JP2003321314A - 抗菌組成物、その製造方法及び該抗菌組成物を含有する抗菌剤 - Google Patents

抗菌組成物、その製造方法及び該抗菌組成物を含有する抗菌剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く、グラム陽性菌及びグラム陰性
菌に対して高い抗菌活性を有し、加熱による抗菌活性の
低下のない抗菌組成物及びそれを含有する抗菌剤を提供
する。 【解決手段】 抗菌組成物の有効成分としてリゾチーム
を加水分解して得られるペプチドを含有させる。前記ペ
プチドの平均アミノ酸鎖長は3〜20であることが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リゾチームの抗菌
活性よりも強い抗菌活性と広い抗菌スペクトルを有する
リゾチーム加水分解物を有効成分として含有する抗菌組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】リゾチームは、ムラミダーゼ又はムコペ
プチドヒドロラーゼとも呼ばれ、細菌の細胞壁のペプチ
ドグリカン層等に存在するN−アセチルムラミン酸とN
−アセチルグルコサミン間のβ−1,4−ムラミド結合
を加水分解する酵素活性を有する分子量約14,300
〜14,600、等電点10.7のタンパク質である。
【0003】リゾチームは動植物界に広く分布してお
り、哺乳動物の涙、唾液、尿、乳、鳥類の卵中の卵白、
魚類の体表粘液、微生物、バクテリオファージT4等に
由来するリゾチームが知られている。中でも鶏卵卵白リ
ゾチームは、鶏卵卵白乾燥質量の3%以上を占めるほど
多量に含まれており、大量調製もが容易であることか
ら、タンパク質研究の歴史を振り返っても古くから広く
研究が行われている。
【0004】リゾチームは、例えば球菌(黄色ブドウ球
菌等のスタフィロコッカス属、ミクロコッカス属、スト
レプトコッカス属等)、胞子形成桿菌(バチルス属、ク
ロストリジウム属等)、無芽胞桿菌(リステリア菌
等)、乳酸菌(ラクトバチルス属等)、コリネフォーム
細菌(コリネバクテリウム属、ノカルディア属等)、放
線菌(ストレプトマイセス属等)等のグラム陽性菌に対
して強い活性を示すことから、その抗菌活性を利用して
医薬、化粧品、食品、飼料分野等において、抗炎症剤、
防腐剤、保存料、鮮度保持剤、抗菌剤、殺菌剤等として
利用されている。
【0005】グラム陽性菌は、その細胞壁が20〜80
nmの厚いペプチドグリカン層から構成されているので
リゾチームに対する感受性が高く、リゾチームはその酵
素活性により容易にペプチドグリカン層を加水分解し
て、溶菌させる作用を示す。
【0006】しかし、リゾチームは、例えば光合成細菌
(ロドシュードモナス属等)、シュードモナス属細菌、
腸内細菌群(大腸菌等のエシェリヒア属、サルモネラ属
等)、化学無機栄養細菌(ニトロバクター属、チオバチ
ルス属等)、メタン生成細菌、及び一部の球菌(ニセリ
ア属等)等のグラム陰性菌に対してはほとんど抗菌活性
を示さないことが知られている。また、カビや酵母等の
真菌類の多くに対しても抗菌活性を示さないことが知ら
れている。
【0007】グラム陰性菌は、細胞膜(内膜)の外側に
2〜3nm程度の薄いペプチドグリカン層を有するもの
の、さらにその外側にリポ多糖を含む外膜があるため、
エチレンジアミン四酢酸等を用いて外膜に損傷を与えな
い限りリゾチーム感受性にはならない。
【0008】上記のようにリゾチームは、グラム陽性菌
に対しては強い抗菌活性を示すものの、グラム陰性菌や
真菌類に対しては抗菌活性が低いため、その用途はグラ
ム陽性菌の増殖抑制を目的とした食品の日持ち向上剤、
化粧品の防腐剤、抗炎症医薬品等に限定されている。し
かし、これらの用途においては、グラム陽性菌よりもむ
しろ人や動物の生活や健康により悪影響を及ぼす大腸
菌、サルモネラ菌などのグラム陰性菌の増殖を抑制する
ことの方がより重要であると言われている。
【0009】そのため、リゾチームの有する抗菌活性
を、グラム陽性菌のみならずグラム陰性菌にも作用する
ようにリゾチームの抗菌スペクトルを拡大する試みがい
くつか報告されている。例えば、メイラード反応を利用
してデキストラン等の多糖類を結合させたリゾチーム
が、50℃の加熱処理でグラム陰性菌に対する抗菌活性
を持つことが報告されている(Agric. Biol. Chem., 5
4, 3057-3059, 1990年)。また、パルミチン酸(J. Agr
ic. FoodChem., 39, 2077-2082, 1991年)、ステアリン
酸、ミリスチン酸(J. Agric. Food Chem., 41, 1164-1
168,1993年)等の脂肪酸を結合させたリゾチームや、ペ
リルアルデヒド等の抗菌性化合物を結合させたリゾチー
ム(特開平7−236479号公報)、遺伝子操作技術
によりリゾチームのC末端に疎水性ペプタイドを導入し
得られたリゾチーム(Biosci.Biotech. Biochem., 56,
1361-1363, 1992年)等が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
リゾチームの誘導体は、(1)溶解性が著しく低下す
る、(2)加熱によって変性や凝集して抗菌活性を失い
やすく、加熱殺菌処理と併用できない、(3)化学反応
や遺伝子操作等煩雑な操作を必要とするため大量生産に
向かない等の、多くの問題点を有していた。また、安全
性の点についても充分検討されておらず、実際の使用に
は問題があった。
【0011】また、近年、合成保存料等は消費者から敬
遠されがちであり、より安全な天然由来の抗菌剤が求め
られていた。
【0012】従って、本発明の目的は、安全性が高く、
グラム陽性菌、グラム陰性菌および真菌類に対して高い
抗菌活性を有し、加熱による抗菌活性の低下のない抗菌
組成物及びそれを含有する抗菌剤を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、リゾチームの加水分
解物がリゾチームとしての酵素活性を失っているにもか
かわらず、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方に対し
て、さらにカビや酵母等の真菌類にも強い抗菌活性を示
すことを見出し、この事実に基いて本発明を完成するに
至った。
【0014】即ち、本発明の一つは、リゾチームを加水
分解して得られるペプチドを有効成分として含有するこ
とを特徴とする抗菌組成物である。
【0015】本発明の抗菌組成物は、リゾチームの加水
分解物であるペプチドを有効成分として含有させること
により、加熱殺菌処理しても抗菌活性を失うことがな
く、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方、及び真菌類に
強い抗菌活性を示す抗菌組成物を提供できる。
【0016】上記抗菌組成物においては、前記ペプチド
の平均アミノ酸鎖長が3〜20であることが好ましい。
【0017】また、本発明のもう一つは、リゾチーム
を、酸濃度0.01〜0.1N、90〜140℃で15
分間〜3時間加水分解を行うことを特徴とする抗菌組成
物の製造方法である。
【0018】また、本発明のもう一つは、リゾチーム濃
度が0.3質量%から20質量%である水溶液にタンパ
ク質加水分解酵素を添加し、25〜45℃で1〜3時間
加水分解を行うことを特徴とする抗菌組成物の製造方法
である。
【0019】上記製造方法においては、タンパク質加水
分解酵素がプロテアーゼ活性またはカルボキシペプチダ
ーゼ活性を持つ、パパイン、ペプシン、レニン、カルボ
キシペプチダーゼ、アスペルギルス属麹菌由来プロテア
ーゼのいずれか、またはその組み合わせであることが好
ましい。
【0020】上記の製造方法によれば、過度の加水分解
を防ぎ、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方と真菌類に
強い抗菌活性を示すリゾチーム加水分解物を得ることが
できる。
【0021】また、本発明のもう一つは、上記抗菌組成
物を含有することを特徴とする抗菌剤である。
【0022】本発明の抗菌剤は、グラム陽性菌とグラム
陰性菌の両方そして真菌類に強い抗菌活性を示し、加熱
殺菌処理との併用も可能であり、食品、医薬、化粧品、
飼料分野などで広く安全に利用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明におけるリゾチームとは、
N−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミン間
のβ−1,4−ムラミド結合を加水分解する酵素タンパ
ク質を指す。
【0024】本発明の抗菌組成物の原料として用いられ
るリゾチームの起源は特に限定されないが、大量調製が
容易な卵白リゾチームが好ましい。卵白リゾチームは、
鳥類の卵に含まれる卵白由来であればよく、例えば、ニ
ワトリ、ウズラ、アヒル、ガチョウ等の卵の卵白リゾチ
ームが挙げられる。本発明においては、凍結卵白液や卵
白粉末等として、容易に大量入手できる鶏卵の卵白リゾ
チームが特に好ましい。
【0025】本発明の抗菌組成物は、リゾチームを酸加
水分解又は酵素分解することにより調製することができ
る。
【0026】例えば、酸加水分解する場合は、リゾチー
ム1〜80質量部を、1000質量部の水に溶解し、酸
濃度0.1N以下、90〜140℃で15分間〜3時間
加水分解することが好ましい。なお、過度の加水分解は
抗菌性の低下や消失を招くことから、少なくとも100
℃以上の加熱が3時間以下となるようにする必要があ
る。上記酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、クエン
酸等を用いることができる。なお、リゾチームは、卵白
から陽イオンクロマトグラフィー法又は界面移動電気泳
動法、塩析法等で分離精製された卵白リゾチームを用い
てもよく、リゾチームを含有する卵白をそのまま加水分
解してもよい。
【0027】また、酵素分解する場合、水溶液中のリゾ
チーム濃度は0.3質量%から20質量%が好ましく、
生産性を考慮すれば5質量%から15質量%がより好ま
しい。
【0028】使用するタンパク質加水分解酵素として
は、プロテアーゼ活性またはカルボキシペプチダーゼ活
性を持ち食品製造に使用可能な、パパイン(EC.3.
4.22.2)、ペプシン(EC.3.4.23.
1)、レニン(EC.3.4.23.15)、レニンを
含むチーズ用途のレンネット、カルボキシペプチダーゼ
A(EC.3.4.17.1)、アスペルギルス属麹菌
由来プロテアーゼ(商品名「オリエンターゼONS」阪
急バイオインダストリー株式会社製や商品名「フレバザ
イム」ノボノルディスク社製等)などが挙げられる。こ
れらのいずれか、またはその組み合わせで使用すること
ができる。タンパク質加水分解酵素の濃度は、使用する
酵素に応じて適宜変動するが、酵素とリゾチームの質量
比が1対20から1対100が好ましい。酵素反応温度
や反応時間は使用する酵素により若干異なるが、25〜
45℃で1〜3時間加水分解を行うことが好ましい。反
応時間は長すぎても短すぎても、できた加水分解物の抗
菌活性に悪影響を及ぼす。
【0029】本発明においては、適切な制御を行えば酸
加水分解法よりも酵素加水分解法の方が、得られる加水
分解物の抗菌活性が高いことから、酵素加水分解するこ
とが好ましい。
【0030】上記のようにして得られたリゾチーム加水
分解物の平均アミノ酸鎖長は3〜20であることが好ま
しい。更に、分子量分布は分子量5000以下であるこ
とが好ましい。平均アミノ酸鎖長が上記範囲外である
と、抗菌性の低下や消失が起こったり、加熱による変性
や凝集などが起こりやすくなる。
【0031】上記のリゾチーム加水分解物は、適宜脱塩
してそのまま本発明の抗菌組成物として用いることがで
きる。また、限外ろ過膜、ゲルろ過や各種カラムクロマ
トグラフィー、メンブレンフィルターなどで精製や分画
して用いてもよい。
【0032】上記のリゾチーム加水分解物は、後述する
実施例に示されるように、グラム陽性菌に対してリゾチ
ームよりも抗菌活性が10倍以上に増強されており、さ
らにグラム陰性菌に対しても強い抗菌活性を示す。例え
ば、グラム陽性菌としてはスタフィロコッカス属菌、ス
トレプトコッカス属菌、バチルス属菌、リステリア菌等
に対して、また、グラム陰性菌としては、大腸菌、プロ
テウス属菌、サルモネラ属菌、シュードモナス属菌等に
対して、さらに真菌類としてはサッカロミセス属酵母や
カンジダ属酵母、アスペルギルス属カビ、ペニシリウム
属カビ等に対して顕著な抗菌活性が認められる。
【0033】このようにリゾチーム加水分解物がグラム
陽性菌とグラム陰性菌の両方に対して優れた抗菌活性を
示すメカニズムの詳細については明らかではないが、リ
ゾチーム加水分解物に含まれるペプチドが、静電相互作
用によって細菌の細胞膜に結合し、膜貫通型のポア
(孔)を形成して細胞膜の破壊や細胞膜透過性を亢進さ
せることにより、引き起こされるものであると推定され
る。
【0034】本発明の抗菌剤は、上記リゾチーム加水分
解物を有効成分として含有するものである。抗菌剤の形
態は特に制限はなく、用途に応じて溶液、粉末等を選択
できる。粉末化の方法としては、熱風乾燥、噴霧乾燥、
凍結乾燥等、通常の公知の粉末化方法を採用できる。
【0035】本発明の抗菌剤は、リゾチーム加水分解物
以外に、例えば、天然型リゾチーム、グリシン、アルコ
ール類、キトサン、ポリリジン、プロタミン、有機酸
類、中鎖脂肪酸、多価アルコールの脂肪酸エステル、植
物性揮発油、合成抗菌剤、抗生物質など通常用いられる
抗菌・殺菌成分を含むことができる。これらと併用する
ことにより、抗菌、殺菌効果を増強することが可能であ
る。
【0036】本発明の抗菌剤におけるリゾチーム加水分
解物の配合量は、特に限定されるものではないが、リゾ
チーム加水分解物を0.01質量%以上含むことが好ま
しく、0.05質量%以上含むことがより好ましい。
【0037】本発明の抗菌剤は、食品、医薬、化粧品、
飼料等に添加して抗菌、防腐等を目的として使用するこ
とができる。例えば、抗炎症や抗菌を目的とした医薬
品、虫歯の原因菌の抑制を目的とした洗口液や歯磨き剤
等の医薬部外品、フケの原因菌の抑制を目的としたシャ
ンプーやリンス等の化粧品、腐敗防止や殺菌を目的とし
た生鮮野菜、鮮魚、蒲鉾、カスタードクリーム、漬物、
ソーセージ、ハム、炊飯米、鶏卵加工品等の食品の日持
ち向上剤、家畜や水産動物の疾病予防を目的とした飼料
添加剤や動物医薬品等としての利用が可能である。
【0038】また、食品用の機械、器具、包丁、まな板
などの調理器具の殺菌及び手指の消毒、室内殺菌などに
使用することができる。
【0039】さらにエアコンや空調機用の抗菌フィルタ
ーに用いることもできる。
【0040】本発明の抗菌剤の使用量は、特に限定され
るものではなく、用途に応じて適宜設定できるが、例え
ば医薬品や化粧品に配合する場合は、製品100g当た
りリゾチーム加水分解物を0.2mg以上配合すること
が好ましく、1mg以上配合することが好ましい。ま
た、飲食品などに配合する場合は、製品100g当たり
リゾチーム加水分解物を0.1mg以上配合することが
好ましく、0.5mg以上配合することが好ましい。
【0041】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれによって特に限定されるものではな
い。
【0042】実施例1(塩酸加水分解) 鶏卵の卵白リゾチーム(イノバテック社製)1gを20
0mLの水に溶解し、濃塩酸(10N)1mLを加え、
耐熱密閉容器に入れ、乾熱器内にて115℃に1時間保
った。その後、氷水で速やかに冷却して、2N水酸化カ
リウム水溶液でpH6±1となるよう中和し、3000
rpm、15分間の遠心分離にて不溶物を除去した。そ
して凍結乾燥で粉末化してリゾチーム加水分解物1.2
gを得た。
【0043】このリゾチーム加水分解物(ペプチド)の
平均アミノ酸鎖長を、TNBS(トリニトロベンゼンス
ルホン酸)を用いた遊離アミノ基の定量法により測定し
たところ、6.3であった。
【0044】実施例2(酵素加水分解) pH3の塩酸水溶液1Lに鶏卵の卵白リゾチーム100
gを徐々に溶解させる。溶解後、ペプシン(シグマアル
ドリッチ社製)2gを添加して、37℃にて100分間
酵素反応を行った。その後、沸騰湯浴15分の加熱処理
を行い、酵素を失活させ、ろ紙にて濾過し、凍結乾燥し
てリゾチーム加水分解物94gを得た。
【0045】このリゾチーム加水分解物の平均アミノ酸
鎖長を実施例1と同様にして測定したところ、15であ
った。
【0046】また、実施例1、2で得られたリゾチーム
加水分解物を高速液体クロマトグラフィーにて、以下の
条件で分子量の分析を行った。 カラム:YMC-Pack Diol200(6.0×300mm)(商品名、ワ
イエムシイ社製) 溶出液:0.2Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.7) 流速:0.7ml/分 検出波長:215nm その結果、実施例1、2のリゾチーム加水分解物は、
5,000〜100の間にピークが見られた。なお、卵
白リゾチームの分子量を同様にして測定したところ、分
子量14,000付近に一本のピークが見られた。
【0047】試験例(リゾチーム加水分解物の抗菌活
性、酵素活性の測定) 実施例1、2で得られたリゾチーム加水分解物、及び鶏
卵卵白リゾチームのグラム陰性菌に対する抗菌活性を以
下のようにして測定した。グラム陰性菌としては大腸菌
(Escherichia coli NBRC3301株)を用いた。
【0048】対数増殖期の大腸菌を遠心分離により集菌
し、10細胞/mlとなるように10mMリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.8)に懸濁した。この大腸菌懸
濁液に各実施例で得たリゾチーム加水分解物又は卵白リ
ゾチームを最終濃度が400μg/mlとなるように添
加して37℃で2時間静置した後、懸濁液を各段階に希
釈した。各希釈液1mLをトリプトン−ソイ寒天培地に
植菌し、37℃で24時間培養後、コロニー数を測定し
た。生菌数は1ml当たりのCFU(コロニー形成単
位)で表した。それぞれの生菌数を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1から、実施例1、2で調製したリゾチ
ーム加水分解物は、卵白リゾチームよりもグラム陰性菌
である大腸菌に対してより高い抗菌活性を示すことが分
かる。
【0051】実施例1、2により得られたリゾチーム加
水分解物、及び卵白リゾチームのグラム陽性菌に対する
抗菌活性を上記と同様にして測定した。グラム陽性菌と
しては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBR
C12732株)、バチルス・ズブチリス(Bacillus su
btilis NBRC3134株)を用いた。その結果を表
2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2から、実施例1、2で調製したリゾチ
ーム加水分解物は、グラム陽性菌に対して、卵白リゾチ
ームと同等かそれ以上の抗菌活性を示すことが分かる。
【0054】実施例1、2により得られたリゾチーム加
水分解物、及び卵白リゾチームの酵母に対する抗菌活性
をトリプトン−ソイ寒天培地の代わりに麦芽寒天培地を
用いて上記と同様にして測定した。酵母としてはサッカ
ロミセス セレビシャ NBRC0210株を用いた。
その結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】表3から、実施例1、2で調製したリゾチ
ーム加水分解物は、酵母に対して、卵白リゾチームと同
等かそれ以上の抗菌活性を示すことが分かる。
【0057】また、実施例1、2で得られたリゾチーム
加水分解物、及び卵白リゾチームの酵素活性を以下のよ
うにして測定した。なお、リゾチームの酵素活性はミク
ロコッカス・リゾデイクティカス(M.lysodeikticus)菌
体に対する溶菌活性で比較した。
【0058】リゾチーム加水分解物又は卵白リゾチーム
を最終濃度が1μg/mlとなるように50mMのリン
酸緩衝液(pH6.2)に懸濁した菌体液(初期濁度A
600nm=0.75〜0.80)に添加し、25℃で
その濁度変化を測定した。卵白リゾチームの濁度変化量
を100%とした場合、実施例1、2で得られたリゾチ
ーム加水分解物のそれは、いずれも1%以下であった。
【0059】以上の結果から、リゾチーム加水分解物は
卵白リゾチームと比較して、抗菌活性が上昇しているこ
とが分かる。また、リゾチーム加水分解物は、その酵素
活性が消失しているにもかかわらず、グラム陽性菌に対
してリゾチームが本来有するのと同等以上の抗菌活性を
示し、さらには、リゾチームには見られなかったグラム
陰性菌に対する強い抗菌活性も有しており、その抗菌ス
ペクトルが広くなっていることが分かる。
【0060】実施例3 卵白リゾチーム5kgをpH3の塩酸水溶液100Lに
徐々に溶解し、チーズ用レンネット200gを含む水溶
液1Lを加え、30℃に保ちながら1時間撹拌し、反応
させた。その後、80℃で30分間加熱殺菌し、圧搾ろ
過機にて不溶物を除去した。そして、減圧濃縮機にて3
0Lまで濃縮後、スプレードライヤーで粉末化し、リゾ
チーム加水分解物4.2kgを得た。
【0061】実施例4 鶏卵の凍結卵白液100kgに水200Lを加えホモミ
キサーで攪拌しながら溶解し、アスペルギルス属麹菌由
来プロテアーゼ(商品名「フレバザイム」ノボノルディ
スク社製)200gを含む水溶液1Lを加え、30℃に
保ちながら1時間撹拌し、反応させた。その後、80℃
で30分間加熱殺菌し、圧搾ろ過機にて不溶物を除去し
た。そして、スプレードライヤーで粉末化し、卵白加水
分解物8.9kgを得た。
【0062】実施例5(抗菌剤配合飲料の調製) 果糖ぶどう糖液糖15.0%、クエン酸0.2%、香
料、着色料適量と、実施例3で得られたリゾチーム加水
分解物を0.005%配合し、常法により飲料を調製し
た。また、比較例として、上記と同様の処方にて、卵白
リゾチームを0.005%配合したもの、対照として、
リゾチーム加水分解物を配合しないものも調製した。
【0063】各飲料を、瓶に詰めてオートクレーブ(1
21℃15分間)で加熱処理したところ、リゾチーム加
水分解物を配合した飲料と対照飲料は白濁や沈澱はみら
れなかったのに対し、卵白リゾチームを配合した飲料は
白濁し、沈澱が生じた。
【0064】また、リゾチーム加水分解物を配合した飲
料及び対照飲料を用いてグラム陰性菌に対する抗菌活性
を測定した。すなわち、リゾチーム加水分解物を配合し
た配合飲料又は対照飲料100mLに、上記試験例と同
様に調製した大腸菌懸濁液(1×10CFU/mL)
1mLを添加して37℃で3日間静置した後、各飲料を
各段階に希釈し、その希釈液1mLをトリプトンーソイ
寒天培地に植菌し、37℃で18時間培養後、それぞれ
の生菌数を比較した。その結果、対照飲料の生菌数は1
×10CFU/mL以上まで増加したのに対し、リゾ
チーム加水分解物を配合した飲料の生菌数は1×10
CFU/mL以下まで減少していた。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、リ
ゾチームの加水分解物であるペプチドを有効成分として
含有させることにより、加熱殺菌処理しても抗菌活性を
失うことがなく、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方と
真菌類に強い抗菌活性を示す抗菌組成物を提供できる。
そして、上記抗菌組成物を有効成分とする本発明の抗菌
剤は、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方と真菌類に強
い抗菌活性を示し、加熱殺菌処理との併用も可能であ
り、食品、医薬、化粧品、飼料分野などで広く安全に利
用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 A61K 37/54 (72)発明者 アダハム モハメド アブドゥ 京都市南区吉祥院石原堂の後西町24番5号 株式会社ファ−マフ−ズ研究所内 (72)発明者 金 武祚 京都市南区吉祥院石原堂の後西町24番5号 株式会社ファ−マフ−ズ研究所内 Fターム(参考) 4B021 MC01 MK23 4C083 AD471 BB48 CC38 CC39 CC41 DD22 DD23 EE12 EE23 EE32 4C084 AA02 DC22 MA63 NA14 ZB351 4H011 AA02 BA01 BB06 BB19 BC08 BC18 BC19 DA13 DC05 DD05 DD07 DH10 DH11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リゾチームを加水分解して得られるペプ
    チドを有効成分として含有することを特徴とする抗菌組
    成物。
  2. 【請求項2】 前記ペプチドの平均アミノ酸鎖長が3〜
    20である、請求項1に記載の抗菌組成物。
  3. 【請求項3】 リゾチームを、酸濃度0.01〜0.1
    N、90〜140℃で15分間〜3時間加水分解を行う
    ことを特徴とする抗菌組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 リゾチーム濃度が0.3質量%から20
    質量%である水溶液にタンパク質加水分解酵素を添加
    し、25〜45℃で1〜3時間加水分解を行うことを特
    徴とする抗菌組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記タンパク質加水分解酵素がプロテア
    ーゼ活性またはカルボキシペプチダーゼ活性を持つ、パ
    パイン、ペプシン、レニン、カルボキシペプチダーゼ、
    アスペルギルス属麹菌由来プロテアーゼのいずれか、ま
    たはその組み合わせであることを特徴とする請求項4に
    記載の抗菌組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の抗菌
    組成物を有効成分として含有する抗菌剤。
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