JP2003321361A - カプサイシノイド様物質を含有する抗掻痒組成物およびカプサイシノイド様物質の抗掻痒剤としての使用 - Google Patents

カプサイシノイド様物質を含有する抗掻痒組成物およびカプサイシノイド様物質の抗掻痒剤としての使用

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JP2003321361A JP2002131917A JP2002131917A JP2003321361A JP 2003321361 A JP2003321361 A JP 2003321361A JP 2002131917 A JP2002131917 A JP 2002131917A JP 2002131917 A JP2002131917 A JP 2002131917A JP 2003321361 A JP2003321361 A JP 2003321361A
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antipruritic
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Susumu Yazawa
進 矢澤
Toru Fushiki
亨 伏木
Tatsuo Watanabe
達夫 渡辺
Shuichi Hashizume
秀一 橋爪
Masatoshi Kato
正俊 加藤
高次 ▲柳▼江
Koji Yanae
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga and Co Ltd
Original Assignee
Morinaga and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】投与の際に患者に激しい辛味或いは焼熱感を与
えず、且つ急性/慢性の全身性及び局所性の掻痒に効果
のあるカプサイシンアナログを提供する。 【解決手段】以下の一般式(化1)または(化2)で表
されるカプサイシノイド様物質(カプシノイド)を含有
することを特徴とする抗掻痒組成物。該カプサイシノイ
ド様物質は強力な抗掻痒作用を有し、またその辛味・侵
襲性が極めて弱いので、投与時の激しい焼熱感が軽減さ
れた、優れた抗掻痒組成物を提供し得る。殊に、当該カ
プサイシノイド様物質はカプサイシンと比較して毒性が
低いので、抗掻痒作用を有する機能性の食品や飼料の添
加物として、あるいは、経口/局所投与の医薬品の有効
成分として利用が可能である。 (化1) (化2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カプサイシノイド
様物質を含有する抗掻痒組成物およびカプサイシノイド
様物質の抗掻痒剤としての使用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カプサイシンに代表される従来のカプサ
イシノイドはエネルギー代謝亢進作用(岩井和夫、河田
照雄「香辛料成分の食品機能」(岩井和夫、中谷延二
編)、光生館(1989)、P.97)などの様々な生
体機能を有することが知られていたが、辛味や侵襲性の
ためにその利用には限界があった。したがって、カプサ
イシノイドの有益な生体機能を保持したままで辛味の無
いカプサイシノイドを得ることに関し多くの研究がなさ
れてきた。
【0003】矢澤等は、タイ国で入手したトウガラシの
辛味品種「CH−19」の自殖後代から、辛味のないト
ウガラシ新品種「CH−19甘」を選抜固定し(Yaz
awa, S., Suetome, N., Oka
moto, K., andNamiki, T.
(1989) J. Jap. Soc. Hort.
Sci., 58:601−607)、当該「CH−
19甘」においてはカプサイシン、ジヒドロカプサイシ
ン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシンおよ
びホモジヒドロカプサイシンなどを含む既知のカプサイ
シノイドの代わりに新規なカプサイシノイド様物質(バ
ニリルアルコールの脂肪酸エステル:以下、「カプシノ
イド」と略す。)が多量に蓄積されることを見いだし
た。
【0004】本発明者等は、特開平11−246478
号公報において、これらのカプシノイドが従来のカプサ
イシノイドのような辛味を呈すことなくエネルギー代謝
の促進、免疫賦活作用などを示すことを開示した。ま
た、特開2001−26538号公報においては、上記
のカプシノイドが肥満抑制、体脂肪蓄積抑制およびアド
レナリン分泌促進作用を有することも開示している。
【0005】また、カプサイシンは、従来の鎮痛剤では
効果のない痛み、例えば、cluster heada
che (偏頭痛タイプの血管性頭痛の一種)、 re
flex sympathetic dystroph
y (反射交感神経異常症)、 postmastec
tomy pain (乳房切除後の痛み)、 pos
t−therapeutic neuralgia
(治療後の神経痛),diabetic neurop
athy(糖尿病性神経痛)等の局所治療に有効である
が、一方でその投与に際し激しい焼熱感を惹き起こすと
いう大きな欠点を有することが知られていた。そこで、
これらの欠点を解消するためにカプサイシンを構成する
バニリル環、脂肪酸の側鎖、及び両者を結合するアミド
領域を系統的に修飾・置換した種々のカプサイシンアナ
ログが合成され、その鎮痛効果と侵襲性の関係が検討さ
れており、これらの合成カプサイシンアナログの中か
ら、オルバニル(NE19550)、ヌバニル(NE2
1610)のような鎮痛薬が開発されてきている。しか
しながら、それらのカプサイシンアナログであるオルバ
ニル(NE19550)、ヌバニル(NE21610)
においても、依然としてかなりの辛味及び侵襲性が残っ
ており、このため辛味がなく且つ急性/慢性の全身性及
び局所性の痛み・炎症に効果のあるアナログを開発する
ことが望まれていた。
【0006】上記鎮痛剤に関し、本発明者等は「新規な
カプサイシノイド様物質を含有する鎮痛剤、食品および
飼料」と題する特開2001−158738号公報にお
いて、上記カプシノイドがカプサイシンと同等の鎮痛効
果を有するにも拘らず辛味及び侵襲性がなく、したがっ
てカプシエイト、ジヒドロカプシエイトに代表されるカ
プシノイドが優れた鎮痛剤となり得ることも開示してい
る。
【0007】さらに、近年、カプサイシンを掻痒の治療
に用いる試みがなされてきている。具体的に、カプサイ
シンが背痛感覚異常(notalgia parest
hetica)や、腎不全治療のための血液透析(he
modialysis)による掻痒、痒みを伴う乾癬
(psoriasis)、痒疹(prurigo no
dularis)等において有効であることが明らかに
なってきている。
【0008】しかしながら、上記カプサイシンの鎮痛剤
としての利用の場合と同様に、例えばカプサイシンを局
所に塗布する際には当該適用個所に燃えるような刺激が
引き起こされ、それがこの治療法の障害となっており、
而して、辛味や侵襲性がなく且つ急性/慢性の全身性お
よび局所性掻痒に効果のあるカプサイシンアナログの開
発が待たれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、それを投与する際の激しい辛味或いは焼熱感がな
く、且つ急性/慢性の全身性及び局所性の掻痒に効果の
あるカプサイシンアナログを提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意研究を行い、本発明のカプシノ
イドが耐え難いような不快な辛味・焼熱感を投与対象者
に催させることなく優れた抗掻痒効果を有することを見
出して本発明を完成させた。すなわち、本発明の第1
は、(1)一般式:
【化3】 または
【化4】 (式中nは1以上の整数)で表されるカプサイシノイド
様物質(カプシノイド)を含有することを特徴とする抗
掻痒組成物である。
【0011】上記一般式においてnが1乃至10、特に
nが3,4または5であるカプシノイドが好ましく、殊
に該カプシノイドが、4−ヒドロキシ−3−メトキシベ
ンジル (E)−8−メチル−6−ノネノエート(4−
hydroxy−3−methoxybenzyl
(E)−8−methyl−6−nonenoate:
カプシエイト)または4−ヒドロキシ−3−メトキシベ
ンジル 8−メチルノナノエート (4−hydrox
y−3−methoxybenzyl 8−methy
lnonanoate:ジヒドロカプシエイト)である
ものがその調製も容易で且つ好適に使用され得る。従っ
て、本発明の第2および3は、(2)上記一般式におい
てnが3,4または5であるカプサイシノイド様物質を
含有することを特徴とする上記(1)の抗掻痒組成物、
および(3)上記カプサイシノイド様物質が、4−ヒド
ロキシ−3−メトキシベンジル(E)−8−メチル−6
−ノネノエートまたは4−ヒドロキシ−3−メトキシベ
ンジル 8−メチルノナノエートであることを特徴とす
る上記(1)の抗掻痒組成物である。
【0012】なお、本発明の抗掻痒組成物の形態によっ
ては、上記カプシノイドを蓄積する植物体または果実の
形で当該カプシノイドを本発明の抗掻痒組成物に配合し
てもよく、その目的においてトウガラシ品種「CH−1
9甘」由来の果実が好適である。したがって、本発明の
第4および第5は、(4)上記カプサイシノイド様物質
が、該物質を成分として含有する植物体または果実の形
態で配合されることを特徴とする上記(1)乃至(3)
のいずれかに記載の抗掻痒組成物であり、(5)上記植
物体または果実がトウガラシ品種「CH−19甘」由来
であることを特徴とする上記(4)の抗掻痒組成物であ
る。
【0013】また、本発明の抗掻痒組成物は、医薬、ヒ
トに対する食品、或いはヒト以外の動物に対する飼料の
形態でそれを投与することが可能である。したがって本
発明の第6乃至8は、(6)医薬の形態である上記
(1)乃至(5)のいずれかの抗掻痒組成物であり、
(7)食品の形態である上記(1)乃至(5)のいずれ
かの抗掻痒組成物であり、および(8)飼料の形態であ
る上記(1)乃至(5)のいずれかの抗掻痒組成物であ
る。
【0014】さらに、本発明のカプシノイドは、掻痒に
対する処置が必要な患者(ヒトおよびヒト以外の動物を
含む)に投与される薬剤の製造に用いることで、それら
患者の治療に供することができる。したがって本発明の
第9は、(9)掻痒に対する処置が必要な患者に投与さ
れる薬剤の製造のための上記(1)乃至(5)のいずれ
かのカプサイシノイド様物質の使用である。
【0015】上述のように、本発明のカプシノイドは強
力な抗掻痒作用を有することが今や明らかとなり、また
その辛味・侵襲性が極めて弱いことから投与時の激しい
焼熱感が軽減されて、優れた抗掻痒組成物を提供し得
る。本来、本発明のカプシノイドは「日光」、「五色」
などに代表される在来の辛味を有するトウガラシ品種に
も若干含まれており(矢澤 進ら(1989) 園芸学
会雑誌58:601−607)従来からヒトが食経験を
有するものである。殊に、当該カプシノイドはカプサイ
シンと比較して毒性が低いので、抗掻痒作用を有する機
能性の食品や飼料の添加物として、あるいは、経口/局
所投与の医薬品の有効成分として利用が可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の新規カプサイシノイド様
物質(カプシノイド)は、該物質を含有するトウガラシ
の植物体及び/または果実から精製・分離することによ
って調製することができる。精製の原料として用いるト
ウガラシは「日光」、「五色」などに代表される在来の
辛味を有するトウガラシ品種由来でも良いが、無辛味品
種である「CH−19甘」を用いるのが該成分の含有量
が高いために特に好ましい。
【0017】上記のトウガラシからの精製・分離は当業
者にとって良く知られた溶媒抽出やシリカゲルクロマト
グラフィーなどの各種のクロマトグラフィー、調製用高
速液体クロマトグラフィーなどの手段を単独、または適
宜組み合わせることにより行うことができ、例えば、特
開平11−246478号公報に記載の方法を用いるこ
とができる。すなわち、簡単には上記「CH−19甘」
の果実を凍結乾燥後、該凍結乾燥物からカプシノイドを
酢酸エチルにより抽出する。得られた抽出液を減圧濃縮
した後、該濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーに付
し、n−ヘキサン/酢酸エチルの混液を用いて段階的に
溶出する。カプシノイドを含む画分を回収して濃縮した
後、該濃縮物を逆相クロマトグラフィーに付して本発明
のカプシノイドを精製する。
【0018】また、上記のカプシノイドは、例えば、特
開平11−246478号公報に記載のように、対応す
る活性化脂肪酸エステルとバニリルアルコールを出発原
料としたエステル化反応により合成することができる。
具体的な例としては、まず8−メチルノナノ酸を塩化チ
オニルと反応させ、得られた活性化エステルをバニリル
アルコールと反応させることで4−ヒドロキシ−3−メ
トキシベンジル 8−メチルノナノエート(ジヒドロカ
プシエイト)を得ることができる。
【0019】更に、該カプシノイドは、酵素を用いる合
成法により容易に調製することもできる。すなわち、例
えば、所望する化合物に対応する脂肪酸のエステル及び
/または該脂肪酸を有するトリグリセライド等の化合物
とバニリルアルコールとを基質としたリパーゼの逆反応
を利用することにより所望のカプシノイドを得ることが
でき、この方法は、特開2000−312598号公報
に記載されている。
【0020】なお、場合によってはカプシノイドを化合
物として高純度に精製・分離する必要がなく、該カプシ
ノイドはそれらを含むトウガラシ新品種「CH−19
甘」の植物体及び/または果実、それらの乾燥物、粉砕
物或いは粗抽出物質の形態で本発明の抗掻痒組成物に配
合することが可能である。すなわち、トウガラシ新品種
「CH−19甘」は辛味や侵襲性を有するカプサイシノ
イドを殆ど含有せず、代わりに辛味のないカプシノイド
(バニリルアルコールの脂肪酸エステル)を多量に含有
するので、抗掻痒作用を目的とする食品、飼料または医
薬品に当該品種由来の果実などを直接配合してよく、或
いは該果実などを乾燥、粉砕、粗抽出等の簡単な物理的
及び/または化学的処理に付しただけで本発明の組成物
に配合が可能である。なお、本明細書中において、「植
物体または果実の形態」という用語はそのままの植物体
及び/または果実のみならず、それを乾燥、粉砕または
粗抽出等の極簡単な物理的及び/または化学的処理を行
った形態をも含む。
【0021】本発明のカプシノイドは、例えば背痛感覚
異常(notalgia paresthetica)
や、腎不全治療のための血液透析(hemodialy
sis)による掻痒、痒みを伴う乾癬(psorias
is)、痒疹(prurigo nodularis)
等の治療に代表されるカプサイシンが有効な急性/慢性
の全身性及び局所性の掻痒治療に有用である。
【0022】すなわち、本発明のカプシノイドを含む組
成物は、経口または非経口的に投与することができ、そ
のような投与に適する形態に製剤化することにより、急
性/慢性の全身性及び局所性の掻痒治療剤、例えば、背
痛感覚異常(notalgia parestheti
ca)や、腎不全治療のための血液透析(hemodi
alysis)による掻痒、痒みを伴う乾癬(psor
iasis)、痒疹(prurigo nodular
is)等の処置剤(医薬)とすることができる。
【0023】本発明の化合物を臨床的に用いるにあたっ
ては、その投与形態にあわせて薬学的に許容される添加
剤を加え、各種製剤化の後投与することが可能である。
その際の添加剤としては、製剤分野において通常用いら
れる各種の添加剤が使用可能であり、例えば、ゼラチ
ン、乳糖、白糖、酸化チタン、澱粉、結晶セルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、コーンスターチ、マイクロクリスタリン
ワックス、白色ワセリン、メタケイ酸アルミン酸マグネ
シウム、無水リン酸カルシウム、クエン酸、クエン酸三
ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビト
ール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、シ
ョ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウ
ム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物油、ベンジルアルコ
ール、アラビアガム、プロピレングリコール、ポリアル
キレングリコール、シクロデキストリンまたはヒドロキ
シプロピルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0024】これらの添加剤との混合物として製剤化さ
れる剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤若しくは坐薬等の固形製剤;または例えばシロ
ップ剤、エリキシル剤若しくは注射剤等の液体製剤が挙
げられ、これらは、製剤分野における通常の方法によっ
て調製することができる。なお、液体製剤にあっては、
用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させる
形であってもよい。また、特に、注射剤の場合、必要に
応じて生理食塩水またはブドウ糖液に溶解または懸濁さ
せてもよく、更に緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0025】これらの製剤は、本発明の抗掻痒作用を有
する化合物を全薬剤の1〜100重量%、好ましくは1
0〜80重量%の割合で含有することができる。
【0026】本発明の抗掻痒作用を有するカプシノイド
を臨床の場で使用する場合、その投与量及び投与回数
は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度及び目的とす
る処置の種類と範囲等により異なるが、一般に経口投与
の場合、成人1日あたり1〜50mg/kgを1〜数回
に分けて、また、非経口投与の場合は、1〜10mg/
kgを1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【0027】更に、本発明の抗掻痒作用を有するカプシ
ノイドまたはそれを含有する植物体は、それらを食品に
添加することにより抗掻痒作用を有する機能性の食品を
与え得る。
【0028】すなわち、本発明の抗掻痒作用を有するカ
プシノイドは、種々の食品、例えば、固体、液体、ゾ
ル、ゲル、粉末及び顆粒状食品に任意に添加することが
可能である。該添加は当該技術分野で公知の任意の製造
方法によって行うことができ、例えば、特開平11−2
46478号公報に記載されているような方法により、
チョコレート等の固体食品;スポーツ飲料などの液体食
品;小豆粥などのレトルト食品等に容易に添加/配合す
ることができる。当該食品においては、本発明のカプシ
ノイドの辛味がないという性質が、該物質を添加した食
品の呈味を破壊しないという点において極めて有利に作
用する。
【0029】また、該カプシノイドは食品添加物の形態
に加工した後に使用することもできる。当該カプシノイ
ドを含む食品添加物の形状および製造方法は当業者にと
って周知のいかなるものを採用してもよい。例えば、デ
キストリン、コーンスターチ、乳糖等の各種の賦型剤類
や乳化剤等の副原料と共に本発明のカプシノイドを混
合、造粒またはカプセル化等することにより上記添加剤
が製造され得る。
【0030】食品成分中に配合されるカプシノイドは、
既述のように必ずしも十分に精製されたものである必要
がない。すなわち、例えば、上述のトウガラシの無辛味
固定品種である「CH−19甘」自体(無処理物)、そ
の乾燥物または粉砕物、或いは酢酸エチル、エタノール
等のアルコール類若しくは食品用乳化剤等の、当該技術
分野において天然物からの成分抽出に常用される各種溶
剤による「CH−19甘」の抽出物として含有されても
よい。
【0031】本発明のカプシノイドを含有する食品の具
体的な例としては、例えば砂糖(45.56重量部)、
カカオマス(20重量部)、脱脂粉乳(16.5重量
部)、ココアバター(16.5重量部)、レシチン
(0.4重量部)、バニラ香料(0.04重量部)およ
び「CH−19甘」の乾燥粉砕物(1重量部)を含むチ
ョコレート;オレンジ濃縮果汁(0.2重量部)、砂糖
(1.8重量部)異性化糖(5.5重量部)、クエン酸
(0.14重量部)、食塩(0.08重量部)、クエン
酸ナトリウム(0.07重量部)、塩化カリウム(0.
04重量部)、第一リン酸カルシウム(0.013重量
部)、グルタミン酸ナトリウム(0.004重量部)、
塩化マグネシウム(0.003重量部)、アスコルビン
酸(0.1重量部)、クラウデイー(0.1重量部)、
乳化香料(0.01重量部)、エッセンス(0.2重量
部)、本発明のカプシノイド(0.05重量部)および
残部の水からなるスポーツ飲料;更には米コシヒカリ
(4.2重量部)、白米コシヒカリ(4.8重量部)、
北海道産小豆(1.6重量部)、砂糖(0.5重量
部)、食塩(0.1重量部)、「CH−19甘」の果実
(2重量部)および残部の水からなるレトルト−パウチ
入り小豆粥などが挙げられる。
【0032】更に、本発明の抗掻痒作用を有するカプシ
ノイド等は、動物の飼料にそれらを配合することにより
抗掻痒作用を有する飼料を与える。
【0033】すなわち、本発明のカプシノイドは、種々
の飼料、例えば、固体、液体、ゾル、ゲル、粉末及び顆
粒状飼料に任意に配合することが可能である。該配合
は、当業者であれば、食品への該物質の配合と本質的に
同等な方法を用い、またはこれに適宜改変を加えて達成
し得ることを容易に理解するであろう。
【0034】なお、上記のトウガラシの無辛味固定品種
「CH−19甘」は農林水産省種苗管理センターに品種
登録出願(出願番号第11601号)されており、該機
関より入手可能である。
【0035】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
【実施例】実施例1:本発明のカプサイシノイド様物質
(カプシノイド)の抗掻痒効果 5週齢の雄ddYマウスを1週間予備飼育した後、健康
なマウスを選択して群分けし(1群12匹、合計5群)
実験に用いた。実験ではまず一夜絶食したマウスに被検
物質を経口投与した。すなわち、担体溶媒(エタノー
ル:トウィーン80:0.9%食塩水(w/v)=3:
10:87)に被検物質であるカプシノイド(カプシエ
イト:ジヒドロカプシエイト≒2:1)を種々の濃度で
溶解した溶液を、カプシノイドの投与量がマウスの体重
1kg当たり3、10、30mgとなるように投与し、
いっぽう担体のみを投与したマウスを比較対照として抗
掻痒効果を確認した。なお、マウスの体重1kg当たり
30mgのカプサイシンを投与した群を陽性対象とし
た。上記投与の2時間後にCompound 48/8
0を30μg/ml/mouseの割合で背部に皮下投
与した。抗掻痒効果の測定は、Compound 48
/80の皮下投与直後からマウスを60分間ビデオ撮影
し、その映像をもとに掻爬回数をカウントすることによ
り行なった。すなわち、Compound 48/80
の皮下投与直後から60分後までについて該期間を5分
毎に区切り、当該5分毎の累積回数として掻爬回数をカ
ウントした。その際、左右後肢による背部の掻爬のみを
カウントし、前肢および後肢による頭部のグルーミング
はカウントしなかった。また、累積掻爬回数・時間曲線
から、曲線下面積(AUC0→60min)を台形法に
より算出した。測定結果は、マウスの群ごとに平均値お
よび標準誤差を算出し、各群間の有意差検定はBart
lett法(有意水準5%)による等分散検定を行い、
等分散の場合にはDunnett法による平均値の多重
比較を行なった。不等分散の場合には、non−par
ametric Dunnett法により平均順位の多
重比較を行なった。結果を表1に示す。
【0037】対象群の累積掻爬回数は、Compoun
d 48/80による惹起25分後で271.4回を示
し、惹起30分後以降は60分後まで掻爬回数が漸増
し、惹起60分後では366.5回を示した。また曲線
下面積(AUC0→60min)は15263回・分を
示した(表1)。
【0038】カプシノイド3mg/kg投与群の累積掻
爬回数は、惹起5分後から60分後まで対象群と同様に
推移し、惹起60分後には355.9回を示した。ま
た、対象群と比較した掻爬回数の抑制は、最大で2.9
%認められた。なお、曲線下面積(AUC
0→60min)は15163回・分を示した(表
1)。
【0039】カプシノイド10mg/kg投与群の累積
掻爬回数は、惹起5分後から60分後まで対象群とほぼ
同様に推移し、惹起60分後には343.3回を示し
た。また、対象群と比較した掻爬回数の抑制は、最大で
6.3%認められた。なお、曲線下面積(AUC
0→60min)は14747回・分を示した(表
1)。
【0040】カプシノイド30mg/kg投与群の累積
掻爬回数は、惹起5分後から15分後まで対象群とほぼ
同様に推移し、20分後からは低値で推移した。惹起3
5分後以降、いずれのポイントにおいても、対象群と比
較して有意に低値で推移し、惹起60分後には294.
4回を示した。また、対象群と比較した掻爬回数の抑制
は、最大で20.0%認められた。なお、曲線下面積
(AUC0→60min)は12743回・分を示し、
対処群と比較して有意に低値であった(表1)。
【0041】これに対し、カプサイシン30mg/kg
投与群の累積掻爬回数は、惹起5分後から60分後まで
対象群と比較して低値で推移した。惹起10分後以降、
いずれのポイントにおいても、対象群と比較して有意に
低値で推移し、惹起60分後には202.2回を示し
た。また、対象群と比較した掻爬回数の抑制は、最大で
44.8%認められた。なお、曲線下面積(AUC
0→60min)は8862回・分を示し、対象群と比
較して有意に低値であった(表1)。
【0042】
【表1】 以上の実施例ではマウスにCompound 48/8
0を投与して掻痒を誘発し、本発明のカプシノイドの抗
掻痒効果とカプサイシンの抗掻痒効果を比較して検討し
た。その結果、マスト細胞においてヒスタミンの遊離を
促す物質であるCompound 48/80の投与に
より、対象群は明確な掻痒反応を示した。これに対して
カプシノイド投与群では掻爬回数が用量相関的に抑制さ
れ、特に30mg/kgの投与では惹起35分後から6
0分後まで、いずれも対象群と比較して有意に掻爬回数
が抑制された。曲線下面積(AUC0→60min)か
らも掻爬回数と同様に用量相関性が認められた。カプサ
イシン投与群では惹起10分後から60分後まで、いず
れも対象群と比較して有意に掻爬回数が抑制され、曲線
下面積(AUC0→60min)からも掻爬回数と同様
の傾向が認められた(表1、図1)。
【0043】また、カプシノイドの抗掻痒作用力価とカ
プサイシンの力価を比較すると、カプシノイド30mg
/kgの曲線下面積(AUC0→60min)を
「A」、カプサイシン30mg/kgの曲線下面積(A
UC0→60min)を「B」、対象群の曲線下面積
(AUC0→60min)を「C」として(C−A)/
(C−B)から(15263−12743)/(152
63−8862)=0.394と算出された。すなわ
ち、カプシノイドの力価はカプサイシンの力価の0.3
94倍に相当すると見積もられる。
【0044】以上から、本発明のカプサイシノイド様物
質(カプシノイド)は用量に依存した抗掻痒効果を示
し、少なくとも30mg/kgの投与においてマウスの
掻痒を有意に抑制し、その力価もカプサイシンのそれの
約40%を保持している。一方で、本発明のカプサイシ
ノイドにはカプサイシンのような激しい辛味・侵襲性が
なく、その毒性も極めて低いことから抗掻痒剤として極
めて好適に利用され得ることが明らかとなった。
【0045】
【発明の効果】本発明のカプサイシノイド様物質(カプ
シノイド)は強力な抗掻痒作用を有し、またその辛味・
侵襲性が極めて弱いので、投与時の激しい焼熱感が軽減
された、優れた抗掻痒組成物を提供し得る。殊に、当該
カプシノイドはカプサイシンと比較して毒性が低いの
で、抗掻痒作用を有する機能性の食品や飼料の添加物と
して、あるいは、経口/局所投与の医薬品の有効成分と
して利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカプサイシノイド様物質(カプシノイ
ド)の抗掻痒効果を示す図である。担体溶媒に溶解した
カプサイシン(30mg/kg)およびカプシノイド
(3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/k
g)を1群12匹の6週齢ddYマウスに投与し、該投
与の2時間後に更にCompound 48/80を3
0μg/ml/mouseの割合で皮下投与した。抗掻
痒効果はCompound 48/80皮下投与直後か
ら60分後までを5分毎に区切り、掻爬回数を累積回数
としてカウントすることにより測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/78 A61K 35/78 R A61P 17/04 A61P 17/04 (72)発明者 橋爪 秀一 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 加藤 正俊 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 ▲柳▼江 高次 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 Fターム(参考) 2B150 AA01 AA06 AA10 AB20 AE01 AE13 BC01 CE18 CE25 DD42 DD45 4B018 MD08 MD48 MD52 ME14 MF01 4C088 AB50 AC01 AC04 BA07 BA08 CA03 MA34 MA52 NA07 NA09 NA14 ZA89 4C206 AA01 AA02 DB06 DB07 DB53 KA01 KA18 MA01 MA04 MA54 MA72 NA07 NA09 NA14 ZA89

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 または 【化2】 (式中、nは1以上の整数である。)で表されるカプサ
    イシノイド様物質を含有することを特徴とする抗掻痒組
    成物。
  2. 【請求項2】 上記一般式においてnが3,4または5
    であるカプサイシノイド様物質を含有することを特徴と
    する請求項1記載の抗掻痒組成物。
  3. 【請求項3】 上記カプサイシノイド様物質が、4−ヒ
    ドロキシ−3−メトキシベンジル (E)−8−メチル
    −6−ノネノエートまたは4−ヒドロキシ−3−メトキ
    シベンジル 8−メチルノナノエートであることを特徴
    とする請求項1に記載の抗掻痒組成物。
  4. 【請求項4】 上記カプサイシノイド様物質が、該物質
    を成分として含有する植物体または果実の形態で配合さ
    れることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に
    記載の抗掻痒組成物。
  5. 【請求項5】 上記植物体または果実がトウガラシ品種
    「CH−19甘」由来であることを特徴とする請求項4
    に記載の抗掻痒組成物。
  6. 【請求項6】 医薬の形態である請求項1乃至5のいず
    れか一項に記載の抗掻痒組成物。
  7. 【請求項7】 食品の形態である請求項1乃至5のいず
    れか一項に記載の抗掻痒組成物。
  8. 【請求項8】 飼料の形態である請求項1乃至5のいず
    れか一項に記載の抗掻痒組成物。
  9. 【請求項9】 掻痒に対する処置が必要な患者に投与さ
    れる薬剤の製造のための請求項1乃至5のいずれか一項
    に記載のカプサイシノイド様物質の使用。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009184999A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology 経口摂取が可能な天然成分由来の抗がん剤

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