JP2003513039A - 良性の健忘症を治療する方法 - Google Patents

良性の健忘症を治療する方法

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Abstract

(57)【要約】 認知障害、特に老化に関連する認知障害を治療する方法を開示する。本方法は、カルニチンおよび抗酸化剤の組合せを投与することを含む。好ましくは、抗酸化剤はチオクト酸である。好ましくは、0.12gから3gのカルニチン(特にALC)、および0.12gから1.5gのR-リポ酸を投与する。必要に応じて、補酵素Qおよび/またはクレアチンも投与する。好ましくは、10mg/日から500mg/日の補酵素Q10、および1g/日から30g/日のクレアチンを投与する。同じ方法を用いて、一酸化炭素中毒、軽度の外傷性脳損傷、2型糖尿病、強迫性障害、環境有毒ガス暴露、および他の症状に関連する認知障害を治療することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 発明の分野 本発明は、老化およびその他の原因に関連する記憶障害の予防および改善に関
する。より詳細には、本発明は、記憶力低下の危険性がある人に対する、例えば
抗酸化剤、カルニチン産物、および必要に応じて補酵素Qおよび/またはクレア
チンのような微量養素の投与に関する。 【0002】 発明の背景 多くの成人は、最初に名前、次に出来事、さらに時々空間的関係に関して、次
第に顕著な記憶困難を患う。健康な高齢者の多くは、健忘症および集中力の低下
の病状を訴え、このことは、彼らの生活の質を低下させる。ほとんど全ての態様
の認知機能は、老化に伴い低下する。また、老化に伴う認知障害および痴呆症状
の待期療法のための新しいクラスの薬剤の開発に対して、臨床医、研究者および
医薬産業の関心が急速に高まっている。いくらかの類似性があるため、いわゆる
良性の健忘症または良性の老化健忘症が、変性痴呆との関連性は確認されていな
いが、警告となり得ることを大いに経験した。 【0003】 Kralは初めて、老化に伴う記憶の変化に、診断用語を導入した(J Gerontol 13
: 16-176, 1958; Can Med Assoc J 86: 257-260, 1962)。彼は、軽い記憶力低下
を有する被検者を、より深刻な「悪性」変化(MSF)を有する被検者、ならび
に正常な記憶機能を有する被検者と区別するため、用語「良性老化健忘症(benig
n senescent forgetfulness)」(BSF)を用いた。 【0004】 それ以来、BSFおよびMSFは、しばしば、医学文献で用いられ、臨床医の
間で一般的に認められている概念となった。通常、BSFは、経験の詳細(名前
および場所)の斑のあるまたは気紛れな記憶困難を有するが、経験自体は容易に
思い出すことができることを特徴とする。通常、忘れられた詳細は後で思い出さ
れる。BSFは進行性ではなく、痴呆になる危険性は上昇しない。MSFは、個
体が最近の出来事を思い出すことができないこと、個人データに関する見当識障
害、および遠隔記憶の退化喪失を特徴とする。MSFの個体は、しばしば、自分
自身の記憶障害に気付かないで、談笑するであろう。20症例のBSFおよび3
4症例のMSFに関する4年間の調査において、BSF患者の1人が認知的に悪
化し、MSF患者の全てが悪化した。68症例のBSF患者の最近の3年間の調
査は、9%が痴呆になったことを報告した。 【0005】 KralはBSFの概念を操作可能にしなかったため、記憶変化をより正確に表す
ために設けられた国立精神衛生研究所(NIMH)の研究グループは、診断的要
素として、「老化関連記憶障害(age-associated memory impairment)(AAMI)
の概念を提案した(Crook et al. 1986, ibid.)。詳細には、AAMIの基準は、
50歳以上の人において、主観的な記憶力低下、記憶力低下の客観的証拠(うま
く規格化された記憶テストにおいて、若者の平均値よりも1標準偏差以上低い得
点)、および適切な知的機能が存在すること、ならびに、痴呆または他の記憶に
影響を及ぼす疾患(例えば脳梗塞)が無いことを含む。従って、AAMI診断は
、痴呆の診断を確実にする程は認知減退が悪化していないが、主観的および客観
的な記憶力低下が確認されている人を特定する。その基準は、症状の進行の論議
を残す。 【0006】 McEntee およびCrook(Neutology 40: 526-530, 1990)は、AAMIが、50歳
を越える集団の殆どに、ある程度影響を及ぼすと推定した。しかしながら、Lane
およびSnowdon(Memory and dementia: A longitudinal survey of suburban eld
erly. In: Lovibond P, Wilson P (eds), Clinical and abnormal psychology,
Elsevier, Amsterdam, 365-376, 1989)は、65歳以上の被検者において、AA
MIの罹患率が35%であることを報告した。その結果は、調査集団の低い参加
率(58%)、および用いられた方法論がNIMH研究グループの定義に厳密に
は従っていなかったことによって、多少妨害された。記憶テストのみに基づいて
、LarrabeeおよびCrook(Int Psychogeriatr 6: 95-104, 1994)は、AAMIの罹
患率が、50歳から59歳の年齢群における39%から、80歳を越える年齢群
における85%まで変化すると推定した。その研究において、臨床試験除外基準
は用いられなかった。Barkerらは、記憶テストの結果によって、参加者の79%
程度がAAMIカテゴリーに入ることを確認した。しかしながら、厳格な臨床試
験除外基準を適用すると、50歳から64歳でのAAMIの罹患率は15.8%
であり、65歳から79歳の被検者では24.1%であった。 【0007】 世界保健機関(WHO)と共同で、国際精神分析学会(IPA)の特別委員会
は、「老化関連認知減退(aging-associated cognitive decline)」(AACD)
に関する診断基準を最近提案した(Levy, Int Psychogeriatr 6: 63-68, 1994)。
AACD診断は、AAMI診断よりも、より総合的な認知評価に基づく。任意の
主要な認知分野の低下は、AACDを特定するのに十分である。AACD基準に
おいて明記されている認知分野は、記憶および学習、注意力および集中力、思考
、言語、および視空間機能である。また、AAMI基準との違いとして、AAC
Dの被検者は、認知能力を評価する試験において、年齢および教育特異的な標準
(若者の標準ではなく)よりも1標準偏差以上低い得点であることが要件である
。従って、AACD診断は、痴呆の診断を確実にする程は損なわれていない、主
観的および客観的な認知減退を有する人を特定する。AACD基準を示す際に、
特別委員会は、その個体が痴呆に進行しているか否かを認識した。 【0008】 いくつかのカテゴリーの認知テストによって調べたところ、AAMIは、中年
(40歳あたり)で始まる。老化に伴う認知問題は、長期間潜んでおり、機能の
いくつかの状況がかつてのものではなくなっていることに個体が気付いた時に、
徐々にまたは突然現れるようになる。軽い認知減退は、個体がそれから完全に回
復したように見える、軽い脳卒中の積み重ねのせいであると提案する人がいる。
最初は、それら病状は殆ど影響を与えないが、加齢に伴って積み重ねられて、そ
の積み重なった影響が、認識できる認知減退をもたらす。感覚的、知覚的、およ
び肉体的能力の低下は、認知能力への直接的関係または因果関係は無くても、一
般的な認知機能に大いに影響を及ぼす。執行機能(executive function)を補正す
ると、年齢は試験成績の予測指標ではないことが示されており、「執行機能」は
老化に伴う機能障害の重要なメディエーターであると思われる。 【0009】 記憶障害の割合は高いことから、AAMIは、正常な老化から例えばアルツハ
イマー病のような病的状態への経過というよりも、むしろ正常な老化現象である
ように思われる。AAMI診断において用いられる神経心理学的方法は不明瞭で
あり、非常に早期の痴呆の被検者と必ずしも識別しない。しかしながら、それら
被検者は、より詳細な神経心理学的評価手段によって識別され得る。AAMI被
検者は、記憶を評価するテストのみならず、前頭葉機能に関連する執行機能のテ
ストにおいても機能障害があるように思われた。その所見は、高齢者の記憶力低
下に前頭葉の機能障害が重要な役割を果たしていることを主張する以前の報告と
合致する。高頻度および低頻度で主観的な記憶力低下の病状を訴える被検者の比
較は、そのような主観的な記憶障害の感覚が、正常な高齢者における実際の記憶
能力よりもむしろ性格特性に密接に関連することを示唆した。このことは、AA
MIおよびAACD診断のための試験対象患者基準における記憶障害の使用を複
雑にする。 【0010】 AACDの罹患率は、AAMIの罹患率より低いことが分かっている。AAM
Iは非常に不均一な被検者群を特定する傾向があり、研究目的および臨床設定の
両方において、高齢者集団から意味のあるサブグループを識別するために、AA
CD診断の方がAAMIより優れていると思われる。このことは、追跡調査でま
だ確認されていない。 【0011】 老化の間に脳に顕著な変化が生じ、その変化は、脳重量の低下、脳回萎縮、脳
室膨張、および様々な脳領域におけるニューロンの選択的喪失を含む(Kemper, N
euroanatomical and neuropathological changes during aging and dementia.
In: Martin AL, Knoefel JE (eds), GERIATRIC NEUROLOGY (2nd ed). Oxford Un
iversity Press, New York City, pp.3-67, 1994)。それら変化と行動測定との
関連性はまだかなり不明瞭である(例えば、Lezak, NEUROPSYCHOLOGICAL ASSESSM
ENT(3rd ed). Oxford University Press, New York, 1995)。生物学的変化に加
えて、環境的背景が老化に伴う認知変化に反映される(Arbuckle et al., Psycho
l Aging 7: 25-36, 1992)。進歩した脳画像法(特に、PETおよび機能的MRI
)を用いた最近の研究は、認知機能の神経解剖学的局在性を解明した(例えば、Fr
ackowiak, Trends Neurosci 17: 109-115, 1994; Moscovitch et al., Proc Nat
l Acad Sci USA 92: 3721-3725, 1995; Schacter et al., Proc Natl Acad Sci
USA 93: 321-325, 1996)。これまで、それら研究の殆どが老化の影響を考慮しな
かった(Eustache et al., Neuropsychologia 33: 867-887, 1995; Grady et al.
, Science 269; 218-221, 1995)。しかしながら、老化に伴う脳の変化と認知変
化との間のいくつかの関連性が示唆された。 【0012】 Eustacheらは(1995, ibid)、脳の酸化的代謝(静止状態での)の老化に伴う低
下、ならびにエピソード記憶のための神経回路網内(海馬および視床を含む)で
の神経生物学的変化が正常な老化の記憶障害の根底にあることを示唆するエピソ
ード記憶のテストを示した。従って、Gradyらは(1995, ibid)、顔認識課題のコ
ード化段階における、海馬および前葉帯皮質を含む神経回路網内の局所的脳血流
量の、老化に伴う減少を見出した。 【0013】 構造方程式モデルを用いることによって、Jonesらは(Exp Aging Res 17: 227-
242, 1991)、健康な個体における、老化に伴う脳の変化(CTおよびEEGによ
って測定)と、認知力との因果関係に関する証拠を見つけた。 【0014】 AACDおよびAAMIは、提案された様々な他の診断的分類(Dawe et al.,I
nt J Geriatr Psychiatry 7: 473-479, 1992; Ebly et al., Arch Neurol 52: 6
12-619, 1995)と重複するように思われる。それら分類の中で最も確立されてい
るものは、「軽度認知障害」(MCD)および「老化に伴う認知減退」(ARC
D)である。MCDは、ICD−10に関する調査基準に含まれる(世界保健機
構、1993)。その診断法は、脳機能障害を起こしていることが分かっている疾患
または症状の兆候がある場合にのみ用いられる。MCDの疫学は、矛盾した結果
を示す2つの最近の研究において考慮された。Christensenらは(Age Aging 25:
72-80, 1996)、MCDの罹患率がたった4%であることを見出し、その診断法は
正当性を欠いていると結論付けた。Eblyらは(1995, ibid)、主観的な病訴の存在
を望んだが、一方で、MCDに関するICD−10基準に同意した。ARCDは
、「人の年齢の正常範囲内での老化過程に続く、客観的に確認された認知機能の
減退」として定義されるDSM−IV(米国精神医学会、1994)に含まれる。しか
しながら、それ以上詳細な基準はDSM−TVに含まれておらず、さらに、それ
を用いた研究は実施されていない。 【0015】 補酵素Qすなわちユビキノンは、物質代謝からエネルギーを捕獲するミトコン
ドリアの呼吸鎖において中心的役割を果たす。補酵素Qは、好気的条件下におい
て酸化されたキノンの形態でミトコンドリア中に存在する。還元形態のユビキノ
ールにおいて、Q10は抗酸化剤である。また、補酵素Qはミトコンドリア脂質
中にも存在する。補酵素Qの構造は、ポリイソプレノイド側鎖を特徴とするビタ
ミンKおよびEの構造に非常に類似している。補酵素Q10は、10のポリイソ
プレノイド側鎖を有する。ミトコンドリアは、他の呼吸酵素と比較して、かなり
過剰なQ10を保持する必要がある。Q10は、より固定された複合体から還元
当量を集めてそれらを他の成分に移す呼吸の移動成分に作用することを要求され
る。 【0016】 発明の詳細な説明 本発明の1つの目的は、老化に伴い生じる認知障害を予防および改善すること
である。本発明の1つの目的は、脳梗塞、外傷性脳損傷、毒素暴露、および2型
糖尿病等の、脳の代謝障害に関連する他の様々な疾患において生じる認知障害を
予防および改善することである。本発明の別の目的は、上記の症状に関連する認
知障害を予防および/または改善するために、有効量の適切な抗酸化剤と有効量
のカルニチンとの組合せを提供することである。 【0017】 本発明の好ましい組合せは、0.12gから3gのカルニチンを含む。カルニチン
の好ましい形態は、アセチル-L-カルニチン(ALC)である。 【0018】 本発明の好ましい組合せは、約0.12gから約1.5gのR-α-リポ酸として抗酸
化剤を含む。 【0019】 必要に応じて、補酵素Qおよび/またはクレアチンも投与される。好ましくは
、10mg/日から500mg/日の補酵素Q10および1g/日から30g/日のク
レアチンを投与する。 【0020】 本発明の実施態様 代謝活性を分析するため、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)で特異
的に強化されたPETを用いた試験は、2つの誘導因子が、42歳未満の健康人
と48歳を超える健康人とを区分することを示した。ブローカ野代謝比(Broca’
s metabolic ratio)と組み合せた、口頭で行われた題材に関する補助的記憶テス
ト、および視床領域の代謝測定と組み合せた、順次的または組織的情報のコード
化(執行機能)を要求するテストの両方が、高齢者群よりも若者群において高か
った。本発明者は、前頭皮質下の代謝低下が、年齢依存的記憶プロセッシングに
存在すると結論付けた(Riege WH et al. Brain Cogn 5(4): 412-27, 1986)。従
って、30代後半から40代前半において、代謝を強化しかつミトコンドリアに
おける老化の影響を弱めることが証明されている治療を開始するのが有益であろ
う。 【0021】 老化に伴う記憶力低下を阻止しさらに高齢者およびミトコンドリアの状態が良
くない他の個体に記憶の改善をもたらすために、カルニチンおよびリポ酸、なら
びに必要に応じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与する。近年の研究は
、それら化合物がどのように作用して、細胞のエネルギー発電所であるミトコン
ドリアの健全性を高めるかについて正確に示している。ミトコンドリアは、AT
P産生を担っており、実質的に体の全ての細胞中に比較的大量に存在する。ミト
コンドリア電子伝達系は、細胞によって利用される酸素の約85%を消費する。
ミトコンドリア機能の低下によって生じる細胞エネルギー欠損は、正常な細胞活
性を損なわせ、さらに、老化の主な要因である様々な生理学上のストレスに適応
する細胞の能力を低下させる。その高い酸素使用のため、ミトコンドリアは酸化
剤の最も高い産生量を有する。 【0022】実施例 :一酸化炭素中毒 一酸化炭素(CO)中毒は、酸素欠乏症および他の関連する生化学的機構によ
って、認知障害を生じさせる。21症例のCO中毒患者において、脳−行動関連
性、神経心理学的結果、SPECT、MRI、および定量的MRI(QMRI)
を調べた。93%の患者が、注意力、記憶、執行機能、および心理処理速度等の
低下を含む、様々な認知障害を表した。画像研究は、67%が、海馬萎縮、およ
び/または脳室/脳の比(VBR)の上昇によって証明されるびまん性皮質萎縮
等のQMRI所見を有することを示した。脳血流欠損は、前頭葉および側頭葉の
血流低下を含んでいた(Gale SD et al. Brain Inj 13(4); 229-43, 1999)。 【0023】 そのような患者の治療は、カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ
10および/またはクレアチンの組合せを投与して、ミトコンドリアを支援する
ことを含む。そのような治療は、好ましくは、脳に対する酸素欠乏の強烈な影響
を改善するために、中毒の発見後直ぐに開始する。
【手続補正書】 【提出日】平成14年11月25日(2002.11.25) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】全文 【補正方法】変更 【補正の内容】 【発明の名称】 良性の健忘症を治療する方法 【特許請求の範囲】 【請求項1】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応じ
て補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、老化に伴う
記憶障害を治療する方法。 【請求項2】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が0
.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項1記載の方法。 【請求項3】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴とす
る請求項1記載の方法。 【請求項4】 前記抗酸化剤が0.25gから1.5gまでの量で投与され
ることを特徴とする請求項1記載の方法。 【請求項5】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500m
g/日の量で投与されることを特徴とする請求項1記載の方法。 【請求項6】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されることを
特徴とする請求項1記載の方法。 【請求項7】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応じ
て補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、軽い外傷性
脳損傷を治療する方法。 【請求項8】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が0
.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項7記載の方法。 【請求項9】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴とす
る請求項7記載の方法。 【請求項10】 前記抗酸化剤が、0.25gから1.5gまでの量で投与
されることを特徴とする請求項7記載の方法。 【請求項11】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500
mg/日の量で投与されることを特徴とする請求項7記載の方法。 【請求項12】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されること
を特徴とする請求項7記載の方法。 【請求項13】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応
じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、一酸化炭
素中毒を治療する方法。 【請求項14】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が
0.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項13記載の方法。 【請求項15】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴と
する請求項13記載の方法。 【請求項16】 前記抗酸化剤が、0.25gから1.5gまでの量で投与
されることを特徴とする請求項13記載の方法。 【請求項17】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500
mg/日の量で投与されることを特徴とする請求項13記載の方法。 【請求項18】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されること
を特徴とする請求項13記載の方法。 【請求項19】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応
じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、2型糖尿
病(DM)に関連する記憶障害を治療する方法。 【請求項20】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が
0.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項19記載の方法。 【請求項21】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴と
する請求項19記載の方法。 【請求項22】 前記抗酸化剤が、0.25gから1.5gまでの量で投与
されることを特徴とする請求項19記載の方法。 【請求項23】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500
mg/日の量で投与されることを特徴とする請求項19記載の方法。 【請求項24】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されること
を特徴とする請求項19記載の方法。 【請求項25】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応
じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、強迫性障
害に関連する記憶障害を治療する方法。 【請求項26】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が
0.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項25記載の方法。 【請求項27】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴と
する請求項25記載の方法。 【請求項28】 前記抗酸化剤が、0.25gから1.5gまでの量で投与
されることを特徴とする請求項25記載の方法。 【請求項29】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500
mg/日の量で投与されることを特徴とする請求項25記載の方法。 【請求項30】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されること
を特徴とする請求項25記載の方法。 【請求項31】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応
じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、環境毒素
暴露に関連する記憶障害を治療する方法。 【請求項32】 投与されるカルニチンがALCであり、かつ前記有効量が
0.5gから3gの範囲であることを特徴とする請求項31記載の方法。 【請求項33】 投与される抗酸化剤がR−α−リポ酸であることを特徴と
する請求項31記載の方法。 【請求項34】 前記抗酸化剤が、0.25gから1.5gまでの量で投与
されることを特徴とする請求項31記載の方法。 【請求項35】 前記補酵素Qが補酵素Q10であり、かつ10から500
mg/日の量で投与されることを特徴とする請求項31記載の方法。 【請求項36】 前記クレアチンが1から30g/日の量で投与されること
を特徴とする請求項31記載の方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 発明の分野 本発明は、老化およびその他の原因に関連する記憶障害の予防および改善に関
する。より詳細には、本発明は、記憶力減退の危険性がある人に対する、例えば
抗酸化剤、カルニチン産物、および必要に応じて補酵素Qおよび/またはクレア
チンのような微量養素の投与に関する。 【0002】 発明の背景 多くの成人は、最初に名前、次に出来事、さらに時々空間的関係に関して、次
第に顕著な記憶困難を患う。健康な高齢者の多くは健忘症および集中力の低下の
病状を訴え、このことは彼らの生活の質を低下させる。ほとんど全ての態様の認
知機能は老化に伴い低下する。また、老化に伴う認知障害および痴呆症状の待期
療法のための新しいクラスの薬剤の開発に対して、臨床医、研究者および医薬産
業の関心が急速に高まっている。いくらかの類似性があるため、いわゆる良性の
健忘症または良性の老化健忘症が、変性痴呆との関連性は確認されていないが、
警告となり得ることを大いに経験した。 【0003】 Kralは初めて、老化に伴う記憶の変化に、診断用語を導入した(J Gerontol 13
: 16-176, 1958; Can Med Assoc J 86: 257-260, 1962)。彼は、軽い記憶力減退
を有する被検者を、より深刻な「悪性」変化(MSF)を有する被検者、ならび
に正常な記憶機能を有する被検者と区別するため、用語「良性老化健忘症(benig
n senescent forgetfulness)」(BSF)を用いた。 【0004】 それ以来、BSFおよびMSFは、しばしば、医学文献で用いられ、臨床医の
間で一般的に認められた概念となった。通常、BSFは、経験の詳細(名前およ
び場所)の斑のあるまたは気紛れな記憶困難を有するが、経験自体は容易に思い
出すことができることを特徴とする。通常、忘れられた詳細は後で思い出される
。BSFは進行性ではなく、痴呆になる危険性は上昇しない。MSFは、個体が
最近の出来事を思い出すことができないこと、個人データに関する見当識障害、
および遠隔記憶の退化喪失を特徴とする。MSFの個体は、しばしば、自分自身
の記憶障害に気付かないで、談笑するであろう。20症例のBSFおよび34症
例のMSFに関する4年間の調査において、BSF患者の1人が認知的に悪化し
、MSF患者の全てが悪化した。68症例のBSF患者の最近の3年間の調査は
、9%が痴呆になったことを報告した。 【0005】 KralはBSFの概念を操作可能にしなかったため、記憶変化をより正確に表す
ために設けられた国立精神衛生研究所(NIMH)の研究グループは、診断的要
素として、「老化関連記憶障害(age-associated memory impairment)(AAMI)
の概念を提案した(Crook et al. 1986, ibid.)。詳細には、AAMIの基準は、
50歳以上の人において、主観的な記憶力減退、記憶力減退の客観的証拠(うま
く規格化された記憶テストにおいて、若者の平均値よりも1標準偏差以上低い得
点)、および適切な知的機能が存在すること、ならびに、痴呆または他の記憶に
影響を及ぼす疾患(例えば脳梗塞)が無いことを含む。従って、AAMI診断は
、痴呆の診断を確実にする程は認知減退が悪化していないが、主観的および客観
的な記憶力減退が確認されている人を特定する。その基準は、症状の進行の論議
を残す。 【0006】 McEntee およびCrook(Neutology 40: 526-530, 1990)は、AAMIが、50歳
を越える集団の殆どにある程度影響を及ぼすと推定した。しかしながら、Laneお
よびSnowdon(Memory and dementia: A longitudinal survey of suburban elder
ly. In: Lovibond P, Wilson P (eds), Clinical and abnormal psychology, El
sevier, Amsterdam, 365-376, 1989)は、65歳以上の被検者において、AAM
Iの罹患率が35%であることを報告した。その結果は、調査集団の低い参加率
(58%)、および用いられた方法論がNIMH研究グループの定義に厳密には
従っていなかったことによって多少妨害された。記憶テストのみに基づいて、La
rrabeeおよびCrook(Int Psychogeriatr 6: 95-104, 1994)は、AAMIの罹患率
が、50歳から59歳の年齢群における39%から、80歳を越える年齢群にお
ける85%まで変化すると推定した。その研究において、臨床試験除外基準は用
いられなかった。Barkerらは、記憶テストの結果によって、参加者の79%程度
がAAMIカテゴリーに入ることを確認した。しかしながら、厳格な臨床試験除
外基準を適用すると、50歳から64歳でのAAMIの罹患率は15.8%であ
り、65歳から79歳の被検者では24.1%であった。 【0007】 世界保健機関(WHO)と共同で、国際精神分析学会(IPA)の特別委員会
は、「老化関連認知減退(aging-associated cognitive decline)」(AACD)
に関する診断基準を最近提案した(Levy, Int Psychogeriatr 6: 63-68, 1994)。
AACD診断は、AAMI診断よりも、より総合的な認知評価に基づく。任意の
主要な認知分野の低下は、AACDを特定するのに十分である。AACD基準に
おいて明記されている認知分野は、記憶および学習、注意力および集中力、思考
、言語、および視空間機能である。また、AAMI基準との違いとして、AAC
Dの被検者は、認知能力を評価する試験において、年齢および教育特異的な標準
(若者の標準ではなく)よりも1標準偏差以上低い得点であることが要件である
。従って、AACD診断は、痴呆の診断を確実にする程は損なわれていない、主
観的および客観的な認知減退を有する人を特定する。AACD基準を示す際に、
特別委員会は、その個体が痴呆に進行しているか否かを認識した。 【0008】 いくつかのカテゴリーの認知テストによって調べたところ、AAMIは、中年
(40歳あたり)で始まる。老化に伴う認知問題は長期間潜んでおり、機能のい
くつかの状況がかつてのものではなくなっていることに個体が気付いた時に、徐
々にまたは突然現れるようになる。軽い認知減退は、個体がそれから完全に回復
したように見える、軽い脳卒中の積み重ねのせいであると提案する人がいる。最
初はそれら病状は殆ど影響を与えないが、加齢に伴って積み重ねられて、その積
み重なった影響が、認識できる認知減退をもたらす。感覚的、知覚的、および肉
体的能力の低下は、認知能力への直接的関係または因果関係は無くても、一般的
な認知機能に大いに影響を及ぼす。執行機能(executive function)を補正すると
、年齢は試験成績の予測指標ではないことが示されており、「執行機能」は老化
に伴う機能障害の重要なメディエーターであると思われる。 【0009】 記憶障害の割合は高いことから、AAMIは、正常な老化から例えばアルツハ
イマー病のような病的状態への経過というよりも、むしろ正常な老化現象である
ように思われる。AAMI診断において用いられる神経心理学的方法は不明瞭で
あり、かなり早期の痴呆の被検者と必ずしも識別しない。しかしながら、それら
被検者は、より詳細な神経心理学的評価手段によって識別され得る。AAMI被
検者は、記憶を評価するテストのみならず、前頭葉機能に関連する執行機能のテ
ストにおいても機能障害があるように思われた。その所見は、高齢者の記憶力減
退に前頭葉の機能障害が重要な役割を果たしていることを主張する以前の報告と
合致する。高頻度および低頻度で主観的な記憶力減退の病状を訴える被検者の比
較は、そのような主観的な記憶障害の感覚が、正常な高齢者における実際の記憶
能力よりもむしろ性格特性に密接に関連することを示唆した。このことは、AA
MIおよびAACD診断のための試験対象患者基準における記憶障害の使用を複
雑にする。 【0010】 AACDの罹患率は、AAMIの罹患率より低いことが分かっている。AAM
Iは非常に不均一な被検者群を特定する傾向があり、研究目的および臨床設定の
両方において、高齢者集団から意味のあるサブグループを識別するために、AA
CD診断の方がAAMIより優れていると思われる。このことは、追跡調査でま
だ確認されていない。 【0011】 老化の間に脳に顕著な変化が生じ、その変化は、脳重量の低下、脳回萎縮、脳
室膨張、および様々な脳領域におけるニューロンの選択的喪失を含む(Kemper, N
euroanatomical and neuropathological changes during aging and dementia.
In: Martin AL, Knoefel JE (eds), GERIATRIC NEUROLOGY (2nd ed). Oxford Un
iversity Press, New York City, pp.3-67, 1994)。それら変化と行動測定との
関連性はまだかなり不明瞭である(例えば、Lezak, NEUROPSYCHOLOGICAL ASSESSM
ENT(3rd ed). Oxford University Press, New York, 1995)。生物学的変化に加
えて、環境的背景が老化に伴う認知変化に反映される(Arbuckle et al., Psycho
l Aging 7: 25-36, 1992)。進歩した脳画像法(特に、PETおよび機能的MRI
)を用いた最近の研究は、認知機能の神経解剖学的局在性を解明した(例えば、Fr
ackowiak, Trends Neurosci 17: 109-115, 1994; Moscovitch et al., Proc Nat
l Acad Sci USA 92: 3721-3725, 1995; Schacter et al., Proc Natl Acad Sci
USA 93: 321-325, 1996)。これまで、それら研究の殆どが老化の影響を考慮しな
かった(Eustache et al., Neuropsychologia 33: 867-887, 1995; Grady et al.
, Science 269; 218-221, 1995)。しかしながら、老化に伴う脳の変化と認知変
化との間のいくつかの関連性が示唆された。 【0012】 Eustacheらは(1995, ibid)、脳の酸化的代謝(静止状態での)の付随する老化
に伴う低下、ならびにエピソード記憶のための神経回路網内(海馬および視床を
含む)での神経生物学的変化が、正常な老化の記憶障害の根底にあることを示唆
するエピソード記憶のテストを示した。従って、Gradyらは(1995, ibid)、顔認
識課題のコード化段階における、海馬および前葉帯皮質を含む神経回路網内の局
所的脳血流量の、老化に伴う減少を見出した。 【0013】 構造方程式モデルを用いることによって、Jonesらは(Exp Aging Res 17: 227-
242, 1991)、健康な個体における、老化に伴う脳の変化(CTおよびEEGによ
って測定)と、認知力との因果関係に関する証拠を見つけた。 【0014】 AACDおよびAAMIは、提案された様々な他の診断的分類(Dawe et al.,I
nt J Geriatr Psychiatry 7: 473-479, 1992; Ebly et al., Arch Neurol 52: 6
12-619, 1995)と重複するように思われる。それら分類の中で最も確立されてい
るものは、「軽度認知障害」(MCD)および「老化に伴う認知減退」(ARC
D)である。MCDは、ICD−10に関する調査基準に含まれる(世界保健機
構、1993)。その診断法は、脳機能障害を起こしていることが分かっている疾患
または症状の兆候がある場合にのみ用いられる。MCDの疫学は、矛盾した結果
を示す2つの最近の研究において考慮された。Christensenらは(Age Aging 25:
72-80, 1996)、MCDの罹患率がたった4%であることを見出し、その診断法は
正当性を欠いていると結論付けた。Eblyらは(1995, ibid)、主観的な病訴の存在
を望んだが、一方で、MCDに関するICD−10基準に同意した。ARCDは
、「人の年齢の正常範囲内での老化過程に続く、客観的に確認された認知機能の
減退」として定義されるDSM−IV(米国精神医学会、1994)に含まれる。しか
しながら、それ以上詳細な基準はDSM−TVに含まれておらず、さらに、それ
を用いた研究は実施されていない。 【0015】 補酵素Qすなわちユビキノンは、物質代謝からエネルギーを捕獲するミトコン
ドリアの呼吸鎖において中心的役割を果たす。補酵素Qは、好気的条件下におい
て酸化されたキノンの形態でミトコンドリア中に存在する。還元形態のユビキノ
ールにおいて、Q10は抗酸化剤である。また、補酵素Qはミトコンドリア脂質
中にも存在する。補酵素Qの構造は、ポリイソプレノイド側鎖を特徴とするビタ
ミンKおよびEの構造に非常に類似している。補酵素Q10は、10のポリイソ
プレノイド側鎖を有する。ミトコンドリアは、他の呼吸酵素と比較して、かなり
過剰なQ10を保持する必要がある。Q10は、より固定された複合体から還元
当量を集めてそれらを他の成分に移す呼吸の移動成分に作用することが必要であ
る。 【0016】 様々な研究室および臨床の場面において、Q10の効果に関する多くの矛盾す
る報告が公開されている。Barbiroliらは、Q10の投与が、酵素欠損のせいで
酵素ミトコンドリア細胞変性を有する患者の平滑筋と脳の両方において、酸化的
リン酸化反応の顕著な改善を生じさせることを報告した(Biochimie 80(10): 84
7-53, 1998)。一方、Lassらは、脳、心臓、平滑筋および他の臓器におけるQ1
0およびQ9の含有量について調べたが、老化した平滑筋においてのみ、ミトコ
ンドリアQ9およびQ10の低下が認められた(Biofactors 9(2-4): 199-205, 1
999)。 【0017】 雄のラットおよびマウスにおいて、一生におけるQ10の補足について調べた
。Q10はラットまたはマウスの寿命を延ばしも短縮もしなかった。補足ラット
において、血漿および肝臓レベルは2.6−8.4倍高かった。腎臓、心臓、およ
び脳におけるQ10レベルは、Q10補足によって影響を受けなかった(Lonnrot
K et al. Biochem Mol Biol Int 44(4): 727-37, 1998)。 【0018】 Q10が神経保護効果を有するか否か特定するため、最初にQ10または対照
食で4週間マウスを処置した。次に、線条体神経(striatal nerves)を1−Me
−4−Ph−1,2,3,テトラヒドロピリジン(MPTP)で害した。屠殺する
前にさらに1週間、評価食でマウスを飼育し続けた。両方の群が顕著な脳障害を
有していた:しかしながら、Q10処置マウスは37%高いドーパミンおよび6
2%高い密度のニューロンを有しており、Q10の保護効果を示唆した(Beal MF
et al. Brain Res 783(1): 109-14, 1998)。 【0019】 また、Q10は、ミトコンドリアのオキシダント産生および心臓組織における
mtDNAの顕著な増加を単独で刺激するドキソルビシンの効果をブロックする
。(Adachi et al. Biochem Biophys Res Commun 195: 945-51, 1993)。 【0020】 ヒト血漿LDLリン脂質の全ペルオキシラジカル捕獲能力に関して、年齢28
−77歳の健康なフィンランド人の男性および女性を調べた。男性では加齢に伴
う差があったが、女性では無かった。低下のほとんどが50歳前に現れ、70歳
台まで低下し続けた。Q10の補足は、ペルオキシラジカル捕獲能力を2倍にし
、従って、粥状動脈硬化症に寄与するLDL酸化を減少させるであろう(Aejmela
eus R et al. Mol Aspects Med 18(Supp): S113-20, 1997)。 【0021】 筋肉組織および心臓にはクレアチンが存在する。少量が血中において認められ
ているが、正常な尿中には認められていない。通常、肝臓および腎臓がクレアチ
ンを産生する。クレアチンが代謝された時、その最終産物がクレアチニンであり
、そのクレアチニンが尿中に排泄される。血清クレアチニンは老化に伴い増加す
る。筋肉総量は通常老化に伴い減少するが、それが完全に老化に伴う活性の低下
のせいであるか否かは分かっていない。また、多くの老人が、重要なクレアチン
の供給源である肉をそれ程多くは食べない。筋肉中のクレアチンの多くの部分が
、ホスホクレアチンとしてリン酸と結合している。それはミトコンドリアの代謝
において重要な役割を果たしている。ミトコンドリアにおいて、クレアチンキナ
ーゼアイソザイムが、高エネルギーリン酸をクレアチンに運搬する。次に、クレ
アチンリン酸がミトコンドリアから細胞環境に輸送され、そこにおいてミトコン
ドリア外ATPを作り出す。様々なアイソザイムのクレアチンキナーゼが、高エ
ネルギーリン酸の輸送(それを利用する様々な系へのまたはそれを作成する様々
な系からの輸送)を仲介する。 【0022】 研究者達は、クレアチンを投与し、老化および筋肉機能を含む多くの様々なパ
ラメーターについて調べた。60歳を越える男性における緊急的な補足(5日)
は、等尺力(isometric strength)に全く効果が無く、さらに等速パフォーマンス
(isokinetic performance)および体格にほんのわずかな増加を有するのみである
ことが分かった(Rawson ES, Clarkson PM. Int. J. Sports Med 21(1): 71-5, 2
000)。別の研究は、8週間の試験のために、無作為に、対照−クレアチン、対照
−プラセボ、訓練を受けた−クレアチン、訓練を受けた−プラセボ群に割り当て
られた老人(67−80歳、16名の女性、16名の男性)における結果を報告
した。両方の群の訓練を受けた被験者は、1−および12−繰り返し最大(repet
itions maxima)において有意な増加を有していたが、クレアチン補足に関して全
く有益な効果は認められなかった(Bermon S et al. Acta Physiol Scand 164(2)
: 147-55, 1998)。一方、直接筋肉代謝に関連する様々なパラメーターを測定し
た時、7日後に陽性効果が認められた。30歳台および50台の男性と女性の群
は、MRI内で片方の肢の膝屈伸運動を行った。その試験の最初に、年配の群は
、より低い安静時のホスホクレアチン(PCr)およびより低い平均PCr再合
成初速度を有していた。クレアチン補足の後、安静時PCrは、若者群において
15%上昇し(P<0.05)、中年群では30%上昇した(P<0.05)。中年群で
は、平均PCr再合成初速度が若者群の速度に匹敵するレベルにまで有意に(P
<0.05)上昇した。クレアチン補足後合わせられた両方の群において、疲労まで
の時間は増加した。Smith SAらは、若者に比べて中年において、クレアチン補足
がPCr効能および再合成速度に対してより大きな効果を有すると結論付けた(J
Appl Physiol 85(4): 1349-56, 1998)。 【0023】 Schuff Nらは、MRIにおいて、老化に伴う海馬における代謝の変化および容
積損失について分析した(Neurobiol Aging 29(3): 279-85, May-June 1999)。彼
らは、N−アセチルアスパラギン酸(NAA、ニューロンマーカー)、容積変化
、ならびにNAA/コリン(Cho)およびNAA/Cr(クレアチン)の比に
ついて分析した。容積は36歳から85歳の間で約20%減少したが、NAA/
Choは24%減少し、NAA/Crは26%減少し、それらの全てが有意であ
った。Cho/Cr比は不変であった。容積損失は、ニューロンマーカー損失お
よび示唆されるニューロン損失に相関した。一方、Pfefferbaum Aら(Magn Reson
Med 41(2): 276-84, 1999)は、15名の若者と19名の高齢者の健康な群に関
してNAA、Cho、およびCrのシグナル密度を報告した。NAAは白質より
も灰白質において高いが、高齢の被験者において灰白質の著しい欠損があるにも
関わらず、若い被験者と高齢の被験者との間で差は無かった。健康な高齢者にお
いて有効な灰白質は無傷であるように思われる。Cr濃度は白質よりも灰白質に
おいてかなり高く、さらに高齢の被験者において有意に高かった。灰白質におけ
るCho濃度も高齢の被験者において有意に高かった。高齢の被験者における所
見は、別の研究でも確認されており、その研究では、Pfefferbaumがアルツハイ
マー病(AD)と正常な老化とを比較している(Arch Gen Psychiatry 56(2): 18
5-92, 1999)。両方の群が皮質の灰白質容積の欠損を示した。灰白質NAAは、
高齢被験者および若者被験者と比較して、AD群においてのみ減少した。Cho
レベルは、正常な高齢者群と比較してAD群において高く、さらに若者群におけ
るレベルよりも高かった。AD患者における灰白質のクレアチン、ホスホクレア
チン、およびコリン濃度は、認識記憶テストでの悪い成績と相関していた。 【0024】 栄養不足が記憶困難に寄与することが知られている。例えばウェルニッケ・コ
ルサコフ症候群は、チアミン摂取障害の結果生じる。患者は炭水化物摂取を続け
、視床および脳幹の網様体の重要部分におけるチアミン貯蔵を次第に使い果たす
。根本原因として、透析、術後処理における過失、妊娠悪阻、および重篤なアル
コール中毒症が挙げられる。新しい情報の記憶はひどく影響を受けるが、遠い出
来事の記憶はほとんど影響を受けない。従って、患者の以前の経験はその人の行
為指導するのに有用であり、ほとんど知的な損失を示さないであろう。流体のカ
ロリーおよびビタミン栄養補助食品で適切に処置すると、その症状は数週間から
数ヶ月の期間に亘り消える。研究は、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキサン
(ビタミンB6)、またはシアノコバラミン(ビタミンB12)の使用と、認識
力との間に関連性を示した。それらビタミンは、炭水化物代謝に関連している。 【0025】 亜鉛レベルは高齢者集団において低いことが分かっており、亜鉛の血中レベル
は精神的パフォーマンスと正に相関した。 【0026】 脳機能を維持しかつ記憶障害を予防および改善するための改善された栄養物が
要求されている。 【0027】 発明の詳細な説明 本発明の1つの目的は、老化に伴い生じる認知障害を予防および改善すること
である。本発明の1つの目的は、脳梗塞、外傷性脳損傷、毒素暴露、および2型
糖尿病等の、脳の代謝障害に関連する他の様々な疾患において生じる認知障害を
予防および改善することである。本発明の別の目的は、上記の症状に関連する認
知障害を予防および/または改善するために、有効量の適切な抗酸化剤と有効量
のカルニチンとの配合物を提供することである。 【0028】 本発明の好ましい配合物は、0.12gから3gのカルニチンを含む。カルニチン
の好ましい形態は、アセチル-L-カルニチン(ALC)である。 【0029】 本発明の好ましい配合物は、約0.12gから約1.5gのR-α-リポ酸として抗酸
化剤を含む。 【0030】 必要に応じて、補酵素Qおよび/またはクレアチンも投与される。好ましくは
、10mg/日から500mg/日の補酵素Q10および1g/日から30g/
日のクレアチンを投与する 本発明の実施態様 代謝活性を分析するため、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)で特
異的に強化されたPETを用いた試験は、2つの誘導された因子が、42歳未満
の健康人と48歳を超える健康人とを区分することを示した。ブローカ代謝比(B
roca’s metabolic ratio)と組み合せた、口頭で行われた題材に関する補助的記
憶テスト、および視床領域の代謝測定と組み合せた、順次的または組織的情報の
コード化(執行機能)を要求するテストの両方が、高齢者群よりも若者群におい
て高かった。本発明者は、前頭−皮質下の代謝低下が、年齢依存的記憶プロセッ
シングに存在すると結論付けた(Riege WH et al. Brain Cogn 5(4): 412-27, 19
86)。従って、30代後半から40代前半において、代謝を強化しかつミトコン
ドリアにおける老化の影響を弱めることが証明されている治療を開始するのが有
益であろう。 【0031】 老化に伴う記憶力減退を阻止しさらに高齢者およびミトコンドリアの状態が良
くない他の個体に記憶の改善をもたらすために、カルニチンおよびリポ酸、なら
びに必要に応じて補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与する。近年の研究は
、それら化合物がどのように作用して、細胞のエネルギー発電所であるミトコン
ドリアの健全性を高めるかについて正確に示している。ミトコンドリアは、AT
P産生を担っており、実質的に体の全ての細胞中に比較的大量に存在する。ミト
コンドリア電子伝達系は、細胞によって利用される酸素の約85%を消費する。
ミトコンドリア機能の低下によって生じる細胞エネルギー欠損は、正常な細胞活
性を損なわせ、さらに、老化の主な要因である様々な生理学上のストレスに適応
する細胞の能力を低下させる。その高い酸素使用のため、ミトコンドリアは酸化
剤の最も高い産生量を有する。 【0032】 3つの重要な方法でオキシダントはミトコンドリアに損傷を与える。オキシダ
ントは、DNA、脂質、およびタンパク質に損傷を与える。ミトコンドリア内D
NA(mtDNA)は、核DNAの損傷よりも10倍以上高い酸化的損傷レベル
を有し、そのことは、核DNAと比べて17倍高いmtDNAにおける進化突然
変異率に相関する。mtDNA酸化は年齢の関数として蓄積し、そのことはヒト
を含むいくつかの種で認められている。このことは、機能障害ミトコンドリアに
つながるであろう。ミトコンドリアタンパク質損傷も老化に関連しており、エネ
ルギー産生を減らし、かつオキシダント産生を増加させるであろう。ミトコンド
リア脂質に対する酸化的損傷は、老化に伴う細胞膜の流動性の低下に寄与する。
脂質のカルジオリピンはミトコンドリア膜の主な成分であり、重要なミトコンド
リア内膜酵素の活性を助長させる。老化した損傷ミトコンドリア膜は、オキシダ
ントを含有することも、若い膜と同様の高い極性を維持することもできない。 【0033】 脂肪酸酸化は、多くの組織の重要なエネルギー源である。ミトコンドリア内膜
を越えるカルニチン−アセチル−カルニチン交換は非常に重要である。そのよう
な交換反応の活性は、おそらくカルニチンのより少ないミトコンドリア内プール
のせいで、老化に伴い顕著に低下する。L−カルニチンまたはALCは、そのよ
うな老化に伴う機能障害を減速させまたは逆転させることが分かっている。L−
カルニチンまたはALCは、老化に伴うカルジオリピンの減少、老化に伴うmt
DNA転写の減少、および膜電位の低下も覆す。それ自身で、L−カルニチンま
たはALCは、過剰オキシダントの問題を是正することはできない。実際、カル
ニチン補足がオキシダント産生を30%高め、細胞の酸化防止剤を著しく減少さ
せることが最近報告された。従って、高齢の個体でのALC投与単独では、より
大きな酸化的ストレスに寄与するであろう。 【0034】 老化障害ミトコンドリアエンジン(age-compromisedmitochondrial engines)が
全ての気筒で動くためには、カルニチンとリポ酸の両方が必須である。リポ酸は
抗酸化剤である。R−α−リポ酸は、老化に伴い見られるミトコンドリアにおけ
る衰弱を覆すのを助けることができるミトコンドリア酵素である。R−α−リポ
酸補足は、1)老化に伴う酸素消費の減少を覆し;2)老化に伴う膜電位の減少
を回復させ;3)高齢ラットの歩行を3倍にし;4)老化に伴うオキシダントの
増加を顕著に低減させ;さらに5)グルタチオンおよびアスコルビン酸レベルを
若者のレベルに回復させる;ことが分かっている。 【0035】 明らかに、カルニチンとリポ酸の両方が、老化に伴いミトコンドリア機能およ
び代謝活性に障害が生じた個体におけるそれらの機能および活性の回復に寄与す
る。このことは、エネルギー、全身の健康、精神活動、免疫系機能、皮膚および
毛の外観、ならびに筋肉総量の改善に寄与する。 【0036】 カルニチンは多くの形態で利用可能であり、それらの全てがカルニチンとチオ
クト酸の配合に関する発明に含まれる。カルニチンおよびカルニチン誘導体は、
動物管理における代謝産物として、ならびにヒトの食事および治療のために用い
られてきた。米国特許第5,362,753号(雌鳥にカルニチンを与えることによって
卵の孵化を高める方法);米国特許第4,687,782号(運動トレーニングへの平滑
筋適合を増強させるための栄養組成物);米国特許第5,030,458号(飼イヌおよ
びネコにおける食事によるカルニチン欠乏症を予防する方法);米国特許第5,03
0,657号(L−カルニチン補足したナマズの餌);米国特許第4,343,816号(抹消
血管疾患を治療するためのアシルカルニチンを含む薬剤組成物);米国特許第5,
560,928号(栄養および/または食餌組成物、ならびにそれを用いる方法);米
国特許第5,504,072号(バランスの取れたアミノ酸プロフィールを有する経腸栄
養組成物);米国特許第5,391,550号(細胞内ATPレベルおよび身体的パフォ
ーマンスレベルを高め、さらに創傷治癒の速度を早めるための組成物および方法
);米国特許第5,240,961号(老化に伴う、低下したインシュリン様成長因子お
よび骨損失を治療する方法);等を参照。最も好ましくは、カルニチンはアセチ
ル−L−カルニチンである。 【0037】 カルニチンの1日用量は約10mgから8gである。好ましくは、カルニチン
の1日用量は25−1,000mgである。より好ましくは、カルニチンの1日
用量は約40−700mgである。もっとも好ましくは、カルニチンの1日用量
は約50mg(0.05g)/日以上である。 【0038】 リポ酸またはチオクト酸は、代謝的に反応性のチオール基を生理的に含むミト
コンドリア活性抗酸化剤を意図している。ビタミン(特にC、E、BおよびD)
、グルタチオン、N−アセチルシステイン(NAC)、リポ酸、それらの誘導体
等を含むミトコンドリア活性抗酸化剤は、ヒト栄養剤として、および食事予防法
および療法において、多様に用いられている。例えば、リポ酸に関する出願とし
て、米国特許第5,607,980号(皮膚を改善する局所用組成物);米国特許第5,472
,698号(皮膚における脂質産生を高めるための組成物);米国特許第5,292,538
号(改善された持続エネルギーおよび同化組成物、ならびにそれらを作成する方
法);米国特許第5,536,645号(微生物の培養のための栄養培地);米国特許第5
,326,699号(動物細胞を培養するための血清を含まない培地)等が挙げられる。
好ましくは、その化合物は、グルタチオン、N−アセチルシステイン、およびリ
ポ酸の内の少なくとも1つである。最も好ましくは、その化合物はリポ酸のR−
鏡像体である。リポ酸の代謝産物はより長い半減期を有し、栄養補足に適してい
ることが分かっている。 【0039】 リポ酸の1日用量は、約10mgから8gである。好ましくは、リポ酸の1日
用量は25−1000mgである。より好ましくは、リポ酸の1日用量は約40
−700mgである。最も好ましくは、リポ酸の1日用量は約50mg(0.0
5g)/日以上である。 【0040】 Q10補足も重要である。90−106歳の範囲の男性および女性の群におい
て、女性では40%、男性では24%において、不十分なQ10状態が存在して
いた。女性において、Q10の低下は、損なわれたナチュラルキラー細胞の効果
に関連しており(p<0.05)、感染と戦う能力および最初に発生した個々の癌細胞を
迅速に排除する能力の低下を示唆する。また、Q10は、ミトコンドリアにおけ
るその作用を介してプログラム細胞死すなわちアポトーシスをブロックすると思
われる(Kagan T et al., Ann NY Acad Sci 887: 31-47, 1999)。さらには、通常
血中に存在するユビキノール−10としての還元形態のQ10は、DNAに対す
る酸化的損傷からヒトリンパ球を保護すると思われる(Tomasetti et al., Free
Radic Biol Med 27 (9-10):1027-32, Nov 1999)。6−12ヶ月間の200mg
までのQ10の毎日の補足、および6年間までの100mgのQ10の毎日の補
足による実験から、全く重要な副作用は報告されなかった(Overvad K et al., E
ur J Clin Nutr 53(10): 764-70, 1999)。 【0041】 Q10は酸化的ストレスの結果生じる粥状動脈硬化症を防御することによって
、老化防止効果に寄与するであろう(Pedersen HS, et al. Biofactors 9(2-4):3
19-23, 1999)。脳血管を保護することは、脳機能を支援するのを助けるであろう
。 【0042】 Q10の適切な用量に関して、高齢のフィンランド人の男性は100mg/日
の用量から恩恵を受けた。Q10不足の女性は150mg/kgの用量を受け取
り、迅速に改善した(Sobrietra et al. Neurology 48: 1283-43,1997)。Q10
は、肥大性心筋症の人において心機能を改善するため、約200mg/日の長期
用量でも用いられる。そのような情報に基づき、補足用量は約10mg/日から
約500mg/日の範囲である。好ましくは、Q10用量は約100mg/日で
ある。 【0043】 クレアチンは高齢の個体において不足することが多いため、クレアチン補足は
重要である。多くの運動選手は、筋肉量の増加による体重増加の他には分かって
いる弊害無しに、長年に亘り75g/日までの用量のクレアチンを摂取している
。クレアチンは、クレアチン吸収を高める傾向があるグルコースと共に摂取した
時に最も有益であろう。運動選手は、5日から1週間の間、4回の量に分けて2
0g/日の負荷用量を摂取することが多い。その後、彼らは5g/日の維持用量
を摂取する。高齢の個体(40−73歳)での1週間における利益は、平滑筋の
強さおよび持久力の形で、20g/日用量から認められた。1.5g−25g/
日の範囲で1年以上の期間に亘り安全であることが報告されている。適切な用量
範囲は、0.5g/日から25g/日であり、好ましくは1−10g/日であり
、最も好ましくは約5g/日である。クレアチンは、塩、1水塩、リン酸塩、お
よびクエン酸塩として利用可能である。 【0044】 上記の組成物および以下の実施例に加えて、朝食製品もカルニチンの添加から
恩恵を受けるであろう。そのような朝食製品の例として、限定はされないが、朝
食用シリアル(Total(登録商標)等)、朝食用棒状物(breakfast bar)、Poptart(
登録商標)練り菓子、およびパンやタコスに物を挟んだ簡単な朝食(例えばMcDo
nald(登録商標)Egg McMuffin(登録商標))が挙げられる。カルニチン、チオ
クト酸、ならびに必要に応じてQ10および/またはクレアチンを、以下の組成
物の原末または粉末一袋に添加して差し支えない:オレンジジュース(例えばTa
ng(登録商標))、コーヒークリーマー(例えばCremora(登録商標))、粉乳
、粉乳シェーク/口当たりの柔らかもの(powdered milk shakes/smoothies)(例
えばMetaRX)、バター風味粉末、甘味粉末(例えばNutrasweet(登録商標))、
ならびにスパイスおよびハーブ混合物。カルニチン、チオクト酸、ならびに必要
に応じてQ10および/またはクレアチンの配合物を、調理済みのまたは未調理
の任意の食品と混合して差し支えない。 【0045】 カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/またはクレア
チンを加えることによって恩恵を受ける予め調製された飲み物として、限定はさ
れないが、予め調製された口当たりの軟らかい飲み物、Jamba Juice(登録商標
)およびStarbucks(登録商標)のような飲み物への添加剤、例えばGatorade(登
録商標)のようなスポーツ飲料、例えばWeight Watchers(登録商標)およびSlim
Fast(登録商標)のようなダイエット飲料、ならびに例えばSoBe(登録商標)(
オトギリ草属の植物および他の属のハーブ)のようなハーブ飲料が挙げられる。
カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/またはクレアチ
ンを含む製品は、任意の強化食品または食事代替食品も含む。 【0046】 乾燥したまたは缶入りのペット用製品中、あるいはそれに加える栄養補助食品
として、カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/または
クレアチンの配合物を提供する。そのような組成物から恩恵を受けることが予測
される動物として、限定はされないが、イヌ、ネコ、ウシ、トリ、および魚が挙
げられる。 【0047】 それら製品の組成および/または含有量は、製品ラベルに記載されており、あ
るいはさもなければ公に入手可能である。 【0048】 追加の栄養素が高齢の個体では特に重要であり、カルシウム、ビタミンB12
、B6、C、DまたはE、葉酸、ナイアシン、鉄および亜鉛が挙げられる。それ
ら栄養素の多くは、高齢者の食事中に不足しており、栄養飲料および棒状物にお
いて適切に補足すべきことが分かっている。 【0049】 好ましい製品は、1日24時間働くミトコンドリアへの栄養素の規則的な供給
を提供する徐方性製品中において、必要に応じて補酵素Q10および/またはク
レアチンと配合してリポ酸およびカルニチンを提供する。徐方性を達成する1つ
の方法は、微量養素を、その微量養素を利用可能にする工程を概して遅くする他
の分子と化学的に結合させる方法である。異なる溶解速度を有する微量養素の様
々な塩の使用も、徐々のおよび適切な製品の放出をもたらす。 【0050】 それら方法の他に、経口投与に関して放出を制御するために2つの他の基本的
系が用いられる:微量養素および賦形剤を含むコアをコーティングする系(被覆
系)および微量養素をマトリックス中に封入する系(マトリックス系)。被覆系
は製品を装填したコアを調製し、さらに放出速度遅延物質でそのコアをコーティ
ングすることを含む。製品装填コアをミクロスフェア、顆粒、小球または核錠に
成形しても差し支えない。多くの公知のコア調製法があり、限定はされないが以
下のものが挙げられる:1)トップスプレー流動床造粒によって、またはウルス
ターコーティングによる溶液/懸濁液/粉砕積層によって、顆粒を作成する;2
)押出し−粒状化、回転式加工、および融解造粒(melt pelletization)によって
球状の顆粒または小球を作成する;3)圧縮および放出速度遅延物質によるコー
ティングによって核錠を作成する;4)乳化処理およびスプレー乾燥によってミ
クロスフェアを作成する。 【0051】 マトリックス系は、ゆっくり崩壊するまたは崩壊しないマトリックス中に微量
養素を埋め込む。放出速度は、マトリックスの侵食および/またはマトリックス
を介した微量養素の拡散によって制御される。通常、製品中の活性物質、賦形剤
、および放出速度遅延物質を混合し、その後マトリックス小球または錠中に加工
する。マトリックス小球は、造粒、セルロース系材料を用いた球状化によって、
あるいは放出遅延物質を用いた溶解造粒によって形成され得るが、マトリックス
錠は錠剤プレスにおける圧縮によって調製される。セルロース系材料の例は、放
出速度遅延物質としてのヒドロキシプロピルメチル−セルロースである。 【0052】 被覆小球またはマトリックス小球をカプセルに注入し、または圧縮錠剤化して
も差し支えない。所望の製品プロフィールを得るために同じ製品の異なる放出速
度を有する被覆小球またはマトリックス小球を混ぜ合わせることによって、放出
速度をさらに調節することができる。リポ酸、カルニチン、補酵素Q10、また
はクレアチンの何れかを含有する小球を混ぜ合わせて、配合製品を形成すること
ができる。 【0053】 不可欠な生体活性に関する便利な測定法は上述されており、またはこの中で挙
げられている引例中に記載されている。例えば、カルジオリピン含有量は、Guan
, Z.Z., Soderberg, M., Sindelar,P., and Edlund, C. Content and Fatty Aci
d Composition of Cardiolipin in the Brain of Patients with Alzheimer’s
Disease, Neurochem. Int. 25: 295-300, 1994を参照に容易に測定することがで
き、さらにオキシダント産生(DCFH)は、LeBel, C.P., Ischiropoulos, H.
, and Bondy,S.C. Evaluation of the Probe 2’, 7’-Dichlorofluorescein as
an Indicator of Reactive Oxygen Species Formation and Oxidative Stress.
Chem. Res. Toxicol. 5: 227-231, 1992に記載されているように測定できる。
老化に伴う記憶力減退のパラメーター、および例えば宿主活性(host activity)
のような他の活性、ならびに例えば毛繕い、性活動、支配等の行動に関する測定
法も同様に当業界で公知である。 【0054】 約5−10分内に数字のスコアを提供する、Mini-Mental Status Examination
を用いて、AAMIまたは他の記憶障害に関する試験を実施することができる。
迅速なスクリーニングとして、簡単に指向性を評価し、設定時間(例えば2時1
0分前)を示す時計を手で描くように患者に求めることは、認識状態、空間視覚
失認、論理順序通りに指示を理解および実行する能力、ならびに固執の存在また
は不在に関する情報を与えることができる。 【0055】 PETスキャンおよび機能的MRIは、認識欠損の神経解剖学的局在性を特定
しかつ定量化することができる(例えば、Frackowiak, Trends Neurosci 17: 10
9-115, 1994; Moscovitch et al., Proc Natl Acad Sci USA 92: 3721-3725, 19
95; Schacter et al. Proc Natl Acad Sci USA 93: 321-325, 1996)。いくつか
の研究は、老化の影響について記載している(Eustache et al. Neuropsychologi
a 33: 867-887, 1995; Grady et al. Science 269: 218-211)。 【0056】実施例 :一酸化炭素中毒 一酸化炭素(CO)中毒は、酸素欠乏症および他の関連する生化学的機構によ
って認知障害を生じさせる。21症例のCO中毒患者において、脳−行動関連性
、神経心理学的結果、SPECT、MRI、および定量的MRI(QMRI)を
調べた。93%の患者が、注意力、記憶、執行機能、および心理処理速度等の低
下を含む、様々な認知障害を表した。画像研究は、67%が、海馬萎縮、および
/または脳室/脳の比(VBR)の上昇によって証明されるびまん性皮質萎縮等
のQMRI所見を有することを示した。脳血流欠損は、前頭葉および側頭葉の血
流低下を含んでいた(Gale SD et al. Brain Inj 13(4); 229-43, 1999)。 【0057】 そのような患者の治療は、カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ
10および/またはクレアチンの配合物を投与して、ミトコンドリアを支援する
ことを含む。そのような治療は、好ましくは、脳に対する酸素欠乏の強烈な影響
を改善するために、中毒の発見後直ぐに開始する。 【0058】実施例 :糖尿病 2型糖尿病は、おそらく記憶および執行機能の両方に関する認知障害に関連し
ている。また、2型糖尿病において、例えば高血圧、脂質血症異常(dyslipidemi
a)、およびアポリポタンパク質E表現型のような他の因子との強い相互影響はあ
るにしても、血管性痴呆とアルツハイマー病の両方の危険性が上昇するという証
拠がある。2型糖尿病における認知障害の機構に関する別の研究は、科学者が、
不治の病気としての痴呆のテーマ(少なくともそれら患者における)に挑戦する
ことを可能とした(Stewart R and Liolitsa D. Diabet Med 16(2): 93-112, 199
9)。 【0059】 記憶および執行機能のそのような障害は、老化に伴う記憶障害において認めら
れるものと類似しており、従って、2型糖尿病でも障害を受けているミトコンド
リアを支援するために、カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10
および/またはクレアチンの配合物での処置に感受性がある。 【0060】実施例 :強迫障害 強迫障害(OCD)の以前の神経心理学的研究は、執行機能および非言語的記
憶の障害を示唆する。最近の研究は、像に関する事後の非言語的記憶に基づきそ
の像を複製する時に用いられる組織戦略の仲介効果について調べた。20名の薬
物療法を受けていないOCDの被験者における神経心理学的パフォーマンスを、
20名の対応する対照被験者と比較した。被験者にRey-Osterrieth Complex Fig
ure Test(RCFT)および執行機能の様々な態様を評価する神経生理学的試験
を施行した。OCD被験者は、RCFT図を複写するのに用いられる組織戦略に
おいて健康な対照被験者と有意に異なっており、即時テストおよび遅延テストの
両方においてほとんど情報を思い出さなかった。多重回帰解析は、即時回復割合
(%)が複写組織戦略によって顕著に仲介されていることを示唆した。さらなる
探索的解析は、OCDにおける組織問題が、精神的および/または空間的固着を
動かすことの困難性に関連していることを示唆した。OCD被験者における即時
非言語的記憶問題は、RCFT像の最初の複写の間に用いられる組織戦略の障害
によって仲介された。従って、最初の欠損は執行機能にあり、それがその後即時
記憶に二次的な影響を有する。それら所見は、OCDにおける前頭−線条体系機
能障害を提案する現在の理論と合致する(Savage CR et al. Biol Psychiatry 45
(7):905-16, 1999)。 【0061】 老化に伴う記憶障害においても同様に前頭−線条体系が影響を受け、類似の処
置、すなわちカルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/ま
たはクレアチンの投与をOCDにおいて用いることができる。 【0062】実施例 :環境毒素暴露 造船所での労働者において、有機溶媒への慢性的暴露の影響を評価するため、
環境的モニタリングおよび生物学的モニタリングを実施した。環境的および生化
学的モニタリングデータを用いて、累積暴露(CE)および生涯−加重平均暴露
変数(lifetime-weighted average exposure variables)を展開した。注意力、執
行機能、空間視覚、および構成能力、学習および記憶、および精神運動機能にお
ける障害または機能障害の確認のため、神経心理学的質問ならびに機能テストを
実施した。暴露された群において、神経心理学的診断で異常である割合は9.3
%であった。これは、暴露されていない労働者において認められる割合2.1%
よりもはるかに高いものであった(p<0.01)(Jang JY et al. Int Aech Occup Env
iron Health 72(2): 107-14, 1999)。 【0063】 有機溶媒または他の環境毒素に曝されたであろう個体は、高齢の個体において
認められる記憶障害に類似の記憶障害を発症する危険性が明らかにある。環境毒
素に曝された個体は、それらのミトコンドリア、および例えばオキシダントのよ
うな代謝物を処理するミトコンドリアの能力を保護するための方法として、カル
ニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/またはクレアチンを
摂取するのによく適しているであろう。 【0064】実施例 :軽い外傷性脳損傷 最近の研究は、軽い外傷性脳損傷(TBI)の後遺症を特定するためにいくつ
かの神経心理学的テストを用いた。軽いTBIを経験した11名の成人患者に以
下のテストを行った:修正子供用ウェクスラー知能尺度:迷路部分試験(Mazes S
ubtest)、試験AおよびB、ボストンネーミングテスト、多言語失語症試験(Mult
ilingual Aphasia Examination):管理口述言語連想検査(Controlled Oral Word
Association Test)、および整調聴覚連続加算作業(Paced Auditory Serial Add
ition Task)。対照被験者は、試験AおよびB、管理口述言語連想検査、ならび
に整調聴覚連続加算作業(部分試験2−4)において、軽いTBIの患者よりも
有意に良好に遂行した。修正子供用ウェクスラー知能尺度:迷路部分試験、ボス
トンネーミングテスト、および整調聴覚連続加算作業(部分試験1)に関しては
、TBI患者と対照との間に成績の有意な差は認められなかった。結果は、軽い
TBIを有する患者は異常な執行機能を有することを示唆する(Brooks J et al.
J Trauma 46(1): 159-63,1999)。 【0065】 軽いTBIを有する患者は、老化に伴う記憶力減退を有する人の初期障害と類
似の初期障害を有しており、ミトコンドリアが十分なエネルギーを作り出しかつ
危険なオキシダントを制御する能力に負担を負わせる傷害から回復するのを助け
るために、カルニチン、チオクト酸、ならびに必要に応じてQ10および/また
はクレアチンの配合物の投与から恩恵をうけることができる。 【0066】 本明細書中に挙げられている全ての刊行物および特許出願は、それら刊行物お
よび特許出願の各々が特別におよび個別的に参照によって組み込まれることが指
示されているのと同様に、参照によってこの中に組み込まれる。前述の発明は、
理解を明瞭にする目的で図面および実施例によってさらに詳細に記載されている
が、本発明の教示を考慮して、添付請求項の精神または範囲を逸脱することなく
、本発明に変化および変更を成し得ることは当業者に明白であろう。 【0067】 1)外国語書面の明細書第5頁第28行から第8頁第26行、第10頁第1行か
ら第15頁第24行、および第16頁第9行から第18頁最終行までの各部分の
翻訳が欠落していたので、補充して誤訳訂正する。 【0068】 2)外国語書面の請求の範囲第19頁第6行から第21頁最終行までの部分の翻
訳が欠落していたので、補充して誤訳訂正する。 【0069】 3)併せて、既に翻訳済みの明細書および請求の範囲の一部について、些細な表
現の訂正を加えた(この部分は内容の変更はないので、詳細な訂正理由は省略す
る)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),CA,J P

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 有効量の適切な抗酸化剤、カルニチン、ならびに必要に応じ
    て補酵素Qおよび/またはクレアチンを投与することを含んで成る、老化に伴う
    記憶障害を治療する方法。
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