JP2003328734A - 尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置 - Google Patents
尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置Info
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- JP2003328734A JP2003328734A JP2002134289A JP2002134289A JP2003328734A JP 2003328734 A JP2003328734 A JP 2003328734A JP 2002134289 A JP2002134289 A JP 2002134289A JP 2002134289 A JP2002134289 A JP 2002134289A JP 2003328734 A JP2003328734 A JP 2003328734A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来技術の欠点を解消し、より簡易な方法
で、尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置
を提供する。 【解決手段】 窒素酸化物を含む排ガスを流通させるた
めの排気管と、該排気管の途中に設けられた尿素水溶液
の吹込み手段と、該尿素水溶液の吹込み手段の後流に設
けられた、前記尿素を還元剤として前記排ガス中の窒素
酸化物を除去する脱硝触媒装置とを有する排ガス脱硝装
置であって、前記尿素水溶液の吹込み手段から脱硝触媒
装置に到る排気管の内壁面の少なくとも一部を、尿素の
加水分解を促進する機能を有する触媒成分で被覆したこ
とを特徴とする排ガス脱硝装置。
で、尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置
を提供する。 【解決手段】 窒素酸化物を含む排ガスを流通させるた
めの排気管と、該排気管の途中に設けられた尿素水溶液
の吹込み手段と、該尿素水溶液の吹込み手段の後流に設
けられた、前記尿素を還元剤として前記排ガス中の窒素
酸化物を除去する脱硝触媒装置とを有する排ガス脱硝装
置であって、前記尿素水溶液の吹込み手段から脱硝触媒
装置に到る排気管の内壁面の少なくとも一部を、尿素の
加水分解を促進する機能を有する触媒成分で被覆したこ
とを特徴とする排ガス脱硝装置。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、尿素を還元剤とし
て排ガス中の窒素酸化物を還元除去する排ガスの浄化に
好適に用いられる、尿素のスケール付着を防止した排気
管およびこれを用いた排ガス脱硝装置に関する。
て排ガス中の窒素酸化物を還元除去する排ガスの浄化に
好適に用いられる、尿素のスケール付着を防止した排気
管およびこれを用いた排ガス脱硝装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】ディーゼルエンジンは、コジェネレーシ
ョンシステムや、自動車、発電機などに多く用いられて
いるが、近年、地球環境保全に対する関心の高まりか
ら、これらエンジンから排出される排ガスの規制が強化
されている。これらの内、自動車排ガス浄化用の触媒に
は、通常、一酸化炭素（ＣＯ）及び炭化水素（ＨＣ）の
酸化とＮＯｘの還元とを同時に行う三元触媒（特公昭５
６−２７２９５）等が用いられるが、リーンバーンエン
ジンやディーゼルエンジンの場合、酸素過剰雰囲気であ
るため、一般の三元触媒ではＮＯｘが浄化しにくいとい
う問題が生じる。そこで、これら排ガスの浄化には、次
に示す方法、すなわち、(1)フィルタにより粒子状汚染
物質（ＰＭ）を除去後、窒素酸化物を除去する方法、
(2)Ｐｔなどの貴金属を担時した触媒上で炭化水素を還
元剤としてＮＯｘを還元する方法（特開平５−１０３９
８５）、(3)ＮＯｘ吸蔵触媒を用いる方法など、多くの
方法が提案されている。このなかで特に(1)の方法（以
下、尿素ＳＣＲ法と記す）は、例えばディーゼルエンジ
ンから排出された排ガスを、まず触媒などを担持したフ
ィルタでトラップした後、還元剤を添加し、脱硝触媒上
で接触還元して無害な窒素と水に変換する方法で、ＰＭ
とＮＯｘとを確実に除去できる有望な方法として各社で
検討されている。ディーゼルエンジンは、人口密集地で
使用されることが多いために、還元剤としては、無害な
尿素などのＮＨ3前駆体を用いることが検討されてい
る。
ョンシステムや、自動車、発電機などに多く用いられて
いるが、近年、地球環境保全に対する関心の高まりか
ら、これらエンジンから排出される排ガスの規制が強化
されている。これらの内、自動車排ガス浄化用の触媒に
は、通常、一酸化炭素（ＣＯ）及び炭化水素（ＨＣ）の
酸化とＮＯｘの還元とを同時に行う三元触媒（特公昭５
６−２７２９５）等が用いられるが、リーンバーンエン
ジンやディーゼルエンジンの場合、酸素過剰雰囲気であ
るため、一般の三元触媒ではＮＯｘが浄化しにくいとい
う問題が生じる。そこで、これら排ガスの浄化には、次
に示す方法、すなわち、(1)フィルタにより粒子状汚染
物質（ＰＭ）を除去後、窒素酸化物を除去する方法、
(2)Ｐｔなどの貴金属を担時した触媒上で炭化水素を還
元剤としてＮＯｘを還元する方法（特開平５−１０３９
８５）、(3)ＮＯｘ吸蔵触媒を用いる方法など、多くの
方法が提案されている。このなかで特に(1)の方法（以
下、尿素ＳＣＲ法と記す）は、例えばディーゼルエンジ
ンから排出された排ガスを、まず触媒などを担持したフ
ィルタでトラップした後、還元剤を添加し、脱硝触媒上
で接触還元して無害な窒素と水に変換する方法で、ＰＭ
とＮＯｘとを確実に除去できる有望な方法として各社で
検討されている。ディーゼルエンジンは、人口密集地で
使用されることが多いために、還元剤としては、無害な
尿素などのＮＨ3前駆体を用いることが検討されてい
る。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】尿素ＳＣＲ法は、尿素
を脱硝触媒前流に吹込み、下記反応（１）を行わせてＮ
Ｏｘを無害化する方法である。 ２ＮＯ＋（ＮＨ2）２ＣＯ＋１／２Ｏ2 →２Ｎ2＋２Ｈ2Ｏ＋ＣＯ2 … （１） 尿素ＳＣＲ法では、尿素を水溶液状で用い、直接排気管
に噴霧する方式が一般的である。排気管に吹き込まれた
尿素水の大半は排ガス気流に乗って触媒へと運ばれ、脱
硝触媒で還元剤として作用するが、一部は、排気管壁面
に附着し、尿素のスケールを形成する。尿素のスケール
は壁面だけでなく噴霧ノズル先端にも生じるため、ノズ
ルを洗浄する機構を備える方法（例えば特開平２−２１
８４１８）なども提案されている。しかし、壁面に附着
したスケールは洗浄等ができないため、一旦付着したら
取り除くことができない。さらに、尿素の一部がこのよ
うに壁面に附着すると、その分脱硝に用いられる還元剤
量が不足することになるため、還元剤供給量のコントロ
ールが困難になるという問題も引き起こす。
を脱硝触媒前流に吹込み、下記反応（１）を行わせてＮ
Ｏｘを無害化する方法である。 ２ＮＯ＋（ＮＨ2）２ＣＯ＋１／２Ｏ2 →２Ｎ2＋２Ｈ2Ｏ＋ＣＯ2 … （１） 尿素ＳＣＲ法では、尿素を水溶液状で用い、直接排気管
に噴霧する方式が一般的である。排気管に吹き込まれた
尿素水の大半は排ガス気流に乗って触媒へと運ばれ、脱
硝触媒で還元剤として作用するが、一部は、排気管壁面
に附着し、尿素のスケールを形成する。尿素のスケール
は壁面だけでなく噴霧ノズル先端にも生じるため、ノズ
ルを洗浄する機構を備える方法（例えば特開平２−２１
８４１８）なども提案されている。しかし、壁面に附着
したスケールは洗浄等ができないため、一旦付着したら
取り除くことができない。さらに、尿素の一部がこのよ
うに壁面に附着すると、その分脱硝に用いられる還元剤
量が不足することになるため、還元剤供給量のコントロ
ールが困難になるという問題も引き起こす。
【０００４】これを防ぐ方法のひとつとして、尿素水を
一旦、加水分解器内で（２）式に従ってＮＨ3に加水分
解させてから排気管に吹き込む方式も多数提案されてい
る（例えば特開平02-191528、特開平02-268811、特開平
09-294913、特開平10-244131など）。
一旦、加水分解器内で（２）式に従ってＮＨ3に加水分
解させてから排気管に吹き込む方式も多数提案されてい
る（例えば特開平02-191528、特開平02-268811、特開平
09-294913、特開平10-244131など）。
【０００５】
（ＮＨ2）２ＣＯ＋Ｈ2Ｏ → ２ＮＨ3 ＋ ＣＯ2 … （２）
しかし、これらの方法は、触媒などを充填した気化器、
および気化器を加熱する熱源などが必要になるため、装
置の構造が複雑になり、また気化器内にも尿素スケール
が生成するため、これを防ぐ手段が必要となる。このた
め、自動車などの小型移動式装置には採用できず、広く
実用化されるに至っていない。本発明の課題は，上記従
来技術の欠点を解消し、より簡易な方法で上記した問題
を生じることのない、尿素の付着を防止した排気管およ
び排ガス脱硝装置を提供することにある。
および気化器を加熱する熱源などが必要になるため、装
置の構造が複雑になり、また気化器内にも尿素スケール
が生成するため、これを防ぐ手段が必要となる。このた
め、自動車などの小型移動式装置には採用できず、広く
実用化されるに至っていない。本発明の課題は，上記従
来技術の欠点を解消し、より簡易な方法で上記した問題
を生じることのない、尿素の付着を防止した排気管およ
び排ガス脱硝装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本願で特許請求される発明は、以下のとおりであ
る。 （１）尿素水溶液吹込み手段を有する排気管の、該尿素
水溶液吹込み手段の後流側の内壁面の少なくとも一部
を、尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分で
被覆したことを特徴とする、尿素の付着を防止した排気
管。 （２）窒素酸化物を含む排ガスを流通させるための排気
管と、該排気管の途中に設けられた尿素水溶液の吹込み
手段と、該尿素水溶液の吹込み手段の後流に設けられ
た、前記尿素を還元剤として前記排ガス中の窒素酸化物
を除去する脱硝触媒装置とを有する排ガス脱硝装置であ
って、前記尿素水溶液の吹込み手段から脱硝触媒装置に
到る排気管の内壁面の少なくとも一部を、尿素の加水分
解を促進する機能を有する触媒成分で被覆したことを特
徴とする排ガス脱硝装置。
め、本願で特許請求される発明は、以下のとおりであ
る。 （１）尿素水溶液吹込み手段を有する排気管の、該尿素
水溶液吹込み手段の後流側の内壁面の少なくとも一部
を、尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分で
被覆したことを特徴とする、尿素の付着を防止した排気
管。 （２）窒素酸化物を含む排ガスを流通させるための排気
管と、該排気管の途中に設けられた尿素水溶液の吹込み
手段と、該尿素水溶液の吹込み手段の後流に設けられ
た、前記尿素を還元剤として前記排ガス中の窒素酸化物
を除去する脱硝触媒装置とを有する排ガス脱硝装置であ
って、前記尿素水溶液の吹込み手段から脱硝触媒装置に
到る排気管の内壁面の少なくとも一部を、尿素の加水分
解を促進する機能を有する触媒成分で被覆したことを特
徴とする排ガス脱硝装置。
【０００７】（３）前記排気管内壁面の少なくとも一部
が、尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分の
皮膜で被覆されていることを特徴とする（２）記載の排
ガス脱硝装置。 （４）尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分
を含む筒状物が、前記排気管の少なくとも一部の内壁面
に沿って配置されていることを特徴とする（２）記載の
排ガス脱硝装置。 （５）前記筒状物が、無機繊維織布をバインダで強化し
た担体、ＳＵＳ板、またはラス基板に尿素の加水分解を
促進する機能を有する触媒成分を担持させた筒状構造物
であることを特徴とする（４）記載の排ガス脱硝装置。 （６）前記皮膜を形成させる排気管内壁面または前記筒
状物に用いる担体、ＳＵＳ板またはラス板に、予め金属
アルミニウム溶射を行っておくことを特徴とする（３）
または（４）記載の排ガス脱硝装置。
が、尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分の
皮膜で被覆されていることを特徴とする（２）記載の排
ガス脱硝装置。 （４）尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分
を含む筒状物が、前記排気管の少なくとも一部の内壁面
に沿って配置されていることを特徴とする（２）記載の
排ガス脱硝装置。 （５）前記筒状物が、無機繊維織布をバインダで強化し
た担体、ＳＵＳ板、またはラス基板に尿素の加水分解を
促進する機能を有する触媒成分を担持させた筒状構造物
であることを特徴とする（４）記載の排ガス脱硝装置。 （６）前記皮膜を形成させる排気管内壁面または前記筒
状物に用いる担体、ＳＵＳ板またはラス板に、予め金属
アルミニウム溶射を行っておくことを特徴とする（３）
または（４）記載の排ガス脱硝装置。
【０００８】作用
排気管に吹き込まれた尿素水は、排ガスと接触すると一
部は（２）式に従って加水分解するが、大半は排ガス気
流に乗って触媒へと運ばれ、脱硝触媒上に到達し、該触
媒上で加水分解してＮＨ3となり、還元剤として作用す
ると考えられている。ところが、排気管に噴霧された尿
素水の一部は、排気管壁面に尿素水のまま衝突する。尿
素の融点は１３０℃付近であり加水分解速度も遅いため
に、付着した尿素水は先に水のみが蒸発して尿素が残留
する。水が蒸発するまでは付着部分の温度は１００℃程
度にしか上昇せず、さらにその上に引き続き噴霧された
尿素水が附着すると、同じように水のみが蒸発し、尿素
が分解しきれず残留する。これを繰り返すことにより壁
面に尿素のスケールが形成される。尿素のスケールは加
熱により徐々に重合して難分解性の環状化合物となり、
除去されにくくなる。
部は（２）式に従って加水分解するが、大半は排ガス気
流に乗って触媒へと運ばれ、脱硝触媒上に到達し、該触
媒上で加水分解してＮＨ3となり、還元剤として作用す
ると考えられている。ところが、排気管に噴霧された尿
素水の一部は、排気管壁面に尿素水のまま衝突する。尿
素の融点は１３０℃付近であり加水分解速度も遅いため
に、付着した尿素水は先に水のみが蒸発して尿素が残留
する。水が蒸発するまでは付着部分の温度は１００℃程
度にしか上昇せず、さらにその上に引き続き噴霧された
尿素水が附着すると、同じように水のみが蒸発し、尿素
が分解しきれず残留する。これを繰り返すことにより壁
面に尿素のスケールが形成される。尿素のスケールは加
熱により徐々に重合して難分解性の環状化合物となり、
除去されにくくなる。
【０００９】当発明者らは,このような尿素の熱分解特
性及びスケール生成機構を鑑み、尿素スケールを防止す
る方法について鋭意検討した結果、本発明に至った。
性及びスケール生成機構を鑑み、尿素スケールを防止す
る方法について鋭意検討した結果、本発明に至った。
【００１０】上述したように、尿素のスケールは、尿素
水が壁面に附着したときに尿素の加水分解反応速度が遅
いために水のみが先に蒸発し尿素のみが残留することに
よって生じる。そこで、排気管壁面に尿素の加水分解を
促進する触媒成分を設けると、尿素の加水分解反応
（２）が促進され、尿素水は１００℃を越えた程度の低
い温度でも早い反応速度で加水分解される。触媒成分を
含む被膜または筒状体に附着した尿素は、付着すると同
時に加水分解して消失し、尿素のまま残留することが無
いため、再び尿素水が壁面に付着しても雪だるま式にス
ケールが増加することを防止できる。また、加水分解に
よって生成したＮＨ3はそのまま脱硝触媒上で還元剤と
して作用するため、還元剤の不足を招くこともない。
水が壁面に附着したときに尿素の加水分解反応速度が遅
いために水のみが先に蒸発し尿素のみが残留することに
よって生じる。そこで、排気管壁面に尿素の加水分解を
促進する触媒成分を設けると、尿素の加水分解反応
（２）が促進され、尿素水は１００℃を越えた程度の低
い温度でも早い反応速度で加水分解される。触媒成分を
含む被膜または筒状体に附着した尿素は、付着すると同
時に加水分解して消失し、尿素のまま残留することが無
いため、再び尿素水が壁面に付着しても雪だるま式にス
ケールが増加することを防止できる。また、加水分解に
よって生成したＮＨ3はそのまま脱硝触媒上で還元剤と
して作用するため、還元剤の不足を招くこともない。
【００１１】
【発明の実施の形態】本発明において、尿素の加水分解
を促進する機能を有する触媒成分としては、尿素の加水
分解反応を促進する効果の高いものであればどのような
ものでも良いが、特に、ゼオライト、アルミナ、シリ
カ、ジルコニア、チタニアのうち１種以上から選ばれた
組成物、脱硝触媒、またはアルカリ金属、アルカリ土類
金属および希土類元素の内のいずれか１種類以上の炭酸
塩もしくは水酸化物からなる塩基性化合物、無機強酸又
は有機強酸のアンモニウム塩からなる酸性化合物が好ま
しい。中でも脱硝機能を有する触媒を用いると、壁面に
附着した尿素を加水分解すると同時に、排ガス中のＮＯ
ｘの還元触媒として作用するため、より好ましい。脱硝
触媒としては、通常、発電所などの排ガス中のＮＯｘ除
去に用いられているＴｉ−Ｗ−Ｍｏ−Ｖ系の脱硝触媒
（例えば特開昭50-128681）のほか、ゼオライトにニッ
ケル、コバルト、銅、鉄、セリウムなどの金属を担時し
た触媒などが挙げられるが、脱硝機能を有する触媒であ
れば特に限定されない。
を促進する機能を有する触媒成分としては、尿素の加水
分解反応を促進する効果の高いものであればどのような
ものでも良いが、特に、ゼオライト、アルミナ、シリ
カ、ジルコニア、チタニアのうち１種以上から選ばれた
組成物、脱硝触媒、またはアルカリ金属、アルカリ土類
金属および希土類元素の内のいずれか１種類以上の炭酸
塩もしくは水酸化物からなる塩基性化合物、無機強酸又
は有機強酸のアンモニウム塩からなる酸性化合物が好ま
しい。中でも脱硝機能を有する触媒を用いると、壁面に
附着した尿素を加水分解すると同時に、排ガス中のＮＯ
ｘの還元触媒として作用するため、より好ましい。脱硝
触媒としては、通常、発電所などの排ガス中のＮＯｘ除
去に用いられているＴｉ−Ｗ−Ｍｏ−Ｖ系の脱硝触媒
（例えば特開昭50-128681）のほか、ゼオライトにニッ
ケル、コバルト、銅、鉄、セリウムなどの金属を担時し
た触媒などが挙げられるが、脱硝機能を有する触媒であ
れば特に限定されない。
【００１２】排気管内表面を当該触媒成分で覆う手段と
しては、排気管表面に成分皮膜を形成させる方法、予め
当該成分を担持させた筒状物を設置する方法が挙げられ
る。被膜を形成させる方法としては、例えば、触媒成分
を水、場合によってはバインダ成分などと混合して得た
スラリ状物を、刷毛またはスプレ法等によって排気管内
壁に直接塗布する方法、被膜を形成させたい部材に成分
スラリを浸漬する方法、などが好ましく、特に予め排気
管表面へ金属アルミニウム溶射などの粗面化処理を施し
てから被膜を形成させると、被膜がはがれ落ちにくくな
るなど効果的である。
しては、排気管表面に成分皮膜を形成させる方法、予め
当該成分を担持させた筒状物を設置する方法が挙げられ
る。被膜を形成させる方法としては、例えば、触媒成分
を水、場合によってはバインダ成分などと混合して得た
スラリ状物を、刷毛またはスプレ法等によって排気管内
壁に直接塗布する方法、被膜を形成させたい部材に成分
スラリを浸漬する方法、などが好ましく、特に予め排気
管表面へ金属アルミニウム溶射などの粗面化処理を施し
てから被膜を形成させると、被膜がはがれ落ちにくくな
るなど効果的である。
【００１３】前記筒状物の形成方法としては、例えば成
分の原料混合物を例えばニーダ等によって混練し、これ
をラス板や、無機繊維織布などの基材に塗布後、これを
筒状に成形してから乾燥・焼成して得る方法、ＳＵＳ
板、ラス板、無機繊維織布などの基材に、被膜形成に用
いると同じようにして得た成分スラリをコーティングさ
せ、これを筒状に加工する方法、予め筒状に成形された
ラス板や無機繊維織布に成分スラリを含浸後、乾燥・焼
成する方法などが挙げられる。
分の原料混合物を例えばニーダ等によって混練し、これ
をラス板や、無機繊維織布などの基材に塗布後、これを
筒状に成形してから乾燥・焼成して得る方法、ＳＵＳ
板、ラス板、無機繊維織布などの基材に、被膜形成に用
いると同じようにして得た成分スラリをコーティングさ
せ、これを筒状に加工する方法、予め筒状に成形された
ラス板や無機繊維織布に成分スラリを含浸後、乾燥・焼
成する方法などが挙げられる。
【００１４】加水分解機能を有する成分被膜で覆う範囲
は、噴霧された尿素水が付着する恐れのある排気管内壁
面の少なくとも一部、好ましくは尿素の吹込み位置から
脱硝触媒層入口まで覆うことが好ましい。さらに、尿素
を一旦気化器内で加水分解してから排気管内に注入する
方法において、気化器内壁を当該成分被膜で覆うこと
も、本発明の範囲内である。また、脱硝装置の触媒層か
ら排気管出口までは尿素が壁面に付着する恐れはない
が、触媒層をリークした尿素及び加水分解生成物のＮＨ
3の分解用として、脱硝触媒や、ＮＨ3分解触媒（例えば
特開平05-146634）を設置すると、これらのリーク物質
の流出を防止できる点から好ましい。
は、噴霧された尿素水が付着する恐れのある排気管内壁
面の少なくとも一部、好ましくは尿素の吹込み位置から
脱硝触媒層入口まで覆うことが好ましい。さらに、尿素
を一旦気化器内で加水分解してから排気管内に注入する
方法において、気化器内壁を当該成分被膜で覆うこと
も、本発明の範囲内である。また、脱硝装置の触媒層か
ら排気管出口までは尿素が壁面に付着する恐れはない
が、触媒層をリークした尿素及び加水分解生成物のＮＨ
3の分解用として、脱硝触媒や、ＮＨ3分解触媒（例えば
特開平05-146634）を設置すると、これらのリーク物質
の流出を防止できる点から好ましい。
【００１５】
【実施例】実施例１
排気管の内壁面を模擬した５０mm角（厚さ2mm）のＳＵ
Ｓ板表面に、尿素の加水分解用触媒成分としてアルミナ
ゾル（日産化学社製アルミナゾル100）を刷毛で塗って
塗布後、風乾した後５００℃で焼成して試験片を作成し
た。
Ｓ板表面に、尿素の加水分解用触媒成分としてアルミナ
ゾル（日産化学社製アルミナゾル100）を刷毛で塗って
塗布後、風乾した後５００℃で焼成して試験片を作成し
た。
【００１６】実施例２
尿素の加水分解機能のみならず、脱硝機能を有する触媒
として、原子比でＴｉ／Ｗ／Ｖ＝９１／５／４となるよ
うに、酸化チタン粉末、メタタングステン酸アンモニウ
ム、メタバナジン酸アンモニウムを秤量し、これに水を
加えてニーダで混練した後、造粒、乾燥した後に５００
℃で焼成し、粉砕して得られた原料に水を加えて固形分
濃度３５ｗｔ％のスラリを得た。これを実施例１と同様
にＳＵＳ板表面に刷毛で塗って塗布し、風乾したのち３
５０℃で焼成して試験片を作成した。
として、原子比でＴｉ／Ｗ／Ｖ＝９１／５／４となるよ
うに、酸化チタン粉末、メタタングステン酸アンモニウ
ム、メタバナジン酸アンモニウムを秤量し、これに水を
加えてニーダで混練した後、造粒、乾燥した後に５００
℃で焼成し、粉砕して得られた原料に水を加えて固形分
濃度３５ｗｔ％のスラリを得た。これを実施例１と同様
にＳＵＳ板表面に刷毛で塗って塗布し、風乾したのち３
５０℃で焼成して試験片を作成した。
【００１７】実施例３
実施例１のＳＵＳ板の代わりに、厚さ2mmのＳＵＳ板表
面に、溶射機で金属アルミニウムをアーク溶射した後５
０mm角に切断したものを用いる他は、実施例1と同様に
して試験片を作成した。
面に、溶射機で金属アルミニウムをアーク溶射した後５
０mm角に切断したものを用いる他は、実施例1と同様に
して試験片を作成した。
【００１８】実施例４
アルミナゾル（日産化学社製アルミナゾル）に炭酸ナト
リウムをアルミナの重量に対して１０wt％になるように
添加して得た液を用い、実施例3で用いた金属アルミニ
ウム溶射したＳＵＳ板Ｍに塗布、乾燥した後500℃で焼
成して試験片を作成した。
リウムをアルミナの重量に対して１０wt％になるように
添加して得た液を用い、実施例3で用いた金属アルミニ
ウム溶射したＳＵＳ板Ｍに塗布、乾燥した後500℃で焼
成して試験片を作成した。
【００１９】比較例１
実施例１の触媒を塗布しないＳＵＳ板を比較試験片とし
た。 試験例１ 実施例１〜４及び比較例１で得られた、排気管に模擬し
た試験片を磁性ボードに乗せ、該ボードを温調式の電気
ヒータ上に置いて大気中で加熱した。試験片の温度を２
００℃で保持しながら試験片の上部から３０wt％の濃度
の尿素水溶液をピペットで０．２ｍｌ滴下した。これを
３０秒おきに１００回繰り返した。さらに保持温度を、
３００、４００、５００℃にかえ、各温度で同様の試験
を行い、試験後の試験片表面を目視及びＸ線回折装置で
分析した。
た。 試験例１ 実施例１〜４及び比較例１で得られた、排気管に模擬し
た試験片を磁性ボードに乗せ、該ボードを温調式の電気
ヒータ上に置いて大気中で加熱した。試験片の温度を２
００℃で保持しながら試験片の上部から３０wt％の濃度
の尿素水溶液をピペットで０．２ｍｌ滴下した。これを
３０秒おきに１００回繰り返した。さらに保持温度を、
３００、４００、５００℃にかえ、各温度で同様の試験
を行い、試験後の試験片表面を目視及びＸ線回折装置で
分析した。
【００２０】その結果、実施例１〜４の試験片表面上に
はいずれの温度でも試験片表面は試験前と変化無く、Ｘ
線分析しても尿素や尿素の熱分解生成物は確認されなか
った。これに対し、比較例１の加水分解触媒を塗布して
いない試験片の場合、５００℃の試験では残留物は見ら
れ無かったが、２００〜４００℃では白い輪状の残留物
が存在し、Ｘ線回折での分析の結果、２００℃での残留
物中には尿素が、３００、４００℃での残留物中には尿
素の熱分解生成物のアンメリン、アンメリドが存在する
ことが確認された。このように、試験片の表面に加水分
解機能を有する触媒成分被膜が存在すると、尿素が付着
しても残留してスケールを形成することがないことが分
かった。
はいずれの温度でも試験片表面は試験前と変化無く、Ｘ
線分析しても尿素や尿素の熱分解生成物は確認されなか
った。これに対し、比較例１の加水分解触媒を塗布して
いない試験片の場合、５００℃の試験では残留物は見ら
れ無かったが、２００〜４００℃では白い輪状の残留物
が存在し、Ｘ線回折での分析の結果、２００℃での残留
物中には尿素が、３００、４００℃での残留物中には尿
素の熱分解生成物のアンメリン、アンメリドが存在する
ことが確認された。このように、試験片の表面に加水分
解機能を有する触媒成分被膜が存在すると、尿素が付着
しても残留してスケールを形成することがないことが分
かった。
【００２１】以上の試験例の結果に基づき、尿素吹込み
手段を有する排気管と、その後流に設けられた脱硝触媒
装置とを有する排ガス脱硝装置において、前記排気管の
一部に本発明を適用したところ、試験例と同様な効果が
あることが確認された。
手段を有する排気管と、その後流に設けられた脱硝触媒
装置とを有する排ガス脱硝装置において、前記排気管の
一部に本発明を適用したところ、試験例と同様な効果が
あることが確認された。
【００２２】
【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、尿素水を
排気管内に直接噴霧する際に生じる排気管壁面への尿素
のスケールを完全に防止することができる。請求項２〜
６記載の発明によれば、排気管内の尿素のスケール形成
を簡便な方法で防止するとともに、尿素の付着による還
元剤不足を招く恐れもなく、排ガス中の窒素酸化物を効
率よく除去することができる。
排気管内に直接噴霧する際に生じる排気管壁面への尿素
のスケールを完全に防止することができる。請求項２〜
６記載の発明によれば、排気管内の尿素のスケール形成
を簡便な方法で防止するとともに、尿素の付着による還
元剤不足を招く恐れもなく、排ガス中の窒素酸化物を効
率よく除去することができる。
フロントページの続き
Ｆターム(参考） 3G091 AB04 BA07 BA14 BA21 BA39
CA17 GB01W GB04W GB09X
HB01
4D002 AA12 AC10 BA06 CA01 CA07
DA35 DA57 EA06 HA03 HA05
Claims (6)
- 【請求項１】尿素水溶液吹込み手段を有する排気管の、
該尿素水溶液吹込み手段の後流側の内壁面の少なくとも
一部を、尿素の加水分解を促進する機能を有する触媒成
分で被覆したことを特徴とする、尿素の付着を防止した
排気管。 - 【請求項２】窒素酸化物を含む排ガスを流通させるため
の排気管と、該排気管の途中に設けられた尿素水溶液の
吹込み手段と、該尿素水溶液の吹込み手段の後流に設け
られた、前記尿素を還元剤として前記排ガス中の窒素酸
化物を除去する脱硝触媒装置とを有する排ガス脱硝装置
であって、前記尿素水溶液の吹込み手段から脱硝触媒装
置に到る排気管の内壁面の少なくとも一部を、尿素の加
水分解を促進する機能を有する触媒成分で被覆したこと
を特徴とする排ガス脱硝装置。 - 【請求項３】前記排気管内壁面の少なくとも一部が、尿
素の加水分解を促進する機能を有する触媒成分の皮膜で
被覆されていることを特徴とする請求項２記載の排ガス
脱硝装置。 - 【請求項４】尿素の加水分解を促進する機能を有する触
媒成分を含む筒状物が、前記排気管の少なくとも一部の
内壁面に沿って配置されていることを特徴とする請求項
２記載の排ガス脱硝装置。 - 【請求項５】前記筒状物が、無機繊維織布をバインダで
強化した担体、ＳＵＳ板、またはラス基板に尿素の加水
分解を促進する機能を有する触媒成分を担持させた筒状
構造物であることを特徴とする請求項４記載の排ガス脱
硝装置。 - 【請求項６】前記皮膜を形成させる排気管内壁面または
前記筒状物に用いる担体、ＳＵＳ板またはラス板に、予
め金属アルミニウム溶射を行っておくことを特徴とする
請求項３または４記載の排ガス脱硝装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002134289A JP2003328734A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | 尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002134289A JP2003328734A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | 尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003328734A true JP2003328734A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29696979
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002134289A Pending JP2003328734A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | 尿素の付着を防止した排気管および排ガス脱硝装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003328734A (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005073529A1 (ja) * | 2004-02-02 | 2005-08-11 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | エンジンの排気浄化装置 |
| US7614213B2 (en) | 2003-09-19 | 2009-11-10 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Engine exhaust emission purification apparatus |
| KR100986358B1 (ko) * | 2008-04-03 | 2010-10-08 | 현대자동차주식회사 | 질소산화물 선택적 촉매 정화장치가 장착된 배기관 |
| US7849674B2 (en) | 2003-09-19 | 2010-12-14 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Exhaust emission purifying apparatus for engine |
| US8011176B2 (en) | 2004-02-02 | 2011-09-06 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Exhaust emission purifying apparatus for internal combustion engine |
| WO2019194169A1 (ja) * | 2018-04-03 | 2019-10-10 | いすゞ自動車株式会社 | 排気管 |
| WO2022085274A1 (ja) | 2020-10-19 | 2022-04-28 | 株式会社三井Ｅ＆Ｓマシナリー | ハニカム触媒構造体及びｓｃｒ装置 |
| JP2022067434A (ja) * | 2020-10-20 | 2022-05-06 | 株式会社三井Ｅ＆Ｓマシナリー | 高融点配管閉塞物質の生成抑制装置及び方法 |
-
2002
- 2002-05-09 JP JP2002134289A patent/JP2003328734A/ja active Pending
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7614213B2 (en) | 2003-09-19 | 2009-11-10 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Engine exhaust emission purification apparatus |
| US7849674B2 (en) | 2003-09-19 | 2010-12-14 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Exhaust emission purifying apparatus for engine |
| US8209958B2 (en) | 2003-09-19 | 2012-07-03 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Engine exhaust emission purification apparatus |
| US8578703B2 (en) | 2004-02-02 | 2013-11-12 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Exhaust emission purifying apparatus for internal combustion engine |
| US7500356B2 (en) | 2004-02-02 | 2009-03-10 | Nissan Diesel Motor Co., Ltd. | Exhaust emission purifying apparatus for engine |
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| JP2019183667A (ja) * | 2018-04-03 | 2019-10-24 | いすゞ自動車株式会社 | 排気管 |
| WO2022085274A1 (ja) | 2020-10-19 | 2022-04-28 | 株式会社三井Ｅ＆Ｓマシナリー | ハニカム触媒構造体及びｓｃｒ装置 |
| KR20230115981A (ko) | 2020-10-19 | 2023-08-03 | 미쯔이 이앤에스 씨오.,엘티디. | 허니콤 촉매 구조체 및 scr 장치 |
| JP2022067434A (ja) * | 2020-10-20 | 2022-05-06 | 株式会社三井Ｅ＆Ｓマシナリー | 高融点配管閉塞物質の生成抑制装置及び方法 |
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|---|---|---|---|
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| A02 | Decision of refusal |
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