内Na含量が野生型よりも4倍高いにもかかわらず、耐塩性であ
ることが見出された。gef1またはnhx1のいずれかを欠くena1 AV
P1−D系統(すなわち、ena1 gef1またはena1 nhx1)におい
て、Na含量は、GEF1 NHX1系統における程度まで減少されなかった
。合わせると、遺伝学的および生理学的データはNhx1、Gef1およびAv
p1が共同でナトリウムを内部に封鎖するモデルと一致する。グラフからわかる
ように、アラビドプシス液胞型H−ピロホスファターゼ(Avp1)は酵母e
na1突然変異体に耐塩性を与えることが明らかにされた。
【0058】 細胞内K含量は、耐塩性と相関することが見出され、該系統のNa含量と
逆方向に相関する(図4B)。野生型K濃度は100mMであったが、ena
1突然変異体において20mMに減少した。興味深いことに、AVP1−D遺伝
子を過剰発現するena1系統において、Kの細胞内濃度はほとんど野生型レ
ベルまで回復した(図4B)。しかしながら、AVP1−D過剰発現は、NHx
1およびGEF1の両方が機能的でないかぎり、細胞内カリウムの野生型レベル
を回復することはできなかった(図4Bの二重突然変異体ena1 nhx1ま
たはena1 gef1を参照)。
【0059】 本明細書に示されるように、酵母における細胞内Na解毒は機能的Na
交換体(Nhx1)および塩化物チャンネル(Gef1)を必要とし、それ
らはプレ−液胞コンパートメントに共に局在する(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485 (1999))。酵母NHX1遺伝子のアラビドプ
シス・タリアナ相同物(AtNHX1)をクローン化し、nhx1酵母突然変異
体中のその機能を試験したとき、AtNHX1遺伝子はnhx1突然変異体のカ
チオン感受性表現型を部分的に抑制できることが見出された。図6は、アラビド
プシスAtNHX1(配列番号1)、ヒトHsNHE−6(配列番号2)および
酵母ScNHX1(配列番号3)由来のNhX1相同物の推定アミノ酸配列であ
り、一致する残基を黒いボックスで囲み、点線は配列中のギャップを示し、配列
上の*はヒトNHE1由来の推定アミロライド結合部位(163DVF−FLF
LLPPI173)(配列番号4)を示す。
【0060】 実施例2:酵母系統におけるGef1pおよびNhx1pの機能性および共同
局在化 ナトリウム解毒において重要なものとして同定されたNHX1およびGEF1
遺伝子はまた、他のカチオンの解毒にも必要とされる。図4Aおよび図4Bにお
いて示されるモデルに照らして、毒性カチオンの存在下、gef1およびnhx
1に関する酵母系統突然変異体(ena1)の生存能力に関する研究がなされた
【0061】 封鎖モデルは、アニオンチャンネルGef1とナトリウム交換体Nhx1との
間の機能的関連を仮定するだけでなく、これらの2つの蛋白質が共通のコンパー
トメント内に共に局在することも予測する。以前の研究はNhx1がプレ−液胞
コンパートメントに局在することを示したので(Nass, R.およびRao, R., J. Bi
ol. Chem., 273:21054-21060 (1998))、Gef1およびNhx1蛋白質が該コ
ンパートメントに共に局在するか否かを決定するための実験も行った。
【0062】 材料および方法 系統RGY419(gef1 nhx1)をプラスミドpRG151;GEF
1−GFPおよびpRIN73;NHX1−(HA)で形質転換した。形質転
換体をSD(Difco;2%デキストロースを含有する合成培地)中で培養した。
かかる形質転換体の毒性カチオンに対する感受性を決定するために、示された系
統の5倍連続希釈(10細胞で開始する)を30℃で2日間、示されるように
3mM MnCl、0.45Mテトラメチルアンモニウム(TMA)または0
.05mg/mlハイグロマイシンB(HYG)のいずれかを添加したYPD(
1%酵母抽出物/2%ペプトン/2%デキストロース)上で培養した。
【0063】 Gef1pおよびNhx1pの共同局在化を明らかにするために、2つの研究
が計画された。 2つの構築物:GEF1−GFP融合物およびNHX1−(HA)−タグ付
加した融合物で形質転換されたgef1 nhx1細胞における亜細胞性フラク
ションの蛍光および免疫検出の分布を決定した。細胞がOD600=0.5に達
したとき、ハイグロマイシンB(Sigma)を0.1mg/mlの最終濃度まで加
え、細胞を30℃で40分間インキュベートした。細胞を固定し、HAエピトー
プおよび4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で染色し
た。細胞を電荷結合素子顕微鏡によって視覚化し、所望により、デコンヴォリュ
ーションアルゴリズム(Scanalytics, Billerica, MA)を用いることによって区
分に分けた((Kennedy, B.K., et al., Cell, 89:381-391 (1997)); (Bar = 1
Φm)。
【0064】 また、Nhx1(HA)およびGEF1−GFPの共同局在化の証拠を提供
するために、シュークロース勾配におけるGef1pおよびNhx1pの移動特
性も決定した。系統RGY419(gef1 nhx1)をプラスミドpRG1
51;GEF1−GFPおよびpRIN73;NHX1−(HA)で形質転換
し、APG培地中で培養した(Rodriguez-Navarro, A.およびRea, P.A., J. Bio
l. Chem., 159:940-945 (1984))。これをスフェロプラストに変換し、溶解し、
記載(Sorin, A.ら, J. Biol. Chem., 272:9895-9901 (1997)およびAntebi, A.
およびFink, G.R., Mol. Biol. Cell, 3:633-654 (1992))のように10段階シ
ュークロース勾配(18−54%)上で分画した。ウェスタンブロットはGef
1−GFPおよびNhx1−HAの分布を示した。
【0065】 結果 Gef1突然変異体は、3mM MnCl、0.45M塩化テトラメチルア
ンモニウム、および0.05μg/mlハイグロマイシンーBに対して感受性で
あることが見出された。nhx1突然変異体もまた、塩化テトラメチルアンモニ
ウムおよびハイグロマイシンに対して感受性であることが見出された。ハイグロ
マイシンに対するnhx1突然変異体の極度の感受性は、nhx1機能をアッセ
イするための重要な手段を提供しうる。
【0066】 エピ蛍光デコンヴォリューション顕微鏡によって示されるように、赤血球凝集
素(HA)−タグ付加したNhx1およびGef1−GFP融合蛋白質が共に局
在することが見出された。像の90°回転におけるシグナル一致の持続は、さら
に、これらの細胞における2つの輸送体蛋白質の共同局在化を支持する。Nhx
1(HA)およびGEF1−GFPの共同局在化はまた、タグ付加した蛋白質
を発現している細胞から得られた膜調製物のシュークロース密度勾配中における
2つの蛋白質の共同移動によって支持される。両方の蛋白質を含有する膜分画の
沈降作用は、プレ−液胞コンパートメントのそれと一致する(Nass, R.およびRa
o, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060 (1998))。Gef1−GFP(Nh
x1ではない)もまた、ゴルジ分画中に存在し、以前の研究と一致する(Gaxiol
a, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-4050 (1998), Schwappach,
B.ら, J. Biol. Chem., 273:15110-15118 (1998))。
【0067】 実施例3:NHX1のエー・タリアナ相同物の突然変異体酵母のハイグロマイ
シン感受性を抑制する能力 本明細書に記載の酵母系統は、他の生物において耐塩性を媒介する遺伝子を同
定するための重要な手段を提供する。該系の利用性を試験するために、エス・セ
レビシエ(S. cerevisiae)NHX1 ORFに対し非常に高いホモロジーを有す
るアラビドプシス由来の配列(材料および方法を参照)を同定し、発現配列タグ
(材料および方法を参照)を用いて該アラビドプシス遺伝子の全長クローンを得
た。アラビドプシス(AtNhx1)、ヒト(HsNhe6)および酵母(Sc
Nhx1)由来のNhx1相同物のアミノ酸配列を並べた配列は、予測された膜
貫通ドメイン内のアミノ酸同一性および類似性の部分を示す(図6A−C)。し
かしながら、これらの関係にもかかわらず、AtNhx1およびScNhx1の
C末端領域はどちらも高い程度のホモロジーを示さないことに注目することが重
要である(図6A−C)。
【0068】 哺乳動物Na/H対向輸送体の特徴は、アミロライドによるそれらの阻害
である。推定アミロライド結合部位(163DVFFLFLLPPI173)(
配列番号4)は、ヒトNHE1対向輸送体遺伝子における点突然変異体によって
定義された(Counillon, L.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:4508-4512 (1
993))。AtNhx1、HsNhe−6およびScNhx1はほとんど同一の配
列を有する(図6)。しかしながら、酵母培養体におけるNhx1またはAtN
Hx1の活性をアミロライドで阻害する試みは不成功に終わった。
【0069】 酵母nhx1突然変異体のハイグロマイシンに対する極度の感受性は、クロー
ン化したアラビドプシスAtNHX1 ORFが酵母においてNa/H交換
機能を提供するかどうかの試験を可能にした。ベクターpAD4(Ballester, R
.,ら, Cell, 59:681-686 (1989))を野生型およびnhx1系統中に導入した。
プラスミドpRG308;ADH;AtNHX1を示されるようにnhx1突然
変異体中に導入した。示された系統の5倍連続希釈(10細胞で開始する)を
30℃で2日間、YPD(−)または0.05mg/mlハイグロマイシンを補
足したYPD(+)上で培養した。同じ系統の連続希釈をAPG培地(材料およ
び方法を参照)(−)または0.4M NaClを補足したAPG上で培養した
(Rodriguez-Navarro, A.およびRamos, J., J. Bacteriol., 159:940-945 (1984
))。
【0070】 AtNHX1遺伝子は、nhx1突然変異体のハイグロマイシン感受性を抑制
することができる。AtNHX1遺伝子はまた、K利用性が減少した条件下に
おいてのみ、nhx1突然変異体のNaCl感受性を抑制した。しかしながら、
AtNHX1は、AVP1−D遺伝子を過剰発現している二重突然変異体ena
1 nhx1のNa感受性増殖表現型を救済することができなかった。
【0071】 実施例4:機能増大酵母AtNHX突然変異体の作成 材料および方法 クローン化遺伝子に突然変異を誘発させて突然変異ライブラリー作成すること
によって、耐塩性を強化するAtNHXの機能増大突然変異体をena1酵母に
おいて作成した。該ライブラリーを用いて、塩感受性突然変異体ena1および
強化した耐塩性表現型を有するクローンを形質転換した。
【0072】 また、アラビドプシス・ゲノム・イニシアティブ(AGI)によって報告され
たように、AtNHX1遺伝子に対して類似性を示す他の遺伝子を突然変異体酵
母において発現させて機能増大突然変異体を形成させた。これらのAtNHX1
相同物のうちいくつかは原形質膜輸送体であると考えられ、それゆえ、酵母にお
けるそれらの機能はしばしばpH依存性であり、成功するためにスクリーニング
に使用される培地の正確な組成およびpHを必要とする。原形質膜輸送体の同定
は、減少したナトリウム取り込みのために強化した耐塩性を有する植物を操作す
るのを助ける。さらに、酵母における植物cDNA発現ライブラリーを用いて、
NaCl解毒に関与する輸送体の他のファミリーを同定する。
【0073】 AtNHXの機能増大突然変異体を作成するために、Stratgene(Epicurian C
oli XL1-Red competent Cells Cat#200129)によって開発されたランダム突然変
異を導入する方法を使用した。該方法は、3つの一次DNA修復経路において欠
陥のある系統中へのクローン化遺伝子の伝達を含む。該系統におけるランダム突
然変異率は、野生型よりも約5000倍高い。突然変異したAtNHX遺伝子の
ライブラリーをena1酵母突然変異体中に形質転換し、耐塩性についてスクリ
ーンした。酵母形質転換は、Schiestlおよび共同研究者によって記載されたとお
りに行った(Gietz, D.ら, Nucl. Acid Res. 20:1425 (1992), 出典明示によっ
てその全体として本明細書の一部とされる)。XL1−Redランダム突然変異
誘発法に対する別法は、Finkおよび共同研究者によって記載されたPCRアプロ
ーチである(Madhani, H.D.ら, Cell, 91:673-684 (1997))。
【0074】 AtNHX1相同物を試験するために、AtNHX1に用いたのと同じ系統お
よび条件(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485 (199
9))を最初に用いた。しかしながら、これらのスクリーニング系統および/また
は条件が作用しなかったならば、新しい系統および/または条件を決定する。原
形質膜AtNHX1相同物を扱う場合、アッセイ培地のpH条件は非常に重要で
あることが見出された。
【0075】 結果 エー・タリアナ機能増大突然変異遺伝子AVP1−Dの過剰発現は、酵母にお
ける細胞内解毒能力を増大する(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 96:1480-1485 (1999))。後者はHの液胞コンパートメント中への流入が増
加し、それゆえ、Nhx1交換体を介するNa封鎖を改善することに起因する
と仮定される(しかしながら、かかる仮説によって限定されるものではない)。
【0076】 酵母カチオン封鎖研究の結論 上記の酵母研究は、酵母における細胞内Na封鎖のためのプレ−液胞pHの
重要性の証拠を提供する。植物H−ピロホスファターゼ(Avp1)の過剰発
現は、機能的な塩化物チャンネル(Gef1)およびNa/H交換体(Nh
x1)を含有する系統においてのみ、酵母に耐塩性を与える。 これらのデータは、Nhx1 Na/H交換体が液胞型ATPアーゼおよ
びGEF1アニオンチャンネルと協力して作用してプレ−液胞コンパートメント
中でカチオンを封鎖するモデルを支持する。いくつかの研究は、プレ−液胞コン
パートメントが原形質膜および後期ゴルジの両方に由来しうることを示唆する。
これらの小胞はおそらく、液胞の構築または負荷物の該オルガネラへのデリバリ
ーに関与する。これらのプレ−液胞小胞が封鎖によってカチオンを解毒し、それ
により、細胞質および他のオルガネラ中のそれらの濃度を低下させると予想する
ことが妥当である。
【0077】 本明細書に記載の酵母系は、耐塩性における別種の異種蛋白質:塩化物チャン
ネル、Hポンプ、およびNa/H交換体および他のカチオン/H交換体
またはカチオン/ビカルボネート共輸送体の機能的評価を可能にする。該系は丈
夫で柔軟である。アラビドプシス塩化物チャンネルの機能(Gaxiola, R.A.ら, P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-4050 (1998), Hechenberger, M.ら, J. B
iol. Chem., 271:33632-33638 (1996))、Hポンプ、およびNa/H交換
体は対応する酵母突然変異体においてアッセイすることができる。AtNHX1
が酵母nhx1突然変異体の全ての表現型を抑制することができないにもかかわ
らず、それがAtNHX1と酵母NHX1との間のDNAホモロジーと関係した
いくつかの表現型を抑制するという事実は、植物遺伝子が酵母相同物と同様の機
能を実行することを示す。AtNHX1遺伝子がハイグロマイシンに対するnh
x1突然変異体の感受性を抑制するが、弱いNa解毒表現型を提供するだけで
あるという観察は、2つの生物における輸送体の特異な調節または別個のカチオ
ン輸送選択性のいずれかの結果であった。
【0078】 塩によるAtNHX1の調節および植物遺伝子の酵母nhx1突然変異体抑制
能は、カチオンが酵母および植物において解毒されるメカニズムが類似しうるこ
とを示唆する。実際、以前の研究は、耐塩性植物における液胞のナトリウム蓄積
が、液胞型H−ATPアーゼ(V−ATPアーゼ)および/またはH−輸送
性ピロホスファターゼによって生じたプロトン駆動力を利用する液胞膜Na
対向輸送体によって媒介されうることを示唆した(V-Ppase; refs. Barkla,
B.J.ら, Symp. Soc. Exp. Biol., 48:141-153 (1994), Zhen, R.G.ら, The Mol
ecular and Biochemical Basis of Pyrophosphate-Energized Proton Transloca
tion at the Vacuolar Membrane (Academic, San Diego), Kirsh, Mら, Plant M
ol. Biol., 32:543-547 (1996))。
【0079】 gef1およびnhx1突然変異体の両方がハイグロマイシンに対して高感受
性であるという本明細書に記載の知見は、ハイグロマイシンに対する耐性のレベ
ルが液胞およびプレ−液胞オルガネラの機能に依存することを示す。K取り込
みに欠損のある酵母突然変異体(trk1)はハイグロマイシンに対して高感受
性であり(Madrid, R.ら, J. Biol. Chem., 273:14838-14844 (1998))、減少し
たK取り込みは、原形質膜ポテンシャルを過分極化し、ハイグロマイシンのよ
うなアルカリカチオンの取り込みを駆動する。原形質膜H−ATPアーゼのH ポンプ輸送活性を減少する突然変異、Pmalは、原形質膜ポテンシャルを脱
分極し、ハイグロマイシンに対する耐性を与える(McCusker, J.H.ら, Mol. Cel
l. Biol., 7:4082-4088 (1987))。したがって、液胞およびプレ−液胞コンパー
トメントのpHまたは膜ポテンシャルに影響を及ぼすgef1またはnhx1の
ような突然変異は、ハイグロマイシンのコンパートメンテーションに影響を及ぼ
すことが予想されうる。
【0080】 アップレギュレートされた液胞H−輸送性ポンプ活性を有するトランスジェ
ニック植物 塩ホメオスタシスにおけるアラビドプシスAtNHX1遺伝子の役割に関する
さらなる支持は、その発現が塩ストレス植物において誘導されるという観察によ
って提供される(Gaxiola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-148
5 (1999))。特に、アラビドプシス・タリアナは、これらの遺伝子の過剰発現が
植物において耐塩性をもたらすということを明らかとするために宿主モデル植物
として使用されてきた。近年の報告は、トランスジェニックアラビドプシス・タ
リアナにおけるAtNHX1遺伝子の過剰発現が短日サイクル条件下、200m
M NaClおよび1/8M.S.塩で給水された土壌中において維持された生
長を促進することを示す(Apse, M.ら, Science, 285:1256-1258 (1999))。1
/8M.S.塩のあらゆる添加がNaClストレスの厳しさを軽減する2.5m
Mカリウムを提供すること、短日サイクルが酸化的ストレスを軽減することに注
目する価値がある。
【0081】 実施例5:塩ストレス植物におけるAtNHX1遺伝子の強化された発現 材料および方法 エー・タリアナ植物(生態型コロンビア)をシュークロース不含の非補足植物
栄養寒天(Haughn, G.W.およびSomerville, C., Mol. Gen. Genet., 204:430-43
4 (1986))上、19℃で15日間、連続的照明下で無菌培養した。NaClまた
はKClを250mMの最終濃度まで加え、植物を6時間インキュベートした。
塩処理および非処理植物の組織由来の全RNAを単離し(Niyogi, K.K.およびFi
nk, G.R., Plant Cell, 4:721-733 (1992))、Hybond−N(Amersham)膜
をプラスミドpRG308由来の32P−標識化DNAプローブでハイブリダイ
ズした。ハイブリダイゼーションは65℃で一晩行った。0.2%標準セーライ
ンクエン酸塩(SSC)/0.1%SDSを用いて65℃で洗浄を行った(Ause
bel, F.ら, Curr. Protocols in Mol. Biol. (Wiley, NY) (1988))。18Sプ
ローブをローディング対照として用いた(Unfried, I.ら, Nucleic Acids Res.,
17:7513 (1989))。MACBAS2.4プログラムを用いてRNAの相対量を
定量した。
【0082】 結果 NaClストレスはAtNHX1 mRNAレベルを4.2倍増加したが、K
Clはたった2.8倍の増加を促進した。ナトリウムによって生じたmRNAレ
ベルにおけるこの増加は、酵母NHX1遺伝子についての記載(Nass, R.および
Rao, R., J. Biol. Chem., 273:21054-21060 (1998))と似ている。RNA組織
ブロットはAtNHX1とハイブリダイズした。250mM NaClまたはK
Clに6時間曝露した15日齢植物および塩の不在下で培養した対照由来の全R
NAの10μgを変性ホルムアルデヒドゲル上の電気泳動に付した。ブロットを
AtNHX1 ORFの内部のプローブとハイブリダイズした。18Sリボソー
ムプローブをローディング対照として用いた。
【0083】 実施例6:AtNHX1を過剰発現しているトランスジェニック植物の耐塩性 材料および方法 アグロバクテリウムに媒介される植物形質転換を用いて、AtNHX1を過剰
発現するトランスジェニック植物を作成した。トランスジェニックAtNHX1
は、CaMVの35Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーを用いて発現し
た(Topfer, Rら、Nucl. Acid. Res., 15:5890 (1987))。
【0084】 15個の野生型植物および15個の35SAtNHX1トランスジェニックを
12時間−日光サイクルで20日間培養した。該期間の間、希釈栄養溶液(1/
8M.S.塩)を用いて5日毎に植物に給水した。21日目に200mM Na
Clを撒水溶液に加え、33日目に300mM NaClを含有する栄養溶液を
用いて植物に給水した。最後のNaCl処理後10日目に植物を写真撮影した。 結果 トランスジェニック植物は、300mM NaClで給水したとき、野生型対
照よりもそれほど有意に影響されないことが見出された。
【0085】 実施例7:35SAVP1を過剰発現しているトランスジェニック植物の耐塩
性 材料および方法 35Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーを用いてAVP1野生型遺伝
子を過剰発現するように、トランスジェニックアラビドプシス・タリアナ植物を
操作した(Topfer, R.ら, Nucl. Acid Res., 15:5890 (1987))。AVP1は、
アラビドプシス由来のピロホスフェートによってエネルギーを与えられる液胞膜
プロトンポンプをコードする(Zhen, R.G.ら, J. Biol. Chem., 272:22340-2234
8 (1997))。以前の研究は、AVP1遺伝子がアラビドプシスのゲノム中の単一
コピーに存在することを示すが(Kim, Y.ら, Plant Physiol., 106:375-382 (19
94))、染色体1上のAVP1に同一ではないが相同の配列は、アラビドプシス
・ゲノム・イニシアティブ(AGI)によって仮にBAC F9K20上のOR
F F9K20.2と呼ばれていた。
【0086】 アグロバクテリウムに媒介される植物形質転換を用いて、AVP1を過剰発現
するトランスジェニック植物を作成した。トランスジェニックAVP1は、Ca
MVの35Sプロモーターの二重タンデムエンハンサーを用いて発現した(Topf
er, Rら、Nucl. Acid. Res., 15:5890 (1987))。15個の野生型植物および1
5個の35SAVP1トランスジェニックを24時間−日光サイクルで16日間
培養した。該期間の間、希釈栄養溶液(1/8M.S.塩)を用いて4日毎に植
物に給水した。17日目に200mM NaClを撒水溶液に加え、27日目に
250mM NaClを含有する栄養溶液を用いて植物に給水した。最後のNa
Cl処理後10日目に植物を写真撮影した。実施例6に記載と同一条件および処
理を用いた。
【0087】 結果 35SAVP1植物の5つの異なる系統は、T2段階において野生型植物と比
べて強化した耐塩性を示した。しかしながら、最も著しい表現型はホモ接合体T
3植物において明白であった。これらのトランスジェニック植物は野生型植物よ
り大きい。さらに、ホモ接合体35SAVP1植物は、24時間光計画において
培養されたとき、250mM NaClおよび1/8M.S.塩の存在下で維持
された生長を示した。35SAVP1植物を短日サイクル条件下(12時間日光
サイクル)で培養した場合、300mM NaClおよび1/8M.S.塩の存
在下での維持された生長が観察された。
【0088】 実施例8:水耕溶液中における野生型植物および35SAVP1トランスジェ
ニック植物の生長 標準的な農業用の真水の入手の可能性の減少は、別の農業分野の利用を強いる
。耐塩性作物を用いて、海水を用いる水耕栽培の利用が作物生産における新たな
時代を創造すると考えられる。水耕栽培は、植物生長を増進し、ストレスのない
根およびシュート材料を提供すると報告されている(Gibeaut, D.M.ら, Plant P
hysiol., 317-319 (1997))。水耕栽培の別の重要な利益は、土壌中よりも正確
にイオン組成を改変できることである。これらの利益は、塩ストレスの生理学的
研究に重要であった。 アラビドプシス植物の水耕栽培の条件が確立され、培地中のNaCl濃度の上
昇におけるそれら反応が試験された。
【0089】 材料および方法 一の試験において、水耕栽培した野生型および35SAVP1トランスジェニ
ック植物を作成した。野生型および35SAVP1トランスジェニック植物を溶
液培養において、12時間光サイクルで65日間生長させた。 別の試験において、野生型および35SAVP1トランスジェニック植物を溶
液培養において、12時間光サイクルで20日間生長させた。4日毎に50mM
の増加によってNaCl濃度を段階的に増加させることを21日目に開始した。
200mM NaClの存在下で4日後に、植物を写真撮影した。
【0090】 また別の水耕試験において、トランスジェニック植物を海洋中に存在する完全
なイオン組成を含有する市販の海水処方で攻撃した。35SAVP1、35SA
tNHX1単一および二重トランスジェニックを野生型アラビドプシス・タリア
ナ植物と一緒に水耕条件下で4週間、短日照明サイクル(Gibeaut, D.M.ら, Pla
nt Physiol., 317-319 (1997))において培養した。次いで、4日毎に、Tro
pic Marin海塩(worldwide webのthatpetplace.com)の50mM Na
Clの同等量を加えた。該人工海水混合液は、本物の海水中に存在する他の多量
および微量の要素を含有する。生長をモニターし、生理学的パラメーター、例え
ば、ナトリウム含量および分布を決定した。
【0091】 結果 野生型および35SAVP1トランスジェニック植物を水耕栽培した場合、野
生型および35SAVP1トランスジェニック植物の間で根、葉および茎の大き
さの相違が劇的であることが見出され、35SAVP1トランスジェニック植物
部分が非常に大きかった。 NaCl濃度を4日毎に50mMずつ段階的に増加した場合(Apse, M.ら, Sc
ience, 285:1256-1258 (1999))、35SAVP1トランスジェニック植物は2
00mM NaClの存在下で健康であるようであったが、野生型対照は葉およ
び茎において著しい有害な影響を示した。 野生型アラビドプシス・タリアナ植物と一緒に水耕条件下で4週間、短日照明
サイクル(Gibeaut, D.M.ら, Plant Physiol., 317-319 (1997))において培養
し、次いで4日毎に、Tropic Marin海塩の50mM NaClの同等
量で攻撃された35SAVP1、35SAtNHX1単一および二重トランスジ
ェニックは、海塩溶液中で生長することが見出された。野生型アラビドプシス・
タリアナ植物は生育しなかった。
【0092】 実施例9:トマト植物におけるアラビドプシス・タリアナプロトン輸送体の過
剰発現の効果 より農業上重要な植物、トマト植物におけるこれらのアラビドプシス・タリア
ナプロトン輸送体(AVP1およびAtNHX1)の過剰発現の効果を調べた。
トマト植物の耐塩性の増加はおそらく重要な経済的な影響を有すると考えられる
。 AVP1およびAtNHX1のトマト相同物を単離し、それらを過剰発現させ
るために対応するキメラを構築した(Bidone, S.ら, Eur. J. Biochem., 253: 2
0-26 (1998); Burbidge, A.ら, J. Exper. Botany, 48:2111-2112 (1997))。カ
ルスのアグロバクテリウムによって媒介される感染によって遺伝子を導入した。
組織培養法を用いて形質転換植物を再生した。植物を耐塩性ならびに生理学的パ
ラメーター、例えば、ナトリウム含量および分布についてアッセイした。
【0093】 35S AVP1および35S AtNHX1構築物でのトマト形質転換は、Mc
Cormickによって記載されたとおりに行った (McCormick, S., Transformation o
f tomato with Agrobacterium tumefaciens. Plant Tissue Culture Manual, pp
. 1-9, Lindsey, K. (編), Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, The Neth
erlands (1991))。T0およびT1トランスジェニックをポリメラーゼ連鎖反応
およびDNAゲルブロッティングによって、AVP1およびAtNHX1導入遺
伝子の存在およびコピー数について分析した。ヘテロ接合体およびホモ接合体植
物は、T1種子内で各トランセンド(transcend)の分離分析後に同定された。
ホモ接合体を、耐塩性ならびに生理学的パラメーター、例えば、ナトリウム含量
および分布についてアッセイした。AVP1およびAtNHX1相同物に存在す
る保存配列に基づく縮重したオリゴを設計した。これらの縮重プライマーをトマ
ト由来のポリ(A)+RNAから作成されたcDNAを用いるRT−PCR反応
に用いた。得られたPCRフラグメントをプローブとして用いて全長cDNAク
ローンを市販のライブラリー(すなわち、Stratagene Cat#936004)から単離し
た。同様の策法がCabocheおよび共同研究者によって記載された(Quesada, A.ら
, Plant Mol. Biol., 34:265-274 (1997))。
【0094】 結果 陽性試験結果は、本明細書に記載の封鎖モデルが重要作物にも適用可能である
ことを示す。 図7は、塩を含んだ土壌中で生長した野生型植物(WT)対AVP−1を過剰
発現している代表的なトランスジェニック植物(1’および2’)のNaおよ
びK含量のグラフである。5つの野生型植物(WT)および2つのAVP−1
過剰発現トランスジェニック系統(1’および2’)を土壌において10時間明
/暗サイクルで培養した。希釈栄養溶液(1/8MS塩)を用いて6週間、植物
に給水し、次いで、NaClを補足した希釈栄養溶液を用いて給水した。NaC
lの濃度は100nMで開始し、4日毎に100mMずつ増加させた。写真は、
300mM NaClの存在下で10日目の植物に相当する。200mM NaC
lの存在下で24時間後に植物の地上部を採取し、それらの新鮮重量を測定した
。75℃で48時間後、乾燥重量を測定した。NaおよびK含量を原子吸光
によって決定した。図4のグラフの値は、平均+/−SE(n=4)である。グ
ラフからわかるように、トランスジェニック系統(1’および2’)におけるN
およびK含量は野生型相対物よりも有意に高かった。
【0095】 図8は、図4の2’の35SAVP−1トランスジェニック液胞膜小胞中への
カルシウムの取り込み(四角)対図4の野生型(WT)から得られた小胞中への
カルシウム取り込みのグラフである。野生型植物(白抜き丸)および図4の2’
系統由来のトランスジェニック植物を9週間、10時間光サイクルで水耕栽培し
た。液胞膜小胞を250mMソルビトール、25mM BTP−Hepes pH
8.0、50mM KCl、1.5nM MgSOおよび10μM Ca++
含有するバッファーに加えた。該混合物を20℃で10分間インキュベートした
後、200μM PPiを加えて反応を開始した。Ca++イオノホアA231
87を5μg/mlの最終濃度まで加えてCa++勾配を消散させた。アリコー
ト(200μl)を所定の回数ろ過し、記載のように冷バッファーで洗浄した(
11)。グラフによって明らかにされるように、2’系統由来のトランスジェニッ
ク植物は野生型植物よりも大きいカルシウム取り込みを有する。
【0096】 上記のデータは、AVP−1を過剰発現しているトランスジェニック植物が強
化したHポンプ輸送能力をその液胞膜に有し、強化したH供給はH駆動性
イオン輸送体の作用によって液胞中により多くのイオン蓄積をもたらすという仮
説と一致する。さらに該理論を支持するために、野生型およびトランスジェニッ
ク液胞膜小胞のCa++取り込み量を決定した。 Ca++がCa++/H対向輸送体を介して植物液胞に侵入することは、十
分に明らかにされている(K. S. Schumaker, H. Sze, Plant Physiol. 79, 1111
-1117 (1985))。さらに、アラビドプシス・タリアナCa++/H対向輸送体
CAX1およびCAX2をコードしている遺伝子が単離および特徴付けられた(
K. D. Hirschi, R.-G. Zhen, K. W. Cunningham, P. A. Rea, G. R. Fink, Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 93, 8782-8786 (1996))。図8は、35SAVP−1
トランスジェニック液胞膜小胞中のCa++取り込みが野生型から得られる小胞
中よりも35%高いことを示す。Ca++イオノホアA23の適用は、45Ca ++ 数をバックグラウンドレベルまで低下させ、小胞の狭さを示した(図8)(
K. S. Schumaker, H. Sze, Plant Physiol. 79, 1111-1117 (1985))。
【0097】 かかる理論に限定されないが、AVP−1遺伝子を過剰発現しているトランス
ジェニック植物の強化した耐乾性および凍結耐性と一致するモデルを図9Aおよ
び図9Bに示す。該モデルは、トランスジェニック植物の液胞におけるAVP−
1ポンプの数の増加がどのようにより多くのHを提供することができ、二次的
輸送体が液胞の内腔中により多くのカチオンを輸送することを可能にするのかを
示す。より多量のカチオンは、低土壌水分ポテンシャルに耐性のある植物を与え
るより大きな水分保持能力をもたらすより大きな浸透圧を提供する。
【0098】 実施例10:35S AVP1および35S AtNHX1での二重トランスジ
ェニック植物 ピロホスフェートによってエネルギーを与えられる液胞膜プロトンポンプAV
P1の過剰発現は、おそらく液胞の内腔におけるHの利用性を増加し、AtN
HX1 Na/H対向輸送体がこれらのHを使用してNaカチオンを液
胞中に封鎖する。したがって、これらの輸送体のより高い発現がおそらく、液胞
の封鎖能を最大にする。
【0099】 遺伝子AVP1およびAtNHX1の両方を過剰発現するトランスジェニック
アラビドプシス植物を作成するために、T3 35S AVP1植物を雌として使
用し、T3 35S AtNHX1植物を雄として使用する。雌性植物を除雄し、
ドナー植物の新たに開花した花から葯を採取した。これらの葯を用いて、葯を柱
頭に接触させることによって除雄した植物を受粉する。採取時のいずれかの混同
を回避するために、受粉した花を標識し、同じ雌性植物由来のいずれかの開花し
たまたは開花しないままの花を除去する。50%次亜塩化ナトリウム溶液を用い
て採取した種子を滅菌し、5分間、勢いよく混合し、水で入念にリンスする。滅
菌した種子を軟らかい寒天中、4℃で一晩保存する。次いで、それらを固形カナ
マイシン−ハイグロマイシン選択培地上にまく。35S AVP1構築物は、植
物中のカナマイシン耐性を与えるネオマイシンホスホトランスフェラーゼII遺
伝子を有し、一方、35S AtNHX1構築物は、植物中のハイグロマイシン
耐性を与える修飾されたハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼを有する
。耐性幼植物を土壌および水耕培地中に移植して、耐塩性表現型について試験す
る。
【0100】 エー・タリアナ機能増大突然変異遺伝子AVP1−D(Zhenら, J. Biol. Che
m., 272:22340-22348 (1997))を過剰発現するためのトランスジェニックアラビ
ドプシス・タリアナ植物を、上記の35Aプロモーターの同じ二重タンデムエン
ハンサーを用いて操作する(Topfer, R.ら, Nucl. Acid Res., 15:5890 (1997)
)。機能増大突然変異遺伝子を過剰発現している植物は、強化された表現型を示
す。これらの植物は、35S AVP1、35S AtNHX1単一および二重ト
ランスジェニックと同時に特徴付けられる。エー・タリアナ機能増大突然変異遺
伝子AVP1−Dを35SプロモーターおよびCaMVのポリアデニル化シグナ
ルを有するプラスミドpRT103中にサブクローン化する(Topfer, R.ら, Nu
cl. Acid Res., 15:5890 (1997))。キメラ35S AVP−D遺伝子を含有する
HindIIIフラグメントをpBIBhyg中にサブクローン化する(Becker
, D., Nucl. Acid Res., 18:203 (1990))。得られるT−DNAベクターをアグ
ロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株GV31
01中にエレクトロポレーションによって形質転換し、その後のアラビドプシス
・タリアナ生態型コロンビアの真空浸透に用いる(Bechtold, N.ら, C.R. Jeanc
es Acad. Sci. Ser. III Sci. Vie, 316:1194-1199 (1993))。組み込みをT3
植物のサザンブロットにおいて確認し、陽性T3植物のノーザンブロットにおい
て発現をモニターする。
【0101】 実施例11:野生型および35S AVP1トランスジェニック植物の根由来
の液胞を用いる輸送体比較研究 研究は、35S AVP1トランスジェニック植物の液胞がピロホスフェート
に依存するより高いプロトン輸送活性を示すかどうかを決定するために計画され
た。これらの決定は、別々に水耕栽培された植物由来の根およびシュート組織を
用いて行われた。導入遺伝子は、35Sプロモーターにもかかわらず組織特異的
調節を示す。
【0102】 野生型および35S AVP1トランスジェニック植物のPPI−依存性H
転流活性を比較するために、上記の植物の根および葉由来のシールした液胞膜が
豊富な小胞を調製する。ReaおよびTurner (Rea, P.A.ら, Tonoplast Adenosine
Triphosphate and Inorganic Pyrophosphatase. Meth. Plant Biochem., pp. 38
5-405, Academic Press limited, London (1990))によって記載されたホモジェ
ナイゼーションおよび分画遠心分離に付す。H転流は、Reaおよび共同研究者
によって記載されたように、液胞膜が豊富な小胞を含有するアッセイ培地中にお
いてアクリジンオレンジ(2.5μM)を膜貫通型pH差インジケーターとして
用いて蛍光測定によってアッセイする(Zhen, R.G.ら, J. Biol. Chem., 272:22
340-22348 (1997))。アッセイ培地は、300μMトリス−PPi、50mM
KCl、2.5μMアクリジンオレンジ、5mMトリス−Mes(pH8.0)
を含有する。小胞内酸性化は、1.3mM MgSOの添加によって引き起こ
され、2.5μMのプロトノホア(protonophore)FCCPの添加によって停止
する。各々、495および540nMの励起発光波長を5nMのスリット幅で用
いて蛍光を測定する(Zhen, R.G.ら, J. Biol. Chem., 269:23342-23350 (1994)
)。H転流がAVP1駆動性であることを支持するためのさらなる試験は、特
異的阻害剤アミノメチレンジホスホネートの添加である(Zhen, R.G.ら, Plant
Physiol., 104:153-159 (1994))。
【0103】 実施例12:トランスジェニック植物の葉および茎におけるNa/K比の
決定 NaClの毒性濃度はまず、NaClが液胞中に区分されている完全に膨張し
た葉において増加した。NaClへの曝露は、K欠乏および生長阻害を導くK 取り込みを崩壊または減少することができる(Wu, S.J.ら,Plant Cell, 8:61
7-627 (1996))。減少したK含量および高いNaのサイトゾルでの結果は、
重要な酵素の阻害である。かかる酵素の例は、K含量が低い場合、その活性が
Naにより感受性である酵母の3’(2’),5’−ビスホスフェートヌクレ
オチダーゼである(Murguia, J.R.ら、Science, 267:232-234 (1995))。
【0104】 測定は、本明細書に記載のトランスジェニック植物がそれらの葉細胞またはど
こかにおいてNaを封鎖できる増大した液胞の能力を有することを明らかにす
るために行ってもよい。葉および茎におけるNa/K比を決定するために、
水耕条件においてS野生型および35S AVP1/35S AtNHX1二重お
よび単一トランスジェニック(Gibeaut, D.M.ら, Plant Physiol., 317-319 (19
97))を栽培する。NaClを50mMで開始し、250mMまでの段階法にお
ける生長培地に加える(Apse, M.ら, Science, 285:1256-1258 (1999))。ポイ
ント毎に、処理植物のロゼットおよび茎を収集し、それらの重量を測定する。試
料を80℃のオーブンで乾燥させ、それらの乾燥重量を測定する。乾燥試料を所
定容量の水中で沸騰させ、それらのNaおよびK含量を原子吸光によって決
定する(Apse, M.ら, Science, 285:1256-1258 (1999); Gaxiola, R.ら, Embo J
., 11:3157-2164 (1992))。
【0105】 実施例13:35S AVP1トランスジェニック植物の細胞が大きいので、
またはそれらはより多くの細胞を有するので、またはその両方の理由により、3
5S AVP1トランスジェニック植物がより大きいかどうかの決定 シュート分裂組織を標識するインデックスを野生型植物のそれと比較する。葉
、根および茎の細胞を測定およびカウントする生態学的および解剖学的観察を行
う。35S AVP1トランスジェニック植物はより多くの細胞を有するので、
それらがより大きいかどうかを決定するために、それらのシュート分裂組織を標
識するインデックスを野生型植物のそれと比較する。
【0106】 DNA合成または細胞増殖を測定するために、チミジンの代わりにDNA中に
組み込むことのできる5−ブロモ−2’−デオキシ−ウリジン(BrdU)を用
いてもよい。BrdUをDNA中に組み込んだ細胞を、BrdUモノクローナル
抗体に対するモノクローナル抗体および二次抗体として抗−マウスIg−アルカ
リホスファターゼを用いて検出する。結合した抗−BrdUモノクローナル抗体
を光学顕微鏡によって視覚化し、DAPI染色とBrdU陽性間の比率を確立す
る。プロトコールは、Chiatanteおよび共同研究者 (Levi, M.ら, Physiol. Plan
t. 71:68-72 (1987)によって公表されたものを修飾したものであり、BrdU標
識および検出キットIIはBoehringer Mannheimから入手する。植物を異なる時
間、BrdU標識培地に曝露し、次いで、固定化、パラフィン包埋およびセクシ
ョン化をにMeyerowitzおよび共同研究者よって記載されたように行う(Drews, G
.ら, Plant Mol. Biol. Rep., 5:242-250 (1988))。
【0107】 葉組織を観察するために、新鮮な組織を5%アガロース中に埋め込み、それら
をマイクロスライサーを用いて薄く切る。主要な根観察のために、幼植物を4時
間、50%エタノール、5%酢酸および3.7%ホルムアルデヒド中室温で固定
し、勾配を低くしたエタノールシリーズ中でそれらを脱水し、キシレンでそれら
を浸透させ、パラフィンを用いてそれらを浸透させる。8μmセクションを0.
05%トルイジンブルーで染色し、顕微鏡下で細胞をカウントする。細胞の大き
さの視覚化および決定のための別法として、Greenbergおよび共同研究者によっ
て記載された方法(Rateら, The Plant Cell, 11:1695-1708 (1999))を用いる
【0108】 実施例14:輸送体における突然変異体の単離 遺伝学的アプローチは、複雑な生物学的特徴の分析において非常に力強い(Se
rrano, R., Crit. Rev. Plant Sci., 13:121-138 (1994))。逆遺伝学は、植物
生物学者にとって非常に重要な新規な手段である。Sussmanおよび共同研究者(K
rysan, P.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:8145-8150 (1996))によるタグ
付加されたノックアウトの良好なコレクションの作成は、アラビドプシスにおけ
る遺伝子破壊の分析のための非常に重要な道を開いた。
【0109】 ウィスコンシン大学マディソン校のアラビドプシス・ノックアウト・ファシリ
ティー(The Arabidopsis Knock-out Facility)(world wide web at biotech.
wisc.edu/NewServicesAndResearch /Arabidopsis)を用いて、T−DNAベクタ
ーpD991で形質転換された60480系統のアラビドプシス(生態型WS)
をAtCLC−c、AtCLC−d、AVP1、AtNHX1およびそれらの相
同物内のT−DNAインサートの存在について検索する。上記のノックアウトの
表現型は、正常およびストレス条件下でのこれらの輸送体の生理学的役割の理解
の解明に役立つであろう。ノックアウト植物の最初の特徴付けは、それらの耐塩
性およびそれらのNa/K比の試験を包含する。交雑による二重ノックアウ
トの作成は、輸送体間の相互作用ならびに35S AVP1および35S AtN
HX1トランスジェニック植物の交雑の相互作用をさらに理解するのを助ける。
【0110】 アラビドプシスノックアウトを検索するために、PCRプライマーをウィスコ
ンシン大学のウェブサイトに詳述されるガイドラインにしたがって設計する。試
験プライマーをウィスコンシン大学マディソン校に送り、そこで62PCR反応
が行われ、それらがサザンブロット分析のために発明者らに送られる。陽性PC
R産物を配列決定する。配列がT−DNAが遺伝子内に挿入されていることを示
す場合、遺伝子特異的プライマーを別のPCR反応に付して、225個のうち9
つの可能なプールがノックアウトを含有することを決定する。目的のプールの同
定後、25個の試験管の種子をT−DNAノックアウトを有する個々の植物につ
いてスクリーンする。
【0111】 実施例15:植物細胞におけるカチオン解毒 本明細書に記載の研究は他の証拠と共に、酵母および植物がゴルジ網から液胞
への小胞の通行のための経路およびシグナルを共有することを強く示唆する(Ga
xiola, R.,ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485 (1999); Marty, F.
, "The Biogenesis of Vacuoles: Insights from Microscopy. The Plant Vacuo
le, 1-42, Leigh, R.A.およびSanders, D., Academic Press, San Diego (1997)
; Bassham, D.C.ら, Plant Physiol, 117:407-415 (1998))。
【0112】 理論に拘束されることは望ましくないが、本発明者によりおそらく、両方の系
において、プレ−液胞コンパートメントが毒性カチオンから細胞質を解毒する動
的存在であり、その負荷物を液胞にデリバリーするかまたは直接細胞外部へデリ
バリーすると考えられる。gefl塩化物チャンネルおよびNhx1 Na
交換体の両方が、酵母プレ−液胞コンパートメントに局在した(Gaxiola, R
.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:1480-1485 (1999))。酵母細胞におけ
るgefl−GFPキメラのイン・ビボでの作用がモニターされ、その局在性が
環境条件によって変化することが示された。さらに、4つのエー・タリアナCL
C塩化物チャンネル遺伝子のうち2つ、CLC−cおよび−dがgef1突然変
異表現型の抑制能を有し、それは同様の局在性を意味することが示された(Gaxi
ola, R.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:4046-4050 (1998))。
【0113】 どのように、どこで、該カチオン解毒が植物細胞中で行われるかを理解するた
めに、AVP1、AtNHX1およびAtCLC−cおよび−dのGFPキメラ
の細胞内局在性(Hong, B.ら, Plant Physiol., 119:1165-1175 (1999))をイン
・ビボでモニターする。また、共焦顕微鏡を用いて、異なる輸送体の共同局在性
を位置決定する。該目的のために、輸送体のHA−タグ付加した形態または抗体
が研究下で必要とされる(Guiltinan, M.J.ら, Meth. Cell Biol., 49:143-151
(1995); Jauh, G. -Y.ら, Plant Cell, 11:1867-1882 (1999); Mullen, R.T.,ら
, Plant. J., 12:313-322 (1997))。
【0114】 GFP−キメラの構築のために、DavisおよびViestra(Davies, S.J., Viestr
a, R.D., "Soluble derivatives of green fluorescent protein (GFP) for use
in Arabidopsis thaliana, http:/ / brindabella.mrc-lmb.cam.ac.uk/IndexGF
P.html (1998))によって報告されたエー・タリアナにおける改善された蛍光を
有する可溶性形態のGFPを用いる。2つの型のGFPキメラ、すなわち、天然
プロモーターの調節下のセットおよび35Sプロモーターの調節下の別のセット
を作成する。GFPキメラを含有する得られたT−DNAベクターをアグロバク
テリウム・ツメファシエンス系統GV3101中にエレクトロポレーションによ
って形質転換し、アラビドプシス・タリアナ生態型コロンビアのその後の真空浸
透に用いる(Bechtold, N.ら, C.R. Jeances Acad. Sci. Ser. III Sci. Vie, 3
16:1194-1199 (1993))。赤血球凝集素(HA)エピトープタグ付加のために、
酵母用に設計されたが、酵母ベクター中に発現される植物遺伝子をタグ付加する
ように修飾されたPCR法を用いる。Futcherおよび共同研究者は、エピトープ
タグ(HA)の反復配列に直接隣接するURA3酵母遺伝子を含有するベクター
を設計した(Schneider, B.L.ら, Yeast, 11:1265-1274 (1995))。PCRによ
って、タグ−URA3−タグカセットを、得られるPCRフラグメントが各末端
にて目的の遺伝子に対するホモロジーを有するように増幅される。次いで、酵母
におけるイン・ビボでの組換えを用いて、目的の植物ORFを有するプラスミド
へのPCRキメラの組み込みを指示し、URA表現型によって形質転換体を選
択する。5−フルオロ−オロチン酸の存在下で陽性形質転換体を培養するとき、
URA3遺伝子は「急に消える」。
【0115】 結論として、経済的に重要な作物における液胞型V−PPアーゼの操作は、作
物改善のための重要な手段を提供することができた。耐乾性および耐凍性栽培変
種は、干ばつまたは最小限の降水量のために損害を受けた地域において、新規な
農業的アプローチを提供することができ、ならびに、予期しない霜(着氷性の雨
など)からの保護を農家に提供する。かかる作物はまた、幅広い種類の作物にと
って塩分を含みすぎると考えられる土壌においても生長することができる。
【0116】 本発明は、好ましい具体例に関して記載されるが、当業者は、付随の特許請求
の範囲に定義されるような本発明の精神または範囲を逸脱することなく種々の変
更および/または修飾が本発明に施されうることを容易に認めるであろう。本明
細書に引用した全ての引用文献は、出典明示により、個々の引用文献が詳細かつ
個別に出典明示により一部とされることを意図された場合と同範囲まで、本明細
書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、7週間、10時間明/暗サイクルで水耕栽培した代
表的な(各10個の植物のうち)野生型(WT)および2つの独立したトランス
ジェニック系統(1’および2’)の上から見た図である。
【図1B】 図1B(1)、1B(2)および1B(3)は、垂直植物栄養
寒天プレートの表面に水平に生育した図1Aの代表的なWT、1’および2’か
ら得られた代表的な5日齢幼植物の根および根毛の顕微鏡写真である。
【図1C】 図1Cは、野生型(WT)およびAVP−1を過剰発現してい
る2つの独立したトランスジェニック系統(1’および2’)から単離した膜フ
ラクションのイムノブロットである。
【図2】 図2は、水欠損ストレスに7日曝露後の代表的な野生型植物(W
T)対AVP−1を過剰発現している代表的なトランスジェニク植物(1’およ
び2’)の上から見た図である。
【図3】 図3は、塩を含む土壌中で生長した野生型植物(WT)対AVP
−1を過剰発現している代表的なトランスジェニック植物(1’および2’)の
透視図である。
【図4A】 図4Aは、酵母プレ液胞コンパートメントにてナトリウム封鎖
に関与した輸送体の作用モデルの図示である;Nhx1(Na/H対向輸送
体)、Vmal(液胞膜H−ATPアーゼ)、Gef1(酵母CLC塩化物チ
ャンネル)、Ena1(原形質膜Na−ATPアーゼ)。
【図4B】 図4Bは、Avp1(エー・タリアナ(A. thaliana)液胞型
ピロホスフェートによりエネルギーを与えられるプロトンポンプ)も包含する図
4Aに示される酵母プレ液胞コンパートメントにてナトリウム封鎖に関与した輸
送体の作用モデルの図示である。
【図5】 図5Aおよび図5Bは、野生型酵母系統およびナトリウム耐性に
影響を及ぼす種々の突然変異を有する酵母系統の細胞内NaおよびK含量を
示す棒グラフであり、値は2つの測定値の平均であり、棒は標準偏差を示す。
【図6】 図6A、6B、6Cは、対合する線A−AおよびB−Bによって
つなげると、アラビドプシス(Arabidopsis)AtNHX1(配列番号1)、ヒ
トHsNHE−6(配列番号2)および酵母ScNHX1(配列番号3)由来の
NhX1相同物の推定アミノ酸配列を並べた配列であり;一致する残基をブラッ
クボックスでかこみ、点線で配列のギャップを示し、配列上の*はヒトNHE1
由来の推定アミロライド結合部位(163DVF−FLFLLPPI173)(
配列番号4)を示す。
【図7】 図7は、塩を含む土壌中で生長させた野生型植物(WT)対AV
P−1を過剰発現している代表的なトランスジェニック植物(1’および2’)
のNaおよびK含量の棒グラフである。
【図8】 図8は、図3の2’の35SAVP−1トランスジェニック液胞
膜小胞中へのカルシウムの取り込み(四角)対図3の野生型(WT)から得られ
た小胞中へのカルシウム取り込みのグラフである。
【図9】 図9Aおよび図9Bは、WT液胞中への蓄積に対する、プロトン
により駆動される機能を介する液胞中への固体のより高い蓄積の理論上のメカニ
ズムを示す図示である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 09/644,039 (32)優先日 平成12年8月22日(2000.8.22) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ロバート・エイ・ガキシオラ アメリカ合衆国06250コネチカット州マン スフィールド・センター、アパートメント 3、マウント・ホープ・ロード264番 Fターム(参考) 2B030 AB04 AD04 CA15 CA17 CA19 4B024 AA08 CA03 CA04 DA01 DA12 EA04 GA11 HA20 4B065 AA72X AA88X AA88Y AB01 BA02 CA53

Claims (86)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キメラプロモーターに作動可能に連結された液胞膜ピロホス
    フェート駆動性Hポンプ遺伝子を含む遺伝子カセット。
  2. 【請求項2】 液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子が外来性で
    ある請求項1記載の遺伝子カセット。
  3. 【請求項3】 35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサーに作動可能
    に連結された外来性の液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むコ
    ーディング配列。
  4. 【請求項4】 35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサーに作動可能
    に連結され、さらに、マルチプルクローニング部位に作動可能に連結された外来
    性の液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むポリヌクレオチド配
    列を含有する発現ベクター。
  5. 【請求項5】 プロモーターに作動可能に連結された外来性の液胞膜ピロホ
    スフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むポリヌクレオチド配列を含む耐乾性お
    よび耐凍性トランスジェニック植物。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の耐乾性および耐凍性トランスジェニック植物
    によって生産された種子。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の種子由来の子孫植物。
  8. 【請求項8】 35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサーに作動可能
    に連結された外来性の液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を含むポ
    リヌクレオチド配列を含有する耐乾性および耐凍性トランスジェニック植物。
  9. 【請求項9】 複数の35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサーに作
    動可能に連結された外来性の液胞膜ピロホスフェート駆動性Hポンプ遺伝子を
    含むポリヌクレオチド配列であって、ここに、ピロホスフェート駆動性Hポン
    プ遺伝子の数が、野生型植物と比べて耐乾性および耐凍性を生じるのに十分な数
    のピロホスフェート駆動性Hポンプを液胞膜上に発現するのに足りるポリヌク
    レオチド配列を含有するトランスジェニック植物。
  10. 【請求項10】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する外来
    性核酸で形質転換された1以上の植物細胞を含む、耐塩性のトランスジェニック
    植物。
  11. 【請求項11】 外来性核酸がAVP1をコードする請求項10記載のトラ
    ンスジェニック植物。
  12. 【請求項12】 外来性核酸がAVP1の相同物をコードする請求項11記
    載のトランスジェニック植物。
  13. 【請求項13】 AVP1の相同物がタバコ、細菌、トマトまたはトウモロ
    コシから得られる請求項12記載のトランスジェニック植物。
  14. 【請求項14】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された構築物中にAV
    P1が存在する請求項12記載のトランスジェニック植物。
  15. 【請求項15】 構築物が35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサー
    に作動可能に連結されたAVP1を含む請求項14記載のトランスジェニック植
    物。
  16. 【請求項16】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応する野
    生型植物に由来する請求項12記載のトランスジェニック植物。
  17. 【請求項17】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応しない
    野生型植物に由来する請求項12記載のトランスジェニック植物。
  18. 【請求項18】 対応する非トランスジェニック植物の生長を阻害する塩濃
    度において生長するトランスジェニック植物。
  19. 【請求項19】 塩濃度が約0.2M〜約0.3Mである請求項18記載の
    トランスジェニック植物。
  20. 【請求項20】 植物が対応する非トランスジェニック植物よりも大きい請
    求項11記載のトランスジェニック植物。
  21. 【請求項21】 請求項11記載のトランスジェニック植物のトランスジェ
    ニック子孫。
  22. 【請求項22】 請求項11記載のトランスジェニック植物によって生産さ
    れた種子。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の種子から生長した子孫トランスジェニッ
    ク植物。
  24. 【請求項24】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された外来性核酸構築
    物を含む、耐塩性のトランスジェニック植物。
  25. 【請求項25】 請求項24記載のトランスジェニック植物のトランスジェ
    ニック子孫。
  26. 【請求項26】 請求項24記載のトランスジェニック植物によって生産さ
    れた種子。
  27. 【請求項27】 請求項26記載の種子から生長した子孫トランスジェニッ
    ク植物。
  28. 【請求項28】 構築物が35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサー
    に作動可能に連結されたAVP1遺伝子を含む請求項14記載のトランスジェニ
    ク植物。
  29. 【請求項29】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計されたキメラプロモー
    ターに作動可能に連結されたAVP1遺伝子を含む構築物。
  30. 【請求項30】 AVP1遺伝子が35Sプロモーターの2重タンデムエン
    ハンサーに作動可能に連結されている請求項29記載の構築物。
  31. 【請求項31】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する外来
    性核酸を植物中に導入することによって得られたトランスジェニック植物。
  32. 【請求項32】 植物細胞中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する
    外来性核酸を含む植物細胞。
  33. 【請求項33】 植物細胞が根細胞または茎細胞である請求項32記載の植
    物細胞。
  34. 【請求項34】 外来性核酸がAVP1をコードする請求項32記載の植物
    細胞。
  35. 【請求項35】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された構築物中にAV
    P1が存在する請求項34記載の植物細胞。
  36. 【請求項36】 構築物がAVP1を過剰発現するように設計されたキメラ
    プロモーターに作動可能に連結されたAVP1遺伝子を含む請求項35記載の植
    物細胞。
  37. 【請求項37】 AVP1遺伝子が35Sプロモーターの2重タンデムエン
    ハンサーに作動可能に連結されている請求項36記載の植物細胞。
  38. 【請求項38】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応する野
    生型植物に由来する請求項34記載の植物細胞。
  39. 【請求項39】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応しない
    野生型植物に由来する請求項34記載の植物細胞。
  40. 【請求項40】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する外来
    性核酸を植物の1以上の細胞中に導入して植物における形質転換細胞を得、それ
    により、耐塩性のトランスジェニック植物を生産することを特徴とする、耐塩性
    のトランスジェニック植物の製造法。
  41. 【請求項41】 形質転換細胞から植物を再生してトランスジェニック植物
    を得、耐塩性のトランスジェニック植物を選択し、それにより、耐塩性のトラン
    スジェニック植物を生産することを特徴とする請求項40記載の方法。
  42. 【請求項42】 外来性核酸がAVP1をコードする請求項40記載の方法
  43. 【請求項43】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された構築物中にAV
    P1が存在する請求項42記載の方法。
  44. 【請求項44】 構築物がAVP1を過剰発現するように設計されたキメラ
    プロモーターに作動可能に連結されたAVP1遺伝子を含む請求項43記載の方
    法。
  45. 【請求項45】 AVP1遺伝子が35Sプロモーターの2重タンデムエン
    ハンサーに作動可能に連結されている請求項44記載の方法。
  46. 【請求項46】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応する野
    生型植物に由来する請求項42記載の方法。
  47. 【請求項47】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応しない
    野生型植物に由来する請求項42記載の方法。
  48. 【請求項48】 植物が対応する非トランスジェニック植物の生長を阻害す
    る塩濃度に耐性のある請求項40記載の方法。
  49. 【請求項49】 塩濃度が約0.2M〜約0.3Mである請求項48記載の
    トランスジェニック植物。
  50. 【請求項50】 請求項40記載の方法によって生産されたトランスジェニ
    ック植物。
  51. 【請求項51】 AVP1を過剰発現するように設計された核酸構築物を植
    物の1以上の細胞中に導入して形質転換細胞を得、それにより、耐塩性のトラン
    スジェニック植物を生産することを特徴とする、耐塩性のトランスジェニック植
    物の製造法。
  52. 【請求項52】 さらに、形質転換細胞から植物を再生してトランスジェニ
    ック植物を得、耐塩性のトランスジェニック植物を選択し、それにより、耐塩性
    のトランスジェニック植物を生産することを特徴とする請求項51記載の方法。
  53. 【請求項53】 請求項51記載の方法によって生産されたトランスジェニ
    ック植物。
  54. 【請求項54】 植物中に液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸
    を植物の1以上の細胞中に導入して形質転換細胞を得、それにより、その対応す
    る野生型植物よりも大きいトランスジェニック植物を生産することを特徴とする
    、その対応する野生型植物よりも大きいトランスジェニック植物の製造法。
  55. 【請求項55】 さらに、形質転換細胞から植物を再生してトランスジェニ
    ック植物を得、その対応する野生型植物よりも大きいトランスジェニック植物を
    選択し、それにより、その対応する野生型植物よりも大きいトランスジェニック
    植物を生産することを特徴とする請求項54記載の方法。
  56. 【請求項56】 外来性核酸がAVP1をコードする請求項54記載の方法
  57. 【請求項57】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された構築物中にAV
    P1が存在する請求項56記載の方法。
  58. 【請求項58】 構築物がAVP1を過剰発現するように設計されたキメラ
    プロモーターに作動可能に連結されたAVP1遺伝子を含む請求項57記載の方
    法。
  59. 【請求項59】 AVP1遺伝子が35Sプロモーターの2重タンデムエン
    ハンサーに作動可能に連結されている請求項48記載の方法。
  60. 【請求項60】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応する野
    生型植物に由来する請求項56記載の方法。
  61. 【請求項61】 AVP1がトランスジェニック植物の野生型に対応しない
    野生型植物に由来する請求項56記載の方法。
  62. 【請求項62】 トランスジェニック植物を土壌中で生長させる請求項54
    記載の方法。
  63. 【請求項63】 トランスジェニック植物を水耕法で生長させる請求項54
    記載の方法。
  64. 【請求項64】 請求項54記載の方法によって生産されたトランスジェニ
    ック植物。
  65. 【請求項65】 1以上のトランスジェニック植物および/またはその子孫
    を土壌中で生長させることを特徴とし、ここに、該トランスジェニック植物およ
    び/またはその子孫が植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する外来
    性核酸を含む、土壌のバイオリメディエーション方法。
  66. 【請求項66】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸
    を植物の1以上の細胞中に導入して形質転換細胞を得、それにより、植物の収量
    を増やすことを特徴とする植物の収量を増加する方法。
  67. 【請求項67】 さらに、形質転換細胞から植物を再生してトランスジェニ
    ック植物を得、その対応する野生型植物より大きいトランスジェニック植物を選
    択し、それにより、植物の収量を増やすことを特徴とする請求項66記載の方法
  68. 【請求項68】 1以上のトランスジェニック植物および/またはその子孫
    を植物生長を維持できる培地中で生長させることを特徴とし、ここに、該トラン
    スジェニック植物および/またはその子孫が植物中の液胞型ピロホスファターゼ
    の発現を改変する外来性核酸を含む、植物生長を維持できる培地からカチオンを
    除去する方法。
  69. 【請求項69】 培地が土壌および水よりなる群から選択される請求項68
    記載の方法。
  70. 【請求項70】 カチオンがナトリウム、カルシウム、マンガンおよび鉛よ
    りなる群から選択される請求項68記載の方法。
  71. 【請求項71】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する外来
    性核酸を植物の1以上の細胞中に導入して形質転換細胞を得、それにより、塩水
    中で生長できるトランスジェニック植物を生産することを特徴とする、塩水中で
    生長するトランスジェニック植物の製造法。
  72. 【請求項72】 さらに、形質転換細胞から植物を再生してトランスジェニ
    ック植物を得、塩水中で生長するトランスジェニック植物を選択し、それにより
    、塩水中で生長できるトランスジェニック植物を生産することを特徴とする請求
    項71記載の方法。
  73. 【請求項73】 塩水濃度が約0.2M〜約0.3Mである請求項71記載
    の方法。
  74. 【請求項74】 塩水が海水である請求項73記載の方法。
  75. 【請求項75】 植物中の液胞型ピロホスファターゼおよびNa/H
    向輸送体の発現を改変する外来性核酸で形質転換された1以上の植物細胞を含む
    、塩に耐性のあるトランスジェニック植物。
  76. 【請求項76】 液胞型ピロホスファターゼがAVP1またはその相同物で
    ある請求項75記載のトランスジェニック植物。
  77. 【請求項77】 AVP1の相同物がタバコ、細菌、トマトまたはトウモロ
    コシに由来する請求項76記載のトランスジェニック植物。
  78. 【請求項78】 AVP1を過剰発現するように設計されたかまたは内在性
    ピロホスファターゼをダウンレギュレートするように設計された構築物中にAV
    P1が存在する請求項76記載のトランスジェニック植物。
  79. 【請求項79】 構築物が35Sプロモーターの2重タンデムエンハンサー
    に作動可能に連結されたAVP1を含む請求項78記載のトランスジェニック植
    物。
  80. 【請求項80】 Na/H対向輸送体がAtNHX1またはその相同物
    である請求項75記載のトランスジェニック植物。
  81. 【請求項81】 請求項75記載のトランスジェニック植物のトランスジェ
    ニック子孫。
  82. 【請求項82】 請求項75記載のトランスジェニック植物によって生産さ
    れた種子。
  83. 【請求項83】 請求項72記載の種子から生長した子孫トランスジェニッ
    ク植物。
  84. 【請求項84】 植物中の液胞型ピロホスファターゼの発現を改変する核酸
    を植物の1以上の細胞中へ導入して形質転換細胞を得、それにより、その対応す
    る野生型植物と比べて花の大きさが増したトランスジェニック植物を生産するこ
    とを特徴とする、対応する野生型植物と比べて花の大きさが増したトランスジェ
    ニック植物の製造法。
  85. 【請求項85】 外来性核酸がAVP1をコードする請求項84記載の方法
  86. 【請求項86】 請求項84記載の方法によって生産されたトランスジェニ
    ック植物。
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