JP2003502163A - 深穴ドリル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は深穴ドリルに関し、この深穴ドリルはカッターヘッド（１）、ならびにカッターヘッド（１）に合体され且つねじ山（５）を有する結合部（３）を含み、前記カッターヘッド（１）は切屑を除去する切削インサート（７）と、少なくとも一つの支持パッド（９）と、ならびに少なくとも一つの案内バー（１０）を備え、前記カッターヘッド（１）は切屑を排出するための少なくとも一つの開口（１５，１６）を有し、前記開口（１５，１６）は前記深穴ドリルの内側チャンネルに移っていく。本発明による深穴ドリルの特徴は、少なくとも一つの冷却ダクト（１３）が前記カッターヘッド（１）の周上に配置されており、この冷却ダクトが深穴ドリルの軸線方向に延在していることである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】発明の属する技術分野 本発明は、深穴ドリルに関し、詳しくは、カッターヘッドと、前記カッターヘ
ッドに統合されているねじ山を有する結合部とを含む深穴ドリルであって、前記
カッターヘッドが切屑を除去する切削インサートと、少なくとも一つの支持パッ
ド、ならびに少なくとも一つの案内バーを備え、前記カッターヘッドが切屑を排
出するための少なくとも一つの開口を有し、前記開口がカッターヘッドの内側チ
ャンネルに変化する深穴ドリルに関する。深穴穿孔加工の二つの最も普通の方法
は、現在、ＳＴＳ方法（単一チューブ方法）と排出機（Ejector）方法であり、
本発明はその両方の方法に関する。従来の技術 深穴穿孔加工において、よく起こる問題は、深穴穿孔加工のさい、カッターヘ
ッドに配置された支持パッドと案内バーに割れが発生するということである。そ
の理由は、支持パッド／案内バーが通常、中実超硬合金から作られ、前記支持パ
ッド／案内バーはカッターヘッドに交換可能に固定されるか、又はカッターヘッ
ドにろう付けすることによっていろいろな仕方で結合されることにある。穿孔加
工の過程で、支持パッド／案内バーは、穴の壁に対する摩擦が高くなるために高
温にさらされる。しかし、非常に多くの場合に、支持パッド／案内バー全体が穴
の壁に当接することはなく、前記支持パッド／案内バーのほんの一部だけが上記
の摩擦にさらされる。カッターヘッドと穴の間を流れる冷却液は、支持パッド／
案内バーと穴の壁との間で十分な当接が起こっている部分では支持パッド／案内
バーと接触するにいたらない。このような相互作用の状況、すなわち、高い摩擦
と不十分な冷却という状況の結果として、支持パッド／案内バーに割れが発生し
、前記支持パッド／案内バーの使用寿命が短縮される。発明の目的及び特徴 本発明の目的は、序論で言及した様な種類の深穴ドリルであって、穿孔加工の
さいに冷却液が支持パッド／案内バーを効率的な仕方で冷却する可能性が大きい
深穴ドリルを規定することである。

【０００２】 本発明のさらに別の目的は、切屑の除去を改良して、切屑が支持パッド／案内
バーと穴の壁の間に付着して前記支持パッド／案内バーの使用寿命をさらに短縮
する危険を減らすことである。

【０００３】 本発明のこれらの目的は、特許請求の範囲に述べられる特徴を有する深穴ドリ
ルによって実現される。本発明の好ましい実施態様は従属請求項で明確に示され
る。

【０００４】 以下では本発明の実施態様が添付の図面を参照して記述される。従来技術の説明及び本発明の第一の実施態様に係わる深穴ドリルの説明 図１に示されている従来の深穴ドリルＡは、支持パッドＢと案内バーＣを備え
ている。これに関しては、上で従来の技術という見出しの下で述べた問題、すな
わち、支持パッドＢと案内バーＣに割れが発生するという問題、を克服するため
の特別な手段は何も講じられていない。

【０００５】 図２〜５に示されている本発明による深穴ドリルは、カッターヘッド１、なら
びにカッターヘッド１に統合された結合部３を含み、結合部３には外側のねじ山
５が設けられている。結合部３は、前記ねじ山５によってドリル・チューブ（図
示せず）に結合され、ドリル・チューブはさらに適当な支持装置に取り付けられ
る。

【０００６】 カッターヘッド１は、通常の仕方で、切削インサート７を備えているが、これ
は本発明の一部を構成するものではないので詳しく述べない。さらに、カッター
ヘッド１は、支持パッド９及び案内バー１０を備えているが、図示された実施態
様では、これらは割出し可能なインサートという原則に従って、交換可能なユニ
ットから成っている。図３に最も明らかに見られるように、支持パッド９及び案
内バー１０には、それぞれ、結合部３の方に向いた端に面取り部１１及び１２が
設けられている。それに関連して、面取り部１１，１２は、カッターヘッド１へ
のその当接が、面取り部１１，１２とカッターヘッド１のうち前記面取り部１１
，１２が当接する部分との間に段差を生じないで行われるように形成される。

【０００７】 本発明による深穴ドリルのカッターヘッド１には、また、第一の冷却ダクト１
３及び第二の冷却ダクト１４が設けられ、第一の冷却ダクト１３は支持パッド９
に隣接して位置し、第二の冷却ダクト１４は案内バー１０に隣接して位置する。
前記冷却ダクト１３，１４は深穴ドリルの軸線方向に延在し、好ましくは深穴ド
リルの軸線方向と平行である。図示された実施態様では、冷却ダクト１３，１４
はカッターヘッド１の凹んだ皿取り部として形成され、これらの冷却ダクトは、
断面で見たときある曲率半径をもってソフトに丸められた底部を有する。

【０００８】 カッターヘッド１には、通常の仕方で、加工物に対するカッターヘッド１の回
転で生ずる切屑を排出するための内側チャンネルが設けられている。それに関連
して、カッターヘッド１には第一の開口１５が設けられ、この第一の開口１５は
カッターヘッド１の内側チャンネルに結合しており、そこを通って生ずる切屑の
大部分が排出される。カッターヘッド１には、また、第二の開口１６が設けられ
、これも切屑を排出するために用いられ、この第二の開口１６も内側チャンネル
に結合している。図示された実施態様では、第一の開口１５が第二の開口１６よ
り少し大きい。本発明の深穴ドリルの機能 加工物に穴があけられるとき、加工物はある種の取り付け具に固定され、深穴
ドリルはそのドリル・チューブと共に回転可能なチャックに固定され、加工物と
深穴ドリルが互いに押しつけられる。次に、深穴ドリルはそのドリル・チューブ
と共に回転され、加工物に対して軸線方向に移動されて前記加工物に穴があけら
れる。穿孔加工工程の間、支持パッド９と案内バー１０は穴の壁に当接し、それ
により穴の壁との摩擦のために支持パッド９と案内バー１０に温度上昇が起こる
。これに関連して、図５を参照すると、同図には、一方においては、切削インサ
ート７が及ぼす半径方向の切削力の合力Ｒが、他方においては、穴の壁が支持パ
ッド９と案内バー１０に及ぼす、前記の合力Ｒを補償する力が示されている。こ
こで、支持パッド９に作用する力Ｆ1が案内バー１０に作用する力Ｆ2よりも大き
いことが認められるであろう。この力分布の結果として、支持パッド９はより大
きな摩擦にさらされ、したがって、温度上昇もより大きくなる。

【０００９】 前記の温度上昇を補償するために、ＳＴＳ方法が関わっている場合、冷却液（
普通はオイル）が深穴ドリルのドリル・チューブと穴の壁との間のスペースに供
給され、この冷却媒体がカッターヘッド１の方向に流れるようにする。冷却媒体
がカッターヘッド１に達すると、第一及び第二の冷却ダクト１３及び１４で、そ
れぞれ、冷却媒体が蓄積され、冷却媒体の主要部分は、それぞれ、第一及び第二
の冷却ダクト１３及び１４を経てカッターヘッド１の自由切屑除去端へと流れる
。カッターヘッド１は矢印Ｓの方に回るので（図５を参照）、支持パッド９は回
転方向では第一の冷却ダクト１３の背後に見出されることになり、支持パッド９
は第一の冷却ダクト１３によって生成された冷却媒体のたまりを通過する。これ
により、従来の深穴ドリルで得られる冷却と比較して、支持パッド９の冷却が著
しく改良される。

【００１０】 案内バー１０ではそれに対応する冷却は得られないことは事実であるが、案内
バー１０がさらされる穴の壁からの力Ｆ2は支持パッド９がさらされる力Ｆ1より
もかなり小さいので、案内バー１０では支持パッド９と同じほど満足できる冷却
は必要でない。

【００１１】 図６及び７では、カッターヘッド１の切屑除去端に達する冷却媒体の体積の差
が、図６では従来の深穴ドリルについて、図７では本発明による深穴ドリルにつ
いて、図示されている。図６及び７の破線を付けた表面は冷却媒体が前方に流れ
込むために利用できる表面を表している。図６を参照する従来の深穴ドリルでは
、利用できる表面はあけられた穴の断面積の約１２％であるが、本発明による深
穴ドリルでは、冷却媒体が利用できる表面は約１５％である。図７を参照する従
来の深穴ドリルと本発明による深穴ドリルを比較したとき、これは約２０％の増
加に相当する。

【００１２】 カッターヘッド１の切屑除去端に達する冷却媒体の体積の増加は、当然ながら
、切屑除去にはプラスである。何故なら、冷却媒体は切屑除去端で向きを変え、
切屑を引っ張って第一の開口１５及び第二の開口１６から出て行くからである。
第二の冷却ダクト１４が、カッターヘッド１の回転の方向Ｓから見て、第一の開
口１５のすぐ前方にあるために冷却媒体のたまった体積が向きを変えて戻り、第
一の開口を通って流れ出すようになり、前記冷却媒体のたまった体積がカッター
ヘッド１の切屑除去端から切屑を効率良く引っ張って出て行くことになる。その
後冷却媒体は深穴ドリルの内側チャンネルを、さらに付随するドリル・チューブ
（図示せず）の中を流れ続ける。本発明の深穴ドリルの別の実施態様 図８に示されている深穴ドリルは、図３〜５による実施態様と同様に、カッタ
ーヘッド１’ならびに固定部３を含み、固定部３は原理的には図３〜５に示され
た実施態様の固定部３と同一である。カッターヘッド１’の設計が図８による深
穴ドリルを図３〜５による深穴ドリルから区別しているものであり、もっと精密
に言うと、それは追加の冷却ダクト１７’の配置にある、すなわち、案内バー１
０のわきに極めて近くに配置された第三の冷却ダクトである。このように、図８
による深穴ドリルには、第一及び第二の冷却ダクト、それぞれ１３及び１４、が
設けられ、それは図８に見られる。図８による深穴ドリルに関しても図３〜５に
よる深穴ドリルと同じ回転方向があてはまるとすると（図５の矢印Ｓを見よ）、
第三の冷却ダクト１７’は前記の回転方向Ｓで案内バー１０の前に位置している
。前記第三の冷却ダクト１７’は、案内バー１０が第三の冷却ダクト１７’を流
れる冷却媒体によって満足できる冷却／潤滑を得られるように保証するであろう
。普通、この第三の冷却ダクトは、第一及び第二の冷却ダクト１３及び１４より
も寸法が小さい。発明の実行可能な変形 上述の実施態様では、二つの冷却ダクト１３及び１４がカッターヘッド１の周
上に配置されている。しかし、本発明の範囲内で、唯一つの冷却ダクトをカッタ
ーヘッド１の周上に配置することも実行可能であり、その場合支持パッド９に隣
接して配置される冷却ダクト１３の方が好ましい。その理由は、支持パッド９の
冷却を論じた上の記述に見られる。

【００１３】 上述の実施態様では、二つの冷却ダクト１３及び１４が、図２で大体同じ流れ
断面積を有するように示されている。しかし、本発明の範囲内で、例えば第二の
冷却ダクト１４が二つの切削インサートに役立たなければならないので、すなわ
ち、二つの切削インサートからの切屑を排出する冷却媒体を通さなければならな
いので、第二の冷却ダクト１４が第一の冷却ダクト１３より大きな流れ断面積を
有するということが考えられる。

【００１４】 上述の実施態様では、支持パッド７と案内バー９は、割出し可能なインサート
という原則にしたがって、交換可能なユニットという形態である。しかし、本発
明の範囲内で、支持パッド／案内バーは深穴ドリルのカッターヘッド１にろう付
けによって結合されるということも実行可能である。

【００１５】 本発明による深穴ドリルの機能についての上述の説明では、いわゆるＳＴＳ方
法が用いられると想定していた。しかし、本発明による深穴ドリルは、この明細
書の序論でも指摘したように、例えばいわゆる排出機方法、又はその他の既存の
深穴ドリル方法でも用いることができる。排出機方法では、二重ドリル・チュー
ブが用いられ、冷却媒体のほぼ半分はカッターヘッド１の切屑除去端に達する前
に向きを変え、それによって排出効果を生じて、切屑除去端に達する冷却媒体を
活性化して切屑除去端から離れて行くとき切屑を一緒に引き連れて行く。

【００１６】 本発明の深穴ドリルの機能についての上の記述では、深穴ドリルを回転させ、
加工物は回転されない。しかし、本発明の範囲内で、加工物を回転させ、深穴ド
リルは回転されず、単に軸線方向に加工物に対して移動されるということも実行
可能である。別の変形によると、深穴ドリルと加工物の両方が反対方向に回転す
るということも考えられる。

【００１７】 図７を参照して、冷却ダクトのわきの破線をつけた断面表面は、断面が凹なの
で、本発明の範囲内で、冷却媒体に対してブロックすることができるということ
を指摘しておかなければならない。この場合、ブロックする部材はカッターヘッ
ドの外側に取り付けられる繊維布などであってもよい。このような装備によって
、冷却媒体は前記冷却ダクトだけを流れることが強制され、それによって支持パ
ッド／案内バーの冷却が改善されると期待することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１は、従来の深穴ドリルの正面図である。

【図２】 図２は、本発明のある実施態様に係わる深穴ドリルの正面図である。

【図３】 図３は、図２による深穴ドリルの斜め下からの斜視図である。

【図４】 図４は、図２による深穴ドリルの斜め上からの斜視図である。

【図５】 図５は、図２による深穴ドリルの正面図であり、切削力の合力、ならびに支持
パッド及び案内バーに作用する力が示されている。

【図６】 図６は、従来の深穴ドリルにおいて冷却液を通す表面を示す概略図である。

【図７】 図７は、本発明による深穴ドリルにおいて冷却液を通す表面を示す概略図であ
る。

【図８】 図８は、本発明の別の実施態様に係わる深穴ドリルの斜視図である。

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カッターヘッド（１；１’）、ならびに前記カッターヘッド
   （１；１’）に合体されて且つドリル・チューブと結合することを意図した結合
   部（３）を含む深穴ドリルであって、 前記カッターヘッド（１；１’）が切屑を除去する切削インサート（７）と、
   少なくとも一つの支持パッド（９）と、ならびに少なくとも一つの案内バー（１
   ０）とを備え、前記カッターヘッド（１）が切屑を排出するための少なくとも一
   つの開口（１５，１６）を有し、前記開口（１５，１６）が前記カッターヘッド
   （１；１’）の内側チャンネルに変化してゆく深穴ドリルにおいて、 少なくとも一つの冷却ダクト（１３）が前記カッターヘッド（１；１’）の周
   上に配置され、前記冷却ダクト（１３）が前記深穴ドリルの軸線方向に延在し、
   前記冷却ダクト（１３）が前記支持パッド（９）に隣接して配置されることを特
   徴とする深穴ドリル。
2. 【請求項２】 前記冷却ダクト（１３）が、前記深穴ドリルの回転方向から
   見て前記支持パッド（９）の前方に配置されている、又は前記深穴ドリルが回転
   しない場合、加工物の回転方向から見て前記支持パッド（９）の後方に配置され
   ていることを特徴とする請求項１に記載の深穴ドリル。
3. 【請求項３】 前記カッターヘッド（１）の周上に二つの冷却ダクト（１３
   、１４）が配置され、且つ第二の冷却ダクト（１４）も深穴ドリルの軸線方向に
   延在していることを特徴とする請求項１または２に記載の深穴ドリル。
4. 【請求項４】 前記第二の冷却ダクト（１４）が案内バー（１０）に隣接し
   て配置されていることを特徴とする請求項３に記載の深穴ドリル。
5. 【請求項５】 前記第二の冷却ダクト（１４）が、前記深穴ドリルの回転方
   向から見て前記案内バー（１０）の後方に配置されている、又は前記深穴ドリル
   が回転しない場合、前記加工物の回転方向から見て前記案内バー（１０）の前方
   に配置されていることを特徴とする請求項４に記載の深穴ドリル。
6. 【請求項６】 前記第二の冷却ダクト（１４）が、第一の冷却ダクト（１３
   ）よりも大きい流れ断面を有することを特徴とする請求項４または５に記載の深
   穴ドリル。
7. 【請求項７】 前記冷却ダクト（１３）／複数の冷却ダクト（１３、１４）
   がある曲率半径をもつ滑らかに丸められた底部を備え凹んだ皿取り部から成るこ
   とを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の深穴ドリル。
8. 【請求項８】 前記カッターヘッド（１’）は、前記案内バー（１０）のす
   ぐ近くに冷却ダクト（１７’）が設けられていることを特徴とする請求項１〜７
   のいずれか１項に記載の深穴ドリル。
9. 【請求項９】 前記冷却ダクト（１７’）が、前記深穴ドリルの回転方向か
   ら見て前記案内バー（１０）の前方に配置されている、又は前記深穴ドリルが回
   転しない場合、前記加工物の回転方向から見て前記案内バー（１０）の後方に配
   置されていることを特徴とする請求項８に記載の深穴ドリル。