JP2003325128A - 低温流通用調味液およびその製造方法 - Google Patents
低温流通用調味液およびその製造方法Info
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Abstract
味、味を失わずに、保存性のある低温流通用調味液を提
供する。 【解決手段】 通常の工程で調液した調味液を、60℃
以上の殺菌温度T℃のとき殺菌時間S秒が、3.0
(10.0−0.1T)<S<2.0(14.5−0.1T)の条件で殺
菌を行い、殺菌後3分間以内に50℃以下にまで冷却す
る。 【効果】 ホットパック製法やアセプティック製法に比
較して非常に加熱履歴が低く、本来の香り、風味が豊か
で、なおかつ安全に流通可能な調味液が得られる。
Description
およびその製造方法に関する。
保存性、安全性を確保するために、レトルト殺菌法や、
ホットパック充填法、アセプティック包装法(日本特許
2924105号)などが行われている。
た食品は保存性を確保するために、加熱履歴を高くする
必要があり、通常の調理の加熱に比較すると非常に加熱
履歴が高く、加熱による劣化が進み、食品本来の香り、
風味、味が乏しいものとなる。特にそばつゆやうどんつ
ゆなどの調味液は、だしの繊細な香りが失われたり、醤
油の褐変が生じたりして劣化が著しいことが知られてい
る。また、加熱履歴を低くしようとすると、保存性が確
保できず、食塩濃度などを高くする必要があり、希釈せ
ずにそのまま喫食するような食品の製造は困難であっ
た。
ドチェーンの発達に注目し、10℃以下で流通されるこ
とを前提とした調味液に関して、鋭意研究を行った結
果、以下の条件で製造することによりホットパック製法
やアセプティック製法に比較して非常に加熱履歴が低
く、本来の香り、風味が豊かで、なおかつ安全に流通可
能な調味液が得られることを見いだし本発明の完成に至
った。 すなわち本発明は、通常の工程で調液した調味
液を殺菌温度T℃とした場合の、殺菌時間S秒が3.0
(10.0−0.1T )<S<2.0(14.5−0.1T)の条件とな
るように殺菌を行い、殺菌後3分間以内に50℃以下に
まで冷却することを特徴とする低温流通用調味液の製造
方法および、このような製造方法で製造された低温流通
用調味液である。
る。本発明に用いる調味液としては通常の工程で調液し
たもので良い。具体的には、例えば鰹節、宗田節、鯖
節、鰺節、鰯節及びその他の節類、煮干、昆布、椎茸等
通常の和風だし素材、その他洋風・中華風だし素材を用
いることができる。またこれらのだし素材に醤油、みり
ん、塩、砂糖を初め、5′−IMP、5′−GMP、グ
ルタミン酸ナトリウムを添加することにより、味を整え
完成型の調味液としたものも用いることができる。具体
的にはそばつゆ、うどんつゆ等のめんつゆ類、おでんつ
ゆ等の煮込み用調味液、蒲焼き、焼き肉等の上掛け用調
味液、冷し中華、ラーメンスープ等の中華麺用調味液、
その他肉類等のつけ込み用調味液やドレッシング類等液
状の調味料を用いることができる。
の、殺菌時間S秒が3.0 (10.0−0.1T)<S<2.0
(14.5−0.1T)の条件となるように殺菌を行う。この
条件より小さい場合には、殺菌が不充分で低温流通用調
味液として用いる場合に保存性に問題があり、この条件
より大きい場合には、調味液の本来の香り、風味、味が
乏しいものとなり、何れも好ましくない。なお、この式
による計算では、60℃の場合、81〜362秒、70
℃の場合、27〜181秒、80℃の場合、9〜90
秒、90℃の場合、3〜45秒、100℃の場合、1〜
22秒の殺菌条件となる。
しく、60℃未満では十分な殺菌効果が得られず、また
100℃以上では短時間でも劣化が進行してしまう。ま
た、原料由来および工程で混入する微生物に関しては、
混入する恐れのあるさまざまな微生物を用い検討を行
い、本発明の殺菌条件にて耐熱性の芽胞以外は死滅する
ことを見出した。また耐熱性の芽胞に関しては、さまざ
まな調味液中で10℃にて培養を行った結果、多くの調
味液では生育しないことを見出した。しかし、だし素材
や食塩濃度が2%未満のような非常に薄い調味液中では
生育する場合もあるが、この場合pHを5.4以下に調
整することで、生育しないことを見出した。pHの調整
は酢酸や乳酸などの有機酸を用いて調整すれば、香り、
味、風味にほとんど影響することなく目的のpHまで調
整可能であった。
い温度、具体的には50℃以下、より望ましくは40℃
以下まで冷却する。このとき、冷却に要する時間は短い
ほど好ましいが、3分間以内に50℃以下に冷却するこ
とにより、熱による劣化を少なくできる。
れないが、連続式のプレート式熱交換器、掻き取り式熱
交換機等を使用するのが望ましい。
菌や栄養細胞の混入を防ぐため、無菌的な環境下で充填
を行う必要性がある。無菌的な環境とは、例えば日本薬
局方にて定められたグレードAに準拠する環境であり、
具体的には充填機の充填口付近をブースで覆い、ブース
内をHEPAフィルターを通した空気で陽圧に保ち、塵
埃の混入をNASA規格のクラス100相当に制御した
環境をいう。
る必要性があり、γ線殺菌や紫外線照射殺菌を行った容
器に充填する。このような設備が無い場合でも、充填直
前に殺菌温度まで調味液を加熱し、そのまま容器に充填
・密封し本発明の条件の殺菌を行い、その後速やかに水
冷や空冷により冷却する方法で実施できる。
製品は流通温度である10℃以下にまで速やかに冷却
し、保存する必要がある。
で40分間抽出し、だしを抽出した。残渣を濾過した
後、40℃まで冷却し、だし部とした。濃口醤油20k
g、みりん2kg、砂糖3kgを90℃にて加熱溶解さ
せた後、40℃まで冷却した液をかえし部とした。だし
部とかえし部を3:1の比率で混合しそばつゆを作成し
た。これを一袋50gとなるように軟包材の小袋に充填
し、密封した。各小袋を表1に示す条件で温度・時間条
件を変えて加熱した後、冷却水につけて3分で10℃ま
で冷却した。このサンプルを、未加熱のサンプルをコン
トロールとして官能評価した。
クレーブにて105℃、10分間の殺菌を行い、完全に
殺菌した後、クリーンベンチ内で無菌的に一袋50gと
なるように軟包材の小袋に充填し、1×104CFU/gと
なるように真菌および栄養細胞を植菌した後、密封し
た。各小袋を官能評価用のサンプルと同じ条件で加熱、
冷却した後、微生物の生存状態を調べ、真菌および栄養
細胞の殺菌条件を調べた。結果を表1に示した。
品質も良好な条件をもとに殺菌条件の式3.0
(10.0−0.1T)<S<2.0(14.5−0.1T) を求め
た。
40分間抽出し、だしを抽出した。残渣を濾過した後、
40℃まで冷却しかつおだしを作成した。この液のpH
を乳酸にて5.8、5.6、5.4、5.2に調整し
た。原料由来の芽胞菌の影響を除くため、オートクレー
ブにて105℃、10分間の殺菌を行い滅菌し、1×1
03CFU/gとなるように芽胞菌を植菌した。植菌したか
つおだしは10℃にて保存し、10日後、20日後、3
0日後の菌数を検査した。結果を表2に示した。
れたが、5.4、5.2では増殖が認められず、保存性
が確保されていた。
し、95℃で40分間抽出し、だしを抽出した。残渣を
濾過した後、40℃まで冷却し、だし部とした。濃口醤
油400kg、みりん40kg、砂糖60kgを90℃
にて加熱溶解させた後、40℃まで冷却した液をかえし
部とした。だし部とかえし部を3:1の比率で混合しそ
ばつゆを作成した。このそばつゆをプレート式熱交換器
にて90℃まで加熱し、ホールドラインを通過して別の
プレート式熱交換器にて40℃まで冷却した。ホールド
ラインの通過時間は10秒間であり、殺菌条件は90
℃、10秒間であった。40℃まで冷却したそばつゆは
充填機前のリザーブタンクにて40℃以下で貯められ
た。このそばつゆを、HEPAフィルターを上部に設置
したブースを備えた充填機にて、予めγ線殺菌を施した
軟包材に充填した。その後速やかに冷却水にて冷却し、
充填後3分間にて10℃以下とした。以上の条件で本発
明品の調味液を作成した。なお、殺菌後充填するまでの
工程は全て連続配管中で行い、また、充填機に設置した
ブース内は外部より陽圧になっており、NASA規格に
よるクラス100に管理され、空中浮遊菌が1CFU/
m3未満であることを確認している。
部の調合を行い、3:1の比率で混合しそばつゆを作成
した。このそばつゆをプレート式熱交換器にて90℃ま
で加熱した。この後そばつゆを冷却することなくホール
ドタンクにて85℃以上で貯め、80℃以上で軟包材に
充填した。この後、空冷にて10℃以下とし、このそば
つゆをホットパック品とした。なお、ホットパック品の
そばつゆはホールドタンク中に最低でも15分間滞留し
ており、10℃に冷却されるまで最大5時間を要した。
した結果を示した。なお、評価は10℃にて10日およ
び30日間保管したサンプルについて、訓練されたパネ
ル20名で実施し、2点提示選択法にて行った。
にだしの香りが強く、だし、醤油の風味が良いそばつゆ
であった。
菌数および真菌の検査を行った。結果を表4に示した。
生物の増殖が無く、安全に流通可能な品質であった。
式熱交換器にて83℃まで加熱し、速やかに充填機に送
液し、80℃以上で軟包材に充填した。充填後、30秒
間80℃で保持した後に冷却水につけて冷却を行い10
℃にまで3分で冷却し、本発明による濃縮おでんつゆと
した。
120℃、60秒間殺菌、別のプレート式熱交換器にて
80℃まで冷却し、実施例3と同じブース付き充填機に
て無菌的に充填した濃縮おでんつゆを作成し、アセプテ
ィック製法相当品とした。
当品とを官能評価した結果を示した。なお、評価は10
℃にて30日および60日間保管したサンプルについ
て、熱湯で10倍に希釈し、訓練されたパネル20名に
よる2点提示選択法にて行った。
比較して、明らかにだしの香りが強く、だし、醤油の風
味が良いおでんつゆであった。
ため、一般生菌数および真菌の検査を行った。結果を表
7に示した。
生物の増殖が無く、安全に流通可能な品質であった。
アセプティック製法に比較して非常に加熱履歴が低く、
本来の香り、風味が豊かで、なおかつ安全に流通可能な
調味液が得られる。
Claims (7)
- 【請求項1】 通常の工程で調液した調味液を、60℃
以上の殺菌温度T℃のとき殺菌時間S秒が、3.0
(10.0−0.1T)<S<2.0(14.5−0.1T)の条件で殺
菌を行い、殺菌後3分間以内に50℃以下にまで冷却す
ることを特徴とする低温流通用調味液の製造方法。 - 【請求項2】 殺菌温度T℃が60℃〜100℃である
ことを特徴とする請求項1に記載の低温流通用調味液の
製造方法。 - 【請求項3】 低温流通用調味液のpHが5.4以下で
あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
低温流通用調味液の製造方法。 - 【請求項4】 低温流通用調味液が殺菌、冷却後、無菌
的な環境下で予め殺菌された容器に充填、密封されたも
のであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
に記載の低温流通用調味液の製造方法。 - 【請求項5】 低温流通用調味液が充填、密封された容
器中で殺菌されたものであることを特徴とする請求項1
〜3のいずれか1項に記載の低温流通用調味液の製造方
法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製
造方法で製造された低温流通用調味液。 - 【請求項7】 10℃以下の低温で流通されるものであ
ることを特徴とする請求項6に記載の低温流通用調味
液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002135792A JP2003325128A (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | 低温流通用調味液およびその製造方法 |
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JP2002135792A JP2003325128A (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | 低温流通用調味液およびその製造方法 |
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---|---|
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ID=29698021
Family Applications (1)
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JP2002135792A Pending JP2003325128A (ja) | 2002-05-10 | 2002-05-10 | 低温流通用調味液およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010518074A (ja) * | 2007-02-12 | 2010-05-27 | ボウジベル,ラサアド | 保存料を含まないスクラロース無菌溶液 |
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JP2001161323A (ja) * | 1999-12-06 | 2001-06-19 | House Foods Corp | 無菌充填処理液体調理ソース |
-
2002
- 2002-05-10 JP JP2002135792A patent/JP2003325128A/ja active Pending
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JP2010518074A (ja) * | 2007-02-12 | 2010-05-27 | ボウジベル,ラサアド | 保存料を含まないスクラロース無菌溶液 |
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