JP2003501069A - Dna断片の合成法 - Google Patents

Dna断片の合成法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、以下の工程:a)オリゴヌクレオチドと、固体マトリックスとのカップリング;b)追加のオリゴヌクレオチドの付加;c)工程a)及びb)で得られたオリゴヌクレオチドの、一方向でのライゲーションの実施;d)反応調製物からの、過剰の反応物及び酵素の除去;e)工程a)からの短縮された又は伸長されたオリゴヌクレオチド、又は工程b)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるような、認識配列の外側を切断する制限酵素系による、工程c)からのライゲーション産物の切断;f)工程a)からの短縮された又は伸長されたオリゴヌクレオチドからの、反応混合物の分離;g)工程b)からf)までの、少なくとも1回の反復;h)所望の産物が得られるまでの、工程a)からg)を実行した後に得られた断片の、連続的な、非配列依存性の結合の実行;を含む、任意の核酸の産生のための、平行的かつ自動的に行うことができる方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 当分野の現状によると、およそ2.5kbの核酸配列の合成のためには、まず、
部分的に重複する約80マーのオリゴヌクレオチドを約50種、合成し精製しな
ければならない。次いで、これらを対又はサブセットへとハイブリダイズさせ、
クレノウポリメラーゼ反応により充填するか、又はプライマーとして外部オリゴ
ヌクレオチドを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において構築し、一方
向に連結させる(通常、取り込まれていなければならない制限部位による)。こ
の方法は、間隙充填法として知られる。又は、酵素的もしくは化学的なライゲー
ションにより遺伝子断片を合成し、次いで、精製及び/又はクローニングの後、
これらの断片を組み立て、より大きい遺伝子セクションを形成させることもでき
る(いわゆる、カセット法)。いずれの手法も、理想的な場合で少なくとも1週
間、しかし通常は6〜12週間近くを要し、6ヶ月を要する場合すらある。固相
と結合した逐次法は、多くの反応工程が必要とされるため収率が低く、従ってや
はり信頼性が極めて低い。
【0002】 主要な問題の1つは、合成が良好に進行した場合ですら、1工程当たりのカッ
プリング効率は99%にしか達しないために、比較的長いオリゴヌクレオチドは
、回避できない終結産物の部分を必ず有するという点である。さらに、100%
ではないキャッピング(capping)から生じる欠失も起こる。極めて良好
な合成ですら、この部分は1カップリング工程当たり約0.25%である。合成
完了後のトリチル保護基の分離も、完全には進行しない。このようにして形成さ
れた不完全なオリゴヌクレオチド産物は、非常に努力したとしても、より長いオ
リゴヌクレオチドから完全に分離することはできない。
【0003】 平均カップリング効率が98%であるとすると、例えば80マーの場合、所望
の完全長産物の収率はわずか19.86%である。現在利用可能な精製法では、
所望の最終産物は、最高でも95%の純度でしか得られない。最終的に精製され
たオリゴヌクレオチドのごく一部のみに欠陥があるとしても、欠陥のある最終配
列の確率は、使用されるオリゴヌクレオチドの数と共に劇的に増加する。従って
、記載されたオリゴヌクレオチド50個から構成される配列は、全体の7.7%
しか正確でなく、従って、通常は再作業が必要となる。これには、比較的稀な、
合成中の誤カップリングによる誤塩基の取り込みは考慮されていない。
【0004】 比較的短いオリゴヌクレオチドですら、その潜在的な配列は多様であるため(
30マーですら、1018越の可能性のある配列異型が存在する)、様々な遺伝子
構築物のためオリゴヌクレオチドを再使用することも事実上不可能である。従っ
て、任意の配列を生成させるために必要とされるオリゴヌクレオチドを全て利用
可能にすることは、技術的に不可能である。新たな遺伝子構築物毎に、新たなオ
リゴヌクレオチドを合成し精製しなければならない。しかしながら、合成された
材料のごく一部のみが、実際に遺伝子構成に使用され、残部は、前記の理由のた
め利用され得ない。遺伝子合成の過程にオリゴヌクレオチドの合成及び精製が取
り込まれなければならない点が、この過程の完全な自動化に対する主要な障壁の
うちの1つであり、自動化は、現在のところ、技術的に極めて困難であり、おそ
らく事実上達成不可能である。
【0005】 従って、本発明の目的は、任意の配列及び長さの二本鎖DNA断片の効率的な
合成のための方法を提供することである。さらなる目的は、基本的な構築ブロッ
クの限定されたライブラリーから、DNA分子を構築することを可能にする方法
を提供することである。さらなる目的は、任意の遺伝子断片の平行合成及び非配
列依存的連結を可能にする方法を証明することである。遺伝子合成過程を完全に
自動化するためには、これら両方の先行条件が満たされねばならない。さらなる
目的は、二本鎖DNA断片の自動作製のためのキットを提供することである。
【0006】 その目的は、 a)認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有するオリゴヌ
クレオチドの一端を、固体マトリックスとカップリングさせる工程(ここで、カ
ップリングは修飾により実施される)、 b)少なくとも部分的に二本鎖であり、かつ認識配列の外側を切断するIIS型
制限酵素の工程a)とは異なる認識配列を含有する追加のオリゴヌクレオチドを
添加する工程(ここで、このオリゴヌクレオチドはマトリックスと結合すること
ができない)、 c)工程a)及びb)からのオリゴヌクレオチドを、ライゲートさせない末端の
遮断により与えられた方向でライゲートさせる工程、 d)未消費の反応物及び酵素を除去する工程、 e)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産物を切断す
る工程、 f)得られた核酸分子を反応混合物から分離する工程:を含む、核酸分子の作製
のための方法を提供することにより達成される。
【0007】 その目的は、さらに、 前記のa)〜d)、 e)工程b)からのオリゴヌクレオチドの核酸配列に切断が起こるよう、認識配
列の外側を切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産
物を切断する工程、 f)工程e)において得られた工程a)からの伸長オリゴヌクレオチドから反応
混合物を分離する工程、 g)工程b)〜f)を少なくとも1回反復する工程:を含む、核酸分子の作製の
ための方法を提供することにより達成される。
【0008】 その目的は、さらに、 前記のa)〜g)、 h)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程を含み、か
つ i)工程b)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程を場合によ
り含む、核酸分子の作製のための方法を提供することにより達成される。
【0009】 工程c)の後、工程c′)として、エキソヌクレアーゼ及び/又はホスファタ
ーゼ反応を実施する方法が好ましい。さらに、工程c′)の反応混合物を反応後
に除去する方法が好ましい。工程b)〜f)の最後の反復において工程e)を実
施しない方法がさらに好ましい。得られた核酸を、制限切断により工程a)から
のオリゴヌクレオチドから分離する方法も好ましい。さらに、工程a)からのオ
リゴヌクレオチドを、修飾により固体マトリックスとカップリングさせる方法が
好ましい。修飾がビオチン残基、ジゴキシゲニン残基、フルオレセインイソチオ
シアネート(FITC)、アミノ化合物、又はスクシニルエステルである方法が
、特に好ましい。さらに、工程a)及び/又はb)からのオリゴヌクレオチドが
ループを有する方法が好ましい。工程a)からのオリゴヌクレオチドを、ループ
によって固体マトリックスとカップリングさせる方法が、特に好ましい。固体マ
トリックスがビーズ、好ましくはガラス製又はポリスチレン製のビーズ、顕微鏡
スライド、DNAチップ、マイクロタイタープレートのウェル、又はテストチュ
ーブである方法が、特に好ましい。特に、固体マトリックスがストレプトアビジ
ン残基、抗ジゴキシゲニン抗体、又は抗FITC抗体を含む方法が、好ましい。
さらに、工程a)及びb)からのオリゴヌクレオチドが、ライゲートさせる末端
に、相互に相補的な一本鎖突出を有する方法が、好ましい。一本鎖突出が1、2
、3、4又は5ヌクレオチド長である方法が、特に好ましい。合成された核酸を
、最終工程において、複製可能DNA(プラスミドベクター、ファージ又はウイ
ルスのDNA、人工染色体、PCR産物、又はその他の人工的に作製されたDN
A)と連結させる方法が、特に好ましい。コドン最適化オープンリーディングフ
レームを作製するため、プロモーター、エンハンサー、又はタンパク質をコード
するDNAの特異的突然変異誘発のための方法が、特に好ましい。特に、本発明
に係る核酸は、好ましくは、コドン最適化されたDNAワクチンとして、タンパ
ク質ドメインの突然変異分析のため、デザイナータンパク質の鋳型として、in
vitroタンパク質合成用の発現構築物として、リボザイム又はアプタマー
を調製するため、病原性微生物検出用プローブとして、遺伝子発現検出用プロー
ブとして、対立遺伝子特異的突然変異の検出のため、タンパク質/タンパク質結
合、タンパク質/ペプチド結合、及び/又は低分子量物質とタンパク質との結合
の検出のため、使用される。
【0010】 その目的は、 a)1〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチドのライブラリー(こ
こで、オリゴヌクレオチドは一端で修飾により固体マトリックスとカップリング
することができ、かつオリゴヌクレオチドは認識配列の外側を切断するIIS型
制限酵素の認識配列又は認識配列の一部を含有する)、 b)4〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチドの付加的なライブラ
リー(ここで、各オリゴヌクレオチドは、a)からのIIS制限酵素とは異なる
、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有し、かつ工程a
)からの制限酵素の認識配列のその他の部分を場合により含有する)、 c)固体マトリックス、 d)核酸分子を作製するために必要とされる酵素及び/又はその他の試薬のため
の貯蔵器:を含む、本発明に係る方法により核酸を作製するためのキットを提供
することにより、さらに達成される。
【0011】 酵素が、リガーゼ又はトポイソメラーゼ、及び/又は1個又は数個の制限酵素
、及び/又はエキソヌクレアーゼ、及び/又はホスファターゼを含むキットが、
好ましい。所望の塩基配列が投入された後、全ての反応工程を決定し、自動的に
それらを処理することができる自動化された機械が、特に好ましい。
【0012】 以下の図面により、本発明をさらに明確にする。
【0013】 定義 「平行」又は「平行合成」という用語は、本明細書において使用されるように
、次いで、本発明に係る方法を使用してアンカー又はスプリンカーとしてライゲ
ートさせ、伸長した核酸分子を形成させるための、異なる本発明の核酸分子が、
別々の反応混合物中で同時に合成されうることを意味する。
【0014】 「スローニング(sloning)」(非配列依存的なオリゴヌクレオチドの
逐次的ライゲーション)という用語は、本明細書において使用されるように、任
意の配列のオリゴヌクレオチドの連続的ライゲーションのための方法をさす。
【0015】 「アンカー」又は「アンカーオリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書に
おいて使用されるように、修飾により固体マトリックスとカップリングさせうる
オリゴヌクレオチドをさす。本発明の範囲において、その二本鎖領域内のオリゴ
ヌクレオチドは、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列をさら
に含有する。
【0016】 「スプリンカー(splinker)」又は「スプリンカーオリゴヌクレオチ
ド」という用語は、本明細書において使用されるように、修飾を有しないか、又
は他の型の修飾を有し、その結果、アンカーオリゴヌクレオチドをカップリング
させるマトリックスとそれ自体は結合しないオリゴヌクレオチドをさす。
【0017】 「ダンベル」という用語は、本明細書において使用されるように、2個のルー
プに挟まれた二本鎖により特徴付けられるDNA構造をさす。
【0018】 本発明の1つの面は、 a)認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有するオリゴヌ
クレオチドの一端を、固体マトリックスとカップリングさせる工程(ここで、カ
ップリングは修飾により実施される)、 b)少なくとも部分的に二本鎖であり、かつ認識配列の外側を切断するIIS型
制限酵素の工程a)とは異なる認識配列を含有する付加的なオリゴヌクレオチド
を添加する工程(ここで、このオリゴヌクレオチドはマトリックスと結合するこ
とができない)、 d)工程a)及びb)からのオリゴヌクレオチドを、ライゲートさせない末端の
遮断により与えられた方向でライゲートさせる工程、 h)未消費の反応物及び酵素を除去する工程、 i)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産物を切断す
る工程、 j)得られた核酸分子を反応混合物から分離する工程:を含む核酸分子の作製の
ための方法に関する。
【0019】 本発明のさらなる面は、 前記のa)〜d)、 e)工程b)からのオリゴヌクレオチドの核酸配列に切断が起こるよう、認識配
列の外側を切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産
物を切断する工程、 f)工程e)において得られた工程a)からの伸長オリゴヌクレオチドから反応
混合物を分離する工程、 k)工程b)〜f)を少なくとも1回反復する工程:を含む核酸分子の作製のた
めの方法に関する。
【0020】 本発明のさらなる面は、 前記のa)〜g)、 h)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程を含み、か
つ i)工程b)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程を場合によ
り含む核酸分子の作製のための方法に関する。
【0021】 各反応工程において連結される2個のオリゴヌクレオチドのうちの1個(いわ
ゆるアンカーオリゴヌクレオチド)は、修飾、例えばビオチン又はジゴキシゲニ
ンのような低分子量化学化合物により固体マトリックスとカップリングしうる。
好ましい実施態様において、これらは、ストレプトアビジン又は抗ジゴキシゲニ
ンで被覆された磁性ビーズである。他方のオリゴヌクレオチド(いわゆるスプリ
ンカーオリゴヌクレオチド)も、遮断された末端を有するが、そのような修飾は
有しないか、又は他の型の修飾を有する。重要な点は、アンカーオリゴヌクレオ
チドが、適当なマトリックスとの結合により、スプリンカーオリゴヌクレオチド
から分離されうるという点である。従って、固相との直接的又は間接的な(例え
ば、抗体による)結合を媒介するために適当であるならば、任意の化合物、例え
ばビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)
、アミノ化合物、スクシニルエステル、及び当業者に周知のその他の化合物が、
使用されうる。
【0022】 アンカーオリゴヌクレオチドは、好ましくはループ配列における修飾により固
相とカップリングしうる1本の部分的に自己相補的なオリゴヌクレオチド、又は
好ましくは一本鎖突出を有する二本鎖を形成する2本の一本鎖オリゴヌクレオチ
ドのいずれかから構成されうる。2本の鎖のうちの1本のみをマトリックスとカ
ップリングさせなければならないため、必要であれば、アルカリ又は熱により、
他方を変性させ分離することができる(例えば、PCR反応のための鋳型として
使用するため)。そのような2部アンカーオリゴヌクレオチドの場合にも、1方
の末端のみがライゲートしうることを確実にするため、従ってライゲーションに
必要とされない末端は遮断される。典型的なアンカーオリゴヌクレオチドの核酸
配列は、以下の通りである。
【0023】
【表1】
【0024】 スプリンカーオリゴヌクレオチドは、一本の部分的に自己相補的なオリゴヌク
レオチド、又は好ましくは一本鎖突出を有する二本鎖を形成する2本の一本鎖オ
リゴヌクレオチドのいずれかから構成されうる、即ち、少なくとも部分的に相補
的なオリゴヌクレオチド対を有し、2本の一本鎖のライゲートさせない各末端は
遮断されていなければならない。好ましい一本鎖突出配列は、ライゲートさせる
各アンカーオリゴヌクレオチドと相補的でなければならない。例示的なスプリン
カーオリゴヌクレオチドの核酸配列は、以下の通りである。
【0025】
【表2】
【0026】 アンカーオリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌクレオチドは、一定の
長さ、好ましい実施態様において1〜5ヌクレオチドの突出を含有しうる。ライ
ゲートさせるオリゴヌクレオチドの場合、これらの突出は、相互に相補的であり
、5′末端がリン酸化されており、1方向にのみライゲートしうる。これは、例
えば、いわゆるダンベル構造を有する、ライゲートしたオリゴヌクレオチドをも
たらす。全ての利用可能なアンカーヌクレオチドを完全にライゲートさせるため
、ライゲートさせるスプリンカーオリゴヌクレオチドは、2〜10倍過剰で添加
されうる。過剰の未反応スプリンカーは各ライゲーション工程の後、緩衝液で洗
浄除去される。例えば、ストレプトアビジン被覆磁性ビーズを使用する場合、ス
トレプトアビジン/ビオチン結合により結合したアンカーオリゴヌクレオチドを
、ライゲートしたスプリンカーと共に含有するビーズは、磁石を使用することに
より反応混合物中に保持されうる。又は、例えば、ストレプトアビジンで直接被
覆されたウェル、ガラスビーズ、顕微鏡スライド、DNAチップ、又は任意のそ
の他の固相を使用することが可能である。ビーズは、比較的大きい表面を有し、
従って比較的高い結合能を有するため、通常、好ましい。
【0027】 さらなるライゲーションを実施するためには、認識配列の外側で核酸配列を切断
する制限エンドヌクレアーゼの認識配列が、ライゲートしたスプリンカーオリゴ
ヌクレオチドに存在しなければならない。そのような酵素の例は、BpiI、E
sp3I、Eco31I、SapI等である。本発明に係る方法にとって有用な
制限酵素、及びそれらの認識配列及び切断配列は、http://rebase
.neb.com/rebase/rebase.htmlのrebaseデー
タバンクに見出される。ライゲーション産物は、スプリンカー配列の一部がアン
カーオリゴヌクレオチド上に残存するよう、スプリンカーオリゴヌクレオチド内
に含まれる制限切断部位で切断される。これは、同時に、さらなるスプリンカー
オリゴヌクレオチドをライゲートさせるために使用されうる配列突出を生成させ
る。切断された他方の部分、及びスプリンカーオリゴヌクレオチドのライゲート
しなかった残余物、制限酵素、及び制限緩衝液は、さらなるサイクルが開始する
際に、反応混合物から洗浄除去される。サイクルは、1回のみ実施してもよいし
、又は数回反復してもよく、その後、このようにして伸長したオリゴヌクレオチ
ドを、同時に合成された隣りの断片と連結させる。様々な制限エンドヌクレアー
ゼによる切断により形成された相互に相補的な突出は、合成する遺伝子に由来し
、対照的に、認識配列はアンカーオリゴヌクレオチド又はスプリンカーオリゴヌ
クレオチドの切断除去された部分に位置するため、隣りの断片はそれらの配列と
完全に無関係に連結されうる。特に、これは、大きな遺伝子ですら、わずか数回
の反応工程で、多くの同時の部分的反応において組み立てることを可能にする。
最適な例において、2kbの遺伝子は、例えば256回の各反応から、わずか9工
程で組み立てられ得る。60マーオリゴを使用した直線的な合成(循環的ではあ
るが、同時ではない)の場合、同サイズの遺伝子は、30超の工程を必要とする
であろう。酵素的及び化学的なライゲーション法は通常80〜90%の収率しか
有しないため、全収率は、必要とされる反応工程の数と共に指数関数的に減少し
、そのため、少ない反応工程を有する方法は有利である。場合により、さらなる
合成から未反応アンカーオリゴヌクレオチドを排除するため、次のライゲーショ
ンに必要とされる突出又は少なくとも5′リン酸基を除去するエキソヌクレアー
ゼ及び/又はホスファターゼ工程を、ライゲーションの後に導入してもよい。過
剰のスプリンカーオリゴヌクレオチドを使用した場合には、未反応アンカーオリ
ゴヌクレオチドの割合は、極小さい。さらに、後続の反応は、同配列が再びライ
ゲートした場合にのみ可能であるはずであり、そのため、未反応の、又は部分的
にしか反応していないアンカーオリゴヌクレオチドの混入のリスクは比較的低い
と見なすことができる。
【0028】 数回のライゲーション及び制限のサイクルの後、このようにしてライゲートし
た核酸配列は、続いて、最初のアンカーオリゴヌクレオチド内の核酸配列を特異
的に認識する制限酵素による切断により、アンカーオリゴヌクレオチドから分離
され、アンカーオリゴヌクレオチドは、マトリックスに残留する。ここで、ライ
ゲートした核酸配列は、最後にライゲートしたスプリンカーオリゴヌクレオチド
と接着している。制限酵素の不活化後、伸長したスプリンカーオリゴヌクレオチ
ドは、最初の反応混合物から新たな反応容器へと移され、そこで、スプリンカー
オリゴヌクレオチドに特異的な制限酵素で切断された、ライゲートしたアンカー
オリゴヌクレオチドと連結される(第1転移)。ライゲートした核酸配列は、異
なっていてもよいし同一であってもよい任意の配列であり得ることが、当業者に
は明らかである。第1転移から生じたライゲーション産物は、次に、アンカー特
異的制限エンドヌクレアーゼにより切断され、再び、同様にして得られたライゲ
ートしたアンカーオリゴヌクレオチドと連結される(第2転移)。結果として、
ライゲートした核酸配列の長さは、各工程毎に2倍となる。毎回、DNA断片は
、相補的な突出により連結されるが、これは、その他については完全に配列と無
関係である。唯一の制約は、アンカー及びスプリンカーに特異的な切断部位が、
合成する配列内に存在している場合、DNAが内部でも切断されてしまうであろ
うため、それらが合成する配列内には存在していてはならないことである。場合
により、不完全にライゲートしたスプリンカーオリゴヌクレオチドの転移を防止
するため、エキソヌクレアーゼ工程を、アンカー特異的制限切断部位における切
断及び後続の転移の前に、毎回、導入してもよい。方法にとって必要な配列特異
的切断は、原理的には、IIS制限エンドヌクレアーゼの代わりに、類似の機能
を有するリボザイムによって実施されてもよい。
【0029】 2560塩基対長の二本鎖DNA配列は、わずか7回の付加的ライゲーション
工程により、20塩基対の配列(4nt突出を有するスプリンカーの場合、ライ
ブラリー由来の必要とされた最初のスプリンカーの5回の連続的なライゲーショ
ンにより得られる)から合成されうる。サイクル時間が約1hrであるとすると、
この長さの任意のDNA配列が、12時間以内に合成されうる。必要とされる時
間は、反応条件を最適化することにより、約6時間に半減しうる。
【0030】 4ヌクレオチド長の突出の場合、65536個の異なるスプリンカーオリゴヌ
クレオチドのライブラリーが、全ての可能性のある核酸配列を作製するために必
要とされる。この数は、以下のような計算から得られる。可能性のある4ヌクレ
オチド突出は256個存在し(44=256)、次のライゲーション工程におい
て突出を形成する直接接続ヌクレオチド4個について同数の配列異型が存在する
。全体として、全ての可能性のある配列異型を表すために使用されうるスプリン
カーオリゴヌクレオチドの総数は、44×44≒48≒65536個となる。必要
とされるスプリンカーライブラリーの複雑度は、3ヌクレオチド突出の場合、4 3 ×43=4096、2ヌクレオチド突出の場合、42×42=256に相応じて減
少し、5ヌクレオチド突出の場合には、45×45=1048576に増加するで
あろう。この構築ブロック系のための先行条件は、完全なスプリンカーライブラ
リー(2nt突出の場合256オリゴヌクレオチド、3nt突出の場合4096
オリゴヌクレオチド、4nt突出の場合65536オリゴヌクレオチド、5nt
突出の場合1048576ヌクレオチド)及びアンカーライブラリー(1、2、
3、4又は5nt突出を有する4、16、64、256又は1024オリゴヌク
レオチド)の存在である。しかしながら、適当なスプリンカーオリゴヌクレオチ
ドを使用した予備ライゲーション工程により、同等に十分な様々な突出配列が生
成しうるため、後者は絶対的には必要でない。
【0031】 原理的には、本発明に係る方法の各工程は全て、自動化が可能であり、従って
、完全な遺伝子の作製が、オリゴヌクレオチドの合成と同程度に簡便である。さ
らに、本発明に係る方法は、コストを大きく減少させる潜在性を有する。第1に
、全ての必要とされる酵素が、大規模に産生されうる。第2に、スプリンカーラ
イブラリーのための出費は、5′突出の最後の4ヌクレオチドを除き、各スプリ
ンカーオリゴヌクレオチドをen blocで合成することにより、大きく減少
しうる。次いで、合成反応は、4つの等しい部分に分割され、次いで、4個の異
なるヌクレオチドが別々の反応において次の位置(最終産物における最後から4
番目の位置)に接着する。その後、4つの各反応が再び4等分され、その後、最
後から3番目のヌクレオチドが接着する、等である。65536回の各合成の代
わりに、相応じて大きい、従ってより好都合な規模において、256回の合成の
みが必要となるであろう。さらに、256種の異なるアンカーオリゴヌクレオチ
ドにおける平滑末端ライゲーション、それに続くエキソヌクレアーゼ処理、洗浄
、及び最後のアンカー特異的制限エンドヌクレアーゼによる制限により、256
種の可能性のある4ヌクレオチド突出を生成させることができる。このようにし
て、必要とされるスプリンカーオリゴヌクレオチド65536個は、対費用効果
の高い方法で調製されうる。さらに、非反応性の欠陥のある配列はこの手法によ
り除去されるため、これは、スプリンカーオリゴヌクレオチド65536個全て
の複雑な精製を回避するであろう。使用されるオリゴヌクレオチドの極めて高い
純度が、欠陥のない合成の成功にとって必須であるため、いずれにしても、これ
らは適切に前処理されなればならない。さらに、後続のライゲーションに必要と
される突出配列が完全なまま維持されるよう、制限及びライゲーションの工程に
おいては、エキソヌクレアーゼがほぼ完全に存在しないことを保証する必要があ
る。ライゲートしなかったアンカーオリゴヌクレオチドを除去するために中間の
エキソヌクレアーゼ工程を使用する場合には、これらのエキソヌクレアーゼを、
徹底的に洗浄除去し、かつ/又は特異的に不活化しなければならない。
【0032】 アンカーオリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌクレオチドは、それぞ
れ、自己相補的な一本鎖から構成されていてもよいし、2本の相補的なプラス鎖
及びマイナス鎖から構成されていてもよい。核酸配列は、完全に相補的である必
要はなく、自己相補的一本鎖オリゴヌクレオチドはループを有していてもよく、
相補的なプラス鎖及びマイナス鎖は、部分的に相補的であってもよい。アンカー
オリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌクレオチドが、それぞれ、2本の
相補的なプラス鎖及びマイナス鎖から構成される場合、(i)二本鎖ハイブリッ
ドの融解温度は、集合したアンカーオリゴヌクレオチドとスプリンカーオリゴヌ
クレオチドの変性、及び可能性のある結果的な、固相とカップリングしていない
一本鎖の意図されない転移が防止されるよう、十分に高くなければならず、(i
i)伸長させない各末端は、適当な修飾により遮断されなければならない。2本
の相補的なプラス鎖及びマイナス鎖からなるオリゴヌクレオチドは、自己相補的
な一本鎖から構成されるオリゴヌクレオチドと比して、ある種の利点を有する。
自己相補的(スナップバック)オリゴヌクレオチドは、高濃度においては網状構
造を形成する傾向を有するため、しばしば、精製におけるある種の問題を引き起
こす。また、一本鎖部分オリゴヌクレオチドは比較的短く、従って、より高い純
度でより少ない努力で単離されうる。2本の部分オリゴヌクレオチドから構成さ
れた2部アンカーオリゴヌクレオチドは、ある種の本発明の実施態様のため使用
される。
【0033】 特に好ましい実施態様において、アンカー及びスプリンカーは、以下の認識配
列の組み合わせを含有する。
【0034】
【表3】
【0035】 本発明のさらなる面は、本発明に係る方法による核酸の作製のためのキットで
ある。キットは、必要なアンカーオリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌ
クレオチド全てのライブラリー、さらにアンカーオリゴヌクレオチドがカップリ
ングしうる固相、好ましくは磁性化ビーズ、適当な反応容器、リガーゼ、場合に
よりトポイソメラーゼ及び/又は3′−5′エキソヌクレアーゼ及び/又はホス
ファターゼ、認識配列の外側を切断するII型制限エンドヌクレアーゼ少なくと
も2種、並びに全ての必要とされる反応緩衝液からなりうる。さらに、冷蔵試料
保管コンテナを有するピペッティングステーション(pipetting st
ation)、及び本発明に係る方法の全工程を自動的に実施する適切なソフト
ウェアコントロールが、好ましい。
【0036】 本発明は、再使用可能な、ある種のIIS型制限エンドヌクレアーゼ(いわゆ
る外側切断酵素(outside cutter))の認識配列を含有する、高
純度の少なくとも部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチドのライブラリーを提供す
ることにより、遺伝子合成の過程全体の完全な自動化を可能にする。さらに、遺
伝子断片の平行合成、及び任意の所望の部位におけるそれらの非配列依存的な連
結を可能にする方法の提供により、そして固相との結合の結果としての、出発分
子の方向性のある伸長により(ライゲートさせない末端は適当な修飾又はループ
配列により遮断される)、そしてロボットにより処理されうる循環的な手順の明
確なセットにより、自動化が可能となる。
【0037】 本発明のいくつかの面を、以下の実施例により例示するが、それらは、本発明
に係る方法による遺伝子全体の完全な合成に基づいている。
【0038】 1.タンパク質配列のみが既知の場合のcDNAの作製 タンパク質のアミノ酸配列又はアミノ酸配列の一部のみが既知であり、cDN
A又はゲノムの配列は不明であるという場合は多い。遺伝暗号の縮重のため、適
当なcDNAライブラリーのPCRにより対応する遺伝子を直接増幅することは
、通常不可能である。従って、トリプトファン、メチオニン、又はアスパラギン
、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、チロシン、フェニルアラニン、
システイン、又はリジンのようなアミノ酸については、コドンが1個又は2個し
か存在しないため、これらのアミノ酸が豊富に存在する領域を検索する。低縮重
のプライマーを使用して予想サイズのPCR断片を得ることが可能であるならば
、この断片をプローブとして使用し、cDNAバンクから各遺伝子をクローニン
グする。現在では、遺伝子アレイ及びクローンコレクションの利用可能性により
、多くの場合、この作業は大きく単純化されているが、そのような補助は、限定
された数の生物及び細胞型についてのみ利用可能であり、完全cDNAが入手可
能である場合ですら、通常、適当な発現ベクターにそれを再クローニングするこ
とがやはり必要である。プロジェクトの難度によって、必要とされる時間は、1
〜2週間、極端な例においては数ヶ月から数年にまでなりうる。本発明に係る方
法は、既知のタンパク質配列から出発して、1〜2日で、所望の生物のため最適
化されたコドン使用を有する発現構築物を調製するために使用されうる。鋳型が
利用である必要はなく、DNA配列が既知のタンパク質配列から導出され得るた
め、このために、タンパク質が天然に発現している生物が利用可能である必要は
ない。タンパク質配列決定法は改良されているため、将来は、任意の所望の生物
に由来する興味深い酵素活性を有するタンパク質を配列決定し、cDNAクロー
ニングを介した間接的な経路をとる必要なしに、本発明に係る方法により、直接
的にそれらを任意の所望の発現系に移入することが可能となるであろう。
【0039】 2.デザイナー遺伝子及びデザイナータンパク質の作製 本発明のさらなる面は、デザイナー遺伝子及びデザイナータンパク質の簡便な
作製、即ち、例えば新規な、又は修飾された特性を有する酵素を調製するための
、様々なタンパク質の機能ドメインのカップリングである。タンパク質のX線結
晶構造が既知であるならば、修飾された特異性の新規な機能をタンパク質へ導入
するための、明確なリンカードメインの挿入、又は結合ポケットの再設計のよう
な極めて特異的な修飾を施すことが可能である。例えば、標的タンパク質設計(
targeted protein design)は、特異的リガンドの結合
の結果としてのタンパク質のコンフォメーションの変化により活性化される制御
可能な触媒中心を構築するために使用されうる。例えば、特定のウイルスタンパ
ク質が結合した際にカスパーゼ活性を示し、次いで感染細胞のアポトーシスを誘
発するデザイナータンパク質が、このようにして構築されうる。そのような高度
に特異的な医薬的薬剤の最初の版は、既に記載されている。Vocero−Ak
bani A.M.,Heyden N.V.,Lissy N.A.,Rat
ner L.,Dowdy S.F.,Nat.Med.1999年1月5日:
1,29−33を参照のこと。さらに、特定の位置で付加的な塩架橋を形成する
ことができるアミノ酸を組み込むことにより、タンパク質を安定化することが可
能である。これは、界面活性剤工業にとって特に有利な、高温に対する抵抗性を
改良しうる。ドメイン構造が既知である場合、いくつかの機能領域の正確な発現
により、所望の酵素活性を、不要な活性から分離することができる。さらに、一
連の異なる反応を完全に触媒することができる多酵素複合体を構築することも可
能である。これは、多くの有機化合物の合成を改良するかもしれないし、又はさ
らには、いくつかの合成を初めて可能にするかもしれない。将来は、そのような
デザイナー生体触媒が、現在は未だ環境的に有害な溶媒及び触媒を使用しなけれ
ばならない多くの有機合成の代わりとなるかもしれないため、これは、完全に新
規な展望を開くものである。
【0040】 3.ランダム突然変異誘発の代替法としての系統的突然変異誘発 生化学的に方向付けられた分子生物学においてしばしば起こる問題は、多くの
タンパク質異型の中から、最も高い酵素活性、又は基質もしくは他のタンパク質
との最も高い結合を有しているものを同定することである。通常の手法は、アミ
ノ酸1個又は数個の一連のランダムな突然変異を導入し、適当なスクリーニング
法において、得られた異型を分析することである。原理的には、全ての変異体を
別々に調製することも可能であるが、これは時間及びコストの理由からほとんど
実施されない。その過程では、ある種のアミノ酸置換が他よりも高頻度に見いだ
されることになるため、そして、この手法では、付加的な終止コドンの導入を回
避することがほぼ不可能であるため、ランダム突然変異誘発において形成される
変異体のコントロールは、本来極めて限定されている。対照的に、本発明に係る
方法は、全ての所望の変異体を、特異的に、かつ過度の努力なしに調製し、タン
パク質として発現させることを可能にする。
【0041】 4.特にDNAワクチンとして使用するための合成遺伝子の作製 多くの場合、異種の系におけるある種の遺伝子のタンパク質発現を最適化する
ことが望ましい。これは、強力なプロモーターの使用によっても、部分的にしか
達成されない場合が極めて多い。発現に使用される生物によって、あるアミノ酸
についてのある種のコドンの使用は、達成可能な遺伝子発現に対して有利な効果
を有する場合もあるし、又は不利な効果を有する場合もある。従って、例えば、
多くのレトロウイルス遺伝子産物は、通常極めてATリッチであり、高等真核生
物においては稀なコドンを利用しているため、真核生物においては不十分にしか
翻訳されない。従って、コドン使用が哺乳動物細胞にとって最適化される場合、
それは、DNAワクチンとしてのそのような遺伝子配列の適用にとって特に、大
きな利点である。同様に、ある種のRNA構造は、遺伝子発現に有害な影響を与
えうる転写物の不安定性を引き起こしうる。そのような要因も、コドン変化によ
り、本発明に係る方法を用いて容易に除去されうる。
【0042】 5.欠失又は点突然変異誘発によるタンパク質ドメインの分析 変異体の分析は、タンパク質の機能的特徴決定のための好ましい方法である場
合が極めて多い。欠失変異体及び点変異体を作製するための多数の確立された方
法が存在するが、これらは、通常、極めて多くの時間及び労力を要する。欠失は
、通常、リンカー配列の導入により、又は様々な部分配列と相補的な末端を有す
るプライマーを使用したPCRにより作製される。一連の明確な欠失を全て得る
ためには、最初に制限切断部位を導入し、次いで所望の欠失を導入するためにそ
れらを使用する2段階法を実施することが必要である場合が多い。適切に設計さ
れたプライマー及び多断片ライゲーションを使用して、1段階でそのような欠失
を導入することも、原理的には可能であるが、成功の確率はかなり低い。これら
の全ての場合においては、野生型DNAが鋳型として存在しなければならないが
、本発明に係る方法においてはそれが必要でない。さらに、まず適当な部位を見
いださなければならない制限切断部位を導入する必要が全くないため、導入され
た突然変異がタンパク質配列の変化をもたらさないような欠失変異体を作製する
ことができる(いわゆるサイレント部位突然変異)。本発明に係る方法は、二重
又は三重の変異体の作製も可能にする。タンパク質の機能的マッピングのため、
前述のサイレント部位突然変異を使用して、任意の所望の欠失の作製を補助する
極めて多数の異なる制限エンドヌクレアーゼの制限切断部位を、その遺伝子配列
に導入することもできる。従って、多くの例において、古典的な突然変異分析を
省略し、その代わりに、より迅速かつ正確な本発明に係る方法を使用することが
できる。
【0043】 6.共役in vitro転写/翻訳系(「EasyPro(登録商標)」) 共役in vitro転写/翻訳系は、例えば、結合研究又は共沈アッセイの
ため、分析的規模でタンパク質を迅速に合成するために使用される。このために
は、発現させる配列を、RNAポリメラーゼのためのプロモーターを含有するベ
クターへクローニングする。このポリメラーゼは、mRNAを転写するために使
用され、mRNAは、RNA枯渇小麦麦芽又は網状赤血球の抽出物において所望
のタンパク質へと翻訳され、タンパク質は、通常、低い収率及びより簡便な検出
可能性のため、35S−メチオニン又はシステインで放射性標識される。はるかに
迅速な代替法が、本発明に係る方法に基づくEasyPro(登録商標)系であ
る。PCR産物と直接ライゲートしうる単一チミジン突出を、T7(SP6)プ
ロモーター、内部リボソーム結合部位、及びヘキサヒスチジンタグを含有するア
ンカーオリゴヌクレオチドのXcmIによる制限により生成させる。様々なリー
ディングフレームを有する3つのEasyPro(登録商標)アンカーオリゴヌ
クレオチドが、正確な方向でライゲートしている全てのPCR断片を翻訳するた
めに十分である。さらに、ターミナルトランスフェラーゼ、又は適切なスプリン
カーオリゴヌクレオチドとPCR産物の3′末端とのライゲーションが、RNA
転写物を安定化し、従ってより高い翻訳効率を保証する人工ポリAテールを、D
NA鋳型に容易に導入するために使用されうる。さらに、所望のタンパク質をコ
ードするDNA配列を、制限エンドヌクレアーゼによる切断の後、マッチする4
nt突出を有する修飾EasyPro(登録商標)アンカーと直接ライゲートさせ
てもよい。
【0044】 本発明のさらなる面は、迅速なタンパク質合成のためのミニリアクタの提供で
ある。ストレプトアビジン被覆ビーズとカップリングした発現−アンカー核酸配
列の転写が、ミニリアクタの下方反応室で起こる。得られたmRNAは、3′ポ
リAテールを介して、やはり下方反応室に存在するオリゴdTカップリングビー
ズと結合する。これは、網状赤血球抽出物においてmRNAが翻訳される場所で
もある。この室は、約200kDのMWCO(分子量排除)を有する限外濾過膜に
より、上部に位置する第2室と分離されている。この室は、目的のタンパク質と
結合することができるビーズを含有する(例えば、ヘキサヒスチジンタグを有す
るタンパク質の場合、Ni2+−NTAビーズ)。新鮮な低分子量反応物(アミノ
−アシル−tRNA、リボヌクレオチド3リン酸、CAP類似体、及びリン酸ク
レアチニン)を含有する緩衝溶液の継続的な供給により、作製は長期にわたり維
持される。結果として、合成されたタンパク質は、同時に、下方室から上方室へ
と押し出され、そこで、ビーズに捕捉される。別法として、この室は、付加的な
限外濾過膜により閉鎖されていてもよく、その排除サイズは、緩衝液及び比較的
小さい分子にとっては透過性であるが、所望のタンパク質にとっては透過性でな
いよう選択される。従って、タンパク質は、上方室に集結し、精製された形態で
そこから単離されうる。達成可能な収率は、大部分の分析的実験にとって適度で
あるのみならず、小規模なタンパク質発現実験の代わりにもなりうる。例えば、
様々なタンパク質変異体の特異的酵素活性を決定することが意図される場合、従
来は、これらを複雑な予備実験においてクローニングし、発現させ、精製しなけ
ればならなかった。本発明に係るEasyPro(登録商標)法には、これらの
工程のほぼ全てが既に統合されているため、これは、従来の方法よりも時間的に
大きく有利である。
【0045】 本発明に係る前述の方法の修飾は、抗体のエピトープマッピング、又はウイル
ス、細菌、もしくは真菌のタンパク質の免疫原性エピトープの同定(血清学的検
出系を迅速に設定するため)に特に必要とされるペプチドライブラリーを簡便か
つ安価に調製するために使用されうる。この修飾EasyPro(登録商標)の
ためには、アンカーオリゴヌクレオチドをスプリンカーとのライゲーションによ
り連続的に伸張させ、所望のペプチドをコードする配列を形成させる。最後の工
程において、C末端タグ、終止コドン、及びポリAテールをコードする予め形成
させた最終スプリンカーをライゲートさせる。ライゲーション産物を、記載され
たミニリアクタにおいて転写し翻訳する。翻訳及び数回の洗浄工程の完了後、特
異的プロテアーゼ、例えばエンテロキナーゼもしくはXa因子を使用して、Ea
syPro(登録商標)アンカーオリゴヌクレオチドによりコードされた切断部
位において最終ペプチドを切断し、上方反応室から洗浄除去する。これらのペプ
チドは、後続の試験のため、C末端タグの補助により固相と結合させることがで
きる。さらに、ペプチドは、既に精製された形態で存在しており、後続の適用に
直接使用されうる。同一のアンカーオリゴヌクレオチドが毎回使用され、必要と
されるスプリンカーオリゴヌクレオチドは既に製造されたセクションから2、3
工程でライゲートさせることができるため、コストは従来のペプチド合成よりも
低い。
【0046】 7.リボザイム又はアプタマーの作製 前記のタンパク質合成と同様に、アンカーオリゴヌクレオチドは、T7(SP
6)プロモーターを使用したRNAの作製及び突然変異誘発にも使用されうる。
伸張したスプリンカーオリゴヌクレオチド上のリボザイムをコードするDNA配
列は、アンカーオリゴヌクレオチド上のプロモーターモジュールとライゲートし
うるため、その系は、様々なリボザイムの合成に特に適している。特に、PCR
により容易に増幅されうる正確に明確なリボザイム鋳型ライブラリーを調製する
ことが可能である。リボザイム鋳型配列は、このためのクローニング操作を実施
する必要なしに、本発明に係る方法を使用して、ヌクレオチド上で正確に合成さ
れうる。リンク配列を導入することによりリボザイムを調製することができ、こ
れらのリボザイムを、次いで、リンク配列と相補的なDNA/RNAにより、ペ
プチド、核酸、脂肪族炭化水素、エステル、エーテル、又はアルコールのような
任意の化学化合物とカップリングさせることができる。この化合物が固相と結合
して存在する場合、この結合を切断するリボザイムが選択されうる。固相との結
合から「解放」されたリボザイムは、逆転写及び後続の非対称PCRにより一本
鎖DNA分子へと変換されうる。次いで、これらは、リンク配列により、適切に
修飾されたアンカーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、ライゲートする。
アンカーオリゴヌクレオチドは、T7ポリメラーゼの補助により再びリボザイム
を得ることができるよう、T7プロモーターを含有するよう構築される。不正確
な逆転写酵素(例えば、HIV RT)の使用は、ランダム突然変異の導入を可
能にする。選択圧は、高い活性を有するリボザイムが優先的に増幅されるよう、
インキュベーションを漸進的に短くすることにより増加させることができる。固
相との結合を媒介する能力を有するリボザイムは、同原理を使用して同様に選択
されうる。
【0047】 8.本発明に従い作製されたssDNAの診断における使用(PathoChe
ck(登録商標)) 感染性疾患の診断は、例えばPCRによる、病原体に関する直接的な試験を必
要とする場合が多い。特に、輸血薬においては、汚染された血液試料を確実に検
出し除去しうることが重要である。通常使用される血清学的アッセイは、ドナー
が既にある程度の時間感染しており、抗体が既に形成されている場合にのみ、こ
のことを保証する。例えば、HIV感染の場合、多量のウイルス複製が既に起こ
っていても、最大12週間の期間(極端な例ではそれ以上になることも)、血中
に抗体は検出されない。全試料のルーチンのPCR検査は、コストのため多くの
場所でほぼ不可能であるため、これは(実施されるとしても)各供血のプールに
対して実施される。これに関する問題は、分析に使用されうる材料の量に限界が
あるため、極めて高いはずの感度が減少する点である。ウイルスの大部分が細胞
外に存在するHIVのようなウイルス性疾患の場合、これは、遠心分離によりウ
イルスを濃縮することにより極めて良好に補償されうるが、主に細胞と会合して
いるウイルスの場合には、これは通常効率的でない。まず血液細胞からDNA又
はRNAを単離することも可能であるが、非特異的PCR産物が調節不可能に増
加するため、そのほんの一部のみがPCR反応に使用されうる。従って、そのよ
うな場合には、増幅する材料の予備選択を実施しなければならない。修飾アンカ
ーオリゴヌクレオチドを使用して本発明に係る方法に従い作製された一本鎖産物
が、このために使用される。この場合、2つの異なる相補鎖から構成されたアン
カーオリゴヌクレオチドが使用され、その一方の鎖は5′末端で修飾、例えばビ
オチン化されており、他方の鎖は3′末端で遮断されている。ウイルス配列の合
成後、一本鎖アンチセンスDNAが残存するよう、変性溶液による洗浄により、
非ビオチン化鎖を分離する。さらなる材料が必要とされる場合には、5′ビオチ
ン化部分的アンカーオリゴヌクレオチド、及び末端オリゴヌクレオチドを用いて
、これを増幅することができる。このPCR産物の一方の鎖のみがビオチン化さ
れ、他方は変性により分離されうる。このアンチセンスDNAは、アンチセンス
DNAとウイルスRNA又はDNAとを相互にハイブリダイズさせ、そのハイブ
リッドをストレプトアビジン被覆支持体と結合させ、ストリンジェント条件下で
非ハイブリダイズ成分を洗浄除去することにより、細胞溶解物又は核酸調製物の
ような複雑な混合物からウイルスRNA又はDNAを濃化するために使用されう
る。次いで、第2工程において、RNA又はDNAの非ハイブリダイズ部分由来
のプライマーを使用した従来のPCRにより、濃縮されたRNA又はDNAを増
幅し、検出することができる。これは、通常、産物のゲル電気泳動により実施さ
れ、又は、適切に修飾されたプライマーが使用されたならば、蛍光分析、又は後
続ELISAにより実施される。本発明に係る方法の利点は、ほぼ任意の量の出
発材料を使用することが可能であり、それが分析の感度を改良する点、異なる種
類の蛍光標識を有するプライマーを使用することにより、いくつかの標的を同時
に検査し、分別することも可能である点、及び細菌、真菌、又はウイルスのよう
な任意の病原体について使用されうる点である。増幅する配列の予備濃縮も、バ
ックグラウンド問題を大きく減少させる。適切な小型化により、1つのチップ上
で多数の異なる病原体について同時に試験することが可能であり、それは、分析
コストを大きく減少させる。
【0048】 9.遺伝子プロファイリング(GPro(登録商標)) 分子生物学研究においては、ある種の遺伝子の発現がRNAレベルで定量的に
検査されており、そして分子的診断においても、ますますそのようになっている
。このための標準的な道具は、通常、放射性標識プローブと共に使用されるノー
ザンブロット、S1マッピング、又はリボヌクレアーゼ防御アッセイ(RPA)
である。前記の一本鎖DNAは、この目的のためにも使用されうる。通常付加的
なエラー源となる、分析するRNAの予備精製が、このためには必要ない。本発
明に係るPathoCheck(登録商標)法と同様に、検査するmRNAを、
遺伝子特異的一本鎖アンチセンスDNAを有する、過剰の、修飾、例えばビオチ
ン化されたアンカーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、そして例えばス
トレプトアビジン被覆固相上に固定化する。全タンパク質、無関係な核酸、及び
その他の不純物を洗浄除去した後、これらのmRNAの別の部分と相補的な一連
の直接的又は間接的な蛍光標識スプリンカー配列を用いて標的mRNAを検出す
る。異なる遺伝子特異的アンチセンスDNA及び異なる標識を有する検出スプリ
ンカーオリゴヌクレオチドの使用は、数個の遺伝子の発現の同時分析を可能にす
る。方法全体が、単純な様式で完全に自動化されうる。分析する組織が大量のR
NAseを含有していない場合、カオトロピック緩衝液中での溶解及び/又はR
Nasinの添加が、RNAの完全性を保証するために十分である。反応混合物
中の異なるmRNAの同時検出よりも最大感度の方が重要である場合には、抗マ
ウスIg−ペルオキシダーゼ重合体のような多価二次試薬と結合する抗体を、蛍
光に基づく検出試薬の代わりに使用することができる。次いで、これらの複合体
を、後続の酵素反応において、例えば適当な基質の反応により生成した化学発光
により、検出する。特に頻繁に実施される研究の場合には、定量標準として合成
対照mRNAを含有するGPro(登録商標)キットを、予め製剤化することが
できる。
【0049】 10.ハイブリッドにより媒介されるライゲーションによる対立遺伝子同定(L
IMA(登録商標);ライゲーションにより媒介される変異型対立遺伝子の同定
) 特に、遺伝性疾患の出生前診断のため、そして、様々な薬物に対する個体の感
度を決定するためには、ある種の対立遺伝子の遺伝子型を確立しなければならな
い。これは、通常、検査する遺伝子座のゲノミックDNAからのPCR増幅、及
びそれに続く制限分析又は配列決定により実施される。第一の場合において、こ
れは、制限断片のゲル電気泳動による分離を必要とし、それは容易には自動化さ
れ得ない。これは、チップ配列決定法が使用されないのであれば、第2の場合に
も当てはまるが、この方法は未だ完全には開発されていない。本発明に従い調製
されたDNA断片は、この面にも使用されうる。先行条件は、それらが、既知の
分子的に同定された対立遺伝子でなければならない点である。次いで、本発明に
従い調製されるアンカーオリゴヌクレオチドを、突然変異の直前の遺伝子領域と
ハイブリダイズするよう、構築する。1個又は数個の蛍光標識を含有するもう1
つのオリゴヌクレオチドが、本発明に従い調製されたアンカーオリゴヌクレオチ
ドDNA及び蛍光標識オリゴヌクレオチドの2つの遊離の末端が、連続ハイブリ
ッドが形成されるときに相互に直接隣接し、共にライゲートしうるよう、遺伝子
の直接接続3′領域とハイブリダイズする。この部位の配列が異なっている場合
、末端は接着せず、従ってライゲーションが起こらない。代わりに、異なる蛍光
で標識されたオリゴヌクレオチドが、例えば対応する変異型配列と結合すること
ができ、従って異なる標識がビオチン化アンカーとライゲートする。各場合に結
合する蛍光色素及び従って各対立遺伝子を、レーザー励起により同定する。本発
明に係る方法の感度を増加させるため、検査する遺伝子座を増幅する予備的な非
対称PCRを、この場合に実施することも可能である。PCR及びハイブリダイ
ゼーションのための反応条件が均一であるならば、1個の試料から数個の異なる
対立遺伝子を同時に決定することが可能である。
【0050】 11.タンパク質アレイの直接相互作用分析(LISPA(登録商標)) ヒトゲノムプロジェクトの成功により、次の問題の1つは、約50,000個
の遺伝子を分類することである。基礎研究においてのみならず、急速に発展中の
分子医学の領域においても、これらの遺伝子が何をするのか、それらがどのよう
に相互に協力するのか、いかなる状況で、どのタンパク質、ペプチド、又は低分
子量物質が、どの他のタンパク質と結合するか、等を理解することが必要である
。そのようなタンパク質間の協調の第1の指標は、通常、各遺伝子産物の直接的
な物理的接触である。in vitroでタンパク質レベルでそのようなリンク
を検査するためには、通常、精製されたタンパク質調製物が必要となる。しかし
ながら、50,000個のタンパク質で、これを達成することは困難である。従
って、通常、潜在的な相互作用パートナーを同定するため、いわゆる酵母ツーハ
イブリッドスクリーニングのような遺伝学的方法が利用される。この方法は、従
来極めて良好な結果をもって使用されているが、にもかかわらず、アーチファク
トに対する感受性が極めて高く、面倒で、かつ現在の問題の複雑性にとっては適
当でない。この目的は、本発明に係る方法の組み合わせ、バイオチップと組み合
わせられた本発明に係るSloning(登録商標)法及びEasyPro(登
録商標)法により達成されうる。自動化された方法は、50,000個の遺伝子
を完全に合成し、発現させ、そして、それらにバイオチップの反応室における固
定化のための適当なタグを供給するために使用されうる。107〜108個という
量の分子が、通常、蛍光標識されたタンパク質又は低分子量化合物を用いた結合
研究にとって十分である。100kDタンパク質及び5mg/mlの濃度、分子約3×
1010個に相当するタンパク質溶液約1ナノリットルを、100×200×60
μmのウェルに沈着させることができる。1ウェル当たりの実際の結合許容量が
この値の約1%であると仮定すると、比較的大きいタンパク質の場合ですら、未
だ十分な材料が存在する。各ウェル間の間隙が約30μmであるならば、タンパ
ク質50,000個のライブラリー全体が、わずか20cm2のチップ上に収容さ
れうる。レーザーが、蛍光標識標的分子の結合前後の全ウェルにおける蛍光を測
定し、それから、相互作用の強度が計算される。タグのみが存在するウェルが、
非特異的対照として使用される。そのようなタンパク質アレイは、例えば、従来
検出不可能であった薬物と細胞タンパク質との結合を検出し、複雑なシグナル伝
達カスケードを理解するために使用されうる。
【0051】 12.固定化核酸アレイを使用したmRNAの平行分析(PAMINA(登録商
標)) 現代の薬物研究の焦点の1つは、各遺伝子の発現を選択的に操作することであ
る。この目的のためには、可能な限り広範に、他の遺伝子の発現に対する新規活
性物質の影響を検査することが必要である。シグナル伝達過程において、細胞の
分化、又は疾患により誘導される代謝変化の場合には、異なる遺伝子のカスケー
ド全体が、オン又はオフに切り替わることが多い。しかしながら、高等生物にお
ける遺伝子発現は複雑であるため、従来は、ほんの少数の遺伝子しか同時分析で
きなかった。しかしながら、ヒトゲノムの配列決定は、細胞の遺伝子発現全体の
包括的な平行分析のための将来の基礎を提供する。利用可能な配列情報から、ま
ず、コンピュータ化された配列比較を使用して、相互に最も低い相同性、すなわ
ち各遺伝子のための最も高度の特異性を有する各遺伝子内の領域を同定すること
が可能である。遺伝子特異的一本鎖アンチセンスアンカーDNAを、これらの遺
伝子セクションから導出し、次いで、それらをバイオチップ上にアレイとして固
定化される。アンチセンスアンカーDNAは、全RNA/DNAハイブリッドの
融解温度が狭い範囲内にあるよう、設計されうる。調査する細胞のRNA全体又
はポリA+−RNAと、このアレイとの最大ストリンジェンシー条件下でのハイ
ブリダイゼーションは、対応するmRNAが発現している場合に、バイオチップ
の各ウェル内にRNA/DNAハイブリッドを生成させる。第2工程において、
固定化されたアンチセンスアンカーDNAを、RNaseH逆転写酵素及び好ま
しくは蛍光標識されている修飾オリゴヌクレオチドによる処理により、ハイブリ
ダイズしたRNA鋳型上で伸長させる。取り込まれなかったヌクレオチドを分離
するための数回の洗浄過程の後、記載されたLISPA(登録商標)技術と同様
にして、cDNA反応産物を、各ウェルのレーザースキャニングにより測定する
ことができる。
【0052】 適用例 1.アンカーオリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌクレオチドの作製 アンカーオリゴヌクレオチド及びスプリンカーオリゴヌクレオチドは、Sinha
N.D.,Biernat J.,McManus J.,Koster H.,Nucleic Acids Res,1984年1月1
2日:11,4539−57により記載された標準的な方法に従い、又は大規模
合成の後の4分割、又はセルロース膜上での同時合成により調製した。
【0053】 2.修飾による標識 標準的な方法によりオリゴヌクレオチドを修飾した。
【0054】 3.マトリックスとのカップリング ビオチン標識キナーゼ処理アンカーオリゴヌクレオチド20〜200pmolを、
1×TE/1M NaCl、pH7.5中で50μlの総容量で、ストレプトア
ビジンカップリング磁性化ビーズ(MERCK)10μlに添加し、ローラー上
で室温で30分間インキュベートした。続いて、未結合アンカーオリゴヌクレオ
チドを、毎回1×TE、pH7.5 500μlで、3回緩衝液を交換すること
により洗浄除去した。
【0055】 4.第1ライゲーション工程 T4 DNAリガーゼ(Boehringer Mannheim又はNew England Biolabs)1〜
5単位を含有する1×リガーゼ緩衝液(Boehringer Mannheim)中50μlの容量
で、4℃、16℃、室温、又は37℃(標準16℃)で、15〜60分間ライゲ
ーションを実施した。通常、リン酸化アンカーオリゴヌクレオチド20pmolをラ
イゲーションに使用した。5′末端をリン酸化されたスプリンカーオリゴヌクレ
オチドを、1.5〜5倍モル過剰で添加した。反応後、リガーゼ及びライゲート
しなかったスプリンカーオリゴヌクレオチドを、毎回1×TE、pH7.5 5
00μlで、3回緩衝液を交換することにより洗浄除去した。その後、1.25
×制限緩衝液(Boehringer Mannheimの緩衝液A又はNew England Biolabsの緩衝
液A)中にスプリンカー特異的制限酵素Eco31Iを含有する反応混合物40
μlを、洗浄されたビーズに添加した。続いて、それらを前記のようにして洗浄
した。
【0056】 5.第2ライゲーション工程 セクション4に記載のプロトコルに従い、他のスプリンカーオリゴヌクレオチ
ドを用いて、さらに4回のライゲーションを実施した。
【0057】 6.転移 第5ライゲーションの後、適切な製造業者特異的緩衝液中のアンカー特異的制
限酵素Esp3I又はBpiIの混合物を、洗浄後に添加し、37℃で30〜6
0分間インキュベートした。反応後、切断されたライゲートしたスプリンカーオ
リゴヌクレオチドを含む完全な混合物を取り出し、制限酵素を不活化するため、
異なる反応容器で65℃で15分間、熱処理し、次いで他の反応容器で、磁性化
ストレプトアビジンビーズとカップリングした適切にライゲートしたアンカーオ
リゴヌクレオチドとライゲートさせた。
【0058】 7.ライゲートした断片の制限調節 切断されたスプリンカーオリゴヌクレオチドの正確なサイズをモニターするた
め、反応混合物のうちの5μlを、18%1×TBEポリアクリルアミドゲル上
で分離し、1×TBE中の0.01%SYBR−Gold(登録商標)で10分
間染色し、UV光で可視化した。1〜2塩基長の差が、そのようなゲル上で検出
されうる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る方法の概略を示す図である。Bioは、アンカーオリゴヌクレオ
チドを固体マトリックス(例えば、ストレプトアビジン)とカップリングさせる
ために使用される修飾(例えば、ビオチン)を意味する。T、G、C、A及びN
は、核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグアニジン、Cはシトシン、Aはア
デニン、Nは4つの核酸塩基のうちのいずれかを意味する。
【図2】 PCR断片のEasyPro(登録商標)転写/翻訳系の構造を概略的に示す
図である。Bioは、アンカーオリゴヌクレオチドを固体マトリックスとカップ
リングさせるために使用される修飾を意味する。5′UTRは、5′非翻訳領域
を意味する。ATGは開始コドンを意味する。6×Hisはヒスチジンコドン6
個の配列を意味する。単一T突出は、チミジン残基1個の突出を意味する。
【図3】 タンパク質合成のためのミニリアクタの概略を示す図である。
【図4】 QuickPep(登録商標)法を使用したペプチドライブラリーの作製の概
略図である。Bioは、アンカーオリゴヌクレオチドを固体マトリックスとカッ
プリングさせるために使用される修飾を意味する。T7は、T7プロモーターを
意味する。rbsは内部リボソーム結合部位を意味する。ATGは開始コドンを
意味する。EKは、エンテロキナーゼ切断部位を意味する。ペプチドORFは、
ペプチドのオープンリーディングフレームを意味する。STOPは終止コドンを
意味する。ポリAはポリAテールを意味する。
【図5】 RiboSelect(登録商標)法を使用したリボザイムの選択の概略を示
す図である。
【図6】 PCRによる増幅後の病原体の検出(PathoCheck(登録商標))の
概略を示す図である。Bioは、アンカーオリゴヌクレオチドを固体マトリック
スとカップリングさせるために使用される修飾を意味する。
【図7】 標識スプリンカーのライゲーションによる既知の対立遺伝子の同定(LIMA
(登録商標))の概略を示す図である。Bioは、アンカーオリゴヌクレオチド
を固体マトリックスとカップリングさせるために使用される修飾を意味する。x
は、決定された修飾が存在する部位を意味する。
【図8】 mRNAアレイの平行分析(PAMINA(登録商標))の概略を示す図であ
る。
【図9】 アンカーオリゴヌクレオチドの概略を示す図である。Bioは、アンカーオリ
ゴヌクレオチドを固体マトリックスとカップリングさせるために使用される修飾
を意味する。T、G、C、Aは、核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグアニ
ン、Cはシトシン、Aはアデニンを意味する。Esp3Iは制限酵素をさす。
【図10】 アンカーオリゴヌクレオチドの概略を示す図である。Bioは、アンカーオリ
ゴヌクレオチドを固体マトリックスとカップリングさせるために使用される修飾
を意味する。T、G、C、Aは、核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグアニ
ン、Cはシトシン、Aはアデニンを意味する。BpiIは制限酵素をさす。
【図11】 2部アンカーオリゴヌクレオチドの概略を示す図である。Bioは、アンカー
オリゴヌクレオチドを固体マトリックスとカップリングさせるために使用される
修飾を意味する。T、G、C、Aは、核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグ
アニン、Cはシトシン、Aはアデニンを意味する。
【図12】 スプリンカーオリゴヌクレオチドの概略を示す図である。T、G、C、Aは、
核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグアニン、Cはシトシン、Aはアデニン
を意味する。BsaI及びEco31Iは制限酵素をさす。
【図13】 2部スプリンカーオリゴヌクレオチドの概略を示す図である。T、G、C、A
は、核酸塩基を意味し、Tはチミジン、Gはグアニン、Cはシトシン、Aはアデ
ニンを意味する。BsaI及びEco31Iは制限酵素をさす。
【図14】 本発明に係る方法を使用した、長い核酸の合成経路の概略を示す図である。バ
ーは、連続的なライゲーション/制限サイクルにより平行合成された二本鎖DN
A断片を表す。ライゲートしたスプリンカーを、ライゲートしたアンカーとライ
ゲートさせることにより、毎回、最終産物の隣接セクションを連結する。次いで
、このようにして得られた大きな断片を、次の工程で、アンカー又はスプリンカ
ーのいずれかに特異的な制限エンドヌクレアーゼで再び切断し、断片長が1工程
毎に2倍となるよう、相補的突出等によって共に連結させる。使用される制限エ
ンドヌクレアーゼの認識配列は、毎回、ライゲートした断片の切断除去される部
分に位置しており、従って成長する核酸には取り込まれないため、連結は完全に
配列と無関係である。バーの上の数字は、断片のサイズを塩基対で意味している
。従って、20塩基対のサイズのDNA断片から出発して、これにより、最大長
は、4回の転移の後に320塩基対、5回の転移の後に640塩基対、6回の転
移の後に1280塩基対、7回の転移の後に2560塩基対等となる。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年9月13日(2001.9.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA31 CA01 CA09 HA12 HA19 4B029 AA23 AA27 4B064 AF27 CA21 CB30 CC24 DA01 DA10 DA11 DA13 DA16

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)オリゴヌクレオチドの一端を、固体マトリックスとカッ
    プリングさせる工程(ここで、カップリングは修飾により実施される、オリゴヌ
    クレオチドは、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有す
    る)、 b)少なくとも部分的に二本鎖であり、かつ認識配列の外側を切断するIIS型
    制限酵素の工程a)とは異なる認識配列を含有する追加のオリゴヌクレオチドを
    付加する工程(ここで、このオリゴヌクレオチドはマトリックスと結合すること
    ができない)、 d)工程a)及びb)からのオリゴヌクレオチドを、ライゲートさせない末端の
    遮断により決定された方向でライゲートさせる工程、 e)未消費の反応物及び酵素を除去する工程、 e)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
    切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産物を切断す
    る工程、 f)このようにして伸長した核酸分子を反応混合物から分離する工程:を含む、
    核酸分子の作製のための方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のa)〜d)、 e)工程b)からのオリゴヌクレオチドの核酸配列に切断が起こるよう、認識配
    列の外側を切断するIIS型制限酵素により、工程c)からのライゲーション産
    物を切断する工程、 f)工程e)において得られた工程a)からの伸長されたオリゴヌクレオチドか
    ら反応混合物を分離する工程、 g)工程b)〜f)を少なくとも1回反復する工程:を含む、核酸分子の作製の
    ための方法。
  3. 【請求項3】 さらに、 h)工程a)からのオリゴヌクレオチドに切断が起こるよう、認識配列の外側を
    切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程を含み、場
    合により i)工程b)からのオリゴヌクレオチドの核酸配列に切断が起こるよう、認識配
    列の外側を切断するIIS型制限酵素により、得られた核酸分子を切断する工程
    を含む、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 得られた核酸分子の反応混合物からの分離をさらに含む、請
    求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程b)において使用されるオリゴヌクレオチドが、請求項
    1〜4記載の方法により作製された核酸分子である、請求項1〜4いずれか1項
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 工程c)の後、工程c′)として、エキソヌクレアーゼ及び
    /又はホスファターゼ反応を実施する、請求項1〜5いずれか1項に記載の方法
  7. 【請求項7】 工程c′)の反応混合物を反応後に除去する、請求項6記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 工程a)からのオリゴヌクレオチドの、マトリックスとカッ
    プリングしていない末端が、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識
    配列の一部を含有し、かつこの制限酵素の認識配列のその他の部分が工程b)か
    らのオリゴヌクレオチドに由来する、請求項1〜7いずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 修飾がビオチン残基、ジゴキシゲニン残基、フルオレセイン
    イソチオシアネート残基、アミノ化合物、又はスクシニルエステルである、請求
    項1〜8いずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 工程a)及び/又はb)からのオリゴヌクレオチドがルー
    プを有する、請求項1〜9いずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 工程a)からのオリゴヌクレオチドを、ループ領域におけ
    る修飾を介して固体マトリックスとカップリングさせる、請求項10記載の方法
  12. 【請求項12】 固体マトリックスがビーズ、好ましくはガラス製又はポリ
    スチレン製のビーズ、顕微鏡スライド、DNAチップ、マイクロタイタープレー
    トのウェル、又はテストチューブである、請求項1〜11いずれか1項に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 固体マトリックスがストレプトアビジン残基、抗ジゴキシ
    ゲニン抗体、又は抗フルオレセインイソチオシアネート抗体を含む、請求項1〜
    12いずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 工程a)及びb)からのオリゴヌクレオチドが、ライゲー
    トさせる末端に、相互に相補的な一本鎖突出を有する、請求項1〜13いずれか
    1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 一本鎖突出が1、2、3、4又は5ヌクレオチド長である
    、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 様々なIIS型制限エンドヌクレアーゼが、類似の様式で
    切断するリボザイムと交換される、請求項1〜15記載の方法。
  17. 【請求項17】 工程b)におけるオリゴヌクレオチドが、PCR産物、プ
    ラスミドベクター、ファージもしくはウイルスのDNA、人工染色体、又はその
    他の合成DNAである、請求項1〜16いずれか1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 a)1〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチ
    ドのライブラリー(ここで、オリゴヌクレオチドは一端で修飾により固体マトリ
    ックスとカップリングすることができ、かつ、該オリゴヌクレオチドは認識配列
    の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列又は認識配列の一部を含有する)
    、 b)4〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチドの付加的なライブラ
    リー(ここで、各オリゴヌクレオチドは、a)からのIIS制限酵素とは異なる
    、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有し、かつ工程a
    )からの制限酵素の認識配列のその他の部分を場合により含有する)、 c)固体マトリックス、 d)核酸分子を作製するために必要とされる酵素及び/又はその他の試薬のため
    の貯蔵器:を含む、請求項1〜17いずれかに記載の本発明に係る方法に従い、
    核酸を作製するためのキット。
  19. 【請求項19】 a)1〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチ
    ドのライブラリー(ここで、オリゴヌクレオチドは一端で修飾により固体マトリ
    ックスとカップリングすることができ、かつ、該オリゴヌクレオチドは認識配列
    の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列又は認識配列の一部を含有する)
    、 b)4〜1,048,576個の異なるオリゴヌクレオチドの付加的なライブラ
    リー(ここで、各オリゴヌクレオチドは、a)からのIIS制限酵素とは異なる
    、認識配列の外側を切断するIIS型制限酵素の認識配列を含有し、かつ工程a
    )からの制限酵素の認識配列のその他の部分を場合により含有する)、 c)固体マトリックス、 d)核酸分子を作製するために必要とされる酵素及び/又はその他の試薬のため
    の貯蔵器、並びに e)a)及び/又はb)からの各オリゴヌクレオチドを同定し、c)からの固体
    マトリックス、並びにd)からの必要とされる酵素及び/又はその他の試薬とそ
    れらを接触させ、かつ合成工程を決定し実施することができるコントロールプロ
    グラム、を含有することを特徴とする、請求項1〜16いずれか1項に記載の方
    法に従い、核酸分子を自動的に作製するための装置。
  20. 【請求項20】 DNAワクチンとしての、タンパク質ドメインを分析する
    ための、デザイナータンパク質の鋳型としての、迅速タンパク質合成のための、
    リボザイム又はアプタマーの作製のための、病原性微生物検出用プローブとして
    の、遺伝子発現検出用プローブとしての、対立遺伝子特異的突然変異の検出のた
    めの、タンパク質/タンパク質結合、タンパク質/ペプチド結合、及び/又は低
    分子量物質とタンパク質との結合の検出のための、前記方法のいずれかに従い作
    製された核酸分子の使用。
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