JP2006143963A - 酸無水物基がハーフエステル化されたビニル系共重合体の製造方法及び該ビニル系共重合体を含む熱硬化性被覆組成物 - Google Patents

酸無水物基がハーフエステル化されたビニル系共重合体の製造方法及び該ビニル系共重合体を含む熱硬化性被覆組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒の使用によるコスト増、塗膜性能の低下を防止するために触媒の使用を抑制し、且つ、生産性、塗膜物性等に優れたハーフエステル化されたビニル系共重合体を提供し、また、このビニル共重合体を使用することにより、塗料の貯蔵安定性に優れ、耐酸性、耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐擦傷性、低温硬化性等に代表される高度の塗膜性能に優れた熱硬化性被覆用組成物を提供する。
【解決手段】 酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他の共重合性モノマーを共重合させた後、65℃〜200℃の温度、0を超えて1MPaG(Gはゲージ圧力であることを示す)以下の圧力下で、エステル化触媒を用いずに酸無水物基をハーフエステル化する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸無水物基がハーフエステル化されたビニル系共重合体組成物の製造方法、及び該製造法により製造されたエステル化触媒を含まないビニル系共重合体組成物に関し、また、該ビニル系共重合体を含む、自動車上塗り塗料、コイルコーティング用塗料、プラスチック、及び電気材料等に有用な熱硬化性樹脂組成物に関する。
自動車用トップコート等に有用な塗料としては、耐候性および美粧性に優れた性能を有することから、アクリル−メラミン系樹脂が多く使用されている。しかし、アクリル−メラミン系樹脂はメラミン樹脂を硬化剤として使用するために耐酸性に劣り、これを塗料に適用した場合、酸性雨により塗膜に雨ジミが発生し、外観が低下するという欠点を有する。
この問題を解決するために、特開平2−45577号公報(特許文献1)、特開平3−287650号公報(特許文献2)や特開平4−363374号公報(特許文献3)には、酸基としての酸無水物基がハーフエステル化された共重合体、ヒドロキシ化合物およびエポキシ化合物を含有する熱硬化性組成物や、酸基としての酸無水物基をハーフエステル化した共重合体、エポキシ基および水酸基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物が提案されている。しかし、これらの熱硬化性組成物は、ハーフエステル化された酸無水物基を有するモノマー単位の含有量が多いために、耐水性や貯蔵安定性の点で未だ十分でなかったり、酸無水物基を残存しないために、低温硬化性及び塗膜の耐溶剤性が未だ十分でないという問題を有している。
これに対し、本出願人は特開平7−278486号公報(特許文献4)にて、これらの問題を解決するために、α,β−ジカルボン酸モノエステル化した酸無水物基を有するモノマー単位を0.5〜15重量%含有するアクリル系共重合体(A)と、エポキシ基を有するアクリル系共重合体(B)を含有する熱硬化性被覆組成物、及び酸無水物基の50〜98%がハーフエステル化されたモノマー単位を0.5〜40重量%含有するアクリル系共重合体(A)と、エポキシ基を有するアクリル系共重合体(B)を含有する熱硬化性被覆組成物を提案している。
しかしながら、いずれの提案においてもハーフエステル化反応時に第3級アミン類などの触媒を使用するため、得られる共重合体組成物中に触媒が残存し、耐熱黄変性や耐候性が不十分であるという問題点を有している。また、ハーフエステル化工程にかなりの時間を要し、コスト増となっている。触媒を使用しないと、エステル化率が著しく低下し、特にエポキシ基を有する共重合体と一液組成物とした場合に保存安定性が低下するという問題がある。
特開平2−45577号公報 特開平3−287650号公報 特開平4−363374号公報 特開平7−278486号公報
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するものであり、すなわち、触媒の使用によるコスト増、塗膜性能の低下を防止するために触媒の使用を抑制し、且つ、生産性、塗膜物性等に優れたハーフエステル化されたビニル系共重合体を提供し、また、このビニル共重合体を使用することにより、塗料の貯蔵安定性に優れ、耐酸性、耐熱黄変性、耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐擦傷性、低温硬化性等に代表される高度の塗膜性能に優れた熱硬化性被覆用組成物を提供することにある。
本発明者たちは、上記従来技術の問題点に鑑み、熱硬化性被覆組成物について鋭意検討した結果、酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他の共重合性モノマーの共重合物を、エステル化触媒を用いずに酸無水物基をハーフエステル化する新規な方法を見いだし、該方法により得られる共重合体組成物を用いた熱硬化性被覆組成物は、エステル化触媒を含まないことで耐熱黄変性や耐候性に優れることを見いだした。
すなわち本発明は、酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他の共重合性モノマーを共重合させた後、65℃〜200℃の温度、0を超えて1MPaG(Gはゲージ圧力であることを示す。以下同様)以下の圧力下で、エステル化触媒を用いずに酸無水物基をハーフエステル化することを特徴とするビニル系共重合体組成物の製造方法に関する。
このように製造されるビニル系共重合体組成物は、エステル化触媒を用いないにもかかわらず、酸無水物基の50〜98%がハーフエステル化されたモノマー単位を含むものであり、該モノマー単位は0.5〜50質量部含有し、共重合体該組成物の重量平均分子量が1500〜20000の範囲にあることを特徴とするビニル系共重合体組成物である。
また本発明は、このビニル系共重合体組成物を塗料中に10〜80質量%含有することを特徴とする熱硬化性被覆組成物に関し、特に、該ビニル系共重合体組成物(A)と、エポキシ基を有するビニル系共重合体(B)とからなる硬化性被膜組成物であり、前記(A)を10〜80質量%、前記(B)を20〜90質量%含有することを特徴とする熱硬化性被膜組成物に関する。
本発明の製造方法を使用することで、エステル化触媒を含まない、酸無水物基をハーフエステル化したビニル系共重合体組成物を生産性良く得ることができ、該ビニル系共重合体組成物を用いることで、耐熱黄変性、貯蔵安定性、耐候性、塗膜硬度等に代表される高度の塗膜性能に優れた熱硬化性被覆用組成物を得ることが可能となる。
以下、本発明の熱硬化性被覆組成物についてさらに詳細に説明する。
本発明の熱硬化被覆組成物に用いるビニル系共重合体(A)は、α、β−ジカルボン酸無水物基を有する単量体を含む重合性単量体混合物を重合後、酸無水物基をアルコールでハーフエステル化させて得られるものであり、ジカルボン酸モノエステル化した酸無水物基を有するモノマー単位が0.5〜50質量%の範囲で含有されているものである。これは、これらジカルボン酸モノエステル化した酸無水物基を有するモノマー単位が0.5質量%未満では低温硬化性の向上に十分な効果が得られないためであり、50質量%を越えると熱硬化性被覆組成物の貯蔵安定性が低下するためであり、好ましくは5〜35質量%の範囲である。
本発明のビニル系共重合体(A)に含有される酸無水物基を有するモノマー単位としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などがあげられる。
また、酸無水物基のハーフエステル化に用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、i−プロパノール、t−ブタノール、i−ブタノール、n−ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アセトール、プロパギルアルコール、アリルアルコール等が挙げられ、メタノール、エタノールが好ましい。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
本発明におけるハーフエステル化の反応は65〜200℃の温度、0を超えて1MPaG以下の圧力下で行われる。反応温度が低い場合はエステル化の反応速度が遅く、生産性が低いので65℃以上であることが必要で、95℃以上であることがより好ましく、さらに好ましくは120℃以上である。また、温度が高くなるとハーフエステル化に使用するアルコールや溶剤の蒸気圧が高くなるため、取り扱いが難しく、また、高温の熱履歴は生成するビニル系共重合体組成物の性能の熱黄変性を低下させる。よって反応温度は、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは180℃以下である。
高温で反応を行うとアルコールが揮発してしまいハーフエステル化反応率が低下してしまうために、不活性ガスなどで1MPaG以下で加圧する必要があり、より好ましくは0.8MPaG以下で加圧する必要がある。
反応時間は特に制限されるものではないが、反応時間が短すぎると反応率のコントロールが難しくなりやすいため、0.5時間以上であることが好ましく、より好ましくは1時間以上である。また、反応時間が長すぎると生産性が悪くなる傾向があるため、6時間以下であることが好ましく、より好ましくは4時間以下である。
エステル化触媒については、反応速度を速くし生産性は向上されるが、被膜組成物の耐熱黄変性、耐候性を低位にさせる。本発明による、65℃〜200℃の高温、0を超えて1MPaG以下の高圧でのハーフエステル化反応では、触媒を用いなくても十分に短い時間で反応が完結するため、触媒を使用する必要はない。
さらに、本発明の熱硬化性被覆組成物に用いるビニル系共重合体(A)は、上記の単量体単位に加え、その他のビニル系単量体単位を含有することができる。この配合量は、上記単量体単位の必要量を決定することにより算出できるが、ビニル系共重合体(A)は、配合塗料中10〜80質量%であることが好ましい。配合塗料中の10質量%未満では硬化性が不十分であり、80質量%を超えると未反応で被膜中に残存する単量体が熱黄変性を低下させるためである。
このようなその他のビニル系単量体単位としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルデカニル(メタ)アクリレート等の直鎖状および分岐状の脂肪族炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のビニル塩基性単量体類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル類等が挙げられ、これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
これらのうちで、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、特に、塗膜の平滑性の点でi−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートが、また塗膜硬度の点でスチレン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
また、本発明においては、ビニル系共重合体組成物(A)中の酸無水物基の50〜98%がハーフエステル化されていることが好ましい。これは、ビニル系共重合体(A)中の酸無水物基のハーフエステル化率が50%未満であると、被覆組成物の粘度が著しく上昇し、被覆組成物の貯蔵安定性が低下する傾向があるためであり、98%を越えると、塗膜の低温硬化性が低下し、塗膜の耐溶剤性が低下する傾向にあるためである。より好ましくは80〜95%の範囲である。尚、本明細書におけるハーフエステル化率は、酸無水物基の吸収ピークの減少率(%)を測定することにより算出される。
本発明のビニル系共重合体(A)は、重量平均分子量が1500〜20000、好ましくは2000〜6000の範囲であることが好ましい。これは、ビニル系共重合体(A)の重量平均分子量が1500未満であれば低温硬化性が低位であり、20000を超えるのであれば樹脂の粘度が比較的高粘度で、塗料の塗装作業性、貯蔵安定性が低位であるためであり、より好ましくは2200〜5000の範囲である。尚、本明細書における質量平均分子量は、ビニル系共重合体樹脂組成物のテトラヒドロフラン溶液(0.4質量%)を調製後、TOSO社製カラム(GE4000HXL及びG2000HXL)が装着されたTOSO社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置に上記の溶液100μlを注入し、流量:1ml/分、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用いて測定され、標準ポリスチレンで換算された値である。
本発明の熱硬化性被覆組成物に用いるビニル系共重合体(B)に用いられるエポキシ基含有ビニル単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル、オキソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、6−グリシジルオキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−グリシジルオキシオクチル(メタ)アクリレート、9−グリシジルオキシノニル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
エポキシ基含有ビニル単量体のビニル系共重合体(B)中の配合量は、ビニル系共重合体(B)中の全単量体単位量に基づいて、20〜70質量%の範囲であることが好ましい。これは、エポキシ基含有ビニル単量体が20質量%未満であれば充分な硬化性が得られないので低温硬化性、塗膜の硬度および耐溶剤性が低位であり、70質量%を超えると貯蔵安定性、耐熱黄変性が低位であるためである。さらには、25〜60質量%の範囲がより好ましい。
また、ビニル系共重合体(B)には以下の水酸基を有するビニル系単量体単位を含有する。その具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製商品名「プラクセルF」単量体および UCC社製商品名「トーンM」単量体)、メタクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタクリル酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸基含有ビニル系単量体類等が挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、必要に応じて、単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。また、その配合量は共重合体(B)中の全単量体単位量に基づいて、水酸基を有するビニル系単量体単位を5〜50質量%の範囲で含有することが好ましい。水酸基を有するビニル系単量体単位が5質量%未満であれば低温硬化性が低位であり、50質量%を超えると塗料の相溶性が十分に確保されず、濁りが生じ、低温硬化性、塗膜の耐熱黄変性、耐水性も低位であるからである。より好ましくは、10〜40質量%の範囲である。
さらに、本発明の熱硬化性被覆組成物に用いるビニル系共重合体(B)は、上記の単量体単位に加えその他のビニル系単量体単位を含有することができる。この配合量は、上記それぞれの単量体単位の必要量を決定することにより算出される。
このようなその他のビニル系単量体単位としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシルデカニル(メタ)アクリレート等の直鎖状および分岐状の脂肪族炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のビニル塩基性単量体類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル類等が挙げられ、これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
これらのうちで、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、特に、塗膜の平滑性の点でi−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレートが、また塗膜硬度の点でスチレン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは必要に応じて単独であるいは2種以上を併用して使用することができる。
本発明の組成物に用いられるビニル系共重合体(A)および(B)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等の既知の重合法により製造することができるが、溶液重合法により製造するのが好ましい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳香族系炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなエステル類等、一般的なものを選択して用いることができる。
重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等の通常用いられる重合開始剤から選択することができる。また、必要に応じて2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を使用することができる。
本発明の熱硬化性被覆組成物を自動車塗装用のクリヤー用塗料として使用する場合、クリヤーコート層と接するベースコート層としては、本発明の熱硬化性被覆組成物を用いることもできるが、アクリル−メラミン系等の公知の硬化性樹脂を必要に応じて適宜使用することもできる。これら熱硬化性樹脂と、揮発性の有機溶剤からなる希釈剤、アミノ樹脂やポリイソシアネート化合物等からなる硬化剤、アルミニウムペースト、マイカ、リン片状酸化鉄等の光輝剤、酸化チタン、カーボンブラック、キナクリドン等の無機顔料および有機顔料、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等の添加樹脂、さらに表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を、必要に応じて公知の手段を用いて適宜配合することによって、クリヤー塗料を調製することができる。塗装に関しては、ベース塗料を塗装後焼付け硬化することなく本発明の熱硬化性樹脂組成物を含有するクリヤー塗料を塗装し、その後両方の塗膜を硬化させる2コート1ベーク硬化方式や低コスト化の観点からの中塗り工程、ベースコート、トップクリヤーをウェット・オン・ウェット方式で以って塗り重ね、同時に焼き付ける3コート1ベークなどが好ましい。ただし、ベースコートとして水性塗料を用いる場合は、良好な外観を得ることを目的にクリヤーコートを塗装する前に、予めベースコートを60〜100℃にて1〜10分程度加熱しておくことが好ましい。ベース塗料としては米国特許第5,151,125号及び米国特許第5,183,504号等に具体的に説明されているものを用いうる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。例中の部および%は、全て質量基準である。
なお、共重合体の物性は、下記により評価した。
加熱残分 :1gの共重合体溶液をアルミ皿上にサンプリングし、150℃で1時間乾燥させたときの不揮発分の比率(質量%)。
質量平均分子量(Mw):ビニル系共重合体樹脂組成物のテトラヒドロフラン溶液(0.4質量%)を調整後、TOSO社製カラム(GE4000HXL及びG2000HXL)が装着されたTOSO社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置に上記の溶液100μlを注入し、流量:1ml/分、溶離液:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用いて測定され、標準ポリスチレンで換算された値。
また、塗料の性能は、下記により評価した。
貯蔵安定性 :30℃×72時間放置後の塗料の状態を示す。
◎:異常なし。
○:若干粘度が上昇、実用上問題無し。
△:増粘、実用上問題あり。
×:ゲル化、使用不可。
また、焼付け後の塗膜の表面状態について、下記の様に評価した。
塗膜表面ハジキ:硬度と同様にして作成した試験板の塗膜表面に、ハジキが確認されるかどうかを目視観察した。
○:ハジキが無く、良好な表面状態。
×:表面ハジキが存在し、不良である状態。
さらに、塗膜性能の評価は、下記のようにして行った。
硬度 :脱脂処理したブリキ板(300mm×450mm)にベースコート塗料15μmを塗布、続いてクリヤーコート塗料を乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、未乾燥の重ね塗り塗膜を常温で15分間放置後、140℃の熱風乾燥機で30分間焼き付けて塗膜を形成した。この試験板により、三菱鉛筆「ユニ」(登録商標)を用いて45度の角度で塗膜を引っかいても傷のつかない最も硬い鉛筆硬度を塗膜硬度として判定した。
耐酸性 :硬度と同様にして作成した試験板により、40%の硫酸水溶液をスポットし、70℃で15分放置後水洗し、スポット跡を目視判定した。
耐溶剤性:硬度と同様にして作成した試験板により、ガーゼにメチルエチルケトンを浸し、50往復ラビングテストを行った後の外観を目視判定した。
耐擦傷性:硬度と同様にして作成した試験板により、大栄科学精器(株)製の摩擦堅牢度試験機を用い、マケン石鹸(株)製商品名「マケンクレンザー」の50%水溶液を塗りつけたガーゼを塗面と接触する箇所に当て、荷重1kgで50往復摩擦試験を行い、傷跡を目視判定した。
耐熱黄変性:硬度と同様にして作成した試験板を用い、160℃で1時間オーバーベークする前後の黄変の程度を比較した。比較には、日本電色工業製SE2000を用いて試験板のb値を測定し、オーバーベーク前後のb値の差により判定した。
耐水性 :硬度と同様にして作成した試験板を用い、40℃の温水に10日間浸漬する前後の塗膜表面状態、特に「膨れ」や「ブリスター」、「耐水白化」等の状態変化が発生しているかどうかを目視にて観察した。
耐候性 :硬度と同様にして作成した試験板を用い、サンシャインウェザオメーター(スガ試験機製)を用い、初期光沢値に対する2000時間後の光沢値を基に以下の基準で評価した。
リコート性:硬度と同様にして作成した試験板を用い、クリヤーコート層を未研磨のまま、さらに上層としてベースコート、クリヤーコートを塗装、焼付けし、下層クリヤーコートとの付着性を、塗膜にすきま間隔1mmでます目100ます碁盤目状にカッターで傷を付け、セロハン粘着テープを用いた剥離試験を行い、剥離せずに残っている上層塗膜のます目の数を目視で観察した。
低温硬化性:脱脂処理したブリキ板(300mm×450mm)にベースコートを15μmとなるように塗布し、続いてクリヤーコート塗料を乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、未乾燥の重ね塗り塗膜を常温で15分間放置後、120℃の熱風乾燥機で30分間焼き付けて塗膜を形成した。この試験板により、キシレンを用いて、上記の耐溶剤性試験を行い、試験後の塗膜の外観を目視判定した。
なお、上記各項目の目視判定は次の基準により行った。
◎:性能試験後の塗膜品質が試験前と変化せず、極めて優れた塗膜性能を維持していると判定。
○−◎:性能試験後の塗膜品質が試験前とほとんど変化せず、優れた塗膜性能を維持していると判定。
○:性能試験後の塗膜品質は試験前より若干低下しているが、実用性能は十分有していると判定。
○−△:性能試験後の塗膜品質は試験前より低下しているが、実用性能は有していると判定。
×−△:性能試験後の塗膜品質が試験前より低下し、実用上問題があると判定。
×:性能試験後の塗膜品質が試験前より著しく低下し、実用上使用不可能と判定。
なお、共重合体のハーフエステル化率は、ビニル共重合体単位に基づく酸無水物基の吸収(1730cm-1付近)とスチレンの吸収(700cm-1)の強度比を赤外分光光度計にて測定し、その比率からハーフエステル化率を算出した。
[実施例1]
<ビニル系共重合体(A−1)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内に窒素を100ml/分で吹き込みながら釜内温を145℃まで加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸500g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート300g、スチレン600gおよびジ−t−ヘキシルパーオキサイド150gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を120℃まで下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10gを30分かけて連続的に滴下し、更に120℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、フラスコ容器の圧力を0.35MPaGに高め、さらにメタノール300gを1時間かけて加え、内温を120℃に1時間保持し、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行って、ビニル系共重合体(A−1)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は4000であり、ハーフエステル化率は、75%であった。
[実施例2]
<ビニル系共重合体(A−2)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内を窒素で200kPaGに加圧したのち、釜内温を160℃に加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸700g、n−ブチルアクリレート600g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート100g、スチレン400gおよびジ−t−アミルパーオキサイド90gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より2時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を130℃に下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート20gを30分かけて連続的に滴下し、更に130℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、フラスコ容器の圧力を0.2MPaGに高め、メタノール250gを30分かけて滴下し、内温を130℃に1時間保持し、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行ってビニル系共重合体(A−2)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は4000であり、ハーフエステル化率は、73%であった。
[比較例1]
<ビニル系共重合体(A−3)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内に窒素を100ml/分で吹き込みながら釜内温を145℃まで加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸500g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート300g、スチレン600gおよびジ−t−ヘキシルパーオキサイド150gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を120℃まで下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10gを30分かけて連続的に滴下し、更に120℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、フラスコ容器の圧力を0.05MPaGに高め、内温を210℃まで上げ、さらにトリエチルアミン20g及びメタノール300g加え、210℃で2.8時間保持し、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行って、ビニル系共重合体(A−3)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は3800であり、ハーフエステル化率は、20%であった。
[比較例2]
<ビニル系共重合体(A−4)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内を窒素雰囲気下して釜内温を135℃まで加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸500g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート300g、スチレン600gおよびジ−t−アミルパーオキサイド150gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を120℃まで下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10gを30分かけて連続的に滴下し、更に120℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、内温を120℃まで下げ、さらにトリエチルアミン20g及びメタノール300g加え、120℃で、10時間、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行って、ビニル系共重合体(A−4)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は5000であり、ハーフエステル化率は、8%であった。
[比較例3]
<ビニル系共重合体(A−5)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内に窒素を100ml/分で吹き込みながら釜内温を145℃まで加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸500g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート300g、スチレン600gおよびジ−t−ヘキシルパーオキサイド150gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を120℃まで下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10gを30分かけて連続的に滴下し、更に120℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、内温を50℃まで下げ、さらにトリエチルアミン20g及びメタノール300gを1時間かけて加えた。引き続き9時間保持し、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行って、ビニル系共重合体(A−5)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は4000であり、ハーフエステル化率は、95%であった。
[比較例4]
<ビニル系共重合体(A−6)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧攪拌槽型反応装置に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を700g仕込み、系内に窒素を100ml/分で吹き込みながら釜内温を145℃まで加熱した。
次にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900g、無水マレイン酸500g、i−ブチルメタクリレート400g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート300g、スチレン600gおよびジ−t−ヘキシルパーオキサイド150gからなる溶剤、単量体と重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を120℃まで下げ、追加触媒としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10gを30分かけて連続的に滴下し、更に120℃で30分保持して樹脂への転化率を充分に高めた。その後、内温を50℃まで下げ、メタノール300gを1時間かけて加えた。引き続き9時間保持し、酸無水物基の部分的なハーフエステル化を行って、ビニル系共重合体(A−6)を得た。ビニル系共重合体をGPCで測定した重量平均分子量は5000であり、ハーフエステル化率は、45%であった
[参考例1]
<ビニル系共重合体(B−1)の合成>
攪拌翼、原料供給ライン、窒素加圧ライン、温調装置を備えた加圧対応の槽型容器に溶剤として「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)を800g仕込み、系内に窒素を100ml/分で吹き込みながら釜内温度を160℃まで加熱した。
次にグリシジルメタクリレート800g、4−ヒドロキシブチルアクリレート400g、i−ブチルメタクリレート200g、2−エチルヘキシルメタクリレート200g、シクロヘキシルメタクリレート200g、スチレン200g、およびジ−t−アミルパーオキサイド200gからなる溶剤と単量体及び重合開始剤の混合物を準備し、滴下ポンプにて容器上部より3時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、内温を140℃まで下げ、追加触媒としてt-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート17gを1時間かけて連続的に添加し、更に140℃で1時間保持して樹脂への転化率を充分に高め、ビニル系共重合体(B−1)を得た。
以上の実施例1〜2,比較例1〜4で得られた共重合体(A−1)〜(A−6)及び参考例1で得られた共重合体(B−1)について、表1にまとめて示す。なお、表中、GMAはグリシジルメタクリレート、4HBAは4−ヒドロキシブチルアクリレート、n−BAはn−ブチルアクリレート、i−BMAはi−ブチルメタクリレート、EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレート、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、Stはスチレンをそれぞれ示す。
Figure 2006143963
[実施例3]
<クリヤー塗料(D−1)の調製と塗料性能、塗膜性能評価>
ビニル系共重合体(A−1)100g、ビニル系共重合体(B−1)100g、「モダフロー」(商品名、モンサント社製、アクリル系表面調整剤)0.2g、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド1g、「チヌビン900」(商品名、チバガイギー社製、紫外線吸収剤)2g、「サノールLS−765」(商品名、三共社製、光安定化剤)2gおよびn−ブタノール10部を配合し、撹拌混合後、さらに「ソルベッソ#150」(商品名、エッソ社製、芳香族炭化水素)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=80/20(質量%)からなる混合溶剤で希釈し、組成物の20℃での粘度がフォードカップ#4で28秒となるように調製し、クリヤー塗料(D−1)を得た。得られたクリヤー塗料(D−1)の塗料性能(貯蔵安定性、塗装作業性、塗膜表面ハジキ)について、前述の方法により評価を行った。結果を表2に示す。
また、得られたクリヤー塗料(D−1)を用いて、先に記載した方法で各塗膜性能評価用の試験パネルを作成しその評価を行った。評価結果を表2にあわせて示す。
[実施例4]〜[実施例6][比較例5]〜[比較例12]
<クリヤー塗料(D−2)〜(D−12)の調製と塗料性能、塗膜性能評価>
ビニル系共重合体(A−1)とビニル系共重合体(B−1)のかわりに表2に示すようにビニル系共重合体(A)とビニル系共重合体(B)を配合する他はクリヤー塗料(D−1)と同様の方法で、クリヤー塗料(D−2)〜(D−12)を得た。実施例3と同様に行った塗料性能の評価結果を表2に示す。また、得られたクリヤー塗料(D−2)〜(D−12)を用いて、実施例3と同様にして各塗膜性能評価用の試験パネルの作成とその評価を行った。評価結果を表2にあわせて示す。
本発明の実施例3〜6の熱硬化性被覆組成物は貯蔵安定性に優れ、耐熱黄変性、耐候性が良好であり、さらに、塗膜表面ハジキも無く良好な外観を呈しており、硬度も良好で、優れた塗料性能と塗膜性能とを兼ね備えていた。
これに対して、本発明で規定する条件を満さない比較例5〜12の熱硬化性被覆物は、耐熱黄変性、貯蔵安定性、硬度等の性能を同時に満足するものは得られなかった。
Figure 2006143963

Claims (7)

  1. 酸無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他の共重合性モノマーを共重合させた後、65℃〜200℃の温度、0を超えて1MPaG(Gはゲージ圧力であることを示す)以下の圧力下で、エステル化触媒を用いずに酸無水物基をハーフエステル化することを特徴とするビニル系共重合体組成物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法による得られる酸無水物基の50〜98%がハーフエステル化したモノマー単位を含むビニル系共重合体組成物。
  3. ハーフエステル化した酸無水物基を有するモノマー単位を0.5〜50質量%の範囲で含有する請求項2に記載のビニル系共重合体組成物。
  4. 重量平均分子量が1500〜20000の範囲にあることを特徴とする請求項2ないし3のいずれかに記載のビニル系共重合体組成物。
  5. 酸無水物基がα,β−ジカルボン酸無水物基である請求項2ないし4のいずれかに記載のビニル系共重合体組成物。
  6. 請求項2ないし5のいずれかに記載のビニル系共重合体組成物を塗料中に10〜80質量%含有することを特徴とする熱硬化性被覆組成物。
  7. エポキシ基を有するビニル系共重合体を塗料中に20〜90質量%含有することを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性被覆組成物。
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