JP2003334720A - 金属切断用丸鋸 - Google Patents

金属切断用丸鋸

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JP2003334720A JP2002140239A JP2002140239A JP2003334720A JP 2003334720 A JP2003334720 A JP 2003334720A JP 2002140239 A JP2002140239 A JP 2002140239A JP 2002140239 A JP2002140239 A JP 2002140239A JP 2003334720 A JP2003334720 A JP 2003334720A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で,切刃の耐摩耗性に優れ,切削性良く
金属製の被切断体を切断することができると共に,寿命
のばらつきの少ない丸鋸を提供すること。 【解決手段】 丸鋸1のすくい面23は,丸鋸1の回転
方向に突出した突出点231を有するとともに,第1す
くい面233と,第2すくい面235とを有している。
丸鋸1の中心3と突出点231とを結ぶ線を基準線とし
て,該基準線と上記第1すくい面233とのなす角を
α,第2すくい面235とのなす角をβとし,上記基準
線と上記丸鋸1の外接円35が交差する点における接線
と逃げ面237とのなす角をγ,上記接線から上記突出
点231までの距離をw(mm)とし,かつ上記丸鋸1
を使用する際の1刃あたりの平均切り込み厚さをt
f(mm)としたとき,0°<α<20°,0°<β<
10°,γ≧0°,w≧8×tfの関係を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,金属製の被切断体を切断するた
めの金属切断用丸鋸に関する。
【0002】
【従来技術】従来より,鋼管等の金属製の被切断体を切
断する丸鋸としては,図6に示すごとく,外周に沿って
複数の切刃95を設けてなる円盤状の丸鋸9がある。図
6及び図7に示すごとく,上記丸鋸9は先端部951か
ら丸鋸9の中心に向けて配されたすくい面953と,上
記先端部951から上記丸鋸9の回転する向きと逆向き
に向けて外接円に沿うように配された逃げ面955とを
有している。
【0003】上記丸鋸9を用いて被切断体90を切断す
る際には,切刃95の先端の潤滑性を向上させるため
に,潤滑油剤を上記切刃95と被切断体90の接触部に
浸入させることが行われている。しかし,上記従来の丸
鋸9は,上記潤滑油剤を用いても上記切刃95の先端部
951と被切断体90との間の摩擦が激しく,摩擦熱が
発生する。その結果,上記先端部951付近に摩耗や熱
クラックが発生し易く,丸鋸9の寿命が短くなるという
問題があった。また,切断時に上記切刃95の先端部9
51に大きな応力がかかって突発的な欠損が起こり易
く,丸鋸9の寿命にばらつきが生じてしまうという問題
があった。
【0004】このような問題を解決するために,特開2
002−1614号公報には,切刃に正の外周逃げ角,
0°の横逃げ角を有する外周逃げ面及び横逃げ面を設
け,外周逃げ面と横逃げ面とで形成されるコーナ部に窪
みを設けた金属切断用丸鋸が開示されている。このよう
に,金属切断用丸鋸の外周逃げ面及び逃げ面の形状を制
御することによって,丸鋸の耐摩耗性を向上させてい
る。さらに,上記コーナ部に窪みを設けることにより摩
擦による発熱を防止している。また,特開2002−3
6028号公報には,コーティング皮膜を形成して耐摩
耗性を得る方法も示されている。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記の外周逃
げ面及び横逃げ面を制御した方法では,耐摩耗性の向上
効果がまだ充分ではなく,また,切刃に突発的な欠損を
発生させ上記丸鋸の寿命にばらつきを生じさせるという
問題があった。また,上記コーティング皮膜を形成して
耐摩耗性を得る方法では,コーティング費用が高く丸鋸
が非常に高価となる。そのため,単なる金属切断に用い
る工具としては不適である。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,安価で,切刃の耐摩耗性に優れ,切削性
良く金属製の被切断体を切断することができると共に,
寿命のばらつきの少ない丸鋸を提供しようとするもので
ある。
【0007】
【課題の解決手段】本発明は,外周に沿って複数の切刃
を設けた円盤形状を有する,金属製の被切断体を切断す
るための丸鋸において,上記切刃は,上記丸鋸をその回
転軸方向から平面的に見た状態において,その先端部か
ら上記丸鋸の略中心に向けて配されたすくい面と,上記
先端部から上記丸鋸の回転する向きと逆向きに向けて配
された逃げ面とを有しており,上記すくい面は,上記切
刃の上記先端部と上記丸鋸の中心とを結ぶ線を丸鋸半径
線とするとき,該丸鋸半径線よりも丸鋸の回転方向に突
出した突出点を有すると共に,該突出点と上記先端部と
を結ぶ第1すくい面と,上記突出点から上記丸鋸の略中
心方向に延びる第2すくい面とを有しており,上記丸鋸
の中心と上記突出点とを結ぶ線を基準線として,該基準
線と上記第1すくい面とのなす角をα,上記基準線と上
記第2すくい面とのなす角をβとし,上記基準線と,上
記丸鋸の外接円が交差する点における上記外接円に対す
る接線と上記逃げ面とのなす角をγ,上記接線から上記
突出点までの距離をw(mm)とし,かつ上記丸鋸を使
用する際の1刃あたりの平均切り込み厚さをtf(m
m)としたとき, 0°<α<20°, 0°<β<10°, γ≧0°, w≧8×tf, の関係を有することを特徴とする金属切断用丸鋸にある
(請求項1)。
【0008】次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の丸鋸は,上記すくい面に突出点を設けており,
かつ上記第1すくい面と第2すくい面とを有している。
そして,上記基準線と第1すくい面とのなす角をα(以
下適宜第1すくい角αという),上記基準線と上記第2
すくい面とのなす角をβ(以下適宜第2すくい角βとい
う),上記接線と上記逃げ面とのなす角γ(以下適宜逃
げ角γという),及び上記接線から上記突出点までの距
離w(以下適宜第1すくい面幅w)を上記の範囲に限定
している。そのため,本発明の金属切断用丸鋸は,切刃
の耐摩耗性に優れ,切削性良く金属製の被切断体を切断
することができると共に,寿命のばらつきが少ない。
【0009】この理由は次のように考えられる。まず,
本発明の金属切断用丸鋸は,上記の範囲の第1すくい角
α及び第2すくい角βを有しているため,切断時に被切
断体から発生する切粉と切刃との接触領域が上記第1す
くい面に限定される。そのため,発生する切粉の形状の
ばらつきを抑制し,切粉の排出性を向上させることがで
きる。また,上記αの範囲が0°<α<20°となるよ
うに第1すくい面を設定しているため,上記切粉を上記
丸鋸の回転方向前方へカールするようにして押し出すこ
とができるので,より一層切粉の排出性を向上させるこ
とができる。そのため,上記切粉が上記切刃の接触部付
近に蓄積することはほとんどなく,上記接触部への潤滑
油剤の浸透をスムーズにすることができる。それ故,切
削性が向上し,かつ上記切刃の先端部と被切断体との摩
擦を軽減させて摩耗及び熱クラックの発生を防止するこ
とができる。また,第1すくい角αを設定することによ
り,切刃強度が大きくなり切刃の耐欠損性が増し,丸鋸
の寿命が安定化すると共に,その寿命が長くなる。
【0010】また,上記適宜逃げ角γをγ≧0としてい
る。そのため,切断時に逃げ面と被切断体との間に間隙
が生じて,逃げ面側からも上記潤滑油剤をスムーズに浸
透させることができる。さらに,本発明においては,上
記第1すくい面幅をw(mm)とし,かつ上記丸鋸を使
用する際の1刃あたりの平均切り込み厚さ(以下適宜平
均切り込み厚さという)をtf(mm)としたとき,w
≧8×tfとなるように上記第1すくい面幅wを定めて
いる。ここで,上記第1すくい面幅wは,上記切粉と第
1すくい面とが接触する接触領域である。このように,
上記第1すくい面幅wを8×tf以上と充分に大きくす
ることにより,上記切粉と第1すくい面との接触面積が
大きくなり,切粉が第1すくい面にかける単位面積あた
りの負荷を小さくすることができる。それ故,上記すく
い面に生じる突発的な欠損を防止し,丸鋸の寿命を安定
化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明(請求項1)においては,
上記第1すくい角α,及び第2すくい角βをそれぞれ0
°<α<20°,0°<β<10°の範囲に限定してい
る。上記第1すくい角α,または第2すくい角βが0°
以下の場合には,上記第1すくい面が切粉をすくい面に
拘束しながら排出することができなくなる。一方,上記
第1すくい角αが20°以上,または第2すくい角βが
10°以上の場合には,丸鋸の切れ味が低下すると共
に,切断時における上記先端部にかかる負荷が増大し,
突発的な欠損が生じ易くなる。
【0012】また,上記逃げ角γをγ≧0°としてい
る。上記逃げ角γが0°未満の場合には,切断時に上記
逃げ面と被切断体との間に上記潤滑油剤を浸透させるの
に充分な間隙がなくなり,潤滑油剤が浸透せず,上記切
刃に摩耗及び熱クラックが発生する。
【0013】また,上記第1すくい面幅w(mm)は,
w≧8×tfとなるように設定している。上記第1すく
い面幅w(mm)が8×tf未満の場合には,上記切粉
と第1すくい面との接触面積が小さくなり上記切粉が第
1すくい面にかける単位面積あたりの切断負荷が大きく
なる。その結果,上記すくい面に突発的な欠損が起こり
易くなる。ここで,上記第1すくい面幅wは,切粉とす
くい面との摩擦域を限定する幅であり,上記丸鋸の寿命
を延ばすために,各種切断条件に依存する最適な幅があ
る。また,上記1刃あたりの平均切り込み厚さtf(m
m)は,上記切刃が単位時間あたりに単位角度回転する
ときに丸鋸の送り方向へ送られる距離を表し,この距離
と等しい深さだけ単位時間あたりに被切断体は切断され
る。また,丸鋸の切刃と切粉との接触幅が大きくなり,
切粉厚さと切削抵抗とが不必要に増大することを避ける
ために,上記第1すくい面幅wの上限は10×tf以下
であることが好ましい。
【0014】次に,上記1刃あたりの平均切り込み厚さ
f(mm)は,0.04≦tf≦0.15の範囲にある
ことが好ましい(請求項2)。この場合には,上記切粉
と第1すくい面との間の単位面積あたりの切断負荷を小
さくして上記丸鋸の耐久性を向上させることができると
共に,上記被切断体を短時間にて能率的に切断すること
ができる。上記平均切り込み厚さtfが0.04未満の
場合には,切り込み量の小さい切断となるため,切断が
完了するまでの時間が増加し非能率的な切断になるおそ
れがある。一方,0.15を超える場合には,切断時の
負荷が増大し丸鋸の耐久性向上効果が低下するおそれが
ある。
【0015】次に,上記1刃あたりの平均切り込み厚さ
f(mm)は,丸鋸の切刃数をZとし,かつ上記丸鋸
を使用する際,上記丸鋸の回転数をNrpm,丸鋸の送
り速度をfmm/secとするとき, tf={60/(NZ)}f の関係を有することが好ましい(請求項3)。この場合
には,上記丸鋸の第1すくい面を上記切刃数,回転数,
及び送り速度に適した切刃形状を有するものとすること
ができる。
【0016】次に,上記被切断体は略円柱状であって,
上記丸鋸は,上記被切断体をその中心軸を中心に上記丸
鋸の回転する向きと同じ向きに回転させながら切断する
際に用いるものであって,上記1刃あたりの平均切り込
み厚さtfは,丸鋸の半径をR(mm),被切断体の半
径をr(mm)とし,かつ,上記丸鋸を使用する際の切
り込み量をt(mm),切り込み域の角度をθ,切刃が
1ピッチ回転する間に金属切断体が回転する角度をχと
するとき, tf=(R+r−t)sin(θ/2)・χ の関係を有することが好ましい(請求項4)。
【0017】この場合には,上記丸鋸を略円柱状の被切
断体を回転させながら切断させる方法,いわゆる回転方
式の切断にも適したものとすることができる。上記回転
方式の切断は,略円柱状の被切断体をその軸方向を中心
に丸鋸の回転方向と同じ方向に回転させながら切断する
方法であり,特に中空部を有する被切断体,例えば鋼管
等の切断に利用されるものである。このような被切断体
は,該被切断体を固定したまま切断を行うと,切刃の先
端が中空部に達したところで,上記切断体の内面にバリ
が発生するという不具合を生じるが,上記回転方式の切
断は,このバリの発生を軽減することができる。また,
この場合には,丸鋸径を小さくすることができるため,
切断装置の小型化を図ることができ,さらに切粉の排出
を容易におこなうことができる。
【0018】次に,上記回転方式の切断において,tf
=(R+r−t)sin(θ/2)・χが成り立つこと
を図5を用いて説明する。図5は丸鋸7が被切断体8を
切断している様子を表す概略図である。図5より知られ
るごとく,丸鋸7の外接円の半径をR,被切断体8の半
径をr,丸鋸7の切り込み量をt,丸鋸の切り込み域の
角度をθとすると, cosθ=(R2+L2−r2)/(2RL)(ただし,
L=R+r−t) の関係式が成り立つ。
【0019】また,上記被切断体8が角速度ωにて回転
するとき,上記丸鋸7の切刃が1ピッチ分(→)角
度ψだけ回転する時間Tの間に,上記被切断体8が回転
する角度χは,丸鋸7の回転数をN,丸鋸7の切刃の数
をZとすると,χ=ω・T,T=60/(N・Z)の関
係が成り立つ。ここで,θ/2の位置での1刃あたりの
平均切り込み厚さtfとすると,上記のtf=Lsin
(θ/2)・χの関係式が成り立つ。
【0020】次に,上記被切断体は,中空部を有する筒
状の金属管であることが好ましい(請求項5)。この場
合には,上記回転方式の切断において,上記丸鋸の効果
を十分に発揮することができると共に,上記金属管の内
面にバリを発生させることもなく被切断体の切断を行う
ことができる。
【0021】また,上記金属管を切断する際に,いわゆ
るプランジ方式の切断にて,上記被切断体を回転させず
に固定して上記丸鋸のみを前進させて切断することもで
きる。
【0022】次に,上記丸鋸は,サーメットよりなるこ
とが好ましい(請求項6)。この場合には,上記丸鋸の
耐熱性が向上して,切刃の耐摩耗性が一層向上し,上記
丸鋸の寿命をさらに長くすることができる。特に,上記
被切断体が軟質鋼の場合には,上記サーメットよりなる
丸鋸は特に優れた効果を発揮し,寿命が長くなり,また
仕上げ精度を向上させることができる。
【0023】
【実施例】(実施例1)次に,本発明の実施例にかかる
金属切断用丸鋸につき,図1〜図5を用いて説明する。
本例では,本発明の実施例として4種類の金属切断用丸
鋸(本発明品E1〜E4)と,比較のための金属切断用
丸鋸(比較品C1〜C4)とを準備してその性質を比較
した。本発明品E1〜E4はいずれも,図1に示すごと
く,外周に沿って複数の切刃2を設けた円盤形状を有
し,金属製の被切断体を切断するためのものである。
【0024】上記切刃2は,図1〜図2に示すごとく,
上記丸鋸1をその回転軸方向から平面的に見た状態にお
いて,その先端部25から上記丸鋸1の略中心に向けて
配されたすくい面23と,上記先端部25から上記丸鋸
1の回転する向きと逆向きに向けて配された逃げ面23
7とを有している。また,図1〜図3に示すごとく,上
記すくい面23は,上記切刃2の上記先端部25と上記
丸鋸1の中心3とを結ぶ線を丸鋸半径線32とすると
き,該丸鋸半径線32よりも上記丸鋸1の回転方向に突
出した突出点231を有すると共に,該突出点231と
上記先端部25とを結ぶ第1すくい面233と,上記突
出点231から上記丸鋸1の略中心方向に延びる第2す
くい面235とを有している。
【0025】ここで,上記丸鋸1の中心3と上記突出点
231とを結ぶ線を基準線37として,該基準線37と
上記第1すくい面233とのなす角をα,上記基準線3
7と上記第2すくい面235とのなす角をβとし,上記
基準線37と,上記丸鋸1の外接円35が交差する点に
おける上記外接円35に対する接線39と上記逃げ面2
37とのなす角をγ,上記接線39から上記突出点23
1までの距離をw(mm)とし,かつ上記丸鋸1を使用
する際の1刃あたりの平均切り込み厚さをtf(mm)
としたとき,本発明品E1〜E4はいずれもα=15
°,β=9°,γ=9.4°であり,かつw≧8×tf
の関係を有する。また,本発明品E1〜E4の丸鋸は,
その半径Rの大きさがおよそR=100mmであり,そ
の切刃数ZがZ=50刃,側面逃げ面角が約0.8°に
設定されているものである。
【0026】また,上記第1すくい面幅wの大きさを決
定するために,中空部を有する上記被切断体を丸鋸の同
じ方向に回転させながら切断する,いわゆる回転方式の
切断方法にて上記被切断体を切断するときの上記平均切
り込み厚さtfと上記被切断体の切り込み量tとの関係
を調べた。上記回転方式の切断においては,上述したよ
うに,上記平均切り込み厚さtfはtf=(R+r−t)
sin(θ/2)・χという関係式で表される。本例に
おいて上記被切断体としては,後述するごとく肉厚が1
0mmのものを用いるから,上記切り込み量tの最大値
は上記被切断体の肉厚に等しくt=10mmである。そ
こで,上記の式を用いて,切り込み量tが最大10mm
まで変化するときの上記平均切り込み厚さtfの値を計
算した。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1より知られるごとく,上記1刃あたり
の平均切り込み厚さtfは,丸鋸の切り込み量t(m
m)が増加するにつれて大きくなり,t=10mmのと
きにt f=0.10となって最大となる。そのため,t
=10mmの時のtfの値,即ちtf=0.10の値を上
記の関係式w≧8×tfに適用してw≧0.80とすれ
ば,上記平均切り込み厚さtfは,すべての切り込み量
tmmにおいて上記の関係式w≧8×tfを満たす。こ
の結果から,本例において上記第1すくい面幅wは,
0.80mm以上に設定すればよいことがわかる。
【0029】そこで,以下に示すごとく,上記4種類の
本発明品E1〜E4における第1すくい面幅wを次のよ
うに決定した。本発明品E1はw=0.80mm,本発
明品E2はw=1.0mm,本発明品E3はw=1.5
0mm,また本発明品E4はw=2.0mmに設定し
た。これらの第1すくい面幅wは,上記w≧8×tf
関係を満たしている。
【0030】また,本例では,上記のごとく比較のため
の比較品C1〜C4を準備した。比較品C1〜C4も,
本発明品E1〜E4と同条件にて,上記被切断体を切断
するためのものであるが,上記本発明品E1〜E4にお
ける上記第1すくい面幅wの大きさだけを変えたもので
ある。ここで,比較品C1はw=0.2mm,比較品C
2はw=0.25〜0.30mm,比較品C3はw=
0.45mm,また比較品C4はw=0.60mmに設
定したものであり,これらは,いずれも上記w≧8×t
fの関係を満たしていない。
【0031】次に,上記本発明品E1〜E4及びC1〜
C4の丸鋸1を用いて複数の上記被切断体4を切断して
そのときの丸鋸の摩耗及び欠損状態,及び丸鋸の寿命を
調べる。なお,切断時における上記丸鋸の回転数NはN
=300rpmに設定した。本例においては,図4に示
すごとく,中空部45を有する上記被切断体4として
0.15wt%C鋼相当の電縫鋼管を準備した。上記被
切断体は,その外形φが100mmで,肉厚dがd=1
0mmのものである。そして,この被切断体を上記本発
明品E1〜E4及び比較品C1〜C4を用いて,回転方
式の切断により複数回切断した。
【0032】上記被切断体4の切断は,図1に示すごと
く,上記丸鋸1の先端部25の摩耗が進み,又は上記先
端部25に突発的な欠損が生じて被切断体4の切断がで
きなくなるまで繰り返し,これを丸鋸寿命とした。そし
て,上記丸鋸寿命までの切断回数を測定し,またそのと
きの切刃2の先端部25の損傷状況を目視にて観察し
た。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2より知られるごとく,本発明品E1〜
E4においては,丸鋸寿命までの切断回数がいずれも1
400回を超えており,比較品C1〜C4に比べて丸鋸
寿命が非常に長かった。また,本発明品E1〜E4にお
いては,上記丸鋸寿命までの切断回数にばらつきがほと
んどなく,優れた安定性を示した。一方,比較品C1〜
C4においては,上記丸鋸寿命のばらつきが非常に大き
かった。さらに,本発明品E1〜E4において,上記丸
鋸の切刃先端部の損傷は,摩耗にとどまっているのに対
し,比較品C1〜C4においては,欠損を生じているも
のがあった。
【0035】このように,本発明品E1〜E4の丸鋸
は,安価で,切刃の耐摩耗性に優れ,切削性良く金属製
の被切断体を切断することができると共に,寿命のばら
つきの少ないものであった。
【0036】(実施例2)本例では,実施例1の本発明
品E1〜E4と同様の金属切断用丸鋸を用いて,プラン
ジ方式の切断方法により実施例1と同様の被切断体を切
断するときのための,上記第1すくい面幅wを決定する
平均切り込み厚さtfの最適な大きさ及びそのときの丸
鋸の送り量fの関係について検討する。
【0037】上記プランジ方式においては,上記丸鋸を
被切断体に対して前進させて切断するに当たり,被切断
体を回転させずに固定して上記丸鋸のみを前進させて切
断する。
【0038】上記プランジ方式にて被切断体を切断する
場合においては,上記平均切り込み厚さtfは,tf
{60/(NZ)}fという関係式にて表すことができ
る。実施例1と同様に丸鋸の回転数N,丸鋸の刃数Z,
丸鋸の送り速度fを設定すると,プランジ方式における
平均切り込み厚さtfは,tf=0.009mmという値
になる。この場合には,上記丸鋸の第1すくい面幅wを
0.072以上に設定すればよい。
【0039】しかしながら,丸鋸の送り速度fを実施例
1と同じ大きさに設定すると,上記のごとく平均切り込
み厚さtfがtf=0.009と非常に小さくなり,効率
の悪い切断となってしまう。効率の良い切断を実現する
ためには,プランジ方式における丸鋸の送り速度fをで
きるだけ大きくする必要がある。
【0040】上記プランジ方式においては,上記丸鋸の
送り速度fを実施例1よりも大きく設定することによ
り,上記平均切り込み厚さtfを実施例1と同じ値,即
ちtf=0.10mmとすることができる。従って,例
えばw=0.8となるように第1すくい面幅wを決定
し,かつ上記プランジ方式における丸鋸の送り速度fを
回転方式の場合よりも大きくして切断を行うと,上記丸
鋸は,1枚の丸鋸にて上記プランジ方式及び回転方式の
両方の切断を行うことができると共に,プランジ方式に
おいても効率的な速さで上記被切断体を切断することが
できるものとなる。そして,上記プランジ方式及び回転
方式においても,切刃の耐摩耗性に優れ,切削性良く金
属製の被切断体を切断することができると共に,寿命の
ばらつきの少ないという効果を充分に発揮することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかる,丸鋸の全体を示す平面図。
【図2】実施例1にかかる,丸鋸の切刃部分の拡大平面
図。
【図3】実施例1にかかる,丸鋸の切刃部分の拡大斜視
図。
【図4】実施例1にかかる,被切断体を示す説明図
【図5】回転方式により丸鋸で被切断体を切断する際の
概略を示す平面概略図。
【図6】従来の丸鋸の全体を示す平面図。
【図7】従来の丸鋸の切刃部分の拡大平面図。
【符号の説明】
1...丸鋸, 2...切刃 25...先端部, 23...すくい面, 231...突出点, 233...第1すくい面, 235...第2すくい面, 237...逃げ面, 4...被切断体,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 団野 敦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大庫 和孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 古田 修 愛知県東海市南柴田町八ノ割138番地5 愛鋼株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周に沿って複数の切刃を設けた円盤形
    状を有する,金属製の被切断体を切断するための丸鋸に
    おいて,上記切刃は,上記丸鋸をその回転軸方向から平
    面的に見た状態において,その先端部から上記丸鋸の略
    中心に向けて配されたすくい面と,上記先端部から上記
    丸鋸の回転する向きと逆向きに向けて配された逃げ面と
    を有しており,上記すくい面は,上記切刃の上記先端部
    と上記丸鋸の中心とを結ぶ線を丸鋸半径線とするとき,
    該丸鋸半径線よりも丸鋸の回転方向に突出した突出点を
    有すると共に,該突出点と上記先端部とを結ぶ第1すく
    い面と,上記突出点から上記丸鋸の略中心方向に延びる
    第2すくい面とを有しており,上記丸鋸の中心と上記突
    出点とを結ぶ線を基準線として,該基準線と上記第1す
    くい面とのなす角をα,上記基準線と上記第2すくい面
    とのなす角をβとし,上記基準線と,上記丸鋸の外接円
    が交差する点における上記外接円に対する接線と上記逃
    げ面とのなす角をγ,上記接線から上記突出点までの距
    離をw(mm)とし,かつ上記丸鋸を使用する際の1刃
    あたりの平均切り込み厚さをtf(mm)としたとき, 0°<α<20°, 0°<β<10°, γ≧0°, w≧8×tf, の関係を有することを特徴とする金属切断用丸鋸。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記1刃あたりの平
    均切り込み厚さtf(mm)は,0.04≦tf≦0.1
    5の範囲にあることを特徴とする金属切断用丸鋸。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記1刃あ
    たりの平均切り込み厚さtfは,丸鋸の切刃数をZと
    し,かつ上記丸鋸を使用する際,上記丸鋸の回転数をN
    rpm,丸鋸の送り速度をfmm/secとするとき, tf={60/(NZ)}f の関係を有することを特徴とする金属切断用丸鋸。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において,上記被切断
    体は略円柱状であって,上記丸鋸は,上記被切断体をそ
    の中心軸を中心に上記丸鋸の回転する向きと同じ向きに
    回転させながら切断する際に用いるものであって,上記
    1刃あたりの平均切り込み厚さtf(mm)は,丸鋸の
    半径をR(mm),被切断体の半径をr(mm)とし,
    かつ,上記丸鋸を使用する際の切り込み量をt(m
    m),切り込み域の角度をθ,切刃が1ピッチ回転する
    間に金属切断体が回転する角度をχとするとき, tf=(R+r−t)sin(θ/2)・χ の関係を有することを特徴とする金属切断用丸鋸。
  5. 【請求項5】 請求項4において,上記被切断体は,中
    空部を有する筒状の金属管であることを特徴とする金属
    切断用丸鋸。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項において,
    上記丸鋸は,サーメットよりなることを特徴とする金属
    切断用丸鋸。
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