JP2003339394A - 無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法 - Google Patents

無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物及び該抽
出物を含む無細胞タンパク質合成溶液を効率よく安全に
工業的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 植物種子を粉砕する工程、植物種子粉砕
物から胚芽を選別する工程、胚芽を洗浄する工程、胚芽
を微粉砕する工程及び胚芽抽出物を得る工程を含む無細
胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法であって、微
粉砕する工程に供する胚芽が非塩素系有機溶媒に接触さ
せるたものであることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無細胞タンパク質
合成用の胚芽抽出物の製造方法及び無細胞タンパク質合
成方法並びに無細胞タンパク質合成用溶液に関し、更に
詳しくは、合成効率の高い無細胞タンパク質合成用胚芽
抽出物を工業的に効率よく製造するための方法及び無細
胞翻訳系でタンパク質を合成する方法並びにタンパク質
合成用溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞内でおこなわれているタンパク質の
合成反応は、まず遺伝情報をもつDNAからその情報が
mRNAに転写され、そしてリボソームがそのmRNA
の情報を翻訳して、タンパク質を合成するという工程で
進行している。現在、この細胞内におけるタンパク質合
成を試験管等の生体外で行う方法としては、例えばリボ
ソームを生物体から抽出し、これらを用いて試験管内に
おける無細胞タンパク質合成法の研究が盛んに行われて
いる(特開平6−98790号公報、特開平6−225
783号公報、特開平7−194号公報、特開平9−2
91号公報、特開平7−147992号公報)。この方
法には、リボソームの原料として、大腸菌、植物胚芽、
家兎網状赤血球等が用いられてきた。
【0003】植物種子からリボソームを含有する無細胞
タンパク質合成に用いる細胞抽出物を得る方法として
は、通常、植物種子を粉砕し、篩、重液選別、目視等に
より種皮、胚乳画分を取り除いて粗胚芽画分を取得し、
洗浄により胚乳成分を除去した後、粉砕、抽出、精製す
る方法が行われている(特開2000−236890号
公報)。
【0004】このうち、重液選別は、液体中に植物胚芽
粉砕物を入れ、比重の違いを利用して種皮や胚乳画分を
取り除き、粗胚芽画分を取得する工程である(A. H. Rr
ickson and G. Blobel, Method in Enzymology, vlo.9
6, pages 38-50)。液体としては、通常、四塩化炭素と
シクロヘキサンとの混合溶液が用いられているが、特に
四塩化炭素等の有機塩素系溶媒は、環境面及び健康面か
ら、使用することは好ましくない。
【0005】また、従来の胚芽からの必要成分抽出方法
としては、リボソームやtRNA等のタンパク質合成成
分を含む水溶性成分の抽出の効率化を図るために、洗浄
後の植物胚芽の微粉砕が予め液体窒素等で凍結した後、
乳鉢、スタンプミル、ボールミル等で摩砕又は圧砕する
ことにより微粉砕する方法が広く用いられており、この
ように微粉砕された胚芽に抽出溶媒を加えて攪拌した
後、遠心分離等により胚芽抽出物含有液を回収、精製し
たものを無細胞タンパク質合成反応の酵素原液として利
用していた。この酵素原液中には、タンパク質合成反応
に関与しない不要な成分が含まれており、またタンパク
質合成阻害作用を有するものが存在している可能性があ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、無細胞タ
ンパク質合成系は、ペプチド合成反応速度と翻訳反応の
正確性において生細胞に匹敵する性能を保持し、かつ目
的とするタンパク質を複雑な精製工程を実施することな
く得ることができる有用な方法である。そのため、該合
成系をより有用に産業上に適用するため、合成効率の向
上に関するいくつかの発明が開示されてきた。しかし、
産業上の有用性向上のためには、合成効率のみならず、
合成系に使用する各種の物質を安定に高品質を保持して
大量に供給することが必要である。本発明は、さらに高
品質な無細胞タンパク質合成用胚芽抽出物を工業的に効
率よく製造する方法等の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、無細胞タンパク質合成系に使用する
胚芽抽出物の合成効率を上げるとともに、その抽出物を
工業的に実施可能な程度に効率的に製造し、植物胚芽か
ら効率的にタンパク質合成に必要な因子を抽出する方法
について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明により、(1)植物種子
を粉砕する工程、植物種子粉砕物から胚芽を選別する工
程、胚芽を洗浄する工程、胚芽を微粉砕する工程及び胚
芽抽出物を得る工程を含む無細胞タンパク質合成用胚芽
抽出物の製造方法であって、微粉砕する工程に供する胚
芽が非塩素系有機溶媒に接触させたものであることを特
徴とする胚芽抽出物の製造方法が提供される。
【0009】この発明の好ましい態様により、(2)非
塩素系有機溶媒への胚芽の接触が、胚芽を選別する工程
と胚芽を洗浄する工程との間に行われる上記(1)に記
載の方法、(3)非塩素系有機溶媒が、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、
ブタノール、ヘプタノール及びシクロヘキサンよりなる
群から選ばれる上記(2)に記載の方法が提供される。
【0010】本発明の別の態様により、(4)植物種子
を粉砕する工程、植物種子粉砕物から胚芽を選別する工
程、胚芽を洗浄する工程、胚芽を微粉砕する工程及び胚
芽抽出物を得る工程を含む無細胞タンパク質合成用胚芽
抽出物の製造方法であって、微粉砕する工程に供する胚
芽が、少なくとも5重量%の脂質成分を予め除去したも
のであることを特徴とする胚芽抽出物の製造方法が提供
される。
【0011】この発明の好ましい態様により、(5)脂
質成分の除去が、胚芽を有機溶媒と接触させることによ
り行われる上記(4)に記載の方法、(6)有機溶媒
が、非塩素系有機溶媒である上記(5)に記載の方法、
(7)非塩素系有機溶媒が、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ブタノー
ル、ヘプタノール及びシクロヘキサンよりなる群から選
ばれる上記(6)に記載の方法が提供される。
【0012】さらに上記発明の好ましい態様により、
(8)植物種子粉砕物から胚芽を選別する工程が、振動
による輸送現象を利用して行われる上記(1)〜(7)
のいずれかに記載の方法、(9)植物種子粉砕物から胚
芽を選別する工程が、胚芽の光学的情報に基づいて行わ
れる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法、(1
0)植物種子粉砕物から胚芽を選別する工程が、振動に
よる輸送現象を利用する選別工程と胚芽の光学的情報に
基づいて選別する工程とを組み合わせたものである上記
(1)〜(7)のいずれかに記載の方法、(11)胚芽
が、コムギ、オオムギ又はイネの胚芽である上記(1)
〜(10)のいずれかに記載の方法が提供される。
【0013】本発明の別の態様により、(12)上記
(1)〜(11)のいずれかに記載の方法で製造された
胚芽抽出物を含有することを特徴とする無細胞タンパク
質合成溶液が提供される。本発明の別の態様により、
(13)小麦胚芽抽出物を含有し、翻訳鋳型の存在下、
無細胞系でタンパク質合成を行うために用いる無細胞タ
ンパク質合成溶液であって、該溶液は、塩素系有機溶媒
を含有しないことを特徴とする溶液が提供される。
【0014】この発明の好ましい態様により、(14)
小麦胚芽抽出物が、上記(1)、(2)、(3)、
(6)または(7)のいずれかに記載の方法により製造
されたものである上記(12)に記載の溶液が提供され
る。これらの発明の好ましい態様により、(15)さら
にATP、GTP、クレアチンリン酸、クレアチンキナ
ーゼ、カリウムイオン及びマグネシウムイオンを含有す
ることを特徴とする上記(12)〜(14)のいずれか
に記載の無細胞タンパク質合成溶液が提供される。
【0015】本発明の別の態様により、(16)上記
(1)〜(11)のいずれかに記載の方法で製造された
胚芽抽出物、又は、上記(12)〜(15)のいずれか
に記載の無細胞タンパク質合成溶液を用いて、翻訳鋳型
の存在下、無細胞系でタンパク質合成を行うことを特徴
とする無細胞タンパク質合成方法が提供される。本発明
の別の態様により、(17)上記(1)〜(11)のい
ずれかに記載の方法で製造された胚芽抽出物、又は、上
記(12)〜(15)のいずれかに記載のタンパク質合
成溶液を含むことを特徴とする無細胞タンパク質合成キ
ットが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明で用いられる胚芽は、植物種子より取得でき
る。用い得る植物種子としては、通常、コムギ、オオム
ギ、イネ等のイネ科植物の種子が挙げられ、特に好適な
ものとしてコムギの種子が挙げられる。これらの植物種
子から無傷の胚芽を主成分とする胚芽画分を取得する。
ここで、「無傷の胚芽」とは、少なくとも発芽能を有す
る胚芽を意味し、「胚芽画分」とは、無傷の胚芽を主要
成分とするものであり、これを用いて無細胞タンパク質
合成に使用しうる細胞抽出物が調製可能なものを意味す
る。植物種子に含まれる胚芽の量は少ないため、胚芽を
効率的に取得するためには胚芽以外の部分をできるだけ
除去しておくことが好ましい。
【0017】本発明においては、まず、植物種子を粉砕
する工程において、植物種子に機械的な力を加えて粉砕
することにより、胚芽、胚乳破砕物、種皮破砕物を含む
植物種子粉砕物を得る。植物種子に加える力は、植物種
子から胚芽を分離することができる程度の強さであれば
よい。植物種子の粉砕は、通常公知の粉砕装置を用いて
行うことができるが、ピンミル、ハンマーミル等の、被
粉砕物に対して衝撃力を加えるタイプの粉砕装置を用い
ることが好ましい。粉砕の程度は、使用する植物種子胚
芽の大きさに応じて適宜選択すればよいが、例えばコム
ギ種子の場合は、通常、最大長さ4mm以下、好ましく
は最大長さ2mm以下の大きさに粉砕する。また、粉砕
は乾式で行うのが好ましい。
【0018】次いで、植物種子粉砕物から胚芽を選別す
る工程において、胚芽以外の部分をできるだけ除去す
る。通常、まず、植物種子粉砕物から、胚乳破砕物、種
皮破砕物等を取り除いて粗胚芽画分を得る。ここで、
「粗胚芽画分」とは、胚芽を主成分とし、胚乳破砕物、
種皮破砕物を含む混合物を意味する。胚芽粗画分を得る
方法としては、通常公知の分級装置、例えば、篩を用い
て粗胚芽画分を取得する方法が挙げられる。例えば、コ
ムギ種子の場合、通常、メッシュサイズ0.5mm〜
2.0mm、好ましくは0.7mm〜1.4mmの粗胚
芽画分を取得する。さらに、必要に応じて、得られた粗
胚芽画分に含まれる種皮、胚乳、ゴミ等を風力、静電気
力を利用して除去してもよい。
【0019】また、胚芽と種皮、胚乳の比重の違いを利
用する方法、例えば本発明者等が先に提案した振動現象
を利用した選別方法(特願2002−103321号明
細書)により、粗胚芽画分を得ることもできる。より多
くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得るために、上記の方
法を複数組み合わせてもよい。さらに、得られた粗胚芽
画分から例えば目視や、本発明者等が先に提案した光学
的情報を利用する選別方法(特願2002−14114
1号明細書)等により、さらに胚芽画分を選別してもよ
い。
【0020】具体的には、例えば振動による輸送現象を
利用する装置を用いることにより、粗胚芽画分からより
多くの胚芽を含有する粗胚芽画分を得ることができる。
粗胚芽画分に含まれる胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等と
は、形状、比重、摩擦係数等が異なっているため、振動
を与えるとそれぞれ異なった挙動を示す。この挙動の違
いを利用して、胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等とを選別す
ることが可能である。
【0021】使用することのできる振動による輸送現象
を利用する装置は、振動を発生させ、粉粒体に推進力を
与える機能を有するものであればよい。例えば、図1に
示すように、少なくとも種子粉砕物(胚芽粗画分)を輸
送するトラフ及び振動源を有する装置を用いることがで
きる。また、スプリングによりトラフを斜め上下方向に
振動させることのできる装置が好ましい。図1は、本発
明で使用することのできる装置の一例を模式的に示した
図である。図1中、1はトラフ、2は振動源、3はスプ
リングを示す。
【0022】通常、トラフとしては、平底型の直線的ト
ラフを用いることが好ましい。平底型トラフの表面粗さ
としては、通常、中央平均粗さが0.1μm〜5.0μ
m、また最大粗さが2.0μm〜4.0μmである。通
常、トラフ上に胚芽粗画分を供給し、振動源及びスプリ
ングによりトラフを斜め上下方向に振動させ、トラフ上
の胚芽粗画分に対して斜め上方(通常スプリングに対し
て直角方向)の加速度を繰り返し与えることにより、胚
芽粗画分中の胚芽と、種皮、胚乳粉砕物等とを選別す
る。例えば、0度〜20度の傾斜をつけたトラフ上に胚
芽粗画分を供給し、振動数50Hz〜120Hz、振幅
0.1mm〜5.0mm、振動角20度〜60度でトラ
フを振動させることにより、胚芽粗画分中の胚芽と、種
皮、胚乳粉砕物等とを選別することができる。胚芽粗画
分は、選別方法に応じて、トラフ中央部付近やトラフ下
方部付近に適宜供給することができる。
【0023】選別方法としては、例えば、胚芽粗画分を
トラフの中央部付近に供給し、トラフの振動により上方
へ進むものと下へ落ちるものを分別することにより胚芽
を回収する。通常、胚芽はトラフの振動により上方へ進
み、胚乳粉砕物等は下へ転がり落ちたりすべり落ちたり
する傾向にある。落ちる速度の早いものやトラフ上に残
ったもの(通常、種皮、胚乳粉砕物等)をハケなどによ
って回収してもよい。また、胚芽粗画分をトラフの下部
に供給し、前方へ進むもの(通常、胚芽)を回収しても
よい。これらの操作は、複数回繰り返してもよい。ま
た、好ましくはトラフ供給前に胚芽粗画分を液体で湿ら
せた後、乾燥させるとよい。この場合の液体は特に限定
されない。これにより種皮付きの胚乳粉砕物の種皮が丸
まって転がりやすくなるため、転がり落ちる不純物量が
増え、製品中の胚芽純度が上がる。
【0024】振動源としては例えば、ウェイト付きの振
動モータ、板バネによる電磁式振動機などを採用するこ
とができる。振動による輸送現象を利用する装置として
は、例えば一般に振動フィーダーとして知られている装
置を用いることができる。かくして得られたより多くの
胚芽を含有する粗胚芽画分は、さらに胚芽含有率の高い
胚芽画分を得るために、上記した胚芽の光学的情報を利
用する選別工程、例えば色彩選別機若しくは形状選別機
等を用いる選別工程に供しても良い。これにより胚芽の
純度を更に向上させることができる。
【0025】粗胚芽画分、例えばコムギ種子粗胚芽画分
の場合、例えば胚乳と胚芽ではRGB輝度の頻度分布が
異なっているため、この違いを利用して、胚芽と胚乳を
分別することができる。ここで、RGBは、それぞれ光
の3原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)に
対応する。RGB輝度とは、色情報の表現方式でRGB
カラーモデルというものがある通り、カラービデオカメ
ラやコンピュータグラフィックスシステムで採用されて
いる方式であり、色情報をR、G、Bの各成分に分解し
たときのそれぞれを輝度で表現したものである。輝度は
一般に8ビット、つまり0から255までの256階調
で表される。小麦の胚乳、胚芽、種皮をそれぞれカラー
CCDカメラで撮影し、適当な撮影エリア内の各画素に
ついてRGB各成分に分解し、輝度の頻度分布をとる
と、胚芽は胚乳に比べて全体的に輝度の低い分布になっ
ているが、青色の輝度が特に低い分布になっている。こ
れは青色光が多く胚芽に吸収されていることを意味す
る。結果として胚芽は青色の補色に近い黄色に見える。
従って、青色光の照明下においては胚芽と胚乳との輝度
の差が大きくなる。この様に、例えば胚芽と胚乳との色
彩の違いを、例えばRGB輝度の頻度分布の違いより検
出し、それに基づき胚芽と胚乳とを選別することができ
る。また、胚芽は種皮に比べてRGB全ての成分におい
て輝度の高い分布になっているため、白色光の照明を使
用すれば、グレースケール輝度に差が現れるが、胚芽と
種皮とでは緑色の輝度差が最も高くなっている点から、
緑色光の照明を使用すれば両者の輝度差はより明確とな
る。あるいは胚芽と種皮とでは赤色の輝度分布にも差は
みられるため緑色光と赤色光の混合色である黄色光を使
用する場合も両者の輝度差を大きくすることができる。
【0026】本発明において使用することのできる色彩
選別機としては、色彩の違いを利用して胚芽を選別する
機能を有するものであれば如何なるものであってもよ
い。例えば、少なくとも、粗胚芽画分に光を照射する手
段、粗胚芽画分からの反射光及び/又は透過光を検出す
る手段、検出値と基準値とを比較する手段、基準値より
外れたもの又は基準値内のものを選別排除する手段を有
する装置を挙げることができる。
【0027】照射する光としては、可視光または近赤外
光を使用することができる。光源としては、白熱灯、蛍
光灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。反射
光及び/又は透過光を検出する手段としては、CCDセ
ンサー、シリコンフォトセンサー、ゲルマニウムフォト
センサー、InGaAsアレイセンサー等の受光センサ
ーを用いることができる。
【0028】実際に選別機を構成するためにはこれらの
機能以外に粗胚芽画分を搬送する手段も必要となるが、
そのためには、例えば傾斜を利用して重力で搬送するシ
ュート式、あるいはベルトコンベアを使用することがで
きる。例えば、粗胚芽画分をベルト上に供給し、ベルト
によって搬送されている粗胚芽画分あるいはベルト端部
から放出されている粗胚芽画分に対して光を照射しても
よいし、供給口から落下している粗胚芽画分に対して光
を照射してもよい。光源の種類、背景色(ベルトを使用
する場合はベルトの色、バックグラウンドを使用する場
合はバックグラウンドの色)、受光センサーの種類等
は、選別しようとする種子の種類または排除しようとす
るもの(胚芽またはそれ以外のもの)に応じて、適宜選
択することができる。例えば、種皮を排除する場合は、
胚芽と同程度の輝度、色彩の背景色(例えばベージュ)
とし、緑色系あるいは黄色系(例えば電球色)の光源を
用いるとよい。また、胚乳を排除する場合は、胚芽より
も濃い色の背景色とし、青色系の光源を用いるとよい。
【0029】検出された粗胚芽画分からの反射光及び/
又は透過光に基づき、検出値と基準値とを比較する手段
にて、対象物が選別排除されるべきものか否かが判断さ
れる。この判断に基づき、粗胚芽画分が選別排除を受
け、胚芽以外の部分が除去された胚芽画分を取得するこ
とができる。検出値と基準値とを比較する手段として
は、それ自体既知のものを用いることができる。
【0030】基準値より外れたもの又は基準値内のもの
を選別排除する手段としては、例えば空気等の流体の噴
射または吸引により選別排除を実施する手段を用いるこ
とができる。図2は、粗胚芽画分から胚芽を選別する装
置の一例を模式的に示した概略図である。図2におい
て、4は粗胚芽画分供給手段、5は粗胚芽画分、6はベ
ルト、7は光源、8はCCDセンサー、9は吸引ノズル
を示す。例えば、粗胚芽画分供給手段4からベルト5上
に供給され、ベルト5によって搬送されている粗胚芽画
分5に対して光を照射し、CCDセンサー8によって反
射光を検出し、検出値と基準値とを比較して基準値より
外れたものを吸引ノズル9によって吸引排除することに
より、胚芽を選別することができる。
【0031】コムギ胚芽は、縦約2mm、横約1mm、
厚み約0.5mm、重さ約0.5〜0.6mg程度と非
常に小さくて軽量である。従って、選別精度を向上する
ために、粗胚芽画分をベルト上に供給し、ベルトによっ
て通常5〜100m/分、好ましくは10〜90m/分
の速度で搬送されている粗胚芽画分に対して光を照射
し、選別する方法が好ましい。また、ベルト上に供給す
る粗胚芽画分の量は特に限定されないが、供給量の下限
は、通常10粒/m2、好ましくは1000粒/m2、上
限は10000粒/m2、好ましくは7000粒/m2
より好ましくは5000粒/m2程度である。供給量の
具体的な範囲は、通常10〜10000粒/m2、好ま
しくは1000〜7000粒/m2、より好ましくは1
000〜5000粒/m2程度が適当である。これにに
より、選別精度を向上することができる。
【0032】吸引排除はできるだけ短い時間で瞬間的に
行うことにより除去物の周辺にある胚芽の誤吸引を避
け、選別精度を向上させることができる。この際の吸引
力は、例えば電磁弁等を用いてエゼクターに空気圧を供
給することにより発生させることができる。エゼクター
の動作時間、すなわち電磁弁を空ける時間は、できるだ
け短くすることが好ましく、電磁弁への開信号は通常
0.5〜10ミリ秒、好ましくは0.5〜2ミリ秒とす
ると良い。また応答の速い電磁弁を使用することも必要
である。
【0033】胚芽を選別する方法としては、例えば、ま
ず、粗胚芽画分から種皮等の胚芽より色の濃いものを排
除し、次いで胚乳等の胚芽よりも色の薄いものを排除す
る。これらの操作は逆の順序で行ってもよいし、これら
の操作を複数回繰り返してもよい。また、胚芽のみを選
別回収してもよい。また、粗胚芽画分、例えばコムギ種
子の粗胚芽画分に含まれる胚芽と胚芽以外の粉砕物とで
はその形状が異なっているため、この違いから得られる
光学的情報、即ち画像情報を利用して、胚芽と胚乳とを
分別することができる。
【0034】胚芽や胚芽以外の粉砕物をそれぞれCCD
カメラで撮影すると、胚芽は、胚芽以外の粉砕物に比べ
て楕円形に近い形状をしていることが分かる。したがっ
て、この形状の違いに基づく光学的情報の違いを、例え
ば面積、外周長、真円度、伸長度等の画像情報の違いと
して判別し、それに基づき胚芽と胚芽以外の粉砕物とを
選別することができる。
【0035】本発明において使用することのできる画像
選別機としては、形状の違いに基づく画像情報を利用し
て胚芽を選別する機能を有するものであれば如何なるも
のであってもよい。例えば、少なくとも、植物種子粉砕
物片の画像データを取得する手段、得られた画像データ
から植物種子粉砕物片の形状を判別する手段、得られた
形状の違いに基づいて基準値より外れたもの又は基準値
内のものを選別排除する手段を有する装置を挙げること
ができる。
【0036】具体的には、例えば、粗胚芽画分をベルト
上に供給し、ベルトによって搬送されている粗胚芽画分
に対して、白熱灯、蛍光灯、ハロゲンランプ等により可
視光又は近赤外光を照射し、粗胚芽画分からの反射光及
び/又は透過光をCCDセンサー、CMOSセンサー等
の受光センサーにより画像データを取得する。光源の種
類、背景色(ベルトを使用する場合はベルトの色、バッ
クグラウンドを使用する場合はバックグラウンドの
色)、受光センサーの種類等は、選別しようとする種子
の種類又は排除しようとするもの(胚芽又はそれ以外の
もの)に応じて、形状の違いを判別しやすい組み合わせ
を適宜選択することができる。
【0037】得られた画像データから植物種子粉砕物の
形状の違いを判別する。得られた画像データから画像処
理により、形状を表す検出値を求め、この検出値を予め
設定しておいた基準値と比較することにより形状の違い
を判別する。形状を表す検出値としては、例えば面積、
外周長、真円度、伸長度が挙げられる。判別する手段と
しては、それ自体既知のものを用いることができる。
【0038】例えば、適当なコンピュータシステムを用
いて、得られた画像データに対して2値化処理及びノイ
ズ除去を行った後、例えばブロブ解析処理等の解析手段
によりにより真円度及び伸長度を演算する。ブロブ解析
処理による真円度と伸長度はそれぞれ以下のようにして
求めることができる。
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】ここで、上記画像処理(ブロブ解析処理)
は、市販のソフトウエア、例えばNational Instruments
社製の計測・制御ソフトウェア「LabVIEW バージョン6.
0」とLabVIEW用のアドオン画像処理ツール「MAQ Vision
バージョン6.0.1」を用いて行うことができる。ブロブ
解析の詳細は、IMAQ Visionの取扱説明書「IMAQ Vision
Concept Manual」(October 2000 Edition)中、第9章
「Binary Morphology」および第10章「Particle Measur
ement」に記載されている。
【0042】上記解析処理で演算された真円度は真円に
近い形状であるほど1に近づく。また伸長度は細長い形
状であるほど大きな値となる。予め胚芽の真円度、伸長
度を求めておき、その値を基準値として検出値と比較す
る。面積、外周長、真円度、伸長度等の形状を表す検出
値はそれぞれ単独で用いてもよいが、多変量解析等によ
り組み合わせて用いることによりさらに選別精度は向上
する。
【0043】多変量解析を適用するためには、例えば次
のような手順により行うことができる。あらかじめ複数
の胚芽および排除されるべき胚芽以外の画分に対してブ
ロブ解析を行い、得られるm種類の検出値を用いて下記
回帰式(3)を作る。検出値としては、例えば上記の面
積、外周長、真円度、伸長度以外にブロブの最大長軸、
等面積楕円長軸、等面積楕円短軸、動水半径、あるいは
これらの四則演算から得られる値(例えば等面積楕円長
軸/等面積楕円単軸)等を組み合わせても良い。
【0044】
【数3】
【0045】ここで、回帰式(3)において、Yは例え
ばブロブ解析を行ったサンプルが、胚芽の場合は1、胚
芽以外の場合は0として回帰を行い、各検出値の重みと
なるA1〜Amおよび定数項A0を求める。回帰の方法
は線形重回帰として知られる方法を用いても良いが、P
LSとして知られる部分最小2乗法を用いると選別の精
度はさらに向上する。
【0046】A0〜Amを決定した後、未知のサンプル
に対しブロブ解析を行い、上記回帰式(3)からYを求
めた場合、そのサンプルが胚芽である場合には1に近い
値となり、胚芽でない場合には0に近い値を示すため選
別が可能となる。以上のような方法により得られた形状
の違いに基づいて、基準値より外れたもの又は基準値内
のものを選別排除することにより、胚芽以外の部分が除
去された胚芽画分を取得する。基準値より外れたもの又
は基準値内のものを選別排除する手段としては、例えば
空気等の流体の噴射又は吸引により選別排除を実施する
手段を用いることができる。
【0047】上記手段を有する装置としては、例えば図
2に示す粗胚芽画分から胚芽を選別する装置の一例とし
て模式的に示したものと同様の装置が挙げられる。図2
において、4は粗胚芽画分供給手段、5は粗胚芽画分、
6はベルト、7は光源、8はCCDセンサー、9は吸引
ノズルを示す。例えば、粗胚芽画分供給手段4からベル
ト5上に供給され、ベルト6によって搬送されている粗
胚芽画分5に対して光を照射し、CCDセンサー8によ
って画像データを取得し、画像データから得られた検出
値と基準値とを比較して基準値より外れたものを吸引ノ
ズル9によって吸引排除することにより、胚芽を選別す
ることができる。
【0048】前記の通り、コムギ胚芽は、縦約2mm、
横約1mm、厚み約0.5mm、重さ約0.5〜0.6
mg程度と非常に小さくて軽量である。従って、選別精
度を向上するために、粗胚芽画分をベルト上に供給し、
ベルトによって通常5〜100m/分、好ましくは10
〜90m/分の速度で搬送されている粗胚芽画分に対し
て光を照射し、選別する方法が好ましい。また、ベルト
上に供給する粗胚芽画分の量は特に限定されないが、供
給量の下限は、通常10粒/m2、好ましくは1000
粒/m2、上限は10000粒/m2、好ましくは700
0粒/m2、より好ましくは5000粒/m2程度であ
る。供給量の具体的な範囲は、通常10〜10000粒
/m2、好ましくは1000〜7000粒/m2、より好
ましくは1000〜5000粒/m2程度が適当であ
る。これににより、選別精度を向上することができる。
【0049】必要に応じて、この操作を複数回繰り返し
てもよい。また、胚芽のみを選別回収してもよい。前記
の通り、吸引排除はできるだけ短い時間で瞬間的に行う
ことにより除去物の周辺にある胚芽の誤吸引を避け、選
別精度を向上させることができる。この際の吸引力は、
例えば電磁弁等を用いてエゼクターに空気圧を供給する
ことにより発生させることができる。エゼクターの動作
時間すなわち電磁弁を空ける時間はできるだけ短くする
ことが好ましく、電磁弁への開信号は0.5〜10ミリ
秒、好ましくは0.5〜2ミリ秒とすると良い。また応
答の速い電磁弁を使用することも必要である。
【0050】本発明において、胚芽画分の選別は、上記
した振動による輸送現象を用いる方法と、胚芽の光学的
情報を用いる方法とを組み合わせて行うのが特に好まし
い。これにより、純度の高い胚芽画分を効率的に取得す
ることができる。上記のようにして選別された胚芽画分
であっても、得られた胚芽画分にはタンパク質合成反応
に関与しない不要な成分やタンパク質合成阻害作用を有
するものが存在している可能性があり、これらの不要成
分を予め取り除いておくことにより胚芽抽出液の性能を
高めることができる。
【0051】このために、本発明においては、胚芽を微
粉砕する工程より前に、胚芽と有機溶媒とを接触させる
工程を設ける、即ち有機溶媒と胚芽を接触させた胚芽を
微粉砕する工程に供することを特徴とする。この胚芽と
有機溶媒との接触は、胚芽を微粉砕する工程より前であ
れば特に限定されないが、好ましくは胚芽を選別する工
程と胚芽を洗浄する工程の間で行うのが適当である。
【0052】この工程において用いうる有機溶媒として
は、採用する接触条件において胚芽の発芽能を阻害しな
いものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマル
プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、クロロホル
ム、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、アセトン、
ヘキサン等が挙げられる。これらの有機溶媒を2種類以
上混合して使用してもよい。これらの中で、非塩素系溶
媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ノルマルプロパノール、ブタノール、ヘプタノール
及びシクロヘキサンが好ましく、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノールがより好ましい。
【0053】胚芽と有機溶媒とを接触させる方法として
は、通常、胚芽を有機溶媒中に浸漬する方法を採用する
ことができる。有機溶媒の量は、胚芽が十分に浸される
量であれば特に限定されない。胚芽と有機溶媒との接触
時間は、通常10秒以上、好ましくは3分以上であり、
また、上限はないが通常60分以内、好ましくは30分
以内である。接触時の有機溶媒の温度は、溶媒が液状で
ある温度であればよいが、胚芽への影響を考慮すると、
通常、40℃以下、好ましくは30℃以下、より好まし
くは25℃以下である。
【0054】胚芽と有機溶媒との接触により、胚芽の脂
質成分が抽出される。胚芽から抽出する脂質成分の量
は、通常、胚芽の総脂質成分の少なくとも5重量%程
度、好ましくは10重量%程度が適当である。抽出する
脂質成分の量の上限は、胚芽のタンパク質合成活性が低
下しない(悪影響を与えない)範囲であれば特に限定さ
れない。この胚芽と有機溶媒とを接触させることによ
り、さらに高品質の胚芽抽出物を得ることができる。
【0055】微粉砕する工程に供する胚芽は、洗浄処理
を行い胚芽に付着する胚乳成分等を予め除去する。洗浄
処理としては、通常10℃以下、好ましくは4℃以下に
冷却した水又は水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させ、洗
浄液が白濁しなくなるまで洗浄することが好ましい。ま
た、通常10℃以下、好ましくは4℃以下で、界面活性
剤を含有する水溶液に胚芽画分を分散・懸濁させて、洗
浄液が白濁しなくなるまで洗浄するのがより好ましい。
界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、非
イオン性界面活性剤であるかぎりは、広く利用ができ
る。具体的には、例えば、好適なものとして、ポリオキ
シエチレン誘導体であるブリッジ(Brij)、トリト
ン(Triton)、ノニデット(Nonidet)P
40、ツイーン(Tween)等が例示される。なかで
も、ノニデット(Nonidet)P40が最適であ
る。これらの非イオン性界面活性剤は、例えば0.5%
程度の濃度で使用することができる。
【0056】水又は水溶液による洗浄処理および界面活
性剤による洗浄処理は、どちらか一方でもよいし、両方
実施してもよい。また、これらの洗浄処理は、超音波処
理との組み合わせで実施してもよい。以上のようにして
得られた胚芽を、微粉砕及び抽出処理することにより胚
芽抽出物を得る。胚芽抽出物を得る方法は、従来公知の
方法で行うことができる。例えば、液体窒素で凍結した
胚芽を微粉砕し、抽出溶媒を加えて攪拌した後、胚芽抽
出物含有液を遠心分離等により回収する。その後、必要
に応じてゲルろ過等により精製してもよい。
【0057】微粉砕の方法としては、摩砕、圧砕、衝
撃、切断等粉砕方法として従来公知の方法を採用するこ
とができるが、特に本発明者等が先に提案した衝撃また
は切断により胚芽を微粉砕する(特願2002−023
138号明細書、特願2002−023139号明細
書)ことが好ましい。ここで「衝撃または切断により微
粉砕する」とは、植物胚芽の細胞核、ミトコンドリア、
葉緑体等の細胞小器官(オルガネラ)、細胞膜や細胞壁
等の破壊を、従来の摩砕又は圧砕と比べて最小限に止め
うる条件で植物胚芽を破壊することを意味する。
【0058】微粉砕する際に用いることのできる装置や
方法としては、上記条件を満たすものであれば特に限定
されないが、例えば、ワーリングブレンダーのような高
速回転する刃状物を有する装置を用いるのが好ましい。
刃状物の回転数は、通常1000rpm以上、好ましく
は5000rpm以上であり、また、通常30000r
pm以下、好ましくは25000rpm以下である。刃
状物の回転時間は、通常5秒以上、好ましくは10秒以
上である。回転時間の上限は特に限定されないが、通常
10分以下、好ましくは5分以下である。微粉砕する際
の温度は、胚芽のタンパク質合成能力が失われない温度
であれば特に限定されないが、好ましくは10℃以下で
微粉砕の操作が可能な温度範囲、特に好ましくは4℃程
度が適当である。
【0059】このように衝撃または切断により胚芽を微
粉砕することにより、胚芽の細胞核等の細胞小器官、細
胞膜や細胞壁が全て破壊されてしまうのではなく、少な
くともその一部は破壊されることなく残る。即ち、胚芽
の細胞核等の細胞小器官、細胞膜や細胞壁が必要以上に
破壊されることがないため、それらに含まれるDNAや
脂質等の不純物の混入が少なく、細胞質に局在するタン
パク質合成に必要なRNAやリボソーム等を高純度で効
率的に胚芽から抽出することができる。
【0060】このような方法によれば、従来の植物胚芽
を粉砕する工程と粉砕された植物胚芽と抽出溶媒とを混
合して胚芽抽出液を得る工程とを同時に一つの工程とし
て行うことができるため効率的に胚芽抽出液を得ること
ができる。次いで、遠心分離等により胚芽抽出液を回収
し、必要に応じてゲルろ過等により精製し、胚芽抽出物
を得ることができる。
【0061】抽出溶媒としては、緩衝液、カリウムイオ
ン、マグネシウムイオン及び/又はチオール基の酸化防
止剤を含む水溶液を用いることができる。また、必要に
応じて、カルシウムイオン、L型アミノ酸等をさらに添
加してもよい。例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペ
ラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)−
KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、L型アミノ
酸及び/又はジチオスレイトールを含む溶液や、Patter
sonらの方法を一部改変した溶液(HEPES−KO
H、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウ
ム、L型アミノ酸及び/又はジチオスレイトールを含む
溶液)を抽出溶媒として使用することができる。抽出溶
媒中の各成分の組成・濃度はそれ自体既知であり、無細
胞タンパク質合成用の胚芽抽出物の製造法に通常用いら
れるものを採用すればよい。
【0062】ゲルろ過としては、例えば予め溶液(HE
PES−KOH、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、ジ
チオスレイトール又はL型アミノ酸を含む溶媒)で平衡
化しておいたゲルろ過装置を用いて行うことができる。
ゲルろ過溶液中の各成分の組成・濃度もそれ自体既知で
あり、無細胞タンパク質合成用の胚芽抽出物の製造法に
通常用いられるものを採用すればよい。
【0063】ゲルろ過後の胚芽抽出物含有液には、微生
物、特に糸状菌(カビ)などの胞子が混入していること
があり、これら微生物を排除しておくことが好ましい。
特に長期(1日以上)の無細胞タンパク質合成反応中に
微生物の繁殖が見られることがあるので、これを阻止す
ることは重要である。微生物の排除手段は特に限定され
ないが、ろ過滅菌フィルターを用いるのが好ましい。フ
ィルターのポアサイズとしては、通常0.1乃至1マイ
クロメーター、好ましくは0.2乃至0.5マイクロメ
ーターが適当である。ちなみに、小さな部類の枯草菌の
胞子のサイズは0.5μmx1μmであることから、
0.20マイクロメーターのフィルター(例えばSartor
ius製のMinisartTM等)を用いるのが胞子の除去にも有
効である。ろ過に際して、先ずポアサイズが大きめのフ
ィルターを用い、次に混入する可能性のある微生物が排
除可能なポアサイズのフィルターを用いてろ過するのが
好ましい。
【0064】このようにして得られた胚芽抽出物は、原
料細胞自身が含有する又は保持するタンパク質合成機能
を抑制する物質、例えばトリチン、チオニン、リボヌク
レアーゼ等のリボソームに作用してその機能を抑制する
物質を含む胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されてい
る。ここで、胚乳がほぼ完全に取り除かれ純化されてい
るとは、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程
度まで胚乳部分を取り除いた胚芽抽出物のことであり、
また、リボソームが実質的に脱アデニン化されない程度
とは、リボソームの脱アデニン化率が7%未満、好まし
くは1%以下になっていることをいう。
【0065】本発明の無細胞タンパク質合成溶液は、上
記方法で調製された胚芽抽出物を含み、翻訳鋳型(mR
NA)の存在下、無細胞タンパク質合成に用いるもので
ある。特に本発明の無細胞タンパク質合成溶液は、四塩
化炭素等の塩素系有機溶媒を全く使用せずに調製するこ
とができる、即ち有機塩素系有機溶媒を全く含有しない
ものであり、その製造や使用に際して塩素系溶媒の使用
による環境面、健康面からの問題が起こることはない。
【0066】無細胞タンパク質合成系によるタンパク質
の合成は、上記胚芽抽出物又はタンパク質合成用液を使
用し、翻訳鋳型(mRNA)の存在下、従来と同様の方
法で行うことができる。この方法は、公知のバッチ法で
あってもよいし、Spirinら(A. S. Spirin et al. (198
8), Science, 242, 1162-1164 )や横山らの(木川ら、
第21回日本分子生物学会、WID6)の連続式無細胞
系タンパク質合成システムのようなアミノ酸、エネルギ
ー源の連続供給系であってもよい。バッチ法ではタンパ
ク質合成を長時間行うと反応が停止することがあるた
め、後者のアミノ酸、エネルギー源の連続供給系を使用
することにより、反応を長時間維持させることができ、
更なる効率化が可能となる。また、連続供給系でタンパ
ク質を合成する場合には、透析法を使用することもでき
る。例えば、本発明の胚芽抽出物を透析内液に、エネル
ギー源やアミノ酸を含む混合液を透析外液に用いた限外
濾過膜透析系では、タンパク質を連続的に大量調製する
ことが可能である。ここで、エネルギー源としては、ア
デノシン三リン酸(ATP)、グアノシン三リン酸(G
TP)、クレアチンリン酸等が挙げられ、アミノ酸とし
ては20種類のL型アミノ酸が挙げられる。
【0067】また、前記胚芽抽出物と、タンパク質合成
に必須の成分であるATP、GTP、クレアチンリン
酸、クレアチンキナーゼ、L型アミノ酸、カリウムイオ
ン及びマグネシウムイオンとを含有する水溶液はレディ
ーメイド型無細胞タンパク質合成溶液として、簡便に使
用することができる。これら成分の含有量は特に限定さ
れず、無細胞タンパク合成反応を行いうる濃度であれば
よい。この無細胞タンパク質合成溶液は、タンパク質合
成に際して従来のように反応溶液の調製を必要とせず、
目的とする翻訳鋳型(mRNA)を添加するだけで、簡
便に、効率的に、大量にタンパク質を合成することがで
きる。該タンパク質合成溶液は、溶媒として上記抽出溶
媒を用い、それに必要に応じて上記成分を添加すること
により調製できる。
【0068】本発明の無細胞タンパク質合成キットは、
少なくとも上記胚芽抽出物またはタンパク質合成溶液を
含み、任意の要素として、希釈液(緩衝液)、透析液、
エネルギー供給液、発現ベクター、コントロール用発現
ベクター、制限酵素、反応容器等を含んでいてもよい。
また、該試薬キットにはRNAポリメラーゼ等の転写系
に用いる試薬が含まれていてもよい。
【0069】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、下記の実施例は本発明についての具体的認識
を得る一助とみなすべきものであり、本発明の範囲は下
記の実施例により何ら限定されるものではない。なお、
以下の実施例において、lはリットル、mlはミリリッ
トル、Mはモル/リットル、mMはミリモル/リット
ル、μgはマイクログラムをそれぞれ表す。
【0070】実施例1 胚芽画分の取得 北海道産のチホク小麦(未消毒)を1分間に100gの
割合でミル(Fritsch社製Rotor Speed Mill pulveriset
te 14型)に添加し、回転数7000rpmで種子を温
和に破砕した。この破砕処理を4回繰り返して行った。
篩いで発芽能を有する胚芽を含む画分(メッシュサイズ
0.71mm〜1.00mm)を回収した後、唐箕を用
いてふすま(外皮)を風力選別した。残った胚芽と胚乳
の混合粒子を、神鋼電機株式会社製の電磁フィーダーに
供給し、周波数60Hz、振幅0.25乃至0.35m
m、振動角30度、トラフの傾斜5乃至10度、表面粗
さ中心線平均粗さ0.2μm最大粗さ4.0μmの条件
で運転し、前方と後方に分かれた粒子のうち前方側の粒
子(粗胚芽画分)を取り出した。
【0071】次に、ベルト式色彩選別機BLM−300
K(製造元:株式会社安西製作所、発売元:株式会社安
西総業)を用いて、次の通り、色彩の違いを利用して粗
胚芽画分から胚芽を選別した。この色彩選別機の概要
は、図2に模式的に示したものと同様の装置である。
【0072】ベージュ色のベルト上に粗胚芽画分を約5
000粒/m2となるように供給し、ベルト上の粗胚芽
画分に蛍光灯で光を照射して反射光を検出した。ベルト
の搬送速度は、50m/分とした。受光センサーとし
て、モノクロのCCDラインセンサー(2048画素)
を用いた。まず、胚芽より色の黒い成分(種皮等)を排
除するために、ベージュ色のベルトを取り付け、照明を
電球色の蛍光灯とし、胚芽の輝度と種皮の輝度の間に基
準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により取り
除いた。これを6回繰り返した。次いで、胚乳を選別す
るために、ベルトを濃緑色のものに、照明を青色の蛍光
灯にそれぞれ取り替えて胚芽の輝度と胚乳の輝度との間
に基準値を設定し、基準値から外れるものを吸引により
取り除いた。これを7回繰り返した。吸引排除は、搬送
ベルトのかかっているプーリーの前方約1cm位置に設
置した吸引ノズル30個(長さ1cm当たり吸引ノズル
1個並べたもの)を用いて、ベルト端部より放出され落
下中の種皮あるいは胚乳を吸引するという方法により行
った。最後に色彩選別工程で割れて小さくなった胚芽を
メッシュサイズ0.71mmの篩で除去した。この方法
により胚芽の純度(任意のサンプル1g当たりに含まれ
る胚芽の重量割合)が98%以上の小麦胚芽画分を得
た。
【0073】実施例2 小麦胚芽抽出物含有液の調製 実施例1で選別した小麦胚芽5gを、ビーカーに入れた
エタノール200ml(20℃)に5分間浸した後、小
麦胚芽を取り出し、室温で乾燥した。次に小麦胚芽5g
を4℃の蒸留水中に懸濁し、超音波洗浄器を用いて洗浄
液が白濁しなくなるまで洗浄した。さらに、ノニデット
(Nonidet)P40の0.5容量%溶液に懸濁
し、超音波洗浄器を用いて洗浄液が白濁しなくなるまで
洗浄して胚乳分を完全に除去した小麦胚芽を得た。次い
で、以下の操作を4℃で行い、小麦胚芽抽出物含有液を
得た。まず洗浄した小麦胚芽5gを抽出溶媒(HEPE
S−KOH(pH7.6)80mM、酢酸カリウム20
0mM、酢酸マグネシウム2mM、塩化カルシウム4m
M、L型アミノ酸20種類各0.6mM及びジチオスレ
イトール8mM)10mlとともにワーリングブレンダ
ーに入れ、回転数5000乃至20000rpmで30秒
粉砕した。ブレンダー内壁に付着した胚芽等をかき落と
した後再び5000乃至20000rpmで30秒粉砕す
る作業を2回行った。
【0074】得られた抽出液と粉砕胚芽の混合物を遠心
管に移し30000g、30分間の遠心をかけ上清を採
取した。これをさらに30000g、30分間の遠心を
かけ上清を採取する操作を5回繰り返し濁りのない上清
を得た。これをあらかじめ溶液(HEPES−KOH
(pH7.6)40mM、酢酸カリウム100mM、酢
酸マグネシウム5mM、L型アミノ酸20種類各0.3
mM及びジチオスレイトール4mM)で平衡化しておい
たセファデックスG−25カラムでゲルろ過を行った。
得られた液を30000g、12分間の遠心をかけ上清
を採取し、これを小麦胚芽抽出物含有液とした。試料の
濃度は、260nmにおける光学密度(O.D.)(A
260)が70〜150(A260/A280=1.5)になる
ように調製した。
【0075】実施例3 タンパク質合成活性の測定 実施例2で得られた小麦胚芽抽出物含有液を260nm
における光学密度(O.D.)(A260)が75になる
ように抽出溶媒で濃度調整し、緑色蛍光タンパク質(Gr
een fluorescent Protein;GFP)の合成をEndo, Y.
et al., PNAS,January 18,2000/vol.97/no.2/559-564に
記載の方法に準じて行った。GFP活性は、Turner Des
igns社製のTD-360 Mini-Fluorometerを用いて、490
nmの励起波長で510nmの蛍光強度から定量した。
図3(−○−)に示すように蛍光強度が24時間後に約
518500、48時間後に約654700と観察さ
れ、GFPが合成されていることが確認できた。
【0076】実施例4 小麦胚芽抽出物含有液の調製及
びタンパク質合成活性の測定 実施例1で選別した小麦胚芽5gを、エタノールの代わ
りにイソプロパノール(IPA)に5分間浸したこと以
外は実施例2と同様にして、小麦胚芽抽出物含有液を得
た。得られた小麦胚芽抽出物含有液を実施例3と同様に
してGFPの合成を行った。図3(−*−)に示すよう
に蛍光強度が24時間後に約512400、48時間後
に約685700と観察され、GFPが合成されている
ことが確認できた。
【0077】比較例1 実施例1で選別した小麦胚芽5gをエタノールに浸さな
かったこと以外は実施例2と同様にして、小麦胚芽抽出
物含有液を得た。得られた小麦胚芽抽出物含有液を実施
例3と同様にしてGFPの合成を行った。図3(--◇-
-)に示すように蛍光強度が24時間後に約40960
0、48時間後に約509800と観察され、GFPが
合成されていることが確認できたが、実施例3および4
に比べて低い値であった。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、無細胞タンパク質合成
系に必要な因子を効率的に胚芽から抽出し、脂質成分等
の不純物やタンパク質合成阻害物質の少ない胚芽抽出物
を容易に得ることができるため、安定で高い効率のタン
パク質合成が達成される。また、脂質成分は一般的にタ
ンパク質の精製過程の妨害物質であることが多く、通
常、前処理操作で除去することが必要となっているが、
本発明により抽出液や得られたタンパク質の精製工程の
負荷が軽減される効果も期待できる。さらに、エタノー
ル等の殺菌作用のある溶媒に胚芽を浸すことにより、タ
ンパク質合成系に悪影響を与える細菌類の排除効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 振動による輸送現象を利用する胚芽の選別装
置の一例を模式的に示した図である。
【図2】 粗胚芽画分から胚芽の光学的情報に基づいて
胚芽を選別する装置の一例を模式的に示した図である。
【図3】 実施例3、実施例4及び比較例1で合成した
GFPの蛍光強度を示す図である。図3中、縦軸はGF
P合成活性(蛍光強度)を示し、横軸は合成時間(時
間)を示す。
【符号の説明】
1 トラフ 2 振動源 3 スプリング 4 粗胚芽画分供給手段 5 粗胚芽画分 6 ベルト 7 光源 8 CCDセンサー 9 吸引ノズル
フロントページの続き (72)発明者 岩橋 茂雄 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社内 (72)発明者 遠藤 弥重太 愛媛県松山市久万ノ台478−17 Fターム(参考) 4B064 AG01 CA50 CC01 CC24 CC30 DA16 4B065 AA88X BA30 BD01 BD16 BD27 CA24 CA60

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物種子を粉砕する工程、植物種子粉砕
    物から胚芽を選別する工程、胚芽を洗浄する工程、胚芽
    を微粉砕する工程及び胚芽抽出物を得る工程を含む無細
    胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法であって、微
    粉砕する工程に供する胚芽が非塩素系有機溶媒に接触さ
    せたものであることを特徴とする胚芽抽出物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 非塩素系有機溶媒への胚芽の接触が、胚
    芽を選別する工程と胚芽を洗浄する工程との間に行われ
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 非塩素系有機溶媒が、メタノール、エタ
    ノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ブ
    タノール、ヘプタノール及びシクロヘキサンよりなる群
    から選ばれる請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 植物種子を粉砕する工程、植物種子粉砕
    物から胚芽を選別する工程、胚芽を洗浄する工程、胚芽
    を微粉砕する工程及び胚芽抽出物を得る工程を含む無細
    胞タンパク質合成用胚芽抽出物の製造方法であって、微
    粉砕する工程に供する胚芽が、少なくとも5重量%の脂
    質成分を予め除去したものであることを特徴とする胚芽
    抽出物の製造方法。
  5. 【請求項5】 脂質成分の除去が、胚芽を有機溶媒と接
    触させることにより行われる請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 有機溶媒が、非塩素系有機溶媒である請
    求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 非塩素系有機溶媒が、メタノール、エタ
    ノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ブ
    タノール、ヘプタノール及びシクロヘキサンよりなる群
    から選ばれる請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 植物種子粉砕物から胚芽を選別する工程
    が、振動による輸送現象を利用して行われる請求項1〜
    7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 植物種子粉砕物から胚芽を選別する工程
    が、胚芽の光学的情報に基づいて行われる請求項1〜7
    のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 植物種子粉砕物から胚芽を選別する工
    程が、振動による輸送現象を利用する選別工程と胚芽の
    光学的情報に基づいて選別する工程とを組み合わせたも
    のである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 胚芽が、コムギ、オオムギ又はイネの
    胚芽である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の方法で製造された胚芽抽出物を含有することを特徴と
    する無細胞タンパク質合成溶液。
  13. 【請求項13】 小麦胚芽抽出物を含有し、翻訳鋳型の
    存在下、無細胞系でタンパク質合成を行うために用いる
    無細胞タンパク質合成溶液であって、該溶液は、塩素系
    有機溶媒を含有しないことを特徴とする溶液。
  14. 【請求項14】 小麦胚芽抽出物が、請求項1、2、
    3、6または7のいずれか1項に記載の方法により製造
    されたものである請求項13に記載の溶液。
  15. 【請求項15】 さらにATP、GTP、クレアチンリ
    ン酸、クレアチンキナーゼ、L型アミノ酸、カリウムイ
    オン及びマグネシウムイオンを含有することを特徴とす
    る請求項12〜14のいずれか1項に記載の溶液。
  16. 【請求項16】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の方法で製造された胚芽抽出物、又は、請求項12〜1
    5のいずれか1項に記載の無細胞タンパク質合成溶液を
    用いて、翻訳鋳型の存在下、無細胞系でタンパク質合成
    を行うことを特徴とする無細胞タンパク質合成方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の方法で製造された胚芽抽出物、又は、請求項12〜1
    5のいずれか1項に記載のタンパク質合成溶液を含むこ
    とを特徴とする無細胞タンパク質合成キット。
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