JP2003335871A - 導電性摺動性樹脂成形品 - Google Patents
導電性摺動性樹脂成形品Info
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Abstract
適な摺動性及び導電性に優れた導電性摺動性樹脂成形品
を提供する。 【解決手段】 (A)熱可塑性樹脂50〜98.9重量
%と、(B)平均繊維径が200nm以下で、長さ/径
比が10以上の微細炭素繊維0.1〜20重量%と、
(C)潤滑成分1〜30重量%とを含む導電性樹脂組成
物を成形してなる成形品。成形品の表面近傍(0.1〜
10μm)において、微細炭素繊維の屈曲度が10°以
上である。
Description
野や、自動車分野などにおける導電性摺動部品として好
適な摺動性に優れた導電性成形品に関するものであり、
より具体的には複写機やプリンターの各種ローラの軸受
けにおける除電機能や、電気接点機能を併せ持った軸受
け部品や、スイッチング部品、半導体デバイス製造プロ
セスにおいて使用されるカセットやトレイ、更にハード
ディスクドライブにおけるランプなどとして好適な導電
性摺動性樹脂成形品に関する。
脂にカーボンブラックや炭素繊維などの導電性成分を添
加した樹脂組成物を成形したものが使用されてきた。し
かしながら、これらの導電性樹脂組成物は、導電性成分
の脱落に起因して、摺動性を著しく損なうという問題が
ある。即ち、これらの導電性樹脂成形品では、相手材と
の摺動による自材の摩耗による成形品表面からの導電性
成分の脱落、脱落した導電性成分が研磨粉となることに
よる自材の更なる摩耗及び相手材の損傷といった問題が
生じる。このようなことから、従来の導電性樹脂成形品
では、摺動性部品への適用は困難であるとされていた。
装置として用いられる磁気ディスク装置として、図1の
ようなものがある。この磁気ディスク装置11は、箱状
のハウジング12を備えている。このハウジング12の
内部は、外気から遮閉された清浄な気密空間をなしてお
り、この気密空間に円盤状の磁気ディスク13や、この
磁気ディスク13の表面上を浮上することでデータの記
録・再生を行なう磁気ヘッド14のような各種の機能部
品が収容されている。
15の先端部に支持されている。サスペンションアーム
15は、弾性変形が可能な薄い金属板にて構成され、そ
の磁気ヘッド14とは反対側の端部が枢軸10によりハ
ウジング12に回動可能に枢支されている。そして、こ
のサスペンションアーム15は、ボイスコイルモータ1
6によって回動されるようになっており、このサスペン
ションアーム15の回動により、磁気ヘッド14が磁気
ディスク13の半径方向に移動される。
ク13の停止時に、磁気ヘッド14を磁気ディスク13
の表面から離した状態で保持し、必要に応じて磁気ディ
スク13の表面にロードする、いわゆるランプロード方
式のものであり、磁気ディスク13の外周縁部に隣接し
た位置に、サスペンションアーム15が摺動可能に接す
るランプ17を備えている。
にねじ止めされたランプボデー17Aを有している。
15の回動方向に延びるガイド面18を有している。こ
のガイド面は、磁気ディスク13に近づくに従い、この
磁気ディスク13の表面に向けて傾斜されている。その
ため、磁気ディスク13の停止時にサスペンションアー
ム15を磁気ディスク13の外周縁部付近まで回動させ
ると、このサスペンションアーム15がガイド面に摺動
可能に乗り上げ、磁気ヘッド14が磁気ディスク13の
表面から離脱された退避位置(ガイド面18位置)に保
持される。また、磁気ディスク装置11の起動時には、
サスペンションアーム15がガイド面に沿って滑り落
ち、上記退避位置にある磁気ヘッド14が磁気ディスク
13の表面にロードされる。
パソコンを移動させる際等に装備された磁気ディスク装
置の磁気ヘッド14と磁気ディスク13とが接触するこ
ともなく、磁気ヘッド14や磁気ディスク13の破損が
防止できるといった利点がある。
プとしては、主にポリアセタール樹脂成形品が使用され
てきたが、非導電性であるために帯電が生じ易いという
欠点があり、最近のハードディスクの高容量化、高密度
化に伴い、ランプの帯電による磁気ヘッドへのダメージ
が問題となってきている。
の成形材料として、ポリアセタール樹脂にカーボンブラ
ックや炭素繊維などの導電性フィラー材を添加した導電
性樹脂組成物を用いると、サスペンションアームとの摩
擦摺動によって、導電性フィラー材が脱落して、パーテ
ィクルや摩耗粉が発生し、これにより磁気ヘッドや磁気
ディスクが破壊するという問題が生じる。また、特に、
炭素繊維(一般に繊維径7〜12μm、繊維長さ50〜
500μm)を充填した場合には、サスペンションの傷
付きの問題もある。
スクドライブ用ランプ等として好適な、摺動性及び導電
性に優れた導電性摺動性樹脂成形品を提供することを目
的とする。
脂成形品は、(A)熱可塑性樹脂50〜98.9重量%
と、(B)平均繊維径が200nm以下で、長さ/径比
が10以上の微細炭素繊維0.1〜20重量%と、
(C)潤滑成分1〜30重量%とを含む導電性樹脂組成
物を成形してなる成形品であって、該成形品の表面近傍
(0.1〜10μm)において、前記微細炭素繊維の屈
曲度が10°以上であることを特徴とする。
た微細な炭素繊維を用いることにより、この屈曲した微
細炭素繊維の樹脂に対するアンカー効果で、摺動面での
微細炭素繊維の脱落が少なくなり、その結果、摺動性
(耐摩耗性)が向上する。また、微細炭素繊維同士が絡
み合った状態で分散するようになるため、より脱落しに
くくなり、耐摩耗性が改善されると共に、導電性も向上
する。
樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、
微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出し
た超薄切片を電子顕微鏡観察することによって測定する
ことができる。屈曲度は図2に示すように微細炭素繊維
2を顕微鏡で観察し、同一繊維上の、繊維径の5倍{繊
維径(図2のd)を測定し、デバイダ等で繊維に沿って
5回計る等の方法による}離れた任意の2点A,Bを選
び、それぞれの点に接線LA,LBを引いて、接線
LA,LBの交差する点Qの外角(図2にαで示す)を
測定する。10点の平均値をとり、屈曲度とする。
度は0°となり、半円で180°、円を描けば360°
となる。
は、10°以上、望ましくは20°以上、更に望ましく
は40°以上である。
傍(0.1〜10μm)の25μm 2当たりの微細炭素
繊維ネットワークに囲まれた部分の個数が200以下
で、かつ囲まれた部分の面積の平均値(x(μm2))
と標準偏差(σ(μm2))の積(x・σ)が10(μ
m2)2以上であると、摺動性及び導電性がより一層改
善され、好ましい。即ち、このことは微細炭素繊維がお
互いに絡み合って分散していることを意味しており、そ
の結果、導電性が向上するだけでなく、摩擦による微細
炭素繊維の脱落の防止効果がより大きくなり、その結
果、摺動性も向上する。
部分の個数及び面積の平均値と標準偏差の積は、以下の
方法で測定される値として定義される。
の範囲で超薄切片を、厚み70〜100nmで切り出
す。
倍)で撮影した微細炭素繊維の分散画像について次の解
析を行う。まず、5μm×5μmの範囲の画像を、1個
当りの画素の大きさが9.77nm×9.77nmであ
る512×512個の画素でデジタル画像に変換する。
これによって微細炭素繊維が存在している画素がオン、
存在していない画素がオフとなり、2値化処理される。
この際、2値化処理をより高精度、かつ容易に行うため
に、予め原画像を別の紙などにトレースした画像をデジ
タル化しても良い。なお、図3にこのトレース図の一例
を示す。図3(1)は微細炭素繊維が比較的均一に分散
しており、図3(2)ではある程度凝集している。
×3=9個の画素中の1画素でもオンである場合には、
この9画素すべてがオンであるとする画像処理(膨張処
理)を画像全面にわたって施す。図4(a)〜(d)
に、1画素のみオンの場合の第1回目の膨張処理(画像
処理)を示す。具体的には、図4(a)に示すように、
ある範囲にオンが1点存在したとき、全ての3×3の画
素をスキャンして、オンの画素がその中に含まれる場
合、その9画素を全てオンとする{図4(b),
(c),(d)}。結果的にオンであった1画素の周囲
5×5画素がオンとなる{図4(d)}。また、図4
(e),(f)に示すように、膨張処理によって分断さ
れた微細炭素繊維が結合する。1回の膨張処理により、
微細炭素繊維は縦及び横方向に4画素分膨張する。5回
の画像処理により、当初の撮像では近接しているか互い
に離反していた微細炭素繊維画像が繋がりあった太いも
のとなる。
ブリル画像の幅方向(太さ方向)の中心の画素のみをオ
ンとして残し、他の画素はオフとする。即ち、画像の中
心線を1画素の連続体に置き換える。図5(a),
(b)はこの一例を示す模式図である。
いて、上記と同一の膨張処理を2回繰り返す。得られ
た画像中の連続線を「微細炭素繊維ネットワーク」と定
義する。図6は、このようにして得られた微細炭素繊維
ネットワークを有した画像の一例を示す模式図である。
囲まれた閉じた領域の個数を「微細炭素繊維ネットワー
クに囲まれた部分」と定義する。なお、視野(画像)の
縁に交わっている領域は解析の対象外とする。この「微
細炭素繊維ネットワークに囲まれた部分」の個数
(N)、及び「微細炭素繊維ネットワークに囲まれた部
分」の個々の面積を測定する。次に、得られた個々の面
積の測定値より、面積の平均値(x(μm2))及び面
積の標準偏差(σ(μm2))を計算する。その後、平
均値(x(μm2))と標準偏差(σ(μm2))の積
を算出する。なお、標準偏差(σ(μm2))は、以下
の式で算出される。
面積の平均値 xi;「微細炭素繊維ネットワークに囲まれた部分」の
個々の面積 N ;「微細炭素繊維ネットワークに囲まれた部分」の
個数
い、その平均値をとる。このようにして得られた平均値
を本発明の「微細炭素繊維ネットワークに囲まれた部分
の個数」及び「微細炭素繊維ネットワークに囲まれた部
分の面積の平均値と標準偏差の積」と定義する。
ネットワークパラメータと、本発明の導電性発現効果と
の関係について、図7を参照して詳細に説明する。
絡み合うことなく均一に分散した状態を示す。本発明に
係る上記画像処理により、微細炭素繊維ネットワークは
均一かつ微細になり、その結果、微細炭素繊維ネットワ
ークに囲まれた部分の個数(N)は多くなり、面積及び
その平均値(x(μm2))は小さく、また面積の標準
偏差(σ(μm2))は小さくなる。従って、面積の平
均値(x(μm2))と面積の標準偏差(σ(μ
m2))の積も小さくなる。かかる分散状態では、微細
炭素繊維同士の電気的な接触が不十分となり、導電性は
低下しやすくなる。即ち、所望の導電性を得るために
は、多量の微細炭素繊維の添加を必要とする。
細炭素繊維が適度に凝集かつ分散した状態になると、微
細炭素繊維ネットワークに囲まれた部分の個数(N)は
少なくなり、面積及びその平均値(x(μm2))は大
きくなる。また、微細炭素繊維の粗密に起因して、面積
の大小のばらつきも大きくなるために、面積の標準偏差
(σ(μm2))は大きくなる。従って、面積の平均値
(x(μm2))と面積の標準偏差(σ(μm2))の
積も大きくなる。このように微細炭素繊維がお互いに絡
み合いながら適度に凝集した状態においては、優れた導
電性が発現される。
素繊維の絡み合いが大きくなりすぎて塊状に凝集した場
合、前述の画像処理を行っても微細炭素繊維ネットワー
クは形成されない。
クに囲まれた部分の個数(N)が180以下で、かつ囲
まれた部分の面積の平均値(x(μm2))と標準偏差
(σ(μm2))の積が12(μm2)2以上である。
これは、図7の(B)のように、微細炭素繊維が適度に
絡み合いながら、比較的不均一に分散している状態を、
定量的に表している。
ワークに囲まれた部分」の個数及び面積の平均値と標準
偏差の積は、共に微細炭素繊維の分散の不均一性、即ち
微細炭素繊維の凝集の度合いを表しているが、個数は微
視的な凝集度合いを示しており、面積の平均値と標準偏
差の積がそれよりも巨視的な凝集度合いを表している。
物中の潤滑成分や添加成分などの微細炭素繊維のネット
ワークに無関係な成分については、上述の測定視野の範
囲から除く必要がある。即ち、微細炭素繊維のみが存在
する視野を選ぶか、又は必要に応じて小さい視野範囲に
分割して測定を行うようにする。
フェニレンサルファイド樹脂であることが好ましい。
ブ用ランプなどの帯電防止部品として使用する場合、導
電性は高すぎず低すぎない半導電性の領域で、均一であ
ることが必要であり、望ましい表面抵抗値は一般的には
104〜1012Ω程度である。
明の成形品においては、潤滑成分は非導電性で、かつ前
記熱可塑性樹脂中に島状に分散して分散相を形成してお
り、微細炭素繊維が実質的に連続相中に分散しているこ
とが好ましい。
素繊維は、従来の炭素繊維やカーボンブラックに比べ
て、僅かな添加量で導電性を発現することができるた
め、低発塵性、成形品外観、成形性に優れる点で、優れ
た導電性フィラーとして知られている。
含有する熱可塑性樹脂成形品は、その導電性が成形加工
の条件により大きく変動しやすく、半導電性領域の抵抗
値を均一にコントロールすることが困難であった。本発
明者はこの理由について検討した結果、以下のような結
論に至った。
脂成形品中では、微細炭素繊維は、熱可塑性のマトリッ
クス樹脂中で互いに絡み合った状態で分散して存在して
おり、絡み合った微細炭素繊維により導電性のネットワ
ークが形成されることによって導電性が発現する。
を含む熱可塑性樹脂組成物の射出成形などの成形加工に
より、溶融、流動、冷却固化のプロセスを経て成形され
るが、この際、流動時に生じる剪断力によって、図8
(a)に示す如く、マトリックス樹脂1中で微細炭素繊
維2が配向する結果、微細炭素繊維2同士の絡み合いや
接触が不十分となり、導電性は低いものとなる。
細炭素繊維2は、冷却固化プロセスの初期においてマト
リックス樹脂1の温度が高い(粘度が低い)間に、図8
(b)、更には図8(c)に示す如く、その配向が緩和
して、導電性ネットワークが形成され、その結果導電性
は向上する。この現象は、微細炭素繊維2を極端に配向
させた条件で成形した低い導電性(高い抵抗値)を有す
る成形品を、再度加熱することによって、加熱した部分
の導電性が向上することで検証される。かかる現象は射
出成形、押し出し成形のように、完全に樹脂を溶融さ
せ、これを流動させる成形プロセスのみならず、真空成
形のように、半溶融状態のシートを延伸して成形する成
形法においても同様に起こり、延伸過程における微細炭
素繊維の配向と、冷却過程での配向の緩和により導電性
(抵抗値)が変動する。
成形品の導電性を確保するためには、微細炭素繊維の配
向を緩和して、微細炭素繊維の接触を確保する必要があ
る。即ち、例えば、図8(a)のように微細炭素繊維2
が十分に配向した状態では、一般に1012Ω以上の低
い導電性であり、図8(c)のように微細炭素繊維2の
配向が十分に緩和した状態では、一般に104Ω未満の
導電性であり、図8(b)のような状態に微細炭素繊維
2の配向が適度に緩和した状態では、104〜1010
Ωの範囲の半導電性となる。しかしながら、微細炭素繊
維の配向を所望の導電性が得られるように緩和させるこ
とは、微細炭素繊維の配向及びその緩和の状況が、成形
条件に対して特に敏感に変化するため、再現性良く実現
することが困難であり、また、複雑な形状を有する成形
品においては、同一の成形品内においても、部位によっ
て抵抗値が異なるものとなり、各部位の抵抗値を均一に
コントロールすることも極めて困難である。
入口であるゲート付近や薄肉部では、大きな剪断力を受
けるために微細炭素繊維が配向して導電性が低く(抵抗
値が高く)なり易く、一方、流動末端では剪断力が低い
ために微細炭素繊維の配向性が低く導電性が高く(抵抗
値が低く)なり易い。ゲート付近の導電性を向上(抵抗
値を低下)させるために、冷却速度を低下させたり、微
細炭素繊維の添加量を増やすと、流動末端の抵抗値が低
くなり、結果的に抵抗値の均一性は確保できない。ま
た、一般に、剪断速度や冷却速度は、成形品の表面付近
で大きくなり、かつ成形条件による影響も受けやすくな
る。従って、帯電防止部品など多くの導電性樹脂成形品
は、特に表面抵抗値の変動が大きくなりやすい。
ける微細炭素繊維の配向及び配向の緩和による導電性発
現のメカニズムを踏まえて、導電性の成形品を安定的に
得るために検討した結果、(A)成分のマトリックス樹
脂中に(C)成分の潤滑成分の島状の分散相を形成する
ことにより、良好な導電性を実現することができること
を見出した。
(A)成分の熱可塑性樹脂に、(C)成分の潤滑成分を
熱可塑性樹脂と相溶させること無く島状に分散させ、微
細炭素繊維は熱可塑性樹脂中に連続相を形成しており、
(C)成分の潤滑成分の分散相は、本来の非導電又は低
導電性が維持されていることが望ましい。
微細炭素繊維の配向の緩和を阻害する効果、及び微細炭
素繊維によって形成された導電性ネットワークを部分的
に分断する効果を発揮し、導電性が過度に高くなる(抵
抗値が過度に低くなる)ことが防止できる。その結果、
例えば射出成形品のゲート付近や、薄肉部の導電性を向
上させる(抵抗値を低下させる)ために、冷却速度を低
下させたり、微細炭素繊維の添加量を増加させても、流
動末端等での過度の導電性の増大(抵抗値の低下)が無
く、均一な成形品が得られる。
成形品の実施の形態を詳細に説明する。
成成分について説明する。
熱可塑性樹脂は、例えばポリカーボネート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、
ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルスルホ
ン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、液晶性ポリ
エステル、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹
脂或いはこれらの混合物が挙げられ、これらは、成形品
の使用目的に応じて機械的強度、成形性等の特性から適
宜選択することができる。
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどの結
晶性樹脂や、液晶性ポリエステルなどの液晶性樹脂が摺
動性に優れている点で望ましい。とりわけ、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂は、摺動性に優れるだけでなく、
耐熱性、寸法精度、コストなどのバランスに優れている
ので望ましい。
イプ、リニアタイプがあるが、リニアタイプでかつ30
0℃,20kg荷重での溶融粘度が500Pa・s以上
のものが、導電性と摺動性のバランスが良好となる点で
本発明に好適である。
る微細炭素繊維は、繊維径が200nm以下、長さ/径
比が10以上の炭素繊維であり、一般的には気相成長法
により製造される。例えば、特表平8−508534号
公報に記載されている炭素フィブリルを使用することが
できる。
状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファ
イト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うね
うねと曲がりくねった管状の形態を有する。
の壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程
度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径の約
0.1〜0.4倍に相当する。
凝集体の形態である場合、樹脂組成物中に、面積ベース
で測定して約50μmより大きい径を有するフィブリル
凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有するフ
ィブリル凝集体を含有していないことが、所望の導電性
を発現するための添加量が少なくてすみ、機械物性を低
下させない点で望ましい。
nm以下、望ましくは100nm以下、さらに望ましく
は50nm以下である。微細炭素繊維の繊維径は製法に
依存するので分布があるが、ここで言う平均繊維径とは
顕微鏡観察して5点測定した平均値である。
いと、樹脂組成物中で繊維同士の接触が不十分となり、
導電性を発現させるために多量の添加が必要となり、そ
の結果、摺動性を損なう。また、微細炭素繊維の平均繊
維径が大きいと屈曲度が低下する傾向がある。
nm以上、特に0.5nm以上であることが望ましい。
平均繊維径がこれより小さい微細炭素繊維は、製造が著
しく困難であり、製品のコストアップを招く。
さ/径比、即ちアスペクト比)が10以上のもの、好ま
しくは20以上、より好ましくは100以上、とりわけ
好ましくは1000以上のものを用いる。このような長
さ/径比のものであれば、導電性ネットワークを形成し
やすく、少量添加で優れた導電性を発現することができ
る。
/径比)は、例えば、得られた成形品の樹脂成分を溶媒
やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を
露出させて電子顕微鏡で観察するか、或いは成形品より
切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することにより測
定することができ、このような電子顕微鏡の観察におい
て10本の実測値の平均値で得られる。
の表面近傍(0.1〜10μm)において、その屈曲度
が10°以上望ましくは20°以上、さらに望ましくは
40°以上のものである。屈曲度は樹脂へのアンカー効
果及び微細炭素繊維同士の絡み易さの目安となる値であ
り、樹脂へのアンカー効果で摺動時の成形品からの脱落
が防止されると共に、微細炭素繊維が絡み合いネットワ
ークを形成することにより導電性ネットワークが形成さ
れて良好な導電性が発現することができる。微細炭素繊
維の屈曲度がこれよりも小さいと成形品表面から脱落し
易くなり、摺動性が低下すると共に微細炭素繊維同士の
絡み合いが低減して導電性が低下する。
N系)は、繊維直径が7〜13μm程度の、剛直かつ直
線的な繊維であり、屈曲度は10°未満となる。かかる
直線的な繊維では、樹脂へのアンカー効果が得られず、
成形品表面からの脱落が大きくなり、その結果摺動性
(耐摩耗性)が低下すると共に、お互いの絡み合いが生
じることはなく、ネットワーク構造を形成することは難
しい。
ルは、市販品を使用することができ、例えば、ハイペリ
オンカタリシスインターナショナル社の「BN」が使用
可能であるが、マスターバッチ等の成形条件、成形品の
製造条件、特に混練の条件によって屈曲度が変化するの
で、条件を経験的に得ることが重要となる。
素繊維の割合は、0.1〜20重量%、好ましくは0.
1〜10重量%である。微細炭素繊維の含有量がこれよ
り多いと得られる成形品の摺動性が低下し、少ないと導
電性が発現しない。
形品については、成形品の表面近傍(0.1〜10μ
m)の25μm2当たりの微細炭素繊維ネットワークに
囲まれた部分の個数が200以下で、かつ囲まれた部分
の面積の平均値(x(μm2))と標準偏差(σ(μm
2))の積(x・σ)が10(μm2)2以上であるこ
とが好ましい。
部分の個数の範囲は、望ましくは180以下、20以上
であり、また面積の平均値と標準偏差の積は望ましくは
12以上、200以下である。これよりも個数が多い、
又は積が小さいと、導電性が著しく低下したり、微細炭
素繊維の多量添加が必要となり、摺動性を損なう。一
方、これよりも個数が少ない、又は積が大きいものは、
分散が不均一となりすぎるために、導電性が低下する。
密度デバイス用の帯電防止部品には、特に優れた静電気
特性が要求される。即ち、帯電特性に優れること(帯電
電荷を速やかに散逸すること)だけでなく、デバイス自
体が帯電した際に、帯電したデバイスとの接触時に生じ
る接触電流が少ないことが要求される。
ワークに囲まれた部分」の個数(N)が200以下、1
00以上、より望ましくは180以下、100以上、か
つ面積の平均値(x(μm2))と標準偏差(σ(μm
2))の積が10以上、25以下、より望ましくは12
以上、25以下であると、帯電防止性が良好となるだけ
でなく、電子デバイス等が接触した際に生じる接触電流
が少ない点で望ましい。
素繊維ネットワークに囲まれた部分の個数が200より
多い、或いは面積と標準偏差の積が10未満であると、
微細炭素繊維のネットワークが均一に分散するため、微
細炭素繊維同士の接触が不十分となり、その結果、帯電
負荷の散逸が不十分となり、帯電が生じやすくなる。一
方、この個数が100未満、或いは面積と標準偏差の積
が25を超えると、ネットワークの粗密が大きくなり、
ネットワークが密の部分の導電性が局部的に高くなり、
その結果、接触電流を増大させる。
ては、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリテ
トラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂、黒鉛、二
硫化モリブデン等の固体潤滑剤、ワックス、潤滑油(エ
ステル系、オレフィン系、シリコン系、鉱物油)などが
挙げられる。本発明の成形品を帯電防止部品として使用
する場合、潤滑成分としては非導電性のものが望まし
く、中でも高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエ
チレンが、摺動性改良効果が大きい点で好ましい。
脂中で島状に分散して分散相を形成していることが好ま
しく、この分散相の平均粒径は、微細炭素繊維の平均繊
維径の5倍以上で、かつ100μm以下であることが望
ましい。分散粒径がこの範囲を外れると摺動性が損なわ
れる。
潤滑成分の含有量は1〜30重量%である。潤滑成分の
含有量がこれより少ないと摺動性が低下し、多いと機械
的強度や成形性を損なう。
炭素繊維の含有量(重量%)との比(潤滑成分/微細炭
素繊維)が1以上であると、摺動性が特に向上するため
好ましい。
する(C)成分の潤滑成分の分散相の大きさや形状は、
(C)成分の粒子径、(C)成分の粘度、(C)成分と
(A)成分との粘度比、相溶性、製造時の混練条件等に
よって異なる。また、(C)成分の分散相は、成形加工
の流動時において、流動方向に引き延ばされて、繊維状
又は層状に配向した分散相が形成される場合もある。本
発明の成形品をハードディスクドライブ用ランプなどの
帯電防止部品に使用する場合、(C)成分の潤滑成分の
分散相の大きさは、分散相の短径(即ち、直径が最小と
なる点で測定した値)が50μm以下であると、均一な
半導電性が得られる点で好ましい。(C)成分の潤滑成
分の分散相の短径が50μmより大きいと、本発明の効
果が十分に得られず、導電性が過度に増大(抵抗値が過
度に低下)して導電性の均一性が損なわれることとな
る。
が大きい、即ち分散が粗いと、分散相の間の距離が大き
くなる。分散相と分散相の間隔、即ち(C)成分が存在
しない部分では、微細炭素繊維の緩和を阻害する効果
や、導電性ネットワークを分断する効果が無いので、導
電性の過度の増大を防止できない。そのため、本発明の
効果を得るためには、大量の(C)成分の添加が必要と
なるが、この場合には強度や摺動性が低下するだけでな
く、(A)成分と(C)成分の相が反転し、炭素微細繊
維を含有する(A)成分が分散相(島)となり、導電性
の極端な低下を引き起こす。
μm以下であり、(C)成分の分散相間の平均距離は、
微細炭素繊維の平均直径の10倍以上10,000倍以
下であることが好ましい。
に相溶し、完全に均一に分散すると、微細炭素繊維の配
向の緩和を阻害する効果及び導電性ネットワークを分断
する効果が小さくなり、本発明の効果は得られない。
径が、炭素微細繊維の平均繊維直径の2〜200倍、望
ましくは2〜50倍であると、本発明の効果が大きい点
で望ましい。なお、(C)成分の潤滑成分の分散相の短
径とは、顕微鏡を用いて30点測定した値の平均であ
る。
じて、樹脂組成物中に本発明の目的を損なわない範囲で
熱可塑性樹脂、微細炭素繊維及び潤滑成分以外の任意の
添加成分を配合することができる。
ブラック、アセチレンブラックなど各種カーボンブラッ
ク、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、ガラス繊維、シ
リカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊
維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、ア
ラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機
繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラ
スビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充
填材、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安
定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化
剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散
剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤
を挙げることができる。
10mmの炭素繊維を、導電性熱可塑性樹脂100重量
部に対して、1〜100重量部、望ましくは5〜30重
量部添加すると、導電性が良好となる。この場合、炭素
繊維は、原料としてのポリアクリロニトリルを焼成して
製造されたPAN系炭素繊維や、ピッチを原料とするピ
ッチ系炭素繊維などが使用できる。
物は、通常の熱可塑性樹脂の加工方法で製造することが
できる。例えば(A),(B)及び(C)成分と更に必
要に応じて配合される添加成分の全てを予め混合した
後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸
混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで
溶融混練することによって製造することができる。
は、このような導電性樹脂組成物を各種の溶融成形法を
用いて成形することにより製造することができる。成形
法としては、具体的には圧縮成形、押し出し成形、真空
成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができ
る。これらの成形法の中でも、特に射出成形法、真空成
形法において、顕著な効果を得ることができる。
て使用する場合、本発明に係る導電性樹脂組成物を製造
する際には、予め(A)成分の一部に高濃度の(B)成
分を添加したマスターバッチを製造し、その後このマス
ターバッチを(A)成分と(C)成分で希釈して製造す
ると、(C)成分の分散相中に(B)成分の微細炭素繊
維が過度に混入しないので、半導電性の範囲にコントロ
ールし易くなり、好ましい。また、(A)成分の全量に
(B)成分の全量を予め混合し、その後、(C)成分を
添加して混合しても良い。
抵抗が1×1010Ω以下の導電性を有するが、ハード
ディスク用ランプなどの電子デバイス向け帯電防止部品
として使用する場合には、表面抵抗値を104〜10
10Ω、望ましくは105〜109Ωの半導電性範囲に
コントロールすると、帯電が生じにくく、かつ接触電流
が少ない点で好ましい。
分の粘度、(A)成分と(C)成分との粘度比、(B)
成分及び(C)成分の配合割合や、成形条件(樹脂温
度、金型温度、成形圧力等)を適宜調節し、(B)成分
の微細炭素繊維の配向及びその緩和度合い、(C)成分
の分散相による微細炭素繊維の導電性ネットワークの分
断及び微細炭素繊維の配向の緩和の阻害の程度を制御す
れば良い。
ルの厚みや幅方向への電流の回り込みを考慮して、抵抗
値を形状要因で換算することにより(Ω/□)の単位で
得られるが、複雑な形状の成形品の場合、この換算が極
めて困難である。一方、実用においては、形状を含んだ
上での見かけの抵抗値が重要であり、必ずしも形状で換
算された単位(Ω/□)を用いる必要はない。従って、
本発明においては、上記表面抵抗値(Ω)で評価する。
り具体的に説明する。
は次の通りである。 (A)成分 PPS樹脂1;大日本インキ(株)製ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂 商品名「トープレン LD10」(300℃,20kg
荷重での溶融粘度1000Pa・s,リニアタイプ) PPS樹脂2;大日本インキ(株)製ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂 商品名「トープレン K4」(300℃,20kg荷重
での溶融粘度200Pa・s,架橋タイプ) (B)成分 微細炭素繊維;ハイペリオンカタリシスインターナショ
ナル社製炭素フィブリル (C)成分 PTFE;旭硝子(株)製ポリテトラフルオロエチレン
商品名「フルオンL169J」 その他 カーボンブラック;電気化学工業(株)製アセチレンブ
ラック 商品名「デンカブラック」 炭素繊維;三菱化学産資(株)製炭素繊維 商品名「ダ
イヤリード K223GM」
貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリ
ュー長、D;スクリュー径))を用いて、バレル温度3
00℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し
て、導電性PPS樹脂組成物のペレットを得た。
15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを残
る成分で希釈して所定の配合量とした。
について、下記の評価を行い結果を表1に示した。
型機にて、表1に示すシリンダ温度及び金型温度で射出
速度15〜17cc/secにて、100mm×100
mm×2mm厚み(フィルムゲート)の抵抗値測定用シ
ートサンプルを成形した。この抵抗値測定用シートサン
プルについて、ダイヤインスツルメント社製ハイレスタ
UPを使用して、UAプローブ(2探針プローブ、プロ
ーブ間距離20mm、プローブ直径2mm)を用いて、
表面抵抗値1×106Ω未満の場合には印加電圧10V
にて、表面抵抗値1×106Ω以上の場合には印加電圧
100Vにて、シートサンプル中央部の表面抵抗値を測
定した。
と屈曲度の測定 実施例1〜5及び比較例3では、[1]で得たサンプル
の中央部(抵抗測定部)の表面から0.1〜10μmの
範囲で、流れ方向に沿って表面に対してほぼ垂直な方向
に超薄切片を切り出した。同一条件で切り出した切片
を、エポキシ樹脂に包埋した後、断面を切り出して切片
の厚みを測定した結果、85nmであった。この超薄切
片について、前述の如く、微細炭素繊維上の繊維径の5
倍離れた2点の接線の角度を測定し、屈曲度を求めた
(10点の平均値)。また、この顕微鏡観察にて、微細
炭素繊維の10本の繊維径及び繊維長を測定して平均値
を求めた結果、繊維径10nm、長さ/径比20以上で
あった。なお、超薄切片を作製する際に、繊維の一部が
切断される為に、正確な繊維長を測定することができな
いが、上記の値であることを確認した。比較例2では、
[1]で得たサンプルの中央部(抵抗値測定部)の表面付
近よりサンプリングした試料片を340℃のホットプレ
ート上で潰した後、透過光学顕微鏡にて観察し、屈曲度
を測定した。また、この顕微鏡観察にて、炭素繊維の繊
維径、繊維長さを測定した結果、繊維径12.5μm、
長さ/径比8であった。
個数及び面積の平均値と標準偏差の積 [2]の超薄切片を透過型顕微鏡で40000倍にて撮影
した微細炭素繊維の分散画像について、以下の解析を行
った。解析には、アビオニクス社製画像解析装置(タイ
プ;スピカ2)を使用した。
Dカメラを用いて積分入力(16回)にてコンピュータ
に取り込み、9.77nm×9.77nm(512×5
12)の画素でデジタル画像とした(以下、前記の定義
の通りの手順に従って微細炭素繊維が存在している画素
がオン、存在していない画素がオフとする)。微細炭素
繊維ネットワークにより囲まれた部分の個数、及びこの
囲まれた部分の面積の平均値と標準偏差の積を算出し
た。
部)について、(C)成分の分散相の短径を測定した。
なお、微細炭素繊維を含有する射出成形品は、その表面
近傍において最も剪断力が大きく、冷却速度が速く、そ
の結果導電性が低くなる。従って、成形品の表面抵抗値
や実用的な帯電特性は、表面近傍の分散状態に支配され
る。そこで、この分散相の短径の測定では、表面から5
0μmの深さの範囲で分散相を観察した。
形状は、樹脂の流動方向に沿ってわずかに引き延ばされ
ていることが確認され、そのため流動方向が最も大き
く、また深さ方向が最も小さい直径となることが確認さ
れた。従って、分散相の直径を深さ方向に測定した値を
短径とした。
沿った断面の薄切片を切り出し、これを染色処理した後
に、透過型電子顕微鏡にて分散相を観察し、分散相の3
0個をランダムに選び、それぞれ短径を測定し、その平
均値を算出したところ、4〜22μmの範囲であること
を確認した。
分の分散相中に微細炭素繊維が殆ど存在しないことを確
認した。
つき性 [1]の抵抗値測定用シートサンプルの中央部(抵抗測定
部)を切り出してサンプルとし、図9(a)(リングの
底面図),(b)(正面図)に示す如く、摩擦リング3
の摺動面3Aでサンプル4を摩擦するリングオンディス
ク法(JTトーシ社製 伊藤式摩耗試験器)により下記
条件で摩擦評価を行った。また、試験後のシートサンプ
ルの摩擦リングによる摩擦面を観察し、耐傷つき性を評
価した(傷なし:○,傷若干あり:△,傷あり:×)。 摩擦リング:材質S45C 荷重:20kg 回転数:500rpm 試験時間:3hr
品は、導電性、摺動性に優れることがわかる。
用シートサンプルについて、前述の表面抵抗値の測定方
法に従って、ゲート付近、サンプル中央部及び末端部の
表面抵抗値を各々測定した結果、表2に示す通り、比較
例1では、同一サンプル上の抵抗値のばらつきが大きい
が、本発明に係る実施例1のものは抵抗値のばらつきが
小さく、半導電性の均一性に優れることが確認された。
で、25ton射出成形機を用い、表3に示す成形条件
で図10(a)(正面図),(b)(平面図),(c)
(斜視図)に示す評価用ランプ20を成形した。図10
において、Gはゲート部を示す。
接部より評価サンプルをサンプリングし、実施例6,7
は実施例1と同様に、また、比較例5は比較例2と同様
にして、炭素繊維の屈曲度と、微細炭素繊維により囲ま
れた部分の個数及び面積の平均値と標準偏差の積を求
め、結果を表3に示した。
流値と、サスペンション付着物及び傷つきの評価を行
い、結果を表3に示した。
社製 表面電位計;モンローエレクトロニクス社製 244A オシロスコープ;レクロイ社製 LC584A 電流プローブ;テクトロニクス社製 CT1
ねじで固定したアルミニウム板を置いた。 (2) 評価用ランプ及びアルミニウム板が帯電ゼロで、
かつ接地から絶縁された状態で、評価用ランプの上方よ
りコロナチャージによって、プレートモニターが100
0Vになるまで、帯電させた。 (3) 評価用ランプを載せているアルミニウム板を接地
して、接地後3秒後の表面電位を測定した。
た。 (1) チャージプレートモニター上に、評価用ランプを
ねじで固定したアルミニウム板を置いた。 (2) チャージプレートモニターを使用して、評価用ラ
ンプ及びアルミニウム板に1000Vを3秒間充電させ
た後、接地から切り離して絶縁した。 (3) 3秒後に接地プローブを評価用ランプに接触させ
て、プローブを流れる接触電流を測定した。この場合、
接触電流はナノ秒オーダーの交流電流が流れ、次第に減
衰するので、最も高い電流値をノイズ電流値とした。 (4) 上記測定を3回繰り返し、測定値を平均した。
ションのロード、アンロードを2000回(2000往
復)繰り返した。その後、ランプ及びサスペンション摺
接部に付着した摩耗粉及びサスペンションの傷つきを顕
微鏡にて観察し、下記評価基準で評価した。 [サスペンション付着物] ○ … 摩耗粉が全く観察されない。 △ … ランプの摺動面付近及びサスペンションに僅か
な摩耗粉が付着している。 × … 周囲に多量の摩耗粉が散乱している。 [サスペンション傷つき] ○ … サスペンションに傷は全く観察されない。 △ … 僅かな傷付きがある。 × … 相当量の傷付きがある。
動性及び導電性に優れた導電性摺動性樹脂成形品が提供
される。
である。
の説明図である。
求めるための画像処理方法を示す模式図である。
求めるための画像処理方法を示す模式図である。
求めるための画像処理方法を示す模式図である。
るパラメータとの関係を示す説明図である。
する模式図である。
擦評価方法を説明する図であって、(a)図は摩擦リン
グの底面図、(b)図は摩擦試験方法の正面図である。
って、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図
は斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂50〜98.9重量
%と、 (B)平均繊維径が200nm以下で、長さ/径比が1
0以上の微細炭素繊維0.1〜20重量%と、 (C)潤滑成分1〜30重量%とを含む導電性樹脂組成
物を成形してなる成形品であって、 該成形品の表面近傍(0.1〜10μm)において、前
記微細炭素繊維の屈曲度が10°以上であることを特徴
とする導電性摺動成形品。 - 【請求項2】 請求項1において、該成形品の表面近傍
(0.1〜10μm)の25μm2当たりの微細炭素繊
維ネットワークに囲まれた部分の個数が200以下で、
かつ囲まれた部分の面積の平均値(x(μm2))と標
準偏差(σ(μm2))の積(x・σ)が10(μ
m2)2以上であることを特徴とする導電性摺動性樹脂
成形品。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、該熱可塑性樹
脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂であることを特
徴とする導電性摺動性樹脂成形品。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
て、該潤滑成分が非導電性で、かつ前記熱可塑性樹脂中
に島状に分散して分散相を形成しており、該微細炭素繊
維が実質的に連続相中に分散していることを特徴とする
導電性摺動性樹脂成形品。
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