JP2003335712A - 含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の精製方法 - Google Patents
含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の精製方法Info
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Abstract
有機基を有するオレフィン化合物に不純物として含まれ
る結合型ヨウ素化合物および/またはヨウ素化合物種
を、簡便にかつ効率よく除去し、光学分野等で利用可能
な、高純度かつ着色のない含フッ素有機基を有するオレ
フィン化合物を得るための改良された方法を提供する。 【解決手段】 含フッ素有機基を有するオレフィン化合
物に、銅またはハロゲン化銅と一般式(2) R4 3PX (2) (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基、アリール基およびアリールオキ
シ基からなる群より選ばれる1種以上を表し、Xは孤立
電子対または酸素を表す)で表される有機リン化合物を
混合し、処理することを特徴とする含フッ素有機基を有
するオレフィン化合物の精製方法。
Description
グ剤や撥水撥油剤の原料として有用な含フッ素アルキル
エチレンに代表される含フッ素有機基を有するオレフィ
ン化合物(以後、RfVと略記する)の精製方法に関す
る。更に詳しくは、RfVに不純物として含まれるヨウ
素化合物を除去し、高純度かつ着色のないRfVを得る
ための改良された方法を提供するものである。
徴を利用して、耐候性に優れた塗料、撥水撥油性のある
エラストマー、衣類の防護剤、シリコン誘導体などに用
いられてきた。最近、エレクトロニクス分野の著しい進
歩に伴い、含フッ素有機化合物は、光ファイバー、レン
ズ、ブラウン管、液晶分野などに使用され始めている。
この新しい用途分野は、従来では全く問題とならなかっ
た光学的に高度な性能が必要とされている。
化合物であり、その分子構造は、含フッ素有機基の末端
に1−アルケニル基を有するモノマーである。RfV
は、その分子構造から光学機器や部材に用途が拡大する
と期待されている。しかし、この光学分野では、機器や
部材の光学的な機能や性能が極めて重要であり、原料と
して使われるRfVの僅かな着色や経時変化が全く許さ
れない。即ち、光学用途のRfVは、高純度であるこ
と、着色がないこと、着色を起こさないことが必須の条
件である。この性能がないRfVは、光学分野には利用
できず、殆ど価値がないと言ってよい。
て含フッ素アルキルアイオダイドとオレフィンを反応さ
せ、含フッ素アルキルアルキレンアイオダイドを製造
し、次に第2工程として、第1工程で製造した含フッ素
アルキルアルキレンアイオダイドと水酸化カリウム等の
アルカリ金属水酸化物とを反応させてヨウ化水素を脱離
させ、RfVを製造する方法が知られている。
RfVには、含フッ素アルキルアイオダイド、含フッ素
アルキルアルキレンアイオダイドなどの結合型ヨウ素を
有する化合物(以後、結合型ヨウ素化合物とする)が不
純物として含まれる。これらの結合型ヨウ素化合物は、
蒸留などの精製でも取り除くのは困難である。このよう
な結合型ヨウ素化合物を含むRfVを、光学機器や部材
の材料として有用な含フッ素シリコーンを製造するため
に、ヒドロシリル化反応に用いると、結合型ヨウ素化合
物から遊離した遊離型ヨウ素が触媒毒となり、収率が低
下し、得られた生成物が着色するという問題がある。
する方法として、特開平4−69346号公報では、R
fVをアルキルリチウムやアルキルマグネシウムハライ
ドで処理する方法が開示されている。しかしながら、ア
ルキルリチウムやアルキルマグネシウムハライドは、自
然発火したり、水分等と接触して発火したりする恐れが
あり、危険性が高く、取り扱いが困難である。また、本
発明者らが、本引例に基づき注意深く追試を行った結
果、RfV中には本引例の方法では除去できない何らか
のヨウ素化合物種が存在していることが判明した。(以
後、ヨウ素化合物種とする)このヨウ素化合物種は、遊
離型ヨウ素を除去することができる水酸化ナトリウム水
溶液などの還元剤で処理しても全く除去できず、遊離型
ヨウ素ではないことが分かった。
亜鉛粉末および酢酸で処理する方法が開示されている。
しかし、通常、酢酸酸性条件下で亜鉛を用いる場合は、
亜鉛を活性化することが必要であり、そのためには塩酸
処理、濾過、水、アルコール、エーテルの順に洗浄して
乾燥する等の煩雑な操作を行う必要がある。また、本引
例は不均一系での反応となり、攪拌の状況等によって反
応が影響を受けやすい。さらに後処理工程でも、亜鉛粉
末の濾過による除去、酢酸水溶液との分液等の煩雑な操
作が必要であることから、工業的にはより簡便な方法が
求められる。また、本引例の方法を用いても前記ヨウ素
化合物種を除去することはできなかった。
合物を同時に除去する方法として、特開平4−2974
25号公報には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属
系還元剤の存在下、RfVに紫外線を照射する方法が開
示されている。しかし、この引例の方法では、大量のR
fVを処理するためには、大型の紫外線照射設備の設置
が必要となり、エネルギー的にも工業的な方法としては
満足できない。
向けた、ヨウ素化合物をほとんど含まない高純度かつ着
色のないRfVを得るには問題があり、RfVを精製す
る技術が求められていた。
する課題は、従来の方法では達成し得なかった、RfV
に不純物として含まれる結合型ヨウ素化合物および/ま
たはヨウ素化合物種を、簡便にかつ効率よく除去し、光
学分野等で利用可能な、高純度かつ着色のないRfVを
得るための改良された方法を提供するものである。
前述の課題を解決するために、RfVの精製方法につい
て鋭意検討を行った。その結果、RfVに銅またはハロ
ゲン化銅と特定の有機リン化合物を混合し、処理する
と、主に結合型ヨウ素化合物を除去できること、RfV
にゼオライトを作用させて、処理すると、主にヨウ素化
合物種を除去できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
フッ素有機基を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ
水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の
飽和または不飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有し
ていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる置換基を
表し、R1、R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成
していてもよい)または一般式(1’)
含フッ素有機基を表す。R1、R2およびR3は前記定義
に同じ)で表される含フッ素有機基を有するオレフィン
化合物に、銅またはハロゲン化銅と一般式(2) R4 3PX (2) (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基、アリール基およびアリールオキ
シ基からなる群より選ばれる1種以上を表し、Xは孤立
電子対または酸素を表す)で表される有機リン化合物を
混合し、処理することを特徴とする含フッ素有機基を有
するオレフィン化合物の精製方法に関するものである。
前記一般式(1’)で表される含フッ素有機基を有する
オレフィン化合物に、0〜250℃の温度下、有効細孔
径3Å以上のゼオライトを作用させて、処理することを
特徴とする含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の
精製方法に関するものである。
前記一般式(1’)で表される含フッ素有機基を有する
オレフィン化合物に、銅またはハロゲン化銅と前記一般
式(2)で表される有機リン化合物を混合し、処理する
方法と、0〜250℃の温度下、有効細孔径3Å以上の
ゼオライトを作用させて、処理する方法とを組み合わせ
て処理することを特徴とする含フッ素有機基を有するオ
レフィン化合物の精製方法に関するものである。
前記一般式(1’)で表される含フッ素有機基を有する
オレフィン化合物に、前記一般式(3)で表されるアル
キル金属化合物を混合し、処理する方法と、0〜250
℃の温度下、有効細孔径3Å以上のゼオライトを作用さ
せて、処理する方法とを組み合わせて処理することを特
徴とする含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の精
製方法に関するものである。
説明する。
(1)または前記一般式(1’)で表される化合物であ
る。式中、RfおよびRf’は炭素数1〜20の含フッ
素有機基であり、例えば、パーフルオロアルキル基、パ
ーフルオロポリメチレン基、パーフルオロアルキルエー
テル基等を挙げることができる。これら、RfおよびR
f’は、直鎖であっても分岐していても差し支えない。
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽
和または不飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有して
いてもよい芳香族基からなる群より選ばれる置換基を表
し、R1、R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成し
ていてもよい。ただし、炭素数1〜20の飽和または不
飽和の鎖式炭化水素基が有する置換基としては、本発明
の精製方法の処理剤と反応して著しくRfVの純度を低
下させることのないものに限られ、例えばアルコキシ
基、アルキルチオ基、フェニル基等が挙げられる。ま
た、芳香族基が有する置換基としては、本発明の精製方
法の処理剤と反応して著しくRfVの純度を低下させる
ことのないものに限られ、例えばアルキル基、アルコキ
シ基、アルキルチオ基、フェニル基等が挙げられる。
ルオロメチルエチレン、パーフルオロエチルエチレン、
パーフルオロプロピルエチレン、パーフルオロブチルエ
チレン、パーフルオロペンチルエチレン、パーフルオロ
ヘキシルエチレン、パーフルオロヘプチルエチレン、パ
ーフルオロオクチルエチレン、1−(パーフルオロブチ
ル)プロペン、1−(パーフルオロブチル)−1−ブテ
ン、2−(パーフルオロブチル)−1−ブテン、2−
(パーフルオロブチル)−2−ブテン、1−(パーフル
オロブチル)−1−ヘキセン、1−(パーフルオロブチ
ル)−1−オクテン、1−(パーフルオロブチル)シク
ロヘキセン、2−(パーフルオロブチル)−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−(パーフルオロ
ブチル)−1,5−ヘキサジエン、1−(パーフルオロ
ブチル)−3−エトキシプロペン、1−(パーフルオロ
ブチル)−3−エチルチオプロペン、1−(パーフルオ
ロブチル)−3−フェニルプロペン、1−(パーフルオ
ロブチル)−2−フェニルエチレン、1−(パーフルオ
ロブチル)−2−トリルエチレン、1−(パーフルオロ
ブチル)−2−(メトキシフェニル)エチレン、1,2
−ジビニルパーフルオロエタン、1,4−ジビニルパー
フルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサ
ン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン、1,4−ジ
ビニル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)パーフル
オロブタン、1,4−ビス(1−プロペニル)パーフル
オロブタン、1,4−ビス(1−ブテニル)パーフルオ
ロブタン、1−(パーフルオロイソプロポキシ)−8−
ビニルパーフルオロオクタン等が挙げられる。
どによりあらかじめ粗精製しておくことが好ましい。ま
た、RfVに含まれる水分が500ppmを超える場合
は、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸ナトリウム、ゼオライトなどの脱水剤により水
分を500ppm以下にしておくことが好ましい。水分
が500ppmを超える場合は、結合型ヨウ素化合物お
よび/またはヨウ素化合物種を十分に除去することがで
きない場合がある。
前記一般式(1’)で表されるRfVに銅またはハロゲ
ン化銅と前記一般式(2)で表される有機リン化合物を
混合し、処理することを特徴とするものである。銅は、
通常の市販品を用いることができる。銅の形状として
は、粒状品、粉末品のいずれも使用することができる
が、RfVや有機溶媒への分散性の面から粉末品が好ま
しい。
第一銅、ヨウ化第一銅などが挙げられる。これらの銅ま
たはハロゲン化銅のうち、ハロゲン化銅が好ましく用い
られ、さらに好ましくはヨウ化第一銅が用いられる。使
用する銅またはハロゲン化銅の量としては、RfVに含
まれる結合型ヨウ素化合物に対して50〜5000倍モ
ルであり、好ましくは100〜5000倍モルである。
50倍モル未満では、結合型ヨウ素化合物を十分に除去
することができない。また、5000倍モルを超える
と、銅廃棄物の量が増えるため、好ましくない。
物において、式中R4は炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数1〜10のアルコキシ基、アリール基およびアリ
ールオキシ基からなる群より選ばれる1種以上を表す
が、アリール基およびアリールオキシ基の炭素数として
は例えば6〜20程度のものを挙げることができる。こ
のような有機リン化合物としては、例えば、トリ−n−
ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ト
リフェニルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン等
の第三級ホスフィン類、トリメチルホスファイト、トリ
エチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、
トリ−n−ブチルホスファイト、トリ−n−ヘキシルホ
スファイト、トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸
トリエステル類、トリ−n−ブチルホスフィンオキシ
ド、トリフェニルホスフィンオキシド等の第三級ホスフ
ィンオキシド類、トリメチルホスフェート、トリエチル
ホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリ−
n−ペンチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフ
ェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホス
フェート等のリン酸トリエステル類が挙げられる。
の面から、亜リン酸トリエステル類が好ましく用いら
れ、さらに好ましくはトリメチルホスファイト、トリエ
チルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、ト
リ−n−ブチルホスファイトが用いられる。これらの有
機リン化合物は単独で使用し得るのみならず、2種以上
を混合して用いることも可能である。
またはハロゲン化銅に対して1〜20倍モル、好ましく
は1〜10倍モルである。本方法においては、有機溶媒
を用いることができる。有機溶媒としては、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルス
ルホキシド等が挙げられる。本発明の方法においては、
反応性の面から、反応系が均一溶液になることが好まし
い。反応系が不均一であると、結合型ヨウ素化合物を十
分に除去することができない場合がある。
よるRfVの処理方法としては、例えば次のような方法
で行うことができる。攪拌機付反応器にRfVを仕込
み、攪拌下、銅またはハロゲン化銅と有機リン化合物を
投入して混合する。本方法における処理温度としては、
50〜250℃であり、好ましくは80〜150℃であ
る。処理温度が50℃未満では、結合型ヨウ素化合物を
十分に除去することができない。一方、処理温度が25
0℃を超えるとRfVの純度が低下する。本方法におけ
る処理時間は30分から24時間程度である。処理終了
後、減圧蒸留により容易にRfVを分離することができ
る。本方法によれば、主に結合型ヨウ素化合物を除去す
ることができる。
前記一般式(1’)で表されるRfVにゼオライトを作
用させて、処理することを特徴とするものである。使用
するゼオライトの有効細孔径は3Å以上であり、5Å以
上が好ましく、さらに好ましくは7Å以上である。有効
細孔径が3Å未満では、ヨウ素化合物種は除去されな
い。有効細孔径が5Å以上の場合、本方法によるヨウ素
化合物種除去の効果が顕著となる。ゼオライトとして
は、例えば、エリオナイト、ゼオライトA等の酸素8員
環の細孔を持つもの、フェリエライト、ZSM−5等の
酸素10員環の細孔を持つもの、モルデナイト、ゼオラ
イトL、ゼオライトX、ゼオライトY等の酸素12員環
の細孔を持つもの、VPI−5等の酸素18員環の細孔
を持つものが挙げられる。これらのうち、有効細孔径が
5Å以上のゼオライトとしては、目安として、酸素10
員環以上のものであり、入手の容易さから、ゼオライト
Xが好ましく用いられる。
他の金属イオンやH+、NH4 +に交換して用いることが
できる。イオン交換して結晶構造内に取り込まれる金属
イオンとしては、例えば、Ag+、Cu2+、Ba2+、A
l3+、Th4+、Sr2+、Hg2 +、Cd2+、Zn2+、Ni
2+、Ca2+、Co2+、K+、Na+、Mg2+、Li+等が
挙げられる。ゼオライトの形状としては、球状品、柱状
品、粉末品のいずれも使用することができる。RfVに
ゼオライトを混合して処理する場合は、除去効率の面か
ら粉末品が好ましい。
重量部に対して0.5〜50重量部であり、好ましくは
1〜20重量部である。使用量が0.5重量部未満の場
合は、ヨウ素化合物種を十分に除去することができな
い。また、使用量が50重量部を超える場合は、RfV
の回収率が低下する。ゼオライトによるRfVの処理方
法としては、例えば次のような方法で行うことができ
る。攪拌機付反応器にRfVを仕込み、攪拌下、ゼオラ
イトを投入し、混合して処理する。また、塔にゼオライ
トを充填し、RfVを流通させて処理することもでき
る。本方法における処理温度は、0〜250℃であり、
100℃以上が好ましく、さらに好ましくは120℃以
上である。0℃未満では、ヨウ素化合物種を十分に除去
することができない。一方、250℃を超えるとRfV
の純度が低下する。処理温度が100℃以上の場合、本
方法によるヨウ素化合物種除去の効果が顕著となる。本
発明の方法における処理時間は1〜60時間程度であ
る。RfVにゼオライトを混合して処理する場合は、濾
過によりRfVを分離することができる。本方法によれ
ば、主にヨウ素化合物種を除去することができる。
前記一般式(1’)で表されるRfVに、銅またはハロ
ゲン化銅と前記一般式(2)で表される有機リン化合物
を混合し、処理する方法と、ゼオライトを作用させて、
処理する方法とを組み合わせて処理することを特徴とす
るものである。RfVの精製処理の順序は、銅またはハ
ロゲン化銅と前記一般式(2)で表される有機リン化合
物を混合して処理し、ついでゼオライトを作用させて処
理する方法、ゼオライトを作用させて処理し、ついで銅
またはハロゲン化銅と前記一般式(2)で表される有機
リン化合物を混合して処理する方法のいずれでも良い
が、好ましくは前者の方法である。本方法によれば、結
合型ヨウ素化合物およびヨウ素化合物種を除去すること
ができる。第4の本発明は、前記一般式(1)または前
記一般式(1’)で表されるRfVに、前記一般式
(3)で表されるアルキル金属化合物を混合し、処理す
る方法と、ゼオライトを作用させて、処理する方法とを
組み合わせて処理することを特徴とするものである。な
お、前記一般式(3)において、Mがアルミニウムで、
pとqがそれぞれ1.5のとき、R5 1.5AlY1.5とな
る。このような化合物は、理論的には存在しないが、通
常、慣用的にR5 3Al2Y3のセスキ体として表現されて
おり、これらの化合物も本発明に含まれる。
化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチ
ウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s
−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリ
チウム化合物、ジエチルマグネシウム、n−ブチルエチ
ルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、メチ
ルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロラ
イド、n−ブチルマグネシウムクロライド等のアルキル
マグネシウム化合物、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ
−n−ブチル亜鉛等のアルキル亜鉛化合物、トリメチル
ボラン、トリエチルボラン等のアルキルボラン化合物、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オ
クチルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウ
ム、ジメチルエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジ
シクロヘキシルフェニルアルミニウム、エチルアルミニ
ウムエトキシクロライド、ジエチルアルミニウムクロラ
イド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジイソブチル
アルミニウムクロライド、ジシクロヘキシルアルミニウ
ムクロライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、
エチルアルミニウムセスキクロライド、n−ブチルアル
ミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロ
ライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ジエチ
ルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウ
ムハイドライド等のアルキルアルミニウム化合物が挙げ
られる。
の面から、アルキルアルミニウム化合物が好ましく用い
られ、さらに好ましくはトリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、
トリイソブチルアルミニウムが用いられる。これらのア
ルキル金属化合物は単独で使用し得るのみならず、2種
以上を混合して用いることも可能である。
は、RfVに含まれる結合型ヨウ素化合物に対して1〜
500倍モルであり、好ましくは1〜200倍モルであ
る。1倍モル未満では、結合型ヨウ素化合物を十分に除
去することができない。また、500倍モルを超える
と、RfVとの副反応を起こし、RfVの純度を低下さ
せる。アルキル金属化合物は、そのままニートで用いて
も良いし、溶媒に希釈して使用しても良い。希釈する場
合の溶媒としては、エーテル、テトラハイドロフラン、
ヘキサン、トルエン等が挙げられる。アルキル金属化合
物によるRfVの処理方法としては、例えば次のような
方法で行うことができる。攪拌機付反応器にRfVを仕
込み、空隙の空気を窒素、アルゴンなどの不活性ガスで
置換する。次にアルキル金属化合物を投入して混合す
る。本方法における処理温度としては、−20〜100
℃であり、好ましくは0〜50℃である。処理温度が−
20℃未満では、結合型ヨウ素化合物を十分に除去する
ことができない。一方、100℃を超えるとRfVの純
度が低下する。本方法における処理時間は30分から2
4時間程度である。処理終了後、処理液に水を加え、攪
拌、静置すると、下層のRfV相と上層の水溶液相の2
層に容易に分離できる。
(3)で表されるアルキル金属化合物を混合して処理
し、ついでゼオライトを作用させて処理する方法、ゼオ
ライトを作用させて処理し、ついで前記一般式(3)で
表されるアルキル金属化合物を混合して処理する方法の
いずれでも良いが、好ましくは前者の方法である。本方
法によれば、結合型ヨウ素化合物およびヨウ素化合物種
を除去することができる。
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。なお、RfVに含まれる全ヨウ素濃度の定量を以
下のように行った。
を含有したRfVに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射
することによりヨウ素を遊離させた。そのUV・VIS
スペクトルの516nmの吸光度を測定し、予め作成し
た検量線により、全ヨウ素濃度を定量した。
て、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサンとエチレン
とを、反応温度を115〜125℃に保ちながらエチレ
ンをフィードする方法で反応させた。得られた1,6−
ビス(2−ヨードエチル)パーフルオロヘキサンのメタ
ノール溶液に、反応温度を30〜40℃に保ちながら、
水酸化カリウムを溶解したメタノール溶液を加えて反応
させた。これを減圧で蒸留することにより、1,6−ジ
ビニルパーフルオロヘキサン(以後、C6dVと略記す
る)を得た。このC6dV中の全ヨウ素濃度を測定した
ところ、545ppmであった。また、結合型ヨウ素化
合物として、片側だけエチレンの入った1−ヨード−6
−ビニルパーフルオロヘキサン(以後C6IVと略記す
る)が含まれていた。C6IVの濃度をガスクロマトグ
ラフにより測定したところ、94ppmであり、ヨウ素
に換算すると26ppmであった。従って、ヨウ素化合
物種に由来するヨウ素濃度は、519ppmと計算され
る。以後、同様にして、ヨウ素化合物種由来のヨウ素濃
度を計算した。
dVを200g(0.56mol)、ヨウ化第一銅を
3.26g(17.1mmol)、トリ−n−ブチルホ
スファイトを12.9g(51.5mmol)仕込ん
だ。次に攪拌を開始し、110℃で10時間処理を行っ
た。処理液を蒸留することによりC6dVを回収した。
回収C6dV中の全ヨウ素濃度は515ppmであっ
た。C6IV濃度は1ppm以下であり、結合型ヨウ素
化合物を除去することができた。また、ヨウ素化合物種
由来のヨウ素濃度は、515ppmであった。以後、精
製処理の結果を表1に示す。
dVを100g(0.28mol)、有効細孔径10Å
の東ソー社製ゼオラムF−9(ゼオライトX)を5.0
g(5重量部)仕込んだ。次に攪拌を開始し、室温で6
時間処理を行った。その後、濾過を行い、C6dVを回
収した。回収C6dV中のC6IV濃度は90ppmで
あった。また、ヨウ素化合物種由来のヨウ素濃度は20
4ppmであり、ヨウ素化合物種を除去することができ
た。
トA)を10.0g(10重量部)用いた以外は、実施
例2と同様な方法で処理を行った。回収C6dV中のC
6IV濃度は91ppmであった。また、ヨウ素化合物
種由来のヨウ素濃度は482ppmであった。
例2と同様な方法で処理を行った。回収C6dV中のC
6IV濃度は92ppmであった。また、ヨウ素化合物
種由来のヨウ素濃度は162ppmであった。
施例2と同様な方法で処理を行った。回収C6dV中の
C6IV濃度は92ppmであった。また、ヨウ素化合
物種由来のヨウ素濃度は44ppmであった。
ウムクロライドTHF溶液(濃度3mol/L)を0.
4ml(1.2mmol)用いた以外は、実施例2と同
様な方法で処理を行った。回収C6dV中のC6IV濃
度は1ppm以下であり、結合型ヨウ素化合物を除去す
ることができた。しかし、ヨウ素化合物種由来のヨウ素
濃度は505ppmであり、ヨウ素化合物種をほとんど
除去することができなかった。
粉末を0.67g(10.2mmol)および5重量%
の酢酸水溶液を12.5g用いた以外は、実施例2と同
様な方法で処理を行った。回収C6dV中のC6IV濃
度は1ppm以下であり、結合型ヨウ素化合物を除去す
ることができた。しかし、ヨウ素化合物種由来のヨウ素
濃度は511ppmであり、ヨウ素化合物種をほとんど
除去することができなかった。
化ナトリウム水溶液を50g(62.5mmol)用
い、65℃で処理した以外は、実施例2と同様な方法で
処理を行った。回収C6dV中のC6IV濃度は91p
pm、ヨウ素化合物種由来のヨウ素濃度は517ppm
であり、結合型ヨウ素化合物およびヨウ素化合物種をほ
とんど除去することができなかった。
びトリ−n−ブチルホスファイト処理を行ったC6dV
を50g、ゼオラムF−9を2.5g(5重量部)仕込
んだ。ついで、攪拌を開始し、120℃に昇温して6時
間処理を行った。その後、濾過を行い、C6dVを回収
した。回収C6dV中の全ヨウ素濃度は1ppmであ
り、結合型ヨウ素化合物およびヨウ素化合物種をほぼ完
全に除去することができた。
たC6dVを200g(0.56mol)、トリエチル
アルミニウムのヘキサン溶液(濃度0.92mol/
L)を0.92ml(0.85mmol)仕込んだ。次
に攪拌を開始し、室温で6時間処理を行った。その後、
水を60ml加えて攪拌した後、2層分離させ、下層の
C6dVを回収した。回収C6dV中の全ヨウ素濃度は
500ppmであった。C6IV濃度は1ppm以下で
あり、結合型ヨウ素化合物を除去することができた。 (2)100mlのフラスコに、上記(1)でトリエチ
ルアルミニウム処理を行ったC6dVを50g、ゼオラ
ムF−9を5.0g(10重量部)仕込んだ。ついで、
攪拌を開始し、80℃に昇温して6時間処理を行った。
その後、濾過を行い、C6dVを回収した。全ヨウ素濃
度は41ppmであり、結合型ヨウ素化合物およびヨウ
素化合物種を除去することができた。
を120℃にした以外は、実施例7(2)と同様な方法
でゼオライト処理を行った。回収C6dV中の全ヨウ素
濃度は5ppmであり、結合型ヨウ素化合物およびヨウ
素化合物種をほぼ完全に除去することができた。
かった、RfVに不純物として含まれる結合型ヨウ素化
合物および/またはヨウ素化合物種を、簡便にかつ効率
よく除去することが可能となった。従って、高純度かつ
着色のないRfVを得ることができ、光学用として利用
することが可能となった。
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、Rfは炭素数1〜20の1価の含フッ素有機基
を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子、置
換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和または不
飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有していてもよい
芳香族基からなる群より選ばれる置換基を表し、R1、
R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成していてもよ
い)または一般式(1’) 【化2】 (式中、Rf’は炭素数1〜20の2価の含フッ素有機
基を表す。R1、R2およびR3は前記定義に同じ)で表
される含フッ素有機基を有するオレフィン化合物に、銅
またはハロゲン化銅と一般式(2) R4 3PX (2) (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1
〜10のアルコキシ基、アリール基およびアリールオキ
シ基からなる群より選ばれる1種以上を表し、Xは孤立
電子対または酸素を表す)で表される有機リン化合物を
混合し、処理することを特徴とする含フッ素有機基を有
するオレフィン化合物の精製方法。 - 【請求項2】 一般式(1) 【化3】 (式中、Rfは炭素数1〜20の1価の含フッ素有機基
を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子、置
換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和または不
飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有していてもよい
芳香族基からなる群より選ばれる置換基を表し、R1、
R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成していてもよ
い)または一般式(1’) 【化4】 (式中、Rf’は炭素数1〜20の2価の含フッ素有機
基を表す。R1、R2およびR3は前記定義に同じ)で表
される含フッ素有機基を有するオレフィン化合物に、0
〜250℃の温度下、有効細孔径3Å以上のゼオライト
を作用させて、処理することを特徴とする含フッ素有機
基を有するオレフィン化合物の精製方法。 - 【請求項3】 一般式(1) 【化5】 (式中、Rfは炭素数1〜20の1価の含フッ素有機基
を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子、置
換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和または不
飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有していてもよい
芳香族基からなる群より選ばれる置換基を表し、R1、
R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成していてもよ
い)または一般式(1’) 【化6】 (式中、Rf’は炭素数1〜20の2価の含フッ素有機
基を表す。R1、R2およびR3は前記定義に同じ)で表
される含フッ素有機基を有するオレフィン化合物に、銅
またはハロゲン化銅と一般式(2)R4 3PX
(2)(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数1〜10のアルコキシ基、アリール基およびアリー
ルオキシ基からなる群より選ばれる1種以上を表し、X
は孤立電子対または酸素を表す)で表される有機リン化
合物を混合し、処理する方法と、0〜250℃の温度
下、有効細孔径3Å以上のゼオライトを作用させて、処
理する方法とを組み合わせて処理することを特徴とする
含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の精製方法。 - 【請求項4】 一般式(1) 【化7】 (式中、Rfは炭素数1〜20の1価の含フッ素有機基
を表す。R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子、置
換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和または不
飽和の鎖式炭化水素基および置換基を有していてもよい
芳香族基からなる群より選ばれる置換基を表し、R1、
R2およびR3は、それぞれ互いに環を形成していてもよ
い)または一般式(1’) 【化8】 (式中、Rf’は炭素数1〜20の2価の含フッ素有機
基を表す。R1、R2およびR3は前記定義に同じ)で表
される含フッ素有機基を有するオレフィン化合物に、一
般式(3) R5 pMYq (3) (式中、pは0<p≦3であり、qは0≦q<3であっ
て、しかもp+qは1〜3である。Mはリチウム、マグ
ネシウム、亜鉛、ボロンまたはアルミニウムを表し、R
5は炭素数1〜10のアルキル基からなる群より選ばれ
る1種以上を表し、Yは炭素数1〜10のアルコキシ
基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子およ
び水素原子からなる群より選ばれる1種以上を表す)で
表されるアルキル金属化合物を混合し、処理する方法
と、0〜250℃の温度下、有効細孔径3Å以上のゼオ
ライトを作用させて、処理する方法とを組み合わせて処
理することを特徴とする含フッ素有機基を有するオレフ
ィン化合物の精製方法。 - 【請求項5】 一般式(3)で表されるアルキル金属化
合物が、アルキルアルミニウム化合物である請求項4に
記載の精製方法。 - 【請求項6】 ゼオライトの有効細孔径が5Å以上であ
る請求項2ないし5のいずれか1項に記載の精製方法。 - 【請求項7】 ゼオライトでの処理温度が100℃以上
である請求項2ないし6のいずれか1項に記載の精製方
法。 - 【請求項8】 一般式(1)または一般式(1’)で表
される含フッ素有機基を有するオレフィン化合物のRf
またはRf’が、パーフルオロ有機基である請求項1な
いし7のいずれか1項に記載の精製方法。 - 【請求項9】 前記パーフルオロ有機基が、パーフルオ
ロアルキル基またはパーフルオロポリメチレン基である
ことを特徴とする請求項8に記載の精製方法。
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JP2002145861A JP2003335712A (ja) | 2002-05-21 | 2002-05-21 | 含フッ素有機基を有するオレフィン化合物の精製方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013508265A (ja) * | 2009-10-15 | 2013-03-07 | メキシケム、アマンコ、ホールディング、ソシエダッド、アノニマ、デ、カピタル、バリアブレ | (ヒドロ)フルオロアルケン類を精製する方法 |
JP2013060417A (ja) * | 2011-08-25 | 2013-04-04 | Jnc Corp | ペルフルオロアルキル鎖を有する液晶化合物、液晶組成物および液晶表示素子 |
-
2002
- 2002-05-21 JP JP2002145861A patent/JP2003335712A/ja active Pending
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US9309176B2 (en) | 2009-10-15 | 2016-04-12 | Mexichem Amanco Holding S.A. De C.V. | Process for purifying (hydro)fluoroalkenes |
US9624148B2 (en) | 2009-10-15 | 2017-04-18 | Mexichem Amanco Holding S.A. De C.V. | Process for purifying (hydro)fluoroalkenes |
US9790152B2 (en) | 2009-10-15 | 2017-10-17 | Mexichem Amanco Holding S.A. De C.V. | Process for purifying (hydro)fluoroalkenes |
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