JP2003507133A - 架橋剤含有ホモポリマーおよびそれらから作製される眼移植片 - Google Patents

架橋剤含有ホモポリマーおよびそれらから作製される眼移植片

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Abstract

(57)【要約】 少なくとも2つの重合可能なエチレン不飽和な化学基間に配置される剛直な化学基を含有する安定弾性誘導架橋剤を有するホモポリマーから成る眼移植片を開示する。これらの眼移植片は、安定で、弾性で、軟質で、光学的に透明であり、高屈折率および低粘着性表面を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の属する技術分野) 本発明は概して、眼移植片に関する。具体的には、本発明は、ポリマー鎖間を
結合するための化学架橋剤を含有するホモポリマーから作製される眼移植片に関
する。さらに具体的には、本発明は、化学的および物理的特性の他の特有の組合
せを創り出すことと合わせて、これらのホモポリマーにおける安定な弾性を生じ
させる特有の能力を有する化学架橋剤を含有するホモポリマーから作製される眼
移植片に関する。本発明は、弾性的で軟質の光学的に透明な高屈折率低粘着性ホ
モポリマーの製造、ならびにかかるホモポリマーから作製される、眼内レンズ、
角膜移植片(corneal implants)、角膜オーバーレイ(corneal overlays)および有
水晶体収縮性レンズ(phakic retractive lenses)を含む医療用素子に特によく適
している。
【0002】 (背景) 一般に「ポリマー」は、広範囲の合成的に製造される非金属性すなわち有機化
合物のすべてであり、それらは様々な成形品に成形され、商用のために硬化され
得ると通常理解される。それらは、個々の化学的サブユニットもしくは「モノマ
ー」を「重合する」か、または化学的に結合することにより、高分子量の高分子
生産物から作製される。ホモポリマーおよびコポリマーの本質的に2つの型のポ
リマーが存在する。「ホモポリマー」は、様々な長さのポリマー鎖に化学的に結
合した、同一の繰り返しモノマーで構成される。「コポリマー」は、重合して交
互の異なるモノマーの鎖または異なるモノマーがランダムに全体に分散する鎖を
形成する、少なくとも2つの異なるモノマーの組合せから作製される。
【0003】 天然に存在するポリマーおよび合成的に製造したポリマーの両方が存在する。
天然のポリマーの例としては、とりわけ、タンパク質、多糖、デオキシリボース
核酸(DNA)およびゴムが挙げられ、ここで個々のモノマーサブユニットは、
それぞれ、アミノ酸、糖、核酸およびイソプレンである。一般的な合成ポリマー
としては、プラスチックおよびシリコーンが挙げられ、それらはスチレン、アク
リレート、シラノールおよび多くの他のものを含む高い化学的反応性を有するモ
ノマーから作製される。合成ポリマーは、20世紀の変わり目にそれらが発明さ
れて以来、最も重要な部類の分子の1つになってきた。それらは、ヒトの生活の
あらゆる局面に意義深い影響を与えていた。しかしながら、ポリマー化学のさら
なる我々の理解およびポリマー化学の学問分野の前進に向けて、かなりの努力が
絶え間なく行われている。これらの努力は、物理的および化学的特性の現在のと
ころ得られていない組合せを有する、切実に必要とされる優れたポリマー材料の
開発が含まれている。
【0004】 ホモポリマーおよびコポリマー両方の物理的および化学的特性は、ポリマー自
身内のポリマー鎖相互作用の度合いおよび性質により決定される。その結果、こ
れらの相互作用は、個々のモノマーサブユニットの大きさ、重量、電荷および化
学構造と相関関係にある。最も重量な型のポリマー鎖間の相互作用は、当該技術
分野で「架橋」として知られるものを生じる結果となる化学的相互作用である。
架橋は、ポリマー鎖の間に化学橋を形成することにより個々のポリマー鎖をとも
に結合する化学的プロセスとして定義することができる。これらの「架橋」は、
巨大な単一分子にポリマー鎖を一緒に閉じこめ、そこで個々のポリマー鎖は、も
はや互いを越えて、または互いが関連して滑らかに動くことはできない。
【0005】 本質的に、ポリマーが架橋され得る2つのメカニズムがある。第1の架橋方法
は、高いエネルギー放射または熱のような外部エネルギー源を利用して、各ポリ
マー鎖の個々のポリマー内の化学的に反応性のある官能基間の相互作用を誘導し
、そのポリマー鎖間に新たな化学結合を形成する。かかる外部エネルギー源を用
いて架橋されたポリマーは、かかる化学反応を受けやすいモノマーから構成され
るはずである。典型的には、かかるモノマーは、懸垂型の露出している化学官能
基(化学的に反応性があり、ポリマー鎖から伸び出しているモノマー部分、「残
基」ともいう)を有し、その官能基は、隣接するポリマー鎖上の化学的に適合し
た懸垂型基と相互作用することができる。この型の架橋の例は、動物の皮膚に見
られる天然のタンパク質を包含する。これらのタンパク質は、各々が硫黄、カル
ボン酸およびアミン残基を含む高反応性懸垂型化学基をそれぞれ含有する数多く
の異なるモノマー(アミノ酸)から構成される複合タンパク質である。動物は年
を取るにつれ、紫外線(太陽照射)の累積効果により、これらのタンパク質分子
間に架橋を誘導し、これらポリマーの物理構造を変化させ、皮膚はその天然の弾
性を失ってしまい、固くかつしわが形成されるようになる。
【0006】 第2の架橋メカニズムは、架橋剤およびポリマー鎖内の化学官能基間の反応を
促進する化学触媒(または「促進剤」)の適用と合わせて、外因性架橋剤(さら
なる多官能性分子、ポリマー鎖の一部でない)の添加を利用する。架橋剤を用い
たポリマー鎖間のかかる化学反応は、懸垂型化学基を有するポリマーに限定され
ない。もっと適切に言うと、この形態の化学架橋は、唯一の反応性官能基が分子
の直鎖部分(ポリマー鎖のまっすぐな部分、その高分子から伸び出していない)
内に封鎖されている二重化学結合である、より小さなモノマーサブユニット(例
えば、「イソプレン」または天然ゴム)を用いても同様に作用する。したがって
、単独での、または熱および放射のような外部エネルギー源と合わせた架橋剤の
使用は、極めて多能な架橋メカニズムを提供し、そのメカニズムはポリマー特性
における大きな変化を引き起こすことができる。
【0007】 かかる外因性架橋剤がポリマー内に引き起こすことができる劇的な変化の一例
は、ゴムの「加硫」である。加硫は、外因性架橋剤として元素硫黄を用いて、天
然ゴム(ポリイソプレン)のポリマー鎖を化学的に橋かけするか、または結合す
るプロセスである。熱ならびに過酸化物、金属酸化物、および塩素化キノンのよ
うな化合物はまた、ポリイソプレン鎖および硫黄間の化学反応を触媒するのに用
いられる。加硫がない場合、天然に存在する生ゴムは非常に粘着性のある非晶質
の塊であり、それは形状を保持せず、ガソリン、油およびアセトンのような有機
化合物により容易に可溶化するか、または溶解する。架橋後に、生ゴムは硬化し
、粘着性が少なくなり、冷却誘導硬化または熱誘導軟化に対しより耐性となり、
有機溶媒耐性となる。この架橋ゴムは、熱くて流動性のある間に商品および製品
に成形することができ、冷却すると形成された形状を維持するであろう。架橋が
ない場合、天然ゴムは、タイヤ、靴、絶縁体および防水製品を含む幅広いその産
業用途に要されるこれら有益な特性を有さないであろう。
【0008】 これらの架橋技術は、特定用途のために最適した特性を有するポリマー化合物
を創出するために、天然および合成ポリマー両方で一般に用いられる。しかしな
がら、ポリマーを架橋することは、優れた結果のために正確に制御されなくては
ならない、技術的に困難なプロセスである。架橋剤は、上述の加硫に用いられる
硫黄のような単純な無機化合物であり得るか、または広範囲のよりエキゾティッ
クなプラスチックにおいて用いられるジビニルベンゼンのようなより複雑な有機
化合物であり得る。添加する架橋剤の量、架橋反応が起こり得る速度、およびポ
リマー鎖上に存在する架橋可能な化学官能基の密度はすべて、生じるポリマーの
物理的および化学的特性の一因となる。
【0009】 したがって、ポリマー化学者は、一連の困難かつ相反する選択に直面し、所定
の用途または目的に適した最終化合物を獲得するのに必要な妥協を頻繁に生じる
結果となる。さらに、ポリマー化学者は、架橋化学およびメカニズムを選択し得
る前に、最終ポリマー化合物における所望の的確な物理的および化学的特性を理
解することが必須である。多くの場合、ポリマー硬度のような1つの所望の物理
的特性を引き立たせるプロセスは、表面粘着性または他着性のような別の望まし
い特性に逆効果を与えるであろう。したがって、各架橋の適用は、新規架橋剤お
よびモノマーの組合せを含む、特有のポリマー配合および、それに関連した合成
的製造方法を要する。したがって、特定の役目に関するポリマーの設計および開
発は、完全に新規な化学的かつ技術的アプローチを伴い得る驚異の挑戦であるこ
とは理解できる。
【0010】 おそらく、最近のポリマーに関して最も要求が厳しい用途は、目についての構
造、機能、修復および疾患を取り扱う眼科学のような医療分野においてである。
損傷および疾患(典型的に白内障)により目の天然のヒト水晶体の交換が要され
る場合、生物学的および物理学的特性の特有の組合せを有するポリマーレンズが
必要となる。眼内レンズ(IOL)の交換の他に、損傷した角膜は、角膜移植片
またはオーバーレイを必要とし得る。最近、「有水晶体(phakic)」レンズとして
知られる矯正用医療用移植片が、天然水晶体の光の焦点調節機能を高めるか、ま
たは補正する目的で提案されている。一般に、かかるレンズおよび眼移植片を製
造するのに用いられるポリマーは、光学的に透明であり、ヒトの視覚に適切な範
囲内の屈折率を有し、かつ生体適合性でなくてはならない。さらに、かかる移植
片は、高い強度および安定性と、弾性および柔軟性の対抗する物理特性を調和さ
せなくてはならない。
【0011】 ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のようなポリマーから製造された初期の
IOLは硬質であり、目に挿入するために大規模な切開(6mmより大きい)が
必要であった。このことは、より長くて不快な治癒過程を頻繁に生じる結果とな
り、それのことは、治癒時間および潜在の合併症を低減するために、折りたたん
で相当に小さな開口部(約4.0mm以下で)から挿入され得る軟質IOLの開
発をさらに刺激した。しかしながら、小さな切開移植用のIOLを折りたたむこ
とは、理論的には簡単であるが、かかる医療用移植片を作製するのに使用される
ポリマーに必要とされる激しく相反する物理的要求により、成し遂げるのが困難
であった。とりわけ、上述の特質、光学的透明度、非粘着表面、安定性および生
体適合性のすべてを有するポリマーを要することにより、また移植片が、折りた
たむことにより引き起こされる損傷およびゆがみに耐性であるのに十分安定であ
りながら、折りたたむのに十分な柔軟性を有することを要することにより、移植
用レンズを折りたたむことは、使用されるポリマー化合物に課せられる要求をま
すます増加させた。
【0012】 折りたたみ可能なIOLを用いた使用に適切であり得るポリマー化合物を探索
する最初の試みは、シリコーンモノマーに集中した。シリコーンポリマーIOL
は、優れた光学的透明度、適切な屈折率範囲を有し、概して生体適合性であり、
優れたレジリエンスを有していた。しかしながら、これらのレンズは、比較的堅
く、折りたたむのが困難であり、理想的な切開よりも大きい切開、特殊な移植器
具および技術が必要であり、ほとんど爆発的な勢いで広がり、目の内側の繊細な
構造を傷つける可能性があることが知られている。さらに、シリコーン移植片は
、潜在性の生体適合性問題により好まれていない。結果として、アクリレートお
よびアクリレートエステルから得られる多数の代替的非シリコーン有機ポリマー
が研究および開発されてきた。
【0013】 多くの型のアクリレートポリマーが、折りたたみ可能なIOL製造のために使
用または提案されてきた。これらの提案されるアクリレートポリマーの大部分は
、各モノマー成分が有する特性の所望の組合せを生み出すよう意図される、多数
のモノマーのコポリマー混合物である。しかしながら、このような軟質の折りた
たみ可能な光学ポリマーを製造する際の技術的な難点は非常に多く、当該分野に
おいける進展をかなり遅らせてきた。先述のように、理想的な眼移植片または眼
用レンズは、光学的に透明であり、移植後の持続期間、その状態のままでなくて
はならない。屈折率は、1.50より大きくなくてはならなくて、レンズは、安
定的に弾性であり、破壊前にその伸長前の大きさの150%に伸長する(伸び因
子)ことができなきてはならない。移植片は、挿入前に簡単に折りたたむことが
できるのに十分軟質でなくてはならなくて、挿入したレンズが、さらなるまたは
困難な操作を必要とせずに、予想通りの様式で広がるように、それは非粘着性表
面を有さなくてはならない。
【0014】 これらの多くの場合対抗する要求は、単一の材料にて組合わせることは極めて
困難である。例えば、低粘着性表面を有するポリマーは、たいてい硬すぎて、折
りたたむと割れる。逆に、容易に折りたたまる、より軟質なポリマーは、たいて
い粘着性で、それらの取り扱いを困難なものにし、移植および挿入後の広がりを
複雑にする。さらに、理想的な眼移植片は、折りたたむことにより、損傷を受け
ないか、ゆがまないか、または破壊されないであろう安定な弾性構造を有さなく
てはならず、同時に、成功した移植片、レンズまたは角膜交換品として機能する
のに要される光学的特性の全てを保持しなくてはならない。ポリマー化学および
眼移植片設計におけるほとんど不断の前進にもかかわらず、従来技術のコポリマ
ーからは、これらの特性の理想的な組合せを有するIOLおよび眼移植片は得ら
れていない。
【0015】 IOLおよび眼移植片に用いられる非シリコーンポリマーの大部分は、約20
パーセント〜80パーセントの範囲の濃度で個々のモノマーの組合せを一般に含
有するアクリレートコポリマーであった。これらのコポリマーは、外部エネルギ
ー源、外因性架橋剤、触媒および促進剤を含む当該技術において既知の様々な技
術を用いて重合されてきた。低濃度の低分子量ジアクリレート、多官能性エステ
ル、エポキシドおよびジオールを利用して、架橋が行われると、一般にポリマー
の安定化がなされてきた。
【0016】 これら既知の化学技術および組成物とは対照的に、本発明者らは、驚くべきこ
とに、本発明の教示に従って、それら架橋剤の構造的配置を特注することにより
、目下入手可能なホモポリマーおよびコポリマーではこれまでに得ることができ
ない物理的および化学的特性の著しく優れた組合せを有するホモポリマー材料を
生み出すことを明らかにした。例えば、本発明のホモポリマーから作製されるレ
ンズは、光学的に透明であり、非常に弾性であるが、それらは物理的に安定であ
り、非常に堅いポリマーを用いてのみこれまで入手可能であった非常に薄い断面
構造にキャストすることができる。
【0017】 結果として、強テーパーの末梢縁を有するIOLを含む眼移植片を製造するこ
とができる。本発明が今や鋭い縁部を有する安定的に弾性の眼内レンズを製造す
ることを可能にする際に、このことはIOLには特に重要である。結果的に、I
OLの裏面と目の後嚢との間の細胞移動(多くの場合、後嚢の不透明化(PCO
)を生じて、光が目の網膜に達するのを防ぎ、盲目を引き起こすかもしれない過
程)は、著しく低減されると考えられる。このような薄い形状にキャストする際
の従来型「軟質」ポリマーの不安定性により、かかる鋭い縁部を有するテーパー
の周縁を有して、従来のアクリレートポリマーからキャストされる従来技術の眼
内レンズを製造することはできなかった。したがって、従来のポリマーから作製
されるIOLを用いた患者は、細胞移動およびその結果として生じるPCOをよ
り受けやすい可能性がある。
【0018】 さらに、当該技術において周知のように、後嚢の不透明化をなくす一般的な非
侵襲的な外科的手法は、イットリウムアルミニウムガーネットまたはYAGレー
ザーのようなレーザーを使用して、患者の視覚を回復することである。YAG嚢
切開術として知られるこの手法は、不透明化した後嚢に切開または孔を生じさせ
、次に、網膜を通して光を通過させる。しかしながら、レーザー嚢切開術の珍し
くない合併症は、切開術中にYAGレーザーがうかつにも従来のアクリレートポ
リマーIOLに当たる場合に起こり得るレンズの損傷である。このことは、レン
ズのピッチングからレンズの完全なフラクチャリングに及ぶ損傷を引き起こし、
その外科的除去および交換を余儀なくされ得る。
【0019】 対照的に、本発明のホモポリマーから作製されるIOLは、PCOの影響を受
けにくいことに加え、さらにレーザー損傷の影響も受けにくい。本発明のレンズ
に関連してはPCOが発生しないという珍しい出来事においては、本発明のホモ
ポリマーの「ゴム状」稠度が、それらから作製されるIOLをYAGレーザーの
損傷の影響を著しく受けにくいものにさせるであろうと考えられる。したがって
、誤った方向に向けられたレーザーからのピッチングおよびクラッキングを著し
く低減するであろう。したがって、本発明の新規ホモポリマーから製造される安
定的に軟質の弾性IOLは、PCOの発生を著しく低減し、ならびに後で要する
場合、レーザー嚢切開術によるレンズ損傷の発生を低減するであろう。その結果
、このことは、患者の不快感および合併症を低減させ、医療費も著しく低減させ
る結果となるであろう。
【0020】 本発明の安定弾性ホモポリマーのさらなる利点は、それらの非常に高い屈折率
である。結果として、これらのホモポリマーから得られるIOLは、それらの光
学的分解能を犠牲にすることのない、これまでも入手可能であった場合よりもい
っそう薄い断面形状にキャストすることができる。したがって、本発明の教示に
従って製造されるレンズは、非常に小さく折りたたまれた形状に折りたたむこと
ができ、その結果、既知の折りたたみ可能なポリマーから作製されるIOLより
も小さな切開(約3.2〜4.0mmで)により目に挿入され得るIOLを生じ
る。したがって、従来技術の折りたたみ可能なシリコーンおよびアクリレートポ
リマーが、それらに先行する硬質の柔軟性のないIOLにおいて著しい改良をま
さに示したように、本発明のホモポリマーから作製されるIOLは、さらなる別
の前進した技術的前進を提供することが、当業者によって理解されるはずであろ
う。
【0021】 したがって、本明細書で詳述するように、本発明の目的は、剛直な構造増強架
橋剤で架橋した、安定的に弾性の光学的に透明なホモポリマーを提供することで
ある。 本発明の別の目的は、軟質の光学的に透明な折りたたみ可能な高屈折率の、低
粘着性表面を有するIOLを提供することである。 本発明のさらに別の目的は、引裂または破壊に耐性である、鋭い縁部にテーパ
ーした末梢縁を有する安定的に弾性のIOLを提供することである。 本発明の別の目的は、YAGレーザー損傷に耐性である、「ゴム状」ホモポリ
マーから作製されるIOLを提供することである。 本発明のさらなる目的は、IOLを、実に小さな切開により目に挿入すること
が可能な大きさにすることができるような、安定弾性の折りたたみ可能な、十分
高い屈折率を有するIOLを提供することである。
【0022】 (発明の概要) これらおよび他の目的は、少なくとも2つの重合可能なエチレン不飽和な化学
基間に配置される剛直な化学基を含有する安定弾性誘導架橋剤を利用して、光学
的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマーを製造する本発明の方法、組成物およ
び物品により達成される。本発明の教示に従って製造すると、これらのホモポリ
マーは、約15℃以下のガラス転移温度、1.50より大きい屈折率、および少
なくとも150%の破断点伸びを含む物理的および化学的特性の特有の組合せを
有する。本発明のこれらの安定的に弾性の光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモ
ポリマーは、眼内レンズ(IOL)、角膜移植片またはオーバーレイ、および有
水晶体レンズを含む眼移植片のような医療用素子における使用に特によく適して
いる。
【0023】 従来技術とは対照的に、本発明の光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマ
ーから作製されるIOLは、安定的に弾性であり、レンズの形状もしくは結果と
して生じる機能の破壊、ゆがみまたは損傷なく、巻くあるいは折りたたむことが
できる。本発明の教示に従って作製されるIOLは、医療的に望ましい鋭い縁部
を有する安定的に弾性のIOLを提供するテーパー末梢縁を有する形状にキャス
トされ得る。さらに、本発明の教示に従って作製されるIOLは、既知の折りた
たみ可能なレンズよりも薄く、約3mmまたはそれ以下さえの目における小さな
切開による挿入のために、巻くまたは折りたたむことができる。いったん目に挿
入されると、本発明のホモポリマーによって提供されるIOLの低粘着性表面に
より、これらのIOLは予想通りの様式で自然に広がることができ、それにより
目の内部構造への損傷の可能性または移植外科医による挿入後のレンズのさらな
る操作の必要性を低減する。
【0024】 概して言うと、本発明のホモポリマーのモノマー成分としては、フェノキシエ
チルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエチルアクリレート、
2−フェニルエチルアクリレート、3−フェニルエチルアクリレート、4−フェ
ニルエチルアクリレートおよびアルキルアクリレート誘導体が挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0025】 本発明の安定な弾性を誘導する剛直な架橋剤としては、ビスフェノールAエト
キシレート(1EO/フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2EO
/フェノール)、ビスフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)、
ビスフェノールA、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−ア
クリロイルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエト
キシ)フェニル)メタン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナフ
トール)、ビス(2−アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−メ
タクリロイルアルキルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジ
フェニルAエトキシレート(XEO/フェノール)、およびナフタジオールAエ
トキシレート(2XEO/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)のジアクリレー
トならびにジメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】 本発明の一典型的実施形態では、新規ホモポリマーは、約0.5〜5.0%濃
度の安定弾性誘導架橋剤と合わせて、約95〜99.5%のモノマーを含有する
すように配合される。
【0027】 本発明の別の典型的実施形態では、本発明のホモポリマーは、約97.1〜9
9.5%のモノマーを含有するように配合され、安定弾性誘導架橋剤は、約0.
5〜2.9%の濃度で存在する。
【0028】 本発明の別の代替的典型的実施形態では、比類なく安定弾性なホモポリマーを
利用して、約15℃以下のガラス転移温度、約1.50以上の屈折率、少なくと
も約150%の破壊点伸びを有するIOLを製造する。結果として、これらのレ
ンズは、実に小さな切開移植技法に特によく適合し、約3.0〜3.4mmまた
はそれ未満の切開により挿入することができる。
【0029】 剛直な化学基を含有する安定弾性誘導架橋剤を提供して、医療用素子における
使用ならびにそのよりよい理解に適切な光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポ
リマーを製造する本発明の方法、組成物および物品のさらなる目的および利点は
、関連する描写とともに、その典型的な実施形態の以下の詳細な説明の考察から
、当業者にもたらされるであろう。
【0030】 (実施形態の詳細な説明) 本発明は、安定な弾性を誘導する剛直な(rigid)架橋剤、それらから作製され
るホモポリマー、眼内レンズを含む物品および医療用素子、および関連方法を提
供する。本発明のホモポリマーは、約1.50以上の屈折率、15℃以下のガラ
ス転移温度(Tg)、少なくとも約150%の破断点伸び、250psiより大
きい引張強さおよび約25〜45のショア硬度を有する。さらに、それらは安定
的に弾性で、折りたたみ可能であり、また光学的に透明で、低粘着性表面を有す
る。本発明の安定弾性誘導架橋剤は、不飽和基間に配置される剛直な化学基を含
有するジエチレン不飽和化合物のような多官能性分子であるが、それに限定され
ない。
【0031】 本発明の架橋剤は、本発明の教示に従って製造されるホモポリマーにおいて得
られる有益な化学的および物理的特性の特有の組合せを提供するのに貢献する。
これらの本発明のホモポリマーは、医療用素子、具体的には眼植片(ocular impl
ant)、より具体的には、眼内レンズ(IOL)、角膜移植片(corneal implants)
またはオーバーレイ(overlays)および有水晶体レンズに申し分なく適合する。本
発明の教示に従って作製される移植片は、それらが望ましい鋭い縁部になってい
るテーパー周縁(tapering circumference)または末梢縁(peripheral boarder)を
有するように製造され得る。さらに、本発明のホモポリマーの高屈折率は、他の
有益な物理的および化学的特性のこれまでに得られなかった組合せと合わせて、
水晶体超音波吸引術のような従来の外科技術を利用して、天然のヒト水晶体を除
去するのに必要であるのと同じ切開サイズである、実に約3mm以下での切開に
より挿入されるのに十分薄いIOLの製造を可能にする。
【0032】 本発明の安定な弾性の架橋ホモポリマーは、モノマーを重合した後に、生じた
ポリマー鎖を少なくとも1つの剛直な化学基を有する架橋剤を用いて架橋するこ
とにより合成することができる。適切な剛直な化学基の例として、アルカリール
、ビフェニルおよびナフタレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】 本発明の架橋剤は、約300ダルトン〜約650ダルトンの範囲の比較的高分
子量を有する。これらの剛直な構造基を有する新規架橋剤の非限定的な例として
は、ビスフェノールAエトキシレート(1EO/フェノール)、ビスフェノール
Aエトキシレート(2EO/フェノール)、ビスフェノールAプロポキシレート
(2PO/フェノール)、ビスフェノールA、2,2’−ジアリルビスフェノー
ルA、ビス(4−(2−アクリロイルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−
(2−メタクリロイルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(ナフトール)Aエト
キシレート(XEO/ナフトール)、ビス(2−アクリロイルアルキルフェニル
)プロパン、ビス(2−メタクリロイルアルキルフェニル)プロパン、3,3’
−(エチレンジオキシ)ジフェニルAエトキシレート(XEO/フェノール)、
およびナフタジオールAエトキシレート(2XEO/ナフタレン)(ここで、X
=1〜5)のジアクリレートならびにジメタクリレートが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0034】 本発明の比較的高分子量の安定な弾性を誘導する剛直な架橋剤は、比較的高い
重量パーセントの架橋剤を有し、一方で低架橋密度を保持するホモポリマーを生
じる結果となる。これにより、本発明の教示に従って作製される生じたホモポリ
マーは、ポリマーを柔軟性のない脆性にするのに十分高い架橋密度を導入する必
要なく架橋剤が本発明のホモポリマーに与える有益性を生じさせることが可能に
なる。本発明の安定な弾性を誘導する剛直な架橋剤の有益性の1つは、疎水性ま
たは撥水性を高めることである。このことは、眼移植片の製造および続く操作な
らびにそれらの移植後の形状回復を難しくすることにより、従来の「軟質」アク
リルポリマーの眼移植片としての実用性を著しく制限する、その従来の「軟質」
アクリルポリマーに一般に関連する問題である、ホモポリマーの表面粘着性を低
減させる。
【0035】 本発明の光学的に透明な高屈折率低粘着性の安定な弾性のホモポリマーは、そ
の教示に従って、約0.5%〜5.0%の比較的低濃度で、本明細書に開示する
安定弾性誘導架橋剤を用いて調製され、ホモポリマーの化学的および物理的特性
を制御可能に修飾する。例えば、一般的に標準または従来の架橋剤の予想される
濃度内にあるこれらの架橋剤濃度は、150%以上の破壊点伸びを有する安定的
に弾性のホモポリマーを生じる結果となる。対照的に、架橋剤の濃度が5%を超
えるように増加されるか、またはより低分子量の架橋剤を用いて、それにより架
橋密度が増加すると、生じるホモポリマーは、堅くて折りたたみ不可能になる。
【0036】 本発明以前に、軟質の折りたたみ可能なポリマーを効果的に製造する既知の唯
一の利用可能な技術は、各々ホモポリマーとしてそれ自身有益な特性を有すると
知られている、かなりの濃度の多数のモノマーを組み合わせて、できることなら
これらの複数の個々の特性の所望の組合せが現れるであろう単一コポリマーにす
ることであったことは、当業者には当然明らかである。不運なことに、これらの
技法が所望の結果を生み出すのはまれであった。例えば、一般的に、用いられる
架橋剤の量を減少させることによりコポリマーの軟質性または弾性を増加させる
と、その表面粘着性の増加を生じる。架橋剤濃度の増加により表面粘着性を減少
させると、一般に、コポリマーの硬度を増加させてそれを堅くする。さらに、ポ
リマーの軟質性および弾性を増加させると、一般に、100%を超えるであろう
極度の伸びにより、実際に引き裂かれ、ポリマー内に永久的なゆがみを生じるよ
うに、コポリマーの物理的安定性を低減させた。一方で、光学的透明度は、これ
らの特性のいずれにおける変化により影響を受け得る。当該技術における幾つか
は、コポリマー混合物において1つまたはそれ以上のモノマーとして使用するた
めの架橋化合物になると一般に考えられる比較的大きい濃度のものに取って変え
ようと試みたが、これらの努力も、同様に成功しなかった。結果的に、かかる所
望の特性の組合せを示し、よって眼移植片(ocular implant)およびレンズの適切
な材料として機能するであろう、当該技術において既知の高分子化合物は数少な
い。
【0037】 したがって、多数の異なるモノマーから形成される従来技術のコポリマーと異
なり、本発明の新規ホモポリマー(それらのホモポリマーは、本発明の教示に従
って作製される)を製造するのに利用される個々のモノマーは、約−40℃〜+
15℃のガラス転移温度(Tg)を有する。本発明を実施するのに適切な典型的
なホモポリマーは、フェノキシエチルアクリレート、ポリ(エチレングリコール
)フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、3−フェニ
ルエチルアクリレート、4−フェニルエチルアクリレートおよびアルキルアクリ
レート誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。当業者は他の適切なモノ
マーを同定して、ルーチンな実験により本発明の教示を利用することができる。
【0038】 本発明の安定弾性誘導架橋剤に加えて、本発明の特許請求の範囲および教示内
で、他の成分をホモポリマーに添加することができる。これらとしては、UV吸
収化合物および重合開始剤を挙げることができるが、これらに限定されない。か
かる追加の成分の非限定的な例として、アクリレート官能基化、メタクリレート
官能基化およびビニル官能基化ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノールのよ
うな既知のUV吸収体が挙げられる。同様に、望ましい場合、ホモポリマーに添
加され得る重合開始剤化合物としては、過酸化物、ペルオキシジカーボネート、
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ遊離ラジカル開始剤、お
よびIrgacure(登録商標)1850,Irgacure(登録商標)3
69およびDarocur(登録商標)1700のようなUV開始剤(これらの
UV開始剤は、Ciba Specialty Chemicals, Basel Switzerlandの製品である)
が挙げられるが、限定されない。
【0039】 本発明の安定弾性誘導架橋剤、それらから製造される修飾ホモポリマー、その
修飾ホモポリマーから製造される物品、およびその関連方法のさらなる理解は、
以下の非限定的な実施例から、当業者にもたらされるであろう。実施例1〜8は
、本発明の教示に従って製造される、安定的に弾性の光学的に透明な高屈折率低
粘着性ホモポリマーの製造のための代表的な物質および関連方法を実証する。実
施例9は、本発明の教示に従って、安定弾性の小さな切開のIOLを形成するた
めの典型的な新規ホモポリマー材料の使用および関連方法を説明する。
【0040】 (実施例1) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)46.5g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)3.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオロシリコ
ーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成されていた
。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填した。カ
ニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入され、他
端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉にて75℃
で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プロセスが
完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。型を開い
て、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化したアクリル
シート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリルシート
を48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プロセス後
、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバーをして、
強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥したアクリ
ルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し、次に、
75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られたアクリ
ルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度とともに、1.559
と同程度の高い屈折率を有していた。
【0041】 (実施例2) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)47.5g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)2.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。実施例1のように、型は、4つのクランプで固定した2.5
mmフルオロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板
から構成されていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混
合物で充填した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを
介して挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置された。充填
した型を炉にて75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱
した。重合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分
間保持した。型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完
全に硬化したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去
した。アクリルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出
した。抽出プロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り
出し、カバーをして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不
完全に乾燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で2
4時間加熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了さ
せた。得られたアクリルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度
とともに、1.558と同程度の高い屈折率を有していた。
【0042】 (実施例3) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)48.0g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)2.0g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。前と同じように、型は、4つのクランプで固定した2.5m
mフルオロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板か
ら構成されていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合
物で充填した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介
して挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した
型を炉にて75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した
。重合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保
持した。型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に
硬化したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した
。アクリルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した
。抽出プロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し
、カバーをして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全
に乾燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時
間加熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた
。得られたアクリルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度とと
もに、1.556と同程度の高い屈折率を有していた。
【0043】 (実施例4) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)48.5g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)1.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオロシリコ
ーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成されていた
。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填した。カ
ニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入され、他
端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉にて75℃
で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プロセスが
完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。型を開い
て、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化したアクリル
シート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリルシート
を48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プロセス後
、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバーをして、
強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥したアクリ
ルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し、次に、
75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られたアクリ
ルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度とともに、1.557
と同程度の高い屈折率を有していた。
【0044】 (実施例5) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)49.0g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)1.0g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。前と同様に、型は、4つのクランプで固定した2.5mmフ
ルオロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構
成されていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で
充填した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して
挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を
炉にて75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重
合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持し
た。型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化
したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。ア
クリルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽
出プロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カ
バーをして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾
燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加
熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得
られたアクリルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度とともに
、1.558と同程度の高い屈折率を有していた。
【0045】 (実施例6) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)47.5g、ビ
スフェノールAプロポキシレート(2EO/フェノール)ジアクリレート(BP
PDA)2.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。同様に、型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオ
ロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成さ
れていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填
した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入
され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉に
て75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プ
ロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。
型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化した
アクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリ
ルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プ
ロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバー
をして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥し
たアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し
、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られ
たアクリルホモポリマーは軟質で、約5〜10℃のガラス転移温度とともに、1
.558と同程度の高い屈折率を有していた。
【0046】 (実施例7) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)47.5g、ビ
スフェノールAジメタクリレート(BPMA)2.5g、2−(4−ベンゾイル
−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート(BHPEA)0.65gお
よびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)50mgを含有する混合物を15
〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で
、カニューレを用いてシート状流し込型(型)に移した。同様に、型は、4つの
クランプで固定した2.5mmフルオロシリコーンのOリングガスケットにより
隔てられた2つのガラス板から構成されていた。二重の末口を有するカニューレ
を用いて、型をモノマー混合物で充填した。カニューレの一端は、型のフルオロ
シリコーンのガスケットを介して挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフ
ラスコに配置した。充填した型を炉にて75℃で最低16時間加熱した後、12
0℃でさらに8時間加熱した。重合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し
、この温度で最低20分間保持した。型を開いて、アクリルシートを120℃で
16時間硬化させた。完全に硬化したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒
な残留物を乾燥前に除去した。アクリルシートを48時間、イソプロピルアルコ
ールでソックスレー抽出した。抽出プロセス後、アクリルシートをソックスレー
抽出用チャンバから取り出し、カバーをして、強制空気炉に移し、室温で48時
間乾燥させた。次に、不完全に乾燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45
℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して
、乾燥プロセスを完了させた。得られたアクリルホモポリマーは軟質で、約5〜
10℃のガラス転移温度とともに、1.556と同程度の高い屈折率を有してい
た。
【0047】 (実施例8) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)47.5g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジアクリレート(BPE
A)2.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアク
リレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリング
し、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込型(
型)に移した。同様に、型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオロシ
リコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成されて
いた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填した
。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入され
、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉にて7
5℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プロセ
スが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。型を
開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化したアク
リルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリルシ
ートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プロセ
ス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバーをし
て、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥したア
クリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し、次
に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られたア
クリルホモポリマーは軟質で、1.557と同程度の高い屈折率および約5〜1
0℃のガラス転移温度を有していた。
【0048】 (実施例9) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)45.0g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)5.0g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。同様に、型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオ
ロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成さ
れていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填
した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入
され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉に
て75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プ
ロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。
型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化した
アクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリ
ルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プ
ロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバー
をして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥し
たアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し
、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られ
たアクリルホモポリマーは軟質で、1.559と同程度の高い屈折率および約5
〜10℃のガラス転移温度を有していた。
【0049】 (実施例10) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)40.0g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)10.0g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチ
ルアクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(
AIBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブ
リングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し
込型(型)に移した。実施例1と同様に、型は、4つのクランプで固定した2.
5mmフルオロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス
板から構成されていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー
混合物で充填した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケット
を介して挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填
した型を炉にて75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱
した。重合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分
間保持した。型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完
全に硬化したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去
した。アクリルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出
した。抽出プロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り
出し、カバーをして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不
完全に乾燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で2
4時間加熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了さ
せた。得られたアクリルホモポリマーは軟質で、1.558と同程度の高い屈折
率および約5〜10℃のガラス転移温度を有していた。
【0050】 (実施例11) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)49.5g、ビ
スフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメタクリレート(BP
DMA)0.5g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル
アクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブリ
ングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し込
型(型)に移した。前と同様に、型は、4つのクランプで固定した2.5mmフ
ルオロシリコーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構
成されていた。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で
充填した。カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して
挿入され、他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を
炉にて75℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重
合プロセスが完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持し
た。型を開いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化
したアクリルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。ア
クリルシートを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽
出プロセス後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カ
バーをして、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾
燥したアクリルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加
熱し、次に、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得
られたアクリルホモポリマーは軟質で、1.556と同程度の高い屈折率および
約5〜10℃のガラス転移温度を有していた。
【0051】 (実施例12) エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート(PEA)49.75g、
ビスフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジアクリレート(BP
DMA)0.25g、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチ
ルアクリレート(BHPEA)0.65gおよびアゾビスイソブチロニトリル(
AIBN)50mgを含有する混合物を15〜20分間、超純粋窒素ガスでバブ
リングし、次に、超純粋窒素ガスの圧力下で、カニューレを用いてシート状流し
込型(型)に移した。型は、4つのクランプで固定した2.5mmフルオロシリ
コーンのOリングガスケットにより隔てられた2つのガラス板から構成されてい
た。二重の末口を有するカニューレを用いて、型をモノマー混合物で充填した。
カニューレの一端は、型のフルオロシリコーンのガスケットを介して挿入され、
他端はモノマー混合物を含有するフラスコに配置した。充填した型を炉にて75
℃で最低16時間加熱した後、120℃でさらに8時間加熱した。重合プロセス
が完了した後、型を55℃に冷却し、この温度で最低20分間保持した。型を開
いて、アクリルシートを120℃で16時間硬化させた。完全に硬化したアクリ
ルシート中に残存する潜在的に有毒な残留物を乾燥前に除去した。アクリルシー
トを48時間、イソプロピルアルコールでソックスレー抽出した。抽出プロセス
後、アクリルシートをソックスレー抽出用チャンバから取り出し、カバーをして
、強制空気炉に移し、室温で48時間乾燥させた。次に、不完全に乾燥したアク
リルシートを真空炉に入れて、45℃にて減圧雰囲気下で24時間加熱し、次に
、75℃でさらに48時間加熱して、乾燥プロセスを完了させた。得られたアク
リルホモポリマーは軟質で、1.557と同程度の高い屈折率および約5〜10
℃のガラス転移温度を有していた。
【0052】
【表1】
【0053】 *PEA−エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート *BPDMA−ビスフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)ジメ
タクリレート *AIBN−アゾビスイソブチロニトリル *BPMA−ビスフェノールAジメタクリレート *BPPDA−ビスフェノールAプロポキシレート(2EO/フェノール)ジ
アクリレート *エチレングリコールフェニルエーテルアクリレートのホモポリマーのガラス
転移温度は、−22℃である。
【0054】 (実施例13) 種々の屈折力を有する様々なアクリルIOLを、実施例1〜12に詳述した本
発明の典型的な安定的に弾性の高屈折率低粘着性の光学的に透明なホモポリマー
から作製した。本発明の典型的なモノマー、架橋剤および任意の添加物の混合物
またはプレゲルを、約65℃の温度で約16時間射出成形または圧縮成形した後
に、さらに8時間、約120℃に加熱することにより、各レンズを形成した。次
に、型を約55℃で少なくとも10分間、ホットプレート上に載せた。潜在的に
有毒な残留物を、5時間、ソックスレー抽出条件下でイソプロピルアルコールを
用いて完成レンズから抽出した。次に、レンズを冷却して、強制空気炉にて室温
で24時間、風乾させた。真空炉中で、減圧雰囲気下にて45℃でさらに4時間
行った後に、75℃で24時間レンズを加熱して、最終乾燥を行った。得られた
安定的に弾性のホモポリマーアクリルIOLは、軟質で、非粘着性表面を有し、
容易に折りたたまれるか巻かれ、約1.556〜1.559の範囲の屈折率を有
していた。これらの各IOLは、縁厚さ0.5mm、中心厚さ0.6〜1.2m
mおよび直径6.0mmを有する両凸光学レンズの形状であった。それぞれの中
心厚さに依存して、各レンズは、6〜30ジオプトリーの範囲の視覚矯正を提供
した。
【0055】 要するに、本発明は、IOL、角膜移植片および角膜オーバーレイ、緑内障シ
ャント、コンタクトレンズ、および有水晶体レンズのような眼移植片およびオー
バーレイを含む医療用素子の生産に十分適合する、軟質の安定な弾性の生体適合
性の低粘着性高屈折率で、光学的に透明な材料を提供する、長い間求められてき
た必要性について述べていることは、当業者に理解されるであろう。伝統的な架
橋物質を利用して、物理的特性の限られた組合せを有する軟質コポリマーを製造
する従来技術のコポリマー化合物とは異なり、単一組成物中に存在する所望の物
理的および化学的特性のこれまでに得られなかったこれらの組合せは、本発明の
教示に従って、比類のない安定弾性誘導架橋剤化合物を利用して、アクリルホモ
ポリマーを修飾することにより創り出され、その結果、生じる修飾ホモポリマー
は、これらの多くの場合、相反する特性の組合せを有して示す。本発明は、これ
らの新規化合物をはじめて製造するだけでなく、所望の物理学的および化学的特
性の特定の組合せを有する広範囲のいかなる化合物を製造するのにも容易に適合
し、調節できる非常に簡単なやり方でそれを行う。これらの化合物は、比較的安
価であり、また製造、ならびに加工中および続く外科移植処置中の操作が簡単な
改良型医療用素子および移植片の製造を容易にする。さらに、それらは実に小さ
な切開レンズである改良型眼内レンズの製造に特によく適合する。
【0056】 本発明について、様々な具体例および実施形態に関して記載してきたが、本発
明は、これらの具体的な典型的な実施形態に限定されないと理解されるべきであ
る。より適切に言えば、本発明は、その特許請求の範囲内および教示内で、さら
なる異なるモノマーおよび架橋剤を置換することにより修飾して、さらなる修飾
ホモポリマーを製造することができる。さらに、異なる方法を使用して、本発明
のホモポリマーを製造することができ、得られたホモポリマーを種々の物品およ
び素子に改造することができる。したがって、本発明は、先述の特許請求の範囲
によってのみ限定され、これらの特許請求の範囲内で多方面にわたって実施する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2H006 BB06 4C081 AB21 AB22 BB03 BB08 BC01 CA02 CA08 CC05 DA01 4J100 AL08P AL59Q AL60Q AL62Q AL65Q BA08P BC43P BC44Q BC45Q BC49Q DA62 DA63 JA34 JA50 JA51

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 約15℃未満のガラス転移温度および少なくとも150%の
    破断点伸びを有する、光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマーからなる眼
    移植片。
  2. 【請求項2】 前記ホモポリマーは、約95〜99.5重量%のモノマーお
    よび複数の重合可能なエチレン性不飽和化学基間に配置される剛直な化学基を有
    する約0.5〜5.0重量%の安定弾性誘導架橋剤からなる請求項1に記載の眼
    移植片。
  3. 【請求項3】 前記眼移植片は、眼内レンズである請求項1に記載の眼移植
    片。
  4. 【請求項4】 前記眼内レンズは、約1.50を超える屈折率、約25〜4
    2のショア硬度、約15℃以下のガラス転移温度、約150%より大きい破断点
    伸び、および1インチ平方につき少なくとも約250ポンドの引張強さを有する
    請求項1に記載の眼移植片。
  5. 【請求項5】 前記眼内レンズは、約0.5mm以下の厚さを有する縁部を
    形成するテーパー末梢縁を有する請求項1に記載の眼移植片。
  6. 【請求項6】 前記眼移植片は、角膜移植片である請求項1に記載の眼移植
    片。
  7. 【請求項7】 前記眼移植片は、角膜オーバーレイである請求項1に記載の
    眼移植片。
  8. 【請求項8】 前記眼移植片は、有水晶体レンズである請求項1に記載の眼
    移植片。
  9. 【請求項9】 約95〜99.5重量%のモノマーおよび複数の重合可能な
    エチレン不飽和な化学基間に配置される剛直な化学基を有する約0.5〜5.0
    重量%の安定弾性誘導架橋剤からなる光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリ
    マー。
  10. 【請求項10】 前記安定弾性誘導架橋剤は、ビスフェノールAエトキシレ
    ート(1EO/フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2EO/フェ
    ノール)、ビスフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)、ビスフ
    ェノールA、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−アクリロ
    イルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエトキシ)
    フェニル)メタン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナフトール
    )、ビス(2−アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−メタクリ
    ロイルアルキルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェニ
    ルAエトキシレート(XEO/フェノール)およびナフタジオールAエトキシレ
    ート(2XEO/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)のジアクリレートならび
    にジメタクリレートからなる群から選択される請求項9に記載の光学的に透明な
    高屈折率低粘着性ホモポリマー。
  11. 【請求項11】 前記モノマーは、フェノキシエチルアクリレート、ポリ(
    エチレングリコール)フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリ
    レート、3−フェニルエチルアクリレート、4−フェニルエチルアクリレートお
    よびアルキルアクリレート誘導体からなる群から選択される請求項9に記載の光
    学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマー。
  12. 【請求項12】 複数の重合可能なエチレン性不飽和性化学基間に配置され
    る剛直な化学基を有する安定弾性誘導架橋剤。
  13. 【請求項13】 前記剛直な化学基は、アルカリール、ビフェニルおよびナ
    フタレン基からなる群から選択される請求項12に記載の安定弾性誘導架橋剤。
  14. 【請求項14】 前記剛直な化学基は、ビスフェノールAエトキシレート(
    1EO/フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール
    )、ビスフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)、ビスフェノー
    ルA、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−アクリロイルエ
    トキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエトキシ)フェニ
    ル)メタン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナフトール)、ビ
    ス(2−アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−メタクリロイル
    アルキルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェニルAエ
    トキシレート(XEO/フェノール)およびナフタジオールAエトキシレート(
    2XEO/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)からなる群から選択される請求
    項12に記載の安定弾性誘導架橋剤。
  15. 【請求項15】 UV吸収体をさらに含む請求項9に記載の光学的に透明な
    高屈折率低粘着性ホモポリマー。
  16. 【請求項16】 前記UV吸収体は、アクリレート官能基化、メタクリレー
    ト官能基化およびビニル官能基化ベンゾトリアゾールならびにベンゾフェノール
    からなる群から選択される請求項15に記載の光学的に透明な高屈折率低粘着性
    ホモポリマー。
  17. 【請求項17】 約15℃未満のガラス転移温度および少なくとも約150
    %の破断点伸びを有する光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマーであって
    、該ホモポリマーは、約95〜99.5重量%のモノマーおよび約0.5〜5.
    0重量%の安定弾性誘導架橋剤からなり、該架橋剤は、ビスフェノールAエトキ
    シレート(1EO/フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2EO/
    フェノール)、ビスフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)、ビ
    スフェノールA、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−アク
    リロイルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエトキ
    シ)フェニル)メタン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナフト
    ール)、ビス(2−アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−メタ
    クリロイルアルキルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフ
    ェニルAエトキシレート(XEO/フェノール)およびナフタジオールAエトキ
    シレート(2XEO/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)のジアクリレートな
    らびにジメタクリレートからなる群から選択される光学的に透明な高屈折率低粘
    着性ホモポリマー。
  18. 【請求項18】 約15℃未満のガラス転移温度および少なくとも約150
    %の破断点伸びを有する光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポリマーであって
    、該ホモポリマーは、約97.1〜99.5重量%のモノマーおよび約0.5〜
    2.9重量%の安定弾性誘導架橋剤からなり、該架橋剤は、ビスフェノールAエ
    トキシレート(1EO/フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2E
    O/フェノール)、ビスフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)
    、ビスフェノールA、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−
    アクリロイルエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエ
    トキシ)フェニル)メタン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナ
    フトール)、ビス(2−アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−
    メタクリロイルアルキルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)
    ジフェニルAエトキシレート(XEO/フェノール)およびナフタジオールAエ
    トキシレート(2XEO/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)のジアクリレー
    トならびにジメタクリレートからなる群から選択される光学的に透明な高屈折率
    低粘着性ホモポリマー。
  19. 【請求項19】 約95〜99.5重量%のモノマーおよび複数の重合可能
    なエチレン不飽和性化学基間に配置される剛直な化学基を有する約0.5〜5.
    0重量%の安定弾性誘導架橋剤からなる光学的に透明な高屈折率低粘着性ホモポ
    リマーから形成される眼内レンズ。
  20. 【請求項20】 前記架橋剤は、ビスフェノールAエトキシレート(1EO
    /フェノール)、ビスフェノールAエトキシレート(2EO/フェノール)、ビ
    スフェノールAプロポキシレート(2PO/フェノール)、ビスフェノールA、
    2,2’−ジアリルビスフェノールA、ビス(4−(2−アクリロイルエトキシ
    )フェニル)メタン、ビス(4−(2−メタクリロイルエトキシ)フェニル)メ
    タン、ビス(ナフトール)Aエトキシレート(XEO/ナフトール)、ビス(2
    −アクリロイルアルキルフェニル)プロパン、ビス(2−メタクリロイルアルキ
    ルフェニル)プロパン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェニルAエトキシ
    レート(XEO/フェノール)およびナフタジオールAエトキシレート(2XE
    O/ナフタレン)(ここで、X=1〜5)のジアクリレートならびにジメタクリ
    レートからなる群から選択される請求項19に記載の眼内レンズ。
  21. 【請求項21】 前記モノマーは、フェノキシエチルアクリレート、ポリ(
    エチレングリコール)フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリ
    レート、3−フェニルエチルアクリレート、4−フェニルエチルアクリレートお
    よびアルキルアクリレート誘導体からなる群から選択される請求項19に記載の
    眼内レンズ。
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