JP2003516145A - 多量体タンパク質骨格上の分子ディスプレイ - Google Patents

多量体タンパク質骨格上の分子ディスプレイ

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JP2003516145A JP2001544315A JP2001544315A JP2003516145A JP 2003516145 A JP2003516145 A JP 2003516145A JP 2001544315 A JP2001544315 A JP 2001544315A JP 2001544315 A JP2001544315 A JP 2001544315A JP 2003516145 A JP2003516145 A JP 2003516145A
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Abstract

(57)【要約】 ペプチドまたはポリペプチドが、多酵素複合体タンパク質、特に2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体上にディスプレイされる。ディスプレイは、様々な局面、例えば、対象の標的タンパク質と結合するもしくは対象の標的抗体が結合するペプチドおよびポリペプチド、またはその他の所望の特性を有するペプチドまたはポリペプチドのスクリーニング、および例えばワクチン接種などの免疫応答の誘発において有用である。単一の複合体上に様々な数のペプチドまたはポリペプチドをディスプレイでき、かつ同一の複合体上に種々のペプチドまたはポリペプチドをディスプレイできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ペプチドおよびポリペプチドのディスプレイに関する。より具体的
には、本発明は、多酵素複合体タンパク質、特に2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多
酵素複合体上のディスプレイに関する。該ペプチドおよびポリペプチドのディス
プレイは、様々な局面、例えば、対象の標的タンパク質と結合するもしくは対象
の標的抗体が結合するペプチドおよびポリペプチド、またはその他の所望の特性
を有するペプチドまたはポリペプチドのスクリーニング、および例えばワクチン
接種などの免疫応答の誘発において有用である。本発明の態様では、単一の複合
体上に様々な数のペプチドまたはポリペプチドをディスプレイできること、およ
び同一の複合体上に種々のペプチドまたはポリペプチドをディスプレイできるこ
とにより利点が生じる。
【0002】 分子生物学的技術の開発は、外来性の生物学的活性のある分子をその表面にデ
ィスプレイさせるために、大きな複雑な生物学的系の操作を躍進させてきた。最
も一般的には、エピトープを提示するようにウイルスを操作することであった。
これは、エピトープマッピング、抗体の作製、ワクチン接種の関係、抗体、酵素
またはホルモン受容体などの完全型タンパク質またはそのドメインの提示などに
有用であった。例えば、Grrenwoodら、(1991)Journal of Molecular Biology
220: 821-827; Sutter およびMoss (1992)PNAS (USA) 89: 10847-10851; Willis
ら、(1993) Gene 128: 79-83; Cortese ら、(1994) Trends in Biotechnology 1
2: 262-267; Verneseら、(1994)Journal of Molecular Biology 243: 167-172
; Meolaら、(1995) Journal of Immunology 154: 3162-3172; Kayら、(1996) Ph
aghe Display of Peptides and Proteins: A laboratory Manual, Academic Pre
ss, およびBendahmaneら、(1999) Journal of Moelcular Biology 290: 9-20,
ならびに国際公開WO92/07077参照のこと。ウイルス表面にポリペプチド鎖をデ
ィスプレイさせることは、ディスプレイされた対象のポリペプチドをコードする
遺伝情報が同じポリペプチドに内因的に連結しているという利点を有する。これ
によって、対象の分子を選択および同定することができる、ペプチドまたはポリ
ペプチドディスプレイライブラリーを作製することが可能となった。ポリペプチ
ドドメインは、例えば、抗体およびその他のタンパク質(Kayら、(1996)、Pha
ge Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, Academic Press
)、および酵素(例えば、AtwellおよびWells (1999)、PNAS (USA) 96: 9496-
9502)の選択を目的としてディスプレイ化されてきた。しかし、これらの系は、
任意の単一ウイルス粒子上にディスプレイできる外来性分子の種類数に限界があ
ることが多く(MalikおよびPerham (1997) Nucleic Acids Research 25: 915-91
6)、ならびに、1つのウイルス粒子の表面にディスプレイされる同一の外来性
ポリペプチドのコピー数が該ポリペプチドの大きさおよび骨格の会合体に適合す
る必要性によって制約を受けることが多い(Malikら、(1996)Journal of Mole
cular Biology 260: 9-21)。
【0003】 本発明は、ペプチドまたはポリペプチドのディスプレイシステムを作製するこ
とに基づいており、既存のディスプレイシステムを用いてきた局面、およびその
他の局面で有用である。本明細書に開示する本発明の態様を用いると、多くの利
点が得られる。
【0004】 本発明は、多酵素複合体、特に、2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体(
例えば、バシラス=ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)な
どのピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDH)の1つ以上の構成部分を用いる。
【0005】 多酵素複合体である2-オキソ酸(α-ケト酸)デヒドロゲナーゼファミリーの
メンバーは、2-オキソ酸の酸化的脱炭酸化を担っており、一般的には以下の3つ
の酵素から構成されている;2-オキソ酸デカルボキシラーゼであるE1、アシルト
ランスフェラーゼであるE2、およびジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼE3。この
E1構成部分は、2-オキソ酸の酸化的脱炭酸化、およびその後のE2に結合している
リポイル基の還元的アシル化を触媒する。このアシル基はその後、E2構成部分の
触媒反応によりCoAに転移し、還元されたリポイル基はE3構成部分によって、NAD
の還元と同時に再び酸化される。この多酵素複合体のファミリーは、ピルビン酸
デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体、2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)デ
ヒドロゲナーゼ(OGDH)複合体、および分枝状2-オキソ酸(α-ケト酸)デヒド
ロゲナーゼ(BCODH)複合体を含む。アセトインデヒドロゲナーゼ(ADH)複合体
も同様である。総説には、Perham(1991)Biochemistry 30, 8501-8512 およびd
eKokら、(1998) Biochimica et Biophisica Acta 1385: 353-366参照のこと。
かかる酵素は、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌、ならびに酵母などの真核
生物においても認められる。
【0006】 E2構成部分は、E1およびE3サブユニットが周辺の位置で非共有結合で強く結合
している構造的コアを形成する。E3結合タンパク質(E3-BP)またはプロテインX
と呼ばれるE3との結合に関与しており、E2コアと会合している、第4のポリペプ
チド鎖を有する複合体もある(特に、真核生物に由来する複合体)。完全に会合
した酵素複合体は、典型的には5〜10MDaの範囲内の分子サイズを持つ。E2ポリペ
プチド鎖は3量体を形成し、さらに会合して、正八面体対称に配置された24個のE
2鎖からなる立方体様コアか、または正二十面体対称に配置された60個のE2鎖か
らなる5角形の十二面体コアのいずれかの形態を取る。その対称性は、複合体の
起源および性質によって異なる。
【0007】 バシラス=ステアロテルモフィラスのピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体
は、この多酵素複合体のファミリーのメンバーであり、組換えタンパク質からin
vitroで完全に再構築されている(Lessardら, (1998) European Journal of Bio
chemistry, 258: 491-501)。ヘテロ四量体(α2β2)E1p構成部分(150 kDa)および
二量体E3構成部分(90 kDa)は、60のE2鎖からなる五角形十二面体 E2pコアの周り
に会合する。例えば、Bergおよびde Kok (1997) Biological Chemistry 378: 61
7-634、PatelおよびRoche (1990) FASEB Journal 4: 3224-3233、ならびにPerha
m (1991) Biochemistry 30: 8501-8512を参照のこと。
【0008】 バシラス=ステアロテルモフィラスのE2pポリペプチド鎖は、フレキシブルリン
カードメインにより隔てられた3つの独立折り畳みドメイン(9.5 kDaのリポイル
ドメイン、5.3 kDaの周辺サブユニット結合ドメイン、および28 kDaの触媒コア
ドメイン)からなる。触媒コアドメインは、五角形十二面体のタンパク質の骨格(
scaffold)の形成に関与する。このE2pドメインのX線結晶構造は明らかにされて
いる(Izardら, (1999) Proceedings of the National Academy of Sciences USA
, 96: 1240-1245)。この構造は、240Åの外径を有しており、十二面体の12の五
角形の面は中心腔に通ずる直径50Åの開口を有しており、該中心腔は180Åの直
径を有している。これらの寸法により、E2コアは電子顕微鏡により可視化し易い
【0009】 バシラス=ステアロテルモフィラスE2タンパク質構成部分は、1Lの細胞培養物
当たり15 mgを超える収率で、大腸菌から発現および精製され得る。E2コアは、
水溶液培地中で室温にて安定しており、6M塩酸グアニジンから再折り畳みされて
、95%活性酵素を産生し得る(AllenおよびPerham (1997) FEBS Letters 413: 33
9-343;Lessardら, (1998) European Journal of Biochemistry, 258: 491-501)
【0010】 全ての2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ複合体は、B.ステアロサーモフィラスPDH
複合体について記載されたこのパターンに従うが、1本のE2鎖当たりのリポイル
ドメインの数およびE1構成部分の構造の変更は可能である(Perham (1991) Bioch
emistry 30, 8501-8512、およびde Kokら, (1998) Biochimica et Biophysica A
cta 1385: 353-366)。
【0011】 本発明では、2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体のE2コアタンパク質の
末端切断型形態を、ペプチドまたはポリペプチドの末端切断型E2タンパク質への
(共有結合を介した)融合または非共有相互作用のいずれかによる、ペプチドまた
はポリペプチドのディスプレイのための骨格として提供する。末端切断型E2コア
タンパク質は、会合してコア構造を形成できる部分を少なくとも含む(これは議
論するように八面体または二十面体であってもよい)。このような部分は概して(
すなわち、末端切断型E2コアタンパク質は概して)触媒コア(第3)ドメインであ
る(を含む)。
【0012】 本発明の一態様では、会合して複合体のコア構造を形成する、2-オキソ酸デヒ
ドロゲナーゼ多酵素複合体の末端切断型E2コアタンパク質を提供する。このよう
な末端切断型E2コアタンパク質は一般的に完全長E2コアタンパク質のリポイルド
メインを欠き、そして周辺サブユニット結合ドメインを欠くかもしれない。
【0013】 ディスプレイされるペプチドまたはポリペプチドが末端切断型E2タンパク質と
の融合体として提供される一部の実施形態では、末端切断される部位では、E2タ
ンパク質がリポイルドメインおよび周辺サブユニット結合ドメインを欠いてもよ
い。このような末端切断される部位は、周辺サブユニット結合ドメインと触媒コ
アドメインとの間のリンカー領域中の全ての残基を含むことが好ましい。バシラ
ス=ステアロテルモフィラスのピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体のE2コア
タンパク質を参照すると、本発明に使用するためのこのような末端切断型E2タン
パク質(またはE2部分)は、タンパク質データベースに寄託されたバシラス=ステ
アロテルモフィラスE2p配列(ODP2_BACST、受託番号P11961)に基づいて残基Ala16
7からAla427まで、またはLys187からAla427までからなることが好ましい。周辺
サブユニット結合ドメインが含まれる場合、好ましい末端切断される部位は、E2
のN末端から周辺サブユニット結合ドメインのN末端部の残基までの全残基を含
む。バシラス=ステアロテルモフィラスのピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合
体のE2コアタンパク質を参照すると、本発明に使用するためのこのような末端切
断型E2タンパク質(あるいはE2部分)は、タンパク質データベースに寄託されたバ
シラス=ステアロテルモフィラスE2p配列(ODP2_BACST、受託番号P11961)に基づい
て残基Lys86からAla427まで、またはArg127からAla427までからなることが好ま
しい。
【0014】 本発明の主要な態様によれば、(i) 会合して複合体のコア構造を形成する2-オ
キソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体E2タンパク質構成部分の一部と、(ii)異種
ペプチドまたはポリペプチドと、を含む融合体が提供される。
【0015】 一部の実施形態では、リンカー分子を、末端切断型E2コアタンパク質とディス
プレイされる分子との間に導入してもよい。このリンカーは、E2コアドメインと
周辺サブユニット結合ドメインとの間に天然に存在するポリペプチドリンカーの
形態、または無関係なリンカーポリペプチド鎖の形態であり得る。
【0016】 E2タンパク質の化学修飾により、ペプチドまたはポリペプチド以外の1つまた
は複数の分子を付着させることができる。これらの分子は、骨格として使用され
るE2もしくは他の多酵素複合体構成部分の一部分、または骨格上でディスプレイ
されるペプチドもしくはポリペプチドに付着させることができる。
【0017】 異種ペプチドもしくはポリペプチドのための挿入部位は、通常、ディスプレイ
のために採用するE2部分のN末端にある。N末端での融合の利点は、例えば、ス
クリーニングにより所望の性質を有することが認められたペプチドインサートの
アミノ酸配列を決定するためのN末端配列決定が容易になることである。これに
より、クローンのスクリーニングおよびコード核酸の検索の代替法が得られる。
【0018】 他の適切な挿入部位は、天然に存在する一部のPDH複合体において存在するE2
コアドメインのC末端(正常な無傷のE2のC末端)にあるか(例えば、Powlesおよ
びRawlings (1997) Microbiology 143, 2189-2195;Usudaら, (1996) Microbiol
ogy 142, 3347-3354)、または真核生物多酵素複合体の無傷もしくは末端切断型E
3結合タンパク質(E3-BP)のN末端にあることが挙げられる。また、例えばシステ
イン残基との化学反応により外来分子をE2コア表面の任意の所望の位置に付着さ
せ、それを部位特異的突然変異誘発によりE2コアドメインまたは周辺サブユニッ
ト結合ドメインまたはリポイルドメインに適切に導入してもよい。
【0019】 一般的に、開示する末端切断型E2コアタンパク質または融合タンパク質は、コ
ード核酸からの発現により得られる。組換えDNA技法を採用して、標準的技法を
用いてこのようなコード配列を生成してもよい(以下でさらに議論する)。
【0020】 開示するこのような末端切断型E2タンパク質または融合体をコードする核酸は
、ベクター、発現ベクターなどの組換えベクター、およびこのような核酸または
ベクターで形質転換された宿主細胞とともに、本発明のさらなる態様として提供
される。
【0021】 本発明のさらなる態様では、開示する2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合
体の会合されたコアを提供する(末端切断型E2タンパク質構成部分が会合して八
面体または二十面体コアが得られる)。コアは、会合してコアを形成する部分を
含む1つまたは複数のE2タンパク質構成部分を含んでもよい。ここで、該部分は
異種ペプチドまたはポリペプチドをディスプレイするために該ペプチドまたはポ
リペプチドに融合する。ペプチドまたはポリペプチドは、(通常そのC末端にお
いて)上記構成部分と融合することにより、複合体上でディスプレイされる。
【0022】 複合体内の融合体の数は変化してもよい。60コピーの構成部分を含む二十面体
コアにおいては、1〜60の構成部分が融合体として提供され得る。24コピーの構
成部分を含む八面体コアにおいては、1〜24の構成部分が融合体として好ましい
かもしれない。融合体の好ましい数としては、1、2、3、4、5またはそれ以
上が挙げられる。選択の目的のためには、コピー数が小さいと良い。なぜなら、
標的化リガンド(例えば、固定化抗体)との複数の相互作用が無くなるか大幅に減
るからである。高いコピー数(最大である24または60まで)は、例えば、ワクチン
目的のための抗原提示に重要である。
【0023】 2つ以上の異なるペプチドまたはポリペプチドをディスプレイするコアを本発
明により得ることができる。このような複合体は、異なるペプチドまたはポリペ
プチドに融合した構成部分の混合物の会合により簡単に得られる。これにより、
例えばワクチン化において、免疫応答を生じさせるために、または多特異的(mul
tispecific)結合複合体を生成するために有用であり得る複数のエピトープをデ
ィスプレイする複合体を用意できる。二十面体複合体においては、1〜60(例えば
、2、3、4、5またはそれ以上)の異なるペプチドまたはポリペプチドがディ
スプレイされ得る。八面体複合体においては、1〜24(例えば、2、3、4、5ま
たはそれ以上)の異なるペプチドまたはポリペプチドがディスプレイされ得る。
【0024】 単一分子上における最大60または24の異なるペプチドまたはポリペプチドのデ
ィスプレイにより、デザイナー(designer)多機能分子の作成が可能になる。例え
ば、新規の多機能タンパク質または多酵素系が会合され得る。いくつかの異なる
エピトープ(例えば、ワクチン設計において重要なB細胞、TヘルパーおよびCTL
エピトープ)の同時ディスプレイが可能である。抗体または受容体などの標的化
配列もしくはタンパク質を組み込んでもよい。独自の/特異的な化学的なまたは
翻訳後の修飾(例えば、蛍光体、グリコシル化、リン酸化など)を担持するタンパ
ク質を組み込んでもよい。上記の一部または全てを担持する複合体会合が可能で
ある。
【0025】 E2コアタンパク質部分との融合によりペプチドまたはポリペプチドをディスプ
レイする代わりに、E2コアタンパク質部分との非共有相互作用によりペプチドを
ディスプレイする類似の実施形態が提供される。これは、周辺サブユニット結合
ドメインを介してもよい。例えば、ディスプレイされるペプチドまたはポリペプ
チドは、会合してコアを形成するE2タンパク質の周辺サブユニット結合ドメイン
と非共有的に相互作用するE3構成部分またはその一部との抱合体または融合体と
して得ることができる。これはまた、真核生物PDH複合体のE2コアで見とめられ
る、該複合体におけるE3の強い非共有結合に関与する、E3結合タンパク質の使用
を含んでいてもよい。
【0026】 本発明により得られる複合体またはコアの1つまたは複数の構成部分を修飾し
て、酵素活性を減衰または無くすことができる。これは、1つまたは複数のペプ
チドまたはポリペプチドをディスプレイする複合体が、個体、例えば治療的処置
またはワクチン化を必要とする患者、への投与を意図される場合に特に望ましい
。バシラス・ステアロサーモフィラスのピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合
体のE2タンパク質の酵素活性(CoAアシルトランスフェラーゼ活性)を、残基His39
8およびThr346の突然変異により除去してもよい。対応する突然変異は、本発明
により採用される他の2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体のE2コアタンパ
ク質において生じさせることができる(例えば、レビューとしてde Kokら(1988)
Biochimica et Biophysica Acta 1385: 353-366、またGriffinおよびChuang (19
90) Journal of Biological Chemistry 265: 13174-13180;Hendleら, (1995) B
iochemistry 34: 4287-4298、RussellおよびGuest (1990) Biochemical Journal
269: 443-450、ならびにRussellおよびGuest (1991) Proceedings of the Roya
l Society of London Series B 243: 155-160を参照)。
【0027】 本発明のさらなる態様は、開示する複合体の集合またはライブラリーを提供す
る。一実施形態では、どの1つの多重タンパク質(multiprotein)複合体も60コピ
ー(二十面体)または24コピー(八面体)のペプチドまたはポリペプチドをディスプ
レイし、集合またはライブラリー中の多重タンパク質複合体はそれぞれ、異なる
ペプチドまたはポリペプチドをディスプレイする。複合体の集合またはライブラ
リーにおいては、複合体は、異なるペプチドまたはポリペプチドの集まりを集合
的にディスプレイして、配列の多様化を提供する。配列の多様性により、1つま
たは複数の性質(例えば、結合能力)の多様性が得られ、選択およびスクリーニン
グのプロセスを行って所望の性質を有する1つまたは複数のペプチドまたはポリ
ペプチドを同定して得ることが可能になる。
【0028】 本発明によりペプチドまたはポリペプチドをディスプレイするE2コアまたは複
合体は、さらに(例えばシステイン残基の導入により)修飾されて、骨格に別の分
子を化学的に付着させてもよい。これは、例えば、ディスプレイされた結合分子
により、複合体を細胞または細胞画分に標的化させるのに有用である。別の実施
形態では、E2コアの腔内に分子を隠して、複合体がエンドサイトーシスを受けた
場合に標的細胞による該分子の摂取を促進させてもよい。
【0029】 表面にディスプレイされる1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドによ
り、または適切な化学修飾により、本発明の複合体を支持体上に固定化してもよ
い。これにより、複合体上の1つまたは複数の他のペプチドまたはポリペプチド
は別の分子に結合し得る。これは、リガンドをディスプレイするために複合体を
使用する際に、例えばELISAアッセイにおいて、有効であり得る。
【0030】 ペプチドは短い傾向があり、約40アミノ酸もしくはそれ未満の長さ、好ましく
は約35アミノ酸もしくはそれ未満の長さ、より好ましくは約30アミノ酸もしくは
それ未満の長さ、より好ましくは約25アミノ酸もしくはそれ未満の長さ、より好
ましくは約20アミノ酸もしくはそれ未満の長さ、より好ましくは約15アミノ酸も
しくはそれ未満の長さ、より好ましくは約10アミノ酸もしくはそれ未満の長さ、
または9、8、7、6、5もしくはそれ未満の長さであり得る。本発明のペプチ
ドは、約10〜20のアミノ酸、約10〜30のアミノ酸、約20〜30のアミノ酸、または
約30〜40のアミノ酸の長さを有し得る。単一のエピトープを含むために、ペプチ
ドの好ましい長さは5〜6アミノ酸である。
【0031】 ポリペプチドはより大きい。ポリペプチドは、完全長タンパク質またはタンパ
ク質ドメイン、例えばリガンドと結合可能な、機能性の折り畳まれたユニットを
含み得る。
【0032】 開示するE2構成部分に融合したペプチドまたはポリペプチドは、天然型構成部
分中の融合部位において存在しないことから「異種」として特定される。
【0033】 本発明に用いられるペプチドは、例えばエピトープのマッピングが望ましい目
的のタンパク質などのポリペプチドの断片として生成されるか、またはランダム
もしくはセミランダム配列として(特にスクリーニングのための集合またはライ
ブラリーとして)得ることができる。ランダムまたはセミランダムのアミノ酸配
列をコードする核酸は、標準的技法により、多重タンパク質複合体の構成部分と
の融合体をコードする配列内で得ることができる。
【0034】 ディスプレイ用のポリペプチドは、抗体分子(例えば、scFvフラグメント)、酵
素、受容体ドメインなどのタンパク質ドメイン、酵素阻害剤、タンパク質リガン
ド、標的化タンパク質などを含み得る。
【0035】 本発明のさらなる態様は、開示する末端切断型E2タンパク質または融合タンパ
ク質の生成方法であって、適切な発現系(例えば宿主細胞)において関連タンパク
質をコードする核酸を得ること、および該コード核酸からの発現によりコードさ
れる生成物の生成を生じるか可能にすることを包含する方法を提供する。核酸が
宿主細胞内に存在する場合、上記方法は、適切な条件下で宿主細胞を培養するこ
とを包含してもよい。
【0036】 コードされる生成物を生成した後、それを発現系(例えば宿主細胞または宿主
細胞培養物)から回収して単離および/または精製してもよい。
【0037】 複合体は開示するように会合され得る。
【0038】 宿主細胞から融合体構成部分を精製することは、例えば、サイズ排除クロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィ
ー、ショ糖勾配超遠心分離法などを含む標準的精製技法を使用することにより達
成できる。E2構成部分の二十面体/八面体複合体への会合は、融合体のin vivoで
の発現および折り畳みの際に生じる。例えば2つ以上の異なる融合ペプチド/ポ
リペプチドをディスプレイするE2骨格の会合をin vitroで行うことができる。ま
た、適切な化学修飾の後に行うこともできる。例えば、フルオレセインイソチオ
シアネート(fluorescein isothithyarate)(FITC)または任意の他の蛍光体での修
飾により蛍光性を付与されたE2を、E2/ペプチド融合体と再折り畳みできる。in
vitro会合は、単離E2タンパク質の混合物(例えば融合体)の脱折り畳みまたは脱
会合、および適切な条件下での混合物の再折り畳みを伴う。B.ステアロサーモフ
ィラスPDH E2構成部分を、6M塩酸グアニジンの存在下で脱折り畳みし、水性緩衝
液(pH7.0)への透析により再折り畳みできる(Lessardら, (1998) European Journ
al of Biochemistry, 258: 491-501)。特に他のE2構成部分のために、分子シャ
ペロンが含まれてもよい(Wynnら, (1994) Biochemistry 33: 8962-8968)。In vi
voで、2つ以上の融合体をディスプレイするE2骨格の会合は、所望の核酸ベクタ
ーを作成することにより、同じ宿主細胞中での所望のE2融合体の同時発現を必要
とし得る。これは、同じベクター(Scruttonら, (1990) Proceedings of the Roy
al Society of London Series B 242: 217-224)、または異なる複製起点を有す
る異なるベクター(Deonarainら, (1992) Biochemistry 31: 1498-1504)からの異
なる融合タンパク質の発現など既に公開されている方法により行うことができる
【0039】 異なるペプチドまたはポリペプチドをディスプレイする複合体の集合またはラ
イブラリーは、プレート塗布された宿主細胞からの発現により提供され、スクリ
ーニングにより(例えば、スクリーニングにより同定され得る所望の性質を有す
る)目的のペプチドまたはポリペプチドを生成するクローンを同定してもよい。
【0040】 プレート塗布によるスクリーニングは、cDNAライブラリーをスクリーニングす
るための標準的プロトコールを用いて、例えば、Current Protocols in Molecul
ar Biology (Ausubelら編, John Wiley & Sons (1994);SkalkaおよびShapiro (
1976) Gene 1: 65-79;KempおよびCowman (1981) Proceedings of the National
Academy of Sciences (USA) 78: 4520-4524;Helfmanら, (1983) Proceedings
of the National Academy of Sciences (USA) 80: 31-35)に記載されているよう
に行うことができる。
【0041】 ペプチドまたはポリペプチドをスクリーニングするための所望の性質としては
、目的の特異的結合メンバー(リガンド)(例えば、抗体分子または受容体)への結
合能力、酵素活性などが挙げられる。
【0042】 本発明の他の態様は、所望の性質を有する1つまたは複数のペプチドまたはポ
リペプチドを得る方法であって、開示するようにディスプレイされるペプチドま
たはポリペプチドのライブラリーを所望の性質を有する1つまたは複数のペプチ
ドまたはポリペプチドについてスクリーニングすること、ならびに所望の性質を
有するライブラリーの1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドを選択する
ことを包含する方法を提供する。
【0043】 本発明の別の態様は、特異的な結合メンバー(リガンド)が結合するエピトープ
を含む1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドを得る方法であって、開示
するようにディスプレイされるペプチドまたはポリペプチドのライブラリーを特
異的結合メンバー(リガンド)と接触させること、ならびに該特異的結合メンバー
(リガンド)と結合可能なライブラリーの1つまたは複数のペプチドまたはポリペ
プチドを選択することを包含する方法を提供する。
【0044】 このような方法の効用のひとつとして、目的とする(ワクチン化において有用
である)抗原と免疫学的に交差反応するエピトープを含むペプチドを得ることが
できる。
【0045】 従って、本発明の別の態様は、目的の抗原中のエピトープと免疫学的に交差反
応するエピトープを含む1つまたは複数のペプチドを得るための方法であって、
開示するペプチドのライブラリーを該目的の抗原と結合可能な抗体分子と接触さ
せること、ならびに該抗体分子と結合可能なライブラリーの1つまたは複数のペ
プチドを選択することを包含する方法を提供する。
【0046】 このような方法は、ペプチドのライブラリーを、複数の目的の標的(例えばウ
イルスまたは他の病原体の株)と集合的に結合可能な複数の抗体分子または他の
特異的結合メンバーと接触させることを包含してもよい。一実施形態では、前記
複数の抗体分子は、病原体に感染した個体の血清に由来する。
【0047】 言及のとおり、本発明のライブラリーは、多重タンパク質複合体上にディスプ
レイされたペプチドまたはポリペプチドを含む。目的の複合体のスクリーニング
および同定の後、核酸を、目的の複合体を発現するクローンから得てもよい。前
記選択ペプチドをディスプレイする複合体を発現するクローンから得た核酸配列
を有する核酸を使用して、(当該分野で標準的であって、以下でさらに議論され
る組換えDNA技法を用いた)発現によりこのようなペプチドを生成してもよい。
【0048】 上記選択ペプチドのアミノ酸配列を有するペプチドは、例えばコード核酸から
の発現により生成された後、単離形態で提供されてもよい。別の可能性としては
、本発明による1つまたは複数のペプチドを、当業者の裁量により様々な技術の
いずれかを使用して、ペプチド合成により提供することである。ペプチドは、At
hertonおよびSheppard (1989), Solid Phase Peptide Synthesis, a Practical
Approach, IRL Press, Oxfordに記載されるようなFmoc((9-フルオロメチルオキ
シカルボニル)t-BU(tert-ブチル))を利用する一般的な方法など標準的なペプチ
ド化学を用いて合成し得る。
【0049】 異なる選択ペプチドのアミノ酸配列をそれぞれ有する複数のペプチドは、単離
形態で、個別に、または混合物として提供され得る。
【0050】 本発明のペプチドまたはポリペプチドを生成するのに都合がよい手法は、発現
系中で核酸を使用して、それをコードする核酸を発現させることである。これは
、議論したスクリーニング方法により得られるペプチドおよびポリペプチド、お
よびまた異種ペプチドまたはポリペプチドを含む融合タンパク質を含む関連する
多重タンパク質複合体自体の構成部分に適用される。
【0051】 従って、本発明はまた、(開示する)ペプチドまたはポリペプチドを作成する方
法であって、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸からの発現を含む方
法を含む(一般的に、多重タンパク質複合体構成部分の場合、ポリペプチドを異
種ペプチドまたはポリペプチド配列に融合する)。これは、このようなベクター
を含む培養液中の宿主細胞を、ポリペプチドの発現を生じるか可能にする適切な
条件下で培養させることにより都合よく達成され得る。ペプチドおよびポリペプ
チドはまた、網状赤血球溶解物などのin vitro系においても発現され得る。
【0052】 本発明のペプチドおよびポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発
明のさらに別の態様を表す。
【0053】 核酸は、一般に、DNAまたはRNAとして提供されるが、1以上のヌクレオチド類
似体を含んでもよく、また、全部または部分的に合成のものでもよい。本発明に
よる核酸分子およびベクターは、単離および/または精製形態、例えば、実質的
に純粋もしくは均質形態のいずれで提供されてもよい。「単離された(Aisolate
d)」という用語は、これらすべての可能性を表すことができる。例えば、図面
を参照にしながら、DNA配列について述べる場合には、他に要望のない限り、場
合に応じて、TをUで置換した同等のRNAも含まれる。
【0054】 コード核酸からペプチドまたはポリペプチドを発現させたい場合には、上記核
酸は、適した調節制御配列を含む。下記のような適当な調節配列を含む、好適な
ベクターを選択もしくは構築することができる:プロモーター配列、ターミネー
ター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、ならびに
、必要に応じた他の配列。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、
例えば、ファージ、またはファージミドでよい。さらに詳細については、例えば
、Molecular Cloning: a Laboratory Manual:第2版、Sambrookら(1989)Cold
Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸構築物の調製、
突然変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびに、タ
ンパク質の分析に関する、核酸の様々な操作方法およびプロトコルが、Molecula
r BiologyのCurrent Protocols、Ausubelら編、Jhon Wiley & Sons(1994)に記
載されている。
【0055】 多様な宿主細胞へのポリペプチドのクローニング系および発現系はよく知られ
ている。好適な宿主細胞として、細菌、哺乳動物および酵母のような真核生物の
細胞、ならびに、バキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現の
ために当業界で入手可能な哺乳動物細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣細
胞、Hela細菌、幼齢ハムスター腎細胞、COS細胞およびその他多数がある。一般
的な好ましい細菌宿主は、大腸菌である。
【0056】 本発明の別の態様は、本明細書に開示するような核酸を含む宿主細胞を提供す
る。本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)に組み込むことがで
きる。組込みは、標準的方法に従い、ゲノムによる組換えを促進する配列の含有
によって促進することができる。この核酸は、細胞内の染色体外のベクター上に
あってもよい。
【0057】 さらに別の態様は、核酸を宿主細胞に導入することを含んでなる方法を提供す
る。限定するわけではないが、一般に、「形質転換」とも呼ばれる(特に、in v
itroの導入について)導入は、利用可能なあらゆる技法を用いることができる。
真核生物細胞の場合には、好適な技法として、下記が挙げられる:リン酸カルシ
ウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン、電気穿孔、リポソーム媒介ト
ランスフェクション、ならびに、レトロウイルスもしくはその他のウイルス、例
えば、ワクシニアや、昆虫細胞についてはバキュロウイルスを用いた形質導入。
細菌細胞の場合には、好適な技法として、リン酸カルシウム形質転換、電気穿孔
、ならびに、バクテリオファージを用いたトランスフェクションが挙げられる。
これに代わり、核酸の直接注射を用いることも可能である。当業者には公知のよ
うに、対象の核酸を含むクローンを同定するのに、抗生物質耐性または感受性遺
伝子などのマーカー遺伝子を用いてもよい。
【0058】 導入の後、例えば、遺伝子の発現が起こる条件下で、宿主細胞(実際に形質転
換された細胞である場合もあるが、形質転換された細胞の子孫である可能性の方
が高い)を培養することにより、核酸から発現させるかまたは発現を可能とする
ことによって、コードされたペプチドまたはポリペプチドを生産することができ
る。適正なシグナルリーダーペプチドに結合したペプチドまたはポリペプチドが
発現されれば、これは、細胞から培地へと分泌される。発現による生産の後、必
要に応じて、宿主細胞および/または培地から、ペプチドまたはポリペプチドを
単離および/または精製し、後に、所望の用途で用いることができる。例えば、
1種以上の製剤上許容できる賦形剤、ビヒクルまたは担体を含む医薬製剤のよう
な組成物の調製に用いられ、この組成物は他に1種以上の成分を含んでいてもよ
い(例えば、以下を参照)。
【0059】 本発明のペプチドまたはポリペプチドは、免疫原として、または結合抗体の取
得において用いることができる。抗体は、精製、ならびに、それ以外のポリペプ
チドおよびペプチドの操作、診断スクリーニング、さらには受動免疫などの治療
用途において有用である。
【0060】 本発明のさらに別の態様によれば、本発明のペプチドまたはポリペプチド(場
合によっては、多重タンパク質複合体の構成部分との融合体としてディスプレイ
される)と結合することができる結合用部位を含む1以上の抗体分子を取得する
方法が提供される。該方法は、抗体分子の集団と上記ペプチドまたはポリペプチ
ドとを接触させ、該ペプチドまたはポリペプチドと結合することができる集団の
1以上の抗体分子を選択することを含んでなる。
【0061】 この方法では、抗体の集団と、本発明による複数のペプチドまたはポリペプチ
ドとを接触させてもよい。
【0062】 前述のように、上記ペプチドまたはポリペプチドは、追加アミノ酸との融合体
として提供することもできる。
【0063】 上記ペプチドまたはポリペプチド(場合によっては、開示されているように、
多重タンパク質複合体の構成部分との融合体としてディスプレイされる)をヒト
以外の哺乳動物に投与して、哺乳動物の免疫系により生産される抗体分子の集団
と接触させた後、該ペプチドまたはポリペプチドと結合することができる1以上
の抗体分子を哺乳動物から取得する、あるいは、このような抗体分子を生産する
細胞を哺乳動物から取得することができる。
【0064】 上記哺乳動物を屠殺する場合もある。
【0065】 哺乳動物から細胞を取得する場合、該細胞またはその子孫から抗体分子を取得
できる。このような子孫は、特に、ハイブリドーマ細胞である。
【0066】 本発明により得られた抗体、ならびに、本発明によるスクリーニングに有用な
その他の抗体は単離することができるが、これは、他のポリペプチドと結合でき
る抗体などの混入物および/または血清成分を除外するという意味である。目的
によっては、モノクローナル抗体が好ましいが、ポリクローナル抗体も本発明の
範囲に含まれる。実際に、いくつかの実施形態では、本発明による1以上のペプ
チドまたはポリペプチドと結合することができるポリクローナル性の混合物が好
ましい。従って、別の態様では、本発明は、本発明による1以上のペプチドまた
はポリペプチドと結合することができる様々な抗体の混合物に関する。このよう
な混合物は、他に製剤上許容可能な賦形剤またはビヒクルなどの少なくとも1種
の成分を含む組成物として提供することができる。
【0067】 本発明はまた、本発明の1以上のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を
取得および/または誘発する方法、ならびに、免疫応答(Bおよび/またはT細胞
)を誘起する方法まで拡大される。このような方法は、ペプチドまたはポリペプ
チド、もしくはペプチドまたはポリペプチドの混合物(ここで、ペプチドまたは
ポリペプチドは、開示されるように多重タンパク質複合体の構成部分との融合体
としてディスプレイされるか、あるいは、開示されるように、ライブラリーのス
クリーニングによって得られたものである)を哺乳動物に投与することにより、
抗体応答を増強することを含んでなる。治療または予防の用途では、哺乳動物は
、ヒトまたはヒト以外でよい。抗体または抗体生産細胞を生産するために、ヒト
以外の哺乳動物を屠殺する段階が含まれる。このようなヒト以外の哺乳動物とし
ては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ
、ヒツジ、ラクダ、旧世界ザル(Old World monkey)、チンパンジーもしくはその
他の霊長類が挙げられる。抗体は、当業者には公知である各種技法のいずれかを
用いて免疫した動物から取得した後、好ましくは、対象のペプチドまたはポリペ
プチドと抗体の結合を用いてスクリーニングすることができる。例えば、ウエス
タンブロット法または免疫沈降を用いることができる(Armitageら、(1992)Na
ture, 357:80-82)。
【0068】 ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の生産は、当業界では十分に確立さ
れている。モノクローナル抗体を、組換えDNA方法に付すことにより、元の抗体
の特異性を保持する他の抗体もしくはキメラ分子を生産することができる。この
ような技法は、抗体のイムノグロブリン可変領域、または相補性決定領域(CDR
)をコードするDNAを、別のイムノグロブリンの定常領域、もしくは定常領域と
フレームワーク領域に導入することを含んでなる。例えば、EP-A-184187、GB-A-
2188638またはEP-A-239400を参照。また、典型的には、フレームワークアミノ酸
残基のいくつかを改変したヒトフレームワーク領域に、ヒト以外の供給源由来の
CDRを移植することにより、親非ヒト抗体より免疫原性が低い抗体を提供すると
いう、ヒト化抗体も本発明に含まれる。本発明によるモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマを遺伝子突然変異またはその他の改変に付し、産生された抗
体の結合特異性を改変する、あるいは、改変しないことも可能である。キメラ抗
体のクローニングおよび発現については、EP-A-0120694およびEP-A-0125023に記
載されている。
【0069】 開示される本発明の態様および実施形態で有用な本発明による抗体は、多数の
方法で修飾することができる。実際に、「抗体分子」という用語は、抗体の結合
ドメインを有するあらゆる結合物質を包含するものとして解釈すべきである。抗
原またはその他の結合相手と結合することができる抗体フラグメントの例として
、次のものが挙げられる:VL、VH、ClおよびCH1ドメインから成るFabフラグメン
ト;VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;抗体の単一アームのVLおよ
びVHドメインから成るFvフラグメント;VHドメインから成るdAbフラグメント;
単離されたCDR領域およびF(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架
橋により結合された2つのFabフラグメントからなる二価フラグメント。さらに
、一本鎖Fvフラグメントも含まれる。
【0070】 抗体(抗体フラグメントを含む)をコードする核酸を含み、それらの発現が可
能な真核または原核生物の宿主細胞と同様に、所望の結合特性を有する抗体を生
産することができるハイブリドーマも、本発明の範囲に含まれる。本発明はまた
、抗体が生産され、好ましくは、分泌される条件下で抗体を生産することができ
る細胞を増殖することを含む、抗体の生産方法も提供する。
【0071】 ペプチドまたはポリペプチドと、抗体分子のような特異的結合メンバーとの結
合をスクリーニングする際、任意の好適な手段により、ペプチド/ポリペプチド
に対する抗体の反応性を決定することができる。個別のリポーター分子によるタ
グ付けは、考えられる1つの方法である。上記リポーター分子は、直接または間
接的に、検出可能な、好ましくは測定可能なシグナルを生じ得る。このリポータ
ー分子の結合は、直接または間接的に、共有結合、例えば、ペプチド結合を介し
て、または非共有結合のいずれによるものでもよい。ペプチド結合を介した結合
は、抗体およびリポーター分子をコードする遺伝子融合体の組換え発現の結果と
して起こる。
【0072】 好ましい一形態は、スペクトルが隔離された吸収または放射特性を有する個別
の蛍光色素、りん光体またはレーザー色素を用いた、各抗体の共有結合によるも
のである。好適な蛍光色素として、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリト
リンおよびテキサスレッドが挙げられる。好適な色素原として、ジアミノベンジ
ジンがある。
【0073】 これ以外のリポーターとして、着色され、磁気または常磁性のラテックスビー
ズ、ならびに、検出可能なシグナルの視覚的観察、電気的検出もしくは記録を直
接または間接的に可能にする生物学的または化学的に活性のある薬剤などの巨大
分子コロイド状粒子または微粒子材料がある。これらの分子は、例えば、発色も
しくは変色、または、例えば、電気的特性の変化を起こす反応を触媒する酵素で
よい。これらが、分子的に励起可能であれば、エネルギー状態間の電子遷移によ
り、特有のスペクトル吸収または放射が得られる。これらには、バイオセンサー
と一緒に用いられる化学物質が含まれる。また、ビオチン/アジビンまたはビオ
チン/ストレプトアビジンおよびアルカリ性ホスファターゼ検出系を使用しても
よい。
【0074】 結合を決定する方法は、本発明の特徴ではなく、当業者であれば、その優先事
項および一般的知識にしたがって適した方法を選択することができるだろう。
【0075】 すでに述べたように、ペプチド、ポリペプチド、ペプチドまたはポリペプチド
をディスプレイする多重タンパク質複合体、ならびに、抗体、さらには、ペプチ
ドまたはポリペプチドをコードする核酸を組成物に製剤することができ、これら
は、医薬用途において有用である。これらの組成物は、上記物質のいずれかに加
えて、薬学的に許容され得る賦形剤、担体、バッファー、安定化剤もしくは、当
業者には公知のその他の材料を含んでもよい。このような材料は、非毒性で、活
性成分の効力を妨害しないものでなければならない。担体またはその他の材料の
具体的な種類は、例えば、経口、静脈内、皮膚もしくは皮下、鼻内、筋肉内、腹
膜内経路などの投与経路に応じて異なる。
【0076】 経口投与のための組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体の形態でよい。
錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントのような固体の担体を含み得る。液体の医
薬組成物は、一般に、水、石油、動物または植物油、鉱油もしくは合成油のよう
な液体担体を含む。また、生理食塩水、デキストロース、またはその他のサッカ
リド溶液、もしくは、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエ
チレングリコールのようなグリコールも含まれ得る。
【0077】 静脈内、皮膚または皮下注射の場合には、活性成分は、発熱物質を含まず、好
適なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容できる水溶液の形態で提供
される。当業者であれば、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸化
リンゲル注射などの等張性ビヒクルを用いて、好適な溶液を調製することができ
る。必要に応じて、防腐剤、安定剤、バッファー、酸化防止剤および/または添
加剤を含んでもよい。
【0078】 ミョウバン、水中油形またはフロイントアジュバント(完全または不完全)の
ようなアジュバントを含んでもよい。サイトカインを用いて、ペプチドまたはポ
リペプチド組成物の免疫原性を高めることも可能である。本発明の好ましい実施
形態は、アジュバント、サイトカインまたは免疫原性を増強するその他の添加物
を必要としない。バシラス=ステアロテルモフィルスのピルビン酸デヒドロゲナ
ーゼ(PDH)複合体は、高度に免疫原性である。
【0079】 本発明のさらに別の態様および実施形態は、添付の図面を参照にしながら行う
以下の実施例を含む本発明の開示から、当業者には明らかになるだろう。
【0080】実施例 E2コア表面での外来ペプチド/ポリペプチドの発現用ベクター バシラス=ステアロテルモフィルスのピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合
体のE2コアドメインのN末端側、すなわち、E2コアの表面での、外来ペプチドお
よびポリペプチドの発現のために、2つの大腸菌発現ベクターを設計および構築
した。
【0081】 1.pETHE2DISP:このベクターは、ヒスチジンタグとE2コアとの間で、外来ペ
プチド/ポリペプチドの過剰発現を可能にする。ヒスチジンタグとトロンビン切
断部位は、融合タンパク質のN末端部位に位置しているため、所望であれば、後
にタグを除去することができる。3つのユニーク制限部位により、挿入DNAの定
方向結合が可能になる。
【0082】 2.pETE2DISP:ヒスチジンタグとトロンビン切断部位がない以外は、上記ベ
クターと同じである。外来タンパク質は、E2コアドメインのN末端部位で直接発
現する。
【0083】E2の表面での発現およびディスプレイ 例として、次の2種のペプチド:配列(NANP)3(配列番号11)を含むMAL1と
、配列NDDSYIPSAEKI(配列番号12)を含むMAL2を、E2コアの表面にディスプレイ
した。これら2つのペプチドは、繊維状バクテリオファージビリオン上にペプチ
ドのディスプレイを例示するために以前から用いられている(Greenwoodら(199
1)Journal of Molecular Biology 220:821-827;Willisら(1993)Gene 128:7
9-73)。
【0084】 プラスミドpETHE2DISPを用いて、E2MAL1およびE2MAL2を産生する構築物を作製
した。E2DISP、E2MAL1およびE2MAL2を発現する大腸菌細胞を溶解し、細胞溶解物
を12%SDS PAGEに流した。ゲルをニトロセルロース転移膜上にエレクトロブロッ
ティングし、バクテリオファージfdに対して誘起した抗体と、ハイブリッドfd/
fdMAL1バクテリオファージに対して誘起した抗体をそれぞれ用いて、免疫ブロッ
ティングした(Greenwoodら、(1991)Journal of Molecular Biology 220:821
-827)。免疫ブロットをヤギ抗ウサギIgG-アルカリホスファターゼコンジュゲー
トとBCIP/NBT基質を用いて、展開した。fd/fdMAL1に対して誘起した抗体により
、E2MAL1だけが認識され、添加したエピトープが機能的であることがわかった。
【0085】実施例1 ディスプレイ用のE2発現ベクターの構築 Bacillus stearothermophilus PDH複合体のE2コアドメインは、60量体の正二
十面体骨格を形成する原因となるタンパク質ドメインである。外来ポリペプチド
とそのN末端との融合を促進する2つのベクターを構築した。これら2つのベク
ターを、pETHE2DISPおよびpETE2DISPと呼ぶ。両ベクターは、Novagen大腸菌発現
ベクターpet15bおよびpet11d、ならびに、Lessardら(1998)European Journal
of Biochemistry, 258:491-501に記載されたBacillus stearothermophilus E2P
発現ベクターpETBstE2から誘導した。
【0086】 E2コアドメインをコードする上記DNA部分と、リンカー配列の一部を、配列番
号1および配列番号2を含む2つのオリゴヌクレオチドを用いて、pETBstE2から
PCR増幅した。配列番号1は、E2コアドメインの5’末端に、4つのユニーク制限
部位を導入する。増幅されたPCR産物を、市販のNovagenベクターpet15bと同様、
制限酵素Nde1およびBamH1で消化した。消化されたpet15bベクターを、Boehringe
r Mannheim製の子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIAP)で処理した。両方のDN
A産物をゲル電気泳動から精製し、T4DNAリガーゼ(Pharmacia LKB Biotechnolog
y Inc.)で結合した。結合混合物を、電気穿孔により大腸菌XL1-Blue細胞に導入
し、環状プラスミドDNAの宿主であるコロニーをアンピリシンLB培地プレート上
で選択した。選択したコロニーからのプラスミドDNAを、適当なQiagenキットで
精製した後、好適なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ベクターT7プロモ
ーターからBamH1制限部位まで、配列決定した。所望の配列を有するプラスミド
をpETHE2DISPとして定義する(図2)。
【0087】 プラスミドpETHE2DISPは、次の特性を有する:E2コア遺伝子の5’末端に、外
来DNAを導入するための5つのユニーク部位(Nco1、Nde1、Sma1、Xma1およびKpn
1);外来DNAを挿入することにより、ヒスチジンタグ(特定のトロンビン消化部
位が続く)と、E2コア遺伝子との間で、外来ポリペプチドを発現させることがで
きる;外来DNAを挿入することにより、(ヒスチジンタグなしで);これをN末端
で直接発現させることができるならびに、ベクターにより、適当な大腸菌細胞中
に組換え遺伝子の直接異種発現を達成することができる。
【0088】 プラスミドpETE2DISPを、pETHE2DISPから誘導した。プラスミドpETHE2DISPをN
co1とXma1で消化した。オリゴヌクレオチド配列番号3および配列番号4をアニ
ーリングし、消化したpETHE2DISPに結合させるが、その際、結合混合物中のプラ
スミドに対するオリゴヌクレオチド挿入片は、10倍のモル過剰量とする。所望の
環状プラスミドを、前述のように選択した。プラスミドpETE2DISPは、Nde1制限
部位が除去され、任意のヒスチジンタグ−トロンビン消化部位が、もはやベクタ
ーの一部として利用できないことを除けば、pETHE2DISPと同じ特性を有する。
【0089】 ベクターpETE2DISPの概略図を図3に示す。
【0090】実施例2 pETE2MAL1およびpETE2MAL2の構築 これらプラスミドは、pEHE2DISPについて記載したように、pETHE2DISPから誘
導した。オリゴヌクレオチド配列番号5および6を用いて、pETMAL1を産生し、
配列番号7および配列番号8を用いて、pETMAL2を産生させた。適当なオリゴヌ
クレオチドプライマーを用いたDNA配列決定により、すべての構築物を確認した
【0091】 これらベクターを用いて、前述のようにペプチドMAL1およびMAL2をディスプレ
イしたが、以下に、さらに詳細に説明する。
【0092】実施例3 pETE2EGFPの構築および機能的GFPのディスプレイ 増強した緑色蛍光タンパク質(EGFP)をコードする配列を、オリゴヌクレオチ
ド配列番号9および配列番号10を用いて、市販のベクターpEGFP-1(Clontech製
)からPCR増幅した。PCR産物とプラスミドpETHE2DISPの両方をNco1およびXma1で
消化した。消化したベクターをCIAPで処理した。実施例1に記載したように、環
状プラスミドの結合および選択を実施した。pETE2EGFPの正確な配列をDNA配列決
定により確認した。
【0093】 E2を発現するだけの細胞と対比して、EGFP-E2アルカリを発現する細胞を蛍光
により明らかにした。これらの結果は、EGFPタンパク質が、E2骨格上で適正にフ
ォールディングしていることを示している。
【0094】 EGFP-E2融合体を発現させる細胞からの細胞溶解物をSDS-PAGE(12.5%アクリ
ルアミド)に付し、実施例5でペプチドについて記載するように、PVDF膜にブロ
ットした。ポリクローナルE2DISP抗血清(実施例6に記載する)およびモノクロ
ーナル抗GFP抗体(Clontechにより供給)の特異的結合について、実施例6に記
載するように、アルカリホスファターゼ検出を用いて試験した。
【0095】 E2DISP抗血清および抗GFP抗体を用いて展開したブロットによって、60 kDaよ
りやや小さい分子量のタンパク質に相当する同じ単一タンパク質バンドを検出し
た。対照的に、E2DISP、E2MAL1およびE2MAL2を発現する細胞の細胞溶解物も同じ
SDS-PAGE ゲル上を泳動したが、E2DISP抗血清で展開したブロットでは、個々の
レーンは、30 kDaよりやや小さい分子量のタンパク質に相当する位置で検出され
たにすぎない。EGFP-E2タンパク質の推定分子量は、56.4 kDaであるため、これ
らの結果から、蛍光により検出される活性GFPが、E2に共有結合し、融合タンパ
ク質の観察可能な分解がないことが明らかにされた。
【0096】実施例4 E2コアドメイン融合タンパク質の発現および精製 4.1 E2コアドメイン融合タンパク質の発現 プラスミドpETHE2DISP、pETE2DISP、pETEMAL1、pETEMAL2およびpETE2EGFPを用
いて、E2コア融合タンパク質:HE2DISP、E2DISP、E2MAL1、E2MAL2およびE2EGFP
をそれぞれ発現させた。E2コアドメイン融合タンパク質の発現は、Lessardら(1
998)European Journal of Biochemistry, 258:491-501に記載されているように
達成した。
【0097】 手短には、所望のベクターで新しく形質転換した大腸菌BL21(DE3)pLysS細胞を
一晩培養したもの(100 ml)のサンプル(5ml)を用いて、1リットルのLB培地
に接種した。A600が0.7に達したとき、誘導物質IPTGを1mMの最終濃縮物に添加
した。さらに4時間後、遠心分離により細胞を回収した。E2EGFPを発現させるも
のだけ29℃で増殖させる以外は、すべての細胞を37℃で増殖させた。
【0098】4.2 E2コアドメイン融合タンパク質の精製 Lessardら(1998)European Journal of Biochemistry, 258:491-501に記載さ
れているように、E2DISP、E2MAL1およびE2MAL2を精製した。別途記載のない限り
、すべての工程を4℃で実施した。タンパク質濃度は、クーマシー色素結合方法
により推測したが、純粋タンパク質については、アミノ酸分析で推測した。Phar
macia PhastSytemJを用いたSDS-PAGE(12.5%アクリルアミド)により、カラム
画分を分析した。新しく増殖させた大腸菌細胞(5リットルの培養物から誘導し
た)を、10 mM EDTA、1mM PMSFおよび1mM 1,10-フェナントロリンを含むpH 8.
5の20 mMトリスHCl(バッファーA)中に再懸濁させた(生細胞1g当たり2ml)
後、フレンチプレス(SLM-AMINCO)により131×106 Paで破壊した。細胞残屑を9
5,000gで20分間の遠心分離により除去した後、上清を硫酸アンモニウム分画に
付した。35〜65%飽和で沈殿させたタンパク質をバッファーA中に再溶解させ、
2リットルの同じバッファーの2つの変化に対して透析した。3つの個別のバッ
チにおいて、Pharmacia Hiload(登録商標)16/10 Q sepharose(登録商標)Hig
h Performanceアニオン交換カラム上に、上清を流し込んだ(1ml/分の流量で
)。尚、上記カラムは、1mM EDTAと、0.02%アジ化ナトリウムを含むpH 8.5の2
0 mMトリスHCl(バッファーB)で事前に平衡しておいた。バッファーB中の0〜0
.6 M NaClの線状勾配を用いて、120 mlについて、1ml/分の流量でE2融合タン
パク質を溶離した。E2融合タンパク質を含む画分(5ml)をプールし、Centripr
ep30(Amicon Ltd)を用いて約20 mg/mlまで濃縮し、1.2 mlのバッチ中で、Phar
macia Sepharose(登録商標)CL-2Bゲルろ過カラム(1.6×70 cm)上にロードし
た(0.5 ml/分の流量で)。尚、上記カラムは、0.02%アジ化ナトリウムを含む
pH 7.0の100 mMリン酸カリウム(バッファーC)で事前に平衡しておいた。純粋E
2融合タンパク質を含む画分(1ml)をプールし た。プールした融合タンパク質の画分を約4mg/mlまで濃縮し、液体窒素でフラ
ッシュ凍結した後、−80℃で保存した。タンパク質の同一性を、N末端配列決定
および質量分光計により確認した。
【0099】 HE2DISPをその変性形態で、アフィニティークロマトグラフィーにより精製し
た。HE2DISPを発現する大腸菌細胞を、細胞1g当たり5mlで、pH 8.0の6MGuHCl
0.1Mリン酸カリウム(バッファーD)中に再懸濁させた。1時間の混合後、細胞
溶解物を、10,000 xgで20分間の遠心分離によりペレット化した。次に、上清をN
i-NTA(ニッケル−ニトリロ−三酢酸)樹脂(Qiagen製)の4mlカラムに、15 ml
/時間の流量でロードした。そして、10カラム容量のバッファーDでカラムを洗
浄した後、pH 6.3の6MGuHCl 0.1Mリン酸カリウムで、10カラム容量の洗浄を実施
した。15 mlの6MGuHCl 0.1Mリン酸カリウム(pH 5.9)と6MGuHCl 0.1Mリン酸カ
リウム(pH 4.5)でカラムを洗浄することにより、HE2DISPを溶離した。SDD-PAG
Eにより決定したHE2DISPを含む画分をプールした。
【0100】実施例5 E2コア上でのエピトープディスプレイ Pharmacia PhastSystem(登録商標)を用いて、E2DISP、E2MAL1およびE2MAL2
をSDS-PAGE(12.5%アクリルアミド)上で泳動させた後、標準的Pharmaciaプロ
トコルを用いて、PVDF膜にブロッティングした。アルカリホスファターゼ検出を
用いて、エレクトロブロッティングしたタンパク質に対する抗体の特異的結合を
試験した。このプロトコルのために、下記の溶液を用いた:TBS(20 mMトリス、
500 mM NaClを含み、HClでpH 7.5に調節したもの);阻止バッファー(TBS中に5
0 g/l Marvel(登録商標)乾燥脱脂乳を含む);一次抗体溶液(阻止バッファー
溶液中に一次抗体、例えば、抗バクテリオファージfdまたは抗fd-Mal1を含む)
;二次抗体溶液(阻止バッファー中に1:2,000倍に稀釈したヤギ抗ウサギIgGア
ルカリホスファターゼコンジュゲートを含む);展開バッファー(10 ml脱イオ
ン水中に1錠のSIGMA-FASTJ BCIP/NBTアルカリホスファターゼ基質(リン酸5-ブ
ロモ-4-クロロ-3-インドリル/ニトロブルーテトラゾリウム錠剤)を含む)。ブ
ロットを2×10分の洗浄に付した後、阻止バッファーにおいて1時間インキュベ
ートした。このブロットを一次抗体溶液中で一晩インキュベートした後、阻止バ
ッファー中で4×10分の洗浄、次に、TBSでの1×10分の洗浄に付した。ブロッ
トを二次抗体溶液中で1時間インキュベートした後、阻止バッファー中で4×10
分の洗浄に付した。ブロットをTBSで10分洗浄した後、展開バッファーと共にイ
ンキュベートし、バンドの出現開始まで続けた。展開は、脱イオン水を用いた2
×5分の洗浄により、停止した。
【0101】実施例6 E2骨格にディスプレイされるペプチドに対する抗体を誘起、in vivoでの免疫応
答の発生 精製したE2DISPおよびE2MAL1を、フロイント完全アジュバントの存在下で、個
別のニュージーランドシロウサギに注射して一次免疫を実施し、続くすべての追
加免疫は、フロイント不完全アジュバントを用いて行った。ウサギは、一次免疫
から、14、28、42、56および70日後に追加免疫を受けた。被検血液を第35、49、
63および77日に採取した。E2DISPまたはE2MAL1のいずれかを注射した全ウサギの
被検血液からの血清は、実施例4.1に記載のものと同様に調製した大腸菌細胞
溶解物中のB. stearothermophilus E2構築物の特異的認識が可能であった。同じ
ウサギ由来の前免疫血清は、抗体結合を示さなかった。実施例5に記載したプロ
トコルを用いて、抗血清由来の抗体の特異的結合を検出した。一次抗体源として
のE2DISPまたはE2MAL1の抗血清1:50,000希釈は、第49日に採取した抗血清から
のE2構築物に特異的な抗体を検出するのに十分であった。
【0102】 E2MAL1で免疫したウサギからの抗血清をアフィニティー精製工程に付した。精
製されたE2DISPを臭化シアン(製造者が推奨するプロトコルを用いて、活性化し
たセファローズ4Bビーズ(Sigma))上に固定化した。次に、0.5 mlのE2DISP結
合セファローズビーズと一緒に、1mlのE2MAL1抗血清を4℃で1時間インキュベ
ートした。その後、ビーズを沈殿させて除去し、新鮮な0.5 mlのE2DISP結合セフ
ァローズビーズと取り替えた。上記の工程を、E2DISP結合セファローズビーズを
4回取り替えるまで繰り返した。一次抗体源としてのアフィニティー精製E2MAL1
抗血清の1:50,000希釈は、E2MAL1構築物に特異的な抗体を検出するには十分で
あったが、E2DISP、E2MAL2、およびE2EGFP構築物についてはそうではなかったこ
とから、E2MAL1融合体に特異的な抗体がウサギにおいて増強されていることを意
味する。
【0103】実施例7 E2表面での様々なポリペプチドの多重ディスプレイ EGFP-E2、E2MAL1、およびHE2DISPを発現する細胞から細胞溶解物のin vitro再
生により、同じ60量体コア上に3つまでの異なる分子がディスプレイされている
キメラE2正二十面体コアを生産した。
【0104】 pETHE2DISP、pETE2MAL1、およびpETE2EGFPを用いて、個別に形質転換した後、
LB培地において28℃で増殖させた大腸菌細胞BL21pLysSを、その吸光度(600 nm
)が0.8に達したとき、IPTGで誘導した。誘導から3時間後に細胞を回収し、6 M
塩酸グアニジン、1mM DL-ジチオトレイトール、50 mMリン酸カルシウム(pH 8.
0)中で2時間インキュベートおよび混合することにより、変性した。1,000 xg
で20分の遠心分離により、細胞溶解物をペレット化した。次に、変性した細胞溶
解物上清の下記のような混合物を調製した:1)E2EGFP+E2MAL1;2)HE2DISP
+E2MAL1;3)HE2DISP+E2MAL1+E2EGFP、ならびに、4)E2EGFP。E2EGFP、E2M
AL1、およびHE2DISPでそれぞれ形質転換した大腸菌細胞の330 ml、50 mlおよび3
0 ml細胞培養容量当量を用いて、上記混合物を調製した。次に、1mM DL-ジチオ
トレイトール、50 mMリン酸カルシウム(pH 8.0)への透析により、これらの混
合物を「復元」した。透析は、各細胞溶解物混合物の20mlずつについて、4℃で
24時間にわたり、2リットルの透析バッファー(50 mMリン酸カルシウム、pH 8.
0)を4回取り替えて実施した。復元した細胞溶解物を1,000 xgで、20分遠心分
離にかけ、上清を回収した。
【0105】 4からの復元細胞溶解物を復元細胞溶解物2に添加することにより、下記の3
つの復元細胞溶解物混合物を調製した: 1’)[E2EGFP−E2MAL1]; 2’)[HE2DISP−E2MAL1]+E2EGFP; 3’)[HE2DISP−E2MAL1−E2EGFP]。
【0106】 イミダゾールとNaClをそれぞれ20 mMおよび0.3 M濃度まで添加して、上記3種
の混合物1’、2’および3’と一緒に、1mlのNi-NTAアガロース樹脂(Pharmacia
)を1時間インキュベートした。これから、各混合物について、0.5 mlカラムを
注ぎ出した。0.3 M NaCl、1mMDTT、50mM Kphos(pH 8.0)中の5ml、3ml、およ
び3mlの20 mM、50 mMおよび250 mMイミダゾールで、連続的に、カラムを洗浄し
た。250 mMイミダゾールを用いてNi-NTAカラムから溶離したサンプルを、MALI特
異的抗体(実施例5に記載する抗fd-Mal1)およびE2DISPポリクローナル抗体(
実施例6に記載)との結合について試験した。
【0107】 E2タンパク質構築物は、サンプル2’および3’にだけ検出され、これらサンプ
ルは、ヒスチジンタグ付E2DISPタンパク質、HE2DISPを含んでいた。サンプル2’
および3’の両方で、E2MAL1構築物のMAL1エピトープが検出されたのに対し、高
分子量E2EGFP構築物が検出されたのはサンプル3’だけであった。
【0108】 これらの結果から、ヒスチジンタグおよびMAL1エピトープの両方を呈示するキ
メラE2骨格は、混合物2から産生され、3つのポリペプチド、ヒスチジンタグ、
MAL1エピトープおよびEGFPポリペプチドのすべてを呈示するE2骨格は、混合物3
から産生されたことがわかる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、正十二面体のバシラス=ステアロテルモフィルスE2コアの模式図であ
る。明瞭化のため、60本のE2鎖のうち3本だけを示すが、これらは、N末端セグ
メントを適所に有する(Izardら(1999)Proceedings of the National Academy
of Science USA 96:1240-1245;Dardelら(1993)Journal of Molecular Biolo
gy 229:1037-1048;Kaliaら(1993)Journal of Molecular Biology 230:323-34
1)。 図1Bは、バシラス=ステアロテルモフィルスE2鎖の模式図であり、E2コア集合
体にディスプレイしようとする異種ペプチド/ポリペプチドの挿入のために考え
られるいくつかの切断点を示す。
【図2】 図2は、ペプチドおよびポリペプチドディスプレイのために、以下に示す実験
で用いられるベクターpETHE2DISPの模式図である。
【図3】 図3は、ペプチドおよびポリペプチドディスプレイのために、以下に示す実験
で用いられるベクターpETE2DISPの模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/10 G01N 33/50 Z G01N 33/15 A61K 39/00 H 33/50 C12N 15/00 ZNAA // A61K 39/00 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ドミンゴ,ゴンサロ,ホセ スペイン国 イー−46111 ロカフォート, アウシアス マーチ 103 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA13 BB01 BB10 BB16 BB20 CB01 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 FB03 FB06 4B024 AA01 AA11 BA10 CA02 CA07 DA06 EA04 GA11 4B050 CC04 DD02 GG06 LL01 LL03 4B065 AA18Y AA26X AB01 AC14 BA02 CA29 CA44 CA46 4C085 AA03 BB11 CC21

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の: (i) 2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体のコア構造内に会合する、2
    -オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体のE2タンパク質構成部分の一部分、 (ii) 異種ペプチドまたはポリペプチド、 を含む、融合タンパク質。
  2. 【請求項2】 E2部分および該異種ペプチドまたはポリペプチドの間にリン
    カーを含む、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. 【請求項3】 異種ペプチドまたはポリペプチドがE2部分のN末端、または
    上記リンカーが存在する場合には該リンカーのN末端に存在することを特徴とす
    る、請求項1または2記載の融合タンパク質。
  4. 【請求項4】 E2部分が天然型E2タンパク質構成部分のリポイルドメインを
    欠失していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タン
    パク質。
  5. 【請求項5】 E2部分が天然型E2タンパク質構成部分の周辺サブユニット結
    合ドメインを欠失していることを特徴とする、請求項4記載の融合タンパク質。
  6. 【請求項6】 E2部分が周辺サブユニット結合ドメインと触媒コアドメイン
    との間に天然型E2タンパク質内に存在する天然のE2リンカー領域を含むことを特
    徴とする、請求項5記載の融合タンパク質。
  7. 【請求項7】 末端切断型E2コアタンパク質が2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ
    多酵素複合体のコア構造に会合していることを特徴とする、2-オキソ酸デヒドロ
    ゲナーゼ多酵素複合体の末端切断型E2コアタンパク質。
  8. 【請求項8】 天然型E2コアタンパク質のリポイルドメインを欠失している
    ことを特徴とする、請求項7記載の末端切断型E2コアタンパク質。
  9. 【請求項9】 天然型E2コアタンパク質の周辺サブユニット結合ドメインを
    欠失していることを特徴とする、請求項8記載の末端切断型E2コアタンパク質。
  10. 【請求項10】 周辺サブユニット結合ドメインと触媒コアドメインとの間
    に天然型E2タンパク質内に存在するリンカー領域を含むことを特徴とする、請求
    項9記載の末端切断型E2コアタンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の融合タンパク質、ま
    たは請求項7〜10のいずれか1項に記載の末端切断型E2コアタンパク質をコー
    ドする核酸。
  12. 【請求項12】 複製可能なベクター内において融合タンパク質または末端
    切断型E2コアタンパク質の発現のための制御配列に機能し得る形で連結されてい
    ることを特徴とする、請求項11記載の核酸。
  13. 【請求項13】 上記複製可能なベクターが、末端切断型E2コアタンパク質
    をコードする核酸に隣接して制限酵素部位を有しており、該制限酵素部位は、異
    種ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸を挿入して末端切断型E2コアタ
    ンパク質と異種ペプチドまたはポリペプチドとを含む融合タンパク質をコードす
    る核酸を作製することを可能とするものであることを特徴とする、請求項12記
    載の核酸。
  14. 【請求項14】 請求項11〜13のいずれか1項に記載の核酸で形質転換
    された宿主細胞。
  15. 【請求項15】 請求項1〜10のいずれか1項に記載の融合タンパク質ま
    たは末端切断型E2コアタンパク質を作製する方法であって、適切な発現系内に融
    合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質をコードする核酸を提供し、該
    核酸が発現されることにより融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質
    を産生させるかまたは該産生を可能とすることを含む、上記方法。
  16. 【請求項16】 核酸を宿主内に提供こと、および融合タンパク質または末
    端切断型E2コアタンパク質を産生するのに適切な条件下で宿主細胞を培養するこ
    とを含む、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 発現系から融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパ
    ク質を回収することをさらに含む、請求項15または16記載の方法。
  18. 【請求項18】 融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質を精製
    および/または単離することを特徴とする、請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質が2-オ
    キソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体コアに会合することを特徴とする、請求項
    15〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質が会合
    して八面体コアとなることを特徴とする、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 融合タンパク質または末端切断型E2コアタンパク質が会合
    して正二十面体コアとなることを特徴とする、請求項19記載の方法。
  22. 【請求項22】 第1の異種ペプチドまたはポリペプチドを含む第1融合タン
    パク質が、第2の異種ペプチドまたはポリペプチドを含む第2融合タンパク質を含
    む2-オキソ酸デヒドロゲナーゼ多酵素複合体コア内に会合しており、第1の異種
    ペプチドまたはポリペプチドは第2の異種ペプチドまたはポリペプチドとは異な
    るものであることを特徴とする、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法
  23. 【請求項23】 請求項1〜10のいずれか1項に記載の融合タンパク質ま
    たは末端切断型E2コアタンパク質を含むことを特徴とする、2-オキソ酸デヒドロ
    ゲナーゼ多酵素複合体のコア会合体。
  24. 【請求項24】 融合タンパク質を含むことを特徴とする、請求項23記載
    のコア会合体。
  25. 【請求項25】 第1の異種ペプチドまたはポリペプチドを含む第1融合タン
    パク質、および第2の異種ペプチドまたはポリペプチドを含む第2融合タンパク質
    を含み、第1の異種ペプチドまたはポリペプチドは第2の異種ペプチドまたはポリ
    ペプチドとは異なるものであることを特徴とする、請求項24記載のコア会合体
  26. 【請求項26】 八面体であることを特徴とする、請求項23〜25のいず
    れか1項に記載のコア会合体。
  27. 【請求項27】 正二十面体であることを特徴とする、請求項23〜25の
    いずれか1項に記載のコア会合体。
  28. 【請求項28】 免疫応答を誘起するために有用な1つ以上のエピトープを
    提示することを特徴とする、請求項24〜27のいずれか1項に記載のコア会合
    体。
  29. 【請求項29】 請求項24〜28のいずれか1項に記載のコア会合体の集
    団またはライブラリーであって、該コア会合体が複数の異なるペプチドまたはポ
    リペプチドを集団として提示することを特徴とする、上記コア会合体の集団また
    はライブラリー。
  30. 【請求項30】 所望の特性を有する1種以上のペプチドまたはポリペプチ
    ドを得る方法であって、 請求項29記載の集団またはライブラリーを、所望の特性を有する1種以上の
    ペプチドまたはポリペプチドについてスクリーニングすること、および 所望の特性を有する1種以上のペプチドまたはポリペプチドを選択すること、
    を含む、上記方法。
  31. 【請求項31】 リガンドが結合するエピトープを含有する1種以上のペプ
    チドまたはポリペプチドを得る方法であって、 請求項29記載のペプチドまたはポリペプチドを提示するコア会合体の集団ま
    たはライブラリーとリガンドとを接触させること、および 上記リガンドに結合する1種以上のペプチドまたはポリペプチドを選択するこ
    と、 を含む、上記方法。
  32. 【請求項32】 対象の抗原内のエピトープと免疫交差反応性のエピトープ
    を含有する1種以上のペプチドを得るための請求項31記載の方法であって、 ペプチドを提示するコア会合体の集団またはライブラリーと、対象の抗原と結
    合可能な抗体分子とを接触させること、および 上記抗体分子に結合する1種以上のペプチドを選択すること、 を含む、上記方法。
  33. 【請求項33】 所望の特性、リガンドまたはエピトープ結合能を有する選
    択されたペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列を有するペプチドまたはポ
    リペプチドを、少なくとも1種の他の成分を含有する組成物中に製剤することを
    さらに含む、請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 【請求項34】 所望の特性、リガンドまたはエピトープ結合能を有する選
    択されたペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸を用意することをさらに
    含む、請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
  35. 【請求項35】 適切な発現系内に核酸を提供し、該核酸が発現されること
    により該核酸がコードするペプチドまたはポリペプチドを産生させるかまたは該
    産生を可能とすることをさらに含む、請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 核酸を宿主内に提供すること、および該核酸がコードする
    ペプチドまたはポリペプチドを産生するのに適切な条件下で宿主細胞を培養する
    ことを含む、請求項35記載の方法。
  37. 【請求項37】 発現系からペプチドまたはポリペプチドを回収することを
    さらに含む、請求項35または36記載の方法。
  38. 【請求項38】 ペプチドまたはポリペプチドを精製および/または単離す
    ることを特徴とする、請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 上記ペプチドまたはポリペプチドを、少なくとも1種の他
    の成分を含有する組成物中に製剤することをさらに含む、請求項37または38
    記載の方法。
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