JP2003513078A - オリゴベンズイミダゾール誘導体及びdna形質転換剤としてのそれらの使用 - Google Patents

オリゴベンズイミダゾール誘導体及びdna形質転換剤としてのそれらの使用

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シエルマン,ダニエル
ベソード,ミシエル
ピタール,ブリユノー
ソト,ハビエル
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アバンテイス・フアルマ・エス・アー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、一般式(I)[式中、Rは水素原子又は特定の置換基を表わし、nは2、3、4又は5に等しい整数であり、そしてR’は−O−R、−S−R、NHR基又は−O−CO−NH−Rを表わし、Rがアルキル基を表わすか、若しくはR’は−NR基又は−O−CO−NR基を表わし、RとRが各々アルキル基を表わし、アルキル基は12−22個の炭素原子を含む]の、核酸と結合することができるベンズイミダゾール誘導体及びそれらの塩、それらを含む組成物、ならびに、たとえばインビトロ、インビボ又はエクスビボで核酸を細胞内に導入するため又は投与した核酸を蛍光によって視覚表示するためのそれらの使用に関する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、式(I):
【0002】
【化3】 の、核酸と結合することができるオリゴベンズイミダゾール誘導体、それらの塩
、及び、たとえばインビトロ、インビボ又はエクスビボで核酸を細胞内に導入す
るため又は投与した核酸を蛍光によって視覚化するためのそれらの使用に関する
【0003】 特許第FR 1 519 964号は、式:
【0004】
【化4】 [式中、Arはアリーレン残基を表わし、R1は水素又はハロゲン原子、ヒドロ
キシル基、低級アルキル又はアルコキシ基、メルカプト又はアルキルメルカプト
基、アルキレンジオキシ又はニトロ基、フェニル残基又は任意にアルキル置換基
を担うアミノ基を表わし、R2は水素、任意に置換されたアルキル残基、アルコ
キシカルボニル、カルバミド、アリール又はアルアルキル残基を表わし、そして
はハロゲン原子又は低級アルキル残基を表わす] のビス−ベンズイミダゾール化合物及びそれらの塩を記述している。
【0005】 これらの化合物は、グラム陽性菌に対して高い駆虫及び静菌活性を持つと述べ
られており、それらはまた、典型的なグリーン蛍光によっても容易に特徴づける
ことができる(第FR 1 519 964号の5ページ、5項参照)。
【0006】 また特に、式中、Ar−R1がp−フェノールであり、R2がメチル基であり
、そしてRがHである、「ヘキスト(Hoechst) 33258」として
知られるこれらのビス−ベンズイミダゾール誘導体の1つが、発蛍光団であるこ
とに加えて、DNAの浅いほうの溝についての良好なリガンドでもあることが示
された。「ヘキスト 33258」は、それ故、新しく合成されたDNAを視覚
化し、DNA試料中に存在するA−T塩基対の数を決定するために有用であると
述べられている(F.G.Loontiensら、Biochemistry,
1990,29,p.9029−9039参照)。
【0007】 それ以来「ヘキスト 33258」に類似した多くの化合物が合成されてきた
。たとえば、潜在的にDNAの特定官能基との水素結合を導入するために、末端
フェノール上のヒドロキシル基がパラ位置ではなくメタ位置に存在する類似体が
調製された(S.E.S.Ebrahimiら、Anti−Cancer Dr
ug Design,1995,10,p.463−479)。「ヘキスト 3
3258」と比べてこのわずかな構造上の相違は特性には重要な変化をもたらさ
ないが、構造上のごくわずかな変化であっても、DNAへの結合特性は変化を受
けやすい(同資料の464ページ参照)。そのような誘導体は、生物学的ツール
として及びウイルス性疾患又は癌の症例におけるゲノムに対しての部位特定医薬
品として有用であると述べられている。
【0008】 化合物「ヘキスト 33258」はまた、たとえばヘキサキス(エチレングリ
コール)のような様々な種類の結合分子(一般に「リンカー」と称される)を、
この発蛍光団をオリゴ(デオキシヌクレオチド)に共有結合し、それによって形
成されるハイブリダイゼーション複合体の安定性を高め、蛍光を測定してこのハ
イブリダイゼーションの成功をモニターすることができるように、末端フェノー
ル置換基に導入することによって修飾された(K.Wiederholtら、J
.Am.Chem.Soc.,1996,118,p.7055−7062;S
haranabasava B.Rajurら、J.Org.Chem.,19
97,62,p.523−529)。
【0009】 長さは同じであるが塩基組成が異なる、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)
によって増幅されたDNA断片を、化合物「ヘキスト 33258」のDNAへ
の結合特性によって分離するために、「ヘキスト 33258」とポリエチレン
グリコール(「PEG」)間のコンジュゲートも生成された(M.Muller
ら、Nucleic Acid Research,1997,Vol.25,
No.24,p.5125−5126)。
【0010】 最後に、末端フェノールの酸素上に5、8又は12個の炭素原子を含むアルキ
ル鎖を担う「ヘキスト 33258」の類似体も合成されている。これらの類似
体はDNAの浅いほうの溝に結合し、これは癌細胞の一部の特異遺伝子の転写の
阻害をもたらすことが示された。また、これらの類似体はヒト黒色腫細胞に関し
て選択毒性を誘導することも示された(S.S.C.Wongら、Bioche
mical Pharmacology,1994,Vol.47,No.5,
p.827−837)。
【0011】 さらに、カチオン性脂質はDNAを細胞内に導入するための作用因子であるこ
とが知られている。詳細には、それらは、その全体的な正電荷のために、全体と
して負に荷電しているDNAと自発的に結合し、さらにイオン相互作用により、
細胞膜に結合することができ、DNAの細胞内遊離を可能にする緊密化された(
compacted)核脂質複合体を形成する。しかし、形質転換(trans
fecting)剤としてのこれらのカチオン性脂質の使用は多くのさらなる問
題を提起しており、それらの効果もまだ改善の余地が残されている。特に、有効
で安定な核脂質複合体を得るためには、一般にこれらの複合体が高度にカチオン
性である必要があることが認められた。しかしながら、次のような様々な理由か
ら、全体として中性又は負である核酸粒子を形成するために非イオン性又はより
カチオン性の低いベクターを提供できることが望ましいであろう: −それらの全体的な正電荷のために、核酸と導入ベクター間で形成される複合
体は細網内皮系によって捕獲される傾向があり、それ故それらの取出しが制限さ
れる、 −形成される複合体の全体的な正電荷のために、血漿蛋白がそれらの表面上に
吸着される傾向があり、形質転換力の損失をもたらす、 −局所注入に関して、大きな全体的正電荷の存在は、複合体が細胞外基質に吸
着するので、核酸複合体が投与部位を越えて拡散するのを妨げる;そのため複合
体はもはや標的細胞に到達することができず、その結果、注入した複合体の量に
比べて導入効率の低下が生じる、 −そして最後に、カチオン性脂質又は重合体は炎症作用を持ち、これは多くの
場合に認められている。
【0012】 核酸を導入するためにカチオン性脂質に代わるものがJ.S.Remyの論文
(「新規遺伝子導入ベクターのインビトロでの合成と使用(Synthesis
and use in vitro of novel gene−tran
sfer vectors)」、Jean−Serge REMY,Unive
rsite Louis Pasteur de Strasbourg,vi
va of 13 April 1994)において提案され、その中で、特に
DNAの浅いほうの溝についてのペプチドオリゴピロールのリガンド特性によっ
て、DNAと複合体を形成するために炭化水素ベースの脂肪鎖に結合したオリゴ
ピロールが合成された。しかし、合成されたオリゴピロール脂質誘導体はわずか
に毒性があることが認められ、形質転換効果を示さなかった。そのようなベクタ
ーは、それ故、カチオン性脂質に比べて有益であるとは思われなかった。
【0013】 ここで、一般式(I):
【0014】
【化5】 [式中、 −Rは、水素原子、カルボキシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル又は
アルキルカルバモイル基、あるいは任意に−4位において1−4個の直鎖状又は
分枝状炭素原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わすか、又はそ
の代わりにRはイミダゾリル基を表わし、 −nは2、3、4又は5に等しい整数であり、そして −R’は、−O−R、−S−R、NHR又は−O−CO−NH−R
を表わし、Rはアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR’は−NR又は−O−CO−NR基を表わ
し、RとRは、同じか又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異なる記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であっ
て、任意に飽和していて、12から22個の炭素原子を含む] のオリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその塩は、DNAのインビトロ、イ
ンビボ又はエクスビボでの投与及びその視覚化に関して特に有益なDNA結合特
性及び蛍光特性を持つことが認められた。
【0015】 詳細には、本発明に従った一般式(I)の化合物は、1つ又はそれ以上の炭化
水素ベースの脂肪鎖に結合した「ヘキスト 33258」の誘導体を構成し、そ
してこれらの化合物は、DNAリガンド、特にDNAの浅いほうの溝についての
DNAリガンドであるが、カチオン性脂質と異なって、当該DNAを緊密化しな
いことが示された。より詳細には、本発明に従った一般式(I)のオリゴベンズ
イミダゾール誘導体はDNAと非イオン性水素結合を形成する。従ってそれらは
、DNA産生及び/又は精製に関してDNAを安定化することができる。さらに
また、本発明に従ったオリゴベンズイミダゾール誘導体はDNAと結合したとき
「ヘキスト 33258」と同じ蛍光特性を保存しており、それ故DNAを視覚
化できることが示された。最後に、脂質性オリゴピロールと異なって、本発明に
従ったオリゴベンズイミダゾール誘導体は、同時にエンドヌクレアーゼによって
引き起こされる分解に対してDNAを保護しながら、このDNAを細胞内に導入
できることが明らかになった。
【0016】 本発明の1つの変法に従って、オリゴベンズイミダゾール誘導体は、一般式(
II):
【0017】
【化6】 [式中、 −Rは、水素原子又は任意に−4位において1から4個の直鎖状又は分枝状炭
素原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わし、 −nは2又は3
に等しい整数であり、そして −R’は、−OR、NHR又は−O−CO−
NH−R基を表わし、Rはアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR
’は−NR又は−O−CO−NR基を表わし、RとRは、同じ
か又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異な
る記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であって、任意に飽和していて、12か
ら22個の炭素原子を含み、 Rが4−メチルピペラジニルを表わすとき、Rはドデシル置換基を表わし、
R’はOR以外であること及びnが2に等しいと解される。] ならびにその塩を含む。
【0018】 本発明のために、12から22個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、任意
に飽和したアルキル置換基は「脂肪鎖」とも称される。脂肪鎖は特に12、14
、16又は18個の炭素原子を含みうる。それらは特に、(CH11CH 、(CH13CH、(CH15CH又は(CH17CH脂肪
鎖でありうる。
【0019】 一般式(I)のオリゴベンズイミダゾール誘導体は、特許第FR 1 519
964号に述べられているのと類似した方法に従って入手することができる。
これは、Rが任意に置換されたピペラジニル置換基を表わす誘導体を得ることを
所望する場合に特に該当する。詳細には、この場合、市販製品「ヘキスト 33
258」から出発して、当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法に従
って、一般式(I)で定義されているような置換基R’を末端フェノールのヒド
ロキシル基に結合させることが可能である。さらに、一般式(I)のオリゴベン
ズイミダゾール誘導体はまた、固相合成又は液相合成のいずれかによっても入手
することができる。
【0020】 A−液相での調製 非制限的に、次のようにして工程を実施することができる: 1)3,4−ジニトロベンズアルデヒドを市販の1,2−ジアミノベンゼンに
結合させて、自然結晶化後に、一般式(III):
【0021】
【化7】 のニトロ誘導体を得る。
【0022】 結合は、二ヨウ素の存在下にジオキサン中で実施する。工程は、好ましくは1
0℃から40℃の間の温度で約24時間実施する。
【0023】 3,4−ジニトロベンズアルデヒドは次のようにして入手することができる: a)市販の3,4−ジニトロ安息香酸を、酸からアシルハライドを得るための
当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法に従って、対応するアシルハ
ライドに変換する。たとえば、塩化チオニル、三塩化又は三臭化リン、あるいは
五塩化又は五臭化リンのような試薬の存在下に、約70℃から90℃の間の温度
で工程を実施する。もう1つの方法に従えば、テトラクロロメタン中トリフェニ
ルホスフィンの存在下で工程を実施する。
【0024】 b)次にハロゲン化3,4−ジニトロベンジルカルボニルを、アシルハライド
からアルコールを得るための当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法
に従って、対応するアルコールに還元する。たとえば、適当な溶媒(たとえばテ
トラヒドロフラン)中ホウ水素化リチウムの存在下に非常に低い温度で、たとえ
ば−78℃で、工程を実施することができる。
【0025】 c)上記の段階で得られたアルコールを、最後に、アルコールからアルデヒド
を得るための当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法に従って、酸化
して3,4−ジニトロベンズアルデヒドを生成する。たとえば、酸化クロムを酸
化剤として使用することができ、そして塩化トリメチルシリルの存在下で工程を
実施することができる。この場合、使用する温度は、たとえばジメチルホルムア
ミド、塩素化溶媒、等々のような適当な有機溶媒中で、約10℃から40℃の間
である。
【0026】 2)次に一般式(III)のニトロ誘導体を還元して、一般式(IV):
【0027】
【化8】 のジアミノ誘導体を得る。
【0028】 還元は、従来の方法に従って、たとえばアルコール中20から60℃の間の温
度で、ラネーニッケル又は木炭上パラジウムの存在下に酸性媒質中での接触水素
化によって実施する。もう1つの代替法は、酸性水性媒質中20から100℃の
間の温度で塩化第一スズの作用によって、あるいはその代わりに酸性水性及びア
ルコール性媒質中20から100℃の間の温度で鉄による還元によって工程を実
施することから成る。酸性水溶液は、たとえば塩酸水溶液でありうる。アルコー
ル性溶液は、たとえばメタノール又はエタノールでありうる。
【0029】 3)1)及び2)で述べたようなカップリングと還元の段階を連続的に2回反
復し、一般式(V):
【0030】
【化9】 [式中、nは2、3、4及び5から選択される整数を表わす] のジアミノ誘導体を得る。
【0031】 4)次に、上記で得た一般式(V)のジアミノ誘導体を一般式(VI):
【0032】
【化10】 [式中、R’は一般式(I)で定義したとおりである] のニトロベンズアルデヒド誘導体と結合させて、一般式(VII)
【0033】
【化11】 [式中、R’は上記で定義したとおりである] の誘導体を得る。
【0034】 好ましくは、結合は二ヨウ素の存在下にジオキサン中で実施する。工程は、好
ましくは10℃から40℃の間の温度で約24時間実施する。もう1つの方法に
従えば、適当な溶媒中、たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリジノン、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエ
ン、ベンゼン、等々において、ジクロロジシアノキノン(DDQ)の存在下で工
程を実施する。
【0035】 一般式(VI)のベンズアルデヒド誘導体は、市販のものか又は: a)R’がOR基を表わすときには、当業者に既知の従来の方法に従って又
は同様の方法に従って市販の4−ヒドロキシベンズアルデヒドのアルキル化によ
って、 b)R’がNHR基を表わすときには、当業者に既知の従来の方法に従って
又は同様の方法に従って市販の4−ニトロベンズアルデヒドの還元とそれに続く
アルキル化によって、又はその代わりに、 c)R’が−O−CO−NHR又は−O−CO−NR基を表わすとき
には、当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法に従って、市販の4−
ヒドロキシベンズアルデヒドへの酸誘導体COOH−NHR又はCOOH−N
の求核付加によって、入手する。
【0036】 5)本発明に従った一般式(I)の誘導体が、任意に置換されたピペラジニル
基又はイミダゾリル基を表わす置換基Rを担うことを所望するときには、上述し
た工程の第一段階を、4位においてR基で置換された1,2−ジアミノベンゼン
から出発して実施する。
【0037】 B−固相での調製、第一変法 本発明に従った一般式(I)のオリゴベンズイミダゾール誘導体はまた、固相
において調製することもできる。これは、本発明に従った一般式(I)の誘導体
がカルボキシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル又はアルキルカルバモイ
ル基を表わす置換基Rを担うことを所望する場合に特に該当する。この場合には
、次のように工程を実施しうる: 1)市販の3,4−ジアミノ安息香酸を、臭素又はヨウ素原子あるいはヒドロ
キシル基で置換された従来のワン型(Wang−type)樹脂又は他の何らか
の適当な樹脂に結合させ、一般式(VIII):
【0038】
【化12】 の置換樹脂を得る。
【0039】 出発樹脂がハロゲン原子で置換されているときには、適当な非プロトン性溶媒
において、セシウム塩及びN−エチルジイソプロピルアミン中の非求核塩基の存
在下で結合を実施する。使用しうる非求核塩基は、たとえば第三アミン、炭酸カ
ルシウム又は重炭酸ナトリウムである。さらに一層好ましくは、使用する塩基は
第三アミン、たとえばトリエチルアミン(TEA)又はN−エチルジイソプロピ
ルアミン(DIEA)である。適当な溶媒は、N−メチルピロリジノン及びジメ
チルホルムアミドから選択しうる。
【0040】 2)3,4−ジニトロベンズアルデヒドを上記の段階で得た一般式(VIII
)の置換樹脂と結合させて、自然結晶化後、一般式(IX):
【0041】
【化13】 のニトロ誘導体を得る。
【0042】 結合は、二ヨウ素の存在下にジオキサン中で実施する。工程は、好ましくは1
0℃から40℃の間の温度で約24時間実施する。3,4−ジニトロベンズアル
デヒドは、液相での調製について上述したのと同じ方法で入手する。
【0043】 3)次に、得られた一般式(IX)のニトロ誘導体を還元して、一般式(X)
【0044】
【化14】 のジアミノ誘導体を得る。
【0045】 還元は、好ましくは適当な溶媒中、ルイス酸の存在下で実施する。使用するル
イス酸は、たとえば塩化スズ又は塩化クロムである。使用する適当な溶媒は、た
とえばN,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジノンである。
【0046】 4)2)及び3)で上述したような結合と還元の段階を連続的にさらに2回反
復し、一般式(XI):
【0047】
【化15】 [式中、nは2、3、4及び5から選択される整数を表わす] のジアミノ誘導体を得る。
【0048】 5)次に、上記で得た一般式(XI)のジアミノ誘導体を一般式(VI):
【0049】
【化16】 [式中、R’は一般式(I)で定義したとおりである] のニトロベンズアルデヒド誘導体と結合させて、一般式(XII)
【0050】
【化17】 [式中、R’は上記で定義したとおりである] の誘導体を得る。
【0051】 好ましくは、結合は二ヨウ素の存在下にジオキサン中で実施する。工程は、好
ましくは10℃から40℃の間の温度で約24時間実施する。もう1つの方法に
従えば、N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリジノンから選択さ
れる適当な溶媒中、ジクロロジシアノキノン(DDQ)の存在下で工程を実施す
る。
【0052】 一般式(VI)のベンズアルデヒド誘導体は、市販のものか又は液相での調製
について上記で述べたようにして入手する。
【0053】 6)次に、上記の段階で得た誘導体を樹脂から開裂して、一般式(XIII)
【0054】
【化18】 [式中、R’及びnは上記で定義したとおりである] の酸を得る。
【0055】 樹脂の開裂は、当業者に既知の従来の方法に従って又は他の何らかの同様の方
法に従って実施する。たとえば、10℃から50℃の間の温度でトリフルオロ酢
酸の存在下に工程を実施する。
【0056】 7)一般式(I)のオリゴベンズイミダゾール誘導体を得るために、Rの意味
するものに依存して、次のように工程を実施する: a)Rがアルコキシカルボニル基を表わすときには、分子の残りの部分に有害
な作用を及ぼさない、当業者に既知の従来のエステル化法に従って、特にTet
rahedron,33,683(1977),Tetrahedron Le
tters,4475(1978)又はBull.Soc.Chim.Japa
n,40,2380(1967)に述べられている方法の適用又は応用によって
工程を実施する。
【0057】 b)Rがカルバモイル又はアルキルカルバモイル基を表わすときには、当業者
に既知であり且つ分子の残りの部分に有害な作用を及ぼさない、酸をアミドに変
換するための従来の方法に従って、たとえばアンモニアでの処理又は適当な第一
アミンでの処理(Rがアルキルカルバモイル基を表わす場合)によって、工程を
実施する。
【0058】 C−固相での調製、第二変法 もう1つの変法に従えば、固相での合成が次のようにして実施できる: 1)市販の3−ニトロ−4−アミノ安息香酸を、臭素又はヨウ素原子あるいは
ヒドロキシル基で置換された従来のワン型樹脂又は他の何らかの適当な樹脂に結
合させ、一般式(XIV):
【0059】
【化19】 の置換樹脂を得る。
【0060】 出発樹脂がハロゲン原子で置換されているときには、適当な非プロトン性溶媒
において、セシウム塩及びN−エチルジイソプロピルアミン中の非求核塩基の存
在下で結合を実施する。使用しうる非求核塩基は、たとえば第三アミン、炭酸カ
ルシウム又は重炭酸ナトリウムである。さらに一層好ましくは、使用する塩基は
第三アミン、たとえばトリエチルアミン(TEA)又はN−エチルジイソプロピ
ルアミン(DIEA)である。適当な溶媒は、N−メチルピロリジノン及びジメ
チルホルムアミドから選択できる。
【0061】 2)塩化4−フロオロ−3−ニトロベンジルカルボニルを上記の段階で得た一
般式(XIV)の置換樹脂に付加して、下記の一般式(XV):
【0062】
【化20】 の置換樹脂を得る。
【0063】 結合は、従来のペプチドカップリング法(Bodanski M.「ペプチド
合成の原理と実際(Principles and Practices of
Peptide Synthesis)」、Spirnger−Verlag
編集)に従って又は当業者に既知の何らかの同様の方法によって実施する。特に
、反応は一般に適当な非プロトン性溶媒中非求核塩基の存在下に0から100℃
の間の温度で、pHを9から11に調整して実施する。
【0064】 例として、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、アセト
ニトリル、ジクロロメタン、トルエン又はベンゼンが溶媒として使用できる。
【0065】 用いる非求核塩基は、好ましくは第三アミン、炭酸カルシウム又は重炭酸ナト
リウムである。さらに一層好ましくは、使用する塩基は、たとえばトリエチルア
ミン(TEA)又はN−エチルジイソプロピルアミンのような第三アミンである
【0066】 好都合には、ペプチドカップリングは0から50℃、好ましくは10から30
℃で実施する。
【0067】 塩化4−フロオロ−3−ニトロベンジルカルボニルは、酸からアシルハライド
を得るための当業者に既知の何らかの方法に従って、対応する市販の酸から入手
する。たとえば、約70℃から90℃の間の温度で塩化チオニルの作用によって
工程を実施することができる。
【0068】 3)次に、上記の段階で得た一般式(XV)の置換樹脂上のフッ素原子をアミ
ン官能基に変換して、一般式(XVI):
【0069】
【化21】 の置換樹脂を得る。
【0070】 アミノ化は、ハロゲン原子をアミノ官能基に変換するための当業者に既知の従
来の方法に従って、たとえば適当な溶媒、たとえばN,N−ジメチルホルムアミ
ド中でアンモニアの存在下に求核置換作用によって実施する。
【0071】 4)上述したような2)及び3)の段階を連続的にさらに2回反復して、一般
式(XVII):
【0072】
【化22】 の置換樹脂を得る。
【0073】 5)次に、上記で得た一般式(XVII)の置換樹脂を、一般式(XVIII
):
【0074】
【化23】 [式中、Halは、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子
を表わし、R’は上記で定義したとおりである] のアシルハライド誘導体と結合させて、一般式(XIX):
【0075】
【化24】 の置換樹脂を得る。
【0076】 結合は、従来のペプチドカップリング法(Bodanski M.「ペプチド
合成の原理と実際(Principles and Practices of
Peptide Synthesis)」、Spirnger−Verlag
編集)に従って又は当業者に既知の何らかの同様の方法によって実施する。特に
、反応は一般に適当な非プロトン性溶媒中非求核塩基の存在下に0から100℃
の間の温度で、pHを9から11に調整して実施する。
【0077】 例として、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、メチルピロリドン、アセ
トニトリル、ジクロロメタン、トルエン又はベンゼンが溶媒として使用できる。
【0078】 用いる非求核塩基は、好ましくは第三アミン、炭酸カルシウム又は重炭酸ナト
リウムである。さらに一層好ましくは、使用する塩基は、たとえばトリエチルア
ミン(TEA)又はN−エチルジイソプロピルアミンのような第三アミンである
【0079】 好都合には、ペプチドカップリングは0から50℃、好ましくは10から30
℃で実施する。
【0080】 一般式(XVIII)のアシルハライド誘導体は、市販のものであるか又は酸
からアシルハライドを得るための当業者に既知の何らかの方法に従って対応する
酸から入手する。たとえば、約70℃から90℃の間の温度で塩化チオニルの作
用によって工程を実施することができる。
【0081】 対応する酸誘導体は、市販のものであるか又は: a)R’がOR基を表わすときには、当業者に既知の従来の方法に従って又
は同様の方法に従って市販の4−ヒドロキシ安息香酸のアルキル化によって、 b)R’がNHR基を表わすときには、当業者に既知の従来の方法に従って
又は同様の方法に従って市販の4−ニトロ安息香酸の還元とそれに続くアルキル
化によって、又はその代わりに、 c)R’が−O−CO−NHR又は−O−CO−NR基を表わすとき
には、当業者に既知の従来の方法に従って又は同様の方法に従って、市販の4−
ヒドロキシ安息香酸への酸誘導体COOH−NHR又はCOOH−NR の求核付加によって、 入手する。
【0082】 6)次に、上記の段階で得た一般式(XIX)の置換樹脂を還元して、一般式
(XX):
【0083】
【化25】 の、多環化生成物で置換された樹脂を得る。 還元は、好ましくは適当な溶媒中
、ルイス酸の存在下で実施する。使用するルイス酸は、たとえば塩化スズ又は塩
化クロムである。使用する適当な溶媒は、たとえばN,N−ジメチルホルムアミ
ド又はN−メチルピロリジノンである。 7)上記の段階で得た多環化生成物を樹脂から開裂して、一般式(XXI):
【0084】
【化26】 の誘導体を得る。
【0085】 樹脂からの開裂は、当業者に既知の従来の方法に従って又は他の何らかの同様
の方法に従って実施する。たとえば、トリフルオロ酢酸の存在下に10℃から5
0℃の間の温度で工程を実施する。
【0086】 8)最後に、上記の段階で得た一般式(XXI)の誘導体から、固相での調製
の最初の変法について7)で上述した方法と同様にして、上記で定義したとおり
のR基で酸官能基を置換することにより、本発明に従った一般式(I)のオリゴ
ベンズイミダゾール誘導体を得る。
【0087】 本発明に従った新規オリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその合成中間体
は、任意に結晶化又はクロマトグラフィーのような物理的方法によって精製する
ことができる。
【0088】 さらに、本発明に従ったオリゴベンズイミダゾール脂質誘導体ならびにその合
成中間体は、それ自体既知である方法に従って金属塩基又は窒素性塩基との付加
塩に変換することができる。これらの塩は、分子の残りの部分に有害な作用を及
ぼさない通常の方法に従って、特にアルコール、エーテル又は水のような適当な
溶媒中での上記生成物への金属塩基(たとえばアルカリ又はアルカリ土類金属塩
基)、アンモニア又はアミンの作用によって、あるいは有機酸塩との交換反応に
よって得ることができる。形成された塩を、その溶液の任意の濃縮後に沈殿させ
、濾過、傾瀉及び/又は凍結乾燥によって分離する。
【0089】 本発明に従ったオリゴベンズイミダゾール脂質誘導体はまた、酸との付加塩に
変換することもできる。これらの塩の形態で得られた一般式(I)の化合物を、
通常の方法に従って遊離し、他の酸の塩に変換することができる。
【0090】 製薬上許容される塩の例として挙げられるのは、アルカリ金属(ナトリウム、
カリウム又はリチウム)又はアルカリ土類金属(マグネシウム又はカルシウム)
との塩、アンモニウム塩、窒素性塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン
、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、ジイ
ソプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ベンジルアミン、ジシ
クロヘキシルアミン、N−ベンジルフェネチルアミン、N,N’−ジベンジルエ
チレンジアミン、ジフェニレンジアミン、ベンズヒドリルアミン、キニーネ、コ
リン、アルギニン、リシン、ロイシン、ジベンジルアミン)の塩、ならびに無機
酸との付加塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩)又は有機
酸との付加塩(コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、
p−トルエンスルホン酸塩又はイセチオン酸塩)である。
【0091】 本発明のもう1つの対象は、上記で定義したようなオリゴベンズイミダゾール
誘導体と核酸を含む組成物に関する。
【0092】 本発明の別の主題は、上記で定義され且つ1つまたは複数のアジュバントも含
む組成物に関する。
【0093】 記載することができるアジュバントは、例えば、DNAと本発明のオリゴベン
ズイミダゾール誘導体との間で形成された複合体と組み合わせることができ、且
つその導入能力を改良することができる中性コリピドである。特に、生理学的条
件下で双性イオンであるかイオン電荷を欠く天然または合成脂質を使用すること
ができる。中性コリピドの代表例には、コレステロール、ジオレイルホスファチ
ジルエタノールアミン(DOPE)、オレオイルパルミトイルホスファチジルエ
タノールアミン(POPE)、ジステアロイル−、ジパルミトイル−、およびジ
ミリストイルホスファチジルエタノールアミンならびにその1から3回Nメチル
化誘導体、ホスファチジルグリセロール、ジアシルグリセロール、グリコシルジ
アシルグリセロール、セレブロシド(特に、ガラクトセレブロシドなど)、スフ
ィンゴ脂質(特に、スフィンゴミエリンなど)、またはアシアロガングリオシド
(特に、アシアロGM1およびGM2など)が含まれる。
【0094】 これらの種々の中性コリピドを、当業者に既知の従来技術による合成または器
官(例えば、脳など)もしくは卵からの抽出のいずれかによって得ることができ
る。例えば、有機溶媒を使用して中性脂質の抽出を行うことができる(Bioc
hemistry、Lehningerも参照のこと)。
【0095】 本発明の組成物は、一般に、1当量の核酸あたり(mol/mol)0.01
から20[lacna]の中性コリピド、好ましくは0.05から5当量の中性
コリピドを含む。
【0096】 使用することもできるアジュバントは、生物学的利用能を改良する化合物(例
えば、ポリエチレングリコール)である。
【0097】 別の実施形態によれば、本発明の組成物はまた、核酸導入を方向付ける標的エ
レメントを含み得る。この標的エレメントは、DNA導入を一定の所望の細胞型
または一定の所望の組織(腫瘍細胞、肝細胞、造血細胞など)に方向付けるため
の細胞外標的エレメントであり得る。これはまた、核酸導入を一定の好ましい細
胞区画(ミトコンドリア、核など)に方向付けるための細胞内標的エレメントで
あり得る。
【0098】 本発明で使用することができる標的エレメントのうち、糖、ペプチド、タンパ
ク質、オリゴヌクレオチド、脂質、神経メディエーター、ホルモン、ビタミンま
たはその誘導体が挙げられる。好ましくは、これらは糖、ペプチドまたはタンパ
ク質(抗体または抗体フラグメントなど)、細胞レセプターリガンドまたはその
フラグメント、レセプターまたはレセプターフラグメントなどである。特に、こ
れらは、成長因子レセプター、サイトカインレセプター、細胞レクチン型のレセ
プターのリガンドまたは接着タンパク質(インテグリンなど)のレセプターに親
和性を有するRGD配列を有するリガンドからなり得る。トランスフェリン、H
DLおよびLDLのレセプターまたは葉酸輸送体が挙げられる。標的エレメント
はまた、レクチン標的用の糖(アシアロ糖タンパク質またはアシアリルスイスX
などのアシアリルのレセプターなど)、または抗体Fabフラグメントまたは一
本鎖抗体(ScFv)であり得る。
【0099】 各成分のそれぞれの量を、使用したオリゴベンズイミダゾール誘導体、核酸ま
たはアジュバントおよび所望の適用物(特に、形質転換すべき細胞型)の関数と
して当業者が容易に調整することができる。
【0100】 本発明の目的のために、用語「核酸」は、小さな溝および大きな溝を含む二重
らせんを形成する二本鎖のデオキシリボ核酸を意味する。これらは、天然であっ
ても人工的な配列であってもよく、特にゲノムDNA(gDNA)、相補DNA
(cDNA)、ハイブリッド配列または合成もしくは半合成配列である。これら
の核酸は、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルスなどに由来し得る。当業者に既知
の任意の技術(特に、ライブラリーのスクリーニング、化学合成、またはライブ
ラリーのスクリーニングによって得られた配列の化学的または酵素的改変を含む
混合法)これらを得ることができる。
【0101】 1つの特定の実施形態によれば、核酸は、ベクター(特に、発現ベクター、組
換えベクター)、プラスミド、エピソームなどからなる。前記ベクターは、コー
ド配列および前記コード配列の発現に必要な全てのエレメント(特に、挿入すべ
き核酸の発現を調節するためのエレメント(プロモーターおよび活性化配列(「
エンハンサー」)など)または転写の開始および停止に適切な配列、他のエレメ
ント(例えば、機能的または非機能的複製起点をコードする配列、マーカー遺伝
子、他の細胞区画と結合する領域、シグナル配列、ポリアデニル化配列など))
を含む。
【0102】 表現「コード配列」は、標的細胞中で活性な調節配列(例えば、1つまたは複
数のプロモーターおよび転写ターミネーター)を使用する局面に置かれた治療目
的の遺伝子を意味する。
【0103】 本発明の目的のために、表現「治療目的の遺伝子」は、特に、治療効果を有す
るタンパク質産物をコードする任意の遺伝子を意味する。したがって、コードさ
れるタンパク質産物は、特に、タンパク質またはペプチドであり得る。このタン
パク質産物は、標的細胞に関して外因性または内因性のホモログ(すなわち、こ
の細胞が病理学を示さない場合に標的細胞で通常発現される産物)であり得る。
この場合、タンパク質発現によって、例えば、細胞中の不十分な発現または改変
のために不活性または活性の弱いタンパク質の発現を克服するか、このタンパク
質を過剰発現させることができる。治療目的の遺伝子はまた、安定性が増大し、
活性が改変されている細胞タンパク質の変異体をコードすることができる。タン
パク質産物はまた、標的細胞に対して異種であり得る。この場合、発現したタン
パク質は、例えば、細胞で欠乏した活性を補完または提供することができ、それ
により病理学的性質を制御するか免疫応答を刺激することができる。
【0104】 本発明の目的のためにより詳細に挙げることができる治療産物は、酵素、血液
誘導体、ホルモン、リンホカイン(インターロイキン、インターフェロン、TN
Fなど、フランス特許第92/03120号)、成長因子、神経伝達物質または
合成酵素もしくはその前駆体、栄養因子(BDNF、CNTF、NGF、IGF
、GMF、aFGF、bFGF、NT3、NT%、HARP/プレイオトロフィ
ンなど)、アポリポタンパク質(ApoAI、ApoAIV、ApoEなど、フ
ランス特許第93/05125号)、ジストロフィンまたはミニジストロフィン
(フランス特許第91/11947号)、ムコビシドーシスに関連するCFTR
タンパク質、腫瘍抑制遺伝子(p53、Rb、Rap1A、DCC、k−rec
など、フランス特許第93/04745号)、凝固関連因子をコードする遺伝子
(第VII因子、第VIII因子、および第IX因子)、DNA修復に関連する
遺伝子、自殺遺伝子(チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ)、ヘモグロビ
ンまたは他の輸送タンパク質の遺伝子、代謝および異化酵素などである。
【0105】 治療目的の核酸はまた、標的細胞での発現により細胞mRNA転写または遺伝
子発現を可能にするアンチセンス配列または遺伝子であり得る。このような配列
を、例えば、欧州特許第140308号に記載の技術にしたがって、標的細胞に
おいて細胞mRNAに相補的なRNAに転写して、タンパク質への翻訳を遮断す
ることができる。治療遺伝子はまた、標的RNAを選択的に破壊することができ
る、リボゾームをコードする配列を含む(欧州特許第321201号)。
【0106】 上記のように、核酸はまた、ヒトまたは動物で免疫応答を得ることができる抗
原ペプチドをコードする1つまたは複数の遺伝子を含み得る。この特定の実施形
態では、本発明により、ヒトまたは動物(特に、微生物、ウイルス、または癌)
に適用するワクチン免疫治療の治療物質のいずれかを調製可能である。これは、
特に、エプスタイン−バーウイルス、HIVウイルス、B型肝炎ウイルス(欧州
特許第185573号)、仮性狂犬病ウイルス、「シンシチウム形成ウイルス」
、他のウイルスに特異的な抗原ペプチドまたは腫瘍に特異的な抗原ペプチド(欧
州特許第259212)であり得る。
【0107】 好ましくは、核酸はまた、治療目的の遺伝子および/または所望の細胞または
器官中の抗原ペプチドをコードする遺伝子の発現を可能にする配列を含む。これ
らは、これらの配列が感染細胞で機能することができる場合に考慮される遺伝子
の発現を生来担っている配列であり得る。これらはまた、異なる起源の配列(他
のタンパク質または合成配列の発現を担う)であり得る。特に、これらは、真核
生物またはウイルス遺伝子のプロモーター配列であり得る。例えば、これらは、
感染されることが望ましい細胞のゲノム由来のプロモーター配列であり得る。同
様に、これらは、ウイルスゲノム由来のプロモーター配列であり得る。これに関
して、例えば、E1A、MLP、CMV、RSVなどの遺伝子プロモーターを挙
げることができる。さらに、これらの発現配列を、活性化配列、調節配列などの
付加によって改変することができる。誘導プロモーターまたは抑制プロモーター
にも関し得る。
【0108】 さらに、核酸はまた、特に、治療目的遺伝子の上流(合成された治療産物を標
的細胞の分泌経路に指向させるシグナル配列)を含み得る。このシグナル配列は
、治療産物の天然のシグナル配列であり得るが、任意の他の機能的シグナル配列
または人為的シグナル配列でもあり得る。核酸はまた、合成された治療産物を特
定の細胞区画に指向するシグナル配列を含み得る。
【0109】 本発明の組成物を、局所、皮膚、経口、直腸、膣内、非経口、鼻腔内、静脈内
、筋肉内、皮下、眼内、経皮、気管内、腹腔内などの投与目的で処方することが
できる。好ましくは、本発明の組成物は、局所投与用(皮膚および/または粘膜
)の注射用処方、特に所望の器官への直接注射またはエアゾール化による投与用
に薬学的に受容可能な媒介物を含む。これらの組成物は、特に、滅菌等張溶液ま
たは場合によっては滅菌水もしくは生理食塩水の添加により注射用溶液を構成す
ることができる乾燥組成物(特に、凍結乾燥組成物)であり得る。注射に使用さ
れる核酸の投薬量および投与回数を、種々のパラメータの関数、特に、使用した
投与法、考えられる病態、発現すべき遺伝子、または所望の処理継続時間の関数
として適合させることができる。さらに投与法に関して、これは、組織(例えば
、腫瘍)もしくは循環経路への直接注射または培養での細胞の処理後の注射また
は移植によるインビボでの再移植のいずれかであり得る。本発明で考慮される組
織は、例えば、筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、
血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、膀胱、胃、腸、精巣、卵巣、直腸、神経系、眼、
腺、結合組織である。
【0110】 本発明の主題はまた、インビトロ、インビボ、エクスビボでの細胞への核酸の
導入用の上記定義のオリゴベンズイミダゾール誘導体の使用である。より詳細に
は、本発明の主題は、細胞への核酸導入用の医薬品調製用の上記定義の化合物で
ある。この医薬品に含まれる核酸は、タンパク質産物または核酸産物をコードす
るか、核酸産物を構成し、タンパク質産物または核酸産物が関連するインビボま
たはエクスビボで疾患を治療することができる。
【0111】 本発明はまた、核酸を少なくとも1つの本発明のオリゴベンズイミダゾール誘
導体、および任意選択的に1つまたは複数のアジュバントおよび/または1つま
たは複数のより生理学的に適合する媒介物とを接触させて複合体を形成させる第
1の工程と、このようにして形成された前記複合体を細胞に接触させることから
なる第2の工程とを包含する、細胞への核酸の導入法に関する。
【0112】 細胞と複合体とのインキュベーション(インビトロまたはエクスビボ)または
生物中への複合体の注射またはエアゾール化によって細胞と複合体との接触を行
うことができる。例えば、10細胞あたり0.01から1000μgの核酸イ
ンキュベーションを行うことが好ましい。インビボ投与では、例えば、10−4 から10mgの範囲の核酸用量を使用することができる。
【0113】 本発明のオリゴベンズイミダゾールを使用して、核酸を初代細胞または樹立細
胞系に導入することができる。これらは、分化または多能性(前駆体)形態の線
維芽細胞、筋肉細胞、神経細胞(ニューロン、星状細胞、グリア細胞)、肝細胞
、造血細胞(リンパ球、CD34、樹状細胞など)、上皮細胞などであり得る。
【0114】 最後に、本発明の組成物の使は、ヒトおよび任意の動物(ヒツジ、ウシ、ペッ
ト(イヌ、ネコなど)、ウシ、魚など)に関し得る。
【0115】 上記の規定に加えて、本発明はまた、以下の実施例および図面から明らかにな
る他の特徴および利点を含むが、これは本発明の範囲を制限しない本発明の例示
と考えるべきである。特に、出願人は、制限しない様式で、種々の操作プロトコ
ールならびに一般式(I)の導入剤を調製することができる反応中間体を提案す
る。いうまでもなく、これらのプロトコールまたは中間体生成物によってこれら
の同一の化合物を誘導するための類似の処理工程を考え出すことは当業者の範囲
内である。
【0116】 (図面の簡単な説明) 図1は、実施例1及び2においてそれらの調製を概説する、オリゴベンズイミ
ダゾール誘導体(1)及び(2)の構造。
【0117】 図2は、誘導体(1)の漸増量(DNAnmol/μg)の関数としての、D
NA/誘導体(1)複合体(実線の曲線)及び誘導体(1)単独(点線の曲線)
の450nmでの蛍光発光シグナル。DNA濃度は50μg/mlである。
【0118】 図3は、誘導体(2)の漸増量(DNAnmol/μg)の関数としての、D
NA/誘導体(2)複合体(実線の曲線)及び誘導体(2)単独(点線の曲線)
の450nmでの蛍光発光シグナル。DNA濃度は50μg/mlである。
【0119】 図4は、DNA μg当りの生成物nmolで表わした種々の誘導体濃度での
、誘導体(1)及び(2)と複合したDNAプラスミドのアガロースゲル。 「*」:DNAに複合していない、従って注入点に残存している誘導体の特徴的
な黄色のバンド。 「**」:DNAに複合した生成物の特徴的な青色のバンド。
【0120】 図5は、DNA μg当りの生成物nmolで表わした種々の誘導体濃度での
、誘導体(1)及び(2)と複合したDNAプラスミドのアガロースゲル。ゲル
は、図4と同じ紫外線ランプ下で、但しエチジウムブロマイドを用いて明らかに
した。
【0121】 図6は、特許願第WO97/18185号に述べられているような、式:
【0122】
【化27】 のカチオン性脂質の漸増量と結合したDNAプラスミド1μgのアガロースゲル
(0.8%)である。この量はDNA μg当りのカチオン性脂質nmolで表
わしている。バンドは、エチジウムブロマイドと紫外線ランプ下での吸収によっ
て明らかにした。
【0123】 図7は、細胞内へのDNA導入の実験において使用したプラスミドpXL30
31の図式的表示。
【0124】 (実施例) 予備的コメント:ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、N
−エチルジイソプロピルアミン、「Hoechst33258」、Wang−ブ
ロモポリスチレン樹脂、ヨウ素、ヨウ化セシウム、3,4−ジアミノ安息香酸、
1,2−ジアニリン、3,4−ジニトロ安息香酸、チオニルクロリド、ピリジン
、酸化クロム、トリメチルシリルクロリド、ホウ化水素リチウム、および塩化ス
ズは全て市販の製品である。
【0125】 プロトンNMR(核磁気共鳴)スペクトルを、Brucker250および4
00MHzの分光計に記録した。
【0126】 AS−2000A自動サンプラー、L−6200Aランプ、220nmのUV
L4000検出器、およびD2500積分器を具備したHitachiの機械
でHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析を行った。Applied B
iosystemsに販売されている脂質鎖を有する産物を分析するために使用
したカラムは、長さ3cmで直径4.6mmのステンレススチール製のカラムで
ある。移動相はトリフルオロ酢酸を含む水およびアセトニトリルであり、固定相
はAquaporeブチル7ミクロンである。流層は1から4ml/分の範囲で
ある。Merckから市販されている脂質鎖を含まない産物を分析するために使
用される他のカラムは、長さ25cmで直径4.6mmのステンレススチール製
のカラムである。移動相はトリフルオロ酢酸を含む水およびアセトニトリルであ
り、固定相はLichrospher RP−18ミクロンである。流層は1m
l/分である。
【0127】 シリカゲルでコートされた20×20[lacuna]アルミニウムプレート
で薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。
【0128】 分離用HPLC精製に関しては、使用した装置はUV検出が可能な勾配モード
での液相クロマトグラフィー用のアセンブリである。この一連の調製は、以下の
エレメントから構成されている ポンプA:50SCヘッドを具備したGilsonモデル305 ポンプB:50SCヘッドを具備したGilsonモデル303 注入ポンプ:25SCヘッドを具備したGilsonモデル303 圧力ユニット:Gilsonモデル806 ミキサー:23mlヘッドを具備したGilsonモデル305 UV検出器:分離用セルを具備し、220nmに設定したGilsonモデル
119 フラクションコレクター:キャリアNo.21を具備したGilsonモデル
202 積分器:ShimadzuモデルC−R6A カラム:Vydacから市販され、長さ25cmで直径2.2cmのステンレ
ススチールC4カラム(10μ)(モデル214TP1022)。Vydacか
ら市販され、長さ25cmで直径2.2cmのステンレススチールC4カラム(
10μ)(モデル218TP1022)。
【0129】 精製されるべき産物溶液を注入ポンプによって15または12ml/分の流速
でロードする。
【0130】 実施例1:誘導体(1):4−[6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1
H,3’H−[2,5’]ビスベンズイミダゾール−2’−イル]−1−オクタ
デシルカルバモイルオキシフェニルの合成 0.32mmolの「Hoechst33258」を、10cmのジメチル
ホルムアミドに溶解する。2mmolのN−エチル−ジイソプロピルアミンをこ
の溶液に添加後、1mmolのオクタデシルイソシアナートを添加する。混合物
を50℃で24時間撹拌し、反応をHPLCでモニターする。過剰なイソシアナ
ートの導入による沈殿形態の得られた尿素を冷却条件下で濾過して除去する。酢
酸を加えてpH4にし、溶媒を蒸発して除去する。
【0131】 得られた粗生成物を分離用HPLCで精製する。目的の画分を合わせて、凍結
乾燥する。
【0132】 0.1254mmolの加塩生成物が得られる(すなわち、収率39.2%)
。 HPLC:9.81分。 H NMRスペクトル(400MHz、(CDSO−d、ppmでの
δ):0.86(t,J=7Hz:3H);1.15から1.40(mt,30
H);1.51(mt:2H);2.92(s:3H);3.00から3.15
(mt:2H);3.10(mt:2H);3.26(mt:2H);3.61
(幅広d,J=10Hz:2H);3.91(幅広d,J=10Hz:2H);
7.20(幅広s:1H);7.25(幅広d,J=9Hz:1H);7.36
(d,J=9Hz:2H);7.68(d,J=9Hz:2H);7.80から
7.90(mt:2H);8.06(dd,J=9および1.5Hz:1H);
8.25(d,J=9Hz:2H);8.45(幅広s:1H);9.70から
9.90(unres.mult.1H)。
【0133】 実施例2:誘導体(2):4−[6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1
H,3’H−[2,5’]ビスベンズイミダゾール−2’−イル]−1−ドデシ
ルカルバモイルオキシフェニルの合成 0.32mmolの「Hoechst33258」を、10cmのジメチル
ホルムアミドに溶解する。2mmolのN−エチル−ジイソプロピルアミンをこ
の溶液に添加後、1mmolのドデシルイソシアナートを添加する。混合物を5
0℃で24時間撹拌し、反応をHPLCでモニターする。過剰なイソシアナート
の導入による沈殿形態で得られた尿素を冷却条件下で濾過して除去する。酢酸を
加えてpH4にし、溶媒を蒸発して除去する。
【0134】 得られた粗生成物を分離用HPLCで精製する。目的の画分を合わせて、凍結
乾燥する。
【0135】 0.134mmolの加塩生成物が得られる(すなわち、収率41.9%)。
HPLC:11.34分。 H NMRスペクトル(400MHz、(CDSO−d、ppmでの
δ):0.89(t,J=7Hz:3H);1.25から1.45(mt,18
H);1.56(mt:2H);2.93(s:3H);3.15(mt:2H
);3.30から4.20(mt:8H);7.17(dd,J=9および2H
z:1H);7.22(d,J=2Hz:1H);7.34(d,J=8.5H
z:2H);7.45から7.60(unres.mult.:1H);7.6
3(d,J=9Hz:1H);7.81(d,J=8Hz:1H);8.06(
幅広d,J=8Hz:1H);8.24(d,J=8.5Hz:2H);8.4
3(幅広s:1H)。
【0136】 実施例3:蛍光の直接測定による誘導体(1)または(2)とDNAとの複合
体の形成の証明 本実施例は、本発明のオリゴベンズイミダゾール誘導体のDNAと複合体を形
成する性質を例示する。
【0137】 これのために、DNAと漸増量の誘導体(1)または(2)との混合物の蛍光
を、350nmでの励起および450nmでの検出によって測定した。
【0138】 誘導体(1)との複合体の形成についての結果を図2に示し、誘導体(2)と
の複合体の形成についての結果を図3に示す。
【0139】 全ての場合、オリゴベンズイミダゾール誘導体(1)または(2)が存在する
場合かDNAが溶液のみである場合、蛍光は検出されないことが見出される。し
たがって、蛍光は、定常状態に達するまで誘導体(1)または(2)の増加に伴
って増加する。この蛍光は、誘導体(1)または(2)のみによって発光した蛍
光と同一ではないが、それに対して、DNA/誘導体複合体で得られた曲線は、
「Hoechst33258」で得られた曲線と類似した発光および励起スペク
トルを示す。
【0140】 したがって、これらの結果は、誘導体(1)および(2)は、DNAと複合体
を形成し、DNAの溝の飽和(これを超えるとさらに複合体は形成されないDN
A量に関する誘導体の濃度)はオリゴベンズイミダゾール誘導体/DNA比が約
1.5から2nmol/μgであることを示す。
【0141】 実施例4:アガロースゲルの電気泳動研究および先行技術のカチオン性脂質と
の比較 本実施例は、本発明のDNA/オリゴベンズイミダゾール誘導体複合体の形成
を証明しているので、実施例3を補完するものである。さらに、本実施例は、先
行技術のDNA/カチオン性脂質複合体と比較したこれらのDNA/オリゴベン
ズイミダゾール誘導体複合体の特異的性質を例示する。
【0142】 これのために、漸増量の本発明の誘導体(1)または(2)と混合したDNA
プラスミドのアガロースゲルを調製した(図4を参照のこと)。このゲルをUV
ランプの光の下で直接観察し、暴露はしなかった。したがって、本発明の誘導体
の特異的スペクトル吸収性によって以下の2つのバンドが認められた: −誘導体のみで特徴的な黄色のバンド(すなわち、DNAと複合化していない
)(「*」で標識したバンド):誘導体は注入点にとどまっていることが認めら
れる、 −DNAと複合化した誘導体で特徴的な青色バンド(「**」で標識したバン
ド)。
【0143】 次いで、同一のアガロースゲルを臭化エチジウム暴露した(図5を参照のこと
)。DNAは本発明の誘導体の濃度にかかわりなく裸のDNAと同一の様式で移
動することが認められる。したがって、本実施例は、誘導体(1)および(2)
により裸のDNAと同一の電気泳動移動特性を有するDNAと複合化するが、D
NAが従来のカチオン性脂質と複合化する場合はこの限りではないという事実を
例示している。特に、図6は、漸増量のカチオン性脂質を含む誘導体を使用して
調製されたアガロースゲルを示す:形成された複合体の移動が認められ、これは
DNAと共に存在するカチオン性脂質の量によって変化する。この結果は、カチ
オン性脂質の量が多いほどDNAは小型になってゲル上の移動度が小さくなるこ
とを示す。
【0144】 したがって、本発明のオリゴベンズイミダゾール誘導体は、DNAを小型化し
ないDNA複合化剤であり、非ウイルス遺伝子形質転換用に従来から使用されて
いるカチオン性脂質とは異なる。したがって、大量の本発明の誘導体DNAに添
加されて複合体を形成させた場合でさえ、DNAの移動特性が保存される。本発
明のオリゴベンズイミダゾール誘導体によってその移動特性が改変することなく
DNAがエンドヌクレアーゼから保護可能なDNAとの複合体を形成する可能で
あるので、この性質は非ウイルス形質転換の局面で特に有利である。
【0145】 さらに、特に、本発明の誘導体の特異的蛍光特性により、臭化エチジウムでの
暴露を行うことなく直接法によって検出することができる複合体も形成可能であ
る。
【0146】 実施例5:血清の存在下および非存在下での本発明の誘導体(2)と複合化し
た遺伝物質のインビトロでの形質転換 A.使用した遺伝物質 使用したプラスミドは、0.5mg/mlまたは1.0mg/mlの濃度での
5%デキストロースと10mM塩化ナトリウムとの混合物溶液としてのプラスミ
ドpXL3031である(図7を参照のこと)。このプラスミドは、サイトメガ
ロウイルスP/E CMVプロモーターの調節下でルシフェラーゼをコードする
luc遺伝子を含む。そのサイズは3671bpである。プラスミドpXL30
31を、特許出願WO97/35002に記載の方法にしたがって精製した。
【0147】 核酸溶液を20μg/mlの生理学的食塩水溶液(0.15M塩化ナトリウム
)で希釈する。
【0148】 B.サイトフェクション溶液(使用時に調合) 本発明のオリゴベンズイミダゾール誘導体(2)を水に溶解して40から16
0μmolの範囲の濃度にし、DNA溶液とv/vで混合した。最終生理食塩水
濃度は、75mmolである。
【0149】 C.形質転換 HeLa細胞を24ウェルマイクロプレート上(2cm/ウェル)で適切な
条件下で培養し、指数関数的成長期で且つ50から70%コンフルエントに形質
転換する。
【0150】 細胞を0.5cmの無絹タンパク質培地で2回洗浄し、無血清培地(血清の
非存在下での形質転換)または完全培地(血清の存在下での形質転換)のいずれ
かで再成長させる。0.05cmのサイトフェクション混合物(0.5μgの
DNA/ウェル)を細胞に添加する(3ウェル/DNA−ベクター条件)。血清
の非存在下で細胞が形質転換された場合、形質転換から2時間後に適切な量の血
清を含む成長培地を補充する。
【0151】 形質転換から48時間後にPromegaキット(「ルシフェラーゼアッセイ
系」)に添付の忠告に従ったルシフェラーゼの発現の測定によって形質転換効率
を評価する。サイトフェクション混合物の毒性を、細胞溶解物中のタンパク質濃
度の測定によって評価する。
【0152】 RLU/5μl/10s/μgのタンパク質(さらに単純にはPLU/μgの
タンパク質と記載し、「RLU」は「相対光単位」を意味する)で発現したタン
パク質と比較したインビトロルシフェラーゼ活性の結果を、以下の表で示す。
【0153】
【表1】 得られた結果は、血清の存在下または非存在下のいずれであっても、インビト
ロでの細胞中で本発明の誘導体と複合化した遺伝物質の導入後に発現することが
できることを示す。
【0154】 実施例6:電気導入を用いるか用いない本発明の誘導体(1)と複合化した遺
伝物質のインビボ形質転換 使用したプラスミドは、実施例5に記載のものと同一である(pXL3030
1)。同様に、サイトフェクション溶液を、実施例5に記載の方法で調製する。
【0155】 形質転換。25μlの誘導体(1)/DNA複合体溶液を、C57B16マウ
スに4μgのDNA/マウス筋肉の速度で筋肉内注射する。
【0156】 形質転換から7日後にPromegaキット(ルシフェラーゼアッセイ系)に
添付の忠告に従ったルシフェラーゼの発現の測定によって形質転換効率を評価す
る。筋肉を1.5mlの溶解緩衝液(プロテアーゼインヒビターを含む)中で粉
砕する。10μlでのルシフェラーゼ活性のアッセイ後、結果をRLU/10μ
l/10秒で示す。
【0157】 マウス筋肉におけるインビボルシフェラーゼ活性の結果(RLU/10μl/
10秒で示す)を以下の表に列挙する。
【0158】
【表2】 得られた結果は、特許出願WO99/011576およびWO99/0115
8に記載の電気導入技術を使用してもしなくても本発明の誘導体と複合化した遺
伝物質の導入後に筋肉内でインビボ発現することができることを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び2においてそれらの調製を概説する、オリゴベンズイミダゾール
誘導体(1)及び(2)の構造を示す。
【図2】 誘導体(1)の漸増量(DNAnmol/μg)の関数としての、DNA/誘
導体(1)複合体(実線の曲線)及び誘導体(1)単独(点線の曲線)の450
nmでの蛍光発光シグナルを示す。
【図3】 誘導体(2)の漸増量(DNAnmol/μg)の関数としての、DNA/誘
導体(2)複合体(実線の曲線)及び誘導体(2)単独(点線の曲線)の450
nmでの蛍光発光シグナルを示す。
【図4】 DNA μg当りの生成物nmolで表わした種々の誘導体濃度での、誘導体
(1)及び(2)と複合したDNAプラスミドのアガロースゲル分析の結果を示
す。 「*」はDNAに複合していない、従って注入点に残存している誘導体の特徴的
な黄色のバンドを示し、 「**」はDNAに複合した生成物の特徴的な青色のバンドを示す。
【図5】 DNA μg当りの生成物nmolで表わした種々の誘導体濃度での、誘導体
(1)及び(2)と複合したDNAプラスミドのアガロースゲル分析の結果を示
す。
【図6】 特許願第WO97/18185号に述べられているような、式:
【化28】 のカチオン性脂質の漸増量と結合したDNAプラスミド1μgのアガロースゲル
(0.8%)の結果を示す。
【図7】 細胞内へのDNA導入の実験において使用したプラスミドpXL3031の図
式的表示である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年11月23日(2001.11.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 [式中、 −Rは、水素原子、カルボキシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル又は
アルキルカルバモイル基、あるいは任意に4位において1から4個の直鎖状又は
分枝状炭素原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わすか、又はそ
の代わりにRはイミダゾリル基を表わし、 −nは2、3、4又は5に等しい整数であり、そして −R’は、−O−R、−S−R、NHR又は−O−CO−NH−R
を表わし、Rはアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR’は−NR又は−O−CO−NR基を表わ
し、RとRは、同じか又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異なる記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であっ
て、任意に飽和していて、12から22個の炭素原子を含み、 Rが4−メチルピペラジニルを表わすとき、Rはドデシル置換基を表わし、
R’はOR以外であること及びnが2に等しいと解する。] のオリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその金属塩、窒素性塩基とのその付
加塩及び酸とのその付加塩。
【化2】 [式中、 −Rは、水素原子又は任意に4位において1から4個の直鎖状又は分枝状炭素
原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わし、 −nは2又は3に等しい整数であり、そして −R’は、−OR、NHR又は−O−CO−NH−R基を表わし、R はアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR’は−NR又は−O−CO−NR基を表わ
し、RとRは、同じか又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異なる記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であっ
て、任意に飽和していて、12−22個の炭素原子を含み、 Rが4−メチルピペラジニルを表わすとき、Rはドデシル置換基を表わし、
R’はOR以外であること及びnが2に等しいと解する。] の、請求項1に記載のオリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその金属塩、窒
素性塩基とのその付加塩及び酸とのその付加塩。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/22 A61K 47/22 47/48 47/48 48/00 48/00 49/00 49/00 Z A61P 43/00 105 A61P 43/00 105 C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ソト,ハビエル スペイン国、エ−36201・ビーゴ、アパル タメント・24、セテイモ、ポルタル・7、 48・ベ、カジエ・ガルシア・バルボン (72)発明者 ビーク,ジエラード イスラエル国、55513・キリアト・オノ、 サーデイア・ガオン・3 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 DA02 GA11 4C076 AA11 AA16 AA24 AA95 BB11 BB25 CC26 DD60 EE59M FF63 FF68 4C084 AA02 AA03 AA13 MA05 MA13 MA16 MA59 MA66 NA10 NA13 ZB211 ZB212 4C085 FF24 GG01 GG08 HH11 JJ01 JJ17 KA27 KB56 LL01 LL18 4C086 AA01 AA02 EA16 MA01 MA02 MA04 MA05 MA13 MA16 MA52 MA59 MA66 NA13 NA14 ZB21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 [式中、 −Rは、水素原子、カルボキシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル又は
    アルキルカルバモイル基、あるいは任意に4位において1から4個の直鎖状又は
    分枝状炭素原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わすか、又はそ
    の代わりにRはイミダゾリル基を表わし、 −nは2、3、4又は5に等しい整数であり、そして −R’は、−O−R、−S−R、NHR又は−O−CO−NH−R
    を表わし、Rはアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR’は−NR又は−O−CO−NR基を表わ
    し、RとRは、同じか又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異なる記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であっ
    て、任意に飽和していて、12から22個の炭素原子を含み、 Rが4−メチルピペラジニルを表わすとき、Rはドデシル置換基を表わし、
    R’はOR以外であること及びnが2に等しいと解する。] のオリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその金属塩、窒素性塩基とのその付
    加塩及び酸とのその付加塩。
  2. 【請求項2】 一般式(II): 【化2】 [式中、 −Rは、水素原子又は任意に4位において1から4個の直鎖状又は分枝状炭素
    原子を含むアルキルで置換されたピペラジニル基を表わし、 −nは2又は3に等しい整数であり、そして −R’は、−OR、NHR又は−O−CO−NH−R基を表わし、R はアルキル基を表わすか、 −又はその代わりにR’は−NR又は−O−CO−NR基を表わ
    し、RとRは、同じか又は異なって、各々がアルキル基を表わし、 上記のアルキル基は、特に異なる記載がないかぎり、直鎖状又は分枝状であっ
    て、任意に飽和していて、12−22個の炭素原子を含み、 Rが4−メチルピペラジニルを表わすとき、Rはドデシル置換基を表わし、
    R’はOR以外であること及びnが2に等しいと解する。] の、請求項1に記載のオリゴベンズイミダゾール誘導体ならびにその金属塩、窒
    素性塩基とのその付加塩及び酸とのその付加塩。
  3. 【請求項3】 誘導体が、4−[6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−
    1H、3’H−[2,5’]ビスベンズイミダゾール−2’−イル]−1−オク
    タデシルカルバモイルオキシフェニル(誘導体(1))又は4−[6−(4−メ
    チル−1−ピペラジニル)−1H、3’H−[2,5’]ビスベンズイミダゾー
    ル−2’−イル]−1−ドデシルカルバモイルオキシフェニル(誘導体(2))
    であることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴベンズイミダゾール誘導体。
  4. 【請求項4】 式中、R’がOR基を表わし、Rがドデシル置換基を表
    わし、Rが4−メチルピペラジニルを表わし、そしてnが2に等しい、請求項1
    、2又は3で定義されるようなオリゴベンズイミダゾール誘導体と核酸を含むこ
    とを特徴とする組成物。
  5. 【請求項5】 1つ又はそれ以上のアジュバントを同時に含むことを特徴と
    する、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 注射用又は局所製剤あるいはエーロゾルの形態の製剤のため
    の製薬上許容される賦形剤を同時に含むことを特徴とする、請求項4又は5に記
    載の組成物。
  7. 【請求項7】 インビトロ、インビボ又はエクスビボで核酸を細胞内に導入
    するための、請求項1、2又は3で定義されるようなオリゴベンズイミダゾール
    誘導体、又は式中、R’がOR基を表わし、Rがドデシル置換基を表わし、
    Rが4−メチルピペラジニルを表わし、そしてnが2に等しい誘導体の使用。
  8. 【請求項8】 核酸を細胞内に導入するための医薬品の調製のための、請求
    項1、2又は3で定義されるようなオリゴベンズイミダゾール誘導体、又は式中
    、R’がOR基を表わし、Rがドデシル置換基を表わし、Rが4−メチルピ
    ペラジニルを表わし、そしてnが2に等しい誘導体の使用。
  9. 【請求項9】 核酸を、請求項1、2又は3で定義されるような少なくとも
    1つのオリゴベンズイミダゾール誘導体、又は式中、R’がOR基を表わし、
    がドデシル置換基を表わし、Rが4−メチルピペラジニルを表わし、そして
    nが2に等しい誘導体、及び任意に1つ又はそれ以上のアジュバント及び/又は
    1つ又はそれ以上の生理的に適合性の賦形剤に接触させて複合体を形成する第一
    段階と、そのようにして形成された複合体を細胞に接触させる第二段階を含むこ
    とを特徴とする、核酸を細胞に導入するための方法。
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