JP2003334486A - 塗装用ローラーブラシおよびその製造方法 - Google Patents

塗装用ローラーブラシおよびその製造方法

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JP2003334486A
JP2003334486A JP2002140900A JP2002140900A JP2003334486A JP 2003334486 A JP2003334486 A JP 2003334486A JP 2002140900 A JP2002140900 A JP 2002140900A JP 2002140900 A JP2002140900 A JP 2002140900A JP 2003334486 A JP2003334486 A JP 2003334486A
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Toshiaki Yamaguchi
俊朗 山口
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の製造方法に起因するブラシ面の継ぎ目
による不均質さを克服すると同時に塗装面の仕上げ品位
の向上と、製造方法を簡素化して低コストの塗装用ロー
ラーブラシを提供すること。 【解決手段】 接着性繊維を含む繊維質多孔環状体を塗
料保持体として塗料不浸透性ロール芯体に被覆してなる
塗装用ローラーブラシであって、該繊維質多孔環状体の
少なくとも一部分が接着性繊維間の部分融着により形成
されてなることを特徴とする塗装用ローラーブラシ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗装用ローラーブラ
シに関するものであり、さらに詳しくはブラシ製造工程
中におけるロール芯胴周面への塗料保持体を巻着接合す
る際の不良発生を低減させると同時に、粘度の低い水性
塗料に対しても塗料の含みと吐き出しが良好な塗装用ロ
ーラーブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗装用ローラーブラシはプラスチ
ック製または木製の塗料不浸透性ロール芯体に毛皮、合
成繊維製パイル糸を植設した立毛織物または編物を帯状
にしたものを螺旋状に巻着接合して製造されている。こ
のような製造方法に基づくローラーブラシは、ブラシ面
構成基布の巻目が外観上顕著に現れ、塗装面に継ぎ目の
跡が残り筋状の欠点が生じるという問題があった。ま
た、溶剤によりローラー芯体と布との剥離が生じ、糸抜
けが起こる場合があり、不良品として製品出荷ができな
くなるという問題もあった。
【0003】このような問題を解決するために、実開昭
52−21153号には、塗装用ローラーブラシとして
丸編メリヤス地をローラー基体に被覆することにより、
従来の製造方法で問題となった螺旋状に巻着したときの
継ぎ目がないので、塗装面には継ぎ目による不平滑が生
じないという技術開示がある。また、実開昭53−22
609号には、パイルメリヤス編生地を金属その他の材
料によって形成した芯筒に被せることにより全く継ぎ目
のないローラーを低コストで供給できる技術開示があ
る。
【0004】一方、実開平5−74679号にはパイル
糸として超極細繊維を用い、塗装面に掃いたような毛跡
を防止して均一的塗装を可能とする技術開示がある。ま
た、特開平11−19573号には超極細繊維をループ
状に編織して継ぎ目のない環状布体を吸収性パッドに被
せて用いるとした技術開示がある。
【0005】しかしながら、これらのローラーブラシは
塗装面に生じる継ぎ目の欠点の解消という点においては
改善されているが、種々の塗料に対して良好な塗装性を
得るという観点においては満足できる性能を有していな
かった。すなわち、対象とする塗料は粘度の低いものか
ら高いものまで様々なものがあり、種々の粘度の塗料に
対して良好な保持率を示すローラーブラシは提案されて
いなかった。さらに、塗料の保持率のみを問題にして
も、塗料の吐き出し性が不十分な場合には、良好なロー
ラーブラシとはいい難い。実際に直面する問題としては
塗料の含みと吐き出しとのバランスが重要であって、さ
らに、一定の圧力下で塗料の吐出し量が一定となるよう
なローラーブラシが使用者には好まれるのである。
【0006】また、上記のローラーブラシのように単に
芯体に継ぎ目のない環状体を被うのみでは、依然として
編目が塗装面に転写されるという欠点がある。例えば、
パイル状に繊維を起立させた場合、本来編地により得ら
れるパイルは明確な方向性を有するのであって、芯体に
被せる場合、芯材の長手方向のいずれかの方向にパイル
糸が倒れることになり、芯体の正逆回転方向と一致せ
ず、編目が塗装面に転写されてしまう点が指摘されてい
る。このように、芯体に継ぎ目のない環状体を被せる方
法についても依然として改良の余地が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な状
況に鑑みてなされたものであって、塗料不浸透性ロール
芯体に特定の構造を有する繊維質多孔質環状体を直接被
覆することにより、含み性と吐き出し性のバランスに優
れ、かつブラシ面の不均質さを克服することによる塗装
面の仕上げ品位の良好な塗装用ローラーブラシを簡便に
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、接着
性繊維を含む繊維質多孔環状体を塗料保持体として塗料
不浸透性ロール芯体に被覆してなる塗装用ローラーブラ
シであって、該繊維質多孔環状体の少なくとも一部分が
接着性繊維間の部分融着により形成されてなることを特
徴とする塗装用ローラーブラシである。
【0009】また、本発明は接着性繊維を含み、かつ芯
糸からの高さが1.5mm以上である花糸を備えたモー
ル糸を塗料不浸透性ロール芯体の胴周よりも長い円周の
環状の編地として製編し、該編地を該塗料不浸透性ロー
ル芯体に被覆し、次いで乾熱または湿熱条件下で該複合
繊維を収縮および接着成分による繊維間の部分融着を生
じせしめて該塗料不浸透性ロール芯体に密着固定化する
ことを特徴とする塗装用ローラーブラシの製造方法であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の塗装用ローラーブラシは、接着性繊維を
含む繊維質多孔環状体を塗料保持体として用いる点に特
徴を有するものであり、該繊維質多孔環状体を用いるこ
とにより、塗料を十分含むことが可能となる。該繊維質
多孔環状体に接着性繊維が含まれない場合、多孔質体が
得られず塗料の含み量は著しく低くなり、光触媒用塗料
の場合のように溶剤が極低粘度の場合には顕著である。
【0011】本発明に使用する接着性繊維は130℃以
上の乾熱で軟化して、自己接着または他の繊維に接着す
るポリマー成分を含有する繊維であれば特に限定される
ものではなく、例えば、ナイロン12またはアクリルア
ミドを一成分とする共重合体、ポリ乳酸、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体などが挙げられるが、耐有機
溶剤性を有することと、光触媒型塗料のように溶剤が水
を主成分とする場合、水との親和性を有することが必要
であるため、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を
一成分とする接着性繊維が好ましい。
【0012】また、該接着性繊維として、エチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体と他の熱可塑性重合体との複
合繊維や、他の熱可塑性重合体へ該共重合体をコートし
た繊維でもよい。本発明において複合繊維を用いる場
合、熱可塑性重合体としては耐熱性、寸法安定性等の点
で融点がエチレン−ビニルアルコール系共重合体より高
いものが望ましく、例えば150℃以上の熱可塑性重合
体が好ましい。具体的にはポリエステル、ポリアミド、
ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0013】ポリエステルとしてはテレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル
酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、
4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アゼライン
酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸ま
たはこれらのエステル類;エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリ
コール等のジオールからなる繊維形成性のポリエステル
を挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチ
レンテレフタレート単位であることが好ましい。
【0014】ポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン
66、ナイロン12を主成分とする脂肪族ポリアミド、
半芳香族ポリアミドを挙げることができ、少量の第3成
分を含有するポリアミドでもよい。
【0015】特に本発明において、エチレン−ビニルア
ルコール系共重合体と他の熱可塑性重合体からなる複合
繊維を用いる場合は、その複合比を前者:後者(質量
比)=10:90〜90:10、特に30:70〜7
0:30とすることが、紡糸性の点で好ましい。また、
複合形態は従来公知の複合形態であれば特に限定はな
く、芯鞘型、偏心芯鞘型、多層貼合型、サイドバイサイ
ド型、ランダム複合型、放射状貼合型等を挙げることが
できる。これらの繊維の断面形状は、中実断面形状であ
る丸断面や異型断面形状に限らず、中空断面形状等、種
々の断面形状とすることができる。
【0016】一方、他の熱可塑性繊維にエチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体をコーテイングした繊維を用い
る場合は、該共重合体が他の繊維の表面の1/4以上、
好ましくは1/3以上を被覆した繊維が好ましい。
【0017】本発明の塗装用ローラーブラシを構成する
繊維質多孔環状体は、上記した接着性繊維を含むもので
あり、その含有率は50質量%以上であることが好まし
いが、本発明の効果を損なわない程度であれば、他の繊
維を含んでいてもよい。本発明に用いる繊維質多孔環状
体を構成する接着性繊維以外の繊維については特に限定
されず、天然繊維、半合成繊維および合成繊維を使用す
ることができ、目的によって選定することができる。
【0018】本発明の塗装用ローラーブラシを構成する
繊維質多孔環状体は、その少なくとも一部分が該接着性
繊維間の部分融着により形成されてなり、かかる部分融
着によって多孔質層が形成されていることが好ましい。
特に、厚み方向に対して疎な層と密な層により形成さ
れ、塗料不浸透性芯体側は密な多孔質層であり、これと
接触して外側の層は疎な多孔質層を形成していることが
塗料を保持させる点で好ましい。該繊維質多孔環状体の
多孔質層は、上記した接着性繊維の捲縮発現と繊維間の
融着により形成され、立体的な網状の空間が存在する。
【0019】また、本発明に用いる繊維質多孔環状体の
吸水倍率は、該繊維質多孔環状体の質量の3倍以上有す
ることが塗装作業をする上で好ましい。吸水倍率が3倍
未満であると1回の作業で塗装される面積が著しく低下
し、作業性が悪くなる場合がある。しかしながら、吸水
倍率が高すぎる場合はブラシ面からの塗料の吐出が一気
に生じ、液垂れの原因を引き起こす場合がある。また、
吸水による保水は繊維間空隙で生じる必要があり、塗料
の溶剤による繊維の膨潤が生じるような繊維を選定する
ことは好ましくない。よって、本発明の塗装用ローラー
ブラシは塗料の含みと吐出しとのバランスの観点から吸
水倍率は3.5〜5.5倍がより好ましい。本発明にお
いて吸水倍率は下記に記す製造方法により調節すること
が可能である。
【0020】次に、本発明の塗装用ローラーブラシの製
造方法について詳細に説明する。まず本発明の塗装用ロ
ーラーブラシを製造するための第一段階は繊維質多孔環
状体を形成するための織編地を製造することである。か
かる編地に使用する糸の形態としては上述したように、
本発明では塗料吸水性パッドを使用しないため、ある一
定量の塗料液を含ませる性能を有することが望ましい。
【0021】従来、ブラシ面としてはカットパイル部を
有することが有利であるが、通常の織編地では基布をカ
ット工程によりループをカットするか、または起毛工程
を通す必要があり、これら工程を通すことは基布に疵を
作る頻度を上げてしまうために好ましくない。また、編
織組織により形成されるパイル糸には前記したように、
パイル糸に方向性が生じるので、ローラーブラシとして
は好ましいものではない。なお、カットパイルではな
く、地組織からパイルループ状に立設した状態での使用
も考えられるが、この形態は塗料が飛散するといった欠
点がある。
【0022】そこで本発明では、下記に記すようなモー
ル糸を用いて織編地とすることで上述した問題を解決す
ることができる。本発明に用いるモール糸は、塗料の含
み量と吐出量とを調節するために該モール糸を構成する
花糸の芯糸からの高さを調節することが重要である。花
糸の芯糸からの高さは1.5mm以上必要で、1.5m
m未満であると繊維質多孔環状体としては塗料の含み量
が低くなり好ましくない。また、本発明者の知見によれ
ば、高さが6mmを超えると編成条件を変更しても製編
性が悪くなり、また、環状体の表面は不均一となるた
め、本発明の塗装用ローラーブラシが要求する性能を発
現しない場合がある。したがって、花糸の高さの範囲は
2.0〜6.0mmが好ましい。
【0023】該モール糸の製造は、例えば、モール撚糸
機に複数本の芯糸(この内幾本かを花糸接着のため熱融
着繊維とする場合がある)を供給しつつその周りに花糸
を巻き付け、その後カッターで該巻き付けた花糸を切断
しながら撚糸を行ないモール糸とするもの、また熱融着
繊維を用いる場合は、上記モール糸を形成後、熱融着繊
維が融解する温度で熱処理し、芯糸と花糸とを接着固定
することにより芯糸からの花糸の脱落を防止したモール
糸としてもよい。本発明においては、熱融着繊維を芯糸
に使用するか否かにかかわらず、このようなモール撚糸
機を用いて製造することができるが、このようなモール
糸の製造方法に限らず、他に例えば、ラッシェル法やト
リコット法を用いてモール糸を製造しても良く、製造方
法は問わない。
【0024】特に本発明においては、該モール糸の花糸
に接着性繊維を用いることが望ましく、該繊維の単繊維
繊度は0.1〜5.0dtexが好ましく、0.3〜
1.0dtexがより好ましい。該花糸を構成する繊維
としては、例えば2種以上の互いに非相溶性の繊維形成
性熱可塑性重合体が組み合わされてなる分割型複合繊維
を用いることができ、その一成分として接着性成分を用
いればよい。かかる分割型複合繊維の形状としては、一
般的に分割型複合繊維として知られたものを用いること
ができ、その断面形状は平板型、花弁型、放射型、くさ
び型など種々のものを併用することができる。
【0025】次に、上記のモール糸を例えば口径が2イ
ンチ、10ゲージの丸編機を用いて所定のサイズの環状
体を製造する。なお、環状体のサイズは同一丸編機を用
いても、度目調節によりある程度の自由度があり、さら
に同時に外観のカットパイル状態も調節することがで
き、最適な設定が可能である。得られた環状体はそのま
ま塗料不浸透性芯体に被覆してもよいが、内側を反転さ
せて表面とする方が、編地を形成するループ面(シンカ
ーループと称する)の影響を受け難くく塗装後の仕上げ
がより良好である点で好ましい。これは前記したよう
に、編地を単に被せるだけではニードルループの方向が
芯材の長手方向と直交するために好ましくないというこ
とも理由の一つである。上記の方法によって得られた環
状体を塗料不浸透性芯体に被覆することにより繊維質多
孔性環状体を得るための第一段階を完了することができ
る。
【0026】次いで、上記で得られた被覆体を接着性成
分が融解する乾熱または湿熱条件下で、被覆体表面に局
部的な圧力が掛からないように熱処理を施し、必要に応
じて脱水、乾燥して本発明の塗装用ローラーブラシを得
ることができる。熱処理工程をより簡略することができ
る点から乾熱処理が好ましく、熱処理温度としては16
5〜175℃で1分間の処理が好ましい。
【0027】以下、図面を用いて本発明の塗装用ローラ
ーブラシについてさらに詳細に説明する。図1は、従来
技術が開示した編地を芯材に被覆して得られる塗装用ロ
ーラーブラシの表面を示す模式図であって、ニードルル
ープ1が芯材2の長手方向と直交している状態を示す。
【0028】図2は、従来技術が開示したパイルを有す
る編地を芯材に被覆して得られる塗装用ローラーブラシ
の表面を示す模式図であって、パイル糸3が芯材2の長
手方向に対して傾いて立設している状態を示す。
【0029】図3は、本発明の基本思想となる、芯体に
直接編地を被覆して得られる環状体を示す模式図であっ
て、シンカーループ4が芯体2の回転方向と一致してい
る状態がわかる。
【0030】図4は、本発明の塗装用ローラーブラシの
熱処理前における状態を示す模式図である。モール糸5
は図3と同一方向に配列しており、花糸6は芯材表面に
対して直立している状態を示す。
【0031】図5は、図4に示した塗装用ローラーブラ
シを熱処理により繊維質多孔環状体とした本発明の塗装
用ローラーブラシの表面を示す模式図である。花糸6は
熱処理を受けて捲縮発現と収縮が起こり、被覆面の編地
はミクロなクリンプで覆われたような外観を有する。
【0032】図6は、本発明の塗装用ローラーブラシを
芯体の長さ方向に対して平行に切断した切断面を示す模
式図である。密度の粗い多孔質層8とモール芯糸が連な
った層9と緻密な多孔質層10が存在している。密度の
粗い多孔質層8が形成されるのは、表面側の花糸6に対
して芯材2に接触した花糸6は熱処理による圧縮力を強
く受けるため、高密度に繊維が束縛されると同時に、花
糸6に含まれる接着性繊維による繊維間の融着部7が多
数存在することが原因と考えられる。一方、表面側の花
糸6も収縮するが、自由度の高い状態で生じるため繊維
間に融着は生じるが、融着部7は点在することになる。
なお、モール芯糸11として熱融着繊維を用いた場合
は、繊維束としては固くなり、フィラメントを分離でき
ない状態にまで硬化する。
【0033】本発明においては、上記した繊維質多孔環
状体における多孔質層が塗料の含みと吐き出しに関与
し、緻密な繊維質多孔層10が主たる塗料溜めとなって
含み、塗装時の圧量により粗い繊維質多孔層8へ塗料が
移動して塗装面へ均一に吐き出されると考えられる。塗
料の中には光触媒用の塗料のように溶剤の粘度が極めて
低いものがあるが、本発明においては、接着性繊維とし
てエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いると、塗
料の含みと吐き出しが極めて良好となり、光触媒用の塗
料の使用に極めて好適なローラーブラシとなる。
【0034】図7に本発明の塗装用ローラーブラシに用
いるモール糸の花糸に使用する繊維の一例を示す断面模
式図を示す。図7において、成分12と成分13は物理
的または化学的な作用によりそれらの界面が剥離するこ
とにより分割されることになるが、ここでは一例として
成分13が接着性成分に該当する。
【0035】本発明の塗装用ローラーブラシは、継ぎ目
のない環状体を塗料不浸透性の芯材に被覆することによ
り、低コストで良好な塗装性が得られる、建築物の内外
壁等様々な用途に用いることができる。
【0036】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではな
い。なお本実施例における各物性値は、次の方法により
測定した。
【0037】(1)捲縮率:カセ取機で5500dte
xのカセとなるまで糸条を巻き取った後、カセの下端中
央に10gの荷重を吊るし、上部でこのカセを固定し
て、0.009cN/dtexの荷重がかかった状態で
90℃の温度で30分間熱処理を行った。次いで、無荷
重状態で室温にて放置して乾燥した後、再び10gの荷
重をかけて5分間放置後の糸長を測定、これをL(m
m)とした。次に、1kgの荷重をかけ、30秒間放置
後の糸長を測定し、これをL(mm)として、下記式
により捲縮率を求めた。 捲縮率(%)={(L−L)/L}×100
【0038】(2)繊維質多孔環状体の保水倍率:繊維
質多孔環状体を所定の寸法(長さ10cm)に切断して
試験片をつくり、その試験片の乾燥質量を測定し、これ
をW1(g)とする。次に、その試験片を水中に浸漬し
て、3分間放置した後、取り出してその質量を測定し、
これをW2(g)とし、下記式により保水倍率を求め
た。 保水倍率(倍)=W2/W1 (3)塗装面の仕上がり具合:ローラーブラシが塗料液
(アクリルエマルション:日本ペイント社製「HI−ビ
ニレックス80つや消し」)の表面に接触するように5
回転往復させて、十分に塗料が含まれ、かつ液垂れがな
いことを目視により確認してコート紙上に塗布した。仕
上がりは視覚による3段階評価を行った。 ○:木目細かい △:やや粗い ×:ローラー表面の跡が残る
【0039】実施例1 (1)モール糸の製造 モール糸の芯糸用原糸として微粒子シリカを含有したポ
リエチレンテレフタレ−ト[フェノ−ル/テトラクロロ
エタン等重量混合溶媒中、30℃で測定した固有粘度=
0.68]を芯成分とし、鞘成分として、エチレン含有
量40モル%、MI=10のエチレン−ビニルアルコ−
ル系共重合体を用い、紡糸、延伸を経て167dtex
/48フィラメントの芯鞘複合フィラメント繊維を得、
該該芯鞘複合フィラメント繊維を仮撚数2570T/
M、1段ヒーター温度120℃、2段ヒーター温度13
5℃により仮撚加工を施して、捲縮率が17%の仮撚加
工糸を得た。そして、モール糸の花糸用原糸として6−
ナイロンと上記のエチレン−ビニルアルコール系共重合
体を1:2の質量比で図7に示す横断面構造を有する1
1分割型複合繊維となるように紡糸して165dtex
/48フィラメントの延伸糸を得た。得られた糸を仮撚
数2350T/M、1段ヒーター温度120℃、2段ヒ
ーター温度135℃により仮撚加工を施して、糸の長手
方向に部分的に分割が生じた複合繊維を得た。上記の芯
糸および花糸原糸をモール撚糸機にそれぞれ供給して、
花糸の芯糸からの高さが3mm、線密度が11本/cm
である1510dtexのモール糸を作製した。
【0040】(2)環状体の製造 上記のモール糸を2インチ、10ゲージ針本数が61本
であるリリアン編機を用いて、1周編目長さが320m
mの環状体を得た。
【0041】(3)ローラーブラシの製造 上記で得られた環状体をシンカーループが使用面となる
ように裏返してナイロン製円筒状芯体(長さ×外径=1
8cm×2.5cm)の表面に被せて、両端を適当に処
理した後、ハンドルを装着し、次いで、これを常圧下9
8℃以上で1分間熱処理を施し、脱水・乾燥し、芯材に
固定した後、ハンドルを取り付けてローラーブラシを得
た。
【0042】比較例1 実施例1においてモール糸の花糸として6−ナイロンと
ポリエチレンテレフタレートを1:2の質量比で図7に
示す横断面構造の11分割型複合繊維(165dtex
/48フィラメント)を用いたこと以外は実施例1と同
様にしてモール糸を製造し、これを実施例1と全く同様
にして編立し、同様の操作によってローラーブラシを作
製した。
【0043】得られたローラーブラシの性能評価結果を
表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】本発明の塗装用ローラーブラシは保水能、
塗装仕上り性も良好であり、従来の製造方法で発生した
継ぎ目の欠点問題を解消すると同時に製造の簡素化可能
なローラーブラシである。
【0046】
【発明の効果】本発明により、従来の塗装用ローラーブ
ラシの製造方法で問題となった巻き目の継ぎ目不良によ
るブラシ面の不均質さを克服することができると同時
に、塗装面の仕上げ品位の向上と、製造方法を簡素化し
て低コストの塗装用ローラーブラシが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術が開示した編地を芯材に被覆して得
られる塗装用ローラーブラシの表面を示す模式図。
【図2】 従来技術が開示したパイルを有する編地を芯
材に被覆して得られる塗装用ローラーブラシの表面を示
す模式図。
【図3】 芯体に直接編地を被覆して得られる環状体を
示す模式図。
【図4】 本発明の塗装用ローラーブラシの熱処理前に
おける状態を示す模式図。
【図5】 図4に示した塗装用ローラーブラシを熱処理
により繊維質多孔環状体とした本発明の塗装用ローラー
ブラシの表面を示す模式図。
【図6】 本発明の塗装用ローラーブラシを芯体の長さ
方向に対して平行に切断した切断面を示す模式図。
【図7】 本発明の塗装用ローラーブラシに用いるモー
ル糸の花糸に使用する繊維の一例を示す断面模式図。
【符号の説明】
1:ニードルループ 2:芯材 3:パイル糸 4:シンカーループ 5:モール糸 6:花糸 7:融着部 8:粗い多孔質層 9:モール芯糸が連なった層 10:緻密な多孔質層 11:モール芯糸 12:成分 13:成分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着性繊維を含む繊維質多孔環状体を塗
    料保持体として塗料不浸透性ロール芯体に被覆してなる
    塗装用ローラーブラシであって、該繊維質多孔環状体の
    少なくとも一部分が接着性繊維間の部分融着により形成
    されてなることを特徴とする塗装用ローラーブラシ。
  2. 【請求項2】 接着性繊維がエチレン−ビニルアルコー
    ル系共重合体を少なくとも一成分とする繊維である請求
    項1に記載の塗装用ローラーブラシ。
  3. 【請求項3】 繊維質多孔環状体の保水倍率が、該繊維
    質多孔環状体の質量の3倍以上である請求項1または2
    に記載の塗装用ローラーブラシ。
  4. 【請求項4】 接着性繊維を含み、かつ芯糸からの高さ
    が1.5mm以上である花糸を備えたモール糸を塗料不
    浸透性ロール芯体の胴周よりも長い円周の環状の編地と
    して製編し、該編地を該塗料不浸透性ロール芯体に被覆
    し、次いで乾熱または湿熱条件下で該複合繊維を収縮お
    よび接着成分による繊維間の部分融着を生じせしめて該
    塗料不浸透性ロール芯体に密着固定化することを特徴と
    する塗装用ローラーブラシの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3348687A4 (en) * 2015-09-11 2019-09-11 Maru-T Ohtsuka Corp. FIBER STRUCTURE FOR ROLL PRIMED

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