JP2003329125A - トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機及び無段変速装置

Info

Publication number
JP2003329125A
JP2003329125A JP2002138598A JP2002138598A JP2003329125A JP 2003329125 A JP2003329125 A JP 2003329125A JP 2002138598 A JP2002138598 A JP 2002138598A JP 2002138598 A JP2002138598 A JP 2002138598A JP 2003329125 A JP2003329125 A JP 2003329125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
variable transmission
continuously variable
type continuously
toroidal type
gear ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002138598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003329125A5 (ja
JP4192495B2 (ja
Inventor
Eiji Inoue
英司 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2002138598A priority Critical patent/JP4192495B2/ja
Publication of JP2003329125A publication Critical patent/JP2003329125A/ja
Publication of JP2003329125A5 publication Critical patent/JP2003329125A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4192495B2 publication Critical patent/JP4192495B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速比調節の為の機構が故障した際に、車両
を最小限走行させられる様にして、緊急避難作業の容易
化を図る。 【解決手段】 変速比調節の為の制御弁12のスリーブ
14を、油圧式の変速比設定用アクチュエータ60によ
り、出力ロッド61、リンク腕53を介して変位させ
る。この変速比設定用アクチュエータ60を変位させる
油圧を制御する為の電磁弁68a、68bの故障時に
は、復帰ばね69a、69bにより上記出力ロッド61
の位置を、所定位置に規制する。この所定位置を、車両
を最小限走行させられる変速比に対応する位置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用自動変
速装置として利用するトロイダル型無段変速機、或はト
ロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の改良
に関し、故障時にも走行の為に最低限必要な機能を確保
するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用自動変速装置として、図3〜5
に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究
され、一部で実施されている。このトロイダル型無段変
速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸
1の両端部周囲に入力側ディスク2、2を、ボールスプ
ライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入
力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した
回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間
部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転
を自在として支持している。そして、この出力歯車4の
中心部に設けた円筒部の両端部に出力側ディスク5、5
を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら
両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同
期して回転する。
【0003】又、上記各入力側ディスク2、2と上記各
出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ
(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持して
いる。これら各パワーローラ6、6は、それぞれトラニ
オン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり
軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラ
ニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図3、5の上下
方向、図4の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン
7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心と
して揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を
傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10
により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の
軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン
7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期さ
せる。
【0004】即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の
変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角
度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10
により上記各トラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、
例えば、図5の右側のパワーローラ6を同図の下側に、
同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ
変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の
周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディス
ク5、5の内側面との当接部に作用する、接線方向の力
の向きが変化(当接部にサイドスリップが発生)する。
そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン
7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を
中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結
果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出
力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、
上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化す
る。
【0005】上記各アクチュエータ10、10への圧油
の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数
に関係なく1個の制御弁12により行ない、何れか1個
のトラニオン7の動きをこの制御弁12にフィードバッ
クする様にしている。この制御弁12は、ステッピング
モータ13により軸方向(図5の左右方向)に変位させ
られるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸
方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。
又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ1
0、10のピストン16、16とを連結するロッド1
7、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属のロ
ッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、こ
のプリセスカム18とリンク腕19とを介して、上記ロ
ッド17の動き、即ち、軸方向の変位量と回転方向との
変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィ
ードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン
7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油
圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角
度を、機械的に同期させられる様にしている。
【0006】変速状態を切り換える際には、上記ステッ
ピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようと
する変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記制
御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各ア
クチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込ま
れて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラ
ニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油
の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記
各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、
9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニ
オン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド1
7の端部に固定したプリセスカム18とリンク腕19と
を介して上記スプール15に伝達され、このスプール1
5を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7
が所定量変位した状態で、上記制御弁12の流路が閉じ
られ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排
が停止される。
【0007】この際の上記トラニオン7及び上記プリセ
スカム18のカム面21の変位に基づく上記制御弁12
の動きは、次の通りである。先ず、上記制御弁12の流
路が開かれる事に伴って上記トラニオン7が軸方向に変
位すると、前述した様に、パワーローラ6の周面と入力
側ディスク2及び出力側ディスク5の内側面との当接部
に発生するサイドスリップにより、上記トラニオン7が
上記各枢軸9、9を中心とする揺動変位を開始する。
又、上記トラニオン7の軸方向変位に伴って上記カム面
21の変位が、上記リンク腕19を介して上記スプール
15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位して、
上記制御弁12の切り換え状態を変更する。具体的に
は、上記アクチュエータ10により上記トラニオン7を
中立位置に戻す方向に、上記制御弁12が切り換わる。
【0008】従って上記トラニオン7は、軸方向に変位
した直後から、中立位置に向け、逆方向に変位し始め
る。但し、上記トラニオン7は、中立位置からの変位が
存在する限り、上記各枢軸9、9を中心とする揺動を継
続する。この結果、上記プリセスカム18のカム面21
の円周方向に関する変位が、上記リンク腕19を介して
上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向
に変位する。そして、上記トラニオン7の傾斜角度が、
得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、
このトラニオン7が中立位置に復帰すると同時に、上記
制御弁12が閉じられて、上記アクチュエータ10への
圧油の給排が停止される。この結果上記トラニオン7の
傾斜角度が、前記ステッピングモータ13により前記ス
リーブ14を軸方向に変位させた量に見合う角度にな
る。
【0009】上述の様なトロイダル型無段変速機の運転
時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により
一方(図3、4の左方)の入力側ディスク2を、図示の
様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23
を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端
部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに
近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、
この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各
出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取
り出される。
【0010】この様に上記各入力側ディスク2、2から
上記各出力側ディスク4、4に動力を伝達する際に、上
記各トラニオン7、7には、それぞれの内側面に支持し
た上記各パワーローラ6、6の周面と上記各ディスク
2、4の内側面との摩擦に伴って、それぞれの両端部に
設けた枢軸9、9の軸方向の力が加わる。この力は、所
謂2Ftと呼ばれるもので、その大きさは、上記各入力
側ディスク2、2から上記各出力側ディスク4、4に伝
達するトルクに比例する。そして、この様な力2Ft
は、前記各アクチュエータ10、10により支承する。
従って、トロイダル型無段変速機の運転時に、これら各
アクチュエータ10、10を構成するピストン16、1
6の両側に存在する1対の油圧室同士の圧力差は、上記
力2Ftの大きさに比例する。
【0011】上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を
変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速
を行なう場合には、上記各アクチュエータ10、10に
より上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方
向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図4に示す
位置に揺動させる。そして、上各パワーローラ6、6の
周面をこの図4に示す様に、上記各入力側ディスク2、
2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、
5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。反
対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7
を図4と反対方向に揺動させ、上各パワーローラ6、6
の周面を、この図4に示した状態とは逆に、上記各入力
側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力
側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞ
れ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させ
る。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれ
ば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速
度比)を得られる。
【0012】更に、上述の様に構成され作用するトロイ
ダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み
込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を
構成する事が、従来から提案されている。図6は、この
様な従来から提案されている無段変速装置のうち、特開
2000−220719号公報に記載されたものを示し
ている。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機
24と遊星歯車式変速機25とを組み合わせて成る。こ
のうちのトロイダル型無段変速機24は、入力軸1と、
1対の入力側ディスク2、2と、出力側ディスク5a
と、複数のパワーローラ6、6とを備える。図示の例で
は、この出力側ディスク5aは、1対の出力側ディスク
の外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有す
る。
【0013】又、上記遊星歯車式変速機25は、上記入
力軸1及び一方(図6の右方)の入力側ディスク2に結
合固定されたキャリア26を備える。このキャリア26
の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子
27a、27bを固設した第一の伝達軸28を、回転自
在に支持している。又、上記キャリア26を挟んで上記
入力軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車29a、2
9bを固設した第二の伝達軸30を、上記入力軸1と同
心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯
車素子27a、27bと、上記出力側ディスク5aにそ
の基端部(図6の左端部)結合した中空回転軸31の先
端部(図6の右端部)に固設した太陽歯車32又は上記
第二の伝達軸30の一端部(図6の左端部)に固設した
太陽歯車29aとを、それぞれ噛合させている。又、一
方(図6の左方)の遊星歯車素子27aを、別の遊星歯
車素子33を介して、上記キャリア26の周囲に回転自
在に設けたリング歯車34に噛合させている。
【0014】一方、上記第二の伝達軸30の他端部(図
6の右端部)に固設した太陽歯車29bの周囲に設けた
第二のキャリア35に遊星歯車素子36a、36bを、
回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア35
は、上記入力軸1及び第二の伝達軸30と同心に配置さ
れた、出力軸37の基端部(図6の左端部)に固設され
ている。又、上記各遊星歯車素子36a、36bは、互
いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子36aが上記
太陽歯車29bに、他方の遊星歯車素子36bが、上記
第二のキャリア35の周囲に回転自在に設けた第二のリ
ング歯車38に、それぞれ噛合している。又、上記リン
グ歯車34と上記第二のキャリア35とを低速用クラッ
チ39により係脱自在とすると共に、上記第二のリング
歯車38とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラ
ッチ40により係脱自在としている。
【0015】上述の様な、図6に示した無段変速装置の
場合、上記低速用クラッチ39を接続すると共に上記高
速用クラッチ40の接続を断った、所謂低速モード状態
では、上記入力軸1の動力が上記リング歯車34を介し
て上記出力軸37に伝えられる。そして、前記トロイダ
ル型無段変速機24の変速比を変える事により、無段変
速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸1と上記
出力軸37との間の変速比が変化する。この様な低速モ
ード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無
限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機2
4の変速比を調節する事により、上記入力軸1を回転さ
せた状態のまま上記出力軸37の回転状態を、停止状態
を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0016】尚、この様な低速モード状態での加速若し
くは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速機24を
通過するトルクは、上記入力軸1から、キャリヤ26及
び第一の伝達軸28と太陽歯車32と中空回転軸31と
を介して出力側ディスク5aに加わり、更にこの出力側
ディスク5aから各パワーローラ6、6を介して各入力
側ディスク2、2に加わる。即ち、加速若しくは定速走
行時に上記トロイダル型無段変速機24を通過するトル
クは、上記各入力側ディスク2、2が上記各パワーロー
ラ6、6からトルクを受ける方向に循環する。
【0017】これに対して、上記低速用クラッチ39の
接続を断ち、上記高速用クラッチ40を接続した、所謂
高速モード状態では、上記入力軸1の動力が上記第一、
第二の伝達軸28、30を介して上記出力軸37に伝え
られる。そして、上記トロイダル型無段変速機24の変
速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速
比が変化する。この場合には、上記トロイダル型無段変
速機24の変速比を大きくする程、無段変速装置全体と
しての変速比が大きくなる。尚、この様な高速モード状
態での加速若しくは定速走行時に、上記トロイダル型無
段変速機24を通過するトルクは、各入力側ディスク
2、2が各パワーローラ8、8にトルクを付加する方向
に加わる。
【0018】例えば図6に示す様な構造を有し、入力軸
1を回転させた状態のまま出力軸37を停止させる、所
謂無限大の変速比を実現できる無段変速装置の場合、出
力軸37を停止させた状態を含み、変速比を極端に大き
くした状態で、上記トロイダル型無段変速機24に加わ
るトルクを適正値に維持する事が、運転操作の容易性確
保の面から重要である。何となれば、「回転駆動力=回
転速度×トルク」の関係から明らかな通り、変速比が極
端に大きく、上記入力軸1が回転したまま上記出力軸3
7が停止又は極低速で回転する状態では、上記トロイダ
ル型無段変速機24を通過するトルクが、上記入力軸1
に加わるトルクに比べて大きくなる。この為、上記トロ
イダル型無段変速機24の耐久性を、このトロイダル型
無段変速機24を大型化する事なく確保する為には、上
述の様にトルクを適正値に納める為に厳密な制御を行な
う必要が生じる。具体的には、上記入力軸1に入力する
トルクをできるだけ小さくしつつ、上記出力軸37を停
止させる為、駆動源を含めた制御が必要になる。
【0019】又、上記変速比が極端に大きな状態では、
上記トロイダル型無段変速機24の変速比が僅かに変化
した場合にも、上記出力軸37に加わるトルクが大きく
変化する。この為、上記トロイダル型無段変速機24の
変速比調節が厳密に行なわれないと、運転者に違和感を
与えたり、運転操作を行ないにくくする可能性がある。
例えば、自動車用の自動変速装置の場合、停止時には運
転者がブレーキを踏んだままで、停止状態を維持する事
が行なわれる。この様な場合に、上記トロイダル型無段
変速機24の変速比調節が厳密に行なわれず、上記出力
軸37に大きなトルクが加わると、停車時に上記ブレー
キペダルを踏み込む為に要する力が大きくなり、運転者
の疲労を増大させる。逆に、発進時に上記トロイダル型
無段変速機24の変速比調節が厳密に行なわれず、上記
出力軸37に加わるトルクが小さ過ぎると、滑らかな発
進が行なわれなくなったり、上り坂での発進時に車両が
後退する可能性がある。従って、極低速走行時には、駆
動源から上記入力軸1に伝達するトルクを制御する他、
上記トロイダル型無段変速機24の変速比調節を厳密に
行なう必要がある。
【0020】この様な点を考慮して、特開平10−10
3461号公報には、トラニオンを変位させる為の油圧
式のアクチュエータ部分の圧力差を直接制御する事によ
り、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを規制す
る構造が記載されている。但し、上記特開平10−10
3461号公報に記載されている様な構造の場合には、
上記圧力差のみで制御を行なう為、トロイダル型無段変
速機を通過するトルクが目標値に一致した瞬間にトラニ
オンの姿勢を停止させる事が難しい。具体的には、トル
ク制御の為に上記トラニオンを変位させる量が大きくな
る為、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが目標
値に一致した瞬間にトラニオンが停止せずにそのまま変
位を継続する、所謂オーバシュートが生じ易く、上記ト
ロイダル型無段変速機を通過するトルクの制御が安定し
ない。
【0021】特に、図3〜5に示した一般的なハーフト
ロイダル型無段変速機の様に、トラニオン7、7の両端
部に設けた各枢軸9、9の方向と、入力側、出力側各デ
ィスク2、5の中心軸の方向とが互いに直角方向であ
る、所謂キャストアングルを持たないトロイダル型無段
変速機24の場合に、上記オーバシュートが生じ易い。
これに対して、一般的なフルトロイダル型無段変速機の
様に、キャストアングルを持った構造の場合には、オー
バシュートを収束させる方向の力が作用する為、上記特
開平10−103461号公報に記載されている様な構
造でも、十分なトルク制御を行なえるものと考えられ
る。
【0022】
【先発明の説明】この様な事情に鑑みて、本発明者は先
に、一般的なハーフトロイダル型無段変速機の様に、キ
ャストアングルを持たないトロイダル型無段変速機を組
み込んだ無段変速装置でも、このトロイダル型無段変速
機を通過するトルクの制御を厳密に行なえる方法及び装
置を発明した(特願2002−116185号)。図7
は、この様な先発明の制御方法及び装置の対象となる、
無段変速装置の構造の1例を示している。この図7に示
した無段変速装置は、前述の図6に示した従来から知ら
れている無段変速装置と同様の機能を有するもである
が、遊星歯車式変速機25a部分の構造を工夫する事に
より、この遊星歯車式変速機25a部分の組立性を向上
させている。
【0023】入力軸1及び1対の入力側ディスク2、2
と共に回転するキャリア26aの両側面に、それぞれが
ダブルピニオン型である、第一、第二の遊星歯車41、
42を支持している。即ち、これら第一、第二の遊星歯
車41、42は、それぞれ1対ずつの遊星歯車素子43
a、43b、44a、44bにより構成している。そし
て、これら各遊星歯車素子43a、43b、44a、4
4bを、互いに噛合させると共に、内径側の遊星歯車素
子43a、44aを、出力側ディスク5aに結合した中
空回転軸31a及び伝達軸45に固設した第一、第二の
太陽歯車46、47に、外径側の遊星歯車素子43b、
44bをリング歯車48に、それぞれ噛合させている。
【0024】一方、上記伝達軸45の他端部(図7の右
端部)に固設した第三の太陽歯車49の周囲に設けた第
二のキャリア35aに遊星歯車素子50a、50bを、
回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア35
aは、上記入力軸1と同心に配置された出力軸37aの
基端部(図7の左端部)に固設されている。又、上記各
遊星歯車素子50a、50bは、互いに噛合すると共
に、一方の遊星歯車素子50aを上記第三の太陽歯車4
9に、他方の遊星歯車素子50bを、上記第二のキャリ
ア35aの周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車3
8aに、それぞれ噛合させている。又、上記リング歯車
48と上記第二のキャリア35aとを低速用クラッチ3
9aにより係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯
車38aとハウジング等の固定の部分とを、高速用クラ
ッチ40aにより係脱自在としている。
【0025】この様に構成する改良された無段変速装置
の場合、上記低速用クラッチ39aを接続し、上記高速
用クラッチ40aの接続を断った状態では、上記入力軸
1の動力が上記リング歯車48を介して上記出力軸37
aに伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機24
の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての
変速比eCVT 、即ち、上記入力軸1と上記出力軸37a
との間の変速比が変化する。この際のトロイダル型無段
変速機24の変速比eCVU と無段変速装置全体としての
変速比eCVT との関係は、上記リング歯車48の歯数m
48と前記第一の太陽歯車46の歯数m46との比をi1
(=m48/m46)とした場合に、次の(1)式で表され
る。 eCVT =(eCVU +i1 −1)/i1 −−− (1) そして、例えば上記歯数同士の比i1 が2である場合
に、上記両変速比eCVU、eCVT 同士の関係が、図8に
線分αで示す様に変化する。
【0026】これに対して、上記低速用クラッチ39a
の接続を断ち、上記高速用クラッチ40aを接続した状
態では、上記入力軸1の動力が前記第一の遊星歯車4
1、上記リング歯車48、前記第二の遊星歯車42、前
記伝達軸45、前記各遊星歯車素子50a、50b、上
記第二のキャリア35aを介して、上記出力軸37aに
伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機24
の変速比eCVU を変える事により、無段変速装置全体と
しての変速比eCVT が変化する。この際のトロイダル型
無段変速機24の変速比eCVU と無段変速装置全体とし
ての変速比eCVTとの関係は、次の(2)式の様にな
る。尚、この(2)式中、i1 は上記リング歯車48の
歯数m48と前記第一太陽歯車46の歯数m46との比(m
48/m46)を、i2 は上記リング歯車48の歯数m48
前記第二の太陽歯車47の歯数m47との比(m48
47)を、i3 は前記第二のリング歯車38aの歯数m
38と前記第三の太陽歯車49の歯数m49との比(m38
49)を、それぞれ表している。 eCVT ={1/(1−i3 )}・{1+(i2 /i1 )(eCVU −1)} −−− (2) そして、上記各比のうち、i1 が2、i2 が2.2、i
3 が2.8である場合に、上記両変速比eCVU 、eCVT
同士の関係が、図8に線分βで示す様に変化する。
【0027】上述の様に構成し作用する無段変速装置の
場合、図8の線分αから明らかな通り、前記入力軸1を
回転させた状態のまま、上記出力軸37aを停止させ
る、所謂変速比無限大の状態を造り出せる。但し、この
様に入力軸1を回転させた状態のまま上記出力軸37a
を停止させたり、或は極く低速で回転させる状態では、
前述した通り、上記トロイダル型無段変速機24を通過
するトルクが、駆動源であるエンジンから上記入力軸1
に加えられるトルクよりも大きくなる。この為、車両の
停止時又は微速運行時には、上記トロイダル型無段変速
機24を通過するトルクが過大(或は過小に)にならな
い様にする為、駆動源から上記入力軸1に入力されるト
ルクを適正に規制する必要がある。
【0028】又、上記微速運行時、出力軸37aを停止
させる状態に近い状態、即ち、上記無段変速装置の変速
比が非常に大きく、上記入力軸1の回転速度に比べて上
記出力軸37aの回転速度が大幅に遅い状態では、この
出力軸37aに加わるトルクが、上記無段変速装置の変
速比の僅かな変動により、大幅に変動する。この為、円
滑な運転操作を確保する為に、やはり駆動源から上記入
力軸1に入力されるトルクを適正に規制する必要があ
る。
【0029】尚、この様な低速モード状態での加速若し
くは定速走行時に、上記トロイダル型無段変速機24を
通過するトルクは、前述の図6に示す従来構造と同様
に、入力軸1からキャリヤ26a及び第一の遊星歯車4
1と第一の太陽歯車46と中空回転軸31aとを介して
出力側ディスク5aに加わり、更にこの出力側ディスク
5aから各パワーローラ6、6を介して各入力側ディス
ク2、2に加わる。即ち、加速若しくは定速走行時に上
記トロイダル型無段変速機を通過するトルクは、上記各
入力側ディスク2、2が上記各パワーローラ6、6から
トルクを受ける方向に循環する。
【0030】この為に、先発明による変速比の制御方法
及び装置の場合には、図9に示す様にして、上記駆動源
から上記入力軸1に入力されるトルクを適正に規制する
様にしている。先ず、上記駆動源であるエンジンの回転
速度を大まかに制御する。即ち、このエンジンの回転速
度を、図9のw範囲内の点aに規制する。これと共に、
この制御されたエンジンの回転速度に上記無段変速装置
の入力軸1の回転速度を一致させる為に必要とされる、
上記トロイダル型無段変速機24の変速比を設定する。
この設定作業は、前述の(1)式に基づいて行なう。即
ち、先発明の方法によりエンジンから上記入力軸1に伝
達するトルクを厳密に規制する必要があるのは、前記低
速用クラッチ39aを接続し、前記高速用クラッチ40
aの接続を断った、所謂低速モード時である。従って、
上記入力軸1の回転速度を、必要とする出力軸37aの
回転速度に対応した値とすべく、上記(1)式により、
上記トロイダル型無段変速機24の変速比を設定する。
【0031】又、上記トロイダル型無段変速機24に組
み込んだトラニオン7、7を枢軸9、9の軸方向に変位
させる為の油圧式のアクチュエータ10、10を構成す
る1対の油圧室51a、51b(図5、11参照)の圧
力差を、図示しない油圧センサにより測定する。この油
圧測定作業は、上記エンジンの回転速度を大まか(但し
回転速度を一定に保つ状態)に制御し、これに対応し
て、上述の様に、(1)式により上記トロイダル型無段
変速機24の変速比を設定した状態で行なう。そして、
測定作業に基づいて求めた上記圧力差により、上記トロ
イダル型無段変速機24を通過するトルクTCVU を算出
する。
【0032】即ち、上記圧力差は、上記トロイダル型無
段変速機24の変速比が一定である限り、このトロイダ
ル型無段変速機24を通過するトルクTCVU に比例する
為、上記圧力差により、このトルクTCVU を求める事が
できる。この理由は、前述した様に、上記各アクチュエ
ータ10、10が、入力側ディスク2、2から上記各出
力側ディスク4、4に伝達されるトルク(=トロイダル
型無段変速機24を通過するトルクTCVU )に比例する
大きさを有する、2Ftなる力を支承する為である。
【0033】一方、上記トルクTCVU は、次の(3)式
によっても求められる。 TCVU =eCVU ・TIN/{eCVU +(i1 −1)ηCVU } −−− (3) この(3)式中、eCVU は上記トロイダル型無段変速機
24の変速比を、TINは上記エンジンから前記入力軸1
に入力されるトルクを、i1 は第一の遊星歯車41に関
する遊星歯車変速機の歯数比(リング歯車48の歯数m
48と第一の太陽歯車46の歯数m46との比)を、ηCVU
は上記トロイダル型無段変速機24の効率を、それぞれ
表している。
【0034】そこで、上記圧力差から求めた、実際にト
ロイダル型無段変速機24を通過するトルクTCVU1と、
上記(3)式から求めた、目標とする通過トルクTCVU2
とに基づいて、この実際に通過するトルクTCVU1と目標
値TCVU2との偏差△T(=T CVU1−TCVU2)を求める。
そして、この偏差△Tを解消する(△T=0とする)方
向に、上記トロイダル型無段変速機24の変速比を調節
する。尚、上記トルクの偏差△Tと、上記圧力差の偏差
とは比例関係にあるので、上記変速比の調節作業は、ト
ルクの偏差によっても、圧力差の偏差によっても行なえ
る。即ち、トルクの偏差による変速比制御と、圧力差の
偏差による変速比制御とは、技術的に見て全く同じ事で
ある。
【0035】例えば、図9に示す様に、上記トロイダル
型無段変速機24を実際に通過するトルクTCVU1(測定
値)を目標値TCVU2に規制する領域で、前記エンジンが
前記入力軸1を駆動するトルクTINが、この入力軸1の
回転速度が高くなる程急激に低くなる方向に変化する場
合に就いて考える。この様なエンジンの特性は、電子制
御されたエンジンであれば、低速回転域でも容易に得ら
れる。この様なエンジン特性を有する場合で、上記トル
クの測定値TCVU1が同じく目標値TCVU2に比べて、各入
力側ディスク2、2が各パワーローラ6、6(図4〜6
参照)からトルクを受ける方向の偏差を有する場合に
は、上記入力軸1を駆動するトルクTINを小さくする為
にエンジンの回転速度を増大すべく、無段変速装置全体
としての変速比を減速側に変位させる。この為に、上記
トロイダル型無段変速機24の変速比を、増速側に変速
する。但し、ブレーキペダルを踏んで停止した状態(出
力軸の回転速度=0)では、上記トロイダル型無段変速
機24の内部で生じる滑り、即ち、入力側、出力側各デ
ィスク2、5aの内側面と各パワーローラ6、6の周面
(図4〜8参照)との当接部(トラクション部)で生じ
る滑りにより吸収できる範囲内で、上記トロイダル型無
段変速機24の変速比の制御を行なう。従って、この変
速比を調節できる許容範囲は、上記当接部に無理な力が
加わらない範囲に止まり、低速走行時の場合に比べて限
られたものとなる。
【0036】例えば、図9で、上記目標値TCVU2がa点
に存在する場合に、上記測定値TCV U1が同図のb点に存
在する場合には、上記各入力側ディスク2、2が上記パ
ワーローラ6、6からトルクを受ける方向の偏差を有す
る状態となる。そこで、上記トロイダル型無段変速機2
4の変速比eCVU を増速側に変更して、無段変速装置
(T/M)全体としての変速比eCVT を減速側に変更す
る。これに合わせてエンジンの回転速度を増速し、トル
クを下げる。反対に、上記測定値TCVU1が同図のc点に
存在する場合には、上記各入力側ディスク2、2が上記
パワーローラ6、6にトルクを付加する方向の偏差を有
する状態となる。この場合には、上述した場合とは逆
に、上記トロイダル型無段変速機24の変速比eCVU
減速側に変更して、無段変速装置(T/M)全体として
の変速比eCVT を増速側に変更する。これに合わせて、
エンジンの回転速度を減速してトルクを上昇させる。
【0037】以下、上記圧力差から求めた、実際にトロ
イダル型無段変速機24を実際に通過するトルクTCVU1
が目標値に一致するまで、上述した動作を繰り返し行な
う。即ち、1回のトロイダル型無段変速機24の変速制
御だけでは、このトロイダル型無段変速機24を通過す
るトルクTCVU1を目標値TCVU2に一致させられない場合
には、上述した動作を繰り返し行なう。この結果、前記
エンジンが前記入力軸1を回転駆動するトルクTINを、
このトロイダル型無段変速機24を通過するトルクT
CVU を目標値TCVU2にする値に近付ける事ができる。
尚、この様な動作は、無段変速装置の制御器に組み込ん
だマイクロコンピュータからの指令により、自動的に、
且つ、短時間の間に行なわれる。
【0038】尚、図10は、上記トロイダル型無段変速
機24を通過するトルクTCVU と上記エンジンが上記入
力軸1を回転駆動するトルクTINとの比(左側縦軸)
と、無段変速装置全体としての変速比eCVT (横軸)
と、上記トロイダル型無段変速機24の変速比eCVU
(右側縦軸)との関係を示している。実線aが上記通過
トルクTCVU と駆動トルクTINとの比と、無段変速装置
全体としての変速比eCVT との関係を、破線bが上記両
変速比eCVT 、eCVU 同士の関係を、それぞれ示してい
る。先発明の場合、上記無段変速装置全体としての変速
比eCVT を所定値に規制した状態で、上記トロイダル型
無段変速機24を実際に通過するトルクTCVU1を上記実
線a上の点で表される目標値(TCVU2)に規制すべく、
上記トロイダル型無段変速機24の変速比eCVU を規制
するものである。
【0039】先発明の場合、この様に上記トロイダル型
無段変速機24を実際に通過するトルクTCVU1を前記目
標値TCVU2である上記実線a上の点に規制する為の制御
を2段階に分けて、即ち、エンジンの回転速度を大まか
に、即ち、上記目標値TCVU2を得られるであろうと考え
られる回転速度に制御した後、この回転速度に合わせて
トロイダル型無段変速機24の変速比制御を行なう。こ
の為、従来方法の様なオーバシュートを生じさせる事な
く、或は仮に生じたとしても実用上問題ない程度に低く
抑えて、上記トロイダル型無段変速機24を実際に通過
するトルクTCV U1を上記目標値TCVU2に規制できる。
【0040】次に、上述の様にトロイダル型無段変速機
24を実際に通過するトルクTCVU1を目標値TCVU2に一
致させるべく、このトロイダル型無段変速機24の変速
比を制御する部分の回路に就いて、図11により説明す
る。トラニオン7を枢軸9、9(図5参照)の軸方向
(図11の上下方向)に変位させる為の油圧式のアクチ
ュエータ10を構成する1対の油圧室51a、51b
に、制御弁12を通じて、圧油を給排自在としている。
この制御弁12を構成するスリーブ14は、ステッピン
グモータ13により、ロッド52とリンク腕53とを介
して軸方向に変位自在としている。又、上記制御弁12
を構成するスプール15は、リンク腕19とプリセスカ
ム18とロッド17とを介して上記トラニオン7と係合
させ、このトラニオン7の軸方向変位及び揺動変位に伴
って、軸方向に変位自在としている。以上の構成は、従
来から知られている、トロイダル型無段変速機の変速比
制御機構と、基本的に同じである。
【0041】特に先発明の場合には、上記スリーブ14
を、上記ステッピングモータ13により駆動するのに加
えて、油圧式の差圧シリンダ54によっても駆動する様
にしている。即ち、上記スリーブ12に基端部を結合し
た上記ロッド52の先端部を上記リンク腕53の中間部
に枢支すると共に、このリンク腕53の両端部に設けた
長孔に、上記ステッピングモータ13或は上記差圧シリ
ンダ54の出力部に設けたピンを係合させている。上記
リンク腕53の一端部に設けた長孔内のピンが押し引き
される場合、他端部の長孔内のピンは支点となる。この
様な構成により、上記スリーブ12を、上記ステッピン
グモータ13による他、上記差圧シリンダ54によって
も軸方向に変位させられる様にしている。先発明の場
合、この差圧シリンダ54による上記スリーブ12の変
位により、上記トロイダル型無段変速機24を通過する
トルクTCVU に応じてこのトロイダル型無段変速機24
の変速比eCVU を調節する様にしている。
【0042】この為に先発明の場合には、上記差圧シリ
ンダ54に設けた1対の油圧室55a、55b内に、補
正用制御弁56を通じて、互いに異なる油圧を導入自在
としている。これら各油圧室55a、55bに導入され
る油圧は、前記アクチュエータ10を構成する1対の油
圧室51a、51b内に作用する油圧Pdown、Pupの差
圧△Pと、上記補正用制御弁56の開度調節用の1対の
電磁弁57a、57bの出力圧の差圧△P0 とに基づい
て決定される。即ち、これら電磁弁57a、57bの開
閉は、これら電磁弁57a、57bの出力圧の差圧△P
0 が前記トロイダル型無段変速機24の目標トルクT
CVU2に対応する目標差圧となる様に、図示しない制御器
(コントローラ)により演算され、この制御器から出力
される出力信号に基づいて制御される。従って、上記補
正用制御弁56を構成するスプール58には、上記アク
チュエータ10の油圧室51a、51b内に作用する油
圧の差圧△Pに応じた力と、これに対抗する力となる、
上記目標トルクTCVU2に対応する目標差圧である上記電
磁弁57a、57bの出力圧の差圧△P0 とが作用す
る。
【0043】上記トロイダル型無段変速機24を実際に
通過するトルクTCVU1と上記目標トルクTCVU2とが一致
する場合、即ちこれら通過トルクCVU1と目標トルクT
CVU2との差△Tが0の場合には、上記アクチュエータ1
0の油圧室51a、51b内に作用する油圧の差圧△P
に応じた力と、上記電磁弁57a、57bの出力圧の差
圧△P0 に応じた力とが釣り合う。この為、上記補正用
制御弁56を構成するスプール58は中立位置となり、
上記差圧シリンダ54の油圧室55a、55bに作用す
る圧力も等しくなる。この状態では、この差圧シリンダ
54のスプール70は中立位置となり、上記トロイダル
型無段変速機24の変速比は変わらない(補正されな
い)。
【0044】一方、上記トロイダル型無段変速機24を
実際に通過するトルクTCVU1と上記目標トルクTCVU2
に差が生じると、上記アクチュエータ10の油圧室51
a、51b内に作用する油圧の差圧△Pに応じた力と、
上記電磁弁57a、57bの出力圧の差圧△P0 に応じ
た力との釣り合いが崩れる。そして、上記通過トルクT
CVU1と目標トルクTCVU2との差△Tの大きさ及び方向に
応じて上記補正用制御弁56を構成するスプール58が
軸方向に変位し、上記差圧シリンダ54の油圧室55
a、55b内に、上記△Tの大きさ及び方向に応じた適
切な油圧が導入される。そしてこの結果、上記差圧シリ
ンダ54のスプール70が軸方向に変位し、これに伴っ
て、前記制御弁12を構成するスリーブ14が軸方向に
変位する。この結果、前記トラニオン7が枢軸9、9の
軸方向に変位して、上記トロイダル型無段変速機24の
変速比が変わる(補正される)。尚、この様にして変速
比が変化する方向、及び変化する量は、前述の図9〜1
0により説明した通りである。又、この様にトロイダル
型無段変速機24の変速比が変位する量、即ち補正され
る量(変速比の補正量)は、このトロイダル型無段変速
機24の変速比幅に対して十分小さいものである。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】上述した先発明に係る
無段変速装置、並びに前述した従来から知られているト
ロイダル型無段変速機は、何れの構造の場合でも、トラ
ニオン7を軸方向に変位させる為のアクチュエータ10
への圧油の給排を制御する為の制御弁12のスリーブ1
4を、ステッピングモータ13で駆動する様にしてい
る。この為、このステッピングモータ13に関して、断
線等の制御回路の故障、焼き付等が生じ、上記スリーブ
14の位置を適正に調節できなくなった場合に、車両の
運行が全く行なえなくなる可能性がある。
【0046】即ち、制御回路が故障したり、或は焼き付
き等のステッピングモータ13自体の故障が生じた場合
には、その時点で上記スリーブ14の位置が固定される
可能性がある。上記制御弁12を構成するスリーブ14
とスプール15との間に付勢ばね59(図11参照)を
設ければ、焼き付き等により、上記ステッピングモータ
13の出力部がロックされない限り、トロイダル型無段
変速機24の変速比が、減速側或は増速側の最大値に固
定される。何れにしても、故障時には無段変速装置の変
速比が固定される。この場合、固定された変速比によっ
ては、車両の運行を継続し、例えば道路の中央に停車し
た車両を路肩部分に寄せる等の緊急対応も行なえなくな
る可能性がある。
【0047】例えば、図6〜7に示す様な、入力軸を回
転させた状態のまま出力軸を停止させる、無限大の変速
比を実現する変速装置を車両に搭載する場合、トルクコ
ンバータ等の発進クラッチを省略する事が考えられる。
従って、無段変速装置の変速比が有限の状態で上記故障
が発生してこの変速比が固定され、且つ、車両が停止し
た場合には、エンジンが停止し、しかもこのエンジンの
始動を行なえなくなる。即ち、この場合には、エンジン
の負荷が過大となり、停止に伴ってこのエンジンが停止
する事に加え、セルモータによるエンジンの始動が不能
になる。この結果、上記緊急対応を行なえなくなる。従
って、上記無限大の変速比を実現する変速装置の場合に
は、故障時に変速比が無限大の状態となり、しかもエン
ジンの回転速度を変える事により、車両を低速でも走行
可能にできる構造の実現が望まれる。
【0048】一方、現在実用化されている、トロイダル
型無段変速機単独で(遊星歯車式変速機と組み合わせる
事なく)変速装置の主要部を構成する変速装置の場合、
この変速装置とエンジンとの間に、トルクコンバータを
組み付けている。この為、故障の結果固定された変速比
がどの様な値であっても、エンジンの始動を行なえなく
なる事はない。但し、故障後に最低限の走行性能を確保
する為には、故障に伴って固定される変速比が、中間の
変速比となる事が好ましい。即ち、加速性能は乏しくて
も、一応発進が可能であり、しかも或る程度の距離を修
理工場まで自走できる様に、故障時に中間の変速比に固
定される構造が、緊急時の対応を容易にする為には好ま
しい。本発明のトロイダル型無段変速機及び無段変速装
置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0049】
【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無
段変速機及び無段変速装置のうち、請求項1に記載した
トロイダル型無段変速機は、例えば前述の図3〜5に示
した様な、従来から知られているトロイダル型無段変速
機と同様に、少なくとも1対のディスクと、複数個のパ
ワーローラと、複数個のトラニオンと、油圧式のアクチ
ュエータと、制御弁と、変速比設定用アクチュエータと
を備える。このうちの各ディスクは、相対回転を自在と
して互いに同心に支持されている。又、上記各パワーロ
ーラは、上記両ディスク同士の間に挟持されている。
又、上記各トラニオンは、上記各パワーローラを回転自
在に支持している。又、上記油圧式のアクチュエータ
は、上記各トラニオンをそれぞれ、これら各トラニオン
の傾斜中心となる枢軸の軸方向に変位させるものであ
る。又、上記制御弁は、上記油圧式のアクチュエータへ
の圧油の給排を制御するものである。更に、上記変速比
設定用アクチュエータは、上記1対のディスク同士の間
の変速比を所望値に規制すべく、上記制御弁の構成部材
の一部を変位させるものである。
【0050】特に、本発明のトロイダル型無段変速機に
於いては、上記変速比設定用アクチュエータは、油圧室
内への圧油の給排により出力部材を変位させる油圧式の
ものである。且つ、この油圧室内の油圧が喪失若しくは
この油圧室内の油圧を制御する電磁弁の駆動信号が絶た
れた場合に上記出力部材を所定位置に移動させる復帰手
段が設けられている。そして、この所定位置を、トロイ
ダル型無段変速機を搭載した車両の運行が可能な変速比
に対応する位置としている。尚、好ましくは、請求項2
に記載した様に、上記復帰手段を、出力部材に固定され
てこの出力部材と共に変位する部分と、この変位する部
分を収納したシリンダとの間に設けた復帰ばねとする。
そして、上記出力部材とこの出力部材に隣接して動かな
い部分との間に、この出力部材が所定位置から変位する
事に対する抵抗となる位置決め機構を設ける。
【0051】又、請求項3に記載した無段変速装置は、
トロイダル型無段変速機と、複数の歯車を組み合わせて
成る歯車式の差動ユニットと、低速モードと高速モード
とを切り換える為のクラッチ機構とを組み合わせて成
る。そして、このうちの低速モード時にはトロイダル型
無段変速機の変速比を調節して上記差動ユニットを構成
する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事で、駆
動源により入力軸を一方向に回転させた状態のまま出力
軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転に変換
自在とする。又、上記高速モード時には上記出力軸の回
転状態を変える事なく、上記トロイダル型無段変速機の
変速比を変える事により上記入力軸と上記出力軸との間
の変速比を変更する。
【0052】特に、本発明の無段変速装置に於いては、
上記トロイダル型無段変速機が、上述の様な、請求項1
〜2の何れかに記載したトロイダル型無段変速機であ
る。又、好ましくは請求項4に記載した様に、上記トロ
イダル型無段変速機の変速比を制御する制御装置を、こ
のトロイダル型無段変速機を通過するトルクを目標値に
すべく、駆動源の回転速度を大まかに制御すると共に、
上記トロイダル型無段変速機の変速比を、この制御され
た駆動源の回転速度に上記無段変速装置の入力軸の回転
速度を一致させる為に必要とされる値に設定し、且つ、
アクチュエータを構成する1対の油圧室の圧力差を測定
して上記トロイダル型無段変速機を通過するトルクを算
出した後、このトルクの算出値と上記目標値とに基づい
て、上記実際に上記トロイダル型無段変速機を通過する
トルクの目標値に対する偏差を求め、この偏差を解消す
る方向にこのトロイダル型無段変速機の変速比を調節す
る機能を有するものとする。この場合に好ましくは、請
求項5に記載した様に、低速モード状態での油圧室内の
油圧喪失時にトロイダル型無段変速機の変速比を、入力
軸を回転させた状態のまま出力軸を停止状態とする値に
設定する。
【0053】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段
変速機及び無段変速装置の場合には、故障時にも車両を
必要最小限走行させたりエンジンを始動させる事が可能
になり、緊急時の対応を容易にできる。
【0054】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の1例として、本発明を、前述の図7〜11に示した様
な、先発明に係る無段変速装置に適用した場合に就いて
示している。尚、本例の特徴は、変速比変換の為に制御
弁12のスリーブ14を軸方向に変位させる為の機構が
故障し、エンジンが停止した場合にも、このエンジンの
起動を可能にし、且つ、緊急避難の為の低速走行を可能
にする為の構造にある。その他の部分の構造及び作用
は、上記先発明に係る無段変速装置と同様であるから、
同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略
にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。尚、
図1に示した部分に就いても、前述の図11と同等部分
には同一符号を付して、重複する説明は省略若しくは簡
略にする。
【0055】揺動に伴って上記スリーブ14を軸方向に
変位させる為のリンク腕53の一端部に変速比設定用ア
クチュエータ60の出力ロッド61の先端部を、前述の
図11に示した先発明に係る構造と同様に、長孔とピン
との係合等により結合している。上記変速比設定用アク
チュエータ60は、シリンダ62内に油密に嵌装したピ
ストン63の両側に存在する1対の油圧室64a、64
b内への圧油の給排により、出力部材である上記出力ロ
ッド61を軸方向に変位させる油圧式のものである。
【0056】即ち、油溜65から吸引されて加圧ポンプ
66により吐出され、調圧弁67により所定圧に調整さ
れた圧油を、1対の電磁弁68a、68bの開閉制御に
より、上記両油圧室64a、64bのうちに一方に送り
込み、他方の油を上記油溜65に排出する様にしてい
る。そして、上記両電磁弁68a、68bの開度(開閉
時間)を制御する事により、上記両油圧室64a、64
b内への油の給排量及び給排方向を適正に規制し、上記
出力ロッド61の変位方向及び変位量を適切に調整自在
としている。尚、上記両電磁弁68a、68bは何れ
も、通電に伴って上記加圧ポンプ66の吐出口と何れか
の油圧室64a、64bとを通じさせ、通電停止に伴っ
て、これら油圧室64a、64bを上記油溜65に通じ
させるものを使用している。従って、上記両電磁弁68
a、68bの制御回路の故障時には、上記両油圧室64
a、64b内の油圧が、何れも喪失する。
【0057】そして、上記両油圧室64a、64b内の
油圧が喪失した場合に上記出力ロッド61を所定位置に
移動させる復帰手段を設けている。本例の場合にこの復
帰手段は、上記出力ロッド61の基端部が固定された上
記ピストン63の軸方向両側面と、上記シリンダ62の
軸方向両内端面との間に設けた、それぞれが圧縮コイル
ばねである、1対の復帰ばね69a、69bにより構成
している。即ち、上記両油圧室64a、64b内の油圧
が喪失した場合に上記ピストン63は、上記シリンダ6
2の軸方向中間部で上記両復帰ばね69a、69bの弾
性が釣り合う所定位置にまで、これら両復帰ばね69
a、69bのうちで大きな弾性を有する(より大きく圧
縮されている)復帰ばねにより、変位させられる。
【0058】又、図示は省略するが、好ましくは、上記
出力ロッド61の一部で上記シリンダ61から突出した
部分と、無段変速装置のケーシングの一部等、上記出力
ロッド61に隣接して動かない部分との間に、この出力
ロッド61が上記所定位置から変位する事に対する抵抗
となる位置決め機構を設ける。この様な位置決め機構と
しては、ディテント機構と呼ばれる、周知の構造を利用
できる。即ち、上記出力ロッド61自体、若しくはこの
出力ロッド61に固定した部材に、摺鉢状の凹孔を設
け、上記動かない部分にシリンダ筒を、この出力ロッド
61の軸方向に対し直交する方向に支持する。そして、
このシリンダ筒内に保持したボールを、この出力ロッド
61に向け、弾性的に押圧する。この出力ロッド61が
上記復帰ばね69a、69bにより上記所定位置近傍に
まで変位した状態では、上記ボールが上記凹孔の底部に
嵌り込んで、上記出力ロッド61の軸方向に関する位置
を厳密に規制する。尚、上記位置決め機構による抵抗は
小さい為、上記油圧室64a、64b内への圧油の給排
時には、上記凹孔から上記ボールが円滑に抜け出る。従
って、上記位置決め機構の存在が、トロイダル型無段変
速機24の変速比調節に関して悪影響を及ぼす事はな
い。
【0059】特に、本例の場合には、上記出力ロッド6
1が上記両復帰ばね69a、69bにより変位させられ
る上記所定位置を、次の様に規制している。即ち、前述
の図6或は図7に示した様な無段変速装置を、低速用ク
ラッチ39、39aを繋ぎ、高速用クラッチ40、40
aの接続を断った状態で運転する低速モード状態で、上
記無段変速装置の変速比が、入力軸1を回転させた状態
のまま出力軸37、37aを停止状態とする値に設定し
ている。
【0060】即ち、上記図6或は図7に示した無段変速
装置の変速比(T/M変速比)は、この無段変速装置に
組み込んだトロイダル型無段変速機24の変速比(CV
U変速比)に応じて図2の線分α、βの様に変化する。
このうち、低速モード時に於ける両変速比を表す線分α
から明らかな通り、本例の場合には、上記トロイダル型
無段変速機24の変速比が−1.85程度の場合に無段
変速装置全体としての変速比が無限大になる。本例の場
合、上記両復帰ばね69a、69bの弾力及びストロー
ク、並びに上記位置決め機構の設置位置に関連する上記
所定位置を、上記トロイダル型無段変速機24の変速比
を−1.85程度にする位置に設定している。
【0061】上述の様に構成する為、上記トロイダル型
無段変速機24の変速比制御部分のうち、電磁弁68
a、68b部分が故障すると、上記低速モード時には、
上記無段変速装置全体としての変速比が無限大になる。
この状態では、出力軸が停止した状態でも入力軸を回転
させられる為、この入力軸にそのクランクシャフトを結
合したエンジンの始動が可能になる。更に、上記無段変
速装置が、前述の図9に示した先発明の制御機構を備え
たものであれば、上記エンジンのトルクを変える事によ
り、上記無段変速装置の変速比を無限大から少し変化さ
せる事ができる。即ち、上記制御機構を備えた無段変速
装置の場合には、アクセルペダルにより上記エンジンの
トルクを変える事により、差動シリンダ54が、リンク
腕53を介して、制御弁12のスリーブ14を軸方向に
変位させる。この結果、上記電磁弁68a、68b部分
の故障時でも、上記無段変速装置の変速比が無限大から
変化し、車両を低速で走行させる事が可能になる。従っ
て、道路の中央に停車した車両を路肩に退避させる等の
緊急措置が可能になる。
【0062】一方、前記低速用クラッチ39、39aの
接続を断ち、前記高速用クラッチ40、40aを接続し
た状態で運転する高速モード状態で、上記電磁弁68
a、68b部分が故障した場合には、上記無段変速装置
全体としての変速比は、図2から明らかな通り、1.6
程度となる。この1.6なる変速比は、高速モード状態
で実現される変速比のうちで中間の値である。従って、
故障の直前までの変速比との間の差を少なく抑えられ
る。この結果、高速走行時に故障が発生した場合でも、
変速比の急変を抑えて、車両の走行安定性を確保でき
る。
【0063】尚、以上に述べた説明は、トロイダル型無
段変速機24と遊星歯車式変速機25、25aとを組み
合わせて無限大の変速比を実現する、所謂ギヤード・ニ
ュートラルと呼ばれる無段変速装置に本発明を適用した
場合に就いて説明した。これに対して本発明は、トロイ
ダル型無段変速機単独で(遊星歯車式変速機と組み合わ
せる事なく)変速装置の主要部を構成する変速装置でも
実施できる。或はトロイダル型無段変速機と遊星歯車式
変速機とを組み合わせるが、低速モードではトロイダル
型無段変速機のみで動力を伝達し、高速モードでは主と
して遊星歯車式変速機により動力を伝達する、所謂パワ
ー・スプリットと呼ばれる無段変速装置でも実施でき
る。これらの変速装置の場合、当該変速装置とエンジン
との間に、トルクコンバータを組み付けている為、停車
時のエンジン始動を確保する面からは、故障時の変速比
を規制する考慮は不要である。そこで、これらの変速装
置で本発明を実施する場合には、故障時にも最低限の走
行性能を確保する為、故障に伴って固定される変速比が
中間の変速比となる様に、故障時に於ける前記出力ロッ
ド61の所定位置を規制する。
【0064】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機及び無
段変速装置は、以上に述べた通り構成され作用するの
で、故障時にも搭載した車両の最低限の走行性能を確保
して、緊急避難作業の容易化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトロイダル型無段変速機の変速比を調
節する為の機構を示す油圧回路図。
【図2】無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変
速機(CVU)の変速比と、この無段変速装置(T/
M)全体としての変速比との関係を示す線図。
【図3】従来から知られているトロイダル型無段変速機
の1例を示す断面図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】同B−B断面図。
【図6】従来から知られている無段変速装置の1例を示
す略断面図。
【図7】先発明に係る制御方法及び装置により変速比を
制御する無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図8】この無段変速装置に組み込んだトロイダル型無
段変速機(CVU)の変速比と、この無段変速装置(T
/M)全体としての変速比との関係を示す線図。
【図9】先発明に係る変速比の制御方法を説明する為、
エンジンの回転速度とトルクとの関係を示す線図。
【図10】トロイダル型無段変速機を通過するトルク及
び変速比と、無段変速装置全体としての変速比との関係
を示す線図。
【図11】先発明の無段変速装置の変速比を調節する為
の機構を示す油圧回路図。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 3 ボールスプライン 4 出力歯車 5、5a 出力側ディスク 6 パワーローラ 7 トラニオン 8 支持軸 9 枢軸 10 アクチュエータ 11 支持板 12 制御弁 13 ステッピングモータ 14 スリーブ 15 スプール 16 ピストン 17 ロッド 18 プリセスカム 19 リンク腕 20 同期ケーブル 21 カム面 22 駆動軸 23 押圧装置 24 トロイダル型無段変速機 25、25a 遊星歯車式変速機 26、26a キャリア 27a、27b 遊星歯車素子 28 第一の伝達軸 29a、29b 太陽歯車 30 第二の伝達軸 31、31a 中空回転軸 32 太陽歯車 33 遊星歯車素子 34 リング歯車 35、35a 第二のキャリア 36a、36b 遊星歯車素子 37、37a 出力軸 38、38a 第二のリング歯車 39、39a 低速用クラッチ 40、40a 高速用クラッチ 41 第一の遊星歯車 42 第二の遊星歯車 43a、43b 遊星歯車素子 44a、44b 遊星歯車素子 45 伝達軸 46 第一の太陽歯車 47 第二の太陽歯車 48 リング歯車 49 第三の太陽歯車 50a、50b 遊星歯車素子 51a、51b 油圧室 52 ロッド 53 リンク腕 54 差動シリンダ 55a、55b 油圧室 56 補正用制御弁 57a、57b 電磁弁 58 スプール 59 付勢ばね 60 変速比設定用アクチュエータ 61 出力ロッド 62 シリンダ 63 ピストン 64a、64b 油圧室 65 油溜 66 加圧ポンプ 67 調圧弁 68a、68b 電磁弁 69a、69b 復帰ばね 70 スプール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対回転を自在として互いに同心に支持
    された、少なくとも1対のディスクと、これら両ディス
    ク同士の間に挟持された複数個のパワーローラと、これ
    ら各パワーローラを回転自在に支持した複数個のトラニ
    オンと、これら各トラニオンをそれぞれ、これら各トラ
    ニオンの傾斜中心となる枢軸の軸方向に変位させる油圧
    式のアクチュエータと、このアクチュエータへの圧油の
    給排を制御する制御弁と、上記1対のディスク同士の間
    の変速比を所望値に規制すべく、この制御弁の構成部材
    の一部を変位させる変速比設定用アクチュエータとを備
    えたトロイダル型無段変速機に於いて、この変速比設定
    用アクチュエータは、油圧室内への圧油の給排により出
    力部材を変位させる油圧式のものであり、且つ、この油
    圧室内の油圧が喪失若しくはこの油圧室内の油圧を制御
    する電磁弁の駆動信号が絶たれた場合に上記出力部材を
    所定位置に移動させる復帰手段が設けられており、この
    所定位置を、トロイダル型無段変速機を搭載した車両の
    運行が可能な変速比に対応する位置とした事を特徴とす
    るトロイダル型無段変速機。
  2. 【請求項2】 復帰手段が、出力部材に固定されてこの
    出力部材と共に変位する部分と、この変位する部分を収
    納したシリンダとの間に設けた復帰ばねであり、上記出
    力部材とこの出力部材に隣接して動かない部分との間
    に、この出力部材が所定位置から変位する事に対する抵
    抗となる位置決め機構を設けた、請求項1に記載したト
    ロイダル型無段変速機。
  3. 【請求項3】 トロイダル型無段変速機と、複数の歯車
    を組み合わせて成る歯車式の差動ユニットと、低速モー
    ドと高速モードとを切り換える為のクラッチ機構とを組
    み合わせて成り、このうちの低速モード時にはトロイダ
    ル型無段変速機の変速比を調節して上記差動ユニットを
    構成する複数の歯車の相対的変位速度を変化させる事
    で、駆動源により入力軸を一方向に回転させた状態のま
    ま出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転及び逆転
    に変換自在とし、上記高速モード時には上記出力軸の回
    転状態を変える事なく、上記トロイダル型無段変速機の
    変速比を変える事により上記入力軸と上記出力軸との間
    の変速比を変更する無段変速装置に於いて、上記トロイ
    ダル型無段変速機が、請求項1〜2の何れかに記載した
    トロイダル型無段変速機である事を特徴とする無段変速
    装置。
  4. 【請求項4】 トロイダル型無段変速機の変速比を制御
    する制御装置が、このトロイダル型無段変速機を通過す
    るトルクを目標値にすべく、駆動源の回転速度を大まか
    に制御すると共に、上記トロイダル型無段変速機の変速
    比を、この制御された駆動源の回転速度に無段変速装置
    の入力軸の回転速度を一致させる為に必要とされる値に
    設定し、且つ、アクチュエータを構成する1対の油圧室
    の圧力差を測定して上記トロイダル型無段変速機を通過
    するトルクを算出した後、このトルクの算出値と上記目
    標値とに基づいて、上記実際に上記トロイダル型無段変
    速機を通過するトルクの目標値に対する偏差を求め、こ
    の偏差を解消する方向にこのトロイダル型無段変速機の
    変速比を調節する機能を有するものである、請求項3に
    記載した無段変速装置。
  5. 【請求項5】 低速モード状態での油圧室内の油圧喪失
    時にトロイダル型無段変速機の変速比が、入力軸を回転
    させた状態のまま出力軸を停止状態とする値に設定され
    ている、請求項3〜4の何れかに記載した無段変速装
    置。
JP2002138598A 2002-05-14 2002-05-14 無段変速装置 Expired - Fee Related JP4192495B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002138598A JP4192495B2 (ja) 2002-05-14 2002-05-14 無段変速装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002138598A JP4192495B2 (ja) 2002-05-14 2002-05-14 無段変速装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003329125A true JP2003329125A (ja) 2003-11-19
JP2003329125A5 JP2003329125A5 (ja) 2005-09-08
JP4192495B2 JP4192495B2 (ja) 2008-12-10

Family

ID=29699997

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002138598A Expired - Fee Related JP4192495B2 (ja) 2002-05-14 2002-05-14 無段変速装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4192495B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005315672A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Nsk Ltd 車両用動き出し検知装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005315672A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Nsk Ltd 車両用動き出し検知装置
JP4725030B2 (ja) * 2004-04-28 2011-07-13 日本精工株式会社 車両用動き出し検知方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4192495B2 (ja) 2008-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4370842B2 (ja) 無段変速装置
JP6926379B2 (ja) 連続可変変速機
JP4168785B2 (ja) 無段変速装置用トロイダル型無段変速ユニットの変速比の制御方法及び装置
JP4378991B2 (ja) 無段変速装置
US20040092359A1 (en) Toroidal-type continuously variable transmission
JP2004245326A (ja) 無段変速装置
JP2004169719A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4066920B2 (ja) トロイダル型無段変速機用試験装置
JP2002310252A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4529442B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4192495B2 (ja) 無段変速装置
JP4479181B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP3960182B2 (ja) 無段変速装置
JP4010222B2 (ja) 無段変速装置
JP4029727B2 (ja) 無段変速装置
JP2003194208A (ja) トロイダル型無段変速機及び無段変速装置
JP4016745B2 (ja) 無段変速装置
JP4078981B2 (ja) 無段変速装置
JP4273927B2 (ja) 無段変速装置
JP2001107992A (ja) 無段変速機のための発進クラッチ制御装置
JP4285195B2 (ja) 無段変速装置
JP3698931B2 (ja) トロイダル型無段変速機の油圧回路
JP2004197934A (ja) 無段変速装置
US20050049109A1 (en) Continuously variable transmission apparatus
JP4379065B2 (ja) 無段変速装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050311

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050311

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080826

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111003

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121003

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131003

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees