JP2003500056A - 分子シャペロンを用いるタンパク質コンホメーションの調節方法 - Google Patents

分子シャペロンを用いるタンパク質コンホメーションの調節方法

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ブカウ,ベルント
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ロシュ ダイアグノスティックス ゲーエムベーハー
ブカウ,ベルント
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、分子シャペロンを用いてタンパク質のコンホメーションを調節する方法を提供する。本発明のシャペロンは、誤った折りたたみおよび凝集を含む種々のタンパク質コンホメーションの問題に適用可能である。本発明の分子シャペロン系は、DnaK系およびClpBを含み、タンパク質コンホメーションを調節するための特に有効なツールを提供する。本発明のさらなる主題は、新規コシャペロンClpSである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、タンパク質のコンホメーションの調節用の分子シャペロンの使用、
新規なシャペロン機構、およびコシャペロン(cochaperone )に関する。全ての
特許、公開済み特許出願、および本明細書中の他の引例は、その全体が本明細書
中で参考として援用される。
【0002】 タンパク質の機能的活性は、折りたたまれたタンパク質の低いコンホメーショ
ンの安定性によって達成される、構造安定性と可動性との間の均衡を必要とする
。この均衡に対する絶対性とは、正確および不正確な折りたたみならびに天然お
よび非天然構造が小さなエネルギー障壁のみによって頻繁に分離することであり
(JaenickeおよびSeckler 、1999)、アミノ酸配列または折りたたみ環境のわず
かな変化により、タンパク質の折りたたみおよび構造の完全性に劇的な影響を与
え得る。実際、タンパク質の誤った折りたたみ(misfold )は、熱および酸化ス
トレスを含む種々のストレス状況の主要な損傷の結果である(Bukau 、1999)。
誤って折りたたまれた(misfolded )タンパク質は、一般に、疎水性表面に暴露
されているので、細胞間凝集を起こす傾向があり、この過程は長い間インビボで
不可逆性であると考えられていた。タンパク質凝集は、生物医学的に重要であり
、アミロイドーシスおよびプリオン病を含むいくつかの環病態生理学的状態の原
因として示唆されている(Horwich およびWeissman、1997、Lindquist 、1997、
Prusiner、1997、Thomasら、1995、Wetzel、1996)。さらに、封入体の付随物と
の凝集は、宿主細胞中で過剰産生される組換えタンパク質の頻繁に起こる運命で
あるので、生物工学において非常に重要である(Lilie ら、1998、Mitraki およ
びKing、1989)。
【0003】 タンパク質の誤った折りたたみおよび凝集についての1つの解決法には、誤っ
て折りたたまれたタンパク質の凝集を防止し、且つタンパク質再折りたたみを補
助するかまたは凝集の分解を促進するプロテアーゼと共同することができる分子
シャペロンが含まれる(Bukau 、1999、Hartl 、1996、Morimotoら、1994)。H
sp90(HtpG)および小さなHSP(IbpAおよびIbpB)を含む多
くのシャペロンは機能的ネットワークを形成し、誤って折りたたまれたタンパク
質の凝集を防止するホルダーとして作用する(大腸菌ホモログを括弧内に示す)
。他のシャペロン(特に、それぞれコシャペロン(GroELについてはGro
ES、DnaKの場合はDnaJおよびGrpE)を含むHsp60(GroE
L)およびHsp70(DnaK)熱ショックタンパク質)は、凝集を防止する
だけでなく再折りたたみを補助するフォルダーとして作用する(Buchbergerら、
1996、Ehrnsperger ら、1998、Freeman ら、1996、Johnson およびCraig 、1997
、Langerら、1992、Veinger ら、1998)。他のシャペロン(特に、真正細菌の誘
発因子)は、生合成中にリボゾームと会合して初期ポリペプチドと相互作用する
。インビボでのタンパク質折りたたみにおける誘発因子の役割は文献には記載さ
れていない。
【0004】 シャペロンの活性に固有な特徴は、タンパク質折りたたみ中間体と反復して相
互作用し、シャペロンから基質を解離させて天然の状態に折りたたむか同一また
は別の型のシャペロンと再結合させる能力である。これらの基質相互作用サイク
ルにより、ATP結合および加水分解によって多くのシャペロンが制御される。
細胞は限られたシャペロン活性能力しか有さないことが示されており(Craig お
よびGross 、1991、Tatsuta ら、1998、Tomoyasuら、1998)、これにより、シャ
ペロンによるタンパク質折りたたみ過程の補助が組換えタンパク質の過剰産生中
および細胞の病態生理学的ストレス下で律速となり得ることが示唆される。
【0005】 シャペロン活性の多数の不明な局面は、既存のタンパク質凝集を解決し、再折
りたたみを媒介する潜在性がある。大腸菌のDnaKシャペロンは、そのコシャ
ペロンと会合して、大腸菌の熱変性RNAポリメラーゼをゆっくりと離解する能
力を有する(Skowyra ら、1990、Ziemienowiczら、1993)。しかし、全ての他の
報告された例では、Hsp70ファミリーメンバーは離解活性を全く示さないか
わずかに示すのみであるので、この離解活性はDnakの異型であり、Hsp7
0ファミリーの他のメンバーであるようである(例えば、Schroderら、1993)。
それに対して、S.cerevisiaeのHsp100ファミリーメンバー(Hsp104
熱ショックタンパク質)は、熱変性ホタルルシフェラーゼおよびβガラクトシダ
ーゼを離解することが示されているので、Hsp70シャペロン系はこれらの酵
素を再折りたたみ可能である(GloverおよびLindquist 、1998、Parsell ら、19
94)。
【0006】 公開された証拠は、分子シャペロンの細胞系の非常に種々のタンパク質折りた
たみ過程を補助する高い潜在性を示す。しかし、タンパク質の凝集保護およびイ
ンビボでのタンパク質の離解および/または再折りたたみについての個々の細菌
のシャペロンの特定の役割について公表された知識ならびにタンパク質の離解お
よび再折りたたみにおける細菌シャペロンの一般的な活性についての情報は限ら
れている。
【0007】 本発明は、凝集タンパク質の離解および再折りたたみならびに誤って折りたた
まれたタンパク質の再折りたたみを媒介する細胞タンパク質(集合的に分子シャ
ペロンと呼ぶ)の使用に関する。本発明は、さらに、広範な凝集タンパク質の有
効な離解および再折りたたみを媒介するための大腸菌の2つのシャペロン系(C
lpB(Hsp100タンパク質)およびDnak系(DnaKを含む、Hsp
70タンパク質))の組み合わせを特徴とする。シャペロンのこの組み合わせは
、大腸菌および他の宿主細胞における過剰産生の際の組換えタンパク質の凝集体
および封入体の形成の予防および逆行ならびに可溶性かつ活性な組換えタンパク
質の産生量の増加に有用である。これらのシャペロンをインビボ(特に、排他的
ではないが大腸菌)およびインビトロで使用することができる。本発明はまた、
例えば、本明細書中に開示の分子シャペロン系を使用した、タンパク質の誤った
折りたたみおよび凝集に起因する疾患の治療法を提供する。
【0008】 従って、ある局面では、本発明は、標的タンパク質のコンホメーションを調節
するための標的タンパク質と少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそ
のホモログを含む第1のタンパク質および少なくともHsp70タンパク質また
はそのホモログを含む第2のタンパク質との接触による、標的タンパク質のコン
ホメーションの調節方法である。
【0009】 本発明は、組換え発現ベクター系を提供する。ある態様では、1つの組換え発
現ベクターは少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログおよ
び少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログをコードする。発
現ベクターは、さらに、Hsp100およびHsp70タンパク質ならびに目的
のタンパク質の一方また両方の1つまたは複数のシャペロンをコードすることが
できる。別の態様では、1つのベクターを使用して、分子シャペロン系の各タン
パク質成分を発現させる。
【0010】 別の態様では、本発明は、ベクターまたはベクター系で形質転換された宿主細
胞を提供する。好ましい態様では、宿主細胞を、目的のタンパク質および上記の
分子シャペロン系を組換えによって発現するように操作する。本発明の実行では
、例えば、そのように操作された宿主細胞の使用によって、目的のタンパク質の
凝集および誤った折りたたみの阻害により、分子シャペロン系が組換えによって
発現しない細胞と比較して目的のタンパク質の活性コンホメーションの収量を増
加させることができる。
【0011】 本発明の別の局面は、凝集タンパク質を、凝集タンパク質を離解させるための
少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログおよびHsp70
タンパク質またはそのホモログを含む分子シャペロン系と接触させることによる
、インビトロでの凝集タンパク質の離解法である。別の態様では、本発明は、組
換え発現タンパク質の可溶性を増大させるための、少なくとも1つのHsp10
0タンパク質またはそのホモログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質
またはそのホモログを含む分子シャペロン系の同時発現による組換え発現タンパ
ク質の可溶性の増大方法を提供する。
【0012】 別の態様では、本発明は、タンパク質の誤った折りたたみまたは凝集を防止す
るための、治療有効量の少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホ
モログ(好ましくは原核生物ホモログ)およびHsp70タンパク質またはその
ホモログ(好ましくは原核生物ホモログ)を有する分子シャペロン系を投与する
工程を含む、タンパク質の誤った折りたたみまたは凝集による細胞死の防止方法
である。
【0013】 本発明はまた、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログ
およびHsp70タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペロン系の治
療有効量の投与により疾患を治療する、タンパク質の誤った折りたたみおよび凝
集による動物の疾患の治療法を提供する。本発明はまた、本明細書中に開示の分
子シャペロン系をコードするポリ核酸分子を使用した疾患を治療するための遺伝
子治療を提供する。
【0014】 本発明のさらなる態様は、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそ
のホモログ(好ましくは原核生物ホモログ)およびHsp70タンパク質または
そのホモログ(好ましくは原核生物ホモログ)を含む分子シャペロン系の有効量
ならびに薬学的に許容されうるキャリアを含んでなる医薬組成物である。
【0015】 本発明の別の態様は、インビトロでの折りたたみ効率を増大させるために、イ
ンビトロタンパク質合成系に、少なくとも1つのHsp70タンパク質またはホ
モログ有りまたは無しで誘発因子を添加することにより、インビトロでタンパク
質の折りたたみ効率を増大する方法である。
【0016】 別の局面では、本発明は、離解においてHsp100タンパク質またはそのホ
モログを調節することができるClpSタンパク質およびその誘導体をコードす
る単離されたポリヌクレオチドである。ある態様では、本発明は、離解において
Hsp100ホモログを調節することができるClpおよびその誘導体などのポ
リペプチドを提供する。さらなる態様は、離解におけるHsp100タンパク質
またはそのホモログの調節方法を含む。
【0017】 本発明はまた、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログ
の第1のタンパク質およびHsp70タンパク質またはそのホモログの第2のタ
ンパク質を含むタンパク質コンホメーションを調節するための分子シャペロン系
を提供する。
【0018】 発明の詳細な説明 定義 本発明をさらに説明する前に、便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許
請求の範囲において使用される所定の用語を集めて説明する。
【0019】 「DNA」は、一本鎖または二本鎖のデオキシリボ核酸をいう。
【0020】 「相補DNA」(cDNA)は、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)の逆転
写によって得られた核酸配列を有するDNAである。
【0021】 「組換え遺伝子発現」(組換え、遺伝子組換え、または組換え発現ともいう)
は、宿主細胞が目的のポリペプチドをコードすることができるように目的のポリ
ペプチドまたはタンパク質をコードする核酸分子を使用して宿主細胞を形質転換
する方法をいう。プラスミドまたはベクターを使用して、宿主細胞中に核酸分子
を移入することができる。プラスミドまたはベクターは、目的の遺伝子または核
酸配列に加えて、選択マーカーまたは表現型を発現する遺伝子および一定の条件
下で目的の遺伝子発現を調節(誘導または阻害)することができる遺伝子を含む
ことができるが、必要であるわけではない。
【0022】 「タンパク質のコンホメーション」は、その折りたたみおよび機能を含むタン
パク質の構造をいう。正常なタンパク質は一般に、活性(すなわち、正常な機能
を発揮することができる)である。不活性タンパク質は、その正常な機能を発揮
することができないか正常な速度でその正常な機能を発揮することができない。
タンパク質の不活性は、誤った折りたたみを含む多数の要因の結果であり得る。
誤って折りたたまれたタンパク質は、凝集し得る。
【0023】 「タンパク質凝集」は、繊維、無定形凝集塊、封入体、二量体、三量体、また
は少なくとも1つのタンパク質が誤って折りたたまれているかまたは不活化され
ている1つより多くのタンパク質の他のタンパク質形態である。
【0024】 「可溶性タンパク質」は、凝集しないが誤って折りたたまれ得るタンパク質で
ある。
【0025】 「分子シャペロン」は、タンパク質コンホメーションを調整、調節、または補
助するタンパク質である。分子シャペロンは、タンパク質を正確に折りたたむか
、再折りたたみするか、凝集を防止するか、タンパク質を離解することができる
タンパク質である。分子シャペロンの例は、DnaKであるが、多くの異なる種
類のシャペロンが種内、さらに種間のホモログに存在する。
【0026】 「コシャペロン(cochaperone )」は、コシャペロンがタンパク質コンホメー
ションにおいてその機能を発揮する能力を改良するタンパク質である。コシャペ
ロンの例には、ClpSならびにDnaK機能を補助するDnaJおよびGrp
Eが含まれるが、これらに限定されない。後者が共に本発明に好ましい。
【0027】 「分子シャペロン系」は、分子シャペロンおよびコシャペロンまたは第2のシ
ャペロンのいずれかを含む。Hsp70およびHsp100タンパク質は、Lind
quist に付与された米国特許第5,827,685 号に詳細に記載されている。本明細書
中で使用される、Hsp70およびHsp100の「ホモログ」は、一般に、種
々の種に存在し、例えば、大腸菌に見出すことができる。適切な原核生物ホモロ
グは、ClpA、ClpB、およびClpxXである。例えば、ClpBは大腸
菌Hsp100タンパク質ホモログであり、これは特に本発明に好ましく、より
詳細には、Hsp104に対応する。DnaKは大腸菌のHsp70タンパク質
である。DnaJおよびGrpEは大腸菌のDnaKコシャペロンであり、その
ホモログは単原核生物およびさらに真核生物に存在する。
【0028】 本発明のタンパク質および核酸分子に言及する場合、用語「ファミリー」は、
共通の構造ドメインおよび本明細書中で定義の十分なアミノ酸またはヌクレオチ
ド配列相同性を有する2つまたはそれ以上のタンパク質または核酸分子を意味す
ることを意図する。このようなファミリーメンバーは天然に存在し、且つ同一ま
たは異なる種のいずれか由来であり得る。例えば、ファミリーにはヒト起源の第
1のタンパク質ならびにヒト起源の別のタンパク質を含み得るか、非ヒト起源の
ホモログを含み得る。ファミリーメンバーはまた、共通の機能特徴を有し得る。
【0029】 「DnaK系」は、DnaKならびにコシャペロンDnaJおよびGrpEを
いう。
【0030】 「GroEL−GroES系」は、Gso60タンパク質(GroEL)およ
びそのコシャペロン(GroES)である。
【0031】 「目的のタンパク質」、「標的タンパク質」、および「基質」は、交換可能に
使用され、任意のタンパク質またはポリペプチドをいうという点で同一の意味を
共有する。インビボ、インビトロ、単離、または精製された組換え発現タンパク
質をいう場合に「目的のタンパク質」をしばしば使用するが、特記しない限り任
意のタンパク質またはポリペプチドをいう。組換え発現または合成の際に作用す
べき任意のタンパク質をいう場合に「標的タンパク質」をしばしば使用するが、
特記しない限り任意のタンパク質またはポリペプチドをいう。作用すべき任意の
タンパク質またはポリペプチドをいう場合に「基質」をしばしば使用するが、特
記しない限り任意のタンパク質またはポリペプチドをいう。
【0032】 「ベクター系」は、組換え発現ベクター系である。1つの例では、組換え発現
ベクターは、1つまたはそれ以上の目的のタンパク質をコードすることができる
。別の例では、ベクターは、1つ、2つ、3つなどのタンパク質を発現すること
ができる。宿主細胞を、1つまたは複数のベクター系で形質転換することができ
る。好ましいベクター系は、Bujardおよびcoworkers (LutzおよびBujard、1997
)によって開発されたカセット様プラスミド系であり、これを使用して組換えベ
クター系を配置する。
【0033】 本明細書中で使用される、「ポリペプチド誘導体/タンパク質誘導体」は、ア
ミノ酸配列に記載されているか公知の配列または配列を含まない方法における配
列またはその両方と異なり、ポリペプチドまたはタンパク質活性が保存されてい
るポリペプチド/タンパク質配列をいう。1つまたは複数のアミノ酸が異なる天
然のアミノ酸、アミノ酸誘導体、または非天然アミノ酸と置換された場合、アミ
ノ酸配列の誘導体が産生される。特に好ましい態様は、配列が1つまたは複数の
保存的アミノ酸置換によって野生型配列と異なり、典型的なタンパク質もしくは
ペプチドの二次構造および疎水性への影響が最小の天然に存在するポリペプチド
もしくはタンパク質または生物学的に活性なフラグメントを含む。誘導体はまた
、ポリペプチドまたはタンパク質の生物活性を破壊しない1つまたはそれ以上の
非保存的アミノ酸置換、欠失、または挿入によって異なる配列を有し得る。保存
的置換(置換基)は、典型的には、1つのアミノ酸と以下の群内の置換などの類
似の特徴を有する別のアミノ酸との置換が含まれる:バリン、グリシン;グリシ
ン、アラニン;バリン、イソロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパ
ラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニ
ルアラニン、チロシン。無極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、
イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、および
メチオニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン
、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正電荷
(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれる。
負電荷(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。
【0034】 他の保存的置換を表1に記載することができるが、さらに他の置換がDayhoffi
n のthe Atlas of Protein Sequence and Structure (1988)に記載されている
【0035】
【表1】
【0036】 本発明の他の誘導体は、ペプチド安定性を増大させる修飾を有するものである
。このような誘導体は、例えば、ペプチド配列中に1つまたはそれ以上の非ペプ
チド結合(ペプチド結合に代わる)を含み得る。天然に存在するL型アミノ酸以
外の残基(D型アミノ酸など)または非天然もしくは合成アミノ酸(βまたはα
アミノ酸および環状誘導体など)を含む誘導体もまた含まれる。ポリペプチドへ
のL型アミノ酸のかわりのD型アミノ酸の組み込みにより、プロテアーゼ耐性が
増加し得る。米国特許第5,219,990 号を参照のこと。
【0037】 変化によりその使用に一定の利益を得ることができる場合に、本発明のポリペ
プチドおよびタンパク質を、保存的または非保存的な挿入、欠失、およびB置換
などの種々の変化によって修飾することもできる。
【0038】 別の態様では、電荷、コンホメーション、および他の生物学的性質の変化によ
る低保存的アミノ酸置換誘導体により所望の誘導体を得ることもできる。このよ
うな置換には、 例えば、親水性残基の疎水性残基への置換、システインまたはプ
ロリンの別の残基への置換、小さな側鎖を有する残基の大きな側鎖を有する残基
への置換、または正味の正電荷を有する残基の正味の負電荷を有する残基への置
換が含まれる。所与の置換の結果が確実に予測できない場合、誘導体を本明細書
中に開示の方法によって迅速にアッセイして、所望の特徴の有無を同定すること
ができる。
【0039】 本発明の範囲内にある誘導体には、本明細書中に記載のポリペプチドおよびタ
ンパク質と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質
およびペプチドが含まれる。より好ましくは、配列相同性は少なくとも90%、
さらにより好ましくは少なくとも95%である。
【0040】 骨格の置換基を置換することが可能であるように、骨格を装飾する官能基を類
似の特徴によって特徴づけられる基と置換することが可能である。このような置
換は、 最初は保存的である。すなわち、置換基は、元の基とほぼ同一のサイズ、
形、疎水性、および電荷を有する。非配列修飾には、例えば、天然に存在するポ
リペプチドまたはタンパク質の一部のインビボまたはインビトロ化学的誘導体、
ならびにアセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化、またはグリコシル
化が含まれる。
【0041】 さらなる態様では、活性が保存される化学修飾によってタンパク質を修飾する
。例えば、タンパク質を、アミド化、硫酸化、単数または多数のハロゲン化、ア
ルキル化、カルボキシル化、またはリン酸化することができる。タンパク質の1
つまたは複数をアセチル基、ファルネシル基、または飽和、一不飽和または多不
飽和可能な脂肪酸などでアシル化することもできる。脂肪酸の1つまたは複数を
フッ化することができる。本発明はまた、タンパク質のメチオニンアナログ(例
えば、メチオニンスルホンおよびメチオニンスルホキシドアナログ)を含む。本
発明はまた、タンパク質の塩(アルキルまたはアリールアンモニウム塩を含むア
ンモニウム塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩
、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、安息香酸塩、スルホン酸塩、チオスルホン
酸塩、メシレート、エチルスルホン酸塩、およびベンゼンスルホン酸塩など)を
含む。
【0042】 ポリペプチドおよびタンパク質の誘導体には、ペプチド模倣物も含まれ得る。
このような化合物は当業者に周知であり、例えば、非生理学的、非天然の置換を
含むタンパク質中の一定のR基またはアミノ酸の置換によって産生された化合物
が含まれる。このような置換により、天然に存在する化合物を超えてかかる化合
物の安定性が増大し得る。
【0043】 組換え ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクタ
ーを、周知の方法を用いて調製することができる。発現ベクターには、哺乳動物
、細菌、ウイルス、または昆虫遺伝子由来の適切な転写または翻訳調節ヌクレオ
チド配列に作動可能に連結されるDNA配列が含まれる。調節配列の例には、転
写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボゾーム結合
部位、および転写および翻訳開始および終結を調節する適切な配列が含まれる。
調節配列が目的のポリペプチドまたはタンパク質をコードするDNA配列に関連
する場合、ヌクレオチド配列は、「作動可能に連結されている」。例えば、プロ
モーターのヌクレオチド配列が目的のタンパク質をコードするDNA配列の転写
を調節する場合、プロモーターのヌクレオチド配列は目的のタンパク質またはポ
リペプチドをコードするDNA配列に作動可能に連結されている。複製起点およ
び形質転換体が同定される選択遺伝子によって通常付与される所望の宿主細胞に
おける複製能力を、発現ベクターに付加的に組み込むことができる。
【0044】 さらに、天然にはポリペプチドまたはタンパク質に会合しない適切なシグナル
ペプチドをコードする配列を、発現ベクターに組み込むことができる。例えば、
シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNA配列を、目的のタンパク質がシグナ
ルペプチドを含む融合タンパクとして最初に翻訳されるように目的のDNA配列
にインフレームで融合させることができる。意図する宿主細胞中で機能的なシグ
ナルペプチドにより、目的のポリペプチドまたはタンパク質の細胞外分泌が向上
する。細胞由来のポリペプチドまたはタンパク質の分泌の際に、シグナルペプチ
ドをポリペプチドまたはタンパク質から切断することができる。
【0045】 適切な発現用宿主細胞には、原核生物、酵母、または高等真核生物細胞が含ま
れる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞宿主用の適切なクローニングベク
ターおよび発現ベクターは、例えば、Pouwels ら、「クローニングベクター:実
験マニュアル(Cloning Vectors: A Laboratory Manual)」、Elsevier、New Yo
rk、1985に記載されている。本明細書中に開示のDNA構築物由来のRNAを使
用した無細胞翻訳系を使用して、ポリペプチドまたはタンパク質を産生させるこ
ともできる。
【0046】 原核生物(原核生物もまた)は、グラム陰性またはグラム陽性生物(例えば、
大腸菌またはBacilli )が含まれる。適切な形質転換用原核生物宿主細胞には、
例えば、大腸菌、Bacillus subtilis 、Salmonella typhimurium、ならびにPseu
domonas 属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属内の種々の他の種を含む
。原核生物宿主細胞(大腸菌など)では、ポリペプチドまたはタンパク質は、原
核生物宿主細胞中の組換えポリペプチド発現を容易にするN末端メチオニン残基
を含み得る。N末端Metを、発現ポリペプチドまたはタンパク質から切断する
ことができる。
【0047】 原核生物宿主細胞で使用するための発現ベクターは、一般に、1つまたはそれ
以上の表現型選択マーカー遺伝子を含む。表現型選択マーカー遺伝子は、例えば
、抗生物質耐性を付与するか独立栄養要求性を供給するタンパク質をコードする
遺伝子である。原核生物宿主細胞用の有用な発現ベクターの例には、市販のプラ
スミド由来のものが含まれる(クローニングベクターpBR322(ATCC3
7017)など)。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性
遺伝子を含むので、簡便な形質転換細胞の同定手段が得られる。pB322を使
用して発現ベクターを構築するために、プロモーターおよびポリペプチドまたは
タンパク質をコードするDNA配列を、pBR322ベクターに挿入する。他の
市販のベクターには、例えば、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals、
Uppsala 、 Sweden)およびpGEMI(Promega Biotec、 Madison 、 Wis.、 USA
)が含まれる。
【0048】 組換え原核細胞発現ベクターに一般的に使用されるプロモーター配列には、1
3−ラクタマーゼ(Penicillinase )、ラクトースプロモーター系(Chang ら、
Nature、275 :615 、1978およびGoeddel ら、Nature、281 、544 、1979)、ト
リプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel ら、Nucl.Acids Res. 、8 :
4057、1980、および欧州特許出願第36776 号)、およびtacプロモーター(Ma
niatis、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory 、p412、1982)が含まれる。
特に有用な原核生物宿主細胞発現系には、ファージLPLプロモーターおよびc
I857ts熱不安定性リプレッサー配列を使用する。LPLプロモーターの誘
導体を組み込んだAmerican Type Culture Collectionから利用可能なプラスミド
ベクターには、プラスミドpHUB2(大腸菌 JMB9株(ATCC3709
2)に存在)およびpPLc28(大腸菌 RR1株(ATCC53082)に
存在)が含まれる。例えば、カセット様プラスミド系について考察されている発
明の例示に記載の以下の実施例6を参照のこと。
【0049】 あるいは、本発明のポリペプチドおよびタンパク質を、好ましくはサッカロマ
イセス(Saccharomyces )属(例えば、セレビシエ(S.cerevisiae )由来の酵母
宿主細胞で発現させることができる。他の酵母属(ピチア(Pichia)、クラクテ
ィス(Klactis )、またはクライレロマイセス(Klayreromyces))を使用するこ
ともできる。酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラスミド由来の複製起点、
自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化配列、転写終結配
列、および選択マーカー遺伝子を含む。酵母ベクター用の適切なプロモーター配
列には、例えば、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzem
anら,J.Biol.Chem.、255 、2073、1980)、または他の解糖酵素(Hessら、J.Ad
v.Enzyme Reg. 、7 、149 、1968およびHolland ら、Biochem.、17、4900、1978
)(エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキ
ナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース
−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナ
ーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、および
グルコキナーゼなど)のプロモーターが含まれる。酵母発現用の他の適切なベク
ターおよびプロモーターは、Hitzeman、欧州特許出願第73657 号、またはFleer
ら、Gene、107 、285 〜195 、1991、およびvan den Bergら、Bio/Technology、
8 、135 〜139 、1990にさらに記載されている。別の選択しとしては、Russell
ら、J.Biol.Chem.、258 、2674、1982およびBeier ら、Nature、300 、724 、19
82に記載のグルコース抑制ADH2プロモーターである。酵母および大腸菌で共
に複製可能シャトルベクターを、上記の酵母ベクターへの大腸菌での選択および
複製用のpBR322由来のDNA配列(Ampr遺伝子および複製起点)の挿
入によって構築することができる。
【0050】 酵母α因子リーダー配列を使用して、ポリペプチドまたはタンパク質の分泌を
指向することができる。α因子リーダー配列は、しばしばプロモーター配列と構
造遺伝子配列との間に挿入される。例えば、Kurjanら、Cell、30、933 、1982、
Bitterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81、5330、1984、米国特許第4,546,082 号
、および欧州特許324,274 号を参照のこと。酵母宿主からの組換えポリペプチド
の分泌の促進に適切な他のリーダー配列は、当業者に公知である。1つまたは複
数の制限部位を含むように、リーダー配列をその3’末端付近で修飾することが
できる。これにより、構造遺伝子へのリーダー配列の融合が容易になる。
【0051】 酵母形質転換プロトコールは、当業者に公知である。このようなプロトコール
の1つは、Hinnenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75、1929、1978に記載されてい
る。Hinnenらのプロトコールでは、0.67%酵母窒素源、0.5%カザミノ酸
、2%グルコース、10μg/mlアデニン、および20μg/mlウラシルか
らなる選択培地中でTrp+形質転換体を選択する。
【0052】 「富化」培地中での発現誘導用に、ADH2プロモーター配列を含むベクター
によって形質転換された酵母宿主細胞を増殖させることができる。富化培地の例
は、80μg/mlアデニンおよび80μg/mlウラシルを補充した1%酵母
抽出物、2%ペプトン、および1%グルコース含むものである。グルコースが培
地から枯渇すると、ADH2プロモーターが抑制解除される。
【0053】 哺乳動物または昆虫宿主細胞を使用して、本発明のポリペプチドまたはタンパ
ク質を発現させることもできる。昆虫細胞中での異種タンパク質産生用のバキュ
ロウイルスは、LuckowおよびSummers 、Bio/Technology、6 、47、1988に概説さ
れている。哺乳動物起源の確立された細胞株を使用することもできる。適切な哺
乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL1
651)(Gluzman ら、Cell、23、175 、1981)、L細胞、C127細胞、3T
3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)
細胞、HeLa細胞、およびBHK(ATCC CRL 10)細胞株、および
McMahan ら、EMBO J. 、10、2821、1991に記載のアフリカミドリザル腎臓細胞株
CVI(ATCC CCL 70)由来jのCV−1/EBNA−1細胞株が含
まれる。
【0054】 哺乳動物宿主細胞発現ベクター用の転写および翻訳調節配列を、ウイルスゲノ
ムから切り出すことができる。一般的に使用されるプロモーター配列およびエン
ハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス4
0(SV40)、およびヒトサイトメガロウイルス由来である。SV40ウイル
スゲノム由来のDNA配列(例えば、SV40複製起点、初期および後期プロモ
ーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位)を使用して哺乳
動物宿主細胞中で構造遺伝子配列発現用の遺伝子エレメントを得ることができる
。ウイルス初期および後期プロモーターはウイルスの複製起点も含み得るフラグ
メントとしてウイルスゲノムから容易にえることができるので、特に有用である
(Fiers ら、Nature、273 、113 、1978)。HindIII部位からSV40に
存在するBgI部位に向かって伸長する約250bp配列が含まれる場合、小さ
なまたは大きなSV40フラグメントを使用することもできる。
【0055】 Okayama およびBerg、Mol.Cell.Biol.、3 、280 、1983に開示の哺乳動物宿主
細胞用の例示的発現ベクターを構築することができる。C127マウス乳房上皮
細胞における哺乳動物cDNAの安定な高レベル発現用の有用な系を、Cosmanら
、Mol.Immunol.、23. 、935 、1986に記載のように十分に構築することができる
。Cosmanら、Nature、312 、768 、1984に記載の有用な高発現ベクターPMLS
V N1/N4は、ATCC39890として寄託されている。さらに有用な哺
乳動物発現ベクターは、欧州特許出願0367566 に記載されている。ベクターはレ
トロウイルス由来であり得る。天然のシグナル配列の代わりに、異種シグナル配
列(例えば、米国特許第4,965,195 号に記載のIL−7のシグナル配列、Cosman
ら、Nature、312 、768 、1984に記載のIL−2レセプターのシグナル配列、欧
州特許第0367566 号に記載のIL−4シグナルペプチド、米国特許第4,968,607
号に記載のI型IL−1レセプターシグナルペプチド、および欧州特許第0 460
846 号に記載のII型IL−1レセプターシグナルペプチド)を添加することが
できる。
【0056】 精製法および単離法 本発明の単離および精製されたポリペプチドまたはタンパク質を、上記の組換
え発現系によって産生させるか、天然に存在する細胞から精製することができる
。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析において単
一バンドのタンパク質で表示されるように、ポリペプチドまたはタンパク質を実
質的に精製することができる。本発明のポリペプチドまたはタンパク質産生法の
1つは、ポリペプチドまたはタンパク質の発現を促進するのに十分な条件下でポ
リペプチドまたはタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質
転換された宿主細胞を培養する工程を包含する。ついで、使用した発現形に依存
して、ポリペプチドまたはタンパク質を培養培地または細胞抽出物から回収する
。当業者に公知のように、組換えタンパク質の精製手順は、使用した宿主細胞の
型および組換えタンパク質が培養培地中に分泌されるかどうかなどの要因によっ
て変化する。例えば、組換えタンパク質を分泌する発現系を使用する場合、概要
培地を最初に市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、AmiconまたはMillipor
e Pellicon限外濾過ユニット)を使用して濃縮することができる。濃縮後、濃縮
物をゲル濾過媒体などの精製マトリックスに適用することができる。
【0057】 あるいは、陰イオン交換樹脂(例えば、付随した(pendant )ジエチルアミノ
エチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基質)を使用することができ
る。マトリックスはアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、
またはタンパク質精製に一般的に使用される他の型であり得る。あるいは、陽イ
オン交換工程を使用することができる。適切な陽イオン交換体には、スルホプロ
ピル基またはカルボキシメチル基を含む種々の不溶性担体が含まれる。スルホプ
ロピル基が好ましい。最後に、疎水性RP−HPLC手段(例えば、付随したメ
チルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル)を使用する1つまたは複数の逆相
高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して、ポリペプチドまた
はタンパク質をさらに精製することができる。いくつかまたは全ての上記精製工
程の組み合わせは周知であり、これを使用して、単離および精製された組換えタ
ンパク質を得ることができる。
【0058】 発現ポリペプチドまたはタンパク質を親和性精製するために、本発明のポリペ
プチドまたはタンパク質に特異的な結合タンパク質を含むアフィニティーカラム
が利用可能である。ポリペプチドまたはタンパク質を、従来技術(例えば、高塩
濃度溶出緩衝液での溶出後、使用する低塩濃度緩衝液で透析するか利用したアフ
ィニティーマトリックスに依存してpHまたは他の成分を変化させる)を使用し
てアフィニティーカラムから回収することができる。
【0059】 細菌培養物中に産生された組換えタンパク質を、通常、最初に宿主細胞の破壊
、遠心分離、不溶性ポリペプチドの場合は細胞ペレットからの抽出または可溶性
ポリペプチドの場合は上清からの抽出、続いて1回または複数回の遠心分離、塩
析、イオン交換、アフィニティー精製、またはサイズ排除クロマトグラフィー工
程によって単離する。最後に、最終精製工程としてRP−HPLCを行うことが
できる。細菌細胞を任意の従来の方法(凍結融解サイクル、超音波処理、機械的
破壊、または細胞溶解剤の使用を含む)によって破壊することができる。
【0060】 精製を単純化するために、形質転換酵母宿主細胞を使用して分泌ポリペプチド
としてポリペプチドまたはタンパク質を発現させることができる。酵母宿主細胞
発酵物由来の分泌組換えポリペプチドを、Urdal ら、J.Chromatog.、296 、171
、1984に記載の方法と類似の方法によって精製することができる。Urdal らは分
離用HPLCカラムによる組換えヒトIL−12の精製用の2つの連続した逆相
HPLC工程を記載している。
【0061】 核酸 本発明にしたがって、目的のポリペプチドまたはタンパク質をコードする標的
mRNA配列(二重らせんの形成)または二本鎖DNAへリックス(三重らせん
の形成)に結合することができる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのいずれ
か)を含むアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを作製することができ
る。本発明によれば、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、cDN
A領域をコードするポリペプチドまたはタンパク質のフラグメントを含む。この
ようなフラグメントは、一般に、少なくとも14個のヌクレオチド、好ましくは
約14〜30個のヌクレオチドを含む。所与のタンパク質のcDNA配列に基づ
いてアンチセンスおよびセンスオリゴヌクレオチドを作製する能力は、例えば、
Stein およびCohen 、Cancer Res. 、48、2659、1988およびvan der Krolら、Bi
oTechniques 、6 、958 、1988に記載されている。
【0062】 標的核酸配列へのアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの結合により
、いくつかの手段(二重らせん分解の増強、転写もしくは翻訳の未熟な終結、ま
たは他の手段を含む)のうちの1つによる翻訳(RNA)または転写(DNA)
をブロックする複合体が形成される。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドを使用して、本発明のポリペプチドまたはタンパク質の発現を妨害すること
ができる。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、さらに、修飾糖ホ
スホジエステル骨格(または他の糖結合(WO91/06629に記載の結合))を有し、
このような糖結合が内因性ヌクレアーゼに耐性を示すオリゴヌクレオチドを含む
。耐性糖結合を有するこのようなオリゴヌクレオチドはインビボで安定であるが
(すなわち、酵素分解に耐性を示し得る)、標的ヌクレオチド配列に結合可能な
配列特異性を保持している。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他
の例には、有機部分(WO90/10448に記載)および標的核酸配列(ポリ(L−リジ
ン)など)のオリゴヌクレオチドの親和性を増加させる他の部分に共有結合する
オリゴヌクレオチドが含まれる。さらに、標的ヌクレオチド配列のアンチセンス
またはセンスオリゴヌクレオチドの結合特異性を改変するために、インターカレ
ート剤(エリプチシン)およびアルキル化剤または金属複合体をセンスまたはア
ンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
【0063】 アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを、任意の遺伝子導入法(例え
ば、CaPO4 媒介DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含
む)またはエプスタインバーウイルスなどの遺伝子導入ベクターの使用により標
的核酸配列を含む細胞に導入することができる。アンチセンスまたはセンスオリ
ゴヌクレオチドを、適切なレトロウイルスベクターへのアンチセンスまたはセン
スオリゴヌクレオチドの挿入、次いで細胞を挿入配列を含むレトロウイルスベク
ターとインビボまたはエキソビボで接触させることによって標的核酸配列を含む
細胞に移入することが好ましい。適切なレトロウイルスベクターには、マウスレ
トロウイルスM−MuLV、N2(M−MuLV由来のレトロウイルス)、また
はDCT5A、DCT5B、およびDCT5Cと呼ばれる二重コピーベクターが
含まれるが、これらに限定されない。
【0064】 WO91/04753に記載のようにリガンド結合分子とのコンジュゲートの形成によっ
て、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的ヌクレオチド配列を含
む細胞に導入することもできる。適切なリガンド結合分子には、細胞表面レセプ
ター、成長因子、他のサイトカイン、または細胞表面レセプターに結合する他の
リガンドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、リガンド結合分子
のコンジュゲーションは、リガンド結合分子のその対応する分子もしくはレセプ
ターに結合する能力またはセンスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまた
はその結合バージョンの細胞への侵入妨害能力を実質的に干渉しない。
【0065】 あるいは、WO90/10448に記載のようにオリゴヌクレオチド−脂質複合体の形成
によって、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的核酸配列を含む
細胞に導入することができる。センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド−
脂質複合体は、内因性リパーゼによって細胞内で解離することが好ましい。
【0066】 本発明は、ストリンジェントな条件下、特に高ストリンジェントな条件下で、
本明細書中に記載のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌ
クレオチドを含む。高ストリンジェントな条件には、例えば、65℃で0.2×
SSCが含まれ、ストリンジェントな条件には、例えば、65℃で4×SSCま
たは50%ホルムアミドおよび42℃で4×SSCが含まれる。好ましくは、こ
のようなハイブリダイズするヌクレオチドは、ハイブリダイズする本発明のポリ
ペプチドと少なくとも70%同一(より好ましくは少なくとも80%同一、さら
により好ましくは85%、90%、または95%同一)である。
【0067】 本発明はまた、開示のポリヌクレオチドまたはタンパク質の対立遺伝子バリア
ント(すなわち、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質と
同一、ホモログ、または関連するタンパク質もコードする単離ポリヌクレオチド
の天然に存在するか天然に存在しない代替形態)を含む。
【0068】 相同性または同一性 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一%を決定するために、最適な
比較のために配列を整列させる(例えば、最適な整列のために第1および第2の
アミノ酸または核酸配列の一方あるいは両方にギャップを挿入することができ、
比較のために非相同配列を無視することができる)。好ましい態様では、比較目
的で整列させた基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、好まし
くは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましく
は少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%、ま
たは95%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置での
アミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置を第2の配列の
対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドで占める場合、分子はそ
の位置で同一である(本明細書中で使用されるアミノ酸または核酸「同一性」は
、アミノ酸または核酸「相同性」に等価である)。2つの配列間の同一%は、2
つの配列の最適な整列のために導入する必要があるギャップ数、各ギャップの長
さを考慮した、配列が共有する同一の位置数の関数である。
【0069】 配列の比較および2つの配列間の同一%の決定を、数理的アルゴリズムを使用
して達成することができる。好ましい態様では、2つのアミノ酸配列間の同一%
を、Blossom62マトリックスまたはPAM250マトリックス、16、
14、12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび1、2、3、4
、5、または6のレングスウェイトを使用した、GCGソフトウェアパッケージ
(http://www.gcg.comから利用可能)中のGAPプログラムに組み込まれたNeed
leman およびWunsch(J.Mol.Biol. 、48、444 〜453 、1970)アルゴリズムを使
用して同定する。さらに好ましい別の態様では、2つのヌクレオチド配列間の同
一%を、NWSgapdna. CMPマトリックス、40、50、60、70、または
80のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のレングスウェイ
トを使用した、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comから利用可
能)中のGAPプログラムを使用して同定する。別の態様では、2つのアミノ酸
またはヌクレオチド配列間の同一%を、PAM120ウェイト残基テーブル、1
2のギャップ長ペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用した、A
LUGNプログラム(http://vega.jgh.cnrs.fr/bin/align-guess.cgi で利用可
能)に組み込まれたE.MeyersおよびW.Miller、CABIOS、4 、11〜17、1989のアル
ゴリズムを使用して同定する。
【0070】 本発明の核酸およびタンパク質配列を、さらに公的なデータベースでの検索を
行うための「検索配列」として使用して、例えば、他のファミリーメンバーまた
は関連配列を同定することができる。このような検索を、 Altschulら、1990、J.
Mol.Biol. 、215 、403 〜10のNBLASTおよびXBLASTプログラムを使
用して行うことができる。本発明のMSP−18核酸分子に相同なヌクレオチド
配列を得るために、NBLASTプログラム(スコア=100、文字列長さ=1
2)を用いてBLASTヌクレオチド検索を行うことができる。本発明のMSP
−18タンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログ
ラム(スコア=50、文字列長さ=3)を用いてBLASTタンパク質検索を行
うことができる。比較用のギャップアラインメントを得るために、Altschulら、
1997、Nucleic Acid Res. 、25(17)、3389〜3402に記載のギャップBLAST
を利用することができる。BLASTおよびギャップBLASTプログラムを利
用する場合、各プログラムのデフォルトパラメータ(例えば、XBLASTおよ
びNBLAST)を使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov を参
照のこと。さらに、「Clustal 」法(Higgins およびSharp 、Gene、73、237 〜
44、1988)および「Megalign」プログラム(Clewley およびArnold、Methods Mo
l.Biol. 、70、119 〜29、1997)を使用して配列を整列させて、類似性、同一性
、または相同性を同定することができる。以下の本発明の例示の実施例10を参
照のこと。
【0071】 遺伝子治療 本発明の核酸分子をベクターに挿入して、遺伝子治療用ベクターとして使用す
ることができる。遺伝子治療用ベクターを、例えば、静脈内注射、局所投与(米
国特許第5,328,470 号を参照のこと)、または定位固定注射(例えば、Chenら、
1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91、3054〜3057を参照のこと)によって被験体
に送達させることができる。遺伝子治療用ベクターの医薬調製物は、許容されう
る希釈剤中の遺伝子治療用ベクターまたは遺伝子送達体が組み込まれた徐放マト
リックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達用ベクターを組換え細胞から
インタクトに産生することができ(例えば、レトロウイルスベクター)、医薬調
製物は遺伝子送達系をもたらす1つまたは複数の細胞を含み得る。医薬組成物を
、投与説明書と共に容器、パッケージ、またはディスペンサーに含めることがで
きる。
【0072】 本発明は、標的タンパク質のコンホメーションを制御するため、標的タンパク
質と、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログの第1のタ
ンパク質およびHsp70タンパク質またはそのホモログの第2のタンパク質を
有する分子シャペロン系との接触による、標的タンパク質のコンホメーションの
制御法を開示する。好ましい態様では、第1のタンパク質はHsp100タンパ
ク質の原核生物ホモログを含み、より好ましくは、ホモログはClpホモログで
ある。Clpホモログは、好ましくはClpA、ClpX、より好ましくはCl
pBである。より好ましい態様では、第2のタンパク質はHsp70タンパク質
の原核生物ホモログである。より好ましくは、原核生物ホモログはDnaKであ
る。さらに好ましい態様では、分子シャペロン系は、少なくとも1つのコシャペ
ロン(cochaperone) をさらに有する。好ましいコシャペロンはDnaJ、Grp
E、またはClpSであり、より好ましくはDnaJおよびGrpEである。特
に好ましいコシャペロンは、DnaJおよびGrpEである。
【0073】 さらなる態様では、標的タンパク質は宿主細胞中で組換え発現され、宿主細胞
中での過剰発現のために標的タンパク質が凝集し得る。さらに好ましい態様では
、第1(Hsp100タンパク質)および第2(Hsp70タンパク質)は、宿
主細胞中で組換え発現される。宿主細胞は、好ましくは、大腸菌(E.coli)、S
.セレビシエ(S.Cerevisiae)、枯草菌(B.Subtilis)、植物細胞、昆虫細胞、
酵母細胞、または哺乳動物細胞である。より好ましくは、宿主細胞は大腸菌であ
る。
【0074】 本発明によれば、組換え発現ベクター系が得られる。1つの態様では、1つの
組換え発現ベクターは少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
ログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログをコード
する。発現ベクターは、さらに、目的のタンパク質とともに、Hsp100およ
びHsp70タンパク質の一方または両方の1つまたは複数のシャペロンをコー
ドすることができる。別の態様では、1つのベクターを使用して、分子シャペロ
ン系の各タンパク質成分を発現させる。別の態様では、ベクターは1つ、2つ、
3つなどのHsp100タンパク質はまた、同様に1つ、2つ、3つなどのHs
p70タンパク質、ならびにその間のシャペロンおよびコシャペロンタンパク質
との全ての組み合わせを発現することができる。宿主細胞を、系の1つまたは複
数のベクターで形質転換することができる。好ましい態様では、Bujardら(Lutz
およびBujard、1997)によって開発されたカセット様プラスミド系を使用して、
組換えベクター系を配置(deploy)する。より好ましくは、ベクター系は、さらに
、GroEL−GroES系もしくはそのホモログ、その各タンパク質もしくは
そのホモログ、誘発因子(TriggerFactor) もしくはそのホモログを組換え発現す
ることができる。GroEL−GroES系の考察は、Bukau およびHorwich 、
Cell、1998に見出すことができる。
【0075】 本発明では、標的タンパク質を凝集または誤折りたたむ(misfold) することが
できる。ストレス条件(熱ストレス、酸化ストレスなど)、過剰発現、変異、ま
たは疾患によって、標的タンパク質が凝集し得る。好ましい態様では、標的タン
パク質はインビトロで離解する。
【0076】 本発明は、さらに、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモロ
グおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含む分子
シャペロン系をコードするベクター系を提供する。ベクター系は、刺激の有無に
よって発現を調節することができるように、誘導プロモーターを含むことができ
る。
【0077】 ベクター系を使用して、細胞を形質転換することができる。好ましい態様では
、細胞はプロテアーゼ欠損である。より好ましくは、プロテアーゼ欠損はrpo
H遺伝子における変異により引き起こされ、より好ましくは、変異はGroEL
−GroESオペロンのプロモーター領域中にISエレメントをさらに有する細
胞中のrpoH遺伝子中の染色体欠失であり、それにより細胞増殖が可能である
【0078】 本発明の1つの態様では、宿主細胞は、目的のタンパク質を組換え発現するこ
とができる。目的のタンパク質は、おそらく、分子シャペロン系の組換え発現の
非存在下で誤って折りたたまれるかまたは凝集する。別の態様では、発現分子シ
ャペロン系は、目的のタンパク質の凝集または誤った折りたたみを阻害する。好
ましい態様では、目的のタンパク質の凝集および誤った折りたたみは、分子シャ
ペロン系を組換え発現しない細胞と比較して、目的のタンパク質の活性コンホメ
ーションの収量の増加を阻害する。別の態様では、分子シャペロン系は、凝集タ
ンパク質を離解および再折りたたみする。好ましい態様では、目的のタンパク質
は、マレートデヒドロゲナーゼである。本発明によれば、細胞は任意の原核細胞
または真核細胞であり得るが、より好ましくは、細胞は大腸菌.S.Cerevisiae 、
B.Subtilis、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞である。
【0079】 本発明は、さらに、凝集タンパク質を離解させるための、凝集タンパク質と、
少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログおよびHsp70
タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペロン系との接触による、イン
ビトロでの凝集タンパク質の離解法を提供する。好ましい態様では、この方法は
、離解タンパク質の活性形態への折りたたみ工程を包含する。
【0080】 別の態様では、本発明は、組換え発現タンパク質の安定性を増大させるための
、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログおよびHsp7
0タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペロン系の同時発現による組
換え発現タンパク質の安定性の増大法を提供する。
【0081】 さらに別の態様では、本発明は、タンパク質の誤った折りたたみおよび凝集を
防止するための、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログ
およびHsp70タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペロン系の治
療有効量の投与による、タンパク質の誤った折りたたみおよび凝集による細胞死
の防止法である。
【0082】 本発明はまた、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログ
およびHsp70タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペロン系の治
療有効投薬量の投与により疾患を治療する、タンパク質の誤った折りたたみおよ
び凝集による動物の疾患の治療法を提供する。好ましい態様では、動物は、ヒト
、齧歯類、ネコ、またはイヌなどの哺乳動物である。本発明によって治療するこ
とができる疾患には、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病、ハンチ
ントン病、運動失調1型、嚢胞性線維症、および癌が含まれる。薬学的に許容さ
れうるキャリアと共に治療有効投薬量を送達させることが好ましい。より好まし
くは、薬学的に許容されうるキャリアは、誤って折りたたまれたタンパク質を標
的化することができる。さらに、本発明は、上記のような分子シャペロン系をコ
ードするポリ核酸分子による遺伝子治療の実行に有用な遺伝子治療法および組成
物を提供する。
【0083】 本発明のさらなる態様は、少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそ
のホモログおよびHsp70タンパク質またはそのホモログを有する分子シャペ
ロン系の有効投薬量ならびに薬学的に許容されうるキャリアを含む医薬組成物で
ある。
【0084】 本発明の別の態様は、インビトロでの折りたたみ効率を増大させるための、少
なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含むか含まない誘発
因子のインビトロタンパク質合成系への添加による、インビトロでのタンパク質
の折りたたみ効率の増大法である。好ましい態様では、誘発因子に加えて、少な
くとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含む分子シャペロン系
をインビトロ合成系に添加する。少なくとも1つのHsp70タンパク質または
そのホモログを含むか含まない誘発因子の細胞中における組換え発現によって細
胞中のタンパク質の折りたたみ効率を増大させることができ、それにより、細胞
中の折りたたみ効率を増大させることができる。細胞は、原核細胞または真核細
胞であり得る。好ましい態様では、誘発因子に加えて、少なくとも1つのHsp
70タンパク質またはそのホモログを含む分子シャペロン系を組換え発現させる
【0085】 本発明は、配列番号:1のポリヌクレオチド配列に関連するポリ核酸分子を提
供する。1つの態様では、本発明は、(a)配列番号:1のヌクレオチド配列を
含むポリヌクレオチド、(b)(a)のポリヌクレオチドにアンチセンスなポリ
ヌクレオチド、(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドに80%同一なポ
リヌクレオチド、(d)配列番号:2のタンパク質をコードするポリヌクレオチ
ド、(e)配列番号:2のタンパク質に80%同一のポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド、(f)Hsp100タンパク質またはそのホモログの離解活
性を制御することができるタンパク質をコードする(a)〜 (e)の核酸と8
0%同一のポリヌクレオチド、および(g)ストリンジェントな条件下で(a)
〜(f)に特定するポリヌクレオチドの任意の1つとハイブリッド形成するポリ
ヌクレオチドからなる群から選択される単離ポリ核酸分子を提供する。好ましい
態様では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1のアミノ酸配列と少なく
とも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらにより好ましくは
85%、90%、または95%同一である。
【0086】 本発明は、配列番号:2に関連するポリペプチドおよびタンパク質をさらに提
供する。1つの態様では、本発明は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含む
ポリペプチド、(b)配列番号:2のアミノ酸配列に80%同一のポリペプチド
、(c)配列番号:2のアミノ酸配列のポリペプチド変異型、(d)Hsp10
0タンパク質またはそのホモログの離解活性を制御することができる配列番号:
2のアミノ酸配列のポリペプチド変異型、(e)ClpAを介助しうる(capable
of cochaperoning)配列番号:2のアミノ酸配列のポリペプチド変異型、(f)
配列番号:1のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、(g)配
列番号:1の配列に80%同一のポリヌクレオチドによってコードされるポリペ
プチド、および(h)ストリンジェントな条件下で配列番号:1の配列を有する
ポリヌクレオチドとハイブリッド形成するポリヌクレオチドによってコードされ
るポリペプチドからなる群から選択される単離ポリペプチドを提供する。1つの
態様では、変異型および誘導体は挿入、欠失、または置換の変異型または誘導体
である。好ましい態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸
配列と少なくとも70%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、さらによ
り好ましくは85%、90%、または95%同一である。
【0087】 さらに、分子シャペロン系は、少なくとも1つのHsp100タンパク質もし
くはそのホモログの第1のタンパク質および少なくとも1つのHsp70タンパ
ク質またはそのホモログの第2のタンパク質を有するタンパク質のコンホメーシ
ョンを制御するために提供される。
【0088】 さらなる態様は、Hsp100タンパク質の活性を制御するためのClpSま
たはそのホモログもしくは誘導体の使用である。好ましい態様では、Hsp10
0タンパク質はClpA、ClpB、またはClpXである。より好ましい態様
では、Hsp100タンパク質はClpAである。
【0089】 さらなる態様は、細胞質基質(cytosolic) シャペロンの変異によって変化した
成分(mutationally altered content)(例えば、調節遺伝子rpoHを欠く変異
体におけるもの)を用いた大腸菌ならびにインビトロタンパク質合成系における
タンパク質の折りたたみ効率の増大法である。
【0090】 これに関して、DnaK(Hsp70タンパク質)シャペロン系(DnaK、
DnaJ、GrpEからなる)と組み合わせた誘発因子(TF)は、タンパク質
折りたたみに重要であり、これら2つのシャペロン系の細胞基質を同定した。
【0091】 さらに、DnaK系と組み合わせたClpB(Hsp100タンパク質)はタ
ンパク質折りたたみに重要であり、凝集後30℃で再折りたたみが行われる。D
naK系はClpBと共に厳しい熱ショック条件での大腸菌の生存率の増大にさ
らに適切である。
【0092】 さらに、DnaK系およびGroEL系は、新規に合成されたタンパク質の折
りたたみの補助において連続的様式で主に作用するのではなく、かなり異なる基
質集団の折りたたみを補助する。
【0093】 本発明の別の結果は、LonおよびClpXPがシャペロン遺伝子変異体に蓄
積する凝集タンパク質を排出することができる主要な細胞質基質プロテアーゼで
あることである。
【0094】 所見を証明するために行なった実験では、2つの株を使用した。第1に、イン
デューサーIPTGによって発現が調節可能な人工オペロンと置換されたdna
K dnaJオペロンをさらに有する、TFを欠くtig::kan株 (Deue
rling ら、1999)。第2に、TFを除く全ての主要な細胞質基質シャペロンおよ
びプロテアーゼの発現を担う熱ショック転写因子σ32を欠くrpoH株。この
公表された株(KusukawaおよびYura、1988)は、抑制因子の変異により高レベル
のGroELの構成的発現が可能であるので30℃および37℃で生存可能であ
る。これらの株および新規に構築したこれらの誘導体を使用した所見を以下に示
す。
【0095】 全細胞質基質タンパク質の約10%は、37℃でDnaKが欠失したtig:
:kan細胞(TFを欠く)中の不溶性ペレット中に見出される。凝集タンパク
質の量は、30℃でより少量(1.2%)であるので、これはDnaK/TF要
件が温度依存性であることを示す。これの所見は、大腸菌におけるタンパク質の
効率的な折りたたみについて、TFおよびDnaK系はより高い増殖温度でより
重要となることを示す。これらにより、より高い温度で合成が行われる場合、大
腸菌ベースのインビボおよびインビトロ系で合成された組換えタンパク質の折り
たたみ効率をTFおよび/またはDnaK系の補足によって向上させることがで
きることも示唆される。
【0096】 さらに、二次元ゲル電気泳動および続く質量分析によるDnaKが枯渇した3
7℃で同定した凝集タンパク質のtig::kan細胞中での大規模同定を行っ
た。転写、翻訳、および代謝を含む種々の基本的細胞過程に関与する92個を超
えるタンパク質が同定された。共通の顕著な特徴は、全分子範囲(すなわち、数
Da〜数百kDa)を対象とし得るこの種のタンパク質のサイズ依存性である。
複数のドメインによって形成された特に高分子量のタンパク質は、生産的に折り
たたむためにTFおよび/またはDnaKの補助を必要とする。異種タンパク質
と同様に、同定された大腸菌タンパク質について、生物工学への適用における高
レベル産生条件下で天然の組換えタンパク質の収量の増加にTFおよびDnaK
系の過剰産生が推奨される。凝集傾向タンパク質と呼ばれる適切なタンパク質の
例は、グルタミン酸シンターゼ(分子量約167kDa)、RNAポリメラーゼ
(約150〜160kDA)、Thr−tRNAシンテターゼ(約75kDa)
である。
【0097】 大腸菌細胞中で新規に合成されたタンパク質の折りたたみ補助において、Dn
aK系と、GroEL系(GroELおよびGroESからなる)と、TFとの
間に機能的関連が存在する。この関連を、独立したまたは組み合わせたシャペロ
ンの細胞レベルの変化およびシャペロン特異的抗体を用いた同時免疫沈降による
シャペロン−基質相互作用の分析によって調査した。
【0098】 以前に公開された実験で、TFおよびDnaK系が共同してタンパク質折りた
たみを行っていることが既に示されている(Deuerling ら、1999、Teter ら、19
99)。IPTGで制御可能なdnaK dnaJオペロンを有する株における(
i)DnaK遺伝子の欠失または(ii)DnaKおよびDnaJの欠失は野生
型細胞と比較してタンパク質凝集の増加に十分であることを見出した。これらの
所見は、他の細胞シャペロンの存在によって代償することができないタンパク質
折りたたみへのDnaK系の別の寄与が既に存在することを示す。しかし、より
以前の所見(Deuerling ら、1999)と一致して、DnaKおよびDnaJが欠失
したtig細胞でより強力なタンパク質凝集が起こった。
【0099】 DnaKとGroELとの間の機能的関連を分析するために、GroELを発
現可能な抑制変異を含むrpoH変異株を使用した。この株では、全可溶性細胞
タンパク質の約5%が30℃で凝集することが見出された。多コピープラスミド
由来のGroELおよびGroESのIPTG制御過剰産生により、凝集タンパ
ク質の量は有意に減少しなかった。それに対して、DnaK系のIPTG誘導過
剰産生は、ほとんど全ての凝集傾向タンパク質の凝集の効率的な抑制に十分であ
った。DnaK系およびClpB両方の付随的産生は、42℃および50℃での
熱ショック後と同様に30℃でのタンパク質凝集の抑制にさらにより効率的であ
った。
【0100】 さらに、異なるレベルのプラスミドコードDnaK系を含むrpoH細胞にお
けるGroELおよびDnaKに関連するインビボ基質集団を同定した。Gro
ELまたはDnaK特異的抗血清を使用した放射性標識細胞タンパク質の同時免
疫沈降によってこの同定を行った。結果は、DnaKおよびGroELの基質集
団は有意に異なるにもかかわらずこれらの集団の重複を排除することができない
ことであった。したがって、より以前の所見(Deuerling ら、1999、Ewalt ら、
1997)では、GroELは約65kDaの基質上限サイズを有する。それに対し
て、DnaKと相互作用するタンパク質は、高分子量(>60kDa)のタンパ
ク質が多い(enriched)。さらに、GroELと一過性に相互作用するタンパク質
の量は、TFが存在するか存在しないDnaKレベルの変化に影響されなかった
。したがって、GroELへの基質の負荷にはDnaK系およびTFの存在は必
要ない。これらの所見は、大腸菌中に新規に合成されたタンパク質の別の折りた
たみ経路の存在を示す。いくつかのタンパク質はDnaK(おそらくClpB)
と相互作用する(凝集した場合)一方で、他のタンパク質はGroEL系と相互
作用する。リボゾーム関連シャペロンとしての誘発因子はまた、両集団型の折り
たたみに必須の役割を果たす。
【0101】 前述のΔrpoH株を使用した熱ストレス条件での細胞の生存におけるシャペ
ロンの役割は本質的に重要である。この株は、高い熱感受性を示した(図15)
。ClpBでのDnaK系の発現は、熱ショック温度での細胞死滅の抑制に最も
有効であり(図15)、細胞タンパク質の凝集を有効に防止および逆行(図15
)ならびに熱不安定レポーター酵素(ホタルルシフェラーゼ、図15)の再活性
化が可能である。DnaK系およびClpBならびにそのホモログの産生の増加
は、大腸菌のΔrpoH株だけでなく野生型の熱ストレスでの生存および熱スト
レスからの回復を含むストレス耐性の増大に有用である。したがって、DnaK
系およびClpBホモログの過剰産生はまた、他の原核生物および真核生物細胞
のストレス耐性の増加に適切である。
【0102】 本発明の別の結果は、LonおよびClpXPが、rpoH変異細胞中に蓄積
される凝集傾向タンパク質の排除を担う主要な細胞質基質プロテアーゼであるこ
とである。したがって、組換えタンパク質産生用の大腸菌株または大腸菌ベース
のインビトロタンパク質合成系の設計に有用である。特に、これらのプロテアー
ゼの削除により不安定な凝集傾向組換えタンパク質の収量が増加する。
【0103】 以下の実施例は、例示目的で示されており、本発明の範囲または以下の特許請
求の範囲を制限することを意図せず、且つそう解釈すべきではない。
【0104】 発明の例示 大腸菌の細胞質基質シャペロンがタンパク質を天然の構造に折りたたむ可能性
、熱変性タンパク質の凝集を防止および逆行(reverse) させる可能性、およびこ
れらの基質の再折りたたみを補助する可能性について調査を行った。タンパク質
の熱変性および凝集についての分析は、細胞のストレス処理中にも起こるタンパ
ク質の誤った折りたたみを研究するための十分に確立された実験アプローチであ
る。シャペロンの役割に関して、タンパク質の温度誘導凝集は、細菌の過剰産生
の際に頻繁に発生する組換えタンパク質の凝集および封入体形成に類似している
。さらに、熱変性タンパク質(例えば、マレートデヒドロゲナーゼ、MDH)の
凝集によりコンゴ−レッド(アミロイド線維の表示に広範に使用されるマーカー
色素)での染色が増加することが認められた。特にコンゴ−レッドは、線維形成
に関連する抗平行βシート構造と反応する(Turnell およびFinch 、1992)。し
たがって、熱変性タンパク質の凝集により抗平行βシート成分が増加し、この二
次構造の変化をアミロイドおよびプリオン形成タンパク質が共有する。したがっ
て、熱変性タンパク質の分析は、アミロイドおよびプリオン代謝の研究に関連す
ると考えられる。
【0105】 大腸菌用に、組換えタンパク質をコードする遺伝子およびClpBおよびDn
aK系をコードする遺伝子の発現を独立して制御可能な一組の適合性(compatibl
e)プラスミドを構築した。インビボでの可溶性タンパク質の収量の増加にも有用
であり得るさらなるシャペロン遺伝子(特に、GroEL−GroES系および
誘発因子)をコードするプラスミドもまた構築した。
【0106】 さらに、不安定性組換えタンパク質の高レベル産生用の大腸菌株を構築した。
この株は、上記のプラスミドを保有し、さらに、GroEL−GroESオペロ
ンのプロモーター領域中にISエレメントをさらに有し、それにより増殖が可能
な細胞中の主要な細胞質基質プロテアーゼ活性の欠如をもたらす調節rpoH遺
伝子の染色体の欠失を有する。
【0107】 実施例1:DnaKシャペロン系はタンパク質凝集の防止に有効である この実験では、DnaKシャペロン系が他のシャペロン/シャペロン系と比較
したタンパク質凝集防止能力をアッセイした。DnaK系は、熱ショックタンパ
ク質DnaK(Hsp70)、コシャペロンDnaJ(Hsp40)、およびコ
シャペロンGrpEを含む。GrpEコシャペロンは、DnaKのATPアーゼ
活性を制御するので、DnaKのタンパク質基質の再折りたたみを補助する(Bu
kau およびHorwich 、1998)。
【0108】 実験アプローチは、公表された手順(HesterkampおよびBukau 、EMBO J. 、17
、4818〜4828)に従い、遠心分離による凝集タンパク質の同定に依存する。35
−メチオニン標識された大腸菌野生型細胞の可溶性抽出物(4mg/ml)を、
細胞質基質シャペロンの非存在下または存在下で30℃で5分間予備インキュベ
ートした。ATP(10mM)を熱ショックの2分前に添加した。次いで、サン
プルを15分間で45℃にシフトさせた。遠心分離により、可溶性および不溶性
タンパク質物質を分離した。凝集タンパク質を、4℃、15000g、15分間
の遠心分離によってペレット化した。ペレットを氷冷切断緩衝液で2回洗浄し、
一次元および二次元ゲル電気泳動によって分析した。
【0109】 凝集タンパク質の量を、シンチレーションカウンティングによって測定した。
図1は、異なるシャペロンの大腸菌細胞抽出物におけるタンパク質凝集の防止能
力を比較している。図1に示すように、DnaK系は細胞抽出物中の熱変性大腸
菌タンパク質の凝集の防止用の有効な細胞質基質シャペロン系であり、細胞抽出
物中で約等モル濃度のシャペロンおよび熱不安定性タンパク質基質条件下での凝
集防止について細胞質基質シャペロンGroEL/GroES、HtpG(Hs
p90)、ClpB、およびIbpBより有効である。
【0110】 この実験結果は、組換えタンパク質の溶解性の増加に対する技術的アプローチ
におけるエレメントとしてのDnaK系の使用を示した。
【0111】 実施例2:DnaK系によってその凝集が防止される熱感受性タンパク質の同定 DnaK系によって温度誘導凝集が防止される60を超える熱感受性大腸菌タ
ンパク質を同定するために、インビボ実験を行った。このようにして同定された
タンパク質を、表2に示す。非許容的熱ショック温度(42℃)にシフト後のΔ
dnaK変異体に蓄積する凝集タンパク質の分析によってタンパク質を同定した
。大腸菌野生型およびdnaK変異体細胞を、30℃でLB倍地中で指数関数的
に増殖させ、42℃で60分間の熱ショックを与えた。不溶性細胞画分(膜タン
パク質を含む)を調製し、標準的なプロトコールにしたがった二次元ゲル電気泳
動によって分析した。図2は、野生型およびdnaK- 細胞のペレット画分の二
次元ゲル電気泳動後にクーマシー染色スポットとしての凝集タンパク質を示す。
【0112】
【表2】
【0113】 図2は、高温でのタンパク質凝集は、インビボでのdnaKヌル変異体で非常
に促進されることを示す。この所見および報告された野生型細胞におけるDna
K系の能力の限界(Tomoyasuら、1998)により、DnaK系が同時に過剰産生さ
れた場合、生物工学的適用において、例えば大腸菌中の過剰産生後のこれらのタ
ンパク質の可溶性配座異性体の収量が増加することが示唆される。
【0114】 実施例3:種々のシャペロンのインビトロで凝集タンパク質を離解および再折り
たたみする相対的能力(DnaK系およびClpBの組み合わせ作用)の同定 種々のシャペロンの凝集タンパク質を離解および再折りたたみする能力を同定
するためにインビトロ実験を行った。一対の実験では、大腸菌野生型細胞の全可
溶性抽出物を、30℃で5分間予備インキュベートし、45℃で15分間熱ショ
ックを与えた。可溶性および不溶性画分を遠心分離で分離し、標準的なプロトコ
ールにしたがって二次元ゲル電気泳動によって分析した。図3に示すように、熱
ショック処理によって、50を超える異なるタンパク質種を含む、溶解物中の約
10〜20%のタンパク質の凝集が増加した。
【0115】 大腸菌野生型細胞の35Sメチオニン標識可溶性抽出物を30℃で5分間予備イ
ンキュベートし、45℃で15分間熱ショックを与えた。遠心分離によって凝集
タンパク質を単離し、反応緩衝液(50mM HEPES(pH7.6)、15
0mM KCl、20mM MgCl2 )中に再懸濁した。DnaK系(Dna
K、DnaJ、およびGrpEからなる)、GroEL系(GroELおよびG
roESからなる)、IbpB、HtpG、およびClpB(最終濃度は2μM
)、およびATP再生系を種々の条件下で添加し、30℃で4時間インキュベー
トした。可溶性および不溶性タンパク質物質を、遠心分離によって分離した。可
溶性および不溶性画分の量を、シンチレーションカウンティングによって決定し
た。図4に示すように、個別に添加した場合、凝集タンパク質に高濃度添加した
場合でさえこれらのシャペロンは4時間以内に凝集タンパク質を歌謡化する潜在
性を有さなかった。それに対して、最終濃度2μMでClpBおよびDnaK系
と共に添加した場合、約50%の凝集大腸菌タンパク質が、30℃で4時間以内
に可溶化した(図4)。
【0116】 大腸菌野生型細胞の可溶性抽出物を、30℃で5分間予備インキュベートし、
45℃で15分間熱ショックを与えた。遠心分離によって凝集タンパク質を単離
し、ピペッティングによって反応緩衝液(50mM HEPES(pH7.6)
、150mM KCl、20mM MgCl2 )中に再懸濁した。ATP再生系
と共に、ClpB(2μl)およびDnaK(2μM)、DnaJ (0.4μ
M)、およびGrpE(0.2μM)からなるDnaK系を添加した。30℃で
4時間のインキュベーション後、可溶性および不溶性画分を遠心分離によって分
離し、標準的なプロトコールにしたがった二次元電気泳動によって分析した。図
5に示すように、ClpBおよびDnaK系とのインキュベーション後に少なく
とも70%の異なる凝集タンパク質種が可溶性の増加を示した(図5)。
【0117】 実施例4:DnaK系/ClpBの組み合わせにより熱感受性タンパク質がイン
ビトロで離解および再折りたたみする 種々のシャペロンの熱感受性試験タンパク質(マレートデヒドロゲナーゼ (
MDH)およびホタルルシフェラーゼを含む)を離解および再折りたたみする能
力を分析するために一対の実験を行った。試験した全てのタンパク質で定性的に
類似の結果が得られ、MDHについての結果を図6および表3にまとめ、以下に
より詳細に記載する。
【0118】 47℃でのMDHのインキュベーションにより、酵素活性の損失から判断した
ところ大きな凝集物が不活化および形成され、タンパク質溶液の光散乱(濁度)
が増加し、凝集物が顕微鏡で検出された。これを図6Aに記載し、これは、47
℃でのシャペロンを含まず、DTT(10mM)の存在下でのミトコンドリアM
DH(720nM)の時間依存性不活化および凝集(550nmでの濁度の増加
)を示す。表3および図6Aに示すように、ATPを含むか含まないClpBお
よびDnaK系単独のいずれもMDHの離解および再折りたたみに活性ではない
。それに対して、表3および図6Bに示すように(上記の熱処理であるがそれぞ
れ500、1000、200、および100nMの濃度のClpB、DnaK、
DnaJ、およびGrpEを補足した熱処理によって凝集されたMDHの25℃
での時間依存性凝集および再活性化を示す)、ClpBおよびDnaK系の組み
合わせたATP依存性活性により30分以内に完全に可溶化され、3〜4時間以
内に3μM MDHまでがほとんど完全に再活性化された。
【0119】
【表3】
【0120】 表3の説明:t=0’(t0 )またはt=45’(t45)のいずれかで凝集速度
を測定した。ほかで示さない限り、濃度を以下であった:MDH.agg 、0.7
2μM;ClpB、0.5μM;DnaK、1μM;DnaJ、0.2μM;G
rpE、0.1μM;GroEL、4μM;GroES、4μM;hptG、1
μM。* ClpBおよびATPにより、離解よりもむしろさらに凝集した。表で
は、BはClpBをいい、KJEはDnaK系(DnaK、DnaJ、およびG
rpE)をいい、LSはGroEL−GroESをいい、HscA/BはHsc
AおよびHscB(それぞれDnaKおよびDnaJのホモログ)をいう。
【0121】 実施例3および実施例4は、ClpBおよびDnaK系がインビトロでの広範
な凝集タンパク質の可溶化および再活性化に非常に有効な共同シャペロンネット
ワークを形成することを示す。
【0122】 実施例5:DnaK系−ClpB組み合わせのインビボ活性 DnaK系およびClpBの組み合わせが大腸菌におけるタンパク質凝集の形
成の逆行に有効であるかどうかを決定するために、インビボ実験を行った。野生
型細胞のタンパク質離解可能性を、clpB(Squires ら、1991)またはdna
K(PaekおよびWalker、1987)のいずれかが欠失した変異株の可能性と比較した
。大腸菌野生型、dnaK、およびcplB変異細胞を30℃で指数関数的に増
殖させ、45℃の熱ショックを与えてタンパク質の誤った折りたたみを誘導した
。熱ショック前および熱ショック後の図7(A)に表示の時間の不溶性細胞画分
(膜タンパク質を含む)を遠心分離によって調製した。熱不安定性タンパク質を
、クーマシー染色SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(図7A)、その後
免疫ブロッティング(図7BおよびC)によって視覚化し、同定した。野生型細
胞では、温度上昇により、凝集タンパク質はわずかで且つ一過性に蓄積されただ
けであった。ΔdnaK変異細胞では、上記で詳細に概説するように、多数およ
び大量の異なるタンパク質が不可逆的に凝集した。ΔclpB変異細胞では、図
7に示すように、温度上昇後少量の異なるタンパク質が凝集したが、3時間以内
では凝集しなかった。免疫検出を使用したRNAポリメラーゼおよびMetEタ
ンパク質のサブユニットについての細胞性タンパク質のこの凝集挙動を図7Cに
より詳細に記載する。
【0123】 これらの所見に基づいて、45℃でのΔdnaK変異細胞中のタンパク質の広
範な凝集をその後のClpBおよび/またはDnaK系の過剰産生によって逆行
することができるかどうかを同定するために、インビボ実験を行った。この目的
のために、培養培地へのIPTGの添加により各遺伝子の発現を誘導できるよう
にプラスミドを構築した。したがって、dnaK遺伝子を欠き(ΔdnaK52
)、dnaK、dnaJ、およびclpBを過剰発現するプラスミド(pdna
K/dnaJ/clpB)を有する大腸菌変異細胞を30℃で指数関数的に増殖
させた。細胞に、45℃で30分間熱ショックを与え、30℃に2時間再び移し
た。IPTG(1mM)の添加によって、シャペロン合成の誘導を行った。IP
TGの非存在下でのさらなるインキュベーションを、ネガティブコントロールと
して使用した。不溶性細胞画分(膜タンパク質を含む)を調製し、標準的なプロ
トコールにしたがった二次元ゲル電気泳動によって分析した(図8)。図8に示
すように、clpB、ならびにdnaK、dnaJ、およびgrpEの発現誘導
により、30℃で2時間以内に70〜80%の凝集タンパク質が有効に可溶化さ
れた。これらの所見は、ClpBおよびDnaK系の共過剰発現によりインビボ
で広範な凝集タンパク質を可溶化しうることを示す。
【0124】 実施例6:ClpB、DnaK、DnaJ、およびGrpEのプラスミドベース
の発現ならびにGroEL−GroESシャペロン系 図9Aおよび図9Bは、ClpB、DnaK、DnaJ、およびgrpEを含
む組換えタンパク質の大腸菌における独立性同時過剰産生が可能なプラスミドベ
ースの発現ならびにGroEL−GroESシャペロン系の略図を示す。Clp
B、DnaK系、GroEL/GroES系、および組換え標的タンパク質系を
コードする遺伝子の発現を独立して調節可能な一対の共通プラスミド構築した。
この系は、Bujardおよび共同研究者(LutzおよびBujard、1997)によって開発さ
れたカセット様プラスミドのエレメントおよび修飾されたアラビノース制御発現
ベクター(Mayer 、1995)に基づく。
【0125】 カセット系を使用して、各シャペロンタンパク質の化学量論を野生型大腸菌細
胞で見出される正常な化学量論に調整するようにシャペロン遺伝子を発現させる
。この調整により、至適シャペロン活性が得られる(Packschiesら、1997)(未
公開の所見)。カセット系により、複製起点(例えば、colEl、pl5A、
pSC101)が交換され、それにより約5/細胞〜50/細胞のプラスミドコ
ピー数が交換される。シャペロン遺伝子の発現を、IPTG誘導性プロモーター
Pall1aによって駆動させる(Lanzer、1998、LutzらBujard、1997)。抗生
物質耐性カセットにより、異なる耐性遺伝子(例えば、Ap、Km、Cm、Sp
)を選択する。アラビノース調節ベクターにより、アラビノース誘導性PgAD
プロモーター由来の組換え標的タンパク質の遺伝子を発現可能である(Mayer 、
1995)。適切な制限部位により、特定の用途による耐性遺伝子および複製起点の
交換が可能である。
【0126】 実施例の発現系は、シャペロンおよび標的タンパク質の同時過剰産生の1つの
可能性に過ぎない。当業者は、多くの異なるベクター系ならびに染色体に組み込
んだ発現系を容易に利用可能である。
【0127】 実施例7:高レベルの組換えタンパク質の産生に有用なプロテアーゼ欠損組換え
分子シャペロン系大腸菌産生株 大腸菌中で不安定な組換えタンパク質を高レベルで産生させるために、プロテ
アーゼ産生に影響を与える公開された染色体の利点を利用する特定の産生株を設
計した。この株は、転写アクチベーターδ32をコードするrpoH遺伝子の欠失
のために主要な細胞質基質プロテアーゼを欠損している(KusukawaおよびYura、
1988)。同時に、これは、挿入エレメントによるgroES groELオペロ
ンの転写活性化によって、高レベルのGroELおよびGroESを構成的に産
生する。この株をプラスミドベースのclpB、dnaK、dnaJ、grpE
、groES、およびgroELならびに組換えタンパク質をコードする遺伝子
の調節過剰発現と組み合わせた。プロテアーゼ欠損とシャペロン過剰産生とのこ
の組み合わせにより、この株は多くの生物工学適用における産生株として非常に
有用になる。
【0128】 実施例8:タンパク質機能障害に関連する疾患の治療におけるシャペロンの用途 シャペロンは、アミロイドーシスおよびプリオン疾患に関連するタンパク質凝
集の防止および逆行に有用である。クロイツフェルト−ヤコブ病およびアルツハ
イマー病などのいくつかの神経退行性疾患および年齢関連性疾患は、しばしば細
胞傷害性を示すアミロイドプラークの形態の誤って折りたたまれたタンパク質の
蓄積に起因する。同様に、熱ショックなどの環境ストレスは、細胞死をまねく不
可逆的タンパク質凝集を誘導し得る。上記の実施例により、大腸菌ClpBとD
naKシャペロンとの組み合わせを含む分子シャペロン系はインビトロならびに
インビボでの凝集タンパク質の活性離解および再活性化を媒介することが示され
る。この新規の組み合わせにより、タンパク質後折りたたみおよびプリオン疾患
、特に神経病理学的アミロイド疾患に対するヒトおよび他の動物の新規の方の細
胞内防御機構を特徴づけることができる研究の基礎が得られる。したがって、本
発明は、例えば、プリオン媒介疾患および年齢関連性アミロイド疾患を含む多数
の疾患用の治療設計ストラテジーとしてのヒトにおけるHsp70系およびCl
pBまたはHsp100同族体の対の作用を意図する。
【0129】 実施例9:初期タンパク質折りたたみに有用な誘発因子とDnaK系の組み合わ
せ DnaK系および誘発因子のいずれも大腸菌の新規の合成タンパク質の初期折
りたたみに必須ではない(HesterkampおよびBukau 、1998、未発表データ)。図
10Aは、天然のδ32プロモーター、またはtig+ およびΔtig::kan
背景の人工IPTG誘導プロモーターPA 1/lacOによって調節される染
色体上のdnaK、dnaJオペロンの概略図である。野生型、Δtig::k
an、およびDnaKiDnaJ調節性Δtig::kanおよびtig+ 細胞
培養物を、1mM IPTGを含むか含まないLBプレート上に異なる希釈度(
105 、104 、103 、102 cfu/ml、10μl/スポット)でアプラ
イした。細胞を、30℃、37℃、および42℃で24時間ならびに15℃で9
6時間インキュベートした。図10Bは、誘発因子およびDnaKの欠失は大腸
菌に致命的であることを示す。DnaK/DnaJ欠失tig+ およびΔtig
::kan細胞の培養物を、M9最少培地中で中間の対数期(OD600=0.
6)まで増殖させ、35S−メチオニン(15μCi/ml最終濃度)で15秒間
パルスした。同量の全タンパク質(1.2mlの2mg/ml全タンパク質溶解
物)を遠心分離して不溶性タンパク質を単離し、標準的なプロトコールにしたが
って二次元ゲル電気泳動によって分析した(図11AおよびB)。ホタルルシフ
ェラーゼ(レポータータンパク質)を標的タンパク質として使用した図11は、
誘発因子を欠き(tig遺伝子の欠失のため)、DnaKを欠失し(dnaKの
発現のIPTG調節遮断による)株において、レポータータンパク質(ホタルル
シフェラーゼ)は折りたたみ効率を減少させ、多数および大量の細胞性タンパク
質が天然の状態に到達できず、凝集できないことを示す。したがって、両シャペ
ロン系の組み合わせ作用は、大腸菌中に新規に合成されたタンパク質の折りたた
みに非常に有意である。さらに、広範な種々の真正細菌中の誘発因子およびDn
aKホモログの存在は、これらの2つのシャペロン間の共同が原核生物の細胞質
基質におけるタンパク質折りたたみに一般的に重要であることを示唆する。
【0130】 この知識は、誘発因子のおそらくDnaK系と必要としない過剰産生による原
核生物の折りたたみ効率の改良に有用である。さらに、例えばゲノムの機能的分
析用に現在開発されているインビトロタンパク質合成系(インビトロ翻訳系)へ
の誘発因子の添加により、タンパク質産物の折りたたみ効率を増加させることが
できる。
【0131】 実施例10:ClpS−新規のHsp100ファミリーコシャペロンをコードす
る大腸菌遺伝子の同定 yljA−clpAオペロン中の第1の遺伝子である大腸菌遺伝子「yljA
」を、標準的なプロトコールを使用してクローン化した。yljA遺伝子は、3
18bp長であり、「ClipS」と呼ばれる106アミノ酸のタンパク質をコ
ードする。図12は、yljAのDNA配列(配列番号:1)およびClpSタ
ンパク質の推定アミノ酸配列(配列番号:2)を示す。これらを表4に同定し、
図13はClpSホモログ(配列番号:3〜配列番号:9)のアミノ酸配列アラ
インメントを示す。表4で同定したタンパク質はBLASTおよびFASTA検
索の結果ならびに代表的な推定ClpSホモログである。大腸菌でそうであるよ
うに、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori )(HP0032)ホモ
ログがClpAホモログを有するオペロン中に出現することに留意することは興
味深い。全タンパク質と33%相同性であるにもかかわらず、HP0032は配
列同一性および位置に基づくとClpSホモログであると考えられる。
【0132】 表5および表6は、それぞれ、ClpSホモログの全配列類似性、H−BOX
領域における配列類似性(図13を参照のこと)、ClpSホモログにおける進
化を通して保存された領域を示す。図13中の配列は、「Clustal 」法(Higgin
s およびSharp 、Gene、15、237 〜44、1988)によって整列させ、表5および表
6中の配列類似性を、「Megalign」プログラム(Clewley およびArnold、Method
s Mol.Biol.70 :119 〜29、1997)を用いて計算した。
【0133】
【表4】
【0134】
【表5】
【0135】
【表6】
【0136】 実施例11:ClpSを、ClpAのコシャペロンとして確立する マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)(0.9μM)を、シャペロンの非存在
下で、47℃で30分間のインキュベーションによって凝集させた。図14に関
して、凝集後、シャペロンの非存在下(黒塗りの三角)、0.5μM ClpS
(黒塗りのひし形)、0.5μM ClpA(白抜きの三角)、または0.5μ
M ClpA+0.5μM ClpS(黒塗りの丸)の存在下のMDH活性を監
視した。図14に示すように、シャペロンの非存在下またはClpSのみの存在
下では、MDHは有意な活性を回復しなかった。ClpAのみの存在下では、3
00分後に30%までのMDH活性が得られた。ClpSをClpAに補足した
場合、MDH活性の割合および量の両方が2倍以上に増大した。したがって、C
lpSは、ClpAの強力なコシャペロンとして確立される。
【0137】 実施例12:DnaK/DnaJ枯渇条件下で、プロテアーゼ欠失細胞は凝集タ
ンパク質を蓄積する この実験は、プロテアーゼLonおよびClpXPは低シャペロン含有率 (
DnaK/DnaJ)での大腸菌細胞におけるタンパク質凝集体の排除に重要で
あることを示す。したがって、大腸菌産生株またはインビトロ翻訳系で産生され
た組換えタンパク質の収量を、ClpXPおよびLonを欠く変異体の使用によ
って改良することができる。
【0138】 A.BB7349株(PA1/lacO−1 dnaK、dnaJ lacI
q)、BB7353株(PA1/lacO−1 dnaK、dnaJ lacI
q hslVU)、BB7357(PA1/lacO−1 dnaK、dnaJ
lacIq clpPX−lon)、BB7361(PA1/lacO−1
dnaK、dnaJ lacIq ΔhslVU clpPX−lon)の細胞
を、1mM IPTGを含むLB培地中で30℃で一晩増殖させた。予備培養物
を500mM IPTGを含むか含まないLB培地で1000倍に希釈し、後期
対数期(約OD600=1)までさらに培養した。8mlの培養物から凝集タン
パク質を単離し、NP40での洗浄によって膜タンパク質を取り除いた。3.2
mlの培養物/OD600由来の凝集タンパク質を、SDS−PAGEおよびク
ーマシーブリリアントブルーでの染色によって分析した。全細胞溶解物および凝
集タンパク質画分のアリコートを、ブラッドフォードアッセイによって定量した
。PA/lacO−1 K、J;BB7349、ΔVU;BB7353、ΔXP
lon;BB7357、ΔXP lon ΔVU;BB7361、+;500
mM IPTGの存在下での培養、−;IPTGなしでの培養。
【0139】 B.1000倍希釈の培養物を、いくつかの濃度のIPTG(0、50、50
0mM)を含むLB中で中間の対数期(約OD=0.5)までさらに培養し、4
2℃で2時間さらに培養した。上記のように8mlの培養物から凝集タンパク質
を単離し、膜タンパク質を取り除いた。上記のように、1.6mlの培養物/O
D600由来の凝集タンパク質をSDS−PAGEで分析し、定量した。全タン
パク質%を凝集タンパク質の量を細胞中の全タンパク質の量で割ることによって
計算した。
【0140】 実施例13:Clp3およびDnak系の過剰産生は、rpoHおよび野生型細
胞の熱耐性およびルシフェラーゼ再折りたたみを改良する この実験(図15)では、ClpBとDnaK系が共同して、(i)致死的熱
ショック温度での細胞の生存度(rpoH変異体)および(ii)致死的熱ショ
ック温度への一過性暴露に供したrpoHおよび野生型細胞における熱不安定性
レポーター酵素(ホタルルシフェラーゼ)の再活性化を改良するように作用する
ことを示す。
【0141】 A.(ΔrpoH細胞);ClpB(プラスミドから過剰産生したClpBを
含むΔrpoH細胞);KJE(プラスミドから過剰産生したDnaK、Dna
J、GrpEを含むΔrpoH細胞);KJE,ClpB(プラスミドから過剰
産生したDnaK、DnaJ、GrpE、およびClpBを含むΔrpoH細胞
)を、ClpB、DnaK、DnaJ、GrpEをコードするプラスミドの発現
を誘導する250mM IPTGを補足したLB培地中、30℃で増殖させた。
細胞を表示の測定点で50℃で処理し、250mM IPTGを含むLB寒天プ
レート上にプレートした。48時間のインキュベーション後、コロニー数を計数
し、生存度を同定した。コントロールとして、非熱処理細胞を100%とした。
【0142】 B.アラビノース誘導性ルシフェラーゼを含むWT(野生型細胞);(Δrp
oH細胞);ClpB(過剰産生したClpBを含むrpoH細胞);KJE(
過剰産生したDnaK、DnaJ、GrpEを含むΔrpoH細胞);KJE,
ClpB(過剰産生したDnaK、DnaJ、GrpE、およびClpBを含む
ΔrpoH細胞);およびESL(過剰産生したGroESLを含むΔrpoH
細胞)を、250mM IPTGを補足したLB培地中で増殖させ、アラビノー
ス(0.4%)の存在下で30分間ルシフェラーゼを誘導した。アリコート(同
一のOD、100ml)を、テトラサイクリン(100mg/ml)およびグル
コース(1%)の存在下、50℃で0、2.5、5、7.5分間インキュベート
した後、30℃で10分間さらにインキュベートした。回収率(%)を、非熱処
理細胞のルシフェラーゼ活性(100%)と比較して計算した。
【0143】 本発明の上記の記載は、例示および説明の目的で示している。本明細書中で先
に記載の好ましい態様は、当業者が本発明を種種の態様で、本発明の特定の適用
または用途に適合させた種々の修正を伴って利用可能であることが意図される。
【0144】 さらに、本記載は、本明細書中に開示の形態に本発明を制限することを意図し
ない。当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書中に記載の特定の態様
の多くの均等物を認識または確認することができる。このような均等物は、以下
の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0145】 参考文献 Buchberger, A., Schroder, H., Hesterkamp, T., Schonfeld, H.-J., および B
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、細胞抽出物中の細胞質基質シャペロン系による熱誘導性
タンパク質凝集の防止を示す図である。
【図2】 図2は、42℃での熱ショック後の野生型およびDnaK変異細
胞におけるタンパク質凝集を示す図である。
【図3】 図3は、細胞抽出物中の熱不安定性タンパク質の凝集を示す図で
ある。
【図4】 図4は、他の分子シャペロンと比較したDnaK系とClpBと
を組み合わせた分子シャペロン系によるインビトロでのタンパク質凝集の離解を
示す図である。
【図5】 図5は、DnaK、DnaJ、GrpE、およびClpBによる
インビトロでのタンパク質凝集の離解を示すゲル電気泳動を示す図である。
【図6】 図6は、熱不活化マレートデヒドロゲナーゼのClpBおよびD
naK媒介性離解および再活性化を示す図である。
【図7】 図7は、大腸菌野生型ならびにdnakおよびclpBヌル変異
細胞におけるインビボでの熱ショック後の凝集タンパク質の離解を示す図である
【図8】 図8は、インビボでのDnaK、DnaJ、およびClpBによ
るタンパク質凝集体の離解を示す図である。
【図9】 図9は、大腸菌におけるシャペロン過剰産生系の模式図である。
【図10】 図10は、DnaK/DnaJ欠失Atig::kan細胞の
合成死滅率を示す図である。
【図11】 図11は、既存および新規合成タンパク質の不溶性を示す図で
ある。
【図12】 図12は、YljAタンパク質の核酸配列(配列番号:1)お
よび推定アミノ酸配列(配列番号:2)を示す図である。
【図13】 図13は、ClpSホモログのアミノ酸配列アラインメントを
示す図である。
【図14】 図14は、ClpA/ClpS系がマレートデヒドロゲナーゼ
を再活性化することを示す図である。
【図15】 図15は、ClpBおよびDnaK系の過剰産生がrpoHお
よび野生型細胞の熱耐性およびルシフェラーゼ再折りたたみを改良することを示
す図である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月4日(2001.12.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/00 A61P 25/02 4H045 48/00 25/14 A61P 25/02 25/28 25/14 35/00 25/28 43/00 105 35/00 C07K 14/00 43/00 105 14/245 C07K 14/00 C12N 1/15 14/245 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 15/00 ZNAA 1/21 5/00 A 5/10 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES ,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU, ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,K R,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV ,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,S I,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ゴロービノフ,ピエール イスラエル国 エルサレム 93855 ハド レフ ストリート 429/2 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA08 BA80 CA02 DA01 DA02 DA06 DA07 DA12 EA04 GA11 4B065 AA19X AA26X AA26Y AA41X AA46X AA50X AA53X AA77X AA80X AA88X AA90X AA91X AA93X AB01 AC14 BA02 CA24 CA28 CA31 CA43 CA44 4C084 AA07 AA13 BA44 CA04 DC50 MA02 NA14 ZA161 ZA221 ZB211 ZB261 ZC411 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA16 MA01 MA02 MA03 MA04 MA05 MA10 NA14 ZA16 ZA22 ZB21 ZB26 ZC41 4C087 AA01 AA02 BC34 BC83 CA12 MA02 NA14 ZA16 ZA22 ZB21 ZB26 ZC41 4H045 AA10 AA30 BA10 CA11 DA89 EA20 EA21 EA28 FA72 FA73 FA74

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的タンパク質を、少なくとも1つのHsp100タンパク
    質またはそのホモログからなる群から選択された第1のタンパク質および少なく
    とも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログからなる群より選択された
    第2のタンパク質を含有する分子シャペロン系と接触させる工程を含み、それに
    より標的タンパク質のコンホメーションを調節する、標的タンパク質のコンホメ
    ーションの調節方法。
  2. 【請求項2】 第1のタンパク質がClpホモログを含む、請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 ClpホモログがClpA、ClpBまたはClpXである
    、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 第2のタンパク質が、原核生物のホモログを含むDnaKで
    ある、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 DnaKシャペロン系と組み合わせてClpBが使用される
    、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 分子シャペロン系が少なくとも1つのコシャペロンをさらに
    含む、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 標的タンパク質が宿主細胞において組換え発現される、請求
    項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 第1および第2のタンパク質が宿主細胞において組換え発現
    される、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 宿主細胞が、大腸菌、S.セレビシエ、枯草菌、植物、昆虫
    、酵母または哺乳動物の細胞である、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 第1および第2のタンパク質をコードし、かつGroEL
    −GroES系もしくはそのホモログ、GroEL−GroES系タンパク質も
    しくはそのホモログ、または誘発因子もしくはそのホモログを組換え発現しうる
    ベクターで宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることにより、第1お
    よび第2のタンパク質が組換え発現される、請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】 標的タンパク質がインビトロで凝集または離解される、請
    求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログをコード
    してなる組換え発現ベクター。
  13. 【請求項13】 誘導性組換え発現ベクターである、請求項12記載のベク
    ター。
  14. 【請求項14】 少なくとも1つのHsp70タンパク質コシャペロンをさ
    らにコードしてなる、請求項12記載のベクター。
  15. 【請求項15】 目的のタンパク質をさらにコードしてなる、請求項12記
    載のベクター。
  16. 【請求項16】 請求項12記載のベクターで形質転換されてなる細胞。
  17. 【請求項17】 細胞が、プロテアーゼ欠損した原核細胞または真核細胞で
    ある、請求項16記載の細胞。
  18. 【請求項18】 プロテアーゼ欠損が、rpoH遺伝子中の変異により引き
    起こされたものである、請求項17記載の細胞。
  19. 【請求項19】 変異がrpoH遺伝子の染色体欠失である、請求項18記
    載の細胞。
  20. 【請求項20】 細胞が目的のタンパク質を組換え発現するものである、請
    求項16記載の細胞。
  21. 【請求項21】 目的のタンパク質がマレートデヒドロゲナーゼである、請
    求項20記載の細胞。
  22. 【請求項22】 凝集したタンパク質を、少なくとも1つのHsp100タ
    ンパク質またはそのホモログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質また
    はそのホモログを含有する分子シャペロン系と接触させる工程を含み、それによ
    り凝集したタンパク質を離解させる、凝集したタンパク質のインビトロでの離解
    方法。
  23. 【請求項23】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含有す
    る分子シャペロン系を共発現させる工程を含み、それにより組換え発現タンパク
    質の溶解性を増大させる、組換え発現タンパク質の溶解性の増大方法。
  24. 【請求項24】 タンパク質の誤った折り畳みおよび凝集を防ぐために、少
    なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモログおよび少なくとも1
    つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含有する分子シャペロン系の治
    療有効量を投与する工程を含み、それにより細胞死を防止する、タンパク質の誤
    った折り畳みおよび凝集により引き起こされる細胞死の防止方法。
  25. 【請求項25】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含有す
    る分子シャペロン系の治療有効量を投与する工程を含み、それにより疾患を治療
    する、タンパク質の誤った折り畳みおよび凝集により引き起こされる動物の疾患
    の治療方法。
  26. 【請求項26】 疾患が、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病
    、ハンティングトン病、運動失調1型、嚢胞性線維症または癌である、請求項2
    5記載の方法。
  27. 【請求項27】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログおよび少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモログを含有し
    てなる分子シャペロン系の有効用量ならびに薬学的に許容されるキャリアを含有
    してなる医薬組成物。
  28. 【請求項28】 誘発因子をインビトロタンパク質合成系に添加する工程を
    含み、それによりインビトロでタンパク質の折り畳み効率を増大させる、インビ
    トロでの標的タンパク質の折り畳み効率の増大方法。
  29. 【請求項29】 少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモロ
    グを含有する分子シャペロン系をインビトロ合成系に添加する工程をさらに含む
    、請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 細胞において誘発因子を組換え発現させ、それにより細胞
    においてタンパク質の折り畳み効率を増大させる工程を含む、細胞におけるタン
    パク質の折り畳み効率の増大方法。
  31. 【請求項31】 少なくとも1つのHsp70タンパク質またはそのホモロ
    グを含有する分子シャペロン系を組換え発現させる工程をさらに含む、請求項3
    0記載の方法。
  32. 【請求項32】 (a)配列番号:1のヌクレオチド配列を含むポリヌクレ
    オチド; (b)(a)のポリヌクレオチドに対してアンチセンスであるポリヌクレオチド
    ; (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドに対して80%の同一性を有して
    なるポリヌクレオチド; (d)配列番号:2のタンパク質をコードしてなるポリヌクレオチド; (e)配列番号:2のタンパク質に対して80%の同一性を有してなるポリペプ
    チドをコードするポリヌクレオチド; (f)離解において、Hsp100タンパク質またはそのホモログの活性を調節
    しうるタンパク質をコードしてなる(a)〜(e)のポリペプチドに対して80
    %の同一性を有してなるポリヌクレオチド;および (g)(a)〜(f)に記載されるポリヌクレオチドのいずれか1つにストリン
    ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、 からなる群から選択されてなる単離されたポリ核酸分子。
  33. 【請求項33】 (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなるポリペプ
    チド; (b)配列番号:2のアミノ酸配列に対して80%の同一性を有してなるポリペ
    プチド; (c)配列番号:2のアミノ酸配列のポリペプチドバリアント; (d)離解において、Hsp100タンパク質またはそのホモログの活性を調節
    しうる配列番号:2のアミノ酸配列のポリペプチドバリアント; (e)ClpAを介助しうる配列番号:2のアミノ酸配列のポリペプチドバリア
    ント; (f)配列番号:1の配列を有してなるポリヌクレオチドによりコードされるポ
    リペプチド; (g)配列番号:1の配列に対して80%の同一性を有してなるポリヌクレオチ
    ドによりコードされるポリペプチド;および (h)配列番号:1の配列を有するポリヌクレオチドに対してストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチ
    ド、 からなる群より選択されてなる単離されたポリペプチド。
  34. 【請求項34】 バリアントが、挿入バリアント、欠失バリアント、または
    置換バリアントである、請求項33記載のポリペプチド。
  35. 【請求項35】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログからなる群より選択された第1のタンパク質、および少なくとも1つのHs
    p70タンパク質またはそのホモログからなる群より選択された第2のタンパク
    質を含有してなる分子シャペロン系をコードする遺伝子治療ベクターを含有して
    なる医薬組成物を投与する工程を含む、疾患を治療するための遺伝子治療。
  36. 【請求項36】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログからなる群より選択された第1のタンパク質、および少なくとも1つのHs
    p70タンパク質またはそのホモログからなる群より選択された第2のタンパク
    質をコードする遺伝治療ベクターを含有してなる、請求項35記載の遺伝子治療
    のための組成物。
  37. 【請求項37】 少なくとも1つのHsp100タンパク質またはそのホモ
    ログからなる群より選択された第1のタンパク質、および少なくとも1つのHs
    p70タンパク質またはそのホモログからなる群より選択された第2のタンパク
    質を含有してなる単離された分子シャペロン系。
  38. 【請求項38】 Hsp100タンパク質を請求項33記載のポリペプチド
    と接触させる工程を含む、Hsp100タンパク質またはそのホモログの活性の
    調節方法。
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