JP2003516360A - 中枢神経系およびリンパ系に対するサイトカイン投与方法 - Google Patents

中枢神経系およびリンパ系に対するサイトカイン投与方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、三叉神経および/または嗅神経によって支配される組織によって、中枢神経系およびリンパ系に対してサイトカインを送達するための方法に関する。サイトカインとしては、腫瘍壊死因子、インターロイキン、インターフェロン、詳細にはインターフェロンβ(例えば、IFN−βser17)が挙げられる。このような送達方法は、中枢神経系の障害、脳障害、増殖障害、ウイルス性障害、および/または自己免疫障害(例えば、シェーグレン病)の処置において有用であり得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、三叉神経および/または嗅神経によって神経支配される組織を通し
て、中枢神経系に、およびリンパ系付近にサイトカインを送達するための方法に
関する。サイトカインとしては、腫瘍壊死因子、インターロイキン、インターフ
ェロン、特に、β−インターフェロンおよびそのムテイン(例えば、IFN−β ser17 )が挙げられる。このような送達方法は、中枢神経系および/または
脳の障害の処置において有用であり得る。
【0002】 (発明の背景) 中枢神経系(CNS)は、いくつかの組織および器官(例えば、脳、脳幹、お
よび脊髄)を含む。これらの器官および組織の各々は、種々の異なる型の細胞お
よび細胞下(subcellular)構造(例えば、ニューロン、神経膠細胞
、樹状突起、軸索、ミエリンおよび種々の膜)から構成される。CNSは、これ
らの器官、組織、細胞および構造を保護し(cushion)かつ防御(pro
tect)する、いくつかの膜によって外部の世界から隔離される。例えば、血
液脳関門を形成する膜は、血液の特定の内容物から脳を保護する。血液脳脊髄液
関門は、多くの化学物質および微生物からCNSの他の部分を保護する。
【0003】 いくつかの物質についてのCNSへの接近は、特殊化された能動輸送系によっ
てか、または保護膜を介するCNSへの受動拡散によって提供される。CNSへ
所望の治療剤を送達するための現在の方法は、代表的に侵襲性である。例えば、
胸腔(chest cavity)中に移植されたポンプ(脳室内ポンプ)は、
種々の有用な化合物を脳に効率的に送達し得る。しかし、このようなポンプを移
植することは、手術を必要とし、これは、種々の深刻な合併症を伴い得る。特定
の化合物(例えば、硬膜外鎮痛剤)は、保護膜を通じてCNSに直接注射され得
る。しかし、このような注射は、大半の薬物適用には非現実的である。CNS、
脳、脊髄、およびリンパチャネルに所望の薬剤を投与するためのより良い方法が
、必要とされている。
【0004】 (発明の要旨) 本発明は、被験体の中枢神経系に対して、インターフェロン、インターロイキ
ン、または腫瘍壊死因子、好ましくは、インターフェロン−βのようなサイトカ
インを輸送または送達するための方法に関する。この方法は、三叉神経および/
または嗅神経によって神経支配される組織へのサイトカインの投与を使用する。
【0005】 1つの実施形態では、この方法は、サイトカインを、鼻腔、舌、口、皮膚また
は結膜の粘膜または上皮を通して投与する。別の実施形態において、この方法は
、サイトカインの組成物を、被験体の鼻腔に、舌下に、皮膚に、または結膜に投
与する工程を包含する。次いで、サイトカインは、粘膜または上皮を通して吸収
され得、そして哺乳動物の中枢神経系に輸送され得る。
【0006】 別の実施形態において、この方法は、サイトカインがその組織を通って吸収さ
れ、そして神経経路によって哺乳動物の中枢神経系に輸送されるような様式で、
そして中枢神経系の細胞に対する保護効果または治療効果を提供するに有効な量
で、サイトカインを投与する工程を包含する。
【0007】 本発明はさらに、被験体のリンパ系に対して、インターフェロン、インターロ
イキン、または腫瘍壊死因子、好ましくは、インターフェロン−βのようなサイ
トカインを輸送または送達するための方法に関する。この方法は、三叉神経およ
び/または嗅神経によって神経支配される組織へのサイトカインの投与を使用す
る。
【0008】 別の実施形態において、この方法は、サイトカインがその組織を通って吸収さ
れ、そして神経経路によって哺乳動物の中枢神経系に輸送されるような様式で、
そして免疫応答または炎症応答を調節するに有効な量で、サイトカインを投与す
る工程を包含する。
【0009】 他の実施形態では、サイトカインを投与する本方法は、中枢神経系障害、脳障
害、増殖性障害、ウイルス性障害、および/または自己免疫障害の処置および/
または予防のために使用される。
【0010】 組成物は、これらの経路による投与に適切な任意の形態であり得、そしてサイ
トカインの吸収、神経経路によるサイトカインの輸送、ならびに/あるいはサイ
トカインのリンパ系、CNS、脳および/または脊髄への輸送を容易にするキャ
リアを含み得る。好ましい組成物は、1つ以上の、溶解度増強添加剤、親水性添
加剤、吸収促進添加剤、カチオン性界面活性剤、粘度増強添加剤、または持続放
出マトリクスまたは組成物、脂質に基づくキャリア、好ましくは、ミセル組成物
またはリポソーム組成物、二重層脱安定化添加剤、またはフソジェニック(fu
sogenic)添加剤を含む。この組成物は、皮膚送達のための化粧品(co
smetic)として処方され得る。
【0011】 (発明の詳細な説明) (投与経路) 本発明の方法は、三叉神経および嗅神経によって神経支配される組織に対して
、サイトカインを投与する。このような神経系は、外部環境と脳との間に直接的
な連絡を提供し得、これにより、CNS(脳、脳幹および/または脊髄を含む)
へのサイトカインの有利な送達を提供する。サイトカインは、血流から脳への血
液脳関門を通過することが不可能であるか、または不十分にしか通過しない。本
発明の方法は、循環系を通してではなく、嗅神経および/または三叉神経を経由
したサイトカインの送達を可能にする。この投与方法は、CNS、脳、または脊
髄へのサイトカインの効率的な送達を可能にする。
【0012】 (嗅神経) 本発明の方法は、嗅神経によって神経支配される組織へのサイトカインの投与
を含む。好ましくは、サイトカインは、鼻腔の上部3分の1の嗅覚野、そして好
ましくは、嗅上皮に送達される。
【0013】 嗅神経の線維は、鼻粘膜の上部3分の1に位置付けられる嗅覚受容器細胞の無
髄軸索である。嗅覚受容器細胞は、鼻腔内に突出する毛髪様の線毛によって覆わ
れた隆起を有する双極ニューロンである。他方の末端で、これらの細胞由来の軸
索は、凝集物中に集まり、そして鼻蓋にある頭蓋腔に入る。薄い軟膜管によって
取り囲まれて、これらの嗅神経は、CSFを含むクモ膜下腔を通過し、そして嗅
球の内面に入る。一旦、サイトカインが鼻腔内に分配されると、サイトカインは
、鼻粘膜を通して、嗅球および脳の相互連結(interconnected)
領域(例えば、海馬体、類扁桃、マイネルト基底核、青斑、脳幹など)内へと輸
送され得る。
【0014】 (三叉神経) 本発明の方法は、三叉神経により神経支配された組織にサイトカインを投与す
る。三叉神経は、顔および頭皮の皮膚、口腔組織、ならびに眼の組織および眼の
周囲組織を含む、哺乳動物(例えば、ヒト)の頭部の組織を神経支配する。三叉
神経は、3つの主要な分枝(眼神経、上顎神経、および下顎神経)を有する。本
発明の方法は、1つ以上のこれらの分枝により神経支配される組織に対してサイ
トカインを投与し得る。
【0015】 (眼神経およびその分枝) 本発明の方法は、三叉神経の眼神経の分枝によって神経支配される組織に対し
て、サイトカインを投与し得る。眼神経は、顔(例えば、眼、涙腺、結膜、なら
びに頭皮、額、上眼瞼、および鼻の皮膚)の上部の領域の浅部および深部を含む
組織を神経支配する。
【0016】 眼神経は、鼻毛様体神経、前頭神経、および涙腺神経として公知の3つの分枝
を有する。本発明の方法は、眼神経の1つ以上の分枝により神経支配される組織
に対してサイトカインを投与し得る。前頭神経およびその分枝は、上眼瞼、頭皮
、特に頭皮の前方、および額、特に額の中央部分を含む組織を神経支配する。鼻
毛様体神経は、長い毛様体神経(long ciliary nerve)、神
経節枝、篩骨神経、および滑車下神経を含むいくつかの分枝を形成する。長い毛
様体神経は、眼を含む組織を神経支配する。後篩骨神経および前篩骨神経は、篩
骨洞、および鼻腔の下部3分の2を含む組織を神経支配する。滑車下神経は、上
眼瞼および涙嚢を含む組織を神経支配する。涙腺神経は、涙腺、結膜、および上
眼瞼を含む組織を神経支配する。好ましくは、本発明の方法は、篩骨神経に対し
てサイトカインを投与する。
【0017】 (上顎神経およびその分枝) 本発明の方法は、三叉神経の上顎神経分枝により神経支配される組織に対して
サイトカインを投与し得る。上顎神経は、いくつかの歯の歯根および顔の皮膚(
例えば、鼻における皮膚、上唇における皮膚、下眼瞼における皮膚、頬骨上の皮
膚、側頭領域上の皮膚)を含む組織を神経支配する。上顎神経は、眼窩下神経、
頬骨顔面神経、頬骨側頭神経、鼻口蓋神経、大口蓋神経、後上歯槽神経、中上歯
槽神経、および内(interior)上歯槽神経を含む分枝を有する。本発明
の方法は、上顎神経の1つ以上の分枝により神経支配される組織に対して、サイ
トカインを投与し得る。
【0018】 眼窩下神経は、鼻の外側面、上唇、および下眼瞼の皮膚を含む組織を神経支配
する。頬骨顔面神経は、頬骨(頬の骨)にわたる顔面の皮膚を含む組織を神経支
配する。頬骨顔面神経は、側頭領域にわたる皮膚を含む組織を神経支配する。後
上歯槽神経は、上顎洞および上顎の大臼歯の歯根を含む組織を神経支配する。中
上歯槽神経は、上顎洞の粘膜、上顎の小臼歯の歯根、および第一大臼歯の近心面
頬面の歯根を含む組織を神経支配する。前上歯槽神経は、上顎洞、鼻中隔、なら
びに上顎の中切歯および側切歯および犬歯の歯根を含む組織を神経支配する。鼻
口蓋神経は、鼻中隔を含む組織を神経支配する。大口蓋神経は、鼻腔の側壁を含
む組織を神経支配する。好ましくは、本発明の方法は、鼻口蓋神経および/また
は大口蓋神経に対して、サイトカインを投与する。
【0019】 (下顎神経およびその枝) 本発明の方法は、三叉神経の下顎神経枝によって神経支配される組織にサイト
カインを投与し得る。下顎神経は、歯、歯肉、口腔底、舌、頬、顎、下唇、内耳
および耳の周囲の組織、咀嚼筋、および皮膚(側頭領域、頭皮の外側部、および
顔面の下部のほとんどを含む)を含む組織を神経支配する。
【0020】 下顎神経は、頬神経、耳介側頭神経、下歯槽神経、および舌神経を含む枝を有
する。本発明の方法は、下顎神経の1つ以上の枝にサイトカインを投与し得る。
頬神経は、頬(特に頬筋にわたる頬の皮膚および頬を裏打ちする粘膜)、ならび
に下顎の頬の歯肉(gum)(特に、歯肉の頬表面の後部)を含む組織を神経支
配する。耳介側頭神経は、耳介、外耳道、鼓膜(tympanic membr
ane/eardrum)、および側頭部の皮膚(特に、こめかみおよび頭皮の
後部の皮膚)を含む組織を神経支配する。下歯槽神経は、下顎骨歯(特に、切歯
、歯肉隣接切歯)、下唇の粘膜、顎の皮膚、下唇の皮膚、および口唇下顎歯肉を
含む組織を神経支配する。舌神経は、舌(特に舌の前方2/3)、口腔底、およ
び下顎歯の歯肉を含む組織を神経支配する。好ましくは、本発明の方法は、下歯
槽神経、頬神経、および/または舌神経の1以上にサイトカインを投与する。
【0021】 (三叉神経によって神経支配される組織) 本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される種々の組織のいずれかにサ
イトカインを投与し得る。例えば、本方法は、皮膚、上皮、または顔面周囲、眼
、口腔、鼻腔、洞腔もしくは耳の粘膜にサイトカインを投与し得る。
【0022】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される皮膚にサイト
カインを投与する。例えば、本方法は、顔面、頭皮、または側頭領域の皮膚にサ
イトカインを投与し得る。顔面の適切な皮膚として、以下が挙げられる:顎;上
唇、下唇;前頭、特に、前頭の中央部;鼻(鼻の先端、鼻背、および鼻の外側面
を含む);頬、特に、頬筋にわたる頬の皮膚または頬骨にわたる皮膚;目の周囲
の皮膚、特に、上眼瞼および下眼瞼;またはこれらの組合せ。頭皮の適切な皮膚
は、頭皮の前方および側頭部に渡る頭皮、頭皮の外側またはこれらの組み合わせ
を含む。側頭部にわたる適切な皮膚は、側頭部にわたるこめかみ、および頭皮を
含む。
【0023】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される粘膜または上
皮にサイトカインを投与する。例えば、本方法は、眼の周囲の粘膜または上皮(
例えば、上眼瞼、下眼瞼、結膜、涙腺系、もしくはこれらの組合せの粘膜または
上皮)にサイトカインを投与し得る。本発明の方法はまた、洞腔および/または
鼻腔の粘膜または上皮(例えば、舌(特に、鼻腔の前方2/3および鼻中隔)に
サイトカインを投与し得る。本発明の方法はまた、口腔の粘膜または上皮(例え
ば、舌(特に、舌の前方2/3および舌の裏;頬;下唇;上唇;口腔底);歯肉
(gum)(特に、切歯に接する歯肉、口唇下顎の歯肉、および下顎歯の歯肉)
;またはこれらの組合せに薬剤を投与し得る。好ましくは、本発明の方法は、鼻
腔の粘膜または上皮にサイトカインを投与し得る。サイトカインを投与するため
の、粘膜または上皮の好ましい領域は、舌(特に、舌下粘膜または舌下上皮)、
結膜、涙腺系(特に、涙腺の眼瞼部位および鼻涙管)、下眼瞼の粘膜、頬の粘膜
、またはこれらの組み合わせを含む。
【0024】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される鼻腔組織にサ
イトカインを投与する。例えば、本方法は、洞、鼻腔の前方2/3および鼻中隔
を含む鼻組織にサイトカインを投与し得る。好ましくは、サイトカインを投与す
るための鼻組織には、鼻腔の前方2/3および鼻中隔が含まれる。
【0025】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される口腔組織にサ
イトカインを投与する。例えば、本方法は、歯、歯肉、口腔底、頬、唇、舌(特
に、舌の前方2/3)またはこれらの組合せの口腔組織に、サイトカインを投与
し得る。適切な歯は、下顎歯(例えば、切歯)を含む。歯の適切な部位は、いく
つかの歯の歯根(例えば、上顎の大臼歯、上顎の小臼歯、上顎の中切歯および側
切歯、犬歯の歯根、ならびに第一臼歯の近心面頬面の歯根、またはこれらの組合
せ)を含む。唇の適切な部位は、上唇および下唇の皮膚および粘膜を含む。適切
な歯肉は、歯肉に接する切歯、および下顎歯の歯肉(例えば、口唇下顎歯肉、ま
たはこれらの組み合わせ)を含む。頬の適切な部位は、頬筋にわたる頬の皮膚、
頬を裏打ちする粘膜、および下顎頬歯肉(gingiva/gum)(特に歯肉
の頬表面の後部)、またはこれらの組合せを含む。サイトカインを投与するため
に好ましい口の組織は、舌(特に、舌下粘膜または舌下上皮)、下唇内の粘膜、
頬の粘膜、あるいはこれらの組合せを含む。
【0026】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される、眼の組織ま
たは眼の周囲の組織にサイトカインを投与する。例えば、本発明は、眼、結膜、
涙腺(涙嚢を含む)、上眼瞼または下眼瞼の皮膚もしくは粘膜、あるいはこれら
の組み合わせを含む組織にサイトカインを投与し得る。サイトカインを投与する
ために好ましい眼の組織または眼の周囲の組織は、結膜、涙腺系、眼瞼の皮膚ま
たは粘膜、あるいはこれらの組合せを含む。結膜に投与されるが結膜粘膜を介し
て吸収されないサイトカインは、鼻涙洞を通じて鼻へ排出され得、ここで、サイ
トカインは鼻腔内投与されたかのようにCNS、脳および/または脊椎へ輸送さ
れ得る。
【0027】 好ましくは、本発明の方法は、三叉神経によって神経支配される耳の組織また
は耳の周囲の組織にサイトカインを投与する。例えば、本発明の方法は、耳介、
外耳道、鼓膜、および側頭部の皮膚(特にこめかみおよび頭皮の外側部の皮膚)
、またはこれらの組合せを含む組織にサイトカインを投与し得る。サイトカイン
を投与するのに好ましい耳の組織または耳の周囲の組織は、こめかみの皮膚を含
む。
【0028】 (サイトカイン) サイトカインは、本発明に従ってCNA、脳、および/または脊髄に投与し得
る。本発明の方法によって投与され得るサイトカインは、例えば、インテーロイ
キン(すなわち、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−
6、IL−7、IL−8、IL−9およびIL−10)、インターフェロン、お
よび腫瘍壊死因子(例えば、TNF−αおよびTNF−β)、ならびに免疫系の
細胞で直接作用を有するものなどの、免疫調節物であるサイトカインである。こ
れらのサイトカインは、治療的サイトカイン(例えば、ウィルス疾患の処置およ
び癌の制御として)所望される。このようなサイトカインは、神経栄養活性を有
すること、または、神経成長因子および同様の化合物に特徴的なニューロンに対
して直接的、有益な他の効果を有することが観察されていないと考えられる。従
って、このようなサイトカインはCNS、脳、および脊髄に、特に神経経路によ
ってではなく、または、嗅神経および/または三叉神経によって神経支配される
組織から、輸送されることが期待されない。
【0029】 本発明の実行において使用のための好ましいサイトカインは、インターフェロ
ンファミリーのメンバーである。インターフェロン(IFN)は、20以上の異
なるタンパク質を取り囲む分子のファミリーであり、そして抗ウィルス効果、抗
増殖効果、抗癌効果、および/またはサイトカイン効果を含むサイトカインファ
ミリーのメンバーである。IFNは比較的小さく、種特異的な、単鎖ポリペプチ
ドで、これらは、例えばマイトジェン、ポリペプチド、ウィルスなどの誘導因子
の種々の応答において産生される。ヒトにおいて、IFNはα、β、γ、ω、τ
の形態で産生される。合成インターフェロンはまた、当該分野で公知である。例
えば、6,114,145(本明細書中で参考として援用される)を参考のこと
。哺乳動物細胞からの分泌に対して、インターフェロン分子は、標的細胞の表面
上のレセプターに結合し、そして事象の連鎖を誘発し、これは標的細胞における
タンパク質の量および活性を変更し得る。このような変更は、例えば、遺伝子転
写中または酵素活性の変化が含まれる。本発明の実行において使用するための好
ましいインターフェロンは、インターフェロン−β(IFN−β)、インターフ
ェロン−α(IFN−α)、およびインターフェロン−γ(IFN−γ)が挙げ
られる。
【0030】 サイトカインの生物学的に活性な改変体はまた、本発明に含まれる。このよう
な改変体はサイトカインの生物学的活性を保持するはずである。例えば、サイト
カインがインターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γ)の
場合、それぞれのレセプター部位に結合する能力は保持される。このような活性
は、標準的な生物アッセイを使用して測定される。インターフェロンレセプター
タイプIと相互作用する改変体の能力を検出する代表的なアッセイは、例えば、
米国特許第5,766,864号(これは本明細書中で参考として援用される)
中に見出される。好ましくは、その改変体は少なくとも本来の分子と同様の活性
を有する。あるいは、本発明のサイトカインの改変体の生物学的活性は、標準的
なウィルス減少アッセイ(viral reduction assay)を使
用して、細胞株中のウィルス耐性を増大させる改変体の能力を測定することによ
ってアッセイされる。例えば、米国特許第5,770,191号(これは本明細
書中で参考として援用される)を参考のこと。生物学的活性のための他のアッセ
イには、米国特許第5,690,925号に記載される、抗増殖アッセイが挙げ
られる。
【0031】 適切な生物学的に活性な改変体は、サイトカインポリペプチドのフラグメント
、アナログ、および誘導体で有り得る。「フラグメント」とは、インタクトなサ
イトカインポリペプチド配列のほんの一部からなるタンパク質を意図する。この
フラグメントは、サイトカインポリペプチドのC末端欠損またはN末端欠損で有
り得る。「アナログ」とは、生物学的活性を有する全長ポリペプチドまたはその
フラグメントのいずれかのアナログを意図し、これは、本来の配列および1以上
のアミノ酸置換、挿入または欠損を有する構造を含む。1以上のペプトイド(ペ
プチド模倣物)を有するペプチドはまた用語アナログに含まれる(すなわち、国
際公開WO91/04282を参考のこと)。「誘導体」とは、活性が保持され
る限り、例えばグリコシル化、リン酸化、または他の外来の一部が付加された、
本来のポリペプチドまたはそのフラグメント、もしくはそれぞれのアナログの、
適切な改変を意図する。
【0032】 好ましくは、天然に存在するかまたは存在しない、サイトカインの改変体は、
引用の分子(例えば、本来のヒトインターフェロンまたは引用のインターフェロ
ン分子のより短い部分に対するアミノ酸配列に少なくとも70%、好ましくは8
0%、より好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、また
は95%相同性があるアミノ酸配列を有する。より好ましくは、分子は、96%
、97%、98%または99%相同である。配列相同性のパーセントは、12の
ギャップオープンペナルティー、および2のギャップ伸長ペナルティー、62の
BLOSUMマトリックスを使用するアフィンギャップ探査、Smith−Wa
terman相同性検索アルゴリズムを使用して、決定される。Smith−W
aterman相同性検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman
、Adv.Appl.Math(1981)2:482〜489に教授される。
改変体は、例えば、わずか1〜10アミノ酸残基(例えば、6〜10)、わずか
5、わずか4、3、2、または1でさえのアミノ酸残基が異なる。
【0033】 アミノ酸配列の最適な整列に関して、改変アミノ酸配列の連続したセグメント
は、引用のアミノ酸配列に関して、さらなるアミノ酸残基または欠失したアミノ
酸残基を有する。引用のアミノ酸配列との比較に使用される連続したセグメント
は、少なくとも20の連続したアミノ酸残基、および30、40、50またはそ
れ以上のアミノ酸残基を含む。保存的な残基の置換またはギャップに関連する配
列相同性の集合が、作製される(Smith−Waterman相同性検索アル
ゴリズムを参照のこと)。
【0034】 当該分野は、このような改変体の調製および使用に関する、実質的なガイダン
スを、さらに以下に記載するように提供する。サイトカインポリペプチドのフラ
グメントは、一般に、全長分子の少なくとも10の連続するアミノ酸残基、好ま
しくは全長分子の15〜25の連続するアミノ酸残基、そしてもっとも好ましく
は全長サイトカインポリペプチドの20〜50の連続するアミノ酸残基を含む。
【0035】 例えば、保存的なアミノ酸残基置換は、1以上の予測される、好ましくは非必
須アミノ酸残基で行われ得る。「非必須」アミノ酸残基は、サイトカイン(例え
ば、インターフェロン(すなわち、IFN−α、IFN−β、IFN−γ))の
野生型配列から、生物学的活性の変化を伴わずに改変され得る残基であり、一方
「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要とされる。「保存的なアミノ酸置
換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基と置換したものである
。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている
。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、リジン
、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン
酸)、変化しない極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セ
リン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、
バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、
トリプトファン)、β枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、
および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒ
スチジン)が挙げられる。これらの置換は、保存されたアミノ酸残基のため、ま
たは保存されたモチーフ中に存在するアミノ酸残基のために行なわれるのではな
い。
【0036】 あるいは、改変サイトカインヌクレオチド配列は、例えば飽和突然変異誘発に
よって、配列をコードするサイトカインの全てまたは一部と共にランダムに突然
変異を挿入することによって行なわれ得、そして生じた突然変異を、活性を保持
する変異体を同定するために、サイトカインの生物学的活性をスクリーニングし
得る。突然変異誘発が続いて起こり、コードされるタンパク質は、組換え的に発
現され得、そしてタンパク質の活性は、本明細書中に記載される標準的アッセイ
技術を使用して決定され得る。
【0037】 あるいは、サイトカインは、ペプチド分野で公知のいくつかの技術のいずれか
によって、化学的に合成され得る。例えば、固相ペプチド合成技術を議論するL
iら(1983)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2
216〜2220、StewardおよびYoung(1984)Solid
Phase Peptide Synthesis(Piece Chemic
al Company、Rockford、Illinois)、およびBar
aneyおよびMerrifield(1980)The Peptide:A
nalysis,Synthesis,Biology、編、Grossおよび
Meinhofer、第2巻(Academic Press、New Yor
k、1980)3〜254頁;および古典的溶液合成について議論するBoda
nsky(1984)Principles of Peptide Synt
hesis(Springer−Verlag、Berlin)および、Gro
ssおよびMeinhofer編(1980)The Peptide:Ana
lysis,Synthesis,Biology第1巻(Academic
Press、New York)を参照のこと。サイトカインはまた、同時複数
ペプチド合成(sinultaneous multiple peptide
synthesis)の方法によって化学的に調製される。例えば、Houg
hten(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:5
131〜5135;および米国特許第4,631,211号を参照のこと。
【0038】 本発明の方法において使用されるサイトカインは、鳥類、イヌ、ウシ、ブタ、
ウマ、およびヒトを含むがそれらに限定されない任意の動物種由来で有り得る。
好ましくは、そのサイトカインが哺乳動物ウィルス、免疫調節、またはCNS、
脳または脊髄の神経学的障害の処置に使用される場合、サイトカインは哺乳動物
由来であり、より好ましくは、そのような疾患の処置を受ける動物と同じ種の哺
乳動物由来で有り得る。
【0039】 (インターフェロン−β) 本明細書中で使用される場合、用語「IFN−β」は、IFN−βまたはそれ
らの改変体について言い、ときどきはIFN−β様ポリペプチドについて言う。
ヒトIFN−β改変体は、天然に存在するか(例えば、IFN−β遺伝子座で起
こる対立遺伝子改変)または組換え的に産生されるが、これは完成した本来のI
FN−β配列と同じか、同様または実質的に同様であるアミノ酸配列を有する。
ヒトIFN−βをコードするDNA配列はまた、当該分野で利用可能である。例
えば、Goeddelら、(1980)Nucleic Acid Res.8
:4057およびTaniguchiら(1979)Proc.Japan A
cad.Sci.855:464を参照のこと。IFN−βのフラグメントまた
はそれらの活性を保持するIFN−βの切断型はまた、含まれる。これらの生物
学的に活性なフラグメントまたはIFN−βの切断型は、当該分野で周知の組換
えDNA技術を使用して、全長IFN−βアミノ酸配列からアミノ酸残基の除去
することによって産生される。IFN−βのグリコシル化型または非グリコシル
化型の両方が、特定の活性について質的に同様であり、そしてゆえに、グリコシ
ル化部分はIFN−βの生物学的活性に関係がなく、寄与しないという文献に報
告されているように、IFN−βポリペプチドは、グリコシル化され得るかまた
はグリコシル化され得ない。
【0040】 本明細書中に含まれるIFN−βには、天然の完成IFN−β配列の突然変異
体が含まれ、ここで生物学的活性に必須ではない1以上のシステイン残基は、分
子間クロスリンクまたは不正確な分子内ジスルフィド結合形成のいずれかの部位
を除去するために、故意に欠失されるかまたは他のアミノ酸と置換される。この
タイプのIFN−β改変体には、完成アミノ酸配列のアミノ酸17に見出される
システインを置換する、グリシン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン
、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン、セリン、スレオ
ニン、またはメチオニンを含むIFN−βを含む。セリンおよびスレオニンは、
そのシステインに対する化学的相同性のために、もっと好ましい置換物である。
セリン置換がもっとも好ましい。例えば、IFN−β改変体は、完成した本来の
配列のアミノ酸17に見出されるシステインと置き換わる、セリン残基を含み得
る。システイン17はまた、当該分野で公知の方法を使用して欠失され(例えば
、米国特許第4,588,585号(これは本明細書中で参考として援用される
)を参照のこと)、本来の完成IFN−βよりも1アミノ酸短い完成IFN−β
ムテインを生じる。従って、例えばIFN−β改変体の薬学的有用性を改善する
、1以上の改変を有するIFN−βもまた、本発明に含まれる。
【0041】 当業者は、IFN−βをコードするヌクレオチド配列への変異によりさらなる
改変が導入され得、このことによりインターフェロンの生物学的活性を変えるこ
となくIFN−βアミノ酸配列に改変が導かれることを理解する。したがって、
ヒトIFN−βと異なる配列を有する、分離されたIFN−β変異体をコードす
る核酸分子は、1以上の置換、追加または欠損が、コードされたIFN−βに導
入されるように、本明細書において開示される対応するヌクレオチド配列に1以
上のヌクレオチド置換、追加または欠損の導入によって作製され得る。変異は、
標準的技術(例えば、特定部位の突然変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によ
って導入され得る。このようなIFN−β変異体はまた、本発明に含まれる。I
FN−βの変異体は、欧州特許申請第18545981号および米国特許第4,
518,584号、第4,588,585号、および第4,737,462号に
記載され、本明細書においてそれらの全てが参考として援用される。
【0042】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−β変異体はまた、例えば、ポリエ
チレングリコール(PEG)またはアルブミンと共有結合するIFN−βポリペ
プチドを含む。
【0043】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−β変異体は、IFN−β活性(特
にIFN−βレセプターに結合する能力もしくは免疫調節能力)または抗ウイル
ス活性を維持するはずである。いくつかの実施形態において、IFN−β変異体
は、少なくとも約25%、約50%、約75%、約85%、約90%、約95%
、約98%、約99%、または天然のIFN−βポリペプチドよりも生物学的活
性を維持する。天然のIFN−βポリペプチドの活性に比して活性が増大するI
FN−β変異体もまた、含まれる。IFN−β変異体の生物学的活性は、当該分
野で公知の方法のいずれかによって測定され得る。このようなアッセイの例は、
Fellousら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
79:3082〜3086;Czernieckiら(1984)J.Vir
ol. 49(2):490〜496;Markら(1984)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA 81:5662〜5666;Brancaら
(1981)Nature 277:211〜223;Williamsら(1
979)Nature 282:582〜586;Herbermanら(19
79)Nature 277:221〜223;およびAndersonら(1
982)J.Biol.Chem. 257(19):11301〜11304
に見出され得る。
【0044】 本発明に含まれるIFN−βポリペプチドおよびIFN−β変異体ポリペプチ
ドの限定しない例は、Nagataら(1980)Nature 284:31
6〜320;Goeddelら(1980)Nature 287:411〜4
16;Yelversonら(1981)Nucleic Acids Res
. 9:731〜741;Streuliら(1981)Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A. 78:2848〜2852;EP02803
3B1およびEP109748B1に記載される。米国特許第4,518,58
4号;第4,569,908号;第4,588,585号;第4,738,84
4号、第4,753,795号;第4,769,233号;第4,793,99
5号;第4,914,033号;第4,959,314号;第5,545,72
3号;および第5,814,485号;もまた参照。これらの開示は、本明細書
において参考として援用される。これらの引用はまた、IFN−βポリペプチド
の残基および領域について、生物学的活性を損なわないように変え得る指針を与
える。
【0045】 本発明の1つの実施形態において、本発明の方法において用いられるIFN−
βは、成熟の天然のヒトIFN−βポリペプチドである。別の実施形態において
、IFN−βは成熟IFN−β C17Sポリペプチドである。しかし、本発明
は、他の実施形態を含み、ここでIFN−βは、本明細書の他のところに記載さ
れるように、任意の生物学的に活性なIFN−βポリペプチドまたは変異体であ
る。
【0046】 本発明のいくつかの実施形態において、IFN−βは組換え的に産生される。
「組換え的に産生されるIFN−β」によって天然のIFN−βに匹敵する生物
学的活性を有するIFN−βを意図し、そして組換えDNA技術によって調製さ
れるIFN−βを意図する。IFN−βは、IFN−βポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞の培養
によって産生され得る。宿主細胞は、ヌクレオチド配列を翻訳し得、そして所望
のタンパク質を産生し、そして原核生物(例えば、E.coli)または真核生
物(例えば、酵母、昆虫または哺乳動物細胞)であり得る。IFN−βの組換え
産物の例は、本明細書において参考として援用される、Manteiら(198
2)Nature 297:128;Ohnoら(1982)Nucleic
Acid Res. 10:967;Smithら(1983)Mol.Cel
l.Biol. 3:2156;および米国特許第4,462,940号;第5
,702,699号;および第5,814,485号;によって与えられる。
【0047】 (インターフェロン−α) 本明細書において用いられる、用語「IFN−α」は、IFN−αまたはその
変異体を示し、時々IFN−α様ポリペプチドを示す。ヒトαインターフェロン
は、約30タンパク質種のファミリーであり、少なくとも14の異なる遺伝子お
よび約16対立遺伝子によってコードされる。このようなIFN−αポリペプチ
ドは、IFN−αa、IFN−αB、IFN−αC、IFN−αD、IFN−α
H、IFN−αJ、IFN−αJ1、IFN−αJ2、およびIFN−αKを含
む。ヒトIFN−α変異体は、天然に生じ得る(例えば、IFN−α座に起こる
対立遺伝子変異体)か、または組換え的に生じ得、成熟の天然IFN−α配列に
同じ(類似)、もしくは実質的に類似したアミノ酸配列を有する。ヒトIFN−
αをコードするDNA配列はまた、当該分野で利用可能である。例えば、Goe
ddelら(1981)Nature 290:20〜26(Genbank登
録番号V00551 J00209);Nagataら(1980)Natur
e 284:3126〜320;Bowdenら(1984)Gene 27:
87〜99(Genbank登録番号NM_000605);およびOhara
ら(1987)FEBS Letters、211:78〜82;であり、これ
らの全ては、本明細書において参考として援用される。活性を維持したIFN−
αのフラグメントまたはIFN−αの短縮型もまた、含まれる。これらの生物学
的に活性なIFN−αのフラグメントまたはIFN−αの短縮型は、当該分野で
周知の組換えDNA技術を用いて、IFN−αの全長アミノ酸配列からアミノ酸
残基を除くことにより産生される。IFN−αポリペプチドはさらに、グリコシ
ル化または非グリコシル化であり得る。
【0048】 当業者は、IFN−αをコードするヌクレオチド配列への変異によりさらなる
改変が導入され得、このことによりインターフェロンの生物学的活性を変えるこ
となくIFN−αアミノ酸配列に改変が導かれることを理解する。したがって、
ヒトIFN−αと異なる配列を有するIFN−α変異体をコードする分離された
核酸分子を、本明細書において開示される対応するヌクレオチド配列に1以上の
ヌクレオチド置換、追加または欠損を導入し、そのことによって1以上のアミノ
酸置換、追加または欠損が、コードされるIFN−αに導入されるように、作製
し得る。変異は、標準的技術によって導入され得る。このようなIFN−α変異
体は、例えば、IFN−α−2a(Roferon−ATM)、IFN−α−2
b(IntronATM)、およびIFN−αcon−(InfergenTM )を含む。本発明の方法において便利な別の変異体は、IFN−αaであり、こ
れは、例えば、EP43980;Meadaら(1980)PNAS 77:7
010;およびLevyら(1981)PNAS 78:6186;において開
示され、これら全ては、本明細書において参考として援用される。さらにIFN
−αの変異体は、例えば、本明細書において参考として援用される米国特許第5
,676,942号において見い出され得る。これらの引用はまた、IFN−α
ポリペプチドの残基および領域について、生物学的活性を損なわないように変え
得る指針を与える。
【0049】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−α変異体はまた、例えば、ポリ
エチレングリコール(PEG)またはアルブミンと共有結合するIFN−αポリ
ペプチドを含む。例えば、本明細書において援用される米国特許第5,762,
923号を参照。
【0050】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−α変異体は、IFN−α活性(特
にIFN−αレセプターに結合する能力もしくは免疫調節能力)、抗ウイルス活
性または抗増殖活性を維持するはずである。いくつかの実施形態において、IF
N−α変異体は、少なくとも約25%、約50%、約75%、約85%、約90
%、約95%、約98%、約99%、または天然のIFN−αポリペプチドより
も生物学的活性を維持する。天然のIFN−αポリペプチドの活性に比して活性
が増大するIFN−α変異体もまた、含まれる。IFN−α変異体の生物学的活
性は、当該分野で公知の方法のいずれかによって測定され得る。このようなアッ
セイの例を上に記載する。
【0051】 本発明の1つの実施形態において、本発明の方法において用いられるIFN−
αは、成熟の天然のヒトIFN−αポリペプチドである。しかし、本発明は、他
の実施形態を含み、ここでIFN−αは、本明細書の他のところに記載されるよ
うに、任意の生物学的に活性なIFN−αポリペプチドまたは変異体である。
【0052】 本発明のいくつかの実施形態において、IFN−αは組換え的に産生される。
「組換え的に産生されるIFN−α」によって天然のIFN−αに匹敵する生物
学的活性を有するIFN−αを意図し、そして組換えDNA技術によって調製さ
れる。IFN−αは、IFN−αポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を
含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞の培養によって産生され得る
。宿主細胞は、ヌクレオチド配列を翻訳し得、そして所望のタンパク質を産生し
、そして原核生物(例えば、E.coli)または真核生物(例えば、酵母、昆
虫または哺乳動物細胞)であり得る。一方で、インターフェロンcDNAのクロ
ーニングおよびこれらの直接の発現(特にE.coliにおいて)の詳細は、多
くの発刊物の題目になっている。したがって、例えば、組換えインターフェロン
の調製は、公知である。例えば、(1982)Nature 295:503〜
508;(1980)Nature 284:316〜320;(1981)N
ature 290:20〜26;(1980)Nucleic Acid R
es. 8:4057〜4074;ならびに欧州特許第32134号、第439
80号および第211148号を参照。IFN−α−2の組換え産生のさらなる
例は、Nagataら(1980)Nature 284:316および欧州特
許32,134において提供される。これらの参考文献の全てが、本明細書にお
いて参考として援用される。
【0053】 (インターフェロンγ) 本明細書において用いられる、用語「IFN−γ」は、IFN−γまたはその
変異体を示し、時々IFN−γ様ポリペプチドを示す。IFN−γは、成熟型が
143アミノ酸および約63〜73キロダルトンの分子量を有する糖タンパク質
である。IFN−γのアミノ酸配列は、例えば、本明細書において参考として援
用される米国特許第6,046,034号に見いだされ得る。ヒトIFN−γ変
異体(これらは、天然に生じ得る(例えば、IFN−γ座に起こる対立遺伝子変
異体)か、または組換え的に生じ得る)は、成熟の天然IFN−γ配列に同じ(
類似)、もしくは実質的に類似したアミノ酸配列を有する。ヒトIFN−γをコ
ードするDNA配列はまた、当該分野において利用可能である。例えば、本明細
書において参考として援用されるGreyら(1983)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 80:5842〜5846を参照。活性を維持した
IFN−γのフラグメントまたはIFN−γの短縮型もまた、含まれる。これら
の生物学的に活性なIFN−γのフラグメントまたはIFN−γの短縮型は、当
該分野で周知の組換えDNA技術を用いて、IFN−γの全長アミノ酸配列から
アミノ酸残基を除くことにより産生される。IFN−γポリペプチドはさらに、
グリコシル化または非グリコシル化であり得る。
【0054】 本明細書に含まれるIFN−γ変異体は、天然型成熟IFN−γ配列のムテイ
ンを含む。したがって、例えば、薬学的利用能を改善した1以上の変異を有する
IFN−γ変異体はまた、本発明に含まれる。
【0055】 このようなIFN−γ変異体はまた、本発明に含まれる。IFN−γの変異体
は、当該分野において周知である。例えば、本明細書において参考として援用さ
れる米国特許第5,770,191号は、成熟IFN−γの生物学的活性を維持
するIFN−γのC末端を含むペプチドを開示する。さらに、EP0 3068
70 A2において、C末端の7〜11アミノ酸の欠損によって有意に活性が増
大されたヒトIFN−γの変異体が同定された。さらに、WO92−08737
は、生物学的活性が増大した組換えヒトIFN−γの変異体(IFN−γC−1
0L)を開示する。さらに、IFN−γの変異体は、例えば、米国特許第5,6
90,925号および米国特許第6,046,034号において見出され得、こ
れら両方は、生物学的活性を損なうことなく成し得る、IFN−γにおけるアミ
ノ酸置換および欠損に関する指針を提供する。これらの各参考文献は、本明細書
において参考として援用される。上の例は、本発明に含まれるIFN−γポリペ
プチドおよびIFN−γ変異体ポリペプチドの限定しない例を表す。これらの引
用はまた、生物学的活性を損なうことなく変え得るIFN−γポリペプチドの残
基および領域についての指針を提供する。
【0056】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−γ変異体はまた、例えば、ポリエ
チレングリコール(PEG)またはアルブミンと共有結合するIFN−γポリペ
プチドを含む。
【0057】 本発明に含まれる生物学的に活性なIFN−γ変異体は、IFN−γ活性(特
にIFN−γレセプターに結合する能力)もしくは免疫調節能力、抗ウイルス活
性または抗増殖活性を維持するはずである。いくつかの実施形態において、IF
N−γ変異体は、少なくとも約25%、約50%、約75%、約85%、約90
%、約95%、約98%、約99%、または天然のIFN−γポリペプチドより
も生物学的活性を維持する。天然のIFN−γポリペプチドの活性に比して活性
が増大するIFN−γ変異体もまた、含まれる。IFN−γ変異体の生物学的活
性は、当該分野で公知の方法のいずれかによって測定され得る。このようなアッ
セイの例を上に記載する。
【0058】 本発明の1つの実施形態において、本発明の方法において用いられるIFN−
γは、成熟の天然のヒトIFN−γポリペプチドである。しかし、本発明は、他
の実施形態を含み、ここでIFN−γは、本明細書のほかのところに記載される
ように、任意の生物学的に活性なIFN−γポリペプチドまたは変異体である。
【0059】 本発明のいくつかの実施形態において、IFN−γは組換え的に産生される。
「組換え的に産生されるIFN−γ」によって天然のIFN−γに匹敵する生物
学的活性を有するIFN−γを意図し、そして組換えDNA技術によって調製さ
れるIFN−γを意図する。IFN−γは、IFN−γポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞の培養
によって産生され得る。宿主細胞は、ヌクレオチド配列を翻訳し得、そして所望
のタンパク質を産生し、そして原核生物(例えば、E.coli)または真核生
物(例えば、酵母、昆虫または哺乳動物細胞)であり得る。IFN−γの組換え
産物の例は、6,046,034および5,690,925;によって与えられ
、両方ともに本明細書において参考として援用される。
【0060】 (薬学的組成物) CNS、脳、および/または脊髄におけるサイトカインの量の、治療有効レベ
ルへの増加は、治療有効用量のこのサイトカインを含有する薬学的組成物の投与
によって、得られ得る。「治療有効用量」によって、CNS、脳、および/また
は脊髄の関連部位におけるこのサイトカインの量を、このサイトカインの所望の
生物学的活性を可能にする治療有効レベルまで増加させる所望の目的を達成する
、サイトカインの用量を意図する。
【0061】 本発明は、特に、嗅神経および/または三叉神経による神経支配組織への投与
の際に、CNS、脳、および/または脊髄へのサイトカインの送達のために使用
され得る組成物に関する。この組成物は、例えば、任意の薬学的に受容可能な添
加剤、キャリア、または嗅神経および/または三叉神経による神経支配組織へサ
イトカインを投与するために適切なアジュバントを含有し得る。好ましくは、こ
の薬学的組成物は、CNS、脳、および/もしくは脊髄の疾患、障害、または損
傷の、診断、予防、または処置において使用され得る。好ましくは、この組成物
は、サイトカインを、薬学的キャリア、添加物、および/またはアジュバントと
組み合わせて含有し、このアジュバントは、嗅神経および/または三叉神経によ
る神経支配組織を通して、あるいは神経系に沿ってまたはそれを通しての、この
サイトカインの移動を促進し得る。あるいは、このサイトカインは、このサイト
カインの神経細胞損傷の部位への移送を補助し得る物質と、組み合わせられ得る
。この組成物は、1つまたはいくつかのサイトカインを含み得る。
【0062】 この組成物は、代表的に、サイトカインおよびこの薬学的組成物中の他の成分
と混合された、薬学的に受容可能なキャリアを含有する。「薬学的に受容可能な
キャリア」によって、サイトカインの貯蔵、投薬、および/または治癒効果を促
進するために当該分野において従来使用されているキャリアが意図される。キャ
リアはまた、サイトカインの任意の所望でない副作用を減少させ得る。適切なキ
ャリアは、安定である(すなわち、その処方物中のほかの成分と反応し得ない)
べきである。これは、処置のために使用される用量および濃度において、受容者
に有意な局所的または全身的な不利な効果を生成しないべきである。このような
キャリアは、当該分野において一般的に公知である。
【0063】 本発明のために適切なキャリアとしては、大きな安定な高分子のために従来使
用されるキャリアが挙げられ、例えば、アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、多
糖類、単糖類、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー
アミノ酸、固定オイル、オレイン酸エチル、リポソーム、グルコース、スクロー
ス、ラクトース、マンノース、デキストロース、デキストラン、セルロース、マ
ンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられ
る。
【0064】 水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールは、(等張性である
場合には)特に溶液のために好ましい液体キャリアである。キャリアは、石油、
動物油、植物油または合成起源のオイル(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油
、ゴマ油など)を含む、種々のオイルから選択され得る。適切な薬学的賦形剤と
しては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース
、ゼラチン、麦芽、イネ、コムギ、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム
、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールな
どが挙げられる。この組成物は、従来の薬学的処置(例えば、滅菌)に供され得
、そして従来の薬学的添加剤(例えば、防腐剤、安定化サイトカイン、湿潤剤、
もしくは乳化剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝液など)を含有し得る。
【0065】 鼻腔内送達のために処方される組成物は、必要に応じて臭気剤を含み得る。臭
気剤は、芳しい感覚を提供するサイトカインおよび/または、嗅覚感覚上皮に対
する活性サイトカインの送達を促進させるため、鼻腔内の吸入を促進させる調製
物と組み合わされる。臭気剤によって提供された芳しい感覚は爽快、不快、また
はさもなければ悪臭であり得る。臭気レセプターニューロンは、ヒトにおいて、
鼻腔の上部の数センチメートル四方にのみを占める嗅覚感覚上皮に局在する。レ
セプターを含んでいる嗅神経樹状突起(olfactory neuronal
dendrite)の線毛は、かなり長い(約30〜200μm)。粘液の1
0〜30μm層は、臭気剤がレセプターに届くまで浸透しなければならない線毛
を覆い隠す。Snyderら(1998)J.Biol.Chem.263:1
3972−13974を参照のこと。臭気結合タンパク質に対する高い親和性を
緩和する親油性臭気剤の使用が好ましい。OBPは小さい鼻腔内分泌物中に見出
される親油性分子に対して親和性を有し、そして親油性臭気物質および臭気レセ
プターニューロンに対するサイトカインの輸送を促進させるキャリアとして働く
。臭気剤は、OBPの手段によってサイトカインの嗅覚感覚上皮への送達をさら
に促進させるための調製物中の、リポソームおよびミセルのような親油性添加物
と結合可能であることが好ましい。OBPは、また親油性薬剤に対して直接的に
結合し、サイトカインの嗅神経レセプターへの送達を促進させる。
【0066】 OBPに対して高い親和性を有する適した臭気剤は、セトラルバ(cetra
lva)およびシトロネロールのようなテルペノイド(terpanoid)、
アミルクルナムアルデヒド(amyl clnnamaldehyde)および
ヘキシルシナムアルデヒド(hexyl cinnamaldehyde)のよ
うなアルデヒド、オクチルイソ吉草酸塩(octyl isovalerate
)のようなエステル、C1Sジャスミン(C1S−jasmine)およびジャ
スマル(jasmal)のようなジャスミン(jasmine)、およびマスク
89(musk89)。他の適した臭気剤は、アデニル酸シクラーゼおよびグア
ニル酸シクラーゼのような臭気感受性酵素を刺激し得るもの、またはサイトカイ
ンの吸着を促進するために嗅覚系内にあるイオンチャネルを改変し得るものを含
む。
【0067】 この組成物中の他の受容可能な成分としては、等張性を増強する薬学的に受容
可能な薬剤(例えば、水、塩、糖、、ポリオール、アミノ酸、および緩衝液(例
えば、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、および他の有機酸またはこれらの塩
)が挙げられるが、これらに限定されない。代表的に、薬学的に受容可能なキャ
リアはまた、1つ以上の安定化剤、還元剤、抗酸化剤、および/または抗酸化剤
キレート剤を含有する。タンパク質ベースの組成物(特に、薬学的組成物)の調
製の際の、緩衝液、安定化剤、還元剤、抗酸化剤、およびキレート剤の使用は、
当該分野において周知である。Wangら、(1980)J.Parent.D
urg Assn、34(6):452〜462;Wangら、(1988)J
.Parent.Sci.and Tech.、42:S4〜S26(補遺);
Lachmanら、(1968)Drug and Cosmetic Ind
ustry、102(1):36〜38、40および146〜148;Aker
s,M.J.(1988)、J.Parent.Sci.and Tech、3
6(5):222〜228;およびColowickら、Methods in
Enzymology、第XXV巻、185〜188頁を参照のこと。
【0068】 適切な緩衝剤としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、乳
酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩、トリ(ヒドロキシメチル
アミノメタン)、コハク酸塩、グリシン、ヒスチジン、種々のアミノ酸の塩など
、またはこれらの組み合わせが挙げられる。Wang(1980)、前出455
頁を参照のこと。適切な塩および等張化剤(isotonicifier)とし
ては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、スクロース、トレハロ
ースなどが挙げられる。キャリアが液体である場合には、このキャリアは、口、
粘膜、または皮膚の流体と低張性または等張性であり、そして4.5〜8.5の
範囲内のpHを有することが、好ましい。キャリアが粉末形態である場合には、
このキャリアはまた、受容可能な無毒性のpH範囲内であることが好ましい。
【0069】 還元システインの還元を維持する、適切な還元剤としては、0.01%〜0.
1%w/wのジチオトレイトール(クリランド試薬としても公知のDTT)また
はジチオエリトリトール;0.1%〜0.5%(pH2〜3)のアセチルシステ
インまたはシステイン;ならびに0.1%〜0.5%(pH3.5〜7.0)の
チオグリセロールおよびグルタチオンが挙げられる。Akers(1988)、
225〜226頁を参照のこと。適切な抗酸化剤としては、重亜硫酸ナトリウム
、亜硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホルムアル
デヒドスルホキシル酸ナトリウム、およびアスコルビン酸が挙げられる。Ake
rs(1988)、225頁を参照のこと。残余金属により触媒される還元シス
テインの酸化を防止するために、残余金属をキレートする、適切なキレート剤と
しては、クエン酸塩、酒石酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(二ナト
リウム塩、四ナトリウム塩、およびカルシウム二ナトリウム塩の形態)、ならび
にジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。例えば、Wang(
1980)前出、457〜458および460〜461頁、ならびにAkers
(1998)前出、224〜227頁を参照のこと。
【0070】 この組成物は、例えばフェノール、クレゾール、パラアミノ安息香酸、BDS
A、ソルビトレート(sorbitrate)、クロルヘキシジン、塩化ベンザ
ルコニウムなどの、1種以上の防腐剤を含有し得る。適切な安定化剤としては、
トレロース(threlose)またはグリセロールのような、炭水化物が挙げ
られる。この組成物は、例えばこの組成物の物理的形態を安定化させるための、
1つ以上の微晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、スク
ロース;および例えばこの組成物の化学構造を安定化させるための、1つ以上の
グリシン、アルギニン、加水分解されたコラーゲン、またはプロテアーゼインヒ
ビターのような、安定化剤を含有し得る。適切な懸濁剤としては、カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギ
ニン酸塩、コンドロイチン硫酸(chonodroitin sulfate)
、デキストラン、マルトデキストリン、硫酸デキストランなどが挙げられる。こ
の組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、プルロニック、トリオ
レイン、大豆油、レシチン、スクアレン、ソルビタントレイオレエート(sor
bitan treioleate)などが挙げられる。この組成物は、フェニ
ルエチルアルコール、フェノール、クレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノ
キシエタノール、クロルヘキシジン、チメロサール(thimerosol)な
どのような抗菌剤を含有し得る。適切な増粘剤としては、マンナン、アラビナン
、アルギネート、ヒアルロン酸、デキストロースなどのような天然多糖類;なら
びに低分子量のPEGヒドロゲルおよび上述の懸濁サイトカインのような合成多
糖類が挙げられる。
【0071】 この組成物は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、BDSA、コレート
、デオキシコレート、ポリソルベート20および80、フシジン酸などのような
アジュバントを含み得、そしてDNA送達の場合は、好ましくは、カチオン性脂
質を含み得る。適切な糖としては、グリセロール、トレオース、グルコース、ガ
ラクトース、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。適切なタンパク
質は、ヒト血清アルブミンである。
【0072】 好ましい組成物は、以下の1以上を含み得る:可溶性増強添加剤(好ましくは
、シクロデキストリン);親水性添加剤(好ましくは、モノサッカリドまたはオ
リゴサッカリド);吸収促進添加剤(好ましくは、コレート、デオキシコレート
、フシジン酸またはキトサン);カチオン性界面活性剤(好ましくは、セチルト
リメチルアンモニウムブロミド);粘性増強添加剤(好ましくは、投与部位で組
成物の滞留時間を促進するための)(好ましくは、カルボキシメチルセルロース
、マルトデキストリン、アルギン酸、ヒアルロン酸またはコンドロイチン硫酸塩
);または持続放出マトリクス(好ましくは、ポリ無水物、ポリオルソエステル
、ヒドロゲル、粒子徐放デポーシステム(好ましくは、ポリラクチドコ−グリコ
リド(PLG)、デポーフォーム、デンプンミクロスフェアまたはセルロース誘
導性口腔システム);脂質ベースのキャリア(好ましくは、エマルジョン、リポ
ソーム、ニオソーム(niosome)またはミセル)。この組成物は、二重層
脱安定化添加剤(好ましくは、ホスファチジルエタノールアミン);紡錘性(f
usogenic)添加剤(好ましくは、コレステロールヘミスクシネート)を
含み得る。
【0073】 舌下投与のための他の好ましい組成物は、例えば、舌下でサイトカインを保持
する生体接着剤;舌に応用する噴霧剤、塗布剤、貼付剤、または;舌下の徐溶解
性の丸剤またはロゼンジ、などを含む。他の好ましい経皮投与の組成物は、皮膚
上または皮膚中のサイトカインを保持するための生体接着剤;噴霧剤、塗布剤、
化粧品、または皮膚に適用するスワブ、などを含む。
【0074】 キャリアおよび添加剤のこれらのリストは、決して完全ではなく、そして当業
者は、薬学的調製物中に許容される化学物質ならびに局所処方物および非経口処
方物中に現在許容される化学物質のGRAS(一般に安全とみなされる)リスト
、から、賦形剤を選択し得る。
【0075】 本発明の目的のために、サイトカインを含む薬学的組成物は、単位投薬量およ
び液剤、懸濁剤またはエマルジョンのような形態で処方され得る。このサイトカ
インは、散剤、顆粒剤、液剤、クリーム剤、スプレー剤(例えば、エアロゾル)
、ゲル剤、軟膏剤、注入剤、注射剤、ドロップ剤または持続放出組成物(例えば
、ポリマーディスク)として、三叉神経および/または嗅神経によって神経支配
される組織に投与され得る。口腔投与のために、組成物は、従来の様式で処方さ
れた錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。眼または他の外部組織(例えば、口
および皮膚)への投与のために、組成物は、局所的軟膏剤またはクリーム剤とし
て患者の身体の感染部分に適用され得る。これらの組成物は、軟膏剤(例えば、
水溶性軟膏基剤を用いて)で存在し得るか、またはクリーム剤(例えば、水中油
クリーム基剤を用いて)で存在し得る。結膜適用のために、サイトカインが、生
分解性または非分解性の眼用挿入物中で投与され得る。この薬物は、マトリクス
侵食によって放出され得るか、またはエチレン−ビニルアセテートポリマー挿入
物中のような細孔を通して受動的に送達され得る。他の粘膜投与(例えば、舌下
)のために、粉末ディスクが、舌下に配置され得、そして能動的な送達系は、乾
燥脂質混合物またはプロリポソーム(pro−liposome)由来のリポソ
ームの処方物中でのように、インサイチュでの緩やかな水和による。
【0076】 投与のための組成物の他の好ましい形態としては、粒子の懸濁剤(例えば、エ
マルジョン)、リポソーム、サイトカインを緩やかに放出する挿入物などが挙げ
られる。この薬学的組成物の粉末形態または顆粒形態は、溶液および希釈剤、分
散剤または界面活性サイトカインと共に組み合わせられ得る。投与のためのさら
なる好ましい組成物は、サイトカインを投与部位に保持するための生体接着剤;
粘膜または上皮に適用されるスプレー、塗布剤またはスワブ;徐溶解性の丸剤ま
たはロゼンジ、などを含む。この組成物はまた、凍結乾燥粉末形態であり得る。
これは、投与前に、液剤、懸濁剤またはエマルジョンに変換され得る。サイトカ
インを有する薬学的組成物は、好ましくは、膜濾過によって滅菌され、そして単
位用量または複数回用量の容器(例えば、密封されたバイアルまたはアンプル)
で保存される。
【0077】 薬学的組成物を処方するための方法は、一般に、当該分野で公知である。薬学
的に受容可能なキャリア、安定化剤および同型物質(isomolyte)の処
方および選択の全体の議論は、Remington’s Pharmaceut
ical Sciences(第18版;Mack Publishing C
ompany,Eaton,Pennsylvannia,1990)(本明細
書中に参考として援用される)に見出され得る。
【0078】 本発明のサイトカインはまた、持続放出形態で処方され、処置された哺乳動物
中での薬学的に活性なサイトカインの存在を延長(一般的に、1日より長い)し
得る。持続放出処方物調製の多くの方法は、当該分野で公知であり、そしてRe
mington’s Pharmaceutical Sciences(第1
8版;Mack Publishing Company,Eaton,Pen
nsylvannia,1990)(本明細書中に参考として援用される)に開
示される。
【0079】 一般的に、サイトカインは、固体の疎水性ポリマーの半透性マトリクスに包理
され得る。このマトリクスは、フィルムまたはマイクロカプセルへ形付けられ得
る。このようなマトリクスの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:ポリエステル、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートの
コポリマー(Sidmanら、(1983)Biopolymers 22:5
47−556)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号およびEP5
8,481)、ポリラクテートポリグリコレート(PLGA)(例えば、ポリラ
クチド−コ−グリコリド(例えば、米国特許第4,767,628号および同第
5,654,008号を参照のこと))、ヒドロゲル(例えば、Langerら
(1981)J.Biomed.Mater.Res.15:167−277;
Langer(1982)Chem.Tech.12:98−105を参照のこ
と)、非分解性エチレン−ビニルアセテート(例えば、エチレンビニルアセテー
トディスクおよびポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート))、分解性乳酸−グ
リコール酸コポリマー(例えば、Lupron DepotTM)、ポリ−D−
(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)、ヒアルロン酸ゲル(例え
ば、米国特許第4,636,524号を参照のこと)、アルギン酸懸濁液など。
【0080】 適切なマイクロカプセルとしてはまた、コアセルベーション技術によってまた
は界面重合化によって調製される、ヒドロキシメチルセルロース−マイクロカプ
セルまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリメチルメタクリレートマイク
ロカプセルが挙げられ得る。「Method for producing S
ustained−release Formulations」という表題の
、WO公開99/24061(本明細書中で参考として援用される)を参照のこ
と。ここでは、タンパク質は、PLGAミクロスフェエア中にカプセル化される
。さらに、リポソームおよびアルブミンミクロスフェアのような、マイクロエマ
ルジョンまたはコロイド性の薬物送達系もまた、使用され得る。Remingt
on’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Ma
ck Publishing Co.,Eaton,Pennsylvanni
a,1990)を参照のこと。他の好ましい徐放性組成物は、投与部位でサイト
カインを保持するために生体接着剤を使用する。
【0081】 薬学的組成物中のサイトカインと組み合わせられ得る任意の物質としては、鼻
腔の粘膜または上皮を介するか、あるいはCNS中の損傷された神経細胞への神
経経路、リンパ経路または脈管周囲経路に沿った、サイトカインの吸収を増強し
得る脂溶性物質が挙げられる。このサイトカインは、脂溶性アジュバント単独と
共に、またはキャリアと組み合わせて混合され得るか、あるいは1つまたはいく
つかの型のミセルまたはリポソーム物質と組み合わせられ得る。以下の1以上の
好ましい脂溶性物質がカチオン性リポソームに含まれる:ホスファチジルコリン
、リポフェクチン、DOTAP、脂質ペプトイド結合体、合成リン脂質(例えば
、ホスファチジルリジン)など。これらのリポソームは、ガングリオシドおよび
ホスファチジルセリン(PS)のような他の脂溶性物質を含み得る。また、GM
−1ガングリオシドおよびホスファチジルセリン(PS)のようなミセル添加剤
も好ましく、これらは、単独または組み合わせてのいずれかで、薬剤と組み合わ
せられ得る。GM−1ガングリオシドは、任意のリポソーム組成物中で1〜10
モルパーセントで、またはミセル構造中でより高い量で含まれ得る。タンパク質
サイトカインは、特定の構造中にカプセル化され得るか、または活性サイトカイ
ンの疎水性に依存して、その構造の疎水性部分の一部として組み込まれ得るかの
いずれかであり得る。
【0082】 1つの好ましいリポソーム処方物は、Depofoamを使用する。サイトカ
インは、多小胞リポソーム(「High and Low Load Form
ulations of IGF−I in Multivesicular
Liposomes」という表題の、WO公開99/12522(本明細書中に
参考として援用される)に開示されるような)にカプセル化され得る。投与部位
でのサイトカインの平均滞留時間は、Depofoam組成物を用いて延長され
得る。
【0083】 (サイトカインの投与) 本発明の本実施形態に従って、1用量に投与されるサイトカインの総量は、生
物学的に関連のある量(すなわち、治療効果を生成するのに十分な量)のサイト
カインを送達するのに十分な範囲でなければならない。単位用量のサイトカイン
を有する薬学的組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、または徐放性処方物の形態で
あり得る。この薬学的組成物の1用量の総容積は、例えば、経鼻投与に関して、
約10μl〜約100μlの範囲であり得る。適切な容積が、サイトカインが投
与される組織のサイズ、および組成物中の成分の可溶性などの因子で変動し得る
ことは明らかである。
【0084】 特定の組織への単位用量として投与されるサイトカインの総量が、投与される
薬学的組成物の型、すなわちその組成物が例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、また
は徐放性処方物の形態であるか否かに依存することが理解される。例えば、治療
有効量のサイトカインを含む薬学的組成物が徐放性処方物である場合、サイトカ
インは、比較的高い濃度で投与される。三叉神経によって支配される鼻腔外組織
への注射針フリーの皮下投与は、薬剤(皮膚への散剤または微粒子として処方さ
れる)を加速するための電源としての超音波ガスジェットを使用するデバイスの
使用によって達成され得る。このような送達方法の特徴は、粒子の性質、薬剤の
処方、および送達デバイスの気体力学によって決定される。同様に、水性組成物
の皮下投与は、注射針フリーの様式で達成され得、この様式は、皮膚へ浸透し得
る流体の高出力ジェットを生成するためのガス動機出力の手持ちのデバイスを使
用する。あるいは、組成物の徐放性を媒介するために処方された皮膚パッチは、
三叉神経によって支配される組織への神経調節剤の経皮投与に使用され得る。薬
学的組成物が、徐放性処方物中に治療有効量の薬剤または薬剤の組合せを含む場
合、これらの薬剤は、より高い濃度で投与される。
【0085】 多様性が、本発明の実施形態におけるサイトカインの治療有効量および投与頻
度に関して受容可能であり得ることは、当業者に明らかなはずである。投与され
るサイトカインの量は、投与頻度と逆比例的に相関する。故に、単一投与量にお
けるサイトカイン濃度の上昇、または徐放性形態のサイトカインの場合、平均滞
留時間の増加は、一般的に、投与頻度の減少と組み合わされる。
【0086】 本発明の実施において、サイトカインの治療有効量およびその投与頻度を決定
する場合、さらなる因子が、考慮に入れられるべきである。このような因子とし
ては、例えば、組織のサイズ、組織表面の面積、疾患もしくは障害の重篤度、な
らびに処置される個体の年齢、身長、体重、健康および身体状態が挙げられる。
一般的に、組織が比較的大きいか、または疾患もしくは障害がより重篤である場
合、より高い投薬量が、好ましい。
【0087】 いくらかの最少程度の実験は、最も有効な用量および用量投与頻度を決定する
ために必要とされ得、これは、一旦本開示を理解した場合に当業者の能力の十分
な範囲内である。
【0088】 ヒトにおけるCNS障害(神経学的障害、ウイルス障害、増殖性障害または免
疫調節障害を含む)の処置に関して、サイトカインの治療有効量または治療有効
用量は、約0.14nmol/kg脳重量〜138nmol/kg脳重量および
約0.14nmol/kg脳重量〜約69nmol/kg脳重量である。いくつ
かのレジメンにおいて、サイトカインの投与のための治療有効用量としては、約
0.13、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、10、20、30、40
、50、60、70、80、90、100、110、120、130、または1
40nmole/kg脳重量が挙げられる。ヒトにおけるCNS障害(神経学的
障害、ウイルス障害、増殖性障害または免疫調節障害を含む)の処置に関して、
IFN−βまたはその生物学的に活性な改変体の、治療有効量または治療有効用
量は、約0.14nmol/kg脳重量〜約138nmol/kg脳重量および
約0.14nmol/kg脳重量〜約69nmol/kg脳重量である。いくつ
かのレジメンにおいて、IFN−βの投与のための治療有効用量としては、約0
.13、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、10、20、30、40、
50、60、70、80、90、100、110、120、130、または14
0nmole/kg脳重量が挙げられる。
【0089】 ヒトへのサイトカインの治療有効量または治療有効用量は、サイトカインが免
疫応答および炎症性応答によって特徴付けられる障害または疾患(すなわち、リ
ンパ球による急性または慢性の炎症および/または浸潤を引起す疾患)の処置ま
たは予防のために、頭頸部の種々の組織へ鼻リンパ管を介して投与される場合、
比較的低くあり得る。これらの実施形態において、サイトカインは、上記に提供
された投薬量範囲で投与され得るが、サイトカインはまた、約0.02〜約13
8pmol/kg脳重量で投与され得る。あるいは、サイトカインは、約0.0
2、0.03、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、
0.7、0.8、0.9、1、10、20、30、40、50、60、70、8
0、90、100、110、120、130、または140pmol/kg脳重
量で投与され得る。同様に、サイトカインがIFN−βである場合、投薬量範囲
はまた、約0.02〜約138pmol/kg脳重量であり得る。あるいは、サ
イトカインは、約0.02、0.03、0.08、0.1、0.2、0.3、0
.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、10、20、30、40
、50、60、70、80、90、100、110、120、130、または1
40pmol/kg脳重量で投与され得る。
【0090】 これらの用量は、サイトカインIFN−βがCNSまたはリンパ系へ輸送され
る効率を含む因子に依存する。より高い総用量は、薬剤の複数投与によって送達
され得る。
【0091】 (間欠的投薬) 本発明の別の実施形態において、治療有効用量の薬剤を含む薬学的組成物は、
間欠的に投与される。「間欠的投与」によって、治療有効用量のサイトカインの
投与、それに続く中断期間、次いで、それに続く治療有効用量のさらなる投与(
以下同様)が意図される。治療有効用量の投与は、連続的様式で達成され得る(
例えば、徐放性処方物と共に)か、または所望の日毎の投薬レジメンに従って達
成され得る(例えば、1日あたり1回、2回、3回以上の投与で)。「中断期間
」によって、サイトカインの連続的な徐放性投与または日毎の投与の中断が意図
される。この中断期間は、持続的放出投与または日毎の投与の期間より、より長
くてもよく、短くてもよい。中断期間の間に、関連する組織のサイトカインレベ
ルは、処置の間に得られた最大レベルより、実質的に低い。中断期間の好ましい
長さは、使用されるサイトカインの有効用量の濃度および形態に依存する。中断
期間は、少なくとも2日であり得、好ましくは、少なくとも4日であり、より好
ましくは、少なくとも1週間であり、そして一般に、4週間の期間を超えない。
徐放性処方物が使用される場合、中断期間は、損傷部位でのサイトカインのより
長い滞留時間を考慮して延ばされなければならない。あるいは、この有効用量の
徐放性処方物の投与頻度は、従って減少され得る。サイトカインの投与の間欠的
スケジュールは、所望の治療効果および最終的に疾患または障害の処置が達成さ
れるまで、継続され得る。
【0092】 なお別の実施形態において、治療有効用量のサイトカインの間欠的投与は、周
期的である。「周期的」によって、約1ヶ月〜約2、3、4、5または6月の周
期で、投与を中断することによって達成される間欠的投与が意図される。例えば
、この投与スケジュールは、有効用量のサイトカインの間欠的投与であり得、こ
こで、短期間の単回用量が4週間の間、週1回与えられ、その後、3ヶ月の間、
間欠的投与を中断し、その後、短期間の単回用量が4週間の間で、週1回間欠的
に投与され、その後、3ヶ月の間、間欠的投与を中断する(以下同様)。別の例
として、短期間の単回用量が2週間の間、週1回与えられ、その後、1ヶ月の間
、間欠的投与を中断し、その後、短期間の単回用量が2週間の間で、週1回間欠
的に投与され、その後、1ヶ月の間、間欠的投与を中断する(以下同様)。被験
体へのサイトカインの投与の周期的な間欠的スケジュールは、所望の治療効果お
よび最終的に疾患または障害の処置が達成されるまで、継続され得る。
【0093】 (神経輸送) 本方法の1つの実施形態は、サイトカインがリンパ系、涙腺、CNS、脳、お
よび/または脊髄へと神経経路に沿って輸送されるような様式で、被験体に薬剤
を投与することを包含する。神経経路は、ニューロン内またはニューロンに沿っ
て、ニューロンとともに通っているリンパ管を通じてかまたはリンパ管を介して
、ニューロンまたは神経経路とともに通っている血管の脈管周囲空間を通じてか
またはこの空間を介して、ニューロンまたは神経経路とともに通っている血管の
外膜を通じてかまたはこの外膜を介して、あるいは血管リンパ系を通じての、輸
送を含む。本発明は、神経経路を介してのサイトカインの輸送を、循環系を通じ
ての輸送よりも好み、その結果、血流から脳への血液脳関門を越えることができ
ないかまたは不十分にしか越えることができないサイトカインが、リンパ系、C
NS、脳、および/または脊髄へと送達され得る。このサイトカインは、一旦、
血液脳関門を通過しそしてCNSに存在すると、次いで、脳または脊髄の種々の
領域へと、リンパチャネルを通じてか、脈管周囲空間を通じてか、またはニュー
ロンを通じての輸送もしくはニューロンに沿っての輸送を介して、送達され得る
。1つの実施形態において、このサイトカインは、好ましくは、そのサイトカイ
ンの最大密度のレセプターまたは結合部位を有する領域中に蓄積する。
【0094】 リンパ系、涙腺、脳、脊髄、または中枢神経系の他の成分へのサイトカインの
神経経路の使用は、血液脳関門によって提示される障害物を回避し、その結果、
通常この関門を通過し得ない薬物が、脳、小脳、脳幹、または脊髄に直接投与さ
れ得る。投与されるサイトカインは、血流および神経経路に吸収され得るが、こ
のサイトカインは、好ましくは、全身的に最小の効果を提供する。さらに、本発
明は、より濃縮したレベルのサイトカインの神経細胞への送達を提供し得る。な
ぜなら、このサイトカインは、血流に存在する流体中で希釈されないからである
。そうなので、本発明は、サイトカインをリンパ系、CNS脳、および/または
脊髄へ送達するための改善された方法を提供する。
【0095】 (嗅神経経路) 本発明の1つの実施形態は、サイトカインが嗅神経経路に沿ってCNS、脳、
および/または脊髄へ輸送されるような様式での、サイトカインの被験体への送
達を含む。代表的には、このような実施形態は、サイトカインを嗅神経によって
支配された組織および鼻腔内へ投与する工程を包含する。嗅神経経路は、主に、
上記のように、鼻腔の上部3分の1(upper third of the
nasal cavity)上の嗅覚上皮を支配する。嗅神経によって支配され
た組織へのサイトカインの適用は、このサイトカインを、損傷を受けた細胞、ま
たはCNS、脳、および/もしくは脊髄の細胞へ送達し得る。嗅覚ニューロンは
、この組織を支配し、そして嗅覚におけるその役割に起因して(と考えられる)
、CNS、脳、および/または脊髄への直接的な連結を提供し得る。
【0096】 嗅神経経路を介した送達は、種々の脳領域へ、そしてここからCNSの一部(
例えば、脊髄)と関連する硬膜リンパ管へ嗅神経とともに通るリンパ管を使用し
得る。嗅神経に沿った輸送はまた、サイトカインを嗅球へ送達し得る。血管周囲
経路および/または血管リンパ経路(例えば、大脳血管の外膜内へ走るリンパチ
ャネル)は、嗅神経によって支配された組織からの脳および脊髄への治療サイト
カインの輸送に関するさらなる機構を提供し得る。
【0097】 サイトカインは、例えば、嗅覚上皮を介して嗅神経に投与され得る。このよう
な投与は、細胞外または細胞内(例えば、経神経)の、前向性および逆向性の、
脳およびその髄膜、脳幹、または脊髄への嗅神経を介したサイトカイン侵入の輸
送を使用し得る。一旦サイトカインが嗅神経によって支配された組織内またはこ
の組織上に投与されると、このサイトカインは、この組織を介して輸送され得、
そして嗅覚ニューロンに沿ってCNS領域(脳幹、小脳、脊髄、嗅球、ならびに
皮質構造および皮質下構造を含む)へ移動し得る。
【0098】 嗅神経経路を介した送達は、粘膜もしくは上皮へまたは粘膜もしくは上皮を介
した、嗅神経またはリンパ管、血管血管周囲空間、血管外膜、もしくは血管リン
パ管(これは、脳そしてここからCNSの一部(例えば、脊髄)と関連する硬膜
リンパ管へ嗅神経とともに通る)への、サイトカインの移動を使用する。血管リ
ンパ管は、血管の外側上の血管周囲であるリンパ管チャネルを含む。これはまた
、血管リンパ系といわれる。サイトカインの血管リンパ管への導入は、必ずしも
サイトカインを血液へ導入しない。
【0099】 (三叉神経経路) 本方法の1つの実施形態は、サイトカインがCNS、脳、および/または脊髄
へと三叉神経経路に沿って輸送されるような様式で、被験体にサイトカインを送
達することを包含する。代表的には、このような実施形態は、三叉神経によって
神経支配される組織(鼻腔の内側および外側を含む)に、サイトカインを投与す
る工程を包含する。三叉神経経路は、上記のように、頭および顔の種々の組織を
神経支配する。特に、三叉神経は、鼻、シヌソイド、口および結膜の粘膜または
上皮、ならびに顔の皮膚を神経支配する。三叉神経により神経支配される組織へ
のサイトカインの適用は、そのサイトカインを、CNS、脳、および/または脊
髄の損傷したニューロンまたは細胞へ、リンパ系の細胞へと送達し得る。三叉神
経ニューロンは、これらの組織を神経支配し、そしてCNS、脳、および/また
は脊髄への直接の連絡を提供し得る。これは、一般の化学的感覚(力学的感覚、
熱感覚および侵害受容(例えば、辛いスパイスの検出および有害化学物質の検出
)を含む)における三叉神経ニューロンの役割に起因すると考えられる。
【0100】 三叉神経経路を通じての送達は、脳橋および脳の他の領域へ、そしてそれらの
領域からCNSの一部(例えば、脊髄)と結合した硬膜リンパ管へと三叉神経と
ともに移動するリンパ管を使用し得る。三叉神経に沿った輸送はまた、サイトカ
インを嗅球へも送達し得る。脈管周囲経路および/または血管リンパ管経路(例
えば、小脳の血管の外膜内を通るリンパチャネル)は、三叉神経によって神経支
配される組織から脊髄への治療サイトカインの輸送のためのさらなる機構を提供
し得る。
【0101】 三叉神経は、大きな直径の軸索(これは、機械的感覚(例えば、触覚)を媒介
する)および小さな直径の軸索(これは、痛覚および熱感覚を媒介する)を含み
、両方の細胞体は、中脳の半月神経節(または三叉神経節)あるいは三叉神経中
脳路核(mesencephalic trigeminal nucleus
)に位置する。三叉神経の特定の部分は、鼻腔、口および結膜の粘膜および/ま
たは上皮に伸長する。三叉神経の他の部分は、顔の皮膚、前頭、上眼瞼、下眼瞼
、鼻背、鼻の側方、上唇、頬、頤、頭皮および歯へと伸長する。三叉神経の個々
の線維は、集まって大きな束となり、脳の下を通り、そして橋の腹側に入る。サ
イトカインは、三叉神経へと、例えば、鼻腔、口、舌、および/または結膜およ
び/または上皮を通じて;あるいは顔の皮膚、前頭、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻
の側方、上唇、頬、頤、頭皮および歯を通じて、投与され得る。このような投与
は、サイトカインの細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン性)の順方向輸
送および逆方向輸送を使用し得、三叉神経を通じて、脳および脳の髄膜、脳幹、
または脊髄へと侵入する。一旦サイトカインが、三叉神経によって神経支配され
る組織中または組織上に分配されると、そのサイトカインは、その組織を通って
輸送され得、そして三叉神経ニューロンに沿って、CNSの領域(脳幹、小脳、
脊髄、嗅球、および皮質構造体および皮質下構造体を含む)へと移動し得る。
【0102】 三叉神経経路を通じての送達は、皮膚、粘膜、または上皮を横切って三叉神経
中、またはリンパ管中、血管の脈管周囲空間中、血管外膜中、あるいは三叉神経
とともに橋へと走りそして橋からCNSの一部(例えば、脊髄)と結合した髄膜
リンパ管へと走る血管リンパ管中への、サイトカインの移動を使用し得る。血管
リンパ管は、血管の外側にある血管の周囲にある、リンパチャネルを含む。これ
はまた、血管リンパ系とも呼ばれる。血管リンパ管へのサイトカインの導入は、
血液中へそのサイトカインを必ずしも導入するわけではない。
【0103】 (神経経路および鼻腔内投与) 1つの実施形態において、本発明の方法は、鼻腔内への投与後に、神経経路(
例えば、三叉神経経路または嗅神経経路)による送達を使用し得る。鼻腔内投与
に際して、三叉神経経路を介しての送達は、鼻粘膜および/または上皮を通って
三叉神経またはこの三叉神経とともに走る脈管周囲チャネルおよび/もしくはリ
ンパチャネルへと達する、サイトカインの移動を使用し得る。鼻腔内投与に際し
て、嗅神経経路を介しての送達は、鼻粘膜および/または上皮を通って嗅神経ま
たはこの嗅神経とともに走る脈管周囲チャネルおよび/もしくはリンパチャネル
へと達する、サイトカインの移動を使用し得る。
【0104】 例えば、サイトカインは、三叉神経中および三叉神経および/もしくは嗅神経
に沿う細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン性)の順方向輸送および逆方
向輸送を使用して、脳、脳幹、または脊髄へと到達する様式で、鼻腔へと投与さ
れ得る。一旦このサイトカインが、三叉神経および/または嗅神経により神経支
配される鼻粘膜/上皮中または鼻粘膜/上皮上に分配されると、このサイトカイ
ンは、その鼻粘膜/上皮を通じて移動し得、そして三叉神経および/または嗅神
経のニューロンに沿って、CNSの領域(脳幹、小脳、脊髄、嗅球、ならびに皮
質構造体および皮質下構造体を含む)へと移動し得る。あるいは、鼻腔への投与
は、三叉神経および/または嗅神経とともに橋、嗅球、および脳の他の領域へと
走り、そしてそれらからCNSの一部(例えば、脊髄)と結合した髄膜リンパ管
へと走る、血管の脈管周囲空間またはリンパ管へのサイトカインの送達を生じ得
る。三叉神経および/または嗅神経に沿っての輸送はまた、鼻腔へと投与された
サイトカインを、嗅球、中脳、間脳、髄質および小脳へと送達し得る。鼻腔へと
投与されたサイトカインは、脳の腹側の硬膜へと侵入し得、そしてその硬膜内の
リンパチャネル内を移動し得る。
【0105】 さらに、本発明の方法は、脈管周囲経路および/または血管リンパ管経路(例
えば、大脳の血管の外膜内を走る、リンパチャネル)を使用する様式で実行され
て、鼻粘膜および/または上皮から脊髄へのサイトカインの輸送のためのさらな
る機構を提供し得る。血管リンパ管経路により輸送されるサイトカインは、循環
に必ずしも入るわけではない。ウィリス輪と結合した血管リンパ管ならびに三叉
神経および/または嗅神経に随伴する血管もまた、サイトカインの輸送に関与し
得る。
【0106】 神経経路を使用する鼻腔への投与は、サイトカインをリンパ管系、脳幹、小脳
、脊髄、ならびに皮質構造体および皮質下構造体へと送達し得る。このサイトカ
イン単独は、CNS、脳、および/または脊髄へのこの移動を容易にし得る。あ
るいは、キャリアまたは他の移動促進因子は、三叉神経経路および/または嗅神
経中ならびに三叉神経経路および/または嗅神経沿いへのこのサイトカインの輸
送を補助し得る。治療用サイトカインの鼻腔への投与は、鼻粘膜および/または
上皮から脳および脊髄への輸送系を通じて、血液脳関門を回避し得る。
【0107】 (神経経路および経皮投与) 1つの実施形態において、本発明の方法は、経皮投与後に神経経路(例えば、
三叉神経経路)による送達を使用し得る。経皮投与の際に、三叉神経経路を介し
ての送達は、皮膚を通って三叉神経またはこの三叉神経とともに走る脈管周囲チ
ャネルおよび/もしくはリンパチャネルに到達する、サイトカインの移動を使用
し得る。
【0108】 例えば、このサイトカインは、三叉神経中および三叉神経沿いを通って脳、脳
幹、または脊髄に到達する、細胞外または細胞内(例えば、経ニューロン性)の
順方向輸送および逆方向輸送を使用する様式で、経皮投与され得る。一旦このサ
イトカインが、三叉神経によって神経支配される皮膚内またはこの皮膚上に分配
されると、このサイトカインは、この皮膚を通って移動し、そして三叉神経ニュ
ーロンに沿ってCNSの領域(脳幹、小脳、脊髄、ならびに嗅球皮質構造体およ
び皮質下構造体を含む)へと移動し得る。あるいは、経皮投与は、三叉神経とと
もに橋、嗅球および脳の他の領域へと移動しそしてそれらからCNSの一部(例
えば、脊髄)に結合した髄膜リンパ管へと通る、血管の脈管周囲空間またはリン
パ管へのサイトカインの送達を生じ得る。三叉神経に沿った輸送はまた、経皮投
与されたサイトカインを嗅球、中脳、間脳、髄質および小脳へと送達し得る。三
叉神経の篩状枝は、篩状領域に入る。経皮投与されたサイトカインは、脳の腹側
の硬膜へと侵入し得、そしてその硬膜内のリンパチャネル内を移動し得る。
【0109】 さらに、本発明の方法は血管周囲の経路および/または血管リンパ管経路(例
えば、大脳の血管の外膜内を走る、リンパチャネル)を使用する様式で実行され
て、皮膚から脊髄へのサイトカインの輸送のためのさらなる機構を提供し得る。
血管リンパ管経路により輸送されるサイトカインは、循環に必ずしも入るわけで
はない。ウィリス輪と結合した血管リンパ管ならびに三叉神経に随伴する血管も
また、サイトカインの輸送に関与し得る。
【0110】 神経経路を使用する経皮投与は、サイトカインを脳幹、小脳、脊髄、ならびに
皮質構造体および皮質下構造体へと送達し得る。このサイトカイン単独は、CN
S、脳、および/または脊髄へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリア
または他の移動促進因子は、三叉神経経路中および三叉神経経路沿いへのこのサ
イトカインの輸送を補助し得る。治療用サイトカインの経皮投与は、皮膚から脳
および脊髄への輸送系を通じて、血液脳関門を回避し得る。
【0111】 (神経経路および舌下投与) 別の実施形態において、本発明の方法は、舌下投与後に神経経路(例えば、三
叉神経経路)による送達を使用し得る。舌下投与の際に、三叉神経経路を介して
の送達は、舌の下から舌上皮を越えて三叉神経またはこの三叉神経とともに走る
脈管周囲チャネルもしくはリンパチャネルに到達する、サイトカインの移動を使
用し得る。
【0112】 例えば、このサイトカインは、口の粘膜を通じ、そして三叉神経中および三叉
神経沿いを通って脳、脳幹、または脊髄に到達する、細胞外または細胞内(例え
ば、経ニューロン性)の順方向輸送および逆方向輸送を使用する様式で、舌下投
与され得る。一旦このサイトカインが舌下投与されると、このサイトカインは、
三叉神経ニューロンの末梢突起によって口粘膜を通じてCNSの領域(脳幹、脊
髄、ならびに皮質構造体および皮質下構造体を含む)へと移動し得る。あるいは
、舌下投与は、三叉神経とともに橋および脳の他の領域へと走りそしてそれらか
らCNSの一部(例えば、脊髄)に結合した髄膜リンパ管へと走る、リンパ管へ
のサイトカインの送達を生じ得る。三叉神経に沿った輸送はまた、舌下投与され
たサイトカインを嗅球、中脳、間脳、髄質および小脳へと送達し得る。三叉神経
の篩状枝は、篩状領域に入る。舌下投与されたサイトカインは、脳の腹側の硬膜
へと侵入し得、そしてその硬膜内のリンパチャネル内を移動し得る。
【0113】 さらに、本発明の方法は、血管リンパ管経路(例えば、大脳の血管の外膜内を
通る、リンパチャネル)を使用する様式で実行されて、口の粘膜下組織から脊髄
へのサイトカインの輸送のためのさらなる機構を提供し得る。血管リンパ管経路
により輸送されるサイトカインは、循環に必ずしも入るわけではない。ウィリス
輪と結合した血管リンパ管ならびに三叉神経に随伴する血管もまた、サイトカイ
ンの輸送に関与し得る。
【0114】 神経経路を使用する舌下投与は、サイトカインを脳幹、小脳、脊髄、ならびに
皮質構造体および皮質下構造体へと送達し得る。このサイトカイン単独は、CN
S、脳、および/または脊髄へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリア
または他の移動促進因子は、三叉神経経路中および三叉神経経路沿いへのこのサ
イトカインの輸送を補助し得る。治療用サイトカインの舌下投与は、口の粘膜か
ら脳および脊髄への輸送系を通じて、血液脳関門を回避し得る。
【0115】 (神経経路および結膜投与) 別の実施形態において、本発明の方法は、結膜投与後に神経経路(例えば、三
叉神経経路)による送達を使用し得る。結膜投与の際に、三叉神経経路を介して
の送達は、結膜から結膜上皮を通じて三叉神経またはこの三叉神経とともに走る
リンパチャネルに到達する、サイトカインの移動を使用し得る。
【0116】 例えば、このサイトカインは、結膜の粘膜を通じ、そして三叉神経中および三
叉神経沿いを通って脳、脳幹、または脊髄に到達する、細胞外または細胞内(例
えば、経ニューロン性)の順方向輸送および逆方向輸送を使用する様式で、結膜
投与され得る。一旦このサイトカインが結膜投与されると、このサイトカインは
、三叉神経ニューロンの末梢突起によって結膜の粘膜を通じてCNSの領域(脳
幹、脊髄、ならびに皮質構造体および皮質下構造体を含む)へと移動し得る。あ
るいは、結膜投与は、三叉神経とともに橋および脳の他の領域へと移動しそして
それらからCNSの一部(例えば、脊髄)に結合した髄膜リンパ管へと通る、リ
ンパ管へのサイトカインの送達を生じ得る。三叉神経に沿った輸送はまた、結膜
投与されたサイトカインを嗅球、中脳、間脳、髄質および小脳へと送達し得る。
三叉神経の篩状枝は、篩状領域に入る。結膜投与されたサイトカインは、脳の腹
側の硬膜へと侵入し得、そしてその硬膜内のリンパチャネル内を移動し得る。
【0117】 さらに、本発明の方法は、血管リンパ管経路(例えば、大脳の血管の外膜内を
通る、リンパチャネル)を使用する様式で実行され得て、結膜粘膜下組織から脊
髄へのサイトカインの輸送のためのさらなる機構を提供し得る。血管リンパ管経
路により輸送されるサイトカインは、必ずしも循環に入るわけではない。ウィリ
ス輪と結合した血管リンパ管ならびに三叉神経に随伴する血管もまた、サイトカ
インの輸送に関与し得る。
【0118】 神経経路を使用する結膜投与は、サイトカインを脳幹、小脳、脊髄、および皮
質構造および皮質下構造へと送達し得る。このサイトカイン単独は、CNS、脳
、および/または脊髄へのこの移動を容易にし得る。あるいは、キャリアまたは
他の移動促進因子は、三叉神経経路中および三叉神経経路沿いへのこのサイトカ
インの輸送を補助し得る。治療的サイトカインの結膜投与は、結膜粘膜から脳お
よび脊髄への輸送系を通じて、血液脳関門を回避し得る。
【0119】 (製品および製造方法) 本発明はまた、CNS、脳、および/または脊髄への投与のためのサイトカイ
ンを提供する、製品を含む。この製品は、本方法に適切な組成物を任意のキャリ
アとともに乾燥形態または液体形態のいずれかで含む、バイアルまたは他の容器
を含み得る。この製品はさらに、その容器上のラベルの形態および/またはその
容器が包装された箱に含まれた挿入物の形態の、本発明の方法を実施するための
指示書を含む。この指示書はまた、このバイアルが包まれた箱に印刷され得る。
この指示書は、被験体または当該分野の作業者がこのサイトカインを投与するこ
とが可能となるに十分な投薬量および投与情報のような、情報を含む。当該分野
の作業者とは、医者、看護士、技術者、配偶者、またはこのサイトカインを投与
し得る他の医療提供者を含むことが、理解される。このサイトカインはまた、被
験体によって自己投与され得る。
【0120】 本発明に従って、サイトカインは、鼻内投与、結膜投与、経皮投与、および/
または舌下投与に適切なサイトカイン組成物またはサイトカイン医薬を製造する
ために使用され得る。例えば、液体組成物または固体組成物が、従来技術を使用
して、いくつかの様式で製造され得る。液体組成物は、適切なpHの適切な溶媒
(例えば、水)に、例えば、上記の溶液を形成するための緩衝液または他の賦形
剤を含んでサイトカインを溶解することによって製造され得る。
【0121】 (中枢神経系の障害) 1つの実施形態において、本発明の方法は、サイトカイン(特にIFN−β)
を、CNS、脳および/もしくは脊髄の障害または疾患の、診断、処置または予
防のために脳に送達するために使用され得る。IFN−βは、神経発育因子(N
GF)の神経膠星状細胞産生を増加し(Boutrosら(1997) Jou
rnal ofNeurochemistry 69:939−946)、そし
てIFN−βは、細胞培養におけるニューロン成長を持続させる(Pliopl
ysら(1995) Neuroimmunodulation 2:131−
135)。従って、IFN−βは、神経栄養性活性に関連し;従って、本発明の
方法を、サイトカインのCNSへの送達に使用して、CNS、脳、および/もし
くは脊髄の障害または疾患を、処置または予防し得る。
【0122】 CNS、脳、および/または脊髄の障害は、神経学的障害または精神医学的障
害、脳の疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、レヴィー小体痴呆
、多発性硬化症、癲癇、小脳性運動失調、進行性核上性麻痺、筋萎縮性側索硬化
症、情動障害、不安障害、強迫性障害、人格障害、注意欠陥障害、注意欠陥過活
動性障害、ツレット症候群、テイ−サックス病、ニーマン−ピック病、ならびに
他の脂質貯蔵および遺伝的脳疾患、および/または精神分裂病を含む。この方法
はまた、脳または脊髄の脳血管障害(例えば、発作)から、またはCNS感染(
髄膜炎およびHIVを含む)から、脳および脊髄の腫瘍から、あるいはプリオン
疾患からの、神経損傷を罹患するかまたはその危険がある、被験体において使用
され得る。この方法はまた、通常の加齢から生じるCNS障害(例えば、無嗅覚
または一般の化学的感覚の損失)、脳の損傷、または脊髄損傷を押し留めるため
にサイトカインを送達するために使用され得る。
【0123】 多発性硬化症は、CNS、脳、および/または脊髄の好ましい疾患または障害
である。末梢に存在する可能性にもかかわらず、多発性硬化症は、CNSの疾患
である。従って、多発性硬化症は、インターフェロンをCNS、脳および/また
は脊髄に送達する方法により、より効果的に標的化され得る。
【0124】 CNS、脳、および/または脊髄の別の好ましい疾患は、髄膜炎である。
【0125】 サイトカインの「有効な量」とは、上記の障害または疾患のうちのいずれかの
症状および/または潜在的原因を、予防、処置、減少および/または改善するに
十分な量である。いくつかの場合において、「有効な量」は、それらの疾患の症
状を除去し、そして多分、疾患自体を克服するに、十分である。本発明の文脈に
おいて、用語「処置する」および「治療」などは、存在する疾患を軽減すること
、その疾患の進行を遅くすること、その疾患の予防、その疾患の減弱またはその
疾患の治癒をいう。本明細書中で使用される場合、予防するとは、このようなC
NSもしくは脳の疾患または障害の発症の、延期、遅延、遅くすること、阻害、
または停止、低減または改善をいう。十分に大量のサイトカインが、その疾患を
予防または処置するためのCNS中で有効レベルの活性を提供するために、非毒
性レベルで適用されることが、好ましい。本発明の方法は、任意の哺乳動物を用
いて使用され得る。例示的な哺乳動物としては、ラット、ネコ、イヌ、ウマ、ウ
シ、ヒツジ、ブタ、そしてより好ましくはヒトが、あげられるがこれらに限定さ
れない。
【0126】 (さらなる実施形態) (免疫応答および炎症性応答の調節) 本発明により提供される、サイトカイン投与の方法により、鼻リンパ系に指向
されたサイトカインの投与が可能となる。サイトカインのリンパ管への進入に続
いて、そのサイトカインは、頭部および頚部領域のリンパ管全体に分布し得る。
従って、本発明の方法を使用して、免疫応答および炎症性応答により特徴付けら
れる障害または疾患(すなわち、リンパ球により急性または慢性の、炎症および
/または浸潤を生じる疾患)の処置または予防のために、リンパ系(例えば、深
頸節および浅頚節(deep and superficial cervic
al nodes)を含む)、および頭部および頚部の種々の組織に、サイトカ
インを送達し得る。このように、本発明は、免疫応答を調節するための方法を提
供する。調節により、免疫応答または炎症性応答(すなわち、全身免疫機能への
影響、抗原提示、サイトカイン産生および白血球のCNSへの進入)の任意のア
ップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを意図する。
【0127】 本発明の方法における特定の目的は、IFN−βの投与である。多くのインタ
ーフェロンのように、IFN−βは、報告されるところでは、多数の標的細胞に
対して免疫調節因子として作用する(Hallら(1997) J.Neuro
immunol.72:11−19)。例えば、IFN−βは、マクロファージ
に対して抗増殖作用を働かせ、「特定のサイトカインのマイトジェン刺激」を打
消し、細胞傷害性Tリンパ球の産生の増加を誘導する天然のキラー細胞活性を増
大し、そして大きな顆粒性リンパ球に作用してキラー細胞活性を増加させるよう
である。さらに、IFN−βは、B細胞の増殖およびIgM、IgG、およびI
gAの分泌を増大させる。これは、クラスI MHC発現をアップレギュレート
して、クラスI制限抗原CD8細胞の提示の増加を生じることが示された(Ha
llら(1997) J.Neuroimmunol.72:11−19)。逆
に、IFN−βは、クラスII表面発現のアップレギュレーションに対する抑制
性効果をはたらかせる。従って、IFN−βの免疫調節性活性としては、例えば
、全身免疫機能への影響、抗原提示、サイトカイン産生、および白血球のCNS
の進入が挙げられる(Yongら(1998) Neurology 51:5
82−689)。本発明の投与方法を使用する、頭部および頚部のリンパ管への
サイトカインの直接送達は、サイトカインが、免疫応答を調節する(すなわち、
慢性および急性の炎症、創傷治癒、および自己免疫応答に影響する)こと;リン
パ球による機能を調節する(損傷した組織のリンパ球浸潤を減少させる)こと;
などを可能にする。
【0128】 サイトカインの免疫調節の役割を考慮すると、本発明を使用して、サイトカイ
ン(好ましくは、IFN−β)を、免疫応答および炎症応答により特徴付けられ
る疾患または障害の処置および/または予防のために、頭部および頚部の種々の
組織に送達し得る。特に目的の障害および疾患としては、多発性硬化症(MS)
、髄膜炎、および原発性シェーグレン症候群が挙げられる。
【0129】 MSは、多数の硬化病変または硬化斑のような、CNSおよび脊髄の白質に現
れる(Prineas(1985) Demyelinating Disea
ses,Elsvevier :Amsterdam;Raine(1983)
Multiple Sclerosis,WilliamsおよびWilki
ns:Baltimore;Raineら(1988) J Neuroimm
unol.20:189−201;およびMartin(1997) J.Ne
uralTransmission(補遺) 49:53−67)。特徴的なM
Sの病変は、炎症、軸索脱髄、軸索変性の提示であり、小静脈の周りに見いださ
れる。これらの特徴は、代表的に、初期に斑の発生を生じ、そして血液脳関門(
BBB)における破壊の結果として生じるという仮説が立てられている。BBB
破壊の結果として、種々のリンパ球およびマクロファージからなる浸潤が、脳に
進入する。浸潤は、神経膠瘢痕組織の存在を増加させる一方で炎症の減少をもた
らし、そして不完全な髄鞘再形成を誘発する(Martin(1997) J.
Neural Transmission(補遺) 49:53−67)。さら
に、この見かけの免疫学的攻撃が、ミエリン鞘だけでなく、CNSミエリン産生
に必要な稀突起神経膠細胞を標的化するという仮説が立てられる。サイトカイン
は、MSの症状を効果的に減少することが公知である。例えば、インターフェロ
ン−β(IFN−β)は、MSを回復−低減するための処置として興味を集めて
きた。さらに、自己免疫疾患(例えば、MS)における有効な処置としてインタ
ーフェロン−τの使用における興味もまた高まってきた。例えば、米国特許第6
,060,450号(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0130】 IFN−βの免疫調節活性は、MSの臨床的症状に影響を及ぼす。従って、I
FN−βは、本発明の方法に従って、MSを処置するために投与され得る。本発
明は、IFN−β作用の機構には拘束されないが、MS患者において確実である
中枢神経系損傷は、遅延型過敏性応答に起因すると考えられる。これは、細胞媒
介応答である。第1に、T細胞は抗原により活性化され、そしてリンパ器官に運
ばれる(活性化)。リンパ器官は、次いで、より多くのT細胞をその部位に斬増
させ続けながら、これらのT細胞を活性化する(斬増)。活性化されたリンパ球
は、増殖し、そして循環に戻る(展開(expansion))。一旦循環に戻
ると、活性化されたリンパ球は、血流を通って移動し、内皮細胞を横切り、毛細
管を被覆する(lining)(移動)。これらの移動するリンパ球よびマクロ
ファージは、炎症の領域を標的化し、そしてこの領域に誘引される(誘引)。こ
の誘引の結果として、他のリンパ球は、炎症の領域にとどまり、そして組織は破
壊される(組織破壊)。引き続いて、急性応答は、抑制され(組織破壊により)
、そして炎症領域の修復(これは、MSにおいて制限される)が開始する(修復
)(Kelley(1996) J.of Neuroscience Nur
sing 28:114−120)。従って、血液からの活性化されたリンパ球
の移動は、免疫応答を開始し、それにより活性化されたリンパ球のBBB浸透を
可能にする。
【0131】 証拠は、IFN−βの免疫調節性活性が、遅延型過敏応答の展開段階を阻害す
ることによりIFN−γアップレギュレーションを阻害し、それによりMSの臨
床的症状に影響を及ぼすということを示唆する。詳細には、ミエリン損傷の減少
は、以下の2つの仮説を立てられたIFN−β作用の機構の結果として起こるよ
うである:(1)IFN−γ誘導マクロファージ活性化の阻害および(2)単球
TNF放出の阻害(Kelly(1996) J.Neuroscience
Nursing 28:114−120)。これらの仮説により解釈されるIF
N−β作用の潜在的な部位は、全身免疫機能、抗原提示、サイトカイン産生、お
よび白血球のCNSへの進入に関与する(Yongら(1998) Neuro
logy 51:682−689)。これらの部位の各々は、MSのヒト実験よ
び動物実験において詳しく調べられた。
【0132】 本発明の投与方法を使用してMSを処置するためのサイトカインの「有効量」
は、MSの臨床的症状を減少または低減するのに十分である。例えば、実験的ア
レルギー脳脊髄炎(EAE)は、MSの動物モデルとして一般的に使用される。
本発明の方法により送達される治療的有効量のサイトカインは、実験動物(すな
わち、ラットまたはマウス)におけるEAEの臨床的症状を改善するような量で
ある。ラットにおけるEAEは、0〜4のスケールでスコア付けされる:0、臨
床的に正常;1、弛緩性尾麻痺;2、後肢脆弱;3、後肢麻痺;4、前肢および
後肢罹患。本発明の方法により送達されるサイトカインの有効量は、コントロー
ル群と比較して、疾患の症状の開始後数日間にわたって、平均積算スコアが少な
くとも30%、40%、50%またはそれ以上減少する場合に、有効である。
【0133】 さらに、MSの有効な処置は、いくつかの代替の方法(EDSS(拡張した障
害状態スケール(extended disability status s
cale))、増悪の顕在化、またはMRIを含む)で調べられ得る。以下の基
準のいずれかを満足することは、有効な処置の証拠となる。
【0134】 EDSSは、MSに起因する臨床的障害を等級付けるための手段である(Ku
rtzke(1983)Neurology 33:1444)。8種の機能的
系を、神経学的障害の型および重篤度について評価する。簡単には、処置の前に
、以下の系における障害を評価する:錐体、小脳、脳幹、感覚、腸および膀胱、
視覚、大脳、ならびにその他。規定された間隔で追跡調査を行う。スケールは、
0(正常)〜10(MSに起因する死)の範囲である。1つの全段階の減少が、
本発明の状況における有効な処置を規定する(Kurtzke(1994)An
n.Neurol.36:573−79)。
【0135】 増悪は、MSに起因し、かつ適切な新しい神経学的異常を伴う新しい症状の出
現として規定される(IFN−β MS研究グループ,前出)。さらに、増悪は
、少なくとも24時間続き、かつ少なくとも30日間の安定性または改善の後で
なければならない。標準的な神経学的試験は、神経学的評価スケール(Neur
ological Rating Scale)(Sipeら(1984)Ne
urology 34:1368)の変化に従って、穏やか、中間、または重篤
のいずれかとして増悪を分類する。増悪のない患者の年間増悪率または割合を、
決定する。治療は、これらの測定のいずれかについて処置されたグループとプラ
シーボグループとの間で、増悪のない患者の比率または割合における統計学的に
有意な差異が存在する場合に、有効であると評価される。さらに、最初の増悪ま
での時間および増悪期間ならびに重篤度もまた測定され得る。この点における治
療としての有効性の尺度は、コントロールグループに比較した場合の処置された
グループにおける最初の増悪までの時間または期間および重篤度の統計的に有意
な差異である。
【0136】 MRIは、ガドリニウム−DTPA増強画像化(McDonaldら(199
4)Ann.Neurol.36:14)を使用する活性病変の測定またはT 加重技術を使用する病変の位置および程度の測定をするために使用され得る。簡
単には、ベースラインMRIが得られる。同じ画像化面および患者位置を、各そ
の後の研究に使用する。病変の領域の輪郭が描かれ、そして全病変領域について
のスライスを重ねる。3種の分析が行われ得る:新しい病変の証拠、活性病変の
出現速度、および病変面積における割合変化(Patyら(1993)Neur
ology 43:665)。治療に起因する改善は、ベースラインに比較して
、またはプラシーボグループに対して処置されたグループにおいて、個々の患者
における統計学的に有意な改善が存在する場合に確立される。
【0137】 さらなる化合物が、治療効果を生じるためにサイトカインと共に投与され得る
ということがさらに認識される。例えば、IGF−1は、成熟希突起膠細胞の欠
乏の予防ならびにMSにおける脱髄および他の脱髄障害からの回復の促進に関与
してきた。例えば、Masonら(2000)J.Neuroscience
20:5703−5708(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと
。従って、IFN−βは、MSの処置のためにIGF−1と組合わせて投与され
得る。これらの化合物は、本発明の方法により投与され得る。あるいは、これら
の化合物の1つは、当該分野で公知の任意の方法(例えば、皮下経路および筋内
経路を含む)により投与され得る。
【0138】 本発明の方法に従って使用されるIGF−1は、その実質的に精製された形態
、そのネイティブな形態、その組換え生成された形態、またはその化学合成され
た形態にあり得る。例えば、IGF−1は、公知の方法により、血液から直接(
血清または血漿からのように)単離され得る(Phillips(1980)N
ew Eng.J.Med.302:371−380;Svobodaら(19
80)Biochemistry 19:790−797;Cornell a
ndBoughdady(1982)Prep.Biochem.12:57;
CornellおよびBoughdady(1984)Prep.Bioche
m.14:123;欧州特許第EP 123,228号;および米国特許第4,
769,361号を参照のこと)。IGF−1はまた、酵母株Pichia p
astorisで組換え的に産生され得、そして米国特許第5,324,639
号、同第5,324,660号および同第5,650,496号ならびに国際特
許公開番号WO 96/40776(これらは全て本明細書中に参考として援用
される)に記載されるように、実質的に精製され得る。
【0139】 あるいは、IGF−1は、ペプチド分野の当業者に公知であるいくつかの技術
のいずれかにより、化学合成され得る。例えば、Liら(1983)Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 80:2216−2220,Stewa
rtおよびYoung(1984)SolidPhase Peptide S
ynthesis(Pierce Chemical Company,Roc
kford,Illinois),ならびにペプチド合成技術については、Ba
ranyおよびMerrifield(1980)The Peptides:
Analysis,Synthesis,Biology,GrossおよびM
eienhofer編,第2巻(Academic Press,New Yo
rk,1980),3−254頁;ならびにBodansky(1984)Pr
inciples of Peptide Synthesis(Spring
er−Verlag,Berlin);ならびに古典的溶液合成については、G
rossおよびMeienhofer編(1980)The Peptides
:Analysis,Synthesis,Biology,第1巻(Aca
demic Press,New York)を参照のこと。IGF−1はまた
、同時多重ペプチド合成の方法により、化学的に調製され得る。例えば、Hou
ghten(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82
:5131−5135;および米国特許第4,631,211号を参照のこと。
これらの参考文献は、本明細書中で参考として援用される。さらに、高度に濃縮
された、低い塩含有量の、IGF−1の生物学的に活性な形態またはその改変体
を調製する方法は、Novel IGF−1 Compositions an
d Its Use(新規なIGF−1組成物およびその使用)と題するWO
99/24062に提供される。
【0140】 IGF−1フラグメント、アナログ、および誘導体を作製するための方法は、
当該分野で利用可能である。一般的には米国特許第4,738,921号、同第
5158,875号、および同第5,077,276号;国際公開番号WO 8
5/00831,WO 92/04363,WO 87/01038,およびW
O 89/05822;ならびに欧州特許第EP 135094号、同第EP
123228号および同第EP 128733号(本明細書中に参考として援用
される)を参照のこと。
【0141】 さらに、いくつかのIGF−1改変体は、当該分野で公知であり、そして例え
ば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83(1986):49
04−4907;Biochem.Biophys.Res.Commun.1
49(1987):398−404;J.Biol.Chem.263(198
8):6233−6239;Biochem.Biophys.Res.Com
mun.165(1989):766−771;Forsbertら(1990
)Biochem.J.271:357−363;米国特許第4,876,24
2号および同第5,077,276号;ならびに国際特許公開番号WO 87/
01038およびWO 89/05822に記載される改変体を含む。代表的な
改変体としては、成熟分子のGlu−3欠失を有する改変体、5個までのアミノ
酸をN末端から短縮された改変体、最初の3つのN末端のアミノ酸の短縮を有す
る改変体(des(1−3)−IGF−l、des−IGF−1、tIGF−1
、または脳IGFといわれる)、およびヒトIGF−1の最初の16個のアミノ
酸の代わりに、ヒトインスリンのB鎖の最初の17個のアミノ酸を含む改変体が
挙げられる。
【0142】 髄膜炎とは、クモ膜下空隙内の軟膜およびCSFの炎症性プロセスをいう。髄
膜脳炎は、髄膜および脳実質の炎症に適用される。髄膜炎は、通常、感染により
引き起こされるが、化学的髄膜炎もまたクモ膜下空隙中に導入される非細菌性刺
激物に応じて起こり得る。癌腫によるクモ膜下空隙の浸潤は、髄膜癌腫症といわ
れ、そしてリンパ腫による浸潤は、化膿性リンパ腫(lymphomapyog
enic)(通常、細菌性)、無菌性(通常、ウイルス性)、および慢性(大部
分任意の感染性因子)といわれる。
【0143】 ウイルス性および細菌性の髄膜炎において起きる中枢神経系の損傷が、病原体
自体または病原体により産生される任意の毒素に対してではなく、むしろ髄膜炎
病原体に応じた宿主自身のリンパ球による脳の表面の侵襲により関連し得るとい
うことが示唆されてきた(Lewis(1979)The Medusaおよび
The Snail,Penguin Books)。実際、多くの患者は、現
在の積極的な処置(例えば、第3世代セファロスポリン)を使用する脳脊髄液の
適切な滅菌にもかかわらず、この疾患の犠牲となる。この予期しない結果は、宿
主細胞/組織と溶菌素生成抗体を用いる処置により放出される細菌成分との間の
有害な相互作用から生じ得る(Scandら(1991)J.Infect.,
Dis.Supp.74:173−179)。細菌から遊離されるペプチドグリ
カン、莢膜多糖類、およびリポ多糖のバーストは、中枢神経系における多くのメ
ディエーター(TNFを含む)の産生を誘導し、クモ膜下空隙における髄膜炎症
および血管周囲炎症をもたらす。血液脳関門の崩壊は、大脳浮腫をもたらし、結
果として、虚血、および頭蓋内圧の劇的増加が起きる。この疾患の急性期を生き
延びると、しばしば複数の神経学的後遺症が残される。抗生物質投与の前かまた
は抗生物質投与と同時のいずれかのステロイドベースの抗炎症薬を利用する試験
からの以前の結果は、このようなアプローチが価値を有し得るということを示唆
する。例えば、Mustafaら(1990)Amer.J.Diseases
of Children 144:883−887を参照のこと。従って、本
発明の方法を使用するサイトカイン(特にインターフェロン−β)の投与は、活
性化リンパ球による損傷を予防する際に有効であり得る。本発明の方法は、脳損
傷の予防を補助するための髄膜炎の既存の処置と組合わせて使用され得る。この
ような処置は、Harrison’s Principles ofInter
nal Medicine(McGraw Hill,1994),2296−
2309頁(本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0144】 本発明の投与方法を使用する、髄膜炎を処置するためのサイトカインの「有効
量」は、髄膜炎の臨床的症状を減少するかまたは低減するのに十分である。好ま
しい実施形態において、サイトカインは、抗生レジメンと組合わせて投与される
。このように、有効量のサイトカインは、抗生物質の活性を増大し、抗生物質単
独で処置された動物と比較して、増強された生存率および/または動物の改善さ
れた臨床的状態をもたらす。このような臨床的徴候としては、例えば、以下が挙
げられる:1)コントロールと比較して、より急速なCNS炎症性指標の正常化
;2)コントロールと比較してより急速な発熱の消失;3)全体の神経学的後遺
症の減少;および/または4)コントロールと比較して改善された死亡率。サイ
トカインの効果的濃度の投与の際に改善され得る、髄膜炎の臨床的顕徴候に関す
るより広範囲の詳細は、Harrison’s Principles of
Internal Medicine(McGraw Hill,1994),
2296−2309頁(本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。
【0145】 原発性シェーグレン症候群(眼乾燥症候群としても公知)は、眼を潤滑する涙
液膜の水層を作る涙腺の減少した分泌により特徴付けられる。シェーグレン症候
群に罹患した多くの患者はまた、唾液腺の減少した分泌に起因する口乾燥もまた
経験する。これは、リンパ球による涙腺および唾液腺の、慢性の炎症および浸潤
により特徴付けられる自己免疫疾患である。涙腺を浸潤するCD4型の活性化
T細胞は、組織破壊を媒介する(Tabbaraら(1999)Euro.J.
Ophthalomol.9:1−7)。最近、口腔粘膜経路により投与された
nHu−IFN−αが、排出を刺激することが示されている(Shipら(19
99)J.Interferon Ctokine Res.19:480−4
88)。
【0146】 従って、本発明は、サイトカイン(詳細には、IFN−αおよびIFN−β)
を投与し、その結果、これらの化合物が、鼻のリンパ系に直接侵入する方法を提
供する。次いで、インターフェロンは、頭部領域および頚部領域のリンパ系に分
配され、涙腺および唾液腺に影響するリンパ球の機能を変化させる。三叉神経ま
たは嗅神経を介するサイトカインの送達は、涙腺に対するサイトカインの直接送
達を生じ得ることがさらに認識される。頭部領域および頚部領域のリンパ系、ま
たは涙腺へのインターフェロンの直接送達は、涙腺および唾液腺のリンパ球浸潤
を減少させ、そしてシェーグレン症候群を処置する。
【0147】 本発明の投与方法を用いるシェーグレン症候群を処置するサイトカインの「有
効量」は、シェーグレン症候群の臨床症状を減少または軽減するのに十分な量で
ある。例えば、サイトカインの有効量は、未処置の患者と比較して、シェーグレ
ン症候群に罹患した患者の改善された臨床状態を誘導する。例えば、シェーグレ
ン症候群の経口症状の改善された臨床状態としては、例えば、口の湿潤の全体的
増加、乾燥食物を飲み込む能力の改善、連続して話す能力の改善など、が挙げら
れる。さらに、有効濃度は、例えば、以下を含むシェーグレン症候群の眼症状の
任意の改善を包含する:眼の湿潤の増加(すなわち、眼瞼の下のザラザラ感(s
andy or gritty feeling)の軽減)、流涙の増加、およ
び灼熱感、充血(redness)、痒み、および眼の疲労の減少。改善はまた
、涙腺機能の改善(すなわち、涙腺へのリンパ球浸潤の減少)を包含する。シェ
ーグレン症候群の臨床症状のより広範な記載は、Harrison’s Pri
nciples of Internal Medicine(MacGraw
Hill,1994)1662−1664頁(本明細書中で参考として援用さ
れる)に見出され得る。
【0148】 (ウイルス感染の処置) 別の実施形態では、本方法は、ウイルス感染から生じる障害または疾患の処置
、診断、または予防のために、リンパ系、CNS、脳、および/または脊髄へサ
イトカイン剤および/または抗ウイルス剤の送達するために用いられ得る。
【0149】 本明細書中で用いられる場合、「ウイルス感染を処置または予防する」とは、
ウイルス伝播を阻害するか、またはウイルスが、その宿主のCNS、脳、もしく
は脊髄において樹立するのを防ぐことか、またはウイルス感染により引き起こさ
れる疾患の症状を改善または緩和することを意味する。処置は、CNS、脳、も
しくは脊髄におけるウイルス負荷の減少、致死率の低下、および/または疾病率
の低下が存在する場合に、治療と見なされる。具体的な目的は、ウイルス性肝炎
の処置または予防のための本発明の方法による、サイトカイン(詳細には、IF
N−αまたはIFN−β)の投与である。
【0150】 ウイルス性肝炎は、肝臓に対する特定の親和性を有するウイルスの群により引
き起こされる肝臓の感染のことをいい、そして、これらのウイルスとしては、A
型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、お
よびE型肝炎ウイルスが挙げられる。具体的な目的は、C型肝炎の処置のための
本発明の使用である。
【0151】 C型肝炎ウイルスによる急性感染は、症例の約90%において、持続性のウイ
ルス複製および慢性肝炎への進行を生じる。慢性C型肝炎感染は、一般に、IF
N−αおよびIFN−βを用いて処理される間、患者の50%未満は、処置(す
なわち、C型肝炎ウイルスの根絶)後の寛解を持続している。例えば、Barb
aroら(1990)Scand.J.Gastroenterol.9:92
8−933;Oketaniら(1999)J.Clin.Gastroent
erol.28:49−51;およびKakizakiら(1999)J.Vi
ral Hepatitis6:315−319(これらの全ては、本明細書中
で参考として援用される)を参照のこと。同様に、IFN治療はまた、慢性B型
肝炎についての有効な処理であることが実証されているが、しかし、患者の25
〜40%のみが、現在のインターフェロン治療に対して長期間有益な応答を得る
。ウイルス性肝炎についての併用治療がまた開発されている。これは、IFN治
療と抗ウイルス剤(例えば、リバビリン)とを組み合わせる。これらのIFN/
抗ウイルス治療は、通常、全身に(すなわち、静脈内)行われ、従って、治療剤
は、血液脳関門を通過することができない。従って、肝炎ウイルスは、治療剤が
浸透できない中枢神経系に潜伏し得る。処置後のウイルス性肝炎症状の再感染お
よび再発は、頻繁に生じる。さらに、CNSのウイルス性肝炎感染は、重篤な神
経学的結果を有し得る。例えば、Bolayら(1996)Clin.Neur
ol.Neurosurg.98:305−308(本明細書中で参考として援
用される)を参照のこと。従って、処置の新規の方法は、ウイルス性肝炎の処置
に必要である。本発明の方法を用いて、サイトカインおよび/または抗ウイルス
剤、またはこれらの任意の組合せを、ウイルス性肝炎の処置または予防のために
、リンパ系、CNS、脳および/または脊髄に投与し得る。本発明の方法を、ウ
イルス性肝炎の既存の処置と組み合わせて用いて、肝炎の臨床症状を減少を補助
し得る。
【0152】 本明細書中で用いられる場合、本発明の投与法に用いるウイルス性肝炎の処置
のためのサイトカイン剤または抗ウイルス剤の「有効量」とは、肝炎の臨床症状
を減少または軽減するのに十分な量である。例えば、本発明の方法により投与さ
れるサイトカインまたは抗ウイルス剤の有効量は、ウイルス性肝炎の処置のため
に当該分野で用いられる、全身投与される抗ウイルス/免疫調節化合物の活性を
増大させる。例えば、本発明の方法は、全身投与方法単独で処置した動物と比較
して、処置した動物の生存を増加し、そして/または臨床状態を改善する。臨床
状態の改善としては、例えば、急性ウイルス性肝炎の慢性化への進行の防止、慢
性肝炎におけるウイルス負荷の減少、および/またはウイルス性肝炎症状の再感
染および再発の防止もしくは頻度の低下、および/またはウイルス感染を生じる
神経損傷の防止もしくは減少が挙げられる。
【0153】 特定の目的のウイルス剤およびサイトカインとしては、例えば、リバビリン、
サイモシン、およびサイトカイン(例えば、IFN−αおよびIFN−β)が挙
げられる。例えば、Muschら(1998)Hepato−Gastroen
terology45:2282−2294;Barbaroら(1990)S
cand.J.Gasroenterol.9(34)928−933;Oke
taniら(1999)J.Clin.Gasroenterol.28:49
−51;Kakizakiら(1999)J.Viral Hepatitis
6:315−319;米国特許第6,030,785号;同第5,676,9
42号および同第6,001,799号(これらの全てが本明細書中で参考とし
て援用される)を参照のこと。
【0154】 ウイルス肝炎の経過および本発明の方法により投与される処置に対するその応
答が、当該分野で一般的に実施される臨床試験および実験室結果により追跡され
得る。例えば、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパ
ルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇が、非制御型C肝炎におい
て生じることが公知である。処置に対する完全応答は、一般に、これらの血清酵
素(特に、ALT)の正常化として規定される(Davisら(1989)Ne
w England J.Med.321:1501〜6)。あるいは、本発明
の抗ウイルス/免疫調節処置に応答した被験体におけるC型肝炎ウイルス複製が
、血清サンプル中のC型肝炎ウイルスRNAを、例えば、HCVゲノムのNS3
非構造遺伝子領域およびNS4非構造遺伝子領域に由来する2組のプライマーを
使用するネステッド(nested)ポリメラーゼ連鎖反応アッセイによって測
定することによって、追跡され得る(Farciら(1991)New Eng
land J.Med.325:98〜104;Ulrichら(1990)J
.Clin.Invest.86:1609〜14)。
【0155】 別の実施形態において、本発明の方法は、単純ヘルペスウイルス感染を処置ま
たは予防するために使用され得る。単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびH
SV−2)は、粘膜皮膚表面、中枢神経系、そして時折内臓器官を含む、種々の
感染を生じる。例えば、末梢部位(例えば、角膜)における急性ウイルス複製の
後に、神経末端へのウイルス侵入が生じる。角膜感染の後に、軸索内輸送が生じ
、これは、そのウイルスを三叉神経節に運び、この三叉神経節でさらに、感染ウ
イルスの除去および潜伏の確立の前に複製が生じ得る。このウイルスの除去が失
敗すると、中枢神経感染、脳炎、および死をもたらし得る。潜伏は、特定の刺激
に応答して周期的に途切れて、ウイルスの再活性化および脱殻(sheddin
g)をもたらし得る。本発明は、三叉神経節および/または中枢神経系にサイト
カインを(例えば、三叉神経または嗅神経を介して)投与し、それにより単純ヘ
ルペスウイルス感染の処置および/または予防を可能にする方法を提供する。
【0156】 急性単純ヘルペスウイルス感染に対する免疫応答は、先天免疫および獲得免疫
の両方を含む。ウイルス感染に対する先天的耐性の重要なメディエーターとして
は、サイトカイン、特に、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β
、およびIFN−γ)が挙げられる。例えば、IFN−αは、極初期単純ヘルペ
スウイルス遺伝子発現の開始を阻害することが示されている(Obermanら
(1988)J.Gen,Virol.69:1167〜1177)。さらに、
マウスにおいて、IFN−αおよびIFN−βは、角膜における複製の強力なイ
ンヒビターである。特に、研究によって、マウスにおける角膜接種後に、眼およ
び三叉神経節の両方における単純ウイルスヘルペス力価が、野生型コントロール
マウスと比較してマウス変異体において、IFN−αまたはIFN−βについて
1000倍まで増加されたことが示された(Leibら(1999)J.Exp
.Med.189:663〜672(本明細書により参考として援用される))
。同じ研究はさらに、IFNが、増殖性ウイルス感染を有意に減少させ、そして
インタクトな角膜からのウイルスの拡散を減少させることを示した。関連する研
究もまた、Minagawaら(1997)Antiviral Res.36
.99〜105により実施された。
【0157】 さらに、IFN−αおよびIFN−βは、ナチュラルキラー細胞のような宿主
防御を活性化し、これら自体が単純ヘルペスウイルスの感染および病状を制御す
る際に重要であることが示されている(Bouleyら(1996)Clin.
Immunol.Immunopathol.80:23〜30)。IFN−α
およびIFN−βはまた、末梢組織から神経系への感染の進行を制限するために
重要であることも示されている(Halfordら(1997)Virolog
y 236:328〜337)。さらに、IFN−γは、角膜からの単純ヘルペ
スウイルスの除去において、そして脳炎に対する耐性において、おそらくニュー
ロンのアポトーシスを阻害することによって重要な役割を果すようである(Bo
uleyら(1995)J.Immunol.155:3964〜3971、G
eigerら(1997)Virology 238:189〜197、および
Imanishiら(2000)J.Biochem.127:525〜530
)。従って、インターフェロン(特に、IFN−α、IFN−β、およびIFN
−γ)は、角膜、三叉神経節および神経系における単純ヘルペスウイルス複製を
制限する際に主要な役割を果す。
【0158】 本発明の投与を方法を使用する単純ヘルペスウイルスの処置のためのサイトカ
インの「有効量」は、単純ヘルペスウイルスの臨床症状を減少または減弱するに
十分である。このように、本発明の方法により投与されるサイトカインの有効量
は、ウイルスの活性を減弱し、それにより非処置コントロールと比較して処置し
た動物の生存状態を増強しそして/または処置した動物の臨床状態を改善する。
臨床状態の改善は、例えば、脳炎および/もしくは中枢神経系におけるアポトー
シスの予防または減少(すなわち、神経防御の増加)、感染の重篤度の減少(す
なわち、角膜、三叉神経節、および中枢神経系からのウイルス除去の増強)、ウ
イルス拡散の減少、潜伏の維持の増加、ならびに/あるいは単純ヘルペス再発頻
度の減少を包含する。有効濃度のサイトカインの投与の際に改善され得る単純ヘ
ルペスの臨床発現に関するより広範な詳細は、Harrison’s Prin
ciples of Internal Medicine(McGraw H
ill、1994)、p782〜787(本明細書中で参考として援用される)
において見出され得る。
【0159】 別の実施形態において、本発明の方法は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の
処置のために使用され得る。HIVは、ほとんどの感染被験体における免疫系の
進行性衰退により特徴付けられる、免疫系の感染性疾患である。疾患の進行の間
に、免疫系に関係する重要な細胞(例えば、CD4T細胞、マクロファージ/
単球、およびグリア細胞を含む)が、HIVに感染する。長期のHIV感染は、
頻繁に、AIDSの発症を生じる。この疾患の後期段階において、免疫系が、C
D4T細胞の損失または機能不全に起因して、重篤に減弱している(Shea
rerら(1991)AIDS 5:245〜253)。神経系もまた、HIV
感染の主要な標的である。このウイルスは、感染した単球によって脳へと運ばれ
、そしてHIV感染の神経学的発現が、ウイルス産物と感染したマクロファージ
/小グリア細胞により生じる可溶性因子とから生じると考えられる。従って、こ
のHIVウイルスは、治療剤が浸透し得ない中枢神経系に存在し得る。処置後に
、再感染および再発してHIV症状が、頻繁に生じる。従って、本発明は、サイ
トカイン(特に、IFN−α、IFN−βおよびIFN−γのようなインターフ
ェロン)を、HIV感染の処置または予防のために、中枢神経系またはリンパ系
に投与する方法を提供する。
【0160】 インターフェロンは、多面性(pleiotropic)抗レトロウイルス活
性を発揮し、そしてHIV感染周期の多くの異なる段階に影響することが公知で
ある。例えば、IFN−βは、HIV粒子の取り込みに影響し(Vieilla
rdら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2
689〜2693);ウイルスゲノムRNAからプロウイルスDNAへの逆転写
に影響し(Baca−Regenら(1994)J.Virol.68:755
9〜7565;Kornbluthら(1990)Clin.Immunol.
Immunopathol.54:200〜219およびShiraziら(1
993)Virology 193:303〜312);ウイルスタンパク質合
成に影響し(Cocciaら(1994)J.Biol.Chem.269:2
3087〜23094);そしてウイルス粒子のパッケージングおよび放出に影
響する(Poliら(1989)Science 244:575〜577)。
さらに、IFN−βで処置した細胞から放出されたビリオンは、非処置細胞から
放出された同数のビリオンよりも1,000分の1までの感染性である(Han
senら(1992)J.Virol.66:7543〜7548)。さらに、
最近の研究は、低量のIFN−βを構成的に生成する遺伝子操作されたヒトCD
T細胞が、持続性の複製性HIV感染を支持するマウス動物モデルを使用し
て、HIVをインビボで根絶し得ることを示した。これらの結果は、CD4
細胞のIFN−β伝達に基づく治療戦略が、既存のHIV感染を制御しそして免
疫修復を可能にする際に奏効し得ることを示した。例えば、Vieillard
ら(1999)J.Virol.73:10281〜10288(本明細書中で
参考として援用される)を参照のこと。IFN−γもまた、HIVに対するマク
ロファージの感受性を調節することが示された(Zaitsevaら(2000
)Blood 96:3109〜3117)。 . 本発明の方法によるHIVの処置のためのサイトカインの投与は、当該分野
で公知の任意の他のHIV処置または治療と組み合わせて用いられ得る。HIV
感染の処置に用いられる治療として、例えば、逆転写酵素インヒビター、ウイル
スプロテアーゼインヒビター、およびウイルス侵入インヒビターのような抗レト
ロウイルス薬が挙げられる(Caliendoら(1994)Clin.Inf
ect.Dis.18:516−524)。さらに近年、これらの薬剤と組み合
わせた処置(高活性抗レトロウイルス療法(HAART)として公知である)を
用いてHIVの複製を効率的に抑制した(Culickら(1997)N.En
g.J.Med.337:734−9およびHammerら(1997)N.E
ng.J.Med.337:725−733)。
【0161】 本発明の投与方法を用いるHIV処置のためのサイトカインの「有効量」は、
HIVの臨床的な症状を縮小または減少するのに十分な量である。このように、
本発明の方法により投与される有効量のサイトカインは、ウイルスの活性を緩和
し(すなわち、直接的な抗ウイルス効果を有し)、そして/またはHIVにより
誘導された免疫学的な機能障害を改善する(すなわち、HIV感染患者の、活性
な複製するHIVに対する細胞免疫性防御を効果的に惹起する能力を増強する)
。作用機構に関わらず、有効量のサイトカインは生存性を増強し、そして/また
は未処置のコントロールと比較して、処置された動物の臨床状態を改善する。臨
床状態の改善として、例えば、既存のHIV感染の減少および/または疾患の進
行する速度の減少;増強されたCD4T細胞の生存性;HIVにより引き起こ
されるサイトカインの機能不全の抑制(すなわち、増強されたTh1様サイトカ
インの発現);ウイルス複製の阻害;ならびに抗原選択リンパ球(さらに特にウ
イルス負荷の増加に対する応答の際のHIV抗原特異的CD8サブセットのT
細胞)の増殖拡大の改善が挙げられる。これらの種々の改善を測定するためのア
ッセイは、当該分野で公知である。例えば、Vieillardら(1999)
J.Viol.73:10281−10288、Vieillardら(199
7)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:11595−11
600;米国特許第5,911,990号および同第5,681,831号を参
照のこと(これらのすべては本明細書中で参考として援用される)。サイトカイ
ンの有効濃度の投与で改善され得るHIVの臨床的な症状に関するさらなる広範
な詳細は、Harrison’s Principles of Intern
al Medicine(McGraw Hill、1994)1559〜16
17頁(本明細書中で参考として援用される)に見出され得る。
【0162】 (CNSの増殖障害の処置) 別の実施形態において、本発明の方法を用いて、増殖性障害または疾患を処置
、診断または予防するためにリンパ系、CNS、脳および/または脊髄にサイト
カインを送達し得る。
【0163】 サイトカインは抗増殖活性を有する。例えば、インターフェロンは、腫瘍細胞
に対する直接的な細胞傷害性効果およびナチュラルキラー細胞、マクロファージ
、または他の免疫細胞の活性化を介する間接的な細胞傷害性効果の両方を有する
ことが示された。詳細には、IFN−γが媒介する抗腫瘍活性は、免疫系のBお
よびT細胞成分の相互作用ならびに腫瘍脈管形成の阻害を調節することにより引
き起こされることが研究により示された(Salehら(2000)Gene
Ther 7:1715−24)。IFN−αはまた、処置された哺乳動物の平
均腫瘍サイズの有意な減少および平均生存時間の有意な増加を示した(Wang
ら(1999)J.Neuropathol.Exp.Neurol.58:8
47−58)。ヌードマウスにおけるヒトIFN−β遺伝子を含有するリポソー
ムの腫瘍内注入は、腫瘍の増殖を阻害し、この遺伝子の複数回の腫瘍内注入後に
腫瘍は完全に後退する。さらにIFN−βは、高度の星状膠細胞腫の有効な処置
であることが実証された(Natsumeら(1999)Gene Ther.
9:1626−33およびFineら(1997)Clin.Cancer R
es 3:381−7)。IFN−βの抗増殖効果は、S期を通じての秩序だて
られた進行の停止または細胞周期のG2/M期への移行を減少させることを通じ
て起こるようである(Garrisonら(1996)J.Neuroonco
l.30:213−23)。したがって、インターフェロン(特に、IFN−α
、IFN−β、およびINF−γ)は、CNS、脊髄、脳、およびリンパ系の増
殖障害の処置または予防のための有効な薬剤である。
【0164】 「増殖障害」は、正常な組織のホメオスタシス機構に反して起こる細胞分裂に
より特徴付けられる任意の障害を意図される。増殖障害は、悪性であるか良性で
あるかのいずれかであり得、そして細胞増殖率の増大または細胞死滅率の減少の
いずれかより起こり得る。本発明の方法により処置される増殖障害は、発達のい
ずれの段階でもあり得る(すなわち、最小または微小な腫瘍の苦しみを伴う初期
段階または発達した腫瘍の進行した段階)。
【0165】 中枢神経系、脳または脊髄の増殖障害として、例えば、神経膠腫、神経腫瘍、
不完全分化の新生物、および髄膜腫が挙げられる。グリア細胞由来の神経膠腫と
して、星状膠細胞腫(すなわち、原繊維星状膠細胞腫、多形膠芽細胞腫、飲細胞
星状膠細胞腫(pilocytic astrocytoma)、複数単形性星
状膠細胞腫、および脳幹神経膠腫)、オリゴデンドログリオーム、および上衣芽
細胞腫ならびに脳室周囲全体の障害(paraventricular mas
s lesions)(すなわち、粘液乳頭型脳室上衣腫、上衣下腫、脈絡叢乳
頭腫)が挙げられる。神経腫瘍は、病変の全細胞集団を構成し得る外見上成熟し
た(mature−appearing)ニューロン(ガングリオン細胞)を含
むCNS腫瘍を含む。あるいは、病変はグリア新生物との混合物である。不完全
分化の新生物として、例えば、髄芽細胞腫が挙げられる。CNS、脳、または脊
髄の他の増殖障害として、原発性脳リンパ腫、髄膜腫、および転移性腫瘍が挙げ
られる。
【0166】 本発明の方法を通じた増殖障害処置のためのサイトカインの投与は、当該分野
で公知の増殖障害処置のための他の任意の処置または治療と組み合わせて用いら
れ得ることが認識されている。増殖障害の処置で用いられる治療として、例えば
、任意の形態の放射線処置および化学療法処置が挙げられる。例えば、Hata
noら(2000)Acta Neurochir 142:633−8、Bu
rtonら(1999)Curr.Opin.Oncol.11:157−61
、およびBrandesら(2000)Anticancer Res 20:
1913−20を参照のこと(これらの全ては本明細書中で参考として援用され
る)。
【0167】 本発明の投与方法を用いる増殖性の疾患または障害の処置についてのサイトカ
インの「有効量」は、増殖性障害の形態学的および/または臨床的な症状を縮小
または減少するのに十分である。それ自体では、本発明の方法によって投与され
るサイトカインの有効量は、腫瘍細胞の増殖を減少する任意の生理学的応答を発
揮し、そしてこれによって、非処置のコントロールと比較して、処置された動物
の生存を増加し、そして/または臨床状態を改善する。このような生理学的な応
答としては、例えば、免疫細胞の活性化、細胞増殖の阻害、細胞の分化の誘導、
クラスI主要組織適合性複合抗原の上方制御、新管脈形成の阻害、およびTヘル
パー1(Thl)型応答の樹立が挙げられる。臨床状態の改善としては、例えば
、処置された動物の生存率の増加(すなわち、1年または2年のいずれかの生存
率の増加)、および腫瘍のサイズにおける減少が挙げられる。種々の改善を測定
するためのアッセイは当該分野で公知である。例えば、Hongら(2000)
Clin.Cancer Res.6:3354−60);Knupferら(
2000)Cytokine 12:409−12;Natsumeら(199
9)Gene Ther 6:1626−33;および米国特許第4,846,
782号(これらの全ては本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
CNS、脳、脊髄、またはリンパ系の増殖性障害の臨床症状(これらは、有効濃
度のサイトカインの投与の際に改善され得る)についてのより広範な詳細は、H
arrison’s Principles oflnternal Medi
cine(McGraw Hill,1994)において見出され得、これは本
明細書中に参考として援用される。
【0168】 本発明は、以下の実施例を参照してより良く理解され得る。これらの実施例は
、本発明の特定の実施形態の代表であるように意図され、そして本発明の範囲を
限定するようには意図されない。
【0169】 (実験) (実施例1.CNSへのIFN−βの鼻内投与) (導入) インターフェロン−β(IFN−β)の鼻内投与は、このサイトカインを動物
のCNSへと送達する有効な手段である。
【0170】 (材料および方法) (CNSの鼻内送達:) 199および275グラムの雄のSprague−Dawleyラットを、腹
腔内ペントバルビタール(40mg/kg)で麻酔した。CNSへの薬物送達を
、それぞれ、軽いラットおよび重いラットへの、20mM Hepes(pH7
.5)中の51ピコモルおよび57ピコモルの125I−IFN−βの鼻内投与
後に評価した。ラットをあお向けに置き、そして〜100マイクロリットルの 25 I−IFN−βを、2〜3分毎に左と右の鼻腔の間に交互に滴下しながら1
0〜22分かけて各鼻孔に投与した。IFN−βの鼻内投与の間、鼻の片方およ
び口を閉じた。このサイトカインの投与方法は、鼻腔の上部1/3にこの因子を
送達するように、圧力および重力の両方を考慮する。引き続いて、ラットは、 25 I−IFN−βの投与の完了のすぐ後に灌流固定を受ける。灌流固定を、脳
および脊髄の解剖の前に、50−100mlの生理食塩水、続いて0.1MのS
orensonリン酸緩衝液(pH7.4)中の4%のパラホルムアルデヒドを
含む500mlの固定液を用いて行い、そしてγ計数によって125Iを測定し
た。解剖した領域は、脊髄、嗅球、前頭皮質、前嗅核、海馬形成、脈絡叢、間脳
、髄質、脳橋、および小脳を含む。
【0171】 (結果) 放射性標識の迅速な出現は、約3pM〜約93pMの範囲の濃度で、脊髄、脳
幹、および脳を介して観察された。詳細な結果を、以下の表1に示す。嗅神経お
よび三叉神経におけるインターフェロン−βの実質的な濃度の観察は、このサイ
トカインが、これらの神経を介して、またはこれらの神経に沿って輸送されるこ
とを示唆する。生物学的に有意なレベルのインターフェロン−βを有する組織と
しては、嗅球、前頭皮質、尾状核被殻、前嗅神経、海馬形成、脈絡叢、間脳、脳
橋、髄質、腹側硬膜、三叉神経、嗅上皮、ウィリス輪、および上頸部脊髄が挙げ
られる。
【0172】 表1.CNSへのBetaseronの鼻内(I.N.)送達についてのデー
【0173】
【表1】 l25I]Betaseronの鼻内送達についてのさらなる定量化研究を
、本質的には上記のようにSprague−Dawleyラットにおいて行った
。結果を、表2に要約する。冠状脳組織の切片についての走査は、嗅球, 尾状
核被殻、中隔核, 室周囲白質、視神経、および上丘の顕著な標識を示した(デ
ータは示さず)。これらの結果は、表1に提供される結果に一致する。この定量
化研究を6匹の動物で行い、Betaseronの約6nmolの鼻内投与後に
、広範な種々のCNS構造への一致した送達を示した。IFN−βの最も高い濃
度を、嗅球(9nM)、前嗅核(3.3nM)、中脳(1.9nM)、髄質(1
.8nM)、脳橋(1.6nM)、および小脳(1.4nM)において見出した
。中程度の濃度を、海馬形成(1.3nM)、間脳(1.3nM)、前頭皮質(
1.1nM)、頸部脊髄(1.1nM)、および尾状核被殻(0.83nM)に
おいて観察した。
【0174】 三叉神経(14nM)および腹側硬膜質(19nM)で観察した[125I]
Betaseronの非常に高い濃度は、CNSへの送達が、嗅神経経路だけで
なく三叉神経経路に沿う移動に関与することを強く示唆する。三叉神経送達は、
嗅覚領域ならびに中脳および脳幹領域の両方において高いレベルを生じるはずで
ある。脊髄への送達は、おそらく三叉神経経路を介して生じる。三叉神経経路送
達と一貫して、[125I]Betaseronは、25分以内に脊髄に到達し
、そして脊髄の下方に動くにつれて減少する濃度を示す。
【0175】 これらの結果は、1つ以上の神経経路に添った、CNS、脳、および脊髄への
IFN−βの直接輸送を示す。
【0176】 表2.125I−IFN−β+IFN−βのI.N.投与に続く、異なるラッ
ト組織におけるIFN−β(Betaseron)の濃度(nM)
【0177】
【表2】 IF11〜16は、個々のラットを示す ラットの平均質量(g.):243g.(範囲=203g〜268g) 投与した平均濃度:6.0nmol(範囲=4.8nmol〜6.9nmol)
平均放射能(uCi):39uCi(範囲=32uCi〜52uCi)。
【0178】 (実施例2.IFN−βの鼻内投与は、CNSにおいて薬理学的活性を保持す
る) 鼻内送達されたIFN−βがCNSにおいて薬理学的活性を保持するか否かを
決定するために、アッセイを行った。IFN−βは、細胞表面IFNレセプター
を介してシグナル伝達経路を活性化する。このIFNレセプターは、JAK−S
TATシグナル伝達複合体の原型の一部である。これは、細胞内のシグナル伝達
タンパク質(TYK2、JAK1、および「シグナルトランスデューサおよび転
写のアクチベータ」(STAT)と呼ばれる2つの潜在性転写因子を含む)と関
連する2つの膜貫通鎖を有する。このレセプターへのIFN−βの結合は、互い
に近接する2つのJanusキナーゼ(TYK2およびJAK1)をもたらし、
そしてこれらは、リン酸化によって活性化される。次いで、このキナーゼは、I
FNレセプターの細胞質尾を、チロシン残基のリン酸化によって活性化する。こ
れらのホスホチロシンは、STATのための結合部位を提供し、これらを、すぐ
近くのJanusキナーゼによってリン酸化のための適切な位置に導く。リン酸
化の際に、STATは核に転位し、特定のDNAエレメントに結合し、そして直
接転写する。それ故、鼻内送達後のIFN−βの薬理学的活性は、脳皮質全体の
TYK2およびSTAT1のリン酸化部位をモニターすることによって、効率的
にアッセイされ得る。
【0179】 (方法:) (コントロール/薬物処置:) Harlan Sprague−Dawleyラットを、ペントバルビタール
(50mg/kg)で麻酔した。水またはIFN−βのいずれか80μlを、5
用量で20分かけて鼻内投与する。詳細には、8μlを2分間隔で5用量で各鼻
孔に投与した。組換えラットインターフェロン−β(rrIFN−β)(35ピ
コモル)を、ラットIF35(薬物処理)に鼻内投与し、そしてHO(IFN
−βを希釈するために使用したビヒクル)をラットIF33(コントロール処理
)に投与した。投与後、動物を100mlの生理食塩水で灌流し、そして10%
のホルマリン200mlで固定した。次いで、脳を取り出し、そして2mm切片
の脳マトリックスにスライスした。このスライスをカセットに集め、そしてパラ
フィン包埋した。組織を4μmにスライスし、そして顕微鏡スライドに置いた。
【0180】 (免疫組織学的染色:) タンパク質TYK2およびSTAT1のリン酸化形態に対する抗体を、Cel
l Signaling Technologyから購入した(それぞれ、製品
番号9321Lおよび9171S)。
【0181】 免疫組織学的染色の方法は、以下の通りである。組織切片を脱パラフィンし、
そして、このスライドを以下の溶液に示される時間置くことによって水和した:
キシレンに10分;100%EtOHに5分;95%EtOHに5分;70%E
tOHに5分;および50%EtOHに5分。このスライドをCoplinジャ
ーから取り出し、そして振動するプラットフォーム上で、HOで2分間洗浄し
た。このスライドをクエン酸緩衝液(pH6.0)中でインキュベートし、そし
てベジタブルスチーマー(vegetable steamer)で45分加熱
することによって、抗原(TYK2および/またはSTATU)をアンマスクし
た。このスライドを取り出し、そして冷ランニングタップ(cold runn
ing tap)HO中で10分間洗浄した。スライドを、湿度の高いチャン
バ中、室温(RT)で、3% HO中で10分間インキュベートし、引き続い
てHOで5分間洗浄した。次に、スライドをtris緩衝生理食塩水溶液(5
0mM tris,150mm NaCl)で洗浄し、0.2%Triton
X−100(TBST)で3回5分間洗浄した。洗浄後、このスライドを室温で
、TBST中の2%ヤギ血清(GSTBST)で1時間ブロックした。TBST
中で3回5分間洗浄後、このスライドを、湿度の高いチャンバ中、室温で一次抗
体(ウサギ抗TYK2ポリクローナル抗体;GSTBST中で1:250希釈)
と30分間インキュベートし、そして4℃で一晩インキュベートした。次の日、
このスライドをTBST中で3回5分間洗浄し、そしてヤギ抗ウサギ二次抗体と
インキュベートした。この二次抗体を室温で、10mMリン酸緩衝溶液(PBS
;137mM 塩化ナトリウム,2.7mM 塩化カリウム)中で、1時間、1
:400希釈した。このインキュベーションの最後の15分間、ABC試薬を作
製し(5ml PBS,2滴の試薬A、混合物、2滴の試薬B,混合物;Vec
tor Technology product #PK−6101)、そして
、室温で静置した。スライドをTBST中でさらに3回5分間洗浄し、続いて湿
度の高いチャンバ中、室温で1時間、ABC試薬とインキュベートした。さらに
、TBST中で3回5分間洗浄した。約100〜150μl(組織を覆うのに十
分)のジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)を添加し、そしてRTで10分間
インキュベートした。この反応を、HOでの2分間の洗浄によって停止した。
続いて、溶液が透明になるまでスライドをHOで洗浄した。スライドを、以下
の溶液で示された時間で脱水した:50%EtOHで2分;70%EtOHで2
分;95%EtOHで2分;100%EtOHで2分;50/50のキシレン/
ROHで2分;およびキシレンで5分。過剰のキシレンを除去し、そしてスライ
ドを、2〜3滴のVectamountの添加およびカバーガラスで覆うことに
よって備え付けた。Vectamountを、観察する前に乾燥させた。
【0182】 (結果:) IFN−α/β経路の誘導を、TYK2およびSTAT1のリン酸化によって
特徴付ける。したがって、TYK2およびSTAT1のリン酸化形態に特異的な
抗体を、IFN−βの鼻内送達の前、および鼻内送達の後に、これらのタンパク
質の活性化形態のレベルを測定するために使用した。定量化は、組換えラットI
FN−βの35pmolの鼻内送達後の、脳皮質全体で増加したリン酸化TYK
2のレベルを示した(データは示さず)。これらの結果は、本発明の鼻内送達方
法後に、IFN−βがCNSにおいて薬理学的活性を有することを示す。
【0183】 (実施例3.リンパ系へのIFN−βの鼻内投与) [125I]Betaseronの鼻内送達を、本質的には実施例1に記載さ
れるように、Sprague−Dawleyラットで行った。3.9〜7.9n
molのBetaseronを、20〜29分かけて44〜96μlの用量で投
与した。動物を30分で灌流した。8匹の個々の動物から得られたデータを表3
に示す。この実験セットの実験平均を表4に示す。これらの定量化研究は、リン
パ系の浅頸節および深頸節への[125I]Betaseronの送達を示す。
本発明の投与方法の後に、平均で、6.1nMのBetaseronが浅頸節に
おいて見出され、そして31.5nMが深頸節において見出された。これらの結
果を、表5に要約する。
【0184】 表3.125I−IFN−β+rhIFNβのI.N.投与後のBetase
ron濃度(nM)
【0185】
【表3】 表4.125I−IFNβ+rhIFNβのI.N.投与後のBetaser
on濃度(nM)の実験平均
【0186】
【表4】 表5.125I−IFNβ+rhIFNβのI.N.投与後の頸リンパ節にお
ける Betaseron濃度(nM)の要約
【0187】
【表5】 投与した平均用量=46.75uCiおよび6.32nmol。
【0188】 (実施例4.Betaseronの静脈内投与) Betaseronの静脈内投与を、鼻内投与後のCNSおよび/またはリン
パ系への送達が、引き続くCNSおよびリンパへの送達の前の鼻孔からの循環へ
の吸収に起因し得る程度を決定するために、研究した。
【0189】 この実験に、268〜318gの雄のHarlan Sprague−Daw
leyラットを使用した。ラットを、ナトリウムペントバルビタール(Nemb
utal,50mg/kg)で麻酔した。各ラットについて、0.9%NaCl
中の125I−IFN−βおよびrhIFN−βを含む500μlの溶液を、カ
ニューレを介して大腿静脈に、60〜90秒かけて静脈内送達した。平均で、5
60pmolおよび49uCiのIFN−βを、各ラットに投与した。次いで、
0.2mlの血液を下行性大動脈カニューレから、合計5血液サンプルを5分毎
に集めた。最後に、このラットを下行性大動脈カニューレを介して、60〜90
mlの0.9%NaCl、続いて400mlの固定液(リン酸緩衝液中4%のパ
ラホルムアルデヒド)で灌流した。個々の組織切片を解剖し、5mlのStar
tedtチューブに入れ、次いでPackard Cobra IIオートガン
マカウンターでγ線について計測した。
【0190】 上記の方法は、鼻内投与研究において到達したのと同様の、静脈内送達のBe
taseron一般的な血液レベルを生じた。表6および7は、静脈内注入およ
び鼻内投与のいずれかの後の血液におけるBetaseronのレベルを提供す
る。静脈内投与および鼻内投与の長時間後の血液におけるBetaseronの
レベルは、図1に図示される。
【0191】 この研究は、非常に少量の静脈投与されたBetaseronが、CNSまた
はリンパ管に到達したことを示す。結果的に、本願に記載される鼻内送達方法が
、頭部および頸部のCNSおよびリンパ管の標的化において非常に有益であるこ
とが明らかである。この送達方法は、CNSまたはリンパ管に到達するために循
環を利用せず、むしろ送達を達成するために循環および血液脳関門を迂回する。
CNSおよび/またはリンパ管に薬物を送達するために循環系を利用する必要が
ないので、全身性の副作用が有意に減少され得る。
【0192】 表6.静脈内投与後の血液中のBetaseronレベル。
【0193】
【表6】 表7.鼻内投与後の血液流中のBetaseronのレベル。
【0194】
【表7】 表8.IFN−βの静脈内投与後の濃度(nM)。
【0195】
【表8】 本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数系「1つ
の」(「a」、「an」および「the」)は、状況が他に明らかに示さない限
り、複数形の対象を含むことが注意されるべきである。従って、例えば、「1つ
の化合物」を含む組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。
【0196】 本明細書中の全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の
レベルを示す。全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願
が詳細にかつ個々に参考として示される程度に、本明細書中で参考として援用さ
れる。
【0197】 本発明は、種々の特定の好ましい実施形態および技術を参照して記載されてき
た。しかし、多くの変化および変更が、本発明の精神および範囲内でなされ得る
ことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ラットにおける静脈内投与(I.V.)および鼻腔内投与(I.N.
)の両方の後の経時的な血流中Betaseronレベルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/12 A61P 35/00 31/18 37/02 35/00 A61K 37/02 37/02 37/66 F Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C084 AA02 BA01 BA02 BA08 BA23 DA01 DA22 DA23 DA24 MA55 MA56 MA57 MA58 MA59 MA63 NA10 NA13 ZA022 ZA162 ZA962 ZB072 ZB112 ZB262 ZB332 ZB352 ZC552

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物の中枢神経系に対してサイトカインを輸送するため
    の方法であって、以下: 三叉神経、嗅神経、またはそれらの組み合わせが支配する哺乳動物の組織に対
    して、サイトカインを含む組成物を投与する工程であって、該サイトカインは、
    該組織を通して吸収され、そして該哺乳動物の中枢神経系に輸送される、工程、
    を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記組織が、鼻腔組織、結膜、口腔組織、または皮膚を含む
    、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 結膜に対してサイトカインを投与する前記工程が、下眼瞼と
    眼との間にサイトカインを投与する工程を包含する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 皮膚に対してサイトカインを投与する前記工程が、顔面、額
    、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側方、上唇、頬、顎、頭皮、またはそれらの組み
    合わせに対して該サイトカインを投与する工程を包含する、請求項2に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 口腔組織に対してサイトカインを投与する前記工程が、舌下
    投与を包含する、請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記サイトカインが、以下:インターフェロンα(IFN−
    α)、インターフェロンβ(IFN−β)、インターフェロンγ(IFN−γ)
    、およびそれらの生物学的に活性な改変体、からなる群より選択される、請求項
    1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記IFN−βが、ヒトIFN−βまたはその生物学的に活
    性な改変体である、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記IFN−βが生物学的に活性であり、かつヒトIFN−
    βに対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項
    7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記サイトカインが、鼻腔の上部3分の1に投与される、請
    求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記サイトカインが、小脳、上丘、脳質周囲白質、視神経
    、中脳、脳橋、嗅球、前方嗅覚核、またはそれら任意の組み合わせに対して輸送
    される、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記サイトカインが、脊髄、脳幹、皮質構造、皮質下構造
    、またはそれらの任意の組み合わせに対して輸送される、請求項1に記載の方法
  12. 【請求項12】 前記サイトカインが、脳重量あたり約0.14nmol/
    kg〜約138nmol/kgの範囲の投与量で投与される、請求項1に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 前記サイトカインが、ヒトIFN−βまたはその生物学的
    に活性な改変体である、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 哺乳動物の中枢神経系に対してサイトカインを投与するた
    めの方法であって、以下: 三叉神経、嗅神経、またはそれらの組み合わせが支配する哺乳動物の組織に対
    して、有効量のサイトカインを含む組成物を投与する工程であって、ここで該サ
    イトカインは、該組織を通して吸収され、そして、該中枢神経系の細胞に対して
    診断効果、予防効果、または治療効果を提供するのに有効な量で、該哺乳動物の
    該中枢神経系に輸送される、工程、 を包含する、方法。
  15. 【請求項15】 前記組織が、鼻腔組織、結膜、口腔組織、または皮膚を含
    む、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 結膜に対してサイトカインを投与する前記工程が、下眼瞼
    と眼との間にサイトカインを投与する工程を包含する、請求項15に記載の方法
  17. 【請求項17】 皮膚に対してサイトカインを投与する前記工程が、顔面、
    額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側方、上唇、頬、顎、頭皮、またはそれらの組
    み合わせに対して該サイトカインを投与する工程を包含する、請求項15に記載
    の方法。
  18. 【請求項18】 口腔組織に対してサイトカインを投与する前記工程が、舌
    下投与を包含する、請求項15に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記サイトカインが中枢神経系に沿ったリンパ管に輸送さ
    れる、請求項14に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記サイトカインが、以下:IFN−α、IFN−β、I
    FN−γ、およびそれらの生物学的に活性な改変体からなる群より選択される、
    請求項14に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記IFN−βが、ヒトIFN−βまたはその生物学的に
    活性な改変体である、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記IFN−βまたはその改変体が、生物学的活性を保持
    し、かつヒトIFN−β配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するア
    ミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記サイトカインが、鼻腔の上部3分の1に送達される、
    請求項14に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記サイトカインが、ウイルス感染を予防または減弱する
    のに有効な量で前記哺乳動物の中枢神経系に輸送される、請求項14に記載の方
    法。
  25. 【請求項25】 前記ウイルス感染が、以下:ウイルス性髄膜炎、単純疱疹
    、C型肝炎、およびヒト免疫不全(HIV)からなる群より選択される、請求項
    24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記サイトカインが、免疫応答または炎症反応によって特
    徴付けられる障害を処置または予防するのに有効な量で前記哺乳動物の前記中枢
    神経系に輸送される、請求項14に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記障害が、以下:アルツハイマー病、髄膜炎、原発性シ
    ェーグレン症候群、多発性硬化症、およびHIVからなる群より選択される、請
    求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記サイトカインが、増殖性障害を処置または予防するの
    に有効な量で前記哺乳動物の前記中枢神経系に輸送される、請求項14に記載の
    方法。
  29. 【請求項29】 前記増殖性障害が神経膠腫である、請求項28に記載の方
    法。
  30. 【請求項30】 前記サイトカインが、脳重量あたり約0.14nmol/
    kg〜約138nmol/kgの範囲の投与量で投与される、請求項14に記載
    の方法。
  31. 【請求項31】 前記サイトカインが、ヒトIFN−βまたはその生物学的
    に活性な改変体である、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 哺乳動物のリンパ系に対してサイトカインを輸送するため
    の方法であって、以下: 三叉神経、嗅神経、またはそれらの組み合わせが支配する該哺乳動物の組織に
    対して、該サイトカインを含む組成物を投与する工程であって、該サイトカイン
    は、該組織を通して吸収され、そして該哺乳動物のリンパ系に輸送される、工程
    、 を包含する、方法。
  33. 【請求項33】 前記組織が、鼻腔組織、結膜、口腔組織、または皮膚を含
    む、請求項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】 結膜に対してサイトカインを投与する前記工程が、下眼瞼
    と眼との間に該サイトカインを投与する工程を包含する、請求項33に記載の方
    法。
  35. 【請求項35】 皮膚に対してサイトカインを投与する前記工程が、顔面、
    額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側方、上唇、頬、顎、頭皮、またはそれらの組
    み合わせに対して該サイトカインを投与する工程を包含する、請求項33に記載
    の方法。
  36. 【請求項36】 口腔組織に対してサイトカインを投与する前記工程が、舌
    下投与を包含する、請求項33に記載の方法。
  37. 【請求項37】 前記サイトカインが、以下:インターフェロンα(IFN
    −α)、インターフェロンβ(IFN−β)、インターフェロンγ(IFN−γ
    )、およびそれらの生物学的に活性な改変体、からなる群より選択される、請求
    項32に記載の方法。
  38. 【請求項38】 前記IFN−βが、ヒトIFN−βまたはその生物学的に
    活性な改変体である、請求項37に記載の方法。
  39. 【請求項39】 前記IFN−βが生物学的に活性であり、かつヒトIFN
    −βに対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求
    項38に記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記サイトカインが、鼻腔の上部3分の1に投与される、
    請求項32に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記サイトカインが、深頸節、浅頸節、またはそれらの組
    み合わせに対して輸送される、請求項32に記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記サイトカインが、脳重量あたり約0.14nmol/
    kg〜約138nmol/kgの範囲の投与量で投与される、請求項32に記載
    の方法。
  43. 【請求項43】 前記サイトカインが、ヒトIFN−βまたはその生物学的
    に活性な改変体である、請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 哺乳動物のリンパ系に対してサイトカインを投与するため
    の方法であって、以下: 三叉神経、嗅神経、またはそれらの組み合わせが支配する該哺乳動物の組織に
    対して、有効量のサイトカインを含む組成物を投与する工程であって、ここで該
    サイトカインは、該組織を通して吸収され、そして、免疫応答または炎症性反応
    を調節するのに有効な用量で、該哺乳動物の該リンパ系に輸送される、工程、 を包含する、方法。
  45. 【請求項45】 前記組織が、鼻腔組織、結膜、口腔組織、または皮膚を含
    む、請求項44に記載の方法。
  46. 【請求項46】 結膜に対してサイトカインを投与する前記工程が、下眼瞼
    と眼との間にサイトカインを投与する工程を包含する、請求項45に記載の方法
  47. 【請求項47】 皮膚に対してサイトカインを投与する前記工程が、顔面、
    額、上眼瞼、下眼瞼、鼻背、鼻の側方、上唇、頬、顎、頭皮、またはそれらの組
    み合わせに対して該サイトカインを投与する工程を包含する、請求項45に記載
    の方法。
  48. 【請求項48】 口腔組織に対してサイトカインを投与する前記工程が、舌
    下投与を包含する、請求項45に記載の方法。
  49. 【請求項49】 前記サイトカインが、以下:IFN−α、IFN−β、I
    FN−γ、およびそれらの生物学的に活性な改変体からなる群より選択される、
    請求項44に記載の方法。
  50. 【請求項50】 前記IFN−βが、ヒトIFN−βまたはその生物学的に
    活性な改変体である、請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 前記IFN−βまたはその改変体が、生物学的活性を保持
    し、かつヒトIFN−βの配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する
    アミノ酸配列を含む、請求項50に記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記サイトカインが、鼻腔の上部3分の1に投与される、
    請求項44に記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記サイトカインが、脳重量あたり約0.14nmol/
    kg〜約138nmol/kgの範囲の投与量で送達される、請求項44に記載
    の方法。
  54. 【請求項54】 前記サイトカインが、ヒトIFN−βまたはその生物学的
    に活性な改変体である、請求項53に記載の方法。
  55. 【請求項55】 前記サイトカインが、ウイルス感染を予防または減弱する
    のに有効な量で前記哺乳動物のリンパ系に輸送される、請求項44に記載の方法
  56. 【請求項56】 前記ウイルス感染が、以下:ウイルス性髄膜炎、単純疱疹
    、C型肝炎、およびヒト免疫不全(HIV)からなる群より選択される、請求項
    55に記載の方法。
  57. 【請求項57】 前記サイトカインが、免疫応答または炎症性反応によって
    特徴付けられる障害を処置または予防するのに有効な量で前記哺乳動物の前記リ
    ンパ節系に輸送される、請求項44に記載の方法。
  58. 【請求項58】 前記障害が、以下:アルツハイマー病、髄膜炎、原発性シ
    ェーグレン症候群、多発性硬化症、およびHIVからなる群より選択される、請
    求項57に記載の方法。
  59. 【請求項59】 前記サイトカインが、増殖性障害を処置または予防するの
    に有効な量で前記哺乳動物の前記リンパ系に輸送される、請求項44に記載の方
    法。
  60. 【請求項60】 前記増殖性障害が神経膠腫である、請求項59に記載の方
    法。
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