JP2003316025A - レーザー製版方法 - Google Patents

レーザー製版方法

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JP2003316025A
JP2003316025A JP2002124609A JP2002124609A JP2003316025A JP 2003316025 A JP2003316025 A JP 2003316025A JP 2002124609 A JP2002124609 A JP 2002124609A JP 2002124609 A JP2002124609 A JP 2002124609A JP 2003316025 A JP2003316025 A JP 2003316025A
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JP2002124609A
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Mitsuru Tabuchi
充 田淵
Takuya Uematsu
卓也 植松
Toshiyoshi Urano
年由 浦野
Yuuji Mizuho
右二 瑞穂
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 支持体上に塗布形成した感光性層をレーザー
光線によって画像露光させることにより、画像形成済み
の画像形成材料を作製するレーザー製版方法であって、
支持体上の感光性層を加熱乾燥させる際、版胴の温度を
昇温させることなく効率的に乾燥させることが出来るレ
ーザー製版方法を提供する。 【解決手段】 レーザー製版方法は、画像形成材料固定
用ドラムに固定した支持体上に感光性版材を塗布して感
光性層を形成し、当該感光性層を加熱乾燥処理して画像
形成材料を構成した後、レーザー光線により走査画像露
光を行い、製版処理剤による処理を施して画像形成する
製版方法であり、加熱乾燥処理するにあたり、画像形成
材料固定用ドラムと支持体との間に空隙層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にレーザー製版
装置において好適に実施し得るレーザー製版方法であっ
て、支持体上に塗布形成した感光性層をレーザー光線に
よって画像露光させることにより、画像形成済みの画像
形成材料を作製するレーザー製版方法に関する。斯かる
レーザー製版方法は、平版印刷版などに使用される画像
形成材料の作製に好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューター画像処理技術の進
歩に伴い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルム
への出力を行わずに、レーザー光により直接画像を形成
するCTP(Computer to Plate)シ
ステムが注目されており、特に、高出力の半導体レーザ
ーやYAGレーザー等を使用するCTPシステムは、製
版工程の短縮化、作業時の環境光、製版コスト等の面か
ら、その実用化が急速に進みつつある。
【0003】これに伴い、CTPシステム用の平版印刷
版としては、近年、赤外レーザー光を使用し、露光部の
現像液に対する溶解性を変化させることによって画像形
成可能な感光性組成物の層(感光性層)を支持体表面に
有する感光性平版印刷版が提案されている(例えば、特
開平9−43847号、特開平10−268512号、
特開平11−84657号、特開平11−174681
号、特開平11−194504号、特開平11−223
936号等の各公報、WО97/39894号、WО9
8/42507号等の各明細書参照)。
【0004】上記の感光性平版印刷版は、従来の感光性
平版印刷版がo−キノンジアジド化合物などの光分解と
いう化学的変化により現像液に対する露光部の溶解性を
増大させることによって画像を形成していたのに対し、
例えば赤外吸収色素などの赤外光を吸収して熱に変換す
る物質とノボラック樹脂等のアルカリ可溶性樹脂とを主
な感光性成分とし、赤外レーザー光の露光で発生する熱
による樹脂の構造転移などの物理的変化によって現像液
に対する露光部の溶解性を増大させるものであり、斯か
る感光性平版印刷版は、o−キノンジアジド化合物の様
な白色光に感光する物質を含有させる必要がないことか
ら、白色灯下でも取り扱えるという利点を有する。
【0005】更に、CTPシステム用の平版印刷版を作
製するレーザー製版装置としては、機上において印刷版
支持体上に感光性層溶液を塗布して感光性層を形成し、
当該感光性層に加熱乾燥処理を施した後、レーザー光線
による画像露光を行い、次いで、アルカリ現像を施して
画像形成するレーザー製版装置、更には、前記の機能に
加え、印刷に使用済みの平版印刷版の感光性層を機上で
除去した後、印刷版支持体を再生し、次いで、再生した
支持体上に再び感光性層を塗布形成することにより、平
版印刷版を再生するレーザー製版装置が注目されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の様な
レーザー製版装置は、支持体上に感光性層を形成した
際、レーザー製版機の画像形成材料固定用ドラム(版
胴)上にて加熱乾燥処理しなくてはならない。しかしな
がら、版胴上に直接支持体を固定して加熱乾燥処理する
と、熱は直ちに版胴側へ逃げてしまうため、60℃以上
の温度まで昇温するには長時間加熱し続ける必要があ
る。更に、加熱乾燥処理により、支持体のみならず版胴
などの装置側も昇温してしまうため、この冷却に長時間
を要し問題となっていた。従って、上記のレーザー製版
装置においては、装置本体の温度を上昇させることな
く、短時間に感光性層のみを高温加熱し得る手段が強く
望まれている。
【0007】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、支持体上に塗布形成した感光性
層をレーザー光線によって画像露光させることにより、
画像形成済みの画像形成材料を作製するレーザー製版方
法であって、支持体上の感光性層の加熱乾燥処理の際、
版胴の温度を過度に昇温させることなく効率的に乾燥さ
せることが出来、効率的に画像形成材料を作製できるレ
ーザー製版方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、画像形成材料固定
ドラムと支持体との間に空隙層を設けるならば、感光性
層の加熱乾燥処理の際、支持体から画像形成材料固定ド
ラムへの放熱を効果的に抑制して加温効果を高めること
が出来、かつ、支持体全面の乾燥状態の均一性を高める
ことが出来、例えば印刷機上において高品質なレーザー
製版と印刷が可能となることを見出し、本発明を完成し
た。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、画像形成材料
固定用ドラムに固定した支持体上に感光性版材を塗布し
て感光性層を形成し、当該感光性層を加熱乾燥処理する
ことにより画像形成材料を構成した後、レーザー光線に
より走査画像露光を行い、次いで、製版処理剤による処
理を施して感光性層に画像形成するレーザー製版方法に
おいて、感光性層を加熱乾燥処理するにあたり、画像形
成材料固定用ドラムと支持体との間に空隙層を設けるこ
とを特徴とするレーザー製版方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のレーザー製
版方法の実施に好適な一例としてのレーザー製版装置の
概念を示す縦断面図である。
【0011】本発明のレーザー製版方法は、概略、支持
体上に感光性層を塗布形成し、感光性層を加熱乾燥処理
することにより感光性画像形成材料を構成した後、レー
ザー光線により走査画像露光を行い、次いで、製版処理
を施して感光性層により画像形成する製版方法である。
そして、本発明のレーザー製版方法は、図1に示す様な
レーザー製版装置、すなわち、例えば平版印刷版(画像
形成材料)を機上製版して印刷する平版印刷機としての
レーザー製版装置であって、画像形成材料固定用ドラ
ム、版材供給機構、乾燥機構、露光機構および製版処理
剤供給機構を少なくとも有するレーザー製版装置におい
て好適に実施される。
【0012】図1に示す装置は、画像形成材料固定用ド
ラムとしての版胴(21)、ブランケット胴(22)及
び圧胴(23)の各胴間を離間可能にすると共に圧胴
(23)への紙の送給停止制御を可能とし、版胴(2
1)に対し、インク着肉装置(6)のインク付けローラ
ー及び湿し装置(7)の水付けローラーを離間可能に
し、そして、支持体固定手段(31)、版材供給機構
(4)、乾燥機構(9)、露光機構(5)の他に、後述
する版材除去機構などを配置し、更に、前面が開放され
たスライド可能なケーシング(1)に全体を収容した点
を除き、従来公知の平版印刷機と同じである。
【0013】上記の各胴間の離間は、例えば、ブランケ
ット胴(22)及び圧胴(23)に偏芯ブッシュを使用
する等の適宜の機械的手段により、また、版胴(21)
に対する着肉装置(6)のインク付けローラー及び湿し
装置(7)の水付けローラーの離間は、版胴(21)に
設けられたカムと各ローラーに設けられたリンク等の適
宜の機械的手段により行うことが出来る。上記の支持体
固定手段(31)は、例えば、版胴(21)上の溝内に
支持体(3)の両端部を挿入してクサビ止めする構造の
手段により行うことが出来る。
【0014】上記の版材除去機構は、例えば、版材溶解
液供給機構(81)、必要に応じて設けられる版材剥離
ローラー(82)、洗浄水供給機構(83)、廃液回収
機構(84)及びエアー式乾燥機構(85)から成る。
そして、図1に例示する装置においては、版材供給機構
(4)、版材溶解液供給機構(81)及び洗浄水供給機
構(83)は、何れも、受液バケットと当該受液バケッ
ト内に部分的に挿入配置されたローラーにて構成され、
廃液回収機構(84)は、受液バケットと当該受液バケ
ット内に部分的に挿入配置され且つ必要に応じて吸引可
能になされたローラー(支持体(3)と略同一長さのロ
ーラー)にて構成され、また、エアー式乾燥機構(8
5)はブロー用ファンにて構成される。
【0015】版材供給機構(4)、版材溶解液供給機構
(81)及び洗浄水供給機構(83)は、上記のローラ
ー機構の他、スプレー装置によって構成することが出来
る。また、版材剥離ローラー(82)は、例えば、ロー
ラー表面に適当な摩擦抵抗性あるいは粘着性を付与して
構成することも出来る。
【0016】版材供給機構(4)、版材溶解液供給機構
(81)、版材剥離ローラー(82)、洗浄水供給機構
(83)、廃液回収機構(84)及びエアー式乾燥機構
(85)は、例えば、版胴(21)に対向して配置され
たラック状架台に搭載され且つラック・ピニオンの歯車
機構により上昇下降可能に構成することが出来る。斯か
る構成により、製版、印刷、再生の各工程に必要な要素
がその都度に版胴(21)に近接配置される。
【0017】露光機構(5)は、画像のデジタルデータ
ーに基づき、感光性版材を構成するポジ感光性組成物の
硬化反応に適応した波長の光を照射する光学機器にて構
成される。露光機構(5)光源としては、好ましくは、
アルゴンイオンレーザー、He−Neレーザー、He−
Cdレーザー、ルビーレーザー、YAGレーザー、半導
体レーザー等の300〜1300nmに発光波長を有す
るレーザーを適宜使用することが出来る。特に、好まし
いレーザーとしては青紫光源または近赤外光源のレーザ
ーが挙げられるが、発光波長が400〜420nmの青
紫光源としては、5〜100mWの半導体レーザーが挙
げられ、発光波長が700〜1300nmの近赤外光源
としては、30mW〜40Wの半導体レーザー、YAG
レーザーが挙げられる。露光機構(5)による露光操作
においては、通常、5〜20μmのスポット径にレーザ
ービームを集光し、0.1〜500m/秒のスポット速
度で走査する。
【0018】なお、必要に応じて版胴(21)とブラン
ケット胴(22)との間に汚染防止トレー(86)をス
ライド可能に配置させることが出来る。また、斯かる汚
染防止トレー(86)は、ブランケット胴(22)と圧
胴(23)との間に配置させることも出来る。汚染防止
トレー(86)のスライド機構は、例えば、ラック・ピ
ニオンの歯車機構により構成することが出来る。
【0019】また、前面が開放されたケーシング(1)
のスライドは、例えば、床に設置された案内レール(図
示せず)によって容易に行うことが出来る。また、ケー
シング(1)の天井部に設置された除塵フィルター(1
1)としては、適宜の市販品を使用することが出来る。
なお、図1中の符号(12)は、必要に応じてケーシン
グ(1)の底部に設けられた排気ダクトである。
【0020】上記の様な、平版印刷機を改良するための
各手段および機構などは当業者にとっては、周知・慣用
手段に基づいて容易に構築することが出来る。本発明に
おいては、支持体(3)上に感光性層を設けて感光性画
像形成材料を構成する際、画像形成材料固定用ドラムと
支持体との間に空隙層(32)を設けた状態で感光性層
を加熱乾燥処理することが重要である。上記のレーザー
製版装置においては、上記の乾燥機構(9)によって感
光性層の加熱乾燥を行う様になされている。
【0021】乾燥機構(9)としては、光加熱式や熱風
乾燥式が採用できるが、加熱効率の点から、好ましくは
光加熱式がよい。光加熱式乾燥機構の場合には、少なく
とも700〜1300nmの範囲に発光波長を有し、光
強度密度が100Wcm-2以下、好ましくは50Wcm
-2以下、更に好ましくは10Wcm-2以下である限り、
各種の光源を使用することが出来る。好ましい光源とし
ては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧水銀灯、
低圧水銀灯、超高圧水銀灯、タングステンランプ等のラ
ンプ光源、半導体レーザー、YАGレーザー等のレーザ
ー光源を挙げることが出来る。上記の光源の中では、特
に、近赤外光の発光効果に優れるハロゲンランプが好ま
しく、更には、1200nmに発光ピークを有するハロ
ゲンランプが好ましい、また、これらの光源は必要に応
じ、UV−可視光領域をフィルターにより遮光すること
が出来る。
【0022】光加熱式の乾燥機構(9)の光源として上
記の様な発光波長で且つ光強度密度の光源を使用するの
が好ましい理由は次の通りである。すなわち、画像形成
材料(例えば平版印刷版)の加熱乾燥処理において光強
度密度が高すぎる場合は感光性層の変質を生じ易い。ま
た、光照射時間が短すぎる場合は十分な加熱効果が得ら
れない。更に、短時間の照射で高い光強度密度の光照射
を行った場合には、感光性層の画像形成作用が発現する
ため、ポジ型感光性層であれば、感光性画像の膜べりを
生じ易く、また、ネガ型感光性層であれば、非画像部の
感光性層の残留を生じ、何れの方式の感光性層において
も好ましくない。
【0023】本発明のレーザー製版方法は、版胴(2
1)、ブランケット胴(22)及び圧胴(23)から成
る印刷部を備え、製版、印刷、再生の各工程を繰り返し
行うレーザー製版装置としての上記の平版印刷機上にお
いて好適に実施される。以下、上記の平版印刷機の各工
程と共に、本発明のレーザー製版方法を説明する。
【0024】上記の平版印刷機においては、画像形成材
料の形成工程(A)、露光工程(B)及び現像工程
(C)から成る製版工程の他、印刷工程(D)ならびに
再生工程(E)を含む。
【0025】<製版工程(A)〜(C)> 画像形成材料の形成工程(A);先ず、版胴(21)、
ブランケット胴(22)及び圧胴(23)の各胴間を離
間状態にし且つ圧胴(23)への紙の送給を停止した状
態とした後、工程(A)として、画像形成材料固定用ド
ラムとしての版胴(21)の外周面上に空隙層(32)
を設けて固定した支持体(3)上に版材供給機構(4)
からポジ感光性組成物から成る感光性版材を供給塗布
し、塗布した感光性版材に対して光加熱式の乾燥機構
(9)により上記の特定波長の近赤外光を上記の光強度
密度で照射することにより加熱乾燥させ、そして、感光
性平版印刷版(画像形成材料)を構成する。
【0026】支持体(3)としては、例えば、砂目処理
されたアルミニウム板を使用することが出来る。感光性
版材を構成する組成物としては、加熱乾燥処理用の光を
吸収して熱に変換する光熱変換剤を含有するのが好まし
い。中でも、ポジ型感光性組成物が好ましく、画像露光
光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質とアルカ
リ可溶性樹脂とを含有するものであれば特に制限され
ず、従来公知のこの様なポジ感光性組成物を制限なく使
用することが出来る。
【0027】上記のポジ型感光性組成物は、後述する光
熱変換物質が画像露光光源の光を吸収して発生する熱の
作用により分解する熱分解性物質(以下、「熱分解性物
質」と称することがある)を含有しないことが好まし
い。上記の熱分解性物質は、特開平7−28527号公
報に記載されている様なオニウム塩、ジアゾニウム塩お
よびキノンジアジド化合物である。斯かる熱分解性物質
を含有しない感光性組成物は、紫外線領域の光に実質的
に感受性を有さず、白色灯下で取り扱うことが可能とな
る。
【0028】ここで、紫外線領域の光に対して実質的に
感受性を有さないとは、360〜450nmの波長の光
による照射の前後で、アルカリ現像液に対する溶解性に
実質的有意差を生じず、実用的な意味での画像形成能を
有さないことを意味する。例えば、白色蛍光灯(三菱電
機社製36W白色蛍光灯「ネオルミスーパーFLR40
S−W/M/36」)の400ルクスの光強度照射下に
10時間放置した後の組成物のアルカリ現像液に対する
溶解性が放置前に比して実質的変化を生じない結果を示
すことを言う。
【0029】上記のポジ型感光性組成物における、画像
露光光源の光を吸収して熱に変換する光熱変換物質とし
ては、例えば、波長域が通常650〜1300nm、好
ましくは800〜1300nmの近赤外線領域の一部ま
たは全部に吸収帯を有する有機または無機の顔料、染
料、有機色素、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属硼
化物などが挙げられる。これらの中では光吸収色素が特
に有効である。斯かる光吸収色素は、前記波長域の光を
効率よく吸収する一方、紫外線領域の光は殆ど吸収しな
いか、吸収しても実質的に感応せず、白色灯に含まれる
様な弱い紫外線によっては感光性組成物を変成させる作
用のない化合物である。なお、本発明では、後述する様
に、感光性層を熱乾燥させるために近赤外吸収色素を使
用する。そのため、光熱変換物質としても近赤外吸収色
素を使用することが好ましい。
【0030】上記の光吸収色素としては、窒素原子、酸
素原子、硫黄原子などを含む複素環などがポリメチン
(−CH=)nで結合された、広義の所謂シアニン系色
素が代表的なものとして挙げられる。具体的には、例え
ば、キノリン系(所謂、狭義のシアニン系)、インドー
ル系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系
(所謂、チオシアニン系)、アミノベンゼン系(所謂、
ポリメチン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、ス
クアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系など
が挙げられる。これらの中では、キノリン系、インドー
ル系、ベンゾチアゾール系、アミノベンゼン系、ピリリ
ウム系またはチアピリリウム系が好ましい。その他に、
アミニウム系、イモニウム系、フタロシアニン系、アン
トラキノン系などの各色素も代表的なものとして挙げら
れる。これらの中では、アミニウム系またはイモニウム
系色素が好ましい。
【0031】本発明で使用するアルカリ可溶性樹脂は、
基本的には、光熱変換物質との組合せにおいて、露光部
と未露光部とが主として化学変化以外の変化によって、
アルカリ現像液に対する溶解性に差を生じる高分子であ
り、当然ながら、高分子自体が、主として化学変化以外
の変化によって、アルカリ現像液に対する溶解性が変化
する高分子化合物である場合を含む。斯かる高分子とし
ては、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェ
ノール樹脂、アクリル酸誘導体の共重合体などのアルカ
リ可溶性樹脂などが挙げられる。これらの中では、フェ
ノール性水酸基を有する樹脂、特に、ノポラック樹脂お
よび/またはフェノール樹脂を含有する高分子が好まし
い。特に、本出願人によって提案された次のポジ感光性
組成物は好適な例である。
【0032】(1)ノボラック樹脂(a)、ポリメチレ
ン鎖を介して複素環が結合した構造のシアニン系、アミ
ニウム系またはイモニウム系の光熱変換物質(b)に感
光性層の表面硬度を高めるため、(c)成分としてビニ
ルオキシ化合物(特開平11−231515号公報)又
はアシルオキシアルコキシ化合物(特開平11−231
513号公報)を含有させたポジ感光性組成物。
【0033】(2)ノボラック樹脂(a)、ポリメチレ
ン鎖を介して複素環が結合した構造のシアニン系、アミ
ニウム系またはイモニウム系光熱変換物質(b)に画像
再現性を高めるため、(c)成分として酸発色性色素
(特開平11−190903号公報)又は塩基発色性色
素(特開平11−143076号公報)を含有させたポ
ジ感光性組成物。
【0034】(3)ノボラック樹脂(a)、ポリメチレ
ン鎖を介して複素環が結合した構造のシアニン系、アミ
ニウム系またはイモニウム系光熱変換物質(b)に耐印
刷性を向上させるため、(c)成分としてエステル化合
物含有させたポジ感光性組成物(特開平11−2880
89号公報)。
【0035】上記の中では、ポジ型感光性組成物(2)
及び(3)が耐刷性および画像形成に優れて好ましい。
更に、ポジ型感光性組成物は熱架橋性化合物を含有して
いてもよい。斯かる熱架橋性化合物としては、架橋性を
有する窒素化合物が挙げられ、好ましくはアミノ基を有
する化合物であり、より具体的には、例えば、官能基と
して、メチロール基、それのアルコール縮合変性したア
ルコキシメチル基、アセトキシメチル基などを2個以上
有するアミノ化合物が挙げられる。アミノ基を有する化
合物の中でも、複素環構造、特に含窒素複素環構造を有
する化合物が好ましく、特にメラミン骨格を有する化合
物が好ましい。斯かる熱架橋性化合物としては、特開平
11−202481号公報に記載の熱架橋性化合物など
が挙げられる。
【0036】上記の工程(A)においては、支持体上に
感光性版材を供給塗布して形成した感光性層を加熱乾燥
処理するにあたり、版胴(21)(画像形成材料固定用
ドラム)と支持体との間に空隙層(32)を設ける。本
発明において、空隙層(32)とは、空気などの気体で
占められている層または気体を含有する層であって、感
光性層の少なくとも加熱される部位を加熱の際に画像形
成材料固定用ドラムから一様な距離だけ離間させること
の出来る層を言う。斯かる空隙層(32)は、画像形成
材料から版胴(21)(画像形成材料固定用ドラム)へ
の熱の伝導を抑制する機能を有し、また、塗布形成した
感光性層(塗膜)の乾燥効率を高め、エージング効率を
向上させる。
【0037】上記の空隙層(32)の厚さは、通常は5
0μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましく
は1mm以上とされる。また、空隙層(32)は、以下
の様な方法によって形成できるが、空隙層(32)の空
隙率(体積率)の下限は、5%以上、好ましくは15%
以上、より好ましくは30%以上であり、上限は100
%(気体層)である。
【0038】上記の空隙層(32)の形成方法としては
次の様な方法が挙げられる。先ず、第一の方法として
は、支持体(3)を版胴(21)から浮かせる方法が挙
げられる。支持体(3)は、当該支持体の円周方向の両
端部に張力をかけた状態で版胴(21)上に固定される
が、加熱時のみ版銜えの張力を弛める等の手法で版を版
胴(21)から浮かせるか或いは浮き易くする。この状
態で支持体(3)を加熱すると、支持体(3)が熱膨張
するため、支持体(3)が版胴(21)より離間し、空
隙層(32)が形成される。支持体(3)の張力を弛め
ない場合でも、加熱により支持体(3)は僅かに浮き上
がるが、一様には浮き上がらないため乾燥ムラが生じや
すく、また、支持体(3)の座屈を惹起し易い。支持体
(3)の張力は、使用する支持体(3)の材質や厚みに
よっても異なるが、印刷時の張力よりも弱い張力に設定
することが必要である。
【0039】次に、第二の方法としては、版胴(21)
表面と支持体との間に空隙形成部材を介装する方法が挙
げられる。空隙形成部材としては、金網、スクリーン印
刷や養殖用資材として利用されるメッシュ、多くの空気
を含有する不織布、紙、木、ガラスウールシート等を使
用することが出来る。空隙形成部材は、支持体(3)の
機械的強度に応じて、印刷物品質に影響しないサイズの
ものを選択すればよく、空隙形成部材の厚さの下限は、
通常0.01mm以上、好ましくは0.02mm以上、
より好ましくは0.03mm以上であり、上限は、通常
3mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1
mm以下である。
【0040】空隙層(32)を形成するメッシュとして
は、スクリーン印刷等で用いられる様なメッシュが好適
に使用される。メッシュの材質としては、ステンレスな
どの金属、絹、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、フッ素繊維などが挙げられるが、
必要とされる耐熱性・寸法安定性・耐薬品性などを考慮
して適宜選択することが出来る。メッシュの構成材料と
しては、ポリエステル、フッ素繊維が好ましく、ポリエ
ステルが特に好ましい。メッシュの網目のオープニング
(メッシュの隣接する糸と糸の間の距離)は、印刷機の
印圧に応じて上記の空隙率の範囲内で適宜に設定でき
る。
【0041】上記の金網、メッシュ等の空隙形成部材
は、所望の厚さの空隙層(32)を形成する様に、組み
合わせて複数枚重ねて使用してもよい。更に、空隙形成
部材は、版胴(21)と支持体(3)の間に挟むだけで
はなく、版胴(21)の表面または支持体(3)の裏面
に貼り付けてもよい。また、空隙層(32)は、支持体
(3)の裏面に予め形成された多数の突起やリブによ
り、版胴(21)の外周面に支持体(3)を固定した際
に形成される様にしてもよい。あるいは、版胴(21)
の表面に予め突起やリブを設けることにより、版胴(2
1)に支持体(3)を固定した際に形成される様にして
もよい。更に、空隙層(32)は、多数の突起、所定パ
ターンのリブ等を含むスぺーサーが版胴(21)の表面
から突出する構造によっても設けることが出来る。その
場合、加熱する部位に対応してスぺーサーを漸次突出さ
せる様にしてもよい。
【0042】空隙層(32)の形成方法としては、装置
設計を容易にすると言う観点からは上記の第二の方法が
好ましいが、空隙層(32)を確実に形成し且つ一層高
い断熱性を得るには、上記の第一及び第二の方法を組み
合わせるのがより好ましい。
【0043】支持体(2)上に感光性層を塗布形成した
後は、上記の光加熱式の乾燥機構(9)により感光性層
を加熱乾燥処理する。加熱乾燥処理においては、パラボ
ラ型または焦点型などのランプを使用した集光法が利用
され、上記の特定波長の近赤外光を100Wcm-2、好
ましくは10Wcm-2以下の光強度密度で0.1秒以
上、好ましくは1秒以上照射することにより熱乾燥させ
る。ランプの種類としては、ハロゲンランプや遠赤外線
ランプが使用でき、また、照射法としては、連続発光に
よる方法やフラッシュ光による方法が挙げられる。
【0044】本発明においては、上記の画像形成材料の
形成工程にて画像形成材料固定ドラム(版胴(21))
と支持体(3)との間に空隙層(32)を設けるため、
塗布形成した感光性層の加熱乾燥処理の際に、支持体
(3)から画像形成材料固定ドラムへの放熱を効果的に
抑制して加温効果を高めることが出来、しかも、支持体
(3)の全面において均一な乾燥状態が得られる。その
結果、印刷機上において高品質なレーザー製版と印刷が
可能となる。
【0045】露光工程(B)及び現像工程(C);上記
の工程(A)により感光性平版印刷版(画像形成材料)
を形成した後は、工程(B)として、露光機構(5)に
より感光性平版印刷版を画像露光した後、工程(C)と
して、画像露光済み感光性平版印刷版上に製版処理剤供
給機構から製版処理剤を供給し、更に、必要に応じて物
理的刺激を与え、そして、画像を形成する。
【0046】上記の工程(C)においては、感光性平版
印刷版の感光性層の種類によっては、版胴(21)とブ
ランケット胴(22)を接触回転させる様な物理的刺激
を与える必要はなく、版胴(21)とブランケット胴
(22)とを離間状態にしたまま版胴(21)を回転さ
せるだけでもよい場合がある。また、製版処理剤として
は、露光部に浸透して当該露光部おける支持体と感光性
層との接着強度を低下させる様な親水化剤(浸透剤)、
例えば、水、湿し水、界面活性剤、有機溶剤、アルカリ
剤などを使用することが出来るが(特開平11−108
27号公報参照)、特にアルカリ剤が好ましい。通常、
これら製版処理剤は、画像形成後、水洗処理または印刷
により除去される。
【0047】<印刷工程(D)>製版工程終了後は、工
程(D)として、上記の様に画像形成された感光性平版
印刷版(画像形成材料)上の画像表面に製版処理剤供給
機構のインク着肉装置(6)及び湿し装置(7)からそ
れぞれ印刷インキ及び湿し水を供給し、そして、画像形
成材料固定用ドラムとしての版胴(21)、ブランケッ
ト胴(22)及び圧胴(23)を接触回転させると共に
ブランケット胴(22)と圧胴(23)との間に印刷紙
を供給して印刷する。斯かる操作は、従来公知の方法に
従って行うことが出来る。
【0048】<再生工程(E)>印刷工程終了後は、再
度、各胴間を離間状態にし且つ圧胴(23)への紙の送
給を停止した状態とした後、工程(E)として、版材除
去機構により支持体(3)上の画像部分を除去して支持
体(3)を再生する。
【0049】工程(E)においては、先ず、ブランケッ
ト胴(22)と圧胴(23)との間に汚染防止トレー
(86)配置をした後、版胴(21)を回転させなが
ら、版胴(21)上の感光性平版印刷版上の画像表面に
版材溶解液供給機構(81)から版材溶解液(例えばア
ルカリ水溶液または有機溶剤)を供給する。この操作に
より、画像が溶解し、支持体(3)が再生する。画像が
溶解せずに膨潤する様な場合は、版材剥離ローラー(8
2)によって膨潤した画像に物理刺激を与える、また
は、当該画像を付着させて除去する。
【0050】次いで、再生された支持体(3)の表面に
洗浄水供給機構(83)から洗浄水を供給する。この操
作により、支持体(3)の表面の版材溶解液が除去され
る。そして、廃液回収機構(84)により支持体(3)
の表面の残存する液体を拭き取るか又は吸引除去した
後、風乾あるいはエアー式乾燥機構(85)により支持
体(3)の表面を乾燥する。
【0051】本発明においては、上記の再生工程の後、
前記の製版工程、すなわち、工程(A)〜(C)に戻っ
て同一の操作を繰り返し行なう。従って、本発明におい
ては、印刷機上で、製版、印刷、再生の各工程が行われ
るため、印刷ロット毎に版を交換する必要がなく、作業
が大幅に効率化される。しかも、本発明においては、支
持体(3)は再生して複数回使用することが出来るた
め、本発明の方法は経済的にも有利である。
【0052】更に、本発明の好ましい態様においては、
前記の各工程は、ケーシング(1)をスライドさせ、製
版装置の全体をケーシング(1)に収容して行われる。
斯かる態様において、ケーシング(1)は次の様に作用
する。すなわち、図1に示す装置(平版印刷機)は印刷
室内に配置される。一方、本発明においては、感光性版
材としては、前述の通り各種の光重合性組成物やポジ感
光性組成物を使用することが出来る。ケーシング(1)
は、使用する光重合性組成物やポジ感光性組成物に不適
切な照明光を遮断する作用を奏する。
【0053】また、ケーシング(1)の天井部に設置さ
れた除塵フィルター(11)は次の様に作用する。すな
わち、上記の印刷室内は、通常、天井付近に給気口が配
置され且つ床付近に排気口が設けられた換気可能になさ
れている。この場合、除塵フィルター(11)を通過し
てケーシング(1)の開放された前面に向かう換気空気
流が形成される。その結果、製版、印刷、再生の各工程
で発生するミストが効率的に除去される。上記のミスト
は、上記の排気口に排気ダクト(12)を導通すること
により一層効率的に除去され、製版不良率を下げる効果
を奏する。
【0054】上記の様に、本発明の製版方法は、工程
(A)の感光性層の構成において、支持体(3)上の感
光性層(塗布した感光性層溶液)を加熱乾燥させるにあ
たり、画像形成材料固定用ドラム(版胴(21))と支
持体(3)との間に空隙層(32)を設けた状態で加熱
乾燥処理するため、支持体(3)から画像形成材料固定
ドラムへの放熱を効果的に抑制して加温効果を高めるこ
とが出来、かつ、支持体(3)全面を変形させることな
く一層均一に乾燥させることが出来、より高品質な画像
形成材料を効率的に作製できる。
【0055】更に、本発明の製版方法は、近赤外吸収色
素を含有する感光性層に対し、特定の光強度密度にて近
赤外光を特定時間照射し、感光性層中の近赤外吸収色素
によって光を熱に変換することにより、感光性層のみを
効率的に加熱して乾燥させることが出来るため、画像形
成材料固定用ドラムの温度上昇をより低減することが出
来、しかも、塗布した感光性層溶液だけを短時間で乾燥
させることが出来、一層効率的に画像形成材料を作製で
きる。また、その結果、加熱に必要な電力を一層低減す
ることが出来る。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0057】実施例1:アルミニウム板(厚さ0.24
mm)を5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃
で1分間脱脂処理した後、0.5モル/リットルの濃度
の塩酸水溶液中において、温度25℃、電流密度60A
/dm2、処理時間30秒の条件で電解エッチング処理
を行った。次いで、5重量%水酸化ナトリウム水溶液中
で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20
重量%硫酸溶液中において、温度20℃、電流密度3A
/dm2、処理時間1分の条件で陽極酸化処理を行っ
た。そして、80℃の熱水で20秒間熱水封孔処理を行
い、平板印刷版支持体用のアルミニウム板を作製した。
表面粗度計(小坂研究所社製「SE−3DH」)により
上記のアルミニウム板の表面粗さを測定したところ、平
均粗さRaの値は0.60μmであった。
【0058】次いで、三菱重工社製平板印刷機「ダイヤ
F−2」の版胴上に、メッシュシート(NBC工業
(株)製;TB30、ポリエステル100%、厚さ54
0μm)を4周貼り付けて厚さ2160μmの空隙層
(32)を形成し、その上に、表面処理を施した面が外
側になる様に上記のアルミニウム板支持体を固定した
後、版材供給機構のローラーによって感光性版材として
の塗布液を支持体表面に塗布した。塗布液は、光熱変換
物質として、インドール系色素3重量部、アルカリ可溶
性樹脂として、フェノール:m−クレゾール:p−クレ
ゾールの混合割合がモル比で50:30:20の混合フ
ェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体から成る
ノボラック樹脂(Mw9400)100重量部、およ
び、クリスタルバイオレットラクトン3重量部をメチル
ソルソルブ1000重量部に対して室温で攪拌すること
により調液した。
【0059】上記の様にアルミニウム板支持体表面に感
光性版材を塗布して感光性層を形成した後、版胴を周速
度毎分2mで回転しつつ、ハロゲン・ランプ(ウシオ電
機(株)製QIRZ200−3000AMC1、規格値
3kW、印加電圧160V)の光を3分間照射し、感光
性層を乾燥させ、ポジ型感光性平板印刷版を作製した。
光照射にあたっては、パラボラ型反射鏡使用(反射鏡幅
6cm)を使用し、支持体とランプ間の距離を3cmに
設定した。
【0060】続いて、得られたポジ型感光性平板印刷版
に対し、版胴上に近接固定した露光装置(波長830n
m、30mWのアプライドテクノ社製の半導体レーザー
を光源とする露光装置)を使用し、各種の露光エネルギ
ーで20μm幅の細線画像を走査露光した。次いで、湿
し水供給機構の湿し水をアルカリ現像液に変更し、版胴
を毎時13000回転で回転させた状態において、湿し
水供給機構よりアルカリ現像液(富士写真フィルム社製
「DP−4」の12倍希釈液)を28℃で5分間供給し
た。そして、湿し水供給機構中のアルカリ現像液を水に
変更し、同様に版上に水を供給して水洗することによ
り、細線画像を再現させたポジ型平板印刷版を作製し
た。露光の際の感度は、20μm幅の細線が再現する最
小露光エネルギーとして200mJ/cm2であった。
【0061】次いで、上記の様に露光、現像処理して得
られたポジ型平板印刷版に対し、湿し水供給機構より湿
し水(日研化学社製「アストロNo.1 マークII」)
を供給し、印刷インキ供給機構より印刷インキ(東洋イ
ンキ社製「ハイエコー・マゼンタ」)を供給することに
より、1000枚の印刷を行ったところ、良質な印刷物
が得られた。
【0062】印刷終了後、平板印刷版を版胴に固定した
状態において、版面上の印刷インキを洗浄、除去した
後、付設した画像除去機構のローラーにより画像除去剤
としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルを版
面上に塗布してポジ画像を溶解させ、ガーゼで拭き取っ
て除去し、次いで、水洗することにより、アルミニウム
板支持体を再生した。
【0063】続いて、再生したアルミニウム板支持体表
面に対し、版材供給機構のローラーにより上記と同様の
ポジ型感光性版材を再度塗布して感光性層を形成し、上
記の操作と同様に加熱乾燥させることによりポジ型感光
性平板印刷版を作製した後、引き続いて、露光機構のレ
ーザー光源により感光性層を走査露光し、湿し水供給機
構のローラーによって上記と同様の現像液を感光性層上
に供給して現像処理することにより、ポジ画像を現出さ
せて画像形成済みのポジ型平板印刷版を作製した。露光
時の感度は、20μm幅の細線画像が再現する露光エネ
ルギーとして求めたところ、再生前と同様に200mJ
/cm2であった。そして、斯かる露光エネルギーで露
光、現像処理したポジ型平板印刷版を使用し、2回目の
印刷として上記と同様に10000枚の印刷を行ったと
ころ、高品質の印刷物が得られた。
【0064】実施例2:実施例1において、メッシュシ
ートに代え、版胴とアルミニウム支持体の間に金網(光
洋ステンレス製平織金網:型番SH−029020−
5)を挟み、厚さ1mmの空隙層を形成した点を除き、
実施例1と同様の条件で製版したところ、実施例1と同
様の良好な結果が得られた。
【0065】実施例3:実施例1において、メッシュシ
ートに代え、加熱乾燥の際に版胴とアルミニウム支持体
の間に突起状スペーサー(スペーサー高さ2mm)を挟
んで支持体全体を一様にを浮かせた点を除き、実施例1
と同様の条件で製版したところ、実施例1と同様の良好
な結果が得られた。
【0066】比較例1:実施例1において、版胴とアル
ミニウム板支持体の間にメッシュシートを挟まず、空隙
層を形成しなかった点を除き、実施例1と同様の条件で
製版したところ、ハロゲン・ランプ光照射中の放熱が速
く進み、支持体の昇温が不十分であったため、全く画像
が形成されなかった。
【0067】比較例2:比較例1において、ハロゲン・
ランプの光の照射時間を15分と長くした点を除き、比
較例1と同様に空隙層を形成せずに、比較例1と同様の
条件で製版したところ、熱処理直後の版胴の温度が60
℃にまで上昇してしまい、直ちに露光、現像を始めるこ
とが出来なかった。
【0068】比較例3:比較例1において、ハロゲン・
ランプの印加電圧を105Vに上げた点を除き、比較例
1と同様に空隙層を形成せずに、比較例1と同様の条件
で製版したところ、ハロゲン・ランプ光の照射中(加熱
乾燥注)にアルミニウム支持体が熱変形を起こして歪ん
でしまった。この場合、変形により部分的に浮き上がっ
た状態となったが、浮き上がり部分は一様な空隙層と言
えるものではなかった。
【0069】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のレーザー製
版方法によれば、支持体上の感光性層を加熱乾燥するに
あたり、画像形成材料固定用ドラムと支持体との間に空
隙層を設けた状態で加熱乾燥処理するため、支持体から
画像形成材料固定ドラムへの放熱を効果的に抑制して加
温効果を高めることが出来、かつ、支持体全面を一層均
一に乾燥させることが出来、効率的に高品質な画像形成
材料を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザー製版方法の実施に好適な一例
としてのレーザー製版装置の概念を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 :ケーシング 11:除塵フィルター 12:排気ダクト 21:版胴(画像形成材料固定用ドラム) 22:ブランケット胴 23:圧胴 3 :支持体(画像形成材料) 31:支持体固定手段 32:空隙層 4 :版材供給機構 5 :露光機構 6 :インク着肉装置 7 :湿し装置 9 :乾燥機構 81:版材溶解液供給機構(版材除去機構) 82:版材剥離ローラー(版材除去機構) 83:洗浄水供給機構(版材除去機構) 84:廃液回収機構(版材除去機構) 85:エアー式乾燥機構(版材除去機構) 86:汚染防止トレー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植松 卓也 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 浦野 年由 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 瑞穂 右二 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AB03 AC08 AD03 CB29 CC20 FA01 2H084 AA14 AA30 AE05 CC05 2H096 AA07 BA09 BA11 BA16 EA04 GA08 2H097 AA16 AB06 CA17 LA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像形成材料固定用ドラムに固定した支
    持体上に感光性版材を塗布して感光性層を形成し、当該
    感光性層を加熱乾燥処理することにより画像形成材料を
    構成した後、レーザー光線により走査画像露光を行い、
    次いで、製版処理剤による処理を施して感光性層により
    画像形成するレーザー製版方法において、感光性層を加
    熱乾燥処理するにあたり、画像形成材料固定用ドラムと
    支持体との間に空隙層を設けることを特徴とするレーザ
    ー製版方法。
  2. 【請求項2】 空隙層の厚さが50μm以上である請求
    項1に記載のレーザー製版方法。
  3. 【請求項3】 感光性層の加熱乾燥処理を光の照射によ
    って行う請求項1〜2に記載のレーザー製版方法。
  4. 【請求項4】 感光性版材が、加熱乾燥処理用の光を吸
    収して熱に変換する光熱変換剤を含有する請求項3に記
    載のレーザー製版方法。
  5. 【請求項5】 画像形成材料固定用ドラム、版材供給機
    構、乾燥機構、露光機構および製版処理材供給機構を少
    なくとも有するレーザー製版装置を使用すると共に、
    (A):画像形成材料固定用ドラムに固定した支持体上
    に版材供給機構から感光性版材を供給塗布して感光性層
    を形成し、乾燥機構により感光性層を加熱乾燥処理して
    画像形成材料となし、次いで、(B):露光機構により
    画像形成材料を画像露光した後、(C):画像露光済み
    画像形成材料上に製版処理剤供給機構から製版処理剤を
    供給し、更に、必要に応じて物理的刺激を与えることに
    より画像形成する請求項1〜4に記載のレーザー製版方
    法。
  6. 【請求項6】 画像形成材料固定用ドラム、版材供給機
    構、乾燥機構、露光機構、製版処理材供給機構および版
    材除去機構を少なくとも有するレーザー製版装置を用い
    ると共に、(E):画像形成された画像形成材料に対
    し、版材除去機構により感光性層(版材)の表面に版材
    除去剤を供給し、更に、必要に応じて物理刺激を与える
    ことにより、支持体上の感光性層を溶解、剥離除去して
    支持体を再生する請求項5に記載のレーザー製版方法。
  7. 【請求項7】 画像形成材料固定用ドラムが印刷機の版
    胴である請求項5又は6に記載のレーザー製版方法。
  8. 【請求項8】 画像形成材料が、700〜1300nm
    の近赤外レーザー露光用光重合性画像形成材料、また
    は、400〜420nmの青紫レーザー露光用光重合性
    画像形成材料である請求項1〜7の何れかに記載のレー
    ザー製版方法。
  9. 【請求項9】 画像形成材料が、画像露光用光源の光を
    吸収して熱に変換する光熱変換物質とノボラック樹脂と
    を含有するポジ感光性組成物から成る700〜1300
    nmの近赤外レーザー露光用ポジ型感光性版材である請
    求項1〜7の何れかに記載のレーザー製版方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010089461A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 塗布装置、印刷版製造装置、および塗布方法
JP2010253825A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 General Technology Co Ltd スクリーン印刷版の製造方法

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