JP2003338386A - 電気光学装置およびその製造方法、ならびに電子機器 - Google Patents

電気光学装置およびその製造方法、ならびに電子機器

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JP2003338386A
JP2003338386A JP2002146436A JP2002146436A JP2003338386A JP 2003338386 A JP2003338386 A JP 2003338386A JP 2002146436 A JP2002146436 A JP 2002146436A JP 2002146436 A JP2002146436 A JP 2002146436A JP 2003338386 A JP2003338386 A JP 2003338386A
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cathode
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electro
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Shuichi Takei
周一 武井
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対向する電極間に発光層を備えた電気光学表
示装置において、表示特性の劣化などの経時的な信頼
性、耐湿性を向上させる。 【解決手段】 画素電極23の上層に正孔注入/輸送層
70を設け、その上層に有機EL層60を設け、その上
層にバッファ層222を介して陰極50を設ける。陰極
50は、希土類元素金属からなる第1陰極層50aの上
層にAl金属などからなる第2陰極層50bが積層され
た構成を用いる。希土類元素金属は、仕事関数がアルカ
リ土類金属と同等であり、酸素・水分などとの反応性が
低く安定性を有するので、経時的な信頼性や耐湿性を向
上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気光学装置およ
びその製造方法、ならびに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロルミネッセンス(以
下、ELと略記する)表示装置などの電気光学装置にお
いては、基板上に複数の回路素子、陽極、EL物質など
の電気光学物質、陰極などが積層された構成を具備して
いるものがある。具体的には、発光物質を含む発光層を
陽極および陰極の電極層で挟んだ構成を具備しており、
陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電
子とを蛍光能を有する発光層内で再結合し、励起状態か
ら失括する際に発光する現象を利用している。
【0003】例えば、有機EL物質を用いたEL表示装
置においては、有機EL膜と直接界面を形成して電子注
入の役割を果たす陰極材料として、仕事関数が比較的小
さいCa(カルシウム)金属およびCa合金などのアル
カリ土類金属やアルカリ金属が用いられている。このC
a金属などは、反応性が強く、常温で容易に酸化され、
水分などとも化学反応を起こしやすい。そのため製造時
には、低湿の不活性ガス雰囲気で蒸着され、そのあとA
l(アルミニウム)などの金属膜を蒸着して保護層を形
成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の陰極構成では、Ca金属などに比べて仕事関
数の大きいAlを電極構成に加えるため、電子注入の効
率が低下するという問題があった。さらに、Alなどの
金属膜にピンホールなどの欠陥が存在すると、そこから
酸素や水分などが浸入してCa金属などの化学反応が進
行し、やがて陰極材料としての特性が失われ、表示特性
を劣化させるという問題があった。そのため、きわめて
欠陥の少ない金属膜を形成するためにAlなどの蒸着工
程の品質管理を厳正に行う必要があったので、非常に製
造コストが高いものについてしまうという問題があっ
た。
【0005】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたも
のであって、表示特性の劣化などの経時的な信頼性、耐
湿性を向上させることができる電気光学装置および製造
方法、ならびにそのような電気光学装置を備えた電子機
器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の電気光学装置は、対向する電極間に発光
層を備えた電気光学装置であって、一方の前記電極が、
希土類元素金属により形成されてなることを特徴とす
る。このような電気光学装置によれば、アルカリ土類金
属やアルカリ金属に比べて化学的に安定で、電子注入を
行う陰極材料としても仕事関数が適切な範囲にある希土
類元素金属を一方の電極に用いるから、該一方の電極は
化学的に安定である。したがって、酸素や水分などから
保護するための保護層を設ける必要がないか、設けると
してもある程度の欠陥を許容できる保護層でよいから、
製造コストを削減できる。また、経時的な信頼性、耐湿
性に優れた電気光学装置を提供できる。
【0007】また、このような電気光学装置によれば、
一方の電極を希土類元素金属が反射性を有するまでの膜
厚で形成することにより、希土類元素金属だけで反射電
極を構成することができる。したがって、そのようにす
れば、反射性を付与するために別材料を蒸着するなどの
工程が不要となり、製造コストを削減することができ
る。さらに、仕事関数が大きい別材料を蒸着しなくてよ
いので、電極特性を向上できる。
【0008】ここで、希土類元素金属とは、単一の希土
類元素からなる金属または希土類元素を主成分とする合
金を意味するものとする。単一金属とするか合金とする
かは、必要な性能・コストなどから適宜選択してよい。
なお、一般に希土類元素とは、きわめてよく似た性質を
備える、Sc(スカンジウム)・Y(イットリウム)お
よびランタノイド諸元素の計17の元素の総称である。
ただし、Pm(プロメチウム)は天然には安定同位体が
存在せず、当然ながら本発明では除外される。
【0009】また本発明の電気光学装置は、先に記載の
電気光学装置であり、前記一方の電極は、アルカリ土類
金属またはアルカリ金属(以下、アルカリ土類金属な
ど、と略称する)、前記希土類元素金属が順次積層され
た電極層を備えることを特徴とする。
【0010】このような電気光学装置によれば、一方の
電極は、アルカリ土類金属など、希土類元素金属が順次
積層された電極層を備えるので、アルカリ土類金属など
は、より化学的に安定な希土類元素金属に覆われる。そ
のため、希土類元素金属が酸素・水分などの保護層の機
能を果たすため、発光層に向けて電子注入をするアルカ
リ土類金属などが、酸素・水分などから保護され、それ
らとの化学反応によって劣化することが防止される。な
お希土類元素金属は反射性を有するまでの膜厚で成形さ
れてもよく、保護層としてよりよい特性を出すために、
反射性を有するのに必要な膜厚以上としてもよいことは
言うまでもない。
【0011】希土類元素金属は、仕事関数がアルカリ土
類金属などと近いので電極層全体としては、電子注入の
効率などの電極特性が、仕事関数が大きい金属、例えば
Alなどを保護層として覆った電極構成を使用する場合
に比べて向上する。
【0012】なお本発明において、アルカリ土類金属な
どには、単一のアルカリ土類金属またはアルカリ金属元
素からなる金属と、アルカリ土類金属またはアルカリ金
属元素を主成分とする合金を含むものとする。例えば、
本発明の電気光学装置に採用することができるアルカリ
土類金属などとしては、Ca金属またはCaを主成分と
する合金が挙げられる。Caを主成分とする合金として
は、Caとそれ以外のアルカリ土類(Mg、Sr、Ba
など)との合金が挙げられる。なお、特定元素を主成分
とする合金、とは、合金に含まれる特定元素の構成比率
が合金の成分構成の中で最大となっている合金のことを
言うものとする。
【0013】また本発明の電気光学装置は、先に記載の
電気光学装置であり、前記一方の電極は、前記希土類元
素金属、アルカリ土類金属またはアルカリ金属、保護導
電層が順次積層された電極層を備えることを特徴とす
る。このような電気光学装置によれば、一方の電極に
は、希土類元素金属、アルカリ土類金属など、保護導電
層が順次積層されて、希土類元素金属がアルカリ土類金
属などに挟まれる。そのため、希土類元素金属にとって
は、保護導電層とアルカリ土類金属などが、酸素・水分
などに対する保護層の機能を果たすため、発光層に向け
て電子注入をする希土類元素金属が化学反応による劣化
から保護される。もし保護導電層を酸素・水分などが透
過したとしても、反応性が強いアルカリ土類金属などの
層で化学反応が起こって消費されるので、希土類元素金
属に酸素・水分が浸透する可能性をきわめて低く抑える
ことができる。
【0014】保護導電層としては、電極の一部を構成す
るために電気導電性を備えて、酸素・水分などに対する
保護層を形成できる材質であればどのような材質を用い
てもよいが、例えば、Al金属またはAl合金(以下、
Al金属、と略称する。)や銀(Ag)またはAg合金
などを採用することができる。
【0015】また本発明の電気光学装置は、先に記載の
いずれかの電気光学装置であり、前記一方の電極が、積
層された複数の電極層を備え、該複数の電極層の少なく
とも1つの電極層が、積層順の上層に位置する少なくと
も1つの他の電極層によって覆われることが好ましい。
このような電気光学装置によれば、一方の電極の複数の
電極層のうちの少なくとも1つの電極層が、積層順の上
層に位置する少なくとも1つの他の電極層によって覆わ
れるから、少なくとも1つの他の電極層に適宜の材質を
選択することにより、例えば酸素・水分など、少なくと
も1つの電極層と化学反応を起こす可能性のある物質の
浸入を抑える保護層とすることができる。その結果、少
なくとも1つの電極層の劣化を防止することができる。
【0016】また本発明の電気光学装置は、上に記載の
電気光学装置であり、前記複数の電極層の少なくとも1
つの電極層が、前記複数の電極層の中で、もっとも前記
発光層に近接した電極層であることが好ましい。このよ
うな電気光学装置によれば、一方の電極を構成する複数
の電極層のうちもっとも発光層に近接した電極層が、そ
れを覆う少なくとも1つの他の電極層によって保護さ
れ、劣化が防止されるから、発光層への通電特性を経時
的に良好に維持することができ、電気光学装置の表示性
能の信頼性が向上できる。
【0017】本発明の電気光学装置の製造方法は、対向
する電極間に発光層を備えた電気光学装置の製造方法で
あって、前記発光層を形成する工程、希土類元素金属を
有する電極を形成する工程、を有することを特徴とす
る。このような電気光学装置の製造方法によれば、希土
類元素金属によって、発光層へ電子注入する電極を形成
するので、適切な電極特性を備えながら化学的に安定な
電極を形成することができる。また、希土類元素金属
を、反射性を有するまでの膜厚で形成すれば、発光層か
ら発生する光の反射部材を兼用した反射電極とすること
ができるので、製造工程を簡素化できる。
【0018】また本発明の電気光学装置の製造方法は、
対向する電極間に発光層を備えた電気光学装置の製造方
法であって、一方の前記電極を、希土類元素金属によっ
て形成する工程、前記発光層を形成する工程、を有する
ことを特徴とする。このような電気光学装置の製造方法
によれば、まず化学的に安定な希土類元素金属を用いて
一方の電極を形成するから、その上に保護層を形成する
ことなく発光層を形成することができ、仕事関数の低い
希土類元素金属の上に発光層を積層した電気光学装置を
製造することができる。また、このような発光層の下層
にある一方の電極を反射電極とすれば、発光層の上方に
光を放射する電気光学装置を簡素に構成することができ
る。
【0019】本発明の電子機器は、本発明の電気光学装
置を備えたことを特徴とする。このような電子機器とし
ては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワ
ープロ、パソコンなどの情報処理装置などを例示するこ
とができる。このように電子機器の表示部に、本発明の
表示装置を採用することによって、経時的な信頼性、耐
湿性に優れた電子機器を提供することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下では、本発明に係る電気光学
装置およびその製造方法、ならびに電子機器の実施の形
態について、図面を参照して説明する。なお、係る実施
の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明
を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内
で任意に変更可能である。なお、以下に示す各図におい
ては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさ
とするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてあ
る。
【0021】〔第1の実施形態〕本発明の電気光学装置
の第1の実施形態として、電気光学物質の一例である電
界発光型物質、中でも有機エレクトロルミネッセンス
(EL)材料を用いたEL表示装置について説明する。
図1は本実施形態に係るEL表示装置の配線構造を示す
模式図である。
【0022】図1に示すEL表示装置1(電気光学装
置)は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Th
in Film Transistor、以下では、TFTと略記する)を
用いたアクティブマトリクス方式のEL表示装置であ
る。
【0023】このEL表示装置1は、図1に示すよう
に、複数の走査線101…と、各走査線101に対して
直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、
各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…と
がそれぞれ配線された構成を有するとともに、走査線1
01…と信号線102…の各交点付近に、画素領域A…
が設けられている。
【0024】信号線102には、シフトレジスタ、レベ
ルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備える
データ線駆動回路100が接続されている。また、走査
線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備え
る走査線駆動回路80が接続されている。
【0025】さらに、画素領域A各々には、走査線10
1を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチ
ング用TFT112と、このスイッチング用TFT11
2を介して信号線102から共有される画素信号を保持
する保持容量113と、該保持容量113によって保持
された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT
123と、この駆動用TFT123を介して電源線10
3に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動
電流が流れ込む画素電極23(電極)と、この画素電極
23と陰極50(一方の電極)との間に挟み込まれた機
能層110とが設けられている。画素電極23と陰極5
0と機能層110により、発光素子が構成されている。
【0026】このEL表示装置1によれば、走査線10
1が駆動されてスイッチング用TFT112がオン状態
になると、そのときの信号線102の電位が保持容量1
13に保持され、該保持容量113の状態に応じて、駆
動用TFT123のオン・オフ状態が決まる。そして、
駆動用TFT123のチャネルを介して、電源線103
から画素電極23に電流が流れ、さらに機能層110を
介して陰極50に電流が流れる。機能層110は、これ
を流れる電流量に応じて発光する。
【0027】次に、本実施形態のEL表示装置1の具体
的な態様を図2〜5を参照して説明する。図2はEL表
示装置1の構成を模式的に示す平面図である。図3は図
2のA−B線に沿う断面図、図4は図2のC−D線に沿
う断面図である。図5は図3の要部拡大断面図である。
【0028】図2に示す本実施形態のEL表示装置1
は、光透過性と電気絶縁性を備える基板20と、図示略
のスイッチング用TFTに接続された画素電極が基板2
0上にマトリックス状に配置されてなる図示略の画素電
極域と、画素電極域の周囲に配置されるとともに各画素
電極に接続される電源線103…と、少なくとも画素電
極域上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部3(図中一点
鎖線枠内)とを具備して構成されている。また画素部3
は、中央部分の実表示領域4(図中二点鎖線枠内)と、
実表示領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖
線および二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
【0029】実表示領域4には、それぞれ画素電極を有
する表示領域R、G、BがA−B方向およびC−D方向
に離間して配置されている。また、実表示領域4の図中
両側には、走査線駆動回路80、80が配置されてい
る。この走査線駆動回路80、80はダミー領域5の下
側に位置して設けられている。
【0030】さらに実表示領域4の図中上側には、検査
回路90が配置されている。この検査回路90はダミー
領域5の下側に位置して設けられている。この検査回路
90は、EL表示装置1の作動状況を検査するための回
路であって、例えば検査結果を外部に出力する不図示の
検査情報出力手段を備え、製造途中や出荷時の表示装置
の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成され
ている。
【0031】走査線駆動回路80および検査回路90の
駆動電圧は、所定の電源部から駆動電圧導通部310
(図3参照)および駆動電圧導通部340(図4参照)
を介して印加されている。また、これら走査線駆動回路
80および検査回路90への駆動制御信号および駆動電
圧は、このEL表示装置1の作動制御を司る所定のメイ
ンドライバなどから駆動制御信号導通部320(図3参
照)および駆動電圧導通部350(図4参照)を介して
送信および印加されるようになっている。なお、この場
合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路80および検査
回路90が信号を出力する際の制御に関連するメインド
ライバなどからの指令信号である。
【0032】EL表示装置1は、図3および図4に示す
ように、基板20と封止基板30とが封止樹脂40を介
して貼り合わされている。基板20、封止基板30およ
び封止樹脂40とで囲まれた領域には、乾燥剤45が挿
入されるとともに、窒素ガスが充填された窒素ガス充填
層46が形成されている。
【0033】基板20および封止基板30は、例えばガ
ラス、石英、プラスチックなどの光透過性と電気絶縁性
を有する板状部材を採用することができる。なお乾燥剤
45に代えてゲッター剤を用いてもよい。また封止樹脂
40は、例えば熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂から
なるものであり、特に熱硬化樹脂の一種であるエポキシ
樹脂よりなることが好ましい。EL表示装置1は、封止
基板30を用いて乾燥剤45を使用することにより高寿
命化を図った構成となっている。
【0034】また、基板20上には、画素電極23を駆
動するための駆動用TFT123などを含む回路部11
が形成され、その上に機能層110が設けられている。
機能層110は、図5に示すように、画素電極23と、
この画素電極23から正孔を注入/輸送可能な正孔注入
/輸送層70と、電気光学物質の一つである有機EL物
質を備える有機EL層60(発光層)とがこの順に形成
されている。さらに有機EL層60の上層には、有機E
L層60に対して電子を注入し易くする緩衝層であるバ
ッファ層222を介して陰極50が形成されている。
【0035】このような正孔注入/輸送層70を画素電
極23と有機EL層60の間に設けることにより、有機
EL層60の発光効率、寿命などの素子特性が向上す
る。そして、有機EL層60では、正孔注入/輸送層7
0から注入された正孔と、陰極12からの電子とが結合
して蛍光を発生させる構成が形成されている。
【0036】正孔注入/輸送層70を形成するための材
料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロー
ル誘導体など、または、それらのドーピング体などが採
用できる。より具体的には、例えば、PEDOT:PS
Sの一種であるバイトロン−p(Bytron-p:バイエル社
製)などを好適に用いることができる。
【0037】有機EL層60を形成するための材料とし
ては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の
発光材料を用いることができる。具体的には、(ポリ)
フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビ
ニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(P
P)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニ
ルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポ
リメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン
系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料
に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色
素などの高分子系材料、例えば、ルブレン、ペリレン、
9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブ
タジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等
の低分子材料をドープして用いることができる。
【0038】陰極50は、図3〜5に示すように、実表
示領域4およびダミー領域5の総面積より広い面積を備
え、それぞれを覆うように形成され、バッファ層222
の上層をなし、ほぼ矩形状の第1陰極層50a(電極
層)と、第1陰極層50aより広い面積とされて第1陰
極層50aを覆うように形成されたほぼ矩形状の第2陰
極層50b(電極層)とからなる2層構造とされてい
る。
【0039】第1陰極層50aは、電子注入効率を高め
るために仕事関数が小さく、かつ従来一般に採用されて
いるアルカリ土類金属またはアルカリ金属などと比べて
反応性が低く化学的に安定な希土類元素金属または希土
類元素金属を主成分とする希土類元素合金(以下、希土
類元素金属と略称する)を採用することができる。
【0040】第1陰極層50aは、希土類元素金属を蒸
発源とする蒸着法、または希土類元素金属のターゲット
材を用いたスパッタリング法、あるいは希土類元素を含
有する有機ガスを反応性ガスとして用いるCVD法など
により、希土類元素金属を、反射性を有するまでの膜厚
に成膜して形成する。このため、第1陰極層50aは有
機EL層6から発光する光を下方に反射する反射電極を
構成している。
【0041】なお、反射性を有するまでの膜厚は、金属
の種類によって多少異なるが、一例を挙げれば、イッテ
ルビウム(Yb)では、100nm以上の膜厚によって
反射性を有するものとなる。
【0042】希土類元素金属はどれも似た性質を示すの
で、天然に安定同位体の存在しないPmを除けば採用す
ることが可能である。例えば、表1に、希土類元素金属
の中からイットリウム(Y)、ランタン(La)、セリ
ウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ユロピウム(E
u)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、エ
ルビウム(Er)、Ybのそれぞれの仕事関数の値を示
した。また同じく表1に、参考のため、アルカリ金属で
あるリチウム(Li)、アルカリ土類金属であるマグネ
シウム(Mg)、Ca、さらにIIIB族金属のAl、
IB族金属の銀(Ag)のそれぞれの仕事関数の値を示
した。
【表1】
【0043】表1より分かるように、希土類元素金属の
仕事関数は、アルカリ土類金属やアルカリ金属の仕事関
数に近く、AlやAgに比べて低いので、第1陰極層5
0aとして好適である。
【0044】また希土類元素金属はアルカリ金属やアル
カリ土類金属と比べると酸化されにくく、酸化の進行も
緩慢であり、水分などとの反応性も低いことが知られて
いる。一般的な傾向としては、希土類元素金属の中でも
原子番号が大きくなるほど化学的安定性に優れているこ
とが知られている。そこで、第1陰極層50aは、例え
ば希土類元素金属の一つであるYb金属またはYbを主
成分とするYb合金により構成することができる。Yb
合金としては、Ybを主成分とするYb以外の希土類元
素金属との合金を採用できる。
【0045】第2陰極層50bは、仕事関数は必ずしも
低い必要はないが、第1陰極層50aを覆うことによ
り、酸素・水分などの浸入を抑える保護層を形成するも
のである。第2陰極層50bが反射性を備えていてもよ
いことは言うまでもないが、第1陰極層50aが反射性
を備えるから、反射性は必須ではない。したがって、第
2陰極層50bには反射性を有するまでの膜厚は必要な
い。
【0046】そのため、例えばAl金属またはAlを主
成分とするAl合金(以下、Al金属と略称する)によ
り構成されている。Al合金としては、例えば、Alを
97重量%、Crを3重量%含有するAl−Cr合金が
好適に用いられる。この第2陰極層50bは、Al金属
を蒸発源とする蒸着法、またはAl金属のターゲット材
を用いたスパッタリング法、あるいはAl金属含有有機
ガスを反応性ガスとして用いるCVD法などにより成膜
することができる。
【0047】なお、ここでは第2陰極層50bを形成す
るのにAl金属を用いたが、Al以外の金属層、例え
ば、Ag層、Mg−Ag合金層などを用いても第2陰極
層50bを形成しても同様の効果を得ることができる。
【0048】ここで、第2陰極層50bは、Al金属な
どの仕事関数が比較的高い金属を用いるため、第2陰極
層50bを厚く構成すると陰極50の電子注入特性が劣
ったものになる可能性があるが、本実施形態では、反射
性を有する必要がなく、第1陰極層50aに反応性の低
い希土類元素金属を用いるので、第2陰極層50bは薄
くすることが可能である。また、ある程度ピンホールな
どの膜欠陥があってもよいものである。
【0049】次に、実表示領域4に設けられた駆動用T
FT123の近傍の構成について、図5を参照して説明
する。図5は画素領域Aを図2のA−B方向に沿った断
面を示している。図5に示すように、基板20の表面に
は、SiO2を主体とする下地保護層281を下地とし
て、その上層にはシリコン層241が形成されている。
このシリコン層241の表面は、SiO2および/また
はSiNを主体とするゲート絶縁層282によって覆わ
れている。なお、本明細書において、「主体」とする成
分とは、構成成分のうち最も含有率の高い成分を指すこ
ととする。
【0050】そして、このシリコン層241のうち、ゲ
ート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領
域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲ
ート電極242は図示略の走査線101の一部である。
一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242が形
成されたゲート絶縁層282の表面は、SiO2を主体
とする第1層間絶縁層283によって覆われている。
【0051】また、シリコン層241のうち、チャネル
領域241aのソース側には低濃度ソース領域241b
および高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チ
ャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領
域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けら
れて、いわゆるLDD(Light Doped Drain)構造とな
っている。これらのうち、高濃度ソース領域241S
は、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわ
たって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソ
ース電極243に接続されている。このソース電極24
3は、上述した電源線103(図1参照、図5において
はソース電極243の位置に紙面垂直方向に延在する)
の一部として構成される。一方、高濃度ドレイン領域2
41Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283
とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介し
て、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極2
44に接続されている。
【0052】ソース電極243およびドレイン電極24
4が形成された第1層間絶縁層283の上層は、例えば
アクリル系の樹脂成分を主体とする第2層間絶縁層28
4によって覆われている。この第2層間絶縁層284
は、アクリル系の絶縁膜以外の材料、例えば、SiN、
SiO2などを用いることもできる。そして、ITO(I
ndium Tin Oxide)からなる画素電極23が、この第2
層間絶縁層284の面上に形成されるとともに、当該第
2層間絶縁層284に設けられたコンタクトホール23
aを介してドレイン電極244に接続されている。すな
わち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、
シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続
されている。
【0053】なお、走査線駆動回路80および検査回路
90に含まれるTFT(駆動回路用TFT)、すなわ
ち、例えばこれらの駆動回路のうち、シフトレジスタに
含まれるインバータを構成するNチャネル型又はPチャ
ネル型のTFTは、画素電極23と接続されていない点
を除いて上記駆動用TFT123と同様の構造とされて
いる。
【0054】画素電極23が形成された第2層間絶縁層
284の表面は、画素電極23と、例えばSiO2など
の親液性材料を主体とする親液性制御層25と、アクリ
ルやポリイミドなどからなる有機バンク層221とによ
って覆われている。そして、画素電極23には親液性制
御層25に設けられた開口部25a、および有機バンク
221に設けられた開口部221aの開口内部に、正孔
注入/輸送層70と、有機EL層60とが画素電極23
側からこの順で積層されている。なお、本実施形態にお
ける親液性制御層25の「親液性」とは、少なくとも有
機バンク層221を構成するアクリル、ポリイミドなど
の材料と比べて親液性が高いことを意味するものとす
る。以上に説明した基板20から第2層間絶縁層284
までの層は回路部11を構成している。
【0055】また本実施形態のEL表示装置1は、カラ
ー表示を行うべく、各有機EL層60が、その発光波長
帯域が光の三原色にそれぞれ対応して形成されている。
例えば、有機EL層60として、発光波長帯域が赤色に
対応した赤色用有機EL層、緑色に対応した緑色用有機
EL層、青色に対応した青色用有機EL層60とをそれ
ぞれに対応する表示領域R、G、Bに設け、これら表示
領域R、G、Bをもってカラー表示を行う1画素が構成
されている。また、各色表示領域の境界には、金属クロ
ムをスパッタリングなどにて成膜した図示略のBM(ブ
ラックマトリクス)が、有機バンク層221と親液性化
制御層25との間に位置して形成されている。
【0056】次に、本実施形態に係るEL表示装置1の
製造方法の一例について、図6〜10を参照して説明す
る。なお、図6〜10に示す各断面図は、図2中のA−
B線の断面図に対応しており、各製造工程順に示してい
る。
【0057】まず、図6(a)に示すように、基板20
の表面に、下地保護層281を形成する。次に、下地保
護層281上に、ICVD法、プラズマCVD法などを
用いてアモルファスシリコン層501を形成した後、レ
ーザアニール法又は急速加熱法により結晶粒を成長させ
てポリシリコン層とする。
【0058】次いで、図6(b)に示すように、ポリシ
リコン層をフォトリソグラフィ法によりパターニング
し、島状のシリコン層241、251および261を形
成する。これらのうちシリコン層241は、表示領域内
に形成され、画素電極23に接続される駆動用TFT1
23を構成するものであり、シリコン層251、261
は、走査線駆動回路80に含まれるPチャネル型および
Nチャネル型のTFT(駆動回路用TFT)をそれぞれ
構成するものである。
【0059】次に、プラズマCVD法、熱酸化法などに
より、シリコン層241、251および261、下地保
護層281の全面に厚さが約30nm〜200nmのシ
リコン酸化膜によって、ゲート絶縁層282を形成す
る。ここで、熱酸化法を利用してゲート絶縁層282を
形成する際には、シリコン層241、251および26
1の結晶化も行い、これらのシリコン層をポリシリコン
層とすることができる。
【0060】また、シリコン層241、251および2
61にチャネルドープを行う場合には、例えば、このタ
イミングで約1×1012cm-2のドーズ量でボロンイオ
ンを打ち込む。その結果、シリコン層241、251お
よび261は、不純物濃度(活性化アニール後の不純物
にて算出)が約1×1017cm-3の低濃度P型のシリコ
ン層となる。
【0061】次に、Pチャネル型TFT、Nチャネル型
TFTのチャネル層の一部にイオン注入選択マスクを形
成し、この状態でリンイオンを約1×1015cm-2のド
ーズ量でイオン注入する。その結果、パターニング用マ
スクに対してセルフアライン的に高濃度不純物が導入さ
れて、図7(c)に示すように、シリコン層241及び
261中に高濃度ソース領域241Sおよび261S並
びに高濃度ドレイン領域241Dおよび261Dが形成
される。
【0062】次に、図6(c)に示すように、ゲート絶
縁層282の表面全体に、ドープドシリコンやシリサイ
ド膜、或いはアルミニウム膜やクロム膜、タンタル膜と
いう金属膜からなるゲート電極形成用導電層502を形
成する。この導電層502の厚さは概ね500nm程度
である。その後、パターニング法により、図6(d)に
示すように、Pチャネル型の駆動回路用TFTを形成す
るゲート電極252、画素用TFTを形成するゲート電
極242、Nチャネル型の駆動回路用TFTを形成する
ゲート電極262を形成する。また、駆動制御信号導通
部320(350)、陰極電源配線の第1層121も同
時に形成する。なお、この場合、駆動制御信号導通部3
20(350)はダミー領域5に配設するものとされて
いる。
【0063】続いて、図6(d)に示すように、ゲート
電極242,252および262をマスクとして用い、
シリコン層241,251および261に対してリンイ
オンを約4×1013cm-2のドーズ量でイオン注入す
る。その結果、ゲート電極242,252および262
に対してセルフアライン的に低濃度不純物が導入され、
図7(c)および(d)に示すように、シリコン層24
1および261中に低濃度ソース領域241bおよび2
61b、並びに低濃度ドレイン領域241cおよび26
1cが形成される。また、シリコン層251中に低濃度
不純物領域251Sおよび251Dが形成される。
【0064】次に、図7(e)に示すように、Pチャネ
ル型の駆動回路用TFT252以外の部分を覆うイオン
注入選択マスク503を形成する。このイオン注入選択
マスク503を用いて、シリコン層251に対してボロ
ンイオンを約1.5×1015cm-2のドーズ量でイオン
注入する。結果として、Pチャネル型駆動回路用TFT
を構成するゲート電極252もマスクとして機能するた
め、シリコン層252中にセルフアライン的に高濃度不
純物がドープされる。従って、低濃度不純物領域251
Sおよび251Dはカウンタードープされ、P型チャネ
ル型の駆動回路用TFTのソース領域およびドレイン領
域となる。
【0065】次いで、図7(f)に示すように、基板2
0の全面にわたって第1層間絶縁層283を形成すると
ともに、フォトリソグラフィ法を用いて当該第1層間絶
縁層283をパターニングすることによって、各TFT
のソース電極およびドレイン電極に対応する位置にコン
タクトホールCを形成する。
【0066】次に、図7(g)に示すように、第1層間
絶縁層283を覆うように、アルミニウム、クロム、タ
ンタルなどの金属からなる導電層504を形成する。こ
の導電層504の厚さは概ね200nmないし800n
m程度である。この後、導電層504のうち、各TFT
のソース電極およびドレイン電極が形成されるべき領域
240a、駆動電圧導通部310(340)が形成され
るべき領域310a、陰極電源配線の第2層が形成され
るべき領域122aを覆うようにパターニング用マスク
505を形成するとともに、当該導電層504をパター
ニングして、図8(h)に示すソース電極243、25
3、263、ドレイン電極244、254、264を形
成する。
【0067】次いで、図8(i)に示すように、これら
が形成された第1層間絶縁層283を覆う第2層間絶縁
層284を、例えばアクリル系樹脂などの高分子材料に
よって形成する。この第2層間絶縁層284は、約1〜
2μm程度の厚さに形成されることが望ましい。なお、
SiN、SiO2により第2層間絶縁膜を形成する事も
可能であり、SiNの膜厚としては200nm、SiO
2の膜厚としては800nmに形成することが望まし
い。
【0068】次いで、図8(j)に示すように、第2層
間絶縁層284のうち、駆動用TFTのドレイン電極2
44に対応する部分をエッチングにより除去してコンタ
クトホール23aを形成する。その後、基板20の全面
を覆うようにITOなどの透明電極材料からなる透明導
電膜を形成する。そして、この透明導電膜をパターニン
グすることにより、図9(k)に示すように、第2層間
絶縁層284のコンタクトホール23aを介してドレイ
ン電極244と導通する画素電極23を形成すると同時
に、ダミー領域のダミーパターン26も形成する、な
お、図3、4では、これら画素電極23、ダミーパター
ン26を総称して画素電極23としている。
【0069】ダミーパターン26は、第2層間絶縁層2
84を介して下層のメタル配線へ接続しない構成とされ
ている。すなわち、ダミーパターン26は、島状に配置
され、実表示領域に形成されている画素電極23の形状
とほぼ同一の形状を有している。もちろん、表示領域に
形成されている画素電極23の形状と異なる構造であっ
てもよい。なお、この場合、ダミーパターン26は少な
くとも上記駆動電圧導通部310(340)の上方に位
置するものも含むものとする。
【0070】次いで、図9(l)に示すように、画素電
極23、ダミーパターン26上、および第2層間絶縁膜
上に絶縁層である親液性制御層25を形成する。なお、
画素電極23においては一部が開口する態様にて親液性
制御層25を形成し、開口部25a(図3も参照)にお
いて画素電極23からの正孔移動が可能とされている。
逆に、開口部25aを設けないダミーパターン26にお
いては、絶縁層(親液性制御層)25が正孔移動遮蔽層
となって正孔移動が生じないものとされている。
【0071】次いで、図9(l)に示すように、親液性
制御層25において、異なる2つの画素電極23の間に
位置して形成された凹状部にBMを形成する。具体的に
は、親液性制御層25の上記凹状部に対して、金属クロ
ムを用いスパッタリング法にて成膜する。
【0072】次いで、図9(m)に示すように、親液性
制御層25の所定位置、詳しくは上記BMを覆うように
有機バンク層221を形成する。具体的な有機バンク層
の形成方法としては、例えばアクリル樹脂、ポリイミド
樹脂などのレジストを溶媒に溶かしたものを、スピンコ
ート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布
して有機質層を形成する。なお、有機質層の構成材料
は、後述するインクの溶媒に溶解せず、しかもエッチン
グなどによってパターニングし易いものであればどのよ
うなものでもよい。
【0073】次いで、有機質層をフォトリソグラフィ技
術などにより同時にエッチングして、有機質物のバンク
開口部221aを形成し、開口部221aに壁面を備え
た有機バンク層221を形成する。なお、この場合、有
機バンク層221は少なくとも上記駆動制御信号導通部
320の上方に位置するものを含むものとされる。
【0074】次いで、有機バンク層221の表面に、親
液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。本
実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を
形成するものとしている。具体的には、該プラズマ処理
工程は、予備加熱工程と、有機バンク層221の上面お
よび開口部221aの壁面ならびに画素電極23の電極
面23c、親液性制御層25の上面を親液性にする親イ
ンク化工程と、有機バンク層の上面および開口部の壁面
を撥液性にする撥インク化工程と、冷却工程とを具備し
ている。
【0075】すなわち、基材(バンクなどを含む基板2
0)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次
いで親インク化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガ
スとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次
いで、撥インク化工程として大気雰囲気中で4フッ化メ
タンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処
理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された
基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が
所定箇所に付与されることとなる。
【0076】なお、このCF4プラズマ処理において
は、画素電極23の電極面23cおよび親液性制御層2
5についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材
料であるITOおよび親液性制御層25の構成材料であ
るSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏し
いため、親インク化工程で付与された水酸基がフッ素基
で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0077】次いで、図10(n)に示す正孔注入/輸
送層70を形成するべく正孔注入/輸送層形成工程が行
われる。正孔注入/輸送層形成工程では、インクジェッ
ト法により、正孔注入/輸送層材料を含む組成物インク
を電極面23c上に吐出した後に、乾燥処理および熱処
理を行い、電極23上に正孔注入/輸送層70を形成す
る。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔
注入/輸送層70および有機EL層60の酸化を防止す
べく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰
囲気で行うことが好ましい。
【0078】例えば、インクジェットヘッド(図示略)
に正孔注入/輸送層材料を含む組成物インクを充填し、
インクジェットヘッドの吐出ノズルを親液性制御層25
に形成された上記開口部25a内に位置する電極面23
cに対向させ、インクジェットヘッドと基材(基板2
0)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当た
りの液量が制御された液滴を電極面23cに吐出する。
次に、吐出後の液滴を乾燥処理して組成物インクに含ま
れる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送
層70が形成される。
【0079】組成物インクとしては、例えば、ポリエチ
レンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン誘導体
と、ポリスチレンスルホン酸などの混合物を、イソプロ
ピルアルコールなどの極性溶媒に溶解させたものを用い
ることができる。ここで、吐出された液滴は、親インク
処理された電極面23c上に広がり、親液性制御層25
の開口部25a内に満たされる。その一方で、撥インク
処理された有機バンク層221の上面では、液滴がはじ
かれて付着しない。従って、液滴が所定の吐出位置から
はずれて有機バンク層221の上面に吐出されたとして
も、該上面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が
親液性制御層25の開口部25a内に転がり込む。な
お、正孔注入/輸送層70の材料としては、例えば、ポ
リエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン誘
導体とポリスチレンスルホン酸などの混合物を用いるこ
とができる。
【0080】次いで、図10(n)に示すように、有機
EL層60を形成すべく発光層形成工程が行われる。発
光層形成工程では、上記と同様のインクジェット法によ
り、発光層用材料を含む組成物インクを正孔注入/輸送
層70上に吐出した後に乾燥処理および熱処理して、有
機バンク層221に形成された開口部221a内に有機
EL層60を形成する。
【0081】発光層形成工程では、正孔注入/輸送層7
0の再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる
組成物インクの溶媒として、正孔注入/輸送層70に対
して不溶な無極性溶媒を用いる。この発光層形成工程と
しては、例えばインクジェットヘッド(図示略)に、青
色(B)発光層の材料を含有する組成物インクを充填
し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを絶縁層(親液
性制御層)25の開口部25a内に位置する正孔注入/
輸送層70に対向させ、インクジェットヘッドと基材と
を相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液
量が制御された液滴として吐出し、この液滴を正孔注入
/輸送層70上に吐出する。
【0082】有機EL層60を構成する発光材料として
は、ポリフルオレン系誘導体、ポリフェニレン誘導体、
ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリ
レン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、ある
いはこれらの高分子材料に、例えば、ルブレン、ペリレ
ン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニ
ルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリド
ンなどをドープすることにより用いることができる。一
方、無極性溶媒としては、正孔注入/輸送層70に対し
て不溶なものが好ましく、例えば、シクロヘキシルベン
ゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、
テトラメチルベンゼンなどを用いることができる。
【0083】吐出された液滴は、正孔注入/輸送層70
上に広がって親液性制御層25の開口部25a内に満た
される。その一方で、撥インク処理された有機バンク層
221上面では、液滴が弾かれて付着しない。これによ
り、液滴が所定の吐出位置からはずれて有機バンク層2
21上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れる
ことがなく、液滴が上記親液性制御層25の開口部25
a内に転がり込み、さらに有機バンク層221の開口部
221a内に吐出・充填される。次いで、吐出後の液滴
を乾燥処理することにより組成物インクに含まれる無極
性溶媒を蒸発させ、有機EL層60が形成される。な
お、各色の有機EL層60は、それぞれ各色表示領域
R、G、B(図5参照)に対応して液滴が滴下される。
【0084】ここで、正孔注入/輸送層70、有機EL
層60をそれぞれインクジェットプロセスにより形成す
るが、この際、インクジェットヘッドは発光ドット間の
ピッチにより傾き方向を制御している。
【0085】次いで、図10(n)に示すように、有機
EL層60上にバッファ層222を形成する。本実施形
態においては、上述した有機EL層60の各色毎に異な
る構成成分のバッファ層を蒸着により成膜している。
【0086】次いで、図10(o)に示すように、陰極
50を形成すべく陰極層形成工程が行われる。この陰極
層形成工程においては、バッファ層222および有機バ
ンク層221の全面に、陰極50となる第1陰極層50
aおよび第2陰極層50bを順次積層する。
【0087】まず、第1陰極層50aを成膜する。より
具体的には、希土類元素金属を蒸発源とする蒸着法、ま
たは希土類元素金属のターゲット材を用いたスパッタリ
ング法、あるいは希土類元素金属を含有する有機ガスを
反応性ガスとして用いるCVD法などを用いる。第1陰
極層50aは、実表示領域4およびダミー領域5を完全
に覆うように形成するので、その占有面積はこれら実表
示領域4及びダミー領域5の総面積より広い面積とな
る。
【0088】次いで、第2陰極層50bを成膜する。よ
り具体的には、Al金属を蒸発源とする蒸着法、または
Al金属のターゲット材を用いたスパッタリング法、あ
るいはAl含有有機ガスを反応性ガスとして用いるCV
D法などを用いる。第2陰極層50bは、実表示領域4
およびダミー領域5を覆っているCa陰極層50aを完
全に覆うように形成するので、その占有面積は第1陰極
層50aより広い面積となる。
【0089】以上により、実表示領域4およびダミー領
域5を覆うように形成された第1陰極層50aと第1陰
極層50aを覆うように形成された第2陰極層50bと
からなる2層構造の陰極50を形成することができる。
なお、Al金属に代えて、例えば、Ag、Mg−Ag合
金などの陰極材料を用いる場合も同様に形成することが
できる。
【0090】最後に、図10(o)に示すように、封止
基板30を形成すべく封止工程を行う。この封止工程で
は、封止基板30の内側に乾燥剤45を挿入しつつ、該
封止基板30と基板20とを接着剤40にて封止する。
なお、この封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウムなど
の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。以上のよ
うな製造方法により、本実施形態に係るEL表示装置1
を得ることができる。なお本実施形態に係るEL表示装
置1は、機能層110で発光させられた光を第1陰極層
50aによって基板20側に反射させて出射するタイプ
の装置である。
【0091】本実施形態のEL表示装置1によれば、第
1陰極層50aを、アルカリ土類金属やアルカリ金属に
比べて酸化されにくく、水分などとの反応性も低いた
め、化学反応による劣化の進行が遅いという特性を備え
るとともに、アルカリ土類金属やアルカリ金属と同等程
度の低い仕事関数を有する希土類元素金属で形成するか
ら、表示性能を損なうことなく、表示特性の劣化などの
経時的な信頼性や耐湿性を向上させることができるとい
う利点がある。
【0092】また、第1陰極層50aを覆うように第2
陰極層50bを設けて保護層を形成するので、第1陰極
層50aの化学反応の原因ともなる酸素や水分などの浸
入をより確実に防ぐことができ、その結果、一層の信頼
性向上が図れる利点がある。また、第1陰極層50a自
体でも信頼性が向上しているので、第2陰極層50bの
膜厚は比較的薄くてよく、ピンホールなどの膜欠陥を比
較的許容できる。したがって第2陰極層50bの膜厚を
薄くできるから、製造コストを低減することができると
いう利点がある。
【0093】また、第1陰極層50aは、反射性を有す
るまで膜厚を有する希土類元素金属を用いるから、第1
陰極層50aによって反射電極が構成でき、第2陰極層
50bは必ずしも反射性を備えなくても反射電極を備え
る必要がない。したがって第2陰極層50bは反射性を
有するまでの膜厚以下で成膜することができる。
【0094】なお、上記の説明では、陰極50は、実表
示領域4およびダミー領域5の総面積より広い面積を備
えるとして説明したが、少なくとも実表示領域4内の有
機EL層60…を覆うように設けられていれば、実表示
領域4およびダミー領域5の総面積より狭くてもよい。
【0095】なお、上記の説明では、第1陰極層50a
の上層に第2陰極層50bを設けている例で説明した
が、第1陰極層50aに用いる希土類元素金属の経時の
信頼性が得られれば、第2陰極層50bを省略してもよ
い。希土類元素金属自身が優れた化学的安定性を有する
場合、または封止基板30などによる封止性能が高い場
合は、そのような構成をとることができる。そのように
すれば、第2陰極層50bを省略できるので製造コスト
を低減することができるという利点がある。
【0096】次に本実施形態の変形例を説明する。本変
形例では、以上に説明したEL表示装置1において、第
1陰極層50aをアルカリ土類金属またはアルカリ金属
で形成し、第2陰極層50bを希土類元素金属で形成し
たものであり、それ以外は上記に説明したの同じ構成を
備える。その際、上記と同様に、希土類元素金属は反射
性を有するまでの膜厚を備えるように構成する。ここ
で、アルカリ土類金属は例えばCa金属が、アルカリ金
属は例えばLi金属が採用できる。また希土類元素金属
は上記と同様のものが採用できる。その製造方法は第1
陰極層50a、第2陰極層50bを成膜する材料が異な
るのみで、上記と同様の方法が採用できる。
【0097】このような構成によれば、まず第2陰極層
50bによって反射性を有する反射電極を構成すること
ができる。第2陰極層50bは、化学的安定性を有する
希土類元素金属を用いるので、化学的安定性が劣る材質
で構成された第1陰極層50aの保護層として機能する
ことができる。
【0098】さらに、本変形例の構成によれば、第2陰
極層50bを構成する希土類元素金属の仕事関数が第1
陰極層50aに用いる材料並に低く、Al金属などより
も格段に低い値を有するものであるから、陰極50の全
体としての電子注入効率を格段に向上させることができ
るという一層すぐれた利点がある。
【0099】〔第2の実施形態〕次に本発明の電気光学
装置の第2の実施形態としてのEL表示装置1について
説明する。本実施形態は第1の実施形態に対して、その
陰極50の構成のみが異なっており、その他は同一の構
成を備えるものである。そこで、以下では共通部分の説
明は同一の符号を付して省略する。図11は本実施形態
に係るEL表示装置1の要部拡大図であり、図1のA−
Bに沿う断面の駆動用TFT123近傍を示している。
【0100】本実施形態において、陰極50は、図11
に示すように、バッファ層222の上層をなし、ほぼ矩
形状の第1陰極層500a(電極層)と、第1陰極層5
00aより広い面積とされて第1陰極層500aを覆う
ように形成されたほぼ矩形状の第1陰極保護層500b
(電極層)と、第1陰極保護層500bより広い面積と
されて第1陰極保護層500bを覆うように形成された
ほぼ矩形状の第2陰極層500c(電極層)からなる3
層構造とされている。なお第1陰極層500aは、少な
くとも実表示領域4内の有機EL層60…を覆うことが
できれば、実表示領域4およびダミー領域5の総面積よ
り広い面積でも狭い面積でもよい。
【0101】第1陰極層500aは、電子注入効率を高
めるために仕事関数が小さいアルカリ土類金属またはア
ルカリ金属で構成される。例えばCa金属やLi金属な
どを採用することができる。
【0102】第1陰極保護層500bは、希土類元素金
属を、反射性を有するまでの膜厚に成膜して設ける。こ
のため、第1陰極保護層500bは機能層110が発光
するとその光を下方に反射する反射電極を構成してい
る。希土類元素金属は第1の実施形態で採用できるもの
はどれでも採用することができる。第2陰極層500c
は、第1の実施形態の第2陰極層50bと同様のものを
設ける。
【0103】第1陰極層500a、第1陰極保護層50
0bおよび第2陰極層500cは、それぞれを構成する
元素金属または元素金属を主成分とする元素合金(以
下、元素金属と略称する)を蒸発源とする蒸着法、また
は元素金属のターゲット材を用いたスパッタリング法、
あるいは元素を含有する有機ガスを反応性ガスとして用
いるCVD法などにより、それぞれ成膜して形成する。
【0104】このような構成は、第1の実施形態におい
て説明した製造工程のうち陰極そう形成工程において、
バッファ層222の上層に第1陰極層500aを成膜し
て形成したあと、その上層に第1陰極保護層500bを
成膜して形成し、さらにその上層に第2陰極層500c
を成膜して形成することにより容易に製造することがで
きる。
【0105】このような構成によれば、第1陰極保護層
500bによって、第1陰極層500aを酸素や水分と
の反応から保護することができ、しかも仕事関数の範囲
が同等な希土類金属により第1陰極保護層500bを形
成するので、陰極50の電子注入特性を損なうことがな
い。また、第1陰極保護層500bは第2陰極層500
cにより保護される。
【0106】したがって、本実施形態のEL表示装置1
においても、上述した第1実施形態のEL表示装置1と
同様の効果を奏することができる。さらに、第1陰極層
500aは2重に保護されているので、経時のより高い
信頼性を得ることができるという効果を奏する。またさ
らに、希土類金属のうち、比較的化学的安定性の劣るも
のを採用した場合でも高い経時の信頼性を得ることがで
きるという利点がある。
【0107】次に、本実施形態の変形例を説明する。本
変形例では、陰極50を上記と同様の3層構造とする
が、第1陰極層500aには反射性を有するまでの膜厚
に成膜された希土類元素金属を用い、第1陰極保護層5
00bにはアルカリ土類金属などを用いる構成とする。
【0108】このような構成によれば、化学反応性に富
むアルカリ土類金属などを第1陰極層500aに用いる
ので、万一、第2陰極層500cを透過して酸素や水分
が浸入した場合でも、第1陰極保護層500bを透過す
る際に化学反応を起こして吸収される。その結果、バッ
ファ層222と接触して有機EL層60に電子注入を行
う第1陰極層500aは損なわれずに保護されるもので
ある。
【0109】したがって、経時の表示特性や信頼性を向
上することができる。また、第2陰極層500cの膜厚
を厚くしたり、膜欠陥を厳正に抑える成膜を行ったりす
る必要がないという利点がある。
【0110】〔第3の実施形態〕次に本発明の電気光学
装置の第3の実施形態としてのEL表示装置1について
説明する。本実施形態は第1、2の実施形態に対して、
画素電極23、正孔注入/輸送層70、有機EL層6
0、陰極50の積層順序を反転し、基板20側から、陰
極50、有機EL層60、正孔注入/輸送層70、画素
電極23の順序で積層する構成とした点が異なり、その
他は同一の構成を備えるものである。そこで、以下では
共通部分の説明は同一の符号を付して省略する。図12
は、本実施形態に係るEL表示装置1の要部拡大図であ
り、図1のA−Bに沿う断面の駆動用TFT123近傍
を示している。
【0111】本実施形態においては、第1の実施形態に
おける画素電極23に代えて、陰極50が設けられてい
る。陰極50は、反射性を有するまでの膜厚で成膜され
た希土類元素金属によって構成される。希土類元素金属
は、上記第1の実施形態で述べたのと同じものが採用で
きる。
【0112】陰極50の上層には有機EL層60、正孔
注入/輸送層70、画素電極23が順次成膜されて発光
層および対向する電極が形成される。画素電極23は実
表示領域4およびダミー領域5を覆っているか、少なく
とも内の有機EL層60…を覆うように設けられてい
る。それぞれの材質は上記第1の実施形態で述べたのと
同じものが採用できる。特に、画素電極23としては、
ITOの他に同じく透明性と常温の成膜性に優れるIX
Oを用いてもよい。
【0113】このような構成は、上記第1の実施形態で
説明した製造工程において、コンタクトホール23aを
形成したあと、ITOの形成に代えて、陰極50を形成
し、さらに、正孔注入/輸送層形成工程、発光層形成工
程のそれぞれに代えて、発光層形成工程、正孔注入/輸
送層形成工程を順次行い、次いで画素電極23を形成す
ることによって、製造することができる。その際、陰極
50は水分に対しても安定な希土類元素を用いるので、
陰極50の直後に保護層を設ける必要がなく、発光層形
成工程、正孔注入/輸送層形成工程をインクジェットな
どの水液を用いるプロセスによって製造することができ
るから、効率的な製造を実現できるという効果を奏す
る。
【0114】本実施形態では、有機EL層60から発光
する光は陰極50で反射して図示上方に放射され、画素
電極23を透過して封止基板30から外部に放射される
タイプの装置が構成される。したがって、回路部11と
基板20は透明性を備えていなくともよい。また、駆動
用TFT123の位置は、図12に示すように有機バン
ク層221の下とは限らず、回路部11のどこに設けら
れていてもよい。
【0115】以上に述べたように本実施形態によれば、
希土類金属を陰極50に用いることによって、基板上方
に光を放射するタイプのEL表示装置を、陰極50を基
板側に設けた装置として容易に構成することができると
いう利点がある。
【0116】なお、上記の説明では、陰極50の上層に
は有機EL層60が設けられるとして説明したが、その
間にバッファ層222を設けてもよいことは言うまでも
ない。
【0117】〔第4の実施形態〕以下、第1、2または
3の実施形態のEL表示装置を備えた電子機器の具体例
について図13に基づき説明する。図13(a)は、携
帯電話の一例を示した斜視図である。図13(a)にお
いて、符号1000は携帯電話本体を示し、符号100
1は前記のEL表示装置を用いた表示部を示している。
図13(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視
図である。図13(b)において、符号1100は時計
本体を示し、符号1101は前記のEL表示装置を用い
た表示部を示している。図13(c)は、ワープロ、パ
ソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図
である。図13(c)において、符号1200は情報処
理装置、符号1201はキーボードなどの入力部、符号
1202は前記のEL表示装置を用いた表示部、符号1
203は情報処理装置本体を示している。
【0118】図13(a)〜(c)に示すそれぞれの電
子機器は、前記の第1、2または3の実施形態のEL表
示装置を用いた表示部を備えたものであり、先の第1、
2または3の実施形態のEL表示装置の特徴を有するの
で、表示特性、信頼性が向上するとともに、製造コスト
が低減された電子機器となる。これらの電子機器を製造
するには、第1、2または3の実施形態のEL表示装置
1を、携帯電話、携帯型情報処理装置、腕時計型電子機
器などの各種電子機器の表示部に組み込むことにより製
造される。
【0119】なお上記の説明を通じて、希土類金属は反
射性を有するまでの膜厚で形成される例で説明したが、
光透過性を有する膜厚で形成しておき、反射性が必要な
場合は他の材料によって反射性膜を形成してもよいこと
は言うまでもない。
【0120】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る電気
光学装置によれば、発光層を挟む対向する一方の電極に
希土類元素金属を備えるので、酸素や水分などによる化
学反応を低減することができるので、表示特性の劣化な
どの経時的な信頼性、耐湿性を向上することができると
いう効果を奏する。さらに、本発明に係る電気光学装置
によれば、化学的安定性が高く、水分との反応性が低い
希土類元素金属を一方の電極に用いるので、基板上にそ
の一方の電極を形成し、その上層に発光層を設ける構成
が容易に実現でき、発光層から放射する光を基板とは反
対側に放射するタイプの電気光学装置を容易に実現でき
るという効果を奏する。本発明に係る電気光学装置の製
造方法によれば、上記のような電気光学装置を容易に製
造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の、EL表示装置の
配線構造を示す模式図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態の、EL表示装置の
構成を模式的に示す平面図である。
【図3】 図2のA−B線に沿う断面図である。
【図4】 図2のC−D線に沿う断面図である。
【図5】 図3の要部拡大断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態の、EL表示装置の
製造方法を説明する工程図である。
【図7】 図6に続く本発明にの第1の実施形態の、E
L表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図8】 図7に続く本発明の第1の実施形態の、EL
表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図9】 図8に続く本発明の第1の実施形態の、EL
表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図10】 図9に続く本発明の第1の実施形態の、E
L表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図11】 本発明の第2の実施形態の、EL表示装置
の構成の要部を示す拡大断面図である。
【図12】 本発明の第3の実施形態の、EL表示装置
の構成の要部を示す拡大断面図である。
【図13】 本発明の第4の実施形態の電子装置を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 EL表示装置(電気光学装置) 20 基板 23 画素電極(電極) 50 陰極(一方の電極) 50a、500a 第1陰極層(電極層) 50b、500c 第2陰極層(電極層) 60 有機EL層(発光層) 70 正孔注入/輸送層 110 機能層 500b 第1陰極保護層(電極層)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する電極間に発光層を備えた電気光
    学装置であって、 一方の前記電極が、希土類元素金属により形成されてな
    ることを特徴とする電気光学装置。
  2. 【請求項2】 前記一方の電極は、アルカリ土類金属ま
    たはアルカリ金属、前記希土類元素金属が順次積層され
    た電極層を備えることを特徴とする請求項1に記載の電
    気光学装置。
  3. 【請求項3】 前記一方の電極は、前記希土類元素金
    属、アルカリ土類金属またはアルカリ金属、保護導電層
    が順次積層された電極層を備えることを特徴とする請求
    項1に記載の電気光学装置。
  4. 【請求項4】 前記一方の電極が、積層された複数の電
    極層を備え、該複数の電極層の少なくとも1つの電極層
    が、積層順の上層に位置する少なくとも1つの他の電極
    層によって覆われたことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の電気光学装置。
  5. 【請求項5】 前記複数の電極層の少なくとも1つの電
    極層が、前記複数の電極層の中で、もっとも前記発光層
    に近接した電極層であることを特徴とした請求項4に記
    載の電気光学装置。
  6. 【請求項6】 対向する電極間に発光層を備えた電気光
    学装置の製造方法であって、 前記発光層を形成する工程、希土類元素金属を有する電
    極を形成する工程、を有することを特徴とする電気光学
    装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 対向する電極間に発光層を備えた電気光
    学装置の製造方法であって、 一方の前記電極を、希土類元素金属によって形成する工
    程、前記発光層を形成する工程、を有することを特徴と
    する電気光学装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の電気光
    学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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