JP2003515902A - エレクトロスプレーイオン化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
法に関する。
の成分の質量を分析するためにしばしば用いられる。質量分光計では、分析され
る成分サンプルが遊離イオンの形で提供されることを必要とし、通常はイオンの
蒸気を生成するためにその液体サンプルを気化させる必要がある。一般にこれは
エレクトロスプレーイオン化により行われる。エレクトロスプレーイオン化(E
SI)において、噴霧は、液体サンプルが自由に流動可能な中空針に電圧(2−
3kVのオーダ)を印加することによって発生する。質量分光計に至る入口オリ
フィスには、例えば0Vなどの低い電位が与えられ、前記針の先端から前記質量
分光計のオリフィスに向けて電界が形成される。この電界は、前記流体中の正に
帯電した種を引き付け、これが針の先端でメニスカスに集積する。流体中の負に
帯電した種は中性化される。前記メニスカスは、反対に帯電された前記オリフィ
スの方へ延びで「テーラ・コーン(Taylor cone)」を形成する。前記帯電種と
オリフィスとの間の吸引力がテーラ・コーンの先端の表面張力を越えると、飛沫
がテーラ・コーンから分離して電界線に沿って前記オリフィスの方向へ飛翔する
。このオリフィスへ向う飛翔の間、前記飛沫の液体が気化され、前記飛沫中の正
味正電荷が増大する。正味正電荷が増大すると、この飛沫中の同一電荷同士間の
ニオビック反発力(columbic repulsion)も増大する。この同一電荷間の反発が
前記飛沫中の液体表面張力を越えると、前記飛沫が幾つかのより細かい飛沫に分
裂する。次にこれらの飛沫中の液体がさらに気化してこれらの飛沫がまた分裂す
る。これがオリフィスへの飛翔の間に幾度か発生する。
ついては2つの理論がある。イオン脱離法(ion desorption method)として知
られる第1の理論では、飛沫の大きさがある程度以下の小さな体積に縮小すると
、その飛沫中の荷電分子間の反発力によって前記分子が液体表面に浸透し、気相
に至ると想定されている。飛沫が小さくなればなるほどより多くの分子が気相に
至る。
論では、各飛沫が極めて小さくなり、それぞれが1つのアナライト分子しか含め
ない段階に至ると想定されている。通常は水である溶媒の最後の分子が前記飛沫
から気化すると、いまや気相となったアナライト分子に前記水中の余剰の正電荷
が移動する。本願発明の目的においては、このどちらの理論が正しいかは問題で
はない。エレクトロスプレーイオン化の問題は、高い流量(例えば、1分当たり
10μl以上)において前記飛沫の平均の大きさが増大することにある。これら
の飛沫の多くは、目標となる前記分子が気相に変化する前に前記入口プレートと
衝突し、中性化されてしまう。このことは、これら分子が分析させることがなく
、これによって感度を低下させることを意味する。
質量分析器に導入するための改善された方法と装置とを開示している。ここでは
、流量を1分当たり10μlよりもはるかに大きい、例えば1分当たり約200
0μlに至る流量とすることによってこのエレクトロスプレーイオン化の弱点の
克服を試みている。当該文献によれば、イオンを形成する装置は、液体クロマト
グラフから液体を受け入れる毛細管と、前記毛細管中の液体を直接的もしくは間
接的に加熱する熱エネルギ手段とから構成されている。前記熱エネルギ手段は、
電気抵抗加熱、ピエゾ電気加熱、超音波加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、ガ
ス加熱誘導などにより提供され得る。前記余剰熱の追加は、前記飛沫を微細な霧
状に分散する。この装置は、前記液体の加熱が毛細管内で行われるという欠点を
有している。これでは、飛沫と熱い毛細管壁との間が接触していることから毛細
管壁が加熱されると飛沫の外周側から内側へと加熱が行われるため飛沫の加熱が
均一ではなくなることになる。このため、液体の一部が沸騰しても他の部分では
単に温まるだけとなり得る。液体が沸騰してしまうと噴霧を促進させる余剰の正
の電荷を発生させる電気化学反応が起こらず、またもし液体が単に温まるだけで
あれば飛沫はオリフィスへの飛翔の間に速やかに気化することがなくなり、不利
となる。
ために液体サンプルのイオン化を促進する装置及び方法を提供することを目的と
している。
えた方法により達成される。 特に、本発明にかかる第1の実施の形態の装置では、液体クロマトグラフなど
の供給源から液体を受け取るチューブのスプレー端と目標オリフィスとの間にマ
イクロ波放射装置が配置される。これにより、当該マイクロ波放射装置から放射
されるマイクロ波によって前記飛沫は均一に加熱される。
を示す。図では、本発明とは関連しない実施上の詳細は表示の容易化と明確化の
ために省略している。エレクトロスプレー装置1では、例えば液体クロマトグラ
フ3などの液体供給源から流出する分析すべき分子を含んだ液体が、質量分光計
5などの質量分析器により分析される。前記液体は液体クロマトグラフ3から出
口チューブ7を通って質量分光計5へ向う放出チューブ9に導かれる。この放出
チューブ9は通常は毛細管9の形式であり、装置1のイオン化室13に延びるス
プレー端11を備える。この毛細管9は、たとえば3000Vの電位に接続され
る。イオン化室13は、入口プレート17によって質量分光真空室15と仕切ら
れており、この入口プレート17は、例えばアースなどの低電位の入口オリフィ
ス19を備えている。帯電した液滴は毛細管9のスプレー端11を離れ、これら
は入口オリフィス19へ向けて移動する間に気化する。これにより液体中のサン
プル分子がイオン化する。マイクロ波ヘッド21などのマイクロ波放射手段が、
イオン化室13内の毛細管9のスプレー端11近くに配置される。このマイクロ
波ヘッド21は、毛細管9のスプレー端11から流出する液体に向けて配置され
る。液体がより速やかに気化できるよう毛細管9のスプレー端11から流出する
液体を加熱するのに必要な適切な周波数と強度のマイクロ波を放射するため、マ
イクロ波ヘッド21は制御手段23によって制御することができる。前記液体が
水溶液であるときには、周波数2.45GHzのマイクロ波が使用され得る。高
いダイポール・モーメントを有する他の液体も、マイクロ波放射に曝されるとそ
の熱エネルギを増す。マイクロ波エネルギが液体に浸透すると液体を均一に加熱
するので、これによって液体の一部が沸騰し、他の部分が冷たいままとなる状態
を回避する。
いる。実線で示す第1の位置では、マイクロ波放射手段21'が毛細管のスプレ
ー端11の前方でその一方の側面に配置されている。この位置では、液体飛沫が
飛翔する線にほぼ直交する角度で当該飛沫にマイクロ波エネルギが当てられる。
これは、各飛沫がマイクロ波放射手段の前を通過するときにだけマイクロ波放射
に曝されることを意味する。破線で示す第2の位置では、マイクロ波放射手段2
1''は毛細管9のスプレー端11の後方に置かれ、前記オリフィスの方向に向け
られる。これは、飛沫がオリフィスへ向けて飛翔する間に継続的にマイクロ波エ
ネルギに曝されることを意味する。マイクロ波エネルギの強度と飛沫の大きさと
は飛沫がオリフィスに接近するほど低減する。これによって飛沫は、液体が気化
するに十分な時間だけ加熱されると同時に段階的に小さくなる飛沫が沸騰するリ
スクを低減することが保証される。点線で示す第3の位置では、マイクロ波放射
手段21'''は入口プレート17の近くに置かれ、後方の毛細管9の方向に向け
られる。この位置では、飛沫が受けるマイクロ波エネルギの強度は、飛沫が入口
プレート17とオリフィス19に接近するにしたがって増加する。これによって
全ての飛沫が入口プレート17に到達する前に気化することを確実にする。勿論
のこと、上述した位置、またはそれ以外の位置のいずれか、もしくは全てに複数
のマイクロ波手段21〜21'''を使用し、各位置において得られる利点を併せ
て享受することも考えられる。さらには、マイクロ波エネルギを連続モード、パ
ルスモード、または連続モードにパルスモードを付加したものに調整することも
可能である。
的に反応するよう毛細管9のスプレー端11にできるだけ近付けて配置すること
が好ましい。しかしながら、このときには毛細管9と入口プレート17の間の電
界による大きな障害を回避するよう十分な注意が必要である。実際には、質量分
光計のスペクトル質に影響を及ぼすことなく、0Vの電圧を印加されたマイクロ
波ヘッド21を3000Vでスプレー端11から約1cm以内に導入することが
可能である。
たが、前記マイクロ波ヘッドをイオン化室外に配置し、そのマイクロ波をイオン
化室内にある1つもしくはそれ以上のマイクロ波放射手段に導く導波管を用いる
ことも勿論考えられる。
説明してきたが、本発明にかかる装置及び方法を、その供給源とは関係なくいか
なるイオン化可能な液体にも適用することができる。
成されるエレクトロスプレー装置であって、前記液体を加熱するマイクロ波放射
手段(21)を備え、当該マイクロ波放射手段が前記スプレー手段(11)と前
記ターゲット(19)との間に配置されていることを特徴とするエレクトロスプ
レー装置。
と、前記液体供給源(3)から得られる液体を放出するためのスプレー端(11
)を有する毛細管(9)などの液体入口手段とから構成され、前記液体を加熱す
る前記マイクロ波エネルギ放射手段(21)が、前記スプレー端(11)と前記
入口プレートとの間に配置されていることを特徴とする、請求項1にかかるエレ
クトロスプレー装置。
ある。
7.出口チューブ、 9.放出チューブ(毛細管)、 11.スプレー端、
13.イオン化室、 15.質量分光真空室、 17.入口プレート、 19.
入口オリフィス、 21、21'、21''、21'''.マイクロ波ヘッド、 23
.制御手段。
Claims (7)
- 【請求項1】 液体供給源(3)と、 前記液体供給源(3)からの液体の飛沫を放出するためのスプレー端(11)
を有する液体入口手段(9)とから構成されるエレクトロスプレー装置であって
、 前記液体が前記スプレー端(11)を離れた後、当該液体を加熱するためのマ
イクロ波エネルギ放射手段(21)を備えていることを特徴とするエレクトロス
プレー装置。 - 【請求項2】 前記マイクロ波エネルギ放射手段が、マイクロ波ヘッド(2
1)であることを特徴とする、請求項1に記載のエレクトロスプレー装置。 - 【請求項3】 前記マイクロ波エネルギ放射手段(23)が、前記スプレー
端(1)と前記入口オリフィス(19)との間に配置されていることを特徴とす
る、請求項1または2に記載のエレクトロスプレー装置。 - 【請求項4】 複数のマイクロ波エネルギ放射手段(21〜21'')を備え
ていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一に記載のエレクトロスプ
レー装置。 - 【請求項5】 毛細管(9)の出口端末(11)から流出して質量分析器(
5)の入口プレート(17)にある入口オリフィス(19)に向けられる液体を
エレクトロスプレー装置内で加熱する方法であって、 前記液体が前記スプレー端(11)と前記質量分析器(5)との間にあるとき
に、マイクロ波エネルギによって前記液体を加熱するステップを含むことを特徴
とする方法。 - 【請求項6】 飛沫が前記スプレー端(11)を離れた後に当該飛沫にマイ
クロ波エネルギを当てる位置に置かれたマイクロ波放射手段(21)から前記マ
イクロ波エネルギを提供するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載
の方法。 - 【請求項7】 少なくとも2つのマイクロ波エネルギ放射手段(21〜21
'')を提供するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
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