JP2003321559A - 加工フィルムの製造方法及びその装置 - Google Patents

加工フィルムの製造方法及びその装置

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JP2003321559A JP2002128242A JP2002128242A JP2003321559A JP 2003321559 A JP2003321559 A JP 2003321559A JP 2002128242 A JP2002128242 A JP 2002128242A JP 2002128242 A JP2002128242 A JP 2002128242A JP 2003321559 A JP2003321559 A JP 2003321559A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚さの均一性に優れる加工フィルムを量産性よ
く得ることができ、付加するコート層に所定の形状を付
与することも容易な製造方法の開発。 【解決手段】両端部(31)の半径を中央部(32)の
半径よりも大きくしたニップロール(3)をその両端部
の外周を介し円柱ロール(1)の外周に接触させて形成
した、当該ニップロールの中央部外周と円柱ロール外周
との間隙に、活性エネルギー線硬化型樹脂(12)を塗
布した透明フィルム(4)をその塗布層が円柱ロールと
接触するように導入して当該間隙を通過させた後、その
透明フィルム側から活性エネルギー線(5)を照射して
当該塗布層を硬化させる加工フィルム(41)の製造方
法、及びその方法を実施する前記透明フィルムの搬送手
段と加工フィルムの回収手段(6)を備えた製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、厚さの均一性に優れるフ
ィルムの量産性に優れる加工フィルムの製造方法及びそ
の装置に関する。
【0002】
【発明の背景】従来、透明フィルム上に紫外線硬化樹脂
等からなる表面コートなどを設けてなる加工フィルムの
製造方法としては、透明フィルム上に紫外線硬化型樹脂
等を塗布してそれを一定の間隙で配置した円柱ロールと
均一径のニップロールの間に導入して通過させた後、紫
外線等を照射して塗布層を硬化させる方法が知られてい
た。
【0003】しかしながら円柱ロールとニップロール間
における間隙の変動で形成される加工フィルムの厚さが
バラツキやすくて、均一性に乏しい問題点があった。円
柱ロールとニップロール間における間隙の変動は、エア
等を介したニップロールの駆動においてエア等の圧力変
動による押圧力の変動、円柱ロールの回転軸ブレ、硬化
型樹脂の供給量の変動などにより発生する。
【0004】
【発明の技術的課題】本発明は、厚さの均一性に優れる
加工フィルムを量産性よく得ることができ、付加するコ
ート層に所定の形状を付与することも容易な製造方法の
開発を課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】本発明は、両端部の半径を中央部の
半径よりも大きくしたニップロールをその両端部の外周
を介し円柱ロールの外周に接触させて形成した、当該ニ
ップロールの中央部外周と円柱ロール外周との間隙に、
活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布した透明フィルムを
その塗布層が円柱ロールと接触するように導入して当該
間隙を通過させた後、その透明フィルム側から活性エネ
ルギー線を照射して当該塗布層を硬化させることを特徴
とする加工フィルムの製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の効果】本発明によれば、ニップロールをその両
端部を介し円柱ロールに部分的に接触させたことで、押
圧力の変動や回転軸ブレなどにより硬化型樹脂の塗布層
を成形する間隙が変動しにくく、また樹脂供給量の変動
に対しても当該間隙が塗布量を平準化して厚さのバラツ
キが少なくて厚さの均一性に優れる加工フィルムを量産
性よく得ることができる。また円柱ロールの表面に所定
の形状を付与することで、その付与形状を介して当該塗
布層を成形でき、表面に凹凸等の所定形状を有する加工
フィルムも容易に製造効率よく得ることができる。
【0007】
【発明の実施形態】本発明による製造方法は、両端部の
半径を中央部の半径よりも大きくしたニップロールをそ
の両端部の外周を介し円柱ロールの外周に接触させて形
成した、当該ニップロールの中央部外周と円柱ロール外
周との間隙に、活性エネルギー線硬化型樹脂を塗布した
透明フィルムをその塗布層が円柱ロールと接触するよう
に導入して当該間隙を通過させた後、その透明フィルム
側から活性エネルギー線を照射し当該塗布層を硬化させ
て加工フィルムを得るものである。
【0008】前記方法の実施は、例えば軸回転する円柱
ロール、中央部よりも大きい半径の両端部を有してその
両端部の外周を介し前記円柱ロールの外周と接触して軸
回転するニップロール、活性エネルギー線硬化型樹脂の
塗布手段、その硬化型樹脂を塗布した透明フィルムを前
記円柱ロールとニップロールの中央部とにおける間隙に
導入後、当該透明フィルムをその塗布層を介し円柱ロー
ルに密着させて通過させる搬送手段、その円柱ロールに
密着する透明フィルムに対して透明フィルム側から活性
エネルギー線を照射する硬化手段、及びその硬化処理後
の透明フィルムを円柱ロールより剥離する回収手段を有
する製造装置などを用いて行うことができる。
【0009】図1に前記の製造装置を例示した。1が円
柱ロール、3がニップロール、4が透明フィルム、5が
活性エネルギー線照射装置、6が剥離ロール、12が活
性エネルギー線硬化型樹脂、41が加工フィルムであ
る。ニップロール3は、両端部31の半径が中央部31
の半径よりも大きく形成されている。なお図中の2は、
多数の微細凸部21を分散分布させてなる状態の成形パ
ターンを有する成形型である。
【0010】ニップロール3は、中央部32よりも半径
を大きくした両端部31の外周を介して円柱ロール1の
外周と部分的に接触するように配置されており、円柱ロ
ールの軸回転と連動して逆方向に軸回転するようになっ
ている。従ってニップロールにおける両端部と中央部と
の半径差に基づいてニップロールの中央部と円柱ロール
との間に間隙が形成されると共に、前記接触状態の維持
で当該間隙が一定にいじされる。
【0011】活性エネルギー線硬化型樹脂の塗布手段
は、ポンプ10とノズル11からなり、タンクに溜めた
活性エネルギー線硬化型樹脂12をポンプ10にて吸上
げて、ノズル11を介し連続的に供給するようになって
おり、これにより活性エネルギー線硬化型樹脂12が透
明フィルム4上に塗布される。
【0012】硬化型樹脂12が塗布された透明フィルム
4は、図外の搬送手段を介して、その塗布層が円柱ロー
ル側となるように前記した円柱ロール1とニップロール
3の中央部32との間、及び円柱ロールと剥離ロール6
との間に順次誘導されて通過するようになっている。
【0013】前記により、円柱ロールとニップロール中
央部の間の間隙を介して、仮に硬化型樹脂の供給量に変
動がある場合にも、その樹脂は透明フィルムの幅方向に
レベリングされて塗布厚が平準化され厚さの変動が抑制
されるなどして、塗布量の過不足やその厚さ等の塗布状
態が制御され、当該間隙厚を高精度に反映した厚さに調
節されつつ、その塗布層を介して透明フィルムが円柱ロ
ールの外周に密着し、軸回転する円柱ロールに沿って移
動する。従って前記したロール接触方式にて当該間隙の
一定性が高度に維持されることより、得られる加工フィ
ルムの厚さのバラツキが格別に抑制される。なお前記塗
布状態の制御は、塗布層中に混入した気泡の押圧による
押出にも有効である。
【0014】ついで円柱ロール1と共に密着移動する透
明フィルム4に対しては、その透明フィルム側から硬化
手段5を介して活性エネルギー線が照射され、フィルム
内側の硬化型樹脂塗布層が硬化処理されて加工フィルム
41とされた後、軸回転する剥離ロール6等からなる回
収手段を介しその加工フィルムが円柱ロール1より剥離
されて、必要に応じ図外の巻取りロール等に巻き取られ
る。
【0015】従って上記の製造装置により、円柱ロール
1の外周に両端部を太くしたニップロール3の外周31
を接触させて、そのニップロールの中央部外周32と円
柱ロール外周との間に形成した間隙に、活性エネルギー
線硬化型樹脂12を塗布した透明フィルム4をその塗布
層が円柱ロールと接触するように導入して当該間隙を通
過させた後、その透明フィルム側から活性エネルギー線
5を照射し当該塗布層を硬化させて加工フィルム41を
連続的に得る、本発明による加工フィルムの連続製造方
法が実施される。
【0016】なお前記した円柱ロール1とニップロール
3と剥離ロール6の軸回転には、例えば搬送手段を介し
た透明フィルム4の移動力ではその軸回転力に不足する
場合などに、その1体又は2体以上のロールを軸回転さ
せるための駆動源が必要に応じて用いられる。また図例
では、硬化手段としての活性エネルギー線照射装置5と
して紫外線照射ランプが用いられており、従って活性エ
ネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型樹脂が用
いられている。
【0017】円柱ロールやニップロールは、例えばアル
ミニウムやニッケル、コバルトや銅や鋼の如き金属やそ
れらの合金類、シリコーン系樹脂やウレタン系樹脂、エ
ポキシ系樹脂やフッ素系樹脂の如き樹脂などの適宜な材
料にて形成することができる。強度ないし耐久性や加工
精度等の点よりは金属ないし合金からなることが好まし
い。剥離ロールの場合も同様である。
【0018】両端部と中央部に段差を設けたニップロー
ルは、例えばロールの中央部を切削する方式や、ロール
の両端部にスリーブを付加する方式などの適宜な方式で
形成でき、その形成方式について特に限定はない。両端
部と中央部に付与する段差(半径差)は、その段差を介
した円柱ロールとの間隙調整にて加工フィルムの厚さが
制御されることより、透明フィルムの厚さに目的とする
コート層の厚さを加えた大きさとされ、その大きさは、
目的とするコート層の厚さに応じて適宜に決定すること
ができる。なおコート層の厚さは、1μm〜1mm、就中
2〜500μm、特に5〜100μmが一般的であるが、
これに限定されない。
【0019】ニップロールは、その両端部を円柱ロール
の外周に接触させうる長さに形成される。従ってニップ
ロールの長さは、円柱ロールと同じかそれよりも短いこ
とが普通であるが、これに限定されない。ニップロール
の中央部の幅は、搬送する透明フィルムが通過可能な幅
で適宜に決定でき、特に限定はない。なおロールの異径
化による間隙調節は、円柱ロールの両端部の径を太くす
ることにても達成でき、円柱ロールとニップロールの両
方を異径化することもできる。
【0020】円柱ロールは、表面が平滑な均一径のロー
ルであってもよいし、表面に活性エネルギー線硬化型樹
脂の塗布層を成形するための加工層を有するものであっ
てもよい。前者では表面が平滑なコート層を形成でき、
後者では活性エネルギー線の照射を加工層を介した当該
塗布層の成形層に対して行うことで、その加工層に対応
した表面形状を有するコート層付の加工フィルムを得る
ことができる。
【0021】前記の加工層を有する場合、上記した塗布
樹脂の透明フィルムの幅方向へのレベリングによる塗布
厚の平準化作用は、成形に有効に寄与して加工層の形状
転写を高精度に行うことができる。従ってその場合、ニ
ップロールにおける小半径の中央部の幅を、加工層にお
ける実質的な形状転写部分の幅よりも広いが加工層の全
幅よりは狭いものとして、前記したレベリング現象を強
制的に生じさせる方式とすることもできる。
【0022】加工層に設ける形状は、任意であり、例え
ばエンボス加工パターンや光拡散機能の付与を目的とし
た微細凹凸パターン、ドットパターンや多孔パターン、
プリズムパターンや波形パターン、溝型パターンや突起
パターンなどの、加工フィルムの使用目的に応じて適宜
な型ないしパターンを設けることができる。
【0023】従って平面形状が長方形の微細凸部の多数
が分散分布した形態を具備する加工層を表面に有する円
柱ロールとすることもできる。斯かる分散分布形態をそ
の各微細凸部の長辺方向を総和して平均した全微細凸部
に基づく平均長辺方向が円周方向となる状態で有する場
合、本発明においてはその状態の加工層を有する円柱ロ
ール具備の製造装置として形成される。
【0024】前記した平面形状が長方形の微細凸部の多
数が形成する分散分布形態は、任意である。従って各微
細凸部の長辺方向を総和して平均した全微細凸部に基づ
く平均長辺方向は、例えば微細凸部がその長辺方向に基
づいて平行な状態で分散分布する場合には、各微細凸部
の長辺方向は一定であるから、その総和を平均しても同
じ方向となり、全微細凸部に基づく平均長辺方向は、各
微細凸部の長辺方向と同じとなる。
【0025】一方、各微細凸部の長辺方向がランダムで
ある場合には、その各微細凸部の長辺方向を総和してそ
の平均方向を決定することとなる。その決定は例えば、
基準線を想定してその基準線に対する各微細凸部の長辺
方向の傾斜角を正負の区別を付けて測定し、その測定値
を総和して微細凹凸数で除して平均値を算出する。そし
てその平均値が平均傾斜角であるから、前記基準線(0
度)に対してその平均傾斜角の方向を全微細凸部に基づ
く平均長辺方向として決定することができる。
【0026】ちなみに長辺方向が直交する関係で同数の
微細凸部が存在する場合にも、前記の決定法によれば平
均傾斜角が45度となって、全微細凸部に基づく平均長
辺方向を決定することができる。なお平面形状が長方形
の微細凸部の多数が形成する一般的な分散分布形態は、
微細凸部の長辺方向が一辺に対して平行、又は70度以
下、就中50度以下、特に0〜45度の範囲で傾斜する
ものである。
【0027】前記した全微細凸部に基づく平均長辺方向
を円柱ロールの円周方向と揃えることにより、活性エネ
ルギー線硬化型樹脂が円柱ロール上の微細凸部の多数か
らなる形態上を流れる際の速度に違いが生じ難くて気泡
が滞留し難く、また押し出されやすい。ちなみに微細凸
部の長辺方向が樹脂の流れ方向に対して垂直にあると、
凸部の上り斜面と下り斜面とでは樹脂の流動圧に相違を
生じて気泡が滞留しやすく、60度以上の急峻な斜面で
はその圧力差が顕著となって気泡がより滞留しやすくな
る。
【0028】前記の点より当該全微細凸部に基づく平均
長辺方向と、円柱ロールの円周方向との一致性、すなわ
ち当該平均長辺方向と円周方向との交差角は、±20度
以内、就中±10度以内、特に±5度以内にあることが
好ましい。
【0029】長方形の微細凸部の寸法は、加工フィルム
の使用目的等に応じて適宜に決定しうる。一般には長方
形の長辺長が10〜200μm、就中15〜150μm、
特に20〜100μmであり、短辺長及び凸部の高さが
2〜30μm、就中3〜20μm、特に5〜15μmの微
細凸部とされる。
【0030】また微細凸部の横断面形態も適宜に決定し
うるが、一般には三角形〜五角形とされ、さらに得られ
る加工フィルムに基づいてそのフィルム面に対する傾斜
角が60度以上、就中65〜90度の斜面を1面又は2
面以上有する横断面形態の凹部を形成しうる微細凸部と
される。
【0031】上記した全微細凸部に基づく平均長辺方向
が円周方向となるように設定した円柱ロールを具備する
製造装置は、急峻なプリズム斜面を不連続に有する形態
を転写する場合などにも気泡混入の硬化樹脂が形成され
難く、品質の良好な加工フィルムを量産性よく得ること
ができる。
【0032】そして前記の加工フィルムは、それを例え
ば液晶表示パネルの視認側又は背面側に配置して、パネ
ル側面よりの入射光を視認方向に効率よく光路変換する
フロントライト機構又はバックライト機構を形成でき、
薄型軽量で明るくて見易い表示の液晶表示装置を形成す
るための光学フィルムとして好ましく用いることができ
る。図2に円柱ロール表面の微細凸部からなる形態を転
写して、平面形状が長方形の微細凹部の多数が分散分布
した形態を表面に有する加工フィルム41の例を示し
た。42が微細凹部である。
【0033】前記において側面入射光を液晶表示パネル
等の法線方向に指向性よく出射させ、液晶セルを効率よ
く照明して明るくて見やすい液晶表示を達成する点より
好ましい加工フィルムとしての光学フィルムは、フィル
ム面に対する傾斜角が35〜48度、就中38〜45
度、特に40〜43度の光路変換斜面を具備する微細凹
部の多数が分散分布した形態を有するものである。その
微細凹部は、円柱ロールの表面に微細凸部を分散分布さ
せることにより形成することができる。
【0034】前記の微細凹部は、光出射手段を形成する
ものであり、長辺方向に基づいて平行に分布していても
よいし、不規則に分布していてもよい。さらに仮想中心
に対してピット状(同心円状)に配置された分布状態に
あってもよい。加工フィルムにおける光出射手段の形成
面に占める光出射手段の投影面積に基づく占有面積は、
明るい表示の達成性等の点より1/100〜1/8、就
中1/50〜1/10、特に1/30〜1/15が好ま
しい。
【0035】また微細凹部の横断面形状は、その傾斜角
等が加工フィルムの全面で一定な形状であってもよい
し、吸収ロスや先の光路変換による伝送光の減衰に対処
して加工フィルム上での発光の均一化を図ることを目的
に、光が入射する側の側面から遠離るほど微細凹部を大
きくしてもよい。
【0036】さらに一定ピッチの微細凹部とすることも
できるし、光が入射する側の側面から遠離るほど徐々に
ピッチを狭くして、微細凹部の分布密度を多くしたもの
とすることもできる。さらにランダムピッチにて加工フ
ィルム上での発光の均一化を図ることもでき、ランダム
ピッチは画素との干渉によるモアレの防止の点よりも有
利である。よって光出射手段は、ピッチに加えて形状等
も異なる微細凹部の組合せからなっていてもよい。
【0037】微細凹部における上記した光路変換斜面
は、液晶セルの側面方向より入射させる光の方向に対面
していることが出射効率の向上の点より好ましい。従っ
て線状光源を用いる場合の光路変換斜面は、一定の方向
を向いていることが好ましい。また発光ダイオード等の
点状光源を用いる場合の光路変換斜面は、その点状光源
の発光中心の方向を向いていることが好ましい。
【0038】上記したように微細凹部のピット状配置
は、点状光源を液晶表示パネルの側面等に配置し、その
点状光源による側面方向からの放射状の入射光ないしそ
の伝送光を光路変換斜面を介し光路変換して加工フィル
ムを可及的に均一に発光させ、液晶セル等に対し法線方
向の指向性に優れる光を光源光の利用効率よく加工フィ
ルムから出射させることを目的とする。
【0039】従って前記のピット状配置は、点状光源の
配置が容易となるように加工フィルムの端面又はその外
側に、仮想中心が形成されるように行うことが好まし
い。仮想中心は、同じ又は異なる加工フィルム端面に対
して、一箇所又は二箇所以上設けることができる。
【0040】なお上記において山型ないし凸型のパター
ンを設けた加工層に基づいて、溝型ないし孔型のパター
ンを有するコート層を形成する場合には、ニップロール
における両端部と中央部の半径差(段差)を当該凸部の
高さと透明フィルムの厚さとの和以上、就中、当該凸部
高さの1.1〜500倍、特に1.5〜200倍と透明
フィルム厚の和とすることが好ましい。これにより目的
とする当該凹部パターンを有するコート層の形成に必要
な間隙、すなわち円柱ロールとニップロール中央部との
間における間隙を形成することができる。
【0041】円柱ロールの表面に設ける加工層は、例え
ば円柱ロールの表面に直接形成する方式や、成形型とし
て円柱ロールの表面に装着する方式、それらを併用する
方式などの適宜な方式にて円柱ロール表面の一部又は全
体に付与することができる。ちなみに図1の例において
は、微細凸部21の多数が分散分布した形態を有する加
工層が、その形態を有する柔軟な平板型(成形型)2と
して円柱ロール1の外周の一部に固定することにより形
成されている。
【0042】成形型の場合、ニップロールの両端部と中
央部の段差が型の上を通過するようにすれば、型が円柱
ロールの全体に取付けられていなくても、型が有る部分
と無い部分で、形成される加工フィルムに厚さの差が生
じない。またニップロールの両端部が成形型の上を通過
することによって、型取付け時のひずみや浮き等の、厚
さのバラツキの原因となる要因を排除でき、厚さの安定
した加工フィルムを得ることができる。
【0043】成形型は、上記の円柱ロール等で例示した
適宜な材料にて形成することができる。ちなみに多数の
微細凸部の分散分布形態などの、目的とする成形パター
ンを有する柔軟な平板型の形成は、例えば先ず樹脂板に
レーザー光によるドライエッチング法を適用して、目的
とする成形パターンに対応した微細凹部を有する母型を
形成し、その母型に電気鋳造法を適用して微細凸部から
なる目的とする成形パターンを有する柔軟な電鋳金型を
形成する方式などにより行うことができる。また表面に
成形パターンを直接形成した円柱ロールは、例えば切削
法などにより製造することができる。
【0044】平板型等の成形型の厚さは、円柱ロールの
径や機械的強度などに応じて適宜に決定しうる。就中、
必要な強度を満たす範囲で、可及的に薄いことが柔軟性
に基づく円柱ロール面へのフィット性等の点より好まし
い。型が厚すぎると円柱ロールに取付けた際に発生する
型との境目が樹脂剥離性を低下させたり、樹脂残りなど
が生じやすくて、加工フィルムの外観を損なう場合があ
る。
【0045】成形型の一般的な厚さは、耐久性やハンド
リング性などの点より、凸部又は凹部を有しない部分の
厚さに基づいて0.02〜3mm、就中0.05〜1mm、
特に0.1〜0.5mmとされる。なお成形型の円柱ロー
ルに対する固定は、例えば接着剤等を介した接着方式や
ネジ等を介した治具固定方式、真空吸着方式などの適宜
な方式を採ることができ、特に限定はない。
【0046】透明フィルム上に塗布する活性エネルギー
線硬化型樹脂としては、例えばアクリル系やウレタン
系、エボキシ系やシリコーン系などの、電磁波等の活性
エネルギーで硬化処理できる適宜な樹脂の1種又は2種
以上を用いうる。就中、モノマーやオリゴマー等からな
って流動性に優れ、透明性に優れる硬化体を形成しうる
ものが好ましい。また短時間硬化等の点よりは、X線を
含む紫外域以下の波長の活性エネルギー線で硬化できる
ものが好ましく、特に紫外線又は電子線で硬化処理でき
る紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂が装置の簡便
化等の点より好ましい。
【0047】透明フィルム上に活性エネルギー線硬化型
樹脂を塗布する方式は、任意であり、適宜な方式を採る
ことができる。従って例えば図例の如きノズル供給方式
やロールコート方式、バーコート方式やドクターブレー
ド方式等を含む適宜な展開方式で透明フィルム上に塗布
することができる。塗布量は、形成目的のコート層の厚
さなどに応じて適宜に決定することができる。
【0048】硬化型樹脂の塗布を受ける透明フィルムと
しては、活性エネルギー線透過性の適宜なものを用いう
る。ちなみにその例としては、アクリル系樹脂やポリカ
ーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂やポリエステル系
樹脂、セルロース系樹脂やノルボルネン系樹脂、ウレタ
ン系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂や
ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂
などからなるフィルムがあげられる。フィルム厚は、任
意であるが、ハンドリング性や強度などの点より一般に
は500μm以下、就中5〜300μm、特に10〜20
0μmとされる。斯かる厚さとすることで、打ち抜き処
理等によるサイズ加工も容易に行うことができる。
【0049】必要に応じ加工層を介し活性エネルギー線
硬化型樹脂の流動性に基づいて円柱ロール表面の形状を
転写して成形層とした当該樹脂の塗布層の硬化処理に
は、その樹脂の種類に応じた紫外線や電子線やX線等の
活性エネルギー線を照射する適宜な装置の1種又は2種
以上を用いうる。なお活性エネルギー線の照射は、透明
フィルム側より行われ、形成されたコート層付の加工フ
ィルムは、剥離ロール等の適宜な手段を介して円柱ロー
ルより剥離回収することができる。
【0050】なお加工フィルムの製造の際に用いた透明
フィルムは、付加したコート層と固着一体化させること
もできるし、分離可能なものとすることもできる。従っ
て後者の場合には、コート層からなるフィルムのみが実
用に供される。透明フィルムとそれに付加したコート層
との分離は、例えば透明フィルムを剥離剤で表面処理す
る方式などの適宜な方式にて達成することができる。
【0051】
【実施例】参考例 厚さ25μmのポリイミドフィルムに所定のマスクを介
し波長248nmのエキシマレーザー光を照射してアブレ
ーション加工によりドライエッチングを施し、横断面三
角形の微細凹部の複数を縦横等間隔で整列した分布状態
で有する絶縁性フィルムを形成した。その微細凹部は、
長辺長100μm、短辺長10μm、深さ10μmで、フ
ィルム面に対する傾斜角が42度の斜面と、それに対面
する傾斜角が75度の立面を有するものからなる。次い
で前記絶縁性フィルムの凹部付き面に電鋳法によりニッ
ケルを充填して厚さが約500μmの金属層を形成した
後、それより絶縁性フィルムを剥離して、前記凹部と同
寸法の凸部を同じ分布状態で有する形成面具備の電鋳金
型を得た。
【0052】実施例1 図1に準じて、参考例で得た電鋳金型2を、その微細凸
部21の長辺方向が円周方向と一致するように円柱ロー
ル1の外周に接着層を介して固定し、それにロール間の
間隙が100μmとなるように両端部の径を太くしたニ
ップロール3と、高圧水銀灯(120W/cm,1灯)か
らなる紫外線照射ランプ5と剥離ロール6を配置して製
造装置を形成した。
【0053】次に、前記の円柱ロールとニップロールの
間隙に、厚さ70μmの透明なPC(ポリカーボネー
ト)フィルム(4)を、その上にポンプ(10)を介し
てアクリル系紫外線硬化型樹脂(12)を約40μmの
厚さとなるように連続供給しつつ、1.0m/分の速度
で搬送手段を介して導入し、その樹脂塗布層に加工層の
微細凸部形態を転写して成形層とした後、それにPCフ
ィルム側より紫外線を30秒間照射して硬化させ、剥離
ロールを介し形成された加工フィルム(41)を剥離し
て、目的物を連続的に製造した。
【0054】得られた加工フィルムは、フィルム面に対
する傾斜角が42度の斜面と、それに対面する傾斜角が
75度の立面を有する、長辺長100μm、短辺長と深
さ10μmの微細凹部の複数が縦横等間隔で整列した分
布状態で有し、これは参考例の絶縁性フィルムに設けた
微細凹部及び電鋳金型に設けた微細凸部と高精度に対応
するものであった。
【0055】比較例 ニップロールを均一径とし、それを円柱ロールに対して
間隙が100μmとなるように設置したほかは実施例1
に準じて加工フィルムを得た。
【0056】評価試験 実施例、比較例で得た加工フィルムより切り出した幅3
0cm×長さ(流れ方向)100cmのフィルムについて、
その幅方向及び長さ方向の10cm毎に、デジタルダイア
ルゲージ(ソニー社製、DZ−501)にて厚さ(μ
m)を測定した。その結果を次表に示した。
【0057】 長さ方向(cm) 幅方向 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 実施例1 0cm 101 102 100 102 100 100 100 102 100 100 101 10cm 101 101 101 100 102 101 100 102 100 101 102 20cm 102 100 102 101 100 100 101 101 100 101 100 30cm 101 100 101 102 101 100 101 100 102 102 101 比較例 0cm 105 105 110 113 106 109 112 103 106 112 110 10cm 107 106 108 111 107 106 114 104 107 110 109 20cm 109 105 108 110 102 108 113 102 108 115 107 30cm 110 108 111 110 108 102 111 106 107 111 106
【0058】表より、厚さのバラツキが実施例1では1
00〜102μmであるのに対し、比較例では102〜
115μmであり、これより実施例では比較例に比べて
目的とした厚さを高精度に達成できて、かつ厚さのバラ
ツキも少ない加工ラィルムの得られていることが判る。
なお実施例では気泡の混入も全く認めらなかった。以上
より本発明の方法、特に製造装置によれば、急峻な斜面
の多数を不連続に有する形態のコート層を形成する場合
にも、厚さの精度とその均一性に優れて気泡の混入が殆
ど無い高品質の加工フィルムを製造効率よく得られるこ
とが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造装置例の斜視説明図
【図2】加工フィルムの斜視説明図
【符号の説明】
1:円柱ロール 2:成形型(加工層) 3:ニップロール 31:両端部 32:中央部 4:透明フィルム 5:活性エネルギー線照射装置(硬化手段) 6:剥離ロール(回収手段) 11:ノズル(塗布手段) 12:活性エネルギー線硬化型樹脂 41:加工フィルム 42:微細凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅本 清司 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電 工株式会社内 (72)発明者 木下 亮児 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電 工株式会社内 Fターム(参考) 4F073 AA05 AA07 BA03 BA07 BA13 BA18 BA19 BA20 BA22 BA23 BA26 BA28 BA29 BA31 BB01 CA00 CA04 CA09 CA41 CA42 CA45 4F100 AK25B AK45A BA02 BA10A BA10B BA15 CC00B EH462 EJ082 EJ192 EJ522 EJ542 EJ932 EK03 EK06 EK08 HB21B JB14B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部の半径を中央部の半径よりも大き
    くしたニップロールをその両端部の外周を介し円柱ロー
    ルの外周に接触させて形成した、当該ニップロールの中
    央部外周と円柱ロール外周との間隙に、活性エネルギー
    線硬化型樹脂を塗布した透明フィルムをその塗布層が円
    柱ロールと接触するように導入して当該間隙を通過させ
    た後、その透明フィルム側から活性エネルギー線を照射
    して当該塗布層を硬化させることを特徴とする加工フィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、活性エネルギー線硬
    化型樹脂が紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂であ
    り、それを硬化させる活性エネルギー線が紫外線又は電
    子線である加工フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、円柱ロールが
    その表面に活性エネルギー線硬化型樹脂の塗布層を成形
    するための加工層を有して、活性エネルギー線の照射を
    その加工層を介した当該塗布層の成形層に対して行う加
    工フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、加工層が円柱ロール
    の表面に形成されてなる、又は成形型として円柱ロール
    の表面に装着されてなる加工フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 軸回転する円柱ロール、中央部よりも大
    きい半径の両端部を有してその両端部の外周を介し前記
    円柱ロールの外周と接触して軸回転するニップロール、
    活性エネルギー線硬化型樹脂の塗布手段、その硬化型樹
    脂を塗布した透明フィルムを前記円柱ロールとニップロ
    ールの中央部とにおける間隙に導入後、当該透明フィル
    ムをその塗布層を介し円柱ロールに密着させて通過させ
    る搬送手段、その円柱ロールに密着する透明フィルムに
    対して透明フィルム側から活性エネルギー線を照射する
    硬化手段、及びその硬化処理後の透明フィルムを円柱ロ
    ールより剥離する回収手段を有することを特徴とする加
    工フィルムの製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、円柱ロールがその表
    面に、平面形状が長方形の微細凸部の多数が分散分布し
    た形態を有するものである加工フィルムの製造装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、微細凸部が長辺長1
    0〜200μm、短辺長及び凸部の高さ2〜30μmのも
    のであり、微細凸部の分散分布形態が、円柱ロールの円
    周方向に各微細凸部の長辺方向を総和して平均した全微
    細凸部に基づく平均長辺方向を有する状態のものである
    加工フィルムの製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114603820A (zh) * 2022-03-01 2022-06-10 四川固特菲斯科技有限公司 一种全生物可降解塑料袋生产设备及工艺

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