JP2003339395A - 無細胞タンパク質合成用胚芽の選別方法および無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法 - Google Patents
無細胞タンパク質合成用胚芽の選別方法および無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法Info
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Abstract
出物を含む無細胞タンパク質合成溶液を効率よく工業的
に製造する方法を提供する。 【解決手段】植物種子を粉砕する工程、粉砕された植物
種子から胚芽を選別する工程を有する無細胞タンパク質
合成用植物胚芽の選別方法であって、植物種子を粉砕す
る工程において、衝撃式粉砕機を用いて、衝撃速度25
〜70m/sで無傷の胚芽を植物種子から分離すること
を特徴とする無細胞タンパク質合成用胚芽の選別方法。
Description
合成用胚芽の選別方法及び胚芽抽出物の製造方法に関
し、さらに詳しくは、合成効率の高い無細胞タンパク質
合成用胚芽抽出物を工業的に効率よく製造するための植
物胚芽の選別方法、及び胚芽抽出物の製造方法等に関す
る。
合成反応は、まず遺伝情報をもつDNAからその情報が
mRNAに転写され、そしてリボソームがそのmRNA
の情報を翻訳して、タンパク質を合成するという工程で
進行している。現在、この細胞内におけるタンパク質合
成を試験管等の生体外で行う方法としては、例えばリボ
ソームを生物体から抽出し、これらを用いて試験管内で
無細胞タンパク質合成法の研究が盛んに行われている
(特開平6−98790号公報、特開平6−22578
3号公報、特開平7−194号公報、特開平9−291
号公報、特開平7−147992号公報)。この方法に
は、リボソームの原料として、大腸菌、植物胚芽、家兎
網状赤血球等が用いられてきた。
タンパク質合成用胚芽抽出物を得る方法としては、通
常、植物種子を粉砕した後、種皮や胚乳画分を取り除い
て粗胚芽画分を取得し、更に洗浄により胚乳成分を除去
した後、粉砕、抽出、精製する方法が行われている。従
来、胚芽抽出物を大量に製造する工業化プロセスは検討
されておらず、実験室規模でごく少量の胚芽抽出液を得
るために実験室用の卓上粉砕機を用いて粉砕を繰り返し
たり手作業で胚芽選別が行われたりしており、大量に植
物胚芽を取得することは困難であった。また、小麦胚芽
系の場合、製粉会社から小麦粉製造過程で得られる小麦
胚芽を入手し、微粉砕、抽出、精製する方法を取る場合
もあるが、小麦粉製造過程で得られる胚芽は、ロール型
粉砕機によりロールの圧縮力を用いて粉砕する方法が一
般的である。この方法で得られる胚芽はロールにより傷
つけられた胚芽であるため、そこから得られる抽出液の
性能は著しく低い。
系は、ペプチド合成反応速度と翻訳反応の正確性におい
て生細胞に匹敵する性能を保持し、かつ目的とするタン
パク質を複雑な精製工程を実施することなく得ることが
できる有用な方法である。そのため、該合成系をより有
用に産業上に適用するため、胚芽抽出物を製造するため
の植物胚芽の選別を効率的に大量に行うことが必要であ
る。一般に植物種子中に含まれる胚芽は非常にわずかで
あり(例えば小麦の場合は重量割合で1乃至2%)、効
率的に胚芽を取り出す技術は、無細胞タンパク質合成用
胚芽抽出物を工業的に製造するために特に重要である。
する胚芽抽出物を工業的に効率的に製造するために、植
物種子から胚芽を短時間で大量に取得する方法等の提供
を目的とする。
を達成すべく鋭意検討した結果、植物種子を特定の条件
で粉砕し、この粉砕物から胚芽を選別すれば、無傷の胚
芽が効率的に得られ、この胚芽画分を用いて無細胞タン
パク質合成用胚芽抽出物が効率的に製造できることを見
出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられ
たものである。
砕する工程、粉砕された植物種子から胚芽を選別する工
程を有する無細胞タンパク質合成用植物胚芽の選別方法
であって、植物種子を粉砕する工程において、衝撃式粉
砕機を用いて、衝撃速度25〜70m/sで無傷の胚芽
を植物種子から分離することを特徴とする無細胞タンパ
ク質合成用胚芽の選別方法が提供される。
芽を選別する工程において、粉砕された植物種子から胚
芽分を多く含む粒径範囲の粉砕物を篩いで選別し、次い
で、風力および/または遠心力を利用して胚芽より軽い
不要成分を除去することを特徴とする上記(1)に記載
の方法が提供される。本発明の別の態様により、(3)
上記(1)または(2)に記載の方法で選別された胚芽
を微粉砕する工程、微粉砕された胚芽から胚芽抽出物を
得る工程を有することを特徴とする無細胞タンパク質合
成用胚芽抽出物の製造方法が提供される。
(4)胚芽が、コムギ、オオムギ又はイネの胚芽である
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法が提供され
る。本発明の別の態様により、(5)上記(3)に記載
の方法で製造した胚芽抽出物を用いて、翻訳鋳型の存在
下、無細胞系でタンパク質合成を行うことを特徴とする
無細胞タンパク質合成方法が提供される。
(3)に記載の方法で製造した胚芽抽出物、ATP、G
TP、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、L型ア
ミノ酸、カリウムイオン及びマグネシウムイオンを含有
することを特徴とする無細胞タンパク質合成用溶液が提
供される。本発明の別の態様により、(7)上記(3)
に記載の方法で製造した胚芽抽出物または上記(6)に
記載のタンパク質合成用液を含むことを特徴とする試薬
キットが提供される。
る。本発明に使用することができる植物種子としては、
その胚芽が得られるものであれば特に制限されないが、
通常コムギ、オオムギ、イネ等のイネ科の植物から選択
される植物の種子が挙げられる。これらの中でも、本発
明に特に好適な植物種子としてコムギが挙げられる。
芽を主成分とする胚芽画分を取得する。ここで、「無傷
の胚芽」とは、少なくとも発芽能を有する胚芽を意味
し、「胚芽画分」とは、無傷の胚芽を主要成分とするも
のであり、これを用いて無細胞タンパク質合成に使用し
うる細胞抽出物が調製可能なものを意味する。植物種子
に含まれる胚芽の量は少なく、種子から胚芽を効率的に
取得するためには、胚芽以外の部分をできるだけ除去し
ておくことが好ましい。
を「粉砕工程」と称することがある)において、種子に
機械的な力を加え、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含
む混合物(粉砕物)を得、胚芽を選別する工程(以下こ
れを「選別工程」と称することがある)において、この
混合物(粉砕物)から、胚乳破砕物、種皮破砕物等を取
り除いて粗胚芽画分を得る。この粗胚芽画分から、さら
に胚芽を選別し、胚芽画分を得る。ここで、「粗胚芽画
分」とは、胚芽を主成分とし、胚乳破砕物、種皮破砕物
を含む混合物を意味する。
より予めふすま(外皮)を除去したものであっても良
い。これにより、選別工程による胚芽純化の作業効率を
上げることができる。植物種子の粉砕は、通常公知の粉
砕装置を用いて行うことができるが、ピンミル、ハンマ
ーミル等の被粉砕物に対して衝撃力を加えるタイプの粉
砕装置(以下これを「衝撃式粉砕機」と称することがあ
る)を用いることが好ましい。粉砕の程度は、使用する
植物種子胚芽の大きさに応じて適宜選択すればよいが、
例えばコムギ種子の場合は、通常、最大長さ4mm以
下、好ましくは最大長さ2mm以下の大きさに粉砕す
る。また、粉砕は乾式で行うのが好ましい。
力は、植物種子から無傷の胚芽を分離することができる
程度の強さであれば良い。具体的には、被粉砕物(植物
種子)に対して衝撃力を加える部分の衝撃速度の下限
は、通常25m/秒、好ましくは30m/秒、上限は、
通常70m/秒、好ましくは65m/秒程度が適当であ
る。衝撃速度の範囲は、上記下限と上限の組み合わせか
ら選ばれるが、具体的には、好ましくは25〜70m/
秒、より好ましくは30〜65m/秒程度が適当であ
る。
程に供し、粗胚芽画分を取得し、それをさらに選別して
胚芽画分を得る。先ず、上記種子粉砕物から、胚芽分を
多く含む粒径範囲の粉砕物を選別する。具体的には、通
常公知の分級装置、例えば篩を用いて粗胚芽画分を取得
する。例えばコムギ種子の場合、通常、メッシュサイズ
0.5mm〜2.0mm、好ましくは0.7mm〜1.
4mmの粗胚芽画分を取得する。
して、得られた粗胚芽画分に含まれる種皮、胚乳、ゴミ
等の不要物を除去する。風力による分級は、通常公知の
風力分級機(風力選別機)を用いることができ、例えば
上昇流により軽い成分を上方に、重い成分を下方に分級
するタイプの場合には風速1〜10.0m/秒、好まし
くは2〜5m/秒の風により、ふすま(外皮)や微粉等
の胚芽より軽い不要物を除去する。また、例えば唐箕の
ように横風を利用して粉砕物の落下位置の差により分級
するタイプの場合には風速0.1〜1.0m/秒、好ま
しくは0.2〜0.7m/秒の風により胚芽より軽い不
要物を除去する。風力だけではなく、遠心力または風力
と遠心力を利用した公知の分級装置を利用してもよい。
ばサイクロンのように円筒内の旋回流により生じる遠心
力を利用するものや旋回流により生じる遠心力と二次空
気の導入による風力を利用するもの、円筒内に回転部分
を設け強制的に旋回流を作るものなどがある。一般に粒
子に遠心力が働いたときの粒子の速度(遠心沈降速度)
は以下の式(1)で表される。
は粒子が風によって除去される。小麦胚芽の場合、一般
に粒子の直径は0.5〜2mm、粒子の密度は1100
〜1600kg/m3程度であるため、装置の型式やサ
イズに合わせて小麦胚芽の遠心沈降速度が風速より大き
く、またそれより軽いものは風速のほうが大きくなる運
転条件を決めることにより胚芽より軽い不要物を除去す
ることができる。
る種皮、胚乳、ゴミ等を、静電気力を利用して除去して
もよい。さらに、胚芽と種皮、胚乳の比重の違いを利用
する方法、例えば四塩化炭素とシクロヘキサン混合液を
用いる重液選別方法、本発明者等が先に提案した振動現
象を利用した選別方法(特願2002−103321号
明細書)により、粗胚芽画分をさらに純化することもで
きる。より多くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得るため
に、上記の方法を複数組み合わせてもよい。
ば目視や、本発明者等が先に提案した光学的情報を利用
する選別方法(特願2002−141141号明細書)
等により、純度の高い胚芽画分を得ることができる。具
体的には、例えば振動による輸送現象を利用する装置を
用いることにより、種子粉砕物(胚芽粗画分)からより
多くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得ることができる。
胚芽粗画分に含まれる胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等と
は、形状、比重、摩擦係数等が異なっているため、振動
を与えるとそれぞれ異なった挙動を示す。この挙動の違
いを利用して、胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等とを選別す
ることが可能である。
を利用する装置は、振動を発生させ、粉粒体に推進力を
与える機能を有するものであればよい。例えば、図1に
示すように、少なくとも種子粉砕物(胚芽粗画分)を輸
送するトラフ及び振動源を有する装置を用いることがで
きる。また、スプリングによりトラフを斜め上下方向に
振動させることのできる装置が好ましい。図1は、本発
明で使用することのできる装置の一例を模式的に示した
図である。図1中、1はトラフ、2は振動源、3はスプ
リングを示す。
ラフを用いることが好ましい。平底型トラフの表面粗さ
としては、通常、中央平均粗さが0.1μm〜5.0μ
m、また最大粗さが2.0μm〜4.0μmである。通
常、トラフ上に胚芽粗画分を供給し、振動源及びスプリ
ングによりトラフを斜め上下方向に振動させ、トラフ上
の胚芽粗画分に対して斜め上方(通常スプリングに対し
て直角方向)の加速度を繰り返し与えることにより、胚
芽粗画分中の胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等とを選別す
る。例えば、0度〜20度の傾斜をつけたトラフ上に胚
芽粗画分を供給し、振動数50Hz〜120Hz、振幅
0.1mm〜5.0mm、振動角20度〜60度でトラ
フを振動させることにより、胚芽粗画分中の胚芽と、種
皮、胚乳粉砕物等とを選別することができる。胚芽粗画
分は、選別方法に応じて、トラフ中央部付近やトラフ下
方部付近に適宜供給することができる。
トラフの中央部付近に供給し、トラフの振動により上方
へ進むものと下へ落ちるものを分別することにより胚芽
を回収する。通常、胚芽はトラフの振動により上方へ進
み、胚乳粉砕物等は下へ転がり落ちたりすべり落ちたり
する傾向にある。落ちる速度の早いものやトラフ上に残
ったもの(通常、種皮、胚乳粉砕物等)をハケなどによ
って回収してもよい。また、胚芽粗画分をトラフの下部
に供給し、前方へ進むもの(通常、胚芽)を回収しても
よい。これらの操作は、複数回繰り返してもよい。ま
た、好ましくはトラフ供給前に胚芽粗画分を液体で湿ら
せた後、乾燥させるとよい。この場合の液体は特に限定
されない。これにより種皮付きの胚乳粉砕物の種皮が丸
まって転がりやすくなるため、転がり落ちる不純物量が
増え、製品中の胚芽純度が上がる。
動モータ、板バネによる電磁式振動機などを採用するこ
とができる。振動による輸送現象を利用する装置として
は、例えば一般に振動フィーダーとして知られている装
置を用いることができる。かくして得られたより多くの
胚芽を含有する粗胚芽画分は、さらに胚芽含有率の高い
胚芽画分を得るために、上記した胚芽の光学的情報を利
用する選別工程、例えば色彩選別機若しくは形状選別機
等を用いる選別工程に供しても良い。これにより胚芽の
純度を更に向上させることができる。
の場合、例えば胚乳と胚芽ではRGB輝度の頻度分布が
異なっているため、この違いを利用して、胚芽と胚乳を
分別することができる。ここで、RGBは、それぞれ光
の3原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)に
対応する。RGB輝度とは、色情報の表現方式でRGB
カラーモデルというものがある通り、カラービデオカメ
ラやコンピュータグラフィックスシステムで採用されて
いる方式であり、色情報をR、G、Bの各成分に分解し
たときのそれぞれを輝度で表現したものである。輝度は
一般に8ビット、つまり0から255までの256階調
で表される。小麦の胚乳、胚芽、種皮をそれぞれカラー
CCDカメラで撮影し、適当な撮影エリア内の各画素に
ついてRGB各成分に分解し、輝度の頻度分布をとる
と、胚芽は胚乳に比べて全体的に輝度の低い分布になっ
ているが、青色の輝度が特に低い分布になっている。こ
れは青色光が多く胚芽に吸収されていることを意味す
る。結果として胚芽は青色の補色に近い黄色に見える。
従って、青色光の照明下においては胚芽と胚乳との輝度
の差が大きくなる。この様に、例えば胚芽と胚乳との色
彩の違いを、例えばRGB輝度の頻度分布の違いより検
出し、それに基づき胚芽と胚乳とを選別することができ
る。また、胚芽は種皮に比べてRGB全ての成分におい
て輝度の高い分布になっているため、白色光の照明を使
用すれば、グレースケール輝度に差が現れるが、胚芽と
種皮とでは緑色の輝度差が最も高くなっている点から、
緑色光の照明を使用すれば両者の輝度差はより明確とな
る。あるいは胚芽と種皮とでは赤色の輝度分布にも差は
みられるため緑色光と赤色光の混合色である黄色光を使
用する場合も両者の輝度差を大きくすることができる。
選別機としては、色彩の違いを利用して胚芽を選別する
機能を有するものであれば如何なるものであってもよ
い。例えば、少なくとも、粗胚芽画分に光を照射する手
段、粗胚芽画分からの反射光及び/又は透過光を検出す
る手段、検出値と基準値とを比較する手段、基準値より
外れたもの又は基準値内のものを選別排除する手段を有
する装置を挙げることができる。
光を使用することができる。光源としては、白熱灯、蛍
光灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。反射
光及び/又は透過光を検出する手段としては、CCDセ
ンサー、シリコンフォトセンサー、ゲルマニウムフォト
センサー、InGaAsアレイセンサー等の受光センサ
ーを用いることができる。
機能以外に粗胚芽画分を搬送する手段も必要となるが、
そのためには、例えば傾斜を利用して重力で搬送するシ
ュート式、あるいはベルトコンベアを使用することがで
きる。例えば、粗胚芽画分をベルト上に供給し、ベルト
によって搬送されている粗胚芽画分あるいはベルト端部
から放出されている粗胚芽画分に対して光を照射しても
よいし、供給口から落下している粗胚芽画分に対して光
を照射してもよい。光源の種類、背景色(ベルトを使用
する場合はベルトの色、バックグラウンドを使用する場
合はバックグラウンドの色)、受光センサーの種類等
は、選別しようとする種子の種類または排除しようとす
るもの(胚芽またはそれ以外のもの)に応じて、適宜選
択することができる。例えば、種皮を排除する場合は、
胚芽と同程度の輝度、色彩の背景色(例えばベージュ)
とし、緑色系あるいは黄色系(例えば電球色)の光源を
用いるとよい。また、胚乳を排除する場合は、胚芽より
も濃い色の背景色とし、青色系の光源を用いるとよい。
又は透過光に基づき、検出値と基準値とを比較する手段
にて、対象物が選別排除されるべきものか否かが判断さ
れる。この判断に基づき、粗胚芽画分が選別排除を受
け、胚芽以外の部分が除去された胚芽画分を取得するこ
とができる。検出値と基準値とを比較する手段として
は、それ自体既知のものを用いることができる。
を選別排除する手段としては、例えば空気等の流体の噴
射または吸引により選別排除を実施する手段を用いるこ
とができる。図2は、粗胚芽画分から胚芽を選別する装
置の一例を模式的に示した概略図である。図2におい
て、4は粗胚芽画分供給手段、5は粗胚芽画分、6はベ
ルト、7は光源、8はCCDセンサー、9は吸引ノズル
を示す。例えば、粗胚芽画分供給手段4からベルト5上
に供給され、ベルト5によって搬送されている粗胚芽画
分5に対して光を照射し、CCDセンサー8によって反
射光を検出し、検出値と基準値とを比較して基準値より
外れたものを吸引ノズル9によって吸引排除することに
より、胚芽を選別することができる。
厚み約0.5mm、重さ約0.5〜0.6mg程度と非
常に小さくて軽量である。従って、選別精度を向上する
ために、粗胚芽画分をベルト上に供給し、ベルトによっ
て通常5〜100m/分、好ましくは10〜90m/分
の速度で搬送されている粗胚芽画分に対して光を照射
し、選別する方法が好ましい。また、ベルト上に供給す
る粗胚芽画分の量は特に限定されないが、供給量の下限
は、通常10粒/m2、好ましくは1000粒/m2、上
限は10000粒/m2、好ましくは7000粒/m2、
より好ましくは5000粒/m2程度である。供給量の
具体的な範囲は、通常10〜10000粒/m2、好ま
しくは1000〜7000粒/m2、より好ましくは1
000〜5000粒/m2程度が適当である。これにに
より、選別精度を向上することができる。
行うことにより除去物の周辺にある胚芽の誤吸引を避
け、選別精度を向上させることができる。この際の吸引
力は、例えば電磁弁等を用いてエゼクターに空気圧を供
給することにより発生させることができる。エゼクター
の動作時間、すなわち電磁弁を空ける時間は、できるだ
け短くすることが好ましく、電磁弁への開信号は通常
0.5〜10ミリ秒、好ましくは0.5〜2ミリ秒とす
ると良い。また応答の速い電磁弁を使用することも必要
である。
ず、粗胚芽画分から種皮等の胚芽より色の濃いものを排
除し、次いで胚乳等の胚芽よりも色の薄いものを排除す
る。これらの操作は逆の順序で行ってもよいし、これら
の操作を複数回繰り返してもよい。また、胚芽のみを選
別回収してもよい。また、粗胚芽画分、例えばコムギ種
子の粗胚芽画分に含まれる胚芽と胚芽以外の粉砕物とで
はその形状が異なっているため、この違いから得られる
光学的情報、即ち画像情報を利用して、胚芽と胚乳とを
分別することができる。
カメラで撮影すると、胚芽は、胚芽以外の粉砕物に比べ
て楕円形に近い形状をしていることが分かる。したがっ
て、この形状の違いに基づく光学的情報の違いを、例え
ば面積、外周長、真円度、伸長度等の画像情報の違いと
して判別し、それに基づき胚芽と胚芽以外の粉砕物とを
選別することができる。
選別機としては、形状の違いに基づく画像情報を利用し
て胚芽を選別する機能を有するものであれば如何なるも
のであってもよい。例えば、少なくとも、植物種子粉砕
物片の画像データを取得する手段、得られた画像データ
から植物種子粉砕物片の形状を判別する手段、得られた
形状の違いに基づいて基準値より外れたもの又は基準値
内のものを選別排除する手段を有する装置を挙げること
ができる。
上に供給し、ベルトによって搬送されている粗胚芽画分
に対して、白熱灯、蛍光灯、ハロゲンランプ等により可
視光又は近赤外光を照射し、粗胚芽画分からの反射光及
び/又は透過光をCCDセンサー、CMOSセンサー等
の受光センサーにより画像データを取得する。光源の種
類、背景色(ベルトを使用する場合はベルトの色、バッ
クグラウンドを使用する場合はバックグラウンドの
色)、受光センサーの種類等は、選別しようとする種子
の種類又は排除しようとするもの(胚芽又はそれ以外の
もの)に応じて、形状の違いを判別しやすい組み合わせ
を適宜選択することができる。
形状の違いを判別する。得られた画像データから画像処
理により、形状を表す検出値を求め、この検出値を予め
設定しておいた基準値と比較することにより形状の違い
を判別する。形状を表す検出値としては、例えば面積、
外周長、真円度、伸長度が挙げられる。判別する手段と
しては、それ自体既知のものを用いることができる。
いて、得られた画像データに対して2値化処理及びノイ
ズ除去を行った後、例えばブロブ解析処理等の解析手段
によりにより真円度及び伸長度を演算する。ブロブ解析
処理による真円度と伸長度はそれぞれ以下の式(2)お
よび(3)により求めることができる。
は、市販のソフトウエア、例えばNational Instruments
社製の計測・制御ソフトウェア「LabVIEW バージョン6.
0」とLabVIEW用のアドオン画像処理ツール「MAQ Vision
バージョン6.0.1」を用いて行うことができる。ブロブ
解析の詳細は、IMAQ Visionの取扱説明書「IMAQ Vision
Concept Manual」(October 2000 Edition)中、第9章
「Binary Morphology」および第10章「Particle Measur
ement」に記載されている。
近い形状であるほど1に近づく。また伸長度は細長い形
状であるほど大きな値となる。予め胚芽の真円度、伸長
度を求めておき、その値を基準値として検出値と比較す
る。面積、外周長、真円度、伸長度等の形状を表す検出
値はそれぞれ単独で用いてもよいが、多変量解析等によ
り組み合わせて用いることによりさらに選別精度は向上
する。
のような手順により行うことができる。あらかじめ複数
の胚芽および排除されるべき胚芽以外の画分に対してブ
ロブ解析を行い、得られるm種類の検出値を用いて下記
回帰式(4)を作る。検出値としては、例えば上記の面
積、外周長、真円度、伸長度以外にブロブの最大長軸、
等面積楕円長軸、等面積楕円短軸、動水半径、あるいは
これらの四則演算から得られる値(例えば等面積楕円長
軸/等面積楕円単軸)等を組み合わせても良い。
ばブロブ解析を行ったサンプルが、胚芽の場合は1、胚
芽以外の場合は0として回帰を行い、各検出値の重みと
なるA1〜Amおよび定数項A0を求める。回帰の方法
は線形重回帰として知られる方法を用いても良いが、P
LSとして知られる部分最小2乗法を用いると選別の精
度はさらに向上する。
に対しブロブ解析を行い、上記回帰式(4)からYを求
めた場合、そのサンプルが胚芽である場合には1に近い
値となり、胚芽でない場合には0に近い値を示すため選
別が可能となる。以上のような方法により得られた形状
の違いに基づいて、基準値より外れたもの又は基準値内
のものを選別排除することにより、胚芽以外の部分が除
去された胚芽画分を取得する。基準値より外れたもの又
は基準値内のものを選別排除する手段としては、例えば
空気等の流体の噴射又は吸引により選別排除を実施する
手段を用いることができる。
2に示す粗胚芽画分から胚芽を選別する装置の一例とし
て模式的に示したものと同様の装置が挙げられる。図2
において、4は粗胚芽画分供給手段、5は粗胚芽画分、
6はベルト、7は光源、8はCCDセンサー、9は吸引
ノズルを示す。例えば、粗胚芽画分供給手段4からベル
ト5上に供給され、ベルト6によって搬送されている粗
胚芽画分5に対して光を照射し、CCDセンサー8によ
って画像データを取得し、画像データから得られた検出
値と基準値とを比較して基準値より外れたものを吸引ノ
ズル9によって吸引排除することにより、胚芽を選別す
ることができる。
横約1mm、厚み約0.5mm、重さ約0.5〜0.6
mg程度と非常に小さくて軽量である。従って、選別精
度を向上するために、粗胚芽画分をベルト上に供給し、
ベルトによって通常5〜100m/分、好ましくは10
〜90m/分の速度で搬送されている粗胚芽画分に対し
て光を照射し、選別する方法が好ましい。また、ベルト
上に供給する粗胚芽画分の量は特に限定されないが、供
給量の下限は、通常10粒/m2、好ましくは1000
粒/m2、上限は10000粒/m2、好ましくは700
0粒/m2、より好ましくは5000粒/m2程度であ
る。供給量の具体的な範囲は、通常10〜10000粒
/m2、好ましくは1000〜7000粒/m2、より好
ましくは1000〜5000粒/m2程度が適当であ
る。これににより、選別精度を向上することができる。
てもよい。また、胚芽のみを選別回収してもよい。前記
の通り、吸引排除はできるだけ短い時間で瞬間的に行う
ことにより除去物の周辺にある胚芽の誤吸引を避け、選
別精度を向上させることができる。この際の吸引力は、
例えば電磁弁等を用いてエゼクターに空気圧を供給する
ことにより発生させることができる。エゼクターの動作
時間すなわち電磁弁を空ける時間はできるだけ短くする
ことが好ましく、電磁弁への開信号は0.5〜10ミリ
秒、好ましくは0.5〜2ミリ秒とすると良い。また応
答の速い電磁弁を使用することも必要である。
した振動による輸送現象を用いる方法と、胚芽の光学的
情報を用いる方法とを組み合わせて行うのが特に好まし
い。これにより、純度の高い胚芽画分を効率的に取得す
ることができる。このようにして得られた胚芽画分は、
胚乳成分が付着している場合があるため、通常、胚芽純
化のために更に洗浄処理することが好ましい。
しくは4℃以下に冷却した水又は水溶液に胚芽画分を分
散・懸濁させ、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄するこ
とが好ましい。また、通常10℃以下、好ましくは4℃
以下で、界面活性剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散
・懸濁させて、洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄するの
がより好ましい。界面活性剤としては、非イオン性のも
のが好ましく、非イオン性界面活性剤であるかぎりは、
広く利用ができる。具体的には、例えば、好適なものと
して、ポリオキシエチレン誘導体であるブリッジ(Br
ij)、トリトン(Triton)、ノニデット(No
nidet)P40、ツイーン(Tween)等が例示
される。なかでも、ノニデット(Nonidet)P4
0が最適である。これらの非イオン性界面活性剤は、例
えば0.5%程度の濃度で使用することができる。
性剤による洗浄処理は、どちらか一方でもよいし、両方
実施してもよい。また、これらの洗浄処理は、超音波処
理との組み合わせで実施してもよい。以上のようにして
得られた胚芽を微粉砕する工程に供して微粉砕し、微粉
砕された胚芽から胚芽抽出物を得る。胚芽抽出物を得る
方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、
液体窒素で凍結した胚芽を微粉砕し、抽出溶媒を加えて
攪拌した後、胚芽抽出物含有液を遠心分離等により回収
する。その後、必要に応じてゲルろ過等により精製して
もよい。
衝撃、切断等の、粉砕方法として従来公知の方法を採用
することができるが、特に本発明者等が先に提案した衝
撃または切断により胚芽を微粉砕する(特願2002−
023138号明細書、特願2002−023139号
明細書)ことが好ましい。ここで「衝撃または切断によ
り微粉砕する」とは、植物胚芽の細胞核、ミトコンドリ
ア、葉緑体等の細胞小器官(オルガネラ)、細胞膜や細
胞壁等の破壊を、従来の摩砕又は圧砕と比べて最小限に
止めうる条件で植物胚芽を破壊することを意味する。
方法としては、上記条件を満たすものであれば特に限定
されないが、例えば、ワーリングブレンダーのような高
速回転する刃状物を有する装置を用いるのが好ましい。
刃状物の回転数は、通常1000rpm以上、好ましく
は5000rpm以上であり、また、通常30000r
pm以下、好ましくは25000rpm以下である。刃
状物の回転時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以
上である。回転時間の上限は特に限定されないが、通常
10分以下、好ましくは5分以下である。微粉砕する際
の温度は、胚芽のタンパク質合成能力が失われない温度
であれば特に限定されないが、好ましくは10℃以下で
微粉砕の操作が可能な温度範囲、特に好ましくは4℃程
度が適当である。
粉砕することにより、胚芽の細胞核等の細胞小器官、細
胞膜や細胞壁が全て破壊されてしまうのではなく、少な
くともその一部は破壊されることなく残る。即ち、胚芽
の細胞核等の細胞小器官、細胞膜や細胞壁が必要以上に
破壊されることがないため、それらに含まれるDNAや
脂質等の不純物の混入が少なく、細胞質に局在するタン
パク質合成に必要なRNAやリボソーム等を高純度で効
率的に胚芽から抽出することができる。
を粉砕する工程と粉砕された植物胚芽と抽出溶媒とを混
合して胚芽抽出液を得る工程とを同時に一つの工程とし
て行うことができるため効率的に胚芽抽出液を得ること
ができる。次いで、遠心分離等により胚芽抽出液を回収
し、必要に応じてゲルろ過等により精製し、胚芽抽出物
を得ることができる。
ン、マグネシウムイオン及び/又はチオール基の酸化防
止剤を含む水溶液を用いることができる。また、必要に
応じて、カルシウムイオン、L型アミノ酸等をさらに添
加してもよい。例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペ
ラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)−
KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、L型アミノ
酸及び/又はジチオスレイトールを含む溶液や、Patter
sonらの方法を一部改変した溶液(HEPES−KO
H、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウ
ム、L型アミノ酸及び/又はジチオスレイトールを含む
溶液)を抽出溶媒として使用することができる。抽出溶
媒中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細
胞タンパク質合成用の胚芽抽出物の製造法に通常用いら
れるものを採用すればよい。
PES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、ジ
チオスレイトール又はL型アミノ酸を含む溶媒)で平衡
化しておいたゲルろ過装置を用いて行うことができる。
ゲルろ過溶液中の各成分の組成・濃度もそれ自体既知で
あり、無細胞タンパク質合成用の胚芽抽出物の製造法に
通常用いられるものを採用すればよい。
物、特に糸状菌(カビ)などの胞子が混入していること
があり、これら微生物を排除しておくことが好ましい。
特に長期(1日以上)の無細胞タンパク質合成反応中に
微生物の繁殖が見られることがあるので、これを阻止す
ることは重要である。微生物の排除手段は特に限定され
ないが、ろ過滅菌フィルターを用いるのが好ましい。フ
ィルターのポアサイズとしては、通常0.1乃至1マイ
クロメーター、好ましくは0.2乃至0.5マイクロメ
ーターが適当である。ちなみに、小さな部類の枯草菌の
胞子のサイズは0.5μmx1μmであることから、
0.20マイクロメーターのフィルター(例えばSartor
ius製のMinisartTM等)を用いるのが胞子の除去にも有
効である。ろ過に際して、先ずポアサイズが大きめのフ
ィルターを用い、次に混入する可能性のある微生物が排
除可能なポアサイズのフィルターを用いてろ過するのが
好ましい。
料細胞自身が含有する又は保持するタンパク質合成機能
を抑制する物質(トリチン、チオニン、リボヌクレアー
ゼ等のリボソームに作用してその機能を抑制する物質)
を含む胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されている。こ
こで、胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されていると
は、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程度ま
で胚乳部分を取り除いた胚芽抽出物のことであり、ま
た、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程度と
は、リボソームの脱アデニン化率が7%未満、好ましく
は1%以下になっていることをいう。
記方法で調製された胚芽抽出物を含み、翻訳鋳型(mR
NA)の存在下、無細胞タンパク質合成に用いるもので
ある。無細胞タンパク質合成系によるタンパク質の合成
は、上記胚芽抽出物または該抽出物より調製されるタン
パク質合成用液を使用し、従来と同様の方法で行うこと
ができる。この方法は、公知のバッチ法であってもよい
し、Spirinら(A. S.Spirin et al. (1988), Science,
242, 1162-1164 )や横山らの(木川ら、第21回日本
分子生物学会、WID6)の連続式無細胞系タンパク質
合成システムのようなアミノ酸、エネルギー源の連続供
給系であってもよい。バッチ法ではタンパク質合成を長
時間行うと反応が停止することがあるため、後者のアミ
ノ酸、エネルギー源の連続供給系を使用することによ
り、反応を長時間維持させることができ、更なる効率化
が可能となる。また、連続供給系でタンパク質を合成す
る場合には、透析法を使用することもできる。例えば、
本発明の胚芽抽出物を透析内液に、エネルギー源やアミ
ノ酸を含む混合液を透析外液に用いた限外濾過膜透析系
では、タンパク質を連続的に大量調製することが可能で
ある。ここで、エネルギー源としては、アデノシン三リ
ン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(GTP)、クレ
アチンリン酸等が挙げられ、アミノ酸としては20種類
のL型アミノ酸が挙げられる。
胚芽抽出物と、タンパク質合成に必須の成分であるAT
P、GTP、クレアチンリン酸、クレアチンキナーゼ、
L型アミノ酸、カリウムイオン及びマグネシウムイオン
とを含有する水溶液はレディーメイド型無細胞タンパク
質合成溶液として、簡便に使用することができる。上記
成分の含有量は特に限定されず、無細胞タンパク合成反
応を行いうる濃度であればよい。本発明の無細胞タンパ
ク質合成溶液は、タンパク質合成に際して従来のように
反応溶液の調製を必要とせず、目的とする翻訳鋳型(m
RNA)を添加するだけで、簡便に、効率的に、大量に
タンパク質を合成することができる。該タンパク質合成
溶液は、溶媒として上記抽出溶媒を用い、それに必要に
応じて上記成分を添加することにより調製できる。
芽抽出物またはタンパク質合成用液を含み、任意の要素
として、希釈液(緩衝液)、透析液、エネルギー供給
液、発現ベクター、コントロール用発現ベクター、制限
酵素、反応容器等を含んでいてもよい。また、該試薬キ
ットにはRNAポリメラーゼ等の転写系に用いる試薬が
含まれていてもよい。
明するが、下記の実施例は本発明についての具体的認識
を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲は下
記の実施例により何ら限定されるものではない。なお、
以下の実施例において、lはリットル、mlはミリリッ
トル、Mはモル/リットル、mMはミリモル/リット
ル、μgはマイクログラムをそれぞれ表す。
(1) 岡山県産のシラサギコムギを1時間に約200kgの割
合で衝撃式粉砕機(ダルトン製ハンマーミル:FIIS、
6mmスクリーン付き)を用いて回転数を変えて粉砕し
た。粉砕後、それぞれの条件につき100gの粉砕品サ
ンプルを振動篩いを用いて0.71mm〜1.0mmの
範囲で分画し、四塩化炭素とシクロヘキサン混合液[四
塩化炭素:シクロヘキサン=2.4:1(容積比)]を
用いた重液選別によって、発芽能を有する胚芽を浮上画
分から回収し、室温乾燥によって有機溶媒を除去した。
さらに目視により無傷な胚芽を選別回収し、その重量を
測定することにより得られた胚芽の収率を表1に示す。
(2) 岡山県産のシラサギコムギを1時間に約100kgの割
合で衝撃式粉砕機(ホソカワミクロン製フェザーミル:
FM−1S、3mmスクリーン付き)を用いて回転数を
変えて粉砕した。粉砕後、それぞれの条件につき100
gの粉砕品サンプルを振動篩いを用いて0.71mm〜
1.0mmの範囲で分画し、四塩化炭素とシクロヘキサ
ン混合液[四塩化炭素:シクロヘキサン=2.4:1
(容積比)]を用いた重液選別によって、発芽能を有す
る胚芽を浮上画分から回収し、室温乾燥によって有機溶
媒を除去した。さらに目視により無傷な胚芽を選別回収
し、その重量を測定することにより得られた胚芽の収率
を表2に示す。
砕(3) 北海道産のホクシン小麦を1時間に120kgの割合で
衝撃式粉砕機(中央化工機製ピンミル:HPC―1)を
用いて回転数を変えて粉砕した。粉砕後、それぞれの条
件につき100gの粉砕品サンプルを振動篩いを用いて
0.71mm〜1.0mmの範囲で分画し、四塩化炭素
とシクロヘキサン混合液[四塩化炭素:シクロヘキサン
=2.4:1(容積比)]を用いた重液選別によって、
発芽能を有する胚芽を浮上画分から回収し、室温乾燥に
よって有機溶媒を除去した。さらに目視により無傷な胚
芽を選別回収し、その重量を測定することにより得られ
た胚芽の収率を表3に示す。
砕及び風力分級(1) 岡山産のシラサギ小麦(未消毒)を1時間に200kg
の割合で衝撃式粉砕機(ダルトン製ハンマーミルFII
S)にフィードし、衝撃速度35m/秒で種子を温和に
破砕した。得られた小麦種子粉砕物から振動篩い(ダル
トン製:702C)で発芽能を有する胚芽を含む画分
(メッシュサイズ0.7mm〜1.1mm)を回収した
後、風力分級機(日本専機製:L750型)を用いて1
時間に100kgの割合で風速3.2m/秒の上昇流に
より粗胚芽画分に含まれるふすま(外皮)、胚乳、ゴミ
等の不要物を除去した。
砕及び風力分級(2) 岡山産のシラサギ小麦(未消毒)を1時間に200kg
の割合で衝撃式粉砕機(ダルトン製ハンマーミル:FII
S)にフィードし、衝撃速度35m/秒で種子を温和に
破砕した。得られた小麦種子粉砕物から振動篩い(ダル
トン製:702C)で発芽能を有する胚芽を含む画分
(メッシュサイズ0.7mm〜1.1mm)を回収した
後、唐箕(農機具)を用いて風速0.2〜0.7m/秒
の横風により粗胚芽画分に含まれるふすま(外皮)、胚
乳、ゴミ等の不要物を除去した。
砕及び遠心式風力分級 岡山産のシラサギ小麦(未消毒)を1時間に200kg
の割合で衝撃式粉砕機(ダルトン製ハンマーミル:FII
S)にフィードし、衝撃速度35m/秒で種子を温和に
破砕した。得られた小麦種子粉砕物から振動篩い(ダル
トン製:702C)で発芽能を有する胚芽を含む画分
(メッシュサイズ0.7mm〜1.1mm)を回収した
後、乾式渦型気流分級機(セイシン企業製:MC10
0)を用いて旋回流による遠心力を利用して粗胚芽画分
に含まれるふすま(外皮)、胚乳、ゴミ等の不要物を除
去した。
ヘキサンの混合液[四塩化炭素:シクロヘキサン=2.
4:1(容量比)]を用いた重液選別によって、発芽能
を有する胚芽を含む浮上画分を回収し室温乾燥によって
有機溶媒を除去した後、さらに唐箕を用いて残ったふす
ま(外皮)等を風力除去し、粗胚芽画分を得た。
K(製造元:株式会社安西製作所、発売元:株式会社安
西総業)を用いて、次の通り、色彩の違いを利用して粗
胚芽画分から胚芽を選別した。この色彩選別機の概要
は、図2に模式的に示したものと同様の装置である。ベ
ージュ色のベルト上に得られた粗胚芽画分を約5000
粒/m2となるように供給し、ベルト上の粗胚芽画分に
蛍光灯で光を照射して反射光を検出した。ベルトの搬送
速度は、50m/分とした。受光センサーとして、モノ
クロのCCDラインセンサー(2048画素)を用い
た。
排除するために、ベージュ色のベルトを取り付け、照明
を電球色の蛍光灯とし、胚芽の輝度と種皮の輝度の間に
基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取
り除いた。これを6回繰り返した。次いで、胚乳を選別
するために、ベルトを濃緑色のものに、照明を青色の蛍
光灯にそれぞれ取り替えて胚芽の輝度と胚乳の輝度との
間に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引によ
り取り除いた。これを7回繰り返した。吸引排除は、搬
送ベルトのかかっているプーリーの前方約1cm位置に
設置した吸引ノズル30個(長さ1cm当たり吸引ノズ
ル1個並べたもの)を用いて、ベルト端部より放出され
落下中の種皮あるいは胚乳を吸引するという方法により
行った。最後に色彩選別工程で割れて小さくなった胚芽
をメッシュサイズ0.71mmの篩で除去した。
ル1g当たりに含まれる胚芽の重量割合)が98%以上
の小麦胚芽画分を得た。
施例7で得られた小麦胚芽50gを4℃の蒸留水中に懸
濁し、超音波洗浄器を用いて洗浄液が白濁しなくなるま
で洗浄した。さらに、ノニデット(Nonidet)P
40の0.5容量%溶液に懸濁し、超音波洗浄器を用い
て洗浄液が白濁しなくなるまで洗浄して胚乳分を完全に
除去した小麦胚芽を得た。
芽抽出物含有液を得た。まず洗浄した小麦胚芽50gを
抽出溶媒(HEPES−KOH(pH7.6)80m
M、酢酸カリウム200mM、酢酸マグネシウム2m
M、塩化カルシウム4mM、L型アミノ酸20種類各
0.6mM及びジチオスレイトール8mM)100ml
とともにワーリングブレンダーに入れ、回転数5000
乃至20000rpmで30秒粉砕した。ブレンダー内壁
に付着した胚芽等をかき落とした後再び5000乃至2
0000rpmで30秒粉砕する作業を2回行った。
管に移し30000g、30分間の遠心をかけ上清を採
取した。これをさらに30000g、30分間の遠心を
かけ上清を採取する操作を5回繰り返し濁りのない上清
を得た。これをあらかじめ溶液(HEPES−KOH
(pH7.6)40mM、酢酸カリウム100mM、酢
酸マグネシウム5mM、L型アミノ酸20種類各0.3
mM及びジチオスレイトール4mM)で平衡化しておい
たセファデックスG−25カラムでゲルろ過を行った。
得られた液を30000g、12分間の遠心をかけ上清
を採取し、これを小麦胚芽抽出物含有液とした。試料の
濃度は、260nmにおける光学密度(O.D.)(A
260)が80〜150(A260/A280=1.5)になる
ように調製した。
ンパク質合成系の調製 実施例8で得られた小麦胚芽抽出物含有液を260nm
における光学密度(O.D.)(A260)が90になる
ように抽出溶媒で濃度調整し、Green fluorescent Prot
ein(GFP)の合成をEndo, Y. et al., PNAS, Januar
y 18,2000/vol.97/no.2/559-564に記載の方法に準じて
行った。GFP活性は、Turner Designs社製のTD-360 M
ini-Fluorometerを用いて、490nmの励起波長で5
10nmの蛍光強度から定量したところ、蛍光強度が2
4時間後に約357300、48時間後に441300
と観察され、GFPが合成されていることが確認でき
た。
粉砕 北海道産のホクシン小麦を1時間に100kgの割合で
ロール型粉砕機(中央化工機製ロールミル:HPC―
1)を用いて粉砕した。粉砕後、それぞれの条件につき
100gの粉砕品サンプルを振動篩いを用いて0.71
mm〜1.0mmの範囲で分画し、四塩化炭素とシクロ
ヘキサン混合液[四塩化炭素:シクロヘキサン=2.
4:1(容積比)]を用いた重液選別によって、発芽能
を有する胚芽を浮上画分から回収し、室温乾燥によって
有機溶媒を除去した。さらに目視により無傷な胚芽を選
別回収し、その重量を測定した結果、小麦100g当た
りから回収できた胚芽量は最大でも0.26gであり、
衝撃式粉砕機で粉砕した場合に比較して胚芽の収率が少
なかった。
得た抽出液による無細胞タンパク質合成系の調製 製粉メーカーの小麦粉の製造過程でロール型粉砕機によ
り粉砕され選別された小麦胚芽を入手した。製粉工程で
得られる小麦胚芽はロールにより潰されている。その製
粉メーカーから入手した小麦胚芽5gを使用する以外は
実施例8と同様の方法で小麦胚芽抽出物含有液を得た。
9と同様に、Green fluorescent Protein(GFP)の
合成をEndo, Y. et al., PNAS, January 18, 2000/ vo
l.97/no.2/ 559-564に記載の方法に準じて行った。GF
P活性は、Turner Designs社製のTD-360 Mini-Fluorome
terを用いて、490nmの励起波長で510nmの蛍
光強度から定量したところ、蛍光強度は48時間後にお
いても1000以下であり、GFPの合成量は実施例9
と比較して非常に少なかった。
用胚芽抽出液を製造するための植物胚芽を効率的に植物
種子から取得することができるため、無細胞タンパク質
合成用胚芽抽出液の製造効率が上がり、タンパク質合成
用の胚芽抽出液の大量生産、タンパク質の無細胞系での
大量調製等に極めて有効である。
置の一例を模式的に示した図である。
胚芽を選別する装置の一例を模式的に示した図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 植物種子を粉砕する工程、粉砕された植
物種子から胚芽を選別する工程を有する無細胞タンパク
質合成用植物胚芽の選別方法であって、植物種子を粉砕
する工程において、衝撃式粉砕機を用いて、衝撃速度2
5〜70m/sで無傷の胚芽を植物種子から分離するこ
とを特徴とする無細胞タンパク質合成用胚芽の選別方
法。 - 【請求項2】 胚芽を選別する工程において、粉砕され
た植物種子から胚芽分を多く含む粒径範囲の粉砕物を篩
いで選別し、次いで、風力および/または遠心力を利用
して胚芽より軽い不要成分を除去することを特徴とする
請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法で選別さ
れた胚芽を微粉砕する工程、微粉砕された胚芽から胚芽
抽出物を得る工程を有することを特徴とする無細胞タン
パク質合成用胚芽抽出物の製造方法。 - 【請求項4】 胚芽が、コムギ、オオムギ又はイネの胚
芽である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 - 【請求項5】 請求項3に記載の方法で製造した胚芽抽
出物を用いて、翻訳鋳型の存在下、無細胞系でタンパク
質合成を行うことを特徴とする無細胞タンパク質合成方
法。 - 【請求項6】 請求項3に記載の方法で製造した胚芽抽
出物、ATP、GTP、クレアチンリン酸、クレアチン
キナーゼ、L型アミノ酸、カリウムイオン及びマグネシ
ウムイオンを含有することを特徴とする無細胞タンパク
質合成用溶液。 - 【請求項7】 請求項3に記載の方法で製造した胚芽抽
出物または請求項6に記載のタンパク質合成用液を含む
ことを特徴とする試薬キット。
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