JP2003342745A - ガスケット用ステンレス鋼板及びステンレス鋼製ガスケット - Google Patents
ガスケット用ステンレス鋼板及びステンレス鋼製ガスケットInfo
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- C23C2222/00—Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
- C23C2222/10—Use of solutions containing trivalent chromium but free of hexavalent chromium
Abstract
てゴム被覆層を形成することにより、密着性,シール性
に優れたステンレス鋼製ガスケットを提供する。 【構成】 このガスケット用ステンレス鋼板は、ゴム被
覆層が形成される基材表面に、Cr(III)のリン酸クロ
ム,シリカ及びアクリル樹脂を含む有機−無機複合皮膜
が形成されている。有機−無機複合皮膜は、好ましくは
P/Cr重量比0.5〜1.8でP及びCrを含み、乾燥
付着量で10〜100mg/m2のCrを含むことが好
ましい。有機-無機複合皮膜を介して形成されたゴム被
覆層は、長期にわたり良好な密着性が維持される。
Description
リンダヘッドに組み込まれるガスケットに適したステン
レス鋼板及びゴム被覆層の密着性に優れたステンレス鋼
製ガスケットに関する。
ゴム被覆金属板の使用が一般的になってきている。シリ
ンダヘッド用のゴム被覆金属板は、高温・高圧で且つ過
酷な腐食雰囲気に曝されることから、耐熱・耐食性に優
れたステンレス鋼が基材に使用されている。ステンレス
鋼表面をゴム被覆してシール性を付与しているが、シリ
ンダヘッド・ガスケットが曝される高温・高圧の湿潤環境
のため基材・ステンレス鋼からゴム被覆層が剥離し、シ
ール性が低下しやすい。ゴム被覆層の耐剥離性を改善す
るため、ゴム被覆層の形成に先立って基材・ステンレス
鋼に粗面化,亜鉛めっき,クロメート処理等の表面処理
が施されている。なかでも、クロメート処理は、他の処
理法よりもゴム被覆層の密着性向上に有効であり、反応
型クロメート処理や電解クロメート処理に比較して操業
性,性能共に優れている塗布型クロメート処理が採用さ
れている(特開平3−227622号公報,特公平7−92149号
公報)。
によってゴム密着性に優れたステンレス鋼製ガスケット
が得られるものの、Cr,特にCr(VI)を含まない材料
開発が環境への配慮から強く望まれている。ステンレス
鋼製ガスケットの前処理に関しても同様な傾向にあり、
早急な対応が望まれている。しかし、ガスケット用途の
ステンレス鋼板に適した実用的なCr(VI)フリーの表面
処理方法はこれまでのところ確立されていない。
題を解消すべく案出されたものであり、安定したCr(V
I)フリーの有機−無機複合皮膜を基材・ステンレス鋼の
表面に設けることにより、長期にわたってステンレス鋼
/ゴム被覆層の密着性低下がなく、環境にも悪影響を及
ぼさないシール性,耐久性に優れたガスケット用ステン
レス鋼板及びステンレス鋼製ガスケットを提供すること
を目的とする。
その目的を達成するため、ゴム被覆層が形成される基材
表面に、Cr(III)のリン酸クロム,シリカ及びアクリ
ル樹脂を含む有機−無機複合皮膜が形成されていること
を特徴とする。有機−無機複合皮膜は、好ましくはP/
Cr重量比0.5〜1.8でP及びCrを含んでいる。ま
た、乾燥付着量で10〜100mg/m2のCrを含む
ことが好ましい。有機−無機複合皮膜を介してゴム被覆
層を設けると、シール性,耐久性に優れたステンレス鋼
製ガスケットが得られる。
の密着性低下は、エンジン冷却水に含まれるエチレング
リコールが大きく影響していると考えられる。エチレン
グリコールの影響は、溶解性パラメータを用いて説明で
きる。たとえば、ガスケット用ゴムに使用されているN
BRの溶解性パラメータは8.7〜10.3であり、フッ
素ゴムの溶解性パラメータは8〜10である。他方、エ
チレングリコールの溶解性パラメータは14.2,水の
溶解性パラメータは23.4である。ゴム成分の溶解性
パラメータが溶液の溶解性パラメータに近いほど相溶性
が大きくなる。エチレングリコールを含む環境では、水
単独の環境に比較して溶解性パラメータがゴム成分の溶
解性パラメータに接近するため、ゴム被覆層へのエチレ
ングリコールの浸透,ゴム被覆層の膨潤,水分の浸透が
生じやすい。
は120〜150℃程度に加熱される。加熱されたゴム
被覆層は、水分がゴム被覆層に浸透・透過しやすく、エ
チレングリコールによる膨潤作用を一層受けやすくな
る。基材・ステンレス鋼表面に形成した表面処理皮膜が
浸透水との水和反応や浸透水の吸着が生じると、ゴム/
ステンレス鋼界面の浸透圧が上昇し、微小な浸透圧フク
レが発生しやすくなると推察される。浸透圧フクレは、
剥離の起点として作用しゴム被覆層の剥離を促進させ
る。
リコールがゴム被覆層の密着性低下に影響を及ぼしてい
るとの前提に立って、浸透水との水和反応及び浸透水の
吸着が生じにくい表面処理方法を種々調査・検討した。
その結果、リン酸クロム,シリカ及びアクリル樹脂を含
む有機−無機複合皮膜を基材・ステンレス鋼に形成する
と、ゴム被覆層の密着性低下がなく耐久性に優れたステ
ンレス鋼製ガスケットが得られることを見出した。有機
−無機複合皮膜は、難溶性生成物を含み基材・ステンレ
ス鋼,ゴム被覆層に対して良好な密着性を発現する。有
機−無機複合皮膜は、水溶液の広いpH領域において難
溶性のリン酸クロムを含み、可溶性の六価クロムを含ん
でいないため浸透圧フクレの原因になる水膜がゴム被覆
層下に形成されない。因みに、従来のクロメート皮膜で
は耐食性維持のために自己修復作用のある六価クロムを
全クロム量の2〜60%含むことが必須とされており、
クロム酸イオンが水溶液中に徐々に溶出し、ゴム被覆層
の下に水膜が形成される。
ないにも拘らず、シリンダヘッド・ガスケットの使用環
境で十分な耐食性を呈する。十分な耐食性は、冷却水や
エンジン内の凝縮水に有機−無機複合皮膜が接触しても
溶出成分がないためゴム被覆層の剥離が防止され、剥離
したゴム被覆層/基材・ステンレス鋼の間に隙間腐食が
ないことに依るものと考えられる。ステンレス鋼を基材
にしていることから、基材自体の優れた耐食性もゴム被
覆層の耐剥離性に寄与していると考えられる。すなわ
ち、リン酸クロム,シリカ及びアクリル樹脂が複合した
有機−無機複合皮膜が基材・ステンレス鋼/ゴム被覆層
の界面に存在していると、六価クロムがないにも拘らず
十分な耐食性が確保され、ゴム被覆層の密着性低下が防
止される。
橋でリン酸クロムと結合し、皮膜の連続性,強度に寄与
する。また、表面にあるシラノール基がゴム被覆層又は
ゴム被覆層に先立って形成される接着剤層との密着性を
向上させる。アクリル樹脂は、基材・ステンレス鋼に対
する密着性、ゴム被覆層又は接着剤層との馴染み性を向
上させると共に、シリカ,リン酸クロムの脱落を防止し
て有機−無機複合皮膜の密着性を維持する。シリカ及び
アクリル樹脂の共存は、六価クロムの還元反応を進行さ
せて安定な三価にするため、使用中や廃棄回収時におい
ても環境汚染の危険が少なくなる。
めには、皮膜中のP,Cr量をP/Cr重量比0.5〜
1.8の範囲に調整することが好ましい。P/Cr重量
比0.5未満では、過剰なCrがリン酸以外のアニオン
と反応してできる塩によって皮膜の難溶性が低下し、ゴ
ム被覆層が剥離しやすくなる。逆に1.8を超えるP/
Cr重量比では、Crに対してリン酸が過剰となり、未
反応リン酸が熱水に溶出してゴム被覆層との間に水膜を
形成し、剥離を促進させる。また、高分子化したリン酸
クロムにポーラスな部分が生じて加工性を低下させる。
更に、有機−無機複合皮膜の環境遮断能も低下し、耐食
性にも悪影響が現れる。
処理液は、リン酸イオン,亜リン酸イオン,次亜リン酸
イオン等のPソース、六価クロムイオン,三価クロムイ
オン等のCrソース、シリカ及びアクリル樹脂を配合す
ることにより調整される。有機−無機複合処理液には、
必要に応じて還元剤を添加することもできる。処理液を
基材・ステンレス鋼に塗布し、加熱・乾燥することにより
有機−無機複合皮膜が形成される。六価クロムイオンを
含む有機−無機複合処理液を使用する場合、処理液の調
整時や処理液塗布後の乾燥時に六価クロムイオンが難溶
性の三価に還元される。
合、亜リン酸,次亜リン酸,シュウ酸,酒石酸,乳酸,
クエン酸,アスコルビン酸,吉草酸等のオキシ酸又はこ
れらの塩類やメタノール等のアルコール,ホルマリン,
ブチルセロソルブ等が還元剤として使用される。還元剤
を処理液に添加することにより、六価クロムの全て又は
一部を三価クロムに還元した処理液が得られる。なかで
も、亜リン酸,次亜リン酸,リン酸,シュウ酸を還元剤
に使用し、有機−無機複合皮膜のP/Cr重量比が0.
5〜1.0となる割合で添加すると、未反応リン酸がな
くなり有機−無機複合皮膜の耐水密着性が更に向上す
る。
ス鋼との酸化反応によって電子を受け取り三価になるこ
ともある。処理液成分のシリカは、このときの酸化反応
に固体触媒として働き、六価クロムの還元を効果的に促
進させる。アクリル樹脂も、オキシ酸と同様に六価クロ
ムの還元を促進させる作用を呈する。基材・ステンレス
鋼に処理液を塗布した後で比較的高温の180〜250
℃で乾燥すると還元反応が更に促進され、残存する六価
クロムの全量が三価に還元される。
ステンレス鋼に塗布し加熱乾燥すると、リン酸クロム,
シリカ,アクリル樹脂が相互にオキソ橋で結合し、高分
子化した安定皮膜が形成される。有機−無機複合処理液
の塗布に先立って、アルカリ系洗浄液,界面活性剤を含
む洗浄液及び/又はリン酸,フッ酸,硝酸,塩酸等の酸
性水溶液で基材・ステンレス鋼を予め洗浄しておくこと
が好ましい。塗布方法にはロールコート,浸漬,スプレ
ー等を採用できるが,塗布量の制御が容易なロールコー
トが好ましい。塗布に際し処理液を特に加熱する必要は
なく、室温の処理液を使用できる。
にリン酸クロム,シリカ及びアクリル樹脂が共存するた
め、ゴム被覆層との密着性,耐水性,耐食性に優れた特
性を示す。有機−無機複合皮膜は、Crの乾燥付着量を
10〜100mg/m2の範囲に調整したものが好まし
い。10mg/m2以上のCr付着量でゴム密着性の改
善効果が顕著になるが、100mg/m2を超えるCr
付着量では成型加工時にクラック,パウダリング等が有
機−無機複合皮膜に発生しやすくなり、結果としてゴム
被覆層の密着性が低下する。
比を0.5〜1.0の範囲に収めると、六価クロム→三価
クロムの還元反応にリン酸が効率よく消費されるため、
熱水に溶出しやすい未反応リン酸がなく難溶性リン酸ク
ロムを主体とする皮膜になり、耐水密着性が一層向上す
る。六価クロム→三価クロムの還元反応に消費されない
未反応リン酸が有機−無機複合皮膜に残存すると、使用
時の雰囲気に未反応リン酸が溶出し、ゴム被覆層の耐水
密着性が低下する虞がある。
ム被覆層は、基材に対する密着性が良好である。ゴム被
覆層には、NBR,水添加NBR,フッ素ゴム,シリコ
ーンゴム,アクリルゴム,エピクロルヒドリンゴム,E
PDM,塩素化ゴム,クロロスルホン化ポリエチレン等
がある。また、六価クロムイオンと浸透水との水和反応
や浸透水の吸着に起因するフクレが抑制されているの
で、長期間にわたって良好な密着性が維持される。しか
も、ステンレス鋼をガスケット基材に使用していること
から、耐食性に関しても要求レベルを満足したガスケッ
トとなる。
/l,三価クロムイオン:20g/l,リン酸:140
g/l,シリカ:80g/l,ポリメタクリル酸メチ
ル:40g/lの組成をもち、pH2.7の有機−無機
複合処理液を調整し、23℃に保持した。基材・ステン
レス鋼には、板厚0.2mmのSUS301Hステンレ
ス鋼板の圧延材をを使用し、有機−無機複合処理液の塗
布に先立ってリン酸塩処理した。有機−無機複合処理液
を基材・ステンレス鋼にロールコータで塗布し、200
℃で1分間乾燥することによりクロム付着量:40mg
/m2の有機−無機複合皮膜を形成した。
ス鋼板から50mm×50mmの試験片4枚を切り出
し、沸騰純水100mlに10分間浸漬した後、溶出成
分をJIS H8625付属書2.4.1のジフェニルカルバジッド比
色法に準拠して濃度分析したところ、六価クロムイオン
濃度は検出限界以下であった。また、X線電子分光分析
法(ESCA)により、有機−無機複合皮膜の表面及び
15秒Arスパッタリングした後の皮膜表面のCr2p
及びP2pの結合エネルギースペクトルを測定すること
によりリン酸クロムの生成を確認した。ESCA分析で
も、六価クロムイオンに由来するピークは検出されなか
った。
ム付着量を15mg/m2に変更した以外は、本発明例
1と同じ条件下で有機−無機複合皮膜を形成した。形成
された有機−無機複合皮膜の六価クロムイオンも検出限
界以下であり、ESCA分析ではリン酸クロムの生成が
確認され、六価クロムイオンに由来するピークが検出さ
れなかった。 〔本発明例3〕乾燥温度を240℃、クロム付着量を9
5mg/m2に変更した以外は、本発明例1と同じ条件
下で有機−無機複合皮膜を形成した。形成された有機−
無機複合皮膜の六価クロムイオンも検出限界以下であ
り、ESCA分析ではリン酸クロムの生成が確認され、
六価クロムイオンに由来するピークが検出されなかっ
た。
機複合処理液をシュウ酸で還元処理した後、ステンレス
鋼板に塗布し、200℃で1分乾燥することにより、ク
ロム付着量:30mg/m2の有機−無機複合皮膜を形
成した。形成された有機−無機複合皮膜の六価クロムイ
オンも検出限界以下であり、ESCA分析ではリン酸ク
ロムの生成が確認され、六価クロムイオンに由来するピ
ークが検出されなかった。 〔本発明例5〕リン酸含有量を75g/lに変更した以
外は本発明例1と同じ有機−無機複合処理液を使用し、
同様な条件下でクロム付着量:20mg/m2の有機−
無機複合処理液を形成した。形成された有機−無機複合
皮膜の六価クロムイオンも検出限界以下であり、ESC
A分析ではリン酸クロムの生成が確認され、六価クロム
イオンに由来するピークが検出されなかった。
lに変更した以外は本発明例1と同じ有機−無機複合処
理液を使用し、同様な条件下でクロム付着量:60mg
/m2の有機−無機複合皮膜を形成した。形成された有
機−無機複合皮膜の六価クロムイオンも検出限界以下で
あり、ESCA分析ではリン酸クロムの生成が確認さ
れ、六価クロムイオンに由来するピークが検出されなか
った。
l,三価クロムイオン:20g/l,リン酸:40g/
l,シリカ:80g/l,ポリタクリル酸メチル:40
g/lの組成をもつ処理液をステンレス鋼板に塗布し、
80℃×1分の乾燥によってクロム付着量:40mg/
m2のクロメート皮膜を形成した。形成されたクロメー
ト皮膜の溶出成分を分析した結果から、六価クロム/全
クロムが重量比0.34の皮膜であることが判った。 〔比較例1〕六価クロムイオン:20g/l,三価クロ
ムイオン:20g/l,シリカ:80g/l,ポリメタ
クリル酸メチル:40g/lの処理液をステンレス鋼板
に塗布し、120℃×1分の乾燥によってクロム付着
量:40mg/m2のクロメート皮膜を形成した。形成
されたクロメート皮膜の溶出成分を分析した結果から、
六価クロム/全クロムが重量比0.32の皮膜であるこ
とが判った。
l,三価クロムイオン:20g/l,リン酸:40g/
l,ポリメタクリル酸メチル:40g/lの処理液をス
テンレス鋼板に塗布し、80℃×1分の乾燥によってク
ロム付着量:40mg/m2のクロメート皮膜を形成し
た。形成されたクロメート皮膜の溶出成分を分析した結
果から、六価クロム/全クロムが重量比0.37の皮膜
であることが判った。 〔比較例3〕六価クロムイオン:20g/l,三価クロ
ムイオン:20g/l,リン酸:40g/l,シリカ:
80g/l,ポリメタクリル酸メチル:40g/lの処
理液をステンレス鋼板に塗布し、80℃×1分の乾燥に
よってクロム付着量:40mg/m2のクロメート皮膜
を形成した。形成されたクロメート皮膜の溶出成分を分
析した結果から、六価クロム/全クロムが重量比0.3
5の皮膜であることが判った。
鋼板にシランカップリング剤を塗布し、180℃×10
分で熱処理した後、フッ化ビニリデン−フルオロプロペ
ン共重合体を溶液化したポリオール加硫型の塗料(ダイ
エルDPA-382:ダイキン工業株式会社製)を加硫後の膜
厚が20μm又は5μmとなるように塗布し、200℃
×1時間の加硫処理でフッ素ゴム被覆層を形成した。ゴ
ム被覆層が形成されたステンレス鋼板を次の密着性試
験,加工性試験に供した。
(トヨタ純正ロングライフクーラント)を50%含む水
溶液を120℃に加熱し、膜厚20μmのゴム被覆層が
設けられたステンレス鋼板を浸漬した。浸漬時間が50
0時間に達した時点で水溶液からゴム被覆ステンレス鋼
板を引き上げ、24時間後にゴム被覆層を密着試験し
た。密着試験では、カッターナイフにより下地・ステン
レス鋼に達する間隔1mm,桝目100個の碁盤目状切
込みを入れ、接着テープの貼り付け・引き剥がし後にゴ
ム被覆層の剥離状況を観察した。ゴム被覆層が剥離した
桝目の個数をカウントし、剥離個数を剥離度(%)とし
て密着性を評価した。
成されたステンレス鋼板を加工すると、加工変形部分の
処理皮膜の状態を外観で直接観察できない。そこで、加
工変形によって処理皮膜に発生するクラックやパウダリ
ングに起因するゴム被覆層の密着性低下現象を加工性の
指標とした。膜厚5μmのゴム被覆層が形成されたステ
ンレス鋼から切り出された試験片を、ゴム被覆層が外側
になるように0t密着曲げ加工した。曲げ部外側に接着
テープを貼り付け、接着テープを強制的に引き剥がした
後、ゴム被覆層の剥離の有無を調査した。剥離が全く生
じていないゴム被覆層を○,一部でも剥離したゴム被覆
層を×としてゴム被覆ステンレス鋼板の加工性を評価し
た。
クロム,シリカ,アクリル樹脂が共存する有機−無機複
合皮膜を形成した本発明例では、皮膜中に六価クロムが
検出されず、ゴム被覆層の剥離度も3%以下であった。
他方、リン酸クロム,シリカ,アクリル樹脂の何れかを
含まない化成処理皮膜を形成した比較例では、ゴム被覆
層の密着性が低下しており、皮膜に残存する六価クロム
の影響が窺われる。残存六価クロムの影響は、P/Cr
重量比が0.3と小さな従来例でも顕著であり、ゴム被
覆層の低い密着性に現れている。
ムイオン:20g/l,シリカ:80g/l,ポリメタ
クリル酸メチル:40g/lの基本組成に次亜リン酸イ
オン,亜リン酸イオン,リン酸イオン,シュウ酸イオン
を種々の割合で添加した有機−無機複合処理液を調製し
た。有機−無機複合処理液を23℃に保持し、実施例1
と同じ条件下でステンレス鋼板に塗布し、クロム付着
量:40mg/m2の有機−無機複合皮膜を形成した。
形成された有機−無機複合皮膜のP/Cr重量比は、処
理液に添加された次亜リン酸イオン,亜リン酸イオン,
リン酸イオン,シュウ酸イオンの添加量に応じて増加し
ていた。
分間浸漬した後、有機−無機複合皮膜からの溶出したC
r(VI)をジフェニルカルバジッド比色法で、Pをイオン
クロマトグラフィーで濃度分析した。分析結果を有機−
無機複合皮膜のP/Cr重量比で整理したところ、表2
にみられるようにP/Cr重量比が0.5〜1.0の範囲
にある有機−無機複合皮膜では、溶出成分にPが検出さ
れなかった。他方、P/Cr重量比が低すぎる有機−無
機複合皮膜では、溶出成分にCr(VI)が検出され、六価
クロムが十分に還元されていないことが判る。逆に、P
/Cr重量比が高すぎる有機−無機複合皮膜では、溶出
成分にPが検出され、未反応のリン酸根が有機−無機複
合皮膜に残存していることが窺われる。表2の結果は、
P/Cr重量比を最適範囲0.5〜1.0に管理すると
き、生成した有機−無機複合皮膜に六価クロム,未反応
リン酸が含まれず、ゴム被覆層の優れた密着性を長期に
わたって維持できるガスケット用ステンレス鋼板として
使用できることを示している。
ット用ステンレス鋼板は、クロメート皮膜に自己修復作
用をもたせるために必須とされていた可溶性六価クロム
を排除した有機−無機複合皮膜を基材・ステンレス鋼の
表面に形成している。有機−無機複合皮膜を介してゴム
被覆層を設けるとき、エンジン冷却液に接する環境下で
基材・ステンレス鋼に対するゴム被覆層の密着性が長期
にわたって高位に維持される。有機−無機複合皮膜は、
環境遮断機能が高く高温安定性にも優れているので、ス
テンレス鋼本来の優れた耐食性を活用しながら、シール
性,耐久性に優れた自動車エンジンのシリンダヘッド・
ガスケットとして使用される。
Claims (4)
- 【請求項1】 ゴム被覆層が形成される基材表面に、C
r(VI)がないCr(III)のリン酸クロム,シリカ及びア
クリル樹脂を含む有機−無機複合皮膜が形成されている
ことを特徴とするガスケット用ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 有機−無機複合皮膜がP/Cr重量比
0.5〜1.8でP及びCrを含んでいる請求項1記載の
ガスケット用ステンレス鋼板。 - 【請求項3】 有機−無機複合皮膜が乾燥付着量で10
〜100mg/m2のCrを含んでいる請求項1記載の
ガスケット用ステンレス鋼板。 - 【請求項4】 ステンレス鋼板を基材とし、請求項1〜
3何れかに記載の有機−無機複合皮膜を介してゴム被覆
層が基材表面に形成されていることを特徴とするステン
レス鋼製ガスケット。
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2003
- 2003-03-10 JP JP2003062683A patent/JP2003342745A/ja active Pending
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