JP2003326868A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法

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JP2003326868A
JP2003326868A JP2002139999A JP2002139999A JP2003326868A JP 2003326868 A JP2003326868 A JP 2003326868A JP 2002139999 A JP2002139999 A JP 2002139999A JP 2002139999 A JP2002139999 A JP 2002139999A JP 2003326868 A JP2003326868 A JP 2003326868A
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Kiyosuke Kasai
清資 笠井
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力のレーザー光源を使用することな
く、デジタル画像情報に応じた露光処理を実施して、印
刷版を製版する。 【解決手段】 DMDからの画像データに対応する紫外
領域の光を、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む画像形
成層および支持体を有する平版印刷原版に照射し、露光
部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水性状態に変化さ
せて平版印刷版を製版する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版の製版
方法に関する。特に本発明は、コンピュータ・トゥ・シ
リンダー(CTC:Computer to Cylinder)によって、
平版印刷版を製版する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支
持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた平版印刷原版
に、リスフイルムを介してマスク露光した後、非画像部
を現像液によって溶解除去することにより製版すること
が普通であった。感光性樹脂としては、ジアゾニウム塩
を光センサーとするジアゾ樹脂が一般に用いられる。光
センサーであるジアゾニウム塩の感光波長は紫外領域に
あるため、平版印刷原版は紫外領域の光を用いて画像露
光する。近年では、コンピュータを用いて画像情報をデ
ジタル情報として電子的に処理し、蓄積してから出力す
る。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理
は、指向性の高い活性放射線を用いる露光により、リス
フイルムを介することなく、平版印刷原版に対して直接
画像形成を行うことが望ましい。このようにデジタル画
像情報からリスフイルムを介さずに印刷版を製版する技
術は、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP:Comput
er to Plate)と呼ばれている。
【0003】CTPよりも、さらにデジタル化を進めた
技術として、コンピュータ・トゥ・シリンダー(CT
C)による製版方法が提案されている。すなわち、デジ
タル画像情報に応じた露光処理を実施するだけで、現像
処理のような露光後の処理を追加することなく、印刷機
上(そのシリンダー上)で印刷版を製版し、直ちに印刷
を行うことが理想的である。従来の平版印刷原版や露光
装置を用いて、CTCを実現することは、実質的に不可
能である。CTCを実現するためには、新たな平版印刷
原版と露光装置とを開発する必要がある。
【0004】特開平11−78272号、同11−12
3806号、同11−133631号、同11−245
533号、特開2000−158840号の各公報およ
びWO00/46037号明細書には、二酸化チタンま
たは酸化亜鉛を光触媒として用いる平版印刷原版が開示
されている。二酸化チタンや酸化亜鉛に紫外線を照射す
ると、親水性の状態になる現象が既に報告されている。
この現象を、印刷版の技術分野に応用すれば、平版印刷
版に必要な疎水性領域と親水性領域とを露光処理のみで
形成できる。そこで、上記各公報および明細書は、二酸
化チタンまたは酸化亜鉛を用いる各種の平版印刷原版を
提案している。二酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いる平
版印刷原版に対し、適切な露光手段によりデジタル画像
情報に応じた露光処理を実施すれば、CTCを実現でき
る。
【0005】CTCを実現するために必要な露光手段
は、前述したようにデジタル画像情報に応じた処理のた
めに、指向性の高い活性放射線を用いることが好まし
い。次に、二酸化チタンおよび酸化亜鉛の感光波長領域
の都合で、紫外領域の光を使用する必要がある。そし
て、二酸化チタンおよび酸化亜鉛は、光センサーとして
は感度が低く、高出力の光源が必要である。以上の条件
を満足する露光手段として、高出力紫外線レーザーによ
る走査露光が考えられる。従来の紫外線レーザーは出力
が低かったが、最近になって高出力の紫外線レーザーが
利用できるようになった。二酸化チタンまたは酸化亜鉛
を用いる平版印刷原版と、高出力紫外線レーザーによる
走査露光とを組み合わせることにより、CTCが実現で
きる。
【0006】以上の理由から、前記各公報および明細書
には、下記の例外を除き、露光手段として、高出力紫外
線レーザーによる走査露光しか開示されていない。特開
平11−78272号、同11−123806号の各公
報には、レーザーによる走査露光以外の露光手段とし
て、リスフイルムを介した紫外線照射が開示されてい
る。しかし、リスフイルムを用いる露光は、デジタル処
理とは無縁である。特開平11−133631号公報に
は、レーザー以外の光源として、蛍光体ヘッドが開示さ
れている(同公報の段落番号0058に記載)。しか
し、蛍光体ヘッドは、レーザーと比較すると、解像度に
問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】二酸化チタンまたは酸
化亜鉛を光センサーとする平版印刷原版を用いて、コン
ピュータ・トゥ・シリンダー(CTC)を実現するため
には、露光手段として高出力紫外線レーザーによる走査
露光を実施することが最適であると考えられている。し
かし、高出力紫外線レーザーを発生する露光装置(光
源)は、装置そのものが高価であり、ランニングコスト
も高い。本発明者は研究を進め、二酸化チタンまたは酸
化亜鉛を光センサーとする平版印刷原版に、高出力紫外
線レーザーによる走査露光以外の露光手段を実施するこ
とを検討した。その結果、CTCを実施するために最適
な平版印刷原版と露光手段との組み合わせが判明した。
本発明の目的は、高出力のレーザー光源を使用すること
なく、デジタル画像情報に応じた露光処理を実施して、
印刷版を製版することである。本発明の別の目的は、高
出力のレーザー光源を使用することなく、コンピュータ
・トゥ・シリンダー(CTC)を実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(18)の平版印刷版の製版方法および下記(19)〜
(22)の平版印刷方法を提供する。 (1)デジタル・ミラー・デバイスからの画像データに
対応する紫外領域の光を、二酸化チタンまたは酸化亜鉛
を含む画像形成層および支持体を有する平版印刷原版に
照射し、露光部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水性
状態に変化させる平版印刷版の製版方法。
【0009】(2)デジタル・ミラー・デバイスが、紫
外領域の平行光線を生じる光源系素子、多数の鏡を配置
した反射系素子および反射光が平版印刷原版の表面で結
像するように誘導する結像系素子からなる(1)に記載
の製版方法。 (3)反射系素子において、鏡が1乃至100μmの間
隔で配置されている(2)に記載の製版方法。 (4)平版印刷原版をドラム表面に取り付け、ドラムを
回転させ、結像する画素がドラム回転と同期するように
露光する(1)に記載の製版方法。 (5)平版印刷原版に照射する紫外領域の光が、0.5
乃至1000mJ/cm2 のエネルギー量である(1)
に記載の製版方法。 (6)紫外領域の光が、350乃至450nmの波長を
有する(1)に記載の製版方法。 (7)平版印刷原版上で、画素が0.5乃至50μmの
間隔で結像する(1)に記載の製版方法。
【0010】(8)画像形成層が、二酸化チタンが含む
(1)に記載の製版方法。 (9)画像形成層が、アナターゼ型の二酸化チタン結晶
を含む(8)に記載の製版方法。 (10)画像形成層が、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を
支持体上に蒸着した層である(1)に記載の製版方法。 (11)画像形成層の厚さが、0.1乃至10000n
mである(10)に記載の製版方法。 (12)画像形成層が、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を
含む微粒子をポリマー中に分散した層である(1)に記
載の製版方法。
【0011】(13)微粒子が5乃至10nmの平均粒
径を有する(12)に記載の製版方法。 (14)ポリマーが、有機ケイ素ポリマーまたは有機金
属ポリマーである(12)に記載の製版方法。 (15)画像形成層が、有機ケイ素ポリマーまたは有機
金属ポリマーに加えて、ポリアミド、ポリウレタン、ポ
リウレア、あるいは側鎖にアミド結合、ウレタン結合、
ウレア結合またはヒドロキシル基を有するポリマーを含
む(14)に記載の製版方法。 (16)微粒子/ポリマーの質量比が、30/80乃至
95/5である(12)に記載の製版方法。 (17)画像形成層の厚さが、0.2乃至10μmであ
る(12)に記載の製版方法。
【0012】(18)平版印刷原版が印刷機のシリンダ
ーに装着された状態で、紫外領域の光を照射する(1)
に記載の製版方法。 (19)デジタル・ミラー・デバイスからの画像データ
に対応する紫外領域の光を、二酸化チタンまたは酸化亜
鉛を含む画像形成層および支持体を有する平版印刷原版
に照射し、露光部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水
性状態に変化させ、これにより平版印刷版を製版する工
程、そして、平版印刷版にインクを供給して印刷する工
程からなる平版印刷方法。 (20)二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む画像形成層
および支持体を有する平版印刷原版を印刷機のシリンダ
ーに装着する工程、デジタル・ミラー・デバイスからの
画像データに対応する紫外領域の光を平版印刷原版に照
射し、露光部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水性状
態に変化させ、これにより平版印刷版を製版する工程、
そして、平版印刷版にインクを供給して印刷する工程か
らなる平版印刷方法。 (21)印刷後の平版印刷版を加熱し、親水性状態にあ
る二酸化チタンまたは酸化亜鉛を、露光前の状態に戻
し、平版印刷原版として再利用する(19)または(2
0)に記載の平版印刷方法。 (22)オフセット印刷を行う(19)または(20)
に記載の平版印刷方法。
【0013】
【発明の効果】最近になって、レーザ光による走査露光
とは異なる、デジタル画像情報に適した露光装置とし
て、デジタル・ミラー・デバイス(DMD:Digital Mi
rror Device)が提案されている。DMDを用いると、紫
外領域の光をデジタル画像情報に対応して照射すること
ができる。DMDを用いた印刷版用露光装置または露光
方法については、WO9721151号、WO9739
277号、WO9847042号、WO9847048
号、WO0021735号、WO0036470号およ
び米国特許5579240号の各明細書に記載がある。
DMD方式による露光装置により、従来のジアゾ樹脂を
用いる平版印刷原版を画像露光した実施例については、
特開2001−125281号公報にも記載(実施例5
5、56)がある。DMD方式による露光ならば、従来
のジアゾ樹脂を用いる平版印刷原版に対して、デジタル
画像情報からリスフイルムを介さずに印刷版を製版でき
る。そのため、DMD方式による露光装置では、従来の
平版印刷原版を利用することによるランニングコストの
低減が、最大の利点とされている。従って、DMD方式
による露光装置で、ジアゾ樹脂以外の方式(銀塩拡散転
写方式、フォトポリマー方式、サーマル方式、その他)
による平版印刷原版を露光することは、全く考慮されて
いなかった。もちろん、その他の方式には、二酸化チタ
ンまたは酸化亜鉛を光センサーとする平版印刷原版も含
まれる。DMD方式による市販の印刷版用露光装置(UV
-Setter 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造
(株)販売)でも、第1の利点として「既存PS版(ネ
ガ型)を使用することによるランニングコストの低減」
を挙げている。市販装置の推奨プレートは、ジアゾ樹脂
を用いる高生産用平版印刷原版(UVN、富士写真フイ
ルム(株)製)である。
【0014】しかし、本発明者が研究を進めた結果、D
MD方式による露光装置で、二酸化チタンまたは酸化亜
鉛を光センサーとする平版印刷原版を最適に露光できる
ことが判明した。DMD方式による露光装置には、紫外
領域の光が利用できるため、紫外領域に感光波長を有す
る二酸化チタンまたは酸化亜鉛の露光に適している。ま
た、DMD方式は、デジタル画像情報に対応する画像露
光にも最適であって、デジタル化を進めたコンピュータ
・トゥ・シリンダー(CTC)技術に有利に適用でき
る。そして、DMD方式の露光装置は、高出力の紫外線
レーザー発生装置と比較して、経済的にも有利である。
本発明では、高出力のレーザー光源に代えて、DMD方
式の露光装置を使用することにより、デジタル画像情報
に応じた露光処理を実施して、印刷版を製版することが
可能になった。また、本発明では、DMD方式の露光装
置を使用することにより、高出力のレーザー光源を使用
することなく、コンピュータ・トゥ・シリンダー(CT
C)を実現することも可能になった。
【0015】
【発明の実施の形態】[露光装置]図1は、DMDを用
いた露光装置の基本構成を示す模式図である。図1に示
す露光装置は、平行光線を生じる光源系素子(1)、多
数の鏡を配置した反射系素子(2)、反射光が平版印刷
原版(4)の表面で結像するように誘導する結像系素子
(3)からなる。反射系素子(2)がDMDに相当す
る。平版印刷原版(4)は、回転ドラム(5)上に配置
されている。図1の光源系素子(1)は、光源(1
1)、集光器(12)、レンズ(13)および鏡(1
4)からなる。光源(11)は、紫外領域の光を発生す
る。図1の光源(11)は、超高圧水銀灯を模式化した
ものである。光源(11)から発生した紫外領域の光
は、集光器(12)およびレンズ(13)により、平行
光線になる。平行光線は、鏡(14)で反射系素子
(2)に誘導される。
【0016】DMDに相当する反射系素子(2)には、
多数の微小な鏡(2a〜2g)が配列されている。鏡
(2a〜2g)の個数と配置は、画像データにおける画
素の個数と配置に対応する。鏡の間隔は、一般に1乃至
100μmである。個々の鏡の向きは、画像データの個
々の画素情報に対応させて、変化させることができる。
市販のDMDでは、一般に鏡の向きが約10゜変化す
る。図1に示す状態では、五つの鏡(2a、2c、2
d、2f、2g)が画像部の画素に対応し、残り二つの
鏡(2b、2e)が非画像部の画素に対応している。画
像部に対応する鏡(2a、2c、2d、2f、2g)の
向きは、光源系素子(1)からの平行光線を結像系素子
(3)の方向に反射するように配置されている。これに
対して、非画像部に対応する鏡(2b、2e)は、平行
光線を結像系素子(3)とは異なる方向に反射する。以
上のように、露光を実施する前に、個々の鏡の向きが、
画像データにおける個々の画素情報に対応するように変
化する。
【0017】図1の結像系素子(3)は、二枚のレンズ
(31、32)からなる。二枚のレンズ(31、32)
において、反射系素子(2)からの反射光が屈折し、平
版印刷原版(4)の表面で結像する。平版印刷原版
(4)の上では、画素が0.5乃至50μmの間隔で結
像することが好ましい。平版印刷原版(4)は、画像形
成層(41)および支持体(42)を有する。画像形成
層(41)は、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む。画
像形成層(41)の露光部(41a)では、二酸化チタ
ンまたは酸化亜鉛が親水性状態に変化する。これに対し
て、未露光部(41b)では、画像形成層(41)は実
質的に変化せず、相対的に(露光部と比較して)疎水性
の状態である。平版印刷原版(4)を取り付けたドラム
(5)の回転数は、露光により結像する画素と同期する
ように調整することが望ましい。
【0018】ドラム(5)を印刷機のシリンダーとして
機能させ、ドラムを回転させながら、湿し水と油性イン
クとを供給し、湿し水を露光部に、油性インクを未露光
部に付着させ、さらに印刷を行うこともできる。すなわ
ち、平版印刷原版が印刷機のシリンダーに装着した状態
で、DMDからの紫外領域の光を照射することもでき
る。図1の支持体(42)を設ける代わりに、印刷機の
シリンダー表面を、平版印刷原版の支持体として機能さ
せることもできる。
【0019】[露光処理]露光処理では、上記のような
DMD方式による露光装置を使用して、紫外領域の光に
より平版印刷原版を画像データに対応するように露光
し、露光部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水性の状
態にする。露光前の画像形成層は、本来的に疎水性であ
る。疎水性の程度としては、水との接触角が30゜以上
であることが好ましく、40乃至110゜であることが
さらに好ましく、50乃至95゜であることが最も好ま
しい。露光後の画像形成層では、紫外領域の光を詳細し
た部分(露光部)の酸化チタンまたは酸化亜鉛が光励起
して、画像形成層表面の親水性/疎水性の性質が変化す
る。具体的には、露光後の画像形成層(露光部)と水と
の接触角が、20゜以下であることが好ましく、10゜
以下であることがさらに好ましく、5゜以下であること
が最も好ましい。紫外領域の光は、350乃至450n
mの波長を有することが好ましい。本発明では、紫外領
域の光を平行光線にして使用する。平行光線としてはレ
ーザが代表的であるが、レーザ光源は高価であり、本発
明ではレーザを用いる必要もなく、そして、紫外領域の
レーザ光は一般にエネルギー量が不足している。よっ
て、本発明では、一般的な光源からの紫外光を、上記の
ような集光器、レンズや鏡を用いて平行光線に変換して
用いることが望ましい。一般的な光源には、カーボンア
ーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド
ランプ、蛍光ランプ、タングステンランプおよびハロゲ
ンランプが含まれる。
【0020】1画素あたりの露光時間は1乃至100μ
秒であることが好ましい。照射される光エネルギーは
0.5乃至1000mJ/cm2 であることが好まし
く、1乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ま
しく、5乃至600mJ/cm2であることが最も好ま
しい。露光は、一般に常温で実施する。以上の露光処理
のみで、二酸化チタンまたは酸化亜鉛を親水性状態に変
化させることができる。これにより平版印刷版が製版で
きる。
【0021】[後処理]製版された平版印刷版に対し
て、後処理としてリンス処理または不感脂化処理を実施
してもよい。リンス処理は、水または界面活性剤の水溶
液をリンス液として使用する。不感脂化処理は、親水性
ポリマー(例、アラビアガム、デンプン誘導体)の水溶
液を不感脂化液として使用する。後処理については、特
開昭54−8002号、同55−115045号、同5
9−58431号の各公報に記載がある。平版印刷版の
耐刷性を向上させる目的で、平版印刷版を露光または加
熱してもよい。後露光や後加熱については、特開200
0−89478号公報に記載がある。
【0022】[印刷工程]製版された平版印刷版に、湿
し水と油性インクとを供給することで直ちに印刷するこ
とができる。湿し水を露光部に形成された親水性領域に
付着し、油性インクは、未露光部に付着する。インクを
シリンダーから直ちに紙に転写する(オンセット)印刷
よりも、インクを中間体(一般に表面ゴム層を有するブ
ランケット)に転写してから紙に印刷するオフセット印
刷の方が好ましい。また、印刷後の平版印刷版を加熱し
てもよい。印刷後に加熱することで、親水性状態にある
二酸化チタンまたは酸化亜鉛を、露光前の状態に戻し、
平版印刷原版として再利用することができる。従って、
印刷装置と加熱装置との間に、印刷版に残存するインク
を除去する装置を設けることが好ましい。
【0023】[支持体]支持体としては、金属板、ポリ
マーフイルム、紙またはそれらの複合材料を好ましく用
いることができる。複合材料には、ポリマーをラミネー
トした紙、金属をラミネートした紙またはポリマーフイ
ルム、金属を蒸着した紙またはポリマーフイルムが含ま
れる。金属板の金属としては、アルミニウムまたは鉄
(特にステンレス)が好ましい。アルミニウム板は、ア
ルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板で
あってもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素の例
には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれ
る。異元素の割合は、10質量%以下であることが好ま
しい。ポリマーフイルムのポリマーとしては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、セルロースエス
テル、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート)、ポリビニルアセター
ルが好ましい。シート状の支持体の場合、厚さは0.0
5乃至1mmであることが好ましい。シート状の支持体
に代えて、印刷装置のシリンダー表面を平版印刷原版の
支持体として機能させることもできる。また、印刷装置
のシリンダー表面に、シート状の支持体を巻き付けても
よい。
【0024】アルミニウム板が特に好ましい。市販の印
刷版用のアルミニウム板を用いてもよい。アルミニウム
板表面には、粗面化処理を行うことが好ましい。粗面化
処理は、機械的方法、電気化学的方法あるいは化学的方
法により実施できる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法またはバフ研磨法を
採用できる。電気化学的方法としては、塩酸または硝酸
などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方
法を採用できる。混合酸を用いた電解粗面化方法(特開
昭54−63902号公報記載)も利用することができ
る。化学的方法としては、アルミニウム板を鉱酸のアル
ミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法(特開昭54−
31187号公報記載)が適している。電気化学的粗面
化処理が特に好ましい。電気化学的粗面化処理の処理条
件は一般に、酸の濃度が0.1乃至50質量%溶液、液
温が20乃至100℃、電流密度が100乃至400C
/dm2 、そして、電解時間が1秒乃至20分の範囲で
ある。粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心線平
均粗さ(Ra)が0.20乃至0.55μmとなるよう
に実施することが好ましい。粗面化されたアルミニウム
板は、必要に応じて酸またはアルカリエッチング処理
(好ましくはアルカリエッチング処理)を行う。アルカ
リ処理液としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、
アルミン酸塩、メタケイ酸塩またはリン酸塩(好ましく
はアルカリ金属の水酸化物)の水溶液が一般に用いられ
る。アルカリ処理液の濃度は、1乃至50質量%である
ことが好ましい。アルカリ処理液の温度は、20乃至1
00℃であることが好ましい。アルカリ処理は、アルミ
ニウムの溶解量が5乃至20g/m2 となる範囲で実施
することが好ましい。アルカリエッチング処理の後は、
さらに中和処理を行うことが好ましい。中和処理に用い
る酸は、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸または
ホウフッ化水素酸が好ましい。硫酸が特に好ましい。酸
の濃度は、15乃至65質量%が好ましい。酸の温度
は、50乃至90℃が好ましい。
【0025】アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体
の耐摩耗性を高めるために行う。陽極酸化処理に用いら
れる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の
電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン
酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられる。陽
極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃至80
質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5乃至6
0A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、電解時
間が10秒乃至5分の範囲である。陽極酸化処理により
形成される酸化皮膜量は、1.0乃至10.0g/m2
であることが好ましく、1.5乃至7.0g/m2 であ
ることがさらに好ましく、2.0乃至5.0g/m2
あることが最も好ましい。アルミニウム板に封孔処理を
実施することができる。封孔処理は、熱水にアルミニウ
ム板を浸漬するか、あるいはアルミニウム板を水蒸気浴
することにより実施する。熱水に、無機塩または有機塩
を溶解してもよい。アルミニウム板に表面処理を実施し
てもよい。表面処理には、アルカリ金属ケイ酸塩による
シリケート処理が含まれる。弗化ジルコニウム酸カリウ
ムまたは燐酸塩の水溶液に、アルミニウム板を浸漬する
処理を表面処理として実施してもよい。
【0026】[画像形成層] (二酸化チタンおよび酸化亜鉛)画像形成層は、二酸化
チタンまたは酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛よりも二酸化チ
タンの方が好ましく、アナターゼ型の二酸化チタンが特
に好ましい。各種の二酸化チタン(アナターゼ型、ルチ
ル型、無定型型)が混在する場合でも、アナターゼ型
が、二酸化チタン全体の40質量%以上であることが好
ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。
画像形成層を、実質的に二酸化チタンまたは酸化亜鉛の
みからなる層として形成することもできる。また、画像
形成層を、二酸化チタンまたは酸化亜鉛の微粒子がポリ
マー中に分散している層として形成することもできる。
【0027】実質的に二酸化チタンまたは酸化亜鉛のみ
からなる画像形成層は、(1)二酸化チタンまたは酸化
亜鉛の微粒子を支持体上に直接塗布する方法、(2)二
酸化チタンまたは酸化亜鉛の微粒子がポリマー中に分散
している分散物の塗布し、焼成(ポリマーを除去)する
方法、(3)二酸化チタンまたは酸化亜鉛の支持体上に
蒸着させる方法、(4)チタン化合物または亜鉛化合物
を支持体上に塗布または蒸着させてから、化合物を酸化
して二酸化チタンまたは酸化亜鉛を形成する方法、ある
いは、(5)チタン板または亜鉛板を支持体として使用
し、その表面を酸化して二酸化チタンまたは酸化亜鉛を
形成する方法が採用できる。(3)の方法で二酸化チタ
ンを支持体上に蒸着することが好ましい。金属チタンを
蒸発させ、それを酸化しながら支持体上に二酸化チタン
として蒸着することが特に好ましい。蒸着は、真空蒸着
装置を用いることが好ましい。真空度は、1×10-5
至1×10-8Torrが好ましい。金属チタンを酸化しなが
ら二酸化チタンとして蒸着する場合、酸素分圧比は30
乃至90%であることが好ましい。蒸着により形成する
画像形成層の厚さは、0.1乃至10000nmが好ま
しく、1乃至1000nmがさらに好ましく、5乃至3
00nmが最も好ましい。実質的に二酸化チタンまたは
酸化亜鉛のみからなる画像形成層については、特開平1
1−78272号公報に記載がある。
【0028】画像形成層を、二酸化チタンまたは酸化亜
鉛を含む微粒子をポリマー中に分散した層として形成す
る場合、市販のアナターゼ型二酸化チタン微粒子(例え
ば、石原産業(株)製、チタン工業(株)製、堺化学
(株)製、日本アエロジル(株)製、日産化学工業
(株)製)を用いることができる。微粒子の平均粒径
は、5乃至500nmが好ましく、5乃至100nmが
さらに好ましい。微粒子に他の原子(主に金属)または
その酸化物が含まれていてもよい。他の原子の例には、
Si、Mg、V、Mn、Fe、Sn、Ni、Mo、R
u、Rh、Re、Os、Cr、Sb、In、Ir、T
a、Nb、Cs、Pd、PtおよびAuが含まれる。他
の原子は、粒子の表面あるいは内部に局在していてもよ
い。他の原子の割合は、全粒子の10質量%未満が好ま
しく、5質量%未満がさらに好ましい。
【0029】画像形成層は、二酸化チタン微粒子または
酸化亜鉛微粒子以外の微粒子を含むこともできる。他の
微粒子も、無機材料からなる微粒子(無機顔料)が好ま
しい。無機材料の例には、シリカ、アルミナ、カオリ
ン、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウムおよび炭酸マグネシウムが含まれ
る。他の粒子は、二酸化チタン微粒子または酸化亜鉛微
粒子100質量部に対して、40質量部未満で用いるこ
とが好ましく、30質量部未満で用いることがさらに好
ましい。二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む微粒子がポ
リマー中に分散した画像形成層の厚さは、0.2乃至1
0μmが好ましく、0.5乃至8μmがさらに好まし
い。
【0030】(バインダー)二酸化チタンまたは酸化亜
鉛を含む微粒子を分散するためのポリマーは、有機ケイ
素ポリマーまたは有機金属ポリマーであることが好まし
い。有機ケイ素ポリマーが特に好ましい。有機ケイ素ポ
リマーは、ケイ素−ケイ素結合またはケイ素−酸素結合
からなる主鎖(好ましくは、架橋した網目状の主鎖)を
有し、ケイ素原子に、さらに、水素原子(−H)、ヒド
ロキシル(−OH)、炭化水素基(−R)または−O−
R(Rは炭化水素基)が結合していることが好ましい。
上記Rは、アルキル基であることが好ましい。有機金属
ポリマーは、有機ケイ素ポリマーのケイ素を金属原子に
置き換えたポリマーであることが好ましい。金属原子
は、Al、Sn、Ge、Ti、Zrが好ましく、Al、
Sn、Ti、Zrがさらに好ましい。
【0031】有機ケイ素ポリマーまたは有機金属ポリマ
ーは、網目構造を有することが好ましいため、分子量
(重合度)は特定できない。有機ケイ素ポリマーおよび
有機金属ポリマーは、モノマーとして塗布し、ゾル−ゲ
ル変換により、塗布後にポリマーを形成することが好ま
しい。ゾル−ゲル変換のためには、酸触媒(例、塩酸、
硝酸、硫酸、亜硝酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水
素、炭酸、カルボン酸、スルホン酸)、塩基触媒(例、
アンモニア、アミン)または有機金属錯体触媒を塗布液
に添加すればよい。微粒子の分散に使用する有機ケイ素
ポリマーについては、特開平11−245533号公報
に、有機金属ポリマーについては、特開2000−15
8840号公報に記載がある。
【0032】画像形成層は、有機ケイ素ポリマーまたは
有機金属ポリマーに加えて、他の有機ポリマーを含むこ
とできる。有機ポリマーの例には、ポリアミド、ポリウ
レタン、ポリウレア、あるいは側鎖にアミド結合、ウレ
タン結合、ウレア結合またはヒドロキシル基を有するポ
リマーが含まれる。側鎖にアミド結合、ウレタン結合、
ウレア結合またはヒドロキシル基を有するポリマーは、
炭化水素主鎖を有することが好ましい。アミド結合、ウ
レタン結合およびウレア結合の場合、結合を構成する窒
素原子が、主鎖に含まれていてもよい。他の有機ポリマ
ーの質量平均分子量は、1000乃至100万であるこ
とが好ましく、5000乃至40万であることがさらに
好ましい。有機ケイ素ポリマーまたは有機金属ポリマー
/他の有機ポリマーの質量比は、10/90乃至90/
10であることが好ましく、20/80乃至80/20
であることがさらに好ましい。他の有機ポリマーについ
ては、特開2000−158840号公報に記載があ
る。微粒子/ポリマーの質量比は、30/80乃至95
/5であることが好ましく、50/50乃至80/20
であることがさらに好ましい。
【0033】二酸化チタンまたは酸化亜鉛を含む微粒子
がポリマー中に分散している画像形成層は、各成分を溶
媒に溶解した塗布液を、支持体上に塗布して形成でき
る。溶媒は、水または水性溶媒(水と有機溶媒との混合
溶媒)が好ましい。有機溶媒の例には、アルコール
(例、メタノール、エタノール、プロパノール、各種グ
リコール)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、エチ
レングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコー
ルジメチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ケトン
(例、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセト
ン)、エステル(例、酢酸メチル、エチレングリコール
モノメチルモノアセテート)、アミド(例、ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル
ピロリドン)が含まれる。二種類以上の有機溶媒を併用
してもよい。
【0034】
【実施例】[実施例1] (平版印刷原版の作製)1.5×10-4Torrの真空およ
び酸素ガス分圧70%の条件に調整した真空蒸着装置内
で、チタン金属片を加熱し、厚さ100μmのステンレ
ス板上に、二酸化チタンの蒸着被膜を形成した。薄膜の
結晶成分を、X線解析法により分析したところ、無定型
/アナターゼ型/ルチル型の比が1.5/6.5/2で
あった。二酸化チタン薄膜の厚さは、90nmであっ
た。510mm×400mmのサイズにカットして、平
版印刷原版を作製した。
【0035】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、DMD露光装置(UV-Setter 710 S/HS、basy
sPrint社製、東洋インキ製造(株)販売)を用いて、3
50〜450nmの紫外線を使用し、光量を変化させな
がら画像露光した。
【0036】図2は、使用したDMD露光装置の模式図
である。図2に示すDMD露光装置は、リニアモータ
(図示せず)により縦(X−X’)方向および横(Y−
Y’)方向に移動できる露光ユニット(A)からなる。
露光ユニット(A)は、集光ミラー(61)、UV光源
(62)、集光レンズ(63)、反射ミラー(64)、
DMD(65)および縮小レンズ系(66)を有する。
図2に示すように、露光ユニット(A)からの紫外線
で、平版印刷原版(67)の一区画を画像露光する。次
に、露光ユニット(A)は、X−X’方向に1次移動
し、隣接する区画を順次露光する。露光ユニット(A)
が、平版印刷原版(67)のX−X’方向の末端まで移
動した後は、Y−Y’方向に一区画分だけ2次移動し、
さらに、X−X’の逆方向に1次移動し、隣接する区画
を順次露光する。このようなStep & Repeat 処理によっ
て、タイル張りのように平版印刷原版を画像露光する。
【0037】図3は、使用したDMD露光装置の露光強
度分布を示すグラフである。グラフの縦軸は露光強度で
あり、グラフの横軸は波長(nm)である。図3に示す
ように、使用する紫外線は、350乃至450nmの波
長領域に露光強度のピークを有することが好ましい。ま
た、露光強度分布曲線は、複数(図3では3)のピーク
を有していてもよい。
【0038】画像露光により製版された平版印刷版の表
面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協和
界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触角
を測定したところ、露光部は6゜、非露光部は79゜で
あった。平版印刷版を、片面印刷機(オリバー52、サ
クライ社製)にセットし、純水を湿し水とし、市販のイ
ンク(Newchampion F グロス85墨、大日本インキ化学
工業(株)製)を用いて、1万枚のオフセット印刷を行
った。その結果、印刷開始直後から、印刷終了まで鮮明
な印刷物が得られた。また、印刷版の損傷は、認められ
なかった。
【0039】[実施例2] (支持体の作製)アルミニウム99.5質量%、銅0.
01質量%、チタン0.03質量%、鉄0.3質量%、
ケイ素0.1質量%を含有するJIS−A−1050に
従う厚さ0.030mmのアルミニウム圧延板を用い
た。400メッシュのパミストンの20質量%水性懸濁
液と、回転ナイロンブラシとを用いて、アルミニウム板
の表面を砂目立て処理し、水でよく洗浄した。4.5質
量%のアルミニウムを含有する15質量%水酸化ナトリ
ウム水溶液にアルミニウム板を浸漬し、アルミニウム溶
解量が5g/m2 となるまでエッチング処理し、流水で
水洗した。アルミニウム板を1質量%硝酸水溶液で中和
した。次に、0.5質量%のアルミニウムを含有する
0.7質量%硝酸水溶液中で、電解粗面化処理を行っ
た。処理において、陽極時電圧が10.5ボルト、陰極
時電圧が9.3ボルトの矩形波交番波形電圧を用い、陽
極時電気量を160クーロン/dm2 とした。アルミニ
ウム板を水洗後、35℃の10質量%水酸化ナトリウム
水溶液中に浸漬し、アルミニウム溶解量が1g/m2
なるまでエッチング処理した。アルミニウム板を水洗
後、50℃の30質量%硫酸水溶液に浸漬し、デスマッ
ト処理した。
【0040】アルミニウム板を水洗後、0.8質量%の
アルミニウムを含有する35℃の20質量%硫酸水溶液
中で、直流電流を用いて陽極酸化処理を行い、多孔性被
膜を形成した。陽極酸化処理において、電流密度は13
A/dm2 に調整した。また、電解時間の調節により、
被膜量を2.7g/m2 とした。アルミニウム板を水洗
後、70℃のケイ酸ナトリウム3質量%水溶液に、30
秒間浸漬した。アルミニウム板を水洗および乾燥して、
アルミニウム支持体を作製した。アルミニウム支持体の
反射濃度を、マクベスRD920反射濃度計で測定した
ところ、0.30であった。アルミニウム支持体表面の
中心線平均粗さは、0.58μmであった。
【0041】(平版印刷原版の作製)1.5×10-4To
rrの真空および酸素ガス分圧70%の条件に調整した真
空蒸着装置内で、チタン金属片を加熱し、アルミニウム
支持体上に、二酸化チタンの蒸着被膜を形成した。薄膜
の結晶成分を、X線解析法により分析したところ、無定
型/アナターゼ型/ルチル型の比が1.5/6.5/2
であった。二酸化チタン薄膜の厚さは、90nmであっ
た。510mm×400mmのサイズにカットして、平
版印刷原版を作製した。
【0042】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は5゜、非露光部は80゜
であった。平版印刷版を、片面印刷機(オリバー52、
サクライ社製)にセットし、純水を湿し水とし、市販の
インク(Newchampion F グロス85墨、大日本インキ化
学工業(株)製)を用いて、1万枚のオフセット印刷を
行った。その結果、印刷開始直後から、印刷終了まで鮮
明な印刷物が得られた。また、印刷版の損傷は、認めら
れなかった。
【0043】[実施例3] (平版印刷原版の作製)5×10-3Torrの真空条件に調
整した真空蒸着装置内で、厚さ100μmのステンレス
板上に、セレン化亜鉛の蒸着被膜を形成した。被膜の厚
さは、100nmであった。被膜を設けたステンレス板
を空気中において、600℃で2時間加熱して、セレン
化亜鉛を酸化して、酸化亜鉛の被膜をステンレス板上に
形成した。510mm×400mmのサイズにカットし
て、平版印刷原版を作製した。
【0044】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は17゜、非露光部は51
゜であった。平版印刷版を、片面印刷機(オリバー5
2、サクライ社製)にセットし、純水を湿し水とし、市
販のインク(Newchampion F グロス85墨、大日本イン
キ化学工業(株)製)を用いて、500枚のオフセット
印刷を行った。その結果、印刷開始直後から、印刷終了
まで鮮明な印刷物が得られた。また、印刷版の損傷は、
認められなかった。
【0045】[実施例4] (ステンレス支持体の作製)厚さ200μmのステンレ
ス板の表面を、研磨剤(FO#4000、フジミコーポ
レーション製)を水と混合しながら研磨した。表面の粗
面粗さを、三次元表面粗さ計(測定装置モデルSE−F
1、DU−RJ2U、解析装置モデルSPA−11、小
坂研究所製)で測定したところ、平均5μmであった。
ステンレス板を水洗、乾燥して、ステンレス支持体を作
製した。
【0046】(平版印刷原版の作製)スレンレス支持体
を、チタニウムブトキシドの10質量%水溶液に浸漬
し、引き上げて、自然乾燥した。これを、600℃の電
気炉で2時間処理した。表面をX線解析法により確認し
たところ、厚さ150nmのアナターゼ型二酸化チタン
が形されていた。このようにして、平版印刷原版を作製
した。
【0047】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は17゜、非露光部は51
゜であった。平版印刷版を、片面印刷機(オリバー5
2、サクライ社製)にセットし、純水を湿し水とし、市
販のインク(Newchampion F グロス85墨、大日本イン
キ化学工業(株)製)を用いて、500枚のオフセット
印刷を行った。その結果、印刷開始直後から、印刷終了
まで鮮明な印刷物が得られた。また、印刷版の損傷は、
認められなかった。
【0048】[実施例5] (平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化チタン分散物
をガラスビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)に入れ、60分間分散してから、ガラスビー
ズを濾別した。
【0049】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタンの30質量%スラリー(STS−01、石原産業(株)製) 167g テトラメトキシシラン 50g 濃塩酸 0.5g メタノール 883g ────────────────────────────────────
【0050】市販の電子写真式印刷用原版(ELP−II
型マスター、富士写真フイルム(株)製)の紙支持体上
に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗布した。1
10℃で20分間乾燥して、塗布量1g/m2 の画像形
成層を形成した。このようにして、平版印刷原版を作製
した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機(CONTACT-
ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)を用いて、
空中水滴法により接触角を測定したところ、55゜であ
った。
【0051】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は55゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0052】[実施例6] (平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化チタン分散物
をガラスビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)に入れ、10分間分散してから、ガラスビー
ズを濾別した。
【0053】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン粉末(ST−01、石原産業(株)製) 75g テトラメトキシシラン 50g 濃塩酸 0.5g メタノール 1000g ────────────────────────────────────
【0054】市販の電子写真式印刷用原版(ELP−II
型マスター、富士写真フイルム(株)製)の紙支持体上
に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗布した。1
30℃で30分間乾燥して、塗布量5g/m2 の画像形
成層を形成した。このようにして、平版印刷原版を作製
した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機(CONTACT-
ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)を用いて、
空中水滴法により接触角を測定したところ、55゜であ
った。
【0055】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は55゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0056】[実施例7] (平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化チタン分散物
をガラスビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)に入れ、60分間分散してから、ガラスビー
ズを濾別した。
【0057】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタンの30質量%スラリー(STS−01、石原産業(株)製) 167g テトラエトキシシラン 25g テトラメトキシシラン 25g 濃塩酸 0.5g メタノール 883g ────────────────────────────────────
【0058】脱脂処理した厚さ150μmのアルミニウ
ム支持体上に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗
布した。110℃で20分間乾燥して、塗布量3g/m
2 の画像形成層を形成した。このようにして、平版印刷
原版を作製した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機
(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)
を用いて、空中水滴法により接触角を測定したところ、
60゜であった。
【0059】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は60゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0060】[実施例8] (平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化チタン分散物
をガラスビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機
(株)製)に入れ、10分間分散してから、ガラスビー
ズを濾別した。
【0061】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタンの30質量%スラリー(STS−01、石原産業(株)製) 150g テトラエトキシシラン 20g アルミナゾル 15g イオン交換水 1200g ────────────────────────────────────
【0062】脱脂処理した厚さ150μmのステンレス
支持体上に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗布
した。110℃で20分間乾燥して、塗布量3g/m2
の画像形成層を形成した。このようにして、平版印刷原
版を作製した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機
(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)
を用いて、空中水滴法により接触角を測定したところ、
70゜であった。
【0063】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は70゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0064】[実施例9] (平版印刷原版の作製)ポリビニルアルコール(PVA
−405、クラレ(株)製)の7質量%水溶液143g
を攪拌しながら、メタノール57gを加え、さらに30
分間攪拌した。混合液にテトラメトキシシラン10gを
加えて、30分間攪拌した。濃塩酸1mlを加え、2時
間攪拌し、24時間静置した。混合物に、二酸化チタン
の40質量%スラリー(STS−01、石原産業(株)
製)100gおよび20質量%のアルミナゾル(52
0、日産化学工業(株)製)48gを加え、20分間攪
拌し、分散物を得た。
【0065】市販の電子写真式印刷用原版(ELP−1
X型マスター、富士写真フイルム(株)製)の紙支持体
の下塗り層(ベック平滑度:900秒/10cc)上
に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗布した。1
10℃で20分間乾燥して、塗布量1g/m2 の画像形
成層を形成した。このようにして、平版印刷原版を作製
した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機(CONTACT-
ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)を用いて、
空中水滴法により接触角を測定したところ、55゜であ
った。
【0066】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は55゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー94、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0067】[実施例10] (バインダーポリマーの調製)コハク酸変性デンプンの
10質量%水溶液100gに、メタノール28.5gを
加え、30分間攪拌した。テトラエトキシシラン10g
を加えて、30分間攪拌した。濃塩酸1mlを加え、6
時間攪拌し、24時間静置して、バインダーポリマーを
調製した。
【0068】(平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化
チタン分散物をガラスビーズと共にペイントシェーカー
(東洋精機(株)製)に入れ、10分間分散してから、
ガラスビーズを濾別した。
【0069】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン粉末(ST−01、石原産業(株)製) 45g 20質量%コロイダルシリカ(スノーテックC、日産化学工業(株)製) 25g 調製したバインダーポリマー 138.5g 水 250g ────────────────────────────────────
【0070】市販の電子写真式印刷用原版(ELP−II
型マスター、富士写真フイルム(株)製)の紙支持体上
に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗布した。1
10℃で20分間乾燥して、塗布量5g/m2 の画像形
成層を形成した。このようにして、平版印刷原版を作製
した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機(CONTACT-
ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)を用いて、
空中水滴法により接触角を測定したところ、55゜であ
った。
【0071】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は55゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー94、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0072】[実施例11] (バインダーポリマーの調製)ポリエチレングリコール
(2000、和光純薬(株)製)の10質量%水溶液1
20gに、メタノール30gを加えた。混合物を攪拌し
ながら、テトラエトキシシラン6gおよびメチルトリメ
トキシシラン2gを加えて、30分間攪拌した。濃塩酸
1mlを加え、4時間攪拌し、24時間静置して、バイ
ンダーポリマーを調製した。
【0073】(平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化
チタン分散物をガラスビーズと共にペイントシェーカー
(東洋精機(株)製)に入れ、60分間分散してから、
ガラスビーズを濾別した。
【0074】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタンの40質量%スラリー(STS−02、石原産業(株)製) 100g 20質量%コロイダルシリカ(スノーテックC、日産化学工業(株)製) 25g 調製したバインダーポリマー 138.5g 水 250g ────────────────────────────────────
【0075】脱脂処理した厚さ150μmのアルミニウ
ム支持体上に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗
布した。110℃で20分間乾燥して、塗布量3g/m
2 の画像形成層を形成した。このようにして、平版印刷
原版を作製した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機
(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)
を用いて、空中水滴法により接触角を測定したところ、
60゜であった。
【0076】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は60゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0077】[実施例12] (バインダーポリマーの調製)ポリ(N−ブタノイルエ
チレンイミン)の10質量%テトラヒドロフラン溶液5
0gに、メタノール30gを加え、10分間攪拌した。
テトラエトキシシラン6gおよび3−スルホプロピルト
リメトキシシラン2.5gを加えて、30分間攪拌し
た。1N塩酸5mlを加え、4時間攪拌し、24時間静
置して、バインダーポリマーを調製した。
【0078】(平版印刷原版の作製)下記組成の二酸化
チタン分散物をガラスビーズと共にペイントシェーカー
(東洋精機(株)製)に入れ、60分間分散してから、
ガラスビーズを濾別した。
【0079】 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン分散物組成 ──────────────────────────────────── 二酸化チタン粉末(ST−01、石原産業(株)製) 45g 20質量%アルミナゾル(520、日産化学工業(株)製) 25g 調製したバインダーポリマー 138.5g 水 250g ────────────────────────────────────
【0080】脱脂処理した厚さ150μmのアルミニウ
ム支持体上に、上記の分散物をワイヤーバーを用いて塗
布した。110℃で20分間乾燥して、塗布量3g/m
2 の画像形成層を形成した。このようにして、平版印刷
原版を作製した。平版印刷原版の表面を、接触角測定機
(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)
を用いて、空中水滴法により接触角を測定したところ、
60゜であった。
【0081】(製版および評価)作製した平版印刷原版
に対して、実施例1と同様にDMD露光装置(UV-Sette
r 710 S/HS、basysPrint社製、東洋インキ製造(株)販
売)を用いて、350〜450nmの紫外線を使用して
画像露光した。画像露光により製版された平版印刷版の
表面を、接触角測定機(CONTACT-ANGLE METER CA-D、協
和界面化学(株)製)を用いて、空中水滴法により接触
角を測定したところ、露光部は0゜に変化し、非露光部
は60゜のままであった。平版印刷版を、印刷機(オリ
バー91、サクライ社製)にセットし、市販の湿し水原
液(SLM−OD、三菱製紙(株)製)を蒸留水で10
0倍に希釈した溶液を湿し水とし、市販のオフセット印
刷用墨インクを用いて、印刷を行った。10枚目の印刷
物を、20倍のルーペで拡大して評価したところ、非画
像部に印刷インク付着による地汚れは見られず、ベタ画
像部の均一性は良好であった。さらに、200倍の光学
顕微鏡で観察したところ、細線、細文字の細りや脱落は
認められず、良好な画質であった。印刷を続けたとこ
ろ、10枚目と同様な印刷物が、1万枚以上得られた。
【0082】(印刷版の再利用)印刷後、印刷用クリー
ナーを用いて版面上の画像部分に付着したインクを取り
除いた。印刷版を150℃で1時間加熱し、室温まで冷
却した。非画像部(露光部)の接触角を測定したとここ
ろ、60゜に回復していた。再び実施例1と同様にDM
D露光装置(UV-Setter 710 S/HS、basysPrint社製、東
洋インキ製造(株)販売)を用いて、350〜450n
mの紫外線を使用して画像露光した。画像露光により製
版された平版印刷版の表面を、接触角測定機(CONTACT-
ANGLE METER CA-D、協和界面化学(株)製)を用いて、
空中水滴法により接触角を測定したところ、露光部は0
゜に変化し、非露光部は60゜のままであった。平版印
刷版を、印刷機(オリバー91、サクライ社製)にセッ
トし、市販の湿し水原液(SLM−OD、三菱製紙
(株)製)を蒸留水で100倍に希釈した溶液を湿し水
とし、市販のオフセット印刷用墨インクを用いて、印刷
を行った。10枚目の印刷物を、20倍のルーペで拡大
して評価したところ、非画像部に印刷インク付着による
地汚れは見られず、ベタ画像部の均一性は良好であっ
た。さらに、200倍の光学顕微鏡で観察したところ、
細線、細文字の細りや脱落は認められず、良好な画質で
あった。印刷を続けたところ、10枚目と同様な印刷物
が、1万枚以上得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】DMDを用いた露光装置の基本構成を示す模式
図である。
【図2】実施例で使用したDMD露光装置の模式図であ
る。
【図3】実施例で使用したDMD露光装置の露光強度分
布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光源系素子 11 光源 12 集光器 13 レンズ 14 鏡 2 反射系素子(DMD) 2a〜2g 微小な鏡 3 結像系素子 31、32 レンズ 4 平版印刷原版 41 画像形成層 41a 露光部 41b 未露光部 42 親水性支持体 5 ドラム A 露光ユニット 61 集光ミラー 62 UV光源 63 集光レンズ 64 反射ミラー 65 DMD 66 縮小レンズ系 67 平版印刷原版 X−X’ 露光ユニットの1次移動方向 Y−Y’ 露光ユニットの2次移動方向 図3の縦軸 露光強度 図3の横軸 波長(nm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AB03 AC01 AD01 AD03 BH03 2H096 AA07 AA08 BA20 EA02 2H097 AA16 AA20 AB08 CA12 FA03 GB04 LA03 2H114 AA04 AA23 BA01 BA10 DA08 EA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタル・ミラー・デバイスからの画像
    データに対応する紫外領域の光を、二酸化チタンまたは
    酸化亜鉛を含む画像形成層および支持体を有する平版印
    刷原版に照射し、露光部の二酸化チタンまたは酸化亜鉛
    を親水性状態に変化させる平版印刷版の製版方法。
  2. 【請求項2】 平版印刷原版が印刷機のシリンダーに装
    着された状態で、紫外領域の光を照射する請求項1に記
    載の製版方法。
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