JP2003321394A - Per遺伝子発現増強剤及び概日リズム障害治療薬 - Google Patents

Per遺伝子発現増強剤及び概日リズム障害治療薬

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JP2003321394A
JP2003321394A JP2002125502A JP2002125502A JP2003321394A JP 2003321394 A JP2003321394 A JP 2003321394A JP 2002125502 A JP2002125502 A JP 2002125502A JP 2002125502 A JP2002125502 A JP 2002125502A JP 2003321394 A JP2003321394 A JP 2003321394A
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circadian rhythm
per1
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Shigenobu Shibata
重信 柴田
Takahiro Moriya
孝洋 守屋
Yuko Yoshinobu
ゆう子 吉信
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Per1及び/またはPer2遺伝子の発現
増強剤、概日リズム障害の予防及び/または治療剤を提
供する。 【解決手段】 Per1及び/またはPer2遺伝子の
発現増強剤、並びにPer1及び/またはPer2遺伝
子の発現増強剤を有効成分として含む概日リズム障害の
予防及び/または治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の時計遺伝子
の発現増強剤及び該発現増強作用に基づく概日リズム障
害の予防及び/または治療薬に存する。
【0002】
【従来の技術】多くの生物は、内因性に約24時間の生
体リズム(概日リズム、circadian rhyt
hm)を有する。概日リズムが認められる生理機能は体
温、血圧、睡眠覚醒など多岐に渡る。通常、地球の自転
により24時間の光周期が生じるため、概日リズムは2
4時間に同調されている。
【0003】概日リズムには、いくつかの遺伝子が関与
することが示唆され、これらの遺伝子は時計遺伝子と呼
ばれている。時計遺伝子としては、例えば、Clock
遺伝子、Bmal1遺伝子、Per1,2,3遺伝子、
Cry1,2遺伝子等が知られている。
【0004】国際公開番号第99/14324号公報
(欧州公開特許番号1016720号)には、サーカデ
ィアン周期に関与することが知られているショウジョウ
バエper遺伝子に対応するヒト遺伝子およびマウス遺
伝子が記載されている。また、該公報には、Per1遺
伝子は哺乳動物の脳における主要な概日リズムペースメ
ーカーである視交叉上核(Suprachiasmat
ic nucleus:SCN)において、その発現が
自律的にサーカディアン周期で振動することから、この
遺伝子およびDNA産物が、概日リズム睡眠障害の治
療、さらに深夜不規則労働者の労務および健康管理、痴
呆症の夜間徘徊の予防等へ適用可能であると記載されて
いる。更にSCNでのPer1遺伝子の発現が光パルス
によって著しく増強することが観察されたという報告も
ある(Shigeyoshi Y.等:Cell(19
97)91:1043−1053)。
【0005】概日リズム睡眠障害は、夜間に正常な睡眠
が得られないことを本人の主訴または主症状とする疾患
であり、睡眠障害のために通常の社会行動に支障をきた
す場合もある。この疾患は、時間帯域変化症候群(ジェ
ット時差症候群)や交代勤務睡眠障害等のような外因性
の急性症候群のほか、体内時計又はその同調機構の障害
により引き起こされる睡眠相後退症候群等の内因性慢性
症候群などの多様な病態を包含している。概日リズム睡
眠障害に対して種々の薬物治療が試みられているが、ベ
ンゾジアゼピン系を中心とする睡眠薬では十分な治療効
果が得られないことが知られている(「概日リズム睡眠
障害」の病態、治療法などについては、総説として、尾
崎茂、大川匡子共著、「睡眠障害と生体リズム」、特集
時間薬理学−新しい投薬の指針、Molecular Medicine,
Vol.34(3), pp.355-365, 1997 などを参照のこと)。
【0006】種々の体内時計の同調因子が知られている
が、それらの中でも、光は最も位相調節作用の強い因子
であることが知られている。
【0007】一方、下記の式:
【0008】
【化2】
【0009】(式中、mは2〜5の整数を表し、nは1
〜3の整数を表す)で示されるアルキレンジオキシベン
ゼン誘導体が、光による概日リズムの位相変化を増強す
る効果を持ち、概日リズム睡眠障害の予防及び/又は治
療に有用であることが特開平11−35461号公報に
記載されている。
【0010】しかしながら、これらの化合物が概日リズ
ムの位相変化を増強するメカニズムについては全く知ら
れていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な作用メカニズムを持つ薬剤及び該薬剤を用いる概日リ
ズム障害の予防及び/または治療薬を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成すべく鋭意研究した結果、(5−[3−
[(2S)−(1,4−ベンゾジオキサン−2−イルメ
チル)アミノ]プロポキシ]−1,3−ベンゾジオキソ
ールの位相変化増強には、Period(Per)遺伝
子の発現量が関係することを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0013】すなわち本発明は、Per1遺伝子及び/
またはPer2遺伝子の発現増強剤、及び、該発現増強
剤を有効成分として含むことを特徴とする概日リズム障
害の予防及び/または治療薬に存する。また、本発明
は、Per1遺伝子及び/またはPer2遺伝子の発現
増強作用に基づく概日リズム障害の予防及び/または治
療薬に存する。本発明の好ましい態様としては、該発現
増強が、Per1遺伝子及び/またはPer2遺伝子の
光誘導による発現を持続させる作用である発現増強剤、
Per1遺伝子及び/またはPer2遺伝子の発現増強
剤を有効成分として含むことを特徴とする概日リズム障
害の予防及び/または治療薬、Per1遺伝子及び/ま
たはPer2遺伝子の発現増強剤が下記一般式(I):
【0014】
【化3】
【0015】(式中、mは2〜5の整数を表し、nは1
〜3の整数を表す。)で示されるアルキレンジオキシベ
ンゼン誘導体若しくはその薬学的に許容される塩、又は
それらの水和物若しくはそれらの溶媒和物であることを
特徴とする概日リズム障害の予防及び/または治療薬、
該アルキレンジオキシベンゼン誘導体が5−[3−
[(2S)−(1,4−ベンゾジオキサン−2−イルメ
チル)アミノ]プロポキシ]−1,3−ベンゾジオキソ
ールである予防及び/または治療薬、並びに、該概日リ
ズム障害が、睡眠相後退症候群、交代勤務性睡眠障害、
及び時間帯域変化症候群から選ばれる疾患である予防及
び/または治療薬が挙げられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。
【0017】Per1遺伝子及びPer2遺伝子の発現
はSCNにおいて概日リズムに伴って変動することが知
られている。また、Per1遺伝子の発現は光照射によ
って一過的に著しく増強することが観察され(Shig
eyoshi Y. etal:Cell(1997)
91:1043−1053)、さらにこの発現上昇が体
内時計の同調において、必要条件である事も報告されて
いる(Akiyama M. et al:J.Neu
rosci.(1999)19:1115−112
1)。Per2遺伝子の発現も同様に光照射によって増
強される。
【0018】Per1遺伝子の発現量は光照射により一
過的に増強され、通常の場合、光照射約1時間後でピー
クとなるが、光照射の3時間後には照射前の発現量に戻
る。また、Per2遺伝子の発現量も同様に光照射によ
り一過的に増強される。従って、本発明において、「P
er1遺伝子及び/またはPer2遺伝子の発現増強作
用」とは、光誘導によるPer1遺伝子及び/またはP
er2遺伝子の発現増強を持続させる作用であり、より
具体的には、光照射の3時間後のPer1mRNA及び
/またはPer2mRNAを照射前とは有意な量に維持
する作用を意味する。
【0019】SCNにおけるPer1遺伝子及びPer
2遺伝子の発現量は主観的明期に上昇し、主観的暗期に
減少する。従って、暗期の後半に光照射を行うことによ
りその発現を誘導すると概日リズムの位相を前進させる
ことができ、逆に暗期の前半に光照射を行うことにより
その発現を誘導すると、位相を後退させることができる
と考えられる。
【0020】また、後述する実施例から明らかなよう
に、5−[3−[(2S)−(1,4−ベンゾジオキサ
ン−2−イルメチル)アミノ]プロポキシ]−1,3−
ベンゾジオキソールの作用は、Per1遺伝子の一過的
な発現量を光照射単独の場合より更に増加する(即ち、
ピークの高さを高くする)というものではなく、光照射
によって増加したPer1遺伝子の発現量を、そのまま
維持する(ピークの幅を広くする)ことにより、位相の
変化を促進するものである。更に、5−[3−[(2
S)−(1,4−ベンゾジオキサン−2−イルメチル)
アミノ]プロポキシ]−1,3−ベンゾジオキソールは
Per2遺伝子に対しても同様に、光照射によって増加
した遺伝子の発現量をそのまま維持する作用を持つ。
【0021】また、5−[3−[(2S)−(1,4−
ベンゾジオキサン−2−イルメチル)アミノ]プロポキ
シ]−1,3−ベンゾジオキソールが持つPer1遺伝
子及び/またはPer2遺伝子の発現量を上昇させたま
ま維持する作用が現れるためには70 lux以上の光
が存在すれば良いが、より明るい光が存在すれば、位相
の変化(前進あるいは後退)を促進する効果が大きくな
る。
【0022】本発明の予防及び/又は治療剤は、上記式
(I)で示されるアルキレンジオキシベンゼン誘導体若
しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物
若しくはそれらの溶媒和物を有効成分として含むことを
特徴としている。一般式(I)で示されるアルキレンジ
オキシベンゼン誘導体は公知であり、例えば、特開昭5
7−108088号公報、同58−219114号公
報、及び特開平3−264528号公報に開示されてい
るので、当業者は容易に入手可能である。上記式(I)
に包含されるアルキレンジオキシベンゼン誘導体のう
ち、nが1である誘導体が好適である。フェニル基上に
置換するアミノアルキレンオキシ基の結合位置はアルキ
レンジオキシ基の1個の酸素原子に対してオルト位又は
メタ位のいずれでもよいが、メタ位であることが好まし
い。
【0023】本発明の医薬の有効成分としては、一般式
(I)で示される遊離形態のアルキレンジオキシベンゼ
ン誘導体のほか、生理学的に許容されるそれらの塩を用
いてもよい。このような塩としては、例えば、塩酸塩、
リン酸塩、又は硫酸塩等の鉱酸塩;酢酸塩、ギ酸塩、ク
エン酸塩、又はパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩
を挙げることができる。また、遊離形態の化合物又は上
記の塩の任意の水和物あるいは溶媒和物を本発明の医薬
の有効成分として用いてもよい。溶媒和物を形成しうる
溶媒は生理学的に許容される溶媒であれば特に限定され
ないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール、アセトン、又は酢酸エチル等を挙げることがで
きる。これらのうち、エタノール溶媒和物などを好適に
用いることができる。
【0024】一般式(I)で示されるアルキレンジオキ
シベンゼン誘導体は1個の不斉炭素を有しており、2種
類の光学異性体が存在する。このような光学異性体の製
造方法及び医薬用途については、特開平4−28807
2号公報に記載があり、2種の光学異性体はいずれも当
業者に利用可能である。本発明の医薬の有効成分として
は、上記アルキレンジオキシベンゼン誘導体の光学的に
純粋な形態の光学異性体、又は光学異性体の任意混合物
のいずれを用いてもよい。光学異性体を用いる場合には
S体を用いることが好ましく、また、光学異性体の等量
混合物であるラセミ体を用いてもよいが、S体を用いる
ことがより好ましい。
【0025】本発明の医薬の有効成分として好適なアル
キレンジオキシベンゼン誘導体を以下に例示するが、本
発明の医薬の有効成分は下記の誘導体に限定されること
はない。
【0026】
【化4】
【0027】
【表1】
【0028】
【0029】
【化5】
【0030】
【表2】
【0031】上記の表1及び2に例示された化合物のう
ち、特に好ましい化合物としてNo.1の化合物を挙げ
ることができる。
【0032】いかなる特定の理論に拘泥するわけではな
いが、本発明の医薬は、恒暗条件下において、光が概日
リズムを後退させる作用を顕著に増強し、概日リズムを
体内時計に対して同調させる光の作用を顕著に増強する
ことができる。従って、本発明の医薬は、概日リズム障
害、例えば、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、老
人性概日リズム睡眠障害、時間帯域変化症候群(ジェッ
ト時差症候群)、交代勤務性睡眠障害、不規則型睡眠・
覚醒パターン、非24時間型睡眠・覚醒障害などの内因
的または外因的概日リズム睡眠障害、並びに、その他の
概日リズム睡眠障害の予防及び/又は治療に有用であ
る。また、本発明の医薬は、加齢に伴う概日リズム異常
によって引き起こされる睡眠障害に伴う症状、例えば、
せん妄や夜間徘徊などの予防及び/又は治療に用いるこ
とができる。
【0033】上記アルキレンジオキシベンゼン誘導体及
びその薬学的に許容される塩、並びにそれらの水和物及
び溶媒和物からなる群から選ばれる物質は、それ自体を
ヒトを含む哺乳類に投与してもよいが、一般的には、有
効成分である上記物質の1種又は2種と製剤用添加物と
を含む医薬組成物を製造して患者に投与することが好適
である。このような医薬組成物としては、例えば、錠
剤、カプセル剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ、舌下
剤、若しくは液剤などの経口投与用の製剤、または注射
剤、点滴剤、座剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、吸入
剤、若しくは経皮吸収型の貼付剤等の非経口投与用の製
剤を挙げることができる。
【0034】経口投与用の錠剤又はカプセル剤は、通常
は単位投与物として提供され、結合剤、充填剤、希釈
剤、打錠剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、又は湿
潤剤のような通常の製剤用添加物を用いて製造すること
ができる。錠剤は当業界で周知の方法に従って、例え
ば、腸溶性コーティング剤を用いてコーティングするこ
とができ、例えば、セルロース、マンニトール、又はラ
クトースなどの充填剤;澱粉、ポリビニルポリピロリド
ン、澱粉誘導体、又はナトリウム澱粉グリコラートなど
の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;ラ
ウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤を用いて製造しても
よい。
【0035】経口投与用の液剤は、例えば、水性又は油
性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ剤又はエリキ
シル剤などのほか、使用前に水又は適当な水性媒体を添
加することにより溶解可能な凍結乾燥品などの形態の乾
燥製剤として提供することができる。このような液剤に
は、通常の製剤用添加物、例えばソルビトール、シロッ
プ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸
アルミニウムゲル又は水素化食用脂肪のような沈殿防止
剤;レシチン、ソルビタンモノオレート、アラビアゴム
のような乳化剤;アーモンド油、精留ココナッツ油、油
状エステル(例えばグリセリンのエステル)、プロピレ
ングリコール、エチルアルコールのような(食用油も包
含しうる)非水性媒体;p−ヒドロキシ安息香酸のメチ
ルエステル、エチルエステル、若しくはプロピルエステ
ル、又はソルビン酸のような保存剤;及び必要に応じて
通常の香味剤又は着色剤を配合することができる。
【0036】経口投与用の製剤は、混合、充填、または
打錠などの当業界で周知の方法により製造することがで
きる。また反復複合操作を用いて、多量の充填剤などを
使用した製剤中に有効成分を分布させてもよい。注射剤
や点滴剤などの非経口投与用の製剤は、一般的には、有
効成分である上記の物質と滅菌媒体とを含有する単位投
与量製剤として提供されるが、上記物質を適宜の媒体に
溶解して滅菌濾過し、ついで適当なバイアル又はアンプ
ルに充填して密封することにより製造することができ
る。安定性を高めるために、組成物を凍結した後にバイ
アル中に充填し、水を真空下で除去してもよい。非経口
投与用の懸濁液は、実質的に非経口溶液の場合と同じ方
法で製造されるが、有効成分を媒体に懸濁してエチレン
オキシドなどのガス滅菌を行うことにより好適に製造で
きる。また、有効成分が均一分布となるように、必要に
応じて界面活性剤や湿潤剤等を添加してもよい。
【0037】本発明の医薬の投与量は、治療や予防の目
的、治療又は予防すべき疾患の種類、患者の症状、体
重、年齢や性別等を考慮して適宜決定すればよいが、通
常の場合、成人1日あたり、経口投与により有効成分量
として0.01mg〜1000mg程度、好ましくは1
〜100mg程度を投与することができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、実施例において、本発明の医薬の有効成分として上
記表1に例示されたNo.1の化合物(m=3;n=
1;メタ置換:以下、実施例及び図面において「本発明
医薬」と略記する。)を用いた。
【0039】実施例1.行動リズムの位相後退への作用 マウスをエリアセンサー(オムロン社製FA-05 F5B)を
配したケージに1匹ずつ恒暗条件下で個飼いした。それ
らの活動性を6分ごとに継続して測定した。恒暗条件下
ではマウスはフリーラン活動を示す。2週間以上のフリ
ーランを観察した後、活動期の始まりをサーカディアン
・タイム12(circadian time;以下C
T)とし、CT15.5(活動期の始まりから3.5時
間後)に溶媒または本発明医薬(5mg/kg,i.
p.)を投与、続いてCT16に光パルス(70または
300 lux、5分間)を与えた。光を当てる前後で
活動期の開始時刻を比較し、活動リズムの位相変化量と
した。結果を図1に示した。図中、0 luxの群は、
光パルスを当てなかった群であり、括弧内の数字は例数
を示す。
【0040】CT16の光照射によって、マウスの行動
リズムの位相は後退した。また、本発明医薬はこの光に
よる位相後退反応を増強させた。
【0041】実施例2.Per1光誘導への作用 マウスを明暗(12:12)条件下、2週間以上群飼い
した後、恒暗条件に移した。恒暗条件に移して2日後、
CT15.5に溶媒または本発明医薬(5mg/kg,
i.p.)を投与し、続いて、光照射群のマウスにはC
T16に光パルス(70 lux、5分間)を与えた。
光照射のタイミングから1または3時間後に麻酔下、灌
流固定した脳をとりだした。
【0042】脳は30 mmの厚さで前額断切片を切り
出し、SCNが含まれる切片を定量に用いた。これらの
切片におけるPer1 mRNAの量をin situ
hybridization法を用いて定量した。
【0043】結果を図2に示した。括弧内の数字は例数
を示す。CT16の光照射によってその1時間後にSC
NにおけるPer1 mRNA量は3倍以上増加し、3
時間後には光照射前のレベルまで戻った。一方、本発明
医薬は単独でPer1 mRNA量に作用せず、光照射
1時間後のPer1 mRNAの増加にも影響しなかっ
た。しかし、本発明医薬は光照射3時間後のPer1
mRNA量を有意に増加させた。このことから、本発明
医薬は光によるPer1遺伝子の発現増強を維持する作
用を持つことがわかった。
【0044】実施例3.Per2光誘導への作用 マウスを恒暗条件下、10日間、エリアセンサー(オム
ロン社製FA-05 F5B)を配したゲージに1匹ずつ個飼い
した。アクトグラムの活動期の始まりをCT12と決定
した。CT15.5に溶媒または本発明医薬(5mg/
kg,i.p.)を投与し、続いて、CT16に光パル
ス(70 lux、5分間)を与えた。光照射のタイミ
ングから3時間後に、麻酔下、灌流固定した脳をとりだ
した。
【0045】脳は30μmの厚さで前額断切片を切り出
し、SCNが含まれる切片を定量的に用いた。これらの
切片におけるPer2mRNAの量をin situ
hybridization法を用いて定量した。結果
を図3に示した。
【0046】
【発明の効果】本発明によると、光照射によるPer1
遺伝子及び/またはPer2遺伝子の発現を増強する薬
剤を用いることにより概日リズム障害を効果的に予防及
び/又は治療する薬剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスの行動リズムに対する光照射の影響及び
本発明医薬(5−[3−[(2S)−(1,4−ベンゾ
ジオキサン−2−イルメチル)アミノ]プロポキシ]−
1,3−ベンゾジオキソール)が光照射による位相後退
反応の増強を示す図である。
【図2】本発明医薬(5−[3−[(2S)−(1,4
−ベンゾジオキサン−2−イルメチル)アミノ]プロポ
キシ]−1,3−ベンゾジオキソール)が光照射3時間
後にもPer1遺伝子発現量を有意に維持していること
を示す図である。
【図3】本発明医薬(5−[3−[(2S)−(1,4
−ベンゾジオキサン−2−イルメチル)アミノ]プロポ
キシ]−1,3−ベンゾジオキソール)が光照射3時間
後のPer2遺伝子発現量を有意に維持していることを
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 121 A61P 43/00 121 // C07D 407/12 C07D 407/12 C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 吉信 ゆう子 東京都中央区日本橋本町2−2−6 三菱 ウェルファーマ株式会社東京本社内 Fターム(参考) 4B024 AA01 CA02 HA20 4C063 AA01 BB07 CC82 DD81 EE01 4C084 AA17 NA05 NA14 ZA051 ZC412 ZC752 4C086 AA01 BA15 GA02 NA05 NA14 ZA05 ZC41 ZC75

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Per1遺伝子及び/またはPer2遺
    伝子の発現増強剤。
  2. 【請求項2】 該発現増強が、Per1遺伝子及び/ま
    たはPer2遺伝子の光誘導による発現を持続させる作
    用であることを特徴とする請求項1に記載の発現増強
    剤。
  3. 【請求項3】 Per1遺伝子及び/またはPer2遺
    伝子の発現増強作用に基づく概日リズム障害の予防及び
    /または治療薬。
  4. 【請求項4】 Per1遺伝子及び/またはPer2遺
    伝子の発現増強剤を有効成分として含むことを特徴とす
    る概日リズム障害の予防及び/または治療薬。
  5. 【請求項5】 Per1遺伝子及び/またはPer2遺
    伝子の発現増強剤が下記一般式(I): 【化1】 (式中、mは2〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を
    表す。)で示されるアルキレンジオキシベンゼン誘導体
    若しくはその薬学的に許容される塩、又はそれらの水和
    物若しくはそれらの溶媒和物であることを特徴とする請
    求項4に記載の予防及び/または治療薬。
  6. 【請求項6】 アルキレンジオキシベンゼン誘導体が5
    −[3−[(2S)−(1,4−ベンゾジオキサン−2
    −イルメチル)アミノ]プロポキシ]−1,3−ベンゾ
    ジオキソールである請求項5に記載の予防及び/または
    治療薬。
  7. 【請求項7】 概日リズム障害が、睡眠相後退症候群、
    交代勤務性睡眠障害、及び時間帯域変化症候群から選ば
    れる疾患であることを特徴とする請求項3又は4に記載
    の予防及び/または治療薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100338231C (zh) * 2004-07-05 2007-09-19 索尼株式会社 检查传感器芯片质量方法、样品评估法、dna和蛋白质芯片

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