JP2003348703A - 鞍乗型車両における急発進防止装置 - Google Patents

鞍乗型車両における急発進防止装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両を走行面上に自立させた状態からこの車
両を直ちに発進させる、という発進操作をするとき、こ
の車両を無意図的に急発進させてしまう、ということを
防止して、駆動装置に対し無用に過大な衝撃力が与えら
れないようにする。 【解決手段】 車両1が、車体2に支承される前、後車
輪5,10と、車体2に対し上下に回動自在となるよう
枢支され下方に回動させられた状態での回動端部が走行
面11上に接地可能とされるメインスタンド20と、車
体2に支持されて後車輪10を走行駆動可能とさせる駆
動装置25と、駆動装置25を制御する制御装置35と
を備える。前車輪5の回転速度VFが第1所定値V1以
下であって(VF<V1)、後車輪10の回転速度VR
が第1所定値V1よりも大きい値の第2所定値V2以上
であれば(VR≧V2>V1)、この後車輪10の回転
速度VRを制御装置35により減速させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、車両を走行面に自
立させ、駆動装置により後車輪を遊転駆動させた状態か
ら車両を直ちに発進させるとき、上記駆動装置の駆動に
伴う後車輪の回転速度がどの程度であるかをライダーが
聴覚的に知らないまま、この車両を無意図的に急発進さ
せてしまう、ということを防止するようにした鞍乗型車
両における急発進防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鞍乗型車両である自動二輪車は、一般
に、次のように構成されている。
【0003】即ち、自動二輪車は、その車体に支承され
る前、後車輪と、上記車体に対し上下に回動自在となる
よう枢支され下方に回動させられた状態での回動端部が
走行面上に接地可能とされるメインスタンドと、外部か
らの操作力を入力して上記駆動装置から上記後車輪に出
力される駆動力をその操作量に応じて増減可能とさせる
アクセル操作部と、上記車体に支持されて上記後車輪を
走行駆動可能とさせる駆動装置と、上記駆動装置を制御
する制御装置とを備え、下方に回動させられた状態での
上記メインスタンドの回動端部と上記前車輪との接地
で、上記車体が走行面上に自立可能とされ、つまり、車
両が自立可能とされている。
【0004】上記車両を駐車させる場合には、一般に、
上記メインスタンドを下方回動させてその回動端部と、
上記前車輪とを接地させる一方、上記後車輪を走行面か
ら離反させて、上記車体を走行面上に自立させる。
【0005】また、上記車体を自立させた状態から、車
両を直ちに発進させて走行させようとする場合には、例
えば、次のような発進操作が多用されている。
【0006】即ち、上記したように、車体を走行面上に
自立させた状態のままで、この車体にライダーが跨るよ
うに乗車し、上記アクセル操作部への操作により上記駆
動装置の駆動力を上記後車輪に伝達することにより、こ
の後車輪を遊転駆動させる。この状態から、ライダーが
車体を少し前方に押動させて、上記メインスタンドを上
方に自動的に回動させることにより、このメインスタン
ドの接地を解除して上記後車輪を接地させる。すると、
この後車輪の走行駆動により、上記車両はその自立状態
から直ちに発進させられることとなる。
【0007】その後は、ライダーが上記アクセル操作部
を操作して、その操作量を増減操作すれば、この操作量
に応じた値の駆動力が上記駆動装置から後車輪に出力さ
れ、もって、車両が所望の車速など、所望の運転状態で
走行面上を走行させられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記自動二
輪車の発進時において、特に、上記駆動装置の主体が電
動機である場合には、この電動機の駆動音は小さいこと
から、この電動機から駆動力を受けた後車輪の回転速度
が、どの程度であるかを聴覚的に知ることは困難であ
る。
【0009】このため、上記駆動装置が後車輪に大きい
駆動力を出力していて、この後車輪の遊転駆動における
回転速度が高速である場合において、これを知らずに、
ライダーが車両を発進させようとして、上記メインスタ
ンドの接地を解除させ、後車輪を接地させたとすると、
この後車輪の高速での遊転駆動により上記車両が無意図
的に急発進するおそれがあり、この場合には、上記駆動
装置に対し無用に過大な衝撃力を与えるおそれがあり、
これは駆動装置の寿命上好ましくない。
【0010】また、上記構成の車両において、従来、特
開平11−205902号公報で示されたものがある。
【0011】上記公報のものによれば、上記メインスタ
ンドの上方回動状態(収納状態)を検出するセンサーが
設けられ、上記メインスタンドを下方回動させた車体の
自立状態では、上記センサーの検出信号により、上記駆
動装置の駆動を停止させて、後車輪の遊転駆動ができな
いようにしたものがあり、これによれば、車両が、その
自立状態から無意図的に急発進するということは未然に
防止される。
【0012】しかし、上記従来の技術では、車両を、そ
の自立状態から直ちに発進させる、という一般的に多用
されている上記した発進操作そのものができなくなると
いう不都合がある。
【0013】本発明は、上記のような事情に注目してな
されたもので、車両が備える前車輪とメインスタンドと
を接地させる一方、後車輪を走行面から離反させて車両
を走行面上に自立させた状態から、上記後車輪を駆動装
置により遊転駆動させ、次に、上記メインスタンドの接
地を解除して上記後車輪を接地させることにより車両を
直ちに発進させる、という発進操作をするとき、上記駆
動装置の駆動に伴う後車輪の回転速度がどの程度である
かをライダーが知らないまま、この車両を無意図的に急
発進させてしまう、ということを防止して、上記駆動装
置に対し無用に過大な衝撃力が与えられないようにする
ことを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の鞍乗型車両における急発進防止装置は、次の
如くである。なお、この項において各用語に付記した符
号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形
態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0015】請求項1の発明は、車体2に支承される
前、後車輪5,10と、上記車体2に対し上下に回動自
在となるよう枢支され下方に回動させられた状態での回
動端部が走行面11上に接地可能とされるメインスタン
ド20と、上記車体2に支持されて上記後車輪10を走
行駆動可能とさせる駆動装置25と、上記駆動装置25
を制御する制御装置35とを備え、下方に回動させられ
た状態での上記メインスタンド20の回動端部と上記前
車輪5との接地で、上記車体2が走行面11上に自立可
能となるようにした鞍乗型車両において、
【0016】上記前車輪5の回転速度VFが第1所定値
V1以下であって(VF<V1)、上記後車輪10の回
転速度VRが上記第1所定値V1よりも大きい値の第2
所定値V2以上であれば(VR≧V2>V1)、この後
車輪10の回転速度VRを上記制御装置35により減速
させるようにしたものである。
【0017】請求項2の発明は、車体2に支承される
前、後車輪5,10と、上記車体2に対し上下に回動自
在となるよう枢支され下方に回動させられた状態での回
動端部が走行面11上に接地可能とされるメインスタン
ド20と、上記車体2に支持されて上記後車輪10を走
行駆動可能とさせる駆動装置25と、上記駆動装置25
を制御する制御装置35とを備え、下方に回動させられ
た状態での上記メインスタンド20の回動端部と上記前
車輪5との接地で、上記車体2が走行面11上に自立可
能となるようにした鞍乗型車両において、
【0018】上記メインスタンド20が下方に回動させ
られた状態であり、かつ、上記後車輪10の回転速度V
Rが所定値V2以上であれば、この後車輪10の回転速
度VRを上記制御装置35により減速させるようにした
ものである。
【0019】請求項3の発明は、車体2に支承される
前、後車輪5,10と、上記車体2に対し上下に回動自
在となるよう枢支され下方に回動させられた状態での回
動端部が走行面11上に接地可能とされるメインスタン
ド20と、外部からの操作力を入力しその被操作量に応
じて上記駆動装置25から上記後車輪10に出力される
駆動力を増減可能とさせるアクセル操作部30と、上記
車体2に支持されて上記後車輪10を走行駆動可能とさ
せる駆動装置25と、上記駆動装置25を制御する制御
装置35とを備え、下方に回動させられた状態での上記
メインスタンド20の回動端部と上記前車輪5との接地
で、上記車体2が走行面11上に自立可能となるように
した鞍乗型車両において、
【0020】上記メインスタンド20が下方に回動させ
られた状態であり、上記アクセル操作部30の被操作量
が所定値以上であれば、上記後車輪10の回転速度VR
を上記制御装置35により減速させるようにしたもので
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明する。
【0022】図1,2において、符号1は鞍乗型車両で
あって、具体的には,電動式自動二輪車である。また,
図中矢印Frは、この車両1の前方を示している。
【0023】上記車両1の車体2は,この車体2を主構
成する車体フレーム3と,この車体フレーム3の前上端
部に操向自在に支承され緩衝機能を備えるフロントフォ
ーク4と、このフロントフォーク4の下端部に支承され
る前車輪5と、上記フロントフォーク4の上端部に取り
付けられるハンドル6と、上記車体フレーム3の後下端
部に枢支軸7により上下に揺動自在となるよう枢支され
るリヤアーム8と、上記車体フレーム3とリヤアーム8
とに架設される緩衝器9と、上記リヤアーム8の揺動端
部に支承される後車輪10とを備えている。上記車体2
は上記前、後車輪5,10によって走行面11上に支持
可能とされている(図1中実線)。
【0024】また、上記車体2は、上記車体フレーム3
の後上端部に支持されてライダー14が跨るように着座
可能とされるシート15と、上記シート15の前下方に
おける上記車体フレーム3の下端部に支持されて上記シ
ート15に着座したライダー14の足を載置可能とさせ
る左右一対のフートレスト16とを備えている。上記シ
ート15は、その後部側が上方に向って往復回動自在と
なるようその前端部が上記車体フレーム3の後上端部に
枢支軸17により枢支されている。
【0025】また、上記車体2は、この車体2のリヤア
ーム8の下方に配置されるメインスタンド20を備えて
いる。このメインスタンド20はその後部側が上下に回
動自在となるよう前端部が上記リヤアーム8に枢支軸2
1により枢支されている。また、上記メインスタンド2
0を、図1中実線で示す上方に回動させた状態の横臥姿
勢(以下、これを「収納状態」という)と、図1中一点
鎖線で示す下方に回動させた状態の起立姿勢(以下、こ
れを「使用状態」という)との何れか一方の状態に選択
的に弾性的に保持するばね22が設けられている。
【0026】上記メインスタンド20が「収納状態」と
されたときには、上記前、後車輪5,10が共に走行面
11に接地させられて、通常の走行可能状態とされる。
一方、上記メインスタンド20が「使用状態」とされた
ときには、図1中一点鎖線で示すように、上記メインス
タンド20の回動端部と、上記前車輪5とが上記走行面
11に接地する一方、上記後車輪10は走行面11から
上方に離反させられて上記車体2が走行面11上に自立
可能とされ、これにより、車両1は自立可能とされて駐
車状態とされる。
【0027】上記車両1は、上記車体2のリヤアーム8
の揺動端部に支持されて上記後車輪10を走行駆動可能
とさせる駆動装置25を備えている。この駆動装置25
は、上記後車輪10を走行駆動させるよう駆動力を出力
可能とする電動機26と、この電動機26に上記後車輪
10を連動連結させる遊星歯車式の減速機27とを備
え、これら後車輪10、電動機26、および減速機27
は同一の軸心28上に配置されている。
【0028】上記車両1は、外部であるライダーからの
操作力を入力しその被操作量に応じて上記駆動装置25
の電動機26から上記後車輪10に出力される駆動力を
増減可能とさせるアクセル操作部30を備えている。こ
のアクセル操作部30はライダーが把持する上記ハンド
ル6のグリップ部で構成され、ライダーの操作によりこ
のグリップ部が回動させられる。
【0029】上記車両1は、上記シート15の下方で上
記車体フレーム3に着脱自在に支持される上記電動機2
6の電源であってこの電動機26に駆動力を出力させる
よう電力を供給可能とするバッテリー32と、このバッ
テリー32に他の電源から電力を供給可能とさせる充電
器33と、上記バッテリー32からメインスイッチ34
を介し電力が供給されて上記駆動装置25の電動機26
を電子的に制御する制御装置35と、上記ハンドル6に
取り付けられ上記車両1の運転状態を表示するメータ3
6とを備えている。
【0030】上記制御装置35は、上記メインスイッチ
34を介し上記バッテリー32から電力を入力するマイ
コンである中央処理装置39と、上記バッテリー32の
直流電流を交流電流に変換して上記電動機26に供給可
能とするインバータ40とを備えている。また、外部か
らの操作による上記アクセル操作部30の被操作量に基
づき上記中央処理装置39から信号が出力されるように
なっており、上記インバータ40は、上記中央処理装置
39から出力される信号をゲートドライブ41を介し入
力するパワーモジュール42を備えている。このパワー
モジュール42は、上記中央処理装置39から出力され
る信号に基づいて上記アクセル操作部30の被操作量に
応じた値の上記バッテリー32からの電力を、上記電動
機26に供給可能とするスイッチング素子45を備え、
上記電動機26は上記バッテリー32からこの電動機2
6に供給される電力の増減に応じて、その出力する駆動
力が増減させられる。
【0031】上記中央処理装置39と、インバータ40
のゲートドライブ41およびパワーモジュール42のス
イッチング素子45とは共通のプリント基板46上に設
けられ、この基板46は上記リヤアーム8に支持されて
いる。
【0032】上記車両1は、上記メータ36に内有され
上記前車輪5の回転速度VFを検出してその検出信号を
車速計に表示させる前車輪回転速度センサー50と、上
記後車輪10の回転速度VRを検出する後車輪回転速度
センサー51とを備えている。上記各回転速度VF,V
Rは各車輪の外周面の周速であるが、これは車輪の回転
数という車速の算出根拠となる間接的な概念を含むもの
である。また、特に、上記後車輪回転速度センサー51
による後車輪10の回転速度VRの検出位置は、後車輪
10の車軸の他、電動機26や減速機27の回転部分の
回転数に基づいてもよい。
【0033】また、上記車両1は、上記シート15にラ
イダー14が着座しているか否かを検出するシートセン
サー52と、上記フートレスト16上にライダー14の
足が載置されているか否かを検出するフートレストセン
サー53と、上記メインスタンドセンサー54が「使用
状態」であるか否(「収納状態」)かを検出するメイン
スタンドセンサー54と、上記アクセル操作部30の被
操作量を検出するアクセル操作部センサー55と、上記
パワーモジュール42の温度を検出する温度センサー5
6とを備え、上記各センサー50〜56はいずれも上記
制御装置35の中央処理装置39に電気的に接続され
て、その各検出信号が上記中央処理装置39に入力され
るようになっている。
【0034】図3は、上記制御装置35のプログラムの
フローチャートを示し、符号Sは上記プログラムの各ス
テップを示している。
【0035】図3中、S2において、上記前車輪回転速
度センサー50の検出信号による前車輪5の回転速度V
Fが上記中央処理装置39に予め設定されていて0を含
む第1所定値V1を越えていると判断されれば(VF>
V1)、上記車両1は、その車体2が前車輪5と「使用
状態」のメインスタンド20との接地によって走行面1
1上に自立させられている駐車状態にあるのではなく、
走行状態にあると判断されて、上記駆動装置25は制御
装置35により通常の制御がなされ(S3)、車両1は
通常の運転状態となるよう制御される。
【0036】一方、上記S2において、前車輪5の回転
速度VFが第1所定値V1以下の小さい値であると判断
されれば(VF≦V1)、S4が実行される。このS4
において、上記後車輪回転速度センサー51の検出信号
による後車輪10の回転速度VRが上記第1所定値V1
よりも大きい値であって、上記中央処理装置39に予め
設定されている第2所定値V2未満であると判断されれ
ば(VR<V2>V1)、上記S3が実行されて、上記
駆動装置25は制御装置35により通常の制御がなされ
る。
【0037】上記S4において、上記後車輪10の回転
速度VRが上記第2所定値V2以上であると判断されれ
ば(VR≧V2>V1)、これと、上記S2でのVF≦
V1という判断とからみれば、上記前車輪5の回転速度
VFは小さい値であるのに対し、上記後車輪10の回転
速度VRはかなり大きい値であり、このため、上記車両
1は、その車体2が前車輪5とメインスタンド20とに
より上記走行面11上に自立させられて駐車状態にあ
る、と上記制御装置35により判断される。そして、こ
の状態から車両1を発進させようとするには、上記後車
輪10の回転速度VRは過高速であると判断されて、次
に、S5が実行される。
【0038】上記S5において、上記メインスタンドセ
ンサー54の検出信号によりこのメインスタンド20は
下方に回動させられた状態でなく、つまり、「使用状
態」ではないと判断されれば、上記車両1の車体2は
前、後車輪5,10で走行面11上に支持されていて、
走行状態であると判断され、上記S3が実行されて、上
記駆動装置25は制御装置35により通常の制御がなさ
れる。
【0039】上記S5において、上記メインスタンド2
0が下方に回動させられた状態であり、つまり、「使用
状態」であると判断されれば、上記車体2が自立状態で
あって、車両1が駐車状態にあることがより確実である
と判断されて、S6が実行される。
【0040】上記S6において、上記アクセル操作部セ
ンサー55の検出信号によりアクセル操作部30の被操
作量が所定値未満であり、この操作量に応じての上記バ
ッテリー32から駆動装置25の電動機26への電力の
供給量が少ないと判断され、つまり、上記後車輪10の
回転速度VRは過高速ではないと判断されれば、上記S
3が実行されて、上記駆動装置25は制御装置35によ
り通常の制御がなされる。
【0041】上記S6において、上記アクセル操作部セ
ンサー55の検出信号によりアクセル操作部30の被操
作量が上記所定値以上であると判断されれば、S7が実
行されて、上記後車輪10の回転速度VRが上記制御装
置35の制御により減速させられる。より具体的には、
上記アクセル操作部センサー55の検出信号に基づく上
記制御装置35のインバータ40のパワーモジュール4
2の制御により、バッテリー32から電動機26への電
力の供給量が減少させられて、この電動機26により駆
動される上記後車輪10が減速させられる。
【0042】このため、上記車両1の前車輪5と、下方
に回動させられた状態である「使用状態」のメインスタ
ンド20の回動端部との接地によって車体2が走行面1
1上に自立させられている状態から、上記メインスタン
ド20の接地を解除させて遊転駆動中の後車輪10を接
地させることにより、この車両1を直ちに発進させよう
とする発進操作をしようとするとき、上記したように、
S6において、上記後車輪10の回転速度VRは減速さ
せられていて過高速が回避されていることから、上記駆
動装置25の駆動に伴う後車輪10の回転速度VRがど
の程度であるかをライダー14が知らないまま、上記車
両1が無意図的に急発進するということは防止される。
【0043】よって、上記した車両1の発進操作におい
て、上記衝撃力により上記駆動装置25の特に減速機2
7に対し無用に過大な衝撃力が与えられる、ということ
は防止され、これは上記駆動装置25の減速機27の寿
命上好ましい。
【0044】上記の場合、車両1の車速を検出して表示
するためのメータ36に予め設けられている前車輪回転
速度センサー50が、上記前車輪5の回転速度VFの検
出のために利用されており、よって、この利用の分、上
記車両1の急発進の防止が簡単な構成によって達成され
る。
【0045】なお、以上は図示の例によるが、車両1は
自動三輪車であってもい。また、上記駆動装置25は内
燃機関であってもよく、この場合、電動機26は内燃機
関本体と、この内燃機関本体の吸気系に設けられるスロ
ットル弁とに相当し、アクセル操作部30はスロットル
開度操作部に相当する。
【0046】また、図3の上記制御装置35におけるフ
ローチャートは、S1、S2、S3、S4、およびS7
の第1の組み合わせであってもよく、また、S1、S
3、S4、S5、およびS7の第2の組み合わせであっ
てもよく、また、S1、S3、S5、S6、およびS7
の第3の組み合わせであってもよく、これら各ステップ
を任意に組み合せたり、上記第1〜第3の組み合わせを
並列に設けてもよい。この場合、上記第1の組み合わせ
における第2所定値V2と、第2の組み合わせにおける
第2所定値V2とは値が異なっていてもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明による効果は、次の如くである。
【0048】請求項1の発明は、車体に支承される前、
後車輪と、上記車体に対し上下に回動自在となるよう枢
支され下方に回動させられた状態での回動端部が走行面
上に接地可能とされるメインスタンドと、上記車体に支
持されて上記後車輪を走行駆動可能とさせる駆動装置
と、上記駆動装置を制御する制御装置とを備え、下方に
回動させられた状態での上記メインスタンドの回動端部
と上記前車輪との接地で、上記車体が走行面上に自立可
能となるようにした鞍乗型車両において、
【0049】上記前車輪の回転速度が第1所定値以下で
あって、上記後車輪の回転速度が上記第1所定値よりも
大きい値の第2所定値以上であれば、この後車輪の回転
速度を上記制御装置により減速させるようにしてある。
【0050】ここで、上記したように、前車輪の回転速
度が第1所定値以下であって、上記後車輪の回転速度が
上記第1所定値よりも大きい値の第2所定値以上である
場合には、前車輪の回転速度は小さい値であるのに対
し、上記後車輪の回転速度はかなり大きい値であること
から、上記車体は、その前車輪とメインスタンドとによ
り走行面上に自立させられた自立状態にあると判断され
る。
【0051】そこで、上記したように、後車輪の回転速
度を減速させるようにしたのであり、このため、上記車
体の自立状態から、上記メインスタンドの接地を解除さ
せて遊転駆動中の後車輪を接地させることにより、この
車両を直ちに発進させようとする発進操作をしようとす
るとき、上記したように、後車輪の回転速度は減速させ
られていて過高速が回避されていることから、上記駆動
装置の駆動に伴う後車輪の回転速度がどの程度であるか
をライダーが知らないまま、上記車両が無意図的に急発
進するということは防止される。
【0052】よって、上記した車両の発進操作におい
て、上記衝撃力により上記駆動装置に対し無用に過大な
衝撃力が与えられる、ということは防止され、これは上
記駆動装置の減速機の寿命上好ましい。
【0053】また、上記発明によれば、車体が自立状態
にある、という判断をする上で、センサーは不要である
ため、その分、上記した車両の急発進の防止は簡単な構
成で達成される。
【0054】請求項2の発明は、車体に支承される前、
後車輪と、上記車体に対し上下に回動自在となるよう枢
支され下方に回動させられた状態での回動端部が走行面
上に接地可能とされるメインスタンドと、上記車体に支
持されて上記後車輪を走行駆動可能とさせる駆動装置
と、上記駆動装置を制御する制御装置とを備え、下方に
回動させられた状態での上記メインスタンドの回動端部
と上記前車輪との接地で、上記車体が走行面上に自立可
能となるようにした鞍乗型車両において、
【0055】上記メインスタンドが下方に回動させられ
た状態であり、かつ、上記後車輪の回転速度が所定値以
上であれば、この後車輪の回転速度を上記制御装置によ
り減速させるようにしてある。
【0056】ここで、上記したように、メインスタンド
が下方に回動させられた状態である場合には、車体は、
その前車輪とメインスタンドとにより走行面上に自立さ
せられた自立状態にあるということが、より正確に判断
される。
【0057】そこで、上記したように、後車輪の回転速
度を減速させるようにしたのであり、このため、上記車
体の自立状態から、上記メインスタンドの接地を解除さ
せて遊転駆動中の後車輪を接地させることにより、この
車両を直ちに発進させようとする発進操作をしようとす
るとき、上記したように、後車輪の回転速度は減速させ
られていて過高速が回避されていることから、上記駆動
装置の駆動に伴う後車輪の回転速度がどの程度であるか
をライダーが知らないまま、上記車両が無意図的に急発
進するということは防止される。
【0058】よって、上記した車両の発進操作におい
て、上記衝撃力により上記駆動装置に対し無用に過大な
衝撃力が与えられる、ということは防止され、これは上
記駆動装置の減速機の寿命上好ましい。
【0059】請求項3の発明は、車体に支承される前、
後車輪と、上記車体に対し上下に回動自在となるよう枢
支され下方に回動させられた状態での回動端部が走行面
上に接地可能とされるメインスタンドと、外部からの操
作力を入力しその被操作量に応じて上記駆動装置から上
記後車輪に出力される駆動力を増減可能とさせるアクセ
ル操作部と、上記車体に支持されて上記後車輪を走行駆
動可能とさせる駆動装置と、上記駆動装置を制御する制
御装置とを備え、下方に回動させられた状態での上記メ
インスタンドの回動端部と上記前車輪との接地で、上記
車体が走行面上に自立可能となるようにした鞍乗型車両
において、
【0060】上記メインスタンドが下方に回動させられ
た状態であり、上記アクセル操作部の被操作量が所定値
以上であれば、上記後車輪の回転速度を上記制御装置に
より減速させるようにしてある。
【0061】この発明の効果は、前記請求項2の発明と
同様であるが、次の効果も生じる。
【0062】即ち、上記したように、アクセル操作部の
被操作量が所定値以上であれば、仮にそのときの上記後
車輪の回転速度の値は過大でないとしても、近い将来に
過大になるおそれがあるのであり、このような場合を含
めて、上記後車輪の回転速度を減速させるようにしたこ
とから、上記車両の無意図的な急発進はより確実に防止
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の全体側面図である。
【図2】車両における電気配線図である。
【図3】制御装置のフローチャート図である。
【符号の説明】
1 車両 2 車体 3 車体フレーム 4 フロントフォーク 5 前車輪 10 後車輪 11 走行面 14 ライダー 20 メインスタンド 21 枢支軸 22 ばね 25 駆動装置 26 電動機 30 アクセル操作部 35 制御装置 36 メータ 50 前車輪回転速度センサー 51 後車輪回転速度センサー 54 メインスタンドセンサー 55 アクセル操作部センサー VF 回転速度 VR 回転速度 V1 第1所定値 V2 第2所定値

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に支承される前、後車輪と、上記車
    体に対し上下に回動自在となるよう枢支され下方に回動
    させられた状態での回動端部が走行面上に接地可能とさ
    れるメインスタンドと、上記車体に支持されて上記後車
    輪を走行駆動可能とさせる駆動装置と、上記駆動装置を
    制御する制御装置とを備え、下方に回動させられた状態
    での上記メインスタンドの回動端部と上記前車輪との接
    地で、上記車体が走行面上に自立可能となるようにした
    鞍乗型車両において、 上記前車輪の回転速度が第1所定値以下であって、上記
    後車輪の回転速度が上記第1所定値よりも大きい値の第
    2所定値以上であれば、この後車輪の回転速度を上記制
    御装置により減速させるようにした鞍乗型車両における
    急発進防止装置。
  2. 【請求項2】 車体に支承される前、後車輪と、上記車
    体に対し上下に回動自在となるよう枢支され下方に回動
    させられた状態での回動端部が走行面上に接地可能とさ
    れるメインスタンドと、上記車体に支持されて上記後車
    輪を走行駆動可能とさせる駆動装置と、上記駆動装置を
    制御する制御装置とを備え、下方に回動させられた状態
    での上記メインスタンドの回動端部と上記前車輪との接
    地で、上記車体が走行面上に自立可能となるようにした
    鞍乗型車両において、 上記メインスタンドが下方に回動させられた状態であ
    り、かつ、上記後車輪の回転速度が所定値以上であれ
    ば、この後車輪の回転速度を上記制御装置により減速さ
    せるようにした鞍乗型車両における急発進防止装置。
  3. 【請求項3】 車体に支承される前、後車輪と、上記車
    体に対し上下に回動自在となるよう枢支され下方に回動
    させられた状態での回動端部が走行面上に接地可能とさ
    れるメインスタンドと、外部からの操作力を入力しその
    被操作量に応じて上記駆動装置から上記後車輪に出力さ
    れる駆動力を増減可能とさせるアクセル操作部と、上記
    車体に支持されて上記後車輪を走行駆動可能とさせる駆
    動装置と、上記駆動装置を制御する制御装置とを備え、
    下方に回動させられた状態での上記メインスタンドの回
    動端部と上記前車輪との接地で、上記車体が走行面上に
    自立可能となるようにした鞍乗型車両において、 上記メインスタンドが下方に回動させられた状態であ
    り、上記アクセル操作部の被操作量が所定値以上であれ
    ば、上記後車輪の回転速度を上記制御装置により減速さ
    せるようにした鞍乗型車両における急発進防止装置。
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JP2018030436A (ja) * 2016-08-24 2018-03-01 株式会社ミツバ 自動二輪車およびエンジン

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