JP2003321644A - 熱硬化性被覆用組成物、及び該組成物を用いてなる塗料 - Google Patents
熱硬化性被覆用組成物、及び該組成物を用いてなる塗料Info
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Abstract
膜形成時に表面ハジキが少なく、硬度、靱性、架橋密
度、耐酸性、耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、
耐擦傷性等が良好な塗膜を形成でき、自動車のトップコ
ート用塗料等として好適であり、ハイソリッド化に対応
可能な熱硬化性被覆用組成物を提供する。 【解決手段】 本発明の熱硬化性被覆用組成物は、質量
平均分子量が2000〜7000のエポキシ基含有ビニ
ル系共重合体(A)を主成分とし、残存ビニル基含有モ
ノマー量が1質量%以下、樹脂固形分量が50〜90質
量%の共重合体(A)溶液と、質量平均分子量が200
0〜7000のカルボキシル基及び/又は酸無水物基含
有ビニル系共重合体(B)を主成分とし、残存ビニル基
含有モノマー量が1質量%以下、樹脂固形分量が50〜
90質量%の共重合体(B)溶液とを配合してなること
を特徴とする。
Description
ート用塗料等として好適であり、ハイソリッド化に対応
可能な熱硬化性被覆用組成物、及び該組成物を用いた塗
料に関するものである。
硬化性、貯蔵安定性に優れると共に、塗膜形成時に表面
ハジキが少なく、硬度、靱性、架橋密度、耐酸性、耐熱
黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐擦傷性等が良好
な塗膜を形成できることが要求される。なお、「表面ハ
ジキ」とは、塗膜形成時に塗料がはじけて塗膜に穴やく
ぼみ等が形成される現象を意味する。
分としては、耐候性及び美粧性に優れた塗膜が得られる
ことから、アクリル−メラミン系樹脂が広く用いられて
いる。しかしながら、アクリル−メラミン系樹脂に硬化
剤として含まれるメラミン樹脂は耐酸性が不十分である
ため、形成される塗膜が酸性雨に曝されると、塗膜に雨
ジミ等が発生し、外観が悪化する恐れがある。そこで、
メラミン樹脂に代わる硬化系として、特開平2−455
77号公報、特開平3−287650号公報等をはじめ
として、酸基とエポキシ基の架橋反応を利用した硬化系
が多数提案されている。
問題に対する関心の高まりから、塗料中の溶剤量を低減
し、いわゆる「ハイソリッド化」を図ることが重要な課
題となってきている。しかしながら、ハイソリッド化に
伴って溶液粘度が増加し、塗装作業性が低下する傾向に
ある。ここで、塗料のハイソリッド化と作業性改善(す
なわち低粘度化)を両立する手段として、ビニル系共重
合体の低分子量化が挙げられるが、ビニル系共重合体の
低分子量化に伴って、製造の際に必要な重合開始剤量が
増加するため、耐酸性、耐候性、耐擦傷性等の塗膜性能
が低下する傾向にあり、好ましくない。また、重合開始
剤の使用量を増加させることなくビニル系共重合体の低
分子量化を図る手段としては、メルカプタン類等の連鎖
移動剤を併用するのが一般的であるが、連鎖移動剤が塗
膜の耐候性低下を引き起こす恐れがある。
たものであり、低温硬化性、貯蔵安定性に優れると共
に、塗膜形成時に表面ハジキが少なく、硬度、靱性、架
橋密度、耐酸性、耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤
性、耐擦傷性等が良好な塗膜を形成でき、自動車のトッ
プコート用塗料等として好適であり、ハイソリッド化に
対応可能な熱硬化性被覆用組成物、及び該組成物を用い
た塗料を提供することを目的とする。
決するべく検討した結果、以下の熱硬化性被覆用組成物
及び塗料を発明した。本発明の熱硬化性被覆用組成物
は、質量平均分子量が2000〜7000のエポキシ基
含有ビニル系共重合体(A)を主成分とし、残存ビニル
基含有モノマー量が1質量%以下、樹脂固形分量が50
〜90質量%の共重合体(A)溶液と、質量平均分子量
が2000〜7000のカルボキシル基及び/又は酸無
水物基含有ビニル系共重合体(B)を主成分とし、残存
ビニル基含有モノマー量が1質量%以下、樹脂固形分量
が50〜90質量%の共重合体(B)溶液とを配合して
なることを特徴とする。
の「主成分」とは、共重合体溶液中の含有量が50質量
%以上の成分であると定義する。また、ビニル系共重合
体(A)、(B)の「質量平均分子量」は、ビニル系共
重合体のテトラヒドロフラン溶液(0.4質量%)を調
整後、TOSO社製カラム(GE4000HXL及びG
2000HXL)が装着されたTOSO社製ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)装置に、調製
した溶液100μlを注入し、流量:1ml/分、溶離
液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件下
でGPC法により測定される標準ポリスチレン換算の質
量平均分子量を意味しているものとする。また、共重合
体(A)溶液、(B)溶液の「樹脂固形分量」は、1g
の共重合体溶液をアルミ皿上にサンプリングし、150
℃で1時間乾燥させた時の不揮発分量の割合(質量%)
であると定義する。
いて、成分(A)のエポキシ当量が250〜500g/
eq、ガラス転移温度(Tg)が10〜50℃であるこ
とが好ましい。また、成分(A)が水酸基を有するビニ
ル系単量体単位を有すると共に、成分(A)の水酸基当
量が250〜2500g/eqであることが好ましい。
また、成分(B)の酸当量が250〜500g/eq、
ガラス転移温度(Tg)が20〜70℃であることが好
ましい。なお、本明細書において、成分(A)の「エポ
キシ当量」は、1当量のエポキシ基を有する樹脂のグラ
ム数により定義され、「水酸基当量」は、1当量の水酸
基を有する樹脂のグラム数により定義されるものとす
る。また、成分(B)の「酸当量」は、1当量のカルボ
キシル基又は酸無水物基を有する樹脂のグラム数により
定義されるものとする。
いて、組成物の総量100質量部に対して、共重合体
(A)溶液の配合量が10〜85質量部、共重合体
(B)溶液の配合量が10〜85質量部であると共に、
共重合体(A)溶液と共重合体(B)溶液の合計配合量
が50〜99質量部であることが好ましい。また、本発
明の熱硬化性被覆用組成物が補助硬化剤(C)をさらに
含有すると共に、組成物の総量100質量部に対して、
補助硬化剤(C)の含有量が1〜50質量部であること
が好ましい。また、本発明の熱硬化性被覆用組成物にお
いて、共重合体(A)溶液及び/又は共重合体(B)溶
液が、50〜95質量部のモノマー成分と50〜5質量
部の溶剤とを反応容器中に連続供給し、150〜300
℃の範囲で反応させて得られたものであることが好まし
い。また、本発明の熱硬化性被覆用組成物において、共
重合体(A)溶液及び/又は共重合体(B)溶液が、ビ
ニル系単量体の総量100質量部に対して、重合開始剤
を0.01〜8質量部使用して得られたものであること
が好ましい。
硬化性被覆用組成物からなることを特徴とする。
する。 [熱硬化性被覆用組成物]本発明の熱硬化性被覆用組成
物は、エポキシ基含有ビニル系共重合体(A)を主成分
とする共重合体(A)溶液と、カルボキシル基及び/又
は酸無水物基含有ビニル系共重合体(B)を主成分とす
る共重合体(B)溶液とを配合してなる。
液の主成分であるビニル系共重合体(A)は、少なくと
もエポキシ基含有ビニル系単量体単位(a−1)を有す
るものである。ここで、単量体単位(a−1)として
は、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジ
ル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエ
ーテル、オキソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ
ート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、
4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、6−
グリシジルオキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−グ
リシジルオキシオクチル(メタ)アクリレート、9−グリ
シジルオキシノニル(メタ)アクリレート、2−グリシジ
ルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキ
シブチル(メタ)アクリレート等を例示することができ
る。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を組
み合わせて用いることができる。
有ビニル系単量体単位(a−1)の含有量は、全単量体
単位100質量%に対して、20〜70質量%であるこ
とが好ましく、25〜60質量%であることがより好ま
しい。エポキシ基含有ビニル系単量体(a−1)の含有
量が20質量%以上であれば、低温硬化性に優れた組成
物が得られ、硬度や耐溶剤性が良好な塗膜が得られる。
また、エポキシ基含有ビニル系単量体(a−1)の含有
量が70質量%以下であれば、貯蔵安定性に優れた組成
物が得られると共に、耐熱黄変性が良好な塗膜が得られ
る。
当量が250〜500g/eqであることが好ましく、
270〜480g/eqであることがより好ましい。ビ
ニル系共重合体(A)のエポキシ当量が250g/eq
以上であれば、貯蔵安定性に優れた組成物が得られ、5
00g/eq以下であれば、低温硬化性に優れた組成物
が得られ、硬度が良好な塗膜が得られる。
シ基含有ビニル系単量体(a−1)の他、水酸基を有す
るビニル系単量体単位(a−2)を含有することが好ま
しい。ここで、水酸基を有するビニル系単量体単位(a
−2)の含有量は、全単量体単位100質量%に対して
5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量
%であることがより好ましい。水酸基を有するビニル系
単量体単位(a−2)の含有量が5質量%以上であれ
ば、低温硬化性に優れた組成物が得られ、50質量%以
下であれば、十分な相溶性を有し、低温硬化性に優れた
組成物が得られると共に、耐熱黄変性、耐水性が良好な
塗膜が得られる。
を有するビニル系単量体単位(a−2)を含有すると共
に、その水酸基当量が250〜2500g/eqである
ことが好ましく、350〜1500g/eqであること
がより好ましい。ビニル系共重合体(A)の水酸基当量
が250g/eq以上であれば、十分な相溶性を有し、
低温硬化性に優れた組成物が得られると共に、耐熱黄変
性、耐水性に優れた塗膜が得られる。また、水酸基当量
が2500g/eq以下であれば、低温硬化性に優れた
組成物が得られる。
好適な水酸基を有するビニル系単量体単位(a−2)と
しては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メ
タ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン又はγ−
ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学
(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量
体等)、メタクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加
物、メタクリル酸へのプロピレンオキシドの開環付加
物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や
3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−
ヒドロキシスチレン等を例示することができる。これら
は必要に応じて単独であるいは2種以上を組み合わせて
用いることができる。これらの中でも特に、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メ
タ)アクリレートが好適である。
量体単位(a−1)、(a−2)に加えて、他のビニル
系単量体単位(a−3)を有するものであっても良い。
なお、他のビニル系単量体単位(a−3)の配合量は、
単量体単位(a−1)、(a−2)の必要量に応じて決
定される。他のビニル系単量体単位(a−3)として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブ
チル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アク
リレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレ
ート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシ
ル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリ
レート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソデシ
ル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルデカニル(メ
タ)アクリレート等の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水
素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メ
タ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環
式炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル
類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エ
チルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキ
シルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノ
ニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニ
ルスチレン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、
N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチ
ルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド
等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート等のビニル塩基性単量体類、マレイン
酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
ブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル類
等を例示することができる。これらは必要に応じて単独
であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
リレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデ
シル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソ
ボロニル(メタ)アクリレート、スチレンが好適であ
る。これらの中でも特に、平滑性に優れた塗膜が得られ
ることから、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)
アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テト
ラデシル(メタ)アクリレートが好適である。また、硬
度の高い塗膜が得られることから、スチレン、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)ア
クリレートが好適である。
(A)の質量平均分子量は2000〜7000とする。
また、質量平均分子量は2100〜5000であること
が好ましく、2200〜4800であることがより好ま
しい。ビニル系共重合体(A)の質量平均分子量が20
00以上であれば、低温硬化性に優れた組成物が得ら
れ、7000以下であれば比較的低粘度となるため、低
粘度で且つ高固形分の塗料材料として好適な組成物が得
られる。
移温度(Tg)が10〜50℃であることが好ましく、
15〜49℃であることがより好ましい。ガラス転移温
度が10℃以上であれば、硬度、耐擦傷性が良好な塗膜
が得られ、50℃以下であれば、塗膜の靭性、貯蔵安定
性に優れた組成物が得られる。
液の総量100質量%に対して、残存未反応ビニル基含
有モノマー量を1質量%以下とする。また、残存未反応
ビニル基含有モノマー量は0.5質量%以下であること
が好ましい。未反応モノマーが多量に残存していると、
塗膜形成時に表面ハジキが発生したり、気泡が発生して
ピンポールが発生する等によって、均一な塗膜を形成す
ることが難しくなると共に、塗膜物性が悪化する恐れが
あるが、残存未反応ビニル基含有モノマー量が1質量%
以下であれば、かかる恐れはなく、塗膜形成時に表面ハ
ジキの少ない組成物が得られ、均一な塗膜が得られる。
は50〜90質量%とする。また、樹脂固形分量は55
〜85質量%であることが好ましく、60〜80質量%
であることがより好ましい。共重合体(A)溶液の樹脂
固形分量が50質量%以上であれば、使用溶剤量が少な
くハイソリッド化に対応可能であり、90質量%以下で
あれば、共重合体溶液の粘度が十分に低く、取扱いが容
易となる。
量体の総量100質量部に対して、重合開始剤量を0.
01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部、より好
ましくは0.2〜3.5質量部として、製造されたもの
であることが望ましい。製造時(共重合時)に使用され
る重合開始剤量が0.01質量部以上であれば、共重合
体(A)の低分子量化が容易になるため、低粘度で且つ
高固形分の塗料材料として好適な組成物が得られると共
に、均一で外観が良好な塗膜が得られる。また、使用さ
れる重合開始剤量が8質量部以下であれば、耐熱黄変
性、耐酸性、耐水性、耐溶剤性、耐候性、靭性、耐擦傷
性、硬度が良好な塗膜が得られる。
液の主成分であるビニル系共重合体(B)は、少なくと
もカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するビニル
系単量体単位(b−1)を有するものである。このよう
な共重合体(B)溶液を配合することにより、ビニル系
共重合体(B)中のカルボキシル基及び/又は酸無水物
基と、ビニル系共重合体(A)中のエポキシ基や水酸基
とを架橋反応させ硬化させることができる。
物基を含有するビニル系単量体単位(b−1)として
は、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安
息香酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等のカルボ
キシル基含有α,β−不飽和ビニル系単量体類、β−
(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、β
−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、β
−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、β
−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタレー
ト、γ−(メタ)アクリロキシプロピル−アシッドサク
シネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
へのε−カプロラクトン又はγ−ブチロラクトンの開環
付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセルF単
量体、UCC社製トーンM単量体等)の末端水酸基を無
水コハク酸や無水フタル酸又は無水ヘキサヒドロフタル
酸でエステル化して末端にカルボキシル基を導入したコ
ハク酸モノエステルやフタル酸モノエステル又は無水ヘ
キサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変
性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物化
合物との半エステル化反応生成物等の長鎖カルボキシル
基含有ビニル系単量体類、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸、無水シトラコン酸、2,3−ジメチル無水マレイ
ン酸等のα,β−ジカルボン酸無水物基を有するビニル
系単量体、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチ
ル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、
イタコン酸モノオクチル、フマル酸モノブチル、フマル
酸モノ−2−エチルヘキシル、シトラコン酸モノエチル
等のジカルボン酸モノエステル基を有するビニル系単量
体等を例示することができる。これらは必要に応じて単
独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
する単量体単位とα,β−ジカルボン酸無水物基のモノ
エステル化基を有する単量体単位を共存させることが好
ましい。なお、かかる共重合体(B)は以下のようにし
て得ることができる。例えば、α,β−ジカルボン酸無
水物基を有する単量体と後述する他のビニル系単量体
(b−2)を共重合した後、その酸無水物基を部分的に
アルカノールで開環することにより、酸無水物基とその
モノエステル化基を共存させることができ、α,β−ジ
カルボン酸無水物基を有する単量体単位とα,β−ジカ
ルボン酸無水物基のモノエステル化基を有する単量体単
位を有する共重合体(B)を得ることができる。この方
法では、添加するアルカノールの量を調整するなどし
て、残存させる酸無水物基量を調整することができる。
ために用いて好適なアルカノールとしては、メタノー
ル、エタノール、i−プロパノール、t−ブタノール、
i−ブタノール、n−ブタノール、メチルセルソルブ、
エチルセルソルブ、ジメチルアミノエタノール、ジエチ
ルアミノエタノール、アセトール、プロパギルアルコー
ル、アリルアルコール等を例示することができる。これ
らは必要に応じて単独であるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができる。また、これらの中でもメタノー
ル、エタノールが好適である。また、酸無水物基のモノ
エステル化は、必要に応じてテトラブチルアンモニウム
等の第4級アンモニウム塩類やトリエチルアミン等の第
3級アミン類等の反応触媒を併用して行うことができ
る。
する単量体とα,β−ジカルボン酸無水物基のモノエス
テル化基を有する単量体と後述する他のビニル系単量体
(b−2)を共重合することによっても、α,β−ジカ
ルボン酸無水物基を有する単量体単位とα,β−ジカル
ボン酸無水物基のモノエステル化基を有する単量体単位
を有する共重合体(B)を得ることができる。
体単位100質量%に対して、カルボキシル基及び/又
は酸無水物基を有するビニル系単量体単位(b−1)の
含有量は、10〜70質量%であることが好ましく、1
7〜60質量%であることがより好ましく、20〜55
質量%であることが特に好ましい。単量体単位(b−
1)の含有量が10質量%以上であれば、低温硬化性に
優れた組成物が得られ、60質量%以下であれば、貯蔵
安定性に優れた組成物が得られると共に、耐水性に優れ
た塗膜が得られる。
250〜500g/eqであることが好ましく、270
〜480g/eqであることがより好ましい。ビニル系
共重合体(B)の酸当量が250g/eq以上であれ
ば、貯蔵安定性に優れた組成物が得られると共に、耐水
性に優れた塗膜が得られる。また、酸当量が500g/
eq以下であれば、低温硬化性に優れた組成物が得られ
る。
カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するビニル系
単量体単位(b−1)に加えて、他のビニル系単量体単
位(b−2)を含有するものであっても良い。他のビニ
ル系単量体単位(b−2)の配合量は、上記単量体単位
(b−1)の必要量に応じて決定される。
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブ
チル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アク
リレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレ
ート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシ
ル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリ
レート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソデシ
ル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルデカニル(メ
タ)アクリレート等の直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水
素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メ
タ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環
式炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル
類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エ
チルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブ
チルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキ
シルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノ
ニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニ
ルスチレン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、
N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチ
ルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド
等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート等のビニル塩基性単量体類、マレイン
酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
ブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル類
等を例示することができる。これらは必要に応じて単独
であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
て酸無水物基を有する単量体を用いない場合は、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレー
ト等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル
酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートへのε−カプロラクトン又はγ−ブチロラクトンの
開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセル
F単量体、UCC社製トーンM単量体等)、メタクリル
酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル酸へ
のプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に水酸
基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロ
キシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等
の他の水酸基含有ビニル系単量体類等を用いることもで
きる。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を
組み合わせて用いることができる。
リレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデ
シル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソ
ボロニル(メタ)アクリレート、スチレンが好適であ
る。これらの中でも、平滑性に優れた塗膜が得られるこ
とから、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アク
リレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデ
シル(メタ)アクリレートが好適である。また、硬度の
高い塗膜が得られることから、スチレン、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリ
レートが好適である。
の質量平均分子量は2000〜7000とする。また、
質量平均分子量は2100〜6900であることが好ま
しく、2200〜5000であることがより好ましい。
ビニル系共重合体(B)の質量平均分子量が2000以
上であれば、低温硬化性に優れた組成物が得られ、70
00以下であれば比較的低粘度となるため、低粘度で且
つ高固形分の塗料材料として好適な組成物が得られ、ま
た貯蔵安定性に優れた組成物が得られる。
移温度(Tg)が20〜70℃であることが好ましく、
25〜69℃であることがより好ましい。ガラス転移温
度が20℃以上であれば、硬度、耐擦傷性が良好な塗膜
が得られ、70℃以下であれば、靭性に優れた塗膜が得
られる。
液の総量100質量%に対して、残存未反応ビニル基含
有モノマー量を1質量%以下とする。また、残存未反応
ビニル基含有モノマー量は0.5質量%以下であること
が好ましい。残存未反応ビニル基含有モノマー量が1質
量%以下であれば、塗膜形成時に表面ハジキの少ない組
成物が得られ、均一な塗膜が得られる。
は50〜90質量%とする。また、樹脂固形分量は55
〜85質量%であることが好ましく、60〜80質量%
であることがより好ましい。共重合体(B)溶液の樹脂
固形分量が50質量%以上であれば、使用溶剤量が少な
くハイソリッド化に対応可能であり、90質量%以下で
あれば、共重合体溶液の粘度が十分に低く、取扱いが容
易となる。
系単量体の総量100質量部に対して、重合開始剤量を
0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部、よ
り好ましくは0.2〜3.5質量部として、製造された
ものであることが望ましい。製造時(共重合時)に使用
される重合開始剤量が0.01質量部以上であれば、共
重合体(B)の低分子量化が容易になるため、低粘度で
且つ高固形分の塗料材料として好適な組成物が得られる
と共に、均一で外観が良好な塗膜が得られる。また、使
用される重合開始剤量が8質量部以下であれば、耐熱黄
変性、耐酸性、耐水性、耐溶剤性、耐候性、靭性、耐擦
傷性、硬度が良好な塗膜が得られる。
法)本発明の組成物に用いる共重合体(A)溶液及び
(B)溶液は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等
の既知の重合法により製造することができるが、中でも
溶液重合法を採用することが好ましい。また、溶液重合
法の中でも、製造コストや生産効率に優れると共に、耐
酸性、耐熱黄変性に優れた塗膜が得られることから、モ
ノマー成分と溶剤との混合物を反応容器中に連続供給す
る連続重合方式で溶液重合を行い、未反応モノマーを分
離することなく処理することにより製造する方法が特に
好適である。
の他、重合開始剤及び必要に応じて重合連鎖移動剤の存
在下でビニル系単量体混合物を共重合させる。ここで、
モノマー成分と溶剤との総量100質量部に対して、モ
ノマー成分の配合量を50〜95質量部、溶剤の配合量
を50〜5質量部として反応させることが好ましい。
な溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化
水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエス
テル類等を例示することができる。また、共重合体
(B)の構成単位に、α,β−ジカルボン酸無水物基を
有する単量体が含まれない場合には、イソプロパノー
ル、n−ブタノール等のアルコール類等も用いることが
できる。
知の重合開始剤を用いることができ、2,2−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチル
ブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペ
ルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパ
ーオキシド、t−ブチルパーオキ−2−エチルヘキサノ
エート等を例示することができる。
0〜300℃の温度で、かつ1〜30分の滞在時間で連
続重合を行うことが好ましい。150℃以上で連続重合
を行うことにより、製造される共重合体溶液中の残存モ
ノマー量を低減することができる。その結果、塗膜形成
時に表面ハジキの少ない組成物を得ることができ、均一
な塗膜を形成することができる。また、300℃以下で
連続重合を行うことにより、生成される共重合体の熱分
解を抑制することができる。また、1分以上の滞在時間
で連続重合を行うことにより、製造される共重合体溶液
中の残存モノマー量を低減することができる。その結
果、塗膜形成時に表面ハジキの少ない組成物を得ること
ができ、均一な塗膜を形成することができる。また、3
0分以下の滞在時間で連続重合を行うことにより、共重
合体の熱による変質、劣化を抑制することができるた
め、塗膜の耐酸性や耐熱黄変性を向上させることができ
る。
組成物の総量100質量部に対して、共重合体(A)溶
液の配合量が10〜85質量部、共重合体(B)溶液の
配合量が10〜85質量部であることが好ましい。ま
た、共重合体(A)溶液の配合量が20〜80質量部、
共重合体(B)溶液の配合量が20〜80質量部である
ことがより好ましい。このように共重合体(A)溶液、
(B)溶液を配合することにより、低温硬化性に優れた
組成物が得られ、硬度、耐酸性、耐溶剤性が良好な塗膜
が得られる。
て、組成物の総量100質量部に対して、共重合体
(A)溶液と共重合体(B)溶液の合計配合量が50〜
99質量部であることが好ましい。また、共重合体
(A)溶液と共重合体(B)溶液の合計配合量が60〜
98質量部であることが好ましい。共重合体(A)溶液
と共重合体(B)溶液の合計配合量が50質量部以上で
あれば、耐酸性、架橋密度、耐候性、耐水性、外観等が
良好な塗膜が得られる。
は、得られる塗膜の架橋密度や外観のさらなる向上のた
めに、必要に応じてエポキシ基、カルボキシル基、酸無
水物基、水酸基のうち少なくとも1種と反応する官能基
を有する化合物又は樹脂からなる補助硬化剤(C)を添
加しても良い。補助硬化剤(C)の添加量は組成物の総
量100質量部に対して、1〜50質量部とすることが
好ましく、2〜40質量部とすることがより好ましい。
補助硬化剤(C)の添加量が1質量部以上であれば、得
られる塗膜の架橋密度や外観の向上効果が得られ、50
質量部以下であれば、貯蔵安定性に優れた組成物が得ら
れ、耐酸性や耐熱黄変性が良好な塗膜が得られる。
ミン系樹脂やブロックイソシアネート系樹脂の他、グリ
シジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、脂
環式エポキシ化合物等のエポキシ化合物類、アジピン
酸、フタル酸等の多塩基酸化合物類、分子中にカルボキ
シル基を有するソリッド酸価50〜200mgKOH/
g(すなわち酸当量280〜1120g/eq)のポリ
エステル樹脂等を例示することができる。これらは単独
であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
(A)中のエポキシ基とビニル系共重合体(B)中のカ
ルボキシル基のモル比(エポキシ基/カルボキシル基)
が、1/5〜5/1であることが好ましく、1/4〜4
/1であることがより好ましく、1/3〜3/1である
ことが特に好ましい。かかる構成とした場合には、前述
の補助硬化剤(C)を併用しなくても、塗膜形成時の未
反応の官能基が少なくなるため、架橋密度が高く、耐水
性、耐候性等に優れた塗膜が得られる。
性を向上させることを目的として、硬化触媒を添加する
こともできる。硬化触媒としては、酸基とエステル基の
エステル化反応に用いられる、4級アンモニウム塩や4
級ホスホニウム塩等の公知の触媒を用いることができ
る。具体的には、ベンジルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、
テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルア
ンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライ
ド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等が
挙げられる。
は、貯蔵安定性を向上させることを目的として、必要に
応じて、スルホン酸系やリン酸系に代表される酸性化合
物あるいはそれらのブロック化物を添加しても良い。こ
れらの具体例としては、パラトルエンスルホン酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン
酸、及びこれらのアミンブロック化物、モノアルキルリ
ン酸、ジアルキルリン酸、モノアルキル亜リン酸等が挙
げられる。
は、有機ベントン、ポリアミド、マイクロゲル、繊維素
系樹脂等のレオロジー調節剤や、シリコーンに代表され
る表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、
垂れ止め剤等の添加剤を、必要に応じて適宜配合するこ
とができる。
熱硬化性被覆用組成物により構成されたものであり、自
動車のトップコート用として好適なものである。なお、
本発明の塗料を自動車のトップコート用として用いる場
合、ベースコートには、本発明の塗料を用いても良い
し、公知のベースコート用塗料を用いても良い。公知の
ベースコート用塗料としては、アクリル−メラミン系等
の熱硬化性樹脂を用いたものが挙げられる。例えば、ア
クリル−メラミン系等の熱硬化性樹脂、揮発性の有機溶
剤からなる希釈剤、アミノ樹脂やポリイソシアネート化
合物等からなる硬化剤、アルミニウムペースト、マイ
カ、リン片状酸化鉄等の光輝剤、酸化チタン、カーボン
ブラック、キナクリドン等の無機顔料又は有機顔料、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等の添
加樹脂、表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添
加剤等からなるベースコート用塗料が知られている。
しては、ベースコート用塗料を塗装した後焼成硬化せず
に、トップコート用塗料(本発明の塗料)を塗装し、双
方の塗膜を同時に硬化させる、いわゆる2コート1ベー
ク硬化方式を採用することが好ましい。但し、ベースコ
ートとして水性塗料を用いる場合には、良好な外観を得
ることができることから、トップコートを塗装する前に
あらかじめベースコートを60〜100℃にて1〜10
分程度加熱し半硬化しておくことが好ましい。水性のベ
ース塗料としては、例えば、米国特許第5,151,12
5号、米国特許第5,183,504号等に記載されてい
るものを例示できる。
は、特定のエポキシ基含有ビニル系共重合体(A)を主
成分とする共重合体(A)溶液と、特定のカルボキシル
基及び/又は酸無水物基含有ビニル系共重合体(B)を
主成分とする共重合体(B)溶液とを配合してなるもの
であるので、低温硬化性、貯蔵安定性に優れると共に、
塗膜形成時に表面ハジキが少なく、硬度、靱性、架橋密
度、耐酸性、耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、
耐擦傷性等が良好な塗膜を形成でき、自動車のトップコ
ート用塗料等として好適なものである。また、本発明の
熱硬化性被覆用組成物及び塗料は、ハイソリッド化にも
対応可能であり、環境面からも好適なものである。
例について説明する。 (合成例1) 共重合体(A−1)溶液の合成 攪拌翼、原料供給ライン、重合物抜出ライン、窒素加圧
ライン、温調装置を備えた加圧対応の連続式槽型反応容
器を、窒素ガス雰囲気下で220℃に予め加熱しておい
た。この反応容器中に容器上部から、溶剤としてソルベ
ッソ#150(エッソ社製、芳香族炭化水素)2000
g、単量体として、グリシジルメタクリレート2000
g、4−ヒドロキシブチルアクリレート1000g、i
−ブチルメタクリレート500g、2−エチルヘキシル
メタクリレート500g、シクロヘキシルメタクリレー
ト500g、及びスチレン500g、重合開始剤として
2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル140
gを配合した混合物を、滴下注入ポンプにて、100g
/分の速度で連続的に注入滴下した。上記混合物の注入
を開始してから5分後に、容器下部にある取り出し口か
ら100g/分の速度で樹脂溶液の取り出しを開始し、
1500g取り出した時点でこれを初留分として廃棄し
た。引き続き別に準備した撹拌機、温度制御装置及びコ
ンデンサーを備えた内容積5Lのフラスコに100g/
分の速度にて樹脂溶液を連続的に回収した。4500g
採取後、取り出しを停止し連続式槽型反応容器内の残存
樹脂溶液を廃棄した。次に、回収樹脂溶液の入ったフラ
スコを145℃に保持し、追加の重合開始剤(追加触
媒)として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニト
リル25gを1時間かけて連続的に添加し、更に130
℃で1時間保持して樹脂への転化率を十分に高め、樹脂
固形分量約71質量%のエポキシ基含有ビニル系共重合
体(A−1)溶液を得た。共重合体(A−1)を合成す
る際に用いた単量体の組成、重合開始剤の添加量、重合
温度、及び得られた共重合体溶液、共重合体の特性を表
1に示す。
(A−8)溶液の合成 用いる単量体の組成、添加する重合開始剤量、重合温度
を表1に示すものとした以外は合成例1と同様にして、
エポキシ基含有ビニル系共重合体(A−2)〜(A−
8)溶液を合成した。得られた各共重合体溶液、共重合
体の特性を表1に示す。
〜(E−3)溶液の合成 比較のため、用いる単量体の組成、添加する重合開始剤
量、重合温度を表2に示すものとした以外は合成例1と
同様にして、共重合体(A)溶液で規定した条件を満さ
ないビニル系共重合体(E−1)〜(E−3)溶液を合
成した。得られた各共重合体溶液、共重合体の特性を表
2に示す。なお、表2には、共重合体(E−1)〜(E
−3)溶液において、共重合体(A)溶液で規定した範
囲外の特性に*印を付している。
始剤の配合量の単位は「質量部」を示す。また、エポキ
シ当量、水酸基当量、ガラス転移温度は理論値を示して
いる。また、各略号は以下の化合物を示す。 GMA:グリシジルメタクリレート HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート i−BA:i−ブチルアクリレート n−BA:n−ブチルアクリレート i−BMA:i−ブチルメタクリレート EHA:2−エチルヘキシルアクリレート EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート CHMA:シクロヘキシルメタクリレート IBXA:イソボロニルアクリレート St:スチレン 重合開始剤:2,2’−アゾビス−2−メチルブチロ
ニトリル
の合成 攪拌翼、原料供給ライン、重合物抜出ライン、窒素加圧
ライン、温調装置を備えた加圧対応の連続式槽型反応容
器を窒素ガス雰囲気下で200℃に予め加熱しておい
た。この反応容器中に容器上部から、溶剤として、ソル
ベッソ#150625g、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルアセテート125g、及びプロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート500g、単量体
として、無水マレイン酸500g、メタクリル酸250
g、i−ブチルメタクリレート500g、2−エチルヘ
キシルメタクリレート250g、シクロヘキシルメタク
リレート500g、及びスチレン500g、重合開始剤
としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト70gを配合した混合物を、滴下注入ポンプにて、1
00g/分の速度で連続的に注入滴下した。上記混合物
の注入を開始してから5分後に、容器下部にある取り出
し口から100g/分の速度で樹脂溶液の取り出しを開
始し、1500g取り出した時点でこれを廃棄した。引
き続き別に準備した撹拌機、温度制御装置及びコンデン
サーを備えた内容積5Lのフラスコに100g/分の速
度にて樹脂溶液を連続的に回収した。3000g採取
後、取り出しを停止し連続式槽型反応容器内の残存樹脂
溶液を廃棄した。回収樹脂溶液の入ったフラスコを14
5℃に加熱し、追加の重合開始剤(追加触媒)としてt
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12.
5gを1時間かけて連続的に滴下し、更に130℃で1
時間保持して樹脂への転化率を十分に高めた。その後、
回収樹脂溶液の入ったフラスコ容器の内温を70℃に低
下させ、さらにメタノール155g及びトリエチルアミ
ン12.5gを加え、内温を70℃で7時間保持し、酸
無水物基の部分的なモノエステル化を行った。酸無水物
基が減少していることをIR(赤外分光法;1780c
m-1)で確認し、樹脂固形分量64質量%のビニル系共
重合体(B−1)溶液を得た。共重合体(B−1)を合
成する際に用いた単量体の組成、重合開始剤の添加量、
重合温度、及び得られた共重合体溶液、共重合体の特性
を表3に示す。得られたビニル系共重合体(B−1)
は、全単量体単位100質量%に対して、無水マレイン
酸単量体単位1質量%と、マレイン酸モノメチル単量体
単位19質量%と、メタクリル酸単量体単位10質量%
を有するものであった。
1)〜(F−4)溶液の合成 比較のため、用いる単量体の組成、添加する重合開始剤
量、重合温度を表3に示すものとした以外は合成例12
と同様にして、共重合体(B)溶液で規定した条件を満
さないビニル系共重合体(F−1)〜(F−4)溶液を
合成した。得られた各共重合体溶液、共重合体の特性を
表3に示す。なお、表3には、共重合体(F−1)〜
(F−4)溶液において、共重合体(B)溶液で規定し
た範囲外の特性に*印を付している。
の配合量の単位は「質量部」を示す。また、酸当量、ガ
ラス転移温度は理論値を示している。また、各略号は以
下の化合物を示す。 MAA:メチルアクリレート i−BMA:i−ブチルメタクリレート n−BA:n−ブチルアクリレート EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート CHMA:シクロヘキシルメタクリレート St:スチレン 重合開始剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート
0g、共重合体(B−1)溶液100g、モダフロー
(モンサント社製、アクリル系表面調整剤)0.2g、
ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド1
g、チヌビン900(チバガイギー社製、紫外線吸収
剤)2g、サノールLS−765(三共社製、光安定化
剤)2g、n−ブタノール10gを配合し、撹拌混合し
た。さらにソルベッソ#150/プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテートを質量比80/20で混
合した混合溶剤で希釈し、20℃における粘度がフォー
ドカップ#4で28秒となるように調製し、本発明の塗
料(熱硬化性被覆用組成物)を得た。調製した塗料の主
な組成を表4に示す。
る共重合体(A)溶液の種類や共重合体(A)溶液と
(B)溶液の配合量を表4に示すものとした以外は実施
例1と同様にして、本発明の塗料(熱硬化性被覆用組成
物)を得た。また、実施例7、8では、用いる共重合体
(A)溶液の種類や共重合体(A)溶液と(B)溶液の
配合量を表4に示すものとし、さらに、補助硬化剤
(C)を表4に示す配合量で配合した以外は実施例1と
同様にして、本発明の塗料(熱硬化性被覆用組成物)を
得た。なお、補助硬化剤(C)としては、補助硬化剤
(C−1):ユーバン20SE60(三井化学社製、n
−ブチル化メラミン樹脂、不揮発分60質量%)、(C
−2):デナコールEX−212(ナガセ化成社製、脂
肪族エポキシ樹脂、不揮発分100質量%)のうちいず
れかを用いた。
合体(A)溶液の代わりに共重合体(E)溶液を用い、
比較例4〜7では、共重合体(B)溶液の代わりに共重
合体(F)溶液を用いた以外は実施例と同様にして、比
較用の塗料を得た。調製した各塗料の主な組成を表5、
6に示す。
度をフォードカップ#4で測定し、試験前からの増加秒
数から、下記基準に基づいて評価した。 判定基準 ◎:増加秒数が13秒未満であり、貯蔵安定性が非常に
良好である。 ○:増加秒数が13秒以上20秒未満であり、貯蔵安定
性が良好で実用上問題がない。 △:増加秒数が20秒以上30秒未満であり、貯蔵安定
性が不良で実用上問題がある。 ×:増加秒数が30秒以上であり、貯蔵安定性が極めて
不良で使用できない。
00mm×450mm)上に、得られた塗料を乾燥後膜
厚が30μmとなるように重ね塗りにより塗布し、常温
で15分間放置した後、140℃の熱風乾燥機で30分
間焼成し塗膜を形成した。この試験板の塗膜表面に、塗
膜形成時の表面ハジキによる外観不良の有無を目視によ
り観察し、下記基準に基づいて評価した。 判定基準 ○:表面ハジキが無く、外観(表面状態)が良好であ
る。 ×:表面ハジキがあり、外観(表面状態)が不良であ
る。
代わりに、脱脂処理したポリプロピレン板(150mm
×150mm)を用いた以外は表面ハジキの評価と同様
に、試験板を作成した。作成した試験板から塗膜(4m
m×30mm)を切り出し、(株)東洋ボールドウィン
製RHEOVIBRON(DDV−II−EP)にて、測
定周波数:3.5Hz、昇温速度:3℃/分の条件で粘
弾性測定を行い、下記式に基づいて架橋間分子量Mcを
求めた。Mcは、その値が小さいほど架橋密度が高いこ
とを意味する。 Mc=3ρRT/E’ (但し、式中、ρは塗膜の密度(本試験では、1とし
た。)、Rは気体定数、E’は高温ゴム状域での動的弾
性率の最小値、Tは高温ゴム状域で動的弾性率が最小値
E’となるときの温度をそれぞれ示す。) なお、架橋間分子量が600以下のものを良好と判定し
た。
試験板を作成し、作成した試験板から塗膜(50mm×
50mm)を切り出し、アセトン/メタノールを質量比
50/50で混合した混合溶剤中に還溜温度で3時間浸
漬した後の不溶解分の比率(質量%)をゲル分率として
評価した。ゲル分率はその値が大きいほど塗膜の架橋度
が高いことを示すが、ゲル分率が90%以上のものを良
好と判定した。
評価と同様に試験板を作成し、作成した試験板から塗膜
(10mm×70mm)を切り出し、(株)オリエンテ
ック製RTA−250にて、引っ張り速度を10mm/
分として引っ張り試験測定を行い、破断時の伸度(%)
を測定した。破断時の伸度が大きいほど靱性が高いこと
を示すが、破断時の伸度が5%以上のものを良好と判定
した。
同様に試験板を作成し、形成した塗膜に対して、三菱鉛
筆ユニを用いて45度の角度で引っ掻き傷のつかない最
も硬い鉛筆の硬度を測定し、鉛筆硬度がF以上のものを
良好と判定した。
板を作成し、形成した塗膜に対して40質量%の硫酸水
溶液をスポット状に滴下し、70℃で15分放置した後
水洗し、スポット跡の外観変化を目視により観察した。 <耐溶剤性>表面ハジキの評価と同様に試験板を作成
し、形成した塗膜に対して、ガーゼにメチルエチルケト
ンを浸したものを50往復ラビングするラビング試験を
行い、外観変化を目視により観察した。
験板を作成し、形成した塗膜に対して、大栄科学精器
(株)製の摩擦堅牢度試験機を用い、マケン石鹸(株)
製マケンクレンザーの50質量%水溶液を塗りつけたガ
ーゼを塗膜と接触させ、荷重1kgをかけた状態で50
往復の摩擦試験を行い、外観変化を目視により観察し
た。 <耐熱黄変性>表面ハジキの評価と同様に試験板を作成
し、160℃で1時間オーバーベークした。日本電色工
業製SE2000を用い、塗膜の試験前後のb値をそれ
ぞれ測定し、その差を黄変の程度として評価した。
板を作成し、40℃の温水に10日間浸漬させ、試験前
後の塗膜表面状態を目視により観察し、「膨れ」や「ブ
リスター」、「白化」等の状態変化の発生有無を調べ
た。 <耐候性>表面ハジキの評価と同様に試験板を作成し、
サンシャインウェザーメーター(スガ試験機製)を用
い、初期光沢値と2000時間試験後の光沢値をそれぞ
れ測定し、その差を評価した。
00mm×450mm)上に、得られた塗料を乾燥後膜
厚が30μmとなるように重ね塗りにより塗布し、常温
で15分間放置した後、120℃の熱風乾燥機で30分
間焼成して塗膜を形成した。この塗膜に対して、キシレ
ンを用いて上記の耐溶剤性試験を行い、塗膜の外観変化
を目視により観察した。
黄変性、耐水性、耐候性、低温硬化性については、下記
基準に基づいて評価した。 判定基準 ◎:試験後の塗膜品質が試験前と変わらず、極めて優れ
た塗膜性能を維持していた。 ○−◎:試験後の塗膜品質が試験前とほとんど変わら
ず、優れた塗膜性能を維持していた。 ○:試験後の塗膜品質は試験前より若干低下している
が、実用性能は十分に有していた。 △−○:試験後の塗膜品質は試験前より低下している
が、実用性能は有していた。 ×−△:試験後の塗膜品質が試験前より低下し、実用上
問題があった。 ×:試験後の塗膜品質が試験前より著しく低下し、実用
上使用不可能であった。
た結果を表4〜6に示す。表4に示すように、実施例1
〜8において調製した本発明の塗料(熱硬化性被覆用組
成物)は、貯蔵安定性、低温硬化性に優れたものであっ
た。また、得られた塗料を用いて形成した塗膜は、表面
ハジキが無く良好な外観を呈しており、架橋密度(架橋
間分子量)、ゲル分率、靱性(破断時の伸度)、硬度
(鉛筆硬度)が高く、耐酸性、耐溶剤性、耐擦傷性、耐
熱黄変性、耐水性、耐候性に優れたものであった。この
ように、実施例1〜8において得られた本発明の塗料
(熱硬化性被覆用組成物)は、優れた塗料性能と塗膜性
能とを兼ね備えたものであった。
発明で規定する条件を満さない塗料(熱硬化性被覆用組
成物)を調製した比較例1〜7では、評価したすべての
性能を同時に満足するものは得られなかった。
に、残存未反応モノマー量が1質量%超、エポキシ当量
が500g/eq超、水酸基当量が2500g/eq超
の共重合体(E−1)溶液を用いて塗料を調製した比較
例1では、塗膜に表面ハジキによる外観不良が発生し、
塗料の低温硬化性が不十分であり、塗膜の架橋密度、靱
性、硬度、耐酸性、耐溶剤性、耐擦傷性、耐水性、耐候
性が不十分であった。
合開始剤使用量が8質量%超、質量平均分子量が200
0未満、エポキシ当量が250g/eq未満の共重合体
(E−2)溶液を用いて塗料を調製した比較例2では、
塗料の低温硬化性、貯蔵安定性が不十分であり、塗膜の
靱性、耐酸性、耐溶剤性、耐擦傷性、耐熱黄変性、耐水
性、耐候性が不十分であった。また、共重合体(A)溶
液の代わりに、ガラス転移温度が10℃未満、水酸基当
量が250g/eq未満、質量平均分子量が7000超
の共重合体(E−3)溶液を用いて塗料を調製した比較
例3では、塗料の低温硬化性、貯蔵安定性が不十分であ
り、耐溶剤性、耐擦傷性、耐熱黄変性、耐水性、耐候性
が不十分であった。
合開始剤使用量が8質量%超、質量平均分子量が200
0未満、酸当量が250g/eq未満の共重合体(F−
1)溶液を用いて塗料を調製した比較例4では、塗料の
低温硬化性、貯蔵安定性が不十分であり、塗膜の靱性、
耐酸性、耐溶剤性、耐擦傷性、耐熱黄変性、耐水性、耐
候性が不十分であった。また、共重合体(B)溶液の代
わりに、酸当量が500g/eq超、質量平均分子量が
7000超の共重合体(F−2)溶液を用いて塗料を調
製した比較例5では、塗料の貯蔵安定性、低温硬化性が
不十分であり、塗膜の硬度、耐溶剤性、耐擦傷性、耐水
性、耐候性が不十分であった。
存未反応モノマー量が1質量%超、ガラス転移温度が7
0℃超の共重合体(F−3)溶液を用いて塗料を調製し
た比較例6では、塗膜に表面ハジキによる外観不良が発
生し、塗膜の靱性が不十分であった。また、共重合体
(B)溶液の代わりに、残存未反応モノマー量が1質量
%超、ガラス転移温度が20℃未満の共重合体(F−
4)溶液を用いて塗料を調製した比較例7では、塗膜に
表面ハジキによる外観不良が発生し、塗料の低温硬化性
が不十分であり、塗膜の硬度、耐擦傷性、耐水性、耐候
性が不十分であった。
配合量の単位は「質量部」を示す。また、貯蔵安定性の
データは、増加秒数を示す。
低温硬化性、貯蔵安定性に優れると共に、塗膜形成時に
表面ハジキが少なく、硬度、靱性、架橋密度、耐酸性、
耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐擦傷性等が
良好な塗膜を形成でき、自動車のトップコート用塗料等
として好適であり、ハイソリッド化に対応可能な熱硬化
性被覆用組成物、及び該組成物を用いた塗料を提供する
ことができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 質量平均分子量が2000〜7000の
エポキシ基含有ビニル系共重合体(A)を主成分とし、
残存ビニル基含有モノマー量が1質量%以下、樹脂固形
分量が50〜90質量%の共重合体(A)溶液と、 質量平均分子量が2000〜7000のカルボキシル基
及び/又は酸無水物基含有ビニル系共重合体(B)を主
成分とし、残存ビニル基含有モノマー量が1質量%以
下、樹脂固形分量が50〜90質量%の共重合体(B)
溶液とを配合してなることを特徴とする熱硬化性被覆用
組成物。 - 【請求項2】 成分(A)のエポキシ当量が250〜5
00g/eq、ガラス転移温度が10〜50℃であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性被覆用組成
物。 - 【請求項3】 成分(A)が水酸基を有するビニル系単
量体単位を有すると共に、成分(A)の水酸基当量が2
50〜2500g/eqであることを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載の熱硬化性被覆用組成物。 - 【請求項4】 成分(B)の酸当量が250〜500g
/eq、ガラス転移温度が20〜70℃であることを特
徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記
載の熱硬化性被覆用組成物。 - 【請求項5】 組成物の総量100質量部に対して、共
重合体(A)溶液の配合量が10〜85質量部、共重合
体(B)溶液の配合量が10〜85質量部であると共
に、共重合体(A)溶液と共重合体(B)溶液の合計配
合量が50〜99質量部であることを特徴とする請求項
1から請求項4までのいずれか1項に記載の熱硬化性被
覆用組成物。 - 【請求項6】 補助硬化剤(C)をさらに含有すると共
に、組成物の総量100質量部に対して、補助硬化剤
(C)の含有量が1〜50質量部であることを特徴とす
る請求項5に記載の熱硬化性被覆用組成物。 - 【請求項7】 共重合体(A)溶液及び/又は共重合体
(B)溶液が、50〜95質量部のモノマー成分と50
〜5質量部の溶剤とを反応容器中に連続供給し、150
〜300℃の範囲で反応させて得られたものであること
を特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項
に記載の熱硬化性被覆用組成物。 - 【請求項8】 共重合体(A)溶液及び/又は共重合体
(B)溶液が、ビニル系単量体の総量100質量部に対
して、重合開始剤を0.01〜8質量部使用して得られ
たものであることを特徴とする請求項1から請求項7ま
でのいずれか1項に記載の熱硬化性被覆用組成物。 - 【請求項9】 請求項1から請求項8までのいずれか1
項に記載の熱硬化性被覆用組成物からなることを特徴と
する塗料。
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JP2005187504A (ja) * | 2003-12-24 | 2005-07-14 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ビニル系重合体組成物の製造方法 |
JP2007246802A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | ポリエステル樹脂およびその製造方法 |
KR20170134239A (ko) * | 2016-05-27 | 2017-12-06 | 스미또모 가가꾸 가부시끼가이샤 | 수지 조성물 및 경화막 |
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