JP2003336385A - 床部材及び床構造 - Google Patents

床部材及び床構造

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Tsukasa Nishizawa
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Toshiharu Ishii
敏晴 石井
Yasushi Namatame
泰 生天目
Tomoichi Kawahira
朝一 川平
Masashi Inoue
雅司 井上
Shigeji Takahashi
繁治 高橋
Takashi Shirakawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な状況下においても損傷や劣化等が生じ
にくく耐久性及び使用性に優れるとともに、施工が容易
である床部材を提供する。 【解決手段】 少なくとも一条の熱膨張吸収用溝13を
有する金属製の平板部11と、前記熱膨張吸収用溝を閉
塞するように前記平板部の下面に接合されている金属製
の凹状部材(U字部材15)とを備え、前記凹状部材
は、長手方向に所定の勾配を有して形成されており、排
水溝として使用されることを特徴とする床部材10とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製の床部材及
び当該床部材を使用した床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】食品工場、医薬品工場、業務用厨房室等
(以下、「食品工場等」という)では、清潔な室内環境
を保つ必要があることから、薬品類を使用して、常時床
部などを清掃し、かつ、消毒しておく必要がある。ま
た、作業時において、床部を台車が走行すること、床部
に器具類が落下したり熱湯が流下すること等が頻繁に生
じることにより過酷な状況下におかれることが多い。そ
のため、床部に対する負荷が非常に大きく構造上の課題
となっている。従来、このような床部の構造として塗床
構造が用いられることが一般的であったが、当該塗床構
造では、床面のふくれ、剥がれ、或いは、クラックの発
生などが生じやすいという不都合が存在していた。その
ため、ステンレス鋼等の金属板を用い、当該金属板をア
ンカー部材や下地鋼材を介してコンクリート造基体に固
定する金属床構造が開発されるに至っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記金属床構
造では、金属板に熱湯などが流下した場合には熱膨張す
るため、アンカー部材等で固定された中間部が面外に膨
らんでしまう。ステンレス鋼は鉄鋼と比較して熱膨張率
が約1.4倍であることから、金属板としてステンレス
鋼を使用した場合には、特にこの傾向が顕著であり、熱
膨張が繰り返されることによりコンクリート造基体の割
れや、ステンレス鋼板のふくれ及び剥離、膨張収縮時の
発音等、各種の不具合が生じやすいという問題点を有し
ていた。
【0004】また、前記金属床構造は、接合部を現場で
溶接して施工することが一般的であるため、歪が生じや
すく、施工管理が煩雑となるという問題点を有してい
た。なお、そのような不都合を回避するために、溶接を
行うことなく、シーリング材を用いて金属板の接合部の
防水処理を行うことも考えられるが、この方法では耐久
性に劣り、定期的に打ち替えが必要となるほか、シーリ
ング材の剥離箇所に雑菌が繁殖してしまい、非衛生的に
なるという問題点があった。さらに、金属板の表面が水
でぬれたときや油が付着したときには、滑りやすくなる
という問題点を有していた。
【0005】本発明は、前記各問題点を解決するために
なされたものであり、過酷な状況下においても損傷や劣
化等が生じにくく耐久性及び使用性に優れるとともに、
施工が容易である床部材(床構成材)、及び、当該床部
材を使用した床構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の床部材は、少なくとも一条の熱膨張吸収用
溝を有する金属製の平板部と、前記熱膨張吸収用溝を閉
塞するように前記平板部の下面に接合されている金属製
の凹状部材とを備え、前記凹状部材は、長手方向に所定
の勾配を有して形成されており、排水溝として使用され
ることを特徴としている。
【0007】ここで、熱膨張吸収用溝は、熱膨張による
平板部の伸びを吸収することと、排水用の開口部として
の役割を果たすことを主目的として設けるものであり、
その形状、幅、長さ、数、レイアウト等は、施工現場の
状況、使用材料等に応じて、適切に定めることができ
る。また、凹状部材は、熱膨張吸収用溝を閉塞する機能
と排水溝の機能を兼用する部材であり、断面形状がU字
形、V字形、倒立したコ字形、倒立したΩ字形等である
長尺材を、その要求性能に応じて適宜用いることができ
るが、清掃のし易さ、及び、視認性等を考慮するとU字
形状の部材を用いることが好適である。なお、熱膨張吸
収用溝を閉塞するように接合するとは、前記床部材を構
造物躯体の上面に設けた場合に、当該床部材と構造物躯
体との間で止水性が確保されるように凹状部材が接合さ
れていることを要する趣旨であり、少なくとも、平面視
で凹状部材が熱膨張吸収用溝を閉塞するように設けられ
ていればよい。さらに、平板部、凹状部材(後記鉛直
部、幅木部材も同様)を形成するためには各種の金属材
料を使用することが可能であるが、耐錆性及び耐久性等
の観点からはステンレス鋼を用いることが好適である。
【0008】本発明の床部材は金属製であることから、
耐久性等を向上させることができるとともに、平板部が
熱膨張した場合であっても、熱膨張吸収用溝の部位で分
断され、凹状部材が追従して変形することによって吸収
されるため、当該平板部の膨らみ等の不具合を防止する
ことができる。加えて、前記熱膨張吸収用溝と凹状部材
とが、排水溝の機能を果たすことから、合理的な構造と
することができる。さらに、前記床部材を予め一体とし
て成形することにより、施工時の作業性を向上させるこ
とができる。
【0009】また、前記床部材において、前記平板部に
複数の小突起が設けられているものであってもよい。
【0010】ここで、前記小突起の設け方については、
施工現場の状況に応じて、適切に定めることが可能であ
るが、長さ寸法及び幅寸法が各々1cm以下、かつ、高
さ寸法が1mm以下であり、先端部が丸みを帯びている
突起を、1.5cm〜3.0cm間隔で設けることが清
掃性及び排水性の観点から好適である。なお、この小突
起は、従来の縞鋼板が有していた線状の凸部とは異なる
ものである。
【0011】本発明の床部材によれば、小突起の存在に
より清掃性及び排水性を損なうことなく、滑動を効果的
に防止することができる。
【0012】また、前記床部材において、前記凹状部材
は、上縁部の近傍が補強されているものであってもよ
い。
【0013】ここで、補強とは、補強部材を付設するこ
とや、高強度の金属材料を使用することなど、各種の方
法で行うことができる。
【0014】本発明の床部材によれば、熱膨張により変
形を生じやすい凹状部材の上縁部を補強することで、耐
久性を増加させることができる。
【0015】また、前記平板部の周縁に立設する金属製
の鉛直部を備え、前記鉛直部に金属製の幅木部材が添設
されているものであってもよい。
【0016】本発明の床部材によれば、鉛直部に予め幅
木部材が添設されているため、施工時における作業性を
向上させることができる。
【0017】さらに、本発明の床構造は、前記床部材
が、コンクリート造基体の上面に覆設されていることを
特徴としている。
【0018】本発明によれば、前記床部材を使用するこ
とで、当該床部材が熱膨張することによるコンクリート
造基体からの床部材の剥離や、それに伴う下地コンクリ
ートの割れ、或いは、床部材の膨張収縮時における発音
等の各種不都合を防止することが可能となり、耐久性に
優れるとともに、施工時における作業性を向上させるこ
とができる床構造とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について、
図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明にお
いて、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重
複した説明は省略するものとする。
【0020】[構成]図1に示すように、本発明の床構
造1は、鉄筋コンクリート構造である床スラブ6と当該
床スラブ6の上面部に介設されているシンダーコンクリ
ート7A〜7C(床スラブ6とシンダーコンクリート7
A〜7Cがコンクリート造基体に相当する)と、床部材
10とを主要部として構成されている。
【0021】(1)床スラブ等 前記床スラブ6は、水平態である基体部6aとその周縁
の立上部6bとから構成されており、当該基体部6aの
上面には防水を主目的とした、所定厚である左右のシン
ダーコンクリート7A,7Bが中央部に間隔を開けて打
設されている。なお、左右のシンダーコンクリート7
A,7Bの下端部における隅角部には、U字部材15を
接合するための山形鋼8A,8Bが長手方向(図1にお
ける紙面の奥行き方向)に対向して設けられている。
【0022】そして、前記左右のシンダーコンクリート
7A,7Bの間においても、床部材10におけるU字部
材15を設置するための凹溝9が形成されるように、シ
ンダーコンクリート7Cが打設されている。左右及び中
央のシンダーコンクリート7A〜7Cにより形成される
前記凹溝9は、U字部材15と嵌合する形状(本実施形
態では、ホームベース状の五角形)に形成されていると
ともに、所定位置(本実施形態では、図3における上下
位置)には、集水枡51が埋設されている。さらに、左
右のシンダーコンクリート7A,7Bの表層面は、凹溝
9に集水するために当該凹溝9に向かう下り勾配(図3
における矢印方向)となるように形成されている。
【0023】(2)床部材 図1に示すように、床部材10は、ステンレス鋼板を用
い、左右のシンダーコンクリート7A,7B及び左右の
立上部6bを覆う形状に形成されている。すなわち、前
記シンダーコンクリート7A,7Bに接する平板部11
と、当該平板部11の周縁に立設しており立上部6bと
接する鉛直部12とから形成されている。そして、前記
平板部11において、前記凹溝9に対応する部位には熱
膨張吸収用溝13が形成されており、当該熱膨張吸収用
溝13を挟んだ左右の平板部11の下面には、ステンレ
ス鋼製であるU字部材15(凹状部材)が溶接されてい
る。
【0024】前記U字部材15は、断面視でホームベー
ス状の五角形形状(それぞれ、各部位を、「水平上部1
5a」、「鉛直部15b」、「傾斜底面部15c」とい
う)であり、水平上部15aの間に熱膨張吸収用溝13
の幅と略同一の幅寸法である開口部15dが形成されて
いる。そして、左右の水平上部15aの先端部と鉛直部
15bの略中間部の間には、断面視で略ヘ字形状の補強
材16が溶接されている。このU字部材15における左
右の水平上部15aが、熱膨張吸収用溝13を挟んだ左
右の平板部11における下面の長手方向の全面に渡って
重ね溶接されており、当該熱膨張吸収用溝13が平面視
で閉塞されるようになっている。また、前記U字部材1
5は、両端部が各集水枡51に接続可能となるように所
定の勾配を有して形成されており、当該U字部材15の
内部が排水溝としての役割を果たしている。なお、前記
補強材16は溶接する構造としたが、水平上部15aを
折り曲げ加工することにより、一体的に形成する構造と
することもできる。
【0025】前記平板部11の周縁部を除く全面には、
所定間隔で、先端部が丸みを帯びている複数の小突起1
7が突設されている。さらに、平板部11の周縁部と鉛
直部12の内面に沿って、断面視で略L字形状であり、
上端部が直角に突出した水平端部18aを有するステン
レス鋼製である幅木部材18が溶接されている。なお、
熱膨張吸収用溝13の両端部には、集水枡51の蓋52
を設けるための矩形形状の開口部が設けられており、当
該開口部は蓋52で閉塞されることとなる。
【0026】前記床部材10は、幅木部材18の水平端
部18aを床スラブ6の立上部6bの上端部に掛止させ
て、当該立上部6bの内側面と左右のシンダーコンクリ
ート7A,7Bの上面に接するように設けるとともに、
凹溝9にU字部材15を嵌合させ、当該凹溝9の壁面部
に露出している左右の山形鋼8A,8Bの上端部と当該
U字部材15の鉛直部15bの下部とを接合することに
より設置されることになる。なお、前記山形鋼8A,8
Bは、長尺材、若しくは、所定寸法に分割されているピ
ース材のいずれであっても良い。
【0027】[作用効果]前記床構造1によれば、床部
材10の平板部11に熱湯が流下等して温度変化が生じ
た場合には、当該平板部11は熱膨張吸収用溝13の方
向(図2(b)における矢印方向)に伸びる(熱膨張す
る)(図2(a)→図2(b)参照)。この平板部11
の伸びは、熱膨張吸収用溝13の部位で分断され、U字
部材15が追従して変形することによって吸収されるた
め、当該平板部11が左右のシンダーコンクリート7
A,7Bに対して膨らむことがない。そのため、熱膨張
が繰り返されることによる発音や、シンダーコンクリー
ト7A,7Bのひび割れ等の不都合を防止することが可
能となる。このとき、変形により影響を受けやすい床部
材11におけるU字部材15の上縁部を補強材16で補
強することで、耐久性を増加させることができる。
【0028】また、平板部11を清掃等した場合には、
清掃に要した水を熱膨張吸収用溝13からU字部材15
の内部に排水することができるため、常に室内を清潔な
状態に保持することができる。なお、U字部材15は、
平板部11と溶接されており止水性が確保されているこ
とから、構造物躯体に与える影響も少ない。さらに、床
部材10の平板部11に、複数の小突起17が設けられ
ていることから、水や油等を使用する食品工場などに適
用した場合であっても、清掃性及び排水性を損なうこと
なく滑動を効果的に防止することができる。
【0029】このように、本発明の床構造1及び床部材
10によれば、金属製の床部材10を使用していること
から耐久性等を向上させることができるとともに、U字
部材15が排水溝の役割を果たしていることから、合理
的な構造とすることができる。また、床部材10は、平
板部11の周縁部と鉛直部12の内面に沿って、予め幅
木部材18が添設されているため、施工時における作業
性を向上させることができる。
【0030】以上、本発明について、好適な実施形態の
一例を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態に限
られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を
逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
【0031】特に、前記実施形態の床構造1は、中央部
に一本の熱膨張吸収用溝13(U字部材15を含む、以
下同様)を有している構造について説明したが、熱膨張
吸収用溝13を形成する態様については、この限りでは
ない。すなわち、平面視で右端部に一本の熱膨張吸収用
溝23を設けるとともに、その中央部に集水枡51を設
けた床構造2(床部材20)の場合(図4(a)参
照)、左右の端部に二本の熱膨張吸収用溝33を設ける
とともに、それぞれ各両端部に集水枡51を設けた床構
造3(床部材30)の場合(図4(b)参照)、中央部
で交差する十字形状となるように二本の熱膨張吸収用溝
43を設けるとともに、交差部に集水枡51を設けた床
構造4(床部材40)の場合(図4(c)参照)等の各
種形態とすることができる。なお、各図中における矢印
は、平板部21〜41の勾配(矢印→の方向に下り勾配
で傾斜していること)を示している。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、過酷な状況下において
も損傷や劣化等が生じにくく耐久性及び使用性に優れる
とともに、施工が容易である床部材、及び、当該床部材
を使用した床構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の床構造を示す側断面図である。
【図2】本発明の床構造の作用を示す側断面図であり、
(a)は熱膨張前、(b)は熱膨張時を示す。
【図3】本発明の床構造の概略を示す平面図である。
【図4】(a)〜(c)ともに、本発明の床構造におけ
る他の実施形態の概略を示す平面図である。
【符号の説明】
1〜4 床構造 6 床スラブ 7A〜7C シンダーコンクリート 10〜40 床部材 11〜41 平板部 12 鉛直部 13 熱膨張吸収用溝 15 U字部材(凹状部材) 16 補強材 17 小突起 18 幅木部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西澤 司 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 石井 敏晴 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 生天目 泰 東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成 建設株式会社内 (72)発明者 川平 朝一 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社内 (72)発明者 井上 雅司 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社内 (72)発明者 高橋 繁治 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社内 (72)発明者 白川 敬司 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社内 Fターム(参考) 2E220 AA19 AB08 AB10 AB24 AC03 CA15 CA63 GA07Y GB01Y GB05X

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一条の熱膨張吸収用溝を有す
    る金属製の平板部と、 前記熱膨張吸収用溝を閉塞するように前記平板部の下面
    に接合されている金属製の凹状部材とを備え、 前記凹状部材は、長手方向に所定の勾配を有して形成さ
    れており、排水溝として使用されることを特徴とする床
    部材。
  2. 【請求項2】 前記平板部に複数の小突起が設けられて
    いることを特徴とする請求項1に記載の床部材。
  3. 【請求項3】 前記凹状部材は、上縁部が補強されてい
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の床部
    材。
  4. 【請求項4】 前記平板部の周縁に立設する金属製の鉛
    直部を備え、前記鉛直部に金属製の幅木部材が添設され
    ていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    か1項に記載の床部材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載の床部材が、コンクリート造基体の上面に覆設され
    ていることを特徴とする床構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006274582A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Kurimoto Kasei Kogyo Kk 水路

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