JP2003511067A - 高い収量のタンパク質発現系および方法 - Google Patents

高い収量のタンパク質発現系および方法

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Abstract

(57)【要約】 種々のタンパク質発現系におけるピルベートカルボキラーゼ活性を増加させると、タンパク質収量が増強される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 最近数年間に、産業的および医学的に使用する組換えタンパク質の商業的製造
は有意に増加してきている。例えば、従来の化学的合成法は酵素触媒を使用する
大規模プロセス(生物触媒法)により置換されることが増加している。食品およ
び洗浄剤の産業は、大規模生物学的プロセスを使用する、2つの主要な産業であ
る。重要な酵素は下記のものを包含する:酪農産業において、レンネット、ラク
ターゼ、パパインおよびペクチンステラーゼ;澱粉プロセシングにおいて、α−
アミラーゼ、グルコアミラーゼおよびグルコースイソメラーゼ;洗浄剤産業にお
いて、プロテアーゼ、リパーゼおよびアミラーゼ;繊維材料において、アミラー
ゼ;およびパルプおよび紙において、セルラーゼ。診断用および治療用タンパク
質およびペプチドの市場も拡大している。主要なペプチド薬物は、エリトロポイ
エチン、インスリン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモンおよびインタ
ーフェロンを包含する。
【0002】 産業用および治療用タンパク質およびペプチドの組換え製造のコストは発酵お
よび精製の両方のプロセスに関連するコストを含むが、制限因子は発酵プロセス
から達成できる活性タンパク質またはペプチドの濃度である。こうして、組換え
タンパク質の収量を増加する方法は産業に対して有意なコストの節約を生ずるで
あろう。
【0003】 大腸菌(Escherichia coli)は、組換えタンパク質の製造において最も広く
使用されている生物である。それは十分に特性決定されており、増殖が速くかつ
費用がかからず、遺伝学的に変更することが比較的容易である。いくつかの菌株
は、発現された遺伝子産物として30%程度に多くの全タンパク質を産生すること
ができる。組換え大腸菌(E. coli)細胞から産生されたタンパク質は、インス
リン、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、ヒドロラーゼ、レ
ダクターゼ、およびトランスフェラーゼを包含する。
【0004】 細胞塊を作り、タンパク質を産生するために、すべての細胞はグルコースまた
は炭水化物を異化してエネルギーと主要な代謝物質を産生しなくてはならない。
これらの炭水化物は解糖を介してプロセシングされ、ホスホエノールピルベート
(PEP)に変換される。PEPは2つの重要な代謝中間産物、すなわち、ピルベート
およびオキサロアセテートに変換される(第1図参照)。次いでピルベートはア
セチル−CoAに変換される。酸素の存在下に、組換えタンパク質産生について典
型的な場合であるように、アセチル−CoAおよび4−炭素代謝中間産物オキサロア
セテートは結合して6−炭素代謝中間産物を生じ、これによりトリカルボン酸(T
CA)サイクルを支持し、エネルギーおよび主要な代謝物質を細胞に提供する(第
1図参照)。選択的に、アセチルCoAは2つの工程を実行してアセテートを生成す
るが、オキサロアセテートはいくつかのアミノ酸を発生させるために使用される
ことができる。
【0005】 大腸菌(E. coli)における大規模組換えタンパク質合成の効率を増加させる
先行技術試みは、発酵間に蓄積するアセテートの量を減少させることに集中され
てきている。なぜなら、アセテートの蓄積は高いタンパク質収量を達成する制限
因子であることが推測されていたからである。しかしながら、この領域における
激しい研究にかかわらず、このアプローチは組換えタンパク質産生において有意
な進歩に導びかなった。組換えタンパク質産生技術の連続的進歩は高度に望まし
く、出現する生物学的プロセシング産業により積極的に探求されている。明らか
なように、大規模発酵におけるタンパク質収量を増加することに関する新しいア
プローチが要求されている。 発明の要約 ピルベートカルボキラーゼは、ピルベートおよび二酸化炭素をオキサロアセテ
ートに変換することによって、アナプレロティック反応を達成することができる
ビオチン依存性酵素である。この酵素は細菌からヒトまでの多数の異なるタイプ
の細胞において見出されてきている。驚くべきことには、宿主細胞内のピルベー
トカルボキラーゼ活性を増加させると、ポリペプチド産生が増強されることが発
見された。こうして、本発明は、タンパク質またはペプチドを産生する宿主細胞
内でピルベートカルボキラーゼ活性を増加させることを包含する。本発明による
ポリペプチド産生の増強は、宿主細胞のタイプ、ピルベートカルボキラーゼ遺伝
子源、および発現されるタンパク質またはペプチドの特質に対して独立であるこ
とが完全に期待される。こうして、本発明は、組換えタンパク質の前例のない進
歩を表す;事実上、タンパク質またはペプチドの産生に使用される任意の細胞を
本発明に従い遺伝子操作してタンパク質またはペプチドの収量を改良することが
できる。
【0006】 こうして、本発明は、タンパク質産生に使用される宿主細胞におけるタンパク
質またはペプチドの産生を増強する方法を包含する。ピルベートカルボキラーゼ
を機能的にコードする天然(すなわち、内因的)および/または外来(すなわち
、異種)核酸フラグメントを細胞の中に導入して、そのように操作されていない
細胞に関して、宿主細胞においてピルベートカルボキラーゼを過剰産生すること
を包含する。驚くべきことには、かつ好都合には、ピルベートカルボキラーゼを
過剰産生するように宿主細胞を操作すると、注目のタンパク質またはペプチドの
産生が増強される。他に、ピルベートカルボキラーゼを内因的に発現する細胞の
DNAを、天然ピルベートカルボキラーゼ遺伝子の発現、それゆえピルベートカル
ボキラーゼ酵素の発現を増加するように突然変異させて、細胞がタンパク質また
はペプチドの産生を増強するようにさせることができる。
【0007】 ピルベートカルボキラーゼを内因的に発現する生物、例えば、リゾビウム・エ
トリ(Rhizobium etli)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacteriu
m glutamicum)、メタノバクテリウム・サーモオートロフィカム(Metanobacte
rium thermoautotrophicum)、またはシュードモナス・フルオレセンス(Pseud
omonas fluorescens)に由来するピルベートカルボキラーゼをコードするDNAフ
ラグメントで宿主細胞を形質転換することによって、ピルベートカルボキラーゼ
の過剰発現を実行することが好ましい。ピルベートカルボキラーゼは代謝的に操
作された細胞内で発現ベクターから、または宿主細胞のゲノムの中に染色体的に
組込まれたDNAフラグメントから発現させることができる。宿主細胞はいかなる
方法においても限定されず、タンパク質またはペプチドの産生に使用される任意
のタイプの細胞であることができる。本発明の特に好ましい態様において、代謝
的に操作された細胞は細菌細胞、例えば、大腸菌(E. coli)または枯草菌(Ba
cillus subtilis)細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞
、例えば、マウスまたはヒト細胞である。
【0008】 本発明は、さらに、タンパク質またはペプチドを産生する方法を包含する。タ
ンパク質またはペプチドを産生する方法は、ピルベートカルボキラーゼを過剰発
現する代謝的に操作された細胞を準備し、次いで代謝的に操作された細胞を培養
してタンパク質またはペプチドの発現を増加させることを包含する。必要に応じ
て、この方法はピルベートカルボキラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列を
含有する核酸フラグメントで宿主細胞を形質転換して、代謝的に操作された細胞
を生じさせることを包含する。また、必要に応じて、タンパク質またはペプチド
を細胞から単離することができる。別法において、ピルベートカルボキラーゼを
内因的に発現する宿主細胞のDNAを突然変異化して天然ピルベートカルボキラー
ゼの転写を変更させて、天然酵素の過剰発現を引き起こすことができる。
【0009】 また、本発明によれば、新規なタンパク質発現系が提供される。タンパク質発
現系はタンパク質またはペプチドの発現に有効な任意の細胞または細胞培養物を
包含し、ここで1または2以上の細胞は本発明に従いタンパク質またはペプチドを
過剰発現し、これによりタンパク質またはペプチドの産生を増強するように修飾
されている。本発明のタンパク質発現系は、ピルベートカルボキラーゼを過剰発
現しない類似する細胞または細胞培養物を利用する発現系よりも、高い収量でタ
ンパク質またはペプチドを産生することができる。
【0010】 本発明は、さらに、タンパク質またはペプチドの産生において使用するための
代謝的に操作された細胞を提供し、ここで細胞はPEPカルボキラーゼを過剰発現
し、こうしてピルベートカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞に比較して
、タンパク質またはペプチドの産生を増強させるように代謝的に操作されている
。細胞は細胞の中へグルコースを輸送するためにPEPを使用しない細胞であるこ
とが好ましい。また、タンパク質またはペプチドを産生する時間の間かつ条件下
に、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を培養す
ることを包含する、タンパク質またはペプチドを製造する方法が提供される。 詳細な説明 前述したように、組換え系におけるタンパク質収量を増加させる従来の努力は
アセテート産生を減少することに集中した。本発明は、その代わりに細胞を代謝
的に操作して、ピルベートカルボキラーゼを過剰産生させることによってTCAサ
イクル中間産物を補充するアナプレロティック反応をアップレギュレートするこ
とに集中する、完全に異なるアプローチを取る。このアプローチにより達成され
る成功は高度に予期せざるものである。第1に、細胞における炭素流の代謝的調
節は厳格に調節される。炭素代謝を取り囲むネットワークの厳格さを克服する努
力において、種々の代謝的操作法が実行されてきたが、ほとんど成功しなかった
。例えば、大腸菌(E. coli)における天然酵素PEPカルボキラーゼの過剰発現
はオキサロアセテートに向かう炭素フラックスを増加させることが示された(C.
Millard他、Appl. Environ. Microbiol. 62:1808−1810(1996);W. Fa
rmer他、Appl. Environ. Microbiol. 63:3205−3210(1977);しかしなが
ら、このような遺伝的操作はまたグルコース吸収を減少させる(P. Chao他、Ap
pl. Environ. Microbiol. 59:4261−4265:1993))。なぜなら、PEPはリン
酸転移酵素系を介するグルコース輸送のために必要な補基質であるからである。
一般に、重要なTCAサイクル中間産物オキサロアセテートに向かう炭素フラック
スは系の混乱に無関係に一定に止まる(J. Vallino他、Biotechnol. Bioeng.
41:633−646(1933))。第2に、わずかに10アミノ酸(グルタメート、アル
ギニン、プロリン、グルタミン、アスパルテート、アスパラギン、リシン、メチ
オニン、トレオニンおよびイソロイシン)しかTCAサイクル中間産物から産生さ
れず、こうして炭素が首尾よくTCAサイクルへと進行する場合でさえ、タンパク
質およびペプチドの産生(すべての20アミノ酸を使用する)は増加することが期
待されないであろう。
【0011】 こうして、この分野において確立された科学的理解により予測されてきている
事柄と反対に、オキサロアセテートへのピルベートの反応を触媒するピルベート
カルボキラーゼの過剰産生はTCAサイクルへの炭素を補充するので、TCAサイクル
成分は高いレベルを維持し、これによりアセテートが培養物の中に蓄積するか否
かにかかわらず、連続した細胞増殖およびタンパク質産生を保証することを我々
は発見した。
【0012】 用語「ピルベートカルボキラーゼ」および「ピルベートカルボキラーゼ酵素」
は、ピルベートカルボキラーゼ活性を有する酵素、すなわち、オキサロアセテー
トを生ずるピルベートのカルボキシル化を触媒することができる酵素を意味する
。こうして、用語「ピルベートカルボキラーゼ」は、天然に存在するピルベート
カルボキラーゼ酵素、ならびにピルベートカルボキラーゼ活性が保持されるかぎ
り、それらのフラグメント、誘導体、または他の化学的、酵素的または構造的修
飾物、例えば、天然に存在するピルベートカルボキラーゼ遺伝子の挿入、欠失ま
たは部位突然変異体によりコードされる酵素を包含する。ピルベートカルボキラ
ーゼ活性は、J. Payne他、(J. Gen. Microbiol. 59:97−101(1969))の
カップルド法により好都合に測定される。用語「ピルベートカルボキラーゼ遺伝
子」は、ピルベートカルボキラーゼ酵素を機能的にコードする遺伝子を意味する
。遺伝子または他の核酸により「機能的にコード」されるタンパク質またはペプ
チドは、宿主細胞の中に導入されたとき、宿主細胞により発現されることができ
るタンパク質またはペプチドである。例えば、タンパク質またはペプチドをコー
ドする核酸は、転写および翻訳調節因子、例えば、プロモーター、オペレーター
、エンハンサー、終止シグナル、転写開始コドンおよび停止コドンおよびその他
を包含またはコードし、コードされたタンパク質の構成的または誘導可能な転写
および翻訳を可能とする。酵素が同等の野生型細胞において発現されるレベルよ
りも高いレベルにおいて、宿主細胞において発現されるとき、酵素は本発明の宿
主細胞において「過剰発現」または「過剰産生」される。特定の酵素を内因的に
発現しない細胞において、細胞中の酵素の任意のレベルの発現は本発明の目的に
対してその酵素の「過剰発現」または「過剰産生」と見なされる。
【0013】 炭素代謝の変化を引き起こすように、遺伝子操作が代謝経路の崩壊または変更
に向けられるとき、遺伝子操作された細胞はここにおいて「代謝的に操作された
」細胞と呼ばれる。本発明に従い代謝的に操作された細胞により過剰発現される
ピルベートカルボキラーゼは、内因的または異種であることができる。「異種」
酵素は、細胞の中に通常存在しないヌクレオチド配列によりコードされる酵素で
ある。例えば、ピルベートカルボキラーゼをコードする異なる種または属からの
遺伝子で形質転換されかつその遺伝子を発現する細菌細胞は、異種ピルベートカ
ルボキラーゼを含有する。異種核酸フラグメントは宿主ゲノムの中に組込まれる
か、あるいは組込まれないことがある。特性決定されたピルベートカルボキラー
ゼ酵素および、ある場合において、遺伝子は下記のものを包含する:ヒトピルベ
ートカルボキラーゼ(GenBank K02282;S. Freytag他、J. Biol. Chem. 25
9:12831−12837(1984));サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces
cerevisiae)からのピルベートカルボキラーゼ(GenBank X59890、J03889、お
よびM16595;R. Stucka他、Mol. Gen. Genet. 229:305−315(1991);F.
Lim他、J. Biol. Chem. 263:11493−11497(1988);D. Myers他、Bioch
emistry 22:5090−5096(1983));シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizos
accharomyces pombe)からのピルベートカルボキラーゼ(GenBank D78170);
リゾビウム・エトリ(R. etli)からのピルベートカルボキラーゼ(GenBank U
51439;M. Dunn他、J. Bacteriol. 178:5960−5070(1996));ラッツス・
ノルベギカス(Rattus norvegicus)からのピルベートカルボキラーゼ(GenBan
k U81515;S. Jitrapakdee他、J. Biol. Chem. 272:20522−20530(1997
));バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)か
らのピルベートカルボキシラーゼ(GenBank D83706;H. Kondo、Gene 191:4
7−50(1997);S. Libor、Biochemistry 18:3647−3653(1979));シュー
ドモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)からのピルベートカルボキラ
ーゼ(R. Silvia他、J. Gen. Microbiol. 93:75−81(1976);メタノバク
テリウム・サーモオートトロフィクム(M. thermoautotrophicum)からのピル
ベートカルボキラーゼ(B. Mukhapodhyay他、J. Biol. Chem. 273:5155−5
166(1998))およびコリネバクテリウム・グルタミカムからのピルベートカル
ボキラーゼ(C. glutamicum)(GenBank Y09548)。
【0014】 好ましくは、本発明による代謝的に操作された細胞により過剰産生されるピル
ベートカルボキラーゼはリゾビウム・エトリ(R. etli)またはシュードモナス
・フルオレッセンス(P. fluorescens)に由来する。リゾビウム・エトリ(R.
etli)におけるピルベートカルボキラーゼはpyc遺伝子によりコードされる(M
. Dunn他、J. Bacteriol. 178:5960−5970(1996))。リゾビウム・エトリ
(R. etli)酵素はα4ピルベートカルボキラーゼとして分類され、これはアス
パルテートにより阻害され、活性化のためにアセチルCoAを必要とする。このク
ラスのピルベートカルボキラーゼのメンバーは、本発明において使用するために
特による適すると思われない。なぜなら、ピルベートからオキサロアセテートへ
の炭素流の再方向づけはアセチルCoAの産生を減少させ、アスパルテート産生を
増加させることが期待され、それらの両方はピルベートカルボキラーゼ活性を減
少させるからである。しかしながら、細菌宿主におけるリゾビウム・エトリ(R.
etli)ピルベートカルボキラーゼの発現は、オキサロアセテートおよびその下
流代謝物質の産生を増加させるために有効であることが見出された(実施例IIお
よびIV)。その上、これは宿主によるグルコース吸収に悪影響を及ぼすさないで
達成することができる(実施例III)。PEPカルボキラーゼを過剰発現させること
によって炭素をオキサロアセテートに向ける従来の努力において、この悪影響は
障害物であった(P. Chao他、Appl. Environ. Microbiol. 59:4261−4265
(1993))。
【0015】 本発明の特に好ましい態様において、代謝的に操作された細胞はα4β4ピルベ
ートカルボキラーゼを発現する。このクラスのピルベートカルボキラーゼのメン
バーは、活性化のためにアセチルCoAを必要とせず、アスパルテートにより阻害
されず、本発明において使用するためによく適する。シュードモナス・フルオレ
ッセンス(P. fluorescens)は、α4β4ピルベートカルボキラーゼを発現する
ことが知られている1つの生物である。したがって、本発明の代謝的に操作され
た細胞は、シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)から単離さ
れた核酸フラグメントで形質転換された細胞であることが好ましい。この核酸フ
ラグメントは、シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)の中で
発現されたピルベートカルボキラーゼ、より好ましくはR. Silvia他、J. Gen.
Microbiol. 93:75−81(1976)により単離され、その中に記載されているピ
ルベートカルボキラーゼをコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0016】 好ましくは、本発明の代謝的に操作された細胞はピルベートカルボキラーゼを
過剰産生する。換言すると、代謝的に操作された細胞は同等の野生型細胞におい
て発現されるピルベートカルボキラーゼのレベルより高いレベルでピルベートカ
ルボキラーゼを発現することが好ましい。当業者はこの比較を多数の方法で行う
ことができ、そして同等の増殖条件下に実施された。例えば、ピルベートカルボ
キラーゼ活性はPayneおよびMorris(J. Gen. Microbiol. 59:97−101(1969
))の方法を使用して定量し、比較することができる。ピルベートカルボキラー
ゼを過剰産生する代謝的に操作された細胞は、このアッセイにおいて野生型細胞
より大きい活性を生ずるであろう。さらに、または選択的に、細胞からのタンパ
ク質抽出物を調製し、SDS−PAGEに付し、ウェスタンブロットに移し、次いでウ
ェスタンブロット上のビオチニル化タンパク質の可視化のために検出キットを使
用してビオチニル化ピルベートカルボキラーゼタンパク質を検出することによっ
て、ピルベートカルボキラーゼの量を定量し、比較することができる。検出キッ
トは、例えば、下記の会社から商業的に入手可能である:ピアース・ケミカル・
カンパニー(Pierce Chemical Company、イリノイ州ロックフォード)、シグ
マ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company、ミゾリー州セントルイ
ス)またはベーリンガー・マンヘイム(Boehringer Mannheim、インジアナ州イ
ンジアナポリス)。いくつかの適当な宿主細胞において、非操作の野生型細胞に
おけるピルベートカルボキラーゼの発現は検出可能なレベルよりも低いことがあ
る。
【0017】 本発明において利用する代謝的に操作された細胞は、いかなる方法においても
細胞の特定のタイプまたはクラスに限定されない。それは、限定されずに、真核
細胞または原核細胞であることができる;こうして、それは細菌、植物、原生生
物(例えば、原生動物または藻類)、真菌(例えば、酵母菌)、または動物の細
胞を包含することができる。動物細胞は、例えば、脊椎動物または無脊椎動物の
細胞、例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞、好ましくはマウスまたはヒト細胞
を包含する。細菌細胞は、例えば、細菌または古細菌の細胞を包含する。好まし
くは、細胞は細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞で
ある。特に好ましい細菌細胞は、大腸菌(E. coli)細胞または枯草菌(B. su
btilis)細胞である。好ましい哺乳動物細胞は、ヒト細胞およびマウス細胞であ
る。
【0018】 多数の生物は、PEPから酵素PEPカルボキラーゼを介して、またはピルベートか
ら酵素ピルベートカルボキラーゼを介してオキサロアセテートを合成することが
できる。このクラスの生物の代表例は、コリネバクテリウム・グルタミカム(C.
glutamicum)、リゾビウム・エトリ(R. etli)、シュードモナス・フルオレ
ッセンス(P. fluorescens)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas
citronellolis)、アゾトバクテル・ビネランディイ(Azotobacter vineland
ii)、アスペルギルス・ニヅランス(Aspergillus nidulans)、およびラット
肝臓細胞を包含する。他の生物は酵素ピルベートカルボキラーゼを欠如するので
、ピルベートから直接的にオキサロアセテートを合成することができない。大腸
菌(E. coli)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、フィブロバク
ター・スクシノゲネス(Fibrobacter succinogenes)、およびルミノコッカス
・フラヴェファシエンス(Ruminococcus flavefaciens)は、このクラスの生物
の代表例である。いずれの場合においても、本発明の代謝的操作アプローチを使
用して炭素をオキサロアセテートに再び向け、その結果、タンパク質およびペプ
チドの収量を増強することができる。
【0019】 他の別法は、アセチルCoAからアセテートを製造するために使用する代謝経路
を妨害することを包含する。この経路を崩壊させると、アセチルCoAがより高い
レベルで生じ、次いでこれはオキサロアセテートの量を間接的に増加させること
がある。その上、宿主細胞において発現されるピルベートカルボキラーゼ酵素が
アセチルCoAにより活性化される酵素である場合、これらの突然変異体におけるC
oAのより高いレベルは酵素活性の増加に導き、追加の炭素をピルベートからオキ
サロアセテートに流れさせる。こうして、アセテート突然変異株は好ましい宿主
細胞である。
【0020】 1つの方法において、本発明において使用する代謝的に操作された細胞は、ピ
ルベートカルボキラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列を含有する核酸フラ
グメントで宿主細胞を形質転換することによって作られる。細菌、植物、および
動物の細胞を形質転換する方法はこの分野においてよく知られている。普通の細
菌形質転換法は、エレクトロポレーションおよび化学的修飾を包含する。形質転
換は、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を生ず
る。必要に応じて、PEPカルボキラーゼ活性を有する酵素をコードするヌクレオ
チド配列を含んでなる核酸フラグメントで細胞をさらに形質転換させる。
【0021】 好ましくは、ベクターを使用して核酸フラグメントを細胞の中に導入するが、
「ネーキドDNA」を使用することもできる。核酸フラグメントは円形または線形
、一本鎖または二本鎖であり、そしてDNA、RNA、またはそれらの任意の修飾物ま
たは組合わせであることができる。ベクターはプラスミド、ウイルスベクターま
たはコスミドであることができる。ベクターまたはプラスミドのバックボーンの
選択は、生ずる構築物における種々の所望の特性、例えば、選択マーカー、プラ
スミド再生速度、およびその他に依存する。大腸菌(E. coli)における発現に
適当なプラスミドは、例えば、pUC(X)、pKK223−3、pKK223−2、pTrc99A、お
よびpET−(X)を包含し、ここで(X)は多数の構築物が入手可能であるベクタ
ーファミリーを意味する。pUC(X)ベクターは、ファーマシア・バイオテク(Ph
armacia Biotech.、ニューハンプシャイヤー州ピスカタウェイ)またはシグマ
・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)から入手することができ
る。pKK223−3、pKK223−2およびpTrc99Aは、ファーマシア・バイオテク(Pharm
acia Biotech.)から入手することができる。pET−(X)ベクターは、プロメガ
(Promega、ウイスコンシン州マディソン)、ストラタジーン(Stratagene、カ
リフォルニア州ラジョラ)およびノバゲン(Novagen、ウイスコンシン州マディ
ソンから入手することができる。宿主細胞内部における複製を促進するために、
ベクターは好ましくは複製起点(「ori」として知られている)またはレプリコ
ンを包含する。例えば、ColE1およびP15Aレプリコンは大腸菌(E. coli)にお
いて増殖すべきプラスミドにおいて普通に使用される。
【0022】 本発明による細胞を形質転換するために使用する核酸フラグメントは、必要に
応じて、宿主細胞中の発現させる酵素をコードするヌクレオチド配列に作用可能
に連鎖されたプロモーター配列を含むことができる。プロモーターは、遺伝物質
の転写を引き起こすDNAフラグメントである。転写はDNA中に含有される遺伝情報
に従うRNA鎖の形成である。本発明はいかなる特定のプロモーターの使用にも限
定されず、広範な種類が知られている。プロモーターは、細胞中のDNAポリメラ
ーゼに結合して下流(3'方向)コーディング配列の転写を開始する調節シグナル
として作用する。プロモーターは、それが核酸配列の転写を制御または調節する
か、あるいは制御または調節するために使用される場合、核酸配列に「作用可能
に連鎖」されている。本発明において使用するプロモーターは、構成的または誘
導可能なプロモーターであることができる。それは宿主細胞に関して異種である
ことができるが、異種である必要がない。細菌形質転換のために好ましいプロモ
ーターは、lac、lacUV5、tac、trc、T7、SP6およびaraを包含する。
【0023】 宿主細胞を形質転換するために使用する核酸フラグメントは、必要に応じて、
転写されたメッセージの翻訳を開始して酵素を産生するシャイン・ダルガノ部位
(例えば、リボソーム結合部位)および開始部位(例えば、コドンATG)を含む
ことができる。また必要に応じて、それは翻訳を終わらせるために終結配列を含
むことができる。終結配列は典型的には対応するアミノアセチル−tRNAが存在せ
ず、こうしてポリペプチド合成を終わらせるコドンである。宿主細胞を形質転換
するために使用する核酸フラグメントは、必要に応じて、翻訳停止配列をさらに
含むことができる。2つのターミネーターT1およびT2を含有するDNAのストレッチ
である、rrnBターミネーターは、細菌発現系の中に組込まれる、最も普通に使用
されているターミネーターである(J. Brosius他、J. Mol. Biol. 148:107
−127(1981))。
【0024】 宿主細胞を形質転換するために使用する核酸フラグメントは必要に応じて1ま
たは2以上のマーカー配列を含み、マーカー配列は典型的な遺伝子産物、通常酵
素をコードし、成長培地中の化合物を不活性化またはそうでなければ検出するか
、あるいは前記化合物により検出される。例えば、マーカー配列は形質転換され
た細胞を抗生物質に対して耐性とするか、あるいは形質転換された細胞に化合物
特異的代謝を付与することができる。マーカー配列の例は、カナマイシン、アン
ピシリン、クロラムフェニコールおよびテトラサイクリンに対する耐性を付与す
る配列である。
【0025】 ピルベートカルボキラーゼは、それをコードするヌクレオチド配列を含んでな
る核酸フラグメントを含有する発現ベクターから、宿主細胞において発現させる
ことができる。他に、ピルベートカルボキラーゼをコードするヌクレオチド配列
を含んでなる核酸フラグメントを宿主染色体中に組込むことができる。核酸配列
は、宿主細胞に関して異種または内因的であるかどうかにかかわらず、例えば、
相同的組換えを使用して宿主染色体中に導入することができる。細菌において、
注目の遺伝子および薬物耐性マーカーをコードする遺伝子は、注目の遺伝子を挿
入すべき染色体領域に対して相同的であるプロモーター上のDNA片の中に挿入さ
れる。次に、この組換えDNAを細菌の中に導入し、そして注目の遺伝子および薬
物耐性マーカーを含有するDNAフラグメントが染色体中の所望位置に組換えられ
たクローンを選択する。任意のクローニングベクターから調製されたDNAの線状
化片として、または細菌宿主、好ましくはrecD-細菌宿主中で複製することがで
きない、特製組換え自殺ベクターの一部分として、形質転換を介して遺伝子およ
び薬物耐性マーカーを細菌の中に導入することができる。次いで、挿入領域をま
たぐDNAを増幅するPCRおよびプライマーを使用して、クローンを確認する。非組
換えクローンからのPCR生成物はサイズがより小さく、挿入事象が起こる染色体
領域のみを含有するが、組換えクローンからのPCR生成物はサイズがより大きく
、染色体領域+挿入された遺伝子および薬物耐性を含有する。
【0026】 他の方法において、ピルベートカルボキラーゼを内因的に発現する細胞のDNA
を突然変異化して天然ピルベートカルボキラーゼ遺伝子の転写を変更させて、天
然酵素の過剰産生を引き起こすことによって、本発明において使用する代謝的に
操作された細胞は作られる。例えば、化学的および転移突然変異誘発を使用し、
次いでこの分野においてよく知られている方法を使用してピルベートカルボキラ
ーゼ活性の増強についてスクリーニングすることによって、突然変異した染色体
を得ることができる。
【0027】 必要に応じて、本発明において使用する代謝的に操作された細胞はまたPEPカ
ルボキラーゼを過剰産生する。換言すると、代謝的に操作された細胞は、同等の
野生型細胞において発現されるPEPカルボキラーゼのレベルより高いレベルでPEP
カルボキラーゼを必要に応じて発現する。前述したように、PEPカルボキラーゼ
過剰産生単独は大腸菌(E. coli)におけるグルコース吸収を妨害することが示
された。しかしながら、PEPカルボキラーゼ過剰産生単独またはそれとピルベー
トカルボキラーゼ過剰産生との組合わせは、それにもかかわらず、他の細胞、例
えば、グルコース吸収をPEPに頼らない細胞におけるタンパク質またはペプチド
の産生を改良することがある。さらに、グルコース以外の炭素源、例えば、フル
クトースを利用する発酵において、PEPカルボキラーゼ過剰産生は別の炭素源の
吸収にマイナスの衝撃を与えないことが期待される。その上、PEPカルボキラー
ゼ過剰産生単独はグルコース吸収に悪影響を及ぼすことがあるが、ピルベートカ
ルボキラーゼおよびPEPカルボキラーゼの両方の同時過剰産生はに悪影響を及ぼ
さないことがある。
【0028】 当業者は異なる細胞集団におけるPEPカルボキラーゼのレベルを多数の方法で
比較することができ、この比較は同等の増殖条件下に実施される。例えば、PEP
カルボキラーゼ活性をアッセイし、定量し、比較することができる。1つのアッ
セイにおいて、基質としてピルベートの代わりにPEPを使用してATPの非存在下に
CoA依存性チオニトロベンゾエートの形成の出現を412nmにおいてモニターするこ
とによって、PEPカルボキラーゼ活性を測定する(実施例II参照)。PEPカルボキ
ラーゼを過剰産生する代謝的に操作された細胞は、野生型細胞よりも大きいPEP
カルボキラーゼ活性を生ずるであろう。さらに、または選択的に、細胞からタン
パク質抽出物を調製し、SDS−PAGEにかけ、ウェスタンブロットに移し、次いで
ウェスタンブロット上の抗原−抗体複合体の可視化のために検出キットと組み合
わせてPEP抗体を使用してPEPカルボキラーゼタンパク質を検出することによって
、PEPカルボキラーゼの量を定量し、比較することができる。検出キットは、例
えば、下記の会社から商業的に入手可能である:ピアース・ケミカル・カンパニ
ー(Pierce Chemical Company、イリノイ州ロックフォード)、シグマ・ケミ
カル・カンパニー(Sigma Chemical Company、ミゾリー州セントルイス)また
はベーリンガー・マンヘイム(Boehringer Mannheim、インジアナ州インジアナ
ポリス)。好ましい態様において、代謝的に操作された細胞はシアノバクテリア
、より好ましくはアスペルギルス・ニヅランス(Aspergillus nidulans)に由
来するPEPカルボキラーゼを発現する。
【0029】 本発明は、本明細書に記載するように形質転換前に、タンパク質またはペプチ
ドを生合成することができる細胞におけるタンパク質またはペプチドの産生を増
大または増強することによって、タンパク質またはペプチドを製造する方法を包
含する。本発明によるピルベートカルボキラーゼを過剰発現しかつまた注目のタ
ンパク質またはペプチドを産生する代謝的に操作された細胞を培養して、タンパ
ク質またはペプチドを発現させる。任意のタイプの細胞培養を使用することがで
き、これらは下記のものを包含するが、これらに限定されない:バッチ発酵、供
給−バッチ発酵、連続的培養、および灌流培養。本発明の方法によれば、例えば
、細胞当たりのタンパク質の活性または量を増加させるか、培地の1ミリットル
当たりのタンパク質の活性または量を増加させるか、より長い時間の間培養また
は発酵を効率よく続けるか、あるいはこれらの効果を組合わせることによって、
タンパク質またはペプチドの産生を増強することができる。ピルベートカルボキ
ラーゼを過剰発現しない同等の細胞において達成できる産生レベルに比較して、
タンパク質またはペプチドの産生は増強される。好都合には、ピルベートカルボ
キラーゼを過剰発現しない同等の宿主細胞を同様に培養することに関して、代謝
的に操作された細胞においてタンパク質またはペプチドのより高い収量が得られ
る。発酵におけるタンパク質またはペプチドの産生に関して使用する用語「収量
」は、通常、体積単位の商、例えば、培地の単位体積(典型的にはミリットル)
当たりの活性単位を、発酵間の基質濃度変化で割った値として表わされる、典型
的には培地の1リットル当たりのグラム数として表わされる。1例として、β−ガ
ラクトシダーゼを産生する大腸菌(E. coli)の発酵は、次のように、消費した
グルコースのグラム(g)当たり2667酵素単位(EU)のβ−ガラクトシダーゼ(
β−gal)を生ずることができるであろう:
【0030】
【数1】
【0031】 必要に応じて、この方法は、前述したように、培養前に、宿主細胞を代謝的に操
作してピルベートカルボキラーゼを過剰発現させることをさらに含む。また、必
要に応じて、この方法は、さらに、培養した細胞からタンパク質またはペプチド
を単離することを含む。タンパク質またはペプチドは、この分野においてよく知
られているプロトコル、方法および技術を使用して細胞から単離することができ
る。タンパク質単離技術の例は、沈降、例えば、硫酸アンモニウム沈降、濾過技
術、透析、相抽出、クロマトグラフィー技術、例えば、アニオンまたはカチオン
交換、ヒドロキシアパタイト、ゲル濾過、およびアフィニティークロマトグラフ
ィーを包含する。
【0032】 さらに、本発明は、本発明の方法を適用する前に、所定の収量の注目のタンパ
ク質またはペプチドを産生する宿主細胞において、タンパク質またはペプチドの
産生を増加させる方法を包含する。注目のタンパク質またはペプチドは天然また
は組換えタンパク質であることができ、宿主細胞は野生型細胞または遺伝子操作
された細胞であることができる。本発明の1つの方法によれば、ピルベートカル
ボキラーゼ酵素を機能的にコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸フラグ
メントでタンパク質またはペプチドを産生する細胞を形質転換させて、形質転換
前の宿主細胞と比較して、より高い収量のタンパク質またはペプチドを産生する
代謝的に操作された細胞を生じさせる。他に、この方法は宿主細胞がピルベート
カルボキラーゼを過剰発現するように宿主細胞のピルベートカルボキラーゼ遺伝
子を突然変異させ、こうして形質転換前の宿主細胞と比較して、より高い収量の
タンパク質またはペプチドを産生する代謝的に操作された細胞を生じさせる。本
発明の方法に従いタンパク質またはペプチドの産生を増強することができるタン
パク質またはペプチド産生細胞は上に詳細に記載した通りであり、特定のタイプ
またはクラスの細胞にいかなる方法においても限定されない。
【0033】 本発明の方法に従い代謝的に操作された細胞において産生または過剰産生され
、それらの細胞から単離されたタンパク質およびペプチドはいかなる方法におい
ても限定されず、天然、突然変異および組換えポリペプチド、例えば、融合タン
パク質を包含する。それらは検出可能な標識、例えば、放射性標識または蛍光標
識で標識化することができ、既知または未知のアミノ酸配列および活性、および
前以て決定したまたはランダム化アミノ酸配列を包含することができる。任意の
所望のポリペプチドを本発明に従い製造することができるが、本発明は産業用酵
素、研究および診断用酵素、および治療用タンパク質およびペプチドの製造によ
く適する。産業用酵素は、産業的プロセスまたは設定において、または消費者の
製品の生産およびサービスにおいて使用される酵素、例えば、アミラーゼ、グル
コアミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼおよびセルラ
ーゼである。研究および診断用酵素は、科学的または研究的設定において使用さ
れる酵素、例えば、制限酵素、例えば、HindIII、EcoRIおよびBamHIおよびDNA/
RNA修飾酵素、例えば、DNAまたはRNAポリメラーゼ、メチラーゼ、リガーゼ、エ
キソヌクレアーゼ、およびキナーゼを包含する。研究において使用される他のタ
ンパク質は、ミオグロビン、アミダーゼ、ストレプチアビジンrasタンパク質、
コリネステラーゼ、および種々のヒト成長因子を包含する。治療用タンパク質お
よびペプチドは医学的、栄養的または獣医学的目的のためのものであり、例えば
、エリトロポイエチン、インスリン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒト成長ホルモ
ンおよびインターフェロンを包含する。現在大腸菌(E. coli)において生産さ
れている組換えタンパク質薬物は、アルデスロキン(インターロイキン−2;IL
−2)、アスパラギナーゼ、デニロイキンディフチトックス、フィルグラスチム
、成長ホルモン、インスリン、インターロイキンα−2a、インターロイキンα−
2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1b、オペルベキン(インターフ
ェロン11)、およびレテプラーゼを包含する。他の組換えタンパク質薬物は、ア
ルテプラーゼ、アンセスチン、バシリキシマブ、ベカプレルミン、凝固因子VIIa
、ダクリズマブ、ドルナーゼα(組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼ;DNアー
ゼ)、エポエチンα(エリトロポイエチン;EPO)、エタネルセプト−TNFαイン
ヒビター、フォリトロピンスB型肝炎ワクチン、イミグルセラーゼ、インフリキ
シマブ、レピルジン、ライム病ワクチン(組換えOspA)、パリビズマブ、リツキ
シマブ、サルグラモスチム(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;GM−CSF
)およびトラスツズマブを包含する。
【0034】 本発明は、さらに、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現するタンパク質発現
性またはペプチド発現性細胞により特徴づけられる、新規なタンパク質発現系を
提供する。問題のタンパク質またはペプチドを発現することができる、任意の細
胞のタンパク質発現系は、本発明によれば、本明細書に記載するようにタンパク
質またはペプチドを産生する細胞をピルベートカルボキラーゼを過剰発現するよ
うに変更して、タンパク質またはペプチドの収量が増強されたタンパク質発現系
を生ずることによって、修飾することができる。
【0035】 実施例 下記の実施例により、本発明を詳細に説明する。特定の実施例、材料、量およ
び手順は本明細書に記載される本発明の範囲および精神に従い広く解釈されるこ
とを理解すべきである。
【0036】 実施例I:リゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼ酵素の
発現により大腸菌(E. coli)はピルベートをオキサロアセテートに変換するこ とができる。
【0037】 リゾビウム・エトリ(R. etli)からのpyc遺伝子を大腸菌(E. coli)発現
ベクターの中にクローニングし、そして活性ピルベートカルボキラーゼ酵素を大
腸菌(E. coli)において発現させることができるかどうかを決定するために、
いくつかの実験を実施した。 材料および方法 細菌株、プラスミドおよび増殖条件 この研究において使用した細菌株および
プラスミドを表1に記載する。大腸菌(E. coli)株をLBミラー(Miller)ブロ
ス(リッチ(rich))またはM9最小培地中で増殖させた(J. Miller、Experime
nts in Molecular Genetics、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Sp
ring Harbor、NY(1972))。プラスミドを担持する株に適当な抗生物質を補充
してマーカー遺伝子を検出した;アンピシリンをリッチ培地において100μg/ml
および最小培地において50μg/mlで使用したが、クロラムフェニコールをリッ
チ培地において20μg/mlおよび最小培地において10μg/mlで使用した。イソプ
ロピルβ−D−チオガラクトプラノシド(IPTG)を使用してpUC18−pyc構築物を
誘導したとき、それを1mMの最終濃度に添加した。
【0038】
【表1】
【0039】 pUC18−pycの構築 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、ピルベートカ
ルボキラーゼをコードするリゾビウム・エトリ(R. etli)pyc遺伝子を増幅し
た。Taqポリメラーゼの代わりにPfuポリメラーゼ(Stratagene、カリフォルニア
州ラジョラ)を使用し、pPC1プラスミドはDNA鋳型として働いた。プライマーを
発表されたpyc遺伝子配列(M. Dunn他、J. Bacteriol. 178:596−5970(199
6))に基づいて設計して、lacZ遺伝子のそれらに合致するようにpyc翻訳開始シ
グナルを変換した。また、それらのプライマーはKpnI(GGTACC)制限部位を増幅
されたフラグメントの開始に導入し、そしてBglII(AGATCT)制限部位を増幅さ
れた末端に導入した;前方向プライマー5' TAC TAT GGT ACC TTA GGA AA
C AGC TAT GCC CAT ATC CAA GAT ACT CGT T 3'(配列番号1)、逆方
向プライマー5' ATT CGT ACT CAG GAT CTG AAA GAT CTA ACA GCC T
GA CTT TAC ACA ATC G 3'(配列番号2)(KpnI、シャイン・ダルガノ、AT
G開始、およびBglII部位は下線が引かれている)。生ずる3.5kbのフラグメント
をゲル単離し、KpnIおよびBglIIで制限し、次いでKpnIおよびBamHIで制限したゲ
ル単離したpUC18 DNAの中に結合してpUC18−pyc構築物を形成した。この構築物
(「大腸菌(E. coli)ALS225 pUC18−pycにおけるプラスミドとして識別され
る)は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Cu
lture Collection(ATCC)、10801 University Blvd.、Manassas、VA、20110
−2209、USA)に受託され、ATCC No. 207111を割り当てられた。受託物は1999
年2月16日に受け取られた。
【0040】 タンパク質ゲルおよびウェスタンブロッティング 加熱変性した細胞抽出物を
Altman他(J. Bacteriol. 155:1130−1137(1983))に従い10%SDS−PAGEゲ
ル上で分離し、CarrollおよびGherardini(Infect. Immunol. 64:392−398(
1996))に従いウェスタンブロットを実施した。pUC18またはpUC18−pycを含有
するALS225大腸菌(E. coli)を、IPTGの存在および非存在下に、37℃において
リッチ培地中で対数増殖中期に増殖させた。ALS225はF'上にlac1q1を含有するの
で、IPTGを添加しないかぎり、pUC18−pyc構築物の有意な誘導は起こらないであ
ろう。タンパク質抽出物を調製し、SDS−PAGEに付し、ウェスタンブロットした
。次いでin vivoでビオチニル化されたタンパク質をシグマ−ブロットタンパク
質検出キット(Sigma Chemical Coorp.、ミゾリー州セントルイス)により検
出した。ウェスタンブロットの発生間に、タンパク質ビオチニル化工程を省略し
、こうしてin vivoでビオチニル化されたタンパク質のみを検出できるようにし
た以外、製造会社の使用説明書に従った。
【0041】 ピルベートカルボキラーゼ(PC)酵素アッセイ ピルベートカルボキラーゼ活
性を測定するために、100mlの対数増殖中期の培養物を4℃において7,000×gで15
分間遠心することによって収集し、10mlの100mM Tris−Cl(pH8.0)で洗浄した
。次いで細胞を4mlの100mM Tris−Cl(pH8.0)の中に再懸濁させ、引き続いて
超音波処理により細胞を崩壊させた。細胞デブリを4℃において20,000×gで15分
間遠心することによって除去した。ピルベートカルボキラーゼ活性をPayneおよ
びMorris(J. Gen. Microbiol. 59:97−101(1969))の方法により測定し
た。このアッセイにおいて、アセチルCoAおよび5,5−ジチオ−ビス(2−ニトロ
−ベンゾエート)(DTNB)(Aldrich Chemical Co.)の存在下にシトレート
シンターゼを添加して、ピルベートカルボキラーゼにより産生されたオキサロア
セテートをシトレートに変換する;リゾビウム・エトリ(R. etli)からのホモ
テトラマーピルベートカルボキラーゼ酵素は活性化のために補酵素Aを必要とす
る。ピルベートの添加後、次いでATPの添加後に、5−チオ−2−ニトロベンゾエ
ートのCoA依存的形成の存在による412nmにおける吸収増加速度をモニターした。
これらの2つの速度間の差をATP依存的ピルベートカルボキラーゼ活性として取っ
た。混合物1ml当たりの反応成分濃度は次の通りであった:100mM Tris−Cl(pH
8.0)、5mM MgCl2・H2O、50mM NaHCO3、0.1mM アセチルCoA、0.25mM DTNB、
および5単位(UT)のシトレートシンターゼ。下記の結果の節において特定した
ように、ピルベート、ATP、ADP、またはアスパルテートを添加した。50μlの細
胞抽出物を添加して、反応を開始した。1単位のピルベートカルボキラーゼ活性
は、1μmolの5−チオ−2−ニトロベンゾエート/mgのタンパク質/分の生成に対
応する。すべての酵素アッセイは三重反復実験により実施し、10%より低い標準
誤差が観測された。細胞抽出物中の全タンパク質をLowry法(O. Lowry他、J.
Biol. Chem. 193:265−275(1951))により測定した。 結果 大腸菌(E. coli)におけるリゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカル ボキラーゼ酵素の発現 ピルベートカルボキラーゼをコードするリゾビウム・エ
トリ(R. etli)pyc遺伝子をpPC1からPCR増幅し、前述したようにpUC18クロー
ニング/発現ベクターの中にサブクローニングした。リゾビウム・エトリ(R.
etli)pyc遺伝子の翻訳開始シグナルは最適ではなかった(リゾビウム・エトリ
(R. etli)からのpycは稀なTTA開始コドンならびにシャイン・ダルガノと開始
コドンとの間の短い間隔距離を使用する)ので、種々の発現ベクターを使用して
大腸菌(E. coli)中で高いレベルで発現させることができるlacZ遺伝子の翻訳
開始シグナルに合致するように翻訳開始シグナルを変換した。ビオチニル化タン
パク質を検出するように開発されたウェスタンブロットにより、pUC18−pyc構築
物の誘導した細胞抽出物をアッセイしたとき、約120kDのバンドが検出された。
この値はリゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼ酵素につい
ての以前に報告されたサイズの評価と一致する(M. Dunn他、Bacteriol. 178
:5960−5970(1966))。pUC18−pyc構築物から発現されたピルベートカルボキ
ラーゼの連続希釈物を商業的に入手した精製したピルベートカルボキラーゼ酵素
と比較することによって、完全に誘導された条件下に、リゾビウム・エトリ(R.
etli)からのピルベートカルボキラーゼは大腸菌(E. coli)において全細胞
タンパク質の1%で発現されていることが決定された。
【0042】 大腸菌(E. coli)におけるビオチニル化リゾビウム・エトリ(R. etli)ピ ルベートカルボキラーゼの発現に対するビオチンおよびビオチンホロ酵素シンタ ーゼの作用 ピルベートカルボキラーゼはビオチン依存的酵素であり、ピルベー
トの2段階カルボキシル化によるオキサロアセテートの生成を仲介する。第1反応
段階において、ビオチンをATPおよび基質として重炭酸塩でカルボキシル化され
るが、第2反応において、カルボキシル化からのカルボキシル基はピルベートに
転移される。今日まで研究されたすべてのピルベートカルボキラーゼはビオチン
依存的であることが見出され、多量タンパク質として存在するが、会合したサブ
ユニットの構造はかなり異なりうる。異なる細菌からのピルベートカルボキラー
ゼは、65〜130kDaの範囲のαサブユニットのサイズを有するα4またはα4βを生
成することが示された。しかしながら、すべての場合において、ピルベートカル
ボキラーゼ酵素のαサブユニットは3つの触媒ドメインを含有することが示され
た−ビオチンカルボキラーゼドメイン、トランスカルボキラーゼドメイン、およ
びビオチンカルボキシルキャリヤータンパク質ドメイン−これらは集合的にオキ
サロアセテートへのピルベートの2段階変換を触媒する。第1段階において、リシ
ン残基に連鎖したビオチンプロセティック基はATPおよびHCO3-でカルボキシル化
されているが、第2段階において、カルボキシル基はピルベートに転移される。
ピルベートカルボキラーゼのビオチニル化は翻訳後に起こり、酵素ビオチンホロ
酵素シンターゼにより触媒される。この実験において、添加されたビオチンを含
有しないか、あるいは50または100ng/mlに添加されたビオチンを含有する最小
規定培地中で誘導条件下に、pUC18−pyc構築物を含有する大腸菌(E. coli)細
胞を増殖させた。詳しくは、様々な量のビオチンを含有するM9培地中で37℃にお
いてMG1655 pUC18−pyc細胞を対数増殖中期に増殖させた。タンパク質抽出物を
調製し、SDS−PAGEにかけ、ウェスタンブロットした。次いで前述したように、
シグマ−ブロットタンパク質検出キットを使用して、in vivoでビオチニル化し
たタンパク質を検出した。MG1655は最小培地中でALS225よりも有意に速く増殖す
るので、それをこの実験において使用した。MG1655はlacF11を含有しないので、
IPTGを添加しないでピルベートカルボキラーゼの最大発現を達成することができ
た。ストラタジーン・イーグル・アイ・II・スチル・ビデオ(Stratagene Eagl
e Eye II Still Video)を使用して、各試料の中に存在するビオチニル化ピ
ルベートカルボキラーゼを定量した。pUC18−pyc構築物から発現されたピルベー
トカルボキラーゼのビオチニル化は、ビオチンレベルにより明らかに影響を受け
た。すべてのそれらのビオチンを新たに産生しなければならなかった細胞は、有
意により少ない量のビオチニル化タンパク質を発現した。50ng/mlの最終濃度の
ビオチンの添加は、pUC18−pyc構築物を介して発現されるピルベートカルボキラ
ーゼのすべてをビオチニル化するために十分であった。
【0043】 ピルベートカルボキラーゼの翻訳後のビオチニル化は酵素ビオチンホロ酵素シ
ンターゼにより実施されるので、ピルベートカルボキラーゼのビオチニル化に対
する過剰のビオチンホロ酵素シンターゼの作用を研究した。マルチコピープラス
ミドpBA11(ビオチンホロ酵素シンターゼをコードするbirA遺伝子を含有する)
をpUC18−pyc構築物をまた収容する大腸菌(E. coli)細胞の中に導入すること
によって、この分析を実施した;pBA11はpACYC184誘導体であり、こうしてpUC18
−pycとコンパティブルである。ビオチンがまた過剰に存在するリッチ培地中で
、過剰のビオチンホロ酵素シンターゼ酵素を検査した。詳しくは、IPTGを含有す
るリッチ培地中で37℃において、pUC18−pycまたはpBA11を含有するALS225細胞
を対数増殖中期に増殖させた。タンパク質抽出物を調製し、SDS−PAGEにかけ、
ウェスタンブロットし、次いで前述したようにシグマ−ブロットタンパク質検出
キットを使用して、in vivoでビオチニル化したタンパク質を検出した。Barker
他(J. Mol. Biol. 146:469−492(1981))は、pBA11がビオチンホロ酵素
シンターゼ酵素レベルを12倍に増加させることを示した。ストラタジーン・イー
グル・アイ・II・スチル・ビデオを使用して、各試料の中に存在するビオチニル
化ピルベートカルボキラーゼを定量した。pUC18−pycのみを含有するか、あるい
はpUC18−pycおよびpBA11の両方を含有する細胞から調製したタンパク質抽出物
は、等しい量のビオチニル化ピルベートカルボキラーゼタンパク質を生じた。こ
の結果から示唆されるように、ビオチンが過剰に存在するとき発現されるピルベ
ートカルボキラーゼのすべてをビオチニル化するために、birAの単一染色体コピ
ーは十分である。
【0044】 リゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼは、大腸菌(E. coli)においてピルベートをオキサロアセテートに変換することができる。
現されたピルベートカルボキラーゼタンパク質が大腸菌(E. coli)中で酵素的
に活性であることを確認するために、PayneおよびMorrisが開発したカップルド
酵素アッセイを使用して、ピルベートカルボキラーゼ活性を評価した(J. Payn
e他、J. Gen. Microbiol. 59:97−101(1969))。様々な量のピルベートを使
用して、誘導されたpUC18−pyc構築物を含有する細胞抽出物(MG1655 pUC18−p
yc)をピルベートカルボキラーゼ活性について試験し、pUC18構築物を含有する
対照(MG1655 pUC18)と比較した。ATPを5mMの最終濃度で反応混合物に添加し
、増加する量のピルベートの存在下にピルベートカルボキラーゼ活性を測定した
。第2図に示すように、pUC18−pyc構築物を収容する大腸菌(E. coli)細胞は
事実ピルベートをオキサロアセテートに変換し、そして観測されるピルベートカ
ルボキラーゼ活性はミカエリス・メンテン(Micaelis−Mentenn)反応速度論に
従う。これらのデータのラインウィーバー・バーケ(Lineweaver−Burke)プロ
ットは、発現されたピルベートカルボキラーゼについての飽和定数(Km)がピル
ベートに関して0.249mMであることを明らかにした。この値は研究された他のピ
ルベートカルボキラーゼ酵素と極めてよく一致する(H. Feir他、Can. J. Bi
ochem. 47:698−710(1969);H. Modak他、Microbiol. 141:2619−2628(
1995);M. Scrutton他、Arch. Biochem. Biophys. 164:641−654(1974)
)。
【0045】 α4ピルベートカルボキラーゼ酵素をアスパルテートまたはアデノシンジホス
フェート(ADP)により阻害することができることは、文献に十分に記載されて
いる。アスパルテートはオキサロアセテートから合成される第1アミノ酸であり
、そしてピルベートカルボキラーゼがピルベートをオキサロアセテートに変換す
るとき、ADPは遊離する。pUC18−pyc構築物を含有するMG1655細胞の抽出物を使
用して、これらのインヒビターの各々の存在下にピルベートカルボキラーゼ活性
を評価した。ATPおよびピルベートを反応混合物にそれぞれ5mMおよび6mMの最終
濃度に添加し、次いで増加する量のアスパルテートの存在下にピルベートカルボ
キラーゼ活性を測定することによって、アスパルテートの作用を分析した。異な
る濃度のアスパルテートの存在下に得られたピルベートカルボキラーゼ活性を第
3図に示す。期待されるように、ピルベートカルボキラーゼ活性はアスパルテー
トにより阻害され、そして比活性は8mMのアスパルテートの存在下でほぼ43%に
減少した。ピルベートを反応混合物に5mMの濃度に添加し、次いで増加する量のA
TPの存在下にピルベートカルボキラーゼ活性を測定することによって、ADPの作
用を分析した。第4図が示すように、ADPは観測されたピルベートカルボキラーゼ
活性に重大な影響を与え、ATPの競合因子として作用した。これらのデータのラ
インウィーバー・バーケ(Lineweaver−Burke)プロットは、発現されたピルベ
ートカルボキラーゼについての飽和定数(Km)がATPに関して0.193mMであり、そ
してADPについての阻害定数が0.142mMであることを明らかにした。再び、これら
の値は研究された他のピルベートカルボキラーゼ酵素と極めてよく一致した(H.
Feir他、Can. J. Biochem. 47:698−710(1969);H. Modak他、Microbi
ol. 141:2619−2628(1995);M. Scrutton他、Arch. Biochem. Biophys.
164:641−654(1974))。
【0046】 大腸菌(E. coli)におけるリゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカル
ボキラーゼの発現が真に炭素流をピルベートからオキサロアセテートに向けるこ
とできるかを示すために、pUC18−pyc構築物がppcヌルアレレ(ppcはPEPカルボ
キラーゼをコードする)を含有する大腸菌(E. coli)株を最小グルコース培地
上で増殖させることができるかどうかを我々は試験した。大腸菌(E. coli)は
ピルベートカルボキラーゼを欠如し、こうしてPEPからオキサロアセテートをは
じめて合成することができるので、崩壊したppc遺伝子を含有する大腸菌(E. c
oli)株は唯一の炭素源としてグルコースを利用する最小培地上で増殖すること
ができない(P. Chao他、Appl. Env. Microbiol. 59:4261−4265(1993)
)。この実験に使用した細胞系統はJCL1242(ppc::kan)であった。これはppc
遺伝子の中に挿入されたカナマイシン耐性カセットを含有し、こうしてPEPカル
ボキラーゼ酵素を発現しない。pUC18またはpUC18−pyc構築物を含有するJCL1242
細胞を最小M9グルコースチアミンアンピシリンIPTG平板上に貼り、37℃において
48時間インキュベートした。第5図に示すように、ppcヌルアレレおよびpUC18−p
yc構築物の両方を含有する大腸菌(E. coli)細胞は最小グルコース平板上で増
殖することができた。この相補性はピルベートレベルにおいて炭素流をオキサロ
アセテートに再び向けさせる分岐点をつくることができることを証明し、そして
ピルベートカルボキラーゼが大腸菌(E. coli)において炭素流をピルベートか
らオキサロアセテートに向けることができることを明瞭に示す。
【0047】 実施例II リゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼの発現 は大腸菌(E. coli)においてスクシネート産生を増加させる 大腸菌(E. coli)におけるピルベートカルボキラーゼの過剰産生が嫌気的発
酵においてオキサロアセテート由来生化学物質の産生を増加することができるか
どうかを研究するために、実験を実施した。嫌気的発酵において起こる最終産物
を第6図に示す。スクシネートはオキサロアセテートから直接的に誘導され、容
易に測定できるので、この生化学物質をこの最初の研究のために選択した。 材料および方法 細菌株およびプラスミド この研究において使用する大腸菌(E. coli)株を
表2に記載する。RE02と表示するラクテートデヒドロゲナーゼ突然変異株は、大
腸菌(E. coli)株NZN111を使用するP1ファージ形質導入によりMG1655から誘導
された(P. Bunch他、Microbiol. 143:187−195(1997))。
【0048】
【表2】
【0049】 リゾビウム・エトリ(R. etli)からのpyc遺伝子は本来lacプロモーターの制
御下にクローニングされた。このプロモーターはグルコースの存在下に異化的抑
制に付されるので、XbaIおよびKpnIで消化したpTrc99A発現ベクターの中に、pUC
18−pycからの3.5kbのXbaI−KpnIフラグメントを結合した。この新しいプラスミ
ドをpTrc99A−pycと表示した。このプラスミド(「大腸菌(E. coli)ALS225
pTrc99A−pycにおけるプラスミド」として識別する)は、アメリカン・タイプ・
カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection(ATCC)、1
0801 University Blvd.、Manassas、VA、20110−2209、USA)に受託され、ATC
C No. 207112を割り当てられた。受託物は1999年2月16日に受け取られた。こ
の新しい構築物において、pyc遺伝子の転写は人工的trcプロモーターの制御下に
あり、こうしてグルコースの存在下に異化的抑制に付されない。
【0050】 培地および増殖条件 株構築のために、大腸菌(E. coli)株をルリア・ベル
タニ(Luria−Bertani)(LB)培地中で好気的に増殖させた。20g/lのグルコー
スおよび40g/lのMnCO3を補充した50mlのLB培地を含む100mlの血清びん中で、嫌
気的発酵を実施した。発酵を24時間に停止し、この時点においてすべての発酵の
pH値はほぼpH6.7であり、グルコースは完全に利用された。プラスミドを含有す
る株について、アンピシリンまたはカルベニシリンを添加して、発酵間に淘汰圧
を導入した。これらの抗生物質の各々を最初に100μg/mlで導入した。1組の実
験において、追加の抗生物質を発酵間に添加しなかったが、第2組の実験におい
て、追加の50μg/mlを7時間および14時間に添加した。1mMのIPTGの添加により
、ピルベートカルボキラーゼを誘導した。酵素アッセイのために、20g/lのグル
コースを補充しかつ3.2g/lのNa2CO3で緩衝化したLB培地中で細胞を増殖させた
【0051】 発酵産物の分析および酵素アッセイ コレゲル(Coregel)64−Hイオン−排除
カラム(Interactive Chromatography、カリフォルニア州サンジョーズ)およ
び示差屈折率検出器(Model 410、Waters、マサチュセッツ州ミルフォード)を
使用する高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、グルコース、スクシネー
ト、アセテート、ホルメート、ラクテート、ピルベートおよびエタノールを分析
した。溶出液は4mMのH2SO4であり、そしてカラムを60℃に維持した。
【0052】 酵素活性を測定するために、50mlの対数増殖中期の培養物を遠心(10000×g、
4℃、10分)により収集し、10mlの100mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)で洗浄した
。次いで細胞を2mlの100mM Tris−HCl緩衝液の中に再懸濁させ、超音波処理に
より細胞を崩壊させた。細胞デブリを遠心(20000×g、4℃、15分)により除去
した。次いでピルベートカルボキラーゼ活性(J. Payne他、J. Gen. Microbi
ol. 59:97−101(1969);また、実施例I参照)、およびPEPカルボキラーゼ(
K. Terada他、J. Biochem. 109:49−54(1991))、マレートデヒドロゲナ
ーゼおよびラクテートデヒドロゲナーゼ(P. Bunch他、Microbiol. 143:187
−195(1997))の内因的活性を測定した。 結果 表3が示すように、野生型細胞(MG1655)またはldh-ヌル突然変異を含有する
野生型細胞(RE02)の中にpTrc99A−pyc構築物を導入したとき、ピルベートカル
ボキラーゼ活性を検出することができた。IPTGの存在は、他の重要な代謝酵素、
例えば、PEPカルボキラーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼおよびマレートデヒ
ドロゲナーゼの発現に有意な影響を与えなかった。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】 発酵最終産物の分布に対するピルベートカルボキラーゼの発現の作用を解明す
るために、数本の50ml血清びんの発酵を実施した(表4参照)。
【0056】 抗生物質を0時間に100μg/mlの濃度に1回添加する(1×)か、あるいは0時間
に100μg/mlの濃度に、再び7時間および14時間に50μg/mlに添加した(3×)
。値は3回の反復試験の平均であり、そして標準偏差を括弧の中に示す。消費し
たグルコース1g当たり各産物の正味収量を計算するために、最終産物濃度をグル
コースの20g/lで割る。
【0057】 表4に示すように、ピルベートカルボキラーゼの発現はMG1655(野生型)およ
びRE02(ldh-)の両方におけるスクシネート産生を有意に増加させた。MG1655で
は、ピルベートカルボキラーゼの誘導はスクシネートの産生を対照株における1.
57g/lから4.36g/lに2.7倍に増加し、こうしてスクシネートをグルコース発酵
の主要産物とした。このスクシネート増加はラクテートおよびホルメートの生成
の減少を伴い、炭素がラクテートからスクシネートの生成に向けられることを示
した。ラクテートからスクシネートに向かう同様な炭素の転向は以前において天
然PEPカルボキラーゼの過剰産生により達成された(C. Millard他、Appl. Env
iron. Microbiol. 62:1808−1810(1996))。また、表4が示すように、アン
ピシリンおよびカルベニシリンは十分な淘汰圧を維持するとき等しく有効であり
、そして発酵間においていずれの抗生物質をより多く添加しても、スクシネート
産生はそれ以上増強されなかった。この証拠が示すように、発酵を通じて淘汰圧
を維持するために初期投与量(100μg/ml)は十分であり、その結果は以前の研
究において観測された最終pH(6.0)に対して我々の発酵研究において観測され
た最終pHが相対的に高い(pH6.8)ためであろう(C. Millard他、Appl. Envir
on. Microbiol. 62:1808−1810(1996))。
【0058】 大腸菌(E. coli)の中へのピルベートカルボキラーゼの導入はより多くの炭
素をスクシネート分岐に向けるとき非常に有望であったので、ラクテートデヒド
ロゲナーゼはまたピルベートについて競合するので、この酵素を排除することに
よって、追加の炭素をスクシネートに向けることができるかどうかを決定するこ
とに我々はまた興味をもった。表4において、pTrc99A−pycプラスミドの存在ま
たは非存在においてRE02(ldh-)株を使用する発酵の結果を比較する。野生型株
(MG1655)に比較して、RE02株はスクシネート産生の有意な変化を示さなかった
。その代わりに、RE02株を使用する発酵は、それがpTrc99A−pycプラスミドを含
有するか否か、ホルメート、アセテートおよびエタノールの産生を増加させ、ピ
ルベートの分泌を伴った。発酵ブロスの中にピルベートが分泌されるという事実
は、ピルベート利用速度よりも解糖速度が大きいことを示す。ldh-突然変異株に
おけるホルメート濃度の観測された増加は、ピルベートホルメートリアーゼに対
して陽性アロステリック作用を発揮することが知られている化合物である、ピル
ベートの蓄積により引き起こされることがある(G. Sawers他、J. Bacteriol.
170:5330−5336(1988))。RE02では、ピルベートカルボキラーゼを誘導す
ると、スクシネート産生は対照株における1.73g/lから2.92g/lに1.7倍増加し
た。こうしてldh-突然変異株において得られるスクシネート増加は、野生型株(
MG1655)において得られる増加よりも有意に低かった。この観測について可能な
説明は、ldh-突然変異株において蓄積される細胞の化合物によりピルベートカル
ボキラーゼ活性が阻害されるということであろう。
【0059】 解糖中に、グルコース1モル当たり2モルの還元されたニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチド(NADH)が発生する。次いで、嫌気的条件下にエタノール、ラク
テートおよびスクシネートが生成する間にNADHは酸化される。ldh-突然変異株は
ラクテート生成を通してNADHを消費することができないので、これらの株の酸化
能力にストレスがかかり、NADHが蓄積されることになる。事実、この還元された
補因子はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から単
離されたピルベートを阻害することが以前に示された(J. Cazzulo他、Biochem
. J. 112:755−762(1969))。このような酸化ストレスがピルベートがldh- 突然変異株において発現されるとき観測される利益減衰の原因であるかどうかを
解明するために、ピルベートカルボキラーゼ活性に対する酸化または還元された
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH/NAD+)およびジヌクレオチドホ
スフェート(NADPH/NADP+)の両方の作用を我々は研究した。MG1655 pTrc99A
−pycから得られた無細胞粗製抽出物を使用して、酵素アッセイを実施した。す
べてのアッセイを三重反復実験で実施し、平均値を第7図に示す。標準偏差はす
べてのデータ点について5%以下である。NADHはピルベートカルボキラーゼを阻
害したが、NAD+、NADP+およびNADPHは阻害しなかった。したがって、RE02 ldh- 突然変異株によるより低い増強は、ピルベートカルボキラーゼ活性を阻害するよ
うに思われる補因子である、細胞内NADHの蓄積から生ずると仮定される。
【0060】 実施例III リゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼの発
現は嫌気的発酵における大腸菌(E. coli)中のグルコース吸収に影響を与えな 大腸菌(E. coli)におけるピルベートカルボキラーゼの過剰産生がグルコー
ス吸収悪影響を与えるかどうかを試験するために、実験を実施した。 方法 微生物およびプラスミド 大腸菌(E. coli)株MG1655(野生型F λ;M. G
uyer他、Quant. Biol.、Cold Spring Harbor Symp. 45:135−140(1980)
;また、実施例I参照)およびリゾビウム・エトリ(R. etli)からのpyc遺伝子
を含有するプラスミドpUC18−pyc(実施例I参照)。
【0061】 培地および発酵 下記の成分を補充したルリア・ベルタニ(Luria−Bertani)
(LB)培地中で2.5リットルのニュー・ブルンスウィック・バイオフロ・(New
Brunswick BioFlo)IIIベンチトップ発酵槽(New Brunswick Scientific、ニ
ュージャージイ州エディソン)において、すべての2.0リットルの発酵を実施し
た:グルコース、10g/l;Na2HPO4・7H2O、3g/l;KH2PO4、1.5g/l;NH4Cl、1g
/l;MgSO4・7H2O、0.25g/l;およびCaCl2・2H2O、0.02g/l。発酵物に50mlの
嫌気的に増殖した培養物を接種した。フォーマットを150rpm、0%の酸素飽和(I
ngold polarogrphic oxgen sensor、New Brunswick Scientific、ニュージ
ャージイ州エディソン)、37℃、およびpH6.4において操作し、pHを10%NaOHで
調節した。発酵槽のヘッドスペースを無酸素二酸化炭素でフラッシュすることに
よって、嫌気的条件を維持した。必要に応じて、淘汰圧を維持するために十分で
あることが以前に示された(実施例III)100μg/mlの開始濃度のアンピシリン
を培地に補充した。
【0062】 分析法 600nmにおいて光学密度(OD)(DU−650分光光度計、Beckman Instr
uments、カリフォルニア州サンジョーズ)を測定することによって、細胞増殖を
モニターした。乾燥細胞質量の検量線を使用して乾燥細胞質量と、この光学密度
を相関させた(g/l)=0.48OD。実施例IIに記載されているようにコレゲル64−
Hイオン排除カラム(Interactive Chromatography、カリフォルニア州サンジョ
ーズ)を使用する高圧液体クロマトグラフィーにより、グルコースおよび発酵産
物を分析した。
【0063】 厳格な嫌気的条件下に各株を増殖させ、160mlの血清びん中で別々にクローニ
ングすることによって、ピルベートカルボキラーゼの活性およびPEPカルボキラ
ーゼの内因的活性を測定した。培養物を対数増殖中期において収集し、洗浄し、
超音波処理により細胞を崩壊させた。遠心(20000g、4℃、15分)により、細胞
デブリを除去した。ピルベートカルボキラーゼ活性を以前に記載されたように測
定し(PayneおよびMorris、1969)、ATPの非存在下に基質としてピルベートの代
わりにPEPを使用して、PEPカルボキラーゼ活性を測定し、412nmにおけるCoA依存
的チオニトロベンゾエート生成の出現をモニターした。細胞抽出物中の全タンパ
ク質をロウリイ(Lwry)法により測定した。 結果 エネルギーおよび炭素源として10g/lのグルコースを使用して、大腸菌(E.
coli)MG1655を嫌気的に増殖させた。この野生型株の典型的な2リットルの発酵
における、経時的乾燥細胞質量、スクシネート、ラクテート、ホルメートおよび
グルコース濃度を第8図に示す。クローニング/発現ベクターpUC18を有する、こ
の野生型株の発酵におけるこれらの経時的濃度を第9図に示す。グルコースが完
全に利用された後、野生型株についてのスクシネート平均最終濃度は1.18g/lで
あったが、ベクターpUC18を有する野生型株について、最終スクシネート濃度は1
.00g/lであった。これらの発酵において、平均最終ラクテート濃度は野生型株
について2.33g/lであり、そしてpUC18を有する同一株について2.27g/lであっ
た。 pUC18−pycプラスミドを含有する株の発酵における乾燥細胞質量、スクシ
ネート、ラクテート、ホルメートおよびグルコースの経時的濃厚物を第10図に示
す。この図面が示すように、ピルベートカルボキラーゼの発現は最終スクシネー
ト濃度を実質的に増加させ、ラクテート濃度を減少させる。詳しくは、pUC18−p
ycを有する野生型について、平均最終スクシネート濃度は1.77g/lであったが、
平均最終ラクテート濃度は1.88g/lであった。これらの濃度はスクシネート濃度
の50%増加およびラクテート濃度の約20%減少に対応し、炭素がピルベートカル
ボキラーゼの存在下にラクテートからスクシネート発酵に向かって転向したこと
を示す。
【0064】 PEPカルボキラーゼおよびピルベートカルボキラーゼの活性を野生型の無細胞
抽出物およびプラスミド含有株においてアッセイし、これらの結果を表5に示す
。野生型株およびベクターを担持する株において、ピルベートカルボキラーゼ活
性は検出されなかったが、この活性はMG1655/pUC18−pycクローンにおいて検出
された。PEPカルボキラーゼ活性はすべての3つの株において観測された。
【0065】
【表5】
【0066】 発酵の間におけるグルコース消費、スクシネート産生、および細胞塊産生の速
度を測定するために、濃度データの各組を5次多項式に回帰させた。(これらの
最良に適合する曲線を測定した濃度とともに第8図〜第10図に示す。)時間に関
してこの関数の第1微分を取ることによって、時間の関数としてこれらの速度を
提供する方程式が得られる。この手順は代謝フラックスを計算するために使用さ
れた以前の方法に類似する(E. Papoutsakis他、Biotechnol. Bioeng. 27:5
6B66(1985);K. Reardon他、Biotechnol. Prog. 3:153B167(1987))。し
かしながら、存在するピルベートカルボキラーゼおよびPEPカルボキラーゼの両
方を使用する発酵の場合において、PEP/ピルベート節における数学的特異点の
ためにフラックスの解析を完結することができない(S. Park他、Biotechnol.
Bioeng. 55:864B879(1997)。それにもかかわらず、このアプローチを使用
すると、グルコース吸収およびスクシネートおよび細胞塊の産生速度を決定する
ことができる。
【0067】 野生型大腸菌(E. coli)株(MG1655)、pUC18クローニング/発現ベクター
を有する野生型株(MG1655/pUC18)およびMG1655/pUC18−pycを有する野生型
株におけるグルコース吸収、およびスクシネートおよび細胞塊の産物の速度の結
果を表6に示す。すべての単位はg/リットル時であり、そして括弧内の値は測定
の標準偏差を表す。
【0068】
【表6】
【0069】 これらの結果が証明するように、クローニングベクターまたはpyc遺伝子を有
するベクターの添加は発酵の最後の4時間の間における平均グルコース吸収に対
して有意な作用をもたなかった。事実、pyc遺伝子の存在は実際に最大グルコー
ス吸収を2.17g/リットル時から2.47g/リットル時に約14%増加した。pUC18ク
ローニングベクターの存在はスクシネート産生速度をわずかに減少させた。第10
図に示すデータから期待されるように、pyc遺伝子の発現は最大グルコース吸収
時におけるスクシネート産生を82%増加させ、そして発酵の最後の4時間の間の
スクシネート産生速度を68%増加させた。最大細胞増殖速度(これは各発酵の4
〜5時間において起こった)は野生型株において0.213g/リットル時であったが
、pUC18(0.169g/リットル時)またはpUC18−pyc(0.199g/リットル時)の存
在下に減少した。同様に、全体の細胞収量は野生型について0.0946gの乾燥細胞
/g消費グルコースであったが、pUC18を有する野生型について0.0895g/gおよび
pUC18−pycを有する野生型株について0.0882g/gであった。このバイオマスの減
少は、ピルベートカルボキラーゼによりオキサロアセテートに変換されたピルベ
ート1モル当たり1モルのエネルギー単位(ATP)の消耗およびプラスミド含有株
におけるタンパク質合成要求の増加のためであることがある。この株の増殖は増
殖の最初の数時間だけ対数増殖を示すので、比細胞増殖速度を計算することがで
きなかった。
【0070】 要約すると、大腸菌(E. coli)におけるリゾビウム・エトリ(R. etli)か
らのピルベートカルボキラーゼの発現は、グルコース吸収に影響を与えないでス
クシネート産生を有意に増加させる。この結果は、オキサロアセテート由来生化
学物質の産生に使用する細菌発酵プロセスについて劇的である。ピルベートカル
ボキラーゼの過剰産生はグルコース吸収に影響を与えないでオキサロアセテート
由来生化学物質の産生を増加させるので、この技術は発酵プロセスにおいてグル
コース添加量当たりより多い産物を得るために好都合に使用することができる。
【0071】 実施例IV リゾビウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼの発現 は大腸菌(E. coli)におけるトレオニン産生を増加させる 好気的発酵間のピルベートカルボキラーゼの過剰産生がオキサロアセテートに
由来するアミノ酸の産生を増加させることができるかどうか研究するために、実
験を実施した。 材料および方法 細菌株およびプラスミド トレオニン産生株βIM−4(ATCC 21277)をこの研
究において使用した(I. Shiio他、Agr. Biol. Chem. 33:1152−1160(196
9);I. Shiio他、米国特許第3,580,810号(1971))。この株をpTrc99A−pyc(実
施例II参照)またはpTrc99A(E. Ammann他、Gene 69:301−315(1988))で形
質転換した。
【0072】 培地および増殖条件 バイオフロー(Bioflow)II発酵槽中で好気的発酵を2.0
リットルの体積で実施した。これらの発酵のために使用した下記の成分を含有し
た(1リットル当たり):グルコース、30.0g;(NH4)2SO4、10.0g;FeSO4・H2O、
10.0mg;MnSO4・H2O、5.5mg/l;L−プロリン、300mg;L−イソロイシン、100mg
;L−メチオニン、100mg;MgSO4・7H2O、1g;KH2PO4、1g;CaCO3、20g;チアミ
ン・HCl、1mg;d−ビオチン、1mg。プラスミド担持株について淘汰圧を維持する
ために、培地に最初に50mg/lのアンピシリンを補充した。また、これらの株の
いずれかを使用して実施した発酵に、IPTGを1mmol/lの最終濃度で2時間に添加
した。
【0073】 発酵産物の分析 0.1MのHCl中の試料の1:21希釈物の光学密度を550nmにおい
て測定することによって、細胞増殖を決定した。以前に記載されているようにコ
レゲル64−Hイオン排除カラムを使用する高圧液体クロマトグラフィーにより、
グルコース、酢酸および他の有機酸を分析した(M. Eiteman、Anal. Chim. A
cta 338:69−75(1997))。オルトフタルジアルデヒド誘導体化法を使用する高
圧液体クロマトグラフィーにより、トレオニンを定量した(D. Hill他、Anal.
Chem. 51:1338−1341(1979);V. Svedas他、Anal. Biochem. 101:188
−195(1980))。 結果 対照プラスミドpTrc99Aまたはピルベートカルボキラーゼを過剰発現するプラ
スミドpTrc99A−pycを収容する、トレオニン産生株βIM−4(ATCC 21277)をエ
ネルギーおよび炭素源として30g/lのグルコースの存在下に好気的に増殖させ、
トレオニン産生を測定した。第11図に示すように、ピルベートカルボキラーゼの
過剰産生はトレオニン産生大腸菌(E. coli)株においてトレオニン産生を有意
に増加させた。最初に添加したグルコースが消費された17時間において、pTrc99
A対照プラスミドを収容する親株において0.57g/lのトレオニン濃度が検出され
たが、pTrc99A−pycプラスミドを収容する親株において1.37g/lのトレオニン濃
度が検出された。両方の培養物の最終OD350が発酵の終わりにおいて互いの10%
以内であることが与えられると、ピルベートカルボキラーゼの過剰産生により引
き起こされるトレオニン濃度の240%増加は有意であると見なすことができる。
我々の嫌気的発酵発酵研究(実施例III参照)におけるように、グルコース吸収
はピルベートカルボキラーゼの過剰産生により悪影響を受けないことが見出され
た。
【0074】 実施例V シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)からのピル ベートカルボキラーゼを使用する生化学物質産生の増強 オキサロアセテートの細胞内レベルの調節に関係する代謝ネットワークが非常
に厳密にコントロールされる主な理由の1つは、このプロセスに関係する主要な
酵素が陽性および陰性の両方に調節されるという事実のためである。大部分の生
物、例えば、リゾビウム・エトリ(R. etli)において、ピルベートカルボキラ
ーゼはその活性化のために陽性エフェクター分子であるアセチル補酵素Aを必要
とし、アスパルテートによるフィードバック阻害のために抑制される(P. Attw
ood、Intl. J. Biochem. Cell Biol. 27:231−249(1995);M. Dunn他
、J. Bacteriol. 178:5960−5970(1996))。こうして、過剰産生するリゾビ
ウム・エトリ(R. etli)ピルベートカルボキラーゼから得られる利益は、ピル
ベートからオキサロアセテートへ転向する炭素がアセチル補酵素Aレベルを減少
させかつアスパルテートレベルを増加させるという事実により制限される。しか
しながら、シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)からのピル
ベートカルボキラーゼはその活性化のためにアセチル補酵素Aを必要とせず、そ
してアスパルテートにより引き起こされるフィードバック阻害により影響を受け
ない(R. Silvia他、J. Gen. Microbiol. 93:75−81(1976))。過剰産生さ
れたシュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)ピルベートカルボ
キラーゼは、なおより多い炭素流をオキサロアセテートに向けることができるで
あろう。
【0075】 細菌におけるピルベートカルボキラーゼをコードする遺伝子は高度に相同的で
あるように思われるので、シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescen
s)pyc遺伝子はリゾビウム・エトリ(R. etli)遺伝子から調製されたプローブ
を使用してゲノムライブラリーから容易に単離することができる。こうしてシュ
ードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)におけるピルベートカルボ
キラーゼの遺伝子を同定し、単離し、標準遺伝子操作技術に従い、発現ベクター
の中にクローニングする。他に、ピルベートカルボキラーゼ活性を追跡し(上記
実施例に記載されているように)そしてまたウェスタンブロットによりビオチニ
ル化タンパク質をアッセイすることによって、ピルベートカルボキラーゼ酵素を
シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)から単離し、精製する
ことができる。精製したタンパク質のN末端アミノ酸配列を決定し、次いでデジ
ェネレイトオリゴヌクレオチドプローブを作り、これを使用してピルベートカル
ボキラーゼをコードする遺伝子をシュードモナス・フルオレッセンス(P. fluo
rescens)から調製されたゲノムライブラリーから単離する。こうして得られたp
ycクローンを配列決定する。配列データから、宿主細胞においてピルベートを過
剰産生できるように、この遺伝子を発現ベクターの中にクローニングすることが
できるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。いずれの方法を使用してもシ
ュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)pyc遺伝子をコードするベ
クターを生成することができ、次いでこれを使用して宿主大腸菌(E. coli)ま
たはコリネバクテリウム・グルタミカム(C. glutamicum)細胞を形質転換する
。シュードモナス・フルオレッセンス(P. fluorescens)からのピルベートカ
ルボキラーゼを宿主細胞において発現させ、前の実施例に記載したように生化学
物質産生を増強する。
【0076】 実施例VI ピルベートカルボキラーゼおよびPEPカルボキラーゼの両方の過剰
産生による生化学物質産生の増強 多数の生物において、PEPをPEPカルボキラーゼを介してオキサロアセテートに
カルボキシレート化するか、あるいはピルベートキナーゼによりピルベートに変
換することができる(I. Shiio他、J. Biochem. 48:110−120(1960);M.
Jetten他、Appl. Microbiol. Biotechnol. 41:47−52(1994))。コリネバ
クテリウム・グルタミカム(C. glutamicum)においてオキサロアセテートに向
かう炭素フラックスを増加することを試みた1つの可能な方法は、PEPからピルベ
ートに向かう炭素フラックスをブロックすることであった。しかしながら、ピル
ベートキナーゼ突然変異株によるリシン産生は親株により40%より低く、ピルベ
ートは高いレベルのリシン産生のために必須であることが示される(M. Gubler
他、Appl. Microbiol. Biotechnol. 60:47−52(1994))。
【0077】 同時にPEPからピルベートへの炭素フラックスをブロックせずかつグルコース
吸収に影響を与えないで、過剰産生されるピルベートカルボキラーゼと組み合わ
せてPEPカルボキラーゼを過剰産生することによって、オキサロアセテートに向
かう炭素フラックスを増加させることができる。
【0078】 しかしながら、従属栄養生物、例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム(
C. glutamicum)において、PEPカルボキラーゼはその活性化のためにアセチルC
oAを必要とし、アスパルテートにより阻害される(S. Mike他、Ann. NY Acad
. Sci. 272:12−29(1993));それゆえ、コリネバクテリウム・グルタミカム
(C. glutamicum)PEPカルボキラーゼ遺伝子の増幅はリシン収量を増加させな
かった(J. Kremer他、Appl. Environ. Microbiol. 57:1746−1752(1991)
)。しかしながら、シアノバクテリアのアスペルギルス・ニヅランス(Aspergill
us nidulans)から単離されたPEPカルボキラーゼはその活性化のためにアセチ
ルCoAを必要とせず、またアスパルテートにより阻害されない(M. Utter他、En
zymes 6:117−135(1972))。したがって、この異種酵素をコリネバクテリウム
・グルタミカム(C. glutamicum)において使用してオキサロアセテートに向か
う炭素フラックスを増加させることができる。アスペルギルス・ニヅランス(A. nidulans)におけるPEPカルボキラーゼをコードする遺伝子は単離され、クロ
ーニングされた(T. Kodai他、J. Biochem. 97:533−539(1985))。
【0079】 実施例VII 過剰産生されたピルベートカルボキラーゼと組み合わせたPEPカル ボシキナーゼをコードするpck遺伝子を中断することによる生化学物質産生の増
過剰産生されたピルベートカルボキラーゼを介してオキサロアセテートに向け
られた炭素のあるものは、PEPカルボシキナーゼが存在するために、PEPに変換し
戻されるようである。宿主細胞が中断されたpck遺伝子を含有する場合、例えば
、大腸菌(E. coli)株がpckヌルアレレを含有する場合、より多くの炭素はこ
れらの系においてオキサロアセテートに向かって転向される(例えば、A. Gold
ie、J. Bacteriol. 141:1115−1121(1980))。
【0080】 実施例VIII ピルベートを発現する大腸菌(E. coli)における組換えタンパ ク質の収量の増強 ピルベートカルボキラーゼが組換えタンパク質産生に対して有する作用を決定
するために、天然β−ガラクトシダーゼ酵素または非天然カテコール2,3−ジオ
キシゲナーゼ酵素を過剰産生した大腸菌(E. coli)株を使用して、いくつかの
実験を実施した。 材料および方法 細菌株およびプラスミド すべてのクローニング実験は、MC1061/F'laclQi
Z::Tn5 Y+A+であるR-M+大腸菌(E. coli)株ALS226中で実施した(E. Altm
an、University of Georgia)。野生型大腸菌(E. coli)株MG1655、F-λ-(
M. Guyer他、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 45:135−140(1
980))をすべての他の研究のために使用した。この研究において使用したプラス
ミドを表7に記載する。
【0081】
【表7】
【0082】 pACYC184−lacZおよびpACYC184−xylEの構築 最初に、lacZおよびxylEをpTrc
99A発現ベクターの中にクローニングした。pTrc99A−lacZを構築するために、プ
ライマー5' TAT CAT gga tcc AGG AAA CAG CTA TGA CCA TGA TTA CGG ATT CAC TG 3'(配列番号3)および5' TAC ATA CTC GAG CAG GAa agc ttG GCC TGC CCG GTT ATT ATT ATT TT 3'(配列番号4)を使用
して、pTrc7プラスミドからの3138塩基対(bp)のフラグメントをPCR増幅した(
制限酵素部位を小文字で示し、lacZに対して相同的領域を単一下線で示す)。生
ずるフラグメントをゲル単離し、BamHIおよびHindIIIで消化し、次いで同一の2
つの制限酵素で消化したpTrc99Aベクターの中に結合した。pTrc99A−xylEを構築
するために、プライマー5' ATC AGA ctg cag GAG GTA ACA GCT ATG A AC AAA GGT GTA ATG CGA CC 3'(配列番号5)および5' TAG CAG TGG
CAG CTC TGA aag ctt TGC ACA ATC TCT GCA ATA AGT GG 3'(配
列番号6)を使用して、TOL pWWOプラスミドから単離した野生型シュードモナス
・プチダ(Pseudomonas putida)xylE遺伝子を含有するpXE60プラスミドからの
1006bpのフラグメントをPCR増幅した(制限酵素部位を小文字で示し、xylEに対
して相同的領域を単一下線で示す)。生ずるフラグメントをゲル単離し、PatIお
よびHindIIIで消化し、次いで同一の2つの制限酵素で消化したpTrc99Aベクター
の中に結合した。
【0083】 pACYC184−lacZを構築するために、lacZ遺伝子およびtrcプロモーターを含有
するpTrc99A−lacZからの3504bpのフラグメントを、cat遺伝子および複製oriを
含有するpACYC184からの3178bpのフラグメントに結合した。pTrc99A−lacZをNar
IおよびHindIIIで消化し、次いでクレノーで充填することによって、3054bpのla
cZフラグメントを調製したが、pACYC184をHindIIIで消化することによって、cat
およびoriを含有する3178bpのフラグメントを調製した。次いで、pACYC184に関
して時計回り方向にlacZを転写するクローンを選択した。pACYC184−xylEを構築
するために、xylE遺伝子およびtrcプロモーターを含有するpTrc99A−xylEからの
1365bpのフラグメントを、cat遺伝子および複製oriを含有するpACYC184からの31
87bpのフラグメントに結合した。pTrc99A−xylEをNarIおよびHindIIIで消化し、
次いでクレノーで充填することによって、1365bpのxylEフラグメントを調製した
が、pACYC184をHindIIIで消化することによって、catおよびoriを含有する3178b
pのフラグメントを調製した。次いで、pACYC184に関して時計回り方向にxylEを
転写するクローンを選択した。
【0084】 培地 震盪フラスコおよび発酵の両方の研究のために、この研究において使用
するlacをベースとする発現ベクターの無償性誘導因子としてIPTGを1mMの最終濃
度で添加した。ColE1レプリコンを有するプラスミドの淘汰圧としてアンピシリ
ンを100μg/mlの最終濃度で添加し、そしてP15Aレプリコンを有するプラスミド
の淘汰圧としてクロラムフェニコールを20μg/mlの最終濃度で添加した。
【0085】 震盪フラスコの研究のために、LBミラーブロスを使用した。2mlの体積の試料
を平板から接種し、アンピシリンおよびクロラムフェニコールを含有するLBミラ
ーブロス中でほぼ12時間増殖させた。50mlのアンピシリンおよびクロラムフェニ
コールを含有する新鮮なLBミラーブロスの中に、これらの試料を1:200に希釈し
、0.5のOD550に到達するまで、増殖させた。次いで、100mlのアンピシリンおよ
びクロラムフェニコールを含有する新鮮なLBミラーブロスを使用して、培養物を
0.1のOD550に希釈した。IPTGを添加し、試料を規則的間隔でプロセシングし、β
−ガラクトシダーゼまたはカテコール2,3−ジオキシゲナーゼ活性についてアッ
セイした。
【0086】 発酵の研究のために、培地は下記の成分を含有した:30g/lのグルコース、10
g/lのトリプトン、5g/lの酵母エキス、5g/lのNaCl、5g/lのNa2HPO4、1.5g/
lのKH2PO4、1.0g/lのNH4Cl、0.25g/lのMgSO4・7H2O、20mg/lのCaCl2・2H2O、
1.0mg/lのビオチン。10mlの体積の試料を平板から接種し、アンピシリンおよび
クロラムフェニコールを含有する発酵培地中でほぼ10時間増殖させた。10mlの体
積を使用して、同一の新鮮な培地を含有する100mlの震盪フラスコを接種した。
各震盪フラスコを5〜6時間増殖させた後、発酵槽の接種に使用した。発酵槽の接
種後、IPTGを添加した。2リットルの発酵槽(New Brunswick Scientfic Co.
、ニュージャージイ州ニューブルンスウィック)中で1.6リットルの培地を使用
して、37℃の制御温度、pH7.0および800rpmの撹拌において、バッチ発酵を実施
した。無菌の、濾過した空気を3l/分の速度で連続的にスパージした。塩基とし
て10%のNaOHまたは2MのNa2CO3および酸として10%のH2SO4を使用して、pHを調
節した。
【0087】 酵素アッセイ β−ガラクトシダーゼアッセイを前述したように実施した:A.
Pardee他、J. Mol. Biol. 1:165−178(1959)およびJ. Miller、Experi
ments in Molecular Genetics、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold
Spring Harbor、N. Y.(1972)。β−ガラクトシダーゼの1酵素単位(EU)は
、30℃およびpH7において1μmol/分のオルト−ニトロフェノールを産生する酵
素量として定義される。オルト−ニトロフェノールは1.0cmの光路について7.5吸
収単位/mMの吸収性を有する。カテコール2,3−ジオキシゲナーゼ酵素のアッセ
イは下記の文献に記載されているようにして実施した:Sala−TrepatおよびEvan
s、European J. Biochem. 68:69(1990)およびM. Zukowski他、Proc. Na
tl. Acad. Sci. U.S.A. 80:1101−1105(1983)。カテコール2,3−ジオキ
シゲナーゼ酵素の1酵素単位(EU)は、30℃およびpH8において1μmol/分のカテ
コールを2−ヒドロキシムコンセミアルデヒドに変換する酵素量として定義され
る。カテコールは1.0cmの光路について36吸収単位/mMの吸収性を有する。ピル
ベートカルボキラーゼ活性は、J. Payne他(J. Gen. Microbiol. 59:97−1
01(1969))のカップルド法により測定された。ピルベートカルボキラーゼの1酵
素単位(EU)は、30℃およびpH8において1μmol/分のピルベートをオキサロア
セテートに変換する酵素量として定義される。
【0088】 分析方法 550nmにおいて光学密度(OD)を測定する(DU−650分光光度計、Be
ckman Instruments、カリフォルニア州サンジョーズ)ことによって、細胞増殖
をモニターし、そしてこの測定値を使用して乾燥細胞濃度に相関させた。Eitema
n他(Anal. Chimi. Acta 338:69−75(1997))が記載するように、コレゲル6
4−Hイオン排除カラムを使用する高圧液体クロマトグラフィーにより、グルコー
スおよび低分子量発酵産物を分析した。 結果および論考 第1実験において、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現するプラスミドpTrc9
9A−pyc、および対照プラスミドpTrc99Aを、β−ガラクトシダーゼを過剰産生す
る大腸菌(E. coli)株MG1655 pACYC−lacZの中に形質転換した。生ずるMG165
5 pTrc99A pACYC−lacZおよびMG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZをリッチ培
地中で同時に増殖させ、そしてβ−ガラクトシダーゼ活性の分析のために試料を
取出した。結果を第12図に示す。両方の株について、細胞増殖が起こり、より高
い光学密度が記録され、増加するβ−ガラクトシダーゼ活性が観測された。光学
密度が約1.70吸収単位に到達した時点において、pTrc99A−pycプラスミドを含有
する震盪フラスコにおいてβ−ガラクトシダーゼ活性は4.65EU/mlに到達したが
、pTrc99Aプラスミドを含有する震盪フラスコにおいて活性はわずかに2.88EU/m
lに到達した。この場合において、ピルベートカルボキラーゼをコードするpyc遺
伝子の存在は活性β−ガラクトシダーゼの合成を標準化された細胞密度に基づい
て61%だけ増加させた。
【0089】 第2研究において、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現するプラスミドpTrc9
9A−pyc、および対照プラスミドpTrc99Aを、カテコール2,3−ジオキシゲナーゼ
を過剰産生する大腸菌(E. coli)株MG1655 pACYC−xylEの中に形質転換した
。生ずるMG1655 pTrc99A pACYC−xylEおよびMG1655 pTrc99A−pyc pACYC−x
ylEをリッチ培地中で同時に増殖させ、そしてカテコール2,3−ジオキシゲナーゼ
のアッセイのために試料を取出した。結果を第13図に示す。細胞増殖が起こり、
より高い光学密度が記録され、増加するカテコール2,3−ジオキシゲナーゼの活
性が観測された。光学密度が約1.70吸収単位に到達した時点において、pTrc99A
−pycプラスミドを含有する震盪フラスコにおいてカテコール2,3−ジオキシゲナ
ーゼの活性は3.28EU/mlに到達したが、pTrc99Aプラスミドを含有する震盪フラ
スコにおいて活性はわずかに2.40EU/mlに到達した。この場合において、ピルベ
ートカルボキラーゼをコードするpyc遺伝子の存在は活性カテコール2,3−ジオキ
シゲナーゼ酵素の合成を標準化された細胞密度に基づいて37%だけ増加させた。
【0090】 震盪フラスコの実験は非常に有望であったので、次に2リットルの発酵槽中で
β−ガラクトシダーゼ産生株を増殖させ、ここで温度、pHおよび撹拌の調節はよ
り高い細胞濃度を可能とし、こうしてより大きいタンパク質産生を生ずるであろ
う。塩基として10%NaOHを使用して第1対の発酵(すなわち、1つはpyc遺伝子を
含むが、1つは含まない)を実施し、そして第14図は結果を示す。pTrc99Aおよび
pTrc99A−pyc株は同様な速度で増殖し、6時間の発酵後、約4.5g/lの細胞濃度が
達成された(この細胞濃度は15.0の光学密度に対応する)。4時間の発酵後、pTr
c99AおよびpTrc99A−pyc株は約10〜15EU/mlのβ−ガラクトシダーゼを生じた。
しかしながら、この時間を越えると、pyc遺伝子を含有する株はβ−ガラクトシ
ダーゼを発生し続けたが、pyc遺伝子を含有しない株によるこの酵素の産生はほ
とんど停止した。12時間において、pTrc99A−pycが発生するβ−ガラクトシダー
ゼ活性は30.6EU/mlであるが、pyc遺伝子をもたない株が発生する活性はわずか
に12.9EU/mlであった。したがって、pyc遺伝子をもたない株を使用する発酵よ
りもpyc遺伝子を有する株を使用する発酵において、β−ガラクトシダーゼ活性
は137%大きかった。ピルベートカルボキラーゼの存在は酵素アッセイにより確
証された。
【0091】 グルコースがこれらの2つの発酵の間に同様な速度で消費されるかどうか、お
よび追加の低分子量化学物質、特にアセテートが細胞により合成されるかどうか
を知ることに、我々は興味をもった。したがって、グルコースおよびアセテート
濃度をこれらの2リットルの発酵の間に測定し、これらの結果を第15図に示す。p
ycを含まない株は6時間の発酵後にグルコースの大部分を消費した。しかしなが
ら、pycを有する株はグルコースをいっそうゆっくり消費し、6時間後に約7g/l
のグルコースが残り、そして12時間後に約3g/lがなお残った。第15図に示すよ
うに、pTrc99A−pyc株におけるより遅いグルコース消費はより遅い細胞増殖速度
を生じなかった。
【0092】 ピルベートカルボキラーゼはオキサロアセテートへのピルベートの変換におけ
る補基質として二酸化炭素を使用するので、pHを調節するために塩基として水酸
化ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウムを使用すると、我々の結果が影響を受け
るかどうかを研究した。水酸化ナトリウムを使用して達成した同一発酵をこの新
しい塩基を使用して完結し、そして結果を第16図および第17図に示す。これらの
結果が示すように、pTrc99A株はpTrc99A−pyc株よりもわずかに速く増殖した。4
時間の発酵において、両方の株は約20EU/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性を産生
した。しかしながら、4時間後、pTrc99A−pyc株はβ−ガラクトシダーゼ活性を
いっそう速く産生した。12時間において、わずかに82.0EU/mlのβ−ガラクトシ
ダーゼ活性を産生したpTrc99A株についてグルコースは本質的に消費された。15
時間において、他方において、pTrc99A−pyc株はなお2g/lのグルコースを有し
、131.8EU/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性を産生した。こうして、グルコース
が消費された時間に、pyc遺伝子をもたない株を使用する発酵よりもpyc遺伝子を
有する株を使用する発酵において、β−ガラクトシダーゼ活性は61%大きかった
【0093】 細胞がピルベートカルボキラーゼを過剰発現するかどうかに無関係に、塩基と
して炭酸塩を使用する発酵は塩基として水酸化物を使用する発酵よりも高い収量
を生じた。多分細胞における主要な反応は二酸化炭素を必要とするからである。
そして、発酵にどの塩基を使用したかに無関係に、ピルベートカルボキラーゼ活
性はグルコースが消費される時間を延長し、炭素の利用可能性により制限されな
いでTCAサイクルが機能できる時間を延長した。pyc遺伝子が存在するとき、グル
コースは非常に効率よく使用された。したがって、いずれの発酵にとっても、py
c遺伝子の存在はタンパク質産生を増強するために炭素をオキサロアセテートに
向けるために非常に有効な手段であった。
【0094】 実施例IX 規定された最小培地を使用するピルベートカルボキラーゼを発現す る大腸菌(E. coli)における組換えタンパク質収量の増強 産業用酵素およびタンパク質薬物を製造する会社は、プロセスの変動を最小に
しかつ引き続く精製を使用する複雑さを減少するために、最小培地を日常的に使
用するので、確立された培地を使用してモデルのタンパク質β−ガラクトシダー
ゼ産生を検査した。 材料および方法 細菌株およびプラスミド 宿主株は大腸菌(E. coli)MG1655であった。表7
、実施例VIIIは、この研究におけるβ−ガラクトシダーゼおよびピルベートカル
ボキラーゼを発現するために使用したプラスミドを記載する。pTrc99AおよびpAC
YC184の両方のプラスミドはlacプロモーターを含有するので、タンパク質誘導の
ためにイソプロピル−β−チオガラクチピラノシド(IPTG)を添加した。
【0095】 培地および増殖条件 すべての発酵はベンチトップ発酵槽中で実施した(Biofl
ow III、New Brunswick Scientific,Co.、ニュージャージイ州エディソン)
。培地はHom他(Appl. Microbiol. Biotechnol. 46:524−532(1996))。い
くつかのコロニーを使用して1mlのルリア・ベルタニ(LB)培地を接種し、250rp
m、37℃においてほぼ6時間インキュベートした後、内容物を100mlの培地C1に移
した。500mlの震盪フラスコ中で培地C1を使用して発酵槽のための予備培養物を
増殖し、下記の成分を含有した(1リットル当たり):Na2HPO4・2H2O、6.42g;K 2 HPO4、3.00g;NH4Cl、1.00g;NaCl、0.50g;クエン酸、2.0g;Fe2(SO43、50
mg;H3BO3、3.0mg;MnCl2・4H2O、15mg;二ナトリウムEDTA・2H2O、9.6mg;CuCl 2 ・2H2O、1.5mg;Na2MoO4・2H2O、2.5mg;CoCl2・6H2O、2.5mg;ZnCl2・2H2O、5
.0mg;グルコース、20g;MgSO4・7H2O、0.6g;CaCl2・2H2O、70mg;アンピシリ
ン、100mg;およびクロラムフェニコール、20mg。培地成分を列挙した順序で添
加して、金属の沈澱を防止した。予備培養物を250rpm、37℃においてほぼ1.5の
光学密度に増殖させた。
【0096】 発酵培地C2は下記の成分を含有した(1リットル当たり):KH2PO4、6.00g;(N
H4)2HPO4、8.00g;クエン酸、2.1g;Fe2(SO4)3、62.5mg;H3BO3、3.8mg;MnCl 2 ・4H2O、18.8mg;二ナトリウムEDTA・2H2O、12mg;CuCl2・2H2O、1.9mg;Na2Mo
O4・2H2O、3.1mg;CoCl2・6H2O、3.1mg;Zn(CH3COO)2・2H2O、10mg;グルコー
ス、30g;MgSO4・7H2O、1.5g;CaCl2・2H2O、70mg;ビオチン、1mg;チアミン・
HCl、1mg;アンピシリン、100mg;およびクロラムフェニコール、20mg。培地成
分を列挙した順序で添加した。各発酵槽を1000rpm、37℃、および1.2リットル/
分の無菌空気の流速で操作した。10%NaOHおよび10%H2SO4を使用してpHを6.5〜
6.7に調節した。光学密度がほぼ1.5であった。引き続く分析のための、試料を−
20℃において貯蔵した。
【0097】 分析方法 発酵過程間に、グルコース、バイオマス、および産物濃度を測定す
るために試料を抜き出した。550nmにおいて光学密度(OD550)を測定する(DU−
650分光光度計、Beckman Instruments、カリフォルニア州サンジョーズ)こと
によって、細胞増殖をモニターし、そしてこの測定値を乾燥細胞濃度に相関させ
た。以前に記載されているように(Eiteman他、Anal. Chem. Acta 338:69−
75(1997))、コレゲル64−Hイオン排除カラム(Interactive Chromatography、
カリフォルニア州サンジョーズ)を使用する高圧液体クロマトグラフィーにより
、グルコースおよびアセテートを分析した。発酵排出ガス中のCO2およびO2を連
続的に測定した(Ultramat 23ガス分析装置、Siemens、ドイツ国マンニヒ)。
【0098】 酵素アッセイ 試料のアリコート(1.5ml)を融解し、遠心した(6000×g、20
分)。細胞を洗浄し、1.0MのTris緩衝液(pH8.0)の中に再懸濁し、FrenchTM
力セル(850psi)で破壊し、遠心した(25,000×g、20分、4℃)。PanyeおよびM
orris(J. Payne他、J. Gen. Microbiol. 59:97−101(1969))の方法に従
い、無細胞抽出物をピルベートカルボキラーゼについて分析した。1単位のピル
ベートカルボキラーゼ活性は30℃、pH8において1μmol/分のピルベートをオキ
サロアセテートに変換する。
【0099】 β−ガラクトシダーゼ活性について、アリコート(1.5ml)を融解し、ルリア
・ベルタニ(LB)ブロス(R. L. Rodriguez他、Biotechnolog. Bioeng. 57
:71−78(1983))で0.1のOD550に希釈した。A. B. Pardee他、J. Mol. Biol
. 1:165−178(1959)のプロトコルに従い、希釈した試料をβ−ガラクトシダ
ーゼ活性について分析した。1単位のβ−ガラクトシダーゼ活性は30℃、pH7にお
いて1nmol/分のo−ニトロフェノールを産生した。
【0100】 細胞のタンパク質含量について、試料を融解し、遠心した(6000×g、20分、4
℃)。複合培地からの細胞を洗浄し、1.0MのTris(pH8.0)の中に再懸濁させ、
次いでFrenchTM圧力セル(850psi)で破壊し、遠心した(25,000×g、20分、4℃
)。規定培地の発酵からの試料をBper IITM細菌タンパク質抽出試薬(Pierce)
で崩壊させた。規定培地の発酵から採った試料について、BCATMタンパク質アッ
セイキット(Pierce)を使用して、全細胞タンパク質含量を測定した。 結果および論考 培地C2は30g/lのグルコースおよび2.18g/lのアンモニウムイオン(NH4+)を
含有した。アミノ酸を誘導するための前駆体分子を提供する他の窒素源(例えば
、タンパク質加水分解物)が存在しないので、相対的高い濃度のNH4 +を必要とし
た。供給バッチプロセシングにより非常に高い細胞密度を発生させるために使用
できる培地であることに加えて、この培地は追加のアナプロレティック経路を大
腸菌(E. coli)の中枢代謝に加えることによって引き起こされる差を最も明瞭
に証明すべきである。第18図および第19図は、それぞれ、pyc-およびpyc+株につ
いて培地C2を使用する大腸菌(E. coli)の代表的な発酵プロファイルを表示す
る。ピルベートカルボキラーゼを含有しない株において、β−ガラクトシダーゼ
活性は10分後に安定する。対照的に、ピルベートカルボキラーゼ活性を含有する
株において17時間後、このモデルの組換えタンパク質の活性は増加し続けた。ピ
ルベートカルボキラーゼの存在は酵素アッセイにより確証された。
【0101】 多発酵からの結果を表8に要約する。ピルベートカルボキラーゼを有する大腸
菌(E. coli)株は、平均して最大β−ガラクトシダーゼ活性を65.5%増加させ
た。さらに、pycを含有する株は最大細胞濃度の24%の増加を示した。実施例III
における嫌気的発酵と異なり、pycの存在は比グルコース吸収速度を減少させ、
比増殖速度をわずかに減少させた。これらの差の各々はα=0.025水準において
有意である。これらの好気的発酵におけるピルベートカルボキラーゼ活性は0.42
EU/mlであるが、これに対して嫌気的発酵において0.06EU/mlであった。ピルベ
ートカルボキラーゼ活性が数倍高かかったという事実は、比グルコース吸収速度
および比増殖速度に対する効果を説明できるであろう。それにもかかわらず、最
終的結果は得ることができるモデルの組換えタンパク質の最大活性の増加であっ
た。pycを含有する大腸菌(E. coli)の発酵における平均最大アセテート濃度
はpycを含有しない大腸菌(E. coli)の発酵についてより低かったが、差は有
意でなかった。その上、いずれの株も少なくとも3.0g/lのアセテート阻害の発
表された限界値(E. Jensen他、Biotechnol. Bioengin. 36:1−11(1990))
に到達するために十分なアセテートを産生しなかったので、アセテートはこの研
究における増殖またはタンパク質産生の阻害においてある役割を演じないと結論
することができた。アセテートはタンパク質産生または比増殖速度(α=0.10)
に対して有意に相関しない。
【0102】 大腸菌(E. coli)の好気的に増殖させた培養物に追加のアナプロレティック
経路を加えることによって、タンパク質産生を増加できることが、この研究によ
り証明された。さらに、この研究により、アセテートが組換えタンパク質産生の
阻害において直接的役割を演じないことが証明された。わずかに1mgのアセテー
トは約10,000Uのβ−ガラクトシダーゼ活性について十分な炭素を提供できるの
で、アセテートまたはその前駆体からタンパク質への炭素の比較的小さい、注目
されない再方向づけは、阻害作用を越えた活性の有意の増加に寄与することがで
きる。
【0103】
【表8】
【0104】 実施例X ピルベートカルボキラーゼの過剰産生を使用して真核細胞における
タンパク質発現に影響を与える この技術は、実施例VIIIおよびIXに記載されている方法に類似する方法を使用
する真核生物系において容易に適用できる。真菌細胞、例えば、酵母サッカロマ
イセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)においてこの技術を使用す
るするために、2つの対比プラスミドを構築する。第1プラスミドはピルベートカ
ルボキラーゼ酵素を発現するが、第2プラスミドはその発現を増強すべきタンパ
ク質を発現する。サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae)において、
多プラスミドが同一細胞の中に同時に存在することができ、各プラスミドは異な
る正の淘汰圧を使用するために選択される。抗生物質を通常使用して細菌におけ
るプラスミドに淘汰圧を提供するが、サッカロマイセス・セレビシエ(S. cere
visiae)においてこれを達成するために生合成酵素、例えば、ヒスチジン、ロイ
シン、トリプトファン、またはウラシルに関係する酵素が通常使用される。詳し
くは、HIS3、LEU2、TRP1、またはURA3遺伝子が日常的に使用される。
【0105】 酵母における異種タンパク質の発現に十分に適する多数のプラスミドが入手可
能であり、それらの例は次の通りである:pG−3(M. Schena他、Meth. Enzymo
l. 194:389−398(1991));pRA−6(T. Nagashima他、Biosci. Biotechnol.
Biochem. 58:1292−1296(1994))、pTRRP11(K. Kitamoto他、Agric. Bio
l. Chem. 54:2979−2987(1990))、およびpYcDE−1(G. L. McKnight他、P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4412−4416(1983))。ピルベートカルボ
キラーゼ遺伝子および試験すべきタンパク質をコードする遺伝子を、異なる選択
可能な生合成酵素を含有する、2つの対比酵母発現ベクターの中にクローニング
する。次いで、選択マーカーとして使用されている両方の生合成酵素を欠如する
酵母レシピエント細胞の中に、生ずるプラスミドを形質転換する。
【0106】 発酵試験を実施するために、ピルベートカルボキラーゼおよび試験すべきタン
パク質を過剰産生する酵母細胞を、試験すべきタンパク質を過剰産生するが、ピ
ルベートカルボキラーゼを過剰産生しない酵母細胞と比較する。この場合におい
て、親プラスミドをピルベートカルボキラーゼを過剰発現するプラスミドと置換
する。2つのプラスミドにより発現される生合成酵素の選択を可能とする最小規
定培地中で、2つの酵母細胞を増殖させる。典型的には、このような培地はアミ
ノ酸を含まない6.7g/lのDifco酵母窒素塩基および20g/lのグルコースを含有す
る。次いで、アミノ酸および塩基補充物質を別々に添加する。種々の塩を添加し
て高い密度への増殖を促進し、および/または培地の緩衝化能力を増加すること
ができる。同様に、種々の供給方法を使用して高い細胞密度への増殖を促進する
ことができる。
【0107】 過剰産生されたタンパク質またはペプチドは染色体的に組込まれた核酸の中に
コードすることができるが、ポリペプチドをコードするプラスミドを使用するこ
とが好ましいことに注意すべきである。
【0108】 すべての引用された特許、特許出願、刊行物、および核酸およびタンパク質配
列のデータベースの記録、例えば、遺伝子バンク受託物に関連する公衆にアクセ
ス可能な情報は引用することによって本明細書の一部とされる。上記の詳細な説
明および実施例は理解を明瞭にすることのみを目的とする。不必要な限定はそれ
らに適用されない。本発明は示されかつ記載された正確な詳細に限定されず、当
業者にとって明らかな変化は特許請求の範囲により規定される発明の中に包含さ
れる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 大腸菌(E. coli)における好気的代謝経路を示し、解糖、TCAサイクル、お
よびオキサロアセテート由来生化学物質の生合成を描写する;破線は化合物を生
合成するために多工程を必要とすることを意味するが、実線は1工程変換を意味
する;グルコース吸収におけるPEPの参加は淡い線で示されている;示されてい
る経路は化学量論的でなく、また補因子を含まない。
【図2】 ピルベートに関するMG1655 pUC18(○およびMG1655 pUC18−pyc(●)につ
いてのピルベートカルボキラーゼ活性を示すグラフである。
【図3】 ピルベートカルボキラーゼ活性に対するアスパルテートの増加する濃度の効果
を示すグラフである。
【図4】 ATPおよびADPに関するピルベートカルボキラーゼの反応速度論的分析を示すグ
ラフである;ADPの非存在(●)および1.5mMのADPの存在(○)下にピルベート
カルボキラーゼ活性を測定した。
【図5】 唯一の炭素源としてグルコースを利用する最小培地上の、pUC18またはpUC18−
pyc構築物を含有するppcヌル大腸菌(E. coli)株の増殖を示すペトリ平板であ
る。
【図6】 大腸菌(E. coli)における嫌気的代謝経路を示し、解糖およびオキサロアセ
テート由来生化学物質の生合成を描写する;グルコース吸収におけるPEPの参加
を破線で示す;示されている経路は化学量論的でなく、また補因子を含まない。
【図7】 ピルベートカルボキラーゼ活性に対するニコチンアミドヌクレオチドの効果を
示すグラフである;NADH(○)、NAD+(□)、NADPH(△)およびNADP+(◇)。
【図8】 グルコース制限(10g/l)培地中の厳格な嫌気的条件下における野生型株(MG
1655)の増殖パターンおよび選択された発酵産物を示すグラフである;グルコー
ス(●)、スクシネート(黒四角)、ラクテート(○)、ホルメート(□)およ
び乾燥細胞塊(△)の濃度を測定した。
【図9】 グルコース制限(10g/l)培地中の厳格な嫌気的条件下におけるpUC18クロー
ニング/発現ベクター(MG1655/pUC18)を有する野生型株の増殖パターンおよ
び選択された発酵産物を示すグラフである;グルコース(●)、スクシネート(
黒四角)、ラクテート(○)、ホルメート(□)および乾燥細胞塊△)の濃度を
測定した。
【図10】 グルコース制限(10g/l)培地中の厳格な嫌気的条件下におけるpyc遺伝子(M
G1655/pUC18−pyc)を有する野生型株の増殖パターンおよび選択された発酵産
物を示すグラフである;グルコース(●)、スクシネート(黒四角)、ラクテー
ト(○)、ホルメート(□)および乾燥細胞塊(△)の濃度を測定した。
【図11】 グルコース制限(30g/l)培地中の厳格な好気的条件下におけるpTrc99Aまた
はpTrc99A−pycを含有するトレオニン産生株βIM−4(ATCC 21277)における増
殖パターンおよびトレオニン産生を示すグラフである;pTrc99A含有株における
光学密度(○)、pTrc99A−pyc含有株における光学密度(□)、pTrc99A含有株
におけるトレオニン濃度(●)、およびpTrc99A−pyc含有株におけるトレオニン
濃度(黒四角)を測定した。
【図12】 100mlの震盪フラスコ中で増殖させた大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−py
c pACYC−lacZ(●)および大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ
(○)からのβ−ガラクトシダーゼの産生を描写するグラフである。
【図13】 100mlの震盪フラスコ中で増殖させた大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−py
c pACYC−xylE(●)および大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−xylE
(○)からの2,3−ジオキシゲナーゼの産生を描写するグラフである。
【図14】 pH調節のために水酸化ナトリウムを使用して2リットルの発酵槽中で増殖させ
た、大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(●)および大腸
菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(○)からの細胞塊濃度、ならび
に大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(黒三角)および大
腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(△)についてのβ−ガラクト
シダーゼ産生を描写するグラフである。
【図15】 pH調節のために水酸化ナトリウムを使用して2リットルの発酵槽中で増殖させ
た、大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(●)および大腸
菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(○)からのグルコース濃度、な
らびに大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(黒三角)およ
び大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(△)についてのアセテー
ト濃度を描写するグラフである。
【図16】 pH調節のために炭酸ナトリウムを使用して2リットルの発酵槽中で増殖させた
、大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(●)および大腸菌
(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(○)からの細胞塊濃度、ならびに
大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(黒三角)および大腸
菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(△)についてのβ−ガラクトシ
ダーゼ産生を描写するグラフである。
【図17】 pH調節のために炭酸ナトリウムを使用して2リットルの発酵槽中で増殖させた
、大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(●)および大腸菌
(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(○)からのグルコース濃度、なら
びに大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A−pyc pACYC−lacZ(黒三角)および
大腸菌(E. coli)MG1655 pTrc99A pACYC−lacZ(△)についてのアセテート
濃度を描写するグラフである。
【図18】 規定されたグルコース培地(培地C2、実施例IX)上の大腸菌(E. coli)MG16
55 pTrc99A pACYC−lacZの発酵を描写するグラフである;記号:(●)グルコ
ース、(黒四角)β−ガラクトシダーゼ、(○)光学密度、(△)アセテート。
【図19】 規定されたグルコース培地(培地C2、実施例IX)上の大腸菌(E. coli)MG16
55 pTrc99A−pyc pACYC−lacZの発酵を描写するグラフである;記号:(●)
グルコース、(黒四角)β−ガラクトシダーゼ、(○)光学密度、(△)アセテ
ート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/00 C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 アルトマン,エリオット アメリカ合衆国,ジョージア 30605,ア シンズ,グレイト オーク ドライブ 210 (72)発明者 ゴカーン,ラビ アール. アメリカ合衆国,ミネソタ 55447,プリ マス,サーティーフォース アベニュ ノ ース 14300 #209 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA07 CA04 DA02 DA06 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 DD02 LL03 LL05 4B065 AA01Y AA26X AA43Y AB01 AC14 BA02 CA27

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピルベートカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞に比
    較してタンパク質またはペプチドの産生を増強させるように、ピルベートカルボ
    キラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞。
  2. 【請求項2】 細菌細胞、植物細胞、原生生物細胞、真菌細胞および動物細
    胞から成る群より選択される、請求項1に記載の代謝的に操作された細胞。
  3. 【請求項3】 細胞が細菌細胞である、請求項2に記載の代謝的に操作され
    た細胞。
  4. 【請求項4】 細菌細胞が大腸菌(E. coli)細胞および枯草菌(B. subt
    ilis)から成る群より選択される、請求項3に記載の代謝的に操作された細胞。
  5. 【請求項5】 細胞が植物細胞である、請求項2に記載の代謝的に操作され
    た細胞。
  6. 【請求項6】 細胞が原生生物細胞である、請求項2に記載の代謝的に操作
    された細胞。
  7. 【請求項7】 細胞が真菌細胞である、請求項2に記載の代謝的に操作され
    た細胞。
  8. 【請求項8】 真菌細胞が酵母細胞である、請求項7に記載の代謝的に操作
    された細胞。
  9. 【請求項9】 細胞が動物細胞である、請求項2に記載の代謝的に操作され
    た細胞。
  10. 【請求項10】 動物細胞が哺乳動物細胞および昆虫細胞から成る群より選
    択される、請求項9に記載の代謝的に操作された細胞。
  11. 【請求項11】 哺乳動物細胞がマウス細胞およびヒト細胞から成る群より
    選択される、請求項10に記載の代謝的に操作された細胞。
  12. 【請求項12】 ピルベートカルボキラーゼを機能的にコードする核酸配列
    が導入されている、請求項1に記載の代謝的に操作された細胞。
  13. 【請求項13】 異種ピルベートカルボキラーゼを発現する、請求項12に記
    載の代謝的に操作された細胞。
  14. 【請求項14】 異種ピルベートカルボキラーゼを機能的にコードする核酸
    配列がリゾビウム・エトリ(R. etli)およびシュードモナス・フルオレセンス
    (P. fluorescens)に由来する、請求項13に記載の代謝的に操作された細胞。
  15. 【請求項15】 ピルベートカルボキラーゼの発現が誘導可能である、請求
    項1に記載の代謝的に操作された細胞。
  16. 【請求項16】 内因的ピルベートカルボキラーゼ遺伝子を含んでなり、か
    つ内因的ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する、請求項1に記載の代謝的に
    操作された細胞。
  17. 【請求項17】 内因的ピルベートカルボキラーゼの過剰発現を引き起こす
    ように内因的ピルベートカルボキラーゼ遺伝子が突然変異化されている、請求項
    16に記載の代謝的に操作された細胞。
  18. 【請求項18】 細胞がホスホエノールピルベート(PEP)カルボキラーゼ
    を過剰発現するようにさらに代謝的に操作されている、請求項1に記載の代謝的
    に操作された細胞。
  19. 【請求項19】 グルコースを細胞の中に輸送するために細胞がPEPを利用
    しない、請求項18に記載の代謝的に操作された細胞。
  20. 【請求項20】 細胞培養における請求項1に記載の代謝的に操作された細
    胞。
  21. 【請求項21】 細胞培養がバッチ培養、供給−バッチ培養、連続培養およ
    び灌流培養から選択される、請求項20に記載の代謝的に操作された細胞。
  22. 【請求項22】 細菌発酵におけるの請求項3に記載の代謝的に操作された
    細胞。
  23. 【請求項23】 真菌発酵におけるの請求項7に記載の代謝的に操作された
    細胞。
  24. 【請求項24】 ピルベートカルボキラーゼ酵素を機能的にコードするヌク
    レオチド配列を含んで成る核酸で宿主細胞を形質転換させて、タンパク質または
    ペプチドの産生を増強することができる代謝的に操作された細胞を産生させるこ
    とを含む、宿主細胞において少なくとも1つのタンパク質またはペプチドの産生
    を増強する方法。
  25. 【請求項25】 宿主細胞が細菌細胞、植物細胞、原生生物細胞、真菌細胞
    および動物細胞から成る群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 ヌクレオチド配列が異種ピルベートカルボキラーゼ酵素を
    機能的にコードする、請求項24に記載の方法。
  27. 【請求項27】 核酸配列がリゾビウム・エ(R. etli)に由来する、請求
    項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 核酸配列がシュードモナス・フルオレセンス(P. fluore
    scens)に由来する、請求項26に記載の方法。
  29. 【請求項29】 タンパク質またはペプチドが組換えタンパク質またはペプ
    チドである、請求項24に記載の方法。
  30. 【請求項30】 宿主細胞におけるピルベートカルボキラーゼの発現が誘導
    可能であり、かつ方法が代謝的に操作された細胞におけるピルベートカルボキラ
    ーゼの発現を誘導することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  31. 【請求項31】 ヌクレオチド配列が内因的ピルベートカルボキラーゼ酵素
    を機能的にコードする、請求項24に記載の方法。
  32. 【請求項32】 代謝的に操作された細胞がPEPカルボキラーゼを過剰発現
    するようにさらに代謝的に操作されている、請求項24に記載の方法。
  33. 【請求項33】 タンパク質またはペプチドを産生するために十分な時間の
    間かつ条件下に、代謝的に操作された細胞を培養または発酵することさらに含む
    、請求項24に記載の方法。
  34. 【請求項34】 培養工程において代謝的に操作された細胞中で産生された
    細胞当りのタンパク質またはペプチドの活性または量が、ピルベートカルボキラ
    ーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養により同様な培養条件下に細胞当り産生
    されるタンパク質またはペプチドの活性または量と比べて増加している、請求項
    33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 培養工程において代謝的に操作された細胞により達せられ
    る細胞密度が、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養に
    より同様な条件下に達せられる細胞密度より高い、請求項33に記載の方法。
  36. 【請求項36】 タンパク質またはペプチドの収量が増加し続ける時間長さ
    により規定される時間の間培養工程を実施し、そして培養工程の長さがピルベー
    トカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養の、同様に規定した、培養
    工程の長さより長い、請求項33に記載の方法。
  37. 【請求項37】 培養工程間に代謝的に操作された細胞について達成される
    タンパク質またはペプチドの収量が、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現しな
    い同等の細胞の培養により同様な培養条件下に達成されるタンパク質またはペプ
    チドの収量よりも高い、請求項33に記載の方法。
  38. 【請求項38】 タンパク質またはペプチドを単離することをさらに含む、
    請求項33に記載の方法。
  39. 【請求項39】 ある収量のタンパク質またはペプチドを産生する宿主細胞
    のピルベートカルボキラーゼ遺伝子を突然変異させて、前記宿主細胞がピルベー
    トカルボキラーゼを過剰発現して宿主細胞がタンパク質またはペプチドの産生を
    増強することができる代謝的に操作された細胞を生ずるようにすることを含む、
    宿主細胞におけるタンパク質またはペプチドの産生を増強する方法。
  40. 【請求項40】 宿主細胞が細菌細胞、植物細胞、原生生物細胞、真菌細胞
    および動物細胞から成る群より選択される、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 タンパク質またはペプチドを産生する時間の間かつ条件下
    にピルベートカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を培養する
    ことを含む、タンパク質またはペプチドを製造する方法。
  42. 【請求項42】 代謝的に操作された細胞が細菌細胞、植物細胞、原生生物
    細胞、真菌細胞および動物細胞から成る群より選択される、請求項41に記載の方
    法。
  43. 【請求項43】 細胞が内因的ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する、
    請求項41に記載の方法。
  44. 【請求項44】 細胞が異種ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する、請
    求項41に記載の方法。
  45. 【請求項45】 核酸配列がリゾビウム・エトリ(R. etli)に由来する、
    請求項44に記載の方法。
  46. 【請求項46】 核酸配列がシュードモナス・フルオレセンス(P. fluore
    scens)に由来する、請求項44に記載の方法。
  47. 【請求項47】 タンパク質またはペプチドが組換えタンパク質またはペプ
    チドである、請求項41に記載の方法。
  48. 【請求項48】 代謝的に操作された細胞におけるピルベートカルボキラー
    ゼの発現が誘導可能であり、かつ方法が代謝的に操作された細胞におけるピルベ
    ートカルボキラーゼの発現を誘導することをさらに含む、請求項41に記載の方法
  49. 【請求項49】 代謝的に操作された細胞がPEPカルボキラーゼを過剰発現
    するようにさらに代謝的に操作されている、請求項41に記載の方法。
  50. 【請求項50】 培養工程において代謝的に操作された細胞により細胞当り
    産生されたタンパク質またはペプチドの活性または量が、ピルベートカルボキラ
    ーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養により同様な培養条件下に細胞当り産生
    されるタンパク質またはペプチドの活性または量と比べて増加している、請求項
    41に記載の方法。
  51. 【請求項51】 培養工程において代謝的に操作された細胞により達せられ
    る細胞密度が、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養に
    より同様な条件下により達せられる細胞密度より高い、請求項41に記載の方法。
  52. 【請求項52】 タンパク質またはペプチドの収量が増加し続ける時間長さ
    により規定される時間の間培養工程を実施し、そして培養工程の長さがピルベー
    トカルボキラーゼを過剰発現しない同等の細胞の培養の、同様に規定した、培養
    工程の長さより長い、請求項41に記載の方法。
  53. 【請求項53】 培養工程間に代謝的に操作された細胞について達成される
    タンパク質またはペプチドの収量が、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現しな
    い同等の細胞の培養により同様な培養条件下に達成されるタンパク質またはペプ
    チドの収量よりも高い、請求項41に記載の方法。
  54. 【請求項54】 タンパク質またはペプチドを単離することをさらに含む、
    請求項41に記載の方法。
  55. 【請求項55】 産生されたタンパク質またはペプチドが産業用酵素、研究
    用または診断用酵素、および治療用タンパク質またはペプチドから成る群より選
    択される、請求項54に記載の方法。
  56. 【請求項56】 ピルベートカルボキラーゼ酵素を機能的にコードするヌク
    レオチド配列を含んでなる核酸フラグメントで宿主細胞を形質転換して、ピルベ
    ートカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を産生させることを
    さらに含む、請求項41に記載の方法。
  57. 【請求項57】 ヌクレオチド配列が異種ピルベートカルボキラーゼ酵素を
    機能的にコードする、請求項56に記載の方法。
  58. 【請求項58】 宿主細胞の内因的ピルベートカルボキラーゼ遺伝子を突然
    変異させて、ピルベートカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞
    を産生することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  59. 【請求項59】 PEPカルボキラーゼを過剰発現して、ピルベートカルボキ
    ラーゼを過剰発現しない同等の細胞に比較してタンパク質またはペプチドの産生
    を増強させる代謝的に操作された細胞。
  60. 【請求項60】 細胞が細胞の中へグルコースを輸送するためにPEPを利用
    しない、請求項59に記載の方法。
  61. 【請求項61】 細胞の中へグルコースを輸送するためにPEPを利用しない
    、PEPカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞。
  62. 【請求項62】 タンパク質またはペプチドを産生する時間の間かつ条件下
    に、PEPカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を培養すること
    を含む、タンパク質またはペプチドを製造する方法。
  63. 【請求項63】 細胞が細胞の中へグルコースを輸送するためにPEPを利用
    しない、請求項62に記載の方法。
  64. 【請求項64】 発現されたタンパク質またはペプチドを単離することをさ
    らに含む、請求項62に記載の方法。
  65. 【請求項65】 PEPカルボキラーゼ酵素を機能的にコードするヌクレオチ
    ド配列を含んでなる核酸フラグメントで宿主細胞を形質転換して、PEPカルボキ
    ラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を産生させることをさらに含む、
    請求項62に記載の方法。
  66. 【請求項66】 宿主細胞の内因的PEPカルボキラーゼ遺伝子を突然変異さ
    せて、PEPカルボキラーゼを過剰発現する代謝的に操作された細胞を産生させる
    ことをさらに含む、請求項62に記載の方法。
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