JP2003335199A - 車両衝突時の安全装置 - Google Patents

車両衝突時の安全装置

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JP2003335199A
JP2003335199A JP2002145149A JP2002145149A JP2003335199A JP 2003335199 A JP2003335199 A JP 2003335199A JP 2002145149 A JP2002145149 A JP 2002145149A JP 2002145149 A JP2002145149 A JP 2002145149A JP 2003335199 A JP2003335199 A JP 2003335199A
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Japan
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vehicle
collision
frontal collision
safety device
occupant
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JP2002145149A
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English (en)
Inventor
Kenji Mori
健二 森
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Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の正面衝突のおそれがあるとき、乗員の
下肢を衝突に備えた姿勢に変更することができて、正面
衝突時に下肢傷害を負うおそれを低減することができる
車両衝突時の安全装置を提供する。 【解決手段】 シート12の腰掛け部12aに持ち上げ
機構13を配置する。プリクラッシュセンサの検出信号
に基づいて車両の正面衝突のおそれが予測判別されたと
き、持ち上げ機構13によりシート12の一部または全
体が動作されて、乗員Pの下肢Pa全体が持ち上げられ
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等の車両
の衝突時に、乗員の踵部や膝部等の下肢を保護するため
の車両衝突時の安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車等の車両の正面衝突時に
は、車室内へのエンジン等の車両構造物の侵入により、
フロアやブレーキペダル上に置かれた乗員の足元に車両
後方側への移動力が作用し、足首に衝撃が与えられるお
それがあった。このような問題に対処するため、例えば
特開平10−310011号公報に開示されるような構
成の安全装置が従来から提案されている。
【0003】この従来構成においては、車室のフロアに
跳ね上げ機構が配設され、車両の正面衝突時に、この跳
ね上げ機構が動作することによって、フロア上に置かれ
た乗員の足の踵部が跳ね上げられるようになっている。
この跳ね上げにより、衝突時の衝撃に伴う乗員の足首の
背屈(足首の角度が狭くなること)が低減されて、足首
への衝撃が軽減されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の正面
衝突時には、前記のように乗員の足元に車両後方側への
移動力が作用すると同時に、乗員の下肢を含む身体全体
に対して慣性による車両前方への移動力が作用する。従
って、乗員の膝部及びその付近に対して車両前方側への
移動力とその逆方向への移動力が作用することになり、
この場合、前記従来の安全装置においては、足首への衝
撃を低減することはできたとしても、膝部及びその付近
への衝撃を避けることができなかった。
【0005】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的
は、車両の正面衝突のおそれがあるとき、乗員の下肢を
衝突に備えた姿勢に変更することができて、正面衝突時
における下肢への衝撃を低減することができる車両衝突
時の安全装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、車両の正面衝突を予測
する予測手段と、その予測手段により正面衝突が予測さ
れたときに、乗員の下肢全体を持ち上げる持ち上げ手段
とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】従って、この請求項1に記載の発明によれ
ば、車両の正面衝突のおそれがあるとき、乗員の下肢全
体を持ち上げて衝突に備えた姿勢に変更することができ
る。よって、その後の車両の正面衝突時に、膝の屈曲に
よって衝撃を緩和することができる。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記予測手段は、他の車両または物体
の接近を検出するためのプリクラッシュセンサと、その
プリクラッシュセンサの検出に基づいて正面衝突を予測
判別する予測判別手段とよりなることを特徴とするもの
である。
【0009】従って、この請求項2に記載の発明によれ
ば、プリクラッシュセンサの検出に基づいて、車両が正
面衝突するおそれを的確に予測することができ、それに
よって前記持ち上げ手段を適正なタイミングで動作させ
ることができる。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の発明において、前記持ち上げ手段は、
シートの一部または全体を動作させることを特徴とする
ものである。
【0011】従って、この請求項3に記載の発明によれ
ば、車両の正面衝突の予測時に、シートの一部または全
体を動作させることによって、乗員の下肢全体を無理な
く容易に持ち上げることができる。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求
項3のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記
予測手段により正面衝突が予測されたときに、乗員の踵
部を上昇させて足首の角度を広くする角度拡大手段を設
けたことを特徴とするものである。
【0013】従って、この請求項4に記載の発明によれ
ば、車両の正面衝突時に、乗員の足首が広がった状態に
することができて、足首に対する衝撃を緩和することが
できる。
【0014】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、前記角度拡大手段は、車両の正面衝突
時に、乗員の下肢に一定以上の荷重が作用した場合に、
踵部の下降を許容することを特徴とするものである。
【0015】従って、この請求項5に記載の発明によれ
ば、車両の正面衝突時に、乗員の下肢に作用した荷重を
踵部の部分において逃がすことができ、踵部を含む下肢
に対する衝撃を緩和することができる。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求
項5のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記
予測手段により正面衝突が予測されたときに、ブレーキ
アシストのために作動可能な状態に設定される緊急ブレ
ーキアシスト機構を設けたことを特徴とするものであ
る。
【0017】従って、この請求項6に記載の発明によれ
ば、車両の正面衝突時に、下肢の持ち上げ状態や踵部の
上昇状態でブレーキペダルが踏み込まれた際に、踏み込
み力が低下した場合でも、緊急ブレーキアシスト機構の
作動により高い制動力を得ることができて、衝突の回避
や衝突速度の低下が可能になる。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求
項6のうちのいずれか一項に記載の発明において、前記
予測手段による正面衝突の予測後に、車両の正面衝突が
回避されたとき、前記持ち上げ手段を元位置に復帰させ
ることを特徴とするものである。
【0019】従って、この請求項7に記載の発明によれ
ば、正面衝突の予測後に衝突が回避されたとき、持ち上
げ手段を元の状態に速やかに戻すことができる。請求項
8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のうちのいずれ
か一項に記載の発明において、前記予測手段による正面
衝突の予測後に、車両の正面衝突が回避されたとき、前
記角度拡大手段を元位置に復帰させることを特徴とする
ものである。
【0020】従って、この請求項8に記載の発明によれ
ば、正面衝突の予測後に衝突が回避されたとき、角度拡
大手段を元の状態に速やかに戻すことができる。請求項
9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の発
明において、前記予測手段による正面衝突の予測後に、
車両の正面衝突が回避されたとき、前記緊急ブレーキア
シスト機構を作動可能な状態から解除することを特徴と
するものである。
【0021】従って、この請求項9に記載の発明によれ
ば、正面衝突の予測後に衝突が回避されたとき、緊急ブ
レーキアシスト機構を作動可能な状態から速やかに解除
して、通常のブレーキ作動状態に復帰することができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下に、この発
明の第1実施形態を、図1〜図5に基づいて説明する。
【0023】図1に示すように、カーペット11aが敷
かれた車両のフロア11には、腰掛け部12aと背もた
れ部12bとからなる運転席及び助手席のシート12
(運転席のシートのみを図示)が装設されている。この
両シート12のそれぞれの腰掛け部12aの前部内側に
は、持ち上げ手段としての持ち上げ機構13が内装され
ている。この持ち上げ機構13は、シートクッションの
裏面側に配置されたほぼ平板状の持ち上げ部材14と、
その持ち上げ部材14を昇降動作させるための電磁ソレ
ノイドよりなるアクチュエータ15とから構成されてい
る。
【0024】そして、車両の正面衝突が予測されたと
き、持ち上げ機構13のアクチュエータ15が作動され
て、持ち上げ部材14が図1に実線で示す下方位置から
鎖線で示す上方位置に移動される。この上方位置への移
動により、腰掛け部12aの前上部が上方に膨出され
て、シート12に着座する乗員Pの下肢Pa全体が持ち
上げられるようになっている。なお、前記正面衝突の予
測に関する構成及び動作については後述する。また、腰
掛け部12aの前上部の上方への膨出が容易に許容され
るように、腰掛け部12aの表皮には伸張性に富む素
材、例えばジャージ等を用いるのが好ましい。
【0025】運転席に着座した乗員Pの両足の足下位置
と対応するように、前記車両のフロア11には凹部16
が形成され、その凹部16内には角度拡大手段としての
角度拡大機構17が配設されている。この角度拡大機構
17は、ほぼ平板状の跳ね上げ部材18と、その跳ね上
げ部材18を昇降動作させるための電磁ソレノイドより
なるアクチュエータ19とから構成されている。なお、
図面においては、運転席乗員Pの片方の足下に対応する
ひとつの角度拡大機構17のみが図示されているが、実
際には、両足の足下に対応するように一対設けられてい
る。あるいは、両足に対応するように、角度拡大機構1
7の跳ね上げ部材18を左右方向に長くに形成してもよ
い。この場合、跳ね上げ部材18が水平状態を維持しな
がら昇降されるようにする必要があり、このためには、
例えば跳ね上げ部材18の長さ方向に沿って配置された
複数のアクチュエータ19を用いたりする。また、図面
においては、運転席乗員Pに対応する角度拡大機構17
のみが図示されているが、同様な角度拡大機構17が助
手席乗員の足下に対応するように設けられている。
【0026】そして、車両の正面衝突が予測されたと
き、角度拡大機構17のアクチュエータ19が作動され
て、跳ね上げ部材18が図1に実線で示す下方位置から
鎖線で示す上方位置に移動される。この上方位置への移
動により、カーペット11aの一部が上方に膨出され、
フロア11やブレーキペダル20上に置かれた乗員Pの
足の踵部Pbが跳ね上げられるように上昇移動されて、
足首Pcの角度が拡大されるようになっている。
【0027】この実施形態においては、ブレーキ装置
に、緊急ブレーキアシスト機構を含むアシスト装置(倍
力機構)25が組み込まれているので、図4に基づいて
そのアシスト装置25について説明する。すなわち、ブ
レーキの油圧系統40とブレーキペダル20との間に
は、パワーピストン(図示しない)を内装したパワーシ
リンダ41が介在されている。このパワーピストンは、
ブレーキペダル20によって移動されて、油圧系統40
内の圧油をフロントブレーキ42及びリヤブレーキ43
に送出し、ブレーキ動作を行わせる。前記パワーシリン
ダ41とインテークマニホールド等の負圧発生源44と
の間には、メイン配管45が接続され、そのメイン配管
45には、チェックバルブ46と、切換バルブ47とが
接続されている。このチェックバルブ46は、負圧発生
源44からの負圧の移動を許容し、切換バルブ47は、
電磁ソレノイドによって動作されて、パワーシリンダ4
1を負圧発生源44に接続する第1の位置と、パワーシ
リンダ41の室内を大気に開放する第2の位置とに切り
換えられる。
【0028】前記パワーシリンダ41とインテークマニ
ホールド等の負圧発生源44との間には、メイン配管4
5と並列をなすようにサブ配管48が接続され、サブ配
管48には、電磁ソレノイドによって切換動作される切
換バルブ49が接続されている。この切換バルブ49は
常時は閉じられていて、サブ配管48を閉鎖している。
このサブ配管48及び切換バルブ49により緊急ブレー
キアシスト機構が構成されている。
【0029】そして、メイン配管45の切換バルブ47
が前記第1の位置に切り換え配置された状態で、ブレー
キペダル20が踏まれたときには、負圧発生源44の負
圧がパワーシリンダ41内に作用して、ブレーキペダル
20による踏力に加えてパワーピストンに対しアシスト
力が作用する。このため、フロント及びリヤブレーキ4
2,43において大きな制動力が発揮される。また、切
換バルブ47が第2の位置に切り換えられたときには、
パワーシリンダ41内が大気開放状態になって、負圧が
解消されて、アシスト力の作用が停止される。一方、サ
ブ配管48の切換バルブ49が開放されたときには、前
記メイン配管45からの負圧よりも大きな負圧がパワー
シリンダ41内に作用して、大きなアシスト力が発生
し、フロント及びリヤブレーキ42,43においてさら
に大きな制動力が発揮される。
【0030】次に、前記のような構成の安全装置の回路
構成について説明する。図2に示すように、この実施形
態の安全装置の動作を制御する制御装置21には、メモ
リ22が接続されている。このメモリ22には、安全装
置を動作させるための図5に示すプログラムのデータが
格納されている。また、このメモリ22には車両の正面
衝突の予測等に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0031】前記制御装置21には、プリクラッシュセ
ンサ23及び衝突センサ24が接続されている。プリク
ラッシュセンサ23は、電波または超音波を車両の前方
に向かって発信し、他の車両または物体の接近を検出す
る。制御装置21はプリクラッシュセンサ23からの検
出信号に基づいて、車両の正面衝突の有無を予測判別す
る。そして、制御装置21、メモリ22及びプリクラッ
シュセンサ23により予測手段が構成され、制御装置2
1及びメモリ22により予測判別手段が構成されてい
る。前記衝突センサ24は、車両の正面衝突時に検出信
号を出力する。
【0032】前記制御装置21には、持ち上げ機構13
のアクチュエータ15、角度拡大機構17のアクチュエ
ータ19、ブレーキアシスト装置25の切換バルブ47
及び緊急ブレーキアシスト機構の切換バルブ49が接続
されている。そして、制御装置21は、車両の正面衝突
を予測判別したとき、両機構13,17のアクチュエー
タ15,19を作動させて、乗員Pの下肢Pa全体を持
ち上げるとともに、乗員Pの踵部Pbを上昇させて足首
Pcの角度を拡大させる。
【0033】また、前記制御装置21は、車両の正面衝
突を予測判別したとき、緊急ブレーキアシスト機構を作
動可能な状態に設定する。これにより、その後の車両の
正面衝突時に、下肢Paの持ち上げ状態や踵部Pbの上
昇状態で、ブレーキペダル20が踏み込まれた際に、踏
み込み力が低下した場合でも、緊急ブレーキアシスト機
構の作動により高い制動力が得られるようになってい
る。
【0034】次に、前記のように構成された車両衝突時
の安全装置の動作を図5に示すフローチャートに基づい
て説明する。このフローチャートは前記メモリ22に格
納されたプログラムが制御装置21の制御のもとに進行
するものである。
【0035】さて、この車両の運転中に、他の車両また
は物体が車両前部に異常に接近すると、ステップS1に
おいて、プリクラッシュセンサ23からの検出信号に基
づいて正面衝突の有無が予測判別される。ここで、正面
衝突ありと判別された場合には、ステップS2におい
て、持ち上げ機構13の電磁ソレノイドよりなるアクチ
ュエータ15の作動により、図1に鎖線で示すように、
持ち上げ部材14が上方位置に移動されて、腰掛け部1
2aの一部が上方に膨出され、乗員Pの下肢Pa全体が
持ち上げられる。
【0036】それと同時に、角度拡大機構17の電磁ソ
レノイドよりなるアクチュエータ19の作動により、跳
ね上げ部材18が図3(a)に示す下方位置から、図3
(b)に示す上方位置に移動される。これにより、フロ
ア11の一部が上方に膨出され、乗員Pの踵部Pbが跳
ね上げられて足首Pcの角度が拡大される。また、この
正面衝突の予測判別時には、ブレーキアシスト装置25
の緊急ブレーキアシスト機構が作動可能な状態に設定さ
れる。
【0037】さらに、これと同時に、サブ配管48の切
換バルブ49が開放されて、大きなアシスト力がフロン
ト及びリヤブレーキ42,43に作用可能な状態にな
る。そして、この状態では、乗員によりブレーキペダル
20が踏み込まれた状態にあるため、通常のブレーキ力
とアシスト力とによるブレーキが作用しており、それに
加えてサブ配管48からの大きなアシスト力がブレーキ
力として作用する。従って、角度拡大機構17のアクチ
ュエータ19の作動により乗員Pの踏力が弱まったとし
ても、衝突回避あるいは軽減のための制動力が充分に作
用する。
【0038】このように、乗員Pの下肢Paや足首Pc
が衝突に備えた姿勢に変更された後、車両に正面衝突が
生じると、衝突センサ24から制御装置21に検出信号
が出力されて、ステップS3の判別を経て、ステップS
4において図示しないエアバッグの作動等、正面衝突時
に作動される各種の機構が動作する。
【0039】そして、この正面衝突時には、乗員Pの下
肢に対して車両前方側への移動力が作用するとともに、
フロア11やブレーキペダル20上に置かれた足先に対
して車両後方側への移動力が作用する。ところが、この
場合、持ち上げ機構13により、乗員Pの下肢Paが前
もって持ち上げられた状態にあるため、下肢に対して車
両前方側への力と後方側への力が作用しても、その力は
膝の屈曲によって逃がされ、膝やその付近に対して大き
な衝撃が作用するのを避けることができる。また、角度
拡大機構17により、乗員Pの足首Pcの角度が前もっ
て拡大された状態にあるため、乗員Pのつま先に車両後
方への移動力が作用しても、足首Pcが過度に背屈する
ことはなく、足首Pcに対する衝撃が緩和される。
【0040】しかも、この車両の正面衝突時には、乗員
Pの身体全体に対して前方への移動力が作用して、下肢
にも前方への移動力が作用する。この場合、その移動荷
重が一定値を越えると、図3(c)に示すように、角度
拡大機構17のアクチュエータ19の緩衝作用により、
跳ね上げ部材18が跳ね上げ状態から下降される。これ
により、下肢Paに過大な荷重が加わることはない。な
お、前記移動荷重が電磁ソレノイドによる跳ね上げ部材
18の電磁保持力を勝ると、跳ね上げ部材18が後退す
ることになるため、アクチュエータ19の緩衝作用は、
電磁ソレノイドの電磁力の強弱によって決定される。
【0041】一方、前記のように車両の正面衝突が予測
された後、メモリ22に設定された所定時間が経過して
も、衝突センサ24から検出信号が出力されない場合、
すなわち衝突が回避された場合には、ステップS5にお
ける判断が諾になる。このため、ステップS6におい
て、持ち上げ機構13のアクチュエータ15の逆方向作
動により、持ち上げ部材14が元位置に復帰移動され
る。これとともに、角度拡大機構17のアクチュエータ
19の逆方向作動により、跳ね上げ部材18も元位置に
復帰移動される。さらに、この衝突の回避時には、切換
バルブ49が閉鎖位置に切換られて、緊急ブレーキアシ
スト機構が作動可能な状態から解除復帰される。よっ
て、この状態で車両の運転を速やかに再開することがで
きる。
【0042】そして、車両のエンジンが停止されない場
合は、ステップS7の判断を経てステップS1に戻り、
再度正面衝突に備える態勢をとる。従って、この実施形
態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0043】・ この車両衝突時の安全装置において
は、シート12の腰掛け部12aに持ち上げ機構13が
配設されている。そして、プリクラッシュセンサ23の
検出に基づいて、車両の正面衝突のおそれが予測判別さ
れたとき、持ち上げ機構13によりシート12の一部が
動作されて、乗員Pの下肢Pa全体が持ち上げられるよ
うになっている。
【0044】このため、車両の正面衝突のおそれがある
とき、乗員Pの下肢Pa全体を持ち上げて、衝突に備え
た屈曲姿勢に変更させることができる。よって、その後
の車両の正面衝突時に、膝やその付近等に大きな衝撃が
加わるのを抑制することができる。
【0045】・ この車両衝突時の安全装置において
は、持ち上げ機構13をシート12の腰掛け部12aに
内装したことにより、意匠性に優れ良好な外観を備える
ことができる。
【0046】・ この車両衝突時の安全装置において
は、車両のフロア11に角度拡大機構17が配設されて
いる。そして、車両の正面衝突が予測されたときに、こ
の角度拡大機構17により乗員Pの踵部Pbが上昇され
て、足首Pcの角度が拡大されるようになっている。こ
のため、車両の正面衝突時における乗員Pの足首Pcが
背屈を抑制して、足首Pcに対する衝撃を緩和できる。
【0047】・ この車両衝突時の安全装置において
は、車両の正面衝突時に、乗員Pの下肢Paに一定以上
の荷重が作用した場合、前記角度拡大機構17が上昇状
態から下降されるようになっている。このため、乗員P
の下肢Pa、特に足首Pcに大きな荷重が加わるのを抑
制することができる。
【0048】・ この車両衝突時の安全装置において
は、車両の正面衝突が予測されたときに、緊急ブレーキ
アシスト機構が作動可能な状態に設定されるようになっ
ている。このため、車両の正面衝突時に、下肢Paの持
ち上げ状態や踵部Pbの上昇状態でブレーキペダル20
に対する踏み込み力が低下した場合でも、高い制動力を
得ることができて、衝突を回避したり、衝突速度の抑制
をしたりすることができる。
【0049】・ この車両衝突時の安全装置において
は、車両の正面衝突の予測後に所定時間を経過しても、
衝突センサ24から検出信号が出力されない場合、持ち
上げ機構13及び角度拡大機構17が元位置に復帰され
るようになっている。また、緊急ブレーキアシスト機構
が作動可能な状態から解除されるようになっている。こ
のため、衝突予測後の衝突回避時に、両機構13,17
を元の状態に速やかに戻すことができ、通常の運転可能
な状態に復帰することができる。
【0050】(第2実施形態)次に、この発明の第2実
施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明
する。
【0051】さて、この第2実施形態においては、図6
に示すように、シート12が腰掛け部12aの後端下部
において軸50により上下方向に回動可能に支持されて
いる。また、持ち上げ機構13がシート12の腰掛け部
12aの下方に配設されている。そして、車両の正面衝
突の予測時に、図6に鎖線で示すように、アクチュエー
タ15の作動により、持ち上げ部材14が上方位置に移
動されて、腰掛け部12aの前部側が上昇するように、
軸50を中心に傾動される。この傾動により、乗員Pの
下肢Pa全体が車両の衝突に備えて持ち上げられるよう
になっている。
【0052】従って、この第2実施形態においても、前
記第1実施形態における各種の効果と同様の効果を得る
ことができる。 (第3実施形態)次に、この発明の第3実施形態を、前
記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0053】さて、この第3実施形態においては、図7
に示すように、持ち上げ機構13及び角度拡大機構17
がエアバッグ28,29から構成されている。両エアバ
ッグ28,29には、圧縮ガスを封入したボンベ等の蓄
圧室30が開閉バルブ31を介して接続されている。そ
して、車両の正面衝突の予測時に、蓄圧室30から開閉
バルブ31を介して両機構13,17のエアバッグ2
8,29にガスが供給されて、それらのエアバッグ2
8,29が膨張される。これらのエアバッグ28,29
の膨張により、腰掛け部12a及びフロア11のカーペ
ット11a一部が膨出されて、乗員Pの下肢Paが持ち
上げられるとともに、踵部Pbが上昇されて足首Pcの
角度が拡大されるようになっている。
【0054】また、前記蓄圧室30とエアバッグ28,
29との間のガス供給路には、リリーフバルブ32が接
続されている。そして、図5に鎖線で示すように、角度
拡大機構17により乗員Pの踵部Pbが上昇された状態
で、車両の正面衝突に伴って、下肢Paに一定以上の前
方への荷重が作用した場合、エアバッグ29の内圧の上
昇により、リリーフバルブ32が開放される。これによ
り、エアバッグ29が縮小されて、下肢Paに作用する
荷重が緩和されるようになっている。
【0055】さらに、前記蓄圧室30とエアバッグ2
8,29との間のガス供給路には、排出バルブ33が接
続されている。そして、車両の正面衝突の予測後に衝突
が回避された場合、この排出バルブ33が開放されて、
両機構13,17のエアバッグ28,29が縮小され
る。これにより、下肢Paが持ち上げ状態から元の状態
に戻されるとともに、踵部Pbが上昇状態から元の状態
に戻されるようになっている。
【0056】なお、前記蓄圧室30は交換可能であっ
て、内圧が一定値以下になると、新たなものと交換され
る。この第3実施形態においても、前記第1実施形態に
おける各種の効果と同様の効果を得ることができる。
【0057】(変更例)なお、この実施形態は、次のよ
うに変更して具体化することも可能である。 ・ 前記各実施形態において、持ち上げ機構13及び角
度拡大機構17のアクチュエータ15,19として、電
気モータ,エアシリンダ,油圧シリンダ等の他の駆動源
を使用すること。ただし、角度拡大機構17において
は、乗員の下肢に一定以上の荷重が作用した場合に踵部
の下降を許容できるようにする必要がある。このため、
例えば、前記電気モータを用いた場合には、その動力伝
達系に一定以上の荷重で滑りを生じる摩擦クラッチを設
け、エアシリンダや油圧シリンダを用いた場合には、一
定以上の荷重でエアまたは圧油を逃がすリリーフバルブ
が設けられる。
【0058】・ 前記各実施形態において、復帰スイッ
チの操作等に基づいて、持ち上げ機構13及び角度拡大
機構17が元位置に復帰されるように構成すること。 ・ 前記各実施形態において、角度拡大機構17が衝突
センサ24の検出信号に基づいて作動されるように構成
すること。
【0059】・ 前記各実施形態において、プリクラッ
シュセンサ23による検出を経ずに衝突センサ24によ
り衝突が検出された場合には、その衝突センサ24の衝
突に基づいて、持ち上げ機構13、角度拡大機構17及
びブレーキアシスト装置25の緊急ブレーキアシスト機
構が動作されるように構成すること。
【0060】
【発明の効果】以上、詳述したように、この発明におい
ては、乗員の下肢を衝突に備えた姿勢に変更することが
できて、正面衝突時において下肢に対する衝撃を低減す
ることができる優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の車両衝突時の安全装置を示す
部分破断側面図。
【図2】 図1の安全装置の回路構成を示すブロック
図。
【図3】 (a)〜(c)はそれぞれ図1の安全装置の
動作を示す部分拡大断面図。
【図4】 ブレーキ系統を示す説明図。
【図5】 安全装置の動作を示すフローチャート。
【図6】 第2実施形態の車両衝突時の安全装置を示す
部分破断側面図。
【図7】 第3実施形態の車両衝突時の安全装置を示す
部分破断側面図。
【符号の説明】
11…フロア、12…シート、12a…腰掛け部、13
…持ち上げ手段としての持ち上げ機構、14…持ち上げ
部材、15…アクチュエータ、17…角度拡大手段とし
ての角度拡大機構、18…跳ね上げ部材、19…アクチ
ュエータ、21…予測判別手段及び設定手段を構成する
制御装置、22…メモリ、23…予測手段を構成するプ
リクラッシュセンサ、24…衝突センサ、25…ブレー
キアシスト装置、28,29…エアバッグ、30…蓄圧
室、48…緊急ブレーキアシスト機構を構成するサブ配
管、49…緊急ブレーキアシスト機構を構成する切換バ
ルブ、P…乗員、Pa…下肢、Pb…踵部、Pc…足
首。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の正面衝突を予測する予測手段と、 その予測手段により正面衝突が予測されたときに、乗員
    の下肢全体を持ち上げる持ち上げ手段とを設けたことを
    特徴とする車両衝突時の安全装置。
  2. 【請求項2】 前記予測手段は、他の車両または物体の
    接近を検出するためのプリクラッシュセンサと、そのプ
    リクラッシュセンサの検出に基づいて正面衝突を予測判
    別する予測判別手段とよりなることを特徴とする請求項
    1に記載の車両衝突時の安全装置。
  3. 【請求項3】 前記持ち上げ手段は、シートの腰掛け部
    の一部または全体を上昇動作させることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の車両衝突時の安全装置。
  4. 【請求項4】 前記予測手段により正面衝突が予測され
    たとき、あるいは正面衝突時に、乗員の踵部を上昇させ
    て足首の角度を大きくする角度拡大手段を設けたことを
    特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に
    記載の車両衝突時の安全装置。
  5. 【請求項5】 前記角度拡大手段は、車両の正面衝突時
    に、乗員の下肢に一定以上の荷重が作用した場合、踵部
    の下降を許容すること特徴とする請求項4に記載の車両
    衝突時の安全装置。
  6. 【請求項6】 前記予測手段により正面衝突が予測され
    たときに、ブレーキアシストのために作動可能な状態に
    設定される緊急ブレーキアシスト機構を設けたことを特
    徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項に記
    載の車両衝突時の安全装置。
  7. 【請求項7】 前記予測手段による正面衝突の予測後
    に、車両の正面衝突が回避されたとき、前記持ち上げ手
    段を元位置に復帰させることを特徴とする請求項1〜請
    求項6のうちのいずれか一項に記載の車両衝突時の安全
    装置。
  8. 【請求項8】 前記予測手段による正面衝突の予測後
    に、車両の正面衝突が回避されたとき、前記角度拡大手
    段を元位置に復帰させることを特徴とする請求項5〜請
    求項7のうちのいずれか一項に記載の車両衝突時の安全
    装置。
  9. 【請求項9】 前記予測手段による正面衝突の予測後
    に、車両の正面衝突が回避されたとき、前記緊急ブレー
    キアシスト機構の作動可能な状態を解除することを特徴
    とする請求項7または請求項8に記載の車両衝突時の安
    全装置。
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